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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051877
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 3/147 20060101AFI20240404BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20240404BHJP
   F24F 1/0097 20190101ALI20240404BHJP
   F24F 12/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F24F3/147
F24F11/70
F24F1/0097
F24F12/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158251
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000219233
【氏名又は名称】東プレ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】水野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 惇
(72)【発明者】
【氏名】太田 勇
(72)【発明者】
【氏名】小島 宏康
(72)【発明者】
【氏名】森本 晋平
【テーマコード(参考)】
3L050
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L050BC05
3L053BA10
3L053BB02
3L053BB06
3L053BC03
3L053BC09
3L260AB12
3L260BA05
3L260BA06
3L260BA41
3L260CB62
3L260FB51
3L260FB63
3L260FB72
(57)【要約】      (修正有)
【課題】除湿と加湿の両方を行えるエネルギー利用効率の高い小型な空調装置を提供する。
【解決手段】屋内を空調する空調装置1が、互いに隣接する流路11,15を有した筐体10と、流路11と流路15の境界を越えて流路11,15に及ぶように配置され、前記境界に沿った中心軸の回りに回転し、水分を捕捉するとともに水分を放出するローター30と、流路11に設けられ、流路11内の内気をローター30に通過させるよう前記内気を送風する第一ファン21と、流路15に設けられ、前記内気の通過の向きと逆向きに流路15内の外気をローター30に通過させるよう外気を送風する第二ファン25と、内気の流れにおけるローター30よりも上流側において流路11及び第二流路15を仕切り、内気と前記外気で熱交換するペルチェ素子50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内を空調する空調装置であって、
互いに隣接する第一流路及び第二流路を有した筐体と、
前記第一流路と前記第二流路の境界を越えて前記第一流路及び前記第二流路に及ぶように配置され、前記境界に沿った中心軸の回りに回転し、水分を捕捉するとともに水分を放出するローターと、
前記第一流路に設けられ、前記第一流路内の内気を前記ローターに通過させるよう前記内気を送風する第一ファンと、
前記第二流路に設けられ、前記内気の通過の向きと逆向きに前記第二流路内の外気を前記ローターに通過させるよう前記外気を送風する第二ファンと、
前記内気の流れにおける前記ローターよりも上流側において前記第一流路及び前記第二流路を仕切り、前記内気と前記外気で熱交換するペルチェ素子と、
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調装置であって、
除湿モードでは、前記ペルチェ素子が前記内気から熱を吸収するとともに、その熱を前記外気に放射し、
加湿モードでは、前記ペルチェ素子が前記外気から熱を吸収するとともに、その熱を前記内気に放射する
ことを特徴とする空調装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空調装置であって、
前記ペルチェ素子に電圧を印加し、その電圧の向きを前記除湿モードと前記加湿モードとの間で異ならせる制御部
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の空調装置であって、
前記外気の流れにおける前記ローターよりも上流側において前記第二流路に設けられ、前記除湿モードにおいてオンされ、前記加湿モードにおいてオフされる加熱器
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項5】
請求項4に記載の空調装置であって、
熱回収装置と前記加熱器との間に設けられ、前記熱回収装置と前記加熱器との間で熱媒体を循環させる循環流体回路を備え、
前記熱回収装置が、燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギー若しくは熱エネルギー又はこれらの両方に変換するエネルギー変換装置における排熱を回収することによって前記熱媒体を加熱し、
前記加熱器が、前記熱回収装置から供給された前記熱媒体の熱を前記外気に放出する熱交換器である
ことを特徴とする空調装置。
【請求項6】
請求項2又は3に記載の空調装置であって、
前記内気の流れにおける前記ローターよりも上流側において前記第一流路に設けられ、前記加湿モードにおいてオンされ、前記除湿モードにおいてオフされる加熱器
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項7】
請求項6に記載の空調装置であって、
熱回収装置と前記加熱器との間に設けられ、前記熱回収装置と前記加熱器との間で熱媒体を循環させる循環流体回路を備え、
前記熱回収装置が、燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギー若しくは熱エネルギー又はこれらの両方に変換するエネルギー変換装置における排熱を回収することによって前記熱媒体を加熱し、
前記加熱器が、前記熱回収装置から供給された前記熱媒体の熱を前記内気に放出する熱交換器である
ことを特徴とする空調装置。
【請求項8】
請求項2又は3に記載の空調装置であって、
前記外気の流れにおける前記ローターよりも上流側において前記第一流路に設けられる第一熱交換器と、
前記外気の流れにおける前記ローターよりも上流側において前記第二流路に設けられる第二熱交換器と、
熱回収装置と前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器との間に設けられる循環流体回路と、を備え、
前記熱回収装置が、燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギー若しくは熱エネルギー又はこれらの両方に変換するエネルギー変換装置における排熱を回収することによって熱媒体を加熱し、
前記循環流体回路が、前記除湿モードにおいて前記熱回収装置と前記第二熱交換器との間で前記熱媒体を循環させるとともに、前記熱回収装置と前記第一熱交換器との間で前記熱媒体を循環させず、
前記循環流体回路が、前記加湿モードにおいて前記熱回収装置と前記第一熱交換器との間で前記熱媒体を循環させるとともに、前記熱回収装置と前記第二熱交換器との間で前記熱媒体を循環させない
ことを特徴とする空調装置。
【請求項9】
請求項8に記載の空調装置であって、
前記循環流体回路が、
前記熱回収装置のアウトレットに接続された循環ポンプと、
前記循環ポンプに接続され、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のインレットに接続された第一の三方弁と、
前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のアウトレットに接続され、前記熱回収装置91のインレットに接続された第二の三方弁と、
を有することを特徴とする空調装置。
【請求項10】
請求項8に記載の空調装置であって、
前記循環流体回路が、
前記熱回収装置のアウトレットに接続され、前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のインレットに接続された第一の三方弁と、
