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特開2024-51996紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024051996
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/235 20190101AFI20240404BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20240404BHJP
   G07D 7/00 20160101ALI20240404BHJP
【FI】
G07D11/235
G07D11/26
G07D7/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158418
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082049
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敬一
(74)【代理人】
【識別番号】100220711
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 朗
(72)【発明者】
【氏名】原口 孝平
(72)【発明者】
【氏名】足立 直将
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋行
【テーマコード(参考)】
3E041
3E141
【Fターム(参考)】
3E041AA01
3E041AA02
3E041DA05
3E041DB03
3E141AA01
3E141AA05
3E141AA11
3E141BA12
3E141BA13
3E141BA20
3E141CA02
3E141CA07
3E141DA08
3E141FG11
3E141FJ11
3E141FK08
(57)【要約】
【課題】動作寿命到達前に駆動ユニットを交換する紙葉類取扱装置及びゲーム機管理装置を提供する。
【解決手段】紙葉類取扱装置(1)は、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)と、鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)と、鑑別装置(2)内に着脱自在に装着される駆動ユニット(13)とを備える。駆動ユニット(13)は、鑑別搬送通路(10)に沿って鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する。駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)内の物理値を検出する駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを備える。物性記憶装置(25)から駆動ユニット(13)内の物理値を取り出して、駆動ユニット(13)の劣化度を表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着される駆動ユニットとを備え、
鑑別搬送通路に沿って鑑別装置内で紙葉を搬送する駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサと、駆動センサが検出する物理値を記憶する物性記憶装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
物性記憶装置は、駆動センサが検出する駆動ユニット内の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして記憶し、
駆動センサからの物理値の変化量は、駆動ユニットの劣化度を表す請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
物性記憶装置は、物性記憶装置を取り付ける駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を更に記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
物性記憶装置は、駆動ユニットの過去の保守点検履歴を更に記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
駆動センサは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
駆動ユニットは、鑑別装置に挿入される紙葉を鑑別搬送通路に沿って搬送する鑑別搬送装置を備え、
鑑別搬送装置は、鑑別搬送装置内の物理値を検出する搬送センサを有し、
駆動ログは、搬送センサが鑑別搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを含み、
計時エンコーダは、鑑別搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する鑑別搬送装置の作動量時間と共に、搬送センサからの搬送ログを記憶する請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
紙葉類取扱装置は、鑑別搬送通路に沿って搬送される紙葉を収納する収納装置を備え、
駆動ユニットは、収納装置の収納室に紙葉を収納する収納搬送装置を有し、
収納搬送装置は、収納搬送装置内の物理値を検出する収納センサを有し、
駆動ログは、収納センサが収納搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを含み、
計時エンコーダは、収納搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する収納搬送装置の作動量時間と共に、収納センサからの収納ログを記憶する請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
駆動ユニットの鑑別搬送装置は、紙葉を搬送する駆動ベルトと、駆動ベルトを駆動する搬送モータと、搬送モータの駆動力を駆動ベルトに伝達する動力伝達装置とを備え、
駆動ベルト、搬送モータ、動力伝達装置の一体化した単一の連結組立体により構成される駆動ユニットを、鑑別装置のハウジングの装着室内に収容する請求項6に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項9】
鑑別装置は、ハウジングと、ハウジング内に形成されて駆動ユニットを配置する装着室と、ハウジングに形成される一対の枢軸支持部とを備え、
駆動ユニットのフレームのヒンジ筒は、鑑別装置のハウジングの枢軸支持部に着脱自在かつ回転可能に装着され、
鑑別装置のヒンジ筒周りにフレームを回転すると、駆動ユニットは、鑑別装置の装着室に収容され、
鑑別装置の装着室に収容される駆動ユニットの物性記憶装置の接続装置に端末検索装置を接続し、端末検索装置に入力装置を接続して、入力装置からの指令信号により物性記憶装置の駆動ログを端末検索装置に取り出す請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項10】
紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着され駆動ユニットとを各々備え、各駆動ユニットは、鑑別装置内で鑑別搬送通路に沿って紙葉を搬送する複数の紙葉類取扱装置において、
各紙葉類取扱装置は、中央管理装置に個別に通信接続され、
各駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する駆動センサと、検出する物理値と共に、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を記憶する物性記憶装置とを備え、
各駆動ユニットは、接続装置を介して、物性記憶装置に記憶される駆動ユニット内の物理値と固有識別情報を中央管理装置に送信し、
中央管理装置は、接続装置を介して,物性記憶装置が送信する各駆動ユニット内の物理値と固有識別情報を受信する端末検索装置と、各駆動ユニットの故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置と、端末検索装置が受信する各駆動ユニット内の物理値と、中央記憶装置に記憶される各駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、故障率曲線特性又は故障率近似関数上の故障率上昇点を基準として、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する特性比較装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項11】
物性記憶装置は、駆動センサが検出する駆動ユニット内の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログを記憶し、
接続装置は、物性記憶装置に記憶される駆動ログと、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置の固有識別情報とを端末検索装置に送信し、
端末検索装置は、接続装置が送信する駆動ログと固有識別情報を受信し、
特性比較装置は、端末検索装置が受信する駆動ログと、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項12】
駆動ユニットは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項13】
中央管理装置は、端末検索装置が受信した駆動ログ、固有識別情報及び駆動ユニットの直近の交換時期を表す表示装置を備える請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項14】
駆動ユニットは、鑑別装置に挿入される紙葉を鑑別搬送通路に沿って搬送する鑑別搬送装置と、鑑別搬送装置内の物理値を検出する搬送センサとを備え、
駆動ログは、搬送センサが鑑別搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを含み、
計時エンコーダは、鑑別搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する鑑別搬送装置の作動量時間と共に、搬送センサからの搬送ログを記憶する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項15】
駆動ユニットは、鑑別搬送通路に沿って搬送される紙葉を収納装置の収納室に収納する収納搬送装置と、収納搬送装置内の物理値を検出する収納センサとを備え、
駆動ログは、収納センサが収納搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを含み、
計時エンコーダは、収納搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する収納搬送装置の作動量時間と共に、収納センサからの収納ログを記憶する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項16】
紙葉類取扱装置を各々搭載する複数のゲーム機と、各ゲーム機又は各紙葉類取扱装置に通信接続される中央管理装置とを備え、
各紙葉類取扱装置は、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着されて、鑑別搬送通路に沿って紙葉を搬送する駆動ユニットと、鑑別搬送通路に沿って移動する紙葉の画像情報を読み取る鑑別センサと、鑑別センサから画像情報を受信して、紙葉の真贋を判断する判別装置とを備え、
駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する駆動センサと、検出する物理値と共に、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を記憶する物性記憶装置とを備え、
中央管理装置は、駆動ユニットの物性記憶装置に記憶される物理値と固有識別情報を検索して受信する端末検索装置と、駆動ユニットの故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置と、端末検索装置が受信する駆動ユニットの物理値と、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する特性比較装置とを備えることを特徴とするゲーム機管理装置。
【請求項17】
駆動センサは、駆動ユニット内の物理値を検出し、数値化、評点化又は等級化する駆動ログを物性記憶装置に送出して、物性記憶装置に駆動ログを記憶し又は駆動センサは、駆動ユニット内の物理値を検出して物性記憶装置に送出し、物性記憶装置は、受信した物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログを作成して、駆動ログを記憶し、
端末検索装置は、物性記憶装置に記憶される駆動ログと、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置の固有識別情報を受信し、
特性比較装置は、端末検索装置が受信する駆動ログと、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性とを比較して又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する請求項16に記載のゲーム機管理装置。
【請求項18】
駆動センサは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項19】
中央管理装置は、端末検索装置が受信した駆動ログ、固有識別情報及び駆動ユニットの直近の交換時期を表す表示装置を備える請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項20】
中央管理装置は、ゲーム機に搭載した駆動ユニットの固有識別情報をゲーム機の固有識別情報と関連付けて記憶する請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項21】
鑑別装置の判定装置は、挿入される紙葉の画像情報を読み取って紙葉の真偽を判定し、
紙葉類取扱装置に挿入される所定寸法の紙葉の鑑別センサによる読取寸法が所定範囲から逸脱するとき、判定装置は、エラー信号を発生して、駆動ユニットを逆転及び正転して、再度紙葉の真贋判断を行い、物性記憶装置は、判定装置が紙葉の真贋判断を行った回数を駆動ログとして記憶する請求項17~20の何れかに記載のゲーム機管理装置。
【請求項22】
駆動ユニット内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサと、駆動センサが検出する物理値を記憶する物性記憶装置とを駆動ユニットに設ける過程と、
駆動センサと物性記憶装置とを有する駆動ユニットを、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置内に着脱自在に装着する過程と、
駆動鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路に沿って複数の紙葉を駆動ユニットにより搬送する過程と、
物性記憶装置に記憶される物理値を端末検索装置により検索して、物理値を取り出す過程と、
取り出した物理値を表示装置に表示する過程とを含むことを特徴とする紙葉類取扱装置の劣化度表示法。
【請求項23】
端末検索装置により検索した物理値を特性比較装置に入力する過程と、
特性比較装置により、受信した物理値を、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入する過程と、
駆動ユニットの直近の交換時期を演算して、表示装置に直近の交換時期を表示する過程とを含む紙葉類取扱装置の劣化度表示法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障前に交換できる駆動ユニットを備える紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を使用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本特許出願人は、本明細書に特許文献1として示す特許第5,484,866号の特許権者であり、本特許に基づく紙葉類取扱装置を永年生産し販売してきたが、この紙葉類取扱装置は、故障時に修理が完了するまで、紙葉類取扱装置を内蔵するゲーム機自体を稼働できず、ゲーム機の稼働による収益が得られない難点があった。紙葉類取扱装置の主故障原因は、紙葉類取扱装置の稼働部を構成する駆動ユニットの作動に伴う劣化にあり、駆動ユニットが一旦故障すると、駆動ユニットの交換が完了するまで、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機を稼働できない難点があった。特許文献1に開示される紙葉類取扱装置は、駆動ユニット、鑑別装置及び収納装置を個別のユニットに構成して、各ユニットの分離、取外し、組立、保守、点検及び交換を容易に行える長所があり、着脱可能に内臓される一体型駆動ユニットを紙葉類取扱装置から取り外して、駆動ユニットを容易に交換しかつ保守点検できる利点がある。
【0003】
特許文献2は、一時保留カセットと補充/回収カセットの各々に、カセッットの種類を格納するメモリ(記憶装置)を設け、コネクタを介して各メモリの情報を制御部で受け取り、メモリ情報からカセットの種類を制御部が認識する紙幣自動入出金装置を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5,484,866号公報
【特許文献2】特開平10-27274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される紙葉類取扱装置の駆動ユニットを継続的に使用するとき、その劣化状態を認識し、その故障又は不具合の発生時期を予測することはできない。通常、駆動ユニットは、突然故障し又は不具合が発生して、紙葉類取扱装置自体が作動不能又は異常作動に至る。駆動ユニットが故障すると、紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱装置を取り付けたゲーム機を作動できず、正常に作動する駆動ユニットを交換するまで、紙葉類取扱装置及びゲーム機を使用できず、ゲーム機の稼働による収益増加を見込めない難点があり、紙葉類取扱装置及びゲーム機の不稼働時間を削減できなかった。
