(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052037
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】防水装置及び開閉装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240404BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20240404BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20240404BHJP
E06B 9/58 20060101ALI20240404BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240404BHJP
E06B 9/08 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B9/02 H
E06B9/17 P
E06B9/17 Z
E06B9/17 U
E06B9/58 A
E04H9/14 Z
E06B9/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158474
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】加納 直人
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 憲昭
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 厚二
(72)【発明者】
【氏名】水原 一也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正博
(72)【発明者】
【氏名】藤井 一毅
(72)【発明者】
【氏名】豊久 武晴
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛史
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
【テーマコード(参考)】
2E042
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042AA06
2E042BA04
2E042DA01
2E139AA08
2E139AC19
2E139AC20
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置することができる防水装置の提供。
【解決手段】開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、前記開口部を上下方向に開閉する開閉体(シャッターカーテンS)を設置するための枠体(シャッター枠の竪枠22,下枠23)に対して、止水可能に取り付けられる止水部材(止水板11)を有する、防水装置1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、
前記開口部を上下方向に開閉する開閉体を設置するための枠体に対して、止水可能に取り付けられる止水部材を有する、防水装置。
【請求項2】
前記止水部材が止水板であり、
前記止水板が、前記開閉体の開閉動作をガイドするガイドレールに対して設置され、
前記止水板の幅方向の両側において、前記止水板と前記ガイドレールとの間の止水を行う側部シール部材と、
前記止水板と前記枠体の下部側を構成する下枠との間の止水を行う下部シール部材と、
を備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項3】
請求項2に記載の防水装置を有する開閉装置であって、
前記開閉体の下部と前記止水板の上部が接続されていることにより、前記止水板が前記開閉体の座板として機能する、開閉装置。
【請求項4】
前記下部シール部材若しくは前記側部シール部材が、前記枠体の構造部の室外側の面に対して接するように構成されている、請求項2に記載の防水装置。
【請求項5】
請求項4に記載の防水装置を有する開閉装置であって、
前記枠体に、前記止水板を前記構造部の室外側の面に対して押し付ける押付機構が形成されている、開閉装置。
【請求項6】
前記止水部材が止水板であり、
前記枠体を構成する竪枠であって前記開閉体の開閉動作をガイドするガイドレールを有する竪枠と、前記止水板と、の間の止水を行う側部シール部材と、
前記枠体の下部側を構成する下枠と前記止水板との間の止水を行う下部シール部材と、
を備え、
前記竪枠に対する前記側部シール部材の接触状態を保持するための係止部材を備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項7】
請求項6に記載の防水装置を有する開閉装置であって、
前記係止部材が、前記竪枠に形成されている、開閉装置。
【請求項8】
前記止水部材が止水シートであり、
前記開閉体の開閉動作をガイドするガイドレールよりも室内側に設けられ、前記枠体との間で止水可能に前記止水シートを保持する止水シート取付枠を備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項9】
請求項8に記載の防水装置を有する開閉装置であって、
前記止水シート取付枠が、前記枠体に形成されている、開閉装置。
【請求項10】
前記止水シート取付枠が、前記開口部周辺の壁面に対する前記枠体の取り付け部である枠体取付部と前記壁面との間に配置される取付枠取付部を備え、
前記壁面と前記取付枠取付部との間に配置されるシール部材を備える、請求項8に記載の防水装置。
【請求項11】
前記枠体の少なくとも下部側の三方に対して止水可能に取り付けられ、前記枠体との間で止水可能に前記止水部材である止水板を保持する止水板取付枠を備える、請求項1に記載の防水装置。
【請求項12】
