(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052016
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240404BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/38 A
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158448
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】早川 直希
(72)【発明者】
【氏名】永島 義崇
(72)【発明者】
【氏名】奥井 保弘
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康夫
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC08
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】性能向上することができる、直列接続された複数のコンデンサ部を有する電子部品を提供する。
【解決手段】複数のコンデンサ部10A,10Bを直列に接続することで、ショート不良を低減することができる。また、第3の内部電極13は、第1の外部導体6A,6Bに接続される。そのため、端子電極3,4と外部導体6A,6Bとをつないで検査測定することで、第1のコンデンサ部10A及び第2のコンデンサ部10Bにおけるショート不良の有無を検査することができる。電子部品100では、実装面と直交するY軸方向に内部電極が積層され、実装面である第1の主面2aに端子電極3,4が形成されるため、ESLを低くすることができる。また、内部電極の積層位置によるバラツキが生じないため高周波側のESRを安定させることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に対向する第1の主面及び第2の主面、第1の方向と直交する第2の方向に対向する第1の端面及び第2の端面、並びに第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向に対向する第1の側面及び第2の側面を有する素体と、
前記素体内に設けられ、実装面である前記第1の主面に引き出される第1の内部電極と、
前記素体内に設けられ、前記第3の方向から見て前記第1の内部電極と異なる位置に設けられ、前記第1の主面に引き出される第2の内部電極と、
前記第1の主面に形成され、前記第1の内部電極と接続される第1の端子電極と、
前記第1の端面に形成され、前記第2の内部電極と接続される第2の端子電極と、
前記素体内に設けられ、前記第3の方向において前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極と対向する位置に設けられ、前記第1の主面に引き出される第3の内部電極と、
前記第1の主面に形成され、前記第3の内部電極と接続される第1の外部導体と、を備え、
前記第1の内部電極と前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第1のコンデンサ部が構成され、
前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第2のコンデンサ部が構成される、電子部品。
【請求項2】
複数の前記第1の外部導体を備え、
前記第1の端子電極及び前記第2の端子電極は、複数の前記第1の外部導体間に配置される、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
複数の前記第1の外部導体を備え、
複数の前記第1の外部導体は、前記第1の端子電極及び前記第2の端子電極間に配置される、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1の内部電極、前記第2の内部電極、及び前記第3の内部電極の少なくとも何れかは、前記第1の主面側における、前記第2の方向の外側の角部に切欠部を有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第1の端子電極、前記第2の端子電極、及び前記第1の外部導体の少なくとも何れかは、前記素体の前記第1の主面と前記端面との間の角部に配置される、請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第1の主面に形成され、前記第1の端子電極、前記第2の端子電極、及び前記第1の外部導体よりも前記第2の方向における外側に配置される第2の外部導体を更に備える、請求項1に記載の電子部品。
【請求項7】
一対の前記第3の内部電極と、
一対の前記第3の内部電極に接続される一対の前記第1の外部導体と、