そこで、本発明は、交換の対象となる駆動ユニットの劣化度又は交換時期を認識できる紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類取扱装置(1)は、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)と、鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)と、鑑別装置(2)内に着脱自在に装着される駆動ユニット(13)とを備える。鑑別搬送通路(10)に沿って鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する駆動ユニット(13)の各部品は、駆動ユニット(13)の稼働を通じて段階的に又は徐々に宿命的に劣化して、品質、性能又は機能が低下する。そこで、駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能に関する物理値を検出する単数又は複数の駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを備える。駆動センサ(24)からの物理量の変化量は、駆動ユニット(13)の劣化度を表す。常時、定期的に又は必要な時に、物性記憶装置(25)に記憶される物理値を検索し、取り出し、表示することにより、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能に関する劣化度を客観的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法の実施の形態を図面について以下説明する。各図面は、下記内容を示す:
図1】本発明の紙葉類取扱装置の断面図
図2】紙葉類取扱装置の鑑別装置から駆動ユニットを外す状態を示す分解斜視図
図3】本発明の紙葉類取扱装置に使用する駆動ユニットの底面図
図4】駆動ユニットの計時エンコーダを示す斜視図
図5】鑑別装置に駆動ユニットを装着する状態を示す断面図
図6】駆動ユニットの電気的構成を示すブロック図
図7】駆動ユニットの故障率曲線特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の紙葉類取扱装置、ゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法の実施の形態を図1図7について説明する。本明細書に使用する用語「紙葉類」と「紙葉」は、紙幣、紙製又は樹脂製の通貨、クーポン券、代用紙幣、証券、スクリップの全有価紙葉を含むと広義に理解すべきである。
【0009】
本発明の基本的構成
本発明の実施の形態による紙葉類取扱装置(1)は、特許文献1に示される従来の紙葉類取扱装置の駆動ユニット(13)の機械的構成と電気的構成を改良したもので、本発明の紙葉類取扱装置に使用する駆動ユニット(13)の機械的構成と電気的構成は、特許文献1とは異なるが、駆動ユニット(13)を除く鑑別装置(2)、鑑別搬送通路(10)及び収納装置(3)は、特許文献1と同一の構成と機能とを備える。本発明の駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能の経年変化又は劣化に関する物理値を検出する駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を選別して記憶する物性記憶装置(25)とを備え、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能に関する経年変化又は劣化の状態を客観的に把握できる優れた作用効果が得られる。本明細書に記載する本発明の実施の形態は、駆動ユニット(13)を除く、特許文献1に示される従来の鑑別装置及び収納装置の構成を使用でき、特許文献1の内容をそのまま本明細書に適用できる。
【0010】
図1に示す紙葉類取扱装置(1)は、紙幣及びクーポン券等紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)と、鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)と、鑑別搬送通路(10)に沿って鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する駆動ユニット(13)とを備える。駆動ユニット(13)は、鑑別装置(2)に挿入される紙葉を鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する鑑別搬送装置(5)と、鑑別搬送装置(5)により鑑別搬送通路(10)に沿って搬送される紙葉を収納装置(3)に収容する押込装置(7)とを備える。駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)の底面を覆う図2に示す底蓋(13a)を有する。
【0011】
図1に示す鑑別装置(2)は、駆動ユニット(13)により鑑別搬送通路(10)を搬送される紙葉の光学的特性を表す検出信号を発生する鑑別センサ(11)と、鑑別センサ(11)からの検出信号を受信して、紙葉の真贋を判断する判定装置(12)(図6)とを備える。紙葉の光学画像を形成する検出信号を発生する鑑別センサ(11)は、例えば、鑑別搬送通路(10)に沿って移動する紙葉の光学画像データを取得する密着画像センサ(CIS)により構成される。鑑別センサ(11)が取得する光学画像データを正規の紙葉光学画像データと比べて判定装置(12)が真正と判断する紙葉は、鑑別搬送装置(5)の駆動ベルト(36)により、鑑別搬送通路(10)を通り収納装置(3)に搬送され、収納搬送装置(6)により、収納室(79)の待機室(61a)に搬送されて、更に押込装置(62)により、待機室(61a)から収納室(79)に収納される。収納室(79)に収容される紙葉の満杯時に、施設管理者は、満杯の収納装置(3)を紙葉類取扱装置(1)から分離して、収納室(79)内の紙葉を回収する。
【0012】
図3に機械的構成を示す駆動ユニット(13)は、鑑別装置(2)に挿入される紙葉を鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する鑑別搬送装置(5)を構成する搬送モータ(701)と、収納装置(3)に搬送される紙葉を収納装置(3)の収納室(79)に押込む押込装置(7)を構成する押込モータ(702)とを備える。動力伝達装置(8)を介して搬送モータ(701)と押込モータ(702)が夫々紙葉を搬送しかつ収納装置(3)に押込む鑑別搬送装置(5)と押込装置(7)の具体的構成と作用については、特許文献1を参照されたい。本発明の実施の形態では、複数の搬送センサ(241~246)により搬送モータ(701)及び動力伝達装置(8)を含む鑑別搬送装置(5)内の品質、性能又は機能に関する種々の物理値を検出して、検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを発生する点で、特許文献1の構造とは根本的に相違する。
【0013】
鑑別搬送装置(5)は、正転及び逆転が可能な可逆駆動型の搬送モータ(701)と、搬送モータ(701)の駆動軸に固定されるピニオン(23)と、ピニオン(23)に駆動連結される動力伝達装置(8)と、搬送モータ(701)のピニオン(23)と動力伝達装置(8)を介して作動される駆動ベルト(36)とを備える。特許文献1の識別搬送装置の構造とは異なり、駆動ベルト(36)は、鑑別搬送通路(10)の前方中央の入口ローラ(46)を回転して紙葉を搬送する前部駆動ベルト(361)と、鑑別搬送通路(10)の後部の紙葉を搬送する一対の後部駆動ベルト(362)とを備える。前部駆動ベルト(361)と後部駆動ベルト(362)は、動力伝達装置(8)を介して搬送モータ(701)により駆動される。前部駆動ベルト(361)により回転される歯車に噛み合う歯車を介して、入口ローラ(46)を回転してもよい。
【0014】
特許文献1の構造と同様に、紙葉類取扱装置(1)は、鑑別搬送通路(10)に沿って搬送される紙葉を収納する収納装置(3)を備え、駆動ユニット(13)は、収納装置(3)の収納室(79)に紙葉を収納する収納搬送装置(6)を有する。本発明の実施の形態では、複数の収納センサ(251~256)により押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を含む押込装置(7)内の品質、性能又は機能に関する種々の物理値を検出して、検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを発生する点で、特許文献1の構造とは根本的に相違する。
【0015】
図6は、本発明に使用する駆動ユニット(13)の電気的構成を示す。特許文献1に示される従来の駆動ユニットは、本発明に使用する駆動ユニット(13)の電気的構成を当然に備えていない。鑑別搬送装置(5)は、入口ローラ(46)を回転する前部駆動ベルト(361)により回転されて搬送モータ(701)の回転時間を計測して搬送計測信号を発生する計時エンコーダ(45)を備える。搬送モータ(701)の回転時間を計測する計時エンコーダ(45)は、搬送モータ(701)の回転速度及び回転数を計測することができる。前部駆動ベルト(361)により回転され又は前部駆動ベルト(361)に連動して回転する非図示の歯車を介して回転される入口ローラ(46)は、鑑別搬送通路(10)の入口(14)に挿入される紙葉を鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する。
【0016】
このように、計時エンコーダ(45)と入口ローラ(46)は、前部駆動ベルト(361)により駆動される。計時エンコーダ(45)にも接続される物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が時間を計測する駆動ユニット(13)の作動量時間と共に、複数の搬送センサ(241~246)からの駆動ログを記憶する。複数の搬送センサ(241~246)は、搬送モータ(701)と動力伝達装置(8)を含む鑑別搬送装置(5)内の品質、性能又は機能に関する種々の物理値を検出し、搬送センサ(241~246)が検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを発生して、物性記憶装置(25)に記憶する点で、特許文献1の構造とは根本的に相違する。
【0017】
駆動ユニットの電気的構成
図6に示すように、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各物理量を計測する種々の駆動センサ(24)、鑑別センサ(11)及び計時エンコーダ(45)は、何れも物性記憶装置(25)に接続されて、各駆動センサ(24)が検出する物理量は、物性記憶装置(25)で選別され、計時エンコーダ(45)が計る経時信号と共に、各物理量は、必要な記憶領域に記憶される。また、鑑別センサ(11)が取得する紙葉の光学画像信号は、判定装置(12)に送出されて、判定装置(12)にて紙葉の真贋が判断される。光学画像信号から判定装置(12)が真正と判断する紙葉は、鑑別搬送装置(5)及び収納搬送装置(6)により、収納室(79)に送られる。
【0018】
紙葉の光学画像信号が不十分なとき、判定装置(12)は、鑑別搬送装置(5)を反転して、鑑別搬送通路(10)に沿って紙葉を入口側に戻すと共に、再度鑑別搬送装置(5)を正転して、鑑別センサ(11)に沿って紙葉を搬送するため、物性記憶装置(25)は、再度紙葉鑑別が行われる再鑑別回数を計数する。紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)は、USBインターフェイス等の接続装置(25a)を介して、中央管理装置(300)の端末検索装置(401)に接続され、物性記憶装置(25)に記憶される物理量は、端末検索装置(401)に読み出される。中央管理装置(300)は、サーバ等のコンピュータ及び関連する周辺装置を備える。図6は、駆動ユニット(13)の搬送モータ(701)と押込モータ(702)の物理値を検出する駆動センサ(24)を例示するに過ぎない。
【0019】
各駆動センサ(24)は、常時、定期的に又は必要な時に駆動ユニット(13)の構成要素の物理値をアナログ量又はデジタル量で検出して、物性記憶装置(25)に検索した物理値を送信し、物性記憶装置(25)は、受信する物理値を所定の記憶領域に記憶する。各駆動センサ(24)は、駆動ユニット(13)内の物理値を検出するとき、アナログ量をデジタル量に変換して、検出する駆動ユニット(13)内のデジタル量の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信し、物性記憶装置(25)は、受信する駆動ログを所定の記憶領域に記憶する。また、物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が計測する搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の作動時間と共に、駆動ログとして搬送ログ及び収納ログを記憶する。数値化、評点化又は等級化する駆動ユニット(13)で検出される物理値は、駆動センサ(24)が検出する未加工の原数値、基準値に対する比率又は予め決められた複数の段階若しくはレベルに区分されて、物性記憶装置(25)に記憶される。
【0020】
各駆動センサ(24)が、アナログ量の物理値をデジタル量又はデジタル値に変換して、検出する駆動ユニット(13)内のデジタル量の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する代わりに、各駆動センサ(24)は、検出するアナログ量の物理値をそのまま物性記憶装置(25)に送信して、物性記憶装置(25)は、受信するアナログ量の物理値をデジタル量に変換して、デジタル量の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログに変換して、記憶することもできる。
【0021】
物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が計測する搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の作動時間と共に、駆動ログとして搬送ログ又は収納ログを記憶する。物性記憶装置(25)は、駆動センサ(24)が検出する駆動ログを記憶すると同時に、各駆動ユニット(13)又は各紙葉類取扱装置(1)を特定する連続番号等の固有識別情報を記憶する。中央管理装置(300)の入力装置(405)から要求信号を受信する時点で、その一定時間経過時に又は自動的に、物性記憶装置(25)は、記憶する駆動ログと固有識別情報を、接続装置(25a)を介して端末検索装置(400)に送信して、端末検索装置(400)に駆動ログと固有識別情報を記憶させる。
【0022】
接続装置(25a)から送信される駆動ログと固有識別情報を受信する中央管理装置(300)は、駆動ユニット(13)から検出する物理値を点数(スコア)化する。中央管理装置(300)は、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の前回駆動ユニット(13)の交換日又は保守点検日からの経過時間、作動回数、総作動回数、作動時の最高温度、作動停止回数、紙葉の搬送精度(搬送斑)等の各物理値を点数化し、中央記憶装置(403)に送信して、そこに記憶させる。中央管理装置(300)の特性比較装置(402)は、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の各物理値の総点数が予め決められた範囲外に該当すると、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の少なくとも一方に将来故障発生の可能性を認定して、中央管理装置(300)は、警告信号を発生し又は駆動ユニット(13)の交換若しくは保守点検の必要性を管理者に通知する。
【0023】
例えば、新規な駆動ユニット(13)の総物理値を100点とし、故障発生時に検出される駆動ユニット(13)の総物理値を70点と仮定して、中央管理装置(300)は、使用後の駆動ユニット(13)の総物理値が、80点に低下した時点で、駆動ユニット(13)の交換又は保守点検の必要性を管理者に通知する。通知に対応して、作業員が駆動ユニット(13)を交換すれば、駆動ユニット(13)の実際の故障発生を防止できる。例えば、作動する搬送モータ(701)若しくは押込モータ(702)の最高温度が90℃を超え又は平均温度が80℃を超えるとき、駆動ユニット(13)の総物理値を減点する。また、経過時間、作動回数、総作動回数及び作動停止回数の増加に応じて、駆動ユニット(13)の総物理値を減点する。更に、紙葉類取扱装置(1)の出荷時又は駆動ユニット(13)の前回交換時から、搬送モータ(701)若しくは押込モータ(702)の総回転数が50万回を超えるとき、駆動ユニット(13)の総物理値を減点する。
【0024】
統計を換算するアルゴリズムにより駆動ユニット(13)の交換時期又は交換優先順位を算出する特性比較装置(402)を別法で採用できる。中央管理装置(300)は、接続装置(25a)が送信する駆動ログと固有識別情報を受信すると、特性比較装置(402)は、中央管理装置(300)が受信する駆動ログと、中央記憶装置(403)が記憶する駆動ユニット(13)の故障率曲線特性とを比較する。特性比較装置(402)は、駆動ユニット(13)の故障率曲線特性上の現在どの位置に受信した駆動ログの劣化度が該当するかを判断し、故障率曲線特性上の劣化度該当位置から、総作動時間の磨耗故障期前の摩耗量(劣化度)80%に達する駆動ユニット(13)の直近の交換時期又は交換時期までの残留時間若しくは残留日数を演算して、算定する直近の交換時期を表示装置(404)に表示する。
【0025】
他面、中央管理装置(300)は、接続装置(25a)が送信する駆動ログと固有識別情報を受信すると、特性比較装置(402)は、中央管理装置(300)が受信する現在の劣化度を示す駆動ログを、中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率近似関数に代入して、特性比較装置(402)は、故障率近似関数上の劣化度該当位置から、総作動時間の磨耗故障期前の摩耗量(劣化度)80%に達する駆動ユニット(13)の直近の交換時期又は交換時期までの残留時間若しくは残留日数を演算して、算定する直近の交換時期を表示装置(404)に表示する。
【0026】
駆動センサ(24)からの物理値の変化量は、故障率曲線特性上の横軸で表示される駆動ユニット(13)の経時変化、即ち劣化度を表す。物性記憶装置(25)は、経時(クロック)信号を発生する振動子又は発振回路を内蔵し、発振回路が発生する計時信号に基づいて駆動センサ(24)からの物理値の継続時間、速度及び加速度を演算する機能がある。物性記憶装置(25)を取り付ける駆動ユニット(13)又は紙葉類取扱装置(1)を特定する固有識別情報及び修理又は検査を行う駆動ユニット(13)の過去の保守点検履歴も物性記憶装置(25)に記憶される。
【0027】
特許文献1の構造とは異なり、本発明の実施の形態による鑑別搬送装置(5)の図6に示す駆動センサ(24)は、搬送モータ(701)の各作動時間を計数して、計数した時間信号を物性記憶装置(25)に送信する搬送カウンタ(241)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)に流れる過電流の電流値及び過電流回数を計数し、計数した高電流値、高電流時間及び高電流回数の各信号を物性記憶装置(25)に送信する過電流検出用抵抗又は搬送電流計(242)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)の環境温度とその高温継続時間を測定して、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数の各デジタル信号を物性記憶装置(25)に送信する搬送温度センサ(243)とを備える。
【0028】
