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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051865
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】棒状化粧料収納容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/06 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A45D40/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158235
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000210573
【氏名又は名称】竹内工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平川 昌志
(57)【要約】
【課題】 金属板を菱形に加工しておいてそれを丸めることでその間隙をラセン溝とする場合に丸める前の金属板の幅を狭くしておいてその材料を丸め加工すると、丸めた後のラセン部材の強度が下がってしまい、外力によって変形しやすいものとなってしまうので棒状化粧料収納容器の繰り出しトルクにばらつきが生じて高級感を下げてしまうという課題があった。
【解決手段】 金属材で筒状に形成されたラセン収納筒内にラセン部材を収納固定しさらにそのラセン収納筒をハカマ部材内に固定することでラセン部材をハカマ部材に固定した棒状化粧料収納容器とすることで解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材を筒状に成形しほぼ中央部には周状に外方向へ突出する膨出部が形成され下部に軸心方向の切割り溝が形成された内筒部材と、金属材を菱形に加工しそれを丸め加工することによりその間隙によって螺旋溝を形成し内筒部材の切割り溝が形成された部位を回動可能に覆うラセン部材と、上部に口紅などの棒状化粧料を保持し下部外面に内筒部材の切割り溝及びラセン部材の螺旋溝と係合する係合ピンが形成され内筒部材内に上下移動可能に配置された金属材で加工された皿部材と、内筒部材の膨出部を抜け出し不能に覆い上部に蓋嵌合部が形成された金属材製の袴部材と、袴部材の上部を着脱自在に覆う蓋とから構成されることを特徴とする口紅などの棒状化粧料収納容器において、ラセン部材を内部に収納固定し金属材で筒状に形成されたラセン収納筒をハカマ部材内に固定することでラセン部材をハカマ部材に固定したことを特徴とする口紅などの棒状化粧料収納容器。
【請求項2】
ラセン収納筒はラセン部材の上端部よりも上部まで達し内筒部材に形成された膨出部を係止することによって膨出部がラセン部材に接触することを防止することを特徴とする請求項1記載の口紅などの棒状化粧料収納容器。
【請求項3】
金属材はアルミニウム材であることを特徴とする請求項1ないし請求項2記載の口紅などの棒状化粧料収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口紅、リップクリーム、スチックアイシャドウ、スチックフアンデーション等の棒状化粧料を収納する棒状化粧料収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の棒状化粧料収納容器は、下部に軸心方向の切割り溝が形成された筒状の内筒部材と、内部に螺旋溝が形成され前記内筒部材の切割り溝が形成された部位を回動可能ではあるが抜け出し不能に覆うラセン部材と、上部に口紅などの棒状化粧料を保持し下部外面に内筒部材の切割り溝及びラセン部材の螺旋溝と係合する係合ピンが形成され内筒部材内に上下移動可能に配置された皿部材と、上部に蓋嵌合部が形成されラセン部材の外周を回動不能に覆う袴部材と、袴部材の上部を着脱自在に覆う蓋で構成されていた。
【0003】
しかしながらこのように構成された棒状化粧料収納容器ではその材質としてはプラスチックが多く利用されていたが、昨今の環境問題として主に石油より生産されるプラスチック材は時間が経過しても自然分解されることがほとんど無く環境に悪影響を与えることが懸念されており、また資源として再利用するにも手間がかかる為、使用を控えることが求められている。
【0004】
この改善策として棒状化粧料収納容器を構成する部材を環境に悪影響を与えることが少ない金属材に置き換えることが求められているが、プラスチック材と金属材では成型、加工方法が違うため容易に置き換えることができるものでは無く、中でも繰り出しに使用されるラセン部材を金属材に置き換える場合には、プラスチック材の場合には金型に熔解した材料を流し込むことでラセン溝を成形できるが金属材の場合にはそのような手段をとるわけにはゆかず、公開実用新案公報昭57-30110号に示されるように、金属板を菱形に加工しておいてそれを丸めることでその間隙をラセン溝とすることでラセン部材を構成するという手段が取られている。
