(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000052
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】交通サービスの予約管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20231225BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20231225BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20231225BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q30/06 312
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098575
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上松 健治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
5L049BB53
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】各利用者にとって有益な交通サービスの予約管理を行う。
【解決手段】第1予約処理(1110)にて、第1端末装置から受信した第1対象者の第1予約依頼情報(620)に基づき第1対象者に対して交通サービスの利用予約を行う。第2予約処理(1120)にて、第2端末装置から受信した第2対象者の第2予約依頼情報(640)に基づき第2対象者に対して交通サービスの利用予約を行う。それらの予約処理の後、予約管理装置は割当変更処理を実行可能である。割当変更処理は、第1予約処理にて第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利を第2対象者に提供する権利提供処理(1140)と、第2対象者から徴収される優先利用料に基づく対価を第1対象者に付与する清算処理(1160)と、を含む。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通サービスの予約管理装置において、
第1端末装置から第1対象者による前記交通サービスの利用希望情報を含む第1予約依頼情報を受信し、且つ、第2端末装置から第2対象者による前記交通サービスの利用希望情報及び優先利用料の情報を含む第2予約依頼情報を受信する情報入力部と、
前記第1予約依頼情報に基づき前記第1対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第1予約処理、及び、前記第2予約依頼情報に基づき前記第2対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第2予約処理を実行する処理部と、備え、
前記処理部は、前記第1予約処理と前記第2予約処理とを実行した後に割当変更処理を実行可能に構成され、
前記割当変更処理は、前記第1予約処理にて前記第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記第2対象者に提供する権利提供処理と、前記第2対象者から徴収される前記優先利用料に基づく対価を前記第1対象者に付与する清算処理と、を含む
、予約管理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記第2予約処理での前記交通サービスの利用予約の内容と前記第2対象者の前記利用希望情報の内容とが相違するときに、前記割当変更処理を実行する
、請求項1に係る予約管理装置。
【請求項3】
前記割当変更処理において、前記処理部は、
複数の第1対象者に対する前記第1予約処理の結果と、前記第2対象者の前記利用希望情報と、前記第2対象者に対する前記第2予約処理の結果と、に基づき、前記複数の第1対象者の中から実提供者を選別し、
前記第1予約処理にて前記実提供者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記第2対象者に提供し、前記対価を前記実提供者に付与する
、請求項2に係る予約管理装置。
【請求項4】
前記割当変更処理において、前記処理部は、
各第1対象者に対する前記第1予約処理の結果と、複数の第2対象者の夫々の前記利用希望情報と、各第2対象者に対する前記第2予約処理の結果と、に基づき、前記複数の第1対象者の何れかを前記複数の第2対象者の何れかに対応付けるマッチング処理を実行し、
前記マッチング処理にて特定の第1対象者に対し2以上の第2対象者が対応付けられたとき、前記処理部は、前記2以上の第2対象者の何れかを被提供者として決定する被提供者決定処理を実行し、前記特定の第1対象者を前記被提供者に対する前記実提供者に設定して、前記第1予約処理にて前記実提供者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記被提供者に提供し、
前記被提供者決定処理において、前記処理部は 前記2以上の第2対象者についての各優先利用料に基づき前記被提供者を決定する
、請求項3に係る予約管理装置。
【請求項5】
前記マッチング処理において、前記処理部は、前記2以上の第2対象者についての各優先利用料の内、最大の優先利用料を特定し、前記2以上の第2対象者の内、前記最大の優先利用料に対応する第2対象者を前記被提供者として決定する
、請求項4に係る予約管理装置。
【請求項6】
各第2対象者の前記第2予約依頼情報は、前記交通サービスの優先利用の希望度合いを表す優先希望度の情報を含み、
前記被提供者決定処理において、前記処理部は 前記2以上の第2対象者についての各優先利用料及び各優先希望度に基づき前記被提供者を決定する
、請求項4に係る予約管理装置。
【請求項7】
前記被提供者決定処理において、前記処理部は、前記2以上の第2対象者についての各優先利用料の内、最大の優先利用料を特定し、前記最大の優先利用料に対応する第2対象者の総数が1である場合には前記最大の優先利用料に対応する第2対象者を前記被提供者として決定し、前記最大の優先利用料に対応する第2対象者の総数が2以上である場合には前記最大の優先利用料に対応する各第2対象者の優先希望度に基づき前記被提供者を決定する
、請求項6に係る予約管理装置。
【請求項8】
前記被提供者決定処理にて、前記最大の優先利用料に対応する第2対象者が第1優先利用依頼者及び第2優先利用依頼者から成る場合において、前記第1優先利用依頼者の優先希望度が前記第2優先利用依頼者の優先希望度よりも高いとき、前記処理部は前記第1優先利用依頼者を前記被提供者として決定し、前記第2優先利用依頼者の優先希望度が前記第1優先利用依頼者の優先希望度よりも高いとき、前記処理部は前記第2優先利用依頼者を前記被提供者として決定する
、請求項7に係る予約管理装置。
【請求項9】
前記第1対象者は、自身に割り当てられた交通機関の利用権利を他者に譲り渡すことを認容する人物を含む
、請求項1~8の何れかに係る予約管理装置。
【請求項10】
前記権利提供処理において、前記処理部は、前記第1予約処理にて前記第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利と、前記第2予約処理にて前記第2対象者に割り当てられた交通機関の利用権利と、を交換することで、前前記第1予約処理にて前記第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記第2対象者に提供する
、請求項1~8の何れかに係る予約管理装置。
【請求項11】
前記第1対象者及び前記第2対象者は各々に1以上の人物を含む
、請求項1~8の何れかに係る予約管理装置。
【請求項12】
交通サービスの予約管理方法において、
第1端末装置から第1対象者による前記交通サービスの利用希望情報を含む第1予約依頼情報を受信し、且つ、第2端末装置から第2対象者による前記交通サービスの利用希望情報及び優先利用料の情報を含む第2予約依頼情報を受信する情報入力工程と、
前記第1予約依頼情報に基づき前記第1対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第1予約処理、及び、前記第2予約依頼情報に基づき前記第2対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第2予約処理を実行する処理工程と、を有し、
前記処理工程において、前記第1予約処理と前記第2予約処理とを実行した後に割当変更処理を実行可能であり、
前記割当変更処理は、前記第1予約処理にて前記第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記第2対象者に提供する権利提供処理と、前記第2対象者から徴収される前記優先利用料に基づく対価を前記第1対象者に付与する清算処理と、を含む
、予約管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通サービスの予約管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通サービスの利用時において、利用者は希望通りに交通サービスを利用できないときがある。例えば交通サービスの需要が供給を上回るとき、利用者は、利用できる交通機関(タクシー等)に空きがでるまで待つ必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交通サービスの優先利用を望む利用者に対して優先的に交通機関を割り当てるといったことも検討されるが、この際、受益と負担のバランスをとることが肝要である。各利用者にとってメリットのある態様で交通機関の割り当て等を行うことが望ましい。
【0005】
本発明は、各利用者にとって有益な交通サービスの予約管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る交通サービスの予約管理装置は、第1端末装置から第1対象者による前記交通サービスの利用希望情報を含む第1予約依頼情報を受信し、且つ、第2端末装置から第2対象者による前記交通サービスの利用希望情報及び優先利用料の情報を含む第2予約依頼情報を受信する情報入力部と、前記第1予約依頼情報に基づき前記第1対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第1予約処理、及び、前記第2予約依頼情報に基づき前記第2対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第2予約処理を実行する処理部と、備え、前記処理部は、前記第1予約処理と前記第2予約処理とを実行した後に割当変更処理を実行可能に構成され、前記割当変更処理は、前記第1予約処理にて前記第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記第2対象者に提供する権利提供処理と、前記第2対象者から徴収される前記優先利用料に基づく対価を前記第1対象者に付与する清算処理と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、各利用者にとって有益な交通サービスの予約管理装置及び方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るシステムの概略全体構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る端末装置の概略ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係り、予約管理装置の内部構成と、システムの運用に関わる幾つかの端末装置及び各端末装置のユーザと、を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係り、システムの運用に関わる複数の人物の関係を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係り、システムの全体的な流れを表すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係り、利用者の登録工程における情報の流れを示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係り、利用登録者情報及び利用者保存情報の構成を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係り、提供可能者の登録工程における情報の流れを示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係り、提供可能者情報及び第1種保存情報の構成を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係り、優先利用の受付工程における情報の流れを示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係り、優先依頼情報及び第2種保存情報の構成を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係り、チェック工程、マッチング工程及び権利提供工程における情報の流れを示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係り、提供可能者及び優先利用依頼者間で、割り当てられるサービス車両が交換される様子を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態に係り、割当結果情報の構成を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係り、結果報告工程における情報の流れを示す図である。