駆動センサ(24)は、更に搬送モータ(701)の作動に要する各全作動時間及び作動回数を搬送モータ(701)の作動毎に計数して、計数した各デジタル信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する搬送タイマ(244)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)の低加速度及び低加速度回数を計数して、計数した各デジタル信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する水晶加速度センサ等の収納加速度センサ(245)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)の回転速度を計数して、計数した速度デジタル信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する収納速度センサ(246)とを備える。
【0029】
搬送モータ(701)と同様に、押込モータ(702)に設けられる図6の駆動センサ(24)は、搬送モータ(701)の作動毎に押込モータ(702)の各作動時間を計数して、計数したデジタル時間信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する収納カウンタ(251)と、搬送モータ(701)の作動毎に押込モータ(702)に流れる過電流の電流値及び過電流回数を計数して、計数した高電流値、高電流時間及び高電流回数の各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する過電流検出用抵抗及び収納電流計(252)と、搬送モータ(701)の作動毎に押込モータ(702)の環境温度を測定する温度と高温継続時間を測定して、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数の各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する収納温度センサ(253)とを備える。
【0030】
また、駆動センサ(24)は、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)の作動に要する各全作動時間及びその回数を計数して、計数した各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する収納タイマ(254)と、押込モータ(702)の作動毎にモータの低加速度及びその回数を計数して、計数した各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する水晶加速度センサ等の収納加速度センサ(255)と、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)の回転速度を計数して、計数したデジタル速度信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する収納速度センサ(256)とを備える。
【0031】
例えば、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各モータ巻線温度変化による電気抵抗変化又は電流値変化をデジタル信号で表示する周知の温度測定器を搬送収納温度センサ(241,245)に使用できる。要するに、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の作動量時間は、計時エンコーダ(45)が経時するクロック(経時)信号を計数して計測される。物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が計測する駆動ユニット(13)の作動量時間と共に、駆動センサ(24)からの駆動ログを記憶する。
【0032】
従って、搬送収納温度センサ(243,253)は、鑑別搬送装置(5)及び押込装置(7)の作動毎に、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各温度を検出して、検出する温度をデジタル信号に変換された搬送検出信号を発生して、物性記憶装置(25)に送出して記憶させる。デジタル信号に変換される温度値は、数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして表示されて、物性記憶装置(25)に記憶される。搬送収納速度センサ(243,253)は、鑑別搬送装置(5)及び押込装置(7)の作動毎に搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各回転速度を検出して、検出する回転速度をデジタル信号に変換された速度検出信号を発生して、物性記憶装置(25)に送出して記憶させる。デジタル信号に変換された速度検出信号は、数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして表示されて、物性記憶装置(25)に記憶される。搬送収納速度センサ(242,246)からの物理値、即ちデジタル信号に変換された速度検出信号の減少量は、駆動ユニット(13)の劣化度を表すことに注意すべきである。
【0033】
駆動ユニット(13)の主故障原因は、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を構成する稼働部の下記経時変化、即ち劣化にあると考えられるため、駆動ユニット(13)の故障前交換法を劣化原因毎に以下検討する。
1.総作動時間の経過時の摩滅、
2.反復作動累積時の疲労故障、
3.反復過負荷時の過電流損傷、
4.高温環境下での熱損傷、
5.異常な動作速度低下、
6.異常な動作加速度低下、
7.機械摺動部の引掛かり(コギング)
【0034】
摩滅
搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の摺動部摩耗故障は、各搬送収納モータ(701,702)の総作動時間の経過に伴う摩滅により発生し、摩耗故障に至るまで、各搬送収納モータ(701,702)の摩滅量は、各搬送収納モータ(701,702)の総作動時間に比例すると考えられる。そこで、搬送収納カウンタ(241,245)により、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の各作動時間を計数して、計数した時間信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、各搬送収納モータ(701,702)の総作動時間を演算して記憶する。
【0035】
図7は、駆動ユニット(13)の故障率を表す縦軸と、機械の総作動時間又総作動回数を表す横軸とのバスタブ(浴槽型)曲線特性又は故障率曲線特性を示す。図示の故障率曲線特性は、時系列で初期故障期、偶発故障期及び磨耗故障期の3期間で構成される。本明細書では、駆動ユニット(13)の品質を保証する初期故障期と、安定な連続的動作が見込まれる安定な偶発故障期とを考慮せずに、磨耗故障期に向かって急激に故障率が増加する偶発故障期の後半の故障率上昇点(T)に着目する。
【0036】
例えば、摺動部を備える搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の総作動時間の90%で500時間に相当する故障率上昇点(T)に達して、偶発故障期から磨耗故障期に移行するものと実験値又は補修活動から経験的に判断すると、各搬送収納モータ(701,702)の総作動時間の磨耗故障期前の摩耗量(劣化度)80%に達する400時間に、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に告知することができる。何れにしても、故障率曲線特性又は故障率近似関数で表される故障率上昇点(T)を基準として、その70%~90%手前の時期を駆動ユニット(13)の交換時期に設定して、駆動ユニット(13)の交換時期に達するとき、物性記憶装置(25)に接続される警告装置から音響警報若しくは視覚警報を、物性記憶装置(25)からの警告信号として発生できる。駆動ユニット(13)を除く紙葉類鑑別装置(1)の構成部に、摩耗、疲労及び熱損傷が発生せず、殆ど故障が発生しないと仮定すると、駆動ユニット(13)の交換後、紙葉類鑑別装置(1)の故障率曲線特性は、原点の設置時に戻る。
【0037】
疲労蓄積
低負荷状態でも反復作動による材質許容応力低下による疲労が搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に蓄積して、疲労故障が発生することがある。各搬送収納モータ(701,702)の疲労故障は、累積作動回数により発生し、図7に示す故障率曲線特性と同様に、疲労故障に至るまで、各搬送収納モータ(701,702)の疲労蓄積量は、各搬送収納モータ(701,702)の累積反復作動回数に比例すると考えられる。そこで、搬送収納カウンタ(241,245)又は別のカウンタにより、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の各作動回数を計数して、計数した作動回数信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、各搬送収納モータ(701,702)の累積作動回数時間を演算して記憶する。各搬送収納モータ(701,702)の累積作動回数が、例えば、50万回に達すると、疲労損傷が発生すると経験的に仮定して、摩耗量80%に達する40万回に各搬送収納モータ(701,702)の累積作動回数が達すると、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に催促できる。
【0038】
過電流損傷
何らかの原因により部品が変形して、駆動ユニット(13)の円滑な作動が阻害され、部品変形に対し作動中に大きな負荷が発生して、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に過電流が流れることがある。頻繁に過電流が流れると、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)は、過電流による過熱又は破壊電流の放電により電子部品が、熱破壊又はブレイクダウンして、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)が故障することがある。従って、高電流値、高電流時間及び高電流回数を計数する過電流検出用抵抗及び搬送収納電流計(242,246)により、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に流れる過電流の電流値、高電流持続時間及び過電流負荷回数を検出し、計数して、検出し計数した高電流値、高電流持続時間及び高電流回数の各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の高電流値、高電流時間及び高電流回数を演算して記憶する。搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に流れる電流値が、例えば10アンペア以上、3秒を超える通電時間及び通電回数が5回を超えるとき、高電流による熱破壊又はブレイクダウンが構成部品に発生するおそれがあると判断するとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に促すことができる。
【0039】
高温環境下での熱損傷
搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に実装される樹脂封止型電子部品は、通常、120℃以上の高温に暴露されると、電子部品として内蔵される半導体チップが熱破壊又はブレイクダウンして、所期の機能を果さないおそれがある。このため、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)を設置する環境温度を測定する温度と高温継続時間を測定する搬送収納温度センサ(243,247)により、搬送押込モータ(701,702)の作動毎に環境温度、高温継続時間及び高温回数を計数して、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数の各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数を演算して記憶する。例えば、120℃以上の高温が30秒以上で3回を超えるとき、高温環境による熱破壊又はブレイクダウンが電子部品に発生するおそれがあると判断し、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に督促することができる。
【0040】
動作速度低下
特定の原因又は複合的な劣化により、駆動ユニット(13)の動作速度が低下することがある。例えば、鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する紙葉に付着する粘着物質が鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の一部に付着し又は異物が混入すると、駆動ユニット(13)の動作性能は、大幅に低下する。そこで、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の作動に要する各全作動時間及びその回数を計数する搬送収納タイマ(244,248)により、モータ(701,702)の低作動速度及びその回数を計数して、計数した各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、計数した搬送押込モータ(701,702)の低作動速度及び低作動速度回数を演算して記憶する。所定の低作動速度回数を計数したとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に促せる。
【0041】
例えば、紙葉類取扱装置(1)の利用者が、鑑別搬送通路(10)の入口(14)に飲料等の粘性液体を零したとき、鑑別搬送装置(5)、収納搬送装置(6)、押込装置(7)又は動力伝達装置(8)に粘性液体が付着して、搬送押込モータ(701,702)の搬送速度が遅延し又は変動する。中央管理装置(300)が搬送押込モータ(701,702)の搬送速度変動を常時監視し、搬送押込モータ(701,702)が予め決められた速度で作動しないとき、鑑別搬送装置(5)に対する粘性液体の付着と判断して、警告信号を発生し又は駆動ユニット(13)の交換を管理者に通知する。また、鑑別搬送通路(10)の入口(14)から埃又は砂等の異物が鑑別搬送通路(10)内に侵入するとき、動力伝達装置(8)への異物の付着又は蓄積により、搬送押込モータ(701,702)の搬送速度が変動する。複数の搬送センサ(241~246)により異物による搬送遅延を数値化し、搬送負荷の増加を監視して、警告信号を発生し又は駆動ユニット(13)の交換を管理者に通知する。
【0042】
動作加速度低下
部品の変形、その他の原因で駆動ユニット(13)の加速度が低下し、紙葉の搬送又は収納に要する回転力が減少することがある。そこで、水晶加速度センサ等の搬送収納加速度センサ(245,255)により、搬送押込モータ(701,702)の低加速度及びその回数を計数して、計数した各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、計数したモータの低加速度及びその回数を演算して記憶する。所定回数の低作動速度を計数したとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換の必要性を管理者に促すことができる。
【0043】
搬送収納加速度センサ(245,255)は、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の各加速度を検出して、検出する加速度をデジタル信号に変換された加速度検出信号を鑑別搬送装置(5)及び押込装置(7)の作動毎に発生して、駆動ログとして物性記憶装置(25)に送出して記憶させる。デジタル信号に変換された加速度信号は、数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして表示されて、物性記憶装置(25)に記憶される。搬送収納加速度センサ(243,247)からの物理値、即ちデジタル信号に変換された速度検出信号の減少量は、駆動ユニット(13)の劣化度を表す。
【0044】
駆動ユニットのコキング
劣化した鑑別搬送装置(5)の一部に引掛かり(コギング)が発生すると、紙葉の搬送速度に斑(むら)が生じて、光電式鑑別センサ(11)から紙葉の光学画像に欠落、歪み、縮み又は伸び又は滑りが発生して、適正な紙葉の画像情報が得られず、紙葉の光学画像から、判定装置(12)が紙葉の真贋を正しく判定できないことがある。例えば、紙葉に印刷されるバーコード等の識別表示を判定装置(12)が正しく読み取れないと、判定装置(12)は、エラー信号を発生して、駆動ユニット(13)を逆転及び正転して、紙葉の真贋判断を再度行う。物性記憶装置(25)は、判定装置(12)が紙葉の真贋判断を行った回数を駆動ログとして記憶する。
【0045】
駆動ユニットの空転、滑り
特性比較装置(402)は、物性記憶装置(25)から端末検索装置(401)に送られる紙葉の長さ情報と中央記憶装置(403)に記憶される正規の長さとを比較する。鑑別センサ(11)が読み取る画像長信号が所定範囲から逸脱すると、特性比較装置(402)は、駆動ユニット(13)のベルト駆動時の空転(スリップ)が発生したと判断する。物性記憶装置(25)は、ベルト駆動時の空転発生回数を計数して、入力装置(405)、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を通じて物性記憶装置(25)から、ベルト駆動時の空転発生回数を端末検索装置(401)に読出し、中央記憶装置(403)に記憶される一定数を超える空転発生回数が発生すると、特性比較装置(402)は、鑑別搬送装置(5)を故障と判断する。例えば、収納搬送装置(6)の作動遅延時間又は作動電流量レベルを表す収納電流計(252)、収納加速度センサ(255)又は収納速度センサ(256)からの収納ログを物性記憶装置(25)に記憶し、収納装置(3)の収納室(79)が紙葉で満杯になる前に、駆動ユニット(13)の交換を管理者に通知することができる。
【0046】
例えば、収納搬送装置(6)又は押込装置(62)への駆動信号の累積パルス幅を測定し、一定の累積パルス幅を検出するとき、収納室(79)内の紙葉満杯を検知してもよい。紙葉が頻繁に満杯となる収納室(79)を有する紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)の固有識別情報を物性記憶装置(25)に記憶して、推測する劣化を検知した収納装置(3)を交換してもよい。
【0047】
前記のように、搬送モータ(701)、押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を含む駆動ユニット(13)の総作動時間又は累積反復作動回数の増加、環境温度変化、異常回転出力、摩耗量の増大、反復動作による機能低下又は強度低下、低荷重反復による疲労増大、ベルト駆動時の空転(スリップ)発生等種々の要因により、駆動ユニット(13)の各部品は、宿命的に品質、性能及び機能が、低下し、段階的に又は徐々に劣化する。
【0048】