前記止水板が、展開可能な折り畳み構造を有し、折り畳みによって減少する幅寸法が、展開によって増大することに伴い、前記止水板の取り付けが行われるように構成されている、請求項2、4、6、11の何れかに記載の防水装置。
【請求項13】
前記止水部材と一体的若しくは別体で構成された浮き部材を備え、
前記止水部材が、水位上昇によって前記浮き部材に生じる浮力によって上方向に移動可能なように構成されており、
通常時は、前記開口部の下部に配置されている前記止水部材が、水位上昇時における前記上方向へ移動により、前記開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている、請求項1に記載の防水装置。
【請求項14】
請求項1、2、4、6、8、10、11、13の何れかに記載の防水装置を備えた開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置及び当該防水装置を備えた開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水害時における、建物等の開口部からの浸水を抑止若しくは低減させるための、開口部に設置する防水装置若しくは止水装置(以下「防水装置」という)が用いられている。
特許文献1には、このような防水装置として、防水シート若しくは止水シートを用いるものに関する技術が開示されており、特許文献2には、防水板を用いるものに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-140563号公報
【特許文献2】特開2017-061793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の防水装置は、建物等の開口部のうち、特に入口(即ち、基本的に開口の下端が地面と略同一レベルである箇所)に設けられるものであり、建物等の窓(開口の下端が地面よりも高い位置に形成されている開口部)に対して設けられる防水装置はなかった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置することができる防水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して設置される防水装置であって、前記開口部を上下方向に開閉する開閉体を設置するための枠体に対して、止水可能に取り付けられる止水部材を有する、防水装置。
【0007】
(構成2)
前記止水部材が止水板であり、前記止水板が、前記開閉体の開閉動作をガイドするガイドレールに対して設置され、前記止水板の幅方向の両側において、前記止水板と前記ガイドレールとの間の止水を行う側部シール部材と、前記止水板と前記枠体の下部側を構成する下枠との間の止水を行う下部シール部材と、を備える、構成1に記載の防水装置。
【0008】
(構成3)
構成2に記載の防水装置を有する開閉装置であって、前記開閉体の下部と前記止水板の上部が接続されていることにより、前記止水板が前記開閉体の座板として機能する、開閉装置。
【0009】
(構成4)
前記下部シール部材若しくは前記側部シール部材が、前記枠体の構造部の室外側の面に対して接するように構成されている、構成2又は3に記載の防水装置。
【0010】
(構成5)
構成4に記載の防水装置を有する開閉装置であって、前記枠体に、前記止水板を前記構造部の室外側の面に対して押し付ける押付機構が形成されている、開閉装置。
【0011】
(構成6)
前記止水部材が止水板であり、前記枠体を構成する竪枠であって前記開閉体の開閉動作をガイドするガイドレールを有する竪枠と、前記止水板と、の間の止水を行う側部シール部材と、前記枠体の下部側を構成する下枠と前記止水板との間の止水を行う下部シール部材と、を備え、前記竪枠に対する前記側部シール部材の接触状態を保持するための係止部材を備える、構成1、2、4の何れかに記載の防水装置。
【0012】
(構成7)
構成6に記載の防水装置を有する開閉装置であって、前記係止部材が、前記竪枠に形成されている、開閉装置。
【0013】
(構成8)
前記止水部材が止水シートであり、前記開閉体の開閉動作をガイドするガイドレールよりも室内側に設けられ、前記枠体との間で止水可能に前記止水シートを保持する止水シート取付枠を備える、構成1に記載の防水装置。
【0014】
(構成9)
構成8に記載の防水装置を有する開閉装置であって、前記止水シート取付枠が、前記枠体に形成されている、開閉装置。
【0015】
(構成10)
前記止水シート取付枠が、前記開口部周辺の壁面に対する前記枠体の取り付け部である枠体取付部と前記壁面との間に配置される取付枠取付部を備え、前記壁面と前記取付枠取付部との間に配置されるシール部材を備える、構成8に記載の防水装置。
【0016】
(構成11)
前記枠体の少なくとも下部側の三方に対して止水可能に取り付けられ、前記枠体との間で止水可能に前記止水部材である止水板を保持する止水板取付枠を備える、構成1に記載の防水装置。
【0017】
(構成12)
前記止水板が、展開可能な折り畳み構造を有し、折り畳みによって減少する幅寸法が、展開によって増大することに伴い、前記止水板の取り付けが行われるように構成されている、構成2、4、6、11の何れかに記載の防水装置。
【0018】
(構成13)
前記止水部材と一体的若しくは別体で構成された浮き部材を備え、前記止水部材が、水位上昇によって前記浮き部材に生じる浮力によって上方向に移動可能なように構成されており、通常時は、前記開口部の下部に配置されている前記止水部材が、水位上昇時における前記上方向へ移動により、前記開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている、構成1に記載の防水装置。
【0019】
(構成14)