前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器のアウトレットに接続された第二の三方弁と、
前記第二の三方弁に接続され、前記熱回収装置のインレットに接続された循環ポンプと、
を有することを特徴とする空調装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の空調装置であって、
前記第一流路内において前記ペルチェ素子に接合されたヒートシンク
を備えることを特徴とする空調装置。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の空調装置であって、
前記第二流路内において前記ペルチェ素子に接合されたヒートシンク
を備えることを特徴とする空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内を空調する空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋外の外気を室内に送るとともに屋内の内気を屋外に送る換気型空調装置が開示されている。この空調装置は全熱交換器、デシカントローター、排気用熱交換器及び給気用熱交換器を備える。全熱交換器は外気と内気の間で熱交換し、排気用熱交換器は冷媒と内気の間で熱を交換し、給気用熱交換器は冷媒と内気の間で熱交換し、デシカントローターはその回転により外気と内気の間で水分を交換する。加湿運転の場合、内気が排気用熱交換器によって冷却された上で、その内気の水分がデシカントローターに吸収され、外気が給気用熱交換器によって加熱された上で、水分がデシカントローターから外気に放出され、湿度の上がった外気が室内に供給される。除湿運転の場合、内気が排気用熱交換器によって加熱された上で、水分がデシカントローターから内気に放出され、外気が給気用熱交換器によって冷却された上で、外気の水分がデシカントローターに吸収され、湿度の下がった外気が室内に供給される。
【0003】
特許文献2には、屋外の外気を吸い込んでその外気を屋外に吹き出し、屋内の内気を吸い込んでその内気を屋内に吹き出す非換気型除湿装置が開示されている。この除湿装置はデシカントローター、内気用熱交換器及び外気用熱交換器を備える。内気用熱交換器は冷水と内気の間で熱を交換することによって内気を冷却し、外気用熱交換器は高温な熱媒体と外気の間で熱交換をすることによって外気を加熱する。冷却された内気がデシカントローターを通過する際に、その内気の水分がデシカントローターに吸収され、除湿された内気が室内に戻る。加熱された外気がデシカントローターを通過する際に、水分がデシカントローターから外気に放出されることによって、デシカントローターが再生される。冷水は内気用熱交換器と冷水器の間で循環されるところ、その冷水は内気用熱交換器において加熱され、冷水器において冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-257099号公報
【特許文献2】特開2022-034876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に開示の除湿装置は、屋内の空気の除湿を行えるものの、加湿を行えない。冷水器の消費電力が多く、エネルギーの利用効率が良くない。冷水器が大型であり、この冷水器は除湿装置の大型化の要因になる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は除湿と加湿の両方を行えるエネルギー利用効率の高い小型な空調装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
屋内を空調する空調装置1が、
互いに隣接する第一流路11及び第二流路15を有した筐体10と、
前記第一流路11と前記第二流路15の境界を越えて前記第一流路11及び前記第二流路15に及ぶように配置され、前記境界に沿った中心軸の回りに回転し、水分を捕捉するとともに水分を放出するローター30と、
前記第一流路11に設けられ、前記第一流路11内の内気を前記ローター30に通過させるよう前記内気を送風する第一ファン21と、
前記第二流路15に設けられ、前記内気の通過の向きと逆向きに前記第二流路15内の外気を前記ローター30に通過させるよう前記外気を送風する第二ファン25と、
前記内気の流れにおける前記ローター30よりも上流側において前記第一流路11及び前記第二流路15を仕切り、前記内気と前記外気で熱交換するペルチェ素子50と、
を備える。
【0007】
請求項1に係る発明によれば、電圧がペルチェ素子50に印加されると、熱がペルチェ素子50の内部において第一流路11から第二流路15へ又はその逆に移動する。ペルチェ素子50の内部の熱の移動の向きは、ペルチェ素子50に印加される電圧の向きに基づいて定まる。従って、ペルチェ素子50の電圧の向きが制御されると、熱の移動の向きが切り替わる。
熱がペルチェ素子50の内部において第一流路11から第二流路15へ移動する場合、第一流路11内の内気の熱がペルチェ素子50に吸収され、内気が冷却され、内気の湿度が上昇する。そのため、その内気がローターを通過する際に、ローターが内気から水分を捕捉して、その内気が除湿される。
熱がペルチェ素子50の内部において第二流路15から第一流路11へ移動する場合、熱がペルチェ素子50から第一流路11内の内気に放射され、内気が加熱され、内気の湿度が低下する。そのため、その内気がローターを通過する際に、ローターが水分を内気に放出して、その内気が加湿される。
よって、ペルチェ素子50が採用されることによって、空調装置1が内気の加湿と内気の除湿のどちらも行える。
【0008】
ペルチェ素子50が内気と外気の間で熱交換するためには、ペルチェ素子50が電圧を印加されることが必要であるが、ヒートポンプのような大型の熱サイクル装置を必要としない。よって、ペルチェ素子50の採用は、空調装置の小型化に貢献する。
【0009】
ペルチェ素子50が内気と外気の熱を交換するため、空調装置1のエネルギー利用効率が向上する。
【0010】
加湿モードにおける内気の加湿には、外気の水分が利用される。よって、別途水を準備する煩わしさが無い。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項1に記載の空調装置1であって、
除湿モードでは、前記ペルチェ素子50が前記内気から熱を吸収するとともに、その熱を前記外気に放射し、
加湿モードでは、前記ペルチェ素子50が前記外気から熱を吸収するとともに、その熱を前記内気に放射する。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、空調装置1が内気の加湿と内気の除湿のどちらも行える。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項2に記載の空調装置1が、
前記ペルチェ素子50に電圧を印加し、その電圧の向きを前記除湿モードと前記加湿モードとの間で異ならせる制御部70
を備える。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、空調装置1が内気の加湿と内気の除湿のどちらも行える。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、例えば図1に示すように
請求項2又は3に記載の空調装置1が、
前記外気の流れにおける前記ローター30よりも上流側において前記第二流路15に設けられ、前記除湿モードにおいてオンされ、前記加湿モードにおいてオフされる加熱器45
を備える。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、除湿モードにおいて加熱器45がオンされると、外気が加熱器45によって加熱され、外気の湿度が低下する。そのため、外気がローター30を通過する際に、ローター30に捕捉された水分が外気に放出される。よって、ローター30が水分を捕捉しやすい状態に再生される。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項4に記載の空調装置1が、
熱回収装置91と前記加熱器45との間に設けられ、前記熱回収装置91と前記加熱器45との間で前記熱媒体を循環させる循環流体回路80を備え、
前記熱回収装置91が、燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギー若しくは熱エネルギー又はこれらの両方に変換するエネルギー変換装置90における排熱を回収することによって前記熱媒体を加熱し、
