(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051938
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】冷蔵ショーケース
(51)【国際特許分類】
F25D 17/06 20060101AFI20240404BHJP
A47F 3/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F25D17/06 311
A47F3/04 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158336
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208503
【氏名又は名称】大和冷機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】熊本 拓馬
【テーマコード(参考)】
3B110
3L345
【Fターム(参考)】
3B110AA06
3B110CA20
3L345AA03
3L345AA13
3L345AA14
3L345AA18
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD24
3L345DD33
3L345DD53
3L345DD66
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】冷却室の清掃をし易くさせることが可能な冷蔵ショーケースを提供する。
【解決手段】ショーケース本体10は、展示室C2の下側にある冷却室形成部30を有し、展示室C2及び冷却室C3を囲んでいる。床部材82は、展示室C2の底部においてショーケース本体10に対して着脱可能である。ファン81は、展示室C2の空気A1を冷却室C3に通して展示室C2に戻す。蒸発器80は、冷却室C3に設置され、展示室C2から吸引された空気A1を冷却する。仕切部材90は、冷却室C3において蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路R1を塞ぐ。当該仕切部材90は、ねじを使用しないで仕切部材90を冷却室形成部30に対して着脱可能にさせる係合構造91を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展示室の下方に冷却室を有する冷蔵ショーケースであって、
前記展示室の下側にある冷却室形成部を有し、前記展示室及び前記冷却室を囲むショーケース本体と、
前記展示室の底部において前記ショーケース本体に対して着脱可能な床部材と、
前記展示室の空気を前記冷却室に通して前記展示室に戻すためのファンと、
前記冷却室に設置され、前記展示室から吸引された空気を冷却する蒸発器と、
前記冷却室において前記蒸発器を通過していない空気が前記展示室に戻る経路を塞ぐ仕切部材と、を備え、
前記仕切部材は、ねじを使用しないで前記仕切部材を前記冷却室形成部に対して着脱可能にさせる係合構造を有する、冷蔵ショーケース。
【請求項2】
前記冷却室形成部は、前記冷却室の床面から離隔した状態で互いに対向する側壁同士を繋ぐ横向き柱を有し、
前記経路は、前記床面と前記横向き柱との間の開口のうち前記蒸発器が占めていない部分にあり、
前記係合構造は、前記仕切部材が前記横向き柱から吊り下がって前記経路を塞ぐように前記横向き柱に引っ掛かる構造であり、
前記係合構造を前記横向き柱から外すことにより前記仕切部材を取り外すことが可能である、請求項1に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項3】
前記横向き柱は、前記係合構造が引っ掛かった前記仕切部材が前記横向き柱に沿って移動することを防ぐための横向き柱側位置決め構造を有し、
前記仕切部材は、前記係合構造が前記横向き柱に引っ掛かった状態で前記横向き柱側位置決め構造に係止される仕切部材側位置決め構造を有する、請求項2に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項4】
前記仕切部材側位置決め構造は、前記係合構造から下側へ出た差込部であり、
