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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051963
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ランプユニット
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/19 20180101AFI20240404BHJP
【FI】
F21S41/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158372
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】柴山 拓也
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造で外観を良好に保つことができるランプユニットを提供する。
【解決手段】ランプユニット(30)は、アウターレンズ(31)を通じて前方を照らしている。ランプユニットには、アウターレンズが前方から装着されたハウジング(41)と、アウターレンズ内でハウジングに設置されたブラケット(61)と、一側縁(53)が前方を向くようにブラケットに設置された光源基板(51)と、が設けられている。ブラケットは、ハウジングの後壁に設置される設置部(63)と、光源基板を支持する支持部(62)と、光源基板の一側縁を前側から覆う意匠部(65)と、を有している。設置部にはブラケットをハウジングの後壁に前方から取り付けるための取付穴(64)が形成され、意匠部が取付穴の延長線(L)を避けている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターレンズを通じて前方を照らすランプユニットであって、
前記アウターレンズが前方から装着されたハウジングと、
前記アウターレンズ内で前記ハウジングに設置されたブラケットと、
一側縁が前方を向くように前記ブラケットに設置された光源基板と、を備え、
前記ブラケットは、前記ハウジングの後壁に設置される設置部と、前記光源基板を支持する支持部と、前記光源基板の一側縁を前側から覆う意匠部と、を有し、
前記設置部には前記ブラケットを前記ハウジングの後壁に前方から取り付けるための取付穴が形成され、前記意匠部が前記取付穴の延長線を避けていることを特徴とするランプユニット。
【請求項2】
前記意匠部は前記設置部を前側から部分的に覆うように膨出していることを特徴とする請求項1に記載のランプユニット。
【請求項3】
前面視にて前記意匠部が前記取付穴に重ならないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランプユニット。
【請求項4】
前面視にて前記アウターレンズの透過面の内側に前記意匠部が位置付けられ、前記設置部が前記透過面から外側にはみ出していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランプユニット。
【請求項5】
前記透過面よりも外側部分を段状に後退させており、前面視にて当該外側部分に前記設置部が重なっていることを特徴とする請求項4に記載のランプユニット。
【請求項6】
前記設置部が前記ハウジングの後壁に沿った板状に形成され、前記支持部が前記光源基板に沿った板状に形成されており、
前記設置部の板面と前記支持部の板面が成す角を2分する斜め方向がブラケット成形時の離型方向になっており、
前記意匠部の後半部が前記支持部の前端から離型方向に沿って斜め前方に立ち上がり、前記意匠部の前半部が前記後半部の前端から離型方向に対して略直交するように斜め前方に立ち下がっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ランプユニットとして、アウターレンズの内側に設置されたLED(Light Emitting Diode)基板を外方から隠すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のランプユニットでは、LED基板がランプの光軸に沿うようにブラケットを介してハウジングに固定されている。ハウジングの内側にはLED基板の下方にリフレクタが設置されており、LEDからの光がリフレクタでアウターレンズに向けて前方に反射される。リフレクタの周囲がエクステンションに覆われており、エクステンションの上部が上方に延びてLED基板が隠されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-69860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のランプユニットでは、LED基板の露出を抑えるためにエクステンションが必要になる。