(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052009
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H05B 33/04 20060101AFI20240404BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240404BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240404BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20240404BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20240404BHJP
H05B 33/26 20060101ALI20240404BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20240404BHJP
H05B 33/06 20060101ALI20240404BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H05B33/04
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
H05B33/28
H05B33/06
G09F9/30 365
G09F9/30 338
G09F9/30 309
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158436
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽成 淳
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107DD23
3K107DD27
3K107DD38
3K107DD89
3K107DD92
3K107DD93
3K107EE42
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107EE55
3K107FF15
5C094AA38
5C094BA27
5C094DA07
5C094DB01
5C094EA04
(57)【要約】
【課題】 水分に対する耐性を高めた表示装置を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、画素を含む表示領域において前記第1基板の上方に配置された下電極と、前記下電極と重なる画素開口を有するリブと、前記表示領域において前記リブの上に配置された隔壁と、前記画素開口を通じて前記下電極を覆い、電圧の印加に応じて発光する有機層と、前記有機層を覆う上電極と、無機材料で形成され、前記有機層および前記上電極を含む薄膜と前記隔壁とを連続的に覆う第1封止層と、前記第1封止層を覆う樹脂層と、無機材料で形成され、前記樹脂層を覆う第2封止層と、前記第2封止層に対向する第2基板と、前記第2封止層と前記第2基板を接着する接着層と、を備えている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
画素を含む表示領域において前記第1基板の上方に配置された下電極と、
前記下電極と重なる画素開口を有するリブと、
前記表示領域において前記リブの上に配置された隔壁と、
前記画素開口を通じて前記下電極を覆い、電圧の印加に応じて発光する有機層と、
前記有機層を覆う上電極と、
無機材料で形成され、前記有機層および前記上電極を含む薄膜と前記隔壁とを連続的に覆う第1封止層と、
前記第1封止層を覆う樹脂層と、
無機材料で形成され、前記樹脂層を覆う第2封止層と、
前記第2封止層に対向する第2基板と、
前記第2封止層と前記第2基板を接着する接着層と、
を備える表示装置。
【請求項2】
前記薄膜および前記第1封止層の端部は、前記隔壁の上に位置し、前記樹脂層により覆われている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記樹脂層の厚さは、前記隔壁の高さの5倍以下である、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記樹脂層の端部は、前記表示領域の周囲の周辺領域に位置し、前記第2封止層によって覆われている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記表示領域の周囲の周辺領域に配置され、前記隔壁と接続されるとともに前記薄膜で覆われた導電層をさらに備え、
前記隔壁および前記導電層の各々は、導電性を有する下部と、前記下部の側面から突出した上部と、を有している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記薄膜は、前記導電層の端部により分断されている、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示領域の周囲の周辺領域に配置され、前記第1基板の厚さ方向において前記第1基板と前記第2封止層の間に位置する導電性のパッドをさらに備え、
前記第2封止層は、前記パッドと重なる開口を有している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記パッドは、前記接着層から露出している、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記表示領域の周囲の周辺領域に配置された複数の凸部を含むダム構造をさらに備え、
前記第2封止層は、前記ダム構造の少なくとも一部を覆っている、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第2封止層のうち前記ダム構造を覆う部分は、前記接着層により覆われている、
請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極とを備えている。
【0003】