前記加熱器45が、前記熱回収装置91から供給された前記熱媒体の熱を前記外気に放出する熱交換器である。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、エネルギー変換装置90における排熱が第二流路15内の外気の加熱に有効利用される。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項2又は3に記載の空調装置1が、
前記内気の流れにおける前記ローター30よりも上流側において前記第一流路11に設けられ、前記加湿モードにおいてオンされ、前記除湿モードにおいてオフされる加熱器41
を備える。
【0020】
請求項6に係る発明によれば、除湿モードにおける加熱器41のオフは、ペルチェ素子50による内気の冷却に阻害しない。加熱器41のオフは、ペルチェ素子50における電力消費の抑制と、省エネルギーに貢献する。
加湿モードにおける加熱器41のオンは、ペルチェ素子50による内気の加熱の補強と、ペルチェ素子50における電力消費の抑制に貢献する。
加湿モードにおいて加熱器41のみならずペルチェ素子50も内気を加熱することは、加熱器41の小型化に貢献する。
【0021】
請求項7に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項6に記載の空調装置1が、
燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギー若しくは熱エネルギー又はこれらの両方に変換するエネルギー変換装置90における排熱を回収することによって熱媒体を加熱する熱回収装置91と、前記加熱器41との間に設けられ、前記熱回収装置91と前記加熱器41との間で前記熱媒体を循環させる循環流体回路80を備え、
前記加熱器41が、前記熱回収装置91から供給された前記熱媒体の熱を前記内気に放出する熱交換器である。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、エネルギー変換装置90における排熱が第一流路11内の内気の加熱に有効利用される。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項2又は3に記載の空調装置1が、
前記外気の流れにおける前記ローター30よりも上流側において前記第一流路11に設けられる第一熱交換器41と、
前記外気の流れにおける前記ローターよりも上流側において前記第二流路15に設けられる第二熱交換器45と、
熱回収装置91と、前記第一熱交換器41及び前記第二熱交換器45との間に設けられる循環流体回路80と、を備え、
前記熱回収装置91が、燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギー若しくは熱エネルギー又はこれらの両方に変換するエネルギー変換装置90における排熱を回収することによって熱媒体を加熱し、
前記循環流体回路80が、前記除湿モードにおいて前記熱回収装置91と前記第二熱交換器45との間で前記熱媒体を循環させるとともに、前記熱回収装置91と前記第一熱交換器41との間で前記熱媒体を循環させず、
前記循環流体回路80が、前記加湿モードにおいて前記熱回収装置91と前記第一熱交換器41との間で前記熱媒体を循環させるとともに、前記熱回収装置91と前記第二熱交換器45との間で前記熱媒体を循環させない。
【0024】
請求項8に係る発明によれば、除湿モードにおいて熱媒体が熱回収装置91と第二熱交換器45の間で循環すると、第二流路15内の外気が第二熱交換器45により加熱される。よって、エネルギー変換装置90の排熱が第二流路15内の外気の加熱に有効利用される。
除湿モードにおいて外気が第二熱交換器45によって加熱されると、外気の湿度が低下する。そのため、外気がローター30を通過する際に、ローター30に捕捉された水分が外気に放出される。よって、ローター30が水分を捕捉しやすい状態に再生される。
除湿モードにおいて熱媒体が熱回収装置91と第一熱交換器41の間で循環しないため、第一熱交換器41及び熱媒体がペルチェ素子50による内気の冷却を阻害しない。また、エネルギー変換装置90の排熱の無駄遣いを抑えられる。
加湿モードにおいて熱媒体が熱回収装置91と第一熱交換器41の間で循環すると、内気が第一熱交換器41により加熱される。よって、エネルギー変換装置90における排熱が第一流路11内の内気の加熱に有効利用される。
加湿モードにおいてペルチェ素子50に加えて第一熱交換器41も内気を加熱することは、ペルチェ素子50による内気の加熱の増強と、ペルチェ素子50における電力消費の抑制に貢献する。
加湿モードにおいて第一熱交換器41のみならずペルチェ素子50も内気を加熱することは、加熱器41の小型化に貢献する。
【0025】
請求項9に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項8に記載の空調装置1であって、
前記循環流体回路80が、
前記熱回収装置91のアウトレットに接続された循環ポンプ81と、
前記循環ポンプに接続され、前記第一熱交換器41及び前記第二熱交換器45のインレットに接続された第一の三方弁82と、
前記第一熱交換器41及び前記第二熱交換器45のアウトレットに接続され、前記熱回収装置91のインレットに接続された第二の三方弁83と、
を有する。
【0026】
請求項9に係る発明によれば、第一及び第二の三方弁82,83が熱媒体の流れの方向を切り替えると、熱媒体の経路は2つの循環経路の間で切り替えられる。2つの循環経路のうち一方は、第一熱交換器と熱回収装置の間の循環経路であり、もう一方は、第二熱交換器と熱回収装置の間の循環経路である。
【0027】
請求項10に係る発明によれば、例えば図2に示すように、
請求項8に記載の空調装置1であって、
前記循環流体回路80が、
前記熱回収装置91のアウトレットに接続され、前記第一熱交換器41及び前記第二熱交換器45のインレットに接続された第一の三方弁82と、
前記第一熱交換器41及び前記第二熱交換器45のアウトレットに接続された第二の三方弁83と、
前記第二の三方弁83に接続され、前記熱回収装置91のインレットに接続された循環ポンプ81と、
を有する。
【0028】
請求項10に係る発明によれば、第一及び第二の三方弁82,83が熱媒体の流れの方向を切り替えると、熱媒体の経路は2つの循環経路の間で切り替えられる。2つの循環経路のうち一方は、第一熱交換器41と熱回収装置91の間の循環経路であり、もう一方は、第二熱交換器45と熱回収装置91の間の循環経路である。
【0029】
請求項11に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項1又は2に記載の空調装置1が、
前記第一流路11内において前記ペルチェ素子50に接合されたヒートシンク61
を備える。
【0030】
請求項11に係る発明によれば、ヒートシンク61は、第一流路内の内気とペルチェ素子50の間における熱交換効率を向上させる。
【0031】
請求項12に係る発明によれば、例えば図1に示すように、
請求項1又は2に記載の空調装置1であって、
前記第二流路15内において前記ペルチェ素子50に接合されたヒートシンク65
を備える。
【0032】
請求項12に係る発明によれば、ヒートシンク65は、第二流路内の外気とペルチェ素子50の間における熱交換効率を向上させる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、空調装置は小型であり、その空調装置は除湿と加湿の両方を行え、空調装置におけるエネルギー利用効率も高い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、空調装置を示す。
図2図2は、変形例の空調装置を示す。
図3図3は、具体化された空調装置の鉛直断面を示す。
図4図4は、具体化された空調装置の鉛直断面を示す。
図5図5は、具体化された空調装置の水平断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。ただし、本発明の範囲は以下に開示された実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で以下に開示の実施形態から設計変更された実施形態も本発明の範囲に含まれる。図面は例示のために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0036】
<第1の実施形態>
[1. 空調装置]
図1は、空調装置1の図面である。
【0037】
