(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052008
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ダンパ構造
(51)【国際特許分類】
F24F 13/14 20060101AFI20240404BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F24F13/14 B
F24F13/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158435
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】占部 寿雄
【テーマコード(参考)】
3L081
【Fターム(参考)】
3L081AA03
3L081AB02
3L081FC04
(57)【要約】
【課題】保守・点検や交換などダンパのメンテナンスにおける作業効率を大幅に向上させることができるダンパ構造を提供する。
【解決手段】ダンパ構造1は、空調用または換気用のダクトの中間に設置されるダンパの構造であり、円筒状のケーシングからなる本体部10と、円筒状のケーシングからなって本体部10の両端にそれぞれ接続される2つの連結部20(20A,20B)であり、一端に本体部10と連結する本体側連結部分21(21A,21B)と、他端にダクトと連結するダクト側連結部分22(22A,22B)と、を含む連結部20(20A,20B)と、本体部10と連結部20(20A,20B)とが連結された状態を保持するように設けられるバンド30と、バンド30および本体部10、バンド30および連結部20(20A,20B)をそれぞれ固定する固定具40と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用または換気用のダクトの中間に設置されるダンパの構造であり、
円筒状のケーシングからなる本体部と、
円筒状のケーシングからなって前記本体部の両端にそれぞれ接続される2つの連結部であり、一端に前記本体部と連結する本体側連結部分と、他端に前記ダクトと連結するダクト側連結部分と、を含む連結部と、
前記本体部と前記連結部とが連結された状態を保持するように設けられるバンドと、
前記バンドおよび前記本体部、前記バンドおよび前記連結部をそれぞれ固定する固定具と、
を有するダンパ構造。
【請求項2】
前記本体側連結部分の外径は、前記本体部の内径よりも小さく、
前記ダクト側連結部分の外径は、前記ダクトの内径よりも小さく、
前記本体側連結部分の外径に前記本体部の内径が接した状態で、前記本体部または/および前記連結部は回転可能であることを特徴とする請求項1に記載のダンパ構造。
【請求項3】
前記連結部は、連結部自身を吊り下げるための吊り金具を備えることを特徴とする請求項2に記載のダンパ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト(例えば、建築物の天井裏などに架設される空調用ダクト)間に設置され、保守・点検や交換などメンテナンスが必要とされるダンパの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状のダクト(丸型ダクト)に設置するダンパの構造として、ダクトにダンパの両端部を差し込んで固定する差し込み式のものが知られている。
例えば、特許文献1には、建築物の天井裏などに架設される空調用ダクトに介在して配置される風量調整ユニットが記載されている。そして、この風量調整ユニットは、空調用ダクトに接続され内部に流路を形成する円筒状のケーシングを備えている(段落0015、
図2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の風量調整ユニットのように、差し込み式のダンパは設置後のメンテナンスが容易ではない。
【0005】
例えば、ダンパが経年劣化により交換することになった場合、設置された後の差し込み式のダンパは抜き差しできるスペースがないため、ダクトの一部を切断したり天井を解体したりする必要がある。また、切断や解体後、当然これらを元に戻す復旧作業も発生することとなり、ダンパ交換の実作業以外の付随作業に多大な労力と時間を要することとなる。このように、従来のダンパ交換作業は時間と費用が非常にかかるものであるため、作業者や管理者にかかる負担は非常に大きいものであった。
【0006】
従って、本発明は、ダクトの一部を切断したり天井を解体したりする付随作業が発生せず、復旧作業も発生しないため、保守・点検や交換などダンパのメンテナンスにおける作業効率を大幅に向上させることができるダンパ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るダンパ構造は、