【0005】
さらにこのラセン部材は棒状化粧料収納容器に収納された化粧料の繰り出しに使用されるものであるが、内筒部材とラセン部材が一回転する際に繰り出される化粧料の長さは容器ごとに違っているものであり、容器の形状や化粧料の硬さ、太さ、量などによって使用する際に最適となるように一回転での繰り出し長さが決められるものである。
【0006】
それによって従来の棒状化粧品収納容器では内筒部材とハカマ部材をほぼ一回転させることで収納された棒状化粧料がすべて内筒部材の上端面から外部に繰り出ししてしまうものから、棒状化粧料のすべてを繰り出しするためには数十回回転させねばならないものまで存在する。
【0007】
公開実用新案公報昭57-30110号に示されるものは収納された棒状化粧料がほぼ一回転ですべて繰り出されるような形状であるがそれに限らず、一回転での繰り出し長さを小さくすることが必要な場合があり、そのためには丸める前の金属板の幅を狭くしておいてその材料を丸め加工することになるが、そのような場合には丸めた後のラセン部材がコイルばねのような状態になって強度が下がってしまうことにより外力によって変形しやすいものとなってしまい、棒状化粧料収納容器の繰り出しトルク値あるいはスムーズ感にばらつきが生じてしまうことで棒状化粧料収納容器の高級感を下げてしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】公開実用新案公報昭57-30110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は一回転での繰り出し長さを小さくした場合に丸める前の金属板の幅が狭くなってしまい、それによって丸めた後のラセン部材の強度が下がってしまうものであっても、外力によって変形を起こしにくくそれによって棒状化粧品収納容器の繰り出しトルク値にばらつきが生じたり、スムーズ感が無くなることによって高級感を下げてしまうということのない棒状化粧品収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は金属材を筒状に成形しほぼ中央部には周状に外方向へ突出する膨出部が形成され下部に軸心方向の切割り溝が形成された内筒部材と、金属材を菱形に加工しそれを丸め加工することによりその間隙によって螺旋溝を形成し内筒部材の切割り溝が形成された部位を回動可能に覆うラセン部材と、上部に口紅などの棒状化粧料を保持し下部外面に内筒部材の切割り溝及びラセン部材の螺旋溝と係合する係合ピンが形成され内筒部材内に上下移動可能に配置された金属材で加工された皿部材と、内筒部材の膨出部を抜け出し不能に覆い上部に蓋嵌合部が形成された金属材製の袴部材と、袴部材の上部を着脱自在に覆う蓋とから構成されることを特徴とする口紅などの棒状化粧料収納容器において、ラセン部材を内部に収納固定し金属材で筒状に形成されたラセン収納筒をハカマ部材内に固定することでラセン部材をハカマ部材に固定したことを特徴とする口紅などの棒状化粧料収納容器であることを特徴としている。
【0011】
さらにラセン収納筒はラセン部材の上端部よりも上部まで達し内筒部材に形成された膨出部を係止することによって膨出部がラセン部材に接触することを防止することを主要な特徴とした口紅などの棒状化粧料収納容器であることを特徴としている。
【0012】
さらに使用される金属材は比重の軽いアルミニウム材を使用することによって従来のプラスチック材よりも極端に重くなったりすることを防止している。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、一回転での繰り出し長さを小さくした場合に丸める前の金属板の幅が狭くなってしまい、それによって丸めた後のラセン部材の強度が下がってしまうものであっても、外力によって変形を起こしにくくそれによって棒状化粧品収納容器の繰り出しトルク値にばらつきが生じたり、スムーズ感が無くなることによって高級感を下げてしまうということのないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施例を示す断面説明図である。
図2】丸め加工をする前のラセン部材である。
図3】各部材の斜視図である。
図4】ラセン部材とラセン筒をセットした斜視図である。
図5】第2の実施例の断面説明図である。
図6】第2の実施例の各部材の斜視図である。
図7】第2の実施例のラセン部材とラセン筒をセットした斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は金属材を筒状に成形しほぼ中央部には周状に外方向へ突出する膨出部が形成され下部に軸心方向の切割り溝が形成された内筒部材と、金属材を菱形に加工しそれを丸め加工することによりその間隙によって螺旋溝を形成し内筒部材の切割り溝が形成された部位を回動可能に覆うラセン部材と、上部に口紅などの棒状化粧料を保持し下部外面に内筒部材の切割り溝及びラセン部材の螺旋溝と係合する係合ピンが形成され内筒部材内に上下移動可能に配置された金属材で加工された皿部材と、内筒部材の膨出部を抜け出し不能に覆い上部に蓋嵌合部が形成された金属材製の袴部材と、袴部材の上部を着脱自在に覆う蓋とから構成されることを特徴とする口紅などの棒状化粧料収納容器において、ラセン部材を内部に収納固定し金属材で筒状に形成されたラセン収納筒をハカマ部材内に固定することでラセン部材をハカマ部材に固定したことで実施している。