一般に、有機層は水分への耐性が低い。何らかの原因で有機層に水分が到達すると、発光時における表示素子の輝度低下など、表示品位の低下を招く一因となり得る。また、表示領域の周囲の周辺領域に配置された駆動回路に水分が浸入すると、駆動回路を構成する要素が劣化し、表示装置の動作に不具合が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、水分に対する耐性を高めた表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1基板と、画素を含む表示領域において前記第1基板の上方に配置された下電極と、前記下電極と重なる画素開口を有するリブと、前記表示領域において前記リブの上に配置された隔壁と、前記画素開口を通じて前記下電極を覆い、電圧の印加に応じて発光する有機層と、前記有機層を覆う上電極と、無機材料で形成され、前記有機層および前記上電極を含む薄膜と前記隔壁とを連続的に覆う第1封止層と、前記第1封止層を覆う樹脂層と、無機材料で形成され、前記樹脂層を覆う第2封止層と、前記第2封止層に対向する第2基板と、前記第2封止層と前記第2基板を接着する接着層と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、隔壁とその近傍を拡大した概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る表示装置の概略的な平面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る表示装置の他の要素を示す概略的な平面図である。
【
図7】
図7は、
図5において鎖線枠VIIで囲った領域の拡大図である。
【
図8】
図8は、
図7におけるXIII-XIII線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示した導電層の端部近傍の概略的な断面図である。
【
図11】
図11は、第1変形例に係る画素の概略的な平面図である。
【
図12】
図12は、第2変形例に係る画素の概略的な平面図である。
【
図13】
図13は、第3変形例に係る画素の概略的な平面図である。
【
図14】
図14は、第4変形例に係る表示装置の概略的な断面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る表示装置の概略的な平面図である。
【
図17】
図17は、
図16におけるXVII-XVII線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【
図18】
図18は、
図15におけるXVIII-XVIII線に沿う表示装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
いくつかの実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zは、第1方向Xと第2方向Yを含む平面に対して法線方向である。また、第1方向Xと第2方向Yを含む平面と平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
各実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る表示装置DSPの構成例を示す図である。表示装置DSPは、絶縁性の第1基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAとを有している。第1基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における第1基板10の形状が長方形である。ただし、第1基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、赤色の副画素SP1、緑色の副画素SP2および青色の副画素SP3を含む。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子DEとを備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4とを備えている。画素スイッチ2および駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極およびドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極およびキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極およびドレイン電極の一方は電源線PLおよびキャパシタ4に接続され、他方は表示素子DEに接続されている。
【0016】
表示素子DEは、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)である。例えば、副画素SP1は赤色の波長域の光を放つ表示素子DEを備え、副画素SP2は緑色の波長域の光を放つ表示素子DEを備え、副画素SP3は青色の波長域の光を放つ表示素子DEを備えている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタおよびキャパシタを備えてもよい。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP1と副画素SP2が第2方向Yに並んでいる。さらに、副画素SP1,SP2がそれぞれ副画素SP3と第1方向Xに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP1,SP2が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP3が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。
【0020】
表示領域DAには、リブ5および隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ画素開口AP1,AP2,AP3を有している。
図2の例においては、画素開口AP2が画素開口AP1よりも大きく、画素開口AP3が画素開口AP2よりも大きい。
【0021】
