(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052051
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】部品購入支援装置、部品購入支援方法、及び部品購入支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240404BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240404BHJP
【FI】
G06Q30/06 332
G06Q50/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158490
(22)【出願日】2022-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】真保 陽一
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB58
5L049BB58
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プラントエンジニアリングを伴うプラント部品を容易に購入する部品購入支援装置、部品購入支援方法及び部品購入支援プログラムを提供する。
【解決手段】部品購入支援装置1は、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部31と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベース21から、入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数のプラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定部34と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベース22から、ユーザによって選択された候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる見積作成部35と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置であって、
購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部と、
プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定部と、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる見積作成部と、
を備える部品購入支援装置。
【請求項2】
前記条件入力支援部は、複数の前記入力条件のうち、前記ユーザによって入力されなかった入力条件を過去の蓄積データ又は予め設定されている初期値に基づいて仮入力する入力補助部を有する請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項3】
前記型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格の過去の実績値が登録された価格・納期実績データベースから、選定した複数の前記プラント部品の価格及び納期を取得し、
取得した価格及び納期に基づいて、候補部品として提示する前記プラント部品を選定し、
選定した複数の前記プラント部品の情報を前記クライアント端末に送信する部品概略選定部を更に備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項4】
前記部品概略選定部は、前記プラント部品のサプライヤに依らない所定の計算式を用いて、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、
前記部品選定部は、前記部品概略選定部によって選定されたプラント部品のうち、ユーザによって選択された各前記プラント部品について、該プラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて前記入力条件に適合するか否かを判定することにより、前記プラント部品を選定する請求項3に記載の部品購入支援装置。
【請求項5】
前記部品概略選定部は、価格順、納期順、低エネルギー損失順、入力条件とプラント部品の仕様との適合度順、口コミ評価順、総合評価順に従って複数の前記候補部品が表示されるように前記クライアント端末に前記プラント部品の情報を送信する請求項3に記載の部品購入支援装置。
【請求項6】
ユーザによるプラント部品の選定を補助する部品選定補助部を備え、
部品選定補助部は、いずれかの前記候補部品の型番と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様データを前記型番データベースから取得し、各前記型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件を含む選定補助情報を前記クライアント端末に送信する請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項7】
前記選定補助情報は、所定のパラメータを軸とする直交座標系に各前記型番の仕様に基づく特性が各型番と関連付けられて描かれ、更に、前記直交座標系には、前記運転条件及び前記設計条件が描かれた情報である請求項6に記載の部品購入支援装置。
【請求項8】
前記設計条件は、ユーザによって変更可能に構成されており、
前記ユーザによって前記設計条件が変更された場合に、変更後の前記設計条件に基づいて前記候補部品の選定が再度行われる請求項7に記載の部品購入支援装置。
【請求項9】
前記部品選定部は、
前記入力条件がプラント部品の型番を選定するために必要とされる必要条件を満たしているか否かを判定する必要条件判定部と、
必要条件を満たしていないと判定した場合に、ユーザによるサプライヤへの問い合わせを支援する問い合わせ支援部と、
を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項10】
前記見積作成部は、ユーザによって選択された前記候補部品のオプション情報を前記クライアント端末に表示させるオプション作成部を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項11】
前記プラント部品の注文予約が前記クライアント端末から要求された場合に、注文予約に関する情報をサプライヤ端末に送信する注文予約支援部を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項12】
前記プラント部品の発注に関し、前記ユーザと前記プラント部品のサプライヤとの交渉を支援する交渉支援部を有する請求項1記載の部品購入支援装置。
【請求項13】
前記プラント部品の発注が前記クライアント端末から要求された場合に、発注を受けた前記プラント部品の納品に関する情報をサプライヤから取得し、取得した前記プラント部品の納品に関する情報を前記クライアント端末に提供する納品支援部を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項14】
プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、
コンピュータが、
購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させ、
プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させ、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる部品購入支援方法。
【請求項15】
コンピュータを請求項1から13のいずれかに記載の部品購入支援装置として機能させるための部品購入支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品購入支援装置、部品購入支援方法、及び部品購入支援プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、購入希望者(以下、「ユーザ」という場合もある。)がプラント部品を購入する場合、一般的に、サプライヤとの間で以下のような工程を経る必要がある。ここで、購入希望者の一例として、プラントメーカー等が挙げられる。
まず、購入希望者が、部品の概略仕様書を作成し、作成した概略仕様書を提示してサプライヤに対して見積依頼を行う。サプライヤでは、概略仕様書に基づいて見積書を作成し、購入希望者へ提示する。購入希望者は、仕様の調整を行い、見積依頼を行ったサプライヤに対して発注を行う。
【0003】
このように、従来、発注までに多くの工程を必要とすることから、部品の発注に時間と労力を要していた。また、見積りは、購入希望者が自ら問い合わせを行ったサプライヤからしか得ることができない。このため、例えば、更にいい条件(例えば、価格が安い、納期が短い、サービスがよい等)で同様の部品を提供しているサプライヤがあったとしても、そのサプライヤにたどり着くことができないといった不都合があった。更に、サプライヤ側としても、小口の案件で、単価が安い部品の場合、見積りを作成する手間に対して売上や利益が少なく、割に合わないことがある。このため、他の案件に対して対応が後回しになる、提供価格が比較的高く見積もられる等の購入希望者の不利益につながるおそれがあった。
【0004】
従来、部品の調達の工程や手間を低減するシステムとして、例えば、特許文献1に開示されるシステムがある。このシステムは、製造業者が部品の図面データを製造委託支援装置に送信すると、製造委託支援装置が図面データの分析を行って部品の加工可能性を判定し、部品の加工が可能な複数の加工業者に対して見積もり依頼を行い、その見積価格を製造業者に回答するというものである。このように、特許文献1に開示される製造委託支援装置は、製造委託支援装置が製造業者と加工業者とのやり取りを仲介するため、部品調達に関する両者の負担を軽減することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される製造委託支援装置は、加工品に特化したシステムであり、プラント部品の手配にただちに適用することはできない。すなわち、プラント部品は、設計圧力、運転圧力、設計温度、運転温度などの制約条件に加えて、流量や圧力損失などの流体搬送系特有のパラメータを考慮した上で、購入部品を決定する必要がある。このように、部品の選定に当たって多くの情報や計算を必要とするような場合には、特許文献1に開示されている製造委託支援装置では、制約条件などを全て満足する部品を手配することが難しかった。
また、従来、部品の購入をオンラインで容易に行えるECサイトが知られている。しかしながら、これらのECサイトは、単に部品が並べられているだけであり、制約条件や流体搬送系特有のパラメータを考慮して部品を選定しなければならないプラント部品の調達には不向きであった。
【0007】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、プラントエンジニアリングを伴うプラント部品を容易に購入することのできる部品購入支援装置、部品購入支援方法、及び部品購入支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る部品購入支援装置は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置であって、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定部と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる見積作成部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る部品購入支援方法は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、コンピュータが、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させ、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させ、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる。
【0010】
本開示の一態様に係る部品購入支援プログラムは、コンピュータに上記部品購入支援方法を実行させるための部品購入支援プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
プラントエンジニアリングを伴うプラント部品を容易に購入することのできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る部品購入支援装置のネットワーク構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る部品購入支援装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る部品購入支援装置が備える機能の一例を示した機能構成図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る条件入力画面の一例を示した図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る部品概略選定画面の一例を示した図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る部品比較画面の一例を示した図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る選定補助画面の一例を示した図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る選定補助画面の他の例を示した図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る見積結果表示画面の一例を示した図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係るオプション画面の一例を示した図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る部品購入支援方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図12】本開示の本実施形態に係る条件入力支援工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図13】本開示の一実施形態に係る部品概略選定工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図14】本開示の一実施形態に係る部品選定工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図15】本開示の一実施形態に係る見積作成工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図16】本開示の一実施形態に係る注文予約支援工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図17】本開示の一実施形態に係る発注支援工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図18】本開示の一実施形態に係る注文予約画面の一例を示した図である。
