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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051905
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ポンプ式吐出具
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158291
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 真弥
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA20
3E084KA20
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】部品点数を増やすことなく吊り下げて使用することが可能なポンプ式吐出具を提供することである。
【解決手段】容器本体2の口部2aに装着される装着キャップ10と、装着キャップ10に支持されたポンプ20と、ポンプ20のステム21に取り付けられた押下げヘッド30と、を有するポンプ式吐出具1であって、スリット部41を有するC字形状の弾性体で形成され、装着キャップ10と押下げヘッド30との間に着脱自在に装着されて押下げヘッド30の下方への移動を阻止するストッパ部材40と、ストッパ部材40に一体に設けられ、押下げヘッド30に設けられた嵌合部34に嵌合可能な被嵌合部43と、を有し、ストッパ部材40が、装着キャップ10と押下げヘッド30との間から取り外され、被嵌合部43が嵌合部34に嵌合したときに、吊り下げ用の引っ掛け部となるように構成されていることを特徴とする、ポンプ式吐出具1。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着される装着キャップと、
前記装着キャップに支持されたポンプと、
前記ポンプのステムに取り付けられた押下げヘッドと、を有し、
前記押下げヘッドが押し下げ操作されると前記ポンプが作動して前記容器本体の内部の液体を前記押下げヘッドのノズルから外部に吐出するように構成されたポンプ式吐出具であって、
スリット部を有するC字形状の弾性体で形成され、前記装着キャップと前記押下げヘッドとの間に着脱自在に装着されて前記押下げヘッドの下方への移動を阻止するストッパ部材と、
前記ストッパ部材に一体に設けられ、前記押下げヘッドに設けられた嵌合部に嵌合可能な被嵌合部と、を有し、
前記ストッパ部材が、前記装着キャップと前記押下げヘッドとの間から取り外され、前記被嵌合部が前記嵌合部に嵌合したときに、吊り下げ用の引っ掛け部となるように構成されていることを特徴とする、ポンプ式吐出具。
【請求項2】
前記押下げヘッドが、前記装着キャップの軸線を中心とした円筒状のスカート部を有し、前記嵌合部が前記スカート部の外周面に一体に設けられており、
前記装着キャップが、円筒状部と、前記円筒状部の上端に連なる天壁部と、前記天壁部から上方に向けて突出する支持筒部とを有し、
前記ストッパ部材が、前記天壁部と前記スカート部との間において前記支持筒部の外側に装着されるように構成されている、請求項1に記載のポンプ式吐出具。
【請求項3】
前記嵌合部が、上下方向に延びる溝状であり、
前記被嵌合部が、前記ストッパ部材の周方向の一端部における外周面から前記ストッパ部材の接線方向に延びる突起状であり、
前記被嵌合部が前記嵌合部に嵌合することで、前記ストッパ部材が、軸線が水平方向を向き且つ前記スリット部が下方に向く姿勢で前記押下げヘッドに支持される、請求項2に記載のポンプ式吐出具。
【請求項4】
前記支持筒部の上端側部分における外周面に、径方向外側に向けて突出する円環状の支持突起が一体に設けられ、
前記ストッパ部材に、前記ストッパ部材の周方向の一端部から前記ストッパ部材の径方向外側に向けて突出し、前記被嵌合部が前記嵌合部に嵌合したときに前記スカート部の下端と前記支持突起の下面とに当接する支持フランジが一体に設けられている、請求項3に記載のポンプ式吐出具。
【請求項5】
前記嵌合部が、
上下方向に延びる溝状の第1嵌合部と、
前記第1嵌合部に対して前記ステムの軸線を中心とした周方向にずれて設けられ、上下方向に延びる溝状の第2嵌合部と、を有し、
前記被嵌合部が、
前記ストッパ部材の周方向の一端部に一体に設けられた突起状の第1被嵌合部と、
前記ストッパ部材の周方向の他端部に一体に設けられた突起状の第2被嵌合部と、を有し、