隔壁6は、隣り合う副画素SPの境界に配置され、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yとを有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う画素開口AP1,AP2の間、および、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP3の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う画素開口AP1,AP3の間、および、第1方向Xに隣り合う画素開口AP2,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0022】
図2の例においては、第1隔壁6xおよび第2隔壁6yが互いに接続されている。これにより、隔壁6は全体として画素開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状である。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
副画素SP1は、画素開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1を備えている。副画素SP2は、画素開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2を備えている。副画素SP3は、画素開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3を備えている。
【0024】
下電極LE1、上電極UE1および有機層OR1は、副画素SP1の表示素子DE1を構成する。下電極LE2、上電極UE2および有機層OR2は、副画素SP2の表示素子DE2を構成する。下電極LE3、上電極UE3および有機層OR3は、副画素SP3の表示素子DE3を構成する。表示素子DE1,DE2,DE3は、後述するキャップ層をさらに含んでもよい。
【0025】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0026】
図2の例において、コンタクトホールCH1,CH2は、第2方向Yに隣り合う画素開口AP1,AP2の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。コンタクトホールCH3は、第2方向Yに隣り合う2つの画素開口AP3の間の第1隔壁6xと全体的に重なっている。他の例として、コンタクトホールCH1,CH2,CH3の少なくとも一部が第1隔壁6xと重なっていなくてもよい。
【0027】
図3は、
図2中のIII-III線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。上述の第1基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SLおよび電源線PLなどの各種回路や配線を含む。
【0028】
回路層11は、有機絶縁層12により覆われている。有機絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
図3の断面には表れていないが、上述のコンタクトホールCH1,CH2,CH3は有機絶縁層12に設けられている。
【0029】
下電極LE1,LE2,LE3は、有機絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、有機絶縁層12および下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。
【0030】
隔壁6は、リブ5の上に配置された導電性を有する下部61と、下部61の上に配置された上部62とを含む。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、
図3においては上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0031】
有機層OR1は、画素開口AP1を通じて下電極LE1を覆っている。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下電極LE1と対向している。有機層OR2は、画素開口AP2を通じて下電極LE2を覆っている。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下電極LE2と対向している。有機層OR3は、画素開口AP3を通じて下電極LE3を覆っている。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下電極LE3と対向している。
【0032】
図3の例においては、有機層OR1の上にキャップ層CP1が配置され、有機層OR2の上にキャップ層CP2が配置され、有機層OR3の上にキャップ層CP3が配置されている。キャップ層CP1,CP2,CP3は、それぞれ有機層OR1,OR2,OR3が発する光の光学特性を調整する。
【0033】
以下の説明においては、有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む積層体を薄膜FL1と呼び、有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む積層体を薄膜FL2と呼び、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む積層体を薄膜FL3と呼ぶ。
【0034】
薄膜FL1の一部は、上部62の上に位置している。当該一部は、薄膜FL1のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE1を構成する部分)と離間している。同様に、薄膜FL2の一部は上部62の上に位置し、当該一部は薄膜FL2のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE2を構成する部分)と離間している。さらに、薄膜FL3の一部は上部62の上に位置し、当該一部は薄膜FL3のうち隔壁6の下に位置する部分(表示素子DE3を構成する部分)と離間している。
【0035】
副画素SP1,SP2,SP3には、第1封止層SE11,SE12,SE13がそれぞれ配置されている。第1封止層SE11は、薄膜FL1や副画素SP1の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第1封止層SE12は、薄膜FL2や副画素SP2の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。第1封止層SE13は、薄膜FL3や副画素SP3の周囲の隔壁6を連続的に覆っている。
