(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051944
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、座席、システム、情報処理方法、情報処理プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20230101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158344
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】南雲 松代
(72)【発明者】
【氏名】中山 務
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】客車により貨物を輸送する。
【解決手段】複数の座席を設けられた移動体内において、貨物を置く領域である貨物領域を、前記複数の座席の過去の使用率である座席使用率に基づいて設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の座席を設けられた移動体内において、貨物を置く領域である貨物領域を設定する情報処理装置であって、
前記複数の座席の過去の使用率である座席使用率に基づいて、前記貨物領域を設定する貨物領域設定部を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記貨物領域設定部は、前記過去の使用率が第1の値未満であるときに、前記複数の座席のうちの一部の座席が含まれる領域を、前記貨物領域として設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記移動体は、複数の経由地を経由する移動体であり、
前記貨物領域設定部は、前記複数の経由地間ごとに、前記貨物領域を設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記座席使用率は、人が着座した座席のみを、使用されている座席であるとして、算出される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記座席使用率は、人が着座した座席および荷物が置かれた座席を、使用されている座席であるとして、算出される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記複数の座席と、を有するシステムであって、
前記複数の座席の各々は、
当該座席の使用状況を検知する使用状況検知部と、
当該座席の使用状況に関する情報である座席使用状況情報を前記情報処理装置に送信する通信部と、有し、
前記情報処理装置は、
前記座席使用状況情報を受信することで、前記座席使用状況情報を取得する使用状況取得処理部と、
前記座席使用状況情報に基づいて、前記座席使用率を算出することで、前記座席使用率を取得する使用率取得処理部と、をさらに有する、システム。
【請求項7】
前記情報処理装置は、前記複数の座席の各々に、前記貨物領域に関する情報である貨物領域情報を送信する送信処理部をさらに有し、
前記複数の座席の各々の前記通信部は、前記貨物領域情報を受信する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の座席の各々は、当該座席が前記貨物領域内の座席であるときに、当該座席を、貨物が置ける形態に変化させる形態変化部をさらに有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の座席の各々は、当該座席が前記貨物領域内の座席であるときに、当該座席が前記貨物領域内の座席であることを通知する通知部をさらに有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
列車において、貨物を置く領域である貨物領域を設定する情報処理装置であって、
前記列車の過去の乗車率に基づいて、前記列車に含まれる複数の車両の一部のうちの車両を、前記貨物領域を設定する貨物領域設定部を有する、情報処理装置。
【請求項11】
複数の座席を設けられた移動体内において、貨物を置く領域である貨物領域を設定するための、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
