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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051933
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ステージ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240404BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20240404BHJP
   H05B 3/10 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H05B3/74
H05B3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158331
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】二口谷 淳
(72)【発明者】
【氏名】相川 尚哉
【テーマコード(参考)】
3K092
5F131
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QB03
3K092QB30
3K092RF11
3K092VV21
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA03
5F131CA17
5F131EB11
5F131EB81
5F131EB82
(57)【要約】
【課題】内側領域と外側領域との温度差の大きい温度勾配プロファイルを実現することができるステージを提供すること。
【解決手段】
ステージは、第1の溝を含む第1の金属プレートと、第1の金属プレートの下方に位置する、貫通口を含む第2の金属プレートと、第2の金属プレートの下方に位置する、第2の溝を含む第3の金属プレートと、第1の溝、貫通口、および第2の溝が互いに連通した断熱部と、第1の金属プレート、第2の金属プレート、および第3の金属プレートのうちの1つに設けられる第1の環流路および第1のヒータと、第2の環流路および第2のヒータの少なくとも1つと、を含み、第1の環流路および第2の環流路は、断熱部を境界とする第1の領域に設けられ、第1のヒータおよび第2のヒータは、断熱部を境界とする第1の領域の反対の第2の領域に設けられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の溝を含む第1の金属プレートと、
前記第1の金属プレートの下方に位置する、第1の貫通口を含む第2の金属プレートと、
前記第2の金属プレートの下方に位置する、第2の溝および第2の貫通口のうちの少なくとも1つを含む第3の金属プレートと、
前記第1の溝、前記第1の貫通口、ならびに前記第2の溝および第2の貫通口のうちの少なくとも1つが互いに連通した断熱部と、
前記第1の金属プレート、前記第2の金属プレート、および前記第3の金属プレートのうちの1つの金属プレートに設けられる第1の環流路および第1のヒータと、
第2の環流路および第2のヒータの少なくとも1つと、を含み、
前記第1の環流路および前記第2の環流路は、前記断熱部を境界とする第1の領域に設けられ、
前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、前記断熱部を境界とする前記第1の領域の反対の第2の領域に設けられる、ステージ。
【請求項2】
さらに、前記第3の金属プレートの下方に位置する第4の金属プレートを含み、
前記第2の環流路および前記第2のヒータは、前記第4の金属プレートに設けられている、請求項1に記載のステージ。
【請求項3】
前記第1の領域は、前記断熱部によって囲まれる領域である、請求項1に記載のステージ。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記断熱部によって囲まれる領域である、請求項1に記載のステージ。
【請求項5】
前記第2のヒータは、前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートに設けられている、請求項1に記載のステージ。
【請求項6】
隣接する2つの金属プレートの一方が、前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートであり、
前記第2の環流路は、前記隣接する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項5に記載のステージ。
【請求項7】
離隔した2つの金属プレートの一方が、前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートであり、
前記第2の環流路は、前記離隔する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項5に記載のステージ。
【請求項8】
隣接する2つの金属プレートの一方が、前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートであり、
前記第2のヒータは、前記隣接する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項1に記載のステージ。
【請求項9】
前記第2の環流路は、前記隣接する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項8に記載のステージ。
【請求項10】
前記第2の環流路は、前記隣接する2つの金属プレートと異なる金属プレートに設けられている、請求項8に記載のステージ。
【請求項11】
離隔する2つの金属プレートの一方が、前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートであり、
前記第2のヒータは、前記離隔する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項1に記載のステージ。
【請求項12】
前記第2の環流路は、前記離隔する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項11に記載のステージ。
【請求項13】
前記第2の環流路は、前記離隔する2つの金属プレートと異なる金属プレートに設けられている、請求項11に記載のステージ。
【請求項14】
前記第2のヒータの断面径は、前記第1のヒータの断面径と異なる、請求項1に記載のステージ。
【請求項15】
前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、電気的に絶縁されている、請求項1に記載のステージ。
【請求項16】
第1の溝を含む第1の金属プレートと、
前記第1の金属プレートの下方に位置する、第1の貫通口を含む第2の金属プレートと、
前記第2の金属プレートの下方に位置する、第2の溝および第2の貫通口のうちの少なくとも1つを含む第3の金属プレートと、
前記第1の溝、前記第1の貫通口、ならびに前記第2の溝および第2の貫通口のうちの少なくとも1つが互いに連通した断熱部と、
前記第1の金属プレート、前記第2の金属プレート、および前記第3の金属プレートのうちの1つの金属プレートに設けられる第1の環流路と、
前記1つの金属プレートと異なる別の金属プレートに設けられる第1のヒータと、
前記1つの金属プレートおよび前記別の金属プレートと異なる金属プレートに設けられる、第2の環流路および第2のヒータの少なくとも1つと、を含み、
前記第1の環流路および前記第2の環流路は、前記断熱部を境界とする第1の領域に設けられ、
前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、前記断熱部を境界とする前記第1の領域の反対の第2の領域に設けられる、ステージ。
【請求項17】
さらに、前記第3の金属プレートの下方に位置する第4の金属プレートを含み、
前記第2の環流路および第2のヒータの少なくとも1つは、前記第4の金属プレートに設けられている、請求項16に記載のステージ。
【請求項18】
前記第1の領域は、前記断熱部によって囲まれる領域である、請求項16に記載のステージ。
【請求項19】
前記第2の領域は、前記断熱部によって囲まれる領域である、請求項16に記載のステージ。
【請求項20】
前記1つの金属プレートと前記別の金属プレートとは隣接している、請求項16に記載のステージ。
【請求項21】
前記1つの金属プレートと前記別の金属プレートとは離隔している、請求項16に記載のステージ。
【請求項22】
第1の溝を含む第1の金属プレートと、
前記第1の金属プレートの下方に位置する、第1の貫通口を含む第2の金属プレートと、
前記第2の金属プレートの下方に位置する、第2の溝および第2の貫通口の少なくとも1つを含む第3の金属プレートと、
前記第1の溝、前記第1の貫通口、ならびに前記第2の溝および第2の貫通口の少なくとも1つが互いに連通した断熱部と、
前記第1の金属プレート、前記第2の金属プレート、および前記第3の金属プレートのうちの1つの金属プレートに設けられる第1の環流路および第1のヒータと、
第2の環流路および第2のヒータと、を含み、
前記第1の環流路および前記第2のヒータは、前記断熱部を境界とする第1の領域に設けられ、
前記第1のヒータおよび前記第2の環流路は、前記断熱部を境界とする前記第1の領域の反対の第2の領域に設けられる、ステージ。
【請求項23】
さらに、前記第3の金属プレートの下方に位置する第4の金属プレートを含み、
前記第2の環流路および前記第2のヒータの少なくとも1つは、前記第4の金属プレートに設けられる、請求項22に記載のステージ。
【請求項24】
前記第2の環流路および前記第2のヒータは、前記第1の環流路および前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートに設けられている、請求項22に記載のステージ。
【請求項25】
隣接する2つの金属プレートの一方が、前記第1の環流路および前記第1のヒータが設けられる前記1つの金属プレートであり、
前記第2の環流路および前記第2のヒータは、前記隣接する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項22に記載のステージ。
【請求項26】
離隔する2つの金属プレートの一方が、前記第1の環流路および前記第2の環流路が設けられる前記1つの金属プレートであり、
前記第2の環流路および前記第2のヒータは、前記離隔する2つの金属プレートの他方に設けられている、請求項22に記載のステージ。
【請求項27】
