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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051926
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】加飾フィルム及びその製法
(51)【国際特許分類】
   B32B 37/02 20060101AFI20240404BHJP
   B32B 38/06 20060101ALI20240404BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20240404BHJP
   B44C 1/17 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
B32B37/02
B32B38/06
B32B27/18 A
B44C1/17 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158322
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000151335
【氏名又は名称】株式会社セロレーベル
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】古橋 拓樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 昌史
(72)【発明者】
【氏名】東 琴音
【テーマコード(参考)】
3B005
4F100
【Fターム(参考)】
3B005EA07
3B005EB01
3B005EB03
3B005EB05
3B005EB07
3B005FA04
3B005FB13
3B005FB14
3B005FB58
3B005FE04
3B005FE12
3B005FG04X
3B005GA06
3B005GB03
4F100AK01
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AR00D
4F100AT00A
4F100BA02B
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CA07
4F100CA07B
4F100CA07C
4F100DD01
4F100DD01B
4F100DD01C
4F100EH46
4F100EJ40
4F100EJ40B
4F100EJ53
4F100EJ53B
4F100GB07
4F100GB31
4F100GB33
4F100HB00
4F100JA06
4F100JA06B
4F100JB14
4F100JB14B
4F100JD09
4F100JK15
4F100JL14
4F100JL14D
(57)【要約】
【課題】耐光性を有しデザイン性の高いエンボス加工面が少ない工程で得られるようにする。
【解決手段】支持体フィルム12の上に、紫外線吸収剤を含んだ電子線硬化性樹脂31を塗布する樹脂塗工工程S1aと、樹脂塗工工程S1aを経た電子線硬化性樹脂31の上に、エンボスフィルム14の凹凸面14aを押し当てて重ね合わせるフィルム積層工程S1bと、フィルム積層工程S1bで一体化された積層体33に対して電子線を照射して、積層体33の電子線硬化性樹脂層31aが硬化した加飾耐侯層13を形成する樹脂硬化工程S2を有する加飾フィルムの製造方法。電子線硬化性樹脂層31aの片面にエンボスフィルム14を重ねて賦形して、その状態のまま電子線硬化性樹脂層31aを電子線で硬化させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体フィルムの上に紫外線吸収剤を含有する電子線硬化性樹脂を塗工して電子線硬化性樹脂層を形成する樹脂塗工工程と、
前記樹脂塗工工程を経た前記電子線硬化性樹脂の上にエンボスフィルムの凹凸面を押し当てて重ね合わせるフィルム積層工程と、
前記フィルム積層工程で一体化された積層体に対して電子線を照射して、前記積層体の前記電子線硬化性樹脂層が硬化した加飾耐侯層を形成する樹脂硬化工程を有する
加飾フィルムの製造方法。
【請求項2】
紫外線吸収剤を含有する塗工形成された電子線硬化性樹脂層の片面に、エンボスフィルムの凹凸面を重ね合わせて賦形する塗工積層工程ののち、
一体化された前記電子線硬化性樹脂層と前記エンボスフィルムを有する積層体に対して電子線を照射して、前記積層体の前記電子線硬化性樹脂層が硬化した加飾耐侯層を形成する樹脂硬化工程を有する
加飾フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記樹脂硬化工程の後、前記エンボスフィルムを剥離する剥離工程を有する
請求項1または請求項2に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記電子線硬化性樹脂層の硬化前の粘度が、1,000cP以上、50,000cP以下である
請求項1または請求項2に記載の加飾フィルムの製造方法。
【請求項5】