前記横向き柱側位置決め構造は、前記横向き柱において前記差込部が差し込まれる差込穴を有する構造である、請求項3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項5】
前記ショーケース本体に取り付けられた前記床部材は、前記係合構造が前記横向き柱から外れることを防ぐように前記係合構造の上側に存在する、請求項2又は請求項3に記載の冷蔵ショーケース。
【請求項6】
前記冷蔵ショーケースは、
前記蒸発器を通過した空気が通過する複数の通気穴を有し、前記床部材とともに前記展示室の底部に配置可能な通気部材と、
前記係合構造と前記床部材とで挟まれる板状部を有し、前記ショーケース本体に対して着脱可能な通気部材受けと、を備え、
前記通気部材は、前記通気部材受けに対して着脱可能であり、
前記ショーケース本体に取り付けられた前記床部材は、前記ショーケース本体に取り付けられた前記通気部材受けの前記板状部を介して前記係合構造の上側に存在する、請求項5に記載の冷蔵ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、展示室の下方に冷却室を有する冷蔵ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
洋菓子店等の店舗では、ケーキ等の商品を冷やした状態で展示するために冷蔵ショーケースが用いられている(例えば特許文献1参照)。商品が入る展示室の下方には、空気を冷却するための蒸発器、及び、空気を蒸発器に通すためのファンが設置された冷却室がある。冷却室において蒸発器を通過していない空気が蒸発器を通過した空気と混じると、冷却効率が低下する。冷却室において蒸発器を通過していない空気の通路と蒸発器を通過した空気の通路との間に仕切が固定されている。
店舗の閉店時間には、冷蔵ショーケースのお手入れをするため、展示室から商品を取り出して冷蔵ショーケースの運転を停止することがある。冷蔵ショーケースのユーザーは、運転停止時に展示室及び冷却室を開いて清掃を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザーが冷却室の清掃を行う際、仕切が死角となって清掃し難い箇所がある。そこで、冷却室の清掃をし易くさせることが望まれる。
【0005】
本発明は、冷却室の清掃をし易くさせることが可能な冷蔵ショーケースを開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵ショーケースは、展示室の下方に冷却室を有する冷蔵ショーケースであって、
前記展示室の下側にある冷却室形成部を有し、前記展示室及び前記冷却室を囲むショーケース本体と、
前記展示室の底部において前記ショーケース本体に対して着脱可能な床部材と、
前記展示室の空気を前記冷却室に通して前記展示室に戻すためのファンと、
前記冷却室に設置され、前記展示室から吸引された空気を冷却する蒸発器と、
前記冷却室において前記蒸発器を通過していない空気が前記展示室に戻る経路を塞ぐ仕切部材と、を備え、
前記仕切部材は、ねじを使用しないで前記仕切部材を前記冷却室形成部に対して着脱可能にさせる係合構造を有する、態様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、冷却室の清掃をし易くさせることが可能な冷蔵ショーケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】冷蔵ショーケースの例を模式的に示す斜視図。
【
図2】冷蔵ショーケースの前後方向に沿った縦断面の例を模式的に示す断面図。
【
図3】使用状態における冷蔵ショーケースの庫内の例を模式的に示す斜視図。
【
図4】使用状態における冷蔵ショーケースの前後方向に沿った縦断面の例を模式的に示す断面図。
【
図5】通気部材と床部材を取り外した冷蔵ショーケースの庫内の例を模式的に示す斜視図。
【
図6】通気部材受けを取り外した冷蔵ショーケースの庫内の例を模式的に示す斜視図。
【
図7】通気部材受けを取り外した冷蔵ショーケースの庫内の例を模式的に示す斜視図。
【
図8】仕切部材を取り外した冷蔵ショーケースの庫内の例を模式的に示す斜視図。
【
図9】仕切部材を取り外した冷蔵ショーケースの庫内の例を模式的に示す斜視図。
【
図10】仕切部材の位置決め構造の例を模式的に示す分解斜視図。
【