【
図19】従来におけるプラント部品の条件入力から発注までのタイムテーブルと、本実施形態に係る部品購入支援装置を用いてプラント部品を手配する際の条件入力から発注までのタイムテーブルとを比較して示した図である。
【
図20】本開示の一実施形態に係るプラント部品の関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示の一実施形態に係る部品購入支援装置、部品購入支援方法、及び部品購入支援プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る部品購入支援装置は、例えば、流体搬送系におけるエンジニアリングを必要とするプラント部品の購入支援に適した装置である。ここで、「流体搬送系におけるエンジニアリング」とは、例えば、プラント中に組み込まれている、気体、液体、固体などの媒体を搬送する系統の企画・設計・調達を行うことを意味する。媒体には、気体液体混合系(例えば、蒸気とドレンの混合系)、気体固体混合系(例えば、微粉炭の空気による搬送)、液体固体混合系(例えば、スラリ)等も含まれる。
【0014】
また、「プラント部品」とは、例えば、流体搬送系に用いられている流体伝導要素および機器を意味する。流体伝導要素として、例えば、配管、伸縮・可撓管(ベローズ、フレキシブルチューブ等)、ベンド管、エルボ、継手、弁(手動弁、電動弁、電磁弁、調節弁、安全弁、逆止弁等)が挙げられる。機器として、例えば、計器、搬送機器、ストレーナ、アキュムレータ、スチームトラップ、減温器等が挙げられる。計器の一例として、圧力計、温度計、流量計等が挙げられる。搬送機器の一例として、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ、コンベア等が挙げられる。また、周辺部品として、保温機器(保温部材)、配管支持部材、機器の支持架台、鉄骨等が挙げられる。
【0015】
図20にプラント部品の関係を示す。
プラント部品には、流量の変化範囲等、プラントの運用を考慮した設計を行った後でなければ仕様を選定できない部品が存在する。このようなプラント部品として、例えば、安全弁、制御弁(空動、油動を含む)、熱交換器、減温器、オリフィス、スチームトラップなどの配管部品、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ等の搬送機器が挙げられる。
また、電源や計測・制御信号などの電気的な取り合いを必要とするプラント部品があり、このようなプラント部品として、例えば、電磁弁、電動弁、制御弁(空動、油動を含む)、ポンプ、ファン、ブロワ、コンプレッサ、コンベア等の搬送機器、計器が挙げられる。
【0016】
以下、上記のようなプラント部品の購入を支援する部品購入支援装置1について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る部品購入支援装置1のネットワーク構成を示す図である。
図1に示すように、部品購入支援装置1は、クライアント端末70、及びサプライヤ端末80とネットワークを介して接続可能とされ、相互に情報の送受信が可能な構成とされている。ネットワークの一例として、Wi-Fi、移動通信システム(3G、4G、5G、6G、LTE等)、無線LAN(Local Area Network)、有線LANなどが挙げられる。
【0017】
図1では、1台のクライアント端末70、1台のサプライヤ端末80を例示しているが、部品購入支援装置1に接続されるクライアント端末70、サプライヤ端末80の台数は、この例に限定されない。
また、
図1では、同じネットワークによって、部品購入支援装置1、クライアント端末70、サプライヤ端末80がそれぞれ接続されているが、この例に限られない。例えば、部品購入支援装置1とクライアント端末70とが接続されるネットワークと、部品購入支援装置1とサプライヤ端末80とが接続されるネットワークとは異なっていてもよい。
【0018】
図2は、部品購入支援装置1のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。部品購入支援装置1は、いわゆるサーバ(コンピュータ)であり、
図2に一例を示すように、CPU(プロセッサ)11、CPU11が実行するプログラム(例えば、部品購入支援プログラム)等を記憶するための補助記憶装置12、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ13、ネットワークに接続するための通信デバイス14を主な構成として備え、これら各部はバス18を介して接続されている。また、部品購入支援装置1は、キーボード等の入力部15や表示部16等を更に備えていてもよい。補助記憶装置12には、例えば、部品購入支援装置1全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、当該部品購入支援装置1を実現するためのアプリケーション及び各種データやファイル等が格納されている。上記補助記憶装置12の一例として、半導体メモリ、磁気ディスク、光磁気ディスク等が挙げられる。
【0019】
クライアント端末70は、プラント部品の購入を希望するユーザが利用する情報処理装置である。クライアント端末70は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、タブレット端末、携帯電話端末、スマートフォン等である。クライアント端末70の構成は公知であるため、詳細な説明は省略するが、上述した部品購入支援装置1と同様に、CPU、補助記憶装置、メインメモリ、通信デバイス、入力部を備えている。更に、クライアント端末70は、表示部(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)を備えている。更に、クライアント端末70は、マイクロホン、スピーカを備えていてもよい。補助記憶装置には、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等のクライアント端末70の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、後述するクライアント端末70の機能を実現するためのアプリケーション及び各種データやファイル等が格納されている。
【0020】
サプライヤ端末80は、プラント部品を販売するサプライヤが利用する情報処理装置である。ここで、「サプライヤ」とは、例えば、プラント部品を製造・販売している会社を意味する。プラント部品の製造会社が商社を代理店として自社製品を販売している場合、プラント部品の製造会社と商社の組み合わせを「サプライヤ」という。
【0021】
サプライヤ端末80は、例えば、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、タブレット端末、携帯電話端末、スマートフォン等である。サプライヤ端末80の構成は公知であるため、詳細な説明は省略するが、上述した部品購入支援装置1と同様に、CPU、補助記憶装置、メインメモリ、通信デバイス、入力部を備えている。更に、サプライヤ端末80は、表示部(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等)を備えている。更に、サプライヤ端末80は、マイクロホン、スピーカを備えていてもよい。補助記憶装置には、例えば、Windows(登録商標),iOS(登録商標)、Android(登録商標)等のサプライヤ端末80全体の制御を行うためのOS、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ、後述するサプライヤ端末80の機能を実現するためのアプリケーション及び各種データやファイル等が格納されている。
【0022】
次に、本実施形態に係る部品購入支援装置1の機能について説明する。
図3は、本実施形態に係る部品購入支援装置1が備える機能の一例を示した機能構成図である。以下に示す各機能を実現するための一連の処理は、一例としてプログラム(例えば、部品購入支援プログラム)として、部品購入支援装置1が備える補助記憶装置12に格納されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ13に読み出して実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、部品購入支援装置1が備える補助記憶装置12に予めインストールされている形態、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0023】
図3に示すように、部品購入支援装置1は、型番データベース21、価格・納期データベース22、価格・納期実績データベース23、オプションデータベース24を備えている。
【0024】
型番データベース21には、サプライヤ毎に、そのサプライヤが販売するプラント部品の型番とその仕様データとが関連付けられて格納されている。また、型番データベース21には、サプライヤ毎に、各プラント部品又は各型番と、型番選定に必要とされる必須項目とが関連付けられて登録された必須入力項目リストが格納されていてもよい。
【0025】
価格・納期データベース22には、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が格納されている。価格・納期データベース22は、例えば、後述する見積作成部35によって参照されるデータベースである。価格・納期データベース22に格納される価格及び納期は、各サプライヤによって随時更新可能とされている。これにより、見積作成部35は、最新のデータを用いて見積書を作成することが可能となる。これにより、信頼性の高い見積書をユーザに提供することが可能となる。また、価格には、プラント部品の価格の他、商品の発送に必要となる諸経費などが登録されていてもよい。
【0026】
また、価格・納期データベース22における内部のデータの関連づけについては特に限定されない。すなわち、プラント部品の型番を特定した場合に、サプライヤ、価格、納期の情報が取得できるように構成されていればよく、具体的な内部のデータの関連づけについては特に限定されない。例えば、価格・納期データベース22は、サプライヤが提供する各プラント部品とその納期とが関連付けられたデータベースと、サプライヤが提供する各プラント部品と価格とが関連付けられたデータベースとをそれぞれ個別に備えていてもよい。
【0027】
価格・納期実績データベース23には、サプライヤ毎に、プラント部品毎又は型番毎の納期及び価格の実績データが格納されている。価格・納期実績データベース23は、例えば、後述する部品概略選定部32によって参照されるデータベースである。価格・納期実績データベース23には、サプライヤ各社が過去に販売したプラント部品の実際の納期及び価格が格納されている点において、サプライヤが随時任意に情報を変更できる価格・納期データベース22とは異なる。なお、価格・納期実績データベース23には、プラント部品毎又は型番毎に、サプライヤの標準価格、標準納期が更に格納されていてもよい。
【0028】
また、価格・納期実績データベース23における内部のデータの関連づけについては特に限定されない。すなわち、プラント部品の型番を特定した場合に、サプライヤ、価格の実績データ、納期の実績データの情報が取得できるように構成されていればよく、具体的な内部のデータの関連付けについては特に限定されない。例えば、価格・納期実績データベース23は、サプライヤが提供する各プラント部品とその納期の実績データとが関連付けられたデータベースと、サプライヤが提供する各プラント部品と価格の実績データとが関連付けられたデータベースとをそれぞれ個別に備えていてもよい。
【0029】
オプションデータベース24には、サプライヤ毎に、プラント部品とオプション情報とが関連付けられたオプション情報が格納されている。オプション情報の一例として、オプション製品(消耗品、特殊工具等)、取付時の指導員派遣、試運転時の運転調整、トラブルシューティングなどの技術サポートサービス、仕様アップグレードサービス(例えば、耐食の肉盛り、高級塗装、追加検査、提出図面等)が挙げられる。オプションデータベース24は、例えば、後述するオプション作成部45によって参照されるデータベースである。
【0030】
オプションの登録数が所定数を超える場合には、各オプションに関連付けて過去の選択率(過去に該プラント部品を購入したユーザが、該オプションの追加を選択した割合)の情報が登録されていてもよい。これにより、オプション情報をユーザに提示する際には、選択率の高い順に上位所定数を選択して取得し、取得したオプション情報をユーザに提示することとしてもよい。
【0031】
また、オプションデータベース24には、各種オプションに関連付けられて詳細情報が登録されていてもよい。例えば、予備品の詳細情報として、納期、価格、交換時期等が挙げられる。また、技術サポート、オプションサービスの詳細情報として、提供時期、価格、特徴、メリット、注意事項等が挙げられる。
【0032】
また、本実施形態では、部品購入支援装置1が型番データベース21、価格・納期データベース22、価格・納期実績データベース23、及びオプションデータベース24を装置内に備える場合を例示して説明するが、この例に限定されない。例えば、これらデータベースのうちの一部又は全ては、ネットワークを介して接続される他のサーバに格納されていてもよい。更に、これらのデータは、複数のサーバに分散されて格納されていてもよい。
すなわち、これらデータベースに格納されているデータは、部品購入支援装置1内に格納されている必要はなく、これらの情報が取得可能な構成とされていればよい。
【0033】
また、部品購入支援装置1は、条件入力支援部31、部品選定部34、見積作成部35を主な構成として備えている。また、部品購入支援装置1は、部品概略選定部32、部品選定補助部33、注文予約支援部36、発注支援部37、及び納品支援部38を更に備えていてもよい。以下、各部について詳細に説明する。
【0034】
〔条件入力支援部〕
条件入力支援部31は、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる。例えば、条件入力支援部31は、これらの条件入力を入力するための条件入力画面をクライアント端末70に表示させるための画面データを生成し、クライアント端末70に送信する。
【0035】
図4に、条件入力画面の一例を示す。
図4に例示する条件入力画面では、上述した条件に加えて、適用規格、納期、必要図面、必要検査、塗装等の各種条件を入力する欄が設けられている。
