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特開2024-51995仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051995
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床
(51)【国際特許分類】
   E04G 7/22 20060101AFI20240404BHJP
   E04G 5/08 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04G7/22 Z
E04G5/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158417
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596066530
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 沙帆
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 孝
(72)【発明者】
【氏名】土井 昌司
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 克典
(57)【要約】
【課題】コストを低減しつつ、強度を向上させることができる仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床を提供する。
【解決手段】仮設床1のフレーム接合金物30は、仮設床1の床板50を支持する第一フレーム11及び第二フレーム12を接合するために用いられる。フレーム接合金物30は、第一フレーム11の長さ方向の一端部11aを下方から支持する受け部31と、第二フレーム12の幅方向の側面に固定される第一固定部と、第二フレーム12の幅方向の側面に固定される第二固定部33と、受け部31及び第二固定部33を連結し、床板50の補強板53を下方から支持する支持部34と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設床のフレームを構成し、前記仮設床の床板を支持する第一フレーム及び第二フレームを接合するために用いられる仮設床のフレーム接合金物であって、
前記第一フレームの長さ方向の側面と、前記第二フレームの幅方向の側面とを当接させた状態で前記第一フレームと前記第二フレームとを接合し、
前記第一フレームの長さ方向に沿って設けられ、前記第一フレームの長さ方向の一端部を下方から支持する受け部と、
前記受け部の幅方向における一方側に設けられ、前記第二フレームの幅方向の側面に固定される第一固定部と、
前記受け部の幅方向における他方側に設けられ、前記第二フレームの幅方向の側面に固定される第二固定部と、
前記受け部の幅方向における他方側に設けられ、前記受け部及び前記第二固定部を連結し、前記床板の一部を下方から支持する支持部と、を備えることを特徴とする仮設床のフレーム接合金物。
【請求項2】
前記受け部は、
前記第一フレームの底面が載置される底板と、
前記底板の両側端部からそれぞれ立ち上がり、前記第一フレームを側方から支持する一対の側板と、を有し、
前記第一固定部は、一方の前記側板の前記第二フレーム側の端部から屈曲して前記第二フレームの長さ方向の一方側に延出し、
前記支持部は、他方の前記側板の上端部から屈曲して前記第二フレームの長さ方向の他方側に延出し、
前記第二固定部は、前記支持部の前記第二フレーム側の端部から屈曲して下方に延出することを特徴とする請求項1に記載の仮設床のフレーム接合金物。
【請求項3】
請求項1に記載の前記仮設床のフレーム接合金物を備えるフレーム体であって、
前記フレーム体は、
角筒状の前記第一フレームと、
角筒状の一対の前記第二フレームと、
前記仮設床の前記床板を支持する角筒状の一対の第三フレームと、
前記第一フレーム及び前記第二フレームを接合する前記仮設床のフレーム接合金物と、
一対の前記第二フレーム及び一対の前記第三フレームを枠状に接合する角部接合金物と、を有し、
前記角部接合金物は、
前記第二フレームの長さ方向と前記第三フレームの長さ方向とが交差する位置に配置される角本体部と、
前記角本体部の前記第二フレーム側の端部から前記第二フレーム側へ延び、前記第二フレームの内部に挿入されて、前記第二フレームに固定される第一挿入部と、
前記角本体部の前記第三フレーム側の端部から前記第三フレーム側へ延び、前記第三フレームの内部に挿入されて、前記第三フレームに固定される第二挿入部と、を有することを特徴とするフレーム体。
【請求項4】
前記角本体部には、前記角本体部に対し折り返し可能な折り返し壁部が形成され、