前記素体内に設けられ、前記第3の方向から見て前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極と異なる位置に設けられる第4の内部電極と、を備え、
前記第1の内部電極と一方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで前記第1のコンデンサ部が構成され、
前記第2の内部電極と他方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで前記第2のコンデンサ部が構成され、
前記第4の内部電極と一方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第3のコンデンサ部が構成され、
前記第4の内部電極と他方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第4のコンデンサ部が構成される、請求項1に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第4の内部電極と接続される第3の外部導体を備える、請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記第3の外部導体は、前記第1の主面に形成される、請求項8に記載の電子部品。
【請求項10】
前記第3の外部導体は、前記第2の主面に形成される、請求項8に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、特許文献1に記載されたものが知られている。この電子部品は、素体と、一対の端子電極と、を備える。素体の内部には、二組のコンデンサ部が構成されるように内部電極が形成されている。内部電極は、実装面と直交する方向に積層されている。一対の端子電極は、実装面と平行な方向に対向する一対の端面にそれぞれ形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、素体の内部で直列接続された複数のコンデンサ部を有する電子部品の性能を向上することが求められていた。
【0005】
本願発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、性能向上することができる、直列接続された複数のコンデンサ部を有する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品は、第1の方向に対向する第1の主面及び第2の主面、第1の方向と直交する第2の方向に対向する第1の端面及び第2の端面、並びに第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向に対向する第1の側面及び第2の側面を有する素体と、素体内に設けられ、実装面である第1の主面に引き出される第1の内部電極と、素体内に設けられ、第3の方向から見て第1の内部電極と異なる位置に設けられ、第1の主面に引き出される第2の内部電極と、第1の主面に形成され、第1の内部電極と接続される第1の端子電極と、第1の端面に形成され、第2の内部電極と接続される第2の端子電極と、素体内に設けられ、第3の方向において第1の内部電極及び第2の内部電極と対向する位置に設けられ、第1の主面に引き出される第3の内部電極と、第1の主面に形成され、第3の内部電極と接続される第1の外部導体と、を備え、第1の内部電極と第3の内部電極とが第3の方向に対向することで第1のコンデンサ部が構成され、第2の内部電極と第3の内部電極とが第3の方向に対向することで第2のコンデンサ部が構成される。
【0007】
この電子部品では、第1のコンデンサ部と第2のコンデンサ部とは、少なくとも第3の内部電極を介して直列に接続される。このように複数のコンデンサ部を直列に接続することで、ショート不良を低減することができる。また、第3の内部電極は、第1の外部導体に接続される。そのため、端子電極と外部導体とをつないで検査測定することで、第1のコンデンサ部及び第2のコンデンサ部におけるショート不良の有無を検査することができる。また、実装面と直交する第3の方向に内部電極が積層され、実装面の第1の主面に端子電極が形成されるため、ESLを低くすることができる。また、内部電極の積層位置によるバラツキが生じないため高周波側のESRを安定させることができる。以上より、直列接続された複数のコンデンサ部を有する電子部品の性能を向上することができる。
【0008】
電子部品は、複数の第1の外部導体を備え、第1の端子電極及び第2の端子電極は、複数の第1の外部導体間に配置されてよい。この場合、第1の端子電極と第2の端子電極との距離を短くすることができるため、電子部品の実装時において、端子電極間のたわみ応力を小さくすることができる。
【0009】