前記第1の金属プレートの最低表面温度と最大表面温度との温度差が20℃以上である、請求項1乃至請求項26のいずれか一項に記載のステージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、ウェハ等が載置されるステージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する半導体装置には、ウェハを載置するステージが設けられている。ステージには、ヒータの配置の自由度、コンタミネーション、および耐熱性等の観点から、一般的にセラミックが用いられている。例えば、セラミックを用いたステージとして、特許文献1には、内周領域のヒータエレメントと、外周領域のヒータエレメントとをそれぞれ制御することにより、内周領域の温度と外周領域の温度とが異なる温度勾配プロファイルを有するセラミックプレートが開示されている。特許文献1に開示されているようなセラミックプレートでは、内周領域から外周領域に向かって高温になり、内周領域と外周領域との温度差が10℃程度の温度勾配プロファイルを実現することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/030433号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ステージの内側領域と外側領域との温度差をさらに大きくしたいという要望がある。しかしながら、セラミックを用いたステージでは、内側領域と外側領域との温度差が10℃以上になると、ステージが破損するおそれがある。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記問題に鑑み、内側領域と外側領域との温度差の大きい温度勾配プロファイルを実現することができるステージを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るステージは、第1の溝を含む第1の金属プレートと、第1の金属プレートの下方に位置する、貫通口を含む第2の金属プレートと、第2の金属プレートの下方に位置する、第2の溝を含む第3の金属プレートと、第1の溝、貫通口、および第2の溝が互いに連通した断熱部と、第1の金属プレート、第2の金属プレート、および第3の金属プレートのうちの1つに設けられる第1の環流路および第1のヒータと、第2の環流路および第2のヒータの少なくとも1つと、を含み、第1の環流路および第2の環流路は、断熱部を境界とする第1の領域に設けられ、第1のヒータおよび第2のヒータは、断熱部を境界とする第1の領域の反対の第2の領域に設けられる。
【0007】
第1の領域は、断熱部によって囲まれる領域であってもよい。第2の領域は、断熱部によって囲まれる領域であってもよい。
【0008】
第2のヒータは、第1のヒータが設けられる1つの金属プレートに設けられていてもよい。隣接する2つの金属プレートの一方が、第1のヒータが設けられる1つの金属プレートであり、第2の環流路は、隣接する2つの金属プレートの他方に設けられていてもよい。離隔した2つの金属プレートの一方が、第1のヒータが設けられる1つの金属プレートであり、第2の環流路は、離隔する2つの金属プレートの他方に設けられていてもよい。
【0009】
隣接する2つの金属プレートの一方が、第1のヒータが設けられる1つの金属プレートであり、第2のヒータは、隣接する2つの金属プレートの他方に設けられていてもよい。第2の環流路は、隣接する2つの金属プレートの他方に設けられていてもよい。第2の環流路は、隣接する2つの金属プレートと異なる金属プレートに設けられていてもよい。
【0010】
離隔する2つの金属プレートの一方が、第1のヒータが設けられる1つの金属プレートであり、第2のヒータは、離隔する2つの金属プレートの他方に設けられていてもよい。第2の環流路は、離隔する2つの金属プレートの他方に設けられていてもよい。第2の環流路は、前記離隔する2つの金属プレートと異なる金属プレートに設けられていてもよい。
【0011】
第2のヒータの断面径は、第1のヒータの断面径と異なっていてもよい。
【0012】
第1のヒータおよび前記第2のヒータは、電気的に絶縁されていてもよい。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係るステージは、第1の溝を含む第1の金属プレートと、第1の金属プレートの下方に位置する、貫通口を含む第2の金属プレートと、第2の金属プレートの下方に位置する、第2の溝を含む第3の金属プレートと、第1の溝、貫通口、および第2の溝が互いに連通した断熱部と、第1の金属プレート、第2の金属プレート、および第3の金属プレートのうちの1つの金属プレートに設けられる第1の環流路と、1つの金属プレートと異なる別の金属プレートに設けられる第1のヒータと、1つの金属プレートおよび別の金属プレートと異なる金属プレートに設けられる、第2の環流路および第2のヒータの少なくとも1つと、を含み、第1の環流路および第2の環流路は、断熱部を境界とする第1の領域に設けられ、第1のヒータおよび第2のヒータは、断熱部を境界とする第1の領域の反対の第2の領域に設けられる。
【0014】
1つの金属プレートと別の金属プレートとは隣接していてもよい。
【0015】
1つの金属プレートと別の金属プレートとは離隔していてもよい。
【0016】
第1の金属プレートの最低表面温度と最大表面温度との温度差が20℃以上であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態に係るステージは、内側領域と外側領域との温度差の大きい温度勾配プロファイルを実現することができる。そのため、ステージに載置されるウェハの内側領域または外側領域の温度低下が顕著な場合であっても、ウェハの内側領域または外側領域の温度を補正し、ウェハ内の温度分布の均一化をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るステージの構成を示す模式的な斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るステージの構成を示す模式的な上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るステージの構成を示す模式的な断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るステージの環流路の構成を示す模式的な平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るステージの第2の金属プレートの構成を示す模式的な平面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るステージの第2の金属プレートの構成を示す模式的な平面図である。
図8】本発明の一実施形態に係るステージの温度勾配プロファイルを説明するグラフである。
図9】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図11】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図15】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図16】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図17】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図18】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図19】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図20】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図21】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図22】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図23】本発明の一実施形態に係るステージの温度勾配プロファイルを説明するグラフである。
図24】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図25】本発明の一実施形態に係るステージのプレート部の構成を示す模式的な断面図である。
図26】本発明の一実施形態に係るエッチング装置の構成を示す模式的な断面図である。
図27】本発明の一実施形態に係るCVD装置の構成を示す模式的な断面図である。
図28】本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置の構成を示す模式的な断面図である。
図29】本発明の一実施形態に係る蒸着装置の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照し説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0020】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。また、説明の便宜上、上方または下方という語句を用いて説明するが、上方または下方はそれぞれステージの使用時(ウェハ載置時)における向きを示す。
【0021】
本明細書および図面において、同一または類似する複数の構成を総じて表記する際には同一の符号を用い、これら複数の構成のそれぞれを区別して表記する際には、さらに大文字のアルファベットを添えて表記する。一つの構成のうちの複数の部分をそれぞれ区別して表記する際には、同一の符号を用い、さらにハイフンと自然数を用いる。
【0022】
本明細書において、ステージの「内側領域」とは、断熱部で囲まれる内側の領域および当該領域と重畳する領域をいう。また、本明細書において、ステージの「外側領域」とは、内側領域の外側の領域をいう。すなわち、「外側領域」は、ステージの外周側の領域である。なお、本明細書では、ステージだけでなく、ウェハに対しても、「内側領域」および「外側領域」の用語を使用するが、ウェハの「内側領域」および「外側領域」は、それぞれ、ステージにウェハが載置されたときのステージの「内側領域」および「外側領域」と重畳する領域をいう。
【0023】
<第1実施形態>
図1図8を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10について説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係るステージ10の構成を示す模式的な斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係るステージ10の構成を示す模式的な上面図である。図2では、後述する環流路112が点線で示されている。図3は、本発明の一実施形態に係るステージ10の構成を示す断面図である。具体的には、図3は、図2に示すA1-A2線で切断されたステージ10の一部の断面が示された断面図である。図4は、本発明の一実施形態に係るステージ10の環流路112の構成を示す模式的な断面図である。
【0025】
図1に示すように、ステージ10は、プレート部100およびシャフト部200を含む。ステージ10において、ウェハは、プレート部100の第1の面101に載置される。シャフト部200は、プレート部100の第1の面101と反対の第2の面102に接続している。
【0026】
ステージ10に載置されるウェハとして、例えば、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、サファイア、石英、ガラス、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、または窒化ガリウム(GaN)などが用いられるが、これに限られない。上述したように、ウェハはプレート部100の第1の面101に載置されるため、第1の面101には、載置されるウェハをガイドするための段差が設けられていてもよい。
【0027】
プレート部100は、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110~第4の金属プレート140は、この順に積層されている。すなわち、第2の金属プレート120は第1の金属プレート110の下方に位置し、第3の金属プレート130は第2の金属プレート120の下方に位置し、および第4の金属プレート140は第3の金属プレート130の下方に位置する。
【0028】
第1の金属プレート110と第2の金属プレート120、第2の金属プレート120と第3の金属プレート130、および第3の金属プレート130と第4の金属プレート140とは、溶接、ネジ止め、固相拡散接合またはろう付などを用いて、互いに接続されている。ろう付用のろうとして、例えば、銀、銅、および亜鉛を含む合金、銅および亜鉛を含む合金、リンを微量含む銅、アルミニウムを含む合金、チタン、銅、およびニッケルを含む合金、チタン、ジルコニウム、および銅を含む合金、またはチタン、ジルコニウム、銅、およびニッケルを含む合金などを用いることができる。
