(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051901
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】配線部材の取付構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/36 20060101AFI20240404BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240404BHJP
B60K 37/00 20240101ALI20240404BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H02G3/36
B60R16/02 620B
B60K37/00 Z
H02G3/04 062
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158286
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 辰海
(72)【発明者】
【氏名】西村 和浩
(72)【発明者】
【氏名】岡庭 大純
(72)【発明者】
【氏名】立石 智彦
(72)【発明者】
【氏名】相田 達也
(72)【発明者】
【氏名】川本 祐司
【テーマコード(参考)】
3D344
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3D344AA12
3D344AC07
3D344AC13
3D344AD13
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】配線部材が取付対象と異なる部材に取り付けられることを防止できる配線部材の取付構造を提供すること。
【解決手段】配線部材10をインストルメントパネルの周辺に設けられた取付対象としてのインパネリインフォースメント102に取り付けるための取付構造50である。配線部材10は、電気又は光を伝送する線状伝送部材20と、線状伝送部材20を覆う被覆部材30と、を含む。取付構造50は、インパネリインフォースメント102に設けられたレール部材60と、被覆部材30に設けられ、レール部材60に挿入される挿入部材70と、を備えている。挿入部材70がレール部材60に挿入された状態において、配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気又は光を伝送する線状伝送部材と、前記線状伝送部材を覆う被覆部材と、を含む配線部材をインストルメントパネルの周辺に設けられた取付対象に取り付けるための配線部材の取付構造であって、
前記取付対象に設けられたレール部材と、
前記被覆部材に設けられ、前記レール部材に挿入される挿入部材と、を備え、
前記挿入部材が前記レール部材に挿入された状態において、前記配線部材が前記取付対象に取り付けられることを特徴とする配線部材の取付構造。
【請求項2】
前記取付対象は、インパネリインフォースメントである、請求項1に記載の配線部材の取付構造。
【請求項3】
車体の構成部材とは異なる部材であって、前記取付対象としてのブラケットを備え、
前記ブラケットは、前記構成部材に取り付けられている、請求項1に記載の配線部材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線部材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線部材の取付構造が記載されている。配線部材は、電気又は光を伝送する線状伝送部材と、線状伝送部材を覆う被覆部材と、を含む。配線部材は、取付対象に取り付けられている。取付対象は、インパネリインフォースメントやボディパネルである。配線部材は、例えば、粘着テープにより取付対象に接着して固定されている。また、配線部材は、当該配線部材に設けられた係止部材を取付対象に係止させて固定されていてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、粘着テープや係止部材を、配線部材が取り付けられるべき取付対象とは異なる部材に固定してしまうと、配線部材が取付対象と異なる部材に取り付けられてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する配線部材の取付構造は、電気又は光を伝送する線状伝送部材と、前記線状伝送部材を覆う被覆部材と、を含む配線部材をインストルメントパネルの周辺に設けられた取付対象に取り付けるための配線部材の取付構造であって、前記取付対象に設けられたレール部材と、前記被覆部材に設けられ、前記レール部材に挿入される挿入部材と、を備え、前記挿入部材が前記レール部材に挿入された状態において、前記配線部材が前記取付対象に取り付けられる。
【0006】