【0036】
図3の例においては、副画素SP1,SP3の間の隔壁6上の薄膜FL1および第1封止層SE11が、当該隔壁6上の薄膜FL3および第1封止層SE13と離間している。また、副画素SP2,SP3の間の隔壁6上の薄膜FL2および第1封止層SE12が、当該隔壁6上の薄膜FL3および第1封止層SE13と離間している。
【0037】
第1封止層SE11,SE12,SE13は、樹脂層RSにより覆われている。樹脂層RSは、第2封止層SE2により覆われている。樹脂層RSおよび第2封止層SE2は、少なくとも表示領域DAの全体に連続的に設けられ、その一部が周辺領域SAにも及んでいる。
【0038】
表示装置DSPは、第2封止層SE2に対向する第2基板20をさらに備えている。第2基板20と第2封止層SE2は、透明な接着層21により接着されている。接着層21としては、例えばOCA(OpticalClear Adhesive)を用いることができる。
【0039】
例えば、第2基板20は、偏光板などの光学素子、保護フィルム、カバーガラスまたはタッチパネルである。第2基板20は、光学素子、保護フィルム、カバーガラスおよびタッチパネルなどの機能が異なる2種類以上の要素を接着層で貼り合わせた積層体であってもよい。
【0040】
有機絶縁層12は、有機絶縁材料で形成されている。リブ5、第1封止層SE11,SE12,SE13および第2封止層SE2は、例えばシリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)またはシリコン酸窒化物(SiON)などの無機絶縁材料で形成されている。リブ5、第1封止層SE11,SE12,SE13および第2封止層SE2は、異なる種類の無機絶縁材料の積層体であってもよい。樹脂層RSは、例えばアクリル樹脂などの樹脂材料(有機絶縁材料)で形成されている。
【0041】
下電極LE1,LE2,LE3は、例えば銀(Ag)で形成された中間層と、この中間層の上面および下面をそれぞれ覆う一対の導電性酸化物層とを有している。各導電性酸化物層は、例えばITO(IndiumTin Oxide)、IZO(IndiumZinc Oxide)またはIGZO(IndiumGallium Zinc Oxide)などの透明な導電性酸化物で形成することができる。
【0042】
上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウムと銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。例えば、下電極LE1,LE2,LE3はアノードに相当し、上電極UE1,UE2,UE3はカソードに相当する。
【0043】
有機層OR1,OR2,OR3は、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層および電子注入層の積層構造を有している。有機層OR1,OR2,OR3は、複数の発光層を含むいわゆるタンデム構造を有してもよい。
【0044】
キャップ層CP1,CP2,CP3は、例えば、透明な複数の薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、複数の薄膜として、無機材料によって形成された薄膜および有機材料によって形成された薄膜を含んでもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1,UE2,UE3の材料とは異なり、また、第1封止層SE11,SE12,SE13の材料とも異なる。なお、キャップ層CP1,CP2,CP3は省略されてもよい。
【0045】
隔壁6の下部61は、例えばアルミニウム(Al)によって形成されている。下部61は、アルミニウム-ネオジム(AlNd)などのアルミニウム合金によって形成されてもよいし、アルミニウム層とアルミニウム合金層の積層構造を有してもよい。さらに、下部61は、アルミニウム層またはアルミニウム合金層の下に、アルミニウムやアルミニウム合金とは異なる金属材料で形成された薄膜を有してもよい。このような薄膜は、例えばモリブデン(Mo)によって形成することができる。
【0046】
隔壁6の上部62は、例えばチタン(Ti)などの金属材料で形成された薄膜と、ITOなどの導電性酸化物で形成された薄膜との積層構造を有している。上部62は、チタンなどの金属材料の単層構造を有してもよい。また、上部62は、第1封止層SE11,SE12,SE13とは異なる無機絶縁材料の単層構造を有してもよい。
【0047】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0048】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1の発光層が赤色の波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2の発光層が緑色の波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3の発光層が青色の波長域の光を放つ。
【0049】
図4は、副画素SP1,SP3の境界に配置された隔壁6とその近傍を拡大した概略的な断面図である。この図においては、第1基板10、回路層11、第2基板20および接着層21を省略している。
【0050】
有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1は、蒸着によって形成され、第1封止層SE11とともにパターニングされている。有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む薄膜FL1の端部FL1aは、上部62の上に位置している。第1封止層SE11の端部SE11aも上部62の上に位置している。端部FL1aは、第1封止層SE11によって覆われていない。
【0051】
同様に、有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3は、蒸着によって形成され、第1封止層SE13とともにパターニングされている。有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む薄膜FL3の端部FL3aは、上部62の上に位置している。第1封止層SE13の端部SE13aも上部62の上に位置している。端部FL3aは、第1封止層SE13によって覆われていない。