【
図16】本発明の実施形態に係り、提供結果情報の構成を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態に係り、依頼結果情報の構成を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係り、会員ポイントに関するテーブルデータを示す図である。
【
図19】本発明の実施形態に係り、提供可能者に対応する各種情報に記号が割り当てられる様子を示す図である。
【
図20】本発明の実施形態に係り、優先利用依頼者に対応する各種情報に記号が割り当てられる様子を示す図である。
【
図21】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図22】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、提供可能者及び優先利用依頼者に対応する各種情報を示す図である。
【
図23】本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、マッチング処理にて成否が判断される第1~第3判定条件の概念図である。
【
図24】本発明の実施形態に属する第4実施例に係り、特定の提供可能者に対し、2以上の優先利用依頼者が対応付けられる様子を示す図である。
【
図25】本発明の実施形態に属する第7実施例に係り、予約管理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。
【0010】
図1に本発明の実施形態に係るシステムSYSの概略全体構成図を示す。システムSYSは予約管理装置100及びサービス業者側装置200を備える。
図1には複数の端末装置TMが示される。各端末装置TMは各端末装置TMの操作者により操作される電子機器である。例えば、スマートホン、タブレット又はパーソナルコンピュータ等を端末装置TMとして用いることができる。各端末装置TMはシステムSYSの構成要素に含まれないと解しても良いし、システムSYSの構成要素に含まれると解しても良い。
【0011】
予約管理装置100と各端末装置TMは所定の通信網NETを介して無線接続され、予約管理装置100と各端末装置TMとは通信網NETを介して互いに双方向通信が可能である。また、予約管理装置100とサービス業者側装置200は上記通信網NETを介して無線接続され、予約管理装置100とサービス業者側装置200とは通信網NETを介して互いに双方向通信が可能である。通信網NETは、インターネット、無線LAN(Local Area Network)及び近距離無線通信回線の内、全部又は一部を含む。無線LANは、例えばWi-Fi(登録商標)に準拠したものであって良い。近距離無線通信回線は、例えばBluetooth(登録商標)に準拠したものであって良い。通信網NETには無線通信システムが含まれ得る。ここにおける無線通信システムは、IMT-Advanced規格に準拠する無線通信システムを含み、例えば第4世代移動通信システムであって良い。
【0012】
予約管理装置100は利用者に提供されるべき交通サービスの予約等を行う。交通サービスにおいて、システムSYSの利用者は旅客となり、交通機関である乗り物に搭乗して出発地から目的地まで移動する。交通機関としての乗り物は、路面上を相当する車両及び線路上を走行する列車を含み、船舶又は飛行機であっても良い。路面上を相当する車両として、タクシー又はバス(デマンドバスを含む)が挙げられる。以下では、説明の具体化のため、特に記述無き限り、交通サービスにおける交通機関(乗り物)はタクシー等の車両(以下、サービス車両と称する)であることを想定する。但し、交通機関の種類は任意であって良い。
【0013】
図2に1つの端末装置TMの概略ブロック図を示す。システムSYSにおいて、任意の2つの端末装置TMは互いに異なる種類の端末装置であって良い。即ち例えば、或る端末装置TMはスマートホンであって、他の端末装置TMはパーソナルコンピュータであっても良い。或いは、任意の2つの端末装置TMは互いに異なる種類のスマートホンであっても良い。但し、以下の説明では、各端末装置TMが
図2に示す構成を有しているものとする。即ち、システムSYSにおける各端末装置TMは、符号510、520、530、540、550、560及び570により参照される各部位を備えるものとする。
【0014】
端末制御部510は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等を含む演算処理部510aをハードウェア資源として備え、端末装置TMの各部位の動作を統括的に制御する。演算処理部510aにおいてCPUとGPUが一体に形成されていても良い(例えばCPUにGPUが内蔵されていても良い)。
【0015】
メモリ520は、ROM(Read only memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、及び、RAM(Random access memory)等の揮発性メモリを含む。メモリ520の全部又は一部は端末制御部510に内蔵されたメモリであっても良い。
【0016】
カメラ530は、自身の撮影領域内の被写体を撮影し、撮影領域内の画像(以下撮影画像)の画像データを生成する。生成された画像データは端末制御部510に送られる。カメラ530において所定のフレーム周期で順次撮影が行われ、これにより時系列上に並ぶ複数の撮影画像が取得される。時系列上に並ぶ複数の撮影画像により動画像が形成される。
【0017】
通信処理部540は、端末装置TMの相手側装置との通信網NETを介した双方向通信を実現する。端末装置TMの相手側装置に予約管理装置100が含まれる。
【0018】
GPS処理部550は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信することで端末装置TMの位置(端末装置TMの現在地)を検出する。検出された端末装置TMの位置を端末位置と称し、端末位置を表す情報を端末位置情報と称する。端末位置情報はGPS処理部550から端末制御部510に送られる。或る端末装置TMの端末位置は、端末装置TMのユーザの現在地を表すと考えて良い。端末装置TMのユーザは端末装置TMの所持者又は操作者であり、端末装置TMに対応する人物とも表現され得る。
【0019】
日時情報取得部560は現在の日付及び時刻を示す日時情報を取得して端末制御部510に送る。日時情報取得部560は通信網NETを介して他の装置(不図示)から日時情報を取得しても良い。
【0020】
インターフェース部570は、端末装置TMと端末装置TMのユーザとの間のマンマシンインターフェースであり、表示画面571、操作部572、マイクロホン573及びスピーカ574を備える。表示画面571は液晶ディスプレイパネル等にて構成され、端末制御部510の制御の下で任意の画像を表示する。操作部572は端末装置TMのユーザから任意の操作の入力を受け付ける。表示画面571及び操作部572によりタッチパネルが構成されていても良く、操作部572への操作はタッチパネルに対する操作であっても良い。マイクロホン573は、マイクロホン573の周辺音を収音し、収音した音を電気信号に変換する。スピーカ574は端末制御部510の制御の下で任意の音を出力する。
【0021】
図3に、予約管理装置100の内部構成と、システムSYSの運用に関わる幾つかの端末装置及び各端末装置のユーザを示す。
【0022】
予約管理装置100は、データ入力対応部10、優先利用対応部20、優先利用管理部30及びデータ保持部40を備える。予約管理装置100は、通信網NETに対して無線又は有線で接続された1以上のコンピュータ装置(サーバ装置)にて構成される。予約管理装置100は、クラウドコンピューティングを利用して構成されるクラウドサーバであっても良い。
【0023】
データ入力対応部10は、データ受信部11、データ識別部12及びデータ書込部13を備える。優先利用対応部20は、データ読込部21、割当変更部22及び提供結果報告部23を備える。優先利用管理部30は、データ読込部31、データ解析部32、割当結果報告部33及びポイント更新部34を備える。データ保持部40は、磁気ディスク及び半導体メモリ等にて構成された不揮発性の記録媒体から成り、各種データを保持する。データ保持部40にはデータベース41~45が保持される。以下、データベースをDBと表記する。DB41は利用登録者DBである。DB42は提供可能者DBである。DB43は優先利用DBである。DB44は割当結果DBである。DB45はポイント情報DBである。
【0024】
システムSYSの利用者は、予め予約管理装置100に登録される。登録される利用者を利用登録者Aと称する。利用登録者Aに対応する端末装置TMを端末装置TM_Aと称する。利用登録者Aは端末装置TM_Aのユーザである。また予約管理装置100には提供可能者Bも登録される。提供可能者Bに対応する端末装置TMを端末装置TM_Bと称する。提供可能者Bは端末装置TM_Bのユーザである。
【0025】
利用登録者A及び提供可能者Bは夫々に1以上存在する。以下では、
図4に示す如く、特に記述無き限り、利用登録者A及び提供可能者Bは夫々に複数存在するものとする。各利用登録者Aに対して端末装置TM_Aが割り当てられ、各提供可能者Bに対して端末装置TM_Bが割り当てられる。何れかの利用登録者Aと何れかの提供可能者Bは同一人物である場合もある。
【0026】
利用登録者A、提供可能者Bは、端末装置TM_A、TM_Bを通じて、予約管理装置100に対し交通サービスの利用予約を行うよう依頼することができる。交通サービスの利用予約は、換言すれば交通機関の利用予約である。上記依頼を行う人物の種類として、第1種類と第2種類がある。第1種類の人物は、自身に割り当てられた交通機関の利用権利を他者に譲り渡すことを認容する人物である。提供可能者Bは第1種類の人物である又は第1種類の人物を含む。第2種類の人物は、交通サービスの優先利用を依頼する人物である。第2種類の人物を優先利用依頼者Cと称する。優先利用依頼者Cに対応する端末装置TMを端末装置TM_Cと称する。優先利用依頼者Cは端末装置TM_Cのユーザである。何れかの利用登録者Aが優先利用依頼者Cとなる。或る注目した利用登録者Aが優先利用依頼者Cとなるとき、当該注目した利用登録者Aの端末装置TM_Aが端末装置TM_Cとして機能する。
【0027】
優先利用依頼者Cは端末装置TM_Cを用いて、予約管理装置100に対し交通サービスの利用予約を行う。複数の利用登録者Aの内、2以上の人物が同時に優先利用依頼者Cになることもある。
【0028】
一方で、各提供可能者Bは、優先利用依頼者Cとは別に、自身の端末装置TM_Bを用いて予約管理装置100に対し交通サービスの利用予約を行う。予約管理装置100では、各提供可能者Bの依頼内容に従って交通サービスの利用予約を行うが、何れかの提供可能者Bに割り当てられた交通サービスの利用予約は、優先利用依頼者Cに提供されることがある。
【0029】
提供可能者Bに割り当てられた交通サービスの利用予約が優先利用依頼者Cに提供されるとは、提供可能者Bに割り当てられた交通機関の利用権利が優先利用依頼者Cに提供されることを指す。交通機関の利用権利の提供を、交通機関の利用権利の譲渡又は承継と読み替えても良い。或る注目した提供可能者Bに割り当てられた交通サービスの利用予約(交通機関の利用権利)が優先利用依頼者Cに提供(承継)されるとき、当該注目した提供可能者Bを実提供者Dと称する。実提供者Dは端末装置TM_Dのユーザである。或る注目した提供可能者Bが実提供者Dとなるとき、注目した提供可能者Bの端末装置TM_Bが端末装置TM_Dとして機能する。
【0030】
予約管理装置100において、優先利用依頼者Cによる依頼(交通サービスの優先利用の依頼)が認可されることもあるし、認可されないこともある。優先利用依頼者Cによる依頼が認可されることで、実提供者Dに割り当てられていた交通サービスの利用予約(交通機関の利用権利)が優先利用依頼者Cに提供されたとき、提供を受けた優先利用依頼者Cを特に被提供者Eと称する。被提供者Eは端末装置TM_Eのユーザである。或る注目した優先利用依頼者Cが被提供者Eとなるとき、注目した優先利用依頼者Cの端末装置TM_Cが端末装置TM_Eとして機能する。
【0031】
図5はシステムSYSの全体的な流れを表すフローチャートである。システムSYSにおいてステップS1~S10の各工程を実行できる。ステップS1では利用者の登録工程が実行される。ステップS2では提供可能者の登録工程が実行される。ステップS3では優先利用の依頼受付工程が実行される。ステップS4ではチェック工程が実行される。ステップS5ではマッチング工程が実行される。ステップS6では権利提供工程が実行される。ステップS7では結果報告工程が実行される。ステップS8では清算工程が実行される。ステップS9では実配車工程が実行される。ステップS10では標準対応工程が実行される。
【0032】