前記複数の座席の過去の使用率である座席使用率に基づいて、前記貨物領域を設定する貨物領域設定工程を有する、情報処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理方法を、コンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載の情報処理プログラムを記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、座席、システム、情報処理方法、情報処理プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスであると考えられている二酸化炭素の排出量を抑えるための取り組みの1つとして、モーダルシフトがある。モーダルシフトは、トラック等の自動車で行われている貨物輸送を、二酸化炭素の排出量が少ない鉄道や船舶での貨物輸送に転換する取り組みである。例えば、特許文献1には、モーダルシフトを促進するための技術が開示されている。特許文献1に開示された技術により、鉄道輸送される冷却コンテナをドッグシェルタ等の貯蔵庫に搬入可能になり、特定形状を有したコンテナを用いた鉄道輸送の可能性を広げることが可能になる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄道での貨物の輸送には、コンテナ車などの貨車の列車である貨物列車が用いられている。貨物列車に加え、客車の列車である旅客列車を貨物の輸送に用いることで、モーダルシフトを促進することが可能である。
【0005】
そこで、本発明は、客車により貨物を輸送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に一実施形態に係る情報処理装置は、複数の座席を設けられた移動体内において、貨物を置く領域である貨物領域を設定する情報処理装置であって、前記複数の座席の過去の使用率である座席使用率に基づいて、前記貨物領域を設定する貨物領域設定部を有する。
【0007】
前記貨物領域設定部は、前記過去の使用率が第1の値未満であるときに、前記複数の座席のうちの一部の座席が含まれる領域を、前記貨物領域として設定するようにしても良い。
【0008】
前記移動体は、複数の経由地を経由する移動体であり、前記貨物領域設定部は、前記複数の経由地間ごとに、前記貨物領域を設定するようにしても良い。
【0009】
前記座席使用率は、人が着座した座席のみを、使用されている座席であるとして、算出されるようにしても良い。
【0010】
前記座席使用率は、人が着座した座席および荷物が置かれた座席を、使用されている座席であるとして、算出されるようにしても良い。
【0011】
また、本発明に一実施形態に係るシステムは、前記情報処理装置と、前記複数の座席と、を有するシステムであって、前記複数の座席の各々は、当該座席の使用状況を検知する使用状況検知部と、当該座席の使用状況に関する情報である座席使用状況情報を前記情報処理装置に送信する通信部と、有し、前記情報処理装置は、前記座席使用状況情報を受信することで、前記座席使用状況情報を取得する使用状況取得処理部と、前記座席使用状況情報に基づいて、前記座席使用率を算出することで、前記座席使用率を取得する使用率取得処理部と、をさらに有する。
【0012】
前記情報処理装置は、前記複数の座席の各々に、前記貨物領域に関する情報である貨物領域情報を送信する送信処理部をさらに有し、前記複数の座席の各々の前記通信部は、前記貨物領域情報を受信するようにしても良い。
【0013】
前記複数の座席の各々は、当該座席が前記貨物領域内の座席であるときに、当該座席を、貨物が置ける形態に変化させる形態変化部をさらに有するようにしても良い。
【0014】
前記複数の座席の各々は、当該座席が前記貨物領域内の座席であるときに、当該座席が前記貨物領域内の座席であることを通知する通知部をさらに有するようにしても良い。
【0015】
また、本発明に一実施形態に係る情報処理装置は、列車において、貨物を置く領域である貨物領域を設定する情報処理装置であって、前記列車の過去の乗車率に基づいて、前記列車に含まれる複数の車両の一部のうちの車両を、前記貨物領域を設定する貨物領域設定部を有する。
【0016】
また、本発明に一実施形態に係る情報処理方法は、複数の座席を設けられた移動体内において、貨物を置く領域である貨物領域を設定するための、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、前記複数の座席の過去の使用率である座席使用率に基づいて、前記貨物領域を設定する貨物領域設定工程を有する。
【0017】
また、本発明に一実施形態に係る情報処理プログラムは、前記情報処理方法を、コンピュータに実行させる。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係る記憶媒体は、前記情報処理プログラムを記憶しているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、客車により貨物を輸送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置100を示す図である。
【
図4】情報処理装置100における処理動作の一例を示す図である。
【
図5】車両に設けられた座席200を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<情報処理装置100>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置100を示す図である。情報処理装置100は、複数の座席200が設けられた列車の車両内において、貨物を置く領域である貨物領域を設定する。このとき、例えば、