上記構成によれば、レール部材が取付対象に設けられることにより、レール部材によって配線部材の取付対象が明確になる。そして、レール部材に挿入部材を挿入することにより配線部材が取付対象に取り付けられるため、取付対象と異なる部材に配線部材が取り付けられることを防止できる。
【0007】
上記の配線部材の取付構造において、前記取付対象は、インパネリインフォースメントであるとよい。
上記構成によれば、インパネリインフォースメントは、車体の補強だけでなく、配線部材をインストルメントパネル内に配索するための部材としても使用できる。このため、配線部材の配索用の別部材を採用しなくても、既存の車体構成により配線部材の配索が実施できる。
【0008】
上記の配線部材の取付構造において、車体の構成部材とは異なる部材であって、前記取付対象としてのブラケットを備え、前記ブラケットは、前記構成部材に取り付けられているとよい。
【0009】
上記構成によれば、ブラケットによって、インストルメントパネルの周辺に設けられる部品を避けた位置にレール部材及び挿入部材を配置できる。このため、インストルメントパネルの周辺に部品などが配置されていても、ブラケットによって配線部材の配置を適宜変更できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、配線部材が取付対象と異なる部材に取り付けられることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】配線部材の構成及び配置を示した斜視図である。
【
図3】配線部材の取付構造の第1実施形態を示した側面図である。
【
図4】配線部材の取付構造の第2実施形態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、配線部材の取付構造を具体化した第1実施形態を
図1~
図3にしたがって説明する。
【0013】
<配線部材の取付位置>
図1に示すように、配線部材10は、車両100に搭載されている。配線部材10は、インストルメントパネル101の周辺に設けられたインパネリインフォースメント102に取り付けられている。インパネリインフォースメント102は、インストルメントパネル101の裏側に設けられている。インパネリインフォースメント102は、配線部材10の取付対象である。インストルメントパネル101及びインパネリインフォースメント102は、車体103の構成部材である。インパネリインフォースメント102は、車体103を補強する部材である。インパネリインフォースメント102は、棒状の部材である。インパネリインフォースメント102の長手は、車両100の左右方向Aに延びている。インパネリインフォースメント102の両端は、図示しないフロントピラーに固定されている。配線部材10は、インストルメントパネル101に設けられた図示しない電気部品に電気的に接続される。配線部材10は、当該電気部品に電気又は光を伝送する部材である。配線部材10は、当該電気部品から出力される電気又は光を伝送する部材である。
【0014】
<配線部材の構成>
図2に示すように、配線部材10は、扁平状である。配線部材10の長辺方向は、車両100の左右方向Aと一致している。配線部材10の長辺方向は、インパネリインフォースメント102の長手が延びる方向と一致している。配線部材10の短辺方向は、車両100の前後方向Bと一致している。配線部材10の厚さ方向は、上下方向Cと一致している。
【0015】
配線部材10は、複数の線状伝送部材20と、被覆部材30と、複数のコネクタ40と、を有している。配線部材10は、線状伝送部材20と、被覆部材30とを含む。線状伝送部材20は、電気又は光を伝送する線状の部材であればよい。線状伝送部材20は、例えば、芯線と当該芯線の周囲を被覆する被覆材とを有する一般電線である。線状伝送部材20は、例えば、シールド線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材20としては、各種信号線や各種電力線であってもよい。
【0016】
被覆部材30は、第1シート部材31と、第2シート部材32と、を有している。第1シート部材31及び第2シート部材32は、樹脂材料により形成されている。第1シート部材31及び第2シート部材32は、例えば、塩化ビニルにより形成されている。第1シート部材31及び第2シート部材32は、可撓性を有している。配線部材10は、第1シート部材31上に全ての線状伝送部材20が配置された状態で、第2シート部材32により全ての線状伝送部材20を覆うことにより形成されている。第1シート部材31の外縁の全周と第2シート部材32の外縁の全周とは、溶着されている。本実施形態において、被覆部材30は、全ての線状伝送部材20の全体を覆っている。
【0017】
複数のコネクタ40の各々は被覆部材30内に設けられた所定の線状伝送部材20に電気的に接続されている。各コネクタ40は、所定の線状伝送部材20を図示しない電気部品と電気的に接続する部材である。各コネクタ40には、