システムSYSにおいてステップS1~S9の工程を、この順番で実行できる。但し、ステップS4の工程の結果によっては、ステップS4の後、ステップS5~S9の各工程が行われることなく、ステップS10の工程のみが実行されることがある。また、ステップS6~S8の工程が実行されるとき、ステップS6~S8の工程の実行順序は任意に変更可能であり、それらを並行に実行しても良い。
【0033】
尚、所定のアプリケーションプログラム(以下、配車アプリと称する)が各端末装置TMに予めインストールされており、各端末装置TMの演算処理部510aにて配車アプリが実行可能であるとする。端末装置TMのユーザが配車アプリの実行中の端末装置TMを操作することで後述の任意の情報を端末装置TMから予約管理装置100に送信でき、且つ、予約管理装置100からの任意の情報を端末装置TMにて受信できる。以下、
図5の各ステップについて説明する。
【0034】
[ステップS1:利用者の登録工程]
まずステップS1にて実行される利用者の登録工程について説明する。利用者の登録工程では、複数の利用登録者Aが予約管理装置100に登録される。
図6に利用者の登録工程における情報の流れを示す。利用者の登録工程では、利用登録者情報600の送受信を経て利用者保存情報610がデータ保持部40に保存される。
【0035】
予約管理装置100に対し利用登録者Aとして登録することを希望する人物を、登録希望者A’と称する。登録希望者A’ごとに利用者の登録工程が実行されることで、各登録希望者A’が利用登録者Aとなる。具体的には、登録希望者A’は、自身に対応する端末装置TMを操作することで、当該端末装置TMから予約管理装置100に対して利用登録者情報600を送信させる。利用登録者情報600はデータ受信部11にて受信される。データ識別部12は、データ受信部11にて受信された情報が利用登録者情報600であるかを判別する。データ受信部11にて受信された情報が利用登録者情報600であると判別されると、データ書込部13は受信された利用登録者情報600を含む利用者保存情報610を利用登録者DB41に書き込む。これによって利用者保存情報610が利用登録者DB41に保存される。登録希望者A’に対応する利用者保存情報610が利用登録者DB41に保存されることで、登録希望者A’が利用登録者Aとして予約管理装置100に登録及び管理される、以後、登録希望者A’は予約管理装置100にて利用登録者Aとして識別されると共に、登録希望者A’に対応する端末装置TMは端末装置TM_Aとして機能する。
【0036】
図7に利用登録者情報600及び利用登録者DB41内の利用者保存情報610の構成を示す。登録希望者A’が利用登録者Aと等しいと考えて、利用登録者情報600を説明する。利用登録者情報600は、利用登録者Aの氏名、住所、年齢及び性別を含む個人情報601と、利用登録者Aが指定した金融機関に関する情報602と、利用登録者Aの連絡先を表す情報603と、を含む。
【0037】
任意の注目人物がシステムSYSを利用して交通サービスの予約等を行う際、当該注目人物はサービス利用料を支払うことがある。この際、注目人物は、サービス利用料を通貨にて支払うことができる。或る利用登録者Aが注目人物であるとき、当該利用登録者Aの情報602にて示される金融機関の口座からサービス利用料の支払いが決済される。ここにおける通貨は法定通貨又は仮想通貨である。仮想通貨は電子マネーに分類されるものであっても良い。尚、予約管理装置100ではシステムSYS内で流通するポイント(以下、会員ポイントと称する)が管理される。任意の注目人物は、自身が所持する会員ポイントでサービス利用料の支払いを行うこともできる。
【0038】
情報603は、予約管理装置100が利用登録者Aに対して任意の情報を伝達する際における利用登録者Aの連絡先を表す。利用登録者Aの端末装置TM_Aに割り当てられた電話番号若しくはメールアドレス、又は、端末装置TM_Aにて実行されるインスタントメッセンジャーのアカウント情報などが情報603に該当する。予約管理装置100が情報603の連絡先に向けて発信した情報は、端末装置TM_Aを通じて利用登録者Aに伝わり、利用登録者Aが優先利用依頼者C、被提供者Eであるならば、端末装置TM_C、TM_Eを通じて優先利用依頼者C、被提供者Eに伝わる。尚、予約管理装置100からの情報の発信は、情報の送信又は出力と同義である。
【0039】
登録希望者A’が利用登録者Aとして登録されるための手続きの中で、データ入力対応部10は、登録希望者A’(従って利用登録者A)に対し固有の会員IDを割り当て且つパスワードを設定する。利用者保存情報610は(
図7参照)、ここで割り当てられた会員IDを表す情報611及び設定されたパスワードを表す情報612を含み、更に、利用登録者情報600中の情報601~603を含む。また、利用者保存情報610は利用者保存情報610自体の更新日時を表す情報613を含む。予約管理装置100において、利用登録者DB41内の利用者保存情報610が更新されるたびに情報613が更新される。
【0040】
[ステップS2:提供可能者の登録工程]
次にステップS2にて実行される提供可能者の登録工程について説明する。提供可能者の登録工程では、複数の提供可能者Bが予約管理装置100に登録される。
図8に提供可能者の登録工程における情報の流れを示す。提供可能者の登録工程では、提供可能者情報620の送受信を経て第1種保存情報630がデータ保持部40に保存される。
【0041】
予約管理装置100に対し提供可能者Bとして登録することを希望する人物を、登録希望者B’と称する。登録希望者B’ごとに提供可能者の登録工程が実行されることで、各登録希望者B’が提供可能者Bとなる。具体的には、登録希望者B’は、自身に対応する端末装置TMを操作することで、当該端末装置TMから予約管理装置100に対して提供可能者情報620を送信させる。提供可能者情報620はデータ受信部11にて受信される。データ識別部12は、データ受信部11にて受信された情報が提供可能者情報620であるかを判別する。データ受信部11にて受信された情報が提供可能者情報620であると判別されると、データ書込部13は受信された提供可能者情報620を含む第1種保存情報630を提供可能者DB42に書き込む。これによって、第1種保存情報630が提供可能者DB42に保存される。第1種保存情報630は提供可能者Bに関する保存情報である。登録希望者B’に対応する第1種保存情報630が提供可能者DB42に保存されることで、登録希望者B’が提供可能者Bとして予約管理装置100に登録及び管理される。以後、登録希望者B’は予約管理装置100にて提供可能者Bとして識別されると共に、登録希望者B’に対応する端末装置TMは端末装置TM_Bとして機能する。
【0042】
図9に提供可能者情報620及び提供可能者DB42内の第1種保存情報630の構成を示す。登録希望者B’が提供可能者Bと等しいと考えて、提供可能者情報620を説明する。提供可能者情報620は、提供可能者Bの氏名、住所、年齢及び性別を含む個人情報621と、提供可能者Bが指定した金融機関に関する情報622と、提供可能者Bの連絡先を表す情報623と、を含む。
【0043】
上述したように、任意の注目人物がシステムSYSを利用して交通サービスの予約等を行う際、当該注目人物はサービス利用料を支払うことがある。この際、注目人物は、サービス利用料を通貨にて支払うことができる。或る提供可能者Bが注目人物であるとき、当該提供可能者Bの情報622にて示される金融機関の口座からサービス利用料の支払いが決済される。
【0044】
情報623は、予約管理装置100が提供可能者Bに対して任意の情報を伝達する際における提供可能者Bの連絡先を表す。提供可能者Bの端末装置TM_Bに割り当てられた電話番号若しくはメールアドレス、又は、端末装置TM_Bにて実行されるインスタントメッセンジャーのアカウント情報などが情報623に該当する。予約管理装置100が情報623の連絡先に向けて発信した情報は、端末装置TM_Bを通じて提供可能者Bに伝わり、提供可能者Bが実提供者Dであるならば端末装置TM_Dを通じて実提供者Dに伝わる。
【0045】
提供可能者情報620は更に情報624を含む。情報624は提供可能者Bによる交通サービスの利用希望情報であり、以下、利用予約情報624とも称される。利用予約情報624は提供可能者Bが交通サービスをどのような条件で利用することを希望するのかを表す。具体的には、提供可能者Bの希望出発日時、出発地及び目的地を示す情報が利用予約情報624に含められる。利用予約情報624における出発地及び目的地は、提供可能者Bに対して割り当てられたサービス車両にて提供可能者Bが移動するときの、提供可能者Bの出発地及び目的地を表す。利用予約情報624における希望出発日時は、サービス車両により利用予約情報624で指定された出発地から、提供可能者Bが出発する希望の日時を表す。
【0046】
提供可能者Bは端末装置TM_Bを操作することで利用予約情報624を任意に指定できる。提供可能者Bは希望出発日時を任意に指定しても良いし、即時利用を指定しても良い。即時利用が指定されたとき、希望出発日時は現在日時に設定される又は現在日時から所定の微小時間だけ後の日時であるとみなされる。現在日時は端末装置TM_Bの日時情報取得部560(
図2参照)より取得され得る。提供可能者Bは自身の現在地を出発地に設定することもでき、この場合、端末装置TM_BのGPS処理部550から得られる端末位置情報(
図2参照)に基づき出発地が設定されて良い。
【0047】
登録希望者B’が提供可能者Bとして登録されるための手続きの中で、データ入力対応部10は、登録希望者B’(従って提供可能者B)に対し固有の会員IDを割り当て且つパスワードを設定する。第1種保存情報630は(
図9参照)、ここで割り当てられた会員IDを表す情報631及び設定されたパスワードを表す情報632を含み、更に、提供可能者情報620中の情報621~624を含む。
【0048】
図9に示す如く、第1種保存情報630は情報633を含む。情報633は予約順位情報であって、交通サービスの予約の優先順位を表す。具体的には、予約順位情報633は交通サービスの予約発生日時を表す、即ちステップS2にて提供可能者Bに対し交通サービスの利用予約が行われた日時(後述の第1予約処理の実行日時)を表し、その日時が早いほど交通サービスの予約の優先順位は高い。但し、一旦設定された予約順位情報633は後に更新され得る(詳細は後述)。
【0049】
また、ステップS2での登録工程では第1予約処理が実行される(
図5参照)。データ入力対応部10にて第1予約処理が実行される。第1予約処理において、データ入力対応部10は、提供可能者Bからの提供可能者情報620(特に利用希望情報624)に基づき提供可能者Bに対して交通サービスの利用予約(換言すれば交通機関の利用予約)を行う。予約管理装置100はシステムSYS内で運用される各サービス車両の運行スケジュールを把握している。第1予約処理では、各サービス車両の運行スケジュールに基づき、システムSYS内で運用される複数のサービス車両の中から、利用希望情報624に従って運行可能なサービス車両を探索する。この際、利用希望情報624に完全に沿うことのできるサービス車両が存在しない場合、利用希望情報624をなるだけ充足できるサービス車両を探索する。第1予約処理において、探索されたサービス車両は配車予約車両として提供可能者Bに割り当てられる。
【0050】
第1種保存情報630に含められる情報634は予約車両情報である。予約車両情報634は、提供可能者Bに割り当てられた配車予約車両を識別する車両IDを表す。第1種保存情報630に含められる情報635は輸送予約情報である。輸送予約情報635は、提供可能者Bに割り当てられた配車予約車両の予約出発日時、出発地及び目的地を指し示す。配車予約車両の予約出発日時は、配車予約車両が出発する予定の日時であって且つ予約された出発日時である。輸送予約情報635における予約出発日時、出発地及び目的地が利用希望情報624における希望出発日時、出発地及び目的地と一致することを目指して第1予約処理が実行されるが、それらは一致する場合もあるし、一致しない場合もある。第1予約処理の直後においては第1予約処理の結果が情報634及び635に反映されるが、後の権利提供処理により情報634及び635の内容は更新され得る。
【0051】
また、第1種保存情報630は第1種保存情報630自体の更新日時を表す情報636を含む(
図9参照)。予約管理装置100において、提供可能者DB42内の第1種保存情報630が更新されるたびに情報636が更新される。
【0052】
尚、一人の人物が利用登録者Aであると同時に提供可能者Bである場合、当該一人の人物に対して単一の会員IDが割り当てられて良く、且つ、当該一人の人物に対して共通のパスワードが設定されて良い。この場合、当該一人の人物に対する会員IDの情報611及び631は互いに同じとなり、当該一人の人物に対するパスワードの情報612及び632は互いに同じとなる。
【0053】
[ステップS3:優先利用の依頼受付工程]
次にステップS3にて実行される優先利用の依頼受付工程について説明する。優先利用の依頼受付工程では、優先利用依頼者Cによる交通サービスの利用予約の依頼を受け付ける。優先利用依頼者Cは、上述したように交通サービスの優先利用を依頼する人物である。
図10に優先利用の依頼受付工程における情報の流れを示す。優先利用の依頼受付工程では、優先依頼情報640の送受信を経て第2種保存情報650がデータ保持部40に保存される。
【0054】
登録された複数の利用登録者Aの内、何れかの利用登録者Aが優先利用依頼者Cとなる(
