(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051890
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ディスクハロー作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 21/08 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A01B21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158271
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】安部 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 秀樹
【テーマコード(参考)】
2B032
【Fターム(参考)】
2B032AA06
2B032FA06
2B032FB11
(57)【要約】
【課題】ディスクハロー作業機の後部最外側ディスクの走行跡(溝)を埋め戻す。
【解決手段】この発明のディスクハロー作業機は、走行機体の後方に作業機を連結し、該作業機に複数のディスクをギャング角を付して回転可能に支持したディスク群を配置することにより、左右いずれかの方向に耕耘土を放てきしながら耕耘するディスクハロー作業機であって、最後方のディスク群の最外側のディスク近傍に放てきされた土を放てき側の逆側に寄せ戻し、当該ディスクによって形成されたディスク跡を埋め戻す整地板を設けた。
上記整地板は水平方向に回動調節可能に又は前後方向に揺動可能に支持することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後方に作業機を連結し、該作業機に複数のディスクをギャング角を付して回転可能に支持したディスク群を配置することにより、左右いずれかの方向に耕耘土を放てきしながら耕耘するディスクハロー作業機であって、最後方のディスク群の最外側のディスク近傍に放てきされた土を放てき側の逆側に寄せ戻し、当該ディスクによって形成されたディスク跡を埋め戻す整地板を設けたディスクハロー作業機。
【請求項2】
整地板を水平方向に回動調節可能に支持した請求項1に記載のディスクハロー作業機。
【請求項3】
整地板を前後方向に揺動可能に設けた請求項1に記載のディスクハロー作業機。
【請求項4】
圃場面に沿う方向に形成された整地板フレームの取付杆に沿って整地板の上端を揺動可能に取付け、圃場に対する作業機高さに応じて整地板の下端側が姿勢変更可能に構成した請求項1~3のいずれかに記載のディスクハロー作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はディスクハロー作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年耕耘爪を回転駆動させて耕耘作業を行うトラクターに代り、左右いずれかの一方向に傾斜するギャング角を付与した多数の皿状の円板からなるディスクを左右方向に並列させて走行に追従して回転するディスク群を、前後に複数列配置したディスクハロー作業機が用いられている。
【0003】
上記ディスクハロー作業機は、走行機体の走行により土中に周縁を押し込まれたディスクが追従回転して耕耘するので、作業のための動力を必要としない利点がある。
【0004】
しかし、後方に逆傾斜のギャング角を付したディスク群が設けられない場合は、機体中心方向に土を放てき(擲)する側の最外側のディスクの作業跡(ディスク跡又は溝)が残されるため、この部分の水はけが悪くなる他均平性も悪くなるという問題がある。
【0005】
これに対し、同様にすき起しによる耕耘土を左右の片側に放てきするプラウ(鋤)作業機において、すき起し後の土を後方で均平化する均平板を設け又は左右最外側で耕耘土が外側に放てきされるのを規制する規制手段を設けた作業機が特許文献1,同2に示されるように公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-95064号公報
【特許文献2】特許第6532150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献のうち同文献1の均平装置はタインで耕起した土を均平化する際に、独立設置した均平板で耕起した土を過剰に掻き寄せることを防止するもので、ディスクですき起した土の片寄りを防止し又はディスク跡を埋め戻しするものではない。
【0008】
また特許文献2の装置は、鋤の傾きによって外側に放てきされる土が、作業機の外側に放てきされるのを防ぐもので、最外側のプラウの通過跡を埋め戻すものではない。
