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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051894
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】換気口付き鼻隠し材
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/158 20060101AFI20240404BHJP
   E04D 13/152 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04D13/158 501P
E04D13/152 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158275
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000230607
【氏名又は名称】日本化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和泉 貴浩
(72)【発明者】
【氏名】染谷 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】清水 圭吾
(57)【要約】
【課題】
換気口を鼻隠し材の下部片に設けることによって、風雨が入り込みにくく、軒裏への換気性能を確保しつつ、同時に高い防水機能を獲得することができる換気口付き鼻隠し材を提供する。
【解決手段】
本発明の換気口付き鼻隠し材は、建物の屋根の軒先に取り付ける長尺の鼻隠し材であって、前記鼻隠し材は、上下方向に伸びる縦片と、前記縦片の下端部から横方向に伸びる下部片とを有し、前記下部片に換気口を設け、該換気口を通して前記屋根の小屋裏空間と外気を連通する換気通路を形成したことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根の軒先に取り付ける長尺の鼻隠し材であって、
前記鼻隠し材は、上下方向に伸びる縦片と、前記縦片の下端部から横方向に伸びる下部片とを有し、
前記下部片に換気口を設け、該換気口を通して前記屋根の小屋裏空間と外気を連通する換気通路を形成したことを特徴とする換気口付き鼻隠し材。
【請求項2】
請求項1記載の換気口付き鼻隠し材であって、前記下部片には、前記縦片と反対側の端部から上方に立ち上がる第2の縦片が形成され、前記縦片の裏面に長尺状の下地材を取り付けた際、前記第2の縦片と前記下地材との間に換気空間を生じさせて、該換気空間が前記換気通路の一部となることを特徴とする換気口付き鼻隠し材。
【請求項3】
請求項2記載の換気口付き鼻隠し材であって、前記下地材は前記縦片の裏面に一体に固定されていることを特徴とする換気口付き鼻隠し材。
【請求項4】
請求項1乃至3記載の換気口付き鼻隠し材であって、少なくとも前記換気口の前記縦片側には前記換気口に隣接するように前記換気口より下方に延びる水切り部が形成されることを特徴とする換気口付き鼻隠し材。
【請求項5】
請求項4記載の換気口付き鼻隠し材であって、
前記下部片において、前記換気口の、前記縦片と反対側にも、前記換気口より下方に延びる第2の水切り部が形成され、前記換気口は2つの前記水切り部によって囲まれる溝内に形成されることを特徴とする換気口付き鼻隠し材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軒先に取り付ける鼻隠し材であって、軒裏の換気を行う換気口を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物では、小屋裏の劣化の軽減を図るため、軒裏に換気口を設けて、小屋裏の換気を図ることが一般に行われている。この換気口は、防水のため、比較的雨水がかかりにくい軒天部に設けることが一般的である。
【0003】
一方、軒裏を構成する部材として、鼻隠し材が用いられる。この鼻隠し材に換気口を設けることで、換気口の部材費、施工費を縮減できるが、次の課題が生じる。
【0004】
鼻隠し材は軒先に位置するので、軒天部に比べて雨水がかかりやすく、防水に一層の配慮が必要となる。また、鼻隠し材は、鼻隠し下地の上に装着することが一般的である。鼻隠し材の外側には雨樋を設置することが一般的に行われるが、この雨樋のブラケットを、木造建築物においては一般に用いられる木製の鼻隠し下地に固定するため、この鼻隠し下地が換気口を塞がないように、小屋裏と換気口との換気通路の確保が問題となる。