片面に凹凸面を有するエンボスフィルムと、前記凹凸面に重ねられて前記凹凸面に対応する凹凸が形成された加飾耐侯層を備え、
前記加飾耐侯層が、紫外線吸収剤を含んだ電子線硬化性樹脂で構成された
加飾フィルム。
【請求項6】
前記エンボスフィルムの前記凹凸面に離型層が形成された
請求項5に記載の加飾フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車の内装・外装材をはじめとして、船舶や航空機の内装・外装材、電化製品、建材や看板などのような様々な製品の表面に適用される加飾フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
加飾フィルムには優れた機能性と高いデザイン性が求められている。機能性のなかでは、特に、紫外線の影響による劣化に対する耐性(耐光性)が必要とされている。デザイン性の面では、触感や風合いも重要であることからエンボス加工がよく用いられる。
【0003】
下記特許文献1の段落[0047]-[0049]、図2-3には、様々な特性を持たせることができる加飾フィルム(エンボス化粧シート)が開示されている。このエンボス化粧シートは、熱可塑性樹脂基材シート上に絵柄模様層と接着剤層を形成する。このあと、接着剤層の上に透明熱可塑性樹脂層を形成し、これらの積層体をエンボスロールと加圧ロールでニップしてエンボス加工とラミネート加工を同時に行うと、エンボス加工による凹凸が透明熱可塑性樹脂層に形成される。つづいて透明熱可塑性樹脂層の上に紫外線硬化型樹脂を塗布して紫外線照射により硬化して、表面保護層を形成するとエンボス化粧シートが完成する。表面保護層は、硬度向上のため、紫外線吸収剤が添加された熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂、またはこれらの樹脂の混合物を含んだものでもよいとの記載(段落[0035])もある。
【0004】
このように製造されたエンボス化粧シートでは、主として透明熱可塑性樹脂層のエンボス加工面が装飾性を付与し、表面保護層の紫外線吸収剤が耐光性を主とした耐候性をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6743605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示のエンボス加工はエンボスロールによって行われるので、深い凹凸を得られないなどの制約がある。そのうえ、エンボス加工によって形成された凹凸の上に紫外線吸収剤が添加された樹脂を塗布して硬化させ、表面保護層を形成するので、エンボス加工面はエンボス加工した時と同じではない。つまり、エンボス加工は表面保護層を考慮して形成しなければならず、耐光性・耐候性を得るためにデザイン性が減殺されることもある。このため、耐光性・耐候性とデザイン性の両立は困難であった。
【0007】
また製造工程においては、積層体を得たあとに、紫外線吸収剤が添加された樹脂を塗布する工程を挟んで、硬化のための工程を設けなければならない。言い換えれば、エンボス加工と、耐光性・耐候性を得るための層形成を完全に別々に行っているので、工程が多くなってしまう。
【0008】
この発明の主な目的は、デザイン性が高いうえに耐光性・耐候性を有するエンボス加工面が少ない工程で得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段は、支持体フィルムの上に紫外線吸収剤を含有する電子線硬化性樹脂を塗工して電子線硬化性樹脂層を形成する樹脂塗工工程と、前記樹脂塗工工程を経た前記電子線硬化性樹脂の上にエンボスフィルムの凹凸面を押し当てて重ね合わせるフィルム積層工程と、前記フィルム積層工程で一体化された積層体に対して電子線を照射して、前記積層体の前記電子線硬化性樹脂層が硬化した加飾耐侯層を形成する樹脂硬化工程を有する加飾フィルムの製造方法である。
【0010】
この構成では、樹脂塗工工程で支持体フィルム上に塗工された電子線硬化性樹脂からなる電子線硬化性樹脂層は、フィルム積層工程においてエンボスフィルムの凹凸面が押し付けられて片面に所望形状の凹凸が賦形される。凹凸、つまりエンボス加工面を有した電子線硬化性樹脂層は、続いての樹脂硬化工程で硬化して加飾耐侯層となる。加飾耐侯層は、紫外線吸収剤を含んだ電子線硬化性樹脂で構成されるので、紫外線硬化型樹脂を用いて紫外線硬化する場合とは異なり、確実に硬化される。加飾フィルムは適用時にはエンボスフィルムが除去され、また必要によっては支持フィルムも除去される。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、加飾耐侯層はエンボスフィルムで凹凸が形成されて、そのまま硬化される構成であるので、デザイン性の高い所望のエンボス加工面が得られる。しかも、加飾を行う加飾耐侯層は、それ自体が紫外線吸収剤を有しているので表面保護のための紫外線硬化性樹脂の塗布及び硬化が不要であって、加工された凹凸形状がそのまま硬化されることと相まって、所望の高いデザイン性を得ることができる。もちろん加飾耐侯層は含有する紫外線吸収剤によって高い耐光性を有する。
【0012】