電子部品は、複数の第1の外部導体を備え、複数の第1の外部導体は、第1の端子電極及び第2の端子電極間に配置されてよい。この場合、電子部品の実装時において、外部導体も実装することで、端子電極間のたわみ固着強度を向上することができる。
【0010】
第1の内部電極、第2の内部電極、及び第3の内部電極の少なくとも何れかは、第1の主面側における、第2の方向の外側の角部に切欠部を有してよい。この場合、素体の角部付近においてクラックが生じた場合でも、切欠部でクラックを回避することで、コンデンサ部を形成する内部電極の重なり部分にクラックが到達することを抑制できる。
【0011】
第1の端子電極、第2の端子電極、及び第1の外部導体の少なくとも何れかは、素体の第1の主面と端面との間の角部に配置されてよい。この場合、クラックの起点を内部電極の重なり部分から遠ざけることができるため、素体の角部付近にクラックが生じた場合でも、内部電極の重なり部分にクラックが到達することを抑制できる。
【0012】
電子部品は、第1の主面に形成され、第1の端子電極、第2の端子電極、及び第1の外部導体よりも第2の方向における外側に配置される第2の外部導体を更に備えてよい。この場合、電子部品の実装時に第2の外部導体を実装することで、端子電極間のたわみ固着強度を向上することができる。
【0013】
電子部品は、一対の第3の内部電極と、一対の第3の内部電極に接続される一対の第1の外部導体と、素体内に設けられ、第3の方向から見て第1の内部電極及び第2の内部電極と異なる位置に設けられる第4の内部電極と、を備え、第1の内部電極と一方の第3の内部電極とが第3の方向に対向することで第1のコンデンサ部が構成され、第2の内部電極と他方の第3の内部電極とが第3の方向に対向することで第2のコンデンサ部が構成され、第4の内部電極と一方の第3の内部電極とが第3の方向に対向することで第3のコンデンサ部が構成され、第4の内部電極と他方の第3の内部電極とが第3の方向に対向することで第4のコンデンサ部が構成されてよい。この場合、第3の内部電極及び第4の内部電極を介して、四つのコンデンサ部を直列に接続できる。
【0014】
電子部品は、第4の内部電極と接続される第3の外部導体を備えてよい。この場合、第3の外部導体を用いて第3のコンデンサ部及び第4のコンデンサ部のショート不良の有無を検査することができる。
【0015】
第3の外部導体は、第1の主面に形成されてよい。この場合、電子部品の実装時に第3の外部導体も実装することで、実装強度を向上できる。
【0016】
第3の外部導体は、第2の主面に形成されてよい。この場合、第1の主面に形成される端子電極や外部導体の互いの距離を大きく確保できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、性能向上することができる、直列接続された複数のコンデンサ部を有する電子部品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子部品の正面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1に示すIIa-IIa線に沿った断面図であり、
図2(b)は、
図1に示すIIb-IIb線に沿った断面図である。
【
図3】
図3(a)は、第1の内部電極及び第2の内部電極を示す図であり、
図3(b)は、第3の内部電極を示す図であり、
図3(c)は、第1の内部電極及び第2の内部電極と、第3の内部電極とが重なった様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
まず、
図1~
図3を参照して、本実施形態に係る電子部品100の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る電子部品の正面図である。
図2(a)は、
図1に示すIIa-IIa線に沿った断面図であり、
図2(b)は、
図1に示すIIb-IIb線に沿った断面図である。
図3(a)は、第1の内部電極及び第2の内部電極を示す図であり、
図3(b)は、第3の内部電極を示す図であり、
図3(c)は、第1の内部電極及び第2の内部電極と、第3の内部電極とが重なった様子を示す図である。
図3(c)では、第1の内部電極及び第2の内部電極が仮想線で示されている。
【0021】
なお、以降の説明においては、電子部品100に対してXYZ座標系を設定して説明を行う場合がある。Z軸方向(第1の方向)は、後述の内部電極が積層される積層方向と直交する方向である。Z軸方向は、実装時において実装対象である回路基板の表面と直交する方向である。X軸方向(第2の方向)は、Z軸方向と直交する方向であり、実装時において回路基板の表面と平行な方向である。また、X軸方向は、素体2が延びる長手方向に対応する。Y軸方向(第3の方向)は、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向であり、実装時において回路基板の表面と平行でありX軸方向と直交する方向である。Y軸方向は、後述の内部電極が積層される方向である。