図2の二点鎖線で示す各種ケーブル105が電気的に接続される。なお、複数のコネクタ40は、配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けられたときにインパネリインフォースメント102に干渉しないように配置されている。
【0018】
<配線部材の取付構造>
配線部材10の取付構造50は、配線部材10をインパネリインフォースメント102に取り付けるための構成である。取付構造50は、一対のレール部材60と、一対の挿入部材70と、を備えている。各レール部材60は、インパネリインフォースメント102に設けられている。各挿入部材70は、配線部材10の長辺方向の両端側に設けられている。各挿入部材70は、長板状である。各挿入部材70は、第1シート部材31に設けられている。各挿入部材70は、被覆部材30に設けられている。各挿入部材70の長辺方向は、配線部材10の長辺方向と一致している。各挿入部材70の短辺方向は、配線部材10の短辺方向と一致している。各挿入部材70は、配線部材10の長辺方向の両端から突出する。
【0019】
図2及び
図3に示すように、各レール部材60は、長板状のベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63と、を有している。ベース板部61の長辺方向は、左右方向A、つまり、インパネリインフォースメント102の長手が延びる方向と一致している。ベース板部61の短辺方向は、前後方向Bと一致している。各第1板部62は、ベース板部61の短辺方向に位置する端部から上方に向けて延びている。各第1板部62は、ベース板部61の短辺方向に位置する端部の全長に設けられている。
【0020】
各第2板部63は、各第1板部62におけるベース板部61とは反対側の端部に設けられている。各第2板部63は、各第1板部62におけるベース板部61とは反対側の端部の全長に設けられている。一対の第2板部63は、各々の先端が対向している。一対の第2板部63の先端は、非接触である。ベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63とにより囲まれた空間は、レール部材60の長辺方向の両端に開口している。ベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63とにより囲まれた空間は、一対の第2板部63の間に開口している。ベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63とにより囲まれた空間の大きさは、挿入部材70が挿入できる程度の大きさである。
【0021】
図2に示すように、各レール部材60には、第1開口部60aと、第2開口部60bと、第3開口部60cと、が開口している。第1開口部60a及び第2開口部60bは、各レール部材60の長辺方向の両端に開口している。第1開口部60a及び第2開口部60bは、ベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63とにより形成されている。第1開口部60a及び第2開口部60bは、ベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63とにより囲まれた空間をレール部材60の長辺方向の両端に開放している。
【0022】
左右方向A、つまり、インパネリインフォースメント102が延びる方向において、一方のレール部材60の第1開口部60aと、他方のレール部材60の第1開口部60aとは、上述した所定の間隔を空けて向き合っている。所定の間隔は、配線部材10の長辺方向の長さよりも大きい。所定の間隔は、配線部材10の長辺方向の両端から突出した各挿入部材70の先端同士の距離よりも小さい。
【0023】
第3開口部60cは、各レール部材60における一対の第2板部63の先端の間に開口している。第3開口部60cは、一対の第2板部63により形成されている。第3開口部60cは、ベース板部61と、一対の第1板部62と、一対の第2板部63とにより囲まれた空間を上方に開放している。第3開口部60cは、各レール部材60の長辺方向の全長に延びている。第3開口部60cは、第1開口部60a及び第2開口部60bと連通している。
【0024】
配線部材10をインパネリインフォースメント102に取り付ける場合、配線部材10をインパネリインフォースメント102の上方に配置する。そして、一方の挿入部材70を、一方のレール部材60の第1開口部60aからレール部材60の空間に挿入する。次に、他方の挿入部材70を、他方のレール部材60の第1開口部60aからレール部材60の空間に挿入する。このとき、配線部材10を上下方向Cに撓ませつつ、他方の挿入部材70の先端を、他方のレール部材60の第1開口部60aに位置合わせしながら、他方のレール部材60に対して他方の挿入部材70を挿入する。挿入部材70は、レール部材60に挿入される。なお、各挿入部材70を各レール部材60に同時に挿入してもよい。
【0025】
