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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051921
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】回転電機、送風機、圧縮機、冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158317
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】浅利 司
(72)【発明者】
【氏名】浅野 能成
(72)【発明者】
【氏名】木戸 尚宏
(72)【発明者】
【氏名】日比野 寛
(72)【発明者】
【氏名】中増 伸
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩和
(72)【発明者】
【氏名】柳田 靖人
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA23
5H601BB11
5H601BB12
5H601CC01
5H601DD02
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE03
5H601EE14
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA38
5H601GA39
5H601GA40
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB26
5H601GB33
5H601GB48
5H601JJ10
5H601KK17
(57)【要約】
【課題】回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るモータ1は、回転軸心AX回りに回転自在に構成されるロータ20と、ロータ20と径方向で対向するステータ10と、を備え、ステータ10は、軟磁性材料で構成されるステータコア11と、コイル12とを含み、ステータコア11は、径方向に延び、コイル12が巻き回されるティース本体部11B1、及びティース本体部11B1の先端に設けられ、ロータ20と径方向で対向する磁極部11B2を有する主ティース11Bと、主ティース11Bの軸方向に隣接して配置されロータ20と径方向で対向する磁極部11C1、及び磁極部11C1と接続又は一体に形成され、径方向又は周方向で主ティース11Bとコイル12との間に配置される保持部11C2,11C3,11C5を有する付加ティース11Cと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸心回りに回転自在に構成される回転子と、
前記回転子と径方向で対向する固定子と、を備え、
前記固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線と、を含み、
前記鉄心は、径方向に延び、前記巻線が巻き回される本体部、及び前記本体部の先端に設けられ、前記回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、前記回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び前記第2の磁極部と接続又は一体に形成され、径方向又は周方向で前記第1の鉄心と前記巻線との間に配置される周辺部を有する第2の鉄心と、を含む、
回転電機。
【請求項2】
前記第1の磁極部は、前記本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備え、
前記周辺部は、前記鍔部と前記巻線との間に配置される、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
前記周辺部は、前記本体部と前記巻線との間に配置される、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項4】
回転軸心回りに回転自在に構成される回転子と、
前記回転子と径方向で対向する固定子と、を備え、
前記固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線とを含み、
前記鉄心は、径方向に延び、前記巻線が巻き回される本体部、及び前記本体部の先端に設けられ、前記回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、前記回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び前記第2の磁極部と接続又は一体に形成される周辺部を有する第2の鉄心と、を含み、
前記周辺部は、前記第1の鉄心と径方向又は周方向で対向する対向面を有し、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心は、前記第2の磁極部と前記第1の鉄心との間で前記対向面を通じた磁路を有する、
回転電機。
【請求項5】
前記第1の磁極部は、前記本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備え、
前記対向面は、前記周辺部と前記鍔部が径方向で対向する面を含む、
請求項4に記載の回転電機。
【請求項6】
前記対向面は、前記周辺部と前記本体部が周方向で対向する面を含む、
請求項4に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第2の磁極部は、前記第1の鉄心の軸方向の両端のうちの一端のみに隣接して配置される、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記第2の磁極部は、前記第1の鉄心の軸方向の両端のそれぞれに隣接して配置される、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記周辺部の軸方向の寸法は、前記第2の磁極部の軸方向の寸法よりも長い、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記周辺部における前記第1の鉄心と周方向又は径方向で隣接している部分の軸方向の寸法は、前記第1の鉄心の軸方向の寸法と同じである、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項11】
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の面積は、前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が軸方向で対向する面の面積よりも大きい、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項12】
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の間の磁気抵抗は、前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が軸方向で対向する面の間の磁気抵抗よりも小さい、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項13】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機を搭載する、
圧縮機。
【請求項14】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機を搭載する、
送風機。
【請求項15】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の回転電機を搭載する、
冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機等に関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機の軸方向において、ステータコアにおける巻線が配置されるティースの先端の磁極部をティースより外側に拡張(延長)し、回転電機の駆動力や駆動効率を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/47895号
【特許文献2】特開2014-124007号公報
【特許文献3】特開2007-104781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ティースの先端の拡張部分を通過する磁束は、ティースの軸方向の端部に集中し易く、その結果、ティースの軸方向の端部が磁気飽和に至る可能性がある。そのため、ティースの先端の拡張部分による効果(駆動力や駆動効率の向上)が減少してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様では、
回転軸心回りに回転自在に構成される回転子と、
前記回転子と径方向で対向する固定子と、を備え、
前記固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線と、を含み、
前記鉄心は、径方向に延び、前記巻線が巻き回される本体部、及び前記本体部の先端に設けられ、前記回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、前記回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び前記第2の磁極部と接続又は一体に形成され、径方向又は周方向で前記第1の鉄心と前記巻線との間に配置される周辺部を有する第2の鉄心と、を含む、
回転電機が提供される。
【0007】