前記第1被嵌合部が前記第1嵌合部に嵌合するとともに前記第2被嵌合部が前記第2嵌合部に嵌合することで、前記ストッパ部材が軸線を上下方向に向けた姿勢で前記押下げヘッドに支持される、請求項2に記載のポンプ式吐出具。
【請求項6】
前記支持筒部の上端側部分における外周面に、径方向外側に向けて突出する円環状の支持突起が一体に設けられ、
前記ストッパ部材に、
前記第1被嵌合部の下端から径方向外側に向けて突出し、前記第1被嵌合部が前記第1嵌合部に嵌合したときに前記スカート部の下端と前記支持突起の下面とに当接する第1支持フランジと、
前記第2被嵌合部の下端から径方向外側に向けて突出し、前記第2被嵌合部が前記第2嵌合部に嵌合したときに前記スカート部の下端と前記支持突起の下面とに当接する第2支持フランジと、が一体に設けられている、請求項5に記載のポンプ式吐出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に装着して使用されるポンプ式吐出具に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、洗顔料等の液体を内容液として収容する容器として、内容液を収納する容器本体にポンプ式吐出具を組み付けた構成の吐出容器が多く用いられている。
【0003】
従来、このような吐出容器に用いられるポンプ式吐出具として、容器本体の口部に装着される装着キャップと、装着キャップに支持されたポンプと、ポンプのステムに取り付けられた押下げヘッドと、を有し、押下げヘッドが押し下げ操作されるとポンプが作動して容器本体の内部の液体を押下げヘッドのノズルから外部に吐出するように構成されたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、上記従来のポンプ式吐出具は、押下げヘッドと装着キャップとの間に、ストッパ部材を装着することで、不使用時に押下げヘッドが不意に押下げ操作されて内容物が吐出されることを防止できる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-117301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のポンプ式吐出具を備えた吐出容器は、浴室などの湿気が多い環境において床などに置いたままで使用すると、容器本体の底面に水滴などが残留し、カビの発生の要因となる、という問題がある。
【0007】
このような問題に対し、ポンプ式吐出具にフック等の別部材を装着し、壁に設けられた手摺などに吐出容器を吊り下げて使用することができるようにすることが考えられるが、この方法では、ポンプ式吐出具の部品点数が増加し、そのコストが増加するという問題が生じることになる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を増やすことなく吊り下げて使用することが可能なポンプ式吐出具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のポンプ式吐出具は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、前記装着キャップに支持されたポンプと、前記ポンプのステムに取り付けられた押下げヘッドと、を有し、前記押下げヘッドが押し下げ操作されると前記ポンプが作動して前記容器本体の内部の液体を前記押下げヘッドのノズルから外部に吐出するように構成されたポンプ式吐出具であって、スリット部を有するC字形状の弾性体で形成され、前記装着キャップと前記押下げヘッドとの間に着脱自在に装着されて前記押下げヘッドの下方への移動を阻止するストッパ部材と、前記ストッパ部材に一体に設けられ、前記押下げヘッドに設けられた嵌合部に嵌合可能な被嵌合部と、を有し、前記ストッパ部材が、前記装着キャップと前記押下げヘッドとの間から取り外され、前記被嵌合部が前記嵌合部に嵌合したときに、吊り下げ用の引っ掛け部となるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のポンプ式吐出具は、上記構成において、前記押下げヘッドが、前記装着キャップの軸線を中心とした円筒状のスカート部を有し、前記嵌合部が前記スカート部の外周面に一体に設けられており、前記装着キャップが、円筒状部と、前記円筒状部の上端に連なる天壁部と、前記天壁部から上方に向けて突出する支持筒部とを有し、前記ストッパ部材が、前記天壁部と前記スカート部との間において前記支持筒部の外側に装着されるように構成されているのが好ましい。
