(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051920
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 48/02 20090101AFI20240404BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240404BHJP
H04W 4/16 20090101ALI20240404BHJP
H04W 48/08 20090101ALI20240404BHJP
H04W 88/00 20090101ALI20240404BHJP
【FI】
H04W48/02
H04W84/12
H04W4/16
H04W48/08
H04W88/00
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158316
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 瞭
(72)【発明者】
【氏名】大橋 優
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD25
5K067HH21
5K067JJ31
(57)【要約】
【課題】無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部を、設定が必要なときに、設定を行う端末装置から検出できるようにし、当該通信部の設定が不要なときに、設定を行う端末装置から検出できないようにする。
【解決手段】無線通信システムは、IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する通信システムであって、前記制御部は、前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させ、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する無線通信システムであって、
前記制御部は、
前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させ、
前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる、
無線通信システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ステーションによる前記第1のアクセスポイントへの接続が切断した後に、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を再開させる、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記ステーションによる前記第1のアクセスポイントへの接続が切断した状態が、予め定められた第1の時間以上継続した場合、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を再開させる、請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した状態が、予め定められた第2の時間以上継続した場合、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信部の前記第2のアクセスポイントのステルス機能を有効にすることにより、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる、請求項1又は4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信部の前記第2のアクセスポイントの機能を停止させることにより、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる、請求項1又は4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記通信部の前記第2のアクセスポイントの機能を停止させるときに、前記第2のアクセスポイントが通信中である場合、前記第2のアクセスポイントの機能の停止を延期、又は中止する、請求項6に記載の無線通信システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させるか否かを、端末装置から設定可能である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項9】
前記ネットワーク識別子は、前記第2のアクセスポイントのSSIDを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無線通信システム。
【請求項10】
IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する無線通信システムにおいて、
前記制御部が、
前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させ、
前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる、
無線通信方法。
【請求項11】
IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する無線通信システムにおいて、
前記制御部に、
前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させる処理と、
前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる処理と、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システム、無線通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)通信のアクセスポイントとして動作するモード(以下、APモードと呼ぶ)、及び無線LAN通信のステーションとして動作するモード(以下、STAモードと呼ぶ)で動作可能な無線通信装置がある。
【0003】