また、ブラケットを締め付けるためのツールラインをエクステンションが遮っているため、ブラケットをハウジングに固定した後にエクステンションをハウジングに設置する必要があり、構成が複雑になると共に作業者にとって煩わしい作業になっていた。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、シンプルな構造で外観を良好に保つことができるランプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のランプユニットは、アウターレンズを通じて前方を照らすランプユニットであって、前記アウターレンズが前方から装着されたハウジングと、前記アウターレンズ内で前記ハウジングに設置されたブラケットと、一側縁が前方を向くように前記ブラケットに設置された光源基板と、を備え、前記ブラケットは、前記ハウジングの後壁に設置される設置部と、前記光源基板を支持する支持部と、前記光源基板の一側縁を前側から覆う意匠部と、を有し、前記設置部には前記ブラケットを前記ハウジングの後壁に前方から取り付けるための取付穴が形成され、前記意匠部が前記取付穴の延長線を避けていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様のランプユニットによれば、ブラケットの意匠部によって光源基板が前側から覆われることで、意匠部によって光源基板を隠すことができる。また、取付穴に対するツールラインが意匠部に遮られることがなく、ハウジングに対してブラケットを容易に固定することができる。このように、ブラケットに意匠部を形成してもツールラインが確保されるため、意匠部、支持部、設置部を一体したブラケットによって、ランプユニットの構造をシンプルにできると共に外観を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例の鞍乗型車両の左側面図である。
図2】比較例のランプユニットの模式図である。
図3】本実施例のランプユニットの正面模式図である。
図4】本実施例のランプユニットの側面模式図である。
図5】本実施例のブラケットの斜視図である。
図6図3のランプユニットをA-A線に沿って切断した断面図である。
図7】本実施例のランプユニットの組立作業の一例を示す図である。
図8】本実施例のブラケットの成形方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様のランプユニットは、アウターレンズを通じて前方を照らしている。ハウジングにはアウターレンズが前方から装着されており、アウターレンズの内側でハウジングにブラケットが設置されている。ブラケットには光源基板が設置されており、光源基板の一側縁が前方に向けられている。ブラケットの設置部がハウジングの後壁に設置され、ブラケットの支持部によって光源基板が支持されている。ブラケットの意匠部によって光源基板の一側縁を前側から覆われており、意匠部によって光源基板を隠すことができる。設置部にはブラケットをハウジングの後壁に前方から取り付けるための取付穴が形成され、意匠部が取付穴の延長線を避けているため、取付穴に対するツールラインが意匠部に遮られることがなく、ハウジングに対してブラケットを容易に固定することができる。このように、ブラケットに意匠部を形成してもツールラインが確保されるため、意匠部、支持部、設置部を一体したブラケットによって、ランプユニットの構造をシンプルにできると共に外観を良好に保つことができる。
【実施例0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例のランプユニットが設置された鞍乗型車両について説明する。図1は本実施例の鞍乗型車両の左側面図である。図2は比較例のランプユニットの模式図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、スクータタイプの鞍乗型車両1は、アンダーボーン型の車体フレーム(不図示)に車体外装として各種カバーを装着して構成されている。車両前側にはフロントフレームカバー11が設けられており、フロントフレームカバー11の後側にはライダーの足回りを保護するフロントレッグシールド12が設けられている。フロントレッグシールド12の下端から後方にフートボード13が延在しており、フートボード13の後方にはシートフレームカバー14が設けられている。フロントレッグシールド12とフートボード13によってシート23の前方にライダーの足置き空間が形成されている。