構成1、2、4、6、8、10、11、12、13の何れかに記載の防水装置を備えた開閉装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明の防水装置若しくはこれを備えた開閉装置によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る実施形態1の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【
図2】実施形態1の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
【
図5】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【
図6】実施形態2の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
【
図8】実施形態3の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【
図9】実施形態3の防水装置の取り付け状態を示す概略水平断面図
【
図13】実施形態4の防水装置の取り付け状態を示す概略斜視図
【
図17】実施形態5の防水装置の取り付け状態を示す概略垂直断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0023】
<実施形態1>
図1、2は、本発明に係る実施形態1の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略図であり、
図1(a):シャッターを閉めた状態の概略垂直断面図、
図1(b):シャッターを開けた状態の概略垂直断面図、
図1(c):
図1(a)の下部付近の拡大図、
図2:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1は、家屋の掃き出し窓に設けられた窓シャッター(開閉装置)に対して設置される防水装置であって、シャッターカーテン(開口部を上下方向に開閉する開閉体)を設置するためのシャッター枠(枠体)に対して、止水可能に取り付けられる止水部材を備えている。掃き出し窓は、「開口の下端が地面より高い位置にある開口部」を構成するものであり、掃き出し窓に設けられる窓シャッターは、「開口の下端が地面より高い位置にある開口部」に設置されているものである。
【0024】
窓シャッター2は、上部に位置するシャッターケース21と、シャッターカーテンSの開閉動作(上下動)を両サイドでガイドするガイドレール221を有する竪枠22と、下枠23と、を有するシャッター枠(枠体)と、を備え、家屋の壁に形成された開口部に設けられたサッシ窓等の掃き出し窓部分に設置される(例えば、シャッター枠がサッシ枠に対して取り付けられる)。
シャッターケース21の内部には、スプリングシャフト等を備えることによりシャッターカーテンSの重量をキャンセル若しくは軽減して巻き取る、巻取り機構が備えられている。
なお、窓シャッター自体は、シャッターカーテンをガイドするガイドレールを有する任意の窓シャッターであってよく、ガイドレールを有する従来の任意の窓シャッターに対して、本実施形態の防水装置の概念を適用できるものであるため、巻取り機構やその他の窓シャッター自体の構造に関するこれ以上の詳しい説明を省略する。
【0025】
本実施形態の防水装置1は、
止水板11と、
止水板11と下枠23との間の止水を行う下部シール部材12と、
止水板11の幅方向(
図1における奥行方向、
図2における左右方向)の両側において、止水板11とガイドレール221との間の止水を行う側部シール部材13と、
を備え、ガイドレール221に対して設置されて、窓シャッター(開口部)の下部側を止水するものである。
止水板11の基本的な態様は、正面視で(
図1の左側からみた場合、
図2では上側から見た場合に)略矩形の部材であり、水圧に抗する強度を有して、アルミ、スチール、鋼材、ステンレス等の金属、若しくはPVC(板、又は押出材を連結して板状にしたもの)、アクリル板、ポリカーボネート板などの樹脂部材、によって形成された板状の部材である。なお、中空のパネル体(又は中空の内部に発泡ウレタンなどの充填剤を充填したもの)として形成されるものであってもよい。
下部シール部材12と側部シール部材13は、止水板11の両サイドと下部にわたって連続して設けられている(三方を囲うように設けられている)。シール部材は遮水性を有しており、また、弾性を有していることが好ましく、軟質ゴム、発泡ゴムやウレタンなどの樹脂を用いて形成される。また、水膨張材(水を吸うことで膨張して隙間をふさぎ、止水する部材)を用いてもよい。
【0026】
本実施形態の防水装置1は、窓シャッター2の一部として予め組み込まれているものであり、シャッターカーテンS(開閉体)の下部と止水板11の上部が接続されていることにより、止水板11がシャッターカーテンSの座板として機能する。従って、
図1(b)に示されるように、シャッターを上げた際には、止水板11も上部へと移動するものである。
【0027】
図2に示されるように、止水板11は、その幅方向の両端部がガイドレール221のガイド溝内に嵌め込まれており、側部シール部材13によって、ガイドレール221(本実施形態ではガイド溝内に形成されているリブ状の部材)との間で止水がなされ、両端部の止水がされる。
また、
図1(c)に示されるように、シャッターが閉められることにより下部シール部材12が下枠23(本実施形態では、下枠の、シャッターカーテンの下端側を受け入れる溝の底面)に接し、これによって下部の止水がなされる。
これらの構成によって、シャッターが締められた際に、窓シャッター(開口部)の下部側(止水板11が設けられる範囲)が止水される。
【0028】
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の窓シャッター製品に対して、専用の取り付け部材などの増設等を要することなく、安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
