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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052047
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158486
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB09
3E084HD01
3E084KA01
3E084KB01
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD18
3E084LD26
3E084LF10
(57)【要約】
【課題】弁筒を設けなくても、吐出器の倒立時に、容器本体内の内容液が、取込口から奥深くまで進入するのを抑制する。
【解決手段】正倒立用ユニットには、シリンダ部に外装されるとともに、正立時導入口、倒立時導入口、および容器本体内に開口した取込口が形成された外筒部材が備えられ、シリンダ部には、容器本体内の内容液が、内容液導入口を通してシリンダ部内に導入されたときに、シリンダ部の上端開口から導入された外気をシリンダ部の外周面と外筒部材の内周面との間に送り出し、かつシリンダ部内の内容液が、吐出ヘッドに送り出されるときに、シリンダ部内の空気をシリンダ部の外周面と外筒部材の内周面との間に送り出す連絡孔が形成され、シリンダ部の外周面と外筒部材の内周面との間には、連絡孔と取込口とを接続する連通路が設けられ、連通路の流路長は、連絡孔と取込口とを接続可能な最短長さより長くなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液が収容される容器本体の口部に装着される吐出器であって、
シリンダ部の内容積の増加による内圧減少により、前記容器本体内の内容液が、前記シリンダ部に形成された内容液導入口を通して前記シリンダ部内に導入されるとともに、前記シリンダ部の内容積の減少による内圧上昇により、前記シリンダ部内の内容液を送り出すポンプと、
前記ポンプにより送り出された内容液が吐出される吐出口を有する吐出ヘッドと、
前記吐出器の正立時に前記容器本体内の内容液を前記シリンダ部の内容液導入口に導入可能な正立時導入口、および前記吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容液を前記内容液導入口に導入可能な倒立時導入口を有する正倒立用ユニットと、を備え、
前記正倒立用ユニットには、
前記内容液導入口、前記正立時導入口、および前記倒立時導入口に連通可能な中継口と、
前記吐出器の正立時に、前記倒立時導入口と前記中継口との連通を遮断する第1の切替弁と、
前記吐出器の倒立時に、前記正立時導入口と前記中継口との連通を遮断する第2の切替弁と、
前記シリンダ部に外装されるとともに、前記正立時導入口、前記倒立時導入口、および前記容器本体内に開口した取込口が形成された外筒部材と、が備えられ、
前記シリンダ部には、前記容器本体内の内容液が、前記内容液導入口を通して前記シリンダ部内に導入されたときに、前記シリンダ部の上端開口から導入された外気を前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間に送り出し、かつ前記シリンダ部内の内容液が、前記吐出ヘッドに送り出されるときに、前記シリンダ部内の空気を前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間に送り出す連絡孔が形成され、
前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間には、前記連絡孔と前記取込口とを接続する連通路が設けられ、
前記連通路の流路長は、前記連絡孔と前記取込口とを接続可能な最短長さより長くなっている、吐出器。
【請求項2】
前記連通路は、前記連絡孔と前記取込口とを迂回しながら接続させる屈曲部を有する、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記連通路の流路断面積は、前記連絡孔の流路断面積以下となっている、請求項1または2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記連通路は、前記シリンダ部の外周面に形成された溝部が、前記外筒部材の内周面に覆われて構成されている、請求項1または2に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、正立時および倒立時の双方で内容液を吐出できる吐出器として、シリンダ部の内容積の増加による内圧減少により、容器本体内の内容液が、シリンダ部内に導入されるとともに、シリンダ部の内容積の減少による内圧上昇により、シリンダ部内の内容液を送り出すポンプと、ポンプにより送り出された内容液が吐出される吐出口を有する吐出ヘッドと、吐出器の正立時に容器本体内の内容液をシリンダ部内に導入可能な正立時導入口、および吐出器の倒立時に容器本体内の内容液をシリンダ部内に導入可能な倒立時導入口を有する正倒立用ユニットと、を備える構成が知られている。