【0029】
図2に示すように、上面視において、第1の金属プレート110は、円形状を有する。第1の金属プレート110と重畳する第2の金属プレート120~第4の金属プレート140も、円形状を有する。但し、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140の形状は、円形状に限られない。第1の金属プレート110~第4の金属プレート140の形状はウェハの形状に合わせて適宜決定されればよく、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140は、楕円形状または多角形状を有していてもよい。
【0030】
また、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140の厚さは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0031】
第1の金属プレート110~第4の金属プレート140の材料として、例えば、アルミニウム、チタン、鉄、銅、ニッケル、モリブデン、タングステン、もしくは金などの金属、またはこれらの金属を含む合金が用いられる。鉄を含む合金は、例えば、ステンレス鋼、コバール、または42アロイなどである。また、ニッケルを含む合金は、例えば、インコネルまたはハイステロイなどである。後述するように、第1の金属プレート110には、冷却媒体を流通する環流路112およびヒータ113が設けられる。第1の金属プレート110の表面は、プレート部100の第1の面101に相当し、ウェハは第1の金属プレート110の表面上に載置される。そのため、ヒータ113が発する熱をウェハに効率よく伝導し、および環流路112を流通する冷却媒体が熱を効率よく吸収するため、第1の金属プレート110には、熱伝導性の高い材料が用いられることが好ましい。例えば、第1の金属プレート110の材料として、200W/mK以上430W/mK以下の熱伝導率を有する金属または合金を用いることができる。なお、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140には、同じ材料が用いられてもよく、異なる材料が用いられてもよい。第1の金属プレート110~第4の金属プレート140が異なる場合、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に含まれる金属または合金は、5×10-6/K以上25×10-6/K以下の熱膨張率を有することが好ましい。また、隣接する2つの金属プレートの熱膨張率の差が10×10-6/K以下となるように、それぞれの材料が選択されることが好ましい。これにより、熱膨張の違いによるステージ10の変形が抑制されるため、ステージ10の信頼性を向上させることができる。
【0032】
図3に示すように、第1の金属プレート110は、環流路112およびヒータ113を含む。環流路112およびヒータ113は、第1の金属プレート110の第2の金属プレート120側に設けられ、第2の金属プレート120によって閉塞されている。また、環流路112はプレート部100の内側領域に設けられ、ヒータ113はプレート部100の外側領域に設けられている。
【0033】
また、第2の金属プレート120は、環流路122およびヒータ123を含む。環流路122およびヒータ123は、第2の金属プレート120の第3の金属プレート130側に設けられ、第3の金属プレート130によって閉塞されている。また、環流路122はプレート部100の内側領域に設けられ、ヒータ123はプレート部100の外側領域に設けられている。
【0034】
平面視において、環流路112は、環流路122と重畳している。また、平面視において、ヒータ113は、ヒータ123と重畳している。
【0035】
環流路112には、入口112aから水などの液体または気体などの冷却媒体が導入され、環流路112に沿って第1の金属プレート110内を広範囲にわたって流通した後、冷却媒体は出口112bから第1の金属プレート110の外部に放出される(図2参照)。冷却媒体の流通により、冷却媒体とプレート部100またはウェハとの間で熱交換が行われ、ウェハの内側領域が冷却される。環流路112は、第1の金属プレート110に直接形成された構造であってもよく、第1の金属プレート110に設けられた溝内に管状部材が配置された構造であってもよい。
【0036】
平面視において、図2に示す環流路112は、滑らかな曲線形状を有する(すなわち、環流路112の側面が滑らかな曲面を有する。)が、環流路112の構成はこれに限られない。例えば、図4(A)に示すように、平面視において、環流路112は、ジグザグ形状を有していてもよい。また、図4(B)に示すように、平面視において、環流路112は、凹凸形状を有していてもよい。すなわち、環流路112の幅は周方向において一定ではなく、変化していてもよい。
【0037】
環流路122は、環流路112と同様の構成を有する。但し、環流路112の形状と環流路122の形状は、異なっていてもよい。また、環流路122を流通する冷却媒体の条件(例えば、種類、温度、または流量など)は、環流路122を流通する冷却媒体の条件と同じであってもよく、異なっていてもよい。すなわち、環流路112と環流路122とは、冷却媒体の条件を独立して制御することができる。
【0038】
ヒータ113は、制御装置(図示せず)の制御の下で駆動する。ヒータ113は、例えば、電熱線を用いて構成され、第1の金属プレート110の外周に沿って配設されている。ヒータ113は、第1の金属プレート110内に埋設されていてもよく、第1の金属プレート110に設けられた溝内に配設されていてもよい。例えば、第1の金属プレート110の溝にヒータ113が配設された後、溶射膜などで覆うことにより、第1の金属プレート110にヒータ113を設置することができる。ヒータ113は、第1の金属プレート110を介して、ウェハの外側領域を加熱する。
【0039】
ヒータ123は、ヒータ113と同様の構成を有する。但し、ヒータ123は、種類、断面径、または電力密度などがヒータ113と異なっていてもよい。また、ヒータ123は、ヒータ113と独立して制御することができる。すなわち、ヒータ113とヒータ123とは、電気的に絶縁されている。
【0040】
プレート部100では、第1の金属プレート110の内側領域に配置された環流路112(または第2の金属プレート120の内側領域に配置された環流路112)と第1の金属プレート110の外側領域に配置されたヒータ113(または第2の金属プレート120の外側領域に配置されたヒータ113)との間に、断熱部150が設けられている。ここで、図5図7を参照して、プレート部100の構成について説明する。
【0041】
図5は、本発明の一実施形態に係るステージ10のプレート部100の構成を示す模式的な断面図である。図6および図7の各々は、本発明の一実施形態に係るステージ10の第2の金属プレート120の構成を示す模式的な平面図である。具体的には、図6および図7の各々は、第2の金属プレート120の上面図である。
【0042】
図5に示すように、断熱部150は、第1の金属プレート110に形成された第1の溝111、第2の金属プレート120に形成された貫通口121、および第3の金属プレート130に形成された第2の溝131を含む。第1の溝111、貫通口121、および第2の溝131は、互いに重畳している。第1の溝111は、第2の金属プレート120側に開口面を有する。貫通口121は、第2の金属プレート120内を貫通し、第1の金属プレート110側および第3の金属プレート130側に開口面を有する。第2の溝131は、第2の金属プレート120側に開口面を有する。第1の溝111の開口面は貫通口121の一端の開口面と略一致し、第2の溝131の開口面は貫通口121の他端の開口面と略一致している。すなわち、断熱部150は、第1の溝111、貫通口121、および第2の溝131が、互いに連通した構造を有する。換言すると、断熱部150は、第2の金属プレート120を貫通し、第1の金属プレート110に上面が形成され、第3の金属プレートに底面が形成された閉塞された空間を有する。断熱部150内は、真空であってもよく、液体または気体が充填されていてもよい。また、断熱部150内は、外部の真空ポンプなどと接続され、圧力、温度、またはガス流量を調整することができてもよい。断熱部150内に充填または断熱部150内を流通するガスとして、ヘリウムガス、アルゴンガス、または窒素ガスなどの不活性ガスを用いることができる。また、断熱部150内に、断熱材が充填されていてもよい。
【0043】
平面視において、第1の溝111、貫通口121、および第2の溝131は、それぞれ、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、および第3の金属プレート130に円周状に形成されている。図6に示すように、第2の金属プレート120においても、貫通口121が円周状に設けられている。すなわち、第2の金属プレート120では、内側領域と外側領域とが分離されている。この場合、第2の金属プレート120が第1の金属プレート110または第3の金属プレート130と接続されるときに、第2の金属プレート120の分離された内側領域と外側領域とが接しないように、第2の金属プレート120を配置し、第1の金属プレート110または第3の金属プレート130と接続する。但し、第2の金属プレート120に形成される貫通口121が円周状の全体に設けられ、第2の金属プレート120の内側領域と外側領域とが分離されていると、第2の金属プレート120の接続の際の取り扱いが困難な場合がある。そのため、図7に示すように、第2の金属プレート120には、内側領域と外側領域とを接続する接続領域125aおよび125bが設けられていてもよい。接続領域125aおよび接続領域125bは熱伝導経路となり得るため、接続領域125aおよび接続領域125bの幅は、できる限り小さいことが好ましい。また、図7には、2つの接続領域125aおよび125bが図示されているが、第2の金属プレート120には、少なくとも1つの接続領域125が設けられていればよい。接続領域125の数は貫通口121の数と対応している。例えば、第2の金属プレート120に3つの接続領域125が設けられている場合、第2の金属プレート120は、3つの貫通口121を有する。
【0044】
また、第1の溝111および第2の溝131の各々も、複数に分割されて設けられていてもよい。
【0045】
断熱部150は、内側領域の環流路112、122と外側領域のヒータ113、123との間に位置する。また、断熱部150は、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、および第3の金属プレート130にわたって設けられており、広い空間を有する。そのため、断熱部150は、第1の金属プレート110だけでなく、第2の金属プレート120および第3の金属プレート130においても、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導を抑制することができる。これにより、ステージ10では、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0046】
図8は、本発明の一実施形態に係るステージ10の温度勾配プロファイルを説明するグラフである。
【0047】
図8に示すグラフの横軸には、第1の金属プレート110の表面の中心位置をゼロとし、所定の方向(例えば、A1-A2線の方向)に沿った第1の金属プレート110の表面の位置が示され、グラフの縦軸には、第1の金属プレート110の表面の表面温度が示されている。第1の位置P1および第2の位置P2は、それぞれ、断熱部150およびヒータ113の位置を表している。すなわち、2つのP1の間が内側領域に相当し、P1とP2との間が外側領域に相当する。