図3に示すように、各挿入部材70が各レール部材60に挿入された状態において、各挿入部材70が上下方向Cに移動しようとしても、ベース板部61又は各第2板部63により移動が規制される。各挿入部材70が各レール部材60に挿入された状態において、各挿入部材70が前後方向Bに移動しようとしても、各第1板部62により移動が規制される。各挿入部材70が各レール部材60に挿入された状態において、作業者により意図的に配線部材10を上下方向Cに撓ませない限り、各挿入部材70が各レール部材60から抜けない。よって、挿入部材70がレール部材60に挿入された状態において、配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けられる。
【0026】
配線部材10をインパネリインフォースメント102に取り付ける作業は、車両100の生産ラインとは異なるサブラインで実施される。そして、取付構造50により配線部材10とインパネリインフォースメント102とが一体化されたインパネモジュールが、車両100の生産ラインで車体103に取り付けられる。
【0027】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
レール部材60がインパネリインフォースメント102に設けられることにより、レール部材60によって配線部材10の取付対象が明確になる。そして、レール部材60に挿入部材70を挿入することにより配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けられるため、インパネリインフォースメント102と異なる部材に配線部材10が取り付けられることが防止される。
【0028】
また、取付構造50が省略されている場合を想定する。この場合、配線部材10をインパネリインフォースメント102に取り付けるとき、配線部材10は、インパネリインフォースメント102の上方に配置される。作業者が上方から見ると、配線部材10によりインパネリインフォースメント102の少なくとも一部が隠れてしまうため、配線部材10をインパネリインフォースメント102に取り付けにくい懸念がある。
【0029】
本実施形態の取付構造50では、一対のレール部材60の間隔は、配線部材10の長辺方向の長さよりも大きい。このため、作業者が上方から見たとき、レール部材60が配線部材10により覆われない位置に目視できる。つまり、配線部材10によりインパネリインフォースメント102が目視しにくい状態であっても、レール部材60がインパネリインフォースメント102に対する配線部材10の取付位置を示す目印になる。そして、一方の挿入部材70が一方のレール部材60に挿入される過程は、一方のレール部材60の第3開口部60cから目視される。他方の挿入部材70が他方のレール部材60に挿入される過程は、他方のレール部材60の第3開口部60cから目視される。配線部材10をインパネリインフォースメント102に取り付けるときに作業者による目視が容易に実施できるため、配線部材10のインパネリインフォースメント102に対する取り付け作業性が向上する。
【0030】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(1-1)レール部材60がインパネリインフォースメント102に設けられることにより、レール部材60によって配線部材10の取付対象が明確になる。そして、レール部材60に挿入部材70を挿入することにより配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けられるため、インパネリインフォースメント102と異なる部材に配線部材10が取り付けられることを防止できる。
【0031】
(1-2)配線部材10の取付対象がインパネリインフォースメント102である。このため、インパネリインフォースメント102は、車体103の補強だけでなく、配線部材10をインストルメントパネル101内に配索するための部材としても使用できる。このため、配線部材10の配索用の別部材を採用しなくても、既存の車体103の構成部材により配線部材10の配索が実施できる。
【0032】
(1-3)各レール部材60が第3開口部60cを有することにより、各挿入部材70の各レール部材60に対する挿入を作業者が目視できる。このため、配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けられたか否かを作業者が確実に確認できる。
【0033】
(1-4)一方で、各挿入部材70の先端を各レール部材60の第1開口部60aに位置合わせさえしていれば、各挿入部材70の各レール部材60に対する挿入状態を第3開口部60cから作業者が目視しなくてもよい。各挿入部材70の先端を各レール部材60の第1開口部60aに位置合わせさえしていれば、作業者が目視しなくても、各挿入部材70を各レール部材60に挿入するだけで、配線部材10がインパネリインフォースメント102に取り付けることができる。