下記特許文献1に示される吐出器では、正倒立用ユニットが、シリンダ部に外装されるとともに、正立時導入口、倒立時導入口、および容器本体内に開口した取込口が形成された外筒部材を備え、外筒部材に、取込口を開放可能に閉塞する弾性変形可能な弁筒が外装されている。弁筒は、吐出器の倒立時に、容器本体内の内容液が、取込口を通して外筒部材内に流入することを規制し、また、容器本体内の内容液が、シリンダ部内に導入されて減少したときには、弁筒が弾性変形して取込口を開放し、取込口を通して外気を容器本体内に流入させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-47354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の吐出器では、例えば内容液の性状によっては、弁筒が膨潤によって膨張、または収縮するなどして取込口を適切に開閉することができなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は、弁筒を設けなくても、吐出器の倒立時に、容器本体内の内容液が、取込口から奥深く進入するのを抑制することができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る吐出器は、内容液が収容される容器本体の口部に装着される吐出器であって、シリンダ部の内容積の増加による内圧減少により、前記容器本体内の内容液が、前記シリンダ部に形成された内容液導入口を通して前記シリンダ部内に導入されるとともに、前記シリンダ部の内容積の減少による内圧上昇により、前記シリンダ部内の内容液を送り出すポンプと、前記ポンプにより送り出された内容液が吐出される吐出口を有する吐出ヘッドと、前記吐出器の正立時に前記容器本体内の内容液を前記シリンダ部の内容液導入口に導入可能な正立時導入口、および前記吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容液を前記内容液導入口に導入可能な倒立時導入口を有する正倒立用ユニットと、を備え、前記正倒立用ユニットには、前記内容液導入口、前記正立時導入口、および前記倒立時導入口に連通可能な中継口と、前記吐出器の正立時に、前記倒立時導入口と前記中継口との連通を遮断する第1の切替弁と、前記吐出器の倒立時に、前記正立時導入口と前記中継口との連通を遮断する第2の切替弁と、前記シリンダ部に外装されるとともに、前記正立時導入口、前記倒立時導入口、および前記容器本体内に開口した取込口が形成された外筒部材と、が備えられ、前記シリンダ部には、前記容器本体内の内容液が、前記内容液導入口を通して前記シリンダ部内に導入されたときに、前記シリンダ部の上端開口から導入された外気を前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間に送り出し、かつ前記シリンダ部内の内容液が、前記吐出ヘッドに送り出されるときに、前記シリンダ部内の空気を前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間に送り出す連絡孔が形成され、
前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間には、前記連絡孔と前記取込口とを接続する連通路が設けられ、前記連通路の流路長は、前記連絡孔と前記取込口とを接続可能な最短長さより長くなっている。
【0007】
上記態様によれば、容器本体内の内容液が、内容液導入口を通してシリンダ部内に導入され、容器本体の内圧が減少したときに、シリンダ部の上端開口から導入された外気が、シリンダ部の連絡孔、並びにシリンダ部の外周面と外筒部材の内周面との間の連通路を通して、外筒部材の取込口から容器本体内に導入される。
連通路の流路長が、連絡孔と取込口とを接続可能な最短長さより長くなっているので、吐出器の倒立時に、容器本体内の内容液が、取込口から外筒部材内に進入しても、内容液を連通路に留めて連絡孔に到達しにくくすることができる。これにより、従来の吐出器のような弁筒を設けなくても、吐出器の倒立時に、容器本体内の内容液が、取込口から奥深くまで進入するのを抑制することができる。
シリンダ部内の内容液が吐出ヘッドに送り出されるときに、シリンダ部内の空気が連絡孔を通して連通路に送り出されるので、この際、連通路に進入していた内容液は、取込口から容器本体内に回収される。
【0008】
前記連通路は、前記連絡孔と前記取込口とを迂回しながら接続させる屈曲部を有してもよい。
【0009】
連通路が、連絡孔と取込口とを迂回しながら接続させる屈曲部を有するので、吐出器の倒立時に、取込口に進入した容器本体内の内容液が、連絡孔に到達するのをより抑制することができる。
【0010】
前記連通路の流路断面積は、前記連絡孔の流路断面積以下となってもよい。
【0011】
連通路の流路断面積が、連絡孔の流路断面積以下となっているので、シリンダ部内の内容液が吐出ヘッドに送り出されるのに伴い、シリンダ部内の空気が連絡孔を通して連通路に送り出されたときに、この空気を連通路を画成する内面に全周にわたって吹き当てることが可能になり、連通路に進入した内容液を残り少なく容器本体内に回収することができる。
【0012】
前記連通路は、前記シリンダ部の外周面に形成された溝部が、前記外筒部材の内周面に覆われて構成されてもよい。
【0013】
連通路が、シリンダ部の外周面に形成された溝部が、外筒部材の内周面に覆われて構成されているので、成形金型の構造を複雑にせず容易に連通路を設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の上記態様によれば、弁筒を設けなくても、吐出器の倒立時に、容器本体内の内容液が、取込口から奥深くまで進入するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る一実施形態として示した吐出器の縦断面図である。
