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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051881
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ベーパー回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B01D53/04 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158258
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 隆夫
【テーマコード(参考)】
4D012
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA08
4D012CB13
4D012CD10
4D012CK09
(57)【要約】
【課題】 容器内の吸着剤の全体でベーパーを吸着できるようにして、ベーパーの回収効率の向上、装置の小型化を図る。
【解決手段】 容器12内に設けられ、吸着剤16,17と流入管18との間を仕切る仕切部材20は、流入管18の円形凹部18Cを囲んで上側に延びた筒体からなり、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔21Aを有する筒部21と、筒部21の上側を閉塞して設けられ、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔22Aを有する蓋部22と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と天部を有する容器と、
前記容器内に設けられ、ベーパーを吸着する吸着剤と、
前記底部に接続して設けられ、前記容器内にベーパーを含む空気を流入させる流入管と、
前記天部に接続して設けられ、前記容器内を通過した空気を流出させる流出管と、
前記容器内に設けられ、前記吸着剤と前記流入管との間を仕切る仕切部材と、
を備えてなるベーパー回収装置において、
前記仕切部材は、
前記流入管の容器側開口を囲んで上側に延びた筒体からなり、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔を有する筒部と、
前記筒部の上側を閉塞して設けられ、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔を有する蓋部と、
を備えていることを特徴とするベーパー回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベーパー回収装置において、
前記仕切部材は、前記筒部および前記蓋部を内側から支える支持部を備えていることを特徴とするベーパー回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載のベーパー回収装置において、
前記流入管の容器側開口は、前記底部の中央に配置され、
前記底部は、前記中央に向けて下向きに傾斜したテーパ状に形成されていることを特徴とするベーパー回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気中に含まれるベーパーを回収するベーパー回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所の貯油タンクにタンクローリ車からガソリン等の燃料を補給した場合、貯油タンクで燃料の揮発成分からなるベーパーが発生する。このために、給油所には、貯油タンクで発生したベーパーを含む空気から、ベーパーを回収し、ベーパーが除去された空気を外部に排出させるようにしたベーパー回収装置が設置されている。
【0003】
このベーパー回収装置は、下側の底部と上側の天部を有する容器と、容器内に設けられ、ベーパーを吸着する吸着剤と、底部に接続して設けられ、容器内にベーパーを含む空気を流入させる流入管と、天部に接続して設けられ、容器内を通過した空気を流出させる流出管と、容器内に設けられ、吸着剤と流入管との間を仕切る仕切部材と、を備えている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-303795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明は、容器の中央に仕切部材に相当する台座を有し、この台座の上面から吸着剤に向けてベーパーを含んだ空気を容器内へ流入させる構成となっている。従って、ベーパーを含んだ空気は、中央の台座からのみ流入することになる。このために、台座から流入した空気に含まれたベーパーは、一部の吸着剤だけに供給されることになるから、ベーパーの回収効率が悪くなり、回収時間も長くなってしまう。これにより、所望の性能を得るためには、ベーパー回収装置を大型化しなくてはならないという問題がある。
【0006】