【0011】
本発明のポンプ式吐出具は、上記構成において、前記嵌合部が、上下方向に延びる溝状であり、前記被嵌合部が、前記ストッパ部材の周方向の一端部における外周面から前記ストッパ部材の接線方向に延びる突起状であり、前記被嵌合部が前記嵌合部に嵌合することで、前記ストッパ部材が、軸線が水平方向を向き且つ前記スリット部が下方に向く姿勢で前記押下げヘッドに支持されるのが好ましい。
【0012】
本発明のポンプ式吐出具は、上記構成において、前記支持筒部の上端側部分における外周面に、径方向外側に向けて突出する円環状の支持突起が一体に設けられ、前記ストッパ部材に、前記ストッパ部材の周方向の一端部から前記ストッパ部材の径方向外側に向けて突出し、前記被嵌合部が前記嵌合部に嵌合したときに前記スカート部の下端と前記支持突起の下面とに当接する支持フランジが一体に設けられているのが好ましい。
【0013】
本発明のポンプ式吐出具は、上記構成において、前記嵌合部が、上下方向に延びる溝状の第1嵌合部と、前記第1嵌合部に対して前記ステムの軸線を中心とした周方向にずれて設けられ、上下方向に延びる溝状の第2嵌合部と、を有し、前記被嵌合部が、前記ストッパ部材の周方向の一端部に一体に設けられた突起状の第1被嵌合部と、前記ストッパ部材の周方向の他端部に一体に設けられた突起状の第2被嵌合部と、を有し、前記第1被嵌合部が前記第1嵌合部に嵌合するとともに前記第2被嵌合部が前記第2嵌合部に嵌合することで、前記ストッパ部材が軸線を上下方向に向けた姿勢で前記押下げヘッドに支持されるのが好ましい。
【0014】
本発明のポンプ式吐出具は、上記構成において、前記支持筒部の上端側部分における外周面に、径方向外側に向けて突出する円環状の支持突起が一体に設けられ、前記ストッパ部材に、前記第1被嵌合部の下端から径方向外側に向けて突出し、前記第1被嵌合部が前記第1嵌合部に嵌合したときに前記スカート部の下端と前記支持突起の下面とに当接する第1支持フランジと、前記第2被嵌合部の下端から径方向外側に向けて突出し、前記第2被嵌合部が前記第2嵌合部に嵌合したときに前記スカート部の下端と前記支持突起の下面とに当接する第2支持フランジと、が一体に設けられているのが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、部品点数を増やすことなく吊り下げて使用することが可能なポンプ式吐出具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るポンプ式吐出具を備えた吐出容器の正面図である。
図2図1に示すポンプ式吐出具の拡大正面図である。
図3図2に示すストッパ部材の平面図である。
図4図1に示すポンプ式吐出具の、ストッパ部材を取り外した状態の拡大正面図である。
図5図1に示すポンプ式吐出具の、ストッパ部材を押下げヘッドに取り付けた状態の一部切り欠き拡大正面図である。
図6図1に示すポンプ式吐出具の、ストッパ部材を押下げヘッドに取り付けた状態の平面図である。
図7】変形例に係るポンプ式吐出具の、図2に対応した拡大正面図である。
図8図7に示す変形例に係るポンプ式吐出具の、図5に対応した一部切り欠き拡大正面図である。
図9図8におけるA-A線に沿う断面図である。
図10図7に示す変形例に係るポンプ式吐出具の、ストッパ部材を押下げヘッドに取り付けた状態の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るポンプ式吐出具について詳細に例示説明する。
【0018】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るポンプ式吐出具1は、装着キャップ10、ポンプ20、押下げヘッド30及びストッパ部材40を有している。
【0019】
ポンプ式吐出具1は、液体を収納する容器本体2の口部2aに装着して使用される。ポンプ式吐出具1と容器本体2とにより吐出容器3が構成される。ポンプ式吐出具1は、押下げヘッド30が押し下げ操作されるとポンプ20が作動して容器本体2の内部の液体を押下げヘッド30のノズル32から外部に吐出するように構成されている。
【0020】
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、上下方向は、ポンプ式吐出具1ないし吐出容器3を、図1に示す正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとする。