空調装置1は、例えば住宅、集合住宅及びビルディング等のような建物に設置される。空調装置1は、建物の内側と外側の何れに設置されてもよい。例えば、空調装置1は建物の機械室、屋上、バルコニー又は屋根裏に設置される。この空調装置1は、建物内側の空気と外側の空気の置換を行わない非換気型の空調装置である。なお、以下では、建物の内側の空気を内気(ないき)といい、建物の外側の空気を外気(がいき)という。
【0038】
空調装置1は、屋内の空調対象領域から第一ダクトを通じて内気を吸い込むとともに、屋外から第二ダクトを通じて外気を吸い込む。空調装置1は、吸い込んだ内気と外気の間で水分を交換することによって、内気の除湿又は加湿をする。空調装置1は、第三ダクトを通じて除湿又は加湿後の内気を屋内の空調対象領域に吹き出すとともに、第四ダクトを通じて加湿又は除湿後の外気を屋外に吹き出す。空調対象領域とは、空調装置1によって空調される領域をいう。空調対象領域は、例えば部屋、リビング、ダイニング、収納室、作業室、執務室、会議室、キッチン、便所、浴室、廊下、階段室、玄関ホール及び浴室等のように、建物内で仕切られた空間である。
【0039】
空調装置1は、除湿モード及び加湿モードの中から選択されたモードで運転される。空調装置1が除湿モードで運転される場合、空調装置1が内気中の水分を外気へ移すことによって内気を除湿する。空調装置1が加湿モードで運転される場合、空調装置1が外気中の水分を内気に移すことによって内気を加湿する。除湿モードは主に夏季又は雨季に利用され、加湿モードは主に冬季又は乾季に利用される。
【0040】
空調装置1は、筐体10、内気送風用のファン21、外気送風用のファン25、吸放湿ローター30、回転駆動機35、内気加熱用の加熱器41、外気加熱用の加熱器45、ペルチェ素子50、ヒートシンク61,65、制御部70、循環ポンプ81及び三方弁82,83を備える。以下、これらの構成要素について詳細に説明する。
【0041】
[2. 筐体]
筐体10は、内気用の流路11及び外気用の流路15を筐体10の内側に有する。流路11,15は、筐体10によって画定され、これら流路11,15の間の筐体10の仕切板によって仕切られている。流路11と流路15は、互いに隣接して、並列に並んでいる。内気用の流路11はその一端に吸込口12を有するとともに、その他端に吹出口13を有する。外気用の流路15はその一端に吸込口16を有するとともに、その他端に吹出口17を有する。流路11における内気の流れの向きは、流路15における外気の流れの向きの逆である。
【0042】
吸込口12は、第一ダクトを介して屋内の空調対象領域に接続されている。吸込口16は、第二ダクトを介して屋外に通じている。吹出口13は、第三ダクトを介して空調対象領域に接続されている。吹出口17は、第四ダクトを介して屋外に通じている。
【0043】
[3. ファン]
ファン21,25は、プロペラファンのような軸流ファンであってもよいし、シロッコファン、ターボファン及び斜流ファンのような遠心ファンであってもよい。内気用のファン21は、流路11に設置されていて、より具体的には吸込口12に寄って設置されている。ファン21は、内気に運動エネルギーを付与して、内気を吸込口12から吹出口13へ流す。外気用のファン25は、流路15に設置されていて、より具体的には吹出口17に寄って設置されている。ファン25は、外気に運動エネルギーを付与して、外気を吸込口16から吹出口17へ流す。なお、ファン21,22はブロワー又は送風機とも称呼される。
【0044】
ファン21,22の作動、停止及び速度調整等のような制御は制御部70によって行われる。
【0045】
[4. 吸放湿ローター]
吸放湿ローター30の外形は円盤状に成している。吸放湿ローター30は、吸放湿ローター30の表側から吸放湿ローター30の裏側へ及びその逆に空気が通過可能である。吸放湿ローター30を通過する空気が高湿であれば、吸放湿ローター30はその空気から水分を捕捉し、これによりその空気が除湿される。吸放湿ローター30を通過する空気が低湿であれば、吸放湿ローター30が水分をその雰囲気に放出し、これによりその空気が加湿される。吸放湿ローター30によって捕捉され、又は放出される水分は、主に水蒸気である。なお、吸放湿ローター30はデシカントローターとも称呼される。
【0046】
吸放湿ローター30は、ハニカム構造又はコルゲート構造を有した円盤状の基材と、その基材に担持された収着材若しくは吸着材又はそれら両方とを有する。収着材とは、その表面に水を吸着するとともに、その内部に吸収するものをいう。収着材の表面では、水分子が収着材に結合する吸着現象が生じ、収着材の内部では、水分子が浸透する吸収現象が生じる。収着材から水分子が離脱する現象を脱着という。収着材として、親水性高分子鎖からなる高分子収着材がある。吸着材とは、その表面に水を吸着するものをいい、好ましくは、水の吸着効率を高めるために多孔質状である。吸着材としては、例えばシリカゲル及びゼオライトのような無機系吸着材及び高分子吸着材がある。本明細書では、吸放湿ローター30への水分の吸着、吸収及び収着の総称を捕捉という。つまり、水分の捕捉とは、水分の吸着、吸収若しくは収着又はこれら2以上の組み合わせのことをいう。水分の放出とは、水分の離脱、蒸散、放散若しくは脱着又はこれら2以上の組み合わせをいう。
【0047】
吸放湿ローター30は、内気用の流路11と外気用の流路15の境界を越えてこれら流路11,15に及ぶように配置されている。吸放湿ローター30の一方の半分が内気用の流路11に配置され、他方の半分が外気用の流路15に配置されている。
【0048】
内気が流路11内において吸放湿ローター30を通過する際に、吸放湿ローター30がその内気の水分を捕捉し、又はその内気に水分を放出する。ここで、内気が吸放湿ローター30に接触する前にその内気がペルチェ素子50によって冷却されることによりその内気の湿度が上昇することは、吸放湿ローター30による効率的な水分の捕捉を引き起こす。内気が吸放湿ローター30に接触する前にその内気がペルチェ素子50及び加熱器41によって加熱されることによりその内気の湿度が低下することは、吸放湿ローター30による水分の放出を引き起こす。
【0049】
外気が流路15内において吸放湿ローター30を通過する際に、吸放湿ローター30がその外気の水分を捕捉し、又はその内気に水分を放出する。ここで、外気が吸放湿ローター30に接触する前にその外気が加熱器45によって加熱されることによりその外気の湿度が低下することは、吸放湿ローター30による水分の放出を引き起こす。
【0050】
吸放湿ローター30は、吸放湿ローター30の中心軸が内気用の流路11と外気用の流路15の境界に沿うように配置されている。より具体的には、吸放湿ローター30は、吸放湿ローター30の中心軸が流路11,15における内気及び外気の流れに対して平行になるよう配置されている。吸放湿ローター30の中心軸は、内気用の流路11と外気用の流路15の境界から内気用の流路11又は外気用の流路15の方に偏心してもよい。
【0051】
吸放湿ローター30は、吸放湿ローター30のラジアル荷重及びアキシアル荷重を受けるベアリング等の保持器に保持される。吸放湿ローター30は、保持器によって、吸放湿ローター30の中心軸の回りの周方向に回転可能に保持される。
【0052】
[5. 回転駆動機]
回転駆動機35は、吸放湿ローター30の中心に連結されている。回転駆動機35は、モーターと、そのモーターの動力を吸放湿ローター30に伝達する伝動機構と、を有する。回転駆動機35は、低速で、例えば3~15 [revolutions/hour]の回転速度で吸放湿ローター30を回転駆動する。なお、回転駆動機35が吸放湿ローター30の径方向外側において吸放湿ローター130の外周に連結されてもよい。
【0053】
回転駆動機35が吸放湿ローター30を駆動すると、吸放湿ローター30が周方向に変位する。そのため、吸放湿ローター30のうち内気用の流路11に露出する部分が吸放湿ローター30の回転に伴って周方向に移り変わり、吸放湿ローター30のうち外気用の流路15に露出する部分が吸放湿ローター30の回転に伴って周方向に移り変わる。
【0054】
回転駆動機35の作動、停止及び速度調整等のような制御は制御部70によって行われる。
【0055】
[6. 加熱器]
加熱器41は、吸込口12から吸放湿ローター30までの間において、吸放湿ローター30に寄って内気用の流路11に配置されている。そのため、内気用の流路11を流れる内気は加熱器41に接触する。
【0056】