【0005】
このような、鼻隠し材の一部に換気口を成型した換気口付き鼻隠し材には、次のような従来技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-025399号公開公報
【特許文献2】特開2020-122260号公開公報
【0007】
特許文献1には、建物側水切り部30と屋根側水切り部40とから構成される、鼻隠し材となる軒先水切21が開示されており、建物側水切り部30には換気スリット65を、屋根側水切り部40には換気スリット48,49を形成して、軒裏(小屋裏)空間と外気を換気する構造が開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、軒先側の軒先水切21と建物側の固定金具31とを重ね合わせて一体化している、鼻隠し材となる構造が開示されている。陸屋根形式の実施例において、やはり軒先水切21に開口するスリット24L、固定金具31に開口するスリット31L、さらに換気面戸41に開口されたスリット42H、42Lとによって、屋根4の内部空間と外気とを換気する構造が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
外気に対して開口する特許文献1のスリット48,49も、特許文献2のスリット24Lも、いずれもが、それぞれの部材の垂直面に開口している。雨水が入り込みにくくするように、特許文献1においてはスリット48,49が樋桶72の、特許文献2においてはスリット24Lも樋桶22の、それぞれ背後に隠れるように開口しているが、台風など強い風が吹く際は、横殴りの雨がスリット48,49、24Lに吹き込む可能性があった。
【0010】
また、豪雨の際には、スリット48,49、24Lが形成される、それぞれの部材に吹き付けられた雨水が、その垂直面を伝ってスリット48,49、24Lに侵入する可能性も高く、鼻隠し材に換気口を形成した場合は、軒裏に対して高い防水性能を期待できないという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の鼻隠し部が有していた問題を解決しようとするものであり、軒裏への換気性能を確保しつつ、同時に高い防水機能を獲得することができる換気口付き鼻隠し材の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する代表的な換気口付き鼻隠し材は、建物の屋根の軒先に取り付ける長尺の鼻隠し材であって、前記鼻隠し材は、上下方向に伸びる縦片と、前記縦片の下部から横方向に伸びる下部片とを有し、前記下部片に換気口を設け、該換気口を通して前記屋根の小屋裏空間と外気を連通する換気通路を形成することを特徴とする。
【0013】
また、前記下部片には、前記縦片と反対側の端部から上方に立ち上がる第2の縦片が形成され、前記縦片の裏面に長尺状の下地材を取り付けた際、前記第2の縦片と前記下地材との間に空間を生じさせて、該空間が前記換気通路の一部とする構造としてもよい。
【0014】
また、前記下地材が前記縦片の裏面に一体に固定されている、換気口付き鼻隠し材としてもよい。
【0015】
また、少なくとも前記換気口の前記縦片側には前記換気口に隣接するように前記換気口より下方に延びる水切り部を形成してもよい。
【0016】
さらに、前記下部片において、前記換気口の、前記縦片と反対側にも、前記換気口より下方に延びる第2の水切り部が形成され、前記換気口は2つの前記水切り部によって囲まれる溝内に形成される構造としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、軒の小屋裏空間と外気との換気を行うことができる、軒先に取り付ける鼻隠し材を提供するものであって、特に、換気口を鼻隠し材の下部片に設けることによって、風雨が入り込みにくく、また、たとえ雨水が入り込んだとしても簡単に排水を行うことができる換気口付き鼻隠し材を提供することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態の鼻隠し材の施工状態を説明したものである。
図2】同実施形態の鼻隠し材の斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態の鼻隠し材の斜視図である。