図11】比較例に係る冷蔵ショーケースの庫内を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~11に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
【0011】
図1~10に例示するように、本技術の一態様に係る冷蔵ショーケース1は、展示室C2の下方に冷却室C3を有する冷蔵ショーケース1であって、ショーケース本体10、床部材82、ファン81、蒸発器80、及び、仕切部材90を備える。前記ショーケース本体10は、前記展示室C2の下側にある冷却室形成部30を有し、前記展示室C2及び前記冷却室C3を囲んでいる。前記床部材82は、前記展示室C2の底部において前記ショーケース本体10に対して着脱可能である。前記ファン81は、前記展示室C2の空気A1を前記冷却室C3に通して前記展示室C2に戻す。前記蒸発器80は、前記冷却室C3に設置され、前記展示室C2から吸引された空気A1を冷却する。前記仕切部材90は、前記冷却室C3において前記蒸発器80を通過していない空気A1が前記展示室C2に戻る経路R1を塞ぐ。当該仕切部材90は、ねじを使用しないで前記仕切部材90を前記冷却室形成部30に対して着脱可能にさせる係合構造91を有する。
【0012】
冷却室C3において蒸発器80を通過していない空気A1が前記展示室C2に戻る経路R1を塞ぐ仕切部材90は、ねじを使用しない係合構造91により冷却室形成部30に取り付けられ、ねじを外す操作無しに冷却室形成部30から取り外すことができる。仕切部材90が冷却室形成部30から取り外されると、仕切部材90による死角が無くなる。従って、本態様は、冷却室C3の清掃をし易くさせることが可能な冷蔵ショーケースを提供することができる。
【0013】
ここで、冷蔵ショーケース1は、冷却機能を有するショーケースであればよく、展示室C2の温度が氷点を下回らないショーケースに限定されず、展示室C2の温度が氷点を下回るショーケースでもよい。この付言は、以下の態様においても適用される。
【0014】
図4~10に例示するように、前記冷却室形成部30は、前記冷却室C3の床面30aから離隔した状態で互いに対向する側壁33同士を繋ぐ横向き柱31を有していてもよい。前記経路R1は、前記床面と前記横向き柱31との間の開口OP1のうち前記蒸発器80が占めていない部分にあってもよい。前記係合構造91は、前記仕切部材90が前記横向き柱31から吊り下がって前記経路R1を塞ぐように前記横向き柱31に引っ掛かる構造でもよい。本冷蔵ショーケース1は、前記係合構造91を前記横向き柱31から外すことにより前記仕切部材90を取り外すことが可能でもよい。
以上の場合、仕切部材90の係合構造91を横向き柱31に引っ掛けると仕切部材90が横向き柱31から吊り下がって前記経路R1を塞ぎ、横向き柱31から係合構造91を外すと仕切部材90が横向き柱31から取り外される。従って、上記態様は、冷却室形成部30に対して仕切部材90を着脱し易くさせることができる。
【0015】
前記横向き柱31は、前記係合構造91が引っ掛かった前記仕切部材90が前記横向き柱31に沿って移動することを防ぐための横向き柱側位置決め構造32を有していてもよい。前記仕切部材90は、前記係合構造91が前記横向き柱31に引っ掛かった状態で前記横向き柱側位置決め構造32に係止される仕切部材側位置決め構造(例えば差込部92)を有していてもよい。本態様は、係合構造91が引っ掛かった仕切部材90が横向き柱31に沿った向きに位置決めされるので、横向き柱31に沿った方向において仕切部材90が決まった位置に設置される。従って、本態様は、冷却室形成部30に対して仕切部材90を着脱するさらに好適な構造を提供することができる。
また、仕切部材側位置決め構造は係合構造91から下側へ出た差込部92でもよく、横向き柱側位置決め構造32は横向き柱31において差込部92が差し込まれる差込穴32hを有していてもよい。この態様は、簡易な構造で仕切部材90を横向き柱31に沿った向きに位置決めすることができる。
【0016】
前記ショーケース本体10に取り付けられた前記床部材82は、前記係合構造91が前記横向き柱31から外れることを防ぐように前記係合構造91の上側に存在してもよい。この態様は、係合構造91が横向き柱31から外れることを着脱可能な床部材82が防ぐので、上下方向において仕切部材90が決まった位置に設置される。従って、本態様は、冷却室形成部30に対して仕切部材90を着脱するさらに好適な構造を提供することができる。