【0009】
そして同文献1の発明では均平板を渦巻状のバネ板を介して取付けており、同文献2では、作業機フレームに対して上下方向又は前後方向の堅牢な部材(上下長手部や前後長手部)を介して土移動規制手段を取付ける必要があり、いずれも機構が複雑且つ大型化して高コスト化を免れない欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明のディスクハロー作業機は第1に、走行機体の後方に作業機を連結し、該作業機に複数のディスクをギャング角を付して回転可能に支持したディスク群を配置することにより、左右いずれかの方向に耕耘土を放てきしながら耕耘するディスクハロー作業機であって、最後方のディスク群の最外側のディスク近傍に放てきされた土を放てき側の逆側に寄せ戻し、当該ディスクによって形成されたディスク跡を埋め戻す整地板を設けたことを特徴としている。
【0011】
第2に、整地板を水平方向に回動調節可能に支持したことを特徴としている。
【0012】
第3に、整地板を前後方向に揺動可能に設けたことを特徴としている。
【0013】
第4に、圃場面に沿う方向に形成された整地板フレームの取付杆に沿って整地板の上端を揺動可能に取付け、圃場に対する作業機高さに応じて整地板の下端側が姿勢変更可能に構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように構成される本発明の作業機によれば、最後方のディスク群の最外側のディスクの後方を通過する整地板によって内側に放てき土が外側に掻き寄せられて作業によって圃場面に形成される溝状のディスク跡が埋め戻されるので、溝状ディスク跡がなくなる他、その表面も均平化される等圃場環境がより十分に整えられる。
【0015】
整地板は水平方向に回動調節できるので、土の量や堅さ、粒度等の圃場条件や走行速度等に応じて調節できる他、前後又は上下揺動することにより均平化がより適切に行われ、作業機高さ又は耕耘土の量に対応できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の作業機をトラクターに連結した状態の全体側面図である。
【
図2】整地板の取付状態を示す左側面斜視図である。
【
図3】同じく整地板の取付状態を示す右側面斜視図である。
【
図4】本発明の第2実施形態を示す整地板の取付状態を示す左側面斜視図である。
【
図5】同じく第3実施形態における整地板の取付状態を示す作業機後半部の平面図である。
【
図6】第3実施形態の整地板の取付状態を示す後部左側面斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態を示す整地板の取付状態を示す背面分解斜視図である。
【
図8】整地板の取付部の他の実施形態を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~4はこの発明の第1実施形態を示し、ディスクハロー用の作業機1は、トラクター等の走行機体2の後方に三点リンク3を介して昇降揺動可能に連結されており、作業機1は圃場に接地した状態で走行機体2に牽引されながら耕耘作業を行う。
図5~
図8はいずれも
図1~
図4の作業機1と共通の機体に対し、異なる実施形態の整地板とその取付機構を装着した例を示している。
【0018】
作業機1の作業機フレーム4は、
図6に示すように左右方向中央で前端から後方に突出するように平行に延びる角パイプからなる一対のメインフレーム6と、該メインフレーム6の左右両側上方位置に平行に配置され、メインフレーム6の後方途中迄延びるサブフレーム7とを備えており、各フレーム6,7の前端とサブフレーム7の後端位置(メインフレーム6の後方中途位置)では、上下中間に左右方向の前後の角パイプからなるディスクフレーム8を介して平面視長方形に枠組されて一体固定されている。
【0019】
左右のメインフレーム6,6間には、後方のディスクフレーム8のさらに後方位置で左右方向の補強フレーム9が一体的に横設されており、メインフレーム6,6の後端上には、耕耘後の土を砕いて均平化する後述の均平ローラ32を支持するためのローラフレーム11が左右方向に回動可能に架設されて軸支されている。
【0020】
さらに作業機フレーム4の前端中央には、三点リンク3のトップリンク3aに連結され上向きに突出するトップリンクマスト12が、さらに両側下方には左右のロアリンク3bにそれぞれ連結され、後方下向きに突出する一対のリンクブラケット13がそれぞれ取付けられており、トップリンクマスト12の上端と左右のメインフレーム6,6の後方上面側を連結する一対のサポートリンク14が設けられている。上記機構により、作業機1は作業(接地)姿勢と非作業姿勢とに昇降させる姿勢変更可能に走行機体2に取付けられている。