図2図1の吐出器において内容液の吐出時を示す図である。
図3図1の正倒立用ユニットの拡大図である。
図4図1の主シリンダを径方向の外側から見た溝部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吐出器を説明する。
本実施形態に係る吐出器1は、図1に示されるように、ポンプ11と、吐出ヘッド12と、正倒立用ユニット13と、装着キャップ14と、を備え、内容液が収容される容器本体Wの口部W1に装着される。
【0017】
装着キャップ14は、装着筒部14aと、ヘッド案内筒14bと、を備えている。装着筒部14aは口部W1に装着される。ヘッド案内筒14bは、装着筒部14aから上方に向けて延びている。
【0018】
ポンプ11は、主シリンダ(シリンダ部)21と、副シリンダ22と、プランジャ23と、付勢部材24と、を備え、主シリンダ21の内容積の増加による内圧減少により、容器本体W内の内容液が、内容液導入口21fを通して主シリンダ21内に導入されるとともに、主シリンダ21の内容積の減少による内圧上昇により、主シリンダ21内の内容液を吐出ヘッド12に送り出す。
【0019】
主シリンダ21、副シリンダ22、およびプランジャ23は、共通軸と同軸に配設されている。
以下、前記共通軸を軸線Oといい、軸線O方向に沿って吐出ヘッド12側を上側といい、軸線O方向に沿って正倒立用ユニット13側を下側といい、軸線Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見て軸線Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見て軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
主シリンダ21は、大径部21aと、小径部21bと、弁筒部21cと、フランジ部21dと、を備えている。大径部21a、小径部21b、および弁筒部21cは、上方から下方に向けてこの順に設けられている。
【0021】
大径部21aには、大径部21aを径方向に貫通する圧逃がし孔31および連絡孔32が形成されている。圧逃がし孔31および連絡孔32それぞれの周方向の位置は互いに異なっている。圧逃がし孔31は、大径部21aの下端部に形成され、連絡孔32よりも下方に位置している。
小径部21bの下端部の内周面には、圧逃がし溝33が形成されている。圧逃がし溝33は、周方向の全長に亘って延びている。なお、圧逃がし溝33は、周方向に間欠的に設けられていてもよい。
【0022】
弁筒部21cには、径方向の内側に向けて突出し、下方に向かうに従い縮径した弁座部21eが形成されている。弁座部21eの下端開口は、容器本体W内の内容液が主シリンダ21内に導入される内容液導入口21fとなっている。弁座部21eの上面に、ボール弁34が上方に向けて離反自在に載置されている。ボール弁34は、主シリンダ21内の加圧時に容器本体W内と主シリンダ21内との連通を遮断する一方、主シリンダ21内の減圧時に容器本体W内と主シリンダ21内とを連通させる逆止弁である。
【0023】
フランジ部21dは、大径部21aの上端部から径方向の外側に張り出している。フランジ部21dは、装着筒部14aの上端部内に嵌合されている。これにより、主シリンダ21は、装着キャップ14に取り付けられている。フランジ部21dは、口部W1の上端開口縁に載置される。
【0024】
副シリンダ22は、主シリンダ21に対して上方付勢状態で下方移動可能に配置されている。副シリンダ22は、主シリンダ21の上端開口から上方に突出している。副シリンダ22の内部は、主シリンダ21の内部に連通している。
副シリンダ22は、シール筒22aと、ストローク規制部22bと、嵌合筒22cと、を備えている。
【0025】
シール筒22aは、軸線Oと同軸に配置されている。シール筒22aの下部は、大径部21a内に挿入されている。シール筒22aの下端部は、副シリンダ22が主シリンダ21に対して上下動する際、大径部21aの内周面を上下方向に摺動する。シール筒22aは、図2に示すように、吐出ヘッド12が押し下げられ、下降端位置に位置したときに、大径部21aの内周面との間に隙間を設けた状態で、連絡孔32を径方向の内側から覆う。
ストローク規制部22bは、シール筒22aの上端部から径方向の外側に張り出している。ストローク規制部22bの内周部分は、上方に向けて突となるように湾曲している。
嵌合筒22cは、ストローク規制部22bの外周縁部から上方に延びている。
【0026】
吐出ヘッド12が押し下げられた状態において、吐出ヘッド12およびヘッド案内筒14b間の隙間、ストローク規制部22bおよびフランジ部21d間の隙間、主シリンダ21の内周面および副シリンダ22の外周面間の隙間、並びに連絡孔32は、容器本体W内と外部とを連通する外気導入路を構成する。
【0027】
プランジャ23は、主シリンダ21および副シリンダ22それぞれの内側に、主シリンダ21および副シリンダ22を上下方向に縦断するように設けられている。
プランジャ23は、軸弁部材41と、連結部42と、主ピストン43と、副ピストン44と、を備えている。
【0028】
軸弁部材41は、円柱状に形成され、軸線Oと同軸に配置されている。軸弁部材41の上下両端部は、先端部に向かうに従い先細るテーパ状に形成されている。
連結部42は、軸弁部材41における上下方向の中間部から径方向の外側に張り出している。連結部42には、連通流路42aが形成されている。連通流路42aは、連結部42を上下方向に貫通するとともに、周方向に間隔をあけて複数形成されている。連通流路42aは、主シリンダ21内と副シリンダ22内とを連通している。