図1では、上側がZ軸方向の正側であり、下側がZ軸方向の負側である。
【0022】
図1に示すように、電子部品100は、素体2と、第1の端子電極3と、第2の端子電極4と、一対の外部導体6A,6Bと、を備える。
図2に示すように、電子部品100は、第1の内部電極11と、第2の内部電極12と、第3の内部電極13と、を素体2内に備える。
【0023】
図1に示すように、素体2は、長手方向であるX軸方向に沿って延びる直方体の部品である。素体2は、Z軸方向に対向する第1の主面2a及び第2の主面2bと、X軸方向に対向する第1の端面2c及び第2の端面2dと、Y軸方向に対向する第1の側面2e及び第2の側面2fと、を有する。第1の主面2aはZ軸方向の負側に配置され、第2の主面2bはZ軸方向の正側に配置される。第1の端面2cはX軸方向の負側に配置され、第2の端面2dはX軸方向の正側に配置される。第1の側面2eは、Y軸方向の負側に配置され、第2の側面2fはY軸方向の正側に配置される。このうち、第1の主面2aが、実装時において実装基板と対向する実装面となる。
【0024】
素体2の形状は特に限定されないが、ここではX軸方向の寸法がZ軸方向及びY軸方向の寸法より大きい直方体形状を有している。直方体形状には、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状が含まれる。例えば、素体2のX軸方向の長さは1.45~3.50mmであり、Y軸方向の長さは0.7~1.85mmであり、Z軸方向の長さは0.7~1.85mmであってよい。
【0025】
素体2では、Y軸方向に複数の誘電体層(
図2に示す誘電体層5)が積層されて構成されている。各誘電体層は、たとえば誘電体材料(BaTiO
3系、Ba(Ti,Zr)O
3系、又は(Ba,Ca)TiO
3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体2では、各誘電体層5は、各誘電体層5の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0026】
端子電極3,4は、素体2の第1の主面2aに設けられる。端子電極3,4は、他の部材と電子部品100とを電気的に接続し、有効端子として機能するための部分である。端子電極3,4は、第1の主面2aにおけるX軸方向の所定の位置に、Y軸方向に延びるように(
図2(a)参照)形成される。外部導体6A,6Bは、素体2の第1の主面2aに設けられる。第1の外部導体6A,6Bは、他の部材との固定強度を向上させると共に電気特性測定用の端子として機能する。第1の外部端子6A,6Bは、第1の主面2aにおけるX軸方向の所定の位置に、Y軸方向に延びるように形成される。本実施形態では、X軸方向の負側から正側へ向かって順に、第1の外部端子6A、第1の端子電極、第2の端子電極、第1の外部端子電極6Bが設けられる。これにより、第1の端子電極3及び第2の端子電極4は、複数の第1の外部導体6A,6B間に配置される。
【0027】
図2に示すように、内部電極11,12,13は、XZ平面と平行に広がる平板状の導体パターンである。内部電極11,12,13は、Y軸方向に複数形成される。第1の内部電極11は、素体2内におけるX軸方向の負側の領域に設けられ、第1の主面2aにて第1の端子電極3と接続される。第2の内部電極12は、素体2内におけるX軸方向の正側の領域に設けられ、第1の主面2aにて第2の端子電極4と接続される。第2の内部電極12は、Y軸方向からみて第1の内部電極11と異なる位置に設けられる。第1の内部電極11と第2の内部電極12とは、同一面内に配置される。すなわち、第1の内部電極11と第2の内部電極12とは、同一の誘電体層5上に形成されており、Y軸方向における位置が同一となる。積層前の状態においては、誘電体層5のセラミックグリーンシート上に第1の内部電極11及び第2の内部電極12の導体パターンが形成される。
【0028】
第3の内部電極13は、素体2内におけるX軸方向の負側及び正側の両方の領域に設けられ、第1の主面2aに引き出される。第3の内部電極13は、内部電極11,12とは異なる面に配置される。すなわち、第3の内部電極13は、内部電極11,12とは異なる誘電体層5上に形成されており、Z軸方向における位置が異なる。積層前の状態においては、誘電体層5のセラミックグリーンシート上に第3の内部電極13の導体パターンが形成される。
【0029】
図3を参照して、各内部電極11,12,13の具体的な形状の一例について説明する。以降の説明においては、素体2に対して設定されたX軸方向における中心線CLを用いて説明する場合がある。