【0052】
端部FL1aと端部FL3aは、隙間を介して離間している。端部SE11aと端部SE13aは、隙間を介して離間している。樹脂層RSは、表示領域DAの全体に連続的に設けられており、端部FL1a,FL3a,SE11a,SE13aを覆っている。さらに、樹脂層RSは、端部FL1aと端部FL3aの間の隙間、および、端部SE11aと端部SE13aの間の隙間を満たし、上部62に接触している。
【0053】
なお、副画素SP1,SP2の間の隔壁6とその近傍の構成や、副画素SP2,SP3の間の隔壁6とその近傍の構成は、
図4の例と同様である。
【0054】
樹脂層RSは、隔壁6、薄膜FL1,FL2,FL3および第1封止層SE11,SE12,SE13によって生じる凹凸を平坦化する。樹脂層RSの厚さTは、隔壁6の高さHよりも大きい(T>H)。平坦化の観点からは、厚さTが高さHの2倍以上であることが好ましい。一方で、表示装置DSPの薄型化の観点からは、厚さTが高さHの5倍以下であることが好ましく、3倍以下であると一層好適である。一例では、高さHが1μmであり、厚さTが2~3μmである。
【0055】
続いて、周辺領域SAに適用し得る構造につき説明する。
図5は、表示装置DSPの概略的な平面図である。表示装置DSPは、周辺領域SAに配置される要素として、第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2、セレクタ回路STおよび端子部Tを備えている。第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STは、それぞれ画素回路1に信号を供給する駆動回路の一例であり、
図3に示した回路層11に含まれる。
【0056】
第1ゲート駆動回路GD1および第2ゲート駆動回路GD2は、
図1に示した走査線GLに走査信号を供給する。端子部Tには、例えばフレキシブル回路基板が接続される。セレクタ回路STは、このフレキシブル回路基板から入力される映像信号を
図1に示した信号線SLに供給する。
【0057】
第1基板10は、端部10a,10b,10c,10dを有している。端部10a,10bは、第2方向Yと平行に延びている。端部10c,10dは、第1方向Xと平行に延びている。
【0058】
図5の例においては、第1ゲート駆動回路GD1が表示領域DAと端部10aの間に配置され、第2ゲート駆動回路GD2が表示領域DAと端部10bの間に配置され、セレクタ回路STおよび端子部Tが表示領域DAと端部10cの間に配置されている。
【0059】
さらに、表示装置DSPは、周辺領域SAに配置された導電層CL(ドット模様を付した部分)を備えている。
図5の例においては、導電層CLが表示領域DAを囲っている。
【0060】
導電層CLは、表示領域DAに配置された隔壁6と接続されている。導電層CLは、第1ゲート駆動回路GD1、第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STと平面視において重なっている。
【0061】
導電層CLは、必ずしも表示領域DAを囲う形状を有する必要はない。例えば、表示領域DAと端部10cの間や、表示領域DAと端部10dの間に導電層CLが配置されていなくてもよい。
【0062】
周辺領域SAには、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび第1封止層SE1が配置されている。有機層ORsは、有機層OR1,OR2,OR3のいずれかと同じ材料で同じプロセスにより形成されている。上電極UEsは、上電極UE1,UE2,UE3のいずれかと同じ材料で同じプロセスにより形成されている。キャップ層CPsは、キャップ層CP1,CP2,CP3のいずれかと同じ材料で同じプロセスにより形成されている。第1封止層SE1は、封止層SE11,SE12,SE13のいずれかと同じ材料で同じプロセスにより形成されている。一例では、有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPsおよび第1封止層SE1は、それぞれ有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3および第1封止層SE13と同じ材料で同じプロセスにより形成されている。
【0063】
以下の説明においては、有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPsを含む積層体を薄膜FLと呼ぶ。薄膜FLおよび第1封止層SE1は、平面視において導電層CLと重なっている。
【0064】
図6は、周辺領域SAに配置される他の要素を示す概略的な平面図である。周辺領域SAには、給電線PW(斜線模様を付した部分)および中継配線RL(ドット模様を付した部分)が配置されている。
【0065】
図6の例において、中継配線RLは、表示領域DAを囲っている。給電線PWは、表示領域DAと端部10a,10b,10dの間に延在しているが、表示領域DAと端部10cの間には配置されていない。他の例として、給電線PWは、表示領域DAを囲ってもよい。
【0066】
給電線PWおよび中継配線RLは、部分的に重なっている。給電線PWは、端子部Tと電気的に接続されている。給電線PWには、端子部Tを通じて共通電圧が供給される。さらに、給電線PWの共通電圧は、中継配線RLに供給される。
【0067】
図7は、
図5において鎖線枠VIIで囲った領域の拡大図である。
図8は、
図7におけるXIII-XIII線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図7においてドット模様を付した領域が導電層CLおよび隔壁6(第1隔壁6xおよび第2隔壁6y)に相当する。導電層CLおよび隔壁6は、同じ材料で同じ製造プロセスにより一体的に形成されている。
【0068】
図8の例において、回路層11は、無機絶縁層31,32,33と、有機絶縁層34と、金属層41,42,43とを備えている。無機絶縁層31は、第1基板10を覆っている。金属層41は、無機絶縁層31の上に配置され、無機絶縁層32により覆われている。金属層42は、無機絶縁層32の上に配置され、無機絶縁層33により覆われている。有機絶縁層34は、無機絶縁層33の上に配置されている。金属層43は、有機絶縁層34の上に配置され、有機絶縁層12により覆われている。