【0021】
ポンプ式吐出具1が装着される容器本体2としては、その内部に例えばハンドソープ、ボディソープ、シャンプー、洗顔料等の液体を収納することができる種々の形状ないし構成のものを用いることができる。本実施形態では、容器本体2は、合成樹脂製のボトル容器である。容器本体2の口部2aは軸線Oを中心とした円筒状であり、容器本体2の上端において上方に向けて開口している。
【0022】
装着キャップ10は、軸線Oを中心とした円筒状部11と円筒状部11の上端に連なる天壁部12とを有する有頂円筒状となっており、口部2aにねじ結合によって装着されている。本実施形態では、天壁部12の上面には、軸線Oを中心とした円筒状となって天壁部12から上方に向けて突出する支持筒部13が一体に設けられている。図2に示すように、支持筒部13の上端側部分における外周面には、径方向外側に向けて突出する円環状の支持突起13aが一体に設けられている。
【0023】
図1に示すように、ポンプ20は、装着キャップ10に支持されて容器本体2の内部に吊り下げ保持されている。ポンプ20は、軸線Oに沿って配置されたステム21を備えている。ステム21は、装着キャップ10の天壁部12よりも上方に突出している。ポンプ20は、ステム21が図1に示す初期位置から下方に向けて移動すると吐出動作して、その内部の液体をステム21から押下げヘッド30に向けて圧送する。また、ポンプ20は、吐出動作の後、ステム21が上方の初期位置に向けて移動すると吸引動作して、容器本体2の内部の液体を容器本体2の底部に向けて延びる吸引パイプ22を通してその内部に吸引する。
【0024】
押下げヘッド30は、逆向き皿状のヘッド本体部31と、ヘッド本体部31から軸線Oを中心とした径方向外側に向けて突出するノズル32とを備えている。押下げヘッド30はステム21の上端に取り付けられている。ノズル32は、ステム21の内部流路に連通しており、その先端は液体の吐出口32aとなっている。
【0025】
押下げヘッド30が押し下げ操作されると、押下げヘッド30とともにステム21が押し下げられる。したがって、押下げヘッド30が押し下げ操作されると、ポンプ20が作動して容器本体2の内部の液体が押下げヘッド30のノズル32(吐出口32a)から外部に吐出される。
【0026】
ストッパ部材40は、装着キャップ10と押下げヘッド30との間に着脱自在に装着されている。ストッパ部材40が装着キャップ10と押下げヘッド30との間に装着されると、押下げヘッド30はストッパ部材40を介して装着キャップ10に支持される。これにより、押下げヘッド30の下方への移動がストッパ部材40により阻止される。一方、ストッパ部材40が装着キャップ10と押下げヘッド30との間から取り外されると、ストッパ部材40を介した押下げヘッド30の装着キャップ10による支持が解除され、押下げヘッド30の下方への移動が許容される。よって、ストッパ部材40を装着キャップ10と押下げヘッド30との間から取り外すことで、押下げヘッド30を押し下げ操作することができる。
【0027】
図2に示すように、本実施形態では、押下げヘッド30は、装着キャップ10の軸線Oを中心とした円筒状に形成されてヘッド本体部31から下方に向けて突出するスカート部33を有している。スカート部33の下端側部分における内周面には、径方向内側に向けて突出するとともに支持筒部13の支持突起13aに対向する円環状の被支持突起33aが一体に設けられている。被支持突起33aの下端面は、支持突起13aの下端面と同一高さとなっている。スカート部33は、被支持突起33aが支持筒部13の支持突起13aに支持されることで径方向へのがたつきが抑制されている。なお、スカート部33に被支持突起33aを設けることなく、支持筒部13の支持突起13aを直接スカート部33の下端側部分における内周面に当接させる構成としてもよい。
【0028】
図3に示すように、ストッパ部材40は、スリット部41を有するC字形状の弾性体(本実施形態では合成樹脂材料)で形成されている。すなわち、ストッパ部材40は、円筒状の弾性体の一部に、これを周方向に分断するスリット部41を設けることで、スリット部41の開口幅を増減させるように弾性変形可能なC字形状となっている。ストッパ部材40は、スカート部33と同径であるとともに、スリット部41の開口幅は支持筒部13の外径よりも狭くなっている。ストッパ部材40の内周面に、複数本のリブ42を周方向に間隔を空けて設けるようにしてもよい。
【0029】