図3(a)に示すように、第1の内部電極11と第2の内部電極12とは、中心線CLを基準として互いに線対称をなしている。第1の内部電極11は、中心線CLよりもX軸方向の負側の領域に形成される。第1の内部電極11は、本体部21と、引出部22と、を備える。本体部21は、矩形状の外形を有する。本体部21の四方の縁部は、第1の主面2a、第2の主面2b、第1の端面2c、及び中心線CLから離間するように配置される。引出部22は、本体部21のX軸方向の内側(正側)の端部からZ軸方向の負側へ延びて第1の主面2aで露出することで第1の端子電極3に接続される。
【0030】
第2の内部電極12は、中心線CLよりもX軸方向の正側の領域に形成される。第2の内部電極12は、本体部23と、引出部24と、を備える。本体部23は、矩形状の外形を有する。本体部23の四方の縁部は、第1の主面2a、第2の主面2b、第2の端面2d、及び中心線CLから離間するように配置される。引出部24は、本体部23のX軸方向の内側(負側)の端部からZ軸方向の負側へ延びて第1の主面2aで露出することで第2の端子電極4に接続される。第1の内部電極11と第2の内部電極12との間には中心線CLを含む位置に隙間が形成される。
【0031】
図3(b)に示すように、第3の内部電極13は、中心線CLを基準として線対称な構成を有する。第3の内部電極13は、本体部26と、一対の引出部27A,27Bと、を備える。本体部26は、中心線CLに対するX軸方向の負側及び正側の両方に広がる。本体部26は、Z軸方向から見て、X軸方向の負側において第1の内部電極11の本体部21と同様な外形を有し、X軸方向の正側において第2の内部電極12の本体部23と同様な外形を有し、本体部21に対応する部分と本体部23に対応する部分を接続する形状を有する(
図3(c)参照)。また、本体部26は、Z軸方向において本体部21,23の両方と対向するように配置される。引出部27Aは、本体部26のX軸方向の外側(負側)の端部からZ軸方向の負側へ延びて第1の主面2aで露出することで外部導体6Aに接続される。引出部27Bは、本体部26のX軸方向の外側(正側)の端部からZ軸方向の負側へ延びて第1の主面2aで露出することで外部導体6Bに接続される。
【0032】
以上により、
図2(b)に示すように、素体2の内部には、X軸方向の負側の領域に第1のコンデンサ部10Aが形成され、X軸方向の正側の領域に第2のコンデンサ部10Bが形成される。第1のコンデンサ部10Aは、第1の内部電極11と第3の内部電極がY軸方向に対向することで構成される。第1のコンデンサ部10Aは、複数の第1の内部電極11と複数の第3の内部電極13が交互に積層されることによって形成される。第2のコンデンサ部10Bは、複数の第2の内部電極12と複数の第3の内部電極13が交互に積層されることによって形成される。第2のコンデンサ部10Bは、第2の内部電極12と第3の内部電極がY軸方向に対向することで構成される第1のコンデンサ部10Aと第2のコンデンサ部10Bとは、第3の内部電極の本体部26によって直列に接続される。
【0033】
図2に示すように、第1の内部電極11及び第2の内部電極12は、積層された内部電極における最外層に配置される。すなわち、素体2の内部に配置された内部電極のうち、最もY軸方向の正側に配置されるのは第1の内部電極11及び第2の内部電極12であり、最もY軸方向の負側に配置されるのは第1の内部電極11及び第2の内部電極12である。
【0034】
次に、本実施形態に係る電子部品100の作用・効果について説明する。
【0035】
電子部品100では、第1のコンデンサ部10Aと第2のコンデンサ部10Bとは、少なくとも第3の内部電極13を介して直列に接続される。この場合、コンデンサ部10A,10Bの一方が破損したとしても、他方のコンデンサ機能が残存するため、ショート不良を低減することができる。このように複数のコンデンサ部10A,10Bを直列に接続することで、ショート不良を低減することができる。また、第3の内部電極13は、第1の外部導体6A,6Bに接続される。そのため、端子電極3,4と外部導体6A,6Bとをつないで検査測定することで、第1のコンデンサ部10A及び第2のコンデンサ部10Bにおけるショート不良の有無を検査することができる。
【0036】
ここで、
図4を参照して比較例にかかる電子部品200について説明する。比較例に係る電子部品200は、実装面と垂直なZ軸方向に内部電極が積層され、実装面と垂直な端面2c,2dに端子電極203,204が形成される。このとき、電子部品200を第1の主面2aを実装面として基板に実装した場合、積層方向であるZ軸方向の負側の内部電極を通過する電流の経路L1と、正側の内部電極を通過する電流の経路L2とでは、等価な回路とはならないため、電子部品200としての高周波側のESRが不安定になる。また、端子電極203を基板側の電極PDにハンダ部BDを介して接続したときに、ハンダ部BDがZ軸方向において高い位置まで及ぶため、たわみ応力によって発生するクラックCRが大きくなり、コンデンサ部10Aにおける内部電極11,13の重なり部に達してしまう可能性がある。