【0048】
ステージ10では、第1の金属プレート110および第2の金属プレート120の内側領域の環流路112、122を流通する冷却媒体によって、第1の金属プレート110の内側領域が冷却される。一方、第1の金属プレート110および第2の金属プレート120の外側領域のヒータ113、123によって、第1の金属プレート110の外側領域が加熱される。第1の金属プレート110の外側領域の熱は内側領域へと伝導されるが、内側領域と外側領域との間に断熱部150が設けられているため、内側領域と外側領域との熱伝導経路が制限され、外側領域から内側領域への熱伝導が抑制される。そのため、ヒータ113、123によって外側領域が加熱されても、内側領域における温度上昇が抑制される。また、断熱部150による熱流量の減少により、内側領域と外側領域との温度差が大きくなる。例えば、第1の金属プレート110の中心近傍において測定される最低表面温度T0とヒータ113近傍において測定される最高表面温度T2との最大温度差は、20℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。ステージ10の内側領域と外側領域との温度差は、ヒータ113、123へ供給する電力、または環流路112、122を流通する冷却媒体の条件を変化させることにより、調整することができる。また、上述したように、ステージ10では、ヒータ113、123を独立して制御することができ、および冷却媒体の条件も独立して制御することができる。そのため、ステージ10は、内側領域の温度および外側領域の温度を調整しながら、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0049】
シャフト部200の内部には、冷却媒体が流通する流路(図示せず)が形成されている。具体的には、シャフト部200は、流路を介して入口112aに冷却媒体を送り込むとともに、出口112bから放出される冷却媒体を受け入れる。シャフト部200の一端は、プレート部100の第2の面102と接続されている。シャフト部200の他端は、冷却媒体の供給源に接続されている。供給源は、冷却媒体を保持するタンクおよびポンプ、または水道管などであるが、これに限られない。
【0050】
また、シャフト部200の内部には、ヒータ113のリード線が格納されていてもよい。また、静電チャックが設けられる場合、シャフト部200の内部に、静電チャックと接続される配線が格納されていてもよい。
【0051】
また、シャフト部200は、回転機構と接続されていてもよい。シャフト部200が回転機構と接続されることにより、ステージ10をシャフト部200の長軸を中心として回転させることができる。
【0052】
以上、ステージ10の構成について説明したが、ここで、従来のステージと比較したときのステージ10の優位性について説明する。
【0053】
半導体装置における処理では、ステージに載置されたウェハが加熱される場合があり、その場合、ウェハ内の温度分布を均一化することが要求される。従来のステージでは、加熱した際に、外側領域が内側領域よりも温度が低下する場合がある。また、半導体装置によっては、ステージに載置されたウェハの内側領域の温度が上昇する場合がある。例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置またはALD(Atomic Layer Deposition)装置においてウェハ上に膜を成膜する場合、プラズマの印加によって、ウェハの中央部が局所的に温度上昇し、ウェハの外側領域の温度よりも内側領域の温度が高くなる。そのため、従来のステージでは、ウェハの外側領域において、顕著な温度低下が見られる。
【0054】
一方、ステージ10を用いる半導体装置では、ステージ10の内側領域と外側領域との温度差が大きく、上述したような顕著な温度低下を補正し、ウェハ内の温度分布を均一化することができる。特に、ステージ10では、セラミックによって割れが発生する温度差よりも大きな温度差を得ることができるため、ステージ10は、セラミックを用いるステージよりも多くの半導体装置に対して適用することができる。
【0055】
しかしながら、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に含まれる金属または合金の熱膨張係数は、セラミックの熱膨張係数よりも比較的大きい。そのため、断熱部150が設けられず、単に環流路112およびヒータ113のみの制御によって内側領域と外側領域との温度差を大きくする従来のステージでは、熱応力によってステージが変形する場合がある。換言すれば、断熱部150が設けられていない従来のステージの場合、熱応力によるステージの変形が生じるため、ステージ10の内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができない。一方、ステージ10では、断熱部150の空間が収縮し、または膨張することよって、熱応力を緩和することができる。すなわち、断熱部150は、ステージの内側領域と外側領域との温度差によって生じた熱応力を吸収するダンパーとして機能する。また、ステージ10では、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、および第3の金属プレート130にわたって断熱部150が設けられている。そのため、ステージ10では、ヒータ113が設けられている第1の金属プレート110およびヒータ123がもうけられている第2の金属プレート120における熱応力だけでなく、ヒータ113、123からの熱が伝導される第3の金属プレート130における熱応力も緩和されるため、内側領域と外側領域との温度差を大きくする場合であっても、ステージ10が変形しにくい。
【0056】
以上説明したように、ステージ10では、断熱部150によって、外側領域に設けられたヒータ113、123からの熱が内側領域に伝導されることを抑制することができる。すなわち、断熱部150による空間によって、プレート部100の外側領域と内側領域とが接続される熱伝導経路の断面積が減少するため、断熱部150は熱閉塞/サーマルチョークとして機能することができる。これにより、ステージ10では、内側領域と外側領域との温度差が大きくなるため、例えば、外側領域の温度低下が顕著であるウェハに対してステージ10を適用すると、ウェハの外側領域の温度を補正し、ウェハ内の温度分布を均一化させることができる。
【0057】
以下では、本発明の一実施形態に係るステージ10のいくつかの変形例について説明する。なお、ステージ10の構成の変形は、以下で説明する変形例に限定されるものではない。
【0058】
<変形例1>
図9を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0059】
図9は、本発明の一実施形態に係るステージ10Aのプレート部100Aの構成を示す模式的な断面図である。
【0060】
図9に示すように、ステージ10Aのプレート部100Aは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131、環流路132、およびヒータ133が設けられている。すなわち、ステージ10Aでは、第1の金属プレート110および第2の金属プレート120と同様に、第3の金属プレート130にも環流路132およびヒータ133が設けられている。環流路132およびヒータ133は、断熱部150を間に挟んで配置されている。
【0061】
ステージ10Aの内側領域において、環流路112、122、132は、互いに重畳している。ステージ10Aの外側領域において、ヒータ113、123、133は、互いに重畳している。ステージ10Aでは、ヒータ113、123、133をそれぞれ独立して制御することができ、および環流路112、122、132を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。そのため、ステージ10Aは、内側領域の温度および外側領域の温度を調整しながら、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0062】
<変形例2>
図10を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10またはステージ10Aの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0063】
図10は、本発明の一実施形態に係るステージ10Bのプレート部100Bの構成を示す模式的な断面図である。
【0064】
図10に示すように、ステージ10Bのプレート部100Bは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131、環流路132、およびヒータ133が設けられている。すなわち、ステージ10Bでは、第1の金属プレート110および第3の金属プレート130に環流路112、132およびヒータ113、133が設けられ、第2の金属プレート120に環流路およびヒータが設けられていない。
【0065】
ステージ10Bの内側領域において、環流路112、132は、互いに重畳している。ステージ10Bの外側領域において、ヒータ113、133は、互いに重畳している。ステージ10Bでは、ヒータ113、133をそれぞれ独立して制御することができ、および環流路112、132を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Bでは、第1の金属プレート110に設けられたヒータ113および環流路112を流通する冷却媒体によって内側領域と外側領域との十分な温度差が得られる場合に、第2の金属プレート120を介して、ヒータ133によって第1の金属プレート110を加熱し、または環流路132を流通する冷却媒体によって第1の金属プレート110を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。
【0066】
<変形例3>
図11を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Bの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0067】
図11は、本発明の一実施形態に係るステージ10Cのプレート部100Cの構成を示す模式的な断面図である。
【0068】
図11に示すように、ステージ10Cのプレート部100Cは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレートには、第1の溝111が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131、環流路132、およびヒータ133が設けられている。すなわち、ステージ10Cでは、第2の金属プレート120および第3の金属プレート130に環流路122、132およびヒータ123、133が設けられ、第1の金属プレート110に環流路およびヒータが設けられていない。
【0069】
ステージ10Cの内側領域において、環流路122、132は、互いに重畳している。ステージ10Cの外側領域において、ヒータ123、133は、互いに重畳している。ステージ10Cでは、ヒータ123、133をそれぞれ独立して制御することができ、および環流路122、132を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Cでは、ヒータ123が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路122を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第3の金属プレート130のヒータ133および環流路132を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。
【0070】