折り返された前記折り返し壁部は、前記角本体部の上面と一部重なりあって配置され、前記第二フレーム及び前記第三フレームの上面と略面一となることを特徴とする請求項3に記載のフレーム体。
【請求項5】
前記折り返し壁部が折り返されたとき、前記折り返し壁部は、前記第二フレームの長さ方向における端面と当接する、又は前記第三フレームの長さ方向における端面と当接することを特徴とする請求項4に記載のフレーム体。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の前記フレーム体を備える仮設床であって、
前記仮設床は、前記フレーム体と、前記フレーム体の上面に載置される前記床板と、を備え、
前記フレーム体には、前記第一フレーム、一対の前記第二フレーム及び前記第三フレームとで囲まれた開口が形成され、
前記床板は、前記フレーム体に対して回動可能に設けられ、前記開口の一部を覆う開閉板を有し、
前記支持部は、前記開閉板によって前記開口の一部が覆われたときに、前記床板の一部を下方から支持することを特徴とする仮設床。
【請求項7】
前記床板は、前記開閉板の下面における基端部側に取り付けられ、前記第一フレームの長さ方向に沿って延びる長尺な補強板を有し、
前記支持部は、前記開閉板によって前記開口の一部が覆われたときに、前記補強板の少なくとも一部を下方から支持することを特徴とする請求項6に記載の仮設床。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床に係り、仮設床の床板を支持する第一フレーム及び第二フレームを接合するために用いられる仮設床のフレーム接合金物、そのフレーム接合金物を有するフレーム体、及びそのフレーム体を有する仮設床に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築中の建物の上階と下階の間には、仮設階段が設置されて、上階と下階の間の作業員の昇降移動に用いられてきた。上階の仮設床には、仮設階段の昇降用開口部が形成され、昇降用開口部には床板兼用開閉蓋が取り付けられる。昇降時以外は開閉蓋を閉じて昇降用開口部を覆うことにより、作業者が不注意で昇降用開口部から落ちてしまうのを抑制することができる。また、閉じた開閉蓋を床板とすることで、作業者は足場通路を安全に行き来することができる。
【0003】
特許文献1に記載の仮設床のフレーム体は、一対の第一フレーム及び一対の第二フレームを枠状に結合した枠状フレームと、枠状フレームに取り付けられた床板と、を備えている。一対の第一フレームと一対の第二フレームは、溶接によって固定化することで枠状フレームを形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-193626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような仮設床のフレーム体は、アルミ製の角パイプを溶接することで、枠状に組み立てられていた。しかしながら、溶接には手間と時間を要することから、仮設床の製造コストが高くなるおそれがあった。
また、閉じた開閉蓋を床板として安全に使用するためには、床板を支持する枠状フレームの強度をさらに向上させることが求められていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、コストを低減しつつ、強度を向上させることができる仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の仮設床のフレーム接合金物によれば、仮設床のフレームを構成し、前記仮設床の床板を支持する第一フレーム及び第二フレームを接合するために用いられる仮設床のフレーム接合金物であって、前記第一フレームの長さ方向の側面と、前記第二フレームの幅方向の側面とを当接させた状態で前記第一フレームと前記第二フレームとを接合し、前記第一フレームの長さ方向に沿って設けられ、前記第一フレームの長さ方向の一端部を下方から支持する受け部と、前記受け部の幅方向における一方側に設けられ、前記第二フレームの幅方向の側面に固定される第一固定部と、前記受け部の幅方向における他方側に設けられ、前記第二フレームの幅方向の側面に固定される第二固定部と、前記受け部の幅方向における他方側に設けられ、前記受け部及び前記第二固定部を連結し、前記床板の一部を支持する支持部と、を備えることにより解決される。
【0008】
上記構成により、第一固定部及び第二固定部によって補強フレームとなる第一フレーム及び枠状フレームとなる第二フレームをネジ止めして固定することで、フレーム体を製造するときの溶接作業を不要としつつ、枠状フレームに対して補強フレームを直交させるように配置することができる。そのため、フレーム体を製造するコストを低減しつつ、強度を向上させることができる。