しかしながら、駆動ユニット(13)の機械構成及び電気的構成とそれらの作用が具体的に決定すれば、故障原因である摩耗、疲労、過電流損傷、熱損傷、動作速度低下及び動作加速度低下に関する駆動ユニット(13)の故障率曲線特性を実測し、想定し又は故障率近似関数で表示して、中央記憶装置(403)に故障率曲線特性データ又は故障率近似関数を記憶することができる。得られる故障率曲線特性又は故障率近似関数は、バスタブ曲線又は異なる他の故障率特性曲線、二次曲線又は直線で構成される場合もあろう。駆動ユニット(13)の作動経験値:総作動時間、総作動回数、環境温度、高温継続時間、高温回数、低作動速度、低作動速度回数、低加速度、低加速度回数及び駆動ユニット(13)、即ちゲーム機(200)の固有識別情報は、物性記憶装置(25)に記憶されている。入力装置(405)、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を通じて物性記憶装置(25)から、駆動ユニット(13)の作動経験値を端末検索装置(401)に読み出すことができる。
【0049】
入力装置(405)、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を通じて物性記憶装置(25)から現状の総作動時間、総作動回数等の劣化データを検索して、中央記憶装置(403)に記憶される故障率曲線データ又は故障率近似関数に劣化データを入力(プロット)し又は代入すると、故障率曲線特性又は故障率近似関数上の駆動ユニット(13)の劣化状態が判明しかつ故障率曲線特性又は故障率近似関数上の故障率上昇点(T)及び駆動ユニット(13)の適切な交換位置を故障前に認識することができる。
【0050】
遊技場又はカジノに設けられる複数のゲーム機(200)の各紙葉類取扱装置(1)に設けられる鑑別装置(2)の装着室(21)内には、駆動ユニット(13)が内蔵される。各駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)は、接続装置(25a)を介して、中央管理装置(300)の端末検索装置(401)に接続される。中央管理装置(300)の端末検索装置(401)に接続されるキーボード、画像入力装置等の入力装置(405)から端末検索装置(401)に検索指令信号を入力して、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を介して、物理値の駆動ログと固有識別情報を記憶する駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)内の情報を検索して、必要な情報を取り出すことができる。
【0051】
図1図3に示すように、紙葉類取扱装置(1)は、鑑別装置(2)のハウジング(20)に形成されて駆動ユニット(13)を配置する装着室(21)と、装着室(21)の内壁に形成される一対の枢軸支持部(161)とを備える。図2に示す駆動ユニット(13)は、図5に示すように、鑑別装置(2)の装着室(21)内に着脱自在に装着される。即ち、鑑別装置(2)のハウジング(20)の枢軸支持部(161)に、駆動ユニット(13)のフレーム(13b)のヒンジ筒(160)を、着脱自在かつ回転可能に装着し、鑑別装置(2)の枢軸支持部周りにフレーム(13b)を回転して、鑑別装置(2)の装着室(21)内に駆動ユニット(13)を収容できる。
【0052】
駆動ユニット(13)の底蓋(13a)の開閉に連動する電源からの電力供給中の紙葉類取扱装置(1)から駆動ユニット(13)の除去を阻止してもよい。駆動ユニット(13)の底蓋(13a)の開閉により、紙葉類取扱装置(1)への電力供給を一旦停止した後、再度開始すると、端末検索装置(401)は、紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)と接続装置(25a)との接続を短時間に検知する。
【0053】
図5に示すように、鑑別装置(2)の装着室(21)に収容される駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)に設けられる接続装置(25a)に、端末検索装置(401)を接続すると、紙葉類取扱装置(1)外部の入力装置(405)から端末検索装置(401)に付与される指令信号に従って、物性記憶装置(25)に記憶される駆動ログ若しくは警告信号を端末検索装置(401)でアクセスして検索しかつ取り出して、表示装置(404)に駆動ログ若しくは警告信号を表示し又は警報を発生できる。
【0054】
中央管理装置(300)には、駆動ユニット(13)の故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置(403)と、中央記憶装置(403)及び端末検索装置(401)に接続される特性比較装置(402)とを備え、特性比較装置(402)は、端末検索装置(401)が受信する駆動ユニット(13)の物理値と中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率曲線特性とを比較し又は故障率近似関数に駆動ユニット(13)の物理値を代入して、駆動ユニット(13)の直近の交換時期を演算して、表示装置(404)に出力して表示することができる。
【0055】
端末検索装置(401)に読出される駆動ユニット(13)の累積作動物理値から現在の劣化度が判明し、中央記憶装置(403)に記憶される故障率曲線特性と累積作動物理値との比較により又は駆動ユニット(13)の累積作動物理値を故障率近似関数に物理値を代入して、故障率曲線特性の故障率上昇点(T)及び磨耗故障期前の劣化度80%に至る時期を予測できる。
【0056】
鑑別装置(2)の鑑別センサ(11)は、紙葉類取扱装置(1)に挿入される紙幣又はクーポン券の紙葉画像情報を読み取り、判定装置(12)は、紙葉の真偽を判定する。判定装置(12)は、物性記憶装置(25)にも接続される。鑑別装置(2)に所定寸法のクーポン券を挿入して、鑑別センサ(11)が読み取る画像長信号は、判定装置(12)から物性記憶装置(25)に送出される。中央記憶装置(403)には、紙幣又はクーポン券の正規の寸法情報も記憶される。カジノ施設内で発行されかつ短時間に回収されるクーポン券の寸法及び形態には、正規の寸法及び形態を維持しかつ皺等の劣化が少なく、駆動ユニット(13)の搬送精度を測定する良好な基準値を判定装置(12)及び物性記憶装置(25)に付与する。
【0057】
使用期間と使用区域が限定される特定クーポン券は、一般に流通する紙幣に比べて劣化が少なく、鑑別センサ(11)の光学読取寸法が変動しないため、駆動ユニット(13)に搬送異常が発生すると、鑑別センサ(11)から、所定範囲から逸脱する紙葉画像情報が判定装置(12)及び物性記憶装置(25)に創出される。所定範囲外の紙葉画像情報が発生すると、判定装置(12)が鑑別搬送装置(5)を反転・正転して再度紙葉鑑別を行う。物性記憶装置(25)は、再鑑別回数を計数して、5回等一定の再鑑別回数を超えると、鑑別搬送装置(5)の搬送機能が劣化したと判断して、警告信号を発生する。
【0058】
また、鑑別センサ(11)が所定長さより長い紙幣を検出すると、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の摩耗、空転又は滑りの発生と判断して、管理者に通知してもよい。例えば、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)のゴムローラが摩耗すると、ゴムローラの回転数が増加して、平均長より長い紙幣として検出される。鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)のゴムローラに空転又は滑りが発生すると、平均長の変動が大きい紙幣として検出される。鑑別装置(2)の鑑別センサ(11)がクーポン券のバーコードを読み取り、クーポン券の長さ、角度又はエンコーダパルス間隔を確認して、駆動ユニット(13)の劣化度を判断してもよい。
【0059】
中央管理装置(300)は、駆動ユニット(13)の劣化及び交換の必要性を管理者に自動的に通知し、例えば、修理箇所を特定し、過去の保守点検履歴に基づく修理方法を管理者に提示してもよい。中央管理装置(300)は、S/N(信号雑音)比データより保証期間判定、交換履歴の表示、モータの動作回数からモータ交換の提示、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の数値から劣化を判定して、歯車の摩耗を判断、平均外気温度による劣化の進行度判定、返却エラーコードの内容と回数を確認してもよい。中央管理装置(300)は、エラーの内容と対策又は交換部品を登録して、修理の傾向を判断して、保守を早期に完了できる。
【0060】
本発明の紙葉類取扱装置を製造するとき、駆動ユニット(13)内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを駆動ユニット(13)に設ける。次に、駆動センサ(24)と物性記憶装置(25)とを有する駆動ユニット(13)を、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)の装着室(21)内に着脱自在に装着し、これにより、駆動鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する鑑別搬送通路(10)を駆動ユニット(13)に沿って形成する。
【0061】
従って、本発明の紙葉類取扱装置の劣化度表示法は、駆動ユニット(13)内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを駆動ユニット(13)に設ける過程と、駆動センサ(24)と物性記憶装置(25)とを有する駆動ユニット(13)を、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)内に着脱自在に装着する過程と、駆動鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)に沿って複数の紙葉を駆動ユニット(13)により搬送する過程と、物性記憶装置(25)に記憶される物理値を端末検索装置(401)により検索して、物理値を取り出す過程と、取り出した物理値を表示装置(404)に表示する過程とを含む。
【0062】
本発明の紙葉類取扱装置の劣化度表示法は、更に端末検索装置(401)により検索した物理値を特性比較装置(402)に入力する過程と、中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率曲線特性と特性比較装置(402)が受信した物理値とを比較し又は中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率近似関数に特性比較装置(402)が受信した物理値を代入する過程と、特性比較装置(402)により、駆動ユニット(13)の物理値に直近の交換時期を演算して、表示装置(404)に直近の交換時期を表示する過程とを含んでもよい。
【0063】
本発明の実施の形態では、駆動ユニット(13)の総作動時間の経過による摩滅、累積反復作動回数による疲労蓄積、反復過負荷による過電流損傷、高温環境下での熱損傷、異常な動作速度低下、異常な動作加速度低下、及び引掛かり(コギング)、空転及び滑りによる故障の検出法について説明したが、駆動ユニット(13)の他の機械的若しくは電気的故障、不具合又は動作不良を駆動センサ(24)により検出して、物性記憶装置(25)に記憶させて、故障時間又は故障回数が一定レベルを超えるとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を動機づけることができる。
【0064】
本発明の実施の形態は、変更が可能である。例えば、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)のモータ制御値の変動率が10%を超えるとき、歯車、ベルト又はローラの汚れ若しくは摩耗の発生と判断して、管理者に通知してもよい。また、一定トルクでモータを駆動するときの平均速度をエンコーダにより測定して、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の搬送負荷を数値化してもよい。別法として、モータの目標速度に達するまでの時間を測定して、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の搬送負荷を数値化してもよい。また、紙葉類取扱装置(1)の出荷前に駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)に客先コード及び出荷日を書き込み、記憶させてもよい。紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)の保証期間を確定し、前記機器の中古品の転売を抑制できる。
【0065】
図示しないが、中央管理装置(300)は、紙葉類取扱装置(1)又は紙葉類取扱装置(1)を設置する施設の管理者の携帯端末に駆動ユニット(13)の物理値又は駆動ユニット(13)の交換を通知してもよい。紙葉類取扱装置(1)の管理者は、施設の管理者に駆動ユニット(13)の物理値を提示して、紙葉類取扱装置(1)の品質維持を証明できる。また、物性記憶装置(25)は、駆動ユニット(13)又は紙葉類取扱装置(1)の固有識別情報を記憶するので、物性記憶装置(25)に記憶される駆動ユニット(13)の物理値が異常値のとき、管理者は、駆動ユニット(13)又は紙葉類取扱装置(1)の実際の使用環境を調査できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の紙葉類取扱装置は、紙幣等の紙葉を利用する種々の技術分野、例えば、ゲーム機、現金自動預払機、券売機、精算機又は自動販売機に使用することができる。また、本発明のゲーム機管理装置は、複数のゲーム機を管理する種々の技術分野、例えば、娯楽施設、遊技施設又はカジノ施設に使用することができる。
【符号の説明】
【0067】
(1)・・紙葉類取扱装置、 (2)・・鑑別装置、 (3)・・収納装置、 (5)・・鑑別搬送装置、 (6)・・収納搬送装置、 (7)・・押込装置、 (8)・・動力伝達装置、 (10)・・鑑別搬送通路、 (11)・・鑑別センサ、 (12)・・判定装置、 (13)・・駆動ユニット、 (13a)・・底蓋、 (13b)・・フレーム、 (14)・・入口、 (21)・・装着室、 (23)・・ピニオン、 (24,241~246,251~256)・・駆動センサ、 (25)・・物性記憶装置、 (36)・・駆動ベルト、 (45)・・計時エンコーダ、 (46)・・入口ローラ、 (79)・・収納室、 (200)・・ゲーム機、 (300)・・中央管理装置、 (301)・・中央記憶装置、 (361)・・前部駆動ベルト、 (362)・・後部駆動ベルト、 (701)・・搬送モータ、 (702)・・押込モータ、 (400)・・端末検索装置、 (402)・・特性比較装置、 (401)・・端末検索装置、 (403)・・中央記憶装置、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着される駆動ユニットとを備え、
鑑別搬送通路に沿って鑑別装置内で紙葉を搬送する駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサと、駆動センサが検出する物理値を記憶する物性記憶装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
物性記憶装置は、駆動センサが検出する駆動ユニット内の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして記憶し、
駆動センサからの物理値の変化量は、駆動ユニットの劣化度を表す請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
物性記憶装置は、物性記憶装置を取り付ける駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を更に記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
物性記憶装置は、駆動ユニットの過去の保守点検履歴を更に記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
駆動センサは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
駆動ユニットは、鑑別装置に挿入される紙葉を鑑別搬送通路に沿って搬送する鑑別搬送装置を備え、
鑑別搬送装置は、鑑別搬送装置内の物理値を検出する搬送センサを有し、
駆動ログは、搬送センサが鑑別搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを含み、
計時エンコーダは、鑑別搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する鑑別搬送装置の作動量時間と共に、搬送センサからの搬送ログを記憶する請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
紙葉類取扱装置は、鑑別搬送通路に沿って搬送される紙葉を収納する収納装置を備え、
駆動ユニットは、収納装置の収納室に紙葉を収納する収納搬送装置を有し、
収納搬送装置は、収納搬送装置内の物理値を検出する収納センサを有し、
駆動ログは、収納センサが収納搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを含み、
計時エンコーダは、収納搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する収納搬送装置の作動量時間と共に、収納センサからの収納ログを記憶する請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
駆動ユニットの鑑別搬送装置は、紙葉を搬送する駆動ベルトと、駆動ベルトを駆動する搬送モータと、搬送モータの駆動力を駆動ベルトに伝達する動力伝達装置とを備え、
駆動ベルト、搬送モータ、動力伝達装置の一体化した単一の連結組立体により構成される駆動ユニットを、鑑別装置のハウジングの装着室内に収容する請求項6に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項9】
鑑別装置は、ハウジングと、ハウジング内に形成されて駆動ユニットを配置する装着室と、ハウジングに形成される一対の枢軸支持部とを備え、
駆動ユニットのフレームのヒンジ筒は、鑑別装置のハウジングの枢軸支持部に着脱自在かつ回転可能に装着され、
鑑別装置のヒンジ筒周りにフレームを回転すると、駆動ユニットは、鑑別装置の装着室に収容され、
鑑別装置の装着室に収容される駆動ユニットの物性記憶装置の接続装置に端末検索装置を接続し、端末検索装置に入力装置を接続して、入力装置からの指令信号により物性記憶装置の駆動ログを端末検索装置に取り出す請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項10】
紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着され駆動ユニットとを各々備え、各駆動ユニットは、鑑別装置内で鑑別搬送通路に沿って紙葉を搬送する複数の紙葉類取扱装置において、
各紙葉類取扱装置は、中央管理装置に個別に通信接続され、
各駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する駆動センサと、検出する物理値と共に、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を記憶する物性記憶装置とを備え、