また、条件入力画面には、許容できる最遅納期、許容できる最高価格、取り合いの制約(寸法、継手の種類、ほか。機械側だけでなく電気側も含む)、希望送り先・梱包仕様・輸送方法等の納品に関する各種情報等の入力欄が設けられていてもよい。
【0036】
上記適用規格は、設計時に適用すべき規格をユーザが選べるようにしたものであり、例えば、JIS、ISO、ASME、EN、IEEEなどの各種規格をユーザが選定できるものである。より具体的には、高圧ガス保安法、電気事業法、圧力容器構造規格等の個別の規格を選択できるようにしても良い。安全率や設定値の考え方が規格毎に異なるため、これらの条件を入力することで、ユーザ自身が規格適合の有無を確認する手間を省略することができる。
【0037】
また、許容できる最遅納期や許容できる最高価格を条件として入力することで、ユーザの希望に合わない納期や価格を排除することが可能となる。これにより、ユーザの利便性を向上させることができるとともに、部品購入支援装置1における演算処理負担を軽減させることが可能となる。
【0038】
なお、条件入力については、複数の入力モードが設けられていてもよい。例えば、ユーザに、複数の入力モードを提示し、そのうちのいずれかをユーザに選択させるようにしてもよい。そして、条件入力支援部31がユーザによって選択された入力モードに応じた条件入力画面を生成して、クライアント端末70に送信することとしてもよい。
【0039】
入力モードの一例として、詳細入力モード、簡易入力モード、型番入力モード等が挙げられる。
詳細入力モードは、一般的に、サプライヤが部品を選定する際に必要となる全ての条件を入力するモードである。このモードは、流体搬送系におけるエンジニアリングに精通しているユーザ向けである。
簡易入力モードは、不慣れなユーザ向けに入力事項を主要なものに絞ったモードである。例えば、詳細入力モードで入力する条件のうちのいくつかが省略されたモードとされている。
型番入力モードは、サプライヤ名又は型番を入力するモードである。上述した詳細入力モード、簡易入力モードにかかわらず、既設のプラント部品と同じものを購入したいユーザや予めサプライヤタログ等を調査して欲しい型番が決まっているユーザを対象としたモードである。
【0040】
このように、複数の入力モードを設け、ユーザが所望の入力モードを選択できるように構成することで、ユーザのエンジニアリングの能力とニーズに応じたサービスを提供することが可能となる。
【0041】
〔入力補助部〕
条件入力支援部31は、例えば、入力補助部41(
図3参照)を備えていてもよい。入力補助部41は、複数の入力条件のうち、ユーザによって入力されなかった入力条件を過去の蓄積データ又は予め設定されている初期値に基づいて仮入力する。
例えば、入力補助部41は、設計条件や運転条件に関する初期値を予め保有しており、設計条件や運転条件に入力条件が入力されなかった場合に、それらの初期値を仮入力する。また、初期値に代えて、過去の実績値等に基づく代表値を仮入力することとしてもよい。
【0042】
更に、入力補助部41は、所定の質問フローに従ってユーザに質問を投げかけ、その質問に対してユーザが回答する対話形式により、不足している入力条件をユーザに入力させることとしてもよい。
また、入力補助部41によって仮入力が行われた場合、仮入力した条件をユーザに提示し、ユーザの想定から外れていないかをユーザに確認させるようにしてもよい。
【0043】
例えば、プラント部品は形状、強度などの部品自体に紐づく制約条件だけでなく、内部を流れる流体に対する制約条件もあることから、適切な部品を選定するにはある程度の経験が必要となる。このため、経験に乏しいユーザは、どのような条件を設定すればよいかわからず、自主的に条件を設定することが難しい場合がある。このような場合に、入力補助部41を設け、ユーザの入力を支援することにより、流体搬送系におけるエンジニアリングの経験に乏しいユーザでも、プラント部品の手配に必要となる適切な条件を入力することが可能となる。
【0044】
また、入力補助部41は、適用規格を示唆することとしてもよい。例えば、プラントの種類、ユーザ登録情報(所属企業の情報)、流体の種類、圧力などの条件から適用が必要と考えられる法律、規格等を判断し、ユーザに適用要否を確認することとしてもよい。
【0045】
例えば、規格によって、設定値の取り方や考え方が異なることがある。例えば、安全弁では、JISによる規格はあるものの、電気事業法と圧力容器構造規格で吹出圧力の設定値や誤差の取り方が異なる。このような場合でも、入力補助部41が、適用規格を示唆することにより、ユーザは、必要な規格に沿ったプラント部品の手配を行うことができ、規格の違いによる選定ミスや選定の手戻りを抑制することができる。
【0046】
〔自動入力部〕
条件入力支援部31は、例えば、自動入力部42を更に備えていてもよい。例えば、自動入力部42は、ユーザが条件入力画面において添付した電子データ(例えば、入力した仕様書、諸元表などの設計図書のスキャンデータ、既設プラント部品の銘板の写真等)を、AI(Artificial Intelligence)を用いて解析することにより、入力条件を自動的に入力する。
【0047】
また、自動入力部42は、ユーザが添付した運転データ(例えば、経時データ一覧表、トレンドグラフなど)から、最大値、平均値、最小値などの条件値を読み取り、読み取った条件値を自動的に入力することとしてもよい。
このように、自動入力部42を設けることにより、ユーザ自らが手入力をする必要がなくなり、ユーザの入力負担を削減することができる。
【0048】
〔部品概略選定部〕
部品概略選定部32は、型番データベース21から、入力条件に適合するプラント部品を選定し、更に、価格・納期実績データベース23から、選定した複数のプラント部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期に基づいて、候補部品として提示するプラント部品を選定し、選定した複数のプラント部品の情報をクライアント端末70に送信する。これにより、クライアント端末70には、部品概略選定画面が表示されることとなる。
【0049】
より具体的には、部品概略選定部32は、まず、入力された各種条件のうち、設計条件(設計温度、設計圧力、運転温度、運転圧力等)に基づいて、型番データベース21を参照し、設計条件に適合するプラント部品の型番を選定する。更に、流体計算が必要なプラント部品については、部品概略選定部32は、入力条件として入力された適用規格(JIS、ASME等)や一般的な計算式に則った流体計算を行うことにより設計仕様を決定し、決定した設計仕様に適合するプラント部品の型番を型番データベース21から選定する。
【0050】
更に、部品概略選定部32は、選定した型番のサプライヤに対応する価格・納期実績データベース23から選定した型番の実績価格及び実績納期を取得する。なお、実績価格及び実績納期に代えて、標準価格及び標準納期を取得することとしてもよい。また、価格には標準的な梱包費や輸送費も含めることとしてもよい。
【0051】
例えば、従来、小口(少数量あるいは低額)のプラント部品の手配では、見積作成の手間に対して得られる売上・利益が小さいため、サプライヤによっては、標準価格より高額の見積や標準納期より長納期の見積を提示する場合がある。そこで、部品概略選定部32は、実績値(例えば、見積実績価格又は受注実績価格、見積実績納期又は受注実績納期)を表示する仕組みとする。これにより、過去に高額の見積や長納期を数多く提示しているサプライヤは、後述する価格順や納期順の表示で上位に表示され難くなるため、ユーザの選択から漏れ、発注の候補に選ばれないこととなる。そのため、サプライヤは、過度な高い価格や遅い納期を提示しづらくなり、結果、ユーザが、安く早く製品を入手できることに繋がる。
【0052】
部品概略選定部32は、このようにして、型番の選定及び選定した型番の実績価格及び実績納期を取得すると、取得したこれらの情報に基づいて部品概略選定画面を生成し、生成した画面データをクライアント端末70に送信する。これにより、クライアント端末70には、部品概略選定画面が表示されることとなる。すなわち、部品概略選定画面には、入力条件に基づいて選定された複数のプラント部品の型番が候補部品として表示される。
【0053】
図5に、部品概略選定画面の一例を示す。
図5に例示した部品概略選定画面には、入力条件に基づいて選定された複数のプラント部品の型番が候補部品として表示される。また、型番には、サプライヤの情報が付加されている。
ここで、ユーザに提示する部品の型番数及びサプライヤ数は、任意に決定できる。例えば、部品の型番数は、5個以上が好ましい。また、サプライヤの数は3社以上が好ましい。
【0054】
また、部品概略選定画面には、例えば、選定に用いた条件が表示されてもよい。この際、条件入力支援部31において仮入力した条件をユーザが入力した条件とは異なる表示態様で表示させることとしてもよい。異なる表示態様の一例として、色分けする、メッセージを表示させる等が挙げられる。これにより、ユーザは、部品購入支援装置1において仮入力された条件を容易に判別することができる。
【0055】
また、部品概略選定画面には、これらの候補部品が所定の評価項目別に比較して示された部品比較画面を表示させるための入力部BT1が設けられている。ユーザによって入力部BT1が操作(押下、クリック)されると、部品概略選定部32は、部品比較画面の情報をクライアント端末70に送信する。これにより、クライアント端末70には、部品比較画面が表示されることとなる。ここで、部品比較画面の情報の送信タイミングについては特に限定されない。例えば、部品概略選定部32は、部品概略選定画面の情報と共に部品比較画面の情報をクライアント端末70に送信することとしてもよい。
【0056】
図6に、部品比較画面の一例を示す。
図6に例示した部品比較画面には、価格、納期、評価、低エネルギー損失、適合度のそれぞれの評価項目に対して、それぞれ5つのプラント部品の型番が順番に表示されている。また、当該画面の右側には、選定された部品の詳細情報が表示されている。
【0057】
部品比較画面では、製品を価格順、納期順、口コミ評価順、低エネルギー損失順、適合度順、おすすめ順などの順番で表示させることとしてもよい。また、これらのうちのいずれかをユーザが選択できるように画面を構成してもよい。
【0058】
評価順は、例えば、ユーザのサプライヤに対する口コミ評価に基づいて設定される。口コミ評価には、例えば、評価満点5.0に対するユーザの評価平均点が含まれる。また、ユーザの感想等を含んでいてもよい。また、取引実績やサプライヤ監査に基づく運営者による評価結果を考慮した評価としても良い。
【0059】
低エネルギー損失順は、例えば、運動エネルギーが摩擦熱等に変わることによるエネルギーロスが小さい順であり、典型的には内部流体の圧力損失値の小さい順である。この場合、部品毎にエネルギー損失のデータ(例えば、規定流量に対する圧力損失値等)が登録されており、選定した部品に関連付けられたエネルギー損失データを読み出して比較することにより、表示順を決定することが可能である。
【0060】
例えば、圧力損失が大きくなると、同じ構成で流せる流量が小さくなる。同じ流量を流すには、配管径を大きくする、弁を大きくする等、流路を大きくする必要がある。このため、スペースの制約が大きくなる、イニシャルが高くなる等のデメリットがある。また、ポンプの吐出圧を上げる、換言すると、モータ出力を上げることで、同じ流量を流すことが可能であるが、この場合でも、イニシャルが高くなる、ランニングコストが高くなる等のデメリットがある。合理的な範囲で圧力損失は最低限に抑えることが望ましいため、低エネルギー損失順で部品をユーザに提示することにより、設置スペースやイニシャルの面から部品を検討することが可能となる。
【0061】
圧力損失の算出手法としては、以下の手法が挙げられる。
(1)代表流量に対する圧力損失値(サプライヤが提示)から流量の2乗でスライド計算する。
(2)流量に対する圧力損失の計算式から計算する。例えば、弁の場合はCv値から計算、流量計の場合はマニュアルに記載の計算式から計算する。
(3)レイノルズ数と管内面粗さから、ムーディー線図を用いて、圧力損失係数を求め、損失係数と流量から計算する。
(4)流量とプラント部品の種類、形状によって決められている損失係数から計算する。(エルボ等の圧力損失計算である。損失係数には複数の種類が知られており、ユーザのニーズに合わせて選択可としても良い)
【0062】
適合度順は、例えば、要求仕様との合致度が高い順に表示させる。より具体的には、仕様決定パラメータのうち、ユーザ入力値が使用された項目の割合が高い順に表示させる。合致度は、例えば、ユーザ入力値が使用された項目の割合及びその重み付け値、「運転条件+余裕(典型的には+5%程度)」の条件にプラント部品の最高使用圧力温度がどれだけ近いか等の要素を用いて算出される。この適合度順は、例えば、入力条件に不足がある場合に有効な表示態様である。
【0063】
おすすめ順は、例えば、価格、納期、評価、低エネルギー損失、適合度などを総合的に評価し、総合評価値が最も高い順に表示させる。例えば、価格、納期、評価、低エネルギー損失、適合度のそれぞれの評価値を所定の評価値演算式に代入することにより、選定した部品毎にそれぞれ総合評価値を算出し、算出した総合評価値が高い順に表示させることとしてもよい。評価値演算式は、任意に設定できる。例えば、各項目の評価を10点満点で評価し、それぞれを加算した値としてもよいし、各項目に重み係数を設定し、各項目における点数と重みづけ係数とを乗じたものを加算した値としてもよい。
また、部品購入支援装置1の運営者の過去実績又は過去の類似設計実績、若しくは部品購入支援装置1の運用による過去実績等を用いて機械学習し、機械学習結果に近いものから、おすすめ順として示しても良い。
【0064】
また、部品概略選定画面(
図5)又は部品比較画面(
図6)には、各型番に関連付けて実績価格及び実績納期を表示することとしてもよい。この際、実績価格・実績納期データを、幅を持たせて表示することとしてもよい。例えば、最安値~平均値~最高値のデータ、安い方20%、高い方20%を切り捨てた20%値~80%値のデータを表示することとしてもよい。また、ユーザが希望する場合、ヒストグラムを表示しても良い。
これにより、上述した効果に加え、ユーザは、価格、納期の変動幅を踏まえて、詳細計算の対象製品を選定することができる。この結果、ユーザの利便性が向上する。また、上記の表示を適宜組み合わせて表示してもよい。
【0065】
また、
図6に示した部品比較画面は一例であり、これに限られない。例えば、納期の欄には、納期も表示することとしてもよい。また、評価順の欄には、評価点も表示してもよい。また、低エネルギー損失順の欄には、エネルギー損失値を表示することとしてもよい。また、適合度順の欄には、適合度評価値をそれぞれ表示することとしてもよい。
【0066】
〔部品選定補助部〕
部品選定補助部33は、ユーザによるプラント部品の選定を補助するための選定補助画面をクライアント端末70に表示させるための画面データを生成する。
例えば、クライアント端末70から選定補助画面の表示要求を受信した場合に、部品選定補助部33は、部品補助画面を生成してクライアント端末70に送信する。例えば、部品比較画面(