本態様によれば、例えば、第2の鉄心は、周辺部において、径方向や周方向で第1の鉄心に対向し、その対向面を通じて、第1の鉄心と磁気的に結合することができる。そのため、回転電機は、第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として、その対向面を利用することができる。その結果、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束は、その対向面を通過することで、第1の鉄心の軸方向の端部だけでなく、軸方向の端部よりも内側の箇所も通過し易くなる。よって、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束による第1の鉄心の軸方向の端部の磁気飽和を抑制し、回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【0008】
また、本開示の第2の態様では、上述の第1の態様を前提として、
前記第1の磁極部は、前記本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備え、
前記周辺部は、前記鍔部と前記巻線との間に配置されてもよい。
【0009】
また、本開示の第3の態様では、上述の第2の態様を前提として、
前記周辺部は、前記本体部と前記巻線との間に配置されてもよい。
【0010】
また、本開示の第4の態様では、
回転軸心回りに回転自在に構成される回転子と、
前記回転子と径方向で対向する固定子と、を備え、
前記固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線とを含み、
前記鉄心は、径方向に延び、前記巻線が巻き回される本体部、及び前記本体部の先端に設けられ、前記回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、前記回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び前記第2の磁極部と接続又は一体に形成される周辺部を有する第2の鉄心と、を含み、
前記周辺部は、前記第1の鉄心と径方向又は周方向で対向する対向面を有し、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心は、前記第2の磁極部と前記第1の鉄心との間で前記対向面を通じた磁路を有する、
回転電機が提供される。
【0011】
本態様によれば、回転電機は、第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として、周方向や径方向で対向する対向面を利用することができる。そのため、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束は、その対向面を通過することで、第1の鉄心の軸方向の端部だけでなく、軸方向の端部よりも内側の箇所も通過し易くなる。よって、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束による第1の鉄心の軸方向の端部の磁気飽和を抑制し、回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【0012】
また、本開示の第5の態様では、上述の第4の態様を前提として、
前記第1の磁極部は、前記本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備え、
前記対向面は、前記周辺部と前記鍔部が径方向で対向する面を含んでもよい。
【0013】
また、本開示の第6の態様では、上述の第4又は第5の態様を前提として、
前記対向面は、前記周辺部と前記本体部が周方向で対向する面を含んでもよい。
【0014】
また、本開示の第7の態様では、上述の第1乃至第6の態様の何れか1つを前提として、
前記第2の磁極部は、前記第1の鉄心の軸方向の両端のうちの一端のみに隣接して配置されてもよい。
【0015】
また、本開示の第8の態様では、上述の第1乃至第6の態様の何れか1つを前提として、
前記第2の磁極部は、前記第1の鉄心の軸方向の両端のそれぞれに隣接して配置されてもよい。
【0016】
また、本開示の第9の態様では、上述の第1乃至第8の態様の何れか1つを前提として、
前記周辺部の軸方向の寸法は、前記第2の磁極部の軸方向の寸法よりも長くてもよい。
【0017】
また、本開示の第10の態様では、上述の第1乃至第9の態様の何れか1つを前提として、
前記周辺部における前記第1の鉄心と周方向又は径方向で隣接している部分の軸方向の寸法は、前記第1の鉄心の軸方向の寸法と同じであってもよい。
【0018】
また、本開示の第11の態様では、上述の第1乃至第10の態様の何れか1つを前提として、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の面積は、前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が軸方向で対向する面の面積よりも大きくてもよい。
【0019】
また、本開示の第12の態様では、上述の第1乃至第11の態様の何れか1つを前提として、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の間の磁気抵抗は、前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が軸方向で対向する面の間の磁気抵抗よりも小さくてもよい。
【0020】
また、本開示の第13の態様では、
上述の第1乃至第12の態様の何れか1つに記載の回転電機を搭載する、
圧縮機が提供される。
【0021】
また、本開示の第14の態様では、
上述の第1乃至第12の態様の何れか1つに記載の回転電機を搭載する、
送風機が提供される。
【0022】
また、本開示の第15の態様では、
上述の第1乃至第12の態様の何れか1つに記載の回転電機を搭載する、
冷凍装置が提供される。
【発明の効果】
【0023】
上述の実施形態によれば、回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】モータの一例を示す正面図である。
図2】ステータコアのヨーク及びティースの一例を示す正面図である。
図3】ステータコアのヨーク及びティースの他の例を示す正面図である。
図4】固定子のティース、付加ティース、及びコイルを示す斜視図である。
図5】付加ティースの第1例を示す斜視図である。
図6】付加ティースの第1例を示す斜視図である。
図7】付加ティースの第2例を示す斜視図である。
図8】付加ティースの第2例を示す斜視図である。
図9】付加ティースの第3例を示す斜視図である。
図10】付加ティースの第4例を示す斜視図である。
図11】付加ティースの第5例を示す斜視図である。
図12】付加ティースの第6例を示す斜視図である。
図13】付加ティースの第6例に対応するティースの一例を示す斜視図である。
図14】付加ティースの第7例を示す斜視図である。
図15】付加ティースの第8例を示す斜視図である。
図16】付加ティースの第8例を示す斜視図である。
図17】付加ティースの第8例を示す斜視図である。
図18】付加ティースの第9例を示す斜視図である。
図19】比較例に係るモータの付加ティースによる磁束の流れを模式的に示す図である。
図20】実施形態に係るモータの付加ティースによる磁束の流れを模式的に示す図である。
図21】空気調和機の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0026】
[モータの構成]
図1図4を参照して、本実施形態に係るモータ1の構成について説明する。
【0027】
図1は、モータ1の一例を示す正面図である。具体的には、図1は、モータ1の回転軸心AXに対応する軸方向(以下、単に「軸方向」)に沿って見たモータ1の一例を示す図である。図2は、ステータコア11のヨーク11A及び主ティース11Bの一例を示す正面図である。図3は、ステータコア11のヨーク11A及び主ティース11Bの他の例を示す正面図である。具体的には、図2図3は、軸方向に沿って見たときのステータコア11の一例及び他の例を示す図である。図4は、ステータ10の主ティース11B、付加ティース11C、及びコイル12を示す斜視図である。具体的には、図4は、ステータ10の主ティース11B、付加ティース11C、及びコイル12をモータ1の回転軸心AXを基準とする径方向(以下、単に「径方向」)の外側から見た斜視図であり、図4の付加ティース11Cは、後述の第1例(図5図6)に相当する。
【0028】
図1に示すように、モータ1は、アウタロータ型であり、複数相(例えば、3相)の電機子電流で駆動される。
【0029】
図1図4に示すように、モータ1は、ステータ10と、ロータ20と、軸30とを含む。
【0030】
ステータ10は、ロータ20から見て径方向の内側に配置される電機子である。
【0031】
ステータ10は、ステータコア11と、コイル12とを含む。
【0032】
ステータコア11は、軟磁性材料で構成され、コイル12の電機子電流により生じる磁束やロータ20の永久磁石21の磁束の磁路として作用する。ステータコア11に使用される軟磁性材料は、例えば、鋳鉄や機械構造用鋼等の鉄系材料である。また、ステータコア11に使用される軟磁性材料は、ケイ素鋼板(電磁鋼板)や圧粉磁心等の機能材料であってもよい。圧粉磁心は、軟磁性材料の金属粉末に絶縁被覆を施し圧縮成形することにより製造される鉄心であり、圧粉磁心によって、複雑な三次元形状の鉄心を製造することができる。以下、後述のロータコアに使用される軟磁性材料についても同様であってよい。
【0033】
ステータコア11は、ヨーク11Aと、主ティース11Bと、付加ティース11Cとを含む。
【0034】
ヨーク11Aは、軸方向に沿ってみたときに、回転軸心AXを中心とする円環形状を有する。
【0035】
主ティース11Bは、ヨーク11Aの径方向の外側(外周側)の端部(例えば、外周面)において、径方向の外側に配置されるロータ20とエアギャップ(空隙)を介して対向するように設けられる。
【0036】
主ティース11Bは、モータ1の回転軸心AXを基準とする周方向(以下、単に「周方向」)において、略等間隔に複数(本例では、12個)設けられる。
【0037】
尚、「略」は、例えば、製造誤差等を許容する意図であり、以下同様の意味で用いる。