空調用または換気用のダクトの中間に設置されるダンパの構造であり、
円筒状のケーシングからなる本体部と、
円筒状のケーシングからなって前記本体部の両端にそれぞれ接続される2つの連結部であり、一端に前記本体部と連結する本体側連結部分と、他端に前記ダクトと連結するダクト側連結部分と、を含む連結部と、
前記本体部と前記連結部とが連結された状態を保持するように設けられるバンドと、
前記バンドおよび前記本体部、前記バンドおよび前記連結部をそれぞれ固定する固定具と、
を有する。
【0008】
これにより、連結部は、本体部と連結する本体側連結部分とダクトと連結するダクト側連結部分とが含まれているため、ダクトの中間に設置されるダンパは、本体部と当該本体部の両端にそれぞれ接続される2つの連結部とで連結して構成される。
また、本体部と連結部が連結された部分には、バンドがこれらを保持するように設けられて、さらに固定具でバンドと本体部、およびバンドと連結部がそれぞれ固定される。
【0009】
ここで、前記本体側連結部分の外径は、前記本体部の内径よりも小さく、
前記ダクト側連結部分の外径は、前記ダクトの内径よりも小さく、
前記本体側連結部分の外径に前記本体部の内径が接した状態で、前記本体部または/および前記連結部は回転可能であることが望ましい。
【0010】
これにより、本体側連結部分の外径は本体部の内径よりも小さいため、連結部の本体側連結部分に本体部を側面方向から挿入した後、本体部を回転することで本体部と連結部を仮固定させておき、バンドおよび固定具により本体部と連結部が連結される。反対に、本体部を回転した後、本体部を側面方向から抜去することで、本体部と連結部の連結が解除される。
また、ダクト側連結部分の外径はダクトの内径よりも小さいため、ダクトに、連結部のダクト側連結部分が挿入されて連結される。
【0011】
また、前記連結部は、連結部自身を吊り下げるための吊り金具を備えることが望ましい。
【0012】
これにより、連結部は吊り金具を備えているため、連結部自身を吊り下げることができ、さらに連結部と連結するダクトを支持することができる。
【0013】
一方、本発明に係る施工方法は、このダンパ構造を用いて、
前記吊り金具に吊り下げられた前記連結部の前記本体側連結部分に、前記本体部の一端を連結させ、
前記吊り金具に吊り下げられた別の前記連結部の前記本体側連結部分に、前記本体部の他端を連結させ、
当該本体部とこれらの連結部とが連結された部分を前記バンドで覆い保持し、
当該バンドおよび当該本体部、当該バンドおよびこれらの連結部をそれぞれ前記固定具で固定するものである。
【0014】
また、本発明に係る施工方法は、このダンパ構造を用いて、
前記固定具で固定されている前記バンドおよび前記本体部、前記バンドおよび前記連結部をそれぞれ固定解除し、
当該本体部とこれらの連結部とが連結された状態を保持している当該バンドを取り外し、
前記吊り金具に吊り下げられた前記連結部の前記本体側連結部分に連結されている前記本体部の一端の連結を解除し、
前記吊り金具に吊り下げられた別の前記連結部の前記本体側連結部分に連結されている前記本体部の他端の連結を解除するものである。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明に係るダンパ構造によれば、かかる構成により、連結部は、本体部と連結する本体側連結部分とダクトと連結するダクト側連結部分とが含まれているため、ダクトの中間に設置されるダンパは、本体部と当該本体部の両端にそれぞれ接続される2つの連結部とで連結して構成される。よって、ダンパを施工する際は通常のダンパと同様の施工が可能で、また、ダンパを交換する際は本体部および連結部の連結を解除することにより、容易に本体部の交換を行うことができる。従って、ダンパの交換に付随するダクトの一部切断や天井の一部解体作業、および復旧作業などの付随作業も発生せず、天井裏空間での交換作業が可能なため、ダンパ交換時の作業効率を大幅に向上させることができる。
【0016】
同時に、本体部と連結部が連結された部分には、バンドがこれらを保持するように設けられて、さらに固定具でバンドと本体部、およびバンドと連結部がそれぞれ固定されるため、本体部および連結部はしっかりと固定され、ダンパとしての必要強度およびダンパとして機能を確保することができる。
【0017】