図6参照)には、部品選定を補助するための選定補助画面を表示させるための入力部BT2が設けられている。
ユーザにより、いずれかの候補部品が選択され、入力部BT2がユーザによって操作されると、選定補助画面の表示要求が部品購入支援装置1に送信される。
【0067】
部品選定補助部33は、選定補助画面の表示要求を受信すると、ユーザによって選択された候補部品のサプライヤを特定し、特定したサプライヤの型番データベース21を検索し、選択された型番と仕様が近い型番を抽出する。更に、部品選定補助部33は、各型番についての価格及び納期を価格・納期データベース22又は価格・納期実績データベース23から取得する。
【0068】
続いて、部品選定補助部33は、抽出した複数の型番のそれぞれに関する特性情報、価格、納期並びに運転条件及び設計条件を関連付けた選定補助画面に関する画面データを作成し、クライアント端末70に送信する。
【0069】
これにより、選定補助画面には、ユーザによって選択された候補部品の型番及びそれと仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様情報、各型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件が表示される。
【0070】
図7に選定補助画面の一例を示す。
図7には、選択された部品に特有のパラメータが直交座標系に示され、更に、この直交座標系に、ユーザによって選択された型番及びその型番と仕様が少なくとも1つの型番に関する特性が表示されている。より具体的には、
図7は、製品「弁」に関する選定補助画面の一例を示した図であり、横軸に圧力、縦軸に温度が示された直交座標系に、型番A~Dの4つの型番の特性が示されている。更に、この直交座標系には、運転条件と設計条件とが表示されている。
また、各型番について、価格及び納期の少なくとも1つが関連付けられている場合には、それらの情報についても選定補助画面に表示してもよい。
【0071】
ここで、上述した選定補助画面は一例であり、これに限られない。例えば、直交座標系は、2次元に限られず、多次元であってもよい。例えば、流量、圧力損失などのように、部品に特有の他のパラメータを示す軸を追加してもよい。例えば、予めプラント部品毎に、部品を選定する上で重要となるパラメータを選定しておくことで、部品選定において有用な情報をユーザに提示することが可能となる。また、部品の特性に関するパラメータではなく、価格、納期などの軸を追加することとしてもよい。
また、上記グラフに代えて、又は、加えて、部品選定補助部33が、おすすめの型番を提案することとしてもよい。
【0072】
さらに、選定補助画面において、設計条件はユーザによって変更可能に構成されていてもよい。例えば、
図7に示された選定補助画面において設計条件がユーザによって変更された場合(
図7において、設計条件が選定補助利用前の座標から選定補助利用後の座標まで移動させられた場合)、部品選定補助部33は、移動後の設計条件に合致する候補部品を選定し直し、新たに選定した候補部品に基づいて選定補助画面を作成し直す。これにより、変更後の設計条件に基づいて選定された候補部品とその候補部品と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様情報とがユーザに提示される。
【0073】
例えば、流体搬送系におけるエンジニアリングの初期段階では、許容できる運転条件や設計条件に幅があり、変更の余地があることが多い。一方、プラント部品を手配する段階では、サプライヤによる選定実施を容易にするため、また、サプライヤがユーザの要求に合わない製品を選定するのを防ぐために、具体的な運転条件や設計条件を設定し、サプライヤに提示することが多い。このように、本来は、許容できる運転条件や設計条件に幅がある場合でも、手配のプロセスの所要時間や手戻りを小さくするために条件の幅を意図的に絞らざるを得なかった。このため、特に価格的、納期的に、より有利な製品を選択する余地がある場合でも、その余地に気付かないまま、プラント部品を手配している場合がある。
【0074】
また、設計条件が型番の境目付近にある場合、ユーザは、設計条件に対し余裕の大きい型番を選ぶか否か悩むことになる。この場合、例えば、余裕のある型番を選んだ場合には、仕様に余裕は出る一方で一般的に高価・長納期となり、余裕の小さい型番を選んだ場合には、安価・短納期な傾向がある一方で仕様の余裕が小さくなり、プラント運転条件の変動に対する尤度が小さくなるおそれがある。最終的には、仕様、価格、納期から総合的にユーザが判断して型番を選定することになるが、通常の調達プロセスでは、はじめから設計条件が型番の境目付近となる可能性を見極め、余裕のある型番と余裕の小さい型番の双方の見積を予め取っていない場合、一般的にはどちらかの型番の見積しか提示されない。この場合、提示されなかった方の見積は取り直す必要が生じることとなり、追加の工数も期間も必要となってしまう。また、比較用に複数の見積を出すのはサプライヤにとっても手間が大きい。すなわち、比較用として複数の部品についての見積書を作成して提示したとしても、選択される部品はそのうちの一つとなるため、選択されなかった部品の見積書に要した労力や時間が無駄となってしまう。
【0075】
このような課題に対し、本実施形態では、上述したような部品選定補助部33を設け、選定補助画面をユーザに提示する。これにより、各型番の特性と設計条件及び運転条件を視覚的にユーザに提示することが可能となる。この結果、ユーザは設計条件をどの程度調整すれば、異なる型番を選定することができるのかを直感的に認識することができ、ユーザのニーズに合った型番を選定することが可能となる。
【0076】
更に、本実施形態では、ユーザは選定補助画面に表示されている設計条件を所望の座標に移動させるという容易な操作によって設計条件を変更することができ、更に、設計条件が変更された場合には、変更後の設計条件に基づく候補部品の選定が再度行われる。このように変更後の設計条件に基づく候補部品の選定が自動で行われるので、ユーザはプラント部品の手配のプロセスの所要時間や手戻りを気にすることなく、可能な限り幅のある運転条件や設計条件を設定することが可能となる。また、型番毎の価格や納期を見ながら、運転条件や設計条件を見直すことが可能となり、よりニーズに合った製品を選べるようになる。
【0077】
なお、
図7に示した選定補助画面は一例であり、他の態様で表示されてもよい。例えば、
図8に示すように、各部品の特性を一定の範囲を有する領域として表示するような態様としてもよい。
【0078】
〔部品選定部〕
部品選定部34(
図3参照)は、例えば、必要条件判定部43を備えている。
必要条件判定部43は、入力条件がプラント部品の型番を選定するために必要とされる必要条件を満たしているか否かを判定する。具体的には、必要条件判定部43は、ユーザによって選択された各プラント部品に対して、サプライヤとプラント部品とから特定される必須入力項目リストを型番データベース21から取得する。続いて、取得した必須入力項目リストと、条件入力画面において入力された入力条件とを照合し、後述する詳細仕様計算を行うのに不足する情報があるか否かを判定する。
【0079】
この結果、不足する情報があれば、必要条件判定部43は、不足する条件の入力をユーザに促すための追加入力画面を作成し、クライアント端末70に送信する。これにより、ユーザに追加入力を行わせるための追加入力画面がクライアント端末70に表示される。これにより、ユーザに不足条件に関する入力条件を追加入力させることが可能となる。
【0080】
続いて、部品選定部34は、ユーザによって入力された入力条件からユーザによって選択された型番のプラント部品について仕様の詳細計算を実行する。
部品選定部34は、まず、ユーザによって購入候補として選択されたプラント部品について、サプライヤ名および型番に基づいて、当該サプライヤの当該型番に適用すべき計算式を用いて、詳細計算を行い、当該プラント部品が要求仕様を満たしているか否かを判定する。プラント部品が要求仕様を満たしている場合には、当該プラント部品を決定する。また、プラント部品が要求仕様を満たしていない場合には、当該型番に条件の近しい型番(類似型番)に適用すべき計算式を用いて、詳細計算を行い、類似型番のプラント部品が要求仕様を満たしているか否かを判定する。また、例えば、後述する問い合わせ支援部44からサプライヤに要求仕様を満たすプラント部品があるか否かについて問い合わせることとしてもよい。
【0081】
なお、この計算については、部品購入支援装置1で行ってもよいし、各サプライヤ端末80において行っても良い。各サプライヤが独自の計算ツールを有している場合には、当該計算ツールを用いることもできる。
【0082】
部品購入支援装置1において、プラント部品の選定を行う場合、サプライヤ毎に選定基準、計算式が異なっており、一度に各サプライヤの計算を実行しようとすると、計算量が膨大となり、仕様の検討や見積に時間を要するという課題が想定される。
そこで、本実施形態では、部品概略選定部32によって適用規格や一般的な計算式、換言すると、サプライヤに依らない所定の計算式を用いて概略計算を行い、また、この概算計算の結果として選定したプラント部品の情報を概略見積とともにユーザに提示する。そして、提示したプラント部品の中からユーザによって選択されたプラント部品を対象として、部品選定部34がサプライヤ毎に選定された設計パラメータや計算式等を用いた詳細計算を行い、ユーザによって選択されたプラント部品が入力条件に基づく要求仕様を満たす部品であるか否かを判定する。そして、要求仕様を満たす部品である場合には、その部品の詳細な見積もりを作成し、部品情報と共にユーザに提示する。これにより、データ処理量及び処理時間の問題解決を図っている。このように、二段階見積(概略見積+詳細見積)の仕組みを導入することで、概略見積の結果を元に、詳細計算に進むサプライヤや型番を絞り込む仕組みを取り入れ、ユーザのニーズを汲みつつ計算量を最小限に抑えることが可能となる。
【0083】
また、本実施形態のように、二段階見積を採用せずに、最初から一段階で見積る場合、検索条件に誤りや不足があった場合やユーザの希望が変わった場合には、はじめからプラント部品の選定をやり直す必要があり、効率性に欠ける。これに対し、二段階見積の仕組みを導入することにより、概略見積のステップで、概略仕様計算によって選定されたプラント部品をユーザに提示するので、処理量を低減することができ、効率を高めることができる。
【0084】
また、部品選定部34(
図3参照)は、例えば、問い合わせ支援部44を備えている。
問い合わせ支援部44は、例えば、サプライヤ問い合わせ画面(図示略)を作成し、クライアント端末70に送信する。このサプライヤ問い合わせ画面には、例えば、ユーザによって入力された入力条件、暫定検討結果、ユーザ情報(ユーザの会社名、問い合わせ先等)が含まれている。また、サプライヤ問い合わせ画面には、サプライヤへの問い合わせを要求するための入力部(例えば、実行ボタン)及び問い合わせを希望しないことを入力するための入力部(例えば、終了ボタン)が設けられている。
【0085】
ユーザは、クライアント端末70に表示されたサプライヤ問い合わせ画面において、問い合わせを希望する場合には、問い合わせ実行ボタンを操作する。これにより、サプライヤ問い合わせ情報が部品購入支援装置1を介してサプライヤに送信される。サプライヤは、問い合わせ要求を受信すると、顧客に対して別途電話やメール等によりコンタクトを取り、プラント部品の選定に必要な情報等をユーザに提供する。
このように、ユーザがサプライヤに直接問い合わせることを支援する問い合わせ支援部44を備えることにより、ユーザは、サプライヤと速やかに連絡を取ることができ、必要な情報を入手することが可能となる。
【0086】
例えば、プラントエンジニアリングが複雑すぎて、部品購入支援装置1での型番選定などが難しい案件がある。このような場合に、問い合わせ支援部44を備えることにより、サプライヤの協力を得て、ユーザのニーズに合致するプラント部品を手配することが可能となる。これにより、部品購入支援装置1を起点に手配できる製品の幅が広がり、便利性を向上させることができる。
【0087】
更に、サプライヤにとっても以下のメリットがある。
例えば、部品購入支援装置1に出店することで有望顧客との接点を持つことが可能となる。すなわち、サプライヤ問い合わせ画面からサプライヤへの問い合わせを希望する顧客は、購入意欲が高いといえる。これにより、サプライヤは、ユーザからの問い合わせに真摯に対応することにより、受注の可能性を高めることが可能となる。また、必要条件判定部43を備えることにより、サプライヤが登録している詳細仕様を計算するために必要とされる入力条件は既に入力されている状態であることから、これらの情報をサプライヤに提供することにより、問い合わせに対応するサプライヤ側の負担を軽減することが可能となる。
【0088】
〔見積作成部〕
見積作成部35は、部品選定部34によってプラント部品の型番が選定された場合に、選定された型番のプラント部品の仕様を改めて取得し、仕様に基づいて見積仕様書を作成する。見積仕様書は、見積条件、換言すると、納入条件が記載された書類である。なお、書類の形での提示は必須ではなく、ユーザの希望の有無により、見積条件、納入条件を画面上に表示するのみに留めることもできる。
【0089】
更に、見積作成部35は、価格・納期データベース22から当該プラント部品の価格と納期とを取得する。このとき、プラント部品の価格だけではなく、プラント部品の納品に要するすべての価格(例えば、梱包費や輸送費等)を含めるようにしてもよい。
【0090】
この場合において、価格・納期データベース22には、最短納期とそれに伴う価格が登録されていてもよい。また、価格・納期データベース22には、最安価格とそれに伴う納期が登録されていてもよい。これにより、例えば、ユーザが部品の購入に時間的な余裕がある場合には、納期を遅くする分、安く部品を購入することが可能となる。
また、納期と価格とが関連付けられたグラフや表を作成し、ユーザが好きな納期、価格の組み合わせを選択できるような構成としてもよい。これにより、価格と納期の両面を考慮して適切な組み合わせをユーザが選択することが可能となる。
【0091】
このように、価格・納期データベース22の情報に基づいて、見積仕様書及び見積書を生成する見積作成部35を備えるので、見積書等の作成に要するサプライヤ側の負担を軽減することができる。また、サプライヤは、価格・納期データベース22の情報を更新することにより、繁忙期や閑散期などの操業状況等に応じて、価格及び納期を動的に設定することが可能となる。
また、ユーザにとっても複数の購入候補を選択することができる、見積書を速やかに取得することができるなどのメリットがある。
【0092】
図9に見積結果表示画面の一例を示す。
図9に示すように、見積結果表示画面には、各プラント部品について、サプライヤ名、サプライヤの評価レビュー、見積額、納期が表示されている。ユーザは、見積結果表示画面において、複数の部品が表示されている場合には、注文対象部品を選択する。