【0038】
主ティース11Bは、ティース本体部11B1と、磁極部11B2とを含む。
【0039】
ティース本体部11B1は、ヨーク11Aの外周面から径方向に延び出すように設けられる。ティース本体部11B1には、コイル12が巻回される。
【0040】
磁極部11B2は、ティース本体部11B1の径方向の外側の先端部に設けられ、エアギャップを介してロータ20と径方向で対向している。磁極部11B2は、コイル12の電機子電流により発生する磁束によって、磁極として作用する。
【0041】
例えば、図1図3に示すように、磁極部11B2は、軸方向に沿って見たときに、回転軸心AXを中心とする略円弧形状の曲面、即ち、円筒面の周方向の一部に相当する曲面で構成される外周面を有する。また、磁極部11B2は、ティース本体部11B1と略同じ軸方向の寸法を有する。また、磁極部11B2は、ティース本体部11B1よりも大きい幅方向(周方向)の寸法を有する。主ティース11Bにおける幅方向は、軸方向に沿って見たときに、対象の主ティース11Bが設けられる周方向の位置での径方向に対する垂直な方向の寸法を意味する。後述の付加ティース11Cにおける幅についても同様の意味で用いる。具体的には、磁極部11B2は、対象の主ティース11Bが設けられる周方向の位置でその主ティース11Bを径方向の外側から見たときに、ティース本体部11B1よりも幅方向(周方向)の両端で外側に突出する部分に相当する鍔部11B3を有する。軸方向において、磁極部11C1の端部(主ティース11Bと隣り合う側と反対側の端部)は、永久磁石21の端部と略一致していてもよいし、永久磁石21の端部に対して内側(主ティース11B側)に配置されていてもよい。これにより、磁極部11B2のロータ20と対向する部分の面積(ロータ20との対向面積)を相対的に大きくすることができる。そのため、ステータ10のコイル12に鎖交する、ロータ20(永久磁石21)の磁束を増加させることができ、その結果、モータ1の駆動力や駆動効率を向上させることができる。また、磁極部11B2は、鍔部11B3の作用によって、径方向の外側へのコイル12の移動を抑制することができる。
【0042】
図2に示すように、ヨーク11Aと主ティース11Bとは、一体に形成されていてもよいし、図3に示すように、別体として形成されていてもよい。後者の場合、例えば、図3に示すように、ヨーク11Aの外周面には、径方向に延びる凸部11Aaが設けられると共に、主ティース11Bの径方向の内側の端部には、凸部11Aaが嵌合可能な凹部11Baが設けられる。これにより、凸部11Aa及び凹部11Baの嵌合によって、ヨーク11Aに主ティース11Bを連結することができる。
【0043】
付加ティース11Cは、ロータ20とエアギャップを介して径方向で対向し、且つ、主ティース11Bの先端付近と軸方向に隣り合うように設けられる。付加ティース11Cは、全ての主ティース11Bに対して設けられてもよいし、一部の主ティース11Bに対して設けられてもよい。後者の場合、例えば、付加ティース11Cは、周方向に並ぶ主ティース11Bについて、1つおきで設けられる。
【0044】
付加ティース11Cは、主ティース11Bと磁気的に結合可能である。これにより、付加ティース11Cは、コイル12に電機子電流を印加することにより発生する磁束によって、磁極として作用する。そのため、主ティース11B(磁極部11B2)に加えて、付加ティース11C(後述の磁極部11C1)によって、ステータコア11のロータ20と対向する磁極の面積を増加させることができる。よって、ステータ10のコイル12に鎖交する、ロータ20(永久磁石21)の磁束を増加させることができ、その結果、モータ1の駆動力や駆動効率を向上させることができる。
【0045】
付加ティース11Cは、主ティース11Bに固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。例えば、付加ティース11Cは、接着剤等によって主ティース11Bと固定される。また、ステータ10のステータコア11及びコイル12が樹脂モールドにより保持されてもよく、この場合、樹脂モールドによって位置が固定されることから、付加ティース11Cは、主ティース11Bに固定されていなくてもよい。
【0046】
また、付加ティース11Cは、主ティース11Bと磁気的に結合可能であれば接触していてもよいし接触していなくてもよい。例えば、ステータ10のステータコア11及びコイル12が樹脂モールドにより絶縁保持される構造の場合、主ティース11B及び付加ティース11Cは、磁気的に結合可能な限り、その間に樹脂が入り込んで離隔されていてもよい。また、例えば、付加ティース11Cが主ティース11Bと接着材で接続される場合、主ティース11B及び付加ティース11Cは、磁気的に結合可能な限り、その間の接着剤によって離隔されていてもよい。
【0047】
コイル12は、主ティース11B(ティース本体部11B1)に導線が巻き回されることにより構成される。
【0048】
コイル12の径方向の外端部は、磁極部11B2の径方向の内側との間に所定の隙間を有する。
【0049】
ステータコア11とコイル12との間は、絶縁部によって電気的な絶縁が確保される。
【0050】
例えば、絶縁部は、ステータコア11とコイル12との間に配置される絶縁部材である。絶縁部材は、絶縁紙、フィルム、インシュレータ、ボビン等である。また、絶縁部は、コイル12の導線に形成される絶縁被膜(コーティング)であってもよい。
【0051】
ロータ20は、ステータ10の径方向の外側に設けられる永久磁石界磁である。
【0052】
ロータ20は、永久磁石21を含む。
【0053】
例えば、図1に示すように、永久磁石21は、略円筒形状を有する。
【0054】
永久磁石21は、例えば、径方向の内側に略等間隔で互いに異なる磁極が並ぶリング磁石である。
【0055】
また、ロータ20は、永久磁石21に加えて、軟磁性材料で構成されるロータコア(鉄心)を含んでもよい。例えば、モータ1は、表面磁石型(SPM:Surface Permanent Magnet)であり、ロータ20は、ステータ10と対向する永久磁石21の径方向の外側に隣接して配置される円筒形状のロータコアを有する。また、モータ1は、埋込磁石型(IPM:Interior Permanent Magnet)であってもよく、ロータ20は、円筒形状のロータコアの内部に周方向で等間隔に永久磁石21が埋設される構造を有していてもよい。
【0056】
ロータ20(永久磁石21)は、軸方向において、主ティース11B(磁極部11B2)及び付加ティース(後述の磁極部11C1)が存在する範囲全体を含むように配置される。これにより、ロータ20(永久磁石21)は、ギャップを介して、主ティース11B及び付加ティース11Cと径方向で対向することができる。
【0057】
軸30は、ステータ10(ヨーク11A)の周方向の内側に設けられ、回転軸心AXを中心軸とする円柱形状を有する。また、軸30は、軸方向におけるステータ10が設けられる範囲からオフセットした位置に設けられてもよい。
【0058】
軸30は、軸方向におけるステータ10が設けられる範囲からオフセットした位置において、ロータ20と結合されると共に、モータ1の固定部に対して図示しない軸受を介して回転可能に保持される。これにより、ロータ20は、軸30を介して回転自在に構成され、ステータ10との間の磁気的作用によって、モータ1の固定部に対して、軸30と共に回転することができる。
【0059】
[付加ティースの詳細]
次に、図4に加えて、図5図17を参照して、付加ティース11Cの詳細について説明する。
【0060】
以下、図4は、付加ティース11Cの第1例のモータ1における配置だけでなく、付加ティース11Cの第2例~第7例のモータ1における配置を説明する図として援用する。また、図15図16は、付加ティース11Cの第8例のモータ1における配置やそのモータ1の組立方法だけでなく、付加ティースの第9例のモータ1における配置やそのモータ1の組立方法を説明する図として援用する。
【0061】
<第1例>
図5図6は、付加ティース11Cの第1例を示す斜視図である。具体的には、図5は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第1例の斜視図であり、図6は、径方向の内側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第1例の斜視図である。
【0062】
図4図6に示すように、付加ティース11Cは、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。
【0063】
磁極部11C1は、主ティース11Bの磁極部11B2に軸方向で隣り合うように配置され、エアギャップを介してロータ20と径方向で対向している。磁極部11C1は、付加ティース11Cと磁気的に結合される主ティース11Bに巻き回されるコイル12の電機子電流により発生する磁束によって、磁極として作用する。
【0064】
磁極部11C1は、磁極部11B2と同様、ティース本体部11B1よりも大きい幅方向(周方向)の寸法を有する。例えば、磁極部11C1は、磁極部11B2と略同じ幅方向の寸法を有する。磁極部11C1は、磁極部11B2より大きい幅方向の寸法を有してもよいし、ティース本体部11B1よりも大きい幅方向の寸法を有する限り、磁極部11B2より小さい幅方向の寸法を有してもよい。
【0065】
また、本例では、磁極部11C1は、軸方向に沿って見たときに、回転軸心AXを中心とする略円弧形状の曲面、即ち、円筒面の周方向の一部に相当する曲面で構成される外周面を有する。この場合、磁極部11B2,11C1のそれぞれの外周面の回転軸心AXを中心とする半径は、略同じであってもよい。これにより、図4に示すように、磁極部11B2,11C1の外周面を略面一にすることができる。
【0066】
保持部11C2は、磁極部11C1の幅方向の両端側に所定の間隔を持って2つ設けられる。所定の間隔は、ティース本体部11B1の幅方向の寸法よりも大きく設定される。これにより、2つの保持部11C2を、ティース本体部11B1を幅方向(周方向)で挟む形で配置することができる。