また、凹凸の形成と電子線硬化が同時に又は連続して行えるので、製造工程の削減が可能であり、生産性を向上できる。
【0013】
さらに、硬化のために電子線を用いるので、紫外線吸収剤が添加されていても確実に硬化されて十分な耐光性・耐候性が得られる。そのうえ、光開始剤のような添加剤が不要であり、溶剤量低減、低温加工が可能で、揮発性有機化合物(VOC)の削減もできる。このため、環境負荷を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】加飾フィルムの断面図。
図2】加飾フィルム製造工程の概略構成図。
図3】加飾フィルムの断面図。
図4】加飾フィルムの断面図。
図5】加飾フィルムの使用態様の一例を示す断面図。
図6】加飾成形加工後にエンボスフィルムを剥離する状態を示す断面図。
図7】実施例のサンプルとその測定結果を示す表。
図8】サンプルの作成に用いたエンボスフィルムの顕微鏡観察画像。
図9】実施例1、2に係る加飾フィルムの顕微鏡観察画像。
図10】実施例3、4に係る加飾フィルムの顕微鏡観察画像。
図11】実施例5、6に係る加飾フィルムの顕微鏡観察画像。
図12】比較例のサンプルとその測定結果を示す表。
図13】比較例のサンプルとその測定結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
図1に、加飾フィルム11の概略の断面構造を示す。この加飾フィルム11は合成樹脂成形品の表面などを装飾するのに使用されるものである。特に自動車の内装材などの製造に用いるのに好適であって、高い耐光性(紫外線耐性)と高いデザイン性を付与できるように構成されている。
【0017】
この図に示すように、加飾フィルム11は、支持体フィルム12と、支持体フィルム12の上、つまり支持体フィルム12の片方の面である上面に備えられた加飾耐侯層13と、加飾耐侯層13の上に備えられたエンボスフィルム14を有している。加飾耐侯層13の上面側には、所望のデザイン性を有する凹凸13aからなるエンボス加工面が形成されている。なお、図示例では、単なる凹凸を描くことで、高いデザイン性を有するエンボス加工面に代えている。また、支持体フィルム12の上には絵柄層(図示せず)が印刷等により形成されてもよい。
【0018】
加飾耐侯層13を覆うエンボスフィルム14は、加飾耐侯層13の凹凸13aを形成する型としての機能を有し、凹凸13aを付与するための凹凸面14aを加飾耐侯層13側に位置する片面に備えている。
【0019】
エンボスフィルム14によってエンボス加工される加飾耐侯層13は、製造中は液状であり、エネルギー・光の照射により急速に硬化する樹脂で構成される。具体的には、加飾耐侯層13は電子線硬化性樹脂(光硬化性樹脂)で構成され、この電子線硬化性樹脂には耐光性を付与するため紫外線吸収剤が混合されている。
【0020】
後に加飾耐侯層13となる液状の樹脂のことを、以下「塗剤」という。
【0021】
具体的に説明すると、支持体フィルム12は、必要とされる性能に応じて材料が選定されるが、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、外観の点から例えばポリカーボネートを用いるのが好ましい。ポリカーボネートのほか、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)などのポリエステル系樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、その他の樹脂で構成してもよい。また支持体フィルム12は層構造を有するものであってもよい。
【0022】
支持体フィルム12における加飾耐侯層13に接する面が、例えばオレフィンなどの疎水性樹脂であれば、支持体フィルム12を加飾耐侯層13から分離除去しやすい構成にできる。
【0023】
支持体フィルム12の厚さは、加飾フィルムで通常使用される範囲内でよく、例えば、50μm~2000μm程度のものが好適に用いられる。
【0024】
塗剤は、電子線硬化性樹脂と、添加剤としての紫外線吸収剤と、希釈溶剤を混合することで得られる。
【0025】
電子線硬化性樹脂には、(メタ)アクリロイル基を2官能以上有するオリゴマー(主剤)が好適に用いられる。必要に応じて希釈溶剤と添加剤を加えてもよい。オリゴマーとしては、その特徴、すなわち強靭かつ柔軟で、耐摩耗性が良く、硬化性も速いことから、ウレタンアクリレートが好適に用いられる。
【0026】
紫外線吸収剤としては、トリアジン系のものが好適に用いられる。電子線照射による変質を受けにくく、硬化後も性能を発揮できるからである。電子線硬化性樹脂に含まれる紫外線吸収剤の添加量は、電子線硬化性樹脂100重量に対して1重量部以上20重量部以下が望ましい。紫外線吸収剤の配合量が多すぎると濁りが生じ、また傷つきやすくなるからである。
【0027】
希釈溶剤には通常用いられるものを適宜使用でき、添加剤としては前述した紫外線吸収剤のほか、他の適宜の添加剤、例えば表面改質材、光安定剤、酸化防止剤、無機又は有機微粒子などを混合してもよい。
【0028】