図4参照)。優先利用依頼者Cは端末装置TM_Cを操作することで、優先依頼情報640を端末装置TM_Cに入力し且つ優先依頼情報640を端末装置TM_Cから予約管理装置100に送信させる。優先依頼情報640はデータ受信部11にて受信される。優先依頼情報640は、交通サービスの優先利用の依頼を伴う情報である。データ識別部12は、データ受信部11にて受信された情報が優先依頼情報640であるかを判別する。データ受信部11にて受信された情報が優先依頼情報640であると判別されると、データ書込部13は受信された優先依頼情報640を含む第2種保存情報650を優先利用DB43に書き込む。これによって第2種保存情報650が優先利用DB43に保存される。第2種保存情報650は優先利用依頼者Cに関する保存情報である。
【0055】
図11に優先依頼情報640及び優先利用DB43内の第2種保存情報650の構成を示す。優先依頼情報640は優先利用依頼者Cの会員IDを表す情報641を含む。予約管理装置100は情報641に基づき優先利用依頼者Cが何れの利用登録者Aであるのかを特定する。
【0056】
優先依頼情報640は更に情報642を含む。情報642は優先利用依頼者Cによる交通サービスの利用希望情報であり、以下、利用予約情報642とも称される。利用予約情報642は優先利用依頼者Cが交通サービスをどのような条件で利用することを希望するのかを表す。具体的には、優先利用依頼者Cの希望出発日時、出発地及び目的地を示す情報が利用予約情報642に含められる。利用予約情報642における出発地及び目的地は、優先利用依頼者Cに対して割り当てられたサービス車両にて優先利用依頼者Cが移動するときの、優先利用依頼者Cの出発地及び目的地を表す。利用予約情報642における希望出発日時は、サービス車両により利用予約情報642で指定された出発地から、優先利用依頼者Cが出発する希望の日時を表す。
【0057】
優先利用依頼者Cは端末装置TM_Cを操作することで利用予約情報642を任意に指定できる。優先利用依頼者Cは希望出発日時を任意に指定しても良いし、即時利用を指定しても良い。即時利用が指定されたとき、希望出発日時は現在日時に設定される又は現在日時から所定の微小時間だけ後の日時であるとみなされる。現在日時は端末装置TM_Cの日時情報取得部560(
図2参照)より取得され得る。優先利用依頼者Cは自身の現在地を出発地に設定することもでき、この場合、端末装置TM_CのGPS処理部550から得られる端末位置情報(
図2参照)に基づき出発地が設定されて良い。
【0058】
優先依頼情報640は更に情報643及び644を含む。情報643は優先利用料を表し、情報644は優先希望度を表す。優先利用依頼者Cは優先依頼情報640を端末装置TM_Cから送信させる際に、優先利用料及び優先希望度を自由に設定できる。優先利用料及び優先希望度が本システムSYSにおいてどのように機能するかについては後の説明から明らかとなる。
【0059】
第2種保存情報650は優先依頼情報640中の情報641~644を含み、更に情報651を含む。情報651は予約順位情報であって、交通サービスの予約の優先順位を表す。具体的には、予約順位情報651は交通サービスの予約発生日時を表す、即ちステップS3にて優先利用依頼者Cに対して交通サービスの利用予約が行われた日時(後述の第2予約処理の実行日時)を表し、その日時が早いほど交通サービスの予約の優先順位は高い。但し、一旦設定された予約順位情報651は後に更新され得る(詳細は後述)。
【0060】
また、ステップS3の依頼受付工程では第2予約処理が実行される(
図5参照)。データ入力対応部10にて第2予約処理が実行される。第2予約処理において、データ入力対応部10は、優先利用依頼者Cからの優先依頼情報640(特に利用希望情報642)に基づき優先利用依頼者Cに対して交通サービスの利用予約(換言すれば交通機関の利用予約)を行う。予約管理装置100はシステムSYS内で運用される各サービス車両の運行スケジュールを把握している。第2予約処理では、各サービス車両の運行スケジュールに基づき、システムSYS内で運用される複数のサービス車両の中から、利用希望情報642に従って運行可能なサービス車両を探索する。この際、利用希望情報642に完全に沿うことのできるサービス車両が存在しない場合、利用希望情報642をなるだけ充足できるサービス車両を探索する。第2予約処理において、探索されたサービス車両は配車予約車両として優先利用依頼者Cに割り当てられる。
【0061】
第2種保存情報650に含められる情報652は予約車両情報である。予約車両情報652は、優先利用依頼者Cに割り当てられた配車予約車両を識別する車両IDを表す。第2種保存情報650に含められる情報653は輸送予約情報である。輸送予約情報653は、優先利用依頼者Cに割り当てられた配車予約車両の予約出発日時、出発地及び目的地を指し示す。配車予約車両の予約出発日時は、配車予約車両が出発する予定の日時であって且つ予約された出発日時である。輸送予約情報653における予約出発日時、出発地及び目的地が利用希望情報642における希望出発日時、出発地及び目的地と一致することを目指して第2予約処理が実行されるが、それらは一致する場合もあるし、一致しない場合もある。第2予約処理の直後においては第2予約処理の結果が情報652及び653に反映されるが、後の権利提供処理により情報652及び653の内容は更新され得る。
【0062】
また、第2種保存情報650は第2種保存情報650自体の更新日時を表す情報654を含む(
図11参照)。予約管理装置100において、優先利用DB43内の第2種保存情報650が更新されるたびに情報654が更新される。
【0063】
[ステップS4:チェック工程]
次にステップS4にて実行されるチェック工程について説明する。チェック工程は優先利用対応部20により実行される。
図12に、ステップS4のチェック工程、ステップS5のマッチング工程及びステップS6の権利提供工程における情報の流れを示す。
【0064】
第2種保存情報650が新たに優先利用DB43に書き込まれたことを契機に(即ち優先利用DB43が更新されると)、データ読込部21は、提供可能者DB42内の第1種保存情報630を読み出すと共に優先利用DB43内の第2種保存情報650を読み出す。ステップS4において、チェック工程に係る優先利用対応部20は、第2予約処理での交通サービスの利用予約の内容と優先利用依頼者Cの利用希望情報642の内容とが一致しているかを判断する。これは、優先利用依頼者Cの希望通りの交通サービスを予約できたかを判断することに等しい。ステップS4での判断が肯定である場合には(ステップS4のY)ステップS10に進む一方、ステップS4での判断が否定である場合には(ステップS4のN)ステップS5に進む。ステップS5に進んだ場合に、特徴的な動作が実行される。
【0065】
ステップS5に進む場合の典型例を
図13に示す。
図13の例では、第1予約処理にて提供可能者Bに対して提供可能者Bの希望通りのサービス車両801(例えば15:00出発予定の車両)の配車が予約される。その後、優先利用依頼者Cに対して第2予約処理が実行されるが、サービス車両の需要が供給を上回ることにより、優先利用依頼者Cの希望通りのサービス車両(例えば15:00出発予定の車両)を手配できず、代わりにサービス車両802(例えば15:30出発予定のサービス車両)の配車が予約される。
図13の例において、サービス車両801が優先利用依頼者Cに割り当てられたならばサービス車両801は優先利用依頼者Cの希望通りに運行可能であるが、サービス車両802は、運行スケジュール上、優先利用依頼者Cの希望通りには運行できない。このような場合、ステップS5及びS6の工程を通じて提供可能者B及び優先利用依頼者C間の予約内容を入れ替える。結果、提供可能者Bはサービス車両802を利用し、優先利用依頼者Cはサービス車両801を利用する。
【0066】
以下、特に記述なき限り、ステップS5に進んだ場合を想定してシステムSYSの動作を説明する。
【0067】
[ステップS5:マッチング工程]
ステップS5にて実行されるマッチング工程について説明する。マッチング工程は優先利用対応部20により実行される。マッチング工程において優先利用対応部20はマッチング処理を実行する。マッチング処理では、何れかの提供可能者Bと何れかの優先利用依頼者Cとを対応付け、対応付けの結果に基づき実提供者D及び被提供者Eを選別する(換言すれば、実提供者D及び被提供者Eの組み合わせを決定する;
図5参照)。
【0068】
割当変更部22にてマッチング処理を実行することができる。マッチング処理では、データ読込部21にて読み出された第1種保存情報630及び第2種保存情報650に基づき、提供可能者Bと優先利用依頼者Cとのマッチング(対応付け)が行われる。ステップS5に至る場合、ステップS3の段階では優先利用依頼者Cの希望通りの交通サービスが予約できていない。マッチング処理では、優先利用依頼者Cの希望通り又は優先利用依頼者Cの希望に極力沿った配車予約車両が割り当てられている提供可能者Bを優先利用依頼者Cに対応付ける。優先利用依頼者Cが複数存在する場合には、優先利用依頼者Cごとに提供可能者Bが対応付けられる。
【0069】
第1種保存情報630(
図9参照)には、提供可能者Bの利用希望情報624が含まれ、且つ、第1予約処理の結果を示す情報(634及び635)が含まれる。第2種保存情報650(
図11参照)には、優先利用依頼者Cの利用希望情報642が含まれ、且つ、第2予約処理の結果を示す情報(652及び653)が含まれる。
【0070】
このため、一人の優先利用依頼者Cに注目したマッチング処理は、各提供可能者Bの利用希望情報624と、各提供可能者Bに対する第1予約処理の結果と、優先利用依頼者Cの利用希望情報642と、優先利用依頼者Cに対する第2予約処理の結果と、に基づき実行されて良い(但し、各提供可能者Bの利用希望情報624の参照は必須ではない)。複数の優先利用依頼者Cに注目したマッチング処理は、各提供可能者Bの利用希望情報624と、各提供可能者Bに対する第1予約処理の結果と、各優先利用依頼者Cの利用希望情報642と、各優先利用依頼者Cに対する第2予約処理の結果と、に基づき実行されて良い(但し、各提供可能者Bの利用希望情報624の参照は必須ではない)。
【0071】
或る一人の優先利用依頼者Cに注目したとき、マッチング処理において、注目された優先利用依頼者Cに対応付けられた提供可能者Bは実提供者Dとなる。即ち、マッチング処理では、何れかの提供可能者Bが実提供者Dとして選別され、この際、注目された優先利用依頼者Cは被提供者Eとなる。
【0072】
[ステップS6:権利提供工程]
ステップS5に続くステップS6の権利提供工程では、割当変更部22により権利提供処理が実行される。ステップS5にて実提供者D及び被提供者Eが選別及び決定されると、割当変更部22は、権利提供処理にて実提供者Dに対する交通サービスの利用予約を被提供者Eに提供(譲渡)する。即ち、第1予約処理にて実提供者Dとしての提供可能者Bに割り当てられた交通機関の利用権利を、権利提供処理にて被提供者Eに提供する(換言すれば承継させる)。この際、交通機関の利用権利の内容が実提供者D及び被提供者E間で交換される。
【0073】
即ち、実提供者Dである提供可能者Bの現在の予約順位情報633及び予約車両情報634(
図9)と、被提供者Eである優先利用依頼者Cの現在の予約順位情報651及び予約車両情報652(
図11)とを、権利提供処理にて交換する。この交換に伴い、実提供者Dの輸送予約情報635中の予約出発日時は、交換後の予約車両情報634にて示される配車予約車両のスケジュールに沿ったものに更新される。この交換に伴い、被提供者Eの輸送予約情報653中の予約出発日時は、交換後の予約車両情報652にて示される配車予約車両のスケジュールに沿ったものに更新される。これらの更新は割当変更部22にて行われて良い。割当変更部22は、権利提供処理による交換の結果が反映されるようDB42及び43内の情報を更新する。
【0074】
更に、割当変更部22は、権利提供処理の内容を示す割当結果情報660を割当結果DB44に保存する。
図14に割当結果情報660の構成を示す。割当結果情報660は情報661~666を含む。情報661は割当結果情報660の固有識別情報である割当管理IDを表す。情報662は権利提供処理の対象となった提供可能者B(実提供者D)の会員IDを表し、情報663は権利提供処理の対象となった優先利用依頼者C(被提供者E)の会員IDを表す。情報664及び665は、権利提供処理の対象となった交通サービスの出発地及び目的地を表す。情報666は割当結果情報660自体の更新日時を表す。
【0075】
[ステップS7:結果報告工程]
ステップS7にて実行される結果報告工程について説明する。
図15に結果報告工程における情報の流れを示す。結果報告工程において、提供結果報告部23は、実提供者Dの端末装置TM_Dに対して提供結果情報670を送信する。端末装置TM_Dの表示画面571にて提供結果情報670が表示される。
【0076】
図16に提供結果情報670の構成を示す。提供結果情報670は情報671~674を含む。情報671は実提供者Dの会員IDを表す。情報672は最終的に実提供者Dに割り当てられた予約車両情報を表す。情報673は実提供者Dの輸送の予約内容を表す輸送予約情報である。予約車両情報672及び輸送予約情報673は、権利提供処理の後に実提供者Dに割り当てられている予約車両情報634及び輸送予約情報635(
図9参照)と一致する。故に、
図13の例では、予約車両情報672はサービス車両802の利用予約が行われていることを指し示し、実提供者Dは予約車両情報672及び輸送予約情報673に従ってサービス車両802(元々は優先利用依頼者Cが利用する予定だったサービス車両)を利用する。情報674は、実提供者Dに元々割り当てられていた予約内容が他者に承継された(譲り渡された)ことを指し示す提供情報である。