加熱器45は、吸込口16から吸放湿ローター30までの間において、吸放湿ローター30に寄って外気用の流路15に配置されている。そのため、外気用の流路15を流れる外気は加熱器45に接触する。
【0057】
加熱器41,45は熱交換タイプである。つまり、加熱器41,45はラジエーター等のような熱交換器からなる。
【0058】
空調装置1が除湿モードで運転される場合、加熱された熱媒体が加熱器41に供給されないから、加熱器41がオフされるのに対して、加熱された熱媒体が加熱器45に供給されるから、加熱器45がオンされる。その加熱器45が熱媒体と外気の間で熱を交換することによって、外気を加熱し、熱媒体を冷却する。外気が加熱器45によって加熱されると、外気の温度が上昇し、外気の湿度が低下する。そのため、その外気が吸放湿ローター30を通過する際に、吸放湿ローター30に捕捉された水分が外気に放出される。これにより、吸放湿ローター30が水分を捕捉しやすいように再生される。
【0059】
空調装置1が加湿モードで運転される場合、加熱された熱媒体が加熱器45に供給されないから、加熱器45がオフされるのに対して、加熱された熱媒体が加熱器41に供給されるから、加熱器41がオンされる。その加熱器41が熱媒体と外気の間で熱を交換することによって、内気を加熱し、熱媒体を冷却する。内気が加熱器41によって加熱されると、内気の温度が上昇し、内気の湿度が低下する。そのため内気が吸放湿ローター30を通過する際に、吸放湿ローター30に捕捉された水分が内気に放出される。これにより、内気の湿度が上昇する。
【0060】
なお、加熱器41,45のオン状態とは、加熱器41,45が加熱できる状態をいい、加熱器41,45のオフ状態とは、加熱器41,45が加熱できない状態をいう。
【0061】
[7. 加熱器の熱エネルギー源]
除湿モードの場合、熱媒体が加熱器45と熱回収装置91との間で循環されるのに対して、熱媒体が加熱器41と熱回収装置91との間で循環されない。加湿モードの場合、熱媒体が加熱器41と熱回収装置91との間で循環されるのに対して、熱媒体が加熱器45と熱回収装置91との間で循環されない。循環のための熱媒体の運動エネルギーは循環ポンプ81によって生成される。加熱器45と熱回収装置91との間の循環と加熱器41と熱回収装置91との間の循環の選択は、三方弁82,83によってなされる。
【0062】
循環ポンプ81は熱回収装置91のアウトレットに接続され、三方弁82は循環ポンプ81に接続され、加熱器41,45のインレットは三方弁82に接続されている。加熱器41,45のアウトレットは三方弁83に接続され、三方弁83は熱回収装置91のインレットに接続されている。循環ポンプ81と三方弁82,83とこれらを接続する配管とを有する流体回路80は、循環流体回路である。
【0063】
循環ポンプ81は、熱媒体に運動エネルギーを付与して、熱媒体を熱回収装置91から三方弁82の方へ送る。循環ポンプ81の作動、停止及び運転速度調整等のような制御は制御部70によって行われる。
【0064】
三方弁82は、熱回収装置91及び循環ポンプ81から送られた熱媒体の流れの方向を、加熱器45と加熱器41との間で切り替える。除湿モードの場合、三方弁82が熱回収装置91から加熱器45への熱媒体の流れを許容し、熱回収装置91から加熱器41への熱媒体の流れを阻害する。加湿モードの場合、三方弁82が熱回収装置91から加熱器41への熱媒体の流れを許容し、熱回収装置91から加熱器45への熱媒体の流れを阻害する。
【0065】
三方弁83は、熱回収装置91へ送る熱媒体の流れの方向を、加熱器45と加熱器41との間で切り替える。除湿モードの場合、三方弁83が加熱器45から熱回収装置91への熱媒体の流れを許容し、加熱器41から熱回収装置91への熱媒体の流れを阻害する。加湿モードの場合、三方弁83が加熱器41から熱回収装置91への熱媒体の流れを許容し、加熱器45から熱回収装置91への熱媒体の流れを阻害する。
【0066】
三方弁82,83は電磁弁であり、三方弁82,83の切換制御は制御部70によって行われる。
【0067】
熱回収装置91は、エネルギー変換装置90の内部に設けられている。エネルギー変換装置90は、それに供給される燃料ガスの化学エネルギーを他の種類のエネルギーに変換する機器である。燃料ガスの化学エネルギーがエネルギー変換装置90によって他の種類のエネルギーに変換される過程において排熱が生じるところ、熱回収装置91はその排熱を回収して、その排熱により熱媒体を加熱する。
【0068】
エネルギー変換装置90は、熱回収装置91のほかに、例えば燃料電池システム92、ボイラー93及び貯湯タンク94を有する。
【0069】
燃料電池システム92は燃料ガスの化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。燃料電池システム92は例えば改質器及び燃料電池スタックを有し、改質器によって燃料ガスを水素に改質し、燃料電池スタックによって水素から電気エネルギーを生成する。燃料ガスから電気エネルギーが生成される過程において、熱が生じるが、その熱が熱回収装置91によって回収されて、熱媒体に移動される。
【0070】
ボイラー93は燃料ガスの化学エネルギーを水の熱エネルギーに変換する。つまり、ボイラー93は燃料ガスを燃焼させて、その燃焼熱により水を加熱する。水の加熱に利用しきれなかった熱が熱回収装置91によって回収されて、熱媒体に移動される。ボイラー93によって加熱された水は建物の各所及び貯湯タンク94に供給される。ボイラー93に供給される水は、上水又は貯湯タンク94内の水である。
【0071】
貯湯タンク94は、水に温度勾配を持たせた状態でその水を貯留する。熱回収装置91によって回収された熱は、貯湯タンク94の水の加熱にも利用される。貯湯タンク94内の水は、必要に応じてボイラー93によって加熱された上で又は必要に応じて上水と混合された上で、建物の各所に供給される。貯湯タンク94において生じる排熱がその熱が熱回収装置91によって回収されて、熱媒体に移動される。なお、燃料電池システム92及びボイラー93から熱回収装置91に回収された熱は、貯湯タンク94の水の加熱に利用されることもある。
【0072】
[8. ペルチェ素子]
ペルチェ素子50は、板状に設けられていて、表側の一方の面と裏側の他方の面を有する。ペルチェ素子50は、吸込口12及び吹出口17と吸放湿ローター30との間において、内気用の流路11と外気用の流路15の境界に沿うようにその境界に設けられている。ペルチェ素子50が内気用の流路11と外気用の流路15を仕切り、ペルチェ素子50の一方の面が内気用の流路11に臨み、ペルチェ素子50の他方の面が外気用の流路15に臨む。ペルチェ素子50は流路11内の内気と流路15内の外気との間で熱交換するところ、ペルチェ素子50における熱の移動の向きは除湿モードと加湿モードで異なる。
【0073】
除湿モードの場合、順方向の電圧がペルチェ素子50に印加される。そうすると、ペルチェ素子50が一方の面から他方の面に熱を移動させて、一方の面と他方の面との間に温度差を生成する。そのため、ペルチェ素子50の一方の面が吸熱面となり、他方の面が放熱面となる。つまり、ペルチェ素子50が流路11内の内気から熱を奪うとともに、流路15内の外気に熱を放出する。したがって、内気の温度が低下し、内気の湿度が上昇するから、内気が除湿されやすい状態になる。その内気は、吸放湿ローター30の通過の際に水分を吸放湿ローター30によって奪われて、除湿される。
【0074】
加湿モードの場合、逆方向の電圧がペルチェ素子50に印加される。そうすると、ペルチェ素子50が他方の面から一方の面に熱を移動させて、他方の面と一方の面との間に温度差を生成する。そのため、ペルチェ素子50の一方の面が放熱面となり、他方の面が吸熱面となる。つまり、ペルチェ素子50が流路11内の内気に熱を放出するとともに、流路15内の外気から熱を奪う。したがって、内気の温度が上昇し、内気の湿度が低下するから、内気が水分を奪いやすい状態になる。その内気は、吸放湿ローター30の通過の際に水分を吸放湿ローター30から奪って、加湿される。
【0075】
ペルチェ素子50の印加電圧の制御は制御部70によって行われる。
【0076】
[9. ヒートシンク]
ヒートシンク61は、ペルチェ素子50の一方の面に接合されている。ヒートシンク61は、吸込口12と吸放湿ローター30との間において、内気用の流路11内に配置されている。ヒートシンク61は、金属等のように高い伝熱性の伝熱材からなり、具体的にはステンレス鋼、銅又はアルミニウムからなる。ヒートシンク61は、それに接触する内気とペルチェ素子50との間で熱を交換する。つまり、除湿モードの場合、ペルチェ素子50の一方の面が低温となるから、ヒートシンク61はペルチェ素子によって冷却されるとともに、流路11内の内気から熱を奪う。加湿モードの場合、ペルチェ素子50の一方の面が高温となるから、ヒートシンク61は、ペルチェ素子50によって加熱されるとともに、流路11内の内気に熱を放射する。