また、補強フレームとなる第一フレームを支持する受け部と、枠状フレームとなる第二フレームを固定する固定部と間に床板の一部を支持する支持部を設けることで、床板がフレーム体の上面に載置されたときに、床板を支持する力が向上し、仮設床の強度を向上させることができる。
【0009】
このとき、前記受け部は、前記第一フレームの底面が載置される底板と、前記底板の両側端部からそれぞれ立ち上がり、前記第一フレームを側方から支持する一対の側板と、を有し、前記第一固定部は、一方の前記側板の前記第二フレーム側の端部から屈曲して前記第二フレームの長さ方向の一方側に延出し、前記支持部は、他方の前記側板の上端部から屈曲して前記第二フレームの長さ方向の他方側に延出し、前記第二固定部は、前記支持部の前記第二フレーム側の端部から屈曲して下方に延出すると良い。
上記構成により、受け部が第一フレームを支持する力を向上させつつ、第一フレームと第二フレームを強固に接合することができる。また、1枚の金属製の板状部材をプレス加工することでフレーム接合金物を形成できるので、製造コストを低減できる。
【0010】
また上記の仮設床のフレーム接合金物を備えるフレーム体において、前記フレーム体は、角筒状の前記第一フレームと、角筒状の一対の前記第二フレームと、前記仮設床の前記床板を支持する角筒状の一対の第三フレームと、前記第一フレーム及び前記第二フレームを接合する前記仮設床のフレーム接合金物と、一対の前記第二フレーム及び一対の前記第三フレームを枠状に接合する角部接合金物と、を有し、前記角部接合金物は、前記第二フレームの長さ方向と前記第三フレームの長さ方向とが交差する位置に配置される角本体部と、前記角本体部の前記第二フレーム側の端部から前記第二フレーム側へ延び、前記第二フレームの内部に挿入されて、前記第二フレームに固定される第一挿入部と、前記角本体部の前記第三フレーム側の端部から前記第三フレーム側へ延び、前記第三フレームの内部に挿入されて、前記第三フレームに固定される第二挿入部と、を有すると良い。
上記構成により、枠状フレームを構成する第二フレームと第三フレームをネジ止めして固定することで、フレーム体を製造するときの溶接作業を不要にできる。そのため、フレーム体を製造するコストを低減しつつ、強度を向上させることができる。
【0011】
このとき、前記角本体部には、前記角本体部に対し折り返し可能な折り返し壁部が形成され、折り返された前記折り返し壁部は、前記角本体部の上面と一部重なりあって配置され、前記第二フレーム及び前記第三フレームの上面と略面一となると良い。
上記構成により、枠状フレームを構成する第二フレームと第三フレームの上面に床板が載置されたとき、第二フレームと第三フレームの接合部分が不陸になることを抑制できる。
【0012】
このとき、前記折り返し壁部が折り返されたとき、前記折り返し壁部は、前記第二フレームの長さ方向における端面と当接する、又は前記第三フレームの長さ方向における端面と当接すると良い。
上記構成により、折り返し壁部によって第二フレーム又は第三フレームが角部接合金物に挿入される位置を位置決めすることができる。
【0013】
また上記のフレーム体を備える仮設床において、前記仮設床は、前記フレーム体と、前記フレーム体の上面に載置される前記床板と、を備え、前記フレーム体には、前記第一フレーム、一対の前記第二フレーム及び前記第三フレームとで囲まれた開口が形成され、前記床板は、前記フレーム体に対して回動可能に設けられ、前記開口の一部を覆う開閉板を有し、前記支持部は、前記開閉板によって前記開口の一部が覆われたときに、前記床板の一部を下方から支持すると良い。
上記構成により、フレーム体を製造するコストを低減しつつ、開閉板が回動されて閉じられたときの衝撃に対して、十分な強度を有するフレーム体とすることができる。
【0014】
このとき、前記床板は、前記開閉板の下面における基端部側に取り付けられ、前記第一フレームの長さ方向に沿って延びる長尺な補強板を有し、前記支持部は、前記開閉板によって前記開口の一部が覆われたときに、前記補強板の少なくとも一部を下方から支持すると良い。
上記構成により、床板の下面に補強板を設けることで、床板を補強することができ、支持部によって補強板を支持することで、強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床によれば、コストを低減しつつ、強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る仮設床の斜視図である。
図2】仮設床を裏側から見た図である。
図3】仮設床の正面図であって、床板部を開いた状態を示す図である。
図4】角部接合金物の斜視図である。
図5】角部接合金物の正面図である。
図6】角部接合金物によって第二フレーム及び第三フレームを接合した状態を示す図である。
図7】フレーム接合金物の斜視図である。
図8】フレーム接合金物の上面図である。
図9】フレーム接合金物の側面図である。
図10】フレーム接合金物によって第一フレーム及び第二フレームを接合した状態(表側)を示す図である。