【0077】
一方、割当結果情報660が新たに割当結果DB44に書き込まれたことを契機に(即ち割当結果DB44が更新されると)、データ読込部31は、割当結果DB44内の割当結果情報660を読み出すと共に優先利用DB43内の第2種保存情報650を読み出す。結果報告工程において、データ解析部32は、データ読込部31にて読みされた割当結果情報660及び第2種保存情報650に基づき、権利提供処理の対象となった優先利用依頼者C(即ち被提供者E)を特定する。結果報告工程において、割当結果報告部33は、特定された優先利用依頼者Cである被提供者Eの端末装置TM_Eに対して依頼結果情報680を送信する。端末装置TM_Eの表示画面571にて依頼結果情報680が表示される。
【0078】
図17に依頼結果情報680の構成を示す。依頼結果情報680は情報681~684を含む。情報681は被提供者Eの会員IDを表す。情報682は最終的に被提供者Eに割り当てられた予約車両情報を表す。情報683は被提供者Eの輸送の予約内容を表す輸送予約情報である。予約車両情報682及び輸送予約情報683は、権利提供処理の後に被提供者Eに割り当てられている予約車両情報652及び輸送予約情報653(
図11参照)と一致する。故に、
図13の例では、予約車両情報682はサービス車両801の利用予約が行われていることを指し示し、被提供者Eは予約車両情報682及び輸送予約情報683に従ってサービス車両801(元々は提供可能者Bが利用する予定だったサービス車両)を利用する。情報684は、他者(実提供者D)に元々割り当てられていた予約内容が被提供者Eに承継された(譲り渡された)ことを指し示す被提供情報である。
【0079】
このように、結果報告工程では、実提供者Dの端末装置TM_Dに対して提供結果情報670を送信する処理と、被提供者Eの端末装置TM_Eに対して依頼結果情報680を送信する処理と、を含む結果報告処理が実行される。
【0080】
[ステップS8:清算工程]
上述したように、予約管理装置100ではシステムSYS内で流通する会員ポイントが管理される。会員ポイントは会員ごとに設定され、
図18に示す如く、会員ポイントに関するテーブルデータ700がポイント情報DB45に保存されている。利用登録者A及び提供可能者Bは会員である。各会員の会員IDに対応付けられる態様で、各会員の会員ポイントを表す情報をテーブルデータ700に格納しておけば良い。会員ポイントに対して有効期限が定められ、テーブルデータ700では会員ごとに会員ポイントの有効期限が示される。また、テーブルデータ700では、会員ごとに会員ポイントの更新日時を示す情報が格納される。
【0081】
ステップS8の清算工程では、ポイント更新部34により清算処理が実行される。清算処理において、ポイント更新部34は、実提供者Dとなった提供可能者Bの会員ポイントが増加するようテーブルデータ700を更新する(具体例は後述)。同一の提供可能者Bが、2回以上、実提供者Dとなった場合、1回だけ実提供者Dとなる場合と比べて、1回当たりの会員ポイントの増加量を大きくする割増処理を行うようにしても良い。
【0082】
[ステップS9:実配車工程]
予約管理装置100はデータ保持部40に保持されている情報に基づき、提供可能者B及び優先利用依頼者Cに対してサービス車両が配車されるよう、サービス業者側装置200に必要な情報を送信する。予約管理装置100からサービス業者側装置200に対し、第1種保存情報630の全部又は一部及び第2種保存情報650の全部又は一部が送信されて良い。
【0083】
ステップS9の実配車工程において、サービス業者側装置200は、予約管理装置100から受信した情報に基づき、提供可能者B及び優先利用依頼者Cに対してサービス車両の配車を行う。
図13の例では、サービス業者側装置200は、第1種保存情報630中の予約車両情報634及び輸送予約情報635に従ってサービス車両802を提供可能者B(実提供者D)に配車し、第2種保存情報650中の予約車両情報652及び輸送予約情報653に従ってサービス車両801を優先利用依頼者C(被提供者E)に配車する。
【0084】
尚、実配車工程を経て実際にサービス車両が運行された後において、又は、ステップS9の清算工程において、予約管理装置100及び200と金融機関側の装置(不図示)とが連携して、サービス利用料の決済が行われる。任意の注目人物が支払うべきサービス利用料は、当該注目人物が交通機関を利用して移動する際の運賃を含み、当該注目人物が優先利用依頼者Cであるときには優先利用料を含み得る。
【0085】
[ステップS10:標準対応工程]
ステップS10の標準対応工程では、第1及び第2予約処理の結果に従って提供可能者B及び優先利用依頼者Cの夫々にサービス車両が配車される。この場合にも、実際にサービス車両が運行された後には(又はその前に)、予約管理装置100及び200と金融機関側の装置(不図示)とが連携して、サービス利用料の決済が行われる。
【0086】
<<対応記号の定義>>
図19及び
図20を参照する。以下では、説明の具体化のため、以下のように各種の情報等に対して記号を対応付ける。システムSYSの会員には第1~第mの提供可能者B及び第1~第nの優先利用依頼者Cが含まれる。m及びnは2以上の整数であるとする(但し、“m=1”、“n=1”であり得て良い)。第iの提供可能者Bを提供可能者B[i]と称し、第iの優先利用依頼者Cを優先利用依頼者C[i]と称する。iは任意の自然数を表す。
【0087】
提供可能者B[i]の利用希望情報624にて示される希望出発日時、出発地、目的地を、夫々、記号J1_B[i]、J2_B[i]、J3_B[i]にて参照する。提供可能者B[i]の予約順位情報633及び予約車両情報634を、夫々、記号J4_B[i]、J5_B[i]にて参照する。提供可能者B[i]の輸送予約情報635にて示される予約出発日時、出発地、目的地を、夫々、記号J6_B[i]、J7_B[i]、J8_B[i]にて参照する。出発地J2_B[i]が示す地点と出発地J7_B[i]が示す地点は等しい。目的地J3_B[i]が示す地点と目的地J8_B[i]が示す地点は等しい。希望出発日時J1_B[i]と予約出発日時J6_B[i]は一致することもあるし、相違することもある。
【0088】
優先利用依頼者C[i]の利用希望情報642にて示される希望出発日時、出発地、目的地を、夫々、記号J1_C[i]、J2_C[i]、J3_C[i]にて参照する。優先利用依頼者C[i]の予約順位情報651及び予約車両情報652を、夫々、記号J4_C[i]、J5_C[i]にて参照する。優先利用依頼者C[i]の輸送予約情報653にて示される予約出発日時、出発地、目的地を、夫々、記号J6_C[i]、J7_C[i]、J8_C[i]にて参照する。出発地J2_C[i]が示す地点と出発地J7_C[i]が示す地点は等しい。目的地J3_C[i]が示す地点と目的地J8_C[i]が示す地点は等しい。希望出発日時J1_C[i]と予約出発日時J6_C[i]は一致することもあるし、相違することもある。
【0089】
尚、説明の簡略化上、以下では単一の日付にのみ注目し、以下に示す時刻は単一の日付における時刻であるとする。故に、以下では、日時の具体例として時刻のみを記載する。また、本実施形態では時刻を24時間表記で表す。従って例えば、9時30分又は9:30は午前9時30分を表し、15時30分又は15:30は午後3時30分を表す。単一の日付のみに注目した場合、出発日時は出発時刻と等価である。
【0090】
上述の各動作を基本としつつ、以下に示される複数の実施例の中で、システムSYSに関わる幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0091】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、提供可能者B[1]と優先利用依頼者C[1]にのみ注目する。
図21は、第1実施例に係るシステムSYSの動作の流れを示すシーケンス図である。
図22は、提供可能者B[1]及び優先利用依頼者C[1]に関わる情報を示す図である。時間経過と共に、時刻t11、t12、t13、t14、この順番で訪れるものとする。時刻t11、t12、t13、t14は、例えば、夫々、9:00、9:30、11:00、11:30である。
【0092】
図21の例では、第1予約処理1110及び第2予約処理1120の後、それらの予約内容の変更を伴う割当変更処理が実行される。割当変更処理は後述の処理1130、1140、1150及び1160を含む。但し、処理1130及び1140にて割当変更処理が構成されると考えても良い。
【0093】
時刻t11において、提供可能者B[1]の端末装置TM_Bから提供可能者B[1]の提供可能者情報620が予約管理装置100に送信され、これを受けて予約管理装置100にて提供可能者情報620に基づく第1予約処理1110が実行される。第1予約処理1110にて提供可能者B[1]に対し交通サービスの利用予約が行われ、サービス車両CR1が配車予約車両として提供可能者B[1]に割り当てられる。
【0094】
ここで、提供可能者B[1]の希望出発日時J1_B[1]は時刻t13であって、出発地J2_B[1]及び目的地J3_B[1]は夫々第1地点(例えば神戸駅)及び第2地点(例えば六甲山登山口)であるとする。第1予約処理1110が行われた直後において、予約順位情報J4_B[1]は時刻t11を表し、予約車両情報J5_B[1]はサービス車両CR1の車両IDを表す。また第1予約処理1110が行われた直後において、予約出発日時J6_B[1]は時刻t13であるとする。出発地J7_B[1]及び目的地J8_B[1]は夫々第1地点及び第2地点に設定される。このように、第1予約処理1110にて提供可能者B[1]の希望通りのサービス車両が予約される。仮に、後述の権利提供処理1140が行われなければ、提供可能者B[1]は時刻t13にてサービス車両CR1により出発地から出発することになる。
【0095】
時刻t12において、優先利用依頼者C[1]の端末装置TM_Cから優先利用依頼者C[1]の優先依頼情報640が予約管理装置100に送信され、これを受けて予約管理装置100にて優先依頼情報640に基づく第2予約処理1120が実行される。第2予約処理1120にて優先利用依頼者C[1]に対し交通サービスの利用予約が行われ、サービス車両CR2が配車予約車両として優先利用依頼者C[2]に割り当てられる。
【0096】
ここで、優先利用依頼者C[1]の希望出発日時J1_C[1]は時刻t13であって、出発地J2_C[1]及び目的地J3_C[1]は夫々第1地点(例えば神戸駅)及び第2地点(例えば六甲山登山口)であるとする。第2予約処理1120が行われた直後において、予約順位情報J4_C[1]は時刻t12を表し、予約車両情報J5_C[1]はサービス車両CR2の車両IDを表す。優先利用依頼者C[1]は時刻t13での出発を希望するものの、運行スケジュール上、サービス車両CR2は時刻t13にて出発できないものとする。結果、第2予約処理1120が行われた直後において、予約出発日時J6_C[1]は時刻t14であったとする。出発地J7_C[1]及び目的地J8_C[1]は夫々第1地点及び第2地点に設定される。このように、第2予約処理1120では、優先利用依頼者C[1]の希望通りのサービス車両が予約されていない(時刻t13での出発を希望しているが、時刻t14に出発するサービス車両しか予約できていない)。仮に、後述の権利提供処理1140が行われなければ、優先利用依頼者C[1]は時刻t14にてサービス車両CR2により出発地から出発することになる。
【0097】
第1予約処理1110及び第2予約処理1120の後、ステップS4のチェック工程(
図5参照)が実行される。本例に係るチェック工程において、第2予約処理1120での交通サービスの利用予約の内容(輸送予約情報653)と優先利用依頼者C[1]の利用希望情報642の内容とが一致していない。即ち、第2予約処理1120の直後において希望出発日時J1_C[1]と予約出発日時J6_C[1]とが相違する(詳細には希望出発日時J1_C[1]よりも予約出発日時J6_C[1]が遅い)。このため、ステップS4からステップS5に進む(
図5参照)。
【0098】
ステップS5のマッチング工程にてマッチング処理1130が実行される。第1実施例では、マッチング処理1130にて提供可能者B[1]及び優先利用依頼者C[1]が対応付けられることを通じ、提供可能者B[1]及び優先利用依頼者C[1]が夫々実提供者D及び被提供者Eに設定される。その後、ステップS6にて権利提供処理1140が実行される。
【0099】
権利提供処理1140では、第1予約処理1110にて実提供者Dとしての提供可能者B[1]に割り当てられた交通機関の利用権利を、被提供者Eとしての優先利用依頼者C[1]に提供する(換言すれば承継させる)。この際、割当変更部22は、第1予約処理1110にて提供可能者B[1]に割り当てられた交通機関の利用権利と、第2予約処理1120にて優先利用依頼者C[1]に割り当てられた交通機関の利用権利と、を交換する。これは、第1予約処理1110の直後における提供可能者B[1]の情報J4_B[1]及びJ5_B[1]と、第2予約処理1120の直後における優先利用依頼者C[1]の情報J4_C[1]及びJ5_C[1]とを、交換することに相当する。この交換により、第1予約処理1110にて提供可能者B[1]に割り当てられた交通機関の利用権利が優先利用依頼者C[1]に提供(承継)されることになる。権利提供処理1140において、優先利用依頼者C[1]の予約車両情報J5_C[1]がサービス車両CR2の車両IDからサービス車両CR1の車両IDに変更されることになる(