【0067】
保持部11C2は、磁極部11C1の主ティース11B(磁極部11B2)と隣り合う側の軸方向の端部から軸方向に延びるように設けられる。また、保持部11C2は、径方向において、外側の端面が磁極部11C1よりも内側にあるように、オフセットされている。これにより、径方向において、保持部11C2を磁極部11B2の内側に配置することができる。また、オフセット量が適宜設定されることによって、径方向において、保持部11C2をコイル12の外側に配置することができる。そのため、保持部11C2を径方向で主ティース11Bの磁極部11B2とコイル12との間に配置することができる。そのため、付加ティース11Cは、保持部11C2の作用によって、磁極部11C1の位置を保持することができる。
【0068】
例えば、図4に示すように、保持部11C2の軸方向の寸法は、主ティース11Bの軸方向の寸法よりも長い。また、保持部11C2の軸方向の寸法は、主ティース11Bの軸方向の寸法と同等であってもよいし、それより短くてもよい。
【0069】
また、保持部11C2の軸方向の寸法は、磁極部11C1の軸方向の寸法より長くてもよい。これにより、ロータ20の永久磁石21の磁力に伴い磁極部11C1に作用する磁気吸引力によって保持部11C2の先端から主ティース11B(磁極部11B2の鍔部11B3やティース本体部11B1)或いはコイル12に作用する力を低減することができる。磁気吸引力の力点から作用点までの距離より支点から保持部11C2の先端の作用点までの長さを相対的に大きくできるからである。そのため、主ティース11Bやコイル12の損傷や故障等の発生を抑制することができる。
【0070】
本例では、付加ティース11Cは、磁極部11C1及び保持部11C2を含む全体が略同じ厚みを有している。例えば、付加ティース11Cは、平板状の軟磁性材料から打ち抜き加工により打ち抜かれた部材に対してプレス加工や折り曲げ加工を施すことにより形成されてよい。これにより、付加ティース11Cを比較的容易に製造することができる。また、付加ティース11Cは、圧粉磁心によって構成されてもよい。例えば、付加ティース11Cは、絶縁被膜が施された軟磁性材料の金属粉末が金型プレス加工により成形された後、加熱処理が施されることにより形成される。
【0071】
例えば、モータ1の製造工程において、作業者は、付加ティース11Cを保持部11C2の先端側から軸方向で主ティース11Bに近づけるように移動させる。これにより、作業者は、ティース本体部11B1を2つの保持部11C2の間に挟み、且つ、2つの保持部11C2が磁極部11B2の径方向の内側にあるように、付加ティース11Cを主ティース11Bに取り付けることができる。
【0072】
尚、本例の付加ティース11Cは、磁極部11B2の軸方向の一方側だけでなく、他方側にも隣り合うように設けられ、1つの主ティース11Bに対して2つの付加ティース11Cが取り付けられてもよい。この場合、例えば、2つの付加ティース11Cの保持部11C2は、幅方向(周方向)及び径方向の少なくとも一方の位置が互いに異なるように主ティース11Bに対して設けられる。これにより、2つの付加ティース11Cの互いの保持部11C2同士の干渉を回避しつつ、2つの付加ティース11Cを主ティース11Bに対して適切な位置に取り付けることができる。また、2つの付加ティース11Cの保持部11C2は、軸方向の寸法が主ティース11Bの軸方向の寸法の半分より小さく設定されてもよい。これにより、2つの付加ティース11Cの保持部11C2の幅方向(周方向)及び径方向の位置が略同じであっても、互いの保持部11C2同士の干渉を回避しつつ、2つの付加ティース11Cを主ティース11Bに対して適切な位置に取り付けることができる。そのため、2つの付加ティース11Cを同じ部品を用いて実現することができ、コストの低減や組立性の向上を図ることができる。以下、後述の第2例~第7例についても同様であってよい。
【0073】
また、付加ティース11Cの保持部11C2は、磁極部11B2に近づく方向に付勢されていてもよい。例えば、付加ティース11Cの保持部11C2とコイル12との間に板バネに相当する部材が挟まれ、その部材が保持部11C2を磁極部11B2側に押し付ける。また、付加ティース11Cの保持部11C2は、自身が磁極部11B2及びコイル12の間で板バネとして機能し、自身の一部を磁極部11B2に近づくように押し付けてもよい。以下、後述の第2例~第9例についても同様であってよい。
【0074】
また、付加ティース11Cの保持部11C2は、インシュレータやボビン等の絶縁部材によって、保持(支持)されてもよい。例えば、保持部11C2とコイル12との間の絶縁部材によって、保持部11C2の径方向の位置が保持される。以下、後述の第2例~第9例についても同様であってよい。
【0075】
<第2例>
図7図8は、付加ティース11Cの第2例を示す斜視図である。具体的には、図7は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第2例の斜視図であり、図7は、径方向の内側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第2例の斜視図である。
【0076】
以下、上述の第1例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0077】
図7図8に示すように、付加ティース11Cは、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。
【0078】
本例では、磁極部11C1は、上述の第1例よりも径方向の寸法(厚み)が大きい。例えば、磁極部11C1は、軸方向に沿って見たときに、径方向の内周側で磁極部11B2と略面一になるように構成される。これにより、磁極部11C1の磁路の体積(断面積)を大きくして磁気抵抗を低下させることができる。
【0079】
<第3例>
図9は、付加ティース11Cの第3例を示す斜視図である。具体的には、図9は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第3例の斜視図である。
【0080】
以下、上述の第1例、第2例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例、第2例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0081】
図9に示すように、付加ティース11Cは、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。
【0082】
本例では、付加ティース11Cは、上述の第1例、第2例と異なり、磁極部11C1及び保持部11C2を含む全体が略均一の厚みの平板形状を有する。例えば、付加ティース11Cは、平板状の軟磁性材料から打ち抜き加工により形成される。これにより、付加ティース11Cを非常に容易に製造することができる。
【0083】
<第4例>
図10は、付加ティース11Cの第4例を示す斜視図である。具体的には、図10は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第4例の斜視図である。
【0084】
以下、上述の第1例~第3例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例~第3例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0085】
図10に示すように、付加ティース11Cは、上述の第2例と同様、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。また、付加ティース11Cは、上述の第2例と異なり、保持部11C3を含む。つまり、本例では、付加ティース11Cは、上述の第2例をベースにして、保持部11C3が追加されている。
【0086】
磁極部11C1は、上述の第2例よりも幅方向の寸法が広く設定される。
【0087】
保持部11C3は、磁極部11C1の両端部において、主ティース11B(磁極部11B2)と隣り合う側の端部から軸方向に延びるように設けられる。また、保持部11C3は、保持部11C2の幅方向の外側の端部に沿って軸方向に延びるように設けられる。これにより、保持部11C3は、磁極部11B2の幅方向の外側を保持することができる。そのため、付加ティース11Cは、保持部11C2に加えて、保持部11C3の作用によって、磁極部11C1の位置をより適切に保持することができる。
【0088】
また、保持部11C3の外周面は、径方向でロータ20と対向する。これにより、保持部11C3の外周面は、付加ティース11Cと磁気的に結合される主ティース11Bに巻き回されるコイル12の電機子電流により発生する磁束によって、磁極として作用する。そのため、ステータコア11のロータ20と対向する磁極の面積を増加させ、モータ1の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【0089】
尚、上述の第1例(図5図6)や第3例(図9)の付加ティース11Cをベースにして、保持部11C3が適用されてもよい。
【0090】
<第5例>
図11は、付加ティース11Cの第5例を示す斜視図である。具体的には、図11は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第5例の斜視図である。
【0091】
以下、上述の第1例~第4例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例~第4例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0092】
図11に示すように、付加ティース11Cは、上述の第2例と同様、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。また、付加ティース11Cは、上述の第2例と異なり、保持部11C4,11C5を含む。つまり、本例では、付加ティース11Cは、上述の第2例をベースにして、保持部11C4,11C5が追加されている。