【0029】
主ピストン43は、連結部42から下方に延びている。主ピストン43は、軸弁部材41の上下動に伴い、主シリンダ21(小径部21b)の内周面を上下方向に摺動する。
副ピストン44は、連結部42から上方に延びる摺動筒45に設けられている。副ピストン44は、摺動筒45の上端部から径方向の外側に連なっている。副ピストン44は、ストローク規制部22bの上方に配置されている。すなわち、ストローク規制部22bは、プランジャ23の下方移動に伴い、副ピストン44が上方から当接することで、副シリンダ22に対するプランジャ23の下方移動を規制する。副ピストン44のうち、副シリンダ22内の圧力を上下方向に受ける面の面積(受圧面積)は、主ピストン43のうち主シリンダ21内の圧力を上下方向に受ける面の面積(受圧面積)よりも大きい。
【0030】
付勢部材24は、主シリンダ21内に設けられ、プランジャ23および副シリンダ22を上方付勢状態で下方移動可能に支持している。付勢部材24は、コイルスプリングとされ、軸線Oと同軸に配設されている。付勢部材24の上端部は、連結部42の下面に当接し、付勢部材24の下端部は、弁筒部21cの内周面のうち、弁座部21eより上方に位置する部分から径方向の内側に向けて突出し、上方を向く段部に当接している。
【0031】
吐出ヘッド12は、ポンプ11により送り出された内容液が吐出される吐出口51aを有している。吐出ヘッド12は、副シリンダ22の上端部(嵌合筒22c)に装着されている。吐出ヘッド12は、ヘッド本体51と、副シリンダ蓋52と、を備えている。
【0032】
ヘッド本体51は、有頂筒状に形成され、軸線Oと同軸に配設されている。ヘッド本体51内に、嵌合筒22cが嵌合されている。ヘッド本体51における周壁の下端部は、ヘッド案内筒14b内に挿入されている。
吐出口51aは、ヘッド本体51の周壁に形成され、径方向の外側に向けて開口している。
【0033】
副シリンダ蓋52は、有頂筒状に形成され、軸線Oと同軸に配設されている。副シリンダ蓋52は、ヘッド本体51および副シリンダ22に連結されている。
副シリンダ蓋52の周壁52eは、嵌合筒22c内に嵌合されている。
副シリンダ蓋52の頂壁52aは、環状に形成され、軸線Oと同軸に配設されている。頂壁52a内は、プランジャ23の上下動に伴い、軸弁部材41の上端部によって開閉される。
【0034】
頂壁52aには、上筒部52cおよび下筒部52dが形成されている。
上筒部52cは、頂壁52aから上方に延びるとともに、軸線Oと同軸に配設されている。上筒部52cは、ヘッド本体51内に嵌め込まれている。
下筒部52dは、頂壁52aから下方に延びるとともに、軸線Oと同軸に配設されている。下筒部52dは、軸弁部材41と摺動筒45との間に挿入されている。下筒部52dの内周面と軸弁部材41の外周面との間、および下筒部52dの外周面と摺動筒45の内周面との間には、それぞれ隙間が設けられている。
【0035】
正倒立用ユニット13は、主シリンダ21に装着されている。正倒立用ユニット13は、図3に示すように、第1の切替弁61と、第2の切替弁62と、外筒部材63と、内筒部材64と、流路形成部材65と、を備えている。外筒部材63、および内筒部材64は、軸線Oと同軸に配設されている。
【0036】
外筒部材63は、主シリンダ21に外装されている。外筒部材63は、吐出器1の正立時に容器本体W内の内容液を主シリンダ21の内容液導入口21fに導入可能な正立時導入口63aと、吐出器1の倒立時に容器本体W内の内容液を内容液導入口21fに導入可能な倒立時導入口63b、63cと、を有する。
正立時導入口63a、および倒立時導入口63b、63cは、容器本体W内に開口する。倒立時導入口63b、63cは、吐出器1の正立時に、正立時導入口63aよりも上方に位置している。倒立時導入口63b、63cは、容器本体Wの口部W1の内側(口部の上端と下端との間)に配置される。なお、倒立時導入口63b、63cは、容器本体Wの口部W1よりも下方に位置していてもよい。
【0037】
外筒部材63は、下方に向かうに従って段階的に縮径する多段筒状に形成されている。外筒部材63は、上方から下方に向けて、第1外筒部71と、第2外筒部72と、第3外筒部73と、第4外筒部74と、第5外筒部75と、がこの順に連ねられて構成されている。
【0038】
第1外筒部71は、主シリンダ21の大径部21aに外嵌されている。第1外筒部71の下端部の内周面は、主シリンダ21の小径部21bの上端部の外周面と径方向に対向している。第1外筒部71の下端部の内周面、および小径部21bの上端部の外周面には、互いに周方向に係合し、外筒部材63および主シリンダ21の相対的な周方向の位置を決める、不図示の位置決めリブが各別に設けられている。位置決めリブは、第1外筒部71の下端部の内周面と、小径部21bの上端部の外周面と、の間を流体が周方向に流通するのを抑止している。
【0039】
第1外筒部71の下端部に、倒立時導入口63b、63cが形成されている。倒立時導入口63b、63cは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。複数の倒立時導入口63b、63cのうちの1つ(以下、第1倒立時導入口63bという)は、連絡孔32の直下に位置し、他の1つ(以下、第2倒立時導入口63cという)は、圧逃がし孔31と径方向で対向している。
【0040】