また、見積結果表示画面には、各プラント部品に対して、注文予約を行うための入力部BT5、見積仕様書を表示させるための入力部BT6、オプション選択をするための入力部BT7が設けられている。見積結果表示画面において、入力部BT7が操作された場合、後述するオプション画面がクライアント端末70に表示される。
【0093】
〔オプション作成部〕
見積作成部35は、オプション作成部45を備えていてもよい。オプション作成部45は、例えば、見積結果表示画面において、ユーザによってオプション画面を表示させるための入力部BT7が操作された場合に、ユーザによって選択されたプラント部品に関連付けられたオプション情報をオプションデータベース24から取得し、取得したオプション情報をユーザに提示するためのオプション画面の画面データを生成して、クライアント端末70に送信する。
【0094】
オプション情報の一例として、オプション製品(消耗品、特殊工具等)、取付時の指導員派遣、試運転時の運転調整、トラブルシューティングなどの技術サポートサービス、仕様アップグレードサービス(例えば、耐食の肉盛り、高級塗装、追加検査、追加の提出図面等)が挙げられる。
オプションの登録数が多く、全てのオプションをユーザに提示することが難しい場合には、各オプションに関連付けて過去の選択率(過去に該プラント部品を購入したユーザが、該オプションの追加を選択した割合)の情報を登録しておき、選択率の高い順に上位所定数を選択して、ユーザに提示することとしてもよい。
【0095】
図10にオプション画面の一例を示す。
図10に示したオプション画面では、予備品、腐食防止加工、技術サポートをオプションで選択できるようになっている。また、各オプションについての詳細情報が各オプション項目の下側に表示される。
【0096】
オプション情報をユーザに提示することにより、ユーザは予備品などの同時購入ができ、ユーザの利便性が向上する。また、塗装や検査、提出図面等のうち、ユーザが選択していないが、選択忘れの可能性があるものについてもオプション情報として提示することにより、ユーザの発注忘れを低減することができる。
また、予備品や各種サービス等をユーザに提供することにより、サプライヤにとっても受注の機会を高めることができ、売り上げ増加が期待できる。
【0097】
また、オプション作成部45は、各種オプションに関連付けられた詳細情報をオプションデータベース24から取得し、これら詳細情報をクライアント端末70に送信してもよい。例えば、予備品の詳細情報として、納期、価格、交換時期等が挙げられる。また、技術サポート、オプションサービスの詳細情報として、提供時期、価格、特徴、メリット、注意事項等が挙げられる。
【0098】
このように、オプション作成部45が、詳細情報をユーザに提示することにより、ユーザは、必要性を理解した上で必要なオプション品を購入できるというメリットがある。サプライヤは、各オプションに関連付けて詳細情報(例えば、特徴、メリット等)を表示することで、ユーザの興味を引くことができ、受注の可能性を高めることが期待できる。
【0099】
オプション画面において、ユーザによりオプションが選択されると、見積作成部35は、選択されたオプションの情報に基づいて見積仕様書、見積書の修正を行い、修正した見積仕様書及び見積書をクライアント端末70に送信する。これにより、オプションがユーザによって選択される度に、その情報がクライアント端末70に表示される見積仕様書及び見積書に速やかに反映されることとなる。
【0100】
〔注文予約支援部〕
注文予約支援部36は、プラント部品の注文予約がクライアント端末70から要求された場合に、注文予約に関する情報をサプライヤ端末80に送信する。注文予約に関する情報として、例えば、注文予約の日時、正式発注の予定時期、プラント部品の型番、ユーザ情報等が挙げられる。
サプライヤ端末80は、注文予約に関する情報を受信すると、注文予約に関する情報に基づいてプラント部品の確保を行い、ユーザによって正式発注がされた際に、速やかにプラント部品を手配できるよう準備を行う。
【0101】
このとき、サプライヤ側では、例えば、注文予約後、一定期間(例えば、1週間。各サプライヤで各製品に対して決めて良い)は、見積有効期限として、見積仕様・見積価格を提示した内容で維持するようにしてもよい。また、一定期間(例えば、数時間)まで、在庫・生産枠を確保し、提示した納期を約束するサービスを提供することとしてもよい。
更に、サプライヤにて注文予約情報や自社のリソースを考慮した期限を精査し、部品購入支援装置1を介してユーザに納期などの情報を提示できるようにしても良い。
【0102】
このように、注文予約支援部36を備えることにより、一定期間において、見積価格及び納期の維持を保証することが可能となる。これにより、例えば、ユーザの所属する組織における承認フローがある場合、社内調整などの理由により、正式発注までにある程度の時間を要する場合であっても、注文予約を行ったときの条件にてプラント部品を購入することができる。この結果、ユーザの利便性が向上する。更に、サプライヤ側においても、部品購入支援装置1において管理されている正式発注の予定時期や見積有効期限などを拠り所に、部品購入支援装置1を介してユーザの発注をフォローすることができるので、受注の可能性を高めることが期待できる。
【0103】
〔発注支援部〕
発注支援部37は、注文予約が行われたプラント部品の正式発注がクライアント端末70から要求された場合に、注文予約が行われたプラント部品のサプライヤ端末80に、発注に関する情報を送信する。
【0104】
〔交渉支援部〕
発注支援部37は、プラント部品の発注に関し、ユーザとプラント部品のサプライヤとの交渉を支援する交渉支援部46を備えていてもよい。交渉支援部46は、ユーザとサプライヤ間における価格や納期の交渉を支援する。
【0105】
このとき、ユーザからの過剰な要求からサプライヤを保護するため、交渉可能とする条件を設けておくことが好ましい。交渉可能とする条件として、例えば、最小注文数、最小購買価格が挙げられる。また、ユーザ単位での一定期間における交渉回数の上限を設けることとしてもよい。また、この場合、最終的に発注された場合には、その発注に関する交渉はカウントしないこととしてもよい。
また、所定の割引条件を満たす場合(例えば、部品手配数が所定数を超える場合等)については、自動的に一定額(例えば、合計金額のα%)を値引きすることとしてもよい。
このように、交渉可能とする条件を設けることにより、サプライヤ側の過度な負担を軽減することが可能となる。
【0106】
このように、交渉支援部46を設けることにより、部品購入支援装置1を介してプラント部品の手配を行う場合であっても、通常の調達プロセスと同様に価格や納期の交渉をサプライヤ側と行うことができ、ユーザの利便性を高めることができる。また、企業によっては、調達部門の役割の1つとして価格や納期の交渉があり、調達部門が価格低減の成果を求められ、調達部門での交渉を必須としている企業もある。このような企業であっても、交渉支援部46を設けることにより、部品購入支援装置1の顧客として取り込むことが可能となる。
【0107】
〔納品支援部〕
納品支援部38は、正式発注されたプラント部品の納品に係る手続き等を支援する。例えば、納品支援部38は、ユーザへ発送するプラント部品の受け取り調整を支援する。具体的には、納品支援部は、配達予定時間、荷姿・重量、トラック台数、配達伝票のデータ、ドライバ情報・連絡先、運送会社・車番情報などの配送情報をサプライヤ端末80から取得し、取得したこれらの配送情報をクライアント端末70に送信する。
【0108】
ドライバ情報・連絡先、車番情報などは、配送当日にならないと手に入らないこともあるため、上記情報は、確定された情報から順次ユーザに提供することとしてもよい。また、ユーザは、不足項目や問い合わせがある場合には、納品支援部38を介してサプライヤに問合わせを行うことができる。
【0109】
このように、納品支援部38を備えることにより、従来は、ユーザとサプライヤともに負担であった納品に関する都度調整を不要とすることができる。
また、荷姿に関する情報をユーザに事前に提供することできるので、ユーザにおいては、受入準備等の前広な調整ができるようになる。これは特に、プラント部品が大型や重量物等、受入のためにクレーンやフォークリフトなどを必要とする場合に有効である。また、従来は、電話、メール等でのやり取りとなっていたが、部品購入支援装置1において統括的に情報を管理するので、ユーザの管理負担を低減させることが可能となる。
これにより、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0110】
また、サプライヤからの納入品に、情報識別タグやバーコードを付けることで、ユーザの納入品管理を支援することとしてもよい。また、これらの識別情報を部品購入支援装置1において、管理することとしてもよい。
【0111】
例えば、複数のプラント部品の発注を一括で手配した場合、異なるサプライヤから部品が納入される場合がある。この場合、各サプライヤから異なる納入日で製品が納入されることも珍しくない。納入された製品は一時保管場所に置くことになるが、その後の運搬のことも考え、全部品が届くまでユーザは製品を梱包された状態で保管することが多く、外観では部品の識別が難しい。また、ユーザが複数のプラント部品の発注を一括で手配した場合、一式として手配しているため、個別の部品に対する意識が希薄であり、納入された部品の用途が分からない、部品の管理が難しいなどの課題が想定される。
【0112】
このような場合に、上述したように、納入品に各納入品を識別するためのタグを付加し、タグを読み取ることによって、部品の名称・用途・仕様(重量、寸法)などの情報を取得できるようにすることで、納入品についての情報を容易にかつ速やかに得ることができる。
【0113】
また、部品購入支援装置1が、ユーザに提供するシステム一式の手配品リスト、組立図や3次元図に当該部品を強調表示した画面をクライアント端末70に表示させることで、ユーザに手元の部品の用途、特徴を視覚的に提示することができ、部品の識別を容易に行わせることができる。さらに、これらの情報は、ユーザの組立支援にも活用できる。上記の組立図や3次元図の表示に加え、重量・重心を表示する、組立時の注意事項を表示することにより、ユーザの組立作業の円滑な実行に寄与する。特に、システム一式を部品購入支援装置1から購入することにより、組立に必要な情報が部品購入支援装置1によって管理されているため、上記のようなサービスを提供することができる。
【0114】
次に、本実施形態に係る部品購入支援方法について、
図11~
図17を参照して説明する。以下に示す一連の処理は、プログラム(例えば、部品購入支援プログラム)として部品購入支援装置1が備える補助記憶装置12に格納されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ13に読み出して実行することにより実現される。
【0115】
図11は、本実施形態に係る部品購入支援方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図11に示すように、部品購入支援方法は、例えば、条件入力支援工程(SA1)、部品概略選定工程(SA2)、部品選定工程(SA3)、見積作成工程(SA4)、注文予約支援工程(SA5)、発注支援工程(SA6)、及び納品支援工程(SA7)の順に実行される。以下、各工程について、詳しく説明する。
【0116】
〔SA1:条件入力支援工程〕
図12は、本実施形態に係る条件入力支援工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図12に示すように、部品購入支援装置1は、まず、条件入力画面を生成し、生成した条件入力画面の画面データをクライアント端末70に送信する(SB1)。これにより、クライアント端末70には、
図4に例示したような条件入力画面が表示される(SB2)。
【0117】
このとき、ユーザが購入を希望するプラント部品の情報を先に取得し、取得したプラント部品に応じて入力条件を異ならせることとしてもよい。例えば、プラント部品毎に条件入力画面のフォーマットが登録されており、プラント部品に応じた条件入力画面をクライアント端末70に送信することとしてもよい。
【0118】
例えば、安全弁を購入する場合には、呼び径、流体の種類、設定圧力、設定圧力管理値(誤差の設定)、流体温度、最高使用圧力、入口側の接続様式、材質、必要吹出量、吹き止まり圧力などを条件として入力させることとしてもよい。また、適用規格によって設定圧力管理値が異なるため、適用規格についても入力条件に含めるとよい。
【0119】
この条件入力画面において、ユーザは条件を入力し、送信処理を行う。これにより、ユーザによって入力された入力条件が部品購入支援装置1に送信される(SB3)。この条件入力支援工程では、上述した入力補助部41によるユーザへの入力支援及び自動入力部42による条件の自動入力が必要に応じて行われてもよい。
このようにして、入力条件支援工程が終了すると、続いて、部品概略選定工程に移行する。
【0120】
〔SA2:部品概略選定工程〕
図13は本実施形態に係る部品概略選定工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図13に示すように、部品購入支援装置1は、上述の入力条件を受け付けると、入力条件として入力された適用規格(JIS、ASME等)に則った計算を行うことにより設計仕様を決定し(SC1)、決定した設計仕様に適合するプラント部品の型番を複数サプライヤの型番データベース21から選定する(SC2)。
【0121】
例えば、蒸気に用いる安全弁の場合、サプライヤは入力条件として入力された呼び径や流体温度、最高使用圧力等の情報から候補となる型番を選定する。次に、設定圧力と適用規格によって決まる吹出量決定圧力(入力が無ければJIS)と、吹き出す際の流体の条件(主に温度、圧力等に左右される)によって決められる定数(数字の入力が無ければ代表値)と、プラント部品の型番に対応する公称降格吹出係数(JIS B 8210には一般的な値が記されており、この値を用いる)及び吹出し面積(呼び径に応じて吹出面積は大まかに決まる。例えば、呼び径に応じた一般的な値を用いることが可能である)とを用いて、公称吹出量を算出する。算出した公称吹出量と必要吹出量を比較し、公称吹出量が必要吹出量以上であれば、要求仕様を満たしているとして当該プラント部品を部品候補として選定する。公称吹出量が必要吹出量未満の場合は、当該プラント部品は部品候補から除外する。
【0122】
続いて、部品購入支援装置1は、選定した型番のサプライヤに対応する価格・納期実績データベース23から選定した型番の実績価格及び実績納期を取得し(SC3)、取得したこれら情報に基づいて部品概略選定画面、部品比較画面を生成し、生成した画面データをクライアント端末70に送信する(SC4)。このとき、選定された部品候補の数が所定数よりも多い場合には、価格や納期等を勘案して、部品候補として提示されるプラント部品の数が所定数以下となるように候補部品を取捨選択してもよい。
クライアント端末70は、部品概略選定画面を表示する(SC5)。これにより、クライアント端末70には、
図5に例示したように、入力条件に基づいて選定された複数のプラント部品の型番が候補部品として表示される。また、この部品概略選定画面において、部品比較画面を表示させるための入力部BT1がユーザによって操作された場合には、