【0069】
無機絶縁層31,32,33は、例えばシリコン窒化物およびシリコン酸化物などの無機材料で形成されている。金属層41,42,43は、例えばモリブデン(Mo)、タングステン(W)、モリブデンタングステン合金(MoW)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)などの金属材料の単層構造または積層構造を有している。
【0070】
第1ゲート駆動回路GD1は、金属層41,42,43や半導体層によって形成されている。
図5に示した第2ゲート駆動回路GD2およびセレクタ回路STや、
図1に示した画素回路1も同様に、金属層41,42,43や半導体層によって形成されている。また、
図1に示した走査線GLは金属層41によって形成され、
図1に示した信号線SLは金属層42によって形成されている。
【0071】
回路層11の構成は、
図8に例示するものに限られない。例えば、回路層11は、より多くの無機絶縁層と金属層を備えてもよい。また、回路層11は、有機絶縁層34を備えなくてもよい。
【0072】
導電層CLは、周辺領域SAにおいてリブ5を覆っている。導電層CLは、
図3および
図4に示した隔壁6と同じく下部61および上部62を含む。
【0073】
中継配線RLは、大部分が有機絶縁層12の上に配置され、リブ5によって覆われている。例えば、中継配線RLは、下電極LE1,LE2,LE3と同じ材料で同じ製造プロセスにより形成されている。
【0074】
中継配線RLは、第1コンタクト部CN1において給電線PWに接続され、第2コンタクト部CN2において導電層CLに接続されている。これにより、導電層CLには、中継配線RLを介して給電線PWの共通電圧が供給される。さらに、導電層CLの共通電圧は表示領域DAの隔壁6および上電極UE1,UE2,UE3に供給される。
【0075】
第1コンタクト部CN1においては、中継配線RLが給電線PWに接触している。第1コンタクト部CN1は、例えば
図6の平面図において給電線PWと中継配線RLが重なった領域に相当する。
図8の例においては、給電線PWが金属層43により構成されている。給電線PWは、金属層41または金属層42により構成されてもよいし、金属層41,42,43のうちの2つ以上により構成されてもよい。
【0076】
図8に示すように、第2コンタクト部CN2においては、リブ5に開口が形成されている。導電層CLは、当該開口を通じて中継配線RLに接触している。リブ5の開口は、
図7に示す第2コンタクト部CN2の全域に及んでもよい。また、第2コンタクト部CN2においてリブ5に複数の開口が分散して設けられてもよい。
【0077】
図7に示すように、第2コンタクト部CN2は、平面視において第1コンタクト部CN1と表示領域DAの間に位置している。導電層CLの端部CLaは、平面視において第1コンタクト部CN1と第2コンタクト部CN2の間に位置している。
【0078】
図7においては、薄膜FLおよび第1封止層SE1が配置される領域を鎖線で示している。また、
図8においては薄膜FLを1つの層で表している。実際には、薄膜FLにおいて、上電極UEsが有機層ORsを覆い、キャップ層CPsが上電極UEsを覆っている。第1封止層SE1は、薄膜FLを覆っている。
【0079】
図8に示すように、薄膜FLは、導電層CLを覆っている。
図7に示すように、薄膜FLの端部FLaおよび第1封止層SE1の端部SE1aの平面視における位置は、略一致している。端部FLa,SE1aは、導電層CLの端部CLaと第1コンタクト部CN1の間に位置している。
【0080】
図8に示すように、周辺領域SAにも樹脂層RSおよび第2封止層SE2が形成されている。例えば、樹脂層RSの端部RSaは、薄膜FLの端部FLaおよび第1封止層SE1の端部SE1aよりも表示領域DA側に位置している。
図8の例においては、端部RSaが導電層CLの端部CLaの近傍に位置しているが、この例に限られない。
【0081】
第2封止層SE2は、樹脂層RSを全体的に覆っている。第2封止層SE2の端部SE2aは、第1コンタクト部CN1と第1基板10の端部10aの間に位置している。第2封止層SE2は、周辺領域SAにおいて第1封止層SE1、リブ5および無機絶縁層33などに接触している。樹脂層RSの端部RSaは、第1封止層SE1および第2封止層SE2により覆われている。
【0082】
第1基板10は、第2基板20と対向しない露出領域EAを端部10aの近傍に有している。露出領域EAは、接着層21により覆われていない。
図8の例においては、第2封止層SE2が露出領域EAに及んでいない。第2封止層SE2の端部SE2aは、接着層21により覆われている。
【0083】
図9は、導電層CLの端部CLa近傍の概略的な断面図である。導電層CLは、
図4に示した隔壁6と同様に、下部61および上部62を有している。端部CLaにおいて、上部62は、下部61の側面よりも突出している。すなわち、端部CLaにおける導電層CLの形状は、隔壁6と同じくオーバーハング状である。
【0084】
このような形状の導電層CLの上に薄膜FL(有機層ORs、上電極UEsおよびキャップ層CPs)を形成すると、
図9に示すように、端部CLaにおいて薄膜FLが分断される。第1封止層SE1は、導電層CLの上下にそれぞれ位置する薄膜FLを覆うとともに、下部61の側面も覆っている。
【0085】
なお、
図7および
図8においては表示領域DAと第1基板10の端部10aの間の構造に着目したが、表示領域DAと端部10bの間および表示領域DAと端部10dの間にも同様の構造を適用できる。
【0086】
図10は、
図6におけるX-X線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。端子部Tは、パッドPDを備えている。パッドPDは、例えば金属層43によって形成されている。
【0087】
パッドPDの縁は、有機絶縁層12および第2封止層SE2によって覆われている。すなわち、パッドPDは、第3方向Zにおいて第1基板10と第2封止層SE2の間に位置している。パッドPDは、有機絶縁層12および第2封止層SE2を貫通する開口APtを通じて有機絶縁層12および第2封止層SE2から露出している。
【0088】
このような構成のパッドPDは、端子部Tにおいて、第1方向Xに沿って複数並んでいる。例えば、これら複数のパッドPDは、セレクタ回路STに映像信号を供給するための配線、給電線PWに共通電圧を供給するための配線、電源線PLに電源電圧を供給するための配線などに接続されている。