近年の水害による被害の甚大化に伴い、床上浸水の被害も増大しており、床上浸水の被害を防止若しくは低減することのニーズが高まっている。床上浸水の被害を防止若しくは低減するためには、掃き出し窓における止水が不可欠である。本実施形態の防水装置1によれば、窓シャッターを有する掃き出し窓に対して、安価かつ手軽に止水対策を行うことができるため、非常に有用である。
【0029】
なお、本実施形態では、ガイド溝内に形成されているリブ状の部材に側部シール部材が接するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、ガイドレール(枠体)と止水板の間で止水ができる構成であればよい(ガイドレールの構成の違いに応じて、シール部材が接触する部材が適宜変更されるものであってよい)。また、本実施形態では、下枠の溝の底面に下部シール部材が接するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、下枠(枠体)と止水板の間で止水ができる構成であればよい(下枠の構成の違いに応じて、シール部材が接触する部材が適宜変更されるものであってよい)。
また、本実施形態では、止水板側にシール部材が設けられているものを例としたが、シャッター枠(枠体)側にシール部材が設けられるものであってもよい。
図3、4には、シール部材の構成等が異なるものの一例を示した。
【0030】
図3(a)、(b)は、シャッター枠の下枠付近を示す概略垂直断面図である。
図3(a)の例における下部シール部材12´は、シャッター枠の下枠23の溝において、その底面と、室内側の壁面に設けられている。即ち、下部シール部材12´は垂直断面視において、略L字状の形状を有している。下部シール部材12´の底面側は、実施形態1の下部シール部材12と同様の概念である。下部シール部材12´の側面側は、「枠体の構造部(溝の室内側の壁)の室外側の面に対して接するように構成されている」ものであり、水害時において水圧が室外側からかかると、当該水圧によって止水板11をシャッター枠に押し付ける力(即ち、シール部材12´を密着させる力)が生じるため、防水性を向上することができる。
【0031】
図3(b)の例の下部シール部材12´´は、
図3(a)の例における下部シール部材12´と基本的に同様である。
図3(b)の例では、下枠23´において、その溝内に傾斜面232が形成されている。傾斜面232は、溝の室外側の壁面に形成され、下方に行くに従って室内側へと出幅が大きくなる傾斜面であり、従って、止水板11の下降に伴い、止水板11を室内側へと押しつける機能を有する。これにより、シャッターを閉めた際に、止水板11をシャッター枠に押し付ける力(即ち、下部シール部材12´´を密着させる力)が生じるため、防水性を向上することができる。
図4は、竪枠の一方の側付近を示す概略垂直断面図である。なお、他方側においても同様の構成(左右対称)である。
図4の例における側部シール部材13´は、止水板11の両端部の室内側に設けられており、「枠体の構造部(ガイドレールの溝の室内側の壁)の室外側の面に対して接するように構成されている」ものである。
また、
図4の例では、竪枠22´のガイドレールにおいて、その溝内に傾斜面222が形成されている。傾斜面222は、ガイドレールの溝の室外側の壁面に形成され、幅方向の外側に行くに従って室内側へと出幅が大きくなる傾斜面であり、従って、止水板11を室内側へと押しつける機能を有する。これにより、止水板11をシャッター枠に押し付ける力(即ち、側部シール部材13´を密着させる力)が生じるため、防水性を向上することができる。
図3(b)の例の傾斜面232と、
図4の例の傾斜面222は、「止水板を枠体の構造部の室外側の面に対して押し付ける押付機構」として機能する。なお、本発明の押付機構をこれに限るものではなく、「止水板を枠体の構造部の室外側の面に対して押し付ける」機能を有する任意の構造(例えば、弾性体等の付勢部材を設けて止水板を枠体の構造部の室外側の面に対して押し付けるもの等)を用いることができる。
【0032】
本実施形態では、防水装置が窓シャッターの一部として予め組み込まれているものであり、シャッターカーテン(開閉体)の下部と止水板の上部が接続されているものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、事後的に(水害が予想される際に随時)、上記説明した概念の防水装置をガイドレールに対して設置するものであってもよいし、シャッターカーテンと止水板が接続されないものであってもよい。
防水装置のガイドレールへの事後的な取り付けは、やりおくり(いってこい)方式にて、防水装置の幅方向の一方を一方のガイドレールの溝内へ差し込み、その後、他方の側部を他方のガイドレールの溝内へ差し込むことによって行う。側部シール部材が弾性部材で形成されていることにより、この作業の作業性が向上される。
【0033】
<実施形態2>
図5、6は、本発明に係る実施形態2の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略図であり、
図5:シャッター枠の下部付近を示す概略垂直断面図、
図6:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1-2は、実施形態1と同様に窓シャッターに対して設置される防水装置である。窓シャッター自体については、その形状は実施形態1と相違しているが、その概念は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の概念となる構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0034】
本実施形態の防水装置1-2は、シャッター枠に対してその内側であって室内側(
図5における右側、
図6における下側)に取り付けられる。
防水装置1-2の止水板11は、実施形態1の止水板11と同様の構成であり、竪枠22と止水板11との間の止水を行う側部シール部材13と、下枠23と止水板11との間の止水を行う下部シール部材12と、を備えており、係止部材14によって竪枠22の内側に取り付けられる。