例えば、無線ネットワークI/F(Interface)をAPモードで起動して無線LAN通信の設定情報を受信し、無線LAN通信の設定情報が受信すると、無線ネットワークI/FをSTAモードに切り替える情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された技術では、無線LAN通信を行う通信部(ネットワークI/F)をSTAモードに切り替えた後に、通信部の設定を変更したい場合、例えば、通信部をリセットしてAPモードで再起動しなければならないという問題がある。
【0006】
この問題に対して、例えば、無線LAN通信を行う通信部を、STAモード、及びAPモードで同時に動作させることにより、STAモードで他のアクセスポイントに接続しつつ、APモードで設定用の端末装置から設定を受け付けることができるようになる。
【0007】
しかし、この方法だけでは、例えば、通信部の設定後も、設定を行った端末装置に通信部のAPのネットワーク識別子が表示されてしまう、或いは、設定を行った端末装置が誤って通信部のAPに接続してしまう等の問題がある。
【0008】
本開示は、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部を、設定が必要なときに、設定を行う端末装置から検出できるようにし、当該通信部の設定が不要なときに、設定を行う端末装置から検出できないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様に係る無線通信システムは、IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する無線通信システムであって、前記制御部は、前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させ、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部を、設定が必要なときに、設定を行う端末装置から検出できるようにし、当該通信部の設定が不要なときに、設定を行う端末装置から検出できないようにすることができる。
【0011】
本開示の第2の態様は、第1の態様に記載の無線通信システムであって、前記制御部は、前記ステーションによる前記第1のアクセスポイントへの接続が切断した後に、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を再開させる。これにより、例えば、通信部の接続先のアクセスポイントを変更したい場合等、接続先のアクセスポイントを停止させるだけで、設定を行う端末装置から通信部のAPを検出できるようになる。
【0012】
本開示の第3の態様は、第1又は第2の態様に記載の無線通信システムであって、前記制御部は、前記ステーションによる前記第1のアクセスポイントへの接続が切断した状態が、予め定められた第1の時間以上継続した場合、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を再開させる。これにより、例えば、電波状態の変化等による誤動作により、第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を再開してしまうことを低減することができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれかに記載の無線通信システムであって、前記制御部は、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した状態が、予め定められた第2の時間以上継続した場合、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。これにより、設定を行う端末装置は、通信部が他のアクセスポイントに接続後、所定の期間、端末装置の設定を変更することが容易になる。
【0014】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれかに記載の無線通信システムであって、前記制御部は、前記通信部の前記第2のアクセスポイントのステルス機能を有効にすることにより、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。
【0015】
本開示の第6の態様は、第1~第4の態様のいずれかに記載の無線通信システムであって、前記制御部は、前記通信部の前記第2のアクセスポイントの機能を停止させることにより、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。
【0016】
本開示の第7の態様は、第6の態様に記載の無線通信システムであって、前記制御部は、前記通信部の前記第2のアクセスポイントの機能を停止させるときに、前記第2のアクセスポイントが通信中である場合、前記第2のアクセスポイントの機能の停止を延期、又は中止する。これにより、設定を行う端末装置が、通信部と通信を行っている場合(ユーザが端末装置を用いて設定を行っている場合)、通信部は、端末装置との通信を維持することができる。
【0017】
本開示の第8の態様は、第1~第7の態様のいずれかに記載の無線通信システムであって、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによる前記ネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させるか否かを、前記端末装置から設定可能である。
【0018】
本開示の第9の態様は、第1~第7の態様のいずれかに記載の無線通信システムであって、前記ネットワーク識別子は、前記第2のアクセスポイントのSSIDを含む。
【0019】
本開示の第10の態様に係る無線通信方法は、IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する無線通信システムにおいて、前記制御部が、前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させ、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。
【0020】