図6に示すような部品比較画面が表示される。
【0123】
この部品比較画面(
図6参照)において、選定補助画面の表示要求を行う入力部BT2が操作された場合には、部品購入支援装置1は、
図7に示すような部品選定補助画面を生成し、クライアント端末70に送信する。また、ユーザが現在入力(仮入力を含む)されている条件の変更を希望することにより、入力条件の変更を要求する変更ボタンBT3が操作された場合には、部品購入支援装置1は、ステップSB1(
図12参照)に戻り、条件入力画面を生成し、クライアント端末70に送信する。
【0124】
また、部品概略選定画面(
図5参照)において少なくとも1つのプラント部品(型番)が選択され、送信ボタンBT8が操作された場合、又は、部品比較画面(
図6参照)において、少なくとも1つのプラント部品(型番)が選択され、対象部品を決定する対象部品決定ボタンBT4が操作されると(SC6)、選択された型番情報が部品購入支援装置1に送信される。このようにして、部品購入支援装置1は、ユーザによって選択された対象部品の型番情報を受信すると、部品概略選定工程を終了し、部品選定工程に移行する。
【0125】
〔SA3:部品選定工程〕
図14は本実施形態に係る部品選定工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図14に示すように、部品購入支援装置1は、上述の対象部品の型番情報を受け付けると、ユーザによって選択された各プラント部品に対して、サプライヤとプラント部品とから特定される必須入力項目リストを型番データベース21から取得する。続いて、取得した必須入力項目リストと、条件入力画面において入力された入力条件とを照合し、後続する詳細仕様計算を行うのに不足する情報があるか否かを判定する(SD1)。
この結果、不足する情報がなければ(SD2:YES)、ステップSD6に移行する。一方、不足する情報があれば(SD2:NO)、部品購入支援装置1は、不足する条件の入力をユーザに促すための追加入力画面を作成し、クライアント端末70に送信する(SD3)。
【0126】
これにより、ユーザに追加入力を行わせるための追加入力画面がクライアント端末70に表示される(SD4)。ユーザによって追加条件が入力されると、追加条件は部品購入支援装置1に送信される(SD5)。
【0127】
このようにして、詳細計算を行うのに必要とされる条件が整うと、続いて、部品購入支援装置1は、入力条件に基づく詳細仕様計算を行う(SD6)。具体的には、ユーザによって選択された各プラント部品について、サプライヤが選定しているパラメータや計算式を用いて、当該プラント部品の詳細仕様計算を行う。
【0128】
例えば、蒸気に用いる安全弁の場合、設定圧力と適用規格によって決まる吹出量決定圧力と、吹き出す際の流体の条件(主に温度、圧力等に左右される)によって決定される定数と、当該プラント部品に固有の公称降格吹出係数及び吹出し面積とを用いて公称吹出量を算出する。ここで、当該プラント部品固有の公称降格吹出係数は、当該プラント部品のサプライヤが試験値として固有に持っている値である。
【0129】
このようにして、詳細仕様計算を行うと、計算結果として得られた仕様が要求仕様を満たしているか否かを判定する(SD7)。この結果、要求仕様を満たしている場合には、型番選定可能と判定し(SD7:YES)、ステップSD12に移行する。一方、要求仕様を満たしていない場合には、型番毎に設定された類似型番に対して詳細仕様計算を行う。この詳細仕様計算は、候補となる類似型番が要求仕様を満たすまで、又は、全ての類似型番が要求仕様を満たさないと判定するまで、繰り返し行われる。そして、いずれかの類似型番が要求仕様を満たすと判定した場合には、ステップSD12に移行し、全ての類似型番が要求仕様を満たさないと判定した場合には、型番選定不可能と判定し(SD7:NO)、ステップSD8に移行する。
【0130】
例えば、上述した蒸気に用いる安全弁の場合、サプライヤ毎に異なる公称降格吹出係数及びサプライヤ及び型番毎に異なる吹出面積を用いて算出した公称吹出量と、必要吹出量とを比較する。すなわち、詳細仕様計算では、概略仕様計算の場合と異なり、公称降格吹出係数及び吹出面積としてサプライヤが有している固有の値を使用することにより、より正確な公称吹出量を算出する。この結果、公称吹出量が必要吹出量以上である場合には、要求仕様を満たしていると判定し、型番選定可能と判定する。一方、公称吹出量が必要吹出量未満である場合には、要求仕様を満たしていないと判定し、上述したように類似型番を対象とした判定に移行することとなる。
【0131】
ステップSD8では、サプライヤ問い合わせ画面を生成し、クライアント端末70に送信する。これにより、クライアント端末70には、サプライヤ問い合わせ画面が表示される(SD9)。
【0132】
ユーザはサプライヤへの問い合わせを希望する場合には、その旨の入力を行い、送信操作を行う。これにより、サプライヤ問い合わせを希望する情報が部品購入支援装置1に送信される(SD10)。部品購入支援装置1は、サプライヤ問い合わせを希望する旨をサプライヤ端末80に通知する(SD11)。サプライヤは、問い合わせ要求を受信すると、顧客に対して別途電話やメール等によりコンタクトを取り、プラント部品の選定に必要な情報等をユーザに提供する。これにより、ユーザは、サプライヤと速やかに連絡を取ることができ、必要な情報を入手することが可能となる。
【0133】
このようにして、要求仕様を満たすプラント部品の型番が選定されると(SD12)、次工程である見積作成工程に移行する。
【0134】
〔SA4:見積作成工程〕
図15は本実施形態に係る見積作成工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
図15に示すように、部品購入支援装置1は、プラント部品の型番が選定されると、選定された型番のプラント部品の仕様を改めて取得し(SE1)、更に、価格・納期データベース22から当該プラント部品の価格と納期とを取得する(SE2)。そして、取得した情報を用いて見積仕様書及び見積書を生成する(SE3)。具体的には、見積仕様書及び見積書を表示するための画面データを生成する。
【0135】
続いて、部品購入支援装置1は、オプションデータベース24から、プラント部品に関連付けられたオプション情報を取得し(SE4)、取得したオプション情報を用いてオプション画面の画面データを生成する(SE5)。そして生成した見積仕様書、見積書、オプション情報を表示するための画面データをクライアント端末70に送信する(SE6)。
【0136】
これにより、クライアント端末70には、見積仕様書等を表示するための見積結果表示画面(
図9参照)が表示される(SE7)。この見積結果表示画面において、ユーザにより、複数の候補部品の中から注文対象部品が選択され、更に、オプション画面を表示させるための入力部BT7が操作されると、オプション画面(
図10参照)が表示される。このオプション画面において、注文対象部品に関する1又は複数のオプション等が選択され、送信ボタンが操作されると、選択された注文対象部品の情報及びオプション情報が部品購入支援装置1に送信される(SE8)。部品購入支援装置1は、選択されたオプション情報を受信すると、このオプション情報に基づいて見積仕様書、見積書を更新し、更新した見積仕様書等をクライアント端末70に送信する(SE9)。部品購入支援装置1は、オプション情報がユーザによって選択される度に上記処理を行うことで、クライアント端末70には、最新のオプション情報が反映された見積結果表示画面(
図9参照)が表示されることとなる。
【0137】
続いて、ユーザが最新の見積仕様書、見積書、オプション情報を確認し、見積結果表示画面において、入力部(注文予約ボタン)BT5を操作すると、当該プラント部品の注文予約情報がクライアント端末70から部品購入支援装置1に送信される(SE10)。
部品購入支援装置1は、注文予約情報を受信すると、次工程である注文予約支援工程に移行する。
【0138】
〔SA5:注文予約支援工程〕
図16は本実施形態に係る注文予約支援工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
部品購入支援装置1は、注文予約情報を受け付けると、受け付けた注文予約情報を記録し(SF1)、続いて、注文予約情報をサプライヤ端末80に送信する(SF2)。サプライヤ端末80は、注文予約情報を受信すると、プラント部品の生産枠を確保する(SF3)。続いて、正式発注期限がサプライヤの担当者によって入力され、送信操作が行われると、正式発注期限の情報が部品購入支援装置1に送信される(SF4)。部品購入支援装置1は、正式発注期限の情報を受信すると、正式発注期限を通知する注文予約画面を生成し(SF5)、これをクライアント端末70に送信する(SF6)。これにより、部品購入支援装置1は、次工程である発注支援工程に移行する。
【0139】
図18は、注文予約画面の一例を示した図である。
図18に示すように、注文予約された各選定部品(商品1、商品2)に対して発注期限が表示されている。
図18では、発注期限として、納期保証期限、価格保証期限が表示されている。
【0140】
なお、上述した注文予約支援工程では、生産枠確保(SF3)の処理は省略してもよい。生産枠を確保するか否かにかかわらず、クライアント端末70には、注文予約を受け付けたプラント部品について、納期、価格を守るための標準的な正式発注期限(納期は典型的には当日中、価格は典型的には1か月以内、サプライヤが予め決める)が示された注文予約画面が表示される。この場合において、例えば、特に受注確度が高いとサプライヤが判断する商品については、サプライヤの担当者が生産枠を確保の上、発注期限を精査し、改めて納期、価格を守るための正式発注期限を設定し、ユーザに連絡し受注フォローすることとしてもよい。
【0141】
また、注文予約された状態で正式発注が行われずに、発注期限を過ぎてしまった商品については、サプライヤ側が掘り起こして改めてユーザに提案することとしてもよい。注文予約が受け付けられている商品、換言すると、買い物かごに入っている商品は、ユーザに購入意志があるものであるため、受注確度が高いと考えられる。したがって、サプライヤとしても手を割いてフォローする価値がある。
【0142】
〔SA6:発注支援工程〕
図17は本実施形態に係る発注支援工程の処理手順の一例を示したフローチャートである。
ユーザは、見積書等を確認し、正式な発注処理を行う前に、サプライヤとの交渉を希望する場合に、クライアント端末70から交渉要求の操作を行う。これにより、交渉要求が部品購入支援装置1に送信される(SG1)。
【0143】
部品購入支援装置1は、交渉要求を受信すると、交渉支援画面を生成し、クライアント端末70に送信する(SG2)。これにより、クライアント端末70には、交渉支援画面が表示される(SG3)。ユーザは、交渉内容を入力し、送信操作を行う。これにより、クライアント端末70から交渉内容が部品購入支援装置1に送信される(SG4)。部品購入支援装置1は、交渉内容をサプライヤ端末80に送信する(SG5)。サプライヤの担当者は、交渉内容を検討し、見積価格、見積納期に関する回答を入力して送信操作を行う。これにより、交渉回答が部品購入支援装置1に送信される(SG6)。
【0144】
部品購入支援装置1は、交渉回答を受信すると、回答に基づいて見積仕様書及び見積書を修正し、修正した見積仕様書及び見積書をクライアント端末70に送信する(SG7)。
これにより、クライアント端末70に交渉結果が反映された見積仕様書及び見積書が表示される。なお、ユーザとサプライヤとの交渉のやり取りは、何度か繰り返されてもよい。また、交渉が決裂した場合には、部品購入支援装置1において見積仕様書等の修正も行われないこととなる。
【0145】
ユーザは、修正された見積仕様書及び見積書を確認し、問題なければ正式発注の操作を行う。これにより、正式発注情報が部品購入支援装置1に送信される(SG8)。部品購入支援装置1は、正式発注情報をサプライヤ端末80に送信する(SG9)。これにより、サプライヤ側に発注情報が届くこととなり、次工程の納品支援工程に移行する。
【0146】
〔SA7:納品支援工程〕
納品支援工程では、部品購入支援装置1は、正式発注されたプラント部品の納品を支援する。また、部品購入支援装置1は、納品に関してユーザの問い合わせを受信した場合には、サプライヤ端末80に問合わせ情報を送信することにより、ユーザとサプライヤとの納品に関するやり取りを支援する。
【0147】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る部品購入支援装置1、部品購入支援方法、及び部品購入支援プログラムによれば、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させ、型番データベース21を参照して入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数のプラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末70に表示させる。そして、価格・納期データベース22から、ユーザによって選択された候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末70に表示させる。
【0148】
これにより、ユーザは、入力条件を入力するという簡単な操作を行うだけで、入力条件に適合するプラント部品が自動的に選定されて、そのうちの全て又は一部が候補部品として提示される。これにより、ユーザはこれらの候補部品の中から所望のものを選択することが可能となる。また、各候補部品に関して価格及び納期についても提示されるので、価格や納期を加味して、総合的に所望のプラント部品を容易に手配することが可能となる。これにより、条件入力からプラント部品の納品までの期間を効果的に短縮することが可能となる。
【0149】
図19は、従来におけるプラント部品の条件入力から発注までのタイムテーブルの例と、本実施形態に係る部品購入支援装置1を用いてプラント部品を手配する際の条件入力から発注までのタイムテーブルとを比較して示した図である。
図19に示すように、従来は、(1)大まかな仕様を決定してから、(2)過去に購入した類似実績の仕様確認、(3)購入仕様書の作成、(4)見積依頼を行うまでに、約1週間強の時間を要していた。例えば、安全弁であれば、取付部(例えば、圧力容器管台)の仕様や安全弁の要求仕様などに基づき購入仕様書を作成する必要があり、見積依頼を行うまでに検討の時間がかかる。
【0150】
また、サプライヤに見積依頼をしてからも、サプライヤにおいて(5)購入仕様書に沿った製品の選定、仕様検討、見積作成等の作業が発生することとなる。このため、見積回答を得るまでに、1週間~4週間程度要する場合がある。そして、見積回答が来てからも、(6)仕様の確認や計画のフィードバック、(7)納期調整を行う必要があり、その後、(8)発注となる。結局、概略仕様を決定してから発注を行うまでに、6週間~8週間程度要する場合がある。これは、サプライヤの見積担当者が複数の案件を並行して処理しているため、順番待ちが生じている事や、また、より確度の高い案件の問合せ対応等に注力することで作業が円滑に進まないことに起因することが典型的である。