<変形例4>
図12を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Cの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0071】
図12は、本発明の一実施形態に係るステージ10Dのプレート部100Dの構成を示す模式的な断面図である。
【0072】
図12に示すように、ステージ10Dのプレート部100Dは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131が設けられている。すなわち、ステージ10Dでは、第1の金属プレート110に環流路112およびヒータ113が設けられ、第3の金属プレート130に環流路およびヒータが設けられていない。また、第2の金属プレート120には、ヒータ123は設けられているが、環流路は設けられていない。
【0073】
ステージ10Dの外側領域において、ヒータ113、123は、互いに重畳している。ステージ10Dでは、ヒータ113、123をそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Dでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120のヒータ123の制御によって、外側領域の温度をさらに調整することができる。
【0074】
<変形例5>
図13を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Dの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0075】
図13は、本発明の一実施形態に係るステージ10Eのプレート部100Eの構成を示す模式的な断面図である。
【0076】
図13に示すように、ステージ10Eのプレート部100Eは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131、環流路132、およびヒータ133が設けられている。すなわち、ステージ10Eでは、第1の金属プレート110に環流路112およびヒータ113が設けられ、第3の金属プレート130に環流路およびヒータが設けられていない。また、第2の金属プレート120には、環流路122は設けられているが、ヒータは設けられていない。
【0077】
ステージ10Eの内側領域において、環流路112、122は、互いに重畳している。ステージ10Eでは、環流路112、122を流通する冷却媒体の条件をそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Eでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120の環流路122を流通する冷却媒体の条件の制御によって、内側領域の温度をさらに調整することができる。
【0078】
<変形例6>
図14を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Eの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0079】
図14は、本発明の一実施形態に係るステージ10Fのプレート部100Fの構成を示す模式的な断面図である。
【0080】
図14に示すように、ステージ10Fのプレート部100Fは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、第1のヒータ113-1、および第2のヒータ113-2が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131が設けられている。すなわち、ステージ10Fでは、第1の金属プレート110に環流路112、第1のヒータ113-1、および第2のヒータ113-2が設けられ、第2の金属プレート120および第3の金属プレート130に環流路およびヒータが設けられていない。
【0081】
ステージ10Fでは、第1のヒータ113-1と第2のヒータ113-2とを独立して制御することができる。すなわち、第1のヒータ113-1と第2のヒータ11302とは、電気的に絶縁されている。ステージ10Fでは、第1のヒータ113-1が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレートの内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第1の金属プレート110の第2のヒータ113-2の制御によって、外側領域の温度をさらに調整することができる。
【0082】
<変形例7>
図15を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Fの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0083】
図15は、本発明の一実施形態に係るステージ10Gのプレート部100Gの構成を示す模式的な断面図である。
【0084】
図15に示すように、ステージ10Gのプレート部100Gは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111および環流路112が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131および環流路132が設けられている。すなわち、ステージ10Gでは、第1の金属プレート110~第3の金属プレート130の各々に、環流路およびヒータの1つのみが設けられている。
【0085】
ステージ10Gの内側領域において、環流路112、132は、互いに重畳している。ステージ10Gでは、環流路112、132を流通する冷却媒体の条件をそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Gでは、ヒータ123が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第3の金属プレート130の環流路132を流通する冷却媒体の条件の制御によって、外側領域の温度をさらに調整することができる。
【0086】
なお、変形例7として、2つの環流路および1つのヒータを含むプレート部100Gの構成を説明したが、1つの環流路および2つのヒータを含むプレート部の構成も可能である。この場合、2つのヒータのうちの1つを制御することにより、外側領域の温度を調整することができる。また、2つの環流路または2つのヒータは、隣接する2つの金属プレートにそれぞれ配置されていてもよく、離隔する2つの金属プレートのそれぞれに配置されていてもよい。
【0087】
<変形例8>
図16を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Gの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0088】
図16は、本発明の一実施形態に係るステージ10Hのプレート部100Hの構成を示す模式的な断面図である。
【0089】
図16に示すように、ステージ10Hのプレート部100Hは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131が設けられている。第4の金属プレート140には、環流路142およびヒータ143が設けられている。すなわち、ステージ10Hでは、シャフト部200と接続される第4の金属プレート140に、環流路およびヒータの少なくとも1つが設けられている。
【0090】
ステージ10Hの内側領域において、環流路112、142は、互いに重畳している。ステージ10Hの外側領域において、ヒータ113、143は、互いに重畳している。ステージ10Hでは、ヒータ113、143をそれぞれ独立して制御することができ、環流路112、142を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Hでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第4の金属プレート140のヒータ143および環流路142を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。
【0091】
<変形例9>
図17を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Hの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0092】
図17は、本発明の一実施形態に係るステージ10Iのプレート部100Iの構成を示す模式的な断面図である。
【0093】
図17に示すように、ステージ10Iのプレート部100Iは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、第1の貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の貫通口134が設けられている。第4の金属プレート140には、第2の溝141が設けられている。プレート部100Iでは、第1の溝111、第1の貫通口121、第2の貫通口134、および第2の溝141が互いに連通した断熱部150Iが形成されている。すなわち、ステージ10Iでは、シャフト部200と接続される第4の金属プレート140に第2の溝141が設けられ、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に亘って断熱部150Iが設けられている。
【0094】
ステージ10Iの内側領域において、環流路112、122は、互いに重畳している。ステージ10Iの外側領域において、ヒータ113、123は、互いに重畳している。ステージ10Iでは、ヒータ113、123をそれぞれ独立して制御することができ、環流路112、122を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Iでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120のヒータ123および環流路122を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。ステージ10Iでは、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に亘って断熱部150Iが設けられているため、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導をさらに抑制することができる。
【0095】
<変形例10>
図18を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Iの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0096】
図18は、本発明の一実施形態に係るステージ10Jのプレート部100Jの構成を示す模式的な断面図である。
【0097】
図18に示すように、ステージ10Jのプレート部100Jは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の貫通口114、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、第2の貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第3の貫通口134が設けられている。第4の金属プレート140には、第4の貫通口144が設けられている。プレート部100Jでは、第1の貫通口114、第2の貫通口121、第3の貫通口134、および第4の貫通口144が互いに連通した断熱部150Jが形成されている。すなわち、ステージ10Jでは、シャフト部200と接続される第4の金属プレート140に第2の溝141が設けられ、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に亘って断熱部150Jが設けられている。