【0077】
ヒートシンク61は、ベース62及び複数のフィン63を有する。ベース62は、板状に設けられている。ベース62は、ペルチェ素子50の一方の面に面接合される。複数のフィン63は、ベース62から突出するようベース62と一体化されている。これらフィン63は、板状に設けられていて、互いに平行に配置されている。これらフィン63が互いに離間し、内気がこれらフィン63に接触しながらこれらフィン63の間を通過する。ヒートシンク61の表面積がフィン63によって広大化されるため、ヒートシンク61の放熱効率及び吸熱効率が向上する。なお、フィン63は、板状ではなく、棒状に設けられてもよい。
【0078】
ヒートシンク65は、ペルチェ素子50の他方の面に接合されている。ヒートシンク65は、吹出口17と吸放湿ローター30との間において、外気用の流路15内に配置されている。ヒートシンク65は、金属等のように高い伝熱性の伝熱材からなり、具体的にはステンレス鋼、銅又はアルミニウムからなる。ヒートシンク65は、それに接触する外気とペルチェ素子50との間で熱を交換する。つまり、除湿モードの場合、ペルチェ素子50の他方の面が高温となるから、ヒートシンク65はペルチェ素子50によって加熱されるとともに、流路15内の外気に熱を放射する。加湿モードの場合、ペルチェ素子50の他方の面が低温となるから、ヒートシンク65は、ペルチェ素子50によって冷却されるとともに、流路15内の外気から熱を奪う。
【0079】
ヒートシンク65は、ベース66及び複数のフィン67を有する。ベース66は、板状に設けられている。ベース66は、ペルチェ素子50の他方の面に面接合される。複数のフィン67は、ベース66から突出するようベース66と一体化されている。これらフィン67は、板状に設けられていて、互いに平行に配置されている。これらフィン67が互いに離間し、外気がこれらフィン67に接触しながらこれらフィン67の間を通過する。ヒートシンク65の表面積がフィン67によって広大化されるため、ヒートシンク65の放熱効率及び吸熱効率が向上する。なお、フィン67は、板状ではなく、棒状に設けられてもよい。
【0080】
なお、“ヒートシンク”とは、通常、そのヒートシンクが取り付けられた機器からの放熱に利用されるものである。本実施形態におけるヒートシンク61,65は、ペルチェ素子50からの放熱のみならず、ペルチェ素子50への吸熱にも利用される。
【0081】
[10. 制御部]
制御部70は、CPU、RAM、ROM及び電力変換回路等を有する。電力変換回路は、スイッチング電源及びレギュレーター等のような電源回路である。
【0082】
制御部70は、押しボタンスイッチ等のような入力部に接続されている。制御部70は、入力部によって出力された信号に基づいて、空調装置1の運転モードを除湿モード及び加湿モードから選択する。
【0083】
除湿モード及び加湿モードの何れの場合でも、制御部70がファン21,25の速度を制御する。これにより、内気が流路11を吸込口12から吹出口13に向かって流れ、外気が流路15を吸込口16から吹出口17に向かって流れ、内気及び外気の流量が調整される。
【0084】
除湿モード及び加湿モードの何れの場合でも、制御部70が循環ポンプ81の速度を制御する。これにより、熱媒体が循環し、その熱媒体の流量が調整される。
【0085】
除湿モードの場合、制御部70は、三方弁82による熱媒体の流れの方向を熱回収装置91から加熱器45への方向に切り替えるよう三方弁82を制御するとともに、三方弁83による熱媒体の流れの方向を加熱器45から熱回収装置91への方向に切り替えるよう三方弁83を制御する。これにより、熱媒体が加熱器45と熱回収装置91との間で循環し、熱媒体が加熱器41と熱回収装置91との間で循環しない。そのため、加熱器45がその内側の熱媒体とその外側の外気との間で熱交換し、外気が加熱器45によって加熱される。内気は加熱器41によって加熱されない。
【0086】
加湿モードの場合、制御部70は、三方弁82による熱媒体の流れの方向を熱回収装置91から加熱器41への方向に切り替えるよう三方弁82を制御するとともに、三方弁83による熱媒体の流れの方向を加熱器41から熱回収装置91への方向に切り替えるよう三方弁83を制御する。これにより、熱媒体が加熱器41と熱回収装置91との間で循環し、熱媒体が加熱器45と熱回収装置91との間で循環しない。そのため、加熱器41がその内側の熱媒体とその外側の内気との間で熱交換し、内気が加熱器41によって加熱される。外気は加熱器45によって加熱されない。
【0087】
除湿モードの場合、制御部70は、順方向の電圧をペルチェ素子50に印加するとともに、その電圧のレベルを調整する。これにより、ペルチェ素子50の一方の面が他方の面よりも低温になる。そのため、内気がペルチェ素子50の一方の面及びヒートシンク61によって冷却され、外気がペルチェ素子50の他方の面及びヒートシンク65によって加熱される。
【0088】
加湿モードの場合、制御部70は、逆方向の電圧をペルチェ素子50に印加するとともに、その電圧のレベルを調整する。これにより、ペルチェ素子50の一方の面が他方の面よりも高温になる。そのため、内気がペルチェ素子50の一方の面及びヒートシンク61によって加熱され、外気がペルチェ素子50の他方の面及びヒートシンク65によって冷却される。
【0089】
なお、1又は2以上の温度センサ及び湿度センサが流路11,15に設けられ、制御部70が温度センサ及び湿度センサの検出結果に基づいてファン21,25の速度、回転駆動機35の速度及びペルチェ素子50の電圧を制御してもよい。
【0090】
[11. 除湿モードについてまとめ]
除湿モードの場合、外気が吸放湿ローター30の通過前に加熱器45によって加熱されるのに対して、内気は加熱器41によって加熱されない。また、内気が吸放湿ローター30の通過前にペルチェ素子50の一方の面及びヒートシンク61によって冷却されるのに対して、外気が吸放湿ローター30の通過後にペルチェ素子50の他方の面及びヒートシンク65によって加熱される。
【0091】
内気が内気用の流路11において吸放湿ローター30を通過すると、内気中の水分が吸放湿ローター30によって捕捉されるため、内気が除湿される。除湿された内気が屋内の空調対象領域に戻ることは、空調対象領域の湿度の低下に寄与する。吸放湿ローター30が低速で回転することによって、捕捉された水分は内気用の流路11から外気用の流路15に移動する。捕捉された水分は吸放湿ローター30を通過中の外気に放出され、これにより吸放湿ローター30が再生される。外気に放出された水分は外気とともに屋外に流れる。
【0092】
[12. 加湿モードについてまとめ]
加湿モードの場合、内気が吸放湿ローター30の通過前に加熱器41によって加熱されるのに対して、外気が加熱器45によって加熱されない。また、内気が吸放湿ローター30の通過前にペルチェ素子50の一方の面及びヒートシンク61によって加熱されるのに対して、外気が吸放湿ローター30の通過後にペルチェ素子50の他方の面及びヒートシンク65によって冷却される。
【0093】
外気が外気用の流路15において吸放湿ローター30を通過すると、外気中の水分が吸放湿ローター30によって捕捉されるため、外気が除湿される。吸放湿ローター30が低速で回転することによって、捕捉された水分は外気用の流路15から内気用の流路11に移動する。捕捉された水分は吸放湿ローター30を通過中の内気に放出される。これにより内気が加湿される。内気に放出された水分は内気とともに屋内に流れる。加湿された内気が屋内の空調対象領域に戻ることは、空調対象領域の湿度の上昇に寄与する。
【0094】
[13. 技術的に有利な効果]
(1) ペルチェ素子50が採用されることによって、吸放湿ローター30の通過前の内気が加熱と冷却のどちらもされる。内気が冷却されると、その内気の湿度が上昇するから、その内気が吸放湿ローター30を通過する際に、その内気の水分が吸放湿ローター30によって捕捉される。内気が加熱されると、その内気の湿度が低下するから、その内気が吸放湿ローター30を通過する際に、水分が吸放湿ローター30から内気に放出される。よって、空調装置1は内気の加湿と除湿のどちらも行える。
【0095】