第1外筒部71の内周面と大径部21aの外周面との間には、連絡孔32と第1倒立時導入口(取込口)63bとを接続する連通路66が設けられている。
連通路66の流路断面積は、連絡孔32の流路断面積以下となっている。連通路66の溝幅は、連絡孔32の内径より小さくなっている。連通路66における溝幅方向の全域が、連絡孔32に向けて開口している。
連通路66は、大径部21aの外周面に形成された溝部66bが、第1外筒部71の内周面に覆われて構成されている。溝部66bの周方向の大きさは、主シリンダ21の射出成形に際し、横抜き金型を用いて溝部66bを成形することが可能な大きさとすることが好ましく、その最大値であることがより好ましい。連通路66は、例えば軸線Oを中心に90°以上180°未満の角度範囲にわたって設けられている。なお、連通路66は、例えば、第1外筒部71の内周面に溝部を形成し、この溝部を大径部21aの外周面で覆うことで構成されてもよい。
【0041】
連通路66の流路長は、連絡孔32と第1倒立時導入口63bとを接続可能な最短長さより長くなっている。図示の例では、連絡孔32および第1倒立時導入口63bそれぞれの周方向の位置が互いに同じになっているので、連絡孔32と第1倒立時導入口63bとの上下方向に真直ぐ沿った距離が、連通路66の流路長の最短長さとなる。
【0042】
なお、例えば、連絡孔32および第1倒立時導入口63bそれぞれについて、周方向の位置を互いに異ならせ、かつ上下方向の位置を互いに同じにしてもよい。この場合、連絡孔32と第1倒立時導入口63bとの周方向に真直ぐ沿った距離が、連通路66の流路長の最短長さとなる。
また、第1倒立時導入口63bを、連絡孔32より上方に位置させてもよい。
【0043】
図4に示されるように、連通路66は、連絡孔32と第1倒立時導入口63bとを迂回しながら接続させる屈曲部66aを有する。連通路66は、複数の屈曲部66aを有し、上下方向に複数回蛇行しながら、周方向に延びている。なお、連通路66は、例えば、周方向に複数回蛇行しながら、上下方向に延びてもよい。
連通路66における延在方向の両端部は、周方向および上下方向に離れている。連通路66における延在方向の両端部のうちの第1の端部に、連絡孔32が開口している。
ここで、第1倒立時導入口63bは、周方向に延びる長孔となっている。第1倒立時導入口63bの周方向の両端部のうち、一端部が、連絡孔32の直下に位置し、他端部が、連通路66における延在方向の両端部のうちの第2の端部の直下に位置して連通している。
【0044】
第2外筒部72の内周面には、小径部21bの外周面との間に倒立時導入口63b、63cに連通する流路を画成する複数のリブ72aが、周方向に間隔をあけて形成されている。リブ72aは、小径部21bの外周面に当接し、上下方向に延びている。第2外筒部72の下端部は、主シリンダ21の下端部より下方に位置している。
第3外筒部73内に、内筒部材64が収容されている。
第4外筒部74の下端部の内周面に、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びる正立時下側弁座74aが形成されている。第4外筒部74の下端開口が、正立時導入口63aとなっている。
第5外筒部75内に、吸引筒67の上端部が嵌合されている。吸引筒67の下端部は、容器本体Wの底部に位置している。吸引筒67を通して正立時導入口63aが容器本体W内に連通している。
【0045】
第2の切替弁62は、正立時下側弁座74aの上方に配置されている。第2の切替弁62は、例えばボール弁であり、正立時下側弁座74aの内周面に対して上方に離反自在に当接している。
【0046】
内筒部材64は、正立時導入口63aに連通する下端開口64aと、倒立時導入口63b、63cに連通する上端開口64bと、内容液導入口21f、正立時導入口63a、および倒立時導入口63b、63cに連通可能な中継口64cと、を有する。中継口64cは、内容液導入口21f、正立時導入口63a、および倒立時導入口63b、63cに、互いに異なる流路を通して各別に連通している。
【0047】
内筒部材64は、上下方向の中間部分が径方向の内側に括れた瓢箪状に形成されている。内筒部材64は、上方から下方に向けて、第1内筒部76と、第2内筒部77と、第3内筒部78と、がこの順に連ねられて構成されている。
【0048】
第1内筒部76の上端開口が、内筒部材64の上端開口64bとなっている。第1内筒部76の外周面と第3外筒部73の内周面との間には、周方向に延びる環状の隙間が設けられている。第1内筒部76の下端部の内周面には、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びる正立時上側弁座64dが形成されている。
第1の切替弁61は、吐出器1の正立時に、倒立時導入口63b、63cと中継口64cとの連通を遮断する。第1の切替弁61は、正立時上側弁座64dの上方に配置されている。第1の切替弁61は、例えば、ボール弁であり、正立時上側弁座64dの内周面に対して上方に離反自在に当接している。
第2内筒部77は、内筒部材64の括れ部分を構成している。第2内筒部77には、径方向に貫通する中継口64cが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0049】
第3内筒部78の下端開口が、内筒部材64の下端開口64aとなっている。第3内筒部78は、外筒部材63の第3外筒部73の下端部内に嵌合されている。第3内筒部78の上端部の内周面には、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びる倒立時弁座64eが形成されている。