また、前記冷蔵ショーケース1は、前記床部材82とともに前記展示室C2の底部に配置可能な通気部材83を備えていてもよく、前記係合構造91と前記床部材82とで挟まれる板状部84aを有する着脱可能な通気部材受け84を備えていてもよい。前記ショーケース本体10に取り付けられた前記床部材82は、前記ショーケース本体10に取り付けられた前記通気部材受け84の前記板状部84aを介して前記係合構造91の上側に存在してもよい。本態様は、係合構造91が横向き柱31から外れることを着脱可能な通気部材受け84と着脱可能な床部材82とが防ぐので、冷却室形成部30に対して仕切部材90を着脱するさらに好適な構造を提供することができる。
【0017】
(2)冷蔵ショーケースの具体例:
図1,2は、冷蔵ショーケースの例を示している。
図1は、冷蔵ショーケース1を模式的に示す斜視図である。
図1の下部にある二点鎖線の囲み内には、背面側のスライド扉23が見える向きから冷蔵ショーケース1が模式的に示されている。
図2は、冷蔵ショーケース1の前後方向に沿った縦断面の例を模式的に示す断面図である。
冷蔵ショーケース1は、例えば、洋菓子店のような店舗等において販売用の商品等を展示室C2に入れて展示するために用いられる。
【0018】
図1,2に示す冷蔵ショーケース1は、機械室C1の上方に冷却室C3を有し、該冷却室C3の上方に展示室C2を有している。冷蔵ショーケース1は、これら(C1~C3)を囲むショーケース本体10、棚25、冷凍ユニット40、曇り止め送風部41、化粧部材50、蒸発器80、ファン81、着脱可能な床部材82、着脱可能な通気部材83、等を備えている。床部材82は、スノコや陳列板とも呼ばれる。機械室C1には、冷凍ユニット40が設置されている。冷凍ユニット40は、圧縮機、凝縮器、凝縮器用ファン、等を有している。機械室C1の上方にある展示室C2において、棚25と床部材82に商品が載置される。展示室C2の下方にある冷却室C3には、展示室C2の空気A1を冷却室C3に通して展示室C2に戻すためのファン81、展示室C2から吸引された空気A1を冷却する蒸発器80、等が設置されている。冷凍ユニット40と蒸発器80は、冷凍サイクルを構成する。
【0019】
ショーケース本体10は、機械室C1を囲む機械室形成部11、機械室C1の正面にある機械正面部12、展示室C2と冷蔵ショーケース1の外部と隔てる透明板20、及び、展示室C2の下側にある冷却室形成部30を含んでいる。
透明板20は、展示室C2の正面にある正面ガラス21(正面透明板の例)、展示室C2の側面にある側面ガラス22(側面透明板の例)、及び、展示室C2の背面にあるスライド扉23を含んでいる。正面ガラス21は、機械正面部12の上側に存在する。スライド扉23には、透明ガラス板が嵌め込まれている。尚、透明板は、ガラスに限定されず、透明な樹脂板等でもよい。スライド扉23は左右に開閉可能であるので、ユーザーは冷蔵ショーケース1の背面から展示室C2に対して商品を出し入れすることができる。展示室C2は、床部材82及び通気部材83の上側にあり、透明板20、床部材82、及び、通気部材83により区画される。冷却室C3は、床部材82及び通気部材83の下側にあり、冷却室形成部30、床部材82、及び、通気部材83により区画される。
【0020】
機械正面部12は、下部に後退した蹴込み部13を有している。機械正面部12の前側には、化粧部材50が固定されている。また、ショーケース本体10は、機械室形成部11の外側に通路P1を形成する通路形成部15を有している。通路P1は、機械室C1から正面ガラス21及び側面ガラス22の表面に繋がる通路P1が形成されている。通路P1に向かって送風する曇り止め用ファン42を有する曇り止め送風部41は、正面ガラス21及び側面ガラス22の結露を抑制するために、通路P1を介して機械室C1から正面ガラス21及び側面ガラス22の表面に機械室C1の排熱(暖気W1)を送る。
【0021】
冷却室C3において、蒸発器80の前側にファン81が配置され、蒸発器80の後側に排水口86が配置されている。床部材82と正面ガラス21との間には吸い込み口85が設けられ、通気部材83は蒸発器80を通過した空気A1が通過する複数のスリット83h(通気穴の例)を有している。ファン81が動作すると、展示室C2の空気A1は、吸い込み口85から冷却室C3に入り、ファン81と蒸発器80を通過して冷気となる。該冷気は、複数のスリット83hを通過して展示室C2に入る。