電子線硬化性樹脂を主成分とする塗剤は、前述のように硬化前は液状であるが、その粘度はある程度高い方が好ましい。具体的には、1,000cP以上、50,000cP以下であるとよい。粘度が1,000cP未満であると塗工時に液だれが発生しやすく、50,000cPを超えると塗工スジやキャビテーションによる気泡の発生原因となるからである。
【0029】
電子線硬化性樹脂の厚さ(塗布量)は、所望する機能やデザイン性を考慮して設定され、例えば20μm~500μmとするとよい。
【0030】
エンボスフィルム14は、硬化前の電子線硬化性樹脂に対して賦形する型としての機能をもっており、片面に加飾耐侯層13の凹凸13aを形成する凹凸面14aを有している。エンボスフィルム14の材料は加飾フィルム11の用途に応じて合成樹脂などから適宜選択される。合成樹脂としては、例えばオレフィン系、ポリエステル系、ナイロン(登録商標)系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリカーボネートなどがあり、合成樹脂のほか、エンボスフィルム14には、アルミ箔や銅箔などのような金属箔を用いたものであってもよい。
【0031】
エンボスフィルム14の凹凸面14aは、例えば転写や樹脂の塗工、熱加圧、エッチング、サンドマットやヘアラインのような傷つけなどで構成できる。
【0032】
凹凸面14aの態様は所望の外観が得られるように設定され、よく用いられる態様例をあげると、例えばマット調、絹目、麻目、ダイヤ、斑、水玉、筋柄、腐食柄、槌目、メロン柄、ゼブラ柄、フローズン柄、カーボン柄、スタツコ、キャンバス、布目、梨地、ヘアラインなどがある。凹凸面14aの表面粗さは、所望の凹凸面14aの態様によって定まる。
【0033】
このような加飾フィルム11は、図2に示したような塗工積層工程S1と樹脂硬化工程S2を有する製造方法によって製造される。
【0034】
塗工積層工程S1は、紫外線吸収剤を含有する電子線硬化性樹脂31からなる塗工形成された電子線硬化性樹脂層31aの片面に、エンボスフィルム14の凹凸面14aを重ね合わせて賦形する工程である。この塗工積層工程S1は樹脂塗工工程S1aとフィルム積層工程S1bの2つの工程に分けることができる。樹脂塗工工程S1aは、支持体フィルム12の上に電子線硬化性樹脂31(塗剤)を塗工して電子線硬化性樹脂層31aを形成する工程である。フィルム積層工程S1bは、樹脂塗工工程S1aを経た電子線硬化性樹脂層31aの上にエンボスフィルム14の凹凸面14aを押し当てて重ね合わせる工程である。
【0035】
樹脂硬化工程S2は、一体化された電子線硬化性樹脂層31aとエンボスフィルム14を有する積層体33に対して電子線を照射して、積層体33の電子線硬化性樹脂層31aが硬化した加飾耐侯層13を形成する工程である。
【0036】
図2の図示に沿って具体的に説明すると、樹脂塗工工程S1aでは、搬送される支持体フィルム12の片面に対して電子線硬化性樹脂31(塗剤)がダイ51から押し出されてラミネートされる。塗工された電子線硬化性樹脂31からなる電子線硬化性樹脂層31aの厚み、つまり塗工量は、所望の厚さになるように適宜設定される。
【0037】
続くフィルム積層工程S1bでは、積層ロール52間に挟んで搬送される電子線硬化性樹脂層31aの上面にエンボスフィルム14の凹凸面14aを押し当てる。これによって支持体フィルム12と電子線硬化性樹脂層31aとエンボスフィルム14が一体に重なり合った積層体33となる。
【0038】
樹脂塗工工程S1aとフィルム積層工程S1bを同時に行う塗工積層工程S1で製造する場合には、前述の支持体フィルム12に代えてエンボスフィルム14を搬送して、エンボスフィルム14の凹凸面14aに電子線硬化性樹脂31(塗剤)を塗工する。加飾フィルム11における凹凸13aと反対側の面を鏡面にしたい場合など、必要に応じて適宜のフィルム(図示せず)を貼り合わせることができる。
【0039】
エンボスフィルム14は片面に予め所望の凹凸面14aを有しており、この凹凸面14aが電子線硬化性樹脂31に押し当てられる。このときの押圧力は、電子線硬化性樹脂31(塗剤)の塗布量や凹凸面14aの態様等に応じて設定される。エンボスフィルム14が電子線硬化性樹脂層31aの上面に押し当てられると、電子線硬化性樹脂31(塗剤)がエンボスフィルム14の凹凸面14aの凹みに入り込み、凹凸13aとなる凹凸が形成される。
【0040】
樹脂硬化工程S2では、積層体33の搬送中に電子線を照射する。電子線照射には既存の電子線照射装置53が用いられる。電子線が照射されることによって、電子線硬化性樹脂層31aが瞬時に硬化し、上面の凹凸も固まる。電子線硬化性樹脂層31aは硬化すると加飾耐侯層13となる。
【0041】
この樹脂硬化工程S2は先のフィルム積層工程S1bと連続して、又は同時に行われる。
【0042】
樹脂硬化工程S2のあとには、必要に応じて剥離工程(図示せず)を備える。剥離工程は、エンボスフィルム14を剥離する工程である。エンボスフィルム14を剥離すると、加飾フィルム11は、図3に示したように、支持体フィルム12と加飾耐侯層13のみになる。もちろん、加飾耐侯層13は上面に凹凸13aを有している。
【0043】