【0035】
係止部材14は、
図5、6に示されるように、シャッターカーテンSよりも室内側における竪枠22の内側であって、止水板11の上部となる箇所において、両サイドの竪枠22に対して取り付けられる。
係止部材14は、
図6に示されるように上面視でL字状の部材(アングル材)であり、
図5に示されるように竪枠22への取り付けねじを取り付けるためのねじ穴141が長孔として形成されている。ねじ穴141が長穴であることにより、取り付けねじ142を少し緩めた状態においては、係止部材14を回動(ねじを中心に回転)させることに加えて、長手方向にスライド動作をさせることもできる。これにより、係止部材14の取り付け及び固定による止水板11の設置作業の作業性が向上される。例えば、
図5において、ねじ142を少し緩めた状態でねじ142を中心にして係止部材14を反時計回りに回転させることで、止水板11を室内側に倒して取り外すことができる(取り付けはその逆の手順となる)。また、
図5において、ねじ142を少し緩めた状態で係止部材14を上部方向へスライドさせることで、止水板11を室内側に倒して取り外すことができる(取り付けはその逆の手順となる)。このように、係止部材14の取り付け及び固定による止水板11の設置作業の作業性が向上されるものである。なお、後者のスライド法による場合、係止部材14を上部にスライドさせた際に、係止部材14の下端が止水板11の上端よりも上の位置となるように、ねじ142の取り付け位置及び長穴141を構成するとよい。
上記のごとく、係止部材14によって止水板11が保持され、シャッター枠との間で止水が行われるものであり、従って、係止部材14は、「竪枠に対する側部シール部材の接触状態を保持する」機能を有するものである。
なお、係止部材14による止水板11の固定力を向上するために、係止部材14と止水板11が上下方向に所定長さ以上面接触するように構成すると共に、長穴内(若しくは別途のねじ穴)において、複数のねじで竪枠に締結するようにしてもよい。
【0036】
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の窓シャッター製品に対して安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
【0037】
なお、本実施形態では、係止部材の一例として、アングル状の部材である係止部材14を例としているが、本発明をこれに限るものではなく、係止部材は、「竪枠に対する側部シール部材の接触状態を保持する」ことができるものであればよい。
図7には、係止部材が竪枠に一体的に形成されているものの例を示した。
図7の防水装置1-2´では、係止部材14´が、シャッターカーテンSよりも室内側における竪枠22´の内側に、上下方向に延びるリブ状の部材として形成されているものの例を示した。係止部材14´は、止水板11と同等の高さ範囲に形成され、止水板11の取り付けは、上部からスライドさせて挿入するようにして行われる。
なお、係止部材14´は、上下方向に連続的に延在するリブ状の部材に限られるものでは無く、上下方向に点在するように形成された突起状の部材等であっても構わない(前述のように、「竪枠に対する側部シール部材の接触状態を保持する」ことができるものであればよい)。
【0038】
<実施形態3>
図8、9は、本発明に係る実施形態3の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略図であり、
図8:シャッター枠の下部付近を示す概略垂直断面図、
図9:概略水平断面図である。
本実施形態の防水装置1-3は、実施形態1と同様に窓シャッターに対して設置される防水装置である。窓シャッター自体については、その形状は実施形態1と相違しているが、その概念は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の概念となる構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。なお、符号SFで示した部材は、開口部に設けられたサッシ窓の窓枠である(窓枠に取り付けられる障子については不図示)。
【0039】
本実施形態の防水装置1-3は、シャッター枠に対してその内側(室内側)に取り付けられる点で実施形態2と同様であるが、防水装置として止水シートが用いられている点(及びそのための取り付け構造)で異なっている。
防水装置1-3は、
止水シート15と、
シャッターカーテン(開閉体)の開閉動作をガイドするガイドレールよりも室内側に設けられ、シャッター枠(枠体)との間で止水可能に止水シート15を保持する止水シート取付枠(止水シート取付下枠161、止水シート取付縦枠162)と、
を備えている。
【0040】
止水シート15の基本的な態様は、正面視で(
図8の左側からみた場合、
図9では上側から見た場合に)略矩形の部材であり、例えばポリ塩化ビニル等の、遮水性及び可撓性を有する部材で形成される。
図9に示されるように、止水シート15は、その幅方向の両端部において係合止水部151を有している。係合止水部151は、止水シートの両端部において上下方向に延在して設けられており、止水シート取付縦枠162のシート端部挿入枠1621内に挿入される。係合止水部151は、シート端部挿入枠1621に形成されたスリットよりも厚く形成され、シート端部挿入枠1621に形成されたスリットに当接して、当該スリットを塞いで止水するものである。
【0041】
止水シート取付縦枠162は、前述した止水シート15の係合止水部151が上下方向にスライドされて挿入されるシート端部挿入枠1621と、シャッター枠(枠体)である竪枠22の取り付け部である枠体取付部223と壁面との間に配置される取付枠取付部1622と、を備え、壁面と取付枠取付部1622との間には、当該箇所の止水をするシール部材17が備えられる。