冷却室形成部30の床面30aは、排水口86に向かって下向きに傾斜している。床面30aに落下した水は、排水口86からドレン管を介して冷却室C3外に排出される。
【0022】
店舗の閉店時間には、冷蔵ショーケース1のお手入れをするため、展示室C2から商品を取り出して冷蔵ショーケース1の運転を停止することがある。冷蔵ショーケース1のユーザーは、運転停止時にスライド扉23を開けて展示室C2及び冷却室C3の清掃を行っている。
【0023】
図11は、比較例に係る冷蔵ショーケース901の庫内を示している。
冷却室C3において蒸発器80を通過していない空気が蒸発器80を通過した空気と混じると、冷却効率が低下する。冷却室C3において蒸発器80を通過していない空気の通路と蒸発器80を通過した空気の通路との間において仕切990が冷却室形成部に固定されている。仕切990の位置がずれると、冷却性能に影響が出る。そこで、仕切990は、冷却室形成部から簡単に取り外すことができないように、ビスV9で固定されている。従って、ユーザーが冷却室C3の清掃を行う際、仕切990が死角となって清掃し難い箇所がある。
【0024】
本具体例では、冷却室C3において蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路を塞ぐ仕切部材90(
図4~10参照)にねじを使用しないで仕切部材90を冷却室形成部30に対して着脱可能にさせている。これにより、仕切部材90による死角を無くし、冷却室C3の清掃をし易くさせている。
【0025】
図3は、使用状態における冷蔵ショーケース1の庫内の例を模式的に示す斜視図である。
図4は、使用状態における冷蔵ショーケース1の前後方向に沿った縦断面の例を模式的に示す断面図である。
図5は、通気部材83と床部材82を取り外した冷蔵ショーケース1の庫内の例を模式的に示す斜視図である。尚、庫内を示すため、
図5では冷蔵ショーケース1の後側部分の図示が省略されている。
図6,7は、通気部材受け84を取り外した冷蔵ショーケース1の庫内の例を模式的に示す斜視図である。尚、庫内を示すため、
図6では冷蔵ショーケース1の後側部分の図示が省略され、
図7では冷蔵ショーケース1の上側部分の図示が省略されている。
図8,9は、仕切部材90を取り外した冷蔵ショーケース1の庫内の例を模式的に示す斜視図である。尚、庫内を示すため、
図8では冷蔵ショーケース1の後側部分の図示が省略され、
図9では冷蔵ショーケース1の上側部分の図示が省略されている。
図10は、仕切部材90の位置決め構造の例を模式的に示す分解斜視図である。
【0026】
図2~10に示すように、冷蔵ショーケース1は、ショーケース本体10、着脱可能な床部材82、着脱可能な通気部材83、着脱可能な通気部材受け84、ファン81、蒸発器80、及び、着脱可能な仕切部材90を備えている。
図2に示すショーケース本体10は、冷却室形成部30等を有し、展示室C2及び冷却室C3を囲んでいる。
図8~10に示すように、冷却室形成部30は、冷却室C3の床面30aから離隔した状態で互いに対向する側壁33同士を繋ぐ横向き柱31を有している。横向き柱31には、固定板34を介して蒸発器80が固定されている。固定板34は、取り外すことができない仕切ともいえる。床面30aと横向き柱31との間には、開口OP1がある。
図8,10に示すように、開口OP1のうち蒸発器80が占めていない部分は、冷却室C3において蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路R1である。この経路R1が仕切部材90により閉塞される。横向き柱31は、例えば、板金を折り曲げる加工を行うことにより形成することができる。
【0027】
床部材82は、展示室C2の底部においてショーケース本体10に対して着脱可能である。床部材82は、板状であり、概ね水平に配置される。床部材82には、樹脂板等を用いることができる。
複数のスリット83hを有する通気部材83は、通気部材受け84に対して着脱可能であり、床部材82とともに展示室C2の底部に配置可能である。通気部材83は、板状であり、概ね水平に配置される。通気部材83には、樹脂成形品や板金加工品等を用いることができる。