第2の切替弁62は、倒立時弁座64eの下方に配置されている。第2の切替弁62は、倒立時弁座64eの内周面に対して下方から当接可能に配設されている。第2の切替弁62は、吐出器1の倒立時に、正立時導入口63aと中継口64cとの連通を遮断する。
倒立時弁座64eには、第2の切替弁62の貼り付きを防止する貼り付き防止部64fが形成されている。貼り付き防止部64fとしては、倒立時弁座64eの内周面に放射状に設けられた溝またはリブを例示できるが、第2の切替弁62の貼り付きを防止できる凹凸があれば適宜変更してもよい。
【0050】
流路形成部材65は、有底筒状に形成され、主シリンダ21の下端部に外嵌されている。流路形成部材65は、第2外筒部72の下部内に挿入されている。流路形成部材65の外周面と第2外筒部72の内周面との間には、周方向に延びる環状の隙間が設けられている。流路形成部材65の底壁部に、内筒部材64の上端部が連結されている。流路形成部材65には、主シリンダ21の内容液導入口21fと中継口64cとを連通する共通流路68が形成されている。
【0051】
流路形成部材65の底壁部に、栓部65bと、シール筒部65cと、共通流路68と、が形成されている。
【0052】
栓部65bは、流路形成部材65の底壁部から上下方向の両側に突出し、内筒部材64の上端開口64b内に嵌合されている。栓部65bには、径方向に延び流路形成部材65の外周面に開口する横穴69aと、上下方向に延び横穴69aと第1内筒部76内と連通する縦穴69bと、が形成されている。縦穴69bの内周面には、径方向の内側に向けて突出し、吐出器1の倒立時に、第1の切替弁61を支持する支持リブ69cが形成されている。
共通流路68は、流路形成部材65の底壁部において、栓部65bから離れた部分を上下方向に貫き、流路形成部材65内に開口している。共通流路68は、第1内筒部76の上端開口縁に向けて開口している。
シール筒部65cは、流路形成部材65の底壁部の外周縁部から、下方に向けて突出し、第2外筒部72の下端部内に嵌合されている。シール筒部65c内に、第1内筒部76の上端部が挿入されている。シール筒部65cの内周面と第1内筒部76の外周面との間に、周方向に延びる環状の隙間が形成されている。
ここで、第1内筒部76の上端開口縁は、流路形成部材65の底壁部の下面から下方に離れており、シール筒部65cの内周面と第1内筒部76の外周面との間の環状の隙間は、共通流路68に連通している。
【0053】
次に、吐出器1の作用を説明する。
【0054】
吐出ヘッド12を押し下げると、副シリンダ22、プランジャ23が吐出ヘッド12とともに、付勢部材24の付勢力に抗して押し下げられる。この際、主ピストン43が小径部21bの内周面を下方に向けて摺動し、主シリンダ21の内容積が減少することで、主シリンダ21内が加圧される。主シリンダ21の内圧上昇により、主シリンダ21内のボール弁34が主シリンダ21内と容器本体W内との連通を遮断する。これにより、主シリンダ21内で加圧された内容液が連通流路42aを通して副シリンダ22内に流入する。その結果、副シリンダ22内が加圧される。
【0055】
吐出ヘッド12が下降する過程において、主シリンダ21内の圧力と副シリンダ22内の圧力は同等になる。しかし、副ピストン44の受圧面積が主ピストン43の受圧面積よりも大きいため、副シリンダ22内の内容液からプランジャ23が下向きに受ける力は、主シリンダ21内の内容液からプランジャ23が上向きに受ける力よりも大きくなる。そして、プランジャ23が下向きに受ける力が、付勢部材24の上方付勢力よりも大きくなると、プランジャ23が副シリンダ22に対して下降する。これにより、軸弁部材41が、副シリンダ蓋52の頂壁52a内を開放し、副シリンダ22内と吐出口51aとが連通する。したがって、副シリンダ22内で蓄圧された内容液が、吐出ヘッド12内を流通した後、吐出口51aを通して外部に吐出される。
【0056】
吐出ヘッド12が下降し、主シリンダ21内の内容液が吐出ヘッド12に送り出される際、シール筒22aの下端部が、主シリンダ21の連絡孔32に到達するまでは、主シリンダ21の上部内の空気が、連絡孔32、連通路66、および第1倒立時導入口63bを通して容器本体W内に流出する。
すなわち、連絡孔32は、主シリンダ21内の内容液が、吐出ヘッド12に送り出されるときに、主シリンダ21内の空気を主シリンダ21の外周面と外筒部材63の内周面との間に送り出す。
【0057】
図2に示すように、吐出ヘッド12が下降端位置まで押し下げられると、主ピストン43の下端部は圧逃がし溝33と径方向に向かい合う。すると、主ピストン43は、主シリンダ21(小径部21b)の内周面から離間する。そのため、主ピストン43と主シリンダ21との間に隙間が形成され、主シリンダ21内が圧逃がし孔31および第2倒立時導入口63cを通じて容器本体W内に連通する。これにより、主シリンダ21内の内容液の少なくとも一部および主シリンダ21内の空気が、容器本体W内に流出する。その結果、主シリンダ21内の残圧が開放される。
【0058】
吐出ヘッド12の押し下げを解除すると、付勢部材24の上方付勢力によってプランジャ23が副シリンダ22および吐出ヘッド12とともに上昇し、軸弁部材41の上端部が副シリンダ蓋52の頂壁52aの内周縁部に当接することで、副シリンダ22内と吐出口51aとの連通が遮断される。
【0059】