シート端部挿入枠1621は、上下方向に延びる角パイプに、止水シート15が通される上下方向に延びるスリットが形成された構成を有しており、竪枠22のガイドレールよりも室内側となる位置であってサッシ窓よりも室外側となる位置に設置される(サッシ窓により近い位置に設置されることが好ましい)。
取付枠取付部1622は上下方向に延びる板状の部材であって、同じく上下方向に延びるシール部材17を介して、開口部周辺の壁面(本実施形態では外壁OW)に対して止水可能に取り付けられる。
【0042】
止水シート取付下枠161は、下枠23に取り付けられた幅方向に延在する部材である。止水シート取付下枠161は、発泡材、発泡材付きアルミ、発泡材付き鋼材等によって形成され、幅方向の両端部において止水シート取付縦枠162と止水可能に接続されており、これにより両脇及び下方の三方において止水性を有している。
止水シート取付下枠161は、止水シート15に対して室内側に設けられ、止水シート15の下端側と面接触して止水機能を発揮する。
なお、止水シート取付下枠161の下枠23に対する取り付けは、両者を止水可能に取り付けることができる任意の方法(例えば、ねじや接着による固定や、磁力を用いた固定など)を用いることができる。また、止水シート取付下枠を下枠に一体的に形成するものであっても良い。
【0043】
止水シート15は、止水シート取付枠(シート端部挿入枠1621)に対して、上下方向にスライドさせるようにして脱着可能である。
水害時において水圧が室外側からかかると、当該水圧によって止水シート15が室内側へと押圧され、これによって係合止水部151が引っ張られるようにしてシート端部挿入枠1621に形成されたスリットに当接して、当該スリットが塞がれて止水される(両端部が止水される)。
また、水害時において水圧が室外側からかかると、当該水圧によって止水シート15が室内側へと押圧され、これによって止水シート15の下端部が止水シート取付下枠161に押し付けられ、下部側も止水される。
なお、止水シートが、サッシ窓に近い位置に配される構成とすることにより、水圧が室外側からかかった際に、止水シートがサッシ窓によっても保持されるようにすることができる。
【0044】
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の窓シャッター製品に対して安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
【0045】
なお、本実施形態では、止水シート取付縦枠の一例として、止水シート取付縦枠162を例としているが、本発明をこれに限るものではなく、止水シート取付縦枠は、「枠体との間で止水可能に止水シートを保持する」ことができるものであればよい。
図10には、止水シート取付縦枠が竪枠に一体的に形成されているものの例を示した。
【0046】
図10(概略水平断面図)の防水装置1-3´では、実施形態3で説明した止水シート取付縦枠162のシート端部挿入枠1621の部分が、竪枠に一体的に形成されることで、止水シート取付枠が構成されている。その他の構成は、実施形態3の防水装置1-3と同様である(なお、竪枠22の枠体取付部223は、シール部材17を介して、開口部周辺の壁面に対して止水可能に取り付けられる)。
【0047】
止水シート取付下枠についても実施形態3で示した止水シート取付下枠161に限るものでは無く、「枠体との間で止水可能に止水シートを保持する」ことができるものであればよい。
図11(下部付近の概略垂直断面図)には、止水シート取付下枠の別の例を示した。
図11(a)の例における防水装置1-3´´は、上部側に開口する断面視で略コ字状の止水シート取付下枠161´を備えており、止水シート取付下枠161´によって幅方向に延びる溝が構成される。また、止水シート15´´の下端部には、係合止水部152が幅方向に延在して設けられている。
止水シート取付下枠161´の溝の幅(
図11(a)における左右方向)と同等以上の厚さをもって形成された係合止水部152が溝の中に挿入されることによって、下部側の止水がされるものである。係合止水部152が、止水シートよりも厚く形成されていることによって、水害時の水圧を受けて溝の奥へと入り込む作用を得られる水圧受け面として機能するため、止水機能を高めることができる。
なお、
図11(a)では、溝が上部側に開口するものを例としたが、開口の方向は任意の方向とし得る。
図11(b)には、溝が室外側に開口したものの例(止水シート取付下枠161´´)を示した。
図11(c)は、係合止水部を止水シートの下端部に形成するのではなく、止水シートとは別部材(幅方向に延在するバー部材)としたものの例である。止水シートの下端部を折り返すようにして止水シート取付下枠161´の溝部に挿入し、当該折り返し部分の内側にバー部材である係合止水部152´を押し込むように挿入することで、下部側の止水がされる。なお、ここでは止水シートの下端部を折り返すものを例としたが、止水シートの下端部が止水シート取付下枠161´の溝部で止水されればよいものであり、折り返しが必須というものではない。
図11で示した各止水シート取付下枠に関し、下枠23とは別体で形成されたものを下枠23に取り付けるようにしてもよい(止水可能な任意の取り付け方法を採用してよい)し、下枠23と一体的に形成してもよい点は、実施形態3の説明と同様である。
【0048】
なお、止水シート取付下枠を設けずに、下部側の止水を行うようにしてもよい。
図12(下部付近の概略垂直断面図)には、止水シート取付下枠を設けないものの例を示した。
図12の例における防水装置1-3´´´では、止水シート15´´´の下端側に折り返し部分153を設け、当該折り返し部分をシャッターカーテンSによって下枠23に対して押さえつけることで、下部側の止水がされるものである。折り返し部分153は、例えば発泡シール材等で形成した、柔軟性及び弾性を有するシール部材で構成することが好ましい。
【0049】
<実施形態4>
図13は、本発明に係る実施形態4の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略斜視図である。