【0037】
これに対し、本実施形態に係る電子部品100では、実装面と直交するY軸方向に内部電極が積層され、実装面である第1の主面2aに端子電極3,4が形成されるため、ESLを低くすることができる。また、内部電極の積層位置によるバラツキが生じないため高周波側のESRを安定させることができる。以上より、直列接続された複数のコンデンサ部10A,10Bを有する電子部品100の性能を向上することができる。
【0038】
また、端子電極3,4が実装面である第1の主面2aに形成されているため、第1の端子電極3を基板側の電極PDにハンダ部BDを介して接続するとき、ハンダ部BDをZ軸方向に大きく立ち上げる必要がない。そのため、クラックCRが内部電極11,13の重なり部に達することを回避できる(
図2(a)参照)。また、比較例に係る電子部品200は、端子電極203,204が端面2c,2dに形成されているため、X軸方向の寸法が大きくなることで実装面積が大きくなる。一方、本実施形態の電子部品100は、端子電極3,4が実装面に形成されることで、実装面積を小さくすることができる。
【0039】
電子部品100は、複数の第1の外部導体6A,6Bを備え、第1の端子電極3及び第2の端子電極4は、複数の第1の外部導体6A,6B間に配置されている。この場合、第1の端子電極3と第2の端子電極4との距離を短くすることができるため、電子部品100の実装時において、端子電極3,4間のたわみ応力を小さくすることができる。例えば、
図4に示す比較例に係る電子部品200においては、端子電極3と端子電極4がX軸方向の両端部に形成されているため、両者の間の寸法が大きい。そのため、端子電極3,4間のたわみ発生時の応力が大きくなる。
【0040】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0041】
電子部品100の内部電極の構造は上述の実施形態に限定されない。例えば、
図5に示す構造を採用してもよい。
図5に示す電子部品100は、複数の第1の外部導体6A,6Bを備え、複数の第1の外部導体6A,6Bは、第1の端子電極3及び第2の端子電極4間に配置されてよい。この場合、電子部品100の実装時において、第1の外部導体6A,6Bも実装することで、端子電極3,4間のたわみ固着強度を向上することができる。
【0042】
具体的に、
図5(a)に示すように、X軸方向の負側から正側に順に、第1の端子電極3、第1の外部導体6A、第1の外部導体6B、第2の端子電極4の順で設けられる。第1の内部電極11の引出部22は、本体部21におけるX軸方向の負側の端部に設けられる。第2の内部電極12の引出部24は、本体部23におけるX軸方向の正側の端部に設けられる。また、
図5(b)に示すように、第3の内部電極13の中心線CL付近に引出部6A,6Bが設けられる。
【0043】
また、
図6(a)に示すように、第1の内部電極11の本体部21は、第1の主面2a側における、X軸方向の外側(負側)の角部に切欠部31Aを有し、第2の内部電極12の本体部23は、第1の主面2a側における、X軸方向の外側(正側)の角部に切欠部31Bを有してよい。この場合、素体2の角部CR1,CR2付近においてクラックが生じた場合でも、切欠部31A,31Bでクラックを回避することで、コンデンサ部10A,10Bを形成する内部電極の重なり部分にクラックが到達することを抑制できる。なお、
図6(a)に示すような切欠部の構成は、
図5の構成に適用してもよい。この場合、第3の内部電極13の本体部26の第1の主面2a側の角部が切欠部を有する。
【0044】
また、
図6(b)に示すように、第1の外部導体6A,6Bは、素体2の第1の主面2aと端面2c,2dとの間の角部CR1,CR2に配置されてよい。この場合、クラックの起点である第1の外部導体6A,6Bを内部電極の重なり部分から遠ざけることができるため、素体2の角部CR1,CR2付近にクラックが生じた場合でも、内部電極の重なり部分にクラックが到達することを抑制できる。この場合、第3の内部電極13の引出部27A,27Bは、角部CR1,CR2へ向かって傾斜するように延びる。なお、
図6(b)に示すような構成は、
図5の構成に適用してもよい。この場合、第1の端子電極3及び第2の端子電極4が角部CR1,CR2に配置され、引出部22,24が角部CR1,CR2へ向かって傾斜するように延びる。
【0045】
例えば、
図7に示す構造を採用してもよい。
図7に示すように、電子部品100は、一対の第3の内部電極13A,13Bと、一対の第3の内部電極13A,13Bに接続される一対の第1の外部導体6A,6Bと、素体2内に設けられ、Y軸方向から見て第1の内部電極11及び第2の内部電極12と異なる位置に設けられる第4の内部電極14と、を備える。