【0012】
フロントフレームカバー11の上側にはランプユニット30が設けられ、フロントフレームカバー11の下側には一対のフロントフォーク21を介して前輪22が回転可能に支持されている。シートフレームカバー14の上側にはシート23が設けられており、シートフレームカバー14の下側にはユニットスイング式のエンジン24が設けられている。エンジン24は車体フレームに揺動可能に連結されており、エンジン24の後部には後輪25が回転可能に支持されている。エンジン24のクランクケースの左側面がCVTカバー26に覆われており、CVTカバー26の上方にエアクリーナ27が設けられている。
【0013】
図2(A)に示すように、比較例のランプユニット80は、ハウジング82の内側にリフレクタ83が設置されており、LED85からの光がリフレクタ83によって前方に反射されている。このようなランプユニット80では、LED85からの光をリフレクタ83に向けて照射する関係上、LED85が下方を向くようにリフレクタ83の上側に光源基板84を設置する必要がある。ハウジング82の支持台86に上側から光源基板84が取り付けられるが、光源基板84を取り付けるためのツールライン87が上下を向いているため、ツールライン87によってアウターレンズ81やハウジング82の形状が制約を受けてしまう。
【0014】
具体的には、図2(B)に示すように、ハウジング周縁部88が光源基板84の取付ネジ89よりも前方に位置していると、アウターレンズ81を外した状態でもツールライン87を上下に確保することができない。このため、図2(A)に示すように、ハウジング周縁部88をツールライン87よりも後方に位置付けなければならない。また、ランプユニット80の外観性を高めるために、光源基板84の露出を抑える意匠部品を用意しなければならない。そこで、本実施例のランプユニットでは、ツールラインを前後に向けると共に、光源基板用のブラケットと意匠部品を1部材にして装置構成をシンプルにしている。
【0015】
図3から図6を参照して、ランプユニットについて説明する。図3は本実施例のランプユニットの正面模式図である。図4は本実施例のランプユニットの側面模式図である。図5は本実施例のブラケットの斜視図である。図6図3のランプユニットをA-A線に沿って切断した断面図である。なお、図5では説明の便宜上、ハウジング及びアウターレンズを二点鎖線で示している。
【0016】
図3及び図4に示すように、ランプユニット30は、ハウジング41にアウターレンズ31が前方から装着されて、アウターレンズ31を通じて前方を照らすように構成されている。アウターレンズ31は、透光性材料によって略ドーム状に形成されている。アウターレンズ31の透過面32は前方に膨らんでおり、透過面32よりも上側のアウターレンズ31の上部表面33が後退されており、透過面32と上部表面33の間に段差が設けられている。透過面32はランプカバー(不図示)等から露出しており、上部表面33はハウジング41と共にランプカバーによって外側から覆われている。
【0017】
ハウジング41は、アウターレンズ31が装着されるハウジング周縁部42と、アウターレンズ31内でブラケット61が設置されるハウジング本体部43と、ハウジング本体部43の下側に形成されたリフレクタ44と、を有している。ハウジング周縁部42にはアウターレンズ31の外縁が入り込む周溝45(図6参照)が形成されている。ハウジング周縁部42の上面には固定クリップ46が設けられ、ハウジング周縁部42の下面の突出部47には固定ボルト48が設けられている。固定クリップ46によってハウジング41の上部が車体にクリップ止めされ、固定ボルト48によってハウジング41の下部が車体にネジ止めされる。
【0018】
ハウジング本体部43の後面からは複数のネジボス49が突き出しており、複数のネジボス49に対してブラケット61が前方からネジ止めされる。ハウジング本体部43にはブラケット61を介して光源基板51が取り付けられており、光源基板51上には光源としてLED52が設けられている。光源基板51の一側縁(前縁)53(図6参照)が前方に向けられており、LED52の出射方向が下向きになるように光源基板51が表裏反転されている。また、ハウジング本体部43には光源基板51から延びる配線を通すための配線孔が形成されており、配線孔にはゴム製の配線孔キャップ(不図示)が装着されている。
【0019】