(2) 制御部70がペルチェ素子50の電圧の向きを順方向と逆方向の間で切り替えることは、吸放湿ローター30の通過前の内気の加熱と冷却の切り替えを実現する。よって、空調装置1は内気の加湿と除湿のどちらも行える。
【0096】
(3) ヒートシンク61が広い面積で内気に接触し、熱が内気とヒートシンク61の間で交換されやすい。そのようなヒートシンク61がペルチェ素子50の一方の面に面接合されるため、ペルチェ素子50の一方の面と内気の間の熱交換効率が高い。同様に、ヒートシンク65は、ペルチェ素子50の他方の面と外気の間の熱交換効率を向上させる。
【0097】
(4) 循環流体回路80が循環ポンプ81及び三方弁82,83を有する。三方弁82,83が熱媒体の流れの方向を切り替えると、熱媒体の経路は除湿モードにおける循環経路と加湿モードにおける循環経路の間で切り替えられる。除湿モードにおける循環経路は、加熱器45と熱回収装置91の間の経路であり、加湿モードにおける循環経路は、加熱器41と熱回収装置91の間の経路である。
【0098】
(5) 除湿モードにおいて、熱回収装置91が熱媒体を加熱し、加熱された熱媒体が加熱器45に供給されて、加熱器45がオンされるから、外気が加熱器45によって加熱される。そうすると、外気の湿度が低下し、その外気が他から水分を受け入れやすい状態になる。そのような外気が吸放湿ローター30を通過すると、水分が吸放湿ローター30から外気に放出される。そのため、吸放湿ローター30が水分を捕捉しやすい状態に再生される。そのような吸放湿ローター30が回転するため、内気が長期にわたって除湿される。
【0099】
(4) 除湿モードにおいて熱媒体が熱回収装置91と加熱器45の間で循環するため、エネルギー変換装置90の排熱が第二流路15内の外気の加熱に有効利用される。
【0100】
(5) 除湿モードにおいて熱媒体が熱回収装置91と加熱器41の間で循環しないため、加熱器41及び熱媒体がペルチェ素子50による内気の冷却を阻害しない。また、エネルギー変換装置90の排熱の無駄遣いを抑えられる。
【0101】
(6) 除湿モードにおいて外気が吸放湿ローター30を通過すると、その外気が高湿になる。その外気がペルチェ素子50の他方の面及びヒートシンク65によって加熱されるため、外気の湿度が低下する。よって、外気の流れにおける吸放湿ローター30よりも上流側において、外気の結露が抑えられる。
【0102】
(7) 加湿モードにおいて、熱回収装置91が熱媒体を加熱し、加熱された熱媒体が加熱器41に供給されて、加熱器41がオンされるから、内気が加熱器41により加熱される。そうすると、内気の湿度が低下し、その内気が他から水分を受け入れやすい状態になる。そのような内気が吸放湿ローター30を通過すると、水分が吸放湿ローター30から内気に放出される。これにより、内気が加湿される。水分が吸放湿ローター30から内気に放出されると、吸放湿ローター30が水分を捕捉しやすい状態に再生される。そのような吸放湿ローター30が回転するため、外気が冷却されずともその外気の水分が吸放湿ローター30によって捕捉される。また、内気が長期にわたって加湿される。
【0103】
(8) 加湿モードにおいて熱媒体が熱回収装置91と加熱器41の間で循環するため、エネルギー変換装置90における排熱が第一流路11内の内気の加熱に有効利用される。
【0104】
(9) 加湿モードにおいてペルチェ素子50に加えて加熱器41も内気を加熱するため、ペルチェ素子50による内気の加熱が加熱器41によって増強される。ペルチェ素子50における電力消費が低くても、内気が加熱器41とペルチェ素子50によって十分に加熱される。
【0105】
(10) 加湿モードにおいて加熱器41のみならずペルチェ素子50も内気を加熱するため、加熱器41が加熱性能の向上のために大型化せずとも、内気が加熱器41とペルチェ素子50によって十分に加熱される。
【0106】
(11) 近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。この空調装置1はエネルギー変換装置90の排熱を有効利用して、内気の加湿と除湿を行う。ペルチェ素子50の消費電力が必要最小限に抑えられる。よって、空調装置1は、カーボンニュートラルの推進と脱炭素社会の実現と持続可能な開発目標の達成とに貢献できる。
【0107】
[14. 変更例]
なお、図2に示すように、三方弁82が熱回収装置91のアウトレットに接続され、加熱器41,45のインレットが三方弁82に接続され、加熱器41,45のアウトレットが三方弁83に接続され、三方弁83が循環ポンプ81に接続され、循環ポンプ81が熱回収装置91のインレットに接続されてもよい。
【0108】
<第2の実施形態>
図3及び図4は、空調装置101の鉛直断面図である。図5は、空調装置101の水平断面図である。図3に示す断面は、図5におけるIII-IIIに沿った面である。図4に示す断面は、図5におけるIV-IVに沿った面である。図3の見る方向と図4の見る方向は互いに逆向きである。図5に示す断面は、図3及び図4におけるV-Vに沿った面である。
【0109】
第2実施形態の空調装置101は、第1実施形態の空調装置1をより具体化したものである。第2実施形態の空調装置101と第1実施形態の空調装置1との間で互いに対応する構成要素の参照符号は、下二桁が共通する。
【0110】
第2実施形態の空調装置101については、第1実施形態の空調装置1よりも具体化した点を説明する。
【0111】
筐体110は、直方体箱状に設けられている。筐体110の内部空間は、筐体110の上板110a、下板110b、側板110c,110d、前板110e及び後板110fによって包囲されている。筐体110の内部空間は仕切板110gによって前後に分割されており、仕切板110gの前の空間が内気用の流路111であり、仕切板110gの後ろの空間が外気用の流路115である。仕切板110gは、前板110eと後板110fの間に配置されて、前板110e及び後板110fに対して平行に立てられている。流路111と流路115は、これらの間に仕切板110gを置いて互いに隣接する。
【0112】
図3に示すように、内気用の流路111は仕切板110hによって下部空間111cと上部空間に区切られており、その上部空間は仕切板110hによって側板110cに近位の領域111aと側板110cから遠位の領域111bに区切られている。仕切板110hは、上板110aと下板110bの間に配置されて、上板110a及び下板110bに対して平行に設けられている。仕切板110jは、上板110aと仕切板110hの間に、且つ、側板110cと側板110dの間に配置されて、側板110c,110dに対して平行に設けられている。
【0113】
上板110aは、内気用の流路111の領域111aに面する位置に吸込口112を有する。上板110aは、流路111の領域111bに面する位置に吹出口113を有する。吸込口112及び吹出口113は上板110aを貫通する。吸込口112は第一ダクトを介して屋内の空調対象領域に接続され、吹出口113は第三ダクトを介して屋内の空調対象領域に接続されている。
【0114】
仕切板110hは、内気用の流路111の領域111aに面する位置に連通口111dを有する。仕切板110hは、流路111の領域111bに面する位置に連通口111eを有する。連通口111dは、側板110cに近位の位置において仕切板110hを貫通して、領域111aと下部空間111cを連通させる。連通口111eは、側板110cから遠位の位置において仕切板110hを貫通して、領域111bと下部空間111cを連通させる。
【0115】
従って、内気用の流路111は領域111a、下部空間111c及び領域111bに区画されている。内気が順に吸込口112、領域111a、連通口111d、下部空間111c、連通口111e、領域111b及び吹出口113を通過する。そのような内気の流れの運動エネルギーは内気送風用のファン121によって生成される。ファン121は、領域111a内において吸込口112に接続されている。ファン121は、吸込口112から内気を吸い込んで、その外気を領域111aへ吹き出す。
【0116】
図4に示すように、外気用の流路115は仕切板110kによって下部空間115cと上部空間に区切られており、上部空間は仕切板110mによって側板110cから遠位の領域115aと側板110cに近位の領域115bに区切られている。仕切板110kは、上板110aと下板110bの間に配置されて、上板110a及び下板110bに対して平行に設けられている。仕切板110mは、上板110aと仕切板110hの間に、且つ、側板110cと側板110dの間に配置されて、側板110c,110dに対して平行に設けられている。