図22)。一方、権利提供処理1140において、提供可能者B[1]の予約車両情報J5_B[1]がサービス車両CR1の車両IDからサービス車両CR2の車両IDに変更されることになる。
【0100】
また権利提供処理1140において、割当変更部22は、予約順位情報J4_B[1]を時刻t11から時刻t12に変更し、且つ、予約順位情報J4_C[1]を時刻t12から時刻t11に変更する(
図22参照)。即ち、権利提供処理1140が行われることで、提供可能者B[1]の予約を行った日時が時刻t11から時刻t12に繰り下がったものとみなされ、優先利用依頼者C[1]の予約を行った日時が時刻t12から時刻t11に繰り上がったものとみなされる。予約を行った日時の繰り下げは予約の優先順位の低下に相当し、予約を行った日時の繰り上げは予約の優先順位の上昇に相当する。
【0101】
更に権利提供処理1140において、割当変更部22は、実提供者Dである提供可能者B[1]の予約出発日時J6_B[1]をサービス車両CR2のスケジュールに沿ったものに更新する。ここでは、時刻t14になるまでサービス車両CR2が出発できない事情があるため、予約出発日時J6_B[1]が時刻t13から時刻t14に変更される(
図22参照)。同様に権利提供処理1140において、割当変更部22は、被提供者Eである優先利用依頼者C[1]の予約出発日時J6_C[1]をサービス車両CR1のスケジュールに沿ったものに更新する。サービス車両CR1は元々時刻t13にて出発可能であるため、予約出発日時J6_C[1]が時刻t14から時刻t13に変更される(
図22参照)。
【0102】
権利提供処理1140の後、結果報告処理1150が実行される。結果報告処理1150において、実提供者D(B[1])の端末装置TM_Dに対し提供結果情報670を送信する処理と、被提供者E(C[1])の端末装置TM_Eに対し依頼結果情報680を送信する処理と、が実行される。
【0103】
本例における提供結果情報670中の予約車両情報672及び輸送予約情報673(
図16参照)は、権利提供処理1140後における実提供者D(B[1])の予約車両情報634及び輸送予約情報635(J5_B[1]~J8_B[1])と一致する。提供結果情報670を受けて、実提供者D(B[1])は、予約出発日時である時刻t14にてサービス車両CR2を利用する。
【0104】
本例における依頼結果情報680中の予約車両情報682及び輸送予約情報683(
図17参照)は、権利提供処理1140後における被提供者E(C[1])の予約車両情報652及び輸送予約情報653(J5_C[1]~J8_C[1])と一致する。依頼結果情報680を受けて、被提供者E(C[1])は、予約出発日時である時刻t13にてサービス車両CR1を利用する。
【0105】
尚、権利提供処理1140及び結果報告処理1150は時刻t12の後であって且つ時刻t13の前に実行される。権利提供処理1140の後、任意のタイミングでポイント更新部34により清算処理1160が実行される。
【0106】
清算処理1160において、ポイント更新部34は、実提供者Dとなった提供可能者B[1]が所持する会員ポイントを値PNT
UPだけ増加させる(PNT
UP>0)。増加の結果がテーブルデータ700に反映される。被提供者Eとなった優先利用依頼者C[1]からの優先依頼情報640中の情報643により表される優先利用料(
図11参照)を、便宜上、優先利用料αと称する。優先利用料αが大きいほど値PNT
UPは大きくなる。
【0107】
値PNTUPによる会員ポイントの増加は、提供可能者B[1]が交通機関の利用権利を優先利用依頼者C[1]に提供(譲渡)したことに対して受け取る対価(換言すれば報酬)である。一方で優先利用依頼者C[1]は自身が設定した優先利用料を支払う。清算処理1160において、ポイント更新部34は優先利用依頼者C[1]から優先利用料を徴収する。優先利用依頼者C[1]から徴収した優先利用料は、提供可能者B[1]が受け取る対価の原資となる。優先利用料の全て又は一部が提供可能者B[1]が受け取る対価に相当する。
【0108】
優先利用依頼者C[1]は優先利用料を自身が所持する会員ポイントにて支払うことができる。この場合、清算処理1160において、ポイント更新部34は、優先利用依頼者C[1]が所持する会員ポイントを値PNTDWNだけ減少させる。ここで“PNTDWN=PNTUP”又は“PNTDWN>PNTUP”が成立すると良い。この際、値PNTDWN分の会員ポイントが優先利用料に相当する。
【0109】
このように、優先利用管理部30は、被提供者E(C[1])から徴収される優先利用料に基づく対価を実提供者D(B[1])に対して付与するための清算処理1160を実行する。会員ポイントにて優先利用料の支払い及び対価の受け取りが行われる場合には、ポイント更新部34が清算処理1160を行うことになる。
【0110】
但し、清算処理1160において優先利用依頼者C[1]は優先利用料を通貨(法定通貨又は仮想通貨)にて支払うことができて良い。同様に、清算処理1160において提供可能者B[1]は対価を通貨で受け取ることができて良い。通貨による優先利用料の支払い及び対価の受け取りは、各会員の金融機関の情報602及び622(
図7及び
図9参照)に基づいて決済され、当該決済は優先利用管理部30の制御の下で実行される。
【0111】
尚、予約管理装置100では通貨と会員ポイントが所定の交換率で交換される。会員ポイントは、各種商品の購入費用として用いることのできる電子マネーであっても良い。電子マネーは、任意のサービスの提供に対して支払うことのできるポイント等であっても良い。任意の会員は、システムSYSで運用される交通機関の利用に対する運賃として、自身の会員ポイントを利用できても良い。
【0112】
急いで目的地にまで移動したい会員など、交通サービスの優先利用を希望する会員は優先利用依頼者Cとして交通サービスの利用予約を申し込むことができる。一方で、急ぐ必要のない会員など、予約を譲っても良いと考える会員は提供可能者Bとして交通サービスの利用予約を申し込むことができる。これにより、提供可能者Bに対して一旦割り当てられた交通機関の利用権利が優先利用依頼者Cに譲り渡されることがあり、優先利用依頼者Cの希望を叶えることができる。一方、その見返りとして、優先利用依頼者Cは優先利用料を支払い、提供可能者Bは優先利用料に基づく対価を受け取る。このため、提供可能者Bにとってもメリットがある。結果、交通サービスの供給に対して需要が上回るようなときにおいても、提供可能者B及び優先利用依頼者Cの双方にてメリットを享受することができる。
【0113】
交通サービスの優先利用を希望する人物を優先利用依頼者Cとして機能させる一方で、自身に割り当てられた交通機関の利用権利を他者に譲り渡すことを認容する人物を提供可能者Bとして機能させる。これにより、各会員(各利用者)にとってより有益な交通サービスを提供できる。優先利用依頼者Cにとっては優先利用の希望が叶えられ、提供可能者Bにとっては交通機関の利用権利の譲渡により対価を受け取ることができるからである。
またシステムSYSにとっても、予約の柔軟性が得られるというメリットがある。
【0114】
第1予約処理1110にて提供可能者Bに対して割り当てられた交通機関の利用権利と、第2予約処理1120にて優先利用依頼者Cに対して割り当てられた交通機関の利用権利とを交換することで、前者の利用権利が優先利用依頼者Cに提供される(承継される)。このため、提供可能者Bの交通機関の利用権利が一切消失するわけではなく、提供可能者Bは目的地への移動が可能である。
【0115】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。提供可能者B[i]と優先利用依頼者C[j]に対して実行されるマッチング処理を説明する。i及びjは任意の自然数である。優先利用依頼者C[j]に対して実行されるステップS4での判断は否定であるものとする。即ち、優先利用依頼者C[j]に対する第2予約処理での交通サービスの利用予約の内容と優先利用依頼者C[j]の利用希望情報642の内容とは相違している。これは、第2予約処理の段階では、優先利用依頼者C[j]の希望通りの交通サービスを予約できていないことを意味し、第2予約処理での予約出発日時J6_C[j](例えば時刻t14)は希望出発日時J1_C[j](例えば時刻t13)よりも遅い(
図22参照)。尚、以下では、記載の簡略化上、提供可能者B及びB[i]を人物B及びB[i]と表記することがあり、優先利用依頼者C及びC[j]を人物C及びC[j]と表記することがある。
【0116】
割当変更部22は、マッチング処理において、人物B[i]に対する第1予約処理の結果と、人物C[j]の利用希望情報642と、人物C[j]に対する第2予約処理の結果と、に基づき、人物B[i]及びC[j]を互いに対応付けるかを判断できる。対応付けの方法として、以下に第1及び第2対応付け方法を挙げる。
【0117】
第1対応付け方法を説明する。第1対応付け方法では、以下の第1~第3判定条件の成否を判断し、人物B[i]及びC[j]について第1~第3判定条件が全て満たされる場合に限り、人物B[i]及びC[j]を互いに対応付ける。
図23に第1~第3判定条件の概念図を示す。
【0118】
第1判定条件は、「第1予約処理における人物B[i]の予約出発日時J6_B[i]は、第2予約処理での人物C[j]の予約出発日時J6_C[j]よりも早い」という条件である。
【0119】
第2判定条件は、「第1予約処理における人物B[i]の予約出発日時J6_B[i]が、人物C[j]の希望出発日時J1_C[j]を基準とする期間PP[j]に属する」という条件である。期間PP[j]は、希望出発日時J1_C[j]より第1所定時間ΔTAだけ前の日時から、希望出発日時J1_C[j]より第2所定時間ΔTBだけ後の日時までの期間である。但し、第2所定時間ΔTBはゼロであっても良く、この場合、期間PP[j]は、希望出発日時J1_C[j]より第1所定時間ΔTAだけ前の日時から希望出発日時J1_C[j]までの期間となる。第1所定時間ΔTAをゼロとしても良い。所定時間ΔTA及びΔTBの双方をゼロにすることも可能である。所定時間ΔTA及びΔTBの双方がゼロであるとき、第1予約処理における人物B[i]の予約出発日時J6_B[i]が人物C[j]の希望出発日時J1_C[j]と一致するときにのみ、第2判定条件が成立する。
【0120】
第3判定条件は、「人物B[i]の出発地J7_B[i]と人物C[j]の出発地J7_C[j]との距離d[i,j]が所定距離dREF以下である」という条件である。距離d[i,j]は出発地J2_B[i]及びJ2_C[j]間の距離でもある。所定距離dREFはゼロであっても良い。この場合、人物B[i]及びC[j]間で出発地が一致する場合に限り第3判定条件が成立することになる。
【0121】
第2対応付け方法を説明する。割当変更部22は、提供可能者Bと優先利用依頼者Cとの組み合わせごとにマッチングスコアSCRを導出できる。人物B[i]及びC[j]の組み合わせに関するマッチングスコアSCRを特に記号SCR[i,j]で表す。第2対応付け方法では、マッチングスコアSCR[i,j]に基づき人物B[i]及びC[j]を互いに対応付けるかを判断する。
【0122】
マッチングスコアSCR[i,j]は時間スコアと距離スコアの和である。マッチングスコアSCR[i,j]における時間スコアは、上記第1判定条件が成立する前提の下、第1予約処理における人物B[i]の予約出発日時J6_B[i]が、人物C[j]の希望出発日時J1_C[j]に近いほど増加する。第1予約処理における人物B[i]の予約出発日時J6_B[i]と人物C[j]の希望出発日時J1_C[j]との差が一定であるとき、前者の日時(J6_B[i])が後者の日時(J1_C[j])より早い方が、その逆よりも、マッチングスコアSCR[i,j]中の時間スコアは大きい。マッチングスコアSCR[i,j]中の距離スコアは、距離d[i,j]が小さくなるほど増加する。
【0123】
第2対応付け方法に係る割当変更部22は、マッチングスコアSCR[i,j]が所定の基準スコア以上であるとき、人物B[i]及びC[j]を互いに対応付け、そうでないとき、人物B[i]及びC[j]を互いに対応付けない。人物B[i]及びC[j]について上述の第1~第3判定条件が全て満たされる場合に限ってマッチングスコアSCR[i,j]が基準スコア以上となるよう、マッチングスコアSCR[i,j]の導出規則が定められていて良い。
【0124】
割当変更部22は第1又は第2対応付け方法を利用できる。第1又は第2対応付け方法により人物B[i]及びC[j]が対応付けられた場合において(i,j)=(1,1)であるならば、人物B[1]及びC[1]が実提供者D及び被提供者Eに設定され、
図21の処理1140~1160を含む第1実施例に示した動作が実行される。
【0125】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。提供可能者B[1]~B[p]に対するp人分の第1種保存情報630がDB42に保存されている状態を想定する。pは2以上の任意の整数である。この状態において、優先利用依頼者C[j]に対する第2予約処理での交通サービスの利用予約の内容と優先利用依頼者C[j]の利用希望情報642の内容とが相違していたとする。これは、第2予約処理の段階では、優先利用依頼者C[j]の希望通りの交通サービスを予約できていないことを意味し、第2予約処理での予約出発日時J6_C[j](例えば時刻t14)は希望出発日時J1_C[j](例えば時刻t13)よりも遅い(