図4】本発明の第3実施形態の鼻隠し材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1及び図2を用いて、本発明に係る鼻隠し材の第一実施形態を具体的に説明する。
【0020】
第1実施形態における鼻隠し材1は、スチール、ステンレス、アルミなどの金属をプレスによる折り曲げ、ロールフォーミング、押出などの加工により、形成した長尺状の建材である。
【0021】
鼻隠し材1は、軒の骨組みを構成する野縁5の下側に取り付ける、天井材である軒天材4と、垂木10によって支えられる屋根下地11及び屋根材12とが交差する軒先に取り付けられ、軒先の端面を構成するものである。そして、これら屋根下地11、軒天材4、外壁6、そして鼻隠し材1によって、小屋裏9の空間が構成される。
【0022】
本実施形態においては、木製の下地材2が、鼻隠し材1の裏面に接着剤等により一体に固定されており、現場で両者を別々に取り付けていた従来の構造に比べて、現場での施工作業を容易に行うことができる。
【0023】
鼻隠し材1には、その外側に樋8が並行して設置されるが、鼻隠し材1の小屋裏9側の裏面に配置される下地材2に対し、樋8のブラケット部8aをネジ8bにより固定することによって行われる。この樋8は、屋根材12の下端部下に位置決めされ、屋根から垂下する雨を受け止める。なお、屋根下地11と屋根材12との間には、導水板13が挟み込まれており、屋根から流れ落ちる雨水を樋8に案内する機能を有している。
【0024】
また、鼻隠し材1の上端と屋根下地11と接合部において、水密材14を固定している。この水密材14は、EPDM、PVC等の発泡体であって、野地板と鼻隠しとの取り合い部の防水の為に設けるものである。具体的には、鼻隠し材1か、屋根下地11(野地板)に貼って使用する。
【0025】
次に、鼻隠し材1自体の構造について、説明する。鼻隠し材1は、上下方向に伸びる縦片1aと、縦片の上端を略水平方向に折り曲げて横方向に伸びる上部片1bとを有し、上部片1bの先端はさらに下方に折り曲げ、縦片1aと対向する上対向片1cとしている。
【0026】
また、縦片1aの下端は折り曲げ角度が鋭角となるように、横斜め上方向に伸びる下部片1dと、さらに下部片1dの先端を上方に折り曲げ、縦片1aと対向する下対向片1eを形成している。これら各片1a乃至1eにより、鼻隠し材1は垂直断面C字形状を有する。
【0027】
なお、下部片1dの水平方向の張り出し長さは、上対向片1bの張り出し長さより長く、上対向片1cと下対向片1eには鼻隠し材1の前後方向に段差が生じる。そのため、上対向片1bの張り出し長さと略同じ厚みを有する下地材2を縦片1aの裏面に取り付けた際には、下地材2と下対向片1eとの間に隙間を生じさせて、後述する換気空間Sとなる。
【0028】
縦片1aの上部と、これに対向する上対向片1cには、それぞれ換気口と第2の換気口となる多数のスリット1as、スリット1csが鼻隠し材1の長尺方向に間欠的に形成されている。このうち、外気に対面するスリット1asは、開口部の切り抜き部がプレスされて残り、目隠しスリットとなっているのに対して、小屋裏空間9に対面するスリット1csは完全に開口した開口スリットとしている。
【0029】
また、縦片1aの外面には、スリット1asの直下に水返し板1fが形成されている。この水返し板1fは、強い風が吹きつけた際に、この水返し板1fによりブロックすることで、スリット1asから雨水が侵入することを抑制することができる。
【0030】
さらに、鼻隠し材1の内側には、スリット1asとスリット1csとの間を仕切る、遮風板1gを取り付けている。強い風が吹きつけても、遮風板1gが縦片1aのスリット1asからの風雨を一旦さえぎるために、小屋裏9に風雨が直接入り込むことを抑制することができる。
【0031】
これら互いのスリット1as、1csは水平方向に同じ高さに形成されており、上述のように、下地材2を鼻隠し材1の裏面に取り付けても、両者間に外気と小屋裏空間9とを連通する換気通路F1が形成される。なお、鼻隠し材1の長尺方向の両端側部は、図示しない金属製あるいは合成樹脂製のキャップ等で閉鎖されている。
【0032】
また、下部片1dにも、多数のスリット1dsが鼻隠し材1の長尺方向に間欠的に形成されており、これを下方に向けた換気口としている。同スリット1dsは、上述したスリット1asと同じく、開口部を折り曲げた目隠しスリットとしている。
【0033】