【0117】
上板110aは、外気用の流路115の領域115aに面する位置に吸込口116を有する。上板110aは、流路115の領域115bに面する位置に吹出口117を有する。吸込口116及び吹出口117は上板110aを貫通する。吸込口116は第二ダクトを介して屋外に接続され、吹出口117は第四ダクトを介して屋外に接続されている。
【0118】
仕切板110kは、外気用の流路115の領域115aに面する位置に連通口111dを有する。仕切板110kは、流路115の領域115bに面する位置に連通口111eを有する。連通口111dは、側板110dに近位の位置において仕切板110kを貫通して、領域115aと下部空間115cを連通させる。連通口111eは、側板110dから遠位の位置において仕切板110kを貫通して、領域115bと下部空間115cを連通させる。
【0119】
従って、外気用の流路115は領域115a、下部空間115c及び領域115bに区画されている。外気が順に吸込口116、領域115a、連通口115d、下部空間115c、連通口115e、領域115b及び吹出口117を通過する。そのような外気の流れの運動エネルギーは外気送風用のファン125によって生成される。ファン125は、流路115の領域115a内において吸込口116に接続されている。ファン125は、吸込口116から外気を吸い込んで、その外気を領域115aへ吹き出す。
【0120】
仕切板110gのうち仕切板110k,110hの下方且つ側板110c寄りの領域は、ほぼ矩形状に大きく切り欠かれている。具体的には、図3においてヒートシンク161、加熱器141、吸放湿ローター130及び回転駆動機135が占める領域が切り欠かれており、開口111pがその領域に形成されている。図3図5において、符号“111p”の引き出し線が指し示す箇所は、開口111pの縁である。開口111pは、流路111の下部空間111c及び流路115の下部空間115cに通じている。
【0121】
図5に示すように、開口111pは部分的に板状のペルチェ素子150によって閉塞されている。具体的には、開口111pのうち側板110cに近位の部分がペルチェ素子150によって閉塞されている。ペルチェ素子150は、前板110eと後板110fの間に配置されて、前板110e及び後板110fに対して平行に立てられている。また、ペルチェ素子150は、仕切板110gと面一になるように配置されている。このペルチェ素子150が内気用の流路111の下部空間111cと外気用の流路115の下部空間115cを仕切り、ペルチェ素子150の一方の面が下部空間111cに臨み、ペルチェ素子150の他方の面が下部空間115cに臨む。
【0122】
吸放湿ローター130が開口111pのうち側板110cから遠位の部分に差し込まれている。吸放湿ローター130は、開口111pを越えて内気用の流路111の下部空間111c及び外気用の流路115の下部空間115cに及ぶように配置されている。吸放湿ローター130の一方の半分が内気用の流路111の下部空間111cに配置され、他方の半分が外気用の流路115の下部空間115cに配置されている。流路111,115の下部空間111c,115cは、吸放湿ローター130によって側板110cに近位の領域と側板110cから遠位の領域に区切られている。
【0123】
吸放湿ローター130は、吸放湿ローター130の中心軸が側板110cの方から側板110dの方へ延びるよう配置されている。より具体的には、前後方向における吸放湿ローター130の中心軸の位置は前後方向における仕切板110g及びペルチェ素子150の位置に揃っており、吸放湿ローター130の中心軸が上板110a及び下板110bに対して平行に設けられている。なお、前後方向における吸放湿ローター130の中心軸の位置が、前後方向における仕切板110g及びペルチェ素子150の位置から前又は後ろにずれていてもよい。
【0124】
吸放湿ローター130はその中心軸の回りに回転可能に保持器に保持され、吸放湿ローター130のラジアル荷重及びアキシアル荷重が保持器に受けられる。吸放湿ローター130の中心が回転駆動機135に連結されている。回転駆動機135は吸放湿ローター130をその中心軸の回りに回転させる。なお、回転駆動機135が吸放湿ローター130の径方向外側において吸放湿ローター130の外周に連結されてもよい。
【0125】
図3及び図5に示すように、加熱器141が、流路111の下部空間111cにおいて側板110cと吸放湿ローター130の間に配置されている。加熱器141は、連通口111dよりも吸放湿ローター130に寄って配置されている。加熱器141は熱交換器からなる。
【0126】
図4及び図5に示すように、加熱器145が、流路115の下部空間115cにおいて側板110dと吸放湿ローター130の間に配置されている。加熱器145は、連通口115dよりも吸放湿ローター130に寄って配置されている。加熱器145は熱交換器からなる。
【0127】
第1実施形態の場合と同様に、加湿モードの場合、2体の三方弁が循環経路を加熱器141と熱回収装置との間の経路に切り替え、熱媒体が加熱器141と熱回収装置との間で循環ポンプによって循環される。その場合、加熱器145と熱回収装置との間の経路が2体の三方弁によって遮断されるため、熱媒体が加熱器145と熱回収装置との間で循環されない。除湿モードの場合、2体の三方弁が循環経路を加熱器145と熱回収装置との間の経路に切り替え、熱媒体が加熱器145と熱回収装置との間で循環ポンプによって循環される。その場合、加熱器141と熱回収装置との間の経路が2体の三方弁によって遮断されるため、熱媒体が加熱器141と熱回収装置との間で循環されない。熱回収装置及びそれが設けられたエネルギー変換装置は、第1実施形態の場合と同様である。
【0128】
図3及び図5に示すように、ヒートシンク161がペルチェ素子150の一方の面に接合されている。ヒートシンク161は、外気用の流路111の下部空間115cにおいて側板110cと吸放湿ローター130の間に配置されている。
【0129】
図5に示すように、ヒートシンク161は板状のベース162及び複数の棒状フィン163を有する。ベース162は、ペルチェ素子150の一方の面に面接合される。複数のフィン163は、ベース162から突出するようベース162と一体化されている。これらフィン163は、加熱器141と吸放湿ローター130の間に領域と、加熱器141と側板110cの間の領域とに分布する。
【0130】
図4及び図5に示すように、ヒートシンク165がペルチェ素子150の他方の面に接合されている。ヒートシンク165は、流路115の下部空間115cにおいて側板110cと吸放湿ローター130の間に配置されている。
【0131】
図5に示すように、ヒートシンク165は板状のベース166及び複数の棒状フィン167を有する。ベース166は、ペルチェ素子150の他方の面に面接合される。複数のフィン167は、ベース166から突出するようベース166と一体化されている。これらフィン167は、側板110cと吸放湿ローター130の間に領域に分布する。
【0132】
除湿モードの場合、内気は吸放湿ローター130の通過前にペルチェ素子150の一方の面及びヒートシンク161によって冷却される。その内気が吸放湿ローター130を通過すると、内気中の水分が吸放湿ローター130によって捕捉されるため、内気が除湿される。外気は吸放湿ローター130の通過前に加熱器145によって加熱される。加熱された外気が吸放湿ローター130を通過すると、水分が吸放湿ローター130から外気に放出されるため、その吸放湿ローター130が再生される。
【0133】
加湿モードの場合、外気が吸放湿ローター130を通過すると、外気中の水分が吸放湿ローター130によって捕捉される。内気が吸放湿ローター130の通過前に加熱器141、ペルチェ素子150の一方の面及びヒートシンク161によって加熱される。加熱された内気が吸放湿ローター130を通過すると、水分が吸放湿ローター130から内気に放出されるため、内気が加湿される。
【符号の説明】
【0134】
1,101 空調装置
10,110 筐体
11,111 第一流路
15,115 第二流路
21,121 第一ファン
25,125 第二ファン
30,130 吸放湿ローター
41,141 加熱器、第一熱交換器
45,145 加熱器、第二熱交換器
50,150 ペルチェ素子
61,161 ヒートシンク
65,165 ヒートシンク
70 制御部
80 循環流体回路
81 循環ポンプ
82 第一の三方弁
83 第二の三方弁
90 エネルギー変換装置
91 熱回収装置
図1
図2
図3
図4
図5