図11】フレーム接合金物によって第一フレーム及び第二フレームを接合した状態(裏側)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図11に基づき、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)の仮設床1について説明する。以下の説明中、図1に記載の矢印で示すように、「上下方向」とは、作業者の足場として上階床に取り付けた状態の仮設床1の上下方向を意味する。「左右方向」とは、仮設床1の幅方向を意味する。「前後方向」とは、上下方向及び左右方向と直交する方向であって、仮設床1の長手方向を意味する。なお、仮設床1の前側に立つ作業者が仮設床1を見たときの右側が「右方向」、左側が「左方向」とする。
【0018】
<仮設床>
仮設床1は、上階床における仮設階段の登り口に配設されて使用されるものである。詳しく述べると、上階と下階の間を昇降する作業者は、仮設階段を利用する際に、登り口に配設された仮設床1を開放させることによって、登り口を通過することができる。また作業者は、仮設床1を閉塞することによって、登り口から作業者又は作業工具等の落下を防止することができ、建築現場における作業者の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0019】
仮設床1は、図1図3に示すように、フレーム体10と、フレーム体10の上面に載置される床板50と、を備える。
仮設床1は、上階で作業する作業者や建築部材を支持可能な強度を有していればよく、金属製、樹脂製、又はこれらの組み合わせであってもよい。仮設床1を金属製、又は樹脂製とすることにより、仮設床1の軽量化が可能となり、仮設床1の運搬性が向上する。
【0020】
<フレーム体>
フレーム体10は、図1図3に示すように、床板50を下方から支持するものであって、複数の長尺のフレーム及び複数の接合金具で構成される。フレーム体10は、角筒状の第一フレーム11と、角筒状の第二フレーム12と、角筒状の第三フレーム13と、角筒状の補強フレーム14と、外れ止め部材16と、第二フレーム12及び第三フレーム13を枠状に接合する角部接合金物20と、第一フレーム11及び第二フレーム12を接合する直交部接合金物30(フレーム接合金物)と、第二フレーム12及び補強フレーム14を接合する補強部接合金物40と、を有する。
【0021】
図1図3に示すように、枠状に配置された一対の第二フレーム12(前フレーム12a、後フレーム12b)及び一対の第三フレーム13(左フレーム13a、右フレーム13b)は、仮設床1の枠状フレームを構成する。
また、一対の第二フレーム12間に架設された第一フレーム11及び補強フレーム14は、仮設床1を補強するフレームを構成する。
【0022】
一対の第二フレーム12及び一対の第三フレーム13は、4つの角部接合金物20によって枠状に接合される。
第一フレーム11は、2つの直交部接合金物30によって第二フレーム12に直交するように接合される。
補強フレーム14は、2つの補強部接合金物40によって第二フレーム12に直交するように接合される。
なお、各接合金物の個数や各接合金物が接合するフレームは、これに限定されない。
【0023】
フレーム体10には、一対の第二フレーム12及び一対の第三フレーム13によって囲まれた開口15が形成される。開口15は、上述した仮設階段の登り口に対応する。つまり、一対の第二フレーム12及び一対の第三フレーム13からなる枠状フレームは、登り口に対応する寸法形状を有している。具体的には、枠状フレームは、幅960mm、長さ1310mmの大きさを有している。
【0024】
開口15は、作業者が通過する領域である第一開口部15aと、第一開口部15aの両側に設けられた第二開口部15b及び第三開口部15cと、からなる。
具体的には、第一開口部15aは、第一フレーム11、一対の第二フレーム12及び補強フレーム14とで囲まれた領域である。第二開口部15bは、第一フレーム11、一対の第二フレーム12及び左側の第三フレーム13(左フレーム13a)とで囲まれた領域である。第三開口部15cは、一対の第二フレーム12、右側の第三フレーム13(右フレーム13b)及び補強フレーム14とで囲まれた領域である。
【0025】
第二開口部15b及び第三開口部15cは、仮設階段の手摺を挿入するための領域である。第二開口部15b及び第三開口部15cは、仮設床1の長手方向に延びている。
第二開口部15b及び第三開口部15cには、仮設階段の両側に配設された手摺が貫通される。手摺が第二開口部15b及び第三開口部15cを貫通して上階床の上方まで延びることによって、第一開口部15aを介して昇降移動する作業者の安全性の向上を図ることができる。
【0026】