また、容器内の吸着剤の全体にベーパーを含んだ空気を供給できるように、容器の底部側の全体を仕切るように仕切部材を設け、この仕切部材の全体に多数の孔を設ける構成とすることが考えられる。しかし、容器の底部側の全体を仕切る仕切部材は、吸着剤の全ての重量を支えることができる剛性を必要とするから、コストが嵩む上に、剛性を得るために大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の一実施形態の目的は、容器内の吸着剤の全体でベーパーを吸着できるようにして、ベーパーの回収効率の向上、装置の小型化を図ることができるようにしたベーパー回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、底部と天部を有する容器と、前記容器内に設けられ、ベーパーを吸着する吸着剤と、前記底部に接続して設けられ、前記容器内にベーパーを含む空気を流入させる流入管と、前記天部に接続して設けられ、前記容器内を通過した空気を流出させる流出管と、前記容器内に設けられ、前記吸着剤と前記流入管との間を仕切る仕切部材と、を備えてなるベーパー回収装置において、前記仕切部材は、前記流入管の容器側開口を囲んで上側に延びた筒体からなり、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔を有する筒部と、前記筒部の上側を閉塞して設けられ、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔を有する蓋部と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、容器内の吸着剤の全体でベーパーを吸着することができ、ベーパーの回収効率の向上、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】貯油タンクとベーパー回収装置を備えた給油所の一部を示す構成図である。
図2図1中のベーパー回収装置を示す断面図である。
図3】流入管、仕切部材の筒部および蓋部、支持部等を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態によるベーパー回収装置を、給油所の貯油タンク内に発生したベーパーを吸着して回収するのに用いた場合を例に挙げ、図1ないし図3に従って説明する。
【0012】
図1において、給油所の敷地1の地下には、貯油タンク2が埋設されている。この貯油タンク2内には、例えばガソリン、軽油、灯油等の揮発性を有する燃料3が貯留されている。
【0013】
給油管4は、貯油タンク2に燃料3を供給するための配管である。給油管4は、上下方向に延びて設けられ、地上に突出した上部が燃料3の給油口4Aとなっている。また、給油管4の下側は、貯油タンク2に接続され、その下部は、貯油タンク2の底部の近傍まで延びている。給油口4Aには、貯油タンク2に燃料を供給(補給)するときに、タンクローリ車の給油ホース(図示せず)が着脱可能に接続される。
【0014】
通気管5は、上下方向に延びて設けられ、その下部が貯油タンク2の天部側に接続されている。また、通気管5の上側は、地面から離れた高い位置まで延びている。通気管5は、その上部にブリーザ弁5Aを備えている。このブリーザ弁5Aは、燃料が貯油タンク2に供給(補給)されることにより貯油タンク2内の圧力が異常に上昇したときや、貯油タンク2内の燃料が車両等へ供給されることにより貯油タンク2内に負圧が発生したときに開弁する。
【0015】
吸入管6は、通気管5から分岐して設けられている。吸入管6は、一端が通気管5に接続され、他端が後述するベーパー回収装置11の流入管18に接続されている。また、吸入管6の管路中には吸脱着用ポンプ8が設けられている。吸脱着用ポンプ8は、回転されることにより貯油タンク2へ燃料が供給(補給)された際に貯油タンク2から流出するベーパーを含んだ空気を後述するベーパー回収装置11の吸着剤16,17に吸入(吸着)させる。一方、吸着剤16,17に吸着したベーパーを脱着させ、貯油タンク2に流入させる場合には、吸脱着用ポンプ8を逆回転させる。なお、本発明では、吸入管6は、貯油タンク2から吸脱着用ポンプ8へ流入する管路(吸着管路)と吸着剤16,17から貯油タンク2へ流入する管路(脱着管路)を兼ねており、吸脱着用ポンプ8は吸着剤16,17へのベーパ吸着および吸着剤16,17からのベーパ脱着を行っているが、これに限らず、吸着管路と脱着管路をそれぞれ別々に設け、吸着管路には吸入ポンプ、脱着管路には脱着ポンプをそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0016】
放出管7は、一端が後述するベーパー回収装置11の流出管19に接続されている。放出管7の他端には、大気弁7Aが設けられている。大気弁7Aは、ベーパーを除去した空気を大気に放出するとき、ベーパー回収装置11の吸着剤16,17を再生するために大気を吸い込むときに開弁する。
【0017】
次に、本実施形態の特徴部分となるベーパー回収装置11の構成について、図1ないし図3を用いて詳しく説明する。
【0018】
図1において、ベーパー回収装置11は、タンクローリ車から貯油タンク2に燃料を供給したときに、貯油タンク2から外部に排出される空気に含まれるベーパーを回収し、貯油タンク2に戻す装置である。ベーパー回収装置11は、後述の容器12、第1吸着剤16、第2吸着剤17、流入管18、流出管19、仕切部材20を含んで構成されている。