図22参照)。
【0126】
この場合、割当変更部22は、人物B[1]~B[p]に対する第1予約処理の結果と、人物C[j]の利用希望情報642と、人物C[j]に対する第2予約処理の結果と、に基づき、マッチング処理を実行する。このマッチング処理により、人物B[1]~B[p]の何れかが人物C[j]に対応付けられる、又は、人物B[1]~B[p]の何れもが人物C[j]に対応付けられない。当該マッチング処理により、人物B[1]~B[p]の内の人物B[i]が人物C[j]に対応付けられた場合、人物B[i]は実提供者Dに設定(選別)されることになる。一方で人物C[j]が被提供者Eとなり、結果、第1予約処理にて実提供者D(B[i])に割り当てられた交通機関の利用権利が被提供者E(C[j])に提供されることになる。
【0127】
対応付けの方法として上述の第1又は第2対応付け方法を利用できる。第1又は第2対応付け方法により人物B[i]及びC[j]が互いに対応付けられた場合において(i,j)=(1,1)であるならば、人物B[1]及びC[1]が実提供者D及び被提供者Eに設定され、
図21の処理1140~1160を含む第1実施例に示した動作が実行される。
【0128】
本実施例に示すマッチング処理により、交通機関の利用権利の授受を行うべき妥当な会員同士をマッチングさせることができる。
【0129】
尚、第1又は第2対応付け方法が用いられる場合において、人物C[j]に対し複数の提供可能者B(例えば人物B[1]~B[3])が対応付けられることもある。この場合、例えば、複数の提供可能者Bと人物C[j]との間で導出されたマッチングスコアSCRを参照し、最大のマッチングスコアSCRに対応する提供可能者Bを実提供者Dとして選別して良い。
【0130】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第1~第3実施例では、優先利用依頼者Cとして一人の人物C[1]又はC[j]のみに注目している。但し、多くの会員がシステムSYSを利用したとき、複数の提供可能者Bと複数の優先利用依頼者Cとのマッチング処理が行われる。この場合にも、割当変更処理無しでは希望通りのサービス車両を予約できない優先利用依頼者Cごとに、第1~第3実施例に示す方法で、マッチング処理を含む割当変更処理が実行されて良い。
【0131】
今、提供可能者B[1]~B[p]に対するp人分の第1種保存情報630がDB42に保存され且つ優先利用依頼者C[1]~C[q]に対するq人分の第2種保存情報650がDB43に保存されている状態を想定する。p及びqは2以上の任意の整数である。そして、“1≦j≦q”を満たす全ての整数jに関して、優先利用依頼者C[j]に対する第2予約処理での交通サービスの利用予約の内容と優先利用依頼者C[j]の利用希望情報642の内容とが相違していたとする。これは、第2予約処理の段階では、優先利用依頼者Cごとに、優先利用依頼者C[j]の希望通りの交通サービスを予約できていないことを意味し、第2予約処理での予約出発日時J6_C[j](例えば時刻t14)は希望出発日時J1_C[j](例えば時刻t13)よりも遅い(
図22参照)。
【0132】
この場合、割当変更部22は、人物B[1]~B[p]に対する第1予約処理の結果と、人物C[1]~C[q]の利用希望情報642と、人物C[1]~C[q]に対する第2予約処理の結果と、に基づき、マッチング処理を実行する。このマッチング処理により、人物B[1]~B[p]の何れかが人物C[1]~C[q]の何れかに対応付けられる。理想的には、人物C[1]~C[q]の夫々に対し人物B[1]~B[p]の何れかが一人ずつ対応付けられるが、条件次第で、そうならない。
【0133】
今、人物B[1]~B[p]中における特定の人物である人物B[i]に対し、2以上の優先利用依頼者である人物C[1]~C[k]が対応付けられたケースCS
MLTを考える(
図24参照)。kは2以上且つq以下の任意の整数である。対応付けの方法としては上述の第1又は第2対応付け方法を利用できる。例えば、第1対応付け方法を利用した場合において、人物B[i]と人物C[1]~C[k]の夫々との間で第1~第3判定条件が全て満たされるとき、人物B[i]に対し人物C[1]~C[k]が対応付けられる。或いは例えば、第2対応付け方法を利用した場合において、マッチングスコアSCR[i,1]~SCR[i,k]が全て基準スコア以上であるとき、人物B[i]に対し人物C[1]~C[k]が対応付けられる。
【0134】
ケースCSMLTにおいて、割当変更部22は、人物C[1]~C[k]の何れか一人を被提供者Eとして決定する被提供者決定処理を実行し、その被提供者Eに対する実提供者Dに人物B[i](上記特定の人物)を設定する。そして、割当変更部22は、第1予約処理にて実提供者D(B[i])に割り当てられた交通機関の利用権利を被提供者Eに提供する。
【0135】
被提供者決定処理を説明する。ケースCS
MLTにおいて、割当変更部22は、人物C[1]~C[k]の第2種保存情報650中の情報643を参照する(
図11)、即ち、人物C[1]~C[k]が設定した各優先利用料を参照する。そして、割当変更部22は、人物C[1]~C[k]についての優先利用料の内、最大の優先利用料F
MAXを特定し、人物C[1]~C[k]の内、最大の優先利用料F
MAXに対応する人物を被提供者Eとして決定する。例えば、人物C[1]についての優先利用料が500円であり、人物C[2]~C[k]についての優先利用料が全て500円未満であれば、優先利用料F
MAXは500円であって、人物C[1]が被提供者Eとして決定される。
【0136】
これによれば、より高い優先利用料を設定した優先利用依頼者Cに対して交通サービスが優先的に手配されるようになり、負担と受益とのバランスがとれる。また、実提供者Dが受け取れる対価も増大する方向に向かい、実提供者Dにとってもメリットが大きい。
【0137】
各優先利用依頼者Cは優先依頼情報640を端末装置TM_Cから送信させる際に、複数段階の料金の中から優先利用料を選択設定できる、或いは、優先利用料を任意の料金に設定できる。選択設定方式が採用される場合にあっては特に、複数優先利用依頼者Cにて同じ優先利用料が設定されることも多い。
【0138】
ケースCSMLTにおいて、人物C[1]~C[k]の内、最大の優先利用料FMAXに対応する人物の総数が1である場合、割当変更部22は、最大の優先利用料FMAXに対応する人物を被提供者Eとして決定すれば良い。ケースCSMLTにおいて、人物C[1]~C[k]の内、最大の優先利用料FMAXに対応する人物の総数が2以上である場合、割当変更部22は、最大の優先利用料FMAXに対応する2以上の人物Cの内、最も早い予約発生日時(651)に対応付けられた人物Cを被提供者Eとして決定しても良い。
【0139】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。第5実施例では、被提供者決定処理の他の例を説明する。
【0140】
上述のケースCSMLTにおいて、人物C[1]~C[k]の内、最大の優先利用料FMAXに対応する人物の総数が1である場合、割当変更部22は、最大の優先利用料FMAXに対応する人物を被提供者Eとして決定すれば良い。ケースCSMLTにおいて、人物C[1]~C[k]の内、最大の優先利用料FMAXに対応する人物の総数が2以上である場合、第5実施例に係る割当変更部22は、更に優先希望度を参照して被提供者Eを決定する。
【0141】
優先希望度は交通サービスの優先利用の希望度合いを表す。各優先利用依頼者Cは優先依頼情報640を端末装置TM_Cから送信させる際に、優先希望度を複数段階の何れかに選択設定できる。
【0142】
ケースCSMLTの内、最大の優先利用料FMAXに対応する2以上の人物が人物C[1]~C[k]に含まれるケースを、特に、ケースCSMLT_1と称する。ケースCSMLT_1において、最大の優先利用料FMAXに対応する2以上の人物が人物C[1]~C[r]であるとする。rは“2≦r≦k”を満たす整数である。例えば、ケースCSMLTの内、人物C[1]及びC[2]についての優先利用料が500円であって且つ人物C[3]~C[k]についての優先利用料が全て500円未満であるケースはケースCSMLT_1と該当する。この場合、優先利用料FMAXは500円であって、人物C[1]及びC[2]が最大の優先利用料FMAXに対応する二人の人物となる。
【0143】
ケースCS
MLT_1において、割当変更部22は、人物C[1]~C[r]の第2種保存情報650中の情報644を参照し(
図11)、人物C[1]~C[r]の優先希望度の内、最も高い優先希望度P
MAXを特定する。そして、割当変更部22は、人物C[1]~C[r]の内、最も高い優先希望度P
MAXに対応する人物を被提供者Eとして決定する。ここでは、優先希望度を「低」、「中」及び「高」の何れかに設定できるものとする。「低」の優先希望度よりも「中」の優先希望度の方が高く、「中」の優先希望度よりも「高」の優先希望度の方が更に高い。但し、優先希望度の設定段階数は2以上であれば任意である。
【0144】
従って例えば、ケースCSMLT_1にて“r=2”である場合において、人物C[1]の優先希望度が「高」であって且つ人物C[2]の優先希望度が「低」又は「中」であれば、「高」の優先希望度PMAXに対応する人物C[1]が被提供者Eとして決定される。逆に例えば、ケースCSMLT_1にて“r=2”である場合において、人物C[2]の優先希望度が「高」であって且つ人物C[1]の優先希望度が「低」又は「中」であれば、「高」の優先希望度PMAXに対応する人物C[2]が被提供者Eとして決定される。ケースCSMLT_1において“r≧3”の場合も同様である。
【0145】
本実施例により、優先利用料だけでは優劣がつけられないときでも、各優先利用依頼者Cの優先希望度に応じ、実際に交通サービスの優先利用を受ける被提供者Eを決定することができる。優先希望度は優先利用の希望度合いを表すため、優先希望度を参照することで、妥当な被提供者Eを選択及び決定することができる。優先利用料を支払う可能性が高まるが是非とも優先利用を受けたい人物Cは優先希望度を高く設定すれば良い。可能であれば優先利用を受けたいという程度の考えを持つ人物Cは優先希望度を中程度に設定すれば良い。
【0146】
尚、優先利用依頼者Cが設定する優先希望度に応じて、設定可能な優先利用料に下限が定められるようにしても良い。例えば、優先希望度を「中」にする場合には、優先利用料を下限料200円以上にしか設定できず、優先希望度を「高」にする場合には、優先利用料を下限料400円以上にしか設定できないようにしても良い。下限料は、出発地及び目的地間の距離に依存する料金であっても良いし、サービス車両による出発地及び目的地間の移動に必要な運賃に依存する料金であっても良い。
【0147】
ケースCSMLT_1において、優先希望度を参照しても、なお優劣がつけられないケースもあり得る。即ち、ケースCSMLT_1において、人物C[1]~C[r]の内、優先利用料FMAX及び優先希望度PMAXに対応する人物の総数が2以上となる場合もあり得る。この場合には、優先利用料FMAX及び優先希望度PMAXに対応する2以上の人物Cの内、最も早い予約発生日時(651)に対応付けられた人物Cを被提供者Eとして決定して良い。
【0148】
<<第6実施例>>
第6実施例を説明する。
【0149】
権利提供処理を経た後、被提供者Eの希望通りの予約が確保されることが期待されるものの、それが叶わないときもある。例えば、被提供者Eとなるべき優先利用依頼者Cの希望出発日時が11:00であるときにおいて、第2予約処理にて11:00発のサービス車両を予約できず、且つ、11:00に出発可能なサービス車両の予約を有する提供可能者Bが一人も存在しないときもある。この場合には、11:00の後であって且つ11:00になるだけ近い時刻に出発可能なサービス車両の予約を有する提供可能者Bを特定し、その提供可能者Bを実提供者Dに設定すると良い。
【0150】
データ保持部40において、過去の一定期間分の第1種保存情報630及び第2種保存情報650を蓄積しておいても良く、更に過去の一定期間分の配車実績情報を蓄積させておいても良い。配車実績情報はサービス車両の配車の実績情報である。そして、予約管理装置100(例えば優先利用対応部20)は、データ保持部40の蓄積情報に基づき以下の事前通知処理を行うようにしても良い。事前通知処理では、データ保持部40の蓄積情報に基づき、未来における特定の時間帯、曜日又は日付における特定の場所の混雑度合いを予想し、混雑度合いの予想結果をシステムSYSの全会員に通知する。混雑度合いの予想結果の通知は、混雑度合いの予想結果を示す情報を各会員の端末装置TMに送信することで実現される。ここにおける混雑度合いとは、システムSYSで運営されるサービス車両の利用の混雑度合いを指す。通知を受けた会員は、混雑度合いの予想結果に基づき、必要に応じて、早めに交通サービスの予約を申請するといったことが可能であり、また通知内容を参考にして優先利用料又は優先希望度を設定するといったことが可能である。
【0151】
混雑度合いの予想結果は、上記の特定の時間帯、曜日又は日付における特定の場所への配車可能時間の予測値(サービス車両の配車までに必要な時間の予測値)を含んでいても良い。
【0152】