本開示の第11の態様に係るプログラムは、IoT機器を無線LAN通信の第1のアクセスポイントに接続する通信部と、制御部とを有する無線通信システムにおいて、前記制御部に、前記通信部を、前記第1のアクセスポイントに接続する前記無線LAN通信のステーション、及び前記無線LAN通信の第2のアクセスポイントとして機能させる処理と、前記ステーションが前記第1のアクセスポイントに接続した後に、前記第2のアクセスポイントによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる処理と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る無線通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係る無線通信システムのシステム構成の別の一例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図5】第2の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図6】第3の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図7】第4の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】第4の実施形態に係る設定画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0023】
<システム構成>
図1は、一実施形態に係る無線通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1の例では、無線通信システム1は、空調装置100と、空調装置100に接続された通信装置110とを含む。
【0024】
空調装置100は、IoT(Internet of Things)機器の一例である。空調装置100は、例えば、空調システムの室内機等である。ただし、これに限られず、空調装置100は、例えば、監視カメラ、センサ、給湯器、照明機器、産業機器、又は家電製品等の様々なIoT機器であってもよい。ここでは、空調装置100が、空調システムの室内機であるものとして、以下の説明を行う。
【0025】
通信装置110は、空調装置100等のIoT機器に、無線LAN(Local Area Network)通信機能を追加するための、例えば、無線LANアダプタ等の無線通信装置である。通信装置110は、例えば、無線LAN通信のステーション(以下、STAと呼ぶ)の機能と、無線LAN通信のアクセスポイント(以下、APと呼ぶ)の機能とを有する通信部111と、通信部111を制御する制御部112とを有する。
【0026】
制御部112は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、所定のプログラムを実行することにより、通信部111を制御する。なお、制御部112は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のデバイスであってもよい。
【0027】
制御部112は、例えば、通信装置110が起動した場合、又は通信装置110がルーター20の第1のAPに接続していない場合、通信部111を無線LAN通信のSTA、及び無線LAN通信の第2のAPとして機能させる。これにより、制御部112は、通信部111の第2のAPに無線LAN通信で接続する端末装置120から、通信装置110が接続すべきルーター20の第1のAPの設定等を受け付けることができる。
【0028】
また、制御部112は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに接続した後、通信部111の第2のAPによるネットワーク識別子のブロードキャスト送信を停止させる。例えば、制御部112は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに所定の時間以上接続した場合、通信部111の第2のAPによるSSID(Service Set Identifier)のブロードキャスト送信を停止させる。なお、SSIDは、ネットワーク識別子の一例である。ネットワーク識別子は、例えば、ESSID(Extended Service Set Identifier)等の他のネットワーク識別子であってもよい。
【0029】
上記の処理により、ユーザは、端末装置120に、無線通信システム1に対応したアプリケーション(以下、アプリと呼ぶ)をインストールし、通信部111の第2のAPに接続することにより、アプリを用いて通信部111の設定を行うことができる。例えば、ユーザは、通信装置110を起動したときに、端末装置120にインストールしたアプリを用いて、通信部111に、ルーター20の第1のAPに接続するための設定を行うことができる。
【0030】
また、通信装置110は、ルーター20の第1のAPに所定の時間以上接続すると、通信部111の第2のAPによるSSIDのブロードキャスト送信を停止する。従って、通信装置110の設定を行った端末装置120に、通信部111の第2のAPのSSIDが表示されてしまうこと、及び設定を行った端末装置120が、誤って通信部111の第2のAPに接続してしまうこと等を抑制することができる。
【0031】
さらに、ユーザは、通信装置110が接続する接続先のルーター20を変更したい場合、例えば、ルーター20の電源をオフする。これにより、通信装置110は、通信部111の第2のAPによるSSIDのブロードキャスト送信を再開する。従って、ユーザは、端末装置120にインストールしたアプリを用いて、通信装置110に、新たなルーター20の第1のAPに接続するための設定を行うことができる。
【0032】
このように、本実施形態によれば、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部111を、設定が必要なときに、端末装置120から検出できるようにし、通信部111の設定が不要なときに、端末装置120から検出できないようにすることができる。
【0033】
なお、
図1に示した無線通信システム1のシステム構成は一例である。例えば、
図1の例では、通信部111を制御する制御部112を通信装置110が有しているが、通信部111を制御する制御部112は、空調装置100が有していてもよい。また、空調装置100は、例えば、