エンボスフィルム14の凹凸面14aの形状にもよるが、エンボスフィルム14の凹凸面14aには、図4に示したように離型層15を形成しておくとよい。離型層15は、離型剤や、離型機能を有する樹脂で構成され、剥離作業を容易にするとともに、加飾耐侯層13の凹凸13aを剥離時の損傷から守り、所望の凹凸13aを得ることに資する。
【0044】
離型層15としては、例えばシリコンやフッ素などの離型コーティングがあり、その膜厚に特に制限はないが、薄い方が好ましい。またエンボスフィルム14の凹凸面14aを構成する樹脂がオレフィンなどの疎水性樹脂である場合には、その疎水性樹脂が離型機能を有することになる。
【0045】
前述の剥離工程において、また別に剥離工程を設けることで、エンボスフィルム14に加えて支持体フィルム12も除去してもよい。
【0046】
以上のように構成された加飾フィルム11は、インモールド成形等、種々の加飾成形に用いられる。
【0047】
図5はその一例を示しており、真空成形により予備賦形したのち合成樹脂を射出して成形する例である。このとき、加飾フィルム11は、エンボスフィルム14付きのものを使用するのが好ましい。
【0048】
加飾フィルム11は、予備賦形時に真空引きされる下型55側にエンボスフィルム14又は加飾耐侯層13を向けて供給され、予備賦形がなされる。このあと、上型56を下して、キャビティ内に合成樹脂を射出する。加飾フィルム11は真空引きと射出時に圧力を受けることになるが、エンボスフィルム14が加飾耐侯層13の凹凸13aにかかる圧力を緩和して加飾耐侯層13の凹凸13aが潰れたりするのを防止し保護する。
【0049】
成形後は、トリミングと共に、エンボスフィルム14が図6に示したように除去されて、製品となる。
【実施例0050】
前述した樹脂塗工工程S1a、フィルム積層工程S1b及び樹脂硬化工程S2を有する加飾フィルム製造方法を用いて加飾フィルム11のサンプルを製造した。その加飾フィルム11について、デザイン性を示す情報として「転写性」を、機能性を示す性能として「硬化性」、「紫外線透過率」および「紫外線吸収率」を調べた。「転写性」の参考のために表面粗さのデータも得た。
【0051】
製造した加飾フィルム11は図7に示した6種類のサンプル(実施例1~実施例6)である。
【0052】
サンプルの製造に際して、加飾耐侯層13となる塗剤は、電子線硬化性樹脂である樹脂成分(光硬化性樹脂・光硬化性オリゴマー)と、紫外線吸収剤と、希釈剤としての溶剤を、それぞれ所定量ずつ混合して調製した。塗剤が塗工される支持体フィルム12には、厚さ200μmの帝人株式会社製ポリカーボネートフィルムである「パンライト」を使用した。樹脂塗工工程S1aにおける塗剤の塗布量は、乾燥後の塗工膜厚が50μmとなるようにした。フィルム積層工程S1bでのエンボスフィルム14の貼り合わせは、前述のようなロールでの貼り合わせではなく、枚葉での貼り合わせで行った。樹脂硬化工程S2では、エンボスフィルム側から150kV、200kGryの強度で電子線を照射した。
【0053】
各サンプルの相違点は、使用する電子線硬化性樹脂とエンボスフィルムの柄である。
【0054】
電子線硬化性樹脂は、実施例1、2では三菱ケミカル株式会社製の「紫光UV-3300B」を用い、実施例3、4では同社製の「紫光UV-6640B」、実施例5、6では、同社製の「紫光UV-7550B」を用いた。
【0055】
塗剤の配合は、いずれのサンプルも電子線硬化性樹脂を100重量部、紫外線吸収剤を1.5重量部、溶剤のうちトルエンを23重量部、IPA(イソプロピルアルコール)を3重量部とした。紫外線吸収剤には株式会社ADEKA製の「アデカスタブLA-46」を用いた。
【0056】
エンボスフィルムについては、エンボスがマット調のものと格子状のものを使用した。これは、転写、すなわち凹凸を写し取る凹凸の付与において、形態の種類が異なる凹凸についてみるためである。すなわち、凹凸の転写においてエンボスフィルムの凹はサンプルでは凸となり、凸は凹となる。このため、無数の微細な凹凸からなるマット調のエンボスの場合には、エンボスフィルムの凹凸面の表面粗さと転写されてできる凹凸の表面粗さは、数値上の違いはあるものの、表面粗さの種類にもよるが、大きくかけ離れたものにはならないと考えられる。測定箇所による差異もさほどないといえる。これに対して格子状のエンボスは明確な線状部分を有するので、エンボスフィルムの凹凸面の表面粗さと転写されてできる凹凸の表面粗さは、例えばRa(算術平均粗さ)において比較的大きな違いを有する数値になる。
【0057】
2つのエンボスフィルムのエンボス面を顕微鏡で観察した画像を図8に示した。顕微鏡観察画像は、株式会社キーエンス製「VHX DIGITAL MICROSCOPE VHX-7000」を用いて20倍から100倍の範囲で、かつリング状光源で観察し、内部カメラ機能を利用して撮影した。
【0058】
図8中、上段の写真がマット調のエンボスフィルムを示しており、写真の倍率は×100.0である。写真の右上には表面粗さを載せている。表面粗さの値は複数回測定して平均をとったものであり、Ra(算術平均粗さ)は6.249μm、Rz(最大高さ粗さ)は33.242μm、RSm(粗さ曲線要素の平均長さ)は589.0μm、RzJIS(十点平均粗さ)は28.963μmであった。