プランジャ23が上昇する過程において、主ピストン43が小径部21bの内周面を摺動することで、主シリンダ21の内容積(主シリンダ21とプランジャ23とで囲まれた部分の容積)が増加して、主シリンダ21内が減圧される。主シリンダ21の内圧減少により、ボール弁34が弁座部21eの上面から上方に離反し、内容液導入口21fが開放され、内容液導入口21fから中継口64c(図3参照)に至る主流路が減圧状態になる。
【0060】
この主流路は、流路形成部材65の内側、共通流路68、流路形成部材65の底壁部の下面と第1内筒部76の上端開口縁との間の隙間、シール筒部65cの内周面と第1内筒部76の外周面との間の隙間、第3外筒部73の内周面と第1内筒部76の外周面との間の隙間、並びに第3外筒部73の内周面と第2内筒部77の外周面との間の隙間を備えている。
【0061】
主流路が減圧状態になると、吐出器1の正立時では、第1の切替弁61が正立時上側弁座64dに密接し、倒立時導入口63b、63cと中継口64cとの連通が遮断されているため、中継口64cおよび第2内筒部77内を通して第3内筒部78内が減圧される。第3内筒部78内が減圧されると、第2の切替弁62が正立時下側弁座74aから上方に離反し、正立時導入口63aが開放される。これにより、内容液導入口21fから主流路、中継口64c、第2内筒部77内、第3内筒部78内、第4外筒部74内、正立時導入口63a、および吸引筒67内を経て容器本体W内に至る正立時用流路が連通し、容器本体W内の内容液が主シリンダ21内に吸い上げられる。
この際、第1の切替弁61が、倒立時導入口63b、63cと中継口64cとの連通を遮断しているため、容器本体Wのヘッドスペースの空気が、倒立時導入口63b、63cに吸い込まれることはない。
【0062】
ここで、吐出ヘッド12を押し下げると、図2に示すように、シール筒22aの下端部が、主シリンダ21の連絡孔32を下方に超えることで、外気導入路(段落0026)と連絡孔32とが連通する。この状態で、吐出ヘッド12が上昇し、容器本体W内の内容液が主シリンダ21内に供給されて、容器本体W内が負圧になると、外気が、外気導入路、連絡孔32、連通路66、および第1倒立時導入口63bを通して容器本体W内に流入し、容器本体W内の負圧が解消される。
このように、連絡孔32は、容器本体W内の内容液が、内容液導入口21fを通して主シリンダ21内に導入されたときに、主シリンダ21の上端開口から導入された外気を主シリンダ21の外周面と外筒部材63の内周面との間に送り出す。
【0063】
一方、吐出器1の倒立時には、第1の切替弁61が自重により正立時上側弁座64dから離反して、倒立時導入口63b、63cと中継口64cとが連通し、かつ第2の切替弁62が自重により倒立時弁座64eに密接して、正立時導入口63aと中継口64cとの連通を遮断する。この状態で、内容液の吐出後に吐出ヘッド12が復元移動すると、前述した吐出器1の正立時と同様に、ボール弁34が弁座部21eから離反して内容液導入口21fが開放され、内容液導入口21fから中継口64cに至る主流路が減圧状態になることから、中継口64cから倒立時導入口63b、63cに至る倒立時用流路も減圧状態になる。
【0064】
この倒立時用流路は、第2内筒部77の内側、第1内筒部76の内側、縦穴69b、横穴69a、流路形成部材65の外周面と第2外筒部72の内周面との隙間、並びに小径部21bの外周面と第2外筒部72の内周面との隙間を備えている。
倒立時用流路が減圧状態になると、吐出器1の倒立時では、容器本体W内の内容液が、倒立時導入口63b、63c、倒立時用流路、中継口64c、および主流路を通して内容液導入口21fに導入される。この際、第2の切替弁62が、正立時導入口63aと中継口64cとの連通を遮断しているため、倒立姿勢にある容器本体Wの底部内の空気が、容器本体Wの底部内に開口している吸引筒67内に流入することはない。
【0065】
ここで、図2に示すように、吐出ヘッド12を押し下げた状態に保つと、外気導入路(段落0026)と連絡孔32とが連通した状態で、副シリンダ22内の蓄圧が、吐出口51aを通して解消され、軸弁部材41の上端部が、副シリンダ蓋52の頂壁52a内を再び閉塞する。
この状態で、主シリンダ21内、および正倒立用ユニット13内に内容液が満たされておらず、かつ吐出器1および容器本体Wが倒立姿勢であっても、軸弁部材41の上端部が、副シリンダ蓋52の頂壁52a内を閉塞していることから、外気が、吐出口51a、主シリンダ21内、および吸引筒67内を通して容器本体W内に進入することがなく、容器本体W内の内容液が、第1倒立時導入口63b、連通路66、連絡孔32、および外気導入路を通して外部に漏出することがない。
したがって、吐出ヘッド12を押し下げた状態で、容器本体W内が、第1倒立時導入口63b、連通路66、連絡孔32、および外気導入路を通して外部に連通していても、主シリンダ21内を通した吐出口51aと容器本体W内との連通が遮断されているので、吐出器1の倒立時に、容器本体W内の内容液が、第1倒立時導入口63b、連通路66、連絡孔32、および外気導入路を通して外部に漏出するのを防ぐことができる。
なお、主シリンダ21内を通した吐出口51aと容器本体W内との連通、およびその遮断を切替え、かつ吐出ヘッド12を押し下げた状態で、吐出器1の倒立時に、主シリンダ21内を通した吐出口51aと容器本体W内との連通を遮断する弁構造として、軸弁部材41および副シリンダ蓋52の頂壁52aに限らず、例えば三点弁等の他の構成を採用してもよい。