【0151】
これに対し、本実施形態に係る部品購入支援装置1によれば、条件を入力すれば、自動的に設計条件等に適したプラント部品の型番が部品候補として提示される。また、部品候補の仕様データ、納期、価格等、発注に必要となる情報を全て確認することができることから、条件入力から発注までの期間は1週間程度となる。これにより、従来に比べて、例えば、約7週間程度期間を短縮することが可能となる。部品購入支援装置1により、人を介在する(例えば、ユーザとサプライヤの営業、サプライヤの営業とサプライヤの技術者、商社を介する場合は商社とサプライヤの営業など)際に発生する待ちの時間を最小化することで、上記の効果が得られるようになる。
【0152】
以上、本開示について実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0153】
例えば、
図11に示した一連の処理については、全てを実行する必要はなく、一部の処理を省略することが可能である。例えば、部品概略選定工程を省略し、条件入力支援工程で入力された入力条件に基づいて部品選定工程における部品の選定を行うこととしてもよい。
【0154】
以上説明した一実施形態に記載の部品購入支援装置1、部品購入支援方法、及び部品購入支援プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0155】
本開示の第1態様に係る部品購入支援装置(1)は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置(1)であって、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部(31)と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベース(21)から、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定部(34)と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベース(22)から、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末(70)に表示させる見積作成部(35)と、を備える。
【0156】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、ユーザは、入力条件を入力するという簡単な操作を行うだけで、入力条件に適合するプラント部品が自動的に選定されて、そのうちの全て又は一部が候補部品として提示される。これにより、ユーザはこれらの候補部品の中から所望のものを選択することが可能となる。また、各候補部品に関して価格及び納期についても提示されるので、価格や納期を加味して、総合的に所望のプラント部品を容易に手配することが可能となる。また、条件入力からプラント部品の納品までの期間を効果的に短縮することが可能となる。
【0157】
本開示の第2態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様において、前記条件入力支援部は、複数の前記入力条件のうち、前記ユーザによって入力されなかった入力条件を過去の蓄積データ又は予め設定されている初期値に基づいて仮入力する入力補助部(41)を有していてもよい。
【0158】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、条件入力に係るユーザの負担を軽減でき、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0159】
本開示の第3態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様又は第2態様において、前記型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格の過去の実績値が登録された価格・納期実績データベースから、選定した複数の前記プラント部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期に基づいて、候補部品として提示する前記プラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の情報を前記クライアント端末に送信する部品概略選定部(32)を更に備えていてもよい。
【0160】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、実績値(例えば、見積実績価格又は受注実績価格、見積実績納期又は受注実績納期)に基づいてユーザに提示する候補部品を選定する。これにより、部品購入支援装置に登録されている多くの部品点数の中から価格や納期の観点から優れたプラント部品の情報をユーザに提示することが可能となる。
【0161】
本開示の第4態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第3態様において、前記部品概略選定部(32)は、前記プラント部品のサプライヤに依存しない所定の計算式を用いて、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、前記部品選定部(34)は、前記部品概略選定部によって選定されたプラント部品のうち、ユーザによって選択された各前記プラント部品について、該プラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて前記入力条件に適合するか否かを判定することにより、前記プラント部品を選定することとしてもよい。
【0162】
例えば、プラント部品の選定を行う場合、サプライヤ毎に選定基準、計算式が異なっており、一度に各サプライヤの計算を実行しようとすると、計算量が膨大となり、仕様の検討や見積に時間を要する可能性がある。
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、部品概略選定部によってサプライヤに依らない所定の計算式(例えば、適用規格や一般的な計算式)を用いて概略計算を行い、入力条件に適合するプラント部品を選定する。そして、部品概略選定部によって選定されたプラント部品のうち、ユーザによって選択されたプラント部品に関し、部品選定部による詳細計算が行われる。具体的には、ユーザによって選択されたプラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて、当該プラント部品が入力条件に基づく要求仕様を満たしているか否かを判定し、この判定結果に基づいて部品を選定する。
このように、概算計算の結果をもとに、詳細計算に進むプラント部品の数を絞り込むことができるので、ユーザのニーズを汲みつつ計算量を最小限に抑えることが可能となる。これにより、処理時間を短縮することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0163】
本開示の第5態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第3態様又は第4態様において、前記部品概略選定部は、価格順、納期順、低エネルギー損失順、入力条件とプラント部品の仕様との適合度順、口コミ評価順、総合評価順に従って複数の前記候補部品が表示されるように前記クライアント端末に前記プラント部品の情報を送信することとしてもよい。
【0164】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、プラント部品を手配する上で重要な指標について、それぞれ優れたプラント部品を提示することが可能となる。これにより、ユーザの購入意欲を高めることができるとともに、部品選定に際して参考となる様々な情報を与えることができる。
【0165】
本開示の第6態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、ユーザによるプラント部品の選定を補助する部品選定補助部(33)を備え、部品選定補助部は、いずれかの前記候補部品の型番と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様データを前記型番データベースから取得し、各前記型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件を含む選定補助情報を前記クライアント端末に送信することとしてもよい。
【0166】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、各型番の特性と設計条件及び運転条件をユーザに提示することが可能となる。この結果、ユーザは設計条件をどの程度調整すれば、異なる型番を選定することができるのかを検討することができ、ユーザのニーズに合った型番を選定することが可能となる。更に、型番毎の価格や納期を見ながら、運転条件や設計条件を見直すことを可能にし、よりニーズに合った製品を選べるようになる。
【0167】
本開示の第7態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第6態様において、前記選定補助情報は、例えば、所定のパラメータを軸とする直交座標系に各前記型番の仕様に基づく特性が各型番と関連付けられて描かれ、更に、前記直交座標系には、前記運転条件及び前記設計条件が描かれた情報である。
【0168】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、各型番の特性と設計条件及び運転条件を視覚的にユーザに提示することが可能となる。この結果、ユーザは設計条件をどの程度調整すれば、異なる型番を選定することができるのかを直感的に認識することができ、ユーザのニーズに合った型番を選定することが可能となる。更に、型番毎の価格や納期を見ながら、運転条件や設計条件を見直すことを可能にし、よりニーズに合った製品を選べるようになる。
【0169】
本開示の第8態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第7態様において、前記設計条件は、ユーザによって変更可能に構成されており、前記ユーザによって前記設計条件が変更された場合に、変更後の前記設計条件に基づいて前記候補部品の選定が再度行われることとしてもよい。
【0170】
例えば、流体搬送系におけるエンジニアリングの初期段階では、許容できる運転条件や設計条件に幅があり、変更の余地があることが多い。一方、プラント部品を手配する段階では、サプライヤによる選定実施を容易にするため、また、サプライヤがユーザの要求に合わない製品を選定するのを防ぐために、具体的な運転条件や設計条件を設定し、サプライヤに提示することが多い。このように、本来は、許容できる運転条件や設計条件に幅がある場合でも、手配のプロセスの所要時間や手戻りを小さくするために条件の幅を意図的に絞らざるを得なかった。このため、特に価格的、納期的に、より有利な製品を選択する余地がある場合でも、その余地に気付かないまま、プラント部品を手配している場合がある。
これに対し、本態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、設計条件がユーザによって変更可能に構成されているので、ユーザは直交座標系に表示された設計条件を所望の座標に移動させるという容易な操作によって設計条件を変更することができる。更に、設計条件が変更された場合には、変更後の設計条件に基づく候補部品の選定が再度行われる。このように変更後の設計条件に基づく候補部品の選定が自動で行われるので、ユーザはプラント部品の手配のプロセスの所要時間や手戻りを気にすることなく、複数の設計条件に対する候補部品の情報を得ることができ、部品選定の幅を広げることが可能となる。
【0171】
本開示の第9態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様から第8態様のいずれかにおいて、前記部品選定部は、前記入力条件がプラント部品の型番を選定するために必要とされる必要条件を満たしているか否かを判定する必要条件判定部(43)と、必要条件を満たしていないと判定した場合に、ユーザによるサプライヤへの問い合わせを支援する問い合わせ支援部(44)とを備えていてもよい。
【0172】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、入力条件が不足している場合に、サプライヤの協力を得ることで、ユーザのニーズに合致するプラント部品を手配することが可能となる。これにより、部品購入支援装置を起点に手配できる製品の幅が広がり、利便性を向上させることが可能となる。
【0173】
本開示の第10態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様から第9態様のいずれかにおいて、前記見積作成部は、ユーザによって選択された前記候補部品のオプション情報を前記クライアント端末に表示させるオプション作成部(45)を備えていてもよい。
【0174】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、オプション情報をユーザに提示することにより、ユーザは予備品などの同時購入ができ、ユーザの利便性が向上する。また、予備品や各種サービス等をユーザに提供することにより、サプライヤにとっても受注の機会を高めることができ、売り上げ増加が期待できる。
【0175】
本開示の第11態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様から第10態様のいずれかにおいて、前記プラント部品の注文予約が前記クライアント端末から要求された場合に、注文予約に関する情報をサプライヤ端末(80)に送信する注文予約支援部(36)を備えていてもよい。
【0176】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、一定期間において、提示した見積価格及び納期の維持を保証することが可能となる。
【0177】
本開示の第12態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様から第11態様のいずれかにおいて、前記プラント部品の発注に関し、前記ユーザと前記プラント部品のサプライヤとの交渉を支援する交渉支援部(46)を備えていてもよい。
【0178】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、通常の調達プロセスと同様に価格や納期の交渉をサプライヤ側と行うことができ、ユーザの利便性を高めることができる。
【0179】
本開示の第13態様に係る部品購入支援装置(1)は、上記第1態様から第12態様のいずれかにおいて、前記プラント部品の発注が前記クライアント端末から要求された場合に、発注を受けた前記プラント部品の納品に関する情報をサプライヤから取得し、取得した前記プラント部品の納品に関する情報を前記クライアント端末に提供する納品支援部(38)を備えていてもよい。