【0059】
図8中、下段の写真は格子状のエンボスフィルムであり、写真の倍率は×20.0である。表面粗さは、Raが1.794μm、Rzが16.883μm、RSmが321.2μm、RzJISが12.808μmであった。
【0060】
マット調のエンボスフィルムを用いて製造したサンプルは、実施例1、3、5であり、格子状のエンボスフィルムを用いてサンプルは、実施例2、4、6である。
【0061】
表面粗さの測定は、JISB0633:2001に則っておこない、株式会社ミツトヨ製「SJ-210」を用いた。測定条件は、λc:2.5mm、λs:8μm、区間数:5である。
【0062】
なお、前述した「転写性」とは、エンボスフィルム14の凹凸面14aの態様を加飾フィルム11の凹凸13aにどのくらいの程度で再現できたかを示す概念であり、目視と顕微鏡観察により次の基準を設けて「○」「△」「×」評価した。
【0063】
○:十分に再現されており、エンボスフィルムの凹凸面と加飾フィルムの凹凸を同一視し得る。
【0064】
△:加飾フィルムの凹凸がエンボスフィルムの凹凸面に比べて浅い印象がある。
【0065】
×:全体として再現性が不十分である。
【0066】
「硬化性」は、加飾フィルム11の目視、カッティング、加飾耐侯層13のテープ剥離により、次の基準を設けて「○」「△」「×」評価した。
【0067】
○:加飾耐侯層が十分に硬化している。
【0068】
△:加飾耐侯層の表面は硬化しているが深部に未硬化部位がある。
【0069】
×:加飾耐侯層の表面の一部、または全部が未硬化である。
【0070】
「紫外線透過率(%)」は、ISO9050:2003を参考に株式会社島津製作所製「UV-3600iPlus」を用いて300nm~380nmの範囲で測定して算出した。
【0071】
「紫外線吸収率(%)」は「100」から「紫外線透過率」を減算して得た。
【0072】
実施例1~実施例6の各サンプルについて表面粗さ、転写性、硬化性、自外線透過性、紫外線吸収性について調べた結果は図7のとおりであり、各サンプルの凹凸を有する面の顕微鏡観察画像は図9図11に示したとおりである。
【0073】
なお、図9図11の下段の写真には多数の気泡が写っている。この写真は、格子状の凹凸面を有するエンボスフィルムを用いたサンプルの写真であり、前述したようにエンボスフィルムの貼り合わせを枚葉での貼り合わせとしているため、気泡が抜けらずに残存している結果である。観察においては気泡の存在を無視して線状部分の状態で良否を判定した。
【0074】
<実施例1について>
マット調の凹凸を有する加飾フィルム(サンプル)は、図9の上段の写真に見られるように、図8の上段に示したエンボスフィルムのエンボスと同一視できるものであって、転写性が良好「○」であることがわかる。
【0075】
この表面粗さは、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、1.071、10.454、358.6、7.370であり、エンボスフィルムの表面粗さ(Ra:6.249、Rz:33.242、RSm:589.0、RzJIS:28.965)と同じような傾向を示している。このことからも転写性が良好であることがわかる。
【0076】
硬化性については、これも良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
【0077】
また紫外線透過率は9.7%であり、紫外線吸収率は90.3%であった。
【0078】
<実施例2について>
格子状の凹凸を有する加飾フィルム(サンプル)は、図9の下段の写真に見られるように、図8の下段に示したエンボスフィルムのエンボスと同一視できるものであって、転写性が良好「○」であることがわかる。
【0079】
この表面粗さは、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、17.200、69.676、592.4、48.360であり、エンボスフィルムの表面粗さ(Ra:1.794、Rz:16.883、RSm:321.2、RzJIS:12.808)と比べて、特にRaにおいて隔たりがあるものの、総じて似たような傾向を示している。このことからも転写性が良好であることがわかる。
【0080】
硬化性については、これも良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
【0081】
また紫外線透過率は16.8%であり、紫外線吸収率は83.2%であった。
【0082】
<実施例3について>
図10の上段の写真に見られるように、マット調の凹凸を有する加飾フィルム(サンプル)は、図8の上段に示したエンボスフィルムのエンボスと同一視できるものであって、転写性が良好「○」であることがわかる。
【0083】
この表面粗さは、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、1.107、13.622、382.6、10.000であり、エンボスフィルムの表面粗さ(Ra:6.249、Rz:33.242、RSm:589.0、RzJIS:28.965)と同じような傾向を示している。このことからも転写性が良好であることがわかる。