【0098】
なお、第1の貫通口114、第2の貫通口121、第3の貫通口134、および第4の貫通口144の全てが円周状に設けられていると、ステージ10J内側領域と外側領域とが分離されてしまう。そのため、第1の貫通口114、第2の貫通口121、第3の貫通口134、および第4の貫通口144の少なくとも1つには、図7に示した接続領域125が設けられている。
【0099】
ステージ10Jの内側領域において、環流路112、122は、互いに重畳している。ステージ10Jの外側領域において、ヒータ113、123は、互いに重畳している。ステージ10Jでは、ヒータ113、123をそれぞれ独立して制御することができ、環流路112、122を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Jでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120のヒータ123および環流路122を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。ステージ10Jでは、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に亘って断熱部150Jが設けられているため、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導をさらに抑制することができる。
【0100】
<変形例11>
図19を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Jの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0101】
図19は、本発明の一実施形態に係るステージ10Kのプレート部100Kの構成を示す模式的な断面図である。
【0102】
図19に示すように、ステージ10Kのプレート部100Kは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131が設けられている。第4の金属プレート140には、第3の溝141が設けられている。プレート部100Jでは、第1の溝111、貫通口121、および第2の溝131が互いに連通した第1の断熱部150J-1が形成されている。また、第3の溝141が第3の金属プレート130によって閉塞された第2の断熱部150J-2が形成されている。すなわち、ステージ10Kでは、2つに分割された断熱部150Kが設けられている。
【0103】
ステージ10Kの内側領域において、環流路112、122は、互いに重畳している。ステージ10Kの外側領域において、ヒータ113、123は、互いに重畳している。ステージ10Kでは、ヒータ113、123をそれぞれ独立して制御することができ、環流路112、122を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Kでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120のヒータ123および環流路122を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。ステージ10Kでは、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に亘って断熱部150Kが設けられているため、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導をさらに抑制することができる。
【0104】
なお、図19には、2つに分割された断熱部150Kを図示したが、断熱部150Kの分割数は、3つ以上であってもよい。
【0105】
<変形例12>
図20を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Kの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0106】
図20は、本発明の一実施形態に係るステージ10Lのプレート部100Lの構成を示す模式的な断面図である。
【0107】
図20に示すように、ステージ10Lのプレート部100Lは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、第1の貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の貫通口134が設けられている。第4の金属プレート140には、第2の溝141が設けられている。第2の貫通口134の開口面の一端は、第4の金属プレート140によって閉塞されている。プレート部100Jでは、第1の溝111、第1の貫通口121、および第2の貫通口134が互いに連通した第1の断熱部150J-1が形成されている。また、第2の溝141は、ステージ10Lの外部に開放されているが、第2の溝141を設けることにより、外部の大気と接する面積が増加する。また、第2の溝141は、内側領域と外側領域とが接続される熱伝導経路の断面積を減少させる。そのため、第2の溝141は、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導を抑制する第2の断熱部150L-2として機能する。すなわち、ステージ10Lでは、2つに分割された断熱部150Lが設けられている。
【0108】
ステージ10Lの内側領域において、環流路112、122は、互いに重畳している。ステージ10Lの外側領域において、ヒータ113、123は、互いに重畳している。ステージ10Kでは、ヒータ113、123をそれぞれ独立して制御することができ、環流路112、122を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Lでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120のヒータ123および環流路122を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。ステージ10Lでは、第1の金属プレート110~第4の金属プレート140に亘って断熱部150Lが設けられているため、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導をさらに抑制することができる。
【0109】
なお、図20には、第4の金属プレート140に外部の大気と接する第2の溝141を図示したが、ステージ10Lは、第1の金属プレート110に外部の大気と接する溝が設けられる構成であってもよい。
【0110】
<変形例13>
図21を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ10の別の一変形例について説明する。なお、以下では、ステージ10~ステージ10Lの構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0111】
図21は、本発明の一実施形態に係るステージ10Mのプレート部100Mの構成を示す模式的な断面図である。
【0112】
図21に示すように、ステージ10Mのプレート部100Mは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121、環流路122、およびヒータ123が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131が設けられている。第4の金属プレート140には、第3の溝141が設けられている。プレート部100Mでは、第1の溝111、貫通口121、および第2の溝131が互いに連通した第1の断熱部150M-1が形成されている。また、第3の溝141の開口面が第3の金属プレート130によって閉塞された第2の断熱部150M-2が形成されている。すなわち、ステージ10Mでは、2つに分割された断熱部150Mが設けられている。但し、平面視において、第2の断熱部150M-2は、第1の断熱部150M-1と重畳していない。平面視において、第2の断熱部150M-2は、ヒータ113、123と重畳している。なお、以下では、便宜上、第1の断熱部150M-1を内側領域と外側領域との境界とし、第2の断熱部150M-2が外側領域に設けられているとして説明する。
【0113】
ステージ10Mの内側領域において、環流路112、122は、互いに重畳している。ステージ10Mの外側領域において、ヒータ113、123は、互いに重畳している。ステージ10Mでは、ヒータ113、123をそれぞれ独立して制御することができ、環流路112、122を流通する冷却媒体の条件もそれぞれ独立して制御することができる。ステージ10Mでは、ヒータ113が第1の金属プレート110の外側領域を加熱し、環流路112を流通する冷却媒体が第1の金属プレート110の内側領域を冷却することにより、内側領域と外側領域との温度差を大きくする。また、第2の金属プレート120のヒータ123および環流路122を流通する冷却媒体を制御することにより、内側領域と外側領域との温度差を調整することができる。ステージ10Mでは、第1の断熱部150M-1が内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導を抑制することができる。また、外側領域のヒータ113、123により近い位置において、第2の断熱部150M-2がヒータ113、123からの熱の伝導を抑制することができる。
【0114】
なお、図21には、第4の金属プレート140に設けられた第3の溝141によって形成される第2の断熱部150M-2を図示したが、第2の断熱部150M-2は、第3の金属プレート130に設けられた溝(第2の溝131と異なる溝)によって形成されていてもよく、第3の金属プレート130に設けられた溝および第4の金属プレート140に設けられた第3の溝141によって形成されていてもよい。また、第2の溝141の幅を大きくし、平面視において、第2の断熱部150M-2が、第1の断熱部150M-1と重畳するようにしてもよい。さらに、第2の断熱部150M-2は、内側領域に設けられていてもよい。
【0115】
本実施形態においては、変形例1~変形例13で説明した構成を適宜組み合わせた構成も適用することができる。
【0116】
以上、変形例1~変形例13で説明した構成も含め、本発明の一実施形態に係るステージ10は、第1の金属プレート110の第1の溝111、第2の金属プレート120の貫通口121、および第3の金属プレート130の第2の溝が互いに連通した断熱部150を含む。また、断熱部150を間に挟み、第1の金属プレート110の内側領域を冷却するための第1の環流路および第1の金属プレート110の外側領域を加熱するための第1のヒータが設けられている。この構成により、ステージ10では、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。また、ステージ10は、第1の環流路と重畳する第2の環流路または第1のヒータと重畳する第2のヒータを含む。第1の環流路を流通する冷却媒体の条件および第2の環流路を流通する冷却媒体の条件は、独立して制御することができる。第1のヒータおよび第2のヒータは、独立して制御することができる。そのため、第2の環流路を流通する冷却媒体の条件を制御することによって内側領域の温度を調整し、または第2のヒータを制御することによって外側領域の温度を調整することができる。したがって、ステージ10では、内側領域と外側領域との温度差を大きくするだけでなく、温度差を調整することができる。
【0117】
<第2実施形態>