(2)また、本体側連結部分の外径は、本体部の内径よりも小さく、ダクト側連結部分の外径は、ダクトの内径よりも小さく、本体側連結部分の外径に本体部の内径が接した状態で、本体部または/および連結部は回転可能である構成により、連結部の本体側連結部分に本体部を側面方向から挿入した後、本体部を回転することで本体部と連結部を仮固定させておき、バンドおよび固定具により本体部と連結部が連結される。反対に、本体部を回転した後、本体部を側面方向から抜去することで、本体部と連結部の連結が解除される。また、ダクト側連結部分の外径はダクトの内径よりも小さいため、ダクトに、連結部のダクト側連結部分が挿入されて連結される。
つまり、本体側連結部分の外径は本体部の内径よりも小さいため、本体部の内面を連結部の本体側連結部分の外面にあてがわせることができ、さらにあてがわせた状態で、本体部を回転させることができる。言い換えると、内側に位置した連結部の本体側連結部分と外側に位置した本体部の一端とを重ねることができ、さらに重ねた状態で、本体部を回転させることができる。
【0018】
(3)また、連結部が、連結部自身を吊り下げるための吊り金具を備える構成により、連結部は吊り金具を備えているため、連結部自身を吊り下げることができ、さらに連結部と連結するダクトを支持することができる。よって、ダンパの交換を行う時(本体部を交換する時)にダクトを別部材で支持する必要がなく、ダンパ交換時の作業効率をさらに向上させることができる。
さらに、吊り金具を備えた連結部を有しているため、当該連結部と本体部とを連結させることにより吊り金具付きのダンパを構成することができ、一般的なダンパのみならず防災用ダンパにも適用することもできる
【0019】
一方、本発明に係る施工方法によれば、ダンパ交換時の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のダンパ構造の実施形態を示す図であり、ダンパ構造の概略正面図である。
【
図3】(A)は、
図1に示すダンパ構造の概略平面図であり、(B)は、
図1に示すダンパ構造の概略底面図である。
【
図4】(A)は、
図1に示すダンパ構造の概略左側面図であり、(B)は、
図1に示すダンパ構造の概略右側面図である。
【
図8】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
【
図9】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
【
図10】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
【
図11】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
【
図12】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
【
図13】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
【
図14】本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図であり、(A)は、本体部の鉛直上向きの挿入を左側面から見た図であり、(B)は、本体部の水平方向の挿入を左側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0022】
[ダンパ構造]
図1~4は、本発明のダンパ構造の実施形態を示す図である。また、
図5~7は、ダンパ構造の本体部、連結部、バンドの概略斜視図である。
なお、本実施形態に係るダンパ構造1は、防火ダンパである。そして、金属製材料(主に鉄)を使用した不燃材料で構成される。
【0023】
図1に示すように、ダンパ構造1は、空調用または換気用のダクトD(
図9参照)の中間に設置されるダンパの構造である。つまり、ダンパ構造1の両端には、ダクトDが接続される。
また、ダンパ構造1は、本体部10と、連結部20と、バンド30と、固定具40と、を有する。
【0024】
[本体部、連結部]
本体部10は、
図5に示すように、円筒状のケーシングからなるものである。また、本実施形態において、本体部10は、閉鎖装置11(
図1,3,4,5参照)、可動羽根12(
図4,5参照)、温度ヒューズ13(
図4参照)などを備える。
また、可動羽根12は、シャフト14によって本体部10内に支持されている(
図5参照)。そして、シャフト14は軸受け15を介して回転可能に支持されている(
図5参照)。
なお、本実施形態において、閉鎖装置11は本体部10を正面から見た場合に見える(
図1,2参照)。
【0025】
連結部20も、
図4,6に示すように、円筒状のケーシングからなるものである。連結部20は、
図1に示すように本体部10の両端にそれぞれ接続(連結)される。以下、