【0084】
硬化性については、これも良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
【0085】
また紫外線透過率は8.0%であり、紫外線吸収率は92.0%であった。
【0086】
<実施例4について>
図10の下段の写真に見られるように、格子状の凹凸を有する加飾フィルム(サンプル)は、図8の下段に示したエンボスフィルムのエンボスと同一視できるものであって、転写性が良好「○」であることがわかる。
【0087】
この表面粗さは、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、16.815、69.198、593.5、50.910であり、エンボスフィルムの表面粗さ(Ra:1.794、Rz:16.883、RSm:321.2、RzJIS:12.808)と比べて、特にRaにおいて隔たりがあるものの、総じて似たような傾向を示している。このことからも転写性が良好であることがわかる。
【0088】
硬化性については、これも良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
【0089】
また紫外線透過率は13.7%であり、紫外線吸収率は86.3%であった。
【0090】
<実施例5について>
図11の上段の写真に見られるように、マット調の凹凸を有する加飾フィルム(サンプル)は、図8の上段に示したエンボスフィルムのエンボスと同一視できるものであって、転写性が良好「○」であることがわかる。
【0091】
この表面粗さは、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、1.244、14.440、287.2、10.890であり、エンボスフィルムの表面粗さ(Ra:6.249、Rz:33.242、RSm:589.0、RzJIS:28.965)と同じような傾向を示している。このことからも転写性が良好であることがわかる。
【0092】
硬化性については、これも良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
【0093】
また紫外線透過率は7.8%であり、紫外線吸収率は92.2%であった。
【0094】
<実施例6について>
図11の下段の写真に見られるように、格子状の凹凸を有する加飾フィルム(サンプル)は、図8の下段に示したエンボスフィルムのエンボスと同一視できるものであって、転写性が良好「○」であることがわかる。
【0095】
この表面粗さは、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、18.576、82.012、578.3、53.440であり、エンボスフィルムの表面粗さ(Ra:1.794、Rz:16.883、RSm:321.2、RzJIS:12.808)と比べて、特にRaにおいて隔たりがあるものの、総じて似たような傾向を示している。このことからも転写性が良好であることがわかる。
【0096】
硬化性については、これも良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
【0097】
また紫外線透過率は13.3%であり、紫外線吸収率は86.7%であった。
【0098】
以上のように、いずれの実施例においても転写性と硬化性について十分な性質が得られている。
【0099】
また、実施例1、3、5と、実施例2、4、6をそれぞれ比較すると、いずれも表面粗さの数値に違いはあるものの同じような傾向を示していることからわかるように、転写性は光硬化性オリゴマーの種類の違いによっては影響を受けず、この発明の方法によって加飾フィルムの安定した製造ができることがわかる。
【0100】
以下、若干の比較例を説明する。
【0101】
図12に比較例1~6を示す。
【0102】
この比較例では、樹脂硬化工程S2を紫外線照射に変更した。そのほかの主な条件は実施例1~6と同じであって、比較例1~6はそれぞれ実施例1~6に対応する。
【0103】
塗剤には、紫外線硬化のための光重合開始剤として、IGM Resins B.V.社製の「Omnirad184」を使用し、2部添加した。
【0104】
紫外線硬化では、光源に高圧水銀ランプを使用し、照射条件を照射量640mJ、酸素濃度5,000ppm以下とした。
【0105】
<比較例1について>
写真は省略するが、転写性は良好「○」であった。このことは、表面粗さ、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、1.000、9.794、437.6、7.120であり、実施例1のサンプルの表面粗さ(Ra:1.071、Rz:10.454、RSm:358.6、RzJIS:7.370)と似ていることからもわかる。
硬化性については良くなく「△」であり、製品として使用できるレベルものではなかった。
【0106】
<比較例2について>