【0019】
図2に示すように、容器12は、吸着剤16,17を収容するための金属製の筒状体として形成されている。容器12は、上下方向を軸線とする円筒状の胴部13と、胴部13の下側を閉塞する底部14と、胴部13の上側を閉塞する天部15と、を備えている。胴部13の外周側には、周方向に間隔をもって複数本、例えば、3本の脚部13Aが下向きに延びて設けられている。これにより、容器12は、3本の脚部13Aによって敷地1上に固定されている。また、3本の脚部13Aは、底部14の下側に流入管18を配策するためのスペースを形成している。
【0020】
底部14は、椀状に形成され、その上側の端縁が胴部13の下端に溶接されている。具体的には、底部14は、曲線を描きつつ、中央に向けて下向きに傾斜したテーパ状に形成されている。換言すると、底部14は、最も低い中央部分から上側に向けて拡開している。そして、底部14の中央には、円筒部14Aを介してフランジ部14Bが設けられている。このフランジ部14Bには、後述する流入管18の底蓋18Aがボルト(図示せず)を用いて脱着可能に取付けられている。
【0021】
ここで、底部14の中央に位置する円筒部14Aの内側には、後述の仕切部材20が配置されている。これにより、図2中に矢示で示すように、仕切部材20の全面から放出されたベーパーを含んだ空気は、上側に向けて拡開した底部14に沿って広がり、吸着剤16,17の全体に供給される。なお、円筒部14A(仕切部材20)の直径寸法は、胴部13の直径寸法の1/2~1/5、好ましく1/3程度に設定されている。
【0022】
天部15は、底部14を上下方向で反転した椀形状をなしている。天部15は、下側の端縁が胴部13の上端に溶接されている。具体的には、天部15は、曲線を描きつつ、中央に向けて上向きに傾斜したテーパ状に形成されている。換言すると、天部15は、最も高い中央部分に向けて収束している。そして、天部15の中央には、円筒部15Aを介してフランジ部15Bが設けられている。このフランジ部15Bには、後述する流出管19の天蓋19Aがボルト(図示せず)を用いて脱着可能に取付けられている。
【0023】
吸着剤を構成する第1吸着剤16、第2吸着剤17は、容器12内に設けられている。第1吸着剤16、第2吸着剤17は、ベーパーを吸着する。第1吸着剤16は、例えば、高分子有機物を吸着するもので、容器12の下側の3/4程度に充填されている。また、第2吸着剤17は、例えば、低分子有機物を吸着するもので、容器12の上側の1/4程度に充填されている。第1吸着剤16、第2吸着剤17は、例えば、シリカゲルやゼオライト、活性炭等からなる。なお、第1吸着剤16と第2吸着剤17の配合は、適宜に変更することができる。また、吸着剤は、1種類または3種類以上設けてもよい。
【0024】
流入管18は、容器12の底部14に接続して設けられている。流入管18は、容器12内にベーパーを含む空気を流入させる。流入管18は、円筒部14Aを閉塞するようにフランジ部14Bにボルト(図示せず)を用いて脱着可能に取付けられた円板状の底蓋18Aと、底蓋18Aの中央に取付けられた管部18Bと、を含んで構成されている。
【0025】
図3に示すように、底蓋18Aの上面には、管部18Bの接続部分を囲むように容器側開口となる円形凹部18Cが形成されている。円形凹部18Cは、底部14の中央に配置されている。この円形凹部18Cは、管部18Bから供給されるベーパーを含む空気を広範囲に広げることにより、大流量の供給を可能にしている。この上で、底蓋18Aの上面には、仕切部材20が取付けられている。
【0026】
管部18Bは、横方向に延びた他端側が上向きに屈曲し、その他端部が底蓋18Aの中央を貫通した状態で底蓋18Aに溶接手段を用いて固着されている。また、図1に示すように、管部18Bの一端は、吸入管6の他端に接続されている。これにより、貯油タンク2内で発生したベーパーは、貯油タンク2内の空気と一緒に通気管5、吸入管6、流入管18を通って容器12(第1吸着剤16、第2吸着剤17)に供給される。
【0027】
流出管19は、容器12の天部15に接続して設けられている。流出管19は、容器12内を通過してベーパーが除去された空気を流出させる。流出管19は、円筒部15Aを閉塞するようにフランジ部15Bにボルト(図示せず)を用いて脱着可能に取付けられた天蓋19Aと、天蓋19Aの中央に取付けられた管部19Bと、を含んで構成されている。
【0028】
天蓋19Aの下面には、後述の吸着剤押え板25が配設されている。管部19Bは、横方向に延びた一端側が下向きに屈曲し、その一端部が天蓋19Aの中央を貫通した状態で天蓋19Aに溶接手段を用いて固着されている。また、管部19Bの他端は、放出管7の一端に接続されている。これにより、容器12内の第1吸着剤16、第2吸着剤17でベーパーが除去された空気は、流出管19、放出管7を通って大気弁7Aから外部(大気)に放出される。
【0029】