各駆動ユニットは、接続装置を介して、物性記憶装置に記憶される駆動ユニット内の物理値と固有識別情報を中央管理装置に送信し、
中央管理装置は、接続装置を介して,物性記憶装置が送信する各駆動ユニット内の物理値と固有識別情報を受信する端末検索装置と、各駆動ユニットの故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置と、端末検索装置が受信する各駆動ユニット内の物理値と、中央記憶装置に記憶される各駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、故障率曲線特性又は故障率近似関数上の故障率上昇点を基準として、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する特性比較装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項11】
物性記憶装置は、駆動センサが検出する駆動ユニット内の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログを記憶し、
接続装置は、物性記憶装置に記憶される駆動ログと、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置の固有識別情報とを端末検索装置に送信し、
端末検索装置は、接続装置が送信する駆動ログと固有識別情報を受信し、
特性比較装置は、端末検索装置が受信する駆動ログと、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項12】
駆動ユニットは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項13】
中央管理装置は、端末検索装置が受信した駆動ログ、固有識別情報及び駆動ユニットの直近の交換時期を表す表示装置を備える請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項14】
駆動ユニットは、鑑別装置に挿入される紙葉を鑑別搬送通路に沿って搬送する鑑別搬送装置と、鑑別搬送装置内の物理値を検出する搬送センサとを備え、
駆動ログは、搬送センサが鑑別搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを含み、
計時エンコーダは、鑑別搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する鑑別搬送装置の作動量時間と共に、搬送センサからの搬送ログを記憶する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項15】
駆動ユニットは、鑑別搬送通路に沿って搬送される紙葉を収納装置の収納室に収納する収納搬送装置と、収納搬送装置内の物理値を検出する収納センサとを備え、
駆動ログは、収納センサが収納搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを含み、
計時エンコーダは、収納搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する収納搬送装置の作動量時間と共に、収納センサからの収納ログを記憶する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項16】
紙葉類取扱装置を各々搭載する複数のゲーム機と、各ゲーム機又は各紙葉類取扱装置に通信接続される中央管理装置とを備え、
各紙葉類取扱装置は、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着されて、鑑別搬送通路に沿って紙葉を搬送する駆動ユニットと、鑑別搬送通路に沿って移動する紙葉の画像情報を読み取る鑑別センサと、鑑別センサから画像情報を受信して、紙葉の真贋を判断する判別装置とを備え、
駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する駆動センサと、検出する物理値と共に、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を記憶する物性記憶装置とを備え、
中央管理装置は、駆動ユニットの物性記憶装置に記憶される物理値と固有識別情報を検索して受信する端末検索装置と、駆動ユニットの故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置と、端末検索装置が受信する駆動ユニットの物理値と、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する特性比較装置とを備えることを特徴とするゲーム機管理装置。
【請求項17】
駆動センサは、駆動ユニット内の物理値を検出し、数値化、評点化又は等級化する駆動ログを物性記憶装置に送出して、物性記憶装置に駆動ログを記憶し又は駆動センサは、駆動ユニット内の物理値を検出して物性記憶装置に送出し、物性記憶装置は、受信した物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログを作成して、駆動ログを記憶し、
端末検索装置は、物性記憶装置に記憶される駆動ログと、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置の固有識別情報を受信し、
特性比較装置は、端末検索装置が受信する駆動ログと、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性とを比較して又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する請求項16に記載のゲーム機管理装置。
【請求項18】
駆動センサは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項19】
中央管理装置は、端末検索装置が受信した駆動ログ、固有識別情報及び駆動ユニットの直近の交換時期を表す表示装置を備える請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項20】
中央管理装置は、ゲーム機に搭載した駆動ユニットの固有識別情報をゲーム機の固有識別情報と関連付けて記憶する請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項21】
鑑別装置の判定装置は、挿入される紙葉の画像情報を読み取って紙葉の真偽を判定し、
紙葉類取扱装置に挿入される所定寸法の紙葉の鑑別センサによる読取寸法が所定範囲から逸脱するとき、判定装置は、エラー信号を発生して、駆動ユニットを逆転及び正転して、再度紙葉の真贋判断を行い、物性記憶装置は、判定装置が紙葉の真贋判断を行った回数を駆動ログとして記憶する請求項17~20の何れかに記載のゲーム機管理装置。
【請求項22】
駆動ユニット内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサと、駆動センサが検出する物理値を記憶する物性記憶装置とを駆動ユニットに設ける過程と、
駆動センサと物性記憶装置とを有する駆動ユニットを、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置内に着脱自在に装着する過程と、
駆動鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路に沿って複数の紙葉を駆動ユニットにより搬送する過程と、
物性記憶装置に記憶される物理値を端末検索装置により検索して、物理値を取り出す過程と、
取り出した物理値を表示装置に表示する過程とを含むことを特徴とする紙葉類取扱装置の劣化度表示法。
【請求項23】
端末検索装置により検索した物理値を特性比較装置に入力する過程と、
特性比較装置により、受信した物理値を、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入する過程と、
駆動ユニットの直近の交換時期を演算して、表示装置に直近の交換時期を表示する過程とを含む請求項22に記載の紙葉類取扱装置の劣化度表示法。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着される駆動ユニットとを備え、
鑑別搬送通路に沿って鑑別装置内で紙葉を搬送する駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサと、駆動センサが検出する物理値を記憶する物性記憶装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項2】
物性記憶装置は、駆動センサが検出する駆動ユニット内の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして記憶し、
駆動センサからの物理値の変化量は、駆動ユニットの劣化度を表す請求項1に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項3】
物性記憶装置は、物性記憶装置を取り付ける駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を更に記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項4】
物性記憶装置は、駆動ユニットの過去の保守点検履歴を更に記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項5】
駆動センサは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項6】
駆動ユニットは、鑑別装置に挿入される紙葉を鑑別搬送通路に沿って搬送する鑑別搬送装置を備え、
鑑別搬送装置は、鑑別搬送装置内の物理値を検出する搬送センサを有し、
駆動ログは、搬送センサが鑑別搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを含み、
計時エンコーダは、鑑別搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する鑑別搬送装置の作動量時間と共に、搬送センサからの搬送ログを記憶する請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項7】
紙葉類取扱装置は、鑑別搬送通路に沿って搬送される紙葉を収納する収納装置を備え、
駆動ユニットは、収納装置の収納室に紙葉を収納する収納搬送装置を有し、
収納搬送装置は、収納搬送装置内の物理値を検出する収納センサを有し、
駆動ログは、収納センサが収納搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを含み、
計時エンコーダは、収納搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する収納搬送装置の作動量時間と共に、収納センサからの収納ログを記憶する請求項5に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項8】
駆動ユニットの鑑別搬送装置は、紙葉を搬送する駆動ベルトと、駆動ベルトを駆動する搬送モータと、搬送モータの駆動力を駆動ベルトに伝達する動力伝達装置とを備え、
駆動ベルト、搬送モータ、動力伝達装置の一体化した単一の連結組立体により構成される駆動ユニットを、鑑別装置のハウジングの装着室内に収容する請求項6に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項9】
鑑別装置は、ハウジングと、ハウジング内に形成されて駆動ユニットを配置する装着室と、ハウジングに形成される一対の枢軸支持部とを備え、
駆動ユニットのフレームのヒンジ筒は、鑑別装置のハウジングの枢軸支持部に着脱自在かつ回転可能に装着され、
鑑別装置のヒンジ筒周りにフレームを回転すると、駆動ユニットは、鑑別装置の装着室に収容され、
鑑別装置の装着室に収容される駆動ユニットの物性記憶装置の接続装置に端末検索装置を接続し、端末検索装置に入力装置を接続して、入力装置からの指令信号により物性記憶装置の駆動ログを端末検索装置に取り出す請求項1又は2に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項10】
紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着される駆動ユニットとを各々備え、各駆動ユニットは、鑑別装置内で鑑別搬送通路に沿って紙葉を搬送する複数の紙葉類取扱装置において、
各紙葉類取扱装置は、中央管理装置に個別に通信接続され、
各駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する駆動センサと、検出する物理値と共に、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を記憶する物性記憶装置とを備え、
各駆動ユニットは、接続装置を介して、物性記憶装置に記憶される駆動ユニット内の物理値と固有識別情報を中央管理装置に送信し、
中央管理装置は、接続装置を介して,物性記憶装置が送信する各駆動ユニット内の物理値と固有識別情報を受信する端末検索装置と、各駆動ユニットの故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置と、端末検索装置が受信する各駆動ユニット内の物理値と、中央記憶装置に記憶される各駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、故障率曲線特性又は故障率近似関数上の故障率上昇点を基準として、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する特性比較装置とを備えることを特徴とする紙葉類取扱装置。
【請求項11】
物性記憶装置は、駆動センサが検出する駆動ユニット内の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして記憶し、
接続装置は、物性記憶装置に記憶される駆動ログと、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置の固有識別情報とを端末検索装置に送信し、
端末検索装置は、接続装置が送信する駆動ログと固有識別情報を受信し、
特性比較装置は、端末検索装置が受信する駆動ログと、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項12】
駆動ユニットは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項13】
中央管理装置は、端末検索装置が受信した駆動ログ、固有識別情報及び駆動ユニットの直近の交換時期を表す表示装置を備える請求項10に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項14】
駆動ユニットは、鑑別装置に挿入される紙葉を鑑別搬送通路に沿って搬送する鑑別搬送装置と、鑑別搬送装置内の物理値を検出する搬送センサとを備え、
駆動ログは、搬送センサが鑑別搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを含み、
計時エンコーダは、鑑別搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する鑑別搬送装置の作動量時間と共に、搬送センサからの搬送ログを記憶する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項15】
駆動ユニットは、鑑別搬送通路に沿って搬送される紙葉を収納装置の収納室に収納する収納搬送装置と、収納搬送装置内の物理値を検出する収納センサとを備え、
駆動ログは、収納センサが収納搬送装置から検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを含み、
計時エンコーダは、収納搬送装置の作動量時間を計測し、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する収納搬送装置の作動量時間と共に、収納センサからの収納ログを記憶する請求項12に記載の紙葉類取扱装置。
【請求項16】
紙葉類取扱装置を各々搭載する複数のゲーム機と、各ゲーム機又は各紙葉類取扱装置に通信接続される中央管理装置とを備え、
各紙葉類取扱装置は、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置と、鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路と、鑑別装置内に着脱自在に装着されて、鑑別搬送通路に沿って紙葉を搬送する駆動ユニットと、鑑別搬送通路に沿って移動する紙葉の画像情報を読み取る鑑別センサと、鑑別センサから画像情報を受信して、紙葉の真贋を判断する判別装置とを備え、
駆動ユニットは、駆動ユニット内の物理値を検出する駆動センサと、検出する物理値と共に、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置を特定する固有識別情報を記憶する物性記憶装置とを備え、
中央管理装置は、駆動ユニットの物性記憶装置に記憶される物理値と固有識別情報を検索して受信する端末検索装置と、駆動ユニットの故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置と、端末検索装置が受信する駆動ユニットの物理値と、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する特性比較装置とを備えることを特徴とするゲーム機管理装置。
【請求項17】
駆動センサは、駆動ユニット内の物理値を検出し、数値化、評点化又は等級化する駆動ログを物性記憶装置に送出して、物性記憶装置に駆動ログを記憶し又は駆動センサは、駆動ユニット内の物理値を検出して物性記憶装置に送出し、物性記憶装置は、受信した物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログを作成して、駆動ログを記憶し、
端末検索装置は、物性記憶装置に記憶される駆動ログと、駆動ユニット又は紙葉類取扱装置の固有識別情報を受信し、
特性比較装置は、端末検索装置が受信する駆動ログと、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性とを比較して又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入して、駆動ユニットの直近の交換時期を演算する請求項16に記載のゲーム機管理装置。
【請求項18】
駆動センサは、駆動ユニットの作動量時間を計測する計時エンコーダを更に備え、
物性記憶装置は、計時エンコーダが計測する駆動ユニットの作動量時間と共に、駆動センサからの駆動ログを記憶する請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項19】
中央管理装置は、端末検索装置が受信した駆動ログ、固有識別情報及び駆動ユニットの直近の交換時期を表す表示装置を備える請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項20】
