(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052056
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車両検出装置、車両検出方法および車両検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/015 20060101AFI20240404BHJP
G08G 1/052 20060101ALI20240404BHJP
G08G 1/04 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G08G1/015 A
G08G1/052
G08G1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158499
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 公之
(72)【発明者】
【氏名】北山 大樹
(72)【発明者】
【氏名】久山 敏史
(72)【発明者】
【氏名】井澤 裕皓
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE07
(57)【要約】
【課題】車両状況の検出精度を高めることができる車両検出装置、車両検出方法および車両検出プログラムを提案すること。
【解決手段】車両検出装置は、第1検出部と、第2検出部と、特定部とを備える。第1検出部は、道路における幅方向に光を照射することで、光の照射位置を通過する車両を検出する。第2検出部は、第1検出部の照射位置を含む検知範囲であって、照射位置に対して少なくとも下流行方向の領域を含む検知範囲に電波を照射することで、検知範囲に存在する車両を検出する。特定部は、第1検出部および第2検出部の検出結果に基づいて、道路に存在する車両を特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路における幅方向に光を照射することで、前記光の照射位置を通過する車両を検出する第1検出部と、
前記第1検出部の前記照射位置を含む検知範囲であって、前記照射位置に対して少なくとも走行方向の下流領域を含む検知範囲に電波を照射することで、前記検知範囲に存在する車両を検出する第2検出部と、
前記第1検出部および前記第2検出部の検出結果に基づいて、前記道路に存在する車両を特定する特定部と
を備える車両検出装置。
【請求項2】
前記第1検出部は、
前記道路における幅方向にレーザーを走査することで、前記レーザーの走査位置を通過する車両を検出する
請求項1に記載の車両検出装置。
【請求項3】
前記特定部は、
前記第1検出部によって検出された車両と、前記第2検出部によって検出された車両とが同一であるか否かを判定する
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項4】
前記特定部は、
前記第1検出部の検出開始時刻と、前記第2検出部の検出開始時刻とが最も近い車両を同一車両であると判定する
請求項3に記載の車両検出装置。
【請求項5】
前記特定部は、
前記第1検出部で検出された幅方向の位置と、前記第2検出部で検出された幅方向の位置とが最も近い車両を同一車両であると判定する
請求項4に記載の車両検出装置。
【請求項6】
前記特定部によって特定された車両における前記第1検出部の検出結果と、前記第2検出部の検出結果とを統合した統合情報を生成する生成部と、
生成した前記統合情報を車両関連情報として出力する出力部とをさらに備える
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項7】
前記生成部は、
前記第1検出部の検出時間中である場合には、前記第1検出部で検出される情報を、前記第2検出部で検出される情報よりも優先した前記統合情報を生成する
請求項6に記載の車両検出装置。
【請求項8】
前記第1検出部は、
検出した前記車両が前記照射位置の通過に要した通過時間を検出し、
前記第2検出部は、
該車両が前記照射位置を通過する際の走行速度を検出し、
前記生成部は、
前記第1検出部が検出した前記通過時間と、前記第2検出部が検出した前記走行速度とに基づいて、前記車両の全長を推定する
請求項7に記載の車両検出装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記第1検出部の前記通過時間を含む検出結果と、前記第2検出部が検出した前記走行速度とに基づいて前記車両の種類を推定し、推定した前記車両の種類に基づいて前記車両の諸元情報を推定する
請求項8に記載の車両検出装置。
【請求項10】
前記第1検出部は、
前記照射位置が前記道路の走行方向に沿って所定の間隔となるように複数設けられる
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項11】
前記第2検出部は、
同一の前記検知範囲に対して、前記道路の上流から下流へ向かう方向へ電波を照射する第2検出部と、前記道路の下流から上流へ向かう方向へ電波を照射する第2検出部とを含む
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項12】
前記第1検出部は、
検出した前記車両の外観形状を検出し、
前記第2検出部は、
検出した前記車両の前記検知範囲における位置を検出するとともに、検出した前記位置を前記外観形状に基づいて補正する
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項13】
前記第1検出部は、
検出した前記車両の種別を検出し、