【0180】
上記態様に係る部品購入支援装置(1)によれば、ユーザとサプライヤともに負担であった納品に関する都度調整を容易に行うことが可能となる。
【0181】
本開示の第14態様に係る部品購入支援方法は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、コンピュータが、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させ、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させ、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる。
【0182】
本開示の第15態様に係る部品購入支援プログラムは、コンピュータを上記第1態様から第13態様のいずれかに記載の部品購入支援装置として機能させるための部品購入支援プログラムである。
【符号の説明】
【0183】
1 :部品購入支援装置
11 :CPU
12 :補助記憶装置
13 :メインメモリ
14 :通信デバイス
15 :入力部
16 :表示部
18 :バス
22 :価格・納期データベース
23 :価格・納期実績データベース
24 :オプションデータベース
31 :条件入力支援部
32 :部品概略選定部
33 :部品選定補助部
34 :部品選定部
35 :見積作成部
36 :注文予約支援部
37 :発注支援部
38 :納品支援部
41 :入力補助部
42 :自動入力部
43 :必要条件判定部
44 :問い合わせ支援部
45 :オプション作成部
46 :交渉支援部
70 :クライアント端末
80 :サプライヤ端末
【手続補正書】
【提出日】2023-05-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置であって、
購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部と、
プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、プラント部品のサプライヤに依らない所定の計算式を用いて、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した前記プラント部品を候補部品としてクライアント端末に送信する部品概略選定部と、
前記候補部品のうち、ユーザによって選択された前記プラント部品について、該プラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて前記入力条件に適合するか否かを判定することにより、前記プラント部品を選定する部品選定部と、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、前記部品選定部によって選定された前記プラント部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期を前記クライアント端末に表示させる見積作成部と、
を備える部品購入支援装置。
【請求項2】
前記条件入力支援部は、複数の前記入力条件のうち、前記ユーザによって入力されなかった入力条件を過去の蓄積データ又は予め設定されている初期値に基づいて仮入力する入力補助部を有する請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項3】
前記部品概略選定部は、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格の過去の実績値が登録された価格・納期実績データベースから、前記入力条件に適合する複数の前記プラント部品の価格及び納期を取得し、
取得した価格及び納期に基づいて、前記候補部品として提示する複数の前記プラント部品を選定し、
選定した前記候補部品の情報を前記クライアント端末に送信する請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項4】
前記部品概略選定部は、価格順、納期順、低エネルギー損失順、入力条件とプラント部品の仕様との適合度順、口コミ評価順、総合評価順に従って複数の前記候補部品が表示されるように前記クライアント端末に前記プラント部品の情報を送信する請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項5】
プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置であって、
購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部と、
プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定部と、
ユーザによるプラント部品の選定を補助する部品選定補助部と、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる見積作成部と
を備え、
前記部品選定補助部は、いずれかの前記候補部品の型番と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様データを前記型番データベースから取得し、各前記型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件を含む選定補助情報を前記クライアント端末に送信する部品購入支援装置。
【請求項6】
前記選定補助情報は、所定のパラメータを軸とする直交座標系に各前記型番の仕様に基づく特性が各型番と関連付けられて描かれ、更に、前記直交座標系には、前記運転条件及び前記設計条件が描かれた情報である請求項5に記載の部品購入支援装置。
【請求項7】
前記設計条件は、ユーザによって変更可能に構成されており、
前記ユーザによって前記設計条件が変更された場合に、変更後の前記設計条件に基づいて前記候補部品の選定が再度行われる請求項6に記載の部品購入支援装置。
【請求項8】
前記部品選定部は、
前記入力条件がプラント部品の型番を選定するために必要とされる必要条件を満たしているか否かを判定する必要条件判定部と、
必要条件を満たしていないと判定した場合に、ユーザによるサプライヤへの問い合わせを支援する問い合わせ支援部と、
を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項9】
前記見積作成部は、ユーザによって選択された前記候補部品のオプション情報を前記クライアント端末に表示させるオプション作成部を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項10】
前記プラント部品の注文予約が前記クライアント端末から要求された場合に、注文予約に関する情報をサプライヤ端末に送信する注文予約支援部を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項11】
前記プラント部品の発注に関し、前記ユーザと前記プラント部品のサプライヤとの交渉を支援する交渉支援部を有する請求項1記載の部品購入支援装置。
【請求項12】
前記プラント部品の発注が前記クライアント端末から要求された場合に、発注を受けた前記プラント部品の納品に関する情報をサプライヤから取得し、取得した前記プラント部品の納品に関する情報を前記クライアント端末に提供する納品支援部を備える請求項1に記載の部品購入支援装置。
【請求項13】
プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、
コンピュータが、
購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援工程と、
プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、プラント部品のサプライヤに依らない所定の計算式を用いて、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した前記プラント部品を候補部品としてクライアント端末に送信する部品概略選定工程と、
前記候補部品のうち、ユーザによって選択された前記プラント部品について、該プラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて前記入力条件に適合するか否かを判定することにより、前記プラント部品を選定する部品選定工程と、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、前記部品選定工程において選定した前記プラント部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期を前記クライアント端末に表示させる見積作成工程と、
を実行する部品購入支援方法。
【請求項14】
プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、
コンピュータが、
購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援工程と、
プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定工程と、
ユーザによるプラント部品の選定を補助する部品選定補助工程と、
サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期を前記クライアント端末に表示させる見積作成工程と
を実行し、
前記部品選定補助工程は、いずれかの前記候補部品の型番と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様データを前記型番データベースから取得し、各前記型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件を含む選定補助情報を前記クライアント端末に送信することを含む部品購入支援方法。
【請求項15】
コンピュータを請求項1から12のいずれかに記載の部品購入支援装置として機能させるための部品購入支援プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示の一態様に係る部品購入支援装置は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置であって、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、プラント部品のサプライヤに依らない所定の計算式を用いて、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した前記プラント部品を候補部品としてクライアント端末に送信する部品概略選定部と、前記候補部品のうち、ユーザによって選択された前記プラント部品について、該プラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて前記入力条件に適合するか否かを判定することにより、前記プラント部品を選定する部品選定部と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、前記部品選定部によって選定された前記プラント部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期を前記クライアント端末に表示させる見積作成部と、を備える。
本開示の一態様に係る部品購入支援装置は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援装置であって、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援部と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定部と、ユーザによるプラント部品の選定を補助する部品選定補助部と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期をクライアント端末に表示させる見積作成部とを備え、前記部品選定補助部は、いずれかの前記候補部品の型番と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様データを前記型番データベースから取得し、各前記型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件を含む選定補助情報を前記クライアント端末に送信する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の一態様に係る部品購入支援方法は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、コンピュータが、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援工程と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、プラント部品のサプライヤに依らない所定の計算式を用いて、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した前記プラント部品を候補部品としてクライアント端末に送信する部品概略選定工程と、前記候補部品のうち、ユーザによって選択された前記プラント部品について、該プラント部品のサプライヤが設定している計算式を用いて前記入力条件に適合するか否かを判定することにより、前記プラント部品を選定する部品選定工程と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、前記部品選定工程において選定した前記プラント部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期を前記クライアント端末に表示させる見積作成工程と、を実行する。
本開示の一態様に係る部品購入支援方法は、プラント部品の購入を支援する部品購入支援方法であって、コンピュータが、購入を希望する部品名、流体の種類、設計温度、設計圧力、運転温度、及び運転圧力の少なくともいずれか1つを入力条件としてユーザに入力させる条件入力支援工程と、プラント部品の型番と仕様データとが関連付けられた型番データベースから、前記入力条件に適合するプラント部品を選定し、選定した複数の前記プラント部品の全部又は一部を候補部品としてクライアント端末に表示させる部品選定工程と、ユーザによるプラント部品の選定を補助する部品選定補助工程と、サプライヤ毎に、プラント部品の納期及び価格が登録された価格・納期データベースから、ユーザによって選択された前記候補部品の価格及び納期を取得し、取得した価格及び納期を前記クライアント端末に表示させる見積作成工程とを実行し、前記部品選定補助工程は、いずれかの前記候補部品の型番と仕様が近い同一サプライヤの型番の仕様データを前記型番データベースから取得し、各前記型番に関連付けられた価格及び納期の情報、並びに、運転条件及び設計条件を含む選定補助情報を前記クライアント端末に送信することを含む。