図2に示すように、通信部111、及び制御部112を有していてもよい。
【0034】
図2は、一実施形態に係る無線通信システムのシステム構成の別の一例を示す図である。
図2の例では、空調装置100が、
図1で説明した通信部111、及び制御部112を有している。なお、
図2における通信部111、及び制御部112が実行する処理は、
図1で説明した通信部111、及び制御部112が実行する処理と同様でよい。
【0035】
<ハードウェア構成>
通信装置110、及び空調装置100は、例えば、
図3に示すようなコンピュータ300のハードウェア構成を有している。
図3は一実施形態に係るコンピュータのハードウェア構成の例を示す図である。コンピュータ300は、例えば、制御部112、メモリ301、ストレージデバイス302、通信装置303、出力装置304、入力装置305、ドライブ装置306、及びバス308等を有している。
【0036】
制御部112は、例えば、ストレージデバイス302、又はメモリ301等の記憶媒体に記憶した所定のプログラムを実行することにより、様々な機能を実現するCPU等のプロセッサである。なお、制御部112は、CPU以外にも、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含んでいてもよい。
【0037】
メモリ301は、例えば、制御部112のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、及び制御部112の起動用のプログラム等を記憶する不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)等を含む。ストレージデバイス302は、OS(Operating System)、アプリケーション等のプログラム、及び各種のデータ等を記憶する不揮発性の大容量の記憶装置であり、例えば、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュROM等によって実現される。
【0038】
通信装置303は、他の装置と通信するための様々な通信インタフェースを含む。例えば、コンピュータ300が
図1の通信装置110である場合、通信装置303には、無線LAN通信を行う通信部111、及び空調装置100と通信するためのインタフェース等が含まれる。また、コンピュータ300が、
図2の空調装置100である場合、通信装置303には、無線LAN通信を行う通信部111が含まれる。
【0039】
出力装置304は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、又はLED(Light Emitting Diode)等の外部へ出力を行う出力デバイスである。入力装置305は、例えば、タッチパネル、キーボード、又はポインティングデバイス等の外部からの入力を受け付ける入力デバイスである。なお、出力装置304と入力装置305は、例えば、タッチパネルディスプレイ等、出力装置304と入力装置305が一体化された表示入力装置であってもよい。
【0040】
ドライブ装置306は、記憶媒体(記録媒体)307をコンピュータ300に接続するためのデバイスである。ここでいう記憶媒体307には、例えば、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記憶媒体307には、例えば、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。バス308は、上記の各構成要素に共通に接続され、例えば、アドレス信号、データ信号、及び各種の制御信号等を伝送する。
【0041】
<処理の流れ>
続いて、本実施形態に係る無線通信方法の処理の流れについて説明する。
【0042】
[第1の実施形態]
図4は、第1の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図1の通信装置110と空調装置100の電源をオンしたとき、又は
図2の空調装置100の電源をオンしたとき等に、無線通信システム1が実行する処理の一例を示している。
【0043】
ステップS401において、制御部112は、通信部111を、第1のアクセスポイント(AP)に接続する無線LAN通信のステーション(STA)、及び無線LANの第2のアクセスポイント(AP)として機能させる。この状態を、本実施形態ではSTA+AP状態と呼ぶ。STA+AP状態では、通信部111の第2のAPは、第2のAPのSSID(ネットワーク識別子の一例)をブロードキャスト送信する。
【0044】
ステップS402において、制御部112は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに接続したか否かを判断する。例えば、通信部111に第1のAPの情報が設定されていない場合、或いは、通信部111に設定された第1のAPが動作していない場合等に、通信部111のSTAは、ルーター20の第1のAPに接続することができない。
【0045】
通信部111のSTAが第1のAPに接続していない場合、制御部112は、処理をステップS403に移行させる。一方、通信部111のSTAが第1のAPに接続した場合、制御部112は、処理をステップS406に移行させる。
【0046】
ステップS403に移行し、通信部111の第2のAPに端末装置120が接続すると、ステップS404において、制御部112は、端末装置120から第1のAPの情報の設定を受け付ける。
【0047】
例えば、ステップS403において、ユーザは、端末装置120の無線LANの設定画面から、通信部111の第2のAPが送信するSSIDを選択して、パスワードを入力すること等により、端末装置120を通信部111の第2のAPに接続する。
【0048】
また、ステップS404において、ユーザは、例えば、アプリの設定画面等から、ルーター20の第1のAPの情報(例えば、SSID、パスワード等)を設定する。
【0049】
ステップS405において、制御部112は、設定された第1のAPの情報を用いて、通信部111のSTAが、第1のAPへの接続に成功したか否かを判断する。例えば、端末装置120から受け付けた第1のAPの情報に誤りがある場合、通信部111のSTAは、第1のAPに接続することができない。