図7(c)に示すように、第1の内部電極11と一方の第3の内部電極13AとがY軸方向に対向することで第1のコンデンサ部10Aが構成され、第2の内部電極12と他方の第3の内部電極13BとがY軸方向に対向することで第2のコンデンサ部10Bが構成され、第4の内部電極14と一方の第3の内部電極13AとがY軸方向に対向することで第3のコンデンサ部10Cが構成され、第4の内部電極14と他方の第3の内部電極13とがY軸方向に対向することで第4のコンデンサ部10Dが構成されてよい。この場合、第3の内部電極13A,13B及び第4の内部電極14を介して、四つのコンデンサ部10A,10C,10D,10Bを直列に接続できる。
【0046】
図7(a)に示すように、第4の内部電極14は、第1の内部電極11及び第2の内部電極12よりもZ軸方向における正側に離間した位置に設けられる。第4の内部電極14は長方形状の本体部28と、引出部29と、を有する。本体部28は、中心線CLに対してX軸方向における正側及び負側の両方の領域に延びるように形成される。引出部29は、本体部28からZ軸方向における正側へ引き出され、第2の主面2bで露出する。引出部29は、第2の主面2bに形成された第3の外部導体7に接続される。
【0047】
図7(b)に示すように、一対の第3の内部電極13A,13Bは、
図3(b)に示す一つの内部電極13を中心線CLの位置で分割することによって構成される。一方の第3の内部電極13Aは、中心線CLよりもX軸方向における負側の領域に形成される。一方の第3の内部電極13Aの本体部26Aは、Z軸方向における負側の領域で第1の内部電極11と対向し、Z軸方向における正側の領域で第4の内部電極14と対向する。他方の第3の内部電極13Bは、中心線CLよりもX軸方向における正側の領域に形成される。他方の第3の内部電極13Bの本体部26Bは、Z軸方向における負側の領域で第2の内部電極12と対向し、Z軸方向における正側の領域で第4の内部電極14と対向する。
【0048】
以上のように、電子部品100は、第4の内部電極14と接続される第3の外部導体7を備えてよい。この場合、第3の外部導体7を用いて第3のコンデンサ部10C及び第4のコンデンサ部10Dのショート不良の有無を検査することができる。
【0049】
第3の外部導体7は、第2の主面2bに形成されてよい。この場合、第1の主面2aに形成される端子電極3,4や外部導体6A,6Bの互いの距離を大きく確保できる。
【0050】
また、
図7に代えて、
図8に示す構成を採用してもよい。
図8(a)に示すように、電子部品100の第4の内部電極14は、X軸方向において、第1の内部電極11と第2の内部電極12との間に配置される。また、第4の内部電極14の引出部29は、本体部28からZ軸方向の負側へ延びる。X軸方向における負側から正側へ向かって順に、第1の端子電極3、第1の外部導体6A、第2の外部導体7、第1の外部導体6B、第2の端子電極4が、第1の主面2aに形成される。第4の内部電極14は、第1の主面2a側の第2の外部導体7に接続される。
【0051】
図8(c)に示すように、一方の第3の内部電極13Aは、X軸方向における負側の縁部付近で第1の内部電極11と対向することで第1のコンデンサ部10Aを構成する。一方の第3の内部電極13Aは、X軸方向における正側の縁部付近で第4の内部電極14と対向することで第3のコンデンサ部10Cを構成する。他方の第3の内部電極13Bは、X軸方向における負側の縁部付近で第4の内部電極14と対向することで第4のコンデンサ部10Dを構成する。他方の第3の内部電極13Bは、X軸方向における正側の縁部付近で第2の内部電極12と対向することで第2のコンデンサ部10Bを構成する。
【0052】
第3の外部導体7は、第1の主面2aに形成されてよい。この場合、電子部品100の実装時に第3の外部導体7も実装することで、実装強度を向上できる。
【0053】
図9に示す構成を採用してもよい。
図9(a)に示すように、電子部品100は、第1の主面2aに形成され、第1の端子電極3、第2の端子電極4、及び第1の外部導体6A,6BよりもX軸方向における外側に配置される第2の外部導体8A,8Bを更に備えてよい。この場合、電子部品100の実装時に第2の外部導体8A,8Bを実装することで、端子電極3,4間のたわみ固着強度を向上することができる。
【0054】
具体的に、第1の主面2aには、X軸方向における負側から正側へ向かって順に、第2の外部導体8A、第1の端子電極3、第1の外部導体6A、第1の外部導体6B、第2の端子電極4、第2の外部導体8Bが形成される。素体2の内部には、第2の外部導体8A,8Bの位置に、当該第2の外部導体8A,8Bと接続される第5の内部電極15A,15Bが形成される。
【0055】
また、第1の内部電極11、第2の内部電極12は、第1の主面2a側における、X軸方向の外側の角部に切欠部32A,32Bを有してよい。また、