仕切部材20は、容器12内に設けられている。仕切部材20は、底部14の中央に配置され、第1吸着剤16、第2吸着剤17と流入管18との間を仕切っている。仕切部材20は、後述の筒部21、蓋部22、支持部23を含んで構成されている。仕切部材20は、周囲および上部の広い範囲から第1吸着剤16に向けてベーパーを含んだ空気を供給することができる。
【0030】
筒部21は、流入管18の容器側開口となる円形凹部18Cを囲んで上側に延びた筒体からなる。筒部21は、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔21Aを全面に有している。多数の孔21Aは、吸着剤16,17の粒径寸法よりも小さく、空気を抵抗なく通過させることができる大きさ(孔径寸法)に設定されている。筒部21の直径寸法は、例えば、胴部13の直径寸法の1/2~1/5、好ましく1/3程度に設定されている。これにより、図2中に矢示で示すように、筒部21は、ベーパーを含んだ空気を、当該筒部21の周囲に位置する第1吸着剤16の全体に供給することができる。
【0031】
蓋部22は、筒部21の上側(筒部の開口)を閉塞して設けられた円形板からなる。蓋部22は、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔22Aを全面に有している。多数の孔22Aは、多数の孔21Aと同様に、吸着剤16,17の粒径寸法よりも小さく、空気を抵抗なく通過させることができる大きさ(孔径寸法)に設定されている。これにより、図2中に矢示で示すように、蓋部22は、ベーパーを含んだ空気を、当該蓋部22の上側を覆う第1吸着剤16の全体に供給することができる。
【0032】
このように構成された筒部21および蓋部22は、内側から後述の支持部23に支えられることにより、薄い板厚寸法でも吸着剤16,17の重量による負荷に耐えることができる。換言すると、筒部21および蓋部22の重量を軽減することができる。
【0033】
支持部23は、筒部21および蓋部22を内側から支えている。支持部23は、流入管18の底蓋18Aの上面に取付けられた円形板23Aと、長方形状の板体を十字に組み合わせて形成され、下部が円形板23Aの上面に取付けられた組板23Bと、を備えている。円形板23Aと組板23Bは、それぞれ多数の孔23Cを全面に有している。
【0034】
組板23Bは、長方形状の板体の側縁(4箇所)を筒部21の内面に当接させて筒部21を内側から支えることにより、外側から作用する吸着剤16,17の重量による負荷に耐える強度を筒部21に付与している。また、組板23Bは、長方形状の板体の上縁(4箇所)を蓋部22の内面(下面)に当接させて蓋部22を内側から支えることにより、上側から作用する吸着剤16,17の重量による負荷に耐える強度を蓋部22に付与している。
【0035】
支持部23は、円形板23Aを流入管18の底蓋18Aの中央に上側から当接させ、この状態で複数本のボルト24を用いて底蓋18Aに取付けられている。底蓋18Aに取付けられた支持部23は、上側から被せられた筒部21および蓋部22を位置決めする機能を有している。従って、仕切部材20は、容器12等に溶接するための材料(材質)に限定されることがなくなるから、加工やコストの面における自由度が向上する。
【0036】
吸着剤押え板25は、容器12の最上部となる天部15の円筒部15A内に設けられている。吸着剤押え板25は、ウレタン等の樹脂材料からなる円形板として形成され、全面に通気用の孔25Aを有している。吸着剤押え板25は、樹脂材料の有する重量によって吸着剤16,17を上側から押さえることにより、振動によって吸着剤16,17の粒が破損しないようにしている。樹脂材料からなる吸着剤押え板25は、金属製の穿孔板(パンチングメタル)に比較して安価に抑えることができる。
【0037】
本実施形態によるベーパー回収装置11は、上述の如き構成を有するもので、次に、ベーパー回収装置11によるベーパーの回収動作について説明する。
【0038】
タンクローリ車の給油ホースを給油管4の給油口4Aに接続し、貯油タンク2に燃料を補給する。燃料を補給すると、貯油タンク2内のベーパーを含んだ空気が貯油タンク2から吸入管6、ベーパー回収装置11、放出管7等を介して放出される。このときに、貯油タンク2から排出されるベーパーを含んだ空気をベーパー回収装置11に流入させることにより、ベーパーが除去された空気を外部に放出することができる。
【0039】
具体的には、ベーパー回収装置11は、流入管18から仕切部材20内にベーパーを含んだ空気が流入すると、図2中に矢示で示すように、ベーパーを含んだ空気を筒部21の周囲と蓋部22の上側との両方から吹き出す。これにより、ベーパーを含んだ空気を第1吸着剤16、第2吸着剤17の全体に供給することができる。
【0040】
しかも、底部14は、曲線を描きつつ、中央に向けて下向きに傾斜したテーパ状に形成されているから、筒部21の周囲から放出されたベーパーを含んだ空気は、上側に向けて拡開した底部14に沿って広がり、吸着剤16,17の全体に供給されることになる。ベーパーを含んだ空気は、第1吸着剤16、第2吸着剤17を通過するときに、ベーパーが回収された後、流出管19から放出管7を介して外部に放出される。
【0041】