リフレクタ44は、LED52からの出射光をアウターレンズ31の透過面32に向けて反射するように断面視円弧状に形成されている。LED52の出射光の光軸とリフレクタ44の反射光の光軸が略直交しており、ランプユニット30の照射方向が車両前方に向けられている。ハウジング41は樹脂材料によって形成されるため、断面視円弧状の樹脂壁の表面にアルミ蒸着メッキ等で反射膜が積層されることでリフレクタ44が形成される。ここではリフレクタ44がハウジング41と一体に形成されているが、リフレクタ44はハウジング41と別体に形成されていてもよい。
【0020】
図5及び図6に示すように、ブラケット61は、横板状の支持部62と、縦板状の設置部63と、ドーム状の意匠部65と、を含むように樹脂材料で成形されている。支持部62は水平方向に広がっており、支持部62によって光源基板51が上側から支持されている。支持部62の後縁から設置部63が立ち上がっており、ハウジング本体部43(ハウジング41の後壁)に設置部63が設置されている。支持部62の前縁から意匠部65が膨出しており、意匠部65によって光源基板51の一側縁53が前側から覆われている。また、ブラケット61には支持部62の上面と設置部63の前面を繋ぐ4つの補強リブ69が形成されている。
【0021】
このようなブラケット61がハウジング41に取り付けられることで、ランプユニット30の内側が上下に仕切られている。ブラケット61の下側にはリフレクタ44が位置付けられており、光源基板51上のLED52からの出射光がリフレクタ44によって前方に反射されている。このとき、意匠部65の下縁66がLED52よりも下方かつリフレクタ44よりも上方に位置している。光源基板51及びLED52が意匠部65に前側から覆われることで外観性が向上され、リフレクタ44からの反射光が意匠部65に遮られ難くなってランプユニット30の視認性が低下することがない。
【0022】
ブラケット61の上側の設置部63にはブラケット61をハウジング本体部43に取り付けるための複数の取付穴64が形成されている。設置部63の複数の取付穴64は、ハウジング本体部43の複数のネジボス49に対応しており、複数の取付穴64を通じて複数のネジボス49に取付ネジ70が締め込まれてブラケット61がハウジング41に設置される。このとき、意匠部65が取付穴64の中心線の延長線Lを避けるように、延長線Lよりも意匠部65が低くなっている。前面視にて意匠部65が取付穴64に重ならないため(図3参照)、延長線L上にドライバー等の工具のツールラインが前後に確保されている。
【0023】
意匠部65によって前後のツールラインが遮られないため、アウターレンズ31を外した状態で、工具を用いて前側から取付ネジ70を締め込んで、ハウジング41に対してブラケット61を容易に取り付けることができる。また、ランプユニット30に対してツールラインが前後に確保されているため、前側から取付ネジ70を締め込む際に工具がハウジング周縁部42に干渉することがない。アウターレンズ31やハウジング41の合わせ部分の位置や形状がツールラインの制約を受けないため、アウターレンズ31やハウジング41の設計自由度が向上されている。
【0024】
前面視にてアウターレンズ31の透過面32の内側に意匠部65が位置付けられ、意匠部65は設置部63を前側から部分的に覆うように膨出している(図3参照)。意匠部65は支持部62から取付穴64付近まで膨出しており、意匠部65の前面には模様等(不図示)が付されている。透過面32から外側に設置部63がはみ出しており、透過面32よりも外側部分の上部表面33に設置部63が重なっている(図3参照)。上部表面33は段状に後退してランプカバーに覆われて設置部63が目立ち難くなっている。透過面32を通じて意匠部65が露出されるため、ブラケット61を意匠部品として認識させてランプユニット30の外観性が向上される。
【0025】
図7を参照して、ランプユニットの組立作業について説明する。図7は本実施例のランプユニットの組立作業の一例を示す図である。
【0026】
図7(A)に示すように、ブラケット61の支持部62に対して光源基板51が工具71によってネジ止めされる。光源基板51には複数の取付穴(不図示)が形成されており、支持部62には複数のネジ穴(不図示)が形成されている。支持部62の複数のネジ穴に対して光源基板51の複数の取付穴が位置合わせされ、工具71によって取付ネジ54が締め込まれて支持部62の下面に光源基板51が取り付けられる。ブラケット61の意匠部65の下縁66が光源基板51の下側まで延びているため、意匠部65によって取付ネジ54や光源基板51が目立ち難くなっている。
【0027】
次に、図7(B)に示すように、ハウジング本体部43に対してブラケット61の設置部63が工具71によってネジ止めされる。ハウジング本体部43の複数のネジボス49に対して設置部63の複数の取付穴64が位置合わせされる。取付ネジ70に対して前側から工具71が近づけられて、工具71によって取付ネジ70が締め込まれて、ハウジング41に対してブラケット61が取り付けられる。この場合、意匠部65が上方に膨出しているが、工具71に意匠部65が干渉しないため、工具71によってハウジング本体部43にブラケット61を容易に取り付けることができる。