【0093】
保持部11C4は、軸方向に対して略平行な平板形状を有し、磁極部11C1の径方向の内側から延び出すように設けられる。
【0094】
保持部11C4は、軸方向において、ティース本体部11B1における磁極部11C1側の端面とコイル12のとの間の隙間に配置可能なように設けられる。
【0095】
保持部11C5は、対象の主ティース11Bが設けられる周方向の位置の径方向、及び軸方向の双方に略平行な平板形状を有し、保持部11C2のそれぞれの径方向の内側から延び出すように設けられる。これにより、2つの保持部11C5の幅方向の間隔は、ティース本体部11B1より大きく設定される。
【0096】
2つの保持部11C5は、それぞれ、ティース本体部11B1の幅方向の端面とコイル12の内側との間の隙間に配置可能なように設けられる。
【0097】
保持部11C4は、幅方向の両端部において、2つの保持部11C5のそれぞれと連結される。これにより、保持部11C4,11C5を一体として、ティース本体部11B1とコイル12との間の隙間に差し込む形で配置することができる。そのため、付加ティース11Cは、保持部11C2に加えて、保持部11C4,11C5の作用によって、磁極部11C1の位置をより適切に保持することができる。
【0098】
尚、付加ティース11Cには、保持部11C4及び保持部11C5のうちの後者(保持部11C5)だけが適用されてもよい。また、上述の第1例(図5図6)や第3例(図9)や第4例(図10)の付加ティース11Cをベースにして、保持部11C4や保持部11C5が適用されてもよい。
【0099】
<第6例>
図12は、付加ティース11Cの第6例を示す斜視図である。具体的には、図12は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第6例の斜視図である。図13は、付加ティース11Cの第6例に対応するティースの一例を示す斜視図である。具体的には、図13は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第6例に対応するティースの一例の斜視図である。
【0100】
以下、上述の第1例~第5例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例~第5例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0101】
図12に示すように、付加ティース11Cは、上述の第2例と同様、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。また、付加ティース11Cは、上述の第2例と異なり、保持部11C6を含む。つまり、本例では、付加ティース11Cは、上述の第2例をベースにして、保持部11C6が追加されている。
【0102】
保持部11C6は、磁極部11C1における磁極部11B2と隣り合う側の軸方向の端面から軸方向に延びるように設けられる。例えば、図12に示すように、保持部11C6は、円柱形状を有し、磁極部11C1の幅方向の中央部に1つ設けられる。また、保持部11C6は、複数設けられてもよい。
【0103】
図13に示すように、本例では、主ティース11Bの磁極部11B2における磁極部11C1と隣り合う側の端面には、孔部11B4が設けられる。
【0104】
孔部11B4は、磁極部11B2及び磁極部11C1が軸方向で適切に隣り合う状態において、軸方向に沿って見たときに、保持部11C6と略同じ位置になるように主ティース11B(磁極部11B2)に配置される。そして、孔部11B4は、例えば、保持部11C6の軸方向の長さ以上の深さを有する。また、孔部11B4は、軸方向に磁極部11B2を貫通していてもよい。これにより、保持部11C6を軸方向で孔部11B4に差し込むことにより、付加ティース11Cを主ティース11Bに取り付けることができる。そのため、付加ティース11Cは、保持部11C2に加えて、保持部11C6の作用によって、磁極部11C1の位置をより適切に保持することができる。
【0105】
尚、上述の第1例(図5図6)や第3例(図9)や第4例(図10)や第5例(図11)の付加ティース11Cをベースにして、保持部11C6及び孔部11B4が適用されてもよい。
【0106】
<第7例>
図14は、付加ティース11Cの第7例を示す斜視図である。具体的には、図14は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第7例の斜視図である。
【0107】
以下、上述の第1例~第6例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例~第6例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0108】
図14に示すように、付加ティース11Cは、上述の第2例と同様、磁極部11C1を含む。また、付加ティース11Cは、上述の第2例と異なり、保持部11C2が省略され、代わりに、保持部11C6を含む。つまり、本例では、付加ティース11Cは、上述の第2例をベースにして、保持部11C2が省略され、保持部11C6が追加されている。
【0109】
例えば、保持部11C6は、2つ設けられる。また、保持部11C6は、上述の第6例と同様、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0110】
本例では、上述の第6例と同様、主ティース11Bの磁極部11B2には、保持部11C6のそれぞれに対応する孔部11B4が設けられる。これにより、保持部11C6を軸方向で孔部11B4に差し込むことにより、付加ティース11Cを主ティース11Bに取り付けることができる。そのため、付加ティース11Cは、保持部11C2に代えて、保持部11C6の作用によって、磁極部11C1の位置を保持することができる。
【0111】
尚、上述の第1例(図5図6)や第3例(図9)や第5例(図11)において、保持部11C2が省略され、保持部11C6が適用されてもよい。
【0112】
<第8例>
図15図17は、付加ティース11Cの第8例を示す斜視図である。具体的には、図14は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第7例の斜視図である。図15は、上述の図3に対応する主ティース11Bに取り付けられた状態の付加ティース11Cの第7例の斜視図である。図16は、上述の図2に対応する主ティース11Bに取り付けられた状態の付加ティース11Cの第7例の斜視図である。
【0113】
以下、上述の第1例~第7例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例~第7例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0114】
図15図17に示すように、付加ティース11Cは、上述の第2例と同様、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。また、付加ティース11Cは、上述の第2例と異なり、2つの磁極部11C1を含む。つまり、本例では、付加ティース11Cは、上述の第2例をベースにして、磁極部11C1が1つ追加される。これにより、ステータコア11のロータ20と対向する磁極の面積を更に増加させることができる。そのため、ステータ10のコイル12に鎖交する、ロータ20(永久磁石21)の磁束を更に増加させることができ、その結果、モータ1の駆動力や駆動効率を更に向上させることができる。
【0115】
本例では、磁極部11C1は、磁極部11B2における軸方向の両端面のそれぞれに隣り合うように2つ設けられる。これにより、2つの磁極部11C1の間の軸方向の間隔は、磁極部11B2(及びティース本体部11B1)の軸方向の寸法よりも大きく設定される。
【0116】
保持部11C2は、2つの磁極部11C1を軸方向で連結する。これにより、対象の主ティース11Bが配置される周方向の位置の径方向に沿って見たときに、付加ティース11Cの中央部には、ティース本体部11B1の外形よりも大きい貫通孔が設けられる。
【0117】
例えば、図16に示すように、ヨーク11Aと別体に構成される主ティース11Bの場合、径方向の外側から付加ティース11Cの貫通孔に挿通させ、付加ティース11Cを主ティース11Bに取り付けることができる。
【0118】
また、図17に示すように、ヨーク11A及び主ティース11Bが一体に構成される場合、主ティース11Bの先端の磁極部11B2は、付加ティース11Cが取り付けられる前の状態で、ティース本体部11B1と同じ幅方向の寸法になっていてもよい。具体的には、付加ティース11Cが取り付けられる前の状態において、磁極部11B2は、径方向の外側から見て、磁極部11B2の幅方向でティース本体部11B1より外側に飛び出す部分(鍔部11B3)が径方向の外側に延びる状態になっている。これにより、径方向の外側から付加ティース11Cを主ティース11Bに近づけながら、付加ティース11Cの貫通孔に主ティース11Bを挿通させることができ、その結果、付加ティース11Cを主ティース11Bに取り付けることができる。そして、付加ティース11Cの取り付け後、磁極部11B2の径方向の外側に延びる部分(鍔部11B3に相当する部分)が基端部を起点として折り曲げ加工等により折り曲げられる。これにより、磁極部11B2の幅方向の寸法をティース本体部11B1よりも大きい状態にすることができる。
【0119】
尚、上述の第4例(図10)や第5例(図11)の付加ティース11Cをベースにして、本例の磁極部11C1が追加されてもよい。
【0120】
<第9例>
図18は、付加ティース11Cの第9例を示す斜視図である。具体的には、図18は、径方向の外側に相当する方向から見た付加ティース11Cの第9例の斜視図である。
【0121】
以下、上述の第1例~第8例と同じ或いは対応する構成に同一の符号を付し、上述の第1例~第8例と異なる部分を中心に説明を行う。
【0122】