【0089】
端子部Tは、露出領域EAに設けられている。すなわち、パッドPDは、接着層21から露出している。パッドPDは、例えば導電性の接着剤を介してフレキシブル回路基板に接続される。
【0090】
表示装置DSPの製造にあたっては、先ず第1基板10の上に画素回路1、ゲート駆動回路GD1,GD2、セレクタ回路ST、給電線PWおよび端子部Tを含む回路層11が形成される。回路層11の形成の後、有機絶縁層12が回路層11の上に形成される。
【0091】
その後、
図3に示した下電極LE1,LE2,LE3および
図8に示した中継配線RLが形成され、これらの上にリブ5が形成される。さらに、隔壁6および導電層CLが形成される。
【0092】
次に、副画素SP1に有機層OR1、上電極UE1およびキャップ層CP1を含む薄膜FL1と第1封止層SE11が形成され、副画素SP2に有機層OR2、上電極UE2およびキャップ層CP2を含む薄膜FL2と第1封止層SE12が形成され、副画素SP3に有機層OR3、上電極UE3およびキャップ層CP3を含む薄膜FL3と第1封止層SE13が形成される。薄膜FL1,FL2,FL3の形成順は特に限定されないが、一例では薄膜FL3が最初に形成され、薄膜FL2が次に形成され、薄膜FL1が最後に形成される。
【0093】
薄膜FL,FL1,FL2,FL3を構成する各層(有機層、上電極およびキャップ層)は、例えば蒸着によって形成される。第1封止層SE1,SE11,SE12,SE13は、例えばCVD(ChemicalVapor Deposition)によって形成される。
【0094】
図8乃至
図10に示す薄膜FL(有機層ORs、上電極UEs、キャップ層CPs)および第1封止層SE1は、例えば薄膜FL3および第1封止層SE13と同じ材料で同じプロセスにより形成することができる。薄膜FL,FL3および第1封止層SE1,SE13は、同一のフォトリソグラフィ工程によりパターニングされる。そのため、
図8および
図10に示すように薄膜FLの端部FLaと第1封止層SE1の端部SE1aとが揃う。
【0095】
薄膜FLおよび第1封止層SE1の形成の後、樹脂層RSが形成される。樹脂層RSは、例えば印刷法により形成されるが、インクジェットなどの他の方法で形成されてもよい。周囲への拡がりを抑制する観点からは、硬化前の樹脂層RSの粘度を高めることが好ましい。このような高粘度の樹脂層RSの形成には、印刷法が適している。
【0096】
樹脂層RSの形成の後、第2封止層SE2が形成される。第2封止層SE2は、先ず第1基板10の全体に形成され、フォトリソグラフィ工程によってパターニングされる。このフォトリソグラフィ工程により、開口APtが形成される。その後、接着層21により第2基板20が貼り合わされ、端子部Tにフレキシブル回路基板が接続される。
【0097】
以上の本実施形態においては、表示領域DAに配置された薄膜FL1,FL2,FL3がそれぞれ隔壁6と第1封止層SE11,SE12,SE13によって個別に封止されている。さらに、樹脂層RSが第1封止層SE11,SE12,SE13を覆い、第2封止層SE2が樹脂層RSを覆っている。このような構成であれば、薄膜FL1,FL2,FL3への水分の浸入、さらにはその上の樹脂層RSへの水分の浸入が好適に抑制され、水分への耐性に優れた表示装置DSPを得ることができる。
【0098】
しかも、本実施形態においては、第2封止層SE2と第2基板20が接着層21によって接着されている。有機EL表示素子の封止構造としては、複数の樹脂層と複数の無機絶縁層にて表示素子を覆う構造も採用し得るが、この場合には表示装置DSPの厚さが増す。これに対し、本実施形態の構造であれば、水分への耐性を高めつつも、表示装置DSPの厚さを低減することができる。
【0099】
第2封止層SE2は、表示領域DAの全体に形成されるとともに、周辺領域SAにおいても大部分に形成されている。このように無機材料で形成された第2封止層SE2が接着層21と接触することにより、第1基板10と第2基板20を良好に接着することができる。
【0100】
本実施形態においては、周辺領域SAに配置された薄膜FLの端部FLaが第2封止層SE2により覆われている。これにより、薄膜FLを通じた周辺回路への水分浸入を抑制することができる。
【0101】
さらに、本実施形態においては、
図9に示したように、薄膜FLが導電層CLの端部CLaによって分断されている。これにより、薄膜FLを通じた水分浸入がより確実に抑制される。
【0102】
本実施形態にて開示した構成は、種々の態様に変形し得る。以下に、いくつかの変形例を開示する。
図11は、第1変形例に係る画素PXの概略的な平面図である。この例においては、画素PXを構成する副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに並んでいる。このような画素PXがマトリクス状に配列される場合、表示領域DAには、第2方向Yに連続する複数の副画素SP1を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP2を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP3を含む列とが形成される。
【0103】
図12は、第2変形例に係る画素PXの概略的な平面図である。この例において、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3に加えて白色の副画素SP4を含む。副画素SP4は、白色光を放つ表示素子DE4を有している。
【0104】
図12においては、副画素SP1と副画素SP4が第1方向Xに並び、副画素SP2と副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。また、副画素SP1と副画素SP2が第2方向Yに並び、副画素SP3と副画素SP4が第2方向Yに並んでいる。
【0105】
図13は、第3変形例に係る画素PXの概略的な平面図である。この例において、画素PXは、第2変形例と同じく副画素SP1,SP2,SP3,SP4を含む。ただし、副画素SP1,SP2,SP3,SP4は第1方向Xに並んでいる。このような画素PXがマトリクス状に配列される場合、表示領域DAには、第2方向Yに連続する複数の副画素SP1を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP2を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP3を含む列と、第2方向Yに連続する複数の副画素SP4を含む列とが形成される。