図22および図23を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ11について説明する。なお、以下では、ステージ10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0118】
図22は、本発明の一実施形態に係るステージ11の構成を示す模式的な断面図である。
【0119】
図22に示すように、ステージ11のプレート部300は、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110は、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113を含む。第2の金属プレート120は、貫通口121、環流路122、およびヒータ123を含む。第3の金属プレート130は、第2の溝131を含む。また、ステージ11のプレート部100は、第1の金属プレート110の第1の溝111、第2の金属プレート120の貫通口121、および第3の金属プレート130の第2の溝131が互いに連通した断熱部150を含む。環流路112、122およびヒータ113、123は、断熱部150を境界として、それぞれ、外側領域および内側領域に設けられている。すなわち、内側領域において、ヒータ113、123は互いに重畳している。また、外側領域において、環流路112、122は互いに重畳している。
【0120】
断熱部150は、第1の金属プレート110~第3の金属プレートの各々において、内側領域から外側領域への熱伝導および外側領域から内側領域への熱伝導を抑制することができる。これにより、ステージ11では、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0121】
図23は、本発明の一実施形態に係る11の温度勾配プロファイルを説明するグラフである。
【0122】
図23に示すグラフの横軸には、第1の金属プレート110の表面の中心位置をゼロとし、所定の方向に沿った第1の金属プレート110の表面の位置が示され、グラフの縦軸には、第1の金属プレート110の表面の表面温度が示されている。第1の位置P1および第3の位置P3は、それぞれ、断熱部150および環流路112の位置を表している。すなわち、2つのP1の間が内側領域に相当し、P1とP3との間が外側領域に相当する。
【0123】
ステージ11では、第1の金属プレート110および第2の金属プレート120の内側領域のヒータ113、123を制御することによって、第1の金属プレート110の内側領域が加熱される。一方、第1の金属プレート110および第2の金属プレート120の外側領域の環流路112、122を流通する冷却媒体の条件を制御することによって、第1の金属プレート110の外側領域が冷却される。第1の金属プレート110の内側領域の熱は外部領域へと伝導されるが、内側領域と外側領域との間に断熱部150が設けられているため、内側領域と外側領域との熱伝導経路が制限され、外側領域から内側領域への熱伝導が抑制される。そのため、ヒータ113、123によって内側領域が加熱されても、外側領域における温度上昇が抑制される。また、断熱部150による熱流量の減少により、内側領域と外側領域との温度差が大きくなる。例えば、第1の金属プレート110の中心近傍において測定される最高表面温度T0と環流路112近傍において測定される最低表面温度T3との最大温度差は、20℃以上であり、好ましくは60℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。上述したように、ステージ11では、ヒータ113、123を独立して制御することができ、および冷却媒体の条件も独立して制御することができる。そのため、ステージ11は、内側領域の温度および外側領域の温度を調整しながら、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0124】
以上説明したように、ステージ11では、断熱部150によって、外側領域に設けられたヒータ113、123からの熱が内側領域に伝導されることを抑制することができる。すなわち、断熱部150による空間によって、プレート部100の外側領域と内側領域とが接続される熱伝導経路の断面積が減少するため、断熱部150は熱閉塞/サーマルチョークとして機能することができる。これにより、ステージ11では、内側領域と外側領域との温度差が大きくなるため、例えば、内側領域の温度低下が顕著であるウェハに対してステージ11を適用すると、ウェハの内側領域の温度を補正し、ウェハ内の温度分布を均一化させることができる。
【0125】
<第3実施形態>
図24を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ12について説明する。なお、以下では、ステージ10またはステージ11の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0126】
図24は、本発明の一実施形態に係るステージ12の構成を示す模式的な断面図である。
【0127】
図24に示すように、ステージ12のプレート部400は、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110は、第1の溝111、環流路112、およびヒータ113を含む。第2の金属プレート120は、貫通口121、環流路122、およびヒータ123を含む。第3の金属プレート130は、第2の溝131を含む。また、ステージ12のプレート部400は、第1の金属プレート110の第1の溝111、第2の金属プレート120の貫通口121、および第3の金属プレート130の第2の溝131が互いに連通した断熱部150を含む。第1の金属プレート110において、環流路112およびヒータ113は、断熱部150を境界として、それぞれ、内側領域および外側領域に設けられている。また、第2の金属プレート120において、環流路122およびヒータ123は、断熱部150を境界として、それぞれ、外側領域および内側領域に設けられている。すなわち、内側領域において、環流路112およびヒータ123は互いに重畳している。また、外側領域において、ヒータ113および環流路122は互いに重畳している。
【0128】
ステージ12では、第1の金属プレート110に設けられた環流路112を流通する冷却媒体およびヒータ113を用いて、第1の金属プレート110の温度を制御する。このとき、断熱部150により、外側領域から内側領域への熱伝導を抑制することができるため、図8に示す温度勾配プロファイルが得られ、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。なお、環流路122を流通する冷却媒体を用いて、第1の金属プレート110から第2の金属プレート120への熱伝導を抑制することもできる。
【0129】
また、ステージ12では、第2の金属プレート120に設けられたヒータ123および環流路112を流通する冷却媒体を用いて、第1の金属プレート110の温度を制御する。このとき、断熱部150により、内側領域から外側領域への熱伝導を抑制することができるため、図23に示す温度勾配プロファイルが得られ、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0130】
したがって、ステージ12では、内側領域と外側領域との温度差の大きい2種類の温度勾配プロファイルを実現することができる。
【0131】
<変形例1>
図25を参照して、本発明の一実施形態に係るステージ12の位置変形例について説明する。なお、以下では、ステージ12の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0132】
図25は、本発明の一実施形態に係るステージ12Aのプレート部400Aの構成を示す模式的な断面図である。
【0133】
図25に示すように、ステージ12Aのプレート部400Aは、第1の金属プレート110、第2の金属プレート120、第3の金属プレート130、および第4の金属プレート140を含む。第1の金属プレート110には、第1の溝111、第1の環流路112-1、第2の環流路112-2、第1のヒータ113-1、および第2のヒータ113-2が設けられている。第2の金属プレート120には、貫通口121が設けられている。第3の金属プレート130には、第2の溝131が設けられている。また、ステージ12Aのプレート部400Aは、第1の金属プレート110の第1の溝111、第2の金属プレート120の貫通口121、および第3の金属プレート130の第2の溝131が互いに連通した断熱部150を含む。第1の環流路112-1および第1のヒータ113-1は、断熱部150を境界として、内側領域に設けられている。第2の環流路112-2および第2のヒータ113-2は、断熱部150を境界として、外側領域に設けられている。
【0134】
ステージ12Aでは、内側領域に設けられた第1の環流路112-1を流通する冷却媒体および外側領域に設けられた第2のヒータ113-2を用いて、第1の金属プレート110の温度を制御する。このとき、断熱部150により、外側領域から内側領域への熱伝導を抑制することができるため、図8に示す温度勾配プロファイルが得られ、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0135】
また、ステージ12Aでは、内側領域に設けられた第1のヒータ113-1および外側領域に設けられた環流路を流通する冷却媒体を用いて、第1の金属プレート110の温度を制御する。このとき、断熱部150により、内側領域への熱伝導を抑制することができるため、図23に示す温度勾配プロファイルが得られ、内側領域と外側領域との温度差を大きくすることができる。
【0136】
したがって、ステージ12Aでは、内側領域と外側領域との温度差の大きい2種類の温度勾配プロファイルを実現することができる。なお、第2の金属プレート120または第3の金属プレート130に、第1の金属プレート110と同様に環流路およびヒータを配置してもよい。この場合、第2の金属プレート120または第3の金属プレート130に配置された環流路を流通する冷却媒体およびヒータを用いて、第1の金属プレート110の温度を調整することができる。
【0137】
<第4実施形態>
図26を参照して、本発明の一実施形態に係るエッチング装置50について説明する。エッチング装置50は、ステージ10を含む。そのため、以下では、第1実施形態で説明したステージ10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0138】
図26は、本発明の一実施形態に係るエッチング装置50の構成を示す模式的な断面図である。
【0139】
エッチング装置50は、種々の膜に対してドライエッチングを行うことができる。エッチング装置50は、チャンバー502を有している。チャンバー502は、ウェハ上に形成された導電体、絶縁体、または半導体などの膜に対してエッチングを行う空間を提供する。
【0140】
チャンバー502には排気装置504が接続され、これにより、チャンバー502内を減圧雰囲気に設定することができる。チャンバー502には、さらに反応ガスを導入するための導入管506が設けられ、バルブ508を介してチャンバー502内にエッチング用の反応ガスが導入される。反応ガスとしては、例えば、四フッ化炭素(CF)、オクタフルオロシクロブタン(c-C)、デカフルオロシクロペンタン(c-C10)、またはヘキサフルオロブタジエン(C)などの含フッ素有機化合物を用いることができる。
【0141】
チャンバー502上部には導波管510を介してマイクロ波源512を設けることができる。マイクロ波源512はマイクロ波を供給するためのアンテナなどを有しており、例えば2.45GHzのマイクロ波や、13.56MHzのラジオ波(RF)といった高周波数のマイクロ波を出力する。マイクロ波源512で発生したマイクロ波は導波管510によってチャンバー502の上部へ伝播し、石英またはセラミックなどを含む窓514を介してチャンバー502内へ導入される。マイクロ波によって反応ガスがプラズマ化し、プラズマに含まれる電子、イオン、またはラジカルによって膜のエッチングが進行する。