【0066】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、容器本体W内の内容液が、内容液導入口21fを通して主シリンダ21内に導入され、容器本体Wの内圧が減少したときに、主シリンダ21の上端開口から導入された外気が、連絡孔32、および連通路66を通して、第1倒立時導入口63bから容器本体W内に導入される。
連通路66の流路長が、連絡孔32と第1倒立時導入口63bとを接続可能な最短長さより長くなっているので、吐出器1の倒立時に、容器本体W内の内容液が、第1倒立時導入口63bから外筒部材63内に進入しても、内容液を連通路66に留めて連絡孔32に到達しにくくすることができる。これにより、従来の吐出器のような弁筒を設けなくても、吐出器1の倒立時に、容器本体W内の内容液が、第1倒立時導入口63bから奥深くまで進入するのを抑制することができる。
主シリンダ21内の内容液が吐出ヘッド12に送り出されるときに、主シリンダ21の上部内の空気が連絡孔32を通して連通路66に送り出されるので、この際、連通路66に進入していた内容液は、第1倒立時導入口63bから容器本体W内に回収される。
【0067】
連通路66が、連絡孔32と第1倒立時導入口63bとを迂回しながら接続させる屈曲部66aを有するので、吐出器1の倒立時に、第1倒立時導入口63bに進入した容器本体W内の内容液が、連絡孔32に到達するのをより抑制することができる。
【0068】
連通路66の流路断面積が、連絡孔32の流路断面積以下となっているので、主シリンダ21内の内容液が吐出ヘッド12に送り出されるのに伴い、主シリンダ21内の空気が連絡孔32を通して連通路66に送り出されたときに、この空気を連通路66を画成する内面に全周にわたって吹き当てることが可能になり、連通路66に進入した内容液を残り少なく容器本体W内に回収することができる。
【0069】
連通路66が、主シリンダ21の外周面に形成された溝部66bが、外筒部材63の内周面に覆われて構成されているので、成形金型の構造を複雑にせず容易に連通路66を設けることができる。
【0070】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0071】
連通路66を通して主シリンダ21の連絡孔32に連通する取込口として、第1倒立時導入口63bを示したが、取込口を、倒立時導入口63b、63cとは別に設けてもよい。
ポンプ11は、例えば副シリンダ22を有しなくてもよい。
【0072】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態や変形例を適宜組み合わせてもよい。
【0073】
本発明の態様は、例えば以下の通りである。
<1>
内容液が収容される容器本体の口部に装着される吐出器であって、
シリンダ部の内容積の増加による内圧減少により、前記容器本体内の内容液が、前記シリンダ部に形成された内容液導入口を通して前記シリンダ部内に導入されるとともに、前記シリンダ部の内容積の減少による内圧上昇により、前記シリンダ部内の内容液を送り出すポンプと、
前記ポンプにより送り出された内容液が吐出される吐出口を有する吐出ヘッドと、
前記吐出器の正立時に前記容器本体内の内容液を前記シリンダ部の内容液導入口に導入可能な正立時導入口、および前記吐出器の倒立時に前記容器本体内の内容液を前記内容液導入口に導入可能な倒立時導入口を有する正倒立用ユニットと、を備え、
前記正倒立用ユニットには、
前記内容液導入口、前記正立時導入口、および前記倒立時導入口に連通可能な中継口と、
前記吐出器の正立時に、前記倒立時導入口と前記中継口との連通を遮断する第1の切替弁と、
前記吐出器の倒立時に、前記正立時導入口と前記中継口との連通を遮断する第2の切替弁と、
前記シリンダ部に外装されるとともに、前記正立時導入口、前記倒立時導入口、および前記容器本体内に開口した取込口が形成された外筒部材と、が備えられ、
前記シリンダ部には、前記容器本体内の内容液が、前記内容液導入口を通して前記シリンダ部内に導入されたときに、前記シリンダ部の上端開口から導入された外気を前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間に送り出し、かつ前記シリンダ部内の内容液が、前記吐出ヘッドに送り出されるときに、前記シリンダ部内の空気を前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間に送り出す連絡孔が形成され、
前記シリンダ部の外周面と前記外筒部材の内周面との間には、前記連絡孔と前記取込口とを接続する連通路が設けられ、
前記連通路の流路長は、前記連絡孔と前記取込口とを接続可能な最短長さより長くなっている、吐出器。
<2>
前記連通路は、前記連絡孔と前記取込口とを迂回しながら接続させる屈曲部を有する、前記<1>に記載の吐出器。
<3>
前記連通路の流路断面積は、前記連絡孔の流路断面積以下となっている、前記<1>または<2>に記載の吐出器。
<4>
前記連通路は、前記シリンダ部の外周面に形成された溝部が、前記外筒部材の内周面に覆われて構成されている、前記<1>から<3>のいずれか1つに記載の吐出器。
【符号の説明】
【0074】
1 吐出器
11 ポンプ
12 吐出ヘッド
13 正倒立用ユニット
21 主シリンダ(シリンダ部)
21f 内容液導入口
32 連絡孔
51a 吐出口
61 第1の切替弁
62 第2の切替弁
63 外筒部材
63a 正立時導入口
63b 第1倒立時導入口(倒立時導入口、取込口)
63c 第2倒立時導入口(倒立時導入口)
64c 中継口
66 連通路
66a 屈曲部
66b 溝部
W 容器本体
W1 口部
図1
図2
図3
図4