図2に示すように、本実施形態では、ストッパ部材40は、装着キャップ10の天壁部12と押下げヘッド30のスカート部33の下端との間において支持筒部13の外側に着脱自在に装着されている。ストッパ部材40が支持筒部13の外側に装着されると、複数本のリブ42が支持筒部13の外周面に当接することで、ストッパ部材40は支持筒部13ないしスカート部33と同軸の位置に保持される。
【0030】
ストッパ部材40は、スリット部41の開口幅を増減させるように弾性変形可能なC字形状であるので、軸線Oを中心として径方向外側に向けて引くことで、スリット部41の開口幅を増加させるように弾性変形させて支持筒部13から取り外すことができる。反対に、ストッパ部材40は、スリット部41を支持筒部13の側面に当てて軸線Oを中心とした径方向内側に向けて押すことで、スリット部41の開口幅を増加させるように弾性変形させて支持筒部13に装着することができる。
【0031】
図2に示すように、押下げヘッド30には嵌合部34が設けられている。本実施形態では、嵌合部34はスカート部33の外周面に一体に設けられている。一方、図2図3に示すように、ストッパ部材40には、嵌合部34に嵌合可能な被嵌合部43が一体に設けられている。図4に示すように、ストッパ部材40を装着キャップ10と押下げヘッド30(支持筒部13)との間から取り外した後、被嵌合部43を嵌合部34に嵌合させることができる。図5図6に示すように、被嵌合部43が嵌合部34に嵌合すると、ストッパ部材40は、押下げヘッド30に取り付けられて吊り下げ用の引っ掛け部となる。
【0032】
すなわち、例えば浴室に設けられた手摺やフックなどにストッパ部材40を引っ掛けることで、ポンプ式吐出具1を用いた吐出容器3を、手摺やフックなどに吊り下げた状態で保管することができる。また、本実施形態のポンプ式吐出具1では、ポンプ式吐出具1を用いた吐出容器3を、手摺やフックなどに吊り下げた状態で保管することができるので、容器本体2の底部のカビの発生を抑制することができる。
【0033】
このように、本実施形態のポンプ式吐出具1では、装着キャップ10と押下げヘッド30との間に装着されて押下げヘッド30の下方への移動を阻止するストッパ部材40を有する構成において、このストッパ部材40に、押下げヘッド30に設けられた嵌合部34に嵌合可能な被嵌合部43を一体に設けるようにしたので、ストッパ部材40を、装着キャップ10と押下げヘッド30との間から取り外し、被嵌合部43を嵌合部34に嵌合させることで、ストッパ部材40を、ポンプ式吐出具1を手摺やフックなどに吊り下げるための吊り下げ用の引っ掛け部として機能させることができる。したがって、部品点数を増やすことなく、ポンプ式吐出具1を用いた吐出容器3を、手摺やフックなどに吊り下げて使用することが可能なものとすることができる。また、このポンプ式吐出具1のコストを低減することができる。
【0034】
図2図6に示すように、本実施形態では、嵌合部34は、上下方向に延びる溝状である。より具体的には、嵌合部34は、スカート部33の外周面に径方向外側に突出して一体に設けられた段部35の内部に設けられた溝状のものである。嵌合部34は、縦長のスリット状の開口34aと、開口34aの内側に連なる断面円弧状の内部空間34bとを有し、その断面形状は、開口34aの周方向幅が内部空間34bの周方向幅よりも狭いT字形状となっている。
【0035】
これに対し、図2図3図6に示すように、本実施形態では、被嵌合部43は、ストッパ部材40の周方向の一端部における外周面からストッパ部材40の接線方向に延びる突起状である。より具体的には、被嵌合部43は、ストッパ部材40の接線方向に延びるとともに嵌合部34の内部空間34bに対応した円弧形状の差込み部43aと、嵌合部34の開口34aに対応した幅の板状であり、差込み部43aとストッパ部材40の外周面との間に連接された連接部43bとを有する断面T字形状となっている。
【0036】
図4に示すように、上記形状の被嵌合部43は、嵌合部34に下方側からスライド式に嵌合する。図6に示すように、被嵌合部43が嵌合部34に嵌合すると、差込み部43aが内部空間34bの内部に配置されるとともに連接部43bは開口34aに配置された状態でストッパ部材40は押下げヘッド30に取り付けられる。このとき、被嵌合部43はストッパ部材40の接線方向に延びているので、図5に示すように、ストッパ部材40は、その軸線が水平方向を向くとともに、スリット部41が下方を向く姿勢となって押下げヘッド30に支持される。したがって、押下げヘッド30に支持されたストッパ部材40は、下向き開口のフック形状となるので、例えば浴室に設けられた手摺やフックなどにストッパ部材40を容易且つ確実に引っ掛けることができる。