【0021】
前後のディスクフレーム8,8には、それぞれに球面状に湾曲した皿状の多数(本例では9枚)のディスク10A,10Bが自由回転可能に一定間隔毎に軸支されて前後のディスク群A,Bを形成しており、以下ディスク10A,10Bの取付け機構につき説明する。
【0022】
各ディスクフレーム8にはディスク数に応じた数のディスクブラケット16が水平回動可能に軸支されて取付けられている。該ディスクブラケット16は、
図2,
図6に示すように所定の左右幅を有し、L字形の上下方向の縦片の前面側に形成された角型の切欠部16aをディスクフレーム8に後向きに被せた状態で、上下方向の支点軸17で軸支して上端をボルト締めして取付けられている。支点軸17は
図4に示すようにディスクフレーム8を上下に貫通した軸受管19(
図4参照)に挿通して支持される。
【0023】
上記ディスクブラケット16の縦片の下端内には、後述する側面視逆三角形状のプレートからなる下向きのディスクアーム21の上部後端が、回動自在にボルトピン22によって取付けられており、ディスクアーム21の上部前端側は、上記ディスクブラケット16のL字形の他方の後向きに延びる横片と、ボルト付ロッド23によって吊り下げ状に連結されている。
【0024】
そしてロッド23のディスクブラケット16の横片下面側には、コイルスプリング24が介挿され、ロッド23とディスクアーム21の上部後端が下向きに且つ弾力的に押圧され、ディスクアーム21の下端が左側面視で時計回り方向に付勢されている。スプリング24によるこの付勢によって、各ディスク10A,10Bは圃場面に弾力的に押接されてその周縁が土中に喰い込む機構となっている。
【0025】
前後の各ディスク群A,Bのディスクブラケット16の前端は、全体を左右方向に貫く連結杆26で一連に左右動可能に連結されており、この連結杆26と機体フレーム4(この例ではサブフレーム7)間には、スクリュー等によって伸縮作動可能な調節ロッド27が架設されている。この調節ロッド27を端部のハンドル28で伸縮操作することにより、ディスクブラケット16及びディスクアーム21を左右方向に水平回動させて、各ディスク群A,Bにおけるギャング角を調節設定する(
図2,
図6参照)。
【0026】
各ディスク群A,Bのディスク10A,10Bは、図示するように球面状に湾曲した円板状の板金材よりなる花形ディスクを採用しており、その中心をディスクフレーム21の下端側に図示しないベアリングを介して自由回転可能に取付けられている。
【0027】
前後のディスク群A,Bのディスク10A,10Bは前後で左右逆向きに揃えられたギャング角が形成され、走行機体の走行に伴い耕耘と共に耕耘土は右側と左側に放てきされ、前側で一方に寄せられた土は後側で元の側に戻される。後方ディスク群Bのディスク10Bには、ディスク面への土の付着を防止し又は付着した土を落下させ易くする複数の切抜孔が所定ピッチ毎に穿設されている。
【0028】
前後のディスク群A,Bの放てき側の最外側のディスク10A,10Bの外側には、各ディスク群A,Bの放てき側最外側のディスク10A,10Bより土が外側に放てきされるのを防止する規制板29が、各ディスクフレーム8の端部に取付けられて下向きに設置されている。
【0029】
メインフレーム6の後端に軸支されたローラフレーム11には、左右端から後向きに突出するローラアーム31間に籠形の均平ローラ32が自由回転可能に軸支されており、この均平ローラ32は同軸上に切抜孔を形成した複数の花形ディスク32aが軸装され、その外周には多周の波形の歯を形成した左右方向のエッジ32bが放射状に突設されている。
【0030】
上記均平ローラ32は、ディスク群A,Bによって耕耘された土塊に転接しながら走行に伴って土塊の粉砕及び耕耘面の均平化を実現するもので、ローラフレーム11上に突設した揺動アーム33と機体フレーム4間に、架設された伸縮駆動可能な調節ロッド34を伸縮操作することにより、ディスク群A,Bに対する均平ローラ32の高さ(接地高さ)の調節ができる機構となっている。
【0031】
次に上記ディスクハロー作業機に取付ける整地板とその取付構造の実施形態につき説明する。既述のように上記のようなディスク群A,Bによる耕耘作業では、本例によれば前側ディスク群Aではギャング角が右向きに、後側ディスク群Bでは左向き(注:ここでは走行機体の進行方向に対する左右の意)に設定され、前側ディスク10Aが右向きに、後側ディスク10Bが左向きに傾斜(ギャング角が形成)されている。
【0032】
そして