外れ止め部材16は、図2に示すように、枠状フレーム(一対の第二フレーム12及び一対の第三フレーム13)の四隅の内側に固定されている。外れ止め部材16は、枠状フレームよりも下方に突出している。このため、仮設床1が側方に変位すると、外れ止め部材16が上階床の横架材に当接することとなり、仮設床1の側方への変位を規制することができる。これにより、仮設床1が横ずれして、本来の載置されるべき位置から外れてしまうことを抑制できる。
【0027】
外れ止め部材16の底面16aは、外側から内側に向かうにつれて下方への突出量が大きくなる傾斜面を形成している。これにより、仮設床1の側方への変位を規制することができる。また、仮設床1が左右に偏った位置に載置された場合であっても、仮設床1は、底面16aの傾斜面によって案内されて、適正な位置に自動的に修正されて横架材に載置される。
【0028】
<角部接合金物>
角部接合金物20は、図4図6に示すように、一対の第二フレーム12及び一対の第三フレーム13を枠状に接合するための接合金物である。角部接合金物20は、1枚の金属製の板状部材が打ち抜かれて、プレス加工されることによって形成される。
角部接合金物20は、角本体部21と、第二フレーム12に固定される第一挿入部22と、第三フレーム13に固定される第二挿入部23と、を有する。
【0029】
角本体部21は、図4図6に示すように、第二フレーム12の長さ方向と第三フレーム13の長さ方向とが交差する位置に配置される部分である。角本体部21には、角本体部21に対し折り返し可能な折り返し壁部24が形成されている。
【0030】
折り返し壁部24は、図6に示すように、上下方向において角本体部21の上面と一部重なりあって配置され、第二フレーム12及び第三フレーム13の上面(第二フレーム上面12B、第三フレーム上面13B)と略面一となる。
こうすることで、第二フレーム上面12B及び第三フレーム上面13Bに床板50が載置されたとき、第二フレーム12と第三フレーム13の接合部分が不陸になることを抑制できる。
【0031】
折り返し壁部24が折り返されたとき、折り返し壁部24は、第二フレーム12の長さ方向における端面と当接する。具体的には、折り返し壁部24の第一当接部24aは、折り返されたとき、第二フレーム上面12Bの端面と当接する。
また、折り返し壁部24は、折り返されたとき、第三フレーム13の長さ方向における端面と当接する。具体的には、折り返し壁部24の第二当接部24bは、折り返されたとき、第三フレーム上面13Bの端面と当接する。
こうすることで、第二フレーム12及び第三フレーム13が、角部接合金物20に挿入されたとき、挿入位置の位置決めすることができる。
【0032】
第一挿入部22は、図4図6に示すように、第二フレーム12に挿入されて固定される部分である。第一挿入部22は、角本体部21の第二フレーム12側の端部から第二フレーム12側へ延び、角筒状の第二フレーム12の内部に挿入されて、ネジSによってネジ止めされて、第二フレーム12に固定される。
【0033】
第二挿入部23は、図4図6に示すように、第三フレーム13に挿入されて固定される部分である。第二挿入部23は、角本体部21の第三フレーム13側の端部から第三フレーム13側へ延び、第三フレーム13の内部に挿入されて、ネジSによってネジ止めされて、第三フレーム13に固定される。
【0034】
<直交部接合金物(フレーム接合金物)>
直交部接合金物30は、図7図11に示すように、第一フレーム11及び第二フレーム12を直交させて接合するための接合金物である。直交部接合金物30は、1枚の金属製の板状部材が打ち抜かれて、プレス加工されることによって形成される。
直交部接合金物30は、第一フレーム11の長さ方向の第一フレーム端面11Aと、第二フレーム12の幅方向の第二フレーム側面12Aとを当接させた状態で、第一フレーム11と第二フレーム12とを接合する。
【0035】
直交部接合金物30は、図7図11に示すように、第一フレーム11の長さ方向の一端部11aを下方から支持する受け部31と、第二フレーム側面12Aに固定される第一固定部32と、第二フレーム12の幅方向の第二フレーム側面12Aに固定される第二固定部33と、受け部31及び第二固定部33に連接され、第二フレーム12の長さ方向の他方側に延出する支持部34と、を有する。
【0036】
受け部31は、図7図11に示すように、第一フレーム11の長さ方向に沿って設けられ、第一フレーム11の一端部11aを下方から支持する部分である。受け部31は、第一フレーム11の第一フレーム底面11Cが載置される底板31aと、底板31aの両側端部からそれぞれ立ち上がり、第一フレーム11の第一フレーム側面11Dを側方から支持する一対の側板(左側板31b、右側板31c)と、を有する。
【0037】
左側板31b及び右側板31cには、側板固定孔31gが形成される。受け部31は、第一フレーム11の一端部11aが載置された状態で、側板固定孔31gを介してネジ止めされることで、第一フレーム11が取り付けられる。