【0028】
通気部材受け84は、横向き柱31に引っ掛かった仕切部材90と床部材82とで挟まれる板状部84a、及び、通気部材83の前縁を受ける受け部84bを有し、ショーケース本体10に対して着脱可能である。板状部84aは、概ね水平に配置される。受け部84bは、左右に向いた溝を有し、上から通気部材83の前縁が入るようにされている。従って、通気部材受け84に通気部材83を取り付けることができ、通気部材受け84から通気部材83を取り外すことができる。通気部材受け84には、アルミニウム押出成形品や樹脂成形品等を用いることができる。
【0029】
ファン81と蒸発器80は、冷却室C3に設置されている。ファン81は、蒸発器80よりも前側において冷却室形成部30に固定され、展示室C2の空気A1を前側から冷却室C3に通して後側から展示室C2に戻す。蒸発器80は、ファン81よりも後側において横向き柱31を含む冷却室形成部30に固定され、冷却室C3を通る空気A1を冷却する。
以上より、展示室C2の空気A1は、吸い込み口85を通過して冷却室C3に入り、ファン81と蒸発器80を通過して冷気となる。該冷気は、通気部材83の複数のスリット83hを通過して展示室C2に入る。
【0030】
図10に示すように、仕切部材90は、板金を折り曲げることにより形成され、本体部90a、折曲部90b、折返し部90c、及び、差込部92を有している。本体部90aは、仕切部材90が冷却室形成部30に取り付けられている状態において鉛直に向いている。折曲部90bは、本体部90aの上縁から水平方向に延出している。折返し部90cは、折曲部90bの延出端から下方へ延出している。差込部92は、横向き柱31に沿った左右方向における折曲部90bの一端から下方へ延出している。本体部90aの上部、折曲部90b、及び、折返し部90cは、横向き柱31が入るように下向きに開口した溝形状であり、ねじを使用しないで仕切部材90を冷却室形成部30に対して着脱可能にさせる係合構造91を構成する。係合構造91に横向き柱31が入ると、仕切部材90は、横向き柱31から吊り下がり、本体部90aの下縁が冷却室形成部30の床面30aに合わせられ、蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路R1を塞ぐ。この時、係合構造91の下向き溝は、左右に向いている。仕切部材90の係合構造91は、仕切部材90が横向き柱31から吊り下がって経路R1を塞ぐように横向き柱31に引っ掛かる構造といえる。ユーザーは、係合構造91を横向き柱31から外すことにより仕切部材90を冷却室形成部30から取り外すことが可能である。
【0031】
本冷蔵ショーケース1は、係合構造91が引っ掛かった仕切部材90が横向き柱31に沿って移動することを防ぐための位置決め構造を有している。差込部92は、係合構造91から下側へ出た仕切部材側位置決め構造である。横向き柱31は、差込部92が差し込まれる差込穴32hを有する横向き柱側位置決め構造32を備えている。差込部92が差込穴32hに差し込まれると、係合構造91が横向き柱31に引っ掛かった状態で差込部92が横向き柱側位置決め構造32に係止される。横向き柱側位置決め構造32は、係合構造91が引っ掛かった仕切部材90が横向き柱31に沿って移動することを防ぐ。
【0032】
図6,7に示すように仕切部材90が冷却室形成部30に取り付けられている状態から、
図5に示すように通気部材受け84がショーケース本体10に取り付けられ、
図3,4に示すように床部材82がショーケース本体10に取り付けられる。この状態において、通気部材受け84の板状部84aは、係合構造91と床部材82とで挟まれる。床部材82は、通気部材受け84の板状部84aを介して係合構造91の上側に存在し、係合構造91が横向き柱31から外れることを通気部材受け84とともに防ぐ。
【0033】
(3)仕切部材を着脱する例:
本冷蔵ショーケース1は、運転を停止した冷却室C3の清掃時、冷却室形成部30から仕切部材90を取り外すことができる。以下、仕切部材90を冷却室形成部30に対して着脱する例を説明する。
【0034】
図1,2に示す冷蔵ショーケース1の運転停止時、ユーザーは、スライド扉23を開け、通気部材受け84から通気部材83を取り外し、ショーケース本体10から床部材82を取り外せばよい。この状態が