また、縦片1aに対する下部片1dの折り曲げ角度は90度より小さい鋭角となっており、縦片1aの下端は換気口たるスリット1dsより下に位置する。すなわち、下部片1dは縦片1aに対して上方に立ち上がっており、縦片1aの下端が水切り部1xとなる。このため、この水切り部1xはスリット1dsに隣接して配置されることとなり、スリット1dsに直接風雨が当たらないようにするとともに、縦片1aの該表面を伝う雨水をこの部分から落下させ、スリット1dsに侵入しづらい構造としている。
【0034】
また、上述のように下部片1dの先端は上方に折り返されて、下対向片1eが形成されている、下部片1dは、上部片1bよりも水平方向の張り出しが大きい。このため、下地材2を鼻隠し材1の裏側に配置した際には、その差分だけ、下地材2と下対向片1eとの間に隙間ができる。
【0035】
この隙間に、金属製、あるいは合成樹脂製のスペーサ3を準備し、これを複数、間欠的に設置し、これらを介して下地材2に建物の野縁5を固定する。
【0036】
すなわち、このスペーサ3は、水平断面C字形状を有するが、本体3aに開口したネジ穴3bを使って木ネジ等で下地材2に固定する。このため、隣接するスペーサ3同士の空間及び、スペーサ3自体が有する空洞3cによって、この部分が換気空間Sとなり、外気に接するスリット1dsにより、外気と小屋裏空間9とを連通する、もう一つの換気通路F2を形成する。
【0037】
また、換気通路F2による換気の際には、上述したように、水切り部1xが縦片1aを伝って流れる雨水をスリット1dsより下に流すので、これより高い位置にあるスリット1dsを通して雨水が小屋裏空間9側に侵入しにくくし、さらに、スリット1dsの外気側をガードしているので、強風が吹いても風圧によるスリット1dsへの雨滴の浸入を抑制することができる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図3を用いて説明する。第1実施形態と同様の構造については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0039】
第2実施形態の鼻隠し材21も同じく、スチール、ステンレス、アルミなどの金属をプレスによる折り曲げ、ロールフォーミング、押出などの加工により形成した長尺状の建材である。
【0040】
鼻隠し材21の基本的形状は第1実施形態の鼻隠し材1と同様であって、縦片21aと、上部片21b、上対向片21c、下部片21d、さらに下対向片21eとから構成されて、垂直断面C字形状を有する。
【0041】
縦片21aの上部と、これに対向する上対向片21cには、それぞれ換気口となる多数のスリット21as、スリット21csが鼻隠し材1の長尺方向に間欠的に形成されている。また、スリット21asは目隠しスリットとなり、小屋裏空間9側のスリット21csが開放スリットとなっているのも、第1実施形態と同様である。
【0042】
鼻隠し材21の長尺方向の両端側部は、図示しない金属製あるいは合成樹脂製のキャップ等で閉鎖されており、両スリット21as、21csにより、外気と小屋裏空間9とを連通する換気通路F1が形成される。また、水返し板21f、遮風板21gの構造及び機能についても第1実施形態と同様である。
【0043】
下部片21dにも、スリット21dsが形成されており、下地材2と下対向片21eとの間に間欠的に配置されるスペーサ3により、この換気空間Sを一部とする、2つ目の換気通路F2が形成されることも第1実施形態の鼻隠し材1と同様である。
【0044】
一方、第2実施形態の鼻隠し材21では、下部片1dの中央が凹むように折り返されて溝部21dyが形成されており、この溝部21dyに沿って両側に2つの水切り部21x1,21x2が形成されている。そして、これら水切り部21x1,21x2の溝部21dy内に、それぞれ換気口たるスリット21ds,21dsが形成されている。かかるスリット21dsは第1実施形態と異なり、開放スリットである。
【0045】
スリット21dsは2つの水切り部21x1、21x2に囲まれているので、風の影響を受けにくく、また、いずれの水切り部21x1,21x2もスリット21dsより下側に垂下しているので、これより上方にあるスリット21dsに雨水が浸入しにくくなる。よって、目隠しスリットとする必要はなく、開放スリットであっても問題はない。
【0046】
[第3実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図4を用いて説明する。他の実施形態と同様の構造については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0047】