【0037】
図2図3図5に示すように、ストッパ部材40は、ストッパ部材40の周方向の一端部からストッパ部材40の径方向外側に向けて突出する支持フランジ44が一体に設けられた構成とすることもできる。図示する場合では、支持フランジ44は先端がスカート部33の外周面に対応した湾曲形状の凹みを備えた形状とされている。
【0038】
図5に示すように、被嵌合部43が嵌合部34に嵌合し、ストッパ部材40が押下げヘッド30に固定されると、支持フランジ44はスカート部33の下端(被支持突起33aが設けられた場合には、スカート部33の下端及び被支持突起33aの下面)と支持筒部13に設けられた支持突起13aの下面とに当接する。したがって、例えば浴室に設けられた手摺やフックなどにストッパ部材40を引っ掛けてポンプ式吐出具1を用いた吐出容器3を手摺やフックなどに吊り下げたときに、押下げヘッド30のスカート部33に加えて装着キャップ10の支持筒部13が支持突起13aを介して支持フランジ44によって下方側から支持されるようにして、ストッパ部材40が固定されたスカート部33及びヘッド本体部31(すなわち押下げヘッド30)が吐出容器3の自重によってステム21から抜けて容器本体2が落下してしまうことを防止することができる。
【0039】
図7~9に変形例として示すように、ポンプ式吐出具1は、押下げヘッド30のスカート部33の外周面に設けられる嵌合部34が、上下方向に延びる溝状の第1嵌合部34Aと、第1嵌合部34Aに対してステム21の軸線Oを中心とした周方向にずれて設けられた上下方向に延びる溝状の第2嵌合部34Bと、を有し、ストッパ部材40に設けられる被嵌合部43が、ストッパ部材40の周方向の一端部に一体に設けられた突起状の第1被嵌合部43Aと、ストッパ部材40の周方向の他端部に一体に設けられた突起状の第2被嵌合部43Bと、を有する構成とすることもできる。
【0040】
この場合、第1嵌合部34A及び第2嵌合部34Bは、それぞれ段部35の内部に設けられた溝状のものである。第1嵌合部34Aは、縦長のスリット状の開口34A1と、開口34A1の内側に連なる断面円弧状の内部空間34A2とを有し、その断面形状は、開口34A1に対して内部空間34A2が周方向外側に向けて延びるL字形状となっている。同様に、第2嵌合部34Bは、縦長のスリット状の開口34B1と、開口34B1の内側に連なる断面円弧状の内部空間34B2とを有し、その断面形状は、開口34B1に対して内部空間34B2が周方向外側に向けて延びるL字形状となっている。なお、第1嵌合部34Aと第2嵌合部34Bは、軸線Oを挟んで対称な形状である。
【0041】
一方、第1被嵌合部43A及び第2被嵌合部43Bは、それぞれストッパ部材40の周方向の端部から径方向外側に向けて突出するとともにストッパ部材40の軸線方向(スリット部41に沿う方向)に延びる突起状となっている。第1被嵌合部43A及び第2被嵌合部43Bは、それぞれ第1嵌合部34Aないし第2嵌合部34Bの内部空間34A2、34B2に対応した円弧状の差込み部43A1、43B1と、第1嵌合部34Aないし第2嵌合部34Bの開口34A1、34B1に対応した周方向幅の板状の連接部43A2、43B2とを有し、その断面形状は、第1嵌合部34Aないし第2嵌合部34Bに対応したL字形状となっている。
【0042】
この変形例のポンプ式吐出具1においても、流通時等の不使用時においては、図7に示すように、ストッパ部材40を装着キャップ10と押下げヘッド30のスカート部33との間に装着することで、押下げヘッド30の下方への移動を阻止して液体が不意に吐出されることを防止することができる。
【0043】
一方、図8図9に示すように、ストッパ部材40を装着キャップ10と押下げヘッド30のスカート部33との間から取り外し、第1被嵌合部43Aを第1嵌合部34Aに下方側からスライド式に嵌合させるとともに第2被嵌合部43Bを第2嵌合部34Bに下方側からスライド式に嵌合させることで、ストッパ部材40を押下げヘッド30に取り付けることができる。すなわち、図9に示すように、差込み部43A1、43B1がそれぞれ内部空間34A2、34B2の内部に配置されるとともに連接部43A2、43B2が開口34A1、34B1に配置されることで、ストッパ部材40は押下げヘッド30に取り付けられる。このとき、第1被嵌合部43A及び第2被嵌合部43Bは、それぞれストッパ部材40の周方向の端部にストッパ部材40の軸線に沿って延びて設けられているので、図8に示すように、ストッパ部材40は、その軸線を上下方向に向けた姿勢となるとともに、スリット部41の部分がスカート部33により閉塞された環状の形態となって押下げヘッド30に支持される。したがって、押下げヘッド30に支持されたストッパ部材40を、例えば浴室に設けられた上向きのフックやS字フックなどに容易且つ確実に引っ掛けることができる。