【0034】
(1-5)取付構造50により配線部材10とインパネリインフォースメント102とが一体化されたインパネモジュールが、車両100の生産ラインで車体103に取り付けられる。このため、車両100の生産ラインでインパネリインフォースメント102に配線部材10を取り付ける場合よりも、車両100の生産効率が向上する。
【0035】
また、配線部材10が車両100の生産ラインとは異なるサブラインにおいてインパネリインフォースメント102に取り付けられる。このため、車両100の生産ラインでインパネリインフォースメント102に配線部材10を取り付ける場合よりも、配線部材10がインパネリインフォースメント102とは異なる部材に更に取り付けられにくくなる。
【0036】
[第2実施形態]
以下、配線部材の取付構造を具体化した第2実施形態を
図4にしたがって説明する。本実施形態と第1実施形態との主な相違点は、配線部材の取付対象が変更された点である。その点について主に説明するとともに、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な構成の説明を割愛する。
【0037】
<配線部材の取付構造>
図4に示すように、取付構造50は、一対のブラケット80を更に備えている。各ブラケット80は、配線部材10の取付対象である。各ブラケット80は、板状である。車体103は、カウルトップパネル104を含む。カウルトップパネル104は、車体103の構成部材である。カウルトップパネル104は、インストルメントパネル101の裏側に配置されている。カウルトップパネル104は、インストルメントパネル101よりも車両100の前方に位置している。各ブラケット80は、カウルトップパネル104に取り付けられている。各ブラケット80は、車体103の構成部材に取り付けられている。本実施形態において、各ブラケット80は、車体103の構成部材とは異なる部材である。
【0038】
各ブラケット80は、支持板部80aと、延設板部80bと、を有している。支持板部80aは、カウルトップパネル104に取り付けられている。延設板部80bは、支持板部80aから上方に向けて延びている。延設板部80bは、左右方向Aに厚さを有している。延設板部80bは、第1面80cと、第2面80dと、を有している。第1面80c及び第2面80dは、延設板部80bの厚さ方向に位置する平面である。
【0039】
一対のブラケット80における延設板部80bは、左右方向Aにおいて向き合っている。一対の延設板部80bの第1面80cは、左右方向Aにおいて向き合っている。一方の延設板部80bの第1面80cと、他方の延設板部80bの第1面80cとの距離は、配線部材10の長辺方向の長さよりも大きい。各ブラケット80の第1面80cには、レール部材60が設けられている。各レール部材60のベース板部61は、第1面80cに固定されている。各レール部材60の第1開口部60aは、前方に開口している。各レール部材60の第2開口部60bは、後方に開口している。各レール部材60の第3開口部60cは、互いに対向するように開口している。
【0040】
各挿入部材70は、配線部材10の長辺方向の両端に設けられている。各挿入部材70の長辺方向は、配線部材10の短辺方向と一致している。各挿入部材70の短辺方向は、上下方向Cと一致している。各挿入部材70は、配線部材10の短辺方向の両端のうち一方から突出するように配置されている。一方の挿入部材70と他方の挿入部材70との間の間隔は、一方のレール部材60の第1開口部60aと他方のレール部材60の第1開口部60aとの間隔と同じである。
【0041】
配線部材10を各ブラケット80に取り付ける場合、前後方向Bにおいて各挿入部材70の先端と、各レール部材60の第1開口部60aとを対向させる。そして、前後方向Bにおいて配線部材10を一対のブラケット80の間に向けて移動させることにより、各挿入部材70が第1開口部60aから各レール部材60の空間に挿入される。挿入部材70がレール部材60に挿入された状態において、配線部材10が一対のブラケット80に取り付けられる。
【0042】
[本実施形態の作用]
本実施形態の作用を説明する。
レール部材60が各ブラケット80に設けられることにより、レール部材60によって配線部材10の取付対象が明確になる。そして、レール部材60に挿入部材70を挿入することにより配線部材10が一対のブラケット80に取り付けられるため、一対のブラケット80と異なる部材に配線部材10が取り付けられることが防止される。
【0043】
[本実施形態の効果]
本実施形態の効果を説明する。
(2-1)レール部材60が各ブラケット80に設けられることにより、レール部材60によって配線部材10の取付対象が明確になる。そして、レール部材60に挿入部材70を挿入することにより配線部材10が一対のブラケット80に取り付けられるため、一対のブラケット80と異なる部材に配線部材10が取り付けられることを防止できる。
【0044】