図18に示すように、付加ティース11Cは、上述の第3例と同様、磁極部11C1と、保持部11C2とを含む。また、付加ティース11Cは、上述の第3例と異なり、2つの磁極部11C1を含む。つまり、本例では、付加ティース11Cは、上述の第3例をベースにして、磁極部11C1が1つ追加される。
【0123】
本例では、磁極部11C1は、上述の第8例と同様、磁極部11B2における軸方向の両端面のそれぞれに隣り合うように2つ設けられる。これにより、2つの磁極部11C1の間の軸方向の間隔は、磁極部11B2(及びティース本体部11B1)の軸方向の寸法よりも大きく設定される。
【0124】
保持部11C2は、上述の第8例と同様、2つの磁極部11C1を軸方向で連結する。これにより、対象の主ティース11Bが配置される周方向の位置の径方向に沿って見たときに、付加ティース11Cの中央部には、ティース本体部11B1の外形よりも大きい貫通孔が設けられる。
【0125】
本例では、付加ティース11Cは、上述の第3例と同様、磁極部11C1及び保持部11C2を含む全体が略均一の厚みの平板形状を有する。例えば、付加ティース11Cは、上述の第3例と同様、平板状の軟磁性材料から打ち抜き加工により形成される。これにより、非常に容易に付加ティース11Cを製造することができる。
【0126】
[比較例との対比]
次に、図19図20を参照して、本実施形態に係るモータ1(付加ティース11C)について、比較例に係るモータ(付加ティース11CC)との対比を行う。
【0127】
図19は、比較例に係るモータの付加ティース11CCによる磁束の流れを模式的に示す図である。図20は、実施形態に係るモータ1の付加ティース11Cによる磁束の流れを模式的に示す図である。
【0128】
尚、図19では、比較例に係るモータについて、モータ1と同じ構成には同一の符号を付している。
【0129】
図19に示すように、比較例に係るモータの付加ティース11CCには、保持部11C2~11C6等が設けられず、主ティース11B及び付加ティース11CCは、軸方向で隣り合う(対向する)対向面同士でのみ磁気的に結合する。そのため、磁極部11C1と主ティース11Bとの間を通過する磁束(図中の白抜き矢印)は、磁極部11C1と磁極部11B2との間の軸方向で対向する対向面を通過する。その結果、その磁束は、ティース本体部11B1の軸方向の端部付近(図中の一点鎖線の枠)に流れ易くなる。磁束は、磁気抵抗がより小さい経路(より短い経路)で流れるからである。よって、ティース本体部11B1の軸方向の端部付近に磁気飽和が生じ、その結果、付加ティース11CCの磁極部11C1による効果(駆動力や駆動効率の向上)が減少してしまう可能性がある。
【0130】
これに対して、例えば、図20に示すように、本実施形態に係る付加ティース11Cは、主ティース11Bと径方向や周方向で隣り合う(対向する)保持部11C2を有し、その対向面を通じて、保持部11C2及び主ティース11Bが磁気的に結合する。そのため、磁極部11C1と主ティース11Bとの間を通過する磁束(図中の白抜き矢印)は、保持部11C2を軸方向に通過することができる。その結果、磁束は、保持部11C2と主ティース11Bとの対向面を通じて、ティース本体部11B1の軸方向の端部付近だけでなく、軸方向の端部よりも内側の領域にも磁束が流れ易くなる。よって、ティース本体部11B1の軸方向の端部付近での磁気飽和を抑制し、モータ1の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【0131】
また、保持部11C3,11C5,11C6についても、主ティース11Bと径方向や周方向で磁気的に結合可能に隣り合っている(対向している)ことから、保持部11C2と同様の作用・効果を得ることができる。
【0132】
保持部11C2がティース本体部11B1や磁極部11B2(鍔部11B3)と径方向や周方向で磁気的に結合可能に隣り合っている部分の軸方向の長さは、より大きく設定されるのが好ましい。また、保持部11C3,11C5,11C6についても同様であってよい。主ティース11Bの軸方向の内側に磁束が流れ易くなり、ティース本体部11B1の軸方向の端部付近での磁気飽和をより適切に抑制することができるからである。
【0133】
例えば、保持部11C2がティース本体部11B1や磁極部11B2(鍔部11B3)と径方向や周方向で磁気的に結合可能に隣り合っている部分の軸方向の長さは、主ティース11B(ティース本体部11B1)の軸方向の寸法の半分以上である。また、保持部11C2がティース本体部11B1や磁極部11B2(鍔部11B3)と径方向や周方向で磁気的に結合可能に隣り合っている部分の軸方向の長さは、主ティース11B(ティース本体部11B1)の軸方向の寸法と同じであってもよい。
【0134】
また、主ティース11B及び付加ティース11Cが周方向や径方向で対向する面の間の磁気抵抗は、主ティース11B及び付加ティース11Cが軸方向で対向する面の間の磁気抵抗よりも小さくてもよい。また、保持部11C3,11C5,11C6についても同様であってよい。これにより、磁極部11C1と主ティース11Bとの間を通過する磁束が、主ティース11B及び付加ティース11Cの間の軸方向で対向する面よりも周方向や径方向で対向する面に流れ易くなる。そのため、ティース本体部11B1の軸方向の端部付近での磁気飽和をより確実に抑制することができる。
【0135】
例えば、主ティース11B及び付加ティース11Cが周方向や径方向で対向する面の面積をより大きく確保することにより、主ティース11B及び付加ティース11Cが周方向や径方向で対向する面の磁気抵抗を相対的に小さくする。また、主ティース11B及び付加ティース11Cが軸方向で対向する面の間に、主ティース11B及び付加ティース11Cよりも磁気抵抗が大きい物質を設けることにより、主ティース11B及び付加ティース11Cが周方向や径方向で対向する面の磁気抵抗を相対的に小さくしてもよい。主ティース11B及び付加ティース11Cよりも磁気抵抗が大きい物質は、例えば、磁気抵抗が相対的に大きい接着材である。
【0136】
[モータの適用例]
次に、図21を参照して、本実施形態に係るモータ1の具体的な適用例について説明する。
【0137】
図21は、本実施形態に係るモータ1を搭載する空気調和機100の一例を示す図である。
【0138】
空気調和機100(冷凍装置の一例)は、室外機110と、室内機120と、冷媒経路130,140とを含む。空気調和機100は、室外機110、室内機120、冷媒経路130,140等で構成される冷媒回路を動作させ、室内機120が設置される室内の温度や湿度等を調整する。
【0139】
室外機110は、温度等の調整対象の建物の室外に配置される。室外機110は、冷媒経路130,140のそれぞれの一端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
【0140】
室内機120は、温度等の調整対象の建物の室内に配置される。室内機120は、冷媒経路130,140のそれぞれの他端に接続され、冷媒経路130,140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。
【0141】
冷媒経路130,140は、例えば、管路により構成され、冷媒が室外機110及び室内機120の間で循環可能なように、室外機110及び室内機120との間を接続する。
【0142】
室外機110は、冷媒経路L1~L6と、四方切換弁111と、圧縮機112と、室外熱交換器113と、室外膨張弁114と、ファン115とを含む。
【0143】
冷媒経路L1~L6は、例えば、管路として構成される。
【0144】
冷媒経路L1は、室外機110の外部の冷媒経路130の一端と四方切換弁111との間を接続する。
【0145】
冷媒経路L2は、四方切換弁111と圧縮機112の入口との間を接続する。
【0146】
冷媒経路L3は、四方切換弁111と圧縮機112の出口との間を接続する。
【0147】
冷媒経路L4は、四方切換弁111と室外熱交換器113との間を接続する。
【0148】
冷媒経路L5は、室外熱交換器113と室外膨張弁114との間を接続する。
【0149】
冷媒経路L6は、室外機110の外部の冷媒経路140の一端と室外膨張弁114との間を接続する。
【0150】
四方切換弁111は、空気調和機100の冷房運転の場合と暖房運転の場合とで冷媒が循環する流れを逆転させる。
【0151】
空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、図21中の実線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L1と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L3と冷媒経路L4との間を接続させる。
【0152】
一方、空気調和機100の暖房運転の場合、四方切換弁111は、図21中の点線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の暖房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L4と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L1と冷媒経路L3との間を接続させる。
【0153】
圧縮機112は、冷媒経路L2から冷媒を吸入し、高圧に圧縮して冷媒経路L3に吐出する。圧縮機112は、モータ1を搭載(内蔵)し、モータ1により駆動される。
【0154】
空気調和機100の冷房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L4を通じて、室外熱交換器113に流入する。
【0155】
一方、空気調和機100の暖房運転時において、圧縮機112により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L1を通じて、室外機110の外部の冷媒経路130に流出する。そして、高温高圧の冷媒は、冷媒経路130を通じて、室内機120に流入する。
【0156】