予約管理装置100(例えば優先利用対応部20)は、提供可能者B及び優先利用依頼者Cによる交通サービスの予約状況を各会員の個人情報を隠した状態で、各会員に公開するようにしても良い。優先利用依頼者Cは、適宜公開情報を参照しつつ、交通サービスの予約を確定させるまでは、交通サービスの利用に関わる様々な条件を変更することができる。
【0153】
優先利用依頼者Cは他者から譲り受けた交通機関の利用権利を更に別の人物に譲ることが可能であって良い。例えば、
図21の例において、被提供者Eの端末装置TM_Eにて依頼結果情報680を受信した後、被提供者Eとしての人物C[1]は予定変更等により提供可能者Bになりかわっても良い。この際、端末装置TM_Eにて依頼結果情報680が受信された後、被提供者Eは、他者から譲り受けた交通機関の利用権利(サービス車両CR1の利用権利)を更に別の人物に譲っても良いことを示す情報を、自身の端末装置TMから予約管理装置100に送信させれば良い。当該情報を受けて予約管理装置100は、被提供者Eであった人物の意図に沿って上記利用権利(サービス車両CR1の利用権利)を、他の優先利用依頼者Cに譲り渡すことがある。
【0154】
予約管理装置100は、サービス車両による移動ルートが近似している会員同士を組み合わせ、組み合わせた会員同士が同じサービス車両で移動するように、サービス車両の運行業者に依頼を行う(サービス業者側装置200に必要な情報を送信する)ようにしても良い。
【0155】
予約管理装置100は、各会員のサービス車両による移動ルートの関連性等を考慮して、マッチング処理又はサービス車両の割り当てを行って良い。例えば、第1会員の目的地の近辺に出発地を設定した第2会員が存在するとき、第1会員と第2会員に共通のサービス車両が割り当てられるようにして良い。
【0156】
人物B及びCは、予約管理装置100に対して交通サービスの利用予約を依頼する予約依頼者に属する。予約依頼者は自身の端末装置TMから予約依頼情報を予約管理装置100に送信することで、交通サービスの利用予約を依頼する。予約依頼者が人物Bであるときの予約依頼情報は提供可能者情報620であり、予約依頼者が人物Cであるときの予約依頼情報は優先依頼情報640である。予約管理装置100は予約依頼者から予約依頼情報を受け付けるときに、自身が提供可能者Bとなっても良いかの登録を受け付けるようにして良い。全ての予約依頼情報に優先希望度の情報が含まれるようにしても良い。この場合において、複数段階の優先希望度の内、最低の優先希望度(第5実施例に示した具体例では「低」の優先希望度)が指定された予約依頼情報に対応する予約依頼者を提供可能者Bとして機能させ、他の予約依頼者を優先利用依頼者Cとして機能させるようにしても良い。提供可能者Bとして登録された人物に対する交通機関の割り当て優先順位は、優先利用依頼者Cのそれよりも下げられる。
【0157】
全ての予約依頼情報に優先希望度の情報が含まれる場合において、優先希望度を第1~第5段階の何れかに設定できる場合を考える。ここで、第(i+1)段階の優先希望度は第i段階の優先希望度よりも高いものとする。この場合において、第1又は第2段階の優先希望度が指定された予約依頼情報に対応する予約依頼者を提供可能者Bとして機能させ、第3、第4又は第5段階の優先希望度が指定された予約依頼情報に対応する予約依頼者を優先利用依頼者Cとして機能させるようにしても良い。優先利用対応部20は、相対的に高い優先希望度に対応する会員に対し、相対的に低い優先希望度に対応する会員よりも、優先的に交通機関の利用権利を割り当てる。そして、第2段階の提供可能者Bが実提供者Dとなったときに清算処理にて実提供者Dに付与される対価(例えば会員ポイント)は、第1段階の提供可能者Bが実提供者Dとなったときに清算処理にて実提供者Dに付与される対価(例えば会員ポイント)よりも高くても良い。即ち、交通機関の利用権利を他者に譲った会員(実提供者D)に付与される対価は、当該会員の優先希望度に応じて変更されるものであっても良い。提供可能者Bの優先希望度の設定段階数が3段階以上である場合も同様である。
【0158】
実提供者Dは自身が所有していた交通機関の利用権利を被提供者Eに譲る。この際、実提供者Dは、基本的に代わりの交通機関を利用することになるが、自身が所有していた交通機関の利用権利を被提供者Eに譲ったことに伴い、交通機関を用いた移動を取りやめることもある。
【0159】
優先利用料は特殊追加料を含んでいても良い。特殊追加料は、サービス車両による輸送の運賃及び実提供者Dへ支払われるべき対価とは別の料金であり、例えば、予約管理装置100若しくはサービス業者側装置200の運営会社、又は、サービス車両の運転手に支払われる。
【0160】
本実施形態では本発明を交通サービスに適用した例を詳説したが、本発明は交通サービス以外のサービスに適用することもできる。例えば、宿泊サービス又は飲食サービスにも本発明を適用でき、この場合、上述の説明における交通サービスを宿泊サービス又は飲食サービスに読み替えて考えれば良い。交通サービスに対する予約管理装置では交通サービスの利用予約に関わる処理を行う。これに対し、宿泊サービスに対する予約管理装置では宿泊サービスの利用予約(宿泊施設の利用予約)に関わる処理を行う。飲食サービスに対する予約管理装置では飲食サービスの利用予約(飲食店の利用予約)に関わる処理を行う。
【0161】
<<第7実施例>>
第7実施例を説明する。
図25に予約管理装置100の機能ブロック図を示す。
図25は、
図3とは異なる観点から予約管理装置100の各機能をブロック図として示したものである。予約管理装置100は大きく分けて機能ブロックF1~F4を備える。
【0162】
機能ブロックF1は情報入力部である。情報入力部F1は、
図3のデータ受信部11にて構成される又は
図3のデータ入力対応部10にて構成される。情報入力部F1は、端末装置TMからの各種の情報及び信号を受信する入力インターフェースに相当する。
【0163】
機能ブロックF2は処理部である。処理部F2は、
図3のデータ入力対応部10、優先利用対応部20及び優先利用管理部30の内、機能ブロックF1に属さない部位を含む。例えば、処理部F2は、優先利用対応部20及び優先利用管理部30を含んで構成される。機能ブロックF3はメモリである。メモリF3は、ROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、及び、RAM等の揮発性メモリを含む。機能ブロックF4はデータ保持部である。データ保持部F4は
図3のデータ保持部40と同じものである。尚、データ保持部F4は、予約管理装置100の外部に設けられて予約管理装置100に対して外部接続される記録装置であっても良い。
【0164】
処理部F2は、CPU及びGPU等を含む演算処理部であって、メモリF3内に格納されたプログラムを処理部F2にて実行することで処理部F2の各機能が実現されて良い。処理部F2にて実行されるプログラムは複数のプログラムを含んでいて良い。処理部F2に複数のCPUを設けておき、当該複数のCPUにて複数のプログラムが実行されることで、処理部F2における複数の機能が実現されて良い。処理部F2にて実現される複数の機能は、複数のコンピュータ装置にて実現されても良く、クラウドコンピューティングを利用して実現されても良い。ここでは、処理部F2は、端末装置TMに対して各種の情報及び信号を送信する出力インターフェース(情報出力部)を内包すると考える。
【0165】
処理部F2は、少なくとも、上述の第1予約処理、第2予約処理、マッチング処理、権利提供処理、結果報告処理及び清算処理を実行する。
図5のステップS1~S10の各工程で実行される処理の内、機能ブロックF1による情報又は信号の受信以外の処理は、全て、処理部F2にて実行されるものであっても良い。
【0166】
本発明の一側面に係る交通サービスの予約管理装置(100)は、第1端末装置から第1対象者(提供可能者B)による前記交通サービスの利用希望情報を含む第1予約依頼情報(提供可能者情報620)を受信し、且つ、第2端末装置から第2対象者(優先利用依頼者C)による前記交通サービスの利用希望情報及び優先利用料の情報を含む第2予約依頼情報(優先依頼情報640)を受信する情報入力部(F1)と、前記第1予約依頼情報に基づき前記第1対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第1予約処理、及び、前記第2予約依頼情報に基づき前記第2対象者に対して前記交通サービスの利用予約を行う第2予約処理を実行する処理部(F2)と、備え、前記処理部は、前記第1予約処理と前記第2予約処理とを実行した後に割当変更処理を実行可能に構成される(例えば
図21参照)。前記割当変更処理は、前記第1予約処理にて前記第1対象者に割り当てられた交通機関の利用権利を前記第2対象者に提供する権利提供処理と、前記第2対象者から徴収される前記優先利用料に基づく対価を前記第1対象者に付与する清算処理と、を含む。
【0167】
第1対象者は提供可能者Bに相当する。提供可能者Bは、複数の人物から成る第1グループ(第1人物群)の代表者であっても良い。この場合、第1予約依頼情報としての提供可能者情報620に含まれる利用希望情報624は、第1グループに属する各人物の利用希望情報624に相当する(
図8及び
図9参照)。第1対象者は提供可能者Bを含む第1グループ中の各人物を含む、と考えることもできる。第1対象者が第1グループにおける複数の人物を含む場合、優先利用料に基づく対価は第1グループ中の何れか一人(提供可能者情報620にて示された個人)に付与されても良いし、第1グループ中の各人物に分配して付与されても良い。
【0168】
第1端末装置は端末装置TM_Bに相当する。第1端末装置としての端末装置TM_Bは、基本的に、提供可能者Bが所持及び操作する端末装置TMである。但し、上記第1グループ中の何れかの人物が所持する端末装置TMが第1端末装置(端末装置TM_B)であっても良い。
【0169】
第1予約依頼情報を第1端末装置に入力する操作又は第1予約依頼情報を第1端末装置から予約管理装置(100)に向けて送信させるための操作(以下、これらを纏めて第1予約操作と称する)は、基本的には提供可能者Bが第1端末装置に対して行う。但し、第1端末装置に対する第1予約操作は、第1グループ中の何れの人物が行っても良いし、第1グループに属さない任意の人物が行っても良い。提供可能者Bから依頼を受けた第3者が、第1予約操作を第1端末装置に対して行っても良い。
【0170】
第2対象者は優先利用依頼者Cに相当する。優先利用依頼者Cは、複数の人物から成る第2グループ(第2人物群)の代表者であっても良い。この場合、第2予約依頼情報としての優先依頼情報640に含まれる利用希望情報642は、第2グループに属する各人物の利用希望情報642に相当する(
図10及び
図11参照)。第2対象者は優先利用依頼者Cを含む第2グループ中の各人物を含む、と考えることもできる。第2対象者が第2グループにおける複数の人物を含む場合、第2グループ中の何れか一人(優先依頼情報640にて示された個人)が優先利用料の全てを負担しても良いし、第2グループ中の各人物が優先利用料を分担して負担するようにしても良い。
【0171】
第2端末装置は端末装置TM_Cに相当する。第2端末装置としての端末装置TM_Cは、基本的に、優先利用依頼者Cが所持及び操作する端末装置TMである。但し、上記第2グループ中の何れかの人物が所持する端末装置TMが第2端末装置(端末装置TM_C)であっても良い。
【0172】
第2予約依頼情報を第2端末装置に入力する操作又は第2予約依頼情報を第2端末装置から予約管理装置(100)に向けて送信させるための操作(以下、これらを纏めて第2予約操作と称する)は、基本的には優先利用依頼者Cが第2端末装置に対して行う。但し、第2端末装置に対する第2予約操作は、第2グループ中の何れの人物が行っても良いし、第2グループに属さない任意の人物が行っても良い。優先利用依頼者Cから依頼を受けた第3者が、第2予約操作を第2端末装置に対して行っても良い。
【0173】
本発明の実施形態にて述べた任意の方法をコンピュータに実行させるプログラム、及び、そのプログラムを記録した記録媒体であって且つコンピュータ読み取り可能な不揮発性の記録媒体は、本発明の実施形態の範囲に含まれる。本発明の実施形態における任意の処理は、半導体集積回路等のハードウェア、上記プログラムに相当するソフトウェア、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現されて良い。ここにおけるソフトウェア及びハードウェアは、夫々に、複数あっても良い。
【0174】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0175】
SYS システム
100 予約管理装置
200 サービス業者側装置
NET 通信網
TM、TM_A、TM_B、TM_C、TM_D、TM_E 端末装置
10 データ入力対応部
11 データ受信部
12 データ識別部
13 データ書込部
20 優先利用対応部
21 データ読込部
22 割当変更部
23 提供結果報告部
30 優先利用管理部
31 データ読込部
32 データ解析部
33 割当結果報告部
34 ポイント更新部
40 データ保持部
41 利用登録者DB
42 提供可能者DB
43 優先利用DB
44 割当結果DB
45 ポイント情報DB
600 利用登録者情報
610 利用者保存情報
620 提供可能者情報
630 第1種保存情報
640 優先依頼情報
650 第2種保存情報
660 割当結果情報
670 提供結果情報
680 依頼結果情報