第3実施形態の鼻隠し材31も同じく、スチール、ステンレス、アルミなどの金属をプレスによる折り曲げ、ロールフォーミング、押出などの加工により形成した長尺状の建材である。
【0048】
鼻隠し材31の基本的形状は第1実施形態の鼻隠し材1と同様であって、縦片31aと、上部片31b、上対向片31c、下部片31d、さらに下対向片31eとから構成されて、垂直断面C字形状を有する。
【0049】
縦片31aの上部と、これに対抗する上対向片31cには、それぞれ換気口となる多数のスリット31as、スリット31csが鼻隠し材1の長尺方向に間欠的に形成され、また、スリット31asは目隠しスリットとなり、小屋裏空間9側のスリット31csが開放スリットとなっている構造は、第1実施形態の鼻隠し材1と同様である。
【0050】
鼻隠し材31の長尺方向の両端側部は、図示しない金属製あるいは合成樹脂製のキャップ等で閉鎖されており、両スリット31as、31csにより、外気と小屋裏空間9とを連通する換気通路F1を形成している。なお、水返し板31f、遮風板31gの構造及び機能についても第1実施形態と同様である。
【0051】
下部片31dにも、スリット31dsが形成されており、下地材2と下対向片31eとの間に換気空間Sが形成される。第1実施形態と異なり、スペーサ33は内側が開口していない中実の合成樹脂製あるいは木製のブロックであるが、隣接するスペーサ33,33の間に換気空間Sが確保され、これを一部とするもう一つの換気通路F2が形成することができる。
【0052】
本実施形態では、縦片31aが下部片31dより下方に下がったうえで、折り返され、上方で水平に折り曲げられて下部片31dが形成される。すなわち、この折り返し部が水切り部31xとなり、縦片31aの該表面を伝う雨水はこの水切り部31xの案内により、滴下し、より高い位置にある下部片31dのスリット31dsへの雨水の浸入を抑制できる。
【0053】
[他のバリエーション]
本発明の換気口付き鼻隠し材は、第1実施形態及び第2実施形態以外のバリエーションを採用することもでき、例えば、いずれも換気口をスリット形状としたが、鎧戸形状のような形状でもよく、また、シンプルな形状の換気窓を開口してもよい。
【0054】
また、下部片の換気口は水切り部下端より上方に配置されればよく、例えば第2実施形態においてスリットを溝部21dyの底部に形成しても、また、下部片21dと一連の下対向片21eに外壁6と対向するように設けてもよい。
【0055】
さらに、第1実施形態乃至第3実施形態の水切り部はいずれも、下部片を折り曲げるなどして形成したが、もちろん、スリットに隣接する位置に別部材のプレートを固定するなどして形成してもよい。
【0056】
以上のように、本発明の鼻隠し材によれば、鼻隠し材自体に換気口を設けるために、軒天に別途、換気部材を設けることなく、建物の施工を簡略化することができる。
【0057】
また、鼻隠し材の下部片に換気口を形成したので、雨滴がさかのぼって小屋裏空間に侵入しにくく、また、たとえ鼻隠し材の内側に雨水が入り込んでも、簡単に排水することができる、防水及び排水性能に優れた換気口付き鼻隠し材を提供することができる。
【0058】
さらに、下部片の換気口に隣接して、少なくともその片側、あるいは両側に水切り部を形成したため、さらに換気口の防水効果を高めることができる。
【0059】
そして、上述のように下部片の先端から上方に折り返される下対向片を設け、この下対向片と下地材との間に換気空間を設けた構成であるため、野縁は、一般的な施工のとおり外壁と鼻隠しに掛け渡して設置することによっても、換気経路は、野縁により阻害されることはなく、下部片に設けられた換気口から、小屋裏に連通させることができ、施工が容易な換気構造を実現できる。
【符号の説明】
【0060】
1,21,31…鼻隠し材
1a,21a,31a…縦片
1b,21b,31b…上部片
1c,21c,31c…上対向片
1d,21d,31d…下部片
1e,21e,31e…下対向片(第2の縦片)
1f,21f,31f…水返し板
1g,21g,31g…遮風板
1ds,21ds,31ds…スリット(換気口)
1x,21x1,31x…水切り部
21x2…第2の水切り部
1as,21as,31as…スリット(第2の換気口)
1cs,21cs,31cs…スリット(第3の換気口)
21dy…溝部
2…下地材
3,33…スペーサ
S…換気空間
4…軒天材
5…野縁
6…外壁
8…樋
9…小屋裏空間
12…屋根材
F1…第1の換気通路
F2…第2の換気通路(換気通路)
図1
図2
図3
図4