室外熱交換器113は、外気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室外熱交換器113には、ファン115が併設され、室外熱交換器113は、ファン115により送風される外気と内部を通流する冷媒との間で熱交換を行う。
【0157】
空気調和機100の冷房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L4から流入する、圧縮機112で圧縮された高温高圧の冷媒に外気への放熱を行わせ、凝縮・液化した冷媒(液冷媒)を冷媒経路L5に流出させる。
【0158】
また、空気調和機100の暖房運転時において、室外熱交換器113は、冷媒経路L5から流入する低温低圧の液冷媒に外気から吸熱を行わせ、蒸発した冷媒を冷媒経路L4に流出させる。
【0159】
室外膨張弁114は、空気調和機100の暖房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路L6から流入する冷媒(液冷媒)を所定の圧力に減圧させる。一方、室外膨張弁114は、空気調和機100の冷房運転時において、全開状態にされ、冷媒経路L5から冷媒経路L6に冷媒(液冷媒)を通過させる。
【0160】
ファン115(送風機の一例)は、上述の如く、室外熱交換器113に送風を行い、室外熱交換器113における熱交換を促進させる。ファン115は、例えば、羽根車(「インペラ」とも称する)115Aと、モータ1とを搭載し、羽根車115Aがモータ1によって駆動されることにより稼働する。
【0161】
室内機120は、室内膨張弁121と、室内熱交換器122と、ファン123とを含む。
【0162】
室内膨張弁121は、空気調和機100の冷房運転時において、所定の開度に閉じられ、冷媒経路140から流入する、過冷却状態の液冷媒を所定の圧力に減圧させる。一方、室内膨張弁121は、空気調和機100の暖房運転時において、全開状態にされ、室内熱交換器122から流出する冷媒(液冷媒)を冷媒経路140に向かって通過させる。
【0163】
室内熱交換器122は、室内空気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内機120に搭載されるファン123の作用で、室内熱交換器122の周囲に室内空気を通過させ、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出すことにより、室内の冷房或いは暖房が実現される。
【0164】
具体的には、空気調和機100の冷房運転時において、室内熱交換器122は、室内膨張弁121により減圧された低温低圧の液冷媒に室内空気から吸熱させ、室内空気の温度を下げる。
【0165】
一方、空気調和機100の暖房運転時において、室内熱交換器122は、冷媒経路130を通じて室外機110から流入する高温高圧の冷媒に室内空気への放熱を行わせ、室内空気の温度を上げる。
【0166】
ファン123(送風機の一例)は、上述の如く、室内熱交換器122に送風を行い、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が行われた室内空気を室内機120の外部に吹き出させる。ファン123は、例えば、羽根車(「インペラ」とも称する)123Aと、モータ1とを搭載し、羽根車123Aがモータ1によって駆動されることにより稼働する。
【0167】
尚、圧縮機112、ファン115、及びファン123のうちの一部、即ち、何れか1つ或いは2つにモータ1が搭載される態様であってもよい。
【0168】
このように、本実施形態に係るモータ1は、空気調和機100の圧縮機112やファン115やファン123に適用することができる。
【0169】
尚、本実施形態に係るモータ1は、空気調和機100以外の冷凍装置に適用されてもよい。
【0170】
[作用]
次に、本実施形態に係る回転電機の作用について説明する。
【0171】
本実施形態では、回転電機は、回転子と、固定子と、を備える。回転電機は、例えば、上述のモータ1である。回転子は、例えば、上述のロータ20である。固定子は、例えば、ステータ10である。具体的には、回転子は、回転軸心回りに回転自在である。回転軸心は、例えば、上述の回転軸心AXである。また、固定子は、回転子と径方向で対向する。また、固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線と、を含む。鉄心は、例えば、上述のステータコア11である。巻線は、例えば、上述のコイル12である。具体的には、鉄心は、第1の鉄心と、第2の鉄心と、を含む。第1の鉄心は、例えば、上述の主ティース11Bである。第2の鉄心は、例えば、上述の付加ティース11Cである。より具体的には、第1の鉄心は、径方向に延び、巻線が巻き回される本体部、及び本体部の先端に設けられ、回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する。本体部は、例えば、上述のティース本体部11B1である。第1の磁極は、例えば、上述の磁極部11B2である。そして、第2の鉄心は、第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び第2の磁極部と接続又は一体に形成され、径方向及び周方向の少なくとも一方で第1の鉄心と巻線との間に配置される周辺部を有する。第2の磁極部は、例えば、上述の磁極部11C1である。周辺部は、例えば、上述の保持部11C2,11C3,11C5である。
【0172】
これにより、例えば、第2の鉄心は、周辺部において、径方向や周方向で第1の鉄心に対向し、その対向面を通じて、第1の鉄心と磁気的に結合することができる。そのため、回転電機は、第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として、その対向面を利用することができる。その結果、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束は、その対向面を通過することで、第1の鉄心の軸方向の端部だけでなく、軸方向の端部よりも内側の箇所も通過し易くなる。よって、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束による第1の鉄心の軸方向の端部の磁気飽和を抑制し、回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【0173】
また、本実施形態では、第1の磁極部は、本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備えてもよい。鍔部は、例えば、上述の鍔部11B3である。そして、周辺部は、鍔部と巻線との間に配置されてもよい。
【0174】
これにより、例えば、第2の鉄心は、周辺部において、鍔部と径方向で対向する対向面を通じて、第1の鉄心と磁気的に結合し、その結果、回転電機は、その対向面を第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として利用することができる。
【0175】
また、本実施形態では、周辺部は、本体部と巻線との間に配置されてもよい。
【0176】
これにより、例えば、第2の鉄心は、周辺部において、本体部と周方向で対向する対向面を通じて、第1の鉄心と磁気的に結合し、その結果、回転電機は、その対向面を第1の鉄心及び第2の鉄心の間を磁路として利用することができる。
【0177】
また、本実施形態では、回転電機は、回転子と、固定子と、を備える。回転電機は、例えば、上述のモータ1である。回転子は、例えば、上述のロータ20である。固定子は、例えば、ステータ10である。具体的には、回転子は、回転軸心回りに回転自在である。回転軸心は、例えば、上述の回転軸心AXである。また、固定子は、回転子と径方向で対向する。また、固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線とを含む。鉄心は、例えば、上述のステータコア11である。巻線は、例えば、上述のコイル12である。具体的には、鉄心は、第1の鉄心と、第2の鉄心と、を含む。第1の鉄心は、例えば、上述の主ティース11Bである。第2の鉄心は、例えば、上述の付加ティース11Cである。より具体的には、第1の鉄心は、径方向に延び、巻線が巻き回される本体部、及び本体部の先端に設けられ、回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する。本体部は、例えば、上述のティース本体部11B1である。第1の磁極は、例えば、上述の磁極部11B2である。また、第2の鉄心は、第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び第2の磁極部と接続又は一体に形成される周辺部を有する。第2の磁極部は、例えば、上述の磁極部11C1である。周辺部は、例えば、上述の保持部11C2,11C3,11C5である。また、周辺部は、第1の鉄心と径方向又は周方向で対向する対向面を有する。そして、第1の鉄心及び第2の鉄心は、第2の磁極部と第1の鉄心との間でその対向面を通じた磁路を有する。
【0178】
これにより、回転電機は、第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として、周方向や径方向で対向する対向面を利用することができる。そのため、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束は、その対向面を通過することで、第1の鉄心の軸方向の端部だけでなく、軸方向の端部よりも内側の箇所も通過し易くなる。よって、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束による第1の鉄心の軸方向の端部の磁気飽和を抑制し、回転電機の駆動力や駆動効率をより向上させることができる。
【0179】
また、本実施形態では、第1の磁極部は、本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備えてもよい。鍔部は、例えば、上述の鍔部11B3である。そして、上記の対向面は、周辺部と鍔部が径方向で対向する面を含んでもよい。