【0038】
第一固定部32は、図7図11に示すように、受け部31の幅方向における一方側に設けられ、第二フレーム12の長さ方向の一方側に配置され、第二フレーム側面12Aに固定される部分である。
具体的には、第一固定部32は、受け部31の左側板31bに連接されて、左側板31bの第二フレーム12側の左側板後端部31dから屈曲して、第二フレーム12の長さ方向において左側に延出する。
【0039】
第一固定部32には、第一固定孔32aが形成される。第一固定部32は、第二フレーム12の第二フレーム側面12Aに対して、第一固定孔32aを介してネジ止めされることで、第二フレーム12に取り付けられる。
【0040】
第二固定部33は、図7図11に示すように、受け部31の幅方向における他方側に設けられ、第二フレーム12の長さ方向の他方側に配置され、第二フレーム側面12Aに固定される部分である。
具体的には、第二固定部33は、受け部31の右側板31cに支持部34を介して連接され、支持部34の第二フレーム12側の支持後端部34bから屈曲して下方に延出する。
【0041】
第二固定部33には、第二固定孔33aが形成される。第二固定部33は、第二フレーム12の第二フレーム側面12Aに対して、第二固定孔33aを介してネジ止めされることで、第二フレーム12に取り付けられる。
【0042】
支持部34は、図7図11に示すように、受け部31及び第二固定部33を連結し、床板50の一部を支持する部分である。
具体的には、支持部34は、受け部31の右側板31cに連接され、右側板31cの上端部31eから屈曲して第二フレーム12の長さ方向における右側に延出する。つまり、支持部34は、支持基端部34a側に第一フレーム11が配置され、支持後端部34b側に第二フレーム12が配置される。
支持部34は、面取り部34cによって、上面視において略三角形の受け面を有する。なお、支持部34の受け面の形状はこれに限らず、面取り部34cを設けずに、矩形状としても良い。また面取り加工ではなくR加工としても良い。
【0043】
支持部34は、図1図2に示すように、床板50が第一フレーム11及び第二フレーム12の上面に載置されたとき、床板50の一部を下方から支持する。後述するように、支持部34は、開閉板52の下面に取り付けられた補強板53の補強板端部53aを下方から支持する。
【0044】
なお、直交部接合金物30は、1枚の金属製の板状部材が打ち抜かれて、プレス加工されることによって形成されるため、支持部34は、受け部31の右側板31cの上端部31eと連続して形成されている。また、第二固定部33は、受け部31の右側板31cの右側板後端部31fとは連接されていない。
しかしこれに限らず、受け部31と第二固定部33とが、直接連接された構成としても良い。また、受け部31及び第一固定部32、受け部31及び支持部34、第二固定部33及び支持部34は、それぞれ連続するように一体的に形成されるが、別体として設けられても良い。例えば、受け部31の上端部31eが支持部34の支持基端部34aに下方から当接する構成としても良い。
【0045】
<補強部接合金物>
補強部接合金物40は、図2図3に示すように、第二フレーム12及び補強フレーム14を直交させて接合するための接合金物である。補強部接合金物40は、1枚の金属製の板状部材が打ち抜かれて、プレス加工されることによって形成される。
なお、補強部接合金物40の代わりに直交部接合金物30を用いて、第二フレーム12及び補強フレーム14を直交させるように接合しても良い。
【0046】
<床板>
床板50は、図1図3に示すように、長方形形状を有する板状体であって、作業者の足場及び登り口の蓋となる部材である。床板50は、フレーム体10に取り付けられる閉塞板51と、閉塞板51に対して回動可能に取り付けられる開閉板52と、開閉板52の下面に取り付けられる補強板53と、閉塞板51に対して回動可能に開閉板52を取り付ける蝶番54と、を有する。
【0047】
閉塞板51は、図1に示すように、開口15の一部(第二開口部15bの後側)を閉塞する部材であって、フレーム体10の上面に取り付けられる。開口15の一部(第二開口部15bの後側)を閉塞板51によって覆うことによって、開口15から作業工具等を不用意に落下させてしまうことを抑制することができる。
【0048】
開閉板52は、図1に示すように、上面視において略逆L字状であって、第一フレーム11の長さ方向に長尺な部材である。図3に示すように、開閉板52は、開口15の一部(第一開口部15a、第三開口部15cの後側)を閉塞する部材であって、フレーム体10に対して回動可能に設けられる。開閉板52は、第一フレーム11及び開閉板52の長さ方向に沿って延びる方向を軸方向として回動される。
なお、軸方向はこれに限らず、開閉板52の幅方向に沿って延びる方向を軸方向として回動されても良い。
【0049】