図1(正面図)において、向かって左側に接続される連結部を連結部20A、向かって右側に接続される連結部を連結部20Bと称して説明する。
【0026】
例えば、
図4(A)に示すダンパ構造1の概略左側面図では手前に連結部20Aが見えており、
図4(B)に示すダンパ構造1の概略右側面図では手前に連結部20Bが見えている。
【0027】
また、連結部20は、一端に本体部10と連結する本体側連結部分21(21A,21B)と、他端にダクトDと連結するダクト側連結部分22(22A,22B)と、を含む(
図1,2,3,6,9参照)。なお、
図1~3に示す本体部10と連結部20とが連結されている実施形態においては、本体側連結部分21は本体部10で隠れている。
【0028】
さらに、
図5に示すように、本体部10は連結部20と接続する本体部10の縁に、当該縁に沿って半円周(180度)に渡り切り欠きが設けられている。つまり、本体部10の縁には、切り欠きが設けられている部分101と、切り欠きが設けられていない部分102とがある。
図5で示していないが、他端(本体部10の反対側)も同様である。
なお、本実施形態において、本体部10の上半分(本体部10が
図1に示す位置にある時の、上半分の半円周の部分)が、切り欠きが設けられていない部分102であり、下半分(本体部10が
図1に示す位置にある時の、下半分の半円周の部分)が、切り欠きが設けられている部分101である。
【0029】
一方、
図6に示すように、連結部20にも本体側連結部分21の縁に、当該縁に沿って半円周(180度)に渡り切り欠きが設けられている。つまり、本体側連結部分21の縁には、切り欠きが設けられている部分201と、切り欠きが設けられていない部分202とがある。
なお、本実施形態において、連結部20の上半分(連結部20が
図1に示す位置にある時の、上半分の半円周の部分)が、切り欠きが設けられている部分201であり、下半分(連結部20が
図1に示す位置にある時の、下半分の半円周の部分)が、切り欠きが設けられていない部分202である。
【0030】
ここで、本体側連結部分21の外径は、本体部10の内径よりも小さい。また、ダクト側連結部分22の外径は、ダクトDの内径よりも小さい。例えば、径の設計は「ダクトDの内径>ダクト側連結部分22の外径(=本体部10の外径)」とすることができる。
【0031】
そして、本体側連結部分21の外径に本体部10の内径が接した状態で、本体部10または/および連結部20は回転可能(摺動可能)である。つまり、本体側連結部分21の外径R2(
図6参照)は本体部10の内径R1(
図5参照)よりも小さいため、連結部20が吊り金具50(後述する)によって天井に吊り下げられている(固定されている)状態において、本体部10を手前または奥の円周方向に回転させることができる。
【0032】
これらの設計例として、以下のような寸法とすることができる。
(1)ダクト-連結部
・ダクトDの内径:250mm
・ダクト側連結部分22の外径:公称250mm(実寸法247mm)
(2)本体部-連結部
・本体部10の内径:実寸法247mm-鉄板肉厚(例えば、1.6mm×2)=243.8mm
・本体側連結部分21の外径:243.3mm
【0033】
上記設計例のように、本体側連結部分21の外径R2(243.3mm)を本体部10の内径R1(243.8mm)よりも小さくすることで、本体側連結部分21の外径に本体部10の内径が接した状態で、本体部10または/および連結部20はスムーズに回転することができる。
【0034】
また、本体側連結部分21の外径を本体部10の内径よりも小さくするために、次のようにして本体側連結部分21を成形することができる。
【0035】
まず、本体部10と同肉厚(1.6mm)の鉄板を使用して、本体部10と同径に円筒状の連結部20を成形する。そして、1.6mmよりも薄肉(例えば、0.8mm)の鉄板を円筒状に成形したものを、溶接などの手段で連結部20の一端に接合する。この薄肉で成形された部分が、本体側連結部分21となる。
【0036】
図13を用いて説明すると、連結部20Aの本体側連結部分21Aにおいて、211Aが薄肉(0.8mm)の部分であり、212Aが本体部10と同肉厚(1.6mm)の部分である。また、連結部20Bの本体側連結部分21Bにおいて、211Bが薄肉(0.8mm)の部分であり、212Bが本体部10と同肉厚(1.6mm)の部分である。
もちろん、このような成形方法は一例であり、その他様々な加工方法を用いて連結部20を成形することができる。
【0037】
このような径の設計は、本体側連結部分21の外径に本体部10の内径が接した状態で本体部10または/および連結部20が回転可能であれば、ダクト構造のサイズ、使用材料、コスト(予算)などに応じて適宜設計変更可能である。