【0180】
これにより、回転電機は、鍔部と周辺部との間の径方向で対向する対向面を第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として利用することができる。
【0181】
また、本実施形態では、対向面は、周辺部と本体部が周方向で対向する面を含んでもよい。
【0182】
これにより、回転電機は、本体部と周辺部との間の周方向で対向する対向面を第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として利用することができる。
【0183】
また、本実施形態では、第2の磁極部は、第1の鉄心の軸方向の両端のうちの一端のみに隣接して配置されてもよい。
【0184】
これにより、例えば、第2の磁極部及び周辺部を含む第2の鉄心を第2の磁極部が設けられない他端側から第1の鉄心に近づける形で、第1の鉄心に第2の鉄心を組み付けることができる。
【0185】
また、本実施形態では、第2の磁極部は、第1の鉄心の軸方向の両端のそれぞれに隣接して配置されてもよい。
【0186】
これにより、回転電機は、固定子において、回転子に径方向で対向する磁極に相当する部分の面積を相対的に大きく確保することができる。
【0187】
また、本実施形態では、周辺部の軸方向の寸法は、第2の磁極部の軸方向の寸法よりも長くてもよい。
【0188】
これにより、回転子の永久磁石の磁力に伴って第2の磁極部に作用する磁気吸引力によって、第1の鉄心と巻線との間に配置される周辺部が第1の鉄心や巻線に作用させる(加える)力を低減させることができる。
【0189】
また、本実施形態では、周辺部における第1の鉄心と周方向又は径方向で隣接している部分の軸方向の寸法は、第1の鉄心の軸方向の寸法と同じであってもよい。
【0190】
これにより、回転電機は、第1の鉄心及び第2の鉄心の間を通過する磁束の磁路として、第1の鉄心の軸方向の全体に亘る、第1の鉄心と第2の鉄心との間の対向面を利用することができる。そのため、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束は、その対向面を通過することで、第1の鉄心の軸方向の全体を通過し易くなる。よって、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束による第1の鉄心の軸方向の端部の磁気飽和を更に抑制し、回転電機の駆動力や駆動効率を更に向上させることができる。
【0191】
また、本実施形態では、第1の鉄心と第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の面積は、第1の鉄心と第2の鉄心が軸方向で対向する面の面積よりも大きくてもよい。
【0192】
これにより、例えば、周辺部は、第1の鉄心と巻線との間に挟まれる形で配置されることで、第2の鉄心(第2の磁極)の位置を保持することができる。また、周辺部の軸方向の寸法が相対的に長く確保されることで、周辺部が径方向或いは周方向で第1の鉄心と対向する面積が相対的に大きくなり、その結果、応力を相対的に低減しつつ、第2の鉄心の位置を保持することができる。
【0193】
また、本実施形態では、第1の鉄心及び第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の間の磁気抵抗は、第1の鉄心及び第2の鉄心が軸方向で対向する面の間の磁気抵抗よりも小さくてもよい。
【0194】
これにより、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束は、第1の鉄心及び第2の鉄心の間の軸方向で対向する面よりも、第1の鉄心及び第2の鉄心の間の周方向や径方向で対向する面を通じて流れ易くなる。そのため、第2の磁極部と第1の鉄心との間を通過する磁束による第1の鉄心の軸方向の端部の磁気飽和をより確実に抑制し、回転電機の駆動力や駆動効率をより確実に向上させることができる。
【0195】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0196】
1 モータ
10 ステータ
11 ステータコア
11A ヨーク
11Aa 凸部
11B 主ティース
11B1 ティース本体部
11B2 磁極部
11B3 鍔部
11B4 孔部
11Ba 凹部
11C 付加ティース
11C1 磁極部
11C2 保持部
11C3 保持部
11C4 保持部
11C5 保持部
11C6 保持部
12 コイル
20 ロータ
30 軸
100 空気調和機
110 室外機
111 四方切換弁
112 圧縮機
113 室外熱交換器
114 室外膨張弁
115 ファン
115A 羽根車
120 室内機
121 室内膨張弁
122 室内熱交換器
123 ファン
123A 羽根車
130 冷媒経路
140 冷媒経路
AX 回転軸心
C6 保持部
L1 冷媒経路
L2 冷媒経路
L3 冷媒経路
L4 冷媒経路
L5 冷媒経路
L6 冷媒経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸心回りに回転自在に構成される回転子と、
前記回転子と径方向で対向する固定子と、を備え、
前記固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線と、を含み、
前記鉄心は、径方向に延び、前記巻線が巻き回される本体部、及び前記本体部の先端に設けられ、前記回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、前記回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び前記第2の磁極部と接続又は一体に形成され、径方向又は周方向で前記第1の鉄心と前記巻線との間に配置される周辺部を有する第2の鉄心と、を含
前記周辺部は、前記第1の磁極部に近づく方向に付勢される、
回転電機。
【請求項2】
前記第1の磁極部は、前記本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備え、
前記周辺部は、前記鍔部と前記巻線との間に配置される、
請求項1に記載の回転電機。
【請求項3】
回転軸心回りに回転自在に構成される回転子と、
前記回転子と径方向で対向する固定子と、を備え、
前記固定子は、軟磁性材料で構成される鉄心と、巻線とを含み、
前記鉄心は、径方向に延び、前記巻線が巻き回される本体部、及び前記本体部の先端に設けられ、前記回転子と径方向で対向する第1の磁極部を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の軸方向に隣接して配置され、前記回転子と径方向で対向する第2の磁極部、及び前記第2の磁極部と接続又は一体に形成される周辺部を有する第2の鉄心と、を含み、
前記周辺部は、前記第1の鉄心と径方向又は周方向で対向する対向面を有し、
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心は、前記第2の磁極部と前記第1の鉄心との間で前記対向面を通じた磁路を有
前記周辺部は、前記第1の磁極部に近づく方向に付勢される、
回転電機。
【請求項4】
前記第1の磁極部は、前記本体部の周方向の端面よりも周方向に突出した鍔部を備え、
前記対向面は、前記周辺部と前記鍔部が径方向で対向する面を含む、
請求項に記載の回転電機。
【請求項5】
前記周辺部と前記巻線との間には、前記周辺部を前記第1の磁極部側に押し付ける部材が設けられる、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項6】
前記周辺部は、自身の一部を前記第1の磁極部に近づくように押し付ける、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項7】
前記第2の磁極部は、前記第1の鉄心の軸方向の両端のうちの一端のみに隣接して配置される、
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記第2の磁極部は、前記第1の鉄心の軸方向の両端のそれぞれに隣接して配置される、
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記周辺部の軸方向の寸法は、前記第2の磁極部の軸方向の寸法よりも長い、
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項10】
前記周辺部における前記第1の鉄心と周方向又は径方向で隣接している部分の軸方向の寸法は、前記第1の鉄心の軸方向の寸法と同じである、
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項11】
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の面積は、前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が軸方向で対向する面の面積よりも大きい、
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項12】
前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が周方向又は径方向で対向する面の間の磁気抵抗は、前記第1の鉄心及び前記第2の鉄心が軸方向で対向する面の間の磁気抵抗よりも小さい、
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機。
【請求項13】
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機を搭載する、
圧縮機。
【請求項14】
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機を搭載する、
送風機。
【請求項15】
請求項1乃至の何れか一項に記載の回転電機を搭載する、
冷凍装置。