【0106】
図14は、第4変形例に係る表示装置DSPの概略的な断面図である。この例においては、第2封止層SE2が第1基板10の全体に形成されている。すなわち、第2封止層SE2の端部SE2aと第1基板10の端部10a,10b,10c,10dとが平面視において一致する。
【0107】
以上の第1乃至第4変形例に係る構成は、適宜に組み合わせることができる。また、これら第1乃至第4変形例に係る構成は、後述する第2実施形態に対しても適用することが可能である。
【0108】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。特に言及しない構成は第1実施形態と同様である。
図15は、第2実施形態に係る表示装置DSPの概略的な平面図である。本実施形態において、表示装置DSPは、周辺領域SAに配置されたダム構造DSをさらに備えている。
図15の例においては、ダム構造DSが表示領域DAおよび導電層CLを囲っている。例えば、ダム構造DSは、樹脂層RSを堰き止める役割を担う。
【0109】
図16は、
図15において鎖線枠XVIで囲った領域の拡大図である。
図17は、
図16におけるXVII-XVII線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図18は、
図15におけるXVIII-XVIII線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【0110】
図16に示すように、ダム構造DSは、凸部R1,R2を有している。例えば、凸部R1,R2は、
図15に示したダム構造DSの平面形状に沿って形成された枠状である。すなわち、凸部R1は表示領域DAを囲い、凸部R2は凸部R1を囲う。なお、ダム構造DSが有する凸部の数は2つに限定されず、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0111】
凸部R1,R2は、第1コンタクト部CN1と第1基板10の端部10aの間に位置している。薄膜FLの端部FLaおよび第1封止層SE1の端部SE1aは、導電層CLの端部CLaと凸部R1の間に位置している。
【0112】
図17の例において、凸部R1は、有機絶縁層34で形成された部分と、有機絶縁層12で形成された部分とを含む。有機絶縁層12で形成された部分は、有機絶縁層34で形成された部分を覆っている。凸部R2も凸部R1と同様に構成されている。このように、2つの有機絶縁層で凸部R1,R2を形成することにより、1つの有機絶縁層で形成する場合に比べて凸部R1,R2の高さを増すことができる。
【0113】
図17の例において、給電線PWは、金属層42によって形成された第1部分P1と、金属層43によって形成された第2部分P2とを有している。第2部分P2は、第1部分P1に接触している。
【0114】
第1部分P1は、凸部R1の有機絶縁層34の下方に位置している。第2部分P2は、凸部R1の有機絶縁層34の上に位置し、有機絶縁層12によって覆われている。すなわち、第3方向Z(第1基板10の厚さ方向、あるいは第1基板10の法線方向)において、凸部R1の有機絶縁層34は、第1部分P1と第2部分P2の間に位置している。第1コンタクト部CN1は、凸部R1の近傍に設けられている。第1コンタクト部CN1においては、中継配線RLが給電線PWの第2部分P2に接触している。
【0115】
第2封止層SE2は、ダム構造DSの少なくとも一部を覆っている。具体的には、
図17の例においては、第2封止層SE2が凸部R1,R2を覆っている。第2封止層SE2のうち凸部R1,R2を覆う部分は、接着層21により覆われている。第2封止層SE2は、凸部R1,R2の有機絶縁層12、給電線PWの第2部分P2のうち凸部R1,R2の間に位置する部分、および、無機絶縁層33のうち凸部R2と第1基板10の端部10aとの間に位置する部分と接触している。
【0116】
なお、
図17においては表示領域DAと第1基板10の端部10aとの間の構造に着目したが、表示領域DAと端部10bの間および表示領域DAと端部10dの間にも同様の構造を適用できる。
【0117】
図18に示すように、凸部R1,R2は、パッドPDよりも表示装置DSP側に配置されている。
図18の断面において、第2封止層SE2のうち凸部R1を覆う部分は、接着層21により覆われている。一方で、第2封止層SE2のうち凸部R2を覆う部分は、接着層21により覆われていない。また、
図18の断面においては、凸部R2が有機絶縁層34を含んでいない。他の例として、
図17の断面と同様に凸部R2が有機絶縁層34を含んでもよい。
【0118】
本実施形態においては、周辺領域SAにダム構造DSが配置されている。このダム構造DSにより硬化前の樹脂層RSが堰き止められるため、樹脂層RSの端部RSaの位置を精度良く制御することが可能となる。
【0119】
表示装置DSPがダム構造DSを有する場合、低粘度の樹脂層RSを用いてもよい。この場合において、樹脂層RSは、インクジェット方式で形成することができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0121】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0122】
また、上述の各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0123】
DSP…表示装置、DA…表示領域、SA…周辺領域、PX…画素、SP1,SP2,SP3…副画素、LE1,LE2,LE3…下電極、UE1,UE2,UE3,UEs…上電極、OR1,OR2,OR3,ORs…有機層、CP1,CP2,CP3,CPs…キャップ層、SE11,SE12,SE13,SE1…第1封止層、SE2…第2封止層、RS…樹脂層、CL…導電層、PW…給電線、RL…中継配線、DS…ダム構造、R1,R2…凸部、CN1…第1コンタクト部、CN2…第2コンタクト部、1…画素回路、5…リブ、6…隔壁、10…第1基板、20…第2基板、21…接着層、61…隔壁の下部、62…隔壁の上部。