(2-2)ブラケット80によって、インストルメントパネル101の周辺に設けられる部品を避けた位置にレール部材60及び挿入部材70を配置できる。このため、インストルメントパネル101の周辺に部品などが配置されていても、ブラケット80によって配線部材10の配置を適宜変更できる。
【0045】
(2-3)本実施形態によれば、配線部材10を上下方向Cに撓ませることなく、各ブラケット80に配線部材10を取り付けることができる。配線部材10に含まれる線状伝送部材20に応力が発生することがないため、配線部材10を各ブラケット80に取り付けるときに線状伝送部材20の切れが発生しない。
【0046】
[変更例]
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0047】
○ 上記各実施形態において、レール部材60の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。そして、挿入部材70の数は、レール部材60の数に応じて変更する。レール部材60及び挿入部材70の数は、配線部材10を取付対象に対して安定的に取り付けられることを予め確認した上で設定されることが好ましい。
【0048】
○ 上記各実施形態において、各第1板部62は、ベース板部61の短辺方向に位置する端部の全長に設けられていなくてもよい。このように変更しても、ベース板部61と、各第1板部62と、各第2板部63とにより囲まれた空間に挿入部材70が挿入されていればよい。
【0049】
○ 上記各実施形態において、一対の第2板部63に代替して、一対の第1板部62におけるベース板部61とは反対側の端部同士を接続する第3板部を採用してもよい。つまり、レール部材60は、第3開口部60cを省略してもよい。
【0050】
○ 上記各実施形態において、レール部材60は、第1開口部60aを有しており、第2開口部60b及び第3開口部60cを省略してもよい。
○ 上記各実施形態において、レール部材60及び挿入部材70は、レール部材60と挿入部材70との間に複数の玉を介在できるように形状を変更してもよい。つまり、レール部材60、挿入部材70、及び複数の玉によりボールスライドレールを形成してもよい。レール部材60の形状は、挿入部材70が挿入できれば適宜変更してもよい。
【0051】
○ 上記各実施形態において、例えば、各レール部材60の第1開口部60aが上方に向くように変更してもよい。そして、各挿入部材70は、各レール部材60の第1開口部60aに挿入できるように配線部材10に対する取付様態を適宜変更する。レール部材60に対する挿入部材70の挿入方向は、適宜変更してもよい。つまり、車両100の生産ラインのレイアウトや作業者の位置に応じてレール部材60に対する挿入部材70の挿入方向を適宜変更することができる。よって、車両100の生産における配線部材10の配索作業を最適化できる。
【0052】
○ 上記各実施形態において、線状伝送部材20が例えば一般電線であれば、被覆部材30は、全ての線状伝送部材20の全体を覆っていなくてもよい。被覆部材30は、全ての線状伝送部材20を寄り集めた状態にできればよい。ただし、線状伝送部材20がシールド線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であれば、被覆部材30は、全ての線状伝送部材20の全体を覆うことが好ましい。
【0053】
○ 上記各実施形態において、配線部材10は、扁平状でなくてもよい。配線部材10の形状は、線状伝送部材20の数や被覆部材30の構成に応じて適宜変更される。
○ 第1実施形態において、配線部材10は、車両100の生産ラインにおいてインパネリインフォースメント102に取り付けられてもよい。
【0054】
○ 第1実施形態において、各レール部材60をインパネリインフォースメント102の上方に設けていたが、これに限らない。各レール部材60は、例えば、インパネリインフォースメント102の前方又は後方に設けられていてもよい。
【0055】
○ 第2実施形態において、ブラケット80の形状は、適宜変更してもよい。ブラケット80は、レール部材60を取り付けることができれば適宜形状を変更してもよい。
○ 第2実施形態において、ブラケット80は、例えば、インパネリインフォースメント102や、図示しないフロントピラーに取り付けられてもよい。また、ブラケット80は、ルーフパネルに取り付けられていてもよい。ブラケット80は、車体103の構成部材に取り付けられていればよい。
【0056】
○ 第2実施形態において、ブラケット80の数は、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…配線部材、20…線状伝送部材、30…被覆部材、50…配線部材の取付構造、60…レール部材、70…挿入部材、80…取付対象としてのブラケット、101…インストルメントパネル、102…取付対象としてのインパネリインフォースメント、103…車体、104…車体の構成部材であるカウルパネル。