写真は省略するが、転写性は良好「○」であった。このことは、表面粗さ、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、15.421、66.177、586.3、43.920であり、実施例2のサンプルの表面粗さ(Ra:17.200、Rz:69.676、RSm:592.4、RzJIS:48.360)と似ていることからもわかる。
硬化性については不良「×」であった。
【0107】
<比較例3について>
写真は省略するが、転写性は良好「○」であった。このことは、表面粗さ、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、1.354、15.284、300.8、11.670であり、実施例3のサンプルの表面粗さ(Ra:1.107、Rz:13.622、RSm:382.6、RzJIS:10.000)と似ていることからもわかる。
硬化性については良くなく「△」であり、製品として使用できるレベルものではなかった。
【0108】
<比較例4について>
写真は省略するが、転写性は良好「○」であった。このことは、表面粗さ、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、15.823、63.987、530.1、49.440であり、実施例4のサンプルの表面粗さ(Ra:16.815、Rz:69.198、RSm:593.5、RzJIS:50.910)と似ていることからもわかる。
硬化性については不良「×」であった。
【0109】
<比較例5について>
写真は省略するが、転写性は良好「○」であった。このことは、表面粗さ、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、1.412、15.885、316.5、11.900であり、実施例5のサンプルの表面粗さ(Ra:1.244、Rz:14.440、RSm:287.2、RzJIS:10.890)と似ていることからもわかる。
【0110】
硬化性については良くなく「△」であり、製品として使用できるレベルものではなかった。
【0111】
<比較例6について>
写真は省略するが、転写性は良好「○」であった。このことは、表面粗さ、Ra、Rz、RSm、RzJISがそれぞれ、16.780、73.634、600.3、53.140であり、実施例6のサンプルの表面粗さ(Ra:18.576、Rz:82.012、RSm:578.3、RzJIS:53.440)と似ていることからもわかる。
硬化性については不良「×」であった。
【0112】
以上のように紫外線硬化方式であると硬化性は得られないが、十分な転写性は得られた。
【0113】
図13に比較例7~12を示す。
【0114】
比較例1~6からも転写性が良好であることはわかるので、この比較例では、紫外線吸収剤を無添加として、硬化性と、紫外線透過率についてみた。そのほかの主な条件は実施例1~6と同じであって、比較例7~12はそれぞれ実施例1~6に対応する。
【0115】
<比較例7について>
硬化性については良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
また紫外線透過率は80.2%であり、紫外線吸収率は19.8%であった。
【0116】
<比較例8について>
硬化性については良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
また紫外線透過率は83.2%であり、紫外線吸収率は16.8%であった。
【0117】
<比較例9について>
硬化性については良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
また紫外線透過率は79.8%であり、紫外線吸収率は20.2%であった。
【0118】
<比較例10について>
硬化性については良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
また紫外線透過率は79.2%であり、紫外線吸収率は20.8%であった。
【0119】
<比較例11について>
硬化性については良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
また紫外線透過率は79.1%であり、紫外線吸収率は20.9%であった。
【0120】
<比較例12について>
硬化性については良好「○」であり、製品として使用できるレベルものであった。
また紫外線透過率は82.2%であり、紫外線吸収率は17.8%であった。
【0121】
以上のように紫外線吸収剤を添加しないと紫外線透過率が80%程度であるところを、紫外線吸収剤の1.5部程度の添加で表1のように大幅に紫外線透過率を下げることができる。
【符号の説明】
【0122】
11…加飾フィルム
12…支持体フィルム
13…加飾耐侯層
13a…凹凸
14…エンボスフィルム
14a…凹凸面
15…離型層
31…電子線硬化性樹脂
31a…電子線硬化性樹脂層
33…積層体
53…電子線照射装置
S1…塗工積層工程
S1a…樹脂塗工工程
S1b…フィルム積層工程
S2…樹脂硬化工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13