中央管理装置は、ゲーム機に搭載した駆動ユニットの固有識別情報をゲーム機の固有識別情報と関連付けて記憶する請求項17に記載のゲーム機管理装置。
【請求項21】
鑑別装置の判定装置は、挿入される紙葉の画像情報を読み取って紙葉の真偽を判定し、
紙葉類取扱装置に挿入される所定寸法の紙葉の鑑別センサによる読取寸法が所定範囲から逸脱するとき、判定装置は、エラー信号を発生して、駆動ユニットを逆転及び正転して、再度紙葉の真贋判断を行い、物性記憶装置は、判定装置が紙葉の真贋判断を行った回数を駆動ログとして記憶する請求項17~20の何れかに記載のゲーム機管理装置。
【請求項22】
駆動ユニット内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサと、駆動センサが検出する物理値を記憶する物性記憶装置とを駆動ユニットに設ける過程と、
駆動センサと物性記憶装置とを有する駆動ユニットを、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置内に着脱自在に装着する過程と、
鑑別装置内に形成される鑑別搬送通路に沿って複数の紙葉を駆動ユニットにより搬送する過程と、
物性記憶装置に記憶される物理値を端末検索装置により検索して、物理値を取り出す過程と、
取り出した物理値を表示装置に表示する過程とを含むことを特徴とする紙葉類取扱装置の劣化度表示法。
【請求項23】
端末検索装置により検索した物理値を特性比較装置に入力する過程と、
特性比較装置により、受信した物理値を、中央記憶装置に記憶される駆動ユニットの故障率曲線特性と比較し又は故障率近似関数に駆動ユニットの物理値を代入する過程と、
駆動ユニットの直近の交換時期を演算して、表示装置に直近の交換時期を表示する過程とを更に含む請求項22に記載の紙葉類取扱装置の劣化度表示法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障前に交換できる駆動ユニットを備える紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を使用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本特許出願人は、本明細書に特許文献1として示す特許第5,484,866号の特許権者であり、本特許に基づく紙葉類取扱装置を永年生産し販売してきたが、この紙葉類取扱装置は、故障時に修理が完了するまで、紙葉類取扱装置を内蔵するゲーム機自体を稼働できず、ゲーム機の稼働による収益が得られない難点があった。紙葉類取扱装置の主故障原因は、紙葉類取扱装置の稼働部を構成する駆動ユニットの作動に伴う劣化にあり、駆動ユニットが一旦故障すると、駆動ユニットの交換が完了するまで、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機を稼働できない難点があった。特許文献1に開示される紙葉類取扱装置は、駆動ユニット、鑑別装置及び収納装置を個別のユニットに構成して、各ユニットの分離、取外し、組立、保守、点検及び交換を容易に行える長所があり、着脱可能に内臓される一体型駆動ユニットを紙葉類取扱装置から取り外して、駆動ユニットを容易に交換しかつ保守点検できる利点がある。
【0003】
特許文献2は、一時保留カセットと補充/回収カセットの各々に、カセッットの種類を格納するメモリ(記憶装置)を設け、コネクタを介して各メモリの情報を制御部で受け取り、メモリ情報からカセットの種類を制御部が認識する紙幣自動入出金装置を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5,484,866号公報
【特許文献2】特開平10-27274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される紙葉類取扱装置の駆動ユニットを継続的に使用するとき、その劣化状態を認識し、その故障又は不具合の発生時期を予測することはできない。通常、駆動ユニットは、突然故障し又は不具合が発生して、紙葉類取扱装置自体が作動不能又は異常作動に至る。駆動ユニットが故障すると、紙葉類取扱装置及び紙葉類取扱装置を取り付けたゲーム機を作動できず、正常に作動する駆動ユニットを交換するまで、紙葉類取扱装置及びゲーム機を使用できず、ゲーム機の稼働による収益増加を見込めない難点があり、紙葉類取扱装置及びゲーム機の不稼働時間を削減できなかった。
そこで、本発明は、交換の対象となる駆動ユニットの劣化度又は交換時期を認識できる紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類取扱装置(1)は、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)と、鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)と、鑑別装置(2)内に着脱自在に装着される駆動ユニット(13)とを備える。鑑別搬送通路(10)に沿って鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する駆動ユニット(13)の各部品は、駆動ユニット(13)の稼働を通じて段階的に又は徐々に宿命的に劣化して、品質、性能又は機能が低下する。そこで、駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能に関する物理値を検出する単数又は複数の駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを備える。駆動センサ(24)からの物理量の変化量は、駆動ユニット(13)の劣化度を表す。常時、定期的に又は必要な時に、物性記憶装置(25)に記憶される物理値を検索し、取り出し、表示することにより、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能に関する劣化度を客観的に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の紙葉類取扱装置、紙葉類取扱装置を利用するゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法の実施の形態を図面について以下説明する。各図面は、下記内容を示す:
図1】本発明の紙葉類取扱装置の断面図
図2】紙葉類取扱装置の鑑別装置から駆動ユニットを外す状態を示す分解斜視図
図3】本発明の紙葉類取扱装置に使用する駆動ユニットの底面図
図4】駆動ユニットの計時エンコーダを示す斜視図
図5】鑑別装置に駆動ユニットを装着する状態を示す断面図
図6】駆動ユニットの電気的構成を示すブロック図
図7】駆動ユニットの故障率曲線特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の紙葉類取扱装置、ゲーム機管理装置及び紙葉類取扱装置の劣化度表示法の実施の形態を図1図7について説明する。本明細書に使用する用語「紙葉類」と「紙葉」は、紙幣、紙製又は樹脂製の通貨、クーポン券、代用紙幣、証券、スクリップの全有価紙葉を含むと広義に理解すべきである。
【0009】
本発明の基本的構成
本発明の実施の形態による紙葉類取扱装置(1)は、特許文献1に示される従来の紙葉類取扱装置の駆動ユニット(13)の機械的構成と電気的構成を改良したもので、本発明の紙葉類取扱装置に使用する駆動ユニット(13)の機械的構成と電気的構成は、特許文献1とは異なるが、駆動ユニット(13)を除く鑑別装置(2)、鑑別搬送通路(10)及び収納装置(3)は、特許文献1と同一の構成と機能とを備える。本発明の駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能の経年変化又は劣化に関する物理値を検出する駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を選別して記憶する物性記憶装置(25)とを備え、駆動ユニット(13)の品質、性能又は機能に関する経年変化又は劣化の状態を客観的に把握できる優れた作用効果が得られる。本明細書に記載する本発明の実施の形態は、駆動ユニット(13)を除く、特許文献1に示される従来の鑑別装置及び収納装置の構成を使用でき、特許文献1の内容をそのまま本明細書に適用できる。
【0010】
図1に示す紙葉類取扱装置(1)は、紙幣及びクーポン券等紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)と、鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)と、鑑別搬送通路(10)に沿って鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する駆動ユニット(13)とを備える。駆動ユニット(13)は、鑑別装置(2)に挿入される紙葉を鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する鑑別搬送装置(5)(図5)と、鑑別搬送装置(5)により鑑別搬送通路(10)に沿って搬送される紙葉を収納装置(3)に収容する収納搬送装置(6)(図3)とを備える。駆動ユニット(13)は、駆動ユニット(13)の底面を覆う図2に示す底蓋(13a)を有する。
【0011】
図1に示す鑑別装置(2)は、駆動ユニット(13)により鑑別搬送通路(10)を搬送される紙葉の光学的特性を表す検出信号を発生する鑑別センサ(11)と、鑑別センサ(11)からの検出信号を受信して、紙葉の真贋を判断する判定装置(12)(図6)とを備える。紙葉の光学画像を形成する検出信号を発生する鑑別センサ(11)は、例えば、鑑別搬送通路(10)に沿って移動する紙葉の光学画像データを取得する密着画像センサ(CIS)により構成される。鑑別センサ(11)が取得する光学画像データを正規の紙葉光学画像データと比べて判定装置(12)が真正と判断する紙葉は、鑑別搬送装置(5)の駆動ベルト(36)により、鑑別搬送通路(10)を通り収納装置(3)に搬送され、収納搬送装置(6)により、収納室(79)の待機室(61a)に搬送されて、更に押込装置(62)により、待機室(61a)から収納室(79)に収納される。収納室(79)に収容される紙葉の満杯時に、施設管理者は、満杯の収納装置(3)を紙葉類取扱装置(1)から分離して、収納室(79)内の紙葉を回収する。
【0012】
図3に機械的構成を示す駆動ユニット(13)は、鑑別装置(2)に挿入される紙葉を鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する鑑別搬送装置(5)を構成する搬送モータ(701)と、収納装置(3)に搬送される紙葉を収納装置(3)の収納室(79)に押込む収納搬送装置(6)を構成する押込モータ(702)とを備える。動力伝達装置(8)を介して搬送モータ(701)と押込モータ(702)が夫々紙葉を搬送しかつ収納装置(3)に押込む鑑別搬送装置(5)と収納搬送装置(6)の具体的構成と作用については、特許文献1を参照されたい。本発明の実施の形態では、複数の搬送センサ(241~246)により搬送モータ(701)及び動力伝達装置(8)を含む鑑別搬送装置(5)内の品質、性能又は機能に関する種々の物理値を検出して、検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する搬送ログを発生する点で、特許文献1の構造とは根本的に相違する。
【0013】
鑑別搬送装置(5)は、正転及び逆転が可能な可逆駆動型の搬送モータ(701)と、搬送モータ(701)の駆動軸に固定されるピニオンと、ピニオンに駆動連結される動力伝達装置(8)と、搬送モータ(701)のピニオンと動力伝達装置(8)を介して作動される駆動ベルト(36)とを備える。特許文献1の識別搬送装置の構造とは異なり、駆動ベルト(36)は、鑑別搬送通路(10)の前方中央の入口ローラ(46)を回転して紙葉を搬送する前部駆動ベルト(361)と、鑑別搬送通路(10)の後部の紙葉を搬送する一対の後部駆動ベルト(362)とを備える。前部駆動ベルト(361)と後部駆動ベルト(362)は、動力伝達装置(8)を介して搬送モータ(701)により駆動される。前部駆動ベルト(361)により回転される歯車に噛み合う歯車を介して、入口ローラ(46)を回転してもよい。
【0014】
特許文献1の構造と同様に、紙葉類取扱装置(1)は、鑑別搬送通路(10)に沿って搬送される紙葉を収納する収納装置(3)を備え、駆動ユニット(13)は、収納装置(3)の収納室(79)に紙葉を収納する収納搬送装置(6)を有する。本発明の実施の形態では、複数の収納センサ(251~256)により押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を含む収納搬送装置(6)内の品質、性能又は機能に関する種々の物理値を検出して、検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する収納ログを発生する点で、特許文献1の構造とは根本的に相違する。
【0015】
図6は、本発明に使用する駆動ユニット(13)の電気的構成を示す。特許文献1に示される従来の駆動ユニットは、本発明に使用する駆動ユニット(13)の電気的構成を当然に備えていない。鑑別搬送装置(5)は、入口ローラ(46)を回転する前部駆動ベルト(361)により回転されて搬送モータ(701)の回転時間を計測して搬送計測信号を発生する計時エンコーダ(45)を備える。搬送モータ(701)の回転時間を計測する計時エンコーダ(45)は、搬送モータ(701)の回転速度及び回転数を計測することができる。前部駆動ベルト(361)により回転され又は前部駆動ベルト(361)に連動して回転する非図示の歯車を介して回転される入口ローラ(46)は、鑑別搬送通路(10)の入口(14)に挿入される紙葉を鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する。
【0016】
このように、計時エンコーダ(45)と入口ローラ(46)は、前部駆動ベルト(361)により駆動される。計時エンコーダ(45)にも接続される物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が時間を計測する駆動ユニット(13)の作動量時間と共に、複数の 駆動センサ(24)からの駆動ログを記憶する。複数の駆動センサ(24)は、搬送モータ(701)と押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を含む鑑別搬送装置(5)及び収納搬送装置(6)内の品質、性能又は機能に関する種々の物理値を検出し、駆動センサ(24)が検出する物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログを発生して、物性記憶装置(25)に記憶する点で、特許文献1の構造とは根本的に相違する。
【0017】
駆動ユニットの電気的構成
図6に示すように、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各物理量を計測する種々の駆動センサ(24)、鑑別センサ(11)及び計時エンコーダ(45)は、何れも物性記憶装置(25)に接続されて、各駆動センサ(24)が検出する物理量は、物性記憶装置(25)で選別され、計時エンコーダ(45)が計る経時信号と共に、各物理量は、必要な記憶領域に記憶される。また、鑑別センサ(11)が取得する紙葉の光学画像信号は、判定装置(12)に送出されて、判定装置(12)にて紙葉の真贋が判断される。光学画像信号から判定装置(12)が真正と判断する紙葉は、鑑別搬送装置(5)及び収納搬送装置(6)により、収納室(79)に送られる。
【0018】
紙葉の光学画像信号が不十分なとき、判定装置(12)は、鑑別搬送装置(5)を反転して、鑑別搬送通路(10)に沿って紙葉を入口側に戻すと共に、再度鑑別搬送装置(5)を正転して、鑑別センサ(11)に沿って紙葉を搬送するため、物性記憶装置(25)は、再度紙葉鑑別が行われる再鑑別回数を計数する。紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)は、USBインターフェイス等の接続装置(25a)を介して、中央管理装置(300)の端末検索装置(401)に接続され、物性記憶装置(25)に記憶される物理量は、端末検索装置(401)に読み出される。中央管理装置(300)は、サーバ等のコンピュータ及び関連する周辺装置を備える。図6は、駆動ユニット(13)の搬送モータ(701)と押込モータ(702)の物理値を検出する駆動センサ(24)を例示するに過ぎない。
【0019】
各駆動センサ(24)は、常時、定期的に又は必要な時に駆動ユニット(13)の構成要素の物理値をアナログ量又はデジタル量で検出して、物性記憶装置(25)に検索した物理値を送信し、物性記憶装置(25)は、受信する物理値を所定の記憶領域に記憶する。各駆動センサ(24)は、駆動ユニット(13)内の物理値を検出するとき、アナログ量をデジタル量に変換して、検出する駆動ユニット(13)内のデジタル量の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信し、物性記憶装置(25)は、受信する駆動ログを所定の記憶領域に記憶する。また、物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が計測する搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の作動時間と共に、駆動ログとして搬送ログ及び収納ログを記憶する。数値化、評点化又は等級化する駆動ユニット(13)で検出される物理値は、駆動センサ(24)が検出する未加工の原数値、基準値に対する比率又は予め決められた複数の段階若しくはレベルに区分されて、物性記憶装置(25)に記憶される。
【0020】
各駆動センサ(24)が、アナログ量の物理値をデジタル量又はデジタル値に変換して、検出する駆動ユニット(13)内のデジタル量の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する代わりに、各駆動センサ(24)は、検出するアナログ量の物理値をそのまま物性記憶装置(25)に送信して、物性記憶装置(25)は、受信するアナログ量の物理値をデジタル量に変換して、デジタル量の物理値を数値化、評点化又は等級化する駆動ログに変換して、記憶することもできる。
【0021】
物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が計測する搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の作動時間と共に、駆動ログとして搬送ログ又は収納ログを記憶する。物性記憶装置(25)は、駆動センサ(24)が検出する駆動ログを記憶すると同時に、各駆動ユニット(13)又は各紙葉類取扱装置(1)を特定する連続番号等の固有識別情報を記憶する。中央管理装置(300)の入力装置(405)から要求信号を受信する時点で、その一定時間経過時に又は自動的に、物性記憶装置(25)は、記憶する駆動ログと固有識別情報を、接続装置(25a)を介して端末検索装置(401)に送信して、端末検索装置(401)に駆動ログと固有識別情報を記憶させる。
【0022】