図5に示すように前側ディスク群Aのディスク配置に対し、後側ディスク群Bのディスク配置は2ピッチ(ディスク2枚分)だけ左側にずらして配置されており、右側最外側では前側のディスク10Aが形成したディスク跡(溝)を後側のディスク10Bが逆向き(右向き)に土寄せして埋め戻す配置になっているが、後方左側最外側のディスク10Bの排土は右側に放てきされたままであるため、当該最外側のディスク10Bのディスク跡(溝)は埋め戻されることはないため、そのまま残存する。
【0033】
このため本発明では、後方左最外側のディスク10Bのディスク跡の後方にディスク10Bの内側に放てきされた土を、当該ディスク10Bが形成したディスク跡に案内して埋め戻すための整地板36を、左右方向又は外向き斜め後方に傾斜させ且つ圃場面に沿わせて配置するものである。
以下各形態の整地板36及びその取付け構造につき説明する。
【0034】
図1~
図3は整地板36の第1実施形態を示し、この例では整地板36は側面視で後幅が広くなる横長の羽子板状又は後向きに長尺台形状の前後方向のプレートからなり、長尺の下辺を圃場面に沿わせて後端側を外向きに湾曲させ又は折り曲げた形状に形成されている。
【0035】
上記整地板36の前端の上辺には、下向きのU字形の取付金具(ロッドエンド)37aを固着した上下方向の棒状の整地板フレーム37の下端が回動(上下揺動)可能に連結されている。この整地板フレーム37の上端は左サブフレーム7の後端内面に取付けられた取付ブラケット38(
図3参照)のパイプ状のボス部38aに回動可能に挿通支持されている。
【0036】
また整地板フレーム37の上端にはボス部38aの下端に当接して上限位置を決めるワッシャー状の下部ストッパー39が取付けられ、さらにボス部38aからの上部突出端にはカラー状の上部ストッパー41が挿脱可能に挿入され、整地板フレーム37に着脱可能に、ピン40(
図2参照)によって位置決めされて取付けられている。上記ボス部38aの外周には平面視扇形のプレートからなる調整プレート38bが後方内向きに突設されており、この調整プレート38bには調整孔40aが穿設されている。
【0037】
その結果、整地板36はサブフレーム7に対して水平回動可能に取付けられる。しかしこの例では上部ストッパー41の外周には、上記調整プレート38bの上面と対向するように係止プレート41aが突設され、さらにこの係止プレート41aには下向きの係合ピン(ボルト)41bが下向きに突設されている。この係合ピン41bが上記調整プレート38bの調整孔38cに挿入されて整地板フレーム37の水平方向の回動角、即ち整地板36の平面視での進行方向に対する傾斜角が決められる。
【0038】
上記調整孔38cは、整地板フレーム37の回動中心同心の円弧状の長孔でも良く或いは
図2に示すように円弧状のピッチ円上に配置した複数の差込孔であっても良い。円弧状の長孔の場合は係合ピン41bを孔内で決められた位置でボルト締着して無段階に位置決めすることができ、複数の差込孔の場合はいずれかの孔を選択して係合ピン41bを差し込むことにより孔位置に応じた位置決め(角度調整)ができる。
【0039】
このようにして整地板36の平面視での傾斜角を調節することにより、後方左最外側のディスク10Bによる放てき土の量や性質又は作業機の走行速度等の条件に応じて整地板36の適切な傾斜角を選択設定することができる。また整地板36は、取付金具37aに対して固定的に取付けることもできるが、上向きに所定角度回動(揺動)できるように取付け、機体走行中に障害物に接衝した際の逃げ代を設けることもできる。
【0040】
上記機構により、作業機1が耕耘しながら走行する際、前記規制板29によってその内側に案内され落下された土及び最後方のディスク群Bにおける左最外側のディスク10Bによってその内側に放てきされた土は、その直後に通過する整地板36によって左最外側へ掻き寄せられ、左最外側ディスク10Bによって形成された溝に埋め戻され、ディスク跡は消去されるとともに均平化され、さらにその後方において均平ローラ32が前記落下土や放てき土に転接することにより、より確実な均平化が行われる。
【0041】
図4,
図5はこの発明の第2実施形態を示し、この例では整地板フレーム37が背面視で底辺37bが外向きのL字形の棒状部からなり、ロッド状の本体部となる縦辺との間に三角形状(但し、四角形でも良い)の整地板36が縦横のアングル状の2辺に沿って固着(溶着)されている。
【0042】
上記整地板フレーム37の上端には、背面視でチャンネル状に折り曲げ形成された板金製のロッドエンド37cが上向きに且つ一体的に取付けられており、このチャンネル状部分が左側サブフレーム7の後端に下側から被せられ、取付ピン42によって前後又は上下に回動可能に連結して取付けられている。
【0043】