図9(b)に示すように、第3の内部電極13は、第1の主面2a側における、X軸方向の外側の角部に切欠部33A,33Bを有してよい。この場合、素体2の角部付近においてクラックが生じた場合でも、切欠部32A,32B,33A,33Bでクラックを回避することで、コンデンサ部10A,10B(
図9(c)参照)を形成する内部電極の重なり部分にクラックが到達することを抑制できる。
【0056】
素体2の形状は、上述の実施形態及び変形例に限定されない。素体2は、互いに対向する一対の主面、一対の端面、一対の側面を有していればよく、直方体形状に限定されない。
【0057】
[形態1]
第1の方向に対向する第1の主面及び第2の主面、第1の方向と直交する第2の方向に対向する第1の端面及び第2の端面、並びに第1の方向及び第2の方向と直交する第3の方向に対向する第1の側面及び第2の側面を有する素体と、
前記素体内に設けられ、実装面である前記第1の主面に引き出される第1の内部電極と、
前記素体内に設けられ、前記第3の方向から見て前記第1の内部電極と異なる位置に設けられ、前記第1の主面に引き出される第2の内部電極と、
前記第1の主面に形成され、前記第1の内部電極と接続される第1の端子電極と、
前記第1の端面に形成され、前記第2の内部電極と接続される第2の端子電極と、
前記素体内に設けられ、前記第3の方向において前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極と対向する位置に設けられ、前記第1の主面に引き出される第3の内部電極と、
前記第1の主面に形成され、前記第3の内部電極と接続される第1の外部導体と、を備え、
前記第1の内部電極と前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第1のコンデンサ部が構成され、
前記第2の内部電極と前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第2のコンデンサ部が構成される、電子部品。
[形態2]
複数の前記第1の外部導体を備え、
前記第1の端子電極及び前記第2の端子電極は、複数の前記第1の外部導体間に配置される、形態1に記載の電子部品。
[形態3]
複数の前記第1の外部導体を備え、
複数の前記第1の外部導体は、前記第1の端子電極及び前記第2の端子電極間に配置される、形態1又は2に記載の電子部品。
[形態4]
前記第1の内部電極、前記第2の内部電極、及び前記第3の内部電極の少なくとも何れかは、前記第1の主面側における、前記第2の方向の外側の角部に切欠部を有する、形態1~3の何れか一項に記載の電子部品。
[形態5]
前記第1の端子電極、前記第2の端子電極、及び前記第1の外部導体の少なくとも何れかは、前記素体の前記第1の主面と前記端面との間の角部に配置される、形態1~4の何れか一項に記載の電子部品。
[形態6]
前記第1の主面に形成され、前記第1の端子電極、前記第2の端子電極、及び前記第1の外部導体よりも前記第2の方向における外側に配置される第2の外部導体を更に備える、形態1~5の何れか一項に記載の電子部品。
[形態7]
一対の前記第3の内部電極と、
一対の前記第3の内部電極に接続される一対の前記第1の外部導体と、
前記素体内に設けられ、前記第3の方向から見て前記第1の内部電極及び前記第2の内部電極と異なる位置に設けられる第4の内部電極と、を備え、
前記第1の内部電極と一方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで前記第1のコンデンサ部が構成され、
前記第2の内部電極と他方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで前記第2のコンデンサ部が構成され、
前記第4の内部電極と一方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第3のコンデンサ部が構成され、
前記第4の内部電極と他方の前記第3の内部電極とが前記第3の方向に対向することで第4のコンデンサ部が構成される、形態1~6の何れか一項に記載の電子部品。
[形態8]
前記第4の内部電極と接続される第3の外部導体を備える、形態7に記載の電子部品。
[形態9]
前記第3の外部導体は、前記第1の主面に形成される、形態8に記載の電子部品。
[形態10]
前記第3の外部導体は、前記第2の主面に形成される、形態8に記載の電子部品。
【符号の説明】
【0058】
2…素体、2a…第1の主面、2b…第2の主面、2c…第1の端面、2d…第2の端面、2e…第1の側面、2f…第2の側面、3…第1の端子電極、4…第2の端子電極、6A,6B…第1の外部導体、7…第3の外部導体、8A,8B…第2の外部導体、10A…第1のコンデンサ部、10B…第2のコンデンサ部、10C…第3のコンデンサ部、10D…第4のコンデンサ部、11…第1の内部電極、12…第2の内部電極、13…第3の内部電極、14…第4の内部電極、100…電子部品。