【0038】
なお、連結部20にはリブRが設けられている(
図1,2,3,6,9参照)。このリブRが、ダクトDへの差し込みしろを規定する。つまり、リブRが連結部20のダクト側連結部分22にダクトDを差し込んだ時のストッパーとなる。
【0039】
なお、本体部と連結部の構成は、以下のように設計することができる。
【0040】
(1)本体部10の一端の切り欠きが設けられた部分101から他端の切り欠きが設けられた部分101までの長さをL11
(2)吊り金具50により吊り下げられて固定された連結部20A,20Bの、切り欠きが設けられていない部分202間の長さをL21
とすると(
図13参照)、L11≦L21と設計することができる。
【0041】
これにより、吊り金具50により吊り下げられて固定された連結部20A,20Bの間に、本体部10を長手方向から突っかからずに挿入することができる。
【0042】
(1)本体部10の一端の切り欠きが設けられていない部分102から他端の切り欠きが設けられていない部分102までの長さをL12
(2)吊り金具50により吊り下げられて固定された連結部20A,20B間の長さであり、本体側連結部分21A,21Bを含む長さ(薄肉(0.8mm)の部分を含む長さ)をL22
とすると(
図13参照)、L12≦L22と設計することができる。
【0043】
これにより、本体部10を連結部20A,20Bの間に挿入した後(
図12参照)、本体部10の切り欠きが設けられていない部分102を、本体側連結部分21A,21Bの切り欠きが設けられている部分201に合致するまで本体部10を180度回転させると、本体部10を連結部20A,20Bにぴったりと接続することができる(
図11参照)。
【0044】
なお、このような設計は適宜変更可能である。例えば、「L12=L22-4mm(本体側連結部分21A側において2mm、本体側連結部分21B側において2mm)」と、適宜クリアランスを設けることができる。
【0045】
[バンド、固定具]
バンド30は、本体部10と連結部20(20A,20B)とが連結された状態を保持し、本体部10と連結部20(20A,20B)を覆うように設けられるものである。
図7に示すように、本実施形態においてバンド30の形状は、円筒状のケーシングからなる本体部10および連結部20の側面にフィットするような、中心角が180度の円弧状である。
【0046】
また、バンド30は、本体部10および連結部20を半円周(180度)に渡って保持する。
図1,3に示すように、バンド30は本実施形態において、本体部10および連結部20の下半分を半円周に渡って保持する。
【0047】
固定具40は、バンド30および本体部10を固定するものである(
図1参照)。また、固定具40は、バンド30および連結部20を固定するものである(
図1参照)。固定具40には、例えばネジ、ボルト、ビスなどを用いることができ、本実施形態ではネジを用いている。
【0048】
図5~7に示すように、本体部10、連結部20、バンド30には固定具40が挿入される孔が設けられている。本実施形態では、本体部10の上半分に連結部20と接続するための上孔H11が等間隔に4つ設けられている。また、本体部10の下半分には、バンド30を固定するための下孔H12が等間隔に3つ設けられている(
図5参照)。
【0049】
一方、連結部20には、上半分に本体部10と接続するための上孔H21が等間隔に4つ設けられている。また、連結部20の下半分には、バンド30を固定するための下孔H22が等間隔に3つ設けられている(
図6参照)。
【0050】
さらに、バンド30には、本体部10を固定するための孔H31が等間隔に3つ、連結部20を固定するための孔H32が等間隔に3つ設けられている(
図7参照)。
【0051】
そのため、上孔H11と上孔H21とを用いたネジによる螺合により、本体部10と連結部20とを接続固定し、その上からバンド30を重ねた後、下孔H12と孔H31、および下孔H22と孔H32とを用いたネジによる螺合により、本体部10とバンド30、および連結部20とバンド30を固定することができる。
【0052】
なお、このようなネジ孔の数や位置は、適宜設計変更可能である。例えば、下孔H12は90度間隔で3つ設けられているが(
図5参照)、4つ,5つと増やしたり、間隔を変えたりすることができる。
【0053】
また、
図1,6に示すように、連結部20は、連結部20自身を吊り下げるための吊り金具50を備える。吊り金具50は、例えば天井に設けられた吊りボルトCと、ナットNによって吊り下げられる(
図8(b)参照)。
よって、吊り金具50を介して、連結部20自身およびこれと接続するダクトDを天井などの躯体に支持することができる。
【0054】