【0142】
チャンバー502下部には、ウェハを載置するためのステージ10が設けられる。ステージ10には電源524が接続され、高周波電力がステージ10に与えられ、マイクロ波による電界がステージ10の表面、ウェハ表面に対して垂直な方向に形成される。チャンバー502の上部および側面には、さらに磁石516、磁石518、および磁石520を設けることができる。磁石516、磁石518、および磁石520は、永久磁石でもよく、電磁コイルを有する電磁石でもよい。磁石516、磁石518、および磁石520により、ステージ10およびウェハ表面に平行な磁界が生成される。磁界とマイクロ波による電界との連携により、プラズマ中の電子は、ローレンツ力を受けて共鳴し、ステージ10およびウェハ表面に束縛される。その結果、高い密度のプラズマをウェハ表面に発生させることができる。
【0143】
ステージ10には、さらに、ステージ10に設けられるヒータ113を制御するヒータ電源530が接続される。ステージ10には、さらに、任意の構成として、ウェハをステージ10に固定するための静電チャック用の電源526、ステージ10の内部に環流される媒体の温度制御を行う温度コントローラ528、およびステージ10を回転させるための回転制御装置(図示せず)が接続されてもよい。
【0144】
<第5実施形態>
図27を参照して、本発明の一実施形態に係るCVD装置60について説明する。CVD装置60は、ステージ10を含む。そのため、以下では、第1実施形態で説明したステージ10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0145】
図27は、本発明の一実施形態に係るCVD装置60の構成を示す模式的な断面図である。
【0146】
CVD装置60はチャンバー602を有している。CVD装置60は、反応ガスを化学的に反応させ、種々の膜をウェハ上に化学的に形成する場を提供する。
【0147】
チャンバー602には排気装置604が接続され、チャンバー602内の圧力を低減することができる。チャンバー602にはさらに反応ガスを導入するための導入管606が設けられ、バルブ608を介してチャンバー602内に成膜用の反応ガスが導入される。反応ガスとしては、作製する膜に依存して種々のガスを用いることができる。ガスは、常温で液体でもよい。例えば、シラン、ジクロロシラン、またはテトラエトキシシランなどを用いることでシリコン、酸化ケイ素、または窒化ケイ素などの薄膜を形成することができる。また、フッ化タングステンまたはトリメチルアルミニウムなどを用いることで、タングステンまたはアルミニウムなどの金属薄膜を形成することができる。
【0148】
エッチング装置50と同様、チャンバー602上部には導波管610を介してマイクロ波源612を設けてもよい。マイクロ波源612で発生したマイクロ波は導波管610によってチャンバー602内部へ導入される。マイクロ波によって反応ガスがプラズマ化し、プラズマに含まれる種々の活性種によってガスの化学反応が促進され、化学反応によって得られる生成物がウェハ上に堆積し、薄膜が形成される。任意の構成として、プラズマの密度を増大させるための磁石644をチャンバー602内に設けることができる。チャンバー602の下部には、ステージ10が設けられ、ウェハがステージ10上に載置された状態で薄膜の堆積を行うことができる。エッチング装置50と同様、チャンバー602の側面にはさらに磁石616および磁石618を設けてもよい。
【0149】
ステージ10には、さらに、ステージ10に設けられるヒータ113を制御するヒータ電源630が接続される。ステージ10には、さらに、任意の構成として、高周波電力をステージ10に供給するための電源624、静電チャック用の電源626、ステージ10の内部に環流される冷却媒体の温度制御を行う温度コントローラ628、およびステージ10を回転させるための回転制御装置(図示しない)が接続されてもよい。
【0150】
<第6実施形態>
図28を参照して、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置70について説明する。スパッタリング装置70は、ステージ10を含む。そのため、以下では、第2実施形態で説明したステージ10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0151】
図28は、本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置70の構成を示す模式的な断面図である。
【0152】
スパッタリング装置70はチャンバー702を有する。スパッタリング装置70は、高速のイオンとターゲットの衝突、およびその際に発生するターゲット原子をウェハ上に堆積させるための場を提供する。
【0153】
チャンバー702にはチャンバー702内を減圧にするための排気装置704が接続される。チャンバー702にはアルゴンなどのスパッタリングガスをチャンバー702へ導入するための導入管706およびバルブ708が設けられる。
【0154】
チャンバー702の下部には、成膜する材料を含むターゲットを保持し、かつ陰極として機能するターゲットステージ710が設けられ、その上にターゲット712が設置される。ターゲットステージ710には高周波電源714が接続され、高周波電源714によってチャンバー702内にプラズマを発生することができる。
【0155】
チャンバー702の上部には、ステージ10を設けることができる。この場合、ウェハがステージ10の下に設置された状態で薄膜の形成が進行する。エッチング装置50やCVD装置60と同様、ステージ10にはヒータ電源730が接続される。ステージ10には、さらに、高周波電力をステージ10に供給するための電源724、静電チャック用の電源726、温度コントローラ728、およびステージ10を回転させるための回転制御装置(図示せず)が接続されてもよい。
【0156】
チャンバー702内で発生したプラズマによって加速されたアルゴンイオンは、ターゲット712に衝突し、ターゲット712の原子が弾き出される。弾き出された原子は、シャッター716が開放されている間、ステージ10の下に設置されるウェハへ飛翔し、堆積する。
【0157】
図28には、ステージ10がチャンバー702の上部に、ターゲットステージ710がチャンバー702の下部に設置される構成が図示されているが、スパッタリング装置70の構成はこれに限られず、ターゲット712がステージ10の上に位置するような構成であってもよい。あるいは、ウェハの主面が水平面に対して垂直に配置されるようにステージ10を設置し、それに対向するようにターゲットステージ710を設ける構成であってもよい。
【0158】
<第7実施形態>
図29を参照して、本発明の一実施形態に係る蒸着装置80について説明する。蒸着装置80は、ステージ10を含む。そのため、以下では、第1実施形態で説明したステージ10の構成と同一または類似の構成の説明を省略する場合がある。
【0159】
図29は、本発明の一実施形態に係る蒸着装置80の構成を示す模式的な断面図である。
【0160】
蒸着装置80はチャンバー802を有する。蒸着装置80は、蒸着源810における材料の蒸発、ならびに蒸発した材料をウェハ上へ堆積させるための空間が提供される。
【0161】
チャンバー802にはチャンバー802内を高真空にするための排気装置504が接続される。チャンバー802には、チャンバー802を大気圧に戻すための導入管806が設けられ、バルブ808を介して窒素またはアルゴンなどの不活性ガスがチャンバー802内に導入される。
【0162】
チャンバー802の上部には、ステージ10を設けることができる。ウェハがステージ10の下に設置された状態で材料の堆積が進行する。エッチング装置50、CVD装置60、およびスパッタリング装置70と同様、ステージ10には、さらに、ヒータ電源828が接続される。ステージ10には、さらに、任意の構成として、静電チャック用の電源824、温度コントローラ826、およびステージ10を回転させるための回転制御装置830が接続されてもよい。ステージ10は、さらに、ウェハと蒸着源810の間にメタルマスクを固定するためのマスクホルダ816を有してもよい。これにより、材料を堆積する領域にメタルマスクの開口部が重なるように、ウェハ近傍にメタルマスクを配置することができる。
【0163】
蒸着源810がチャンバーの下側に設けられ、蒸着する材料が蒸着源810に充填される。蒸着源810には材料を加熱するためのヒータが設けられており、ヒータは制御装置812によって制御される。排気装置804を用いてチャンバー802内を高真空にし、蒸着源810を加熱して材料を気化させることで蒸着が開始される。蒸着の速度が一定になった時にシャッター814を開放することで、ウェハ上において材料の堆積が開始される。
【0164】
以上、第4実施形態~第7実施形態において説明したエッチング装置50、CVD装置60、スパッタリング装置70、および蒸着装置80には、ステージ10が用いられる。ステージ10を用いることで、外側領域の温度低下が顕著であるウェハに対して、ウェハ内の温度分布を均一化することができる。
【0165】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0166】
また、上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
【符号の説明】
【0167】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10I、10J、10K、10L、10M、11、12、12A:ステージ、 50:エッチング装置、 60:CVD装置、 70:スパッタリング装置、 80:蒸着装置、 100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100J、100K、100L、100M:プレート部、 101:第1の面、 102:第2の面、 110:第1の金属プレート、 111:溝、 112:環流路、 112a:入口、 112b:出口、 113:ヒータ、 120:第2の金属プレート、 121:貫通口、 122:環流路、 123:ヒータ、 125、125a、125b:接続領域、 130:第3の金属プレート、 131:溝、 132:環流路、 133:ヒータ、 134:貫通口、 140:第4の金属プレート、 141:溝、 144:貫通口、 150、150L、150M:断熱部、 200:シャフト部、 300:プレート部、 400、400A:プレート部、 502:チャンバー、 504:排気装置、 506:導入管、 508:バルブ、 510:導波管、 512:マイクロ波源、 514:窓、 516、518、520:磁石、 524、526:電源、 528:温度コントローラ、 530:ヒータ電源、 602:チャンバー、 604:排気装置、 606:導入管、 608:バルブ、 610:導波管、 612:マイクロ波源、 616、618:磁石、 624、626:電源、 628:温度コントローラ、 630:ヒータ電源、 644:磁石、 702:チャンバー、 704:排気装置、 706:導入管、 708:バルブ、 710:ターゲットステージ、 712:ターゲット、 714:高周波電源、 716:シャッター、 724、726:電源、 728:温度コントローラ、 730:ヒータ電源、 802:チャンバー、 804:排気装置、 806:導入管、 808:バルブ、 810:蒸着源、 812:制御装置、 814:シャッター、 816:マスクホルダ、 824:電源、 826:温度コントローラ、 828:ヒータ電源、 830:回転制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図29