図5に示されている。床部材82が取り外されると、ユーザーは、ショーケース本体10から通気部材受け84を取り外せばよい。この状態が
図6,7に示されている。通気部材受け84が取り外されると、係合構造91が横向き柱31に引っ掛かっている仕切部材90を上方へ動かして横向き柱31から外すことができる。そこで、ユーザーは、仕切部材90を上方へ動かして冷却室形成部30から取り外せばよい。この状態が
図8,9に示されている。むろん、ねじを外す操作は、不要である。仕切部材90が取り外されると、仕切部材90による死角が無くなる。従って、冷却室C3の清掃をし易い。
【0035】
冷却室C3の清掃後、ユーザーは、横向き柱31から仕切部材90が吊り下がるように仕切部材90の係合構造91を横向き柱31に引っ掛けて仕切部材90の差込部92を横向き柱31の差込穴32hに差し込めばよい。この状態が
図6,7に示されている。むろん、ねじ止め操作は、不要である。係合構造91が引っ掛かった仕切部材90が横向き柱31に沿って移動しないので、横向き柱31に沿った方向において仕切部材90が決まった位置に設置され、蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路R1が精度よく閉塞される。仕切部材90が取り付けられると、ユーザーは、ショーケース本体10に通気部材受け84を取り付ける作業を行えばよい。この状態が
図5に示されている。通気部材受け84が取り付けられると、ユーザーは、ショーケース本体10に床部材82を取り付け、通気部材受け84に通気部材83を取り付ける作業を行えばよい。この状態が
図3,4に示されている。仕切部材90が上下方向へ移動することを床部材82が防ぐので、上下方向において仕切部材90が決まった位置に設置され、蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路R1が精度よく閉塞される。
店舗の開店時間までに、ユーザーは、スライド扉23を閉め、冷蔵ショーケース1の運転を再開すればよい。
【0036】
以上説明したように、本冷蔵ショーケース1は、ねじを使用しないで仕切部材90を冷却室形成部30に対して着脱することができるので、仕切部材90による死角を無くすことができ、冷却室C3の清掃をし易い。また、本冷蔵ショーケース1は仕切部材90が横向き柱31に沿った方向、及び、上下方向に移動することを防ぐ構造を有しているので、これらの方向において仕切部材90が決まった位置に設置される。これにより、蒸発器80を通過していない空気A1が展示室C2に戻る経路R1が精度よく閉塞され、冷却性能が維持される。
【0037】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、通気部材受け84の板状部84aが係合構造91と床部材82とで挟まれなくても、床部材82が係合構造91の上側に存在することにより、係合構造91が横向き柱31から外れることを防ぐ効果が得られる。この場合、冷蔵ショーケース1に通気部材受け84が無くてもよく、通気部材83がショーケース本体10に対して着脱可能とされてもよい。
横向き柱側位置決め構造は横向き柱31から上側へ出た差込部でもよく、仕切部材側位置決め構造は係合構造において差込部が差し込まれる差込穴を有する構造でもよい。
【0038】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、冷却室の清掃をし易くさせることが可能な冷蔵ショーケース等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1…冷蔵ショーケース、
10…ショーケース本体、
20…透明板、23…スライド扉、
30…冷却室形成部、30a…床面、
31…横向き柱、32…横向き柱側位置決め構造、32h…差込穴、
33…側壁、34…固定板、
40…冷凍ユニット、
80…蒸発器、
81…ファン、
82…床部材、
83…通気部材、83h…スリット(通気穴の例)、
84…通気部材受け、84a…板状部、84b…受け部、
85…吸い込み口、86…排水口、
90…仕切部材、90a…本体部、90b…折曲部、90c…折返し部、
91…係合構造、92…差込部(仕切部材側位置決め構造の例)、
A1…空気、
C1…機械室、C2…展示室、C3…冷却室、
OP1…開口、
P1…通路、R1…経路。