図2のように、車両に設けられた複数の座席200のうちの一部の座席を含む領域が、貨物領域として設定される。
【0022】
情報処理装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、入力部140と、を有している。制御部110は、例えば、コンピュータにより構成される。記憶部130は、ハードディスクや、メモリなどの情報を記憶するための記憶装置である。通信部120は、他の装置と情報の送受信を行うための通信装置である。入力部140は、キーボードや、タッチパネル、ボタン、スピーカ、カメラなどの情報の入力を受けるための入力装置である。
【0023】
図3は、制御部110を示す図である。制御部110は、使用率取得処理部111と、貨物領域設定部112と、を有する。
【0024】
使用率取得処理部111は、列車に含まれる複数の車両の各々に対して、当該車両に設けられた座席200の過去の使用率(例えば、過去3か月の使用率)である座席使用率を取得する。ここで、使用率は、対象の車両に設けられた座席の使用されている座席の割合である。例えば、対象の車両に56席の座席が設けられており、このうちの28席の座席が使用されているならば、使用率は、50%である。
【0025】
使用率取得処理部111は、例えば、通信部120による通信を用いて、他の装置(座席使用率を蓄積した装置)から座席使用率を取得するようにすると良い。また、使用率取得処理部111は、入力部140によりユーザから入力を受けることで、座席使用率を取得するようにしても良い。
【0026】
また、使用率取得処理部111は、列車に含まれる車両の各々に設けられた座席200の使用状況に関する情報である座席使用状況情報に基づいて座席使用率を算出することで、座席使用率を取得するようにしても良い。このとき、情報処理装置100は、座席使用状況情報を取得する使用状況取得処理部113をさらに有するようにすると良い。使用状況取得処理部113は、通信部120による通信を用いて、他の装置(例えば、座席200や、座席使用状況情報を蓄積した装置)から、座席使用状況情報を取得するようにしても良いし、入力部140によりユーザから入力を受けることで、座席使用状況情報を取得するようにしても良い。
【0027】
貨物領域設定部112は、列車に含まれる複数の車両の各々に対して、当該車両の座席使用率に基づいて、貨物領域を設定する。例えば、貨物領域設定部112は、車両に設けられた座席のうちの一部を、貨物領域として設定する。このとき、例えば、貨物領域設定部112は、対象の車両に設けられた座席の数から、座席使用率から使用されるだろうと予想される座席の数(=(対象の車両に設けられて座席の数)×(座席使用率))を引くことで得られる数以下の座席を含む領域を貨物領域と設定する。例えば、対象の車両に56席の座席が設けられており、座席利用率が45パーセントであるならば、貨物領域設定部112は、30席以下(30≦56-56×0.45=30.8)の座席を含む領域を貨物領域と設定する。
図2に示した例では、28席の座席を含む領域が貨物領域として設定されている。
【0028】
このように、本実施形態では、車両に設けられた座席200の一部を含む領域を貨物領域と設定することが可能である。結果、本実施形態では、客車により貨物を輸送することが可能である。
【0029】
図4は、情報処理装置100における処理動作の一例を示す図である。使用率取得処理部111は、列車に含まれる複数の車両の各々に対して、当該車両に設けられた座席200の過去の使用率である座席使用率を取得する(S401)。貨物領域設定部112は、列車に含まれる複数の車両の各々に対して、当該車両の座席使用率に基づいて、貨物領域を設定する(S402)。
【0030】
<貨物領域設定部112による貨物領域の設定>
貨物領域設定部112は、例えば、列車に含まれる車両の各々に対して、当該車両に含まれる複数の座席200の過去の使用率が第1の値未満であるときに、複数の座席200のうちの一部の座席が含まれる領域を、貨物領域として設定する。第1の値は、50%である。このようにすることで、貨物領域として設定される領域の広さを、ある程度の大きさとすることが可能になる。
【0031】
使用率取得処理部111は、列車が停車する駅間ごとの座席使用率を取得するようにしても良い。そして、貨物領域設定部112は、列車が停車する駅間ごとに、貨物領域を設定するようにしても良い。このようにすることで、使用されていない座席を、より効率的に、貨物領域として用いることが可能になる。
【0032】
<座席使用率の算出>
座席使用率は、人が着座した座席および荷物が置かれた座席を、使用されている座席であるとして、算出するようにすると良い。このようにすることで、乗客の便宜を図った上で、貨客混載を行うことが可能になる。