開閉板52は、開閉板52の左端部に設けられた蝶番54によって、開口15を開放する開放位置(図3参照)と、開口15を覆う閉塞位置(図1参照)との間で切り替え可能にフレーム体10に設けられる。蝶番54は旗蝶番であるが、これに限定されず、平蝶番であっても良い。
なお、蝶番54を設けずに、開口15を覆うように開閉板52をフレーム体10の上面に載置させる構成としても良い。
【0050】
開閉板52の上面には、防滑テープ52aが貼着されている。開閉板52の上面に防滑テープ52aを貼着することによって、開閉板52の上で作業する作業員の安全性の向上を図ることが可能となる。
【0051】
閉塞板51及び開閉板52は、ハニカムコアを有する中間層と、中間層の両側において中間層の表面を覆う外層材と、から構成されている。より詳細には、中間層は、断面形状が正六角形状を有する複数のセルが、互いに隣接するように規則的に配置されている。そして中間層は、硬質樹脂からなる外層材によって被覆されている。これにより、床板50の軽量化を実現しつつ、床板50に必要な強度を確保することが可能となる。
【0052】
補強板53は、図2図3に示すように、第一フレーム11及び開閉板52の長さ方向に沿って延びる長尺な矩形板状であって、開閉板52の下面における基端部52b側に取り付けられる。
このように、開閉板52の長さ方向に沿って補強板53を設けることによって、開閉板52を補強することができる。
なお、補強板53は、基端部52bとは反対側の端部に設けられても良い。また、開閉板52の幅方向に沿って補強板53を設けても良い。
【0053】
図2に示すように、開閉板52が、開口15を開放する開放位置から開口15を覆う閉塞位置に回動されたとき、直交部接合金物30の支持部34は、開閉板52が回動されて開口15の一部が覆われたときに、床板50の一部を下方から支持する。
具体的には、支持部34は、開閉板52が回動されて開口15の一部(第一開口部15a、第三開口部15cの後側)が覆われたときに、補強板53の長さ方向における端部である補強板端部53aを下方から支持する。
【0054】
このように、床板50の下面に補強板53を設けることで、床板50を補強することができ、支持部34によって補強板53を支持することで、仮設床1の強度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、支持部34によって補強板53の長さ方向における補強板端部53aを支持する構成としているが、これに限らない。例えば、支持部34によって補強板53の全体を支持する構成としても良い。また、補強板53を設けずに、支持部34によって開閉板52の下面を直接支持する構成としても良い。
【0055】
<その他の実施形態>
本発明の仮設床1の直交部接合金物30(フレーム接合金物)、フレーム体10及び仮設床1は、上記の実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、仮設床1のフレーム体10を接合する直交部接合金物30の場合を例示して説明を行った。しかしこれに限らず、例えば、フレーム接合金物は、床の梁や根太を連結する場合や、天井の梁を連結する場合にも好適である。
【0056】
上記実施形態では、主として本発明に係る仮設床のフレーム接合金物、フレーム体及び仮設床に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 仮設床
10 フレーム体
11 第一フレーム
11A 第一フレーム端面(長さ方向の側面)
11B 第一フレーム上面
11C 第一フレーム底面
11D 第一フレーム側面
11a 一端部
12 第二フレーム
12A 第二フレーム側面(幅方向の側面)
12B 第二フレーム上面
12a 前フレーム
12b 後フレーム
13 第三フレーム
13A 第三フレーム側面
13B 第三フレーム上面
13a 左フレーム
13b 右フレーム
14 補強フレーム
15 開口
15a 第一開口部
15b 第二開口部
15c 第三開口部
16 外れ止め部材
16a 底面
20 角部接合金物
21 角本体部
22 第一挿入部
23 第二挿入部
24 折り返し壁部
24a 第一当接部
24b 第二当接部
30 直交部接合金物(フレーム接合金物)
31 受け部
31a 底板
31b 左側板(側板)
31c 右側板(側板)
31d 左側板後端部
31e 上端部
31f 右側板後端部
31g 側板固定孔
32 第一固定部
32a 第一固定孔
33 第二固定部
33a 第二固定孔
34 支持部
34a 支持基端部
34b 支持後端部
34c 面取り部
40 補強部接合金物
50 床板
51 閉塞板
52 開閉板
52a 防滑テープ
52b 基端部
53 補強板(床板の一部)
53a 補強板端部
54 蝶番
S ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11