前記第2検出部は、
検出した前記車両の前記検知範囲における位置を検出するとともに、検出した前記位置を前記種別に基づいて補正する
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項14】
前記第2検出部は、
検出した前記車両の前記検知範囲における位置を検出するとともに、検出した前記位置を前記第2検出部の設置位置に基づいて補正する
請求項1または請求項2に記載の車両検出装置。
【請求項15】
車両検出装置が実行する車両検出方法であって、
道路における幅方向に光を照射することで、前記光の照射位置を通過する車両を検出する第1検出工程と、
前記第1検出工程の前記照射位置を含む検知範囲であって、前記照射位置に対して少なくとも走行方向の下流領域を含む検知範囲に電波を照射することで、前記検知範囲に存在する車両を検出する第2検出工程と、
前記第1検出工程および前記第2検出工程の検出結果に基づいて、前記道路に存在する車両を特定する特定工程と
を含む車両検出方法。
【請求項16】
道路における幅方向に光を照射することで、前記光の照射位置を通過する車両を検出する第1検出手順と、
前記第1検出手順の前記照射位置を含む検知範囲であって、前記照射位置に対して少なくとも走行方向の下流領域を含む検知範囲に電波を照射することで、前記検知範囲に存在する車両を検出する第2検出手順と、
前記第1検出手順および前記第2検出手順の検出結果に基づいて、前記道路に存在する車両を特定する特定手順と
をコンピュータに実行させる車両検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両検出装置、車両検出方法および車両検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクセル・ブレーキ操作やハンドル操作といった運転者が行う運転操作の一部または全部を自動化した自動運転車の開発が急速に進んでいる。この自動運転車の開発に関して、例えば、高速道路の合流地点において自動運転車が本線へ適切に合流するために、本線を走行している他車両の状況を正確に検出して自動運転車へ通知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、車両状況の検出精度をより高める点で更なる改善の余地があった。
【0005】
そこで、本開示では、車両状況の検出精度を高めることができる車両検出装置、車両検出方法および車両検出プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示に係る車両検出装置は、第1検出部と、第2検出部と、特定部とを備える。前記第1検出部は、道路における幅方向に光を照射することで、前記光の照射位置を通過する車両を検出する。前記第2検出部は、前記第1検出部の前記照射位置を含む検知範囲であって、前記照射位置に対して少なくとも下流行方向の領域を含む検知範囲に電波を照射することで、前記検知範囲に存在する車両を検出する。前記特定部は、前記第1検出部および前記第2検出部の検出結果に基づいて、前記道路に存在する車両を特定する。
【0007】
これにより、車両検出装置は、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0008】
また、本開示に係る前記第1検出部は、前記道路における幅方向にレーザーを走査することで、前記レーザーの走査位置を通過する車両を検出する。
【0009】
これにより、車両検出装置は、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0010】
また、本開示に係る前記特定部は、前記第1検出部によって検出された車両と、前記第2検出部によって検出された車両とが同一であるか否かを判定する。
【0011】
これにより、車両検出装置は、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0012】
また、本開示に係る前記特定部は、前記第1検出部の検出開始時刻と、前記第2検出部の検出開始時刻とが最も近い車両を同一車両であると判定する。
【0013】
これにより、車両検出装置は、同一車両の判定精度を高めることができる。
【0014】
また、本開示に係る前記特定部は、前記第1検出部で検出された幅方向の位置と、前記第2検出部で検出された幅方向の位置とが最も近い車両を同一車両であると判定する。
【0015】
これにより、車両検出装置は、同一車両の判定精度を高めることができる。
【0016】
また、本開示に係る車両検出装置は、生成部と、出力部とを備える。前記生成部は、前記特定部によって特定された車両における前記第1検出部の検出結果と、前記第2検出部の検出結果とを統合した統合情報を生成する。前記出力部は、生成した前記統合情報を車両関連情報として出力する。
【0017】
これにより、車両検出装置は、高精度な車両関連情報を出力することができる。
【0018】
また、本開示に係る前記生成部は、前記第1検出部の検出時間中である場合には、前記第1検出部で検出される情報を、前記第2検出部で検出される情報よりも優先した前記統合情報を生成する。
【0019】
これにより、車両検出装置は、高精度な車両関連情報を出力することができる。
【0020】
また、本開示に係る前記第1検出部は、検出した前記車両が前記照射位置の通過に要した通過時間を検出する。前記第2検出部は、該車両が前記照射位置を通過する際の走行速度を検出する。前記生成部は、前記第1検出部が検出した前記通過時間と、前記第2検出部が検出した前記走行速度とに基づいて、前記車両の全長を推定する。
【0021】
これにより、車両検出装置は、車両の全長を高精度に検出することができる。