上記整地板36は、後部左最外側のディスク10Bの後方に垂れ下がる状態で作業機フレーム4側に取付けられ、整地板フレーム37の底辺37bとともに接地しながら、ディスク10Bによってその内側に落下した土を外側に掻き寄せることにより、前記同様にディスク10Bに形成された溝を埋め戻して均平化する。
【0044】
整地板フレーム37は非作用状態では、ロッドエンド37cの前側のサブフレーム7の下面に両側に突出させて取付けられたストッパー43にロッドエンド37cを当接させることにより、後方に傾斜した状態で停止しており、ディスク10Bより落下した土を外側に掻き寄せる際は、その自重を反力として掻き寄せるが、過大な力が作用した自重に抗して後方又は上方に揺動する。この掻き寄せの反力は自重以外に整地板フレーム37の下向き又は前向きにスプリング等により付勢しておくこともできる。尚、整地板36及びフレーム底辺37bは、
図4,
図5に示すように予め左後方向きに適度に傾斜させておくことが望ましい。
【0045】
図6,
図7の整地板36とその取付機構はこの発明の第3実施形態を示し、この例では整地板フレーム37は棒状部材の下半部がデルタ型(三角形)のリング状に折り曲げられ、その底辺部が長方形(又は正方形)の整地板36の上端を取付ける取付杆37dとなっている。整地板フレーム37の上下方向の本体部となる縦辺と取付杆37dは、概ね直角又は僅かに鈍角に折り曲げられており、縦辺の上端はサブフレーム7の後端部内面側に付設された筒状のボス部44に挿脱可能に挿入され、止めピン46が着脱可能に取付固定される。
【0046】
上記取付杆37d取付状態では概ね圃場面に沿って外側に且つ僅かに後傾した姿勢で突出しており、この取付杆37dには側面視でU字状に湾曲した断面に形成された筒状片からなるクリップ部材47が上側から略全長にわたって被せられ、このクリップ部材47の下部開放端内に短冊状の整地板36の上端が挿入されてビス48によって着脱可能にビス止めされている。整地板36はクリップ部材47を介して取付杆37dに前後又は上下に揺動可能に取付けられている。
【0047】
上記クリップ部材47は板金製又はプラスチック成形等のいずれでも良く、この場合の整地板36は金属板又は弾性変形可能な鋼材,ゴム又はプラスチック板にすることが可能である。整地板36が前後揺動又は弾性変形(姿勢変更)することにより、落下耕耘土の土寄せ作業が無理なくスムースに実現できる。
【0048】
尚、整地板36の落下土に対する押圧力は自重によって得るが、スプリング等による付勢力を与えることも可能である。作業機1の走行に伴う整地板36によるディスク跡の埋め戻し及び均平化の要領は前述した例と同様である。
【0049】
図8は整地板フレーム37を機体フレーム4に取付ける取付機構の他の実施形態を示しており、この取付機構は
図2,
図3に示した第1実施形態のものと概ね共通している。即ち、この例でもボス部38aと調整プレート38bとからなる取付ブラケット38をサブフレーム7の後端内側に固着し、調整プレート38bには複数の調整孔38cが設けられている。
【0050】
これに対し、整地板フレーム37の上端が上記ボス部に回動調節可能に下側から挿入される点は第1実施形態のものと共通するものの、この例では整地板フレーム37の上部突出端にフレームを上向きに不勢するスプリング49が外装され、突出端のボルト部はスプリング受け(ワッシャー)51を介してナット52でスプリング圧を調整可能に止められている。
【0051】
さらに、整地板フレーム37の前記調整プレート38bの下側に係止プレート41aが突設されるとともに、この係止プレート41a上に前記調整孔38cに下側から挿入係合される係合ピン41bが上向きに突設されている。該係合ピン41bの調整孔38c上面からの突出端は、図示しないピン止めによって抜け止めされる。53はそのためのピン孔を示す。
【0052】
また
図8における係止プレート41aと調整プレート38bとの間の整地板フレーム37の周面にはストッパーピン54が突設されており、スプリング49によって引き上げられる整地板フレーム37の上限位置を規制する。そして上記係合ピン41bを複数の調整孔38cのいずれに挿通されるかによって調整板36の平面視の傾斜角度が調整され、整地作業中は整地板フレーム37が、ピン孔53に差し込まれる図示されないピンとストッパーピン54によって決められる。上下限位置間をスプリング49によって弾力的昇降スライドする。
【0053】
尚、
図8に示す取付機構は、既述の第1~第3実施形態のいずれの整地板36の取付けにも適用可能なものである。
【符号の説明】
【0054】
1 作業機
2 走行機体
4 機体フレーム
6 メインフレーム
7 サブフレーム
10A,10B ディスク
36 整地板
37 整地板フレーム
37a 取付杆
A,B ディスク群