【0044】
この変形例のポンプ式吐出具1においては、ストッパ部材40は、第1被嵌合部43Aの下端から径方向外側に向けて突出する第1支持フランジ44Aと、第2被嵌合部43Bの下端から径方向外側に向けて突出する第2支持フランジ44Bと、が一体に設けられた構成とすることもできる。
【0045】
図8に示すように、第1被嵌合部43Aが第1嵌合部34Aに嵌合し、第2被嵌合部43Bが第2嵌合部34Bに嵌合してストッパ部材40が押下げヘッド30に固定されると、第1支持フランジ44Aと第2支持フランジ44Bは、それぞれスカート部33の下端(被支持突起33aが設けられた場合には、スカート部33の下端及び被支持突起33aの下面)と支持筒部13に設けられた支持突起13aの下面とに当接する。したがって、例えば浴室に設けられた手摺やフックなどにストッパ部材40を引っ掛けてポンプ式吐出具1を用いた吐出容器3を上向きフックやS字フックなどに吊り下げたときに、押下げヘッド30のスカート部33に加えて装着キャップ10の支持筒部13が支持突起13aを介して第1支持フランジ44Aと第2支持フランジ44Bとによって下方側から支持されるようにして、ストッパ部材40が固定されたスカート部33及びヘッド本体部31(すなわち押下げヘッド30)が吐出容器3の自重によってステム21から抜けて容器本体2が落下してしまうことを防止することができる。
【0046】
図9図10に示すように、この変形例のポンプ式吐出具1においては、ストッパ部材40のスリット部41とは反対側を向く背面に、ストッパ部材40の軸方向の一方の端部(図10において下端)から他方の端部に向けて所定の長さで延びる切欠き溝45を設けた構成とすることもできる。図示する場合では、切欠き溝45は、ストッパ部材40の軸方向の一方の端部(図10において下端)からストッパ部材40の軸方向幅の半分程度の位置にまで一定の幅で延び、その端部は半円形状とされている。切欠き溝45の一定の幅は、例えばS字フックを挿通可能な幅とすることができる。このような構成により、押下げヘッド30に取り付けられたストッパ部材40を、切欠き溝45の部分においてS字フックに引っ掛けることで、ポンプ式吐出具1を用いた吐出容器3をS字フックに容易且つ確実に吊り下げることができる。
【0047】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0048】
例えば、前記実施形態では、装着キャップ10が支持筒部13を有するとともに押下げヘッド30がスカート部33を有し、ストッパ部材40が装着キャップ10の天壁部12とスカート部33との間において支持筒部13の外側に装着される構成としたが、これに限らず、スカート部33及び支持筒部13が設けられない構成であってもよい。この場合、ストッパ部材40は、装着キャップ10の天壁部12と押下げヘッド30のヘッド本体部31との間においてステム21に装着される構成であればよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ポンプ式吐出具
2 容器本体
2a 口部
3 吐出容器
10 装着キャップ
11 円筒状部
12 天壁部
13 支持筒部
13a 支持突起
20 ポンプ
21 ステム
22 吸引パイプ
30 押下げヘッド
31 ヘッド本体部
32 ノズル
32a 吐出口
33 スカート部
33a 被支持突起
34 嵌合部
34a 開口
34b 内部空間
34A 第1嵌合部
34A1 開口
34A2 内部空間
34B 第2嵌合部
34B1 開口
34B2 内部空間
35 段部
40 ストッパ部材
41 スリット部
42 リブ
43 被嵌合部
43a 差込み部
43b 連接部
43A 第1被嵌合部
43A1 差込み部
43A2 連接部
43B 第2被嵌合部
43B1 差込み部
43B2 連接部
44 支持フランジ
44A 第1支持フランジ
44B 第2支持フランジ
45 切欠き溝
O 軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10