[施工方法]
図8~13は、本発明のダンパ構造を用いた施工方法を説明するための図である。
以下、
図8~13に基づいてダンパ構造1を用いた施工方法を説明するが、
図1~7に基づいて説明した構成と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
[1.取り付け]
最初に、施工方法として、本実施形態に係るダンパ構造1(以下、単に「ダンパ」と言うこともある)をダクトDに施行する(取り付ける)際の方法を説明する。
【0056】
図8(A)に示すように、作業者はダンパを固定するための吊りボルトCを天井などの躯体に打ち込む。そして、
図8(B)に示すように、作業者はダンパを吊り金具50で天井に固定する。
【0057】
それから、
図9(A)に示すように、作業者はダンパの両端(ダクト側連結部分22A,22B)にダクトDを接続する。ダンパの両端にダクトDが接続されると(
図9(B)参照)、作業者はビス止めおよびテープでの気密を行う。さらにその後、作業者は保温材の巻き付けを行う。
【0058】
ここで、作業者は、本体部10と連結部20との接続およびバンド30による固定など予めダンパを組み立てておき、それを施工場所へと運んでダクトDに取り付けることができる。
【0059】
なお、このようにダンパが組み立てられてダクトDに取り付けられる際、つまりダンパが吊り金具50を介して天井に吊り下げられる際、本体部10の切り欠きが設けられていない部分102(
図5参照)と、連結部20の(本体側連結部分21の)切り欠きが設けられている部分201(
図6参照)は、ダンパの上半分で重なって位置する(
図11参照)。
【0060】
そして、本体側連結部分21の外径は本体部10の内径よりも小さいため、本体部10の内面を本体側連結部分21の外面にあてがわせることができる。つまり、本体部10の切り欠きが設けられていない部分102の内面は、本体側連結部分21の切り欠きが設けられている部分201の外面にあてがわれているため、切り欠きが設けられていない部分102が切り欠きが設けられている部分201に引っ掛かり、この状態において、吊り金具50で直接的に吊り下げられていない本体部10が自重により下がることはない。
【0061】
[2-1.交換(取り外し)]
次に、施工方法として、
図10~13に基づいてダンパを交換する際の方法を説明する。まず、ダンパを交換する際に、作業者は交換対象(既設の本体部)を取り外す必要がある。
【0062】
図10に示すように、ダンパ構造1は、吊り金具50を介して天井に吊り下げられ、空調用または換気用のダクトDの中間に設置されている。
【0063】
始めに、ダンパ構造1はバンド30および固定具40で固定されているため、作業者はバンド30および固定具40を本体部10などから取り外す(
図10参照)。取り外すと、
図11に示すように、ダンパ構造1はバンド30および固定具40で固定されていない状態となる。
【0064】
そして、作業者は、本体部10を手前の円周方向(
図11の矢印方向)に180度回転させる。連結部20(20A,20B)は吊り金具50で吊り下げられている(固定されている)ため、作業者は、本体部10を手で掴んで回転させることができる。
【0065】
回転させると、
図12に示すように、本体部10は閉鎖装置11が背面に位置する状態になる。この状態で、作業者が本体部10を鉛直下向き(
図12の下向き矢印方向)に引っ張ることで、交換対象である本体部10を取り外すことができる(
図13参照)。
【0066】
この時、本体側連結部分21の外径は本体部10の内径よりも小さいため、本体部10の内面が本体側連結部分21の外面にあてがっていつつも、本体部10を回転させることができる。そして、本体部10は回転させることができるため、本体部10の切り欠きが設けられている部分101および切り欠きが設けられていない部分102の位置も、本体部10を回転させることで変えることができる。
【0067】
また、「1.取り付け」で説明したように、ダンパが吊り金具50を介して天井に吊り下げられる際、本体部10の切り欠きが設けられていない部分102と、本体側連結部分21の切り欠きが設けられている部分201は、ダンパの上半分で重なって位置している。この状態から上述したように本体部10を180度回転させると、本体部10の切り欠きが設けられている部分101(
図5参照)と、本体側連結部分21の切り欠きが設けられている部分201(
図6参照)とが、ダンパの上半分で重なって位置することとなる(
図12参照)。
【0068】
そうすると、