【0028】
次に、図7(C)に示すように、ハウジング41に対して前側からアウターレンズ31が装着される。ハウジング周縁部42の周溝45にアウターレンズ31の後縁部34が入り込み、ホットメルト等の接着剤72によってハウジング周縁部42の周溝45にアウターレンズ31の後縁部34が接着されている。ハウジング41とアウターレンズ31の合わせ部分が接着剤72によってシールされて防水性が確保されている。また、アウターレンズ31の透過面32からは意匠部65が露出し、光源基板51を取り付けるためのブラケット61が意匠部品として認識されることでランプユニット30の外観性が向上される。
【0029】
図8を参照して、ブラケットの成形方法について説明する。図8は本実施例のブラケットの成形方法の説明図である。
【0030】
図8に示すように、ブラケット61は、固定型73及び可動型74を用いて成形される樹脂成型品である。固定型73と可動型74が型締めされた状態で、金型のキャビティに溶融樹脂が充填されてブラケット61が成形されている。上記したように、ブラケット61の設置部63がハウジング本体部43(図6参照)に沿った縦板状に形成され、ブラケット61の支持部62が光源基板51(図6参照)に沿った横板状に形成されている。このようなブラケット61では固定型73及び可動型74の離型方向を斜め方向にすることが望ましい。
【0031】
すなわち、支持部62には光源基板51を取り付けるための取付穴(不図示)を形成する必要があり、設置部63にはハウジング本体部43に取り付けるための取付穴64を成形する必要がある。支持部62の取付穴を成形するためには離型方向を縦向きか斜め向きにする必要があり、設置部63の取付穴を成形するためには離型方向を横向きか斜め向きにする必要がある。そこで、本実施例では、設置部63の板面と支持部62の板面が成す角を2分する斜め方向(例えば、斜め45度)がブラケット成形時の固定型73及び可動型74の離型方向Dになっている。
【0032】
ブラケット61の意匠部65がドーム状に膨出しているが、固定型73及び可動型74の離型時に意匠部65がアンダーカットにならないような形状になっている。すなわち、意匠部65の後半部67は支持部62の前端から離型方向Dに沿って斜め前方に立ち上がり、意匠部65の前半部68は後半部67の前端から離型方向Dに対して略直交するように斜め前方に立ち下がっている。金型の離型方向Dを斜め方向にすることでブラケット61の設置部63、支持部62、意匠部65を一体に成形することができる。また、意匠部65の前半部68が離型方向に略直交するため、意匠部65の前面に凹凸によって文字や模様を付けることができる。
【0033】
以上、本実施例のランプユニット30によれば、ブラケット61の意匠部65によって光源基板51が前側から覆われることで、意匠部65によって光源基板51を隠すことができる。また、取付穴64に対するツールラインが意匠部65に遮られることがなく、ハウジング41に対してブラケット61を容易に固定することができる。このように、ブラケット61に意匠部65を形成してもツールラインが確保されるため、意匠部65、支持部62、設置部63を一体したブラケット61によって、ランプユニット30の構造をシンプルにできると共に外観を良好に保つことができる。
【0034】
なお、本実施例では、リフレクタの上側に光源基板やブラケットが設置されたが、リフレクタの下側、左右両側、左右片側に光源基板やブラケットが設置されてもよい。すなわち、光源基板やブラケットが上下逆向きに設置されてもよいし、光源基板やブラケットが横向きに設置されてもよい。
【0035】
また、本実施例では、光源としてLEDを例示したが、光源はアウターレンズを裏側から照射可能であれば、光源の種類は限定されない。
【0036】
また、本実施例では、ブラケットの意匠部が上方に膨出しているが、意匠部は光源基板の一側縁を覆うように形成されていればよく、意匠部の形状は特に限定されない。
【0037】
また、本実施例では、ブラケットが固定型及び可動型によって成形されているが、ブラケットが固定型、可動型、スライド型によって成形されてもよい。
【0038】
また、本実施例では、アウターレンズの透過面よりも外側部分の上部表面が段状に後退しているが、アウターレンズの形状は特に限定されない。
【0039】