【0016】
さらにラセン収納筒はラセン部材の上端部よりも上部まで達し内筒部材に形成された膨出部を係止することによって膨出部がラセン部材に接触することを防止することで実施している。
【0017】
さらに使用される金属材はアルミニウム材であることで実施している。
【実施例0018】
以下、図面に示す実施例により、本発明を詳細に説明する。
図1ないし図4に示す発明の第1の実施例において、1は上端部が開口された筒状の内筒部材で、この内筒部材1は金属材をプレス加工、あるいはパイプ加工することで形成されその下部には軸心方向の切割り溝2が形成されている。
【0019】
3は内容部材1のほぼ中央部に形成された外方向へ膨出する膨出部で、この膨出部3は内筒部材1の周状にリング状に膨らむように形成されている。
【0020】
4は前記内筒部材1の切割り溝2が形成された部位を回動可能に覆う筒状に形成されたラセン部材で、このラセン部材4は図2に示すように菱形状に形成された金属板を丸めて、その隙間でラセン溝5を形成するように構成したものである。
【0021】
7は化粧料9を上部に収納して前記内筒部材1内に上下移動可能に形成された皿部材で、この皿部材7の下部外面には前記内筒部材1の切割り溝2及びラセン部材4の螺旋溝5と係合する係合ピン8が形成され、内筒部材1とラセン部材3を回動させることで内筒部材1内で皿部材7を上下移動可能として化粧料9を内筒部材1の上端面から出没させている。
【0022】
6はハカマ部材10内に圧入あるいは接着などの手段によって固定された金属製のラセン収納筒で、このラセン収納筒6は内部にラセン部材4を収納固定するもので、その固定方法としてはラセン部材4が丸めた金属板が元の平の形状に戻ろうとする反発の力でラセン収納筒6内部に張り付く力が主に利用される。
【0023】
しかし内筒部材1を強く押し下げた場合に内筒部材1の膨出部3がラセン部材4を上から押しつぶすような作用をしてしまうことになり、そのようなことになるとラセン溝5が押しつぶされることになりラセン部材4の反発の力だけでは支えきれずにラセン部材4が変形をしてしまい、結果として棒状化粧料収納容器の繰り出しトルクのスムーズさが損なわれてしまう。そのためラセン部材4の変形を避けるためラセン部材4とラセン収納筒6を接着、ロウ付け、溶接などの既存の接合方法を使用して固定したものであっても良い。
【0024】
10はラセン収納筒6の外周を抜け出し不能でさらに回動不能に覆うハカマ部材で、このハカマ部材10は上部に蓋嵌合部11が形成されていると共にその上端部で内筒部材1の膨出部3が抜け出し不能な寸法とすることで内筒部材1がハカマ部材10から抜け出すことを防止している。
【0025】
12は内筒部材1の上部を覆いハカマ部材10に形成された蓋嵌合部11と着脱自在に嵌合する蓋である。
【0026】
このように金属材で構成された棒状化粧料収納容器20は従来の棒状化粧料収納容器と同等に使用することができるので廃棄する際にも環境に悪影響を与えることがない。さらに金属の材料としては重量、加工性、コストなどの理由からアルミニウムを使用したものが望ましい。
【0027】
つぎに発明の異なる実施例につき説明する。
図5及び図7に示す発明の第2の実施例において、発明の第1の実施例と主に異なる点はラセン収納筒6Aでこのラセン収納筒6A はラセン部材4の上端部よりも上部まで達し上部が内側方向へ若干倒れ込むことによってラセン部材4の上部に覆いかぶさるようになっている肩部13が形成されている。それによって内筒部材1を強く押し下げた場合であってもこの肩部13が内筒部材1に形成された膨出部3を係止することによって膨出部3がラセン部材4に接触しラセン部材4を変形させてしまうことを防止するように作用している。
このように構成された棒状化粧料収納容器20Aとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は以上説明したように構成されているので棒状化粧料収納容器に限らず繰り出しをすることで中身を使用する容器であるなら、文房具、食品などにも利用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 内筒部材
2 切割溝
3 膨出部
4 ラセン部材
5 ラセン溝
6、6A ラセン収納筒
7 皿部材
8 係合ピン
9 化粧料
10 ハカマ部材
11 蓋嵌合部
12 蓋
13 肩部
20、20A 棒状化粧料収納容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7