本実施形態の防水装置1-4は、実施形態1と同様に窓シャッターに対して設置される防水装置である。窓シャッター自体については、その形状は実施形態1と相違しているが、その概念は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の概念となる構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0050】
防水装置1-4は、シャッター枠(枠体)の少なくとも下部側の三方に対して止水可能に取り付けられ、シャッター枠との間で止水可能に止水板11を保持する止水板取付枠18を備えている。
【0051】
防水装置1-4の止水板11は、実施形態1の止水板11と同様の構成であり、
図13では図示していないが、止水板取付枠18の下部と止水板11との間の止水を行う下部シール部材と、止水板取付枠18の両側と止水板11との間の止水を行う側部シール部材と、を備えている(実施形態1の止水板11と同様に、シール部材が、止水板11の両サイドと下部にわたって三方を囲うように設けられている)。
【0052】
止水板取付枠18は、止水板11の幅方向の両端部を受け入れるガイド溝と、止水板11の下部を受け入れるガイド溝を備え、シール部材を介して取り付けられる若しくはコーキングされる等して、シャッター枠に対して止水可能に取り付けられている。
止水板11を受け入れるガイド溝は、止水板11の両側と下部の三方を取り囲むように形成されており、止水板11の取り付けは、上部側から止水板11をガイド溝に対して差し入れるようにして行われる。
【0053】
以上のごとく、本実施形態によれば、開口の下端が地面より高い位置にある開口部に対して防水装置を設置することができる。窓シャッター自体の構成は従来のもののままとすることが可能であり、既存の製品に対して比較的安価かつ手軽に止水対策を行うことが可能である。
【0054】
なお、各実施形態では、止水板が1枚の板(或いはパネル体)として構成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、止水板が複数の板(或いはパネル体)で構成されるものであってもよい。
【0055】
図14は、止水板の別の例を示す図であり、止水板が複数のパネル体を用いて構成されたものの例である。
図14の止水板11´は、2枚の止水板がヒンジHで接合されることにより、上下方向の軸に沿って左右に折り畳み及び展開可能な折り畳み構造を有している。2枚の止水板の接合部においては適宜止水構造(シール部材を備えさせること等による密着構造)が設けられる。
止水板11´の両サイドの構成は、実施形態の止水板11と同様の構成である。また、止水板11´の下端側の構成についても、実施形態の止水板11と同様の概念となるものが形成されている。即ち、止水板11´は、実施形態の止水板11を2分割にして、ヒンジHで折り畳み可能に接合したものと同様の概念である。
止水板11´の取り付けは、
図14(a)、(b)に示されるように、止水板11´を少し折り畳んだ状態として止水板取付枠18の間に配し、折り畳みを展開することによって、止水板11´を止水板取付枠18のガイド溝に嵌合させる。即ち、止水板11´は、「折り畳みによって減少する幅寸法が、展開によって増大することに伴い、止水板の取り付けが行われるように構成されている」ものである。なお、「幅寸法」とは幅方向(上面視である
図14(a)、(b)における左右方向)に沿った方向の部材の長さである。
図14(a)、(b)の作業は、止水板11´の下端が止水板取付枠18の下部側と干渉しない位置(高さ)で行われ、
図14(a)、(b)の作業の後に、
図14(c)に示されるように、止水板11´を下方にスライドさせることで、止水板11´の取り付けが完了するものである。なお、ここでは、実施形態4の止水板取付枠18に対して取り付けるものを例として説明したが、実施形態1や2においても止水板11´を使用した取り付けを行うことができる。
図14の止水板11´によれば、実施形態と同様の作用効果が得られると共に、止水板の収納時において折り畳みによってコンパクト化ができるという優れた作用効果を得ることができる。
なお、ここでは折り畳み箇所が1か所であるものを例としているが、
図15にその一例である止水板11´´を示したように、折り畳み箇所を複数とする(例えばアコーディオン状に折り畳めるようにする)ことで、収納時によりコンパクトにすることができるようにしてもよい。
【0056】
図14や13の折り畳み方式とする場合に、展開状態を保持するための補強部材を設けるようにしてもよい。
図16にはこのようなものの一例を示した。
図16の止水板11´´´では、かんぬきとして機能するバー部材112と、かすがい部材113によって補強部材が構成されている。
図16(a)に示されるように、止水板11´´´の折り畳み状態において、その折り畳みの内側となる面に、バー部材112と各かすがい部材113が設けられている。
図16(b)~(d)に示されるように、止水板11´´´の展開後に、バー部材112をスライドさせて各かすがい部材113に通し、折り畳み箇所の両サイドにわたってバー部材112を位置させることで(
図16(d))、かんぬきがかかり、止水板11´´´の展開状態を維持するように補強される。
図16(a)に示されるように、折り畳みの内側となる面にバー部材112と各かすがい部材113が設けられていることにより、収納状態(折り畳み状態)におけるコンパクト化が図られている。なお、当該構成は、
図15の止水板11´´のように複数の折り畳み箇所を有する物にも適用することができる。隣り合う板の関係において、
図16と同様の構成を適用すればよいものであり、これによって、
図16と同様に、収納状態(折り畳み状態)におけるコンパクト化を図ることができる。
【0057】
なお、
図14等の折り畳み方式とする場合に、両端の側部シール部材13の外側までの幅が、止水板取付枠18の両脇のガイド溝の間の距離より大きく形成されていることにより、止水板11´が止水板取付枠18に圧入されるようにしてもよい。