また、本実施例では、ランプユニットに前後方向にツールラインが確保されているが、ブラケットの取付穴に対して前側にツールラインが確保されていればよい。例えば、ランプユニットには前後方向を基準にして+45度から-45度の範囲にツールラインが確保されていてもよい。
【0040】
また、本実施例のランプユニットは上記の鞍乗型車両に限らず、自動四輪車等の他の乗り物に採用されてもよい。なお、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0041】
以上の通り、第1態様は、アウターレンズ(31)を通じて前方を照らすランプユニット(30)であって、アウターレンズが前方から装着されたハウジング(41)と、アウターレンズ内でハウジングに設置されたブラケット(61)と、一側縁(53)が前方を向くようにブラケットに設置された光源基板(51)と、を備え、ブラケットは、ハウジングの後壁(ハウジング本体部43)に設置される設置部(63)と、光源基板を支持する支持部(62)と、光源基板の一側縁を前側から覆う意匠部(65)と、を有し、設置部にはブラケットをハウジングの後壁に前方から取り付けるための取付穴(64)が形成され、意匠部が取付穴の延長線(L)を避けている。この構成によれば、ブラケットの意匠部によって光源基板が前側から覆われることで、意匠部によって光源基板を隠すことができる。また、取付穴に対するツールラインが意匠部に遮られることがなく、ハウジングに対してブラケットを容易に固定することができる。このように、ブラケットに意匠部を形成してもツールラインが確保されるため、意匠部、支持部、設置部を一体したブラケットによって、ランプユニットの構造をシンプルにできると共に外観を良好に保つことができる。
【0042】
第2態様は、第1態様において、意匠部は設置部を前側から部分的に覆うように膨出している。この構成によれば、ブラケットの意匠部によって設置部が前側から覆われることで、意匠部が目立ってブラケットを意匠部品として認識させることができる。
【0043】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、前面視にて意匠部が取付穴に重ならない。この構成によれば、取付穴に対するツールラインが前後方向に確保され、アウターレンズとハウジングの合わせ部分の位置や形状がツールラインの制約を受けることがなく、アウターレンズやハウジングの設計自由度が向上される。
【0044】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、前面視にてアウターレンズの透過面(32)の内側に意匠部が位置付けられ、設置部が透過面から外側にはみ出している。この構成によれば、設置部を目立ち難くして透過面を通じて意匠部が露出されるため、ブラケットを意匠部品として認識させてランプユニットの外観性を向上させることができる。
【0045】
第5態様は、第4態様において、透過面よりも外側部分を段状に後退させており、前面視にて当該外側部分(上部表面33)に設置部が重なっている。この構成によれば、設置部をより目立ち難くしてランプユニットの外観性を向上させることができる。
【0046】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様において、設置部がハウジングの後壁に沿った板状に形成され、支持部が光源基板に沿った板状に形成されており、設置部の板面と支持部の板面が成す角を2分する斜め方向(D)がブラケット成形時の離型方向になっており、意匠部の後半部(67)が支持部の前端から離型方向に沿って斜め前方に立ち上がり、意匠部の前半部(68)が後半部の前端から離型方向に対して略直交するように斜め前方に立ち下がっている。この構成によれば、金型の離型方向を斜め方向にすることでブラケットの設置部、支持部、意匠部を一体に成形することができる。また、意匠部の前半部が離型方向に略直交するため、意匠部の前面に凹凸によって文字や模様を付けることができる。
【0047】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0048】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0049】
30:ランプユニット
31:アウターレンズ
32:透過面
33:上部表面(透過面よりも外側部分)
41:ハウジング
43:ハウジング本体部(ハウジングの後壁)
51:光源基板
53:光源基板の一側縁
61:ブラケット
62:支持部
63:設置部
64:設置部の取付穴
65:意匠部
67:意匠部の後半部
68:意匠部の前半部
D :離型方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8