接続装置(25a)から送信される駆動ログと固有識別情報を受信する中央管理装置(300)は、駆動ユニット(13)から検出する物理値を点数(スコア)化する。中央管理装置(300)は、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の前回駆動ユニット(13)の交換日又は保守点検日からの経過時間、作動回数、総作動回数、作動時の最高温度、作動停止回数、紙葉の搬送精度(搬送斑)等の各物理値を点数化し、中央記憶装置(403)に送信して、そこに記憶させる。中央管理装置(300)の特性比較装置(402)は、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の各物理値の総点数が予め決められた範囲外に該当すると、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の少なくとも一方に将来故障発生の可能性を認定して、中央管理装置(300)は、警告信号を発生し又は駆動ユニット(13)の交換若しくは保守点検の必要性を管理者に通知する。
【0023】
例えば、新規な駆動ユニット(13)の総物理値を100点とし、故障発生時に検出される駆動ユニット(13)の総物理値を70点と仮定して、中央管理装置(300)は、使用後の駆動ユニット(13)の総物理値が、80点に低下した時点で、駆動ユニット(13)の交換又は保守点検の必要性を管理者に通知する。通知に対応して、作業員が駆動ユニット(13)を交換すれば、駆動ユニット(13)の実際の故障発生を防止できる。例えば、作動する搬送モータ(701)若しくは押込モータ(702)の最高温度が90℃を超え又は平均温度が80℃を超えるとき、駆動ユニット(13)の総物理値を減点する。また、経過時間、作動回数、総作動回数及び作動停止回数の増加に応じて、駆動ユニット(13)の総物理値を減点する。更に、紙葉類取扱装置(1)の出荷時又は駆動ユニット(13)の前回交換時から、搬送モータ(701)若しくは押込モータ(702)の総回転数が50万回を超えるとき、駆動ユニット(13)の総物理値を減点する。
【0024】
統計を換算するアルゴリズムにより駆動ユニット(13)の交換時期又は交換優先順位を算出する特性比較装置(402)を別法で採用できる。中央管理装置(300)は、接続装置(25a)が送信する駆動ログと固有識別情報を受信すると、特性比較装置(402)は、中央管理装置(300)が受信する駆動ログと、中央記憶装置(403)が記憶する駆動ユニット(13)の故障率曲線特性とを比較する。特性比較装置(402)は、駆動ユニット(13)の故障率曲線特性上の現在どの位置に受信した駆動ログの劣化度が該当するかを判断し、故障率曲線特性上の劣化度該当位置から、総作動時間の磨耗故障期前の摩耗量(劣化度)80%に達する駆動ユニット(13)の直近の交換時期又は交換時期までの残留時間若しくは残留日数を演算して、算定する直近の交換時期を表示装置(404)に表示する。
【0025】
他面、中央管理装置(300)は、接続装置(25a)が送信する駆動ログと固有識別情報を受信すると、特性比較装置(402)は、中央管理装置(300)が受信する現在の劣化度を示す駆動ログを、中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率近似関数に代入して、特性比較装置(402)は、故障率近似関数上の劣化度該当位置から、総作動時間の磨耗故障期前の摩耗量(劣化度)80%に達する駆動ユニット(13)の直近の交換時期又は交換時期までの残留時間若しくは残留日数を演算して、算定する直近の交換時期を表示装置(404)に表示する。
【0026】
駆動センサ(24)からの物理値の変化量は、故障率曲線特性上の横軸で表示される駆動ユニット(13)の経時変化、即ち劣化度を表す。物性記憶装置(25)は、経時(クロック)信号を発生する振動子又は発振回路を内蔵し、発振回路が発生する計時信号に基づいて駆動センサ(24)からの物理値の継続時間、速度及び加速度を演算する機能がある。物性記憶装置(25)を取り付ける駆動ユニット(13)又は紙葉類取扱装置(1)を特定する固有識別情報及び修理又は検査を行う駆動ユニット(13)の過去の保守点検履歴も物性記憶装置(25)に記憶される。
【0027】
特許文献1の構造とは異なり、本発明の実施の形態による鑑別搬送装置(5)の図6に示す駆動センサ(24)は、搬送モータ(701)の各作動時間を計数して、計数した時間信号を物性記憶装置(25)に送信する搬送カウンタ(241)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)に流れる過電流の電流値及び過電流回数を計数し、計数した高電流値、高電流時間及び高電流回数の各信号を物性記憶装置(25)に送信する過電流検出用抵抗又は搬送電流計(242)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)の環境温度とその高温継続時間を測定して、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数の各デジタル信号を物性記憶装置(25)に送信する搬送温度センサ(243)とを備える。
【0028】
駆動センサ(24)は、更に搬送モータ(701)の作動に要する各全作動時間及び作動回数を搬送モータ(701)の作動毎に計数して、計数した各デジタル信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する搬送タイマ(244)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)の低加速度及び低加速度回数を計数して、計数した各デジタル信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する水晶加速度センサ等の搬送加速度センサ(245)と、搬送モータ(701)の作動毎に搬送モータ(701)の回転速度を計数して、計数した速度デジタル信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する搬送速度センサ(246)とを備える。
【0029】
搬送モータ(701)と同様に、押込モータ(702)に設けられる図6の駆動センサ(24)は、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)の各作動時間を計数して、計数したデジタル時間信号を駆動ログとして物性記憶装置(25)に送信する収納カウンタ(251)と、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)に流れる過電流の電流値及び過電流回数を計数して、計数した高電流値、高電流時間及び高電流回数の各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する過電流検出用抵抗及び収納電流計(252)と、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)の環境温度とその高温継続時間を測定して、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数の各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する収納温度センサ(253)とを備える。
【0030】
また、駆動センサ(24)は、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)の作動に要する各全作動時間及びその回数を計数して、計数した各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する収納タイマ(254)と、押込モータ(702)の作動毎にモータの低加速度及びその回数を計数して、計数した各デジタル信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する水晶加速度センサ等の収納加速度センサ(255)と、押込モータ(702)の作動毎に押込モータ(702)の回転速度を計数して、計数したデジタル速度信号を物性記憶装置(25)に駆動ログとして送信する収納速度センサ(256)とを備える。
【0031】
例えば、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各モータ巻線温度変化による電気抵抗変化又は電流値変化をデジタル信号で表示する周知の温度測定器を搬送・収納温度センサ(243,253)に使用できる。要するに、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の作動量時間は、計時エンコーダ(45)が経時するクロック(経時)信号を計数して計測される。物性記憶装置(25)は、計時エンコーダ(45)が計測する駆動ユニット(13)の作動量時間と共に、駆動センサ(24)からの駆動ログを記憶する。
【0032】
従って、搬送・収納温度センサ(243,253)は、鑑別搬送装置(5)及び収納搬送装置(6)の作動毎に、搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各温度を検出して、検出する温度をデジタル信号に変換された温度検出信号を発生して、物性記憶装置(25)に送出して記憶させる。デジタル信号に変換される温度値は、数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして表示されて、物性記憶装置(25)に記憶される。搬送・収納速度センサ(246,256)は、鑑別搬送装置(5)及び収納搬送装置(6)の作動毎に搬送モータ(701)と押込モータ(702)の各回転速度を検出して、検出する回転速度をデジタル信号に変換された速度検出信号を発生して、物性記憶装置(25)に送出して記憶させる。デジタル信号に変換された速度検出信号は、数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして表示されて、物性記憶装置(25)に記憶される。搬送・収納速度センサ(246,256)からの物理値、即ちデジタル信号に変換された速度検出信号の減少量は、駆動ユニット(13)の劣化度を表すことに注意すべきである。
【0033】
駆動ユニット(13)の主故障原因は、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を構成する稼働部の下記経時変化、即ち劣化にあると考えられるため、駆動ユニット(13)の故障前交換法を劣化原因毎に以下検討する。
1.総作動時間の経過時の摩滅、
2.反復作動累積時の疲労故障、
3.反復過負荷時の過電流損傷、
4.高温環境下での熱損傷、
5.異常な動作速度低下、
6.異常な動作加速度低下、
7.機械摺動部の引掛かり(コギング)
【0034】
摩滅
搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の摺動部摩耗故障は、各搬送・押込モータ(701,702)の総作動時間の経過に伴う摩滅により発生し、摩耗故障に至るまで、各搬送・押込モータ(701,702)の摩滅量は、各搬送・押込モータ(701,702)の総作動時間に比例すると考えられる。そこで、搬送・収納カウンタ(241,251)により、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の各作動時間を計数して、計数した時間信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、各搬送・押込モータ(701,702)の総作動時間を演算して記憶する。
【0035】
図7は、駆動ユニット(13)の故障率を表す縦軸と、機械の総作動時間又総作動回数を表す横軸とのバスタブ(浴槽型)曲線特性又は故障率曲線特性を示す。図示の故障率曲線特性は、時系列で初期故障期、偶発故障期及び磨耗故障期の3期間で構成される。本明細書では、駆動ユニット(13)の品質を保証する初期故障期と、安定な連続的動作が見込まれる安定な偶発故障期とを考慮せずに、磨耗故障期に向かって急激に故障率が増加する偶発故障期の後半の故障率上昇点(T)に着目する。
【0036】
例えば、摺動部を備える搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の総作動時間の90%で500時間に相当する故障率上昇点(T)に達して、偶発故障期から磨耗故障期に移行するものと実験値又は補修活動から経験的に判断すると、各搬送・押込モータ(701,702)の総作動時間の磨耗故障期前の摩耗量(劣化度)80%に達する400時間に、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に告知することができる。何れにしても、故障率曲線特性又は故障率近似関数で表される故障率上昇点(T)を基準として、その70%~90%手前の時期を駆動ユニット(13)の交換時期に設定して、駆動ユニット(13)の交換時期に達するとき、物性記憶装置(25)に接続される警告装置から音響警報若しくは視覚警報を、物性記憶装置(25)からの警告信号として発生できる。駆動ユニット(13)を除く紙葉類取扱別装置(1)の構成部に、摩耗、疲労及び熱損傷が発生せず、殆ど故障が発生しないと仮定すると、駆動ユニット(13)の交換後、紙葉類取扱装置(1)の故障率曲線特性は、原点の設置時に戻る。
【0037】
疲労蓄積
低負荷状態でも反復作動による材質許容応力低下による疲労が搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に蓄積して、疲労故障が発生することがある。各搬送・押込モータ(701,702)の疲労故障は、累積作動回数により発生し、図7に示す故障率曲線特性と同様に、疲労故障に至るまで、各搬送・押込モータ(701,702)の疲労蓄積量は、各搬送・押込モータ(701,702)の累積反復作動回数に比例すると考えられる。そこで、搬送・収納カウンタ(241,251)又は別のカウンタにより、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の各作動回数を計数して、計数した作動回数信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、各搬送・押込モータ(701,702)の累積作動回数を演算して記憶する。各搬送・押込モータ(701,702)の累積作動回数が、例えば、50万回に達すると、疲労損傷が発生すると経験的に仮定して、摩耗量80%に達する40万回に各搬送・押込モータ(701,702)の累積作動回数が達すると、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に催促できる。
【0038】
過電流損傷
何らかの原因により部品が変形して、駆動ユニット(13)の円滑な作動が阻害され、部品変形に対し作動中に大きな負荷が発生して、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に過電流が流れることがある。頻繁に過電流が流れると、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)は、過電流による過熱又は破壊電流の放電により電子部品が、熱破壊又はブレイクダウンして、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)が故障することがある。従って、高電流値、高電流時間及び高電流回数を計数する過電流検出用抵抗及び搬送・収納電流計(242,252)により、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に流れる過電流の電流値、高電流持続時間及び過電流負荷回数を検出し、計数して、検出し計数した高電流値、高電流持続時間及び高電流回数の各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の高電流値、高電流時間及び高電流回数を演算して記憶する。搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に流れる電流値が、例えば10アンペア以上、3秒を超える通電時間及び通電回数が5回を超えるとき、高電流による熱破壊又はブレイクダウンが構成部品に発生するおそれがあると判断するとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に促すことができる。
【0039】
高温環境下での熱損傷
搬送モータ(701)又は押込モータ(702)に実装される樹脂封止型電子部品は、通常、120℃以上の高温に暴露されると、電子部品として内蔵される半導体チップが熱破壊又はブレイクダウンして、所期の機能を果さないおそれがある。このため、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)を設置する環境温度とその高温継続時間を測定する搬送・収納温度センサ(243,253)により、搬送・押込モータ(701,702)の作動毎に環境温度、高温継続時間及び高温回数を計数して、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数の各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、計数した環境温度、高温継続時間及び高温回数を演算して記憶する。例えば、120℃以上の高温が30秒以上で3回を超えるとき、高温環境による熱破壊又はブレイクダウンが電子部品に発生するおそれがあると判断し、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に督促することができる。
【0040】
動作速度低下
特定の原因又は複合的な劣化により、駆動ユニット(13)の動作速度が低下することがある。例えば、鑑別搬送通路(10)に沿って搬送する紙葉に付着する粘着物質が鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の一部に付着し又は異物が混入すると、駆動ユニット(13)の動作性能は、大幅に低下する。そこで、搬送モータ(701)又は押込モータ(702)の作動に要する各全作動時間及びその回数を計数する搬送・収納タイマ(244,254)により、モータ(701,702)の低作動速度及びその回数を計数して、計数した各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、計数した搬送・押込モータ(701,702)の低作動速度及び低作動速度回数を演算して記憶する。所定の低作動速度回数を計数したとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を管理者に促せる。
【0041】
例えば、紙葉類取扱装置(1)の利用者が、鑑別搬送通路(10)の入口(14)に飲料等の粘性液体を零したとき、鑑別搬送装置(5)、収納搬送装置(6)、収納搬送装置(6)又は動力伝達装置(8)に粘性液体が付着して、搬送・押込モータ(701,702)の搬送速度が遅延し又は変動する。中央管理装置(300)が搬送・押込モータ(701,702)の搬送速度変動を常時監視し、搬送・押込モータ(701,702)が予め決められた速度で作動しないとき、鑑別搬送装置(5)に対する粘性液体の付着と判断して、警告信号を発生し又は駆動ユニット(13)の交換を管理者に通知する。また、鑑別搬送通路(10)の入口(14)から埃又は砂等の異物が鑑別搬送通路(10)内に侵入するとき、動力伝達装置(8)への異物の付着又は蓄積により、搬送・押込モータ(701,702)の搬送速度が変動する。複数の搬送センサ(241~246)により異物による搬送遅延を数値化し、搬送負荷の増加を監視して、警告信号を発生し又は駆動ユニット(13)の交換を管理者に通知する。