両端の側部シール部材13の外側までの幅が、両脇のガイド溝の間の距離より大きく形成され、止水板11´が圧入される構成により、止水板11´をはめ込んだ際に生じるシール部材の弾性力が、止水機能を向上するように作用するものである。なお、このように変形を前提としたシール部材には、発泡シール材を用いるようにするとよい。
なお、上記説明した止水板の圧入の概念は、折り畳み方式ではない止水板11にも適用することができる。
【0058】
<実施形態5>
図17は、本発明に係る実施形態5の防水装置を窓シャッターに取り付けた状態を示す概略垂直断面図である。
本実施形態の防水装置1-5は、実施形態1と同様に窓シャッターに対して設置される防水装置である。窓シャッター自体については、その形状は実施形態1と相違しているが、その概念は実施形態1と同様であるため、実施形態1と同様の概念となる構成については同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0059】
本実施形態の防水装置1-5は、中空のパネル体であり浮き部材として機能する本体部1-51と、シャッター枠の下枠23(若しくは、外壁などの壁面若しくは基礎や、土台水切り等の開口部の周辺に設けられる部材)に対して取り付けられ、本体部1-51を回動可能に支持する取付部材1-52と、本体部1-51に取り付けられたシール部材1-53と、を備えている。
【0060】
本体部1-51は、取付部材1-52によって、幅方向を回転軸として回転可能に支持され、
図17で示されるように、下方に垂れ下がった状態から、シャッター枠の下部に対向する位置となる起立状態へと移動可能である。
本体部1-51は、正面視で略矩形の部材であり、起立状態において、シャッター枠の下部側を覆う構成を有しており、起立状態でシャッター枠と対向する箇所(両側と下部の三方)において、シール部材1-53を有し、シャッター枠の下部側を止水する。
【0061】
防水装置1-5は、水害時に水位が上がってきた際に、中空の浮き部材である本体部1-51に浮力が生じ、これによって、本体部1-51が回動して起立状態へと移行し、シャッター枠の下部に当接する。即ち、「防水部材が、水位上昇によって浮き部材に生じる浮力によって上方向に移動可能なように構成されており、通常時は、開口部の下部に配置されている防水部材が、水位上昇時における上方向へ移動により、開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている」ものである。
防水装置1-5では、水圧によってシール部材1-53がシャッター枠に密着するような作用が得られるため、水位の上昇に伴って高い止水性能を得ることが可能となる。
【0062】
以上のごとく、本実施形態の防水装置1-5によれば、通常時はシャッター枠の下に配置されている防水部材が、水害時には自動的に起立して開口部の下部側を止水するように機能するため、急な水害時等においても止水対策をすることが可能である(止水対策が間に合わないといった問題を低減できる)。
【0063】
なお、本実施形態では、防水部材(止水板)自体が浮き部材として機能するものを例としているが本発明をこれに限るものではなく、浮き部材が防水部材とは別に構成されるものであってもよい。また、防水部材の移動が回動動作によって行われるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、「通常時は、開口部の下部に配置されている防水部材が、水位上昇時における上方向へ移動により、開口部の少なくとも下部側を覆うように構成されている」ものであればよい。
図18には、そのような例としての防水装置1-5-1を示した。
防水装置1-5-1は、正面視で略矩形の部材であり、上昇時(
図18(c))において、シャッター枠の下部側を覆う構成を有しており、上昇時にシャッター枠と対向する箇所(両側と下部の三方)において、シール部材1-5-11を有し、シャッター枠の下部側を止水する止水部材と、当該止水部材の下部に設けられた中空の浮き部材1-5-12と、竪枠22に対して取り付けられ、止水部材を上下方向にスライド可能に保持する係止部材1-5-13(アングル材)と、を備えている。
防水装置1-5-1は、
図18(c)からも理解されるように、水害時に水位が上がってきた際に、浮き部材1-5-12に浮力が生じ、これによって、止水部材が上方向にスライドしてシャッター枠の下部を覆い、止水機能を得ることができるものである。
【0064】
各実施形態においては、窓シャッターが設けられる対象として、掃き出し窓を例として説明したが、本発明をこれに限るものではなく、腰高窓等に対しても、上記各実施形態で説明した概念を適用することができる。
【0065】
また、各実施形態では、防水装置として、窓シャッター(開口部)の下部側(窓シャッターの一部)を覆うものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、可能であれば窓シャッター(開口部)の全体を覆うようにするもの(止水部材を、窓シャッターの全体を覆う大きさで形成するもの)であってもよい。
【0066】
各実施形態では、窓シャッターが単体で構成されるものを例としたが、本発明に係る防水装置の適用対象をこれに限るものではなく、窓シャッターとして機能する任意の装置(例えば、サッシとシャッターが一体的に構成されているもの等)に、本発明に係る防水装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1...防水装置
11...止水板(止水部材)
12...下部シール部材
13...側部シール部材
14...係止部材
15...止水シート(止水部材)
16...止水シート取付枠
162...取付枠取付部
18...止水板取付枠
2...窓シャッター(開閉装置)
22...竪枠(枠体)
221...ガイドレール
23...下枠(枠体)
232...傾斜面(押付機構)
S...シャッターカーテン(開閉体)