図12に示すように、切り欠きが設けられている部分101と、切り欠きが設けられている部分201との間には隙間が生じる。つまり、本体部10の切り欠きが設けられている部分101の内面は、本体側連結部分21の切り欠きが設けられている部分201の外面にあてがわれなくなるため、切り欠きが設けられている部分101が切り欠きが設けられている部分201に引っ掛かからずに、吊り金具50で直接的に吊り下げられていない本体部10は自重により下がる(取り外すことができる)。
【0069】
[2-2.交換(取り付け)]
次に、作業者は、交換対象(新しい本体部)を取り付ける。取り付ける方法は、取り外す方法とは逆の工程を踏むこととなるため、再度
図10~13に基づいて説明する。
【0070】
始めに、
図13に示すように、連結部20(20A,20B)は吊り金具50で吊り下げられている(固定されている)ため、作業者はこれらの間に、新しい本体部10を長手方向から鉛直上向き(
図13の上向き矢印方向)に挿入する。なお、
図14(A)に示す図は、鉛直上向きの挿入を左側面から見た場合である。
【0071】
なお、この際、作業者は連結部20の切り欠きが設けられている部分201に対して、本体部10の切り欠きが設けられていない部分102を対向させて挿入する(
図6,13参照)。
【0072】
そして、本体部10を連結部20Aと連結部20Bとの間に挿入した後(
図12参照)、作業者は本体部10を奥の円周方向(取り外した時とは反対方向)に180度回転させる。そうすると、本体部10は、閉鎖装置11が正面に位置した状態になる(
図11参照)。つまり、「1.取り付け」で説明したように、本体部10と連結部20(本体側連結部分21)は係合した状態になる。
【0073】
それから作業者は、バンド30および固定具40で、本体部10と連結部20との接続をしっかりと固定する(
図10参照)。
【0074】
以上のようにして、本体部10の交換が行われる。
また、本体部10を取り外した後(
図13参照)、連結部20をダクトDから取り外し、さらに連結部20を吊りボルトCから取り外して、連結部20自身を交換することもできる。
【0075】
このように、従来のダンパは本体交換にはダクト切断などの付随作業が必須であったが、本発明のダンパ構造は本体部と連結部とを容易に分解することができるため、作業者が天井点検口から天井裏に進入して作業することが可能となり、付随作業なしにダンパ全体の交換を行うことができる。
【0076】
なお、取り付ける方法の説明において、本体部10を連結部20Aと連結部20Bとの間に、天井に向かって鉛直上向きに挿入すると説明したが、水平方向(
図13における手前から奥の方向)に本体部10を挿入することもできる。例えば、
図14(B)に示す図は、水平方向の挿入を左側面から見た場合である。
【0077】
以上のように説明したダンパ構造1および施工方法は、本発明に係るダンパ構造1および施工方法を例示するものであり、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の構成は例示したものに限定されない。
【0078】
例えば、ダンパ構造1が用いられる場面に応じて、本体部10が備える構成(閉鎖装置11、可動羽根12、温度ヒューズ13など)は適宜設計変更可能である。
また、本体部10の切り欠きが設けられている部分101と切り欠きが設けられていない部分102、および本体側連結部分21の切り欠きが設けられている部分201と切り欠きが設けられていない部分202の範囲(180度)についても、適宜設計変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るダンパ構造等は、保守・点検や交換などダンパのメンテナンスにおける作業効率を大幅に向上させることができるダンパ構造として、空調用または換気用ダクトが設置される様々な建築物で利用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 ダンパ構造
10 本体部
101 本体部の切り欠きが設けられている部分
102 本体部の切り欠きが設けられていない部分
11 閉鎖装置
12 可動羽根
13 温度ヒューズ
14 シャフト
15 軸受け
20,20A,20B 連結部
201 連結部の切り欠きが設けられている部分
202 連結部の切り欠きが設けられていない部分
21,21A,21B 本体側連結部分
211A,211B 肉厚:0.8mmの部分
212A,212B 肉厚:1.6mmの部分
22,22A,22B ダクト側連結部分
30 バンド
40 固定具
50 吊り金具
R リブ
R1 本体部の内径
R2 本体部連結部分の外径
C 吊りボルト
N ナット
H11 本体部の上孔
H12 本体部の下孔
H21 連結部の上孔
H22 連結部の下孔
H31,32 バンドの孔
D ダクト