【0042】
動作加速度低下
部品の変形、その他の原因で駆動ユニット(13)の加速度が低下し、紙葉の搬送又は収納に要する回転力が減少することがある。そこで、水晶加速度センサ等の搬送・収納加速度センサ(245,255)により、搬送・押込モータ(701,702)の低加速度及びその回数を計数して、計数した各信号を物性記憶装置(25)に送信する。物性記憶装置(25)は、計数したモータの低加速度及びその回数を演算して記憶する。所定回数の低作動速度を計数したとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換の必要性を管理者に促すことができる。
【0043】
搬送・収納加速度センサ(245,255)は、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の各加速度を検出して、検出する加速度をデジタル信号に変換された加速度検出信号を鑑別搬送装置(5)及び収納搬送装置(6)の作動毎に発生して、駆動ログとして物性記憶装置(25)に送出して記憶させる。デジタル信号に変換された加速度検出信号は、数値化、評点化又は等級化する駆動ログとして表示されて、物性記憶装置(25)に記憶される。搬送・収納加速度センサ(245,255)からの物理値、即ちデジタル信号に変換された加速度検出信号の減少量は、駆動ユニット(13)の劣化度を表す。
【0044】
駆動ユニットのコギング
劣化した鑑別搬送装置(5)の一部に引掛かり(コギング)が発生すると、紙葉の搬送速度に斑(むら)が生じて、光電式鑑別センサ(11)から紙葉の光学画像に欠落、歪み、縮み又は伸び又は滑りが発生して、適正な紙葉の画像情報が得られず、紙葉の光学画像から、判定装置(12)が紙葉の真贋を正しく判定できないことがある。例えば、紙葉に印刷されるバーコード等の識別表示を判定装置(12)が正しく読み取れないと、判定装置(12)は、エラー信号を発生して、駆動ユニット(13)を逆転及び正転して、紙葉の真贋判断を再度行う。物性記憶装置(25)は、判定装置(12)が紙葉の真贋判断を行った回数を駆動ログとして記憶する。
【0045】
駆動ユニットの空転、滑り
特性比較装置(402)は、物性記憶装置(25)から端末検索装置(401)に送られる紙葉の長さ情報と中央記憶装置(403)に記憶される正規の長さとを比較する。鑑別センサ(11)が読み取る画像長信号が所定範囲から逸脱すると、特性比較装置(402)は、駆動ユニット(13)のベルト駆動時の空転(スリップ)が発生したと判断する。物性記憶装置(25)は、ベルト駆動時の空転発生回数を計数して、入力装置(405)、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を通じて物性記憶装置(25)から、ベルト駆動時の空転発生回数を端末検索装置(401)に読出し、中央記憶装置(403)に記憶される一定数を超える空転発生回数が発生すると、特性比較装置(402)は、鑑別搬送装置(5)を故障と判断する。例えば、収納搬送装置(6)の作動遅延時間又は作動電流量レベルを表す収納電流計(252)、収納加速度センサ(255)又は収納速度センサ(256)からの収納ログを物性記憶装置(25)に記憶し、収納装置(3)の収納室(79)が紙葉で満杯になる前に、駆動ユニット(13)の交換を管理者に通知することができる。
【0046】
例えば、収納搬送装置(6)又は押込装置(62)への駆動信号の累積パルス幅を測定し、一定の累積パルス幅を検出するとき、収納室(79)内の紙葉満杯を検知してもよい。紙葉が頻繁に満杯となる収納室(79)を有する紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)の固有識別情報を物性記憶装置(25)に記憶して、推測する劣化を検知した収納装置(3)を交換してもよい。
【0047】
前記のように、搬送モータ(701)、押込モータ(702)及び動力伝達装置(8)を含む駆動ユニット(13)の総作動時間又は累積反復作動回数の増加、環境温度変化、異常回転出力、摩耗量の増大、反復動作による機能低下又は強度低下、低荷重反復による疲労増大、ベルト駆動時の空転(スリップ)発生等種々の要因により、駆動ユニット(13)の各部品は、宿命的に品質、性能及び機能が、低下し、段階的に又は徐々に劣化する。
【0048】
しかしながら、駆動ユニット(13)の機械構成及び電気的構成とそれらの作用が具体的に決定すれば、故障原因である摩耗、疲労、過電流損傷、熱損傷、動作速度低下及び動作加速度低下に関する駆動ユニット(13)の故障率曲線特性を実測し、想定し又は故障率近似関数で表示して、中央記憶装置(403)に故障率曲線特性データ又は故障率近似関数を記憶することができる。得られる故障率曲線特性又は故障率近似関数は、バスタブ曲線又は異なる他の故障率特性曲線、二次曲線又は直線で構成される場合もあろう。駆動ユニット(13)の作動経験値:総作動時間、総作動回数、環境温度、高温継続時間、高温回数、低作動速度、低作動速度回数、低加速度、低加速度回数及び駆動ユニット(13)、即ちゲーム機(200)の固有識別情報は、物性記憶装置(25)に記憶されている。入力装置(405)、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を通じて物性記憶装置(25)から、駆動ユニット(13)の作動経験値を端末検索装置(401)に読み出すことができる。
【0049】
入力装置(405)、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を通じて物性記憶装置(25)から現状の総作動時間、総作動回数等の劣化データを検索して、中央記憶装置(403)に記憶される故障率曲線データ又は故障率近似関数に劣化データを入力(プロット)し又は代入すると、故障率曲線特性又は故障率近似関数上の駆動ユニット(13)の劣化状態が判明しかつ故障率曲線特性又は故障率近似関数上の故障率上昇点(T)及び駆動ユニット(13)の適切な交換位置を故障前に認識することができる。
【0050】
遊技場又はカジノに設けられる複数のゲーム機(200)の各紙葉類取扱装置(1)に設けられる鑑別装置(2)の装着室(21)内には、駆動ユニット(13)が内蔵される。各駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)は、接続装置(25a)を介して、中央管理装置(300)の端末検索装置(401)に接続される。中央管理装置(300)の端末検索装置(401)に接続されるキーボード、画像入力装置等の入力装置(405)から端末検索装置(401)に検索指令信号を入力して、端末検索装置(401)及び接続装置(25a)を介して、物理値の駆動ログと固有識別情報を記憶する駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)内の情報を検索して、必要な情報を取り出すことができる。
【0051】
図1図3に示すように、紙葉類取扱装置(1)は、鑑別装置(2)のハウジング(20)に形成されて駆動ユニット(13)を配置する装着室(21)と、装着室(21)の内壁に形成される一対の枢軸支持部(161)とを備える。図2に示す駆動ユニット(13)は、図5に示すように、鑑別装置(2)の装着室(21)内に着脱自在に装着される。即ち、鑑別装置(2)のハウジング(20)の枢軸支持部(161)に、駆動ユニット(13)のフレーム(13b)のヒンジ筒(160)を、着脱自在かつ回転可能に装着し、鑑別装置(2)の枢軸支持部(161)周りにフレーム(13b)を回転して、鑑別装置(2)の装着室(21)内に駆動ユニット(13)を収容できる。
【0052】
駆動ユニット(13)の底蓋(13a)の開閉に連動する電源からの電力供給中の紙葉類取扱装置(1)から駆動ユニット(13)の除去を阻止してもよい。駆動ユニット(13)の底蓋(13a)の開閉により、紙葉類取扱装置(1)への電力供給を一旦停止した後、再度開始すると、端末検索装置(401)は、紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)と接続装置(25a)との接続を短時間に検知する。
【0053】
図5に示すように、鑑別装置(2)の装着室(21)に収容される駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)に設けられる接続装置(25a)に、端末検索装置(401)を接続すると、紙葉類取扱装置(1)外部の入力装置(405)から端末検索装置(401)に付与される指令信号に従って、物性記憶装置(25)に記憶される駆動ログ若しくは警告信号を端末検索装置(401)でアクセスして検索しかつ取り出して、表示装置(404)に駆動ログ若しくは警告信号を表示し又は警報を発生できる。
【0054】
中央管理装置(300)には、駆動ユニット(13)の故障率曲線特性又は故障率近似関数を記憶する中央記憶装置(403)と、中央記憶装置(403)及び端末検索装置(401)に接続される特性比較装置(402)とを備え、特性比較装置(402)は、端末検索装置(401)が受信する駆動ユニット(13)の物理値と中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率曲線特性とを比較し又は故障率近似関数に駆動ユニット(13)の物理値を代入して、駆動ユニット(13)の直近の交換時期を演算して、表示装置(404)に出力して表示することができる。
【0055】
端末検索装置(401)に読出される駆動ユニット(13)の累積作動物理値から現在の劣化度が判明し、中央記憶装置(403)に記憶される故障率曲線特性と累積作動物理値との比較により又は駆動ユニット(13)の累積作動物理値を故障率近似関数に代入して、故障率曲線特性の故障率上昇点(T)及び磨耗故障期前の劣化度80%に至る時期を予測できる。
【0056】
鑑別装置(2)の鑑別センサ(11)は、紙葉類取扱装置(1)に挿入される紙幣又はクーポン券の紙葉画像情報を読み取り、判定装置(12)は、紙葉の真偽を判定する。判定装置(12)は、物性記憶装置(25)にも接続される。鑑別装置(2)に所定寸法のクーポン券を挿入して、鑑別センサ(11)が読み取る画像長信号は、判定装置(12)から物性記憶装置(25)に送出される。中央記憶装置(403)には、紙幣又はクーポン券の正規の寸法情報も記憶される。カジノ施設内で発行されかつ短時間に回収されるクーポン券の寸法及び形態には、正規の寸法及び形態を維持しかつ皺等の劣化が少なく、駆動ユニット(13)の搬送精度を測定する良好な基準値を判定装置(12)及び物性記憶装置(25)に付与する。
【0057】
使用期間と使用区域が限定される特定クーポン券は、一般に流通する紙幣に比べて劣化が少なく、鑑別センサ(11)の光学読取寸法が変動しないため、駆動ユニット(13)に搬送異常が発生すると、鑑別センサ(11)から、所定範囲から逸脱する紙葉画像情報が判定装置(12)及び物性記憶装置(25)に送出される。所定範囲外の紙葉画像情報が発生すると、判定装置(12)が鑑別搬送装置(5)を反転・正転して再度紙葉鑑別を行う。物性記憶装置(25)は、再鑑別回数を計数して、5回等一定の再鑑別回数を超えると、鑑別搬送装置(5)の搬送機能が劣化したと判断して、警告信号を発生する。
【0058】
また、鑑別センサ(11)が所定長さより長い紙幣を検出すると、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の摩耗、空転又は滑りの発生と判断して、管理者に通知してもよい。例えば、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)のゴムローラが摩耗すると、ゴムローラの回転数が増加して、平均長より長い紙幣として検出される。鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)のゴムローラに空転又は滑りが発生すると、平均長の変動が大きい紙幣として検出される。鑑別装置(2)の鑑別センサ(11)がクーポン券のバーコードを読み取り、クーポン券の長さ、角度又はエンコーダパルス間隔を確認して、駆動ユニット(13)の劣化度を判断してもよい。
【0059】
中央管理装置(300)は、駆動ユニット(13)の劣化及び交換の必要性を管理者に自動的に通知し、例えば、修理箇所を特定し、過去の保守点検履歴に基づく修理方法を管理者に提示してもよい。中央管理装置(300)は、S/N(信号雑音)比データより保証期間判定、交換履歴の表示、モータの動作回数からモータ交換の提示、搬送モータ(701)及び押込モータ(702)の数値から劣化を判定して、歯車の摩耗を判断、平均外気温度による劣化の進行度判定、返却エラーコードの内容と回数を確認してもよい。中央管理装置(300)は、エラーの内容と対策又は交換部品を登録して、修理の傾向を判断して、保守を早期に完了できる。
【0060】
本発明の紙葉類取扱装置を製造するとき、駆動ユニット(13)内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを駆動ユニット(13)に設ける。次に、駆動センサ(24)と物性記憶装置(25)とを有する駆動ユニット(13)を、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)の装着室(21)内に着脱自在に装着し、これにより、鑑別装置(2)内で紙葉を搬送する鑑別搬送通路(10)を駆動ユニット(13)に沿って形成する。
【0061】
従って、本発明の紙葉類取扱装置の劣化度表示法は、駆動ユニット(13)内の物理値を検出する単数又は複数の駆動センサ(24)と、駆動センサ(24)が検出する物理値を記憶する物性記憶装置(25)とを駆動ユニット(13)に設ける過程と、駆動センサ(24)と物性記憶装置(25)とを有する駆動ユニット(13)を、紙葉の真贋を鑑別する鑑別装置(2)内に着脱自在に装着する過程と、鑑別装置(2)内に形成される鑑別搬送通路(10)に沿って複数の紙葉を駆動ユニット(13)により搬送する過程と、物性記憶装置(25)に記憶される物理値を端末検索装置(401)により検索して、物理値を取り出す過程と、取り出した物理値を表示装置(404)に表示する過程とを含む。
【0062】
本発明の紙葉類取扱装置の劣化度表示法は、更に端末検索装置(401)により検索した物理値を特性比較装置(402)に入力する過程と、中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率曲線特性と特性比較装置(402)が受信した物理値とを比較し又は中央記憶装置(403)に記憶される駆動ユニット(13)の故障率近似関数に特性比較装置(402)が受信した物理値を代入する過程と、特性比較装置(402)により、駆動ユニット(13)の物理値に直近の交換時期を演算して、表示装置(404)に直近の交換時期を表示する過程とを含んでもよい。
【0063】
本発明の実施の形態では、駆動ユニット(13)の総作動時間の経過による摩滅、累積反復作動回数による疲労蓄積、反復過負荷による過電流損傷、高温環境下での熱損傷、異常な動作速度低下、異常な動作加速度低下、及び引掛かり(コギング)、空転及び滑りによる故障の検出法について説明したが、駆動ユニット(13)の他の機械的若しくは電気的故障、不具合又は動作不良を駆動センサ(24)により検出して、物性記憶装置(25)に記憶させて、故障時間又は故障回数が一定レベルを超えるとき、物性記憶装置(25)から警告信号を発生して、駆動ユニット(13)の交換を動機づけることができる。
【0064】
本発明の実施の形態は、変更が可能である。例えば、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)のモータ制御値の変動率が10%を超えるとき、歯車、ベルト又はローラの汚れ若しくは摩耗の発生と判断して、管理者に通知してもよい。また、一定トルクでモータを駆動するときの平均速度をエンコーダにより測定して、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の搬送負荷を数値化してもよい。別法として、モータの目標速度に達するまでの時間を測定して、鑑別搬送装置(5)又は収納搬送装置(6)の搬送負荷を数値化してもよい。また、紙葉類取扱装置(1)の出荷前に駆動ユニット(13)の物性記憶装置(25)に客先コード及び出荷日を書き込み、記憶させてもよい。紙葉類取扱装置(1)又は駆動ユニット(13)の保証期間を確定し、前記機器の中古品の転売を抑制できる。
【0065】
図示しないが、中央管理装置(300)は、紙葉類取扱装置(1)又は紙葉類取扱装置(1)を設置する施設の管理者の携帯端末に駆動ユニット(13)の物理値又は駆動ユニット(13)の交換を通知してもよい。紙葉類取扱装置(1)の管理者は、施設の管理者に駆動ユニット(13)の物理値を提示して、紙葉類取扱装置(1)の品質維持を証明できる。また、物性記憶装置(25)は、駆動ユニット(13)又は紙葉類取扱装置(1)の固有識別情報を記憶するので、物性記憶装置(25)に記憶される駆動ユニット(13)の物理値が異常値のとき、管理者は、駆動ユニット(13)又は紙葉類取扱装置(1)の実際の使用環境を調査できる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の紙葉類取扱装置は、紙幣等の紙葉を利用する種々の技術分野、例えば、ゲーム機、現金自動預払機、券売機、精算機又は自動販売機に使用することができる。また、本発明のゲーム機管理装置は、複数のゲーム機を管理する種々の技術分野、例えば、娯楽施設、遊技施設又はカジノ施設に使用することができる。
【符号の説明】
【0067】
(1)・・紙葉類取扱装置、 (2)・・鑑別装置、 (3)・・収納装置、 (5)・・鑑別搬送装置、 (6)・・収納搬送装置、 (8)・・動力伝達装置、 (10)・・鑑別搬送通路、 (11)・・鑑別センサ、 (12)・・判定装置、 (13)・・駆動ユニット、 (13a)・・底蓋、 (13b)・・フレーム、 (14)・・入口、 (20)・・ハウジング、 (21)・・装着室、 (23)・・ピニオン、 (24)・・駆動センサ、 (25)・・物性記憶装置、 (25a)・・接続装置、 (36)・・駆動ベルト、 (45)・・計時エンコーダ、 (46)・・入口ローラ、 (61a)・・待機室、 (62)・・押込装置、 (79)・・収納室、 (160)・・ヒンジ筒、 (161)・・枢軸支持部、 (200)・・ゲーム機、 (241)・・搬送カウンタ(搬送センサ)、 (242)・・搬送電流計(搬送センサ)、 (243)・・搬送温度センサ(搬送センサ)、 (244)・・搬送タイマ(搬送センサ)、 (245)・・搬送加速度センサ(搬送センサ)、 (246)・・搬送速度センサ(搬送センサ)、 (251)・・収納カウンタ(収納センサ)、 (252)・・収納電流計(収納センサ)、 (253)・・収納温度センサ(収納センサ)、 (254)・・収納タイマ(収納センサ)、 (255)・・収納加速度センサ(収納センサ)、 (256)・・収納速度センサ(収納センサ)、 (300)・・中央管理装置、 (361)・・前部駆動ベルト、 (362)・・後部駆動ベルト、 (701)・・搬送モータ、 (702)・・押込モータ、 (401)・・端末検索装置、 (402)・・特性比較装置、 (403)・・中央記憶装置、 (404)・・表示装置、 (405)・・入力装置
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6