【0033】
また、座席使用率は、例えば、人が着座した座席のみを、使用されている座席であるとして、算出するようにしてもと良い。つまり、荷物が置かれた座席200は使用されていないとして、算出するようにしても良い。このようにすることで、最大限の貨物を載せることが可能になる。
【0034】
<車両に設けられた座席200>
図5は、車両に設けられた座席200を示す図である。座席200は、使用状況検知部210と、通信部220と、を有する。
【0035】
使用状況検知部210は、座席200の使用状況を検知する。使用状況検知部210は、例えば、座席200に人が着座している状況であるのか、座席200に荷物が置かれている状況であるのか、座席200に人が着座しておらず、荷物も置かれていない状況であるのか、を検知する。このとき、使用状況検知部210は、例えば、座席200上に物体があるときに、着座検知システム(着座検知機能)を用いて、この物体が、人であるのか、荷物であるのか、を検知する。
【0036】
通信部220は、座席200の使用状況に関する情報である座席使用状況情報を情報処理装置100に送信する。このとき、情報処理装置100の使用状況取得処理部113は、この座席200から送信された座席使用状況情報を受信することで、座席使用状況情報を取得する。
【0037】
情報処理装置100は、複数の座席200の各々に、貨物領域に関する情報である貨物領域情報を送信する送信処理部114をさらに有するようにすると良い。そして、座席200の通信部220は、この情報処理装置100から送信された貨物領域情報を受信するようにすると良い。
【0038】
また、座席200は、当該座席200が貨物領域内の座席であるときに、当該座席200を、貨物が置ける形態に変化させる形態変化部230を有するようにすると良い。形態変化部230は、例えば、
図6に示すように、座席200の背もたれを折りたたみ、座席200を貨物が置ける形態に変化させる駆動装置である。このようにすることで、貨物領域内の座席200を自動的に貨物が置ける形態にすることが可能になる。
【0039】
また、座席200は、当該座席が前記貨物領域内の座席であるときに、当該座席200が貨物領域内の座席であることを通知する通知部240をさらに有するようにしても良い。通知部240は、例えば、座席200が貨物領域内の座席であるときに点灯するランプである。また、通知部240は、座席200が貨物領域内の座席であることを示す情報を表示するディスプレイなどの表示装置であっても良く、座席200が貨物領域内の座席であることを示す音声を出力するスピーカなどの音声出力装置であっても良い。このようにすることで、車両内に座席のうち、どの座席が貨物領域内の座席であるのかを、乗客や作業員に通知することが可能になる。結果、乗客が貨物領域内の座席に着座することを防ぐことや、作業員が貨物領域内の座席に貨物を置くことが可能になる。座席に貨物を置く際、座席は、貨物が置ける形態に変化させることが可能であるようにし、作業員が手動で座席を貨物が置ける形態に変化させた上で、座席に貨物をおくようにすると良い。
【0040】
<作業員等への通知>
情報処理装置100の送信処理部114は、貨物を置く作業員や車掌が形態する端末装置に、貨物領域情報を送信するようにしても良い。このようにすることで、作業員や車掌に、貨物領域を関する情報を通知することが可能になる。
【0041】
また、送信処理部114は、列車の運行管理を行う箇所の装置に、貨物領域情報を送信するようにしても良い。このようにすることで、列車の運行を管理する者に、どの列車に貨物領域がどのように設定されたのかを通知することが可能になる。
【0042】
<列車における貨物領域の設定>
上記では、車両内の一部の領域を貨物領域としているが、列車に含まれる複数の車両のうちの一部の車両を貨物領域とするようにしても良い。このとき、情報処理装置100は、
図7に示すように、使用率取得処理部111の代わりに、列車の過去の乗車率(例えば、過去3か月の乗車率)を取得する乗車率取得処理部115を有するようにすると良い。ここで、乗車率は、列車の定員に対する乗車人数の割合である。そして、貨物領域設定部112は、列車の過去の乗車率に基づいて、列車に含まれる複数の車両の一部の車両を、貨物領域を設定するようにすると良い。
【0043】
上記では、貨物領域が設定される移動体が列車の車両であるとして、本発明に係る一実施形態を説明したが、貨物領域が設定される移動体は、飛行機、バス等の列車の車両以外の複数の座席が設けられた移動体であっても良い。
【0044】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
100 情報処理装置
110 制御部
111 使用率取得処理部
112 貨物領域設定部
113 使用状況取得処理部
114 送信処理部
120 通信部
130 記憶部
140 入力部
200 座席
210 使用状況検知部
220 通信部
230 形態変化部
240 通知部