一方、吸着剤16,17に吸着されたベーパーは、放出管7、流出管19を通じて外気を逆流させつつ、吸脱着用ポンプ8を用いて凝縮することにより、貯油タンク2に戻すことができる。具体的には、吸脱着用ポンプ8を用いて吸着剤16,17に吸着されたベーパーを、吸着剤16,17から脱着させ、脱着されたベーパーを流入管18、吸入管6を介して貯油タンク2へ戻す。
【0042】
かくして、実施形態によれば、容器12内に設けられ、吸着剤16,17と流入管18との間を仕切る仕切部材20は、流入管18の円形凹部18Cを囲んで上側に延びた筒体からなり、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔21Aを有する筒部21と、筒部21の上側を閉塞して設けられ、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔22Aを有する蓋部22と、を備えている。
【0043】
従って、仕切部材20は、ベーパーを含んだ空気を筒部21の周囲と蓋部22の上側との両方から吹き出すことができる。これにより、ベーパーを含んだ空気を第1吸着剤16、第2吸着剤17の全体に供給することができる。この結果、吸着剤16,17によるベーパーの回収効率を向上することができるから、回収時間を短縮できる上に、ベーパー回収装置11を小型化することができる。また、吸着剤16,17の量を削減できるから、仕切部材20の剛性を高めるための構成を削減でき、この点においても小型化することができる。
【0044】
また、仕切部材20は、筒部21および蓋部22を内側から支える支持部23を備えている。これにより、筒部21と蓋部22は、薄い板厚寸法でも吸着剤16,17の重量による負荷に耐えることができるから、重量を軽減することができる。また、別途補強部材を設ける必要がないから、この点でも、コストの低減、軽量化を図ることができる。
【0045】
さらに、流入管18の円形凹部18Cは、容器12の底部14の中央に配置され、底部14は、中央に向けて下向きに傾斜したテーパ状に形成されている。これにより、底部14は、筒部21の周囲から放出されたベーパーを含んだ空気を、上側に向けて拡開した形状に沿って広げることができ、吸着剤16,17の全体に供給することができる。
【0046】
なお、実施の形態では、仕切部材20の筒部21、蓋部22、支持部23は、金属板に孔21A,22A,23Cを形成したパンチングプレートによって形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、筒部、蓋部、支持部を、線材を織り込んだメッシュ部材によって形成してもよい。この場合、網目が孔となる。
【0047】
以上説明した実施形態に基づくベーパー回収装置として、例えば下記に述べる態様のものが考えられる。
【0048】
第1の態様としては、底部と天部を有する容器と、前記容器内に設けられ、ベーパーを吸着する吸着剤と、前記底部に接続して設けられ、前記容器内にベーパーを含む空気を流入させる流入管と、前記天部に接続して設けられ、前記容器内を通過した空気を流出させる流出管と、前記容器内に設けられ、前記吸着剤と前記流入管との間を仕切る仕切部材と、を備えてなるベーパー回収装置において、前記仕切部材は、前記流入管の容器側開口を囲んで上側に延びた筒体からなり、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔を有する筒部と、前記筒部の上側を閉塞して設けられ、ベーパーを含む空気を通過させるための多数の孔を有する蓋部と、を備えている。
【0049】
この第1の態様によれば、仕切部材は、ベーパーを含んだ空気を筒部の周囲と蓋部の上側との両方から吹き出すことができる。これにより、ベーパーを含んだ空気を吸着剤の全体に供給することができる。この結果、吸着剤によるベーパーの回収効率を向上することができるから、回収時間を短縮できる上に、ベーパー回収装置を小型化することができる。また、吸着剤の量を削減できるから、仕切部材の剛性を高めるための構成を削減でき、この点においても小型化することができる。
【0050】
第2の態様としては、第1の態様において、前記仕切部材は、前記筒部および前記蓋部を内側から支える支持部を備えている。
【0051】
この第2の態様によれば、筒部と蓋部は、薄い板厚寸法でも吸着剤の重量による負荷に耐えることができるから、重量を軽減することができる。また、別途補強部材を設ける必要がないから、この点でも、コストの低減、軽量化を図ることができる。
【0052】
第3の態様としては、第1の態様において、前記流入管の容器側開口は、前記底部の中央に配置され、前記底部は、前記中央に向けて下向きに傾斜したテーパ状に形成されている。
【0053】
この第3の態様によれば、底部は、筒部の周囲から放出されたベーパーを含んだ空気を、上側に向けて拡開した形状に沿って広げることができ、吸着剤の全体に供給することができる。
【符号の説明】
【0054】
11 ベーパー回収装置
12 容器
13 胴部
14 底部
15 天部
16 第1吸着剤(吸着剤)
17 第2吸着剤(吸着剤)
18 流入管
18C 円形凹部(容器側開口)
19 流出管
20 仕切部材
21 筒部
21A,22A,23C 孔
22 蓋部
23 支持部
図1
図2
図3