【0050】
通信部111のSTAが第1のAPへの接続に成功した場合、制御部112は、処理をステップS406に移行させる。一方、通信部111のSTAが第1のAPへの接続に成功しない場合、例えば、制御部112は、処理をステップS404に戻す。
【0051】
ステップS406に移行すると、制御部112は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに所定の時間T2(第2の時間)以上接続したか否かを判断する。所定の時間T2は、例えば、ユーザが、通信部111に設定を行うために十分な時間が予め設定されているものとする。
【0052】
通信部111のSTAが第1のAPに所定の時間T2以上接続した場合、制御部112は処理をステップS407に移行させる。一方、通信部111のSTAが第1のAPに所定の時間T2以上接続していない場合、制御部112はステップS406の処理を繰り返し実行する。
【0053】
ステップS407に移行すると、制御部112は、通信部111を、第1のAPに接続する無線LAN通信のSTAとして機能させる。このとき、制御部112は、通信部111の第2のAPの機能を停止させる。この状態を、本実施形態ではSTA状態と呼ぶ。これにより、制御部112は、通信部111の第2のAPによるSSID(ネットワーク識別子の一例)のブロードキャスト送信を停止させることができる。
【0054】
ステップS408において、制御部112は、通信部111のSTAとルーター20の第1のAPとの間の切断が、所定の時間T1(第1の時間)以上続いたか否かを判断する。例えば、制御部112は、通信部111のSTAが、設定された第1のAPからの無線LAN通信の電波を、所定の時間T1以上受信できない場合、第1のAPとの間の切断が所定の時間T1以上続いたと判断する。ここで、所定の時間T1は、例えば、通信装置110の周辺に設定済の第1のAPがないと判断するための時間が予め設定されているものとする。
【0055】
第1のAPとの間の切断が所定の時間T1以上続いていない場合、制御部112は、処理をステップS407に戻して、通信部111のSTA状態を継続する。一方、第1のAPとの間の切断が所定の時間T1以上続いた場合、制御部112は、処理をステップS401に戻して、通信部111をSTA+AP状態とする。これにより、通信部111の第2のAPは、第2のAPのSSIDのブロードキャスト送信を再開する。
【0056】
図4の処理により、無線通信システム1は、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部111を、設定が必要なときに、端末装置120から検出できるようにし、設定が不要なときに、端末装置120から検出できないようにすることができる。
【0057】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図1の通信装置110と空調装置100の電源をオンしたとき、又は
図2の空調装置100の電源をオンしたとき等に、無線通信システム1が実行する処理の別の一例を示している。
【0058】
なお、
図5に示した処理のうち、ステップS401~S406、S408の処理は、
図4で説明した第1の実施形態に係る無線通信システムの処理と同様なので、ここでは説明を省略する。また、ここでは、第1の実施形態と同様の処理に対する詳細な説明は省略する。
【0059】
図5のステップS406からステップS501に移行すると、制御部112は、通信部111の第2のAPを、ステルスモードに設定する(ステルス機能を有効に設定する)。ステルスモードとは、第2のAPがSSIDをブロードキャスト送信するビーコン信号を停止して、端末装置120等のSTAからSSIDを参照できないようにするモードである。なお、ステルスモードは、例えば、ステルス機能、SSIDステルス、ステルスSSID、又はSSIDの隠蔽機能等と呼ばれる場合がある。この状態を、本実施形態では、STA+ステルスAP状態と呼ぶ。
【0060】
この処理により、制御部112は、ステップS501において、通信部111の第2のAPによるSSID(ネットワーク識別子の一例)のブロードキャスト送信を停止させることができる。
【0061】
図5の処理により、無線通信システム1は、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部111を、設定が必要なときに、端末装置120から検出できるようにし、設定が不要なときに、端末装置120から検出できないようにすることができる。
【0062】
[第3の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図1の通信装置110と空調装置100の電源をオンしたとき、又は
図2の空調装置100の電源をオンしたとき等に、無線通信システム1が実行する処理の別の一例を示している。
【0063】
なお、
図6に示した処理のうち、ステップS401~S405、S408の処理は、
図4で説明した第1の実施形態に係る無線通信システムの処理と同様なので、ここでは説明を省略する。また、ここでは、第1の実施形態と同様の処理に対する詳細な説明は省略する。
【0064】
ステップS601に移行すると、制御部112は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに所定の時間T2以上接続したか否かを判断する。第1のAPに所定の時間T2以上接続した場合、制御部112は処理をステップS602に移行させる。一方、第1のAPに所定の時間T2以上接続していない場合、制御部112はステップS601の処理を繰り返し実行する。
【0065】
ステップS602に移行すると、制御部112は、通信部111の第2のAPが通信中であるか否かを判断する。
【0066】
本実施形態では、通信部111の第2のAPは、端末装置120から、通信部111の初期設定を行うために用いられる。一方、端末装置120から、空調装置100の設定を行う場合、端末装置120を無線LAN通信でルーター20に接続して、ルーター20経由で空調装置100の設定を行う。或いは、端末装置120を、LTE(Long Term Evolution)、又は5G(5th Generation)等の無線WAN(Wide Area Network)通信で通信ネットワーク2に接続して、サーバ装置10経由で空調装置100の設定を行うこともできる。従って、制御部112は、通信部111の第2のAPが通信中である場合、端末装置120から通信部111を初期設定中と判断することができる。
【0067】
第2のAPが通信中でない場合、制御部112は、処理をステップS603に移行させる。一方、第2のAPが通信中である場合、制御部112は、例えば、第2のAP通信中でなくなるまで、ステップS602の処理を繰り返し実行することにより、ステップS603への移行を延期する。別の一例として、制御部112は、第2のAPが通信中である場合、ステップS603への移行を中止して、処理をステップS601に戻してもよい。
【0068】
ステップS603に移行すると、制御部112は、通信部111を、STA状態として、通信部111の第2のAPの機能を停止させる。
【0069】
このように、第3の実施形態では、制御部112は、通信部111の第2のAPの機能停止させるときに、第2のAPが通信中である場合、第2のAPの機能の停止を延期、又は中止する。
【0070】
このように、第3の実施形態によれば、ユーザが端末装置120を用いて、通信部111の初期設定を行っている場合、通信部111の第2のAPの機能を停止する処理を延期、又は中止することができるので、ユーザの利便性を向上することができる。
【0071】
[第4の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る無線通信システムの処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、
図1の通信装置110と空調装置100の電源をオンしたとき、又は
図2の空調装置100の電源をオンしたとき等に、無線通信システム1が実行する処理の別の一例を示している。
【0072】
なお、
図7に示した処理のうち、ステップS401、S402~S405の処理は、
図4で説明した第1の実施形態に係る無線通信システムの処理と同様なので、ここでは説明を省略する。また、ここでは、第1の実施形態と同様の処理に対する詳細な説明は省略する。
【0073】
ステップS701において、制御部112は、「SSID常時出力」機能が有効に設定されているか否かを判断する。第4の実施形態では、例えば、端末装置120にインストールしたアプリの設定画面から、「SSID常時出力」機能を有効、又は無効に設定することができるものとする。
【0074】
図8は、第4の実施形態に係る設定画面の例を示す図である。ユーザは、例えば、端末装置120において、無線通信システム1に対応するアプリを起動することにより、
図8に示すような設定画面800を表示することができる。
図8の例では、設定画面800に、「SSID常時出力」機能の設定スイッチ801が表示されている。ユーザは、この設定スイッチ801の設定により、「SSID常時出力」機能を有効、又は無効に設定することができる。
【0075】
SSID常時出力機能が有効に設定されている場合、制御部112は、処理をステップS702に移行させる。一方、SSID常時出力機能が無効に設定されている場合、制御部112は、処理をステップS402に移行させる。
【0076】
ステップS702に移行すると、制御部112は、ステップS402以降の処理を実行せず、通信部111をSTA+AP状態のまま維持する。
【0077】
一方、ステップS402に移行し、ステップS402~S405の処理で、通信部111が、ルーター20の第1のAPに接続すると、制御部112は、ステップS711以降の処理を実行する。
【0078】
ステップS711に移行すると、制御部112は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに所定の時間T2(第2の時間)以上接続したか否かを判断する。第1のAPに所定の時間T2以上接続した場合、制御部112は処理をステップS712に移行させる。一方、1のAPに所定の時間T2以上接続していない場合、制御部112はステップS711の処理を繰り返し実行する。
【0079】
ステップS712に移行すると、制御部112は、通信部111を、前述したSTA状態、又はSTAステルスAP状態とする。これにより、通信部111の第2のAPは、SSIDのブロードキャスト送信を停止する。
【0080】
ステップS713において、制御部112は、通信部111のSTAとルーター20の第1のAPとの間の切断が、所定の時間T1(第1の時間)以上続いたか否かを判断する。第1のAPとの間の切断が所定の時間T1以上続いていない場合、制御部112は、処理をステップS712の処理を繰り返し実行する。一方、第1のAPとの間の切断が所定の時間T1以上続いた場合、制御部112は、処理をステップS714に移行させる。
【0081】
ステップS714において、制御部112は、通信部111をSTA+AP状態として、通信部111の第2のAPによるSSIDのブロードキャスト送信を再開させた後に、処理をステップ402に戻す。
【0082】
図7の処理により、無線通信システム1は、通信部111のSTAが、ルーター20の第1のAPに接続した後に、通信部111の第2のAPによるSSIDのブロードキャスト送信を停止させるか否かを、端末装置120から設定可能となる。
【0083】
以上、本開示の各実施形態によれば、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部111を、設定が必要なときに、端末装置120から検出できるようにし、設定が不要なときに、端末装置120から検出できないようにすることができる。
【0084】
なお、本開示の各実施形態は、空調装置100に限られず、無線LAN通信のSTA、及びAPとして機能する通信部111を用いて、サーバ装置10等と通信を行う様々なIoT機器に適用することができる。
【0085】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0086】
1 無線通信システム
10 サーバ装置
20 ルーター
100 空調装置(IoT機器の一例)
110 通信装置
120 端末装置
111 通信部
112 制御部
120 端末装置