【0022】
また、本開示に係る前記生成部は、前記第1検出部の前記通過時間を含む検出結果と、前記第2検出部が検出した前記走行速度とに基づいて前記車両の種類を推定し、推定した前記車両の種類に基づいて前記車両の諸元情報を推定する。
【0023】
これにより、車両検出装置は、車両の諸元情報を高精度に検出することができる。
【0024】
また、本開示に係る前記第1検出部は、前記走査位置が前記道路の走行方向に沿って所定の間隔となるように複数設けられる。
【0025】
これにより、車両検出装置は、車両が並行して走行する場合であって、車両状況を高精度に検出することができる。
【0026】
また、本開示に係る前記第2検出部は、同一の前記検知範囲に対して、前記道路の上流から下流へ向かう方向へ電波を照射する第2検出部と、前記道路の下流から上流へ向かう方向へ電波を照射する第2検出部とを含む。
【0027】
これにより、車両検出装置は、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0028】
また、本開示に係る前記第1検出部は、検出した前記車両の外観形状を検出する。前記第2検出部は、検出した前記車両の前記検知範囲における位置を検出するとともに、検出した前記位置を前記外観形状に基づいて補正する。
【0029】
これにより、車両検出装置は、車両の位置を高精度に検出することができる。
【0030】
また、本開示に係る前記第1検出部は、検出した前記車両の種別を検出する。前記第2検出部は、検出した前記車両の前記検知範囲における位置を検出するとともに、検出した前記位置を前記種別に基づいて補正する。
【0031】
これにより、車両検出装置は、車両の位置を高精度に検出することができる。
【0032】
また、本開示に係る前記第2検出部は、検出した前記車両の前記検知範囲における位置を検出するとともに、検出した前記位置を前記第2検出部の設置位置に基づいて補正する。
【0033】
これにより、車両検出装置は、車両の位置を高精度に検出することができる。
【0034】
また、本開示に係る車両検出方法は、車両検出装置が実行する車両検出方法であって、第1検出工程と、第2検出工程と、特定工程とを含む。前記第1検出工程は、道路における幅方向に光を照射することで、前記光の照射位置を通過する車両を検出する。前記第2検出工程は、前記第1検出工程の前記照射位置を含む検知範囲であって、前記照射位置位置に対して少なくとも走行方向の下流領域を含む検知範囲に電波を照射することで、前記検知範囲に存在する車両を検出する。前記特定工程は、前記第1検出工程および前記第2検出工程の検出結果に基づいて、前記道路に存在する車両を特定する。
【0035】
これにより、車両検出方法は、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0036】
また、本開示に係る車両検出プログラムは、第1検出手順と、第2検出手順と、特定手順とをコンピュータに実行させる。前記第1検出手順は、道路における幅方向に光を照射することで、前記光の照射位置を通過する車両を検出する。前記第2検出手順は、前記第1検出手順の前記照射位置を含む検知範囲であって、前記照射位置に対して少なくとも走行方向の下流領域を含む検知範囲に電波を照射することで、前記検知範囲に存在する車両を検出する。前記特定手順は、前記第1検出手順および前記第2検出手順の検出結果に基づいて、前記道路に存在する車両を特定する。
【0037】
これにより、車両検出プログラムは、車両状況の検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】実施形態に係る合流支援システムの概要構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係る車両検出装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】実施形態に係る車両検出装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】変形例に係る合流支援システムの構成例を示す図である。
【
図6】変形例に係る合流支援システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0040】
まず、
図1を用いて、実施形態に係る車両検出装置を含む合流支援システムについて説明する。
図1は、実施形態に係る合流支援システムSの概要構成を示す図である。
図1に示す合流支援システムSは、高速道路の出入口やジャンクション等といった合流地点において、自動運転車両200が合流車線から本線へ合流する場合に、本線の車両状況を検出して自動運転車両200へ通知することで適切に合流できるよう支援するものである。
図1に示すように、合流支援システムSは、車両検出装置1と、通信装置100とを含む。
【0041】
車両検出装置1は、実施形態に係る車両検出方法を実行することで、道路(本線)を走行している車両を検出する。
図1に示すように、車両検出装置1は、第1検出部10と、第2検出部20a,20b(第2検出部20と総称する場合がある)とを備える。
【0042】
第1検出部10は、例えば、2次元レーザースキャナーであり、道路における幅方向にレーザーを走査することで、走査位置R10を通過する車両を検出する。
図1に示す例では、第1検出部10は、道路の側方に設けられた路側物(ポール)の上方に設置され、道路の側方から道路の幅方向の全体(2車線含む。また、車線は3車線以上であってもよい。)に亘ってレーザーを走査する。第1検出部10は、車両が走査位置R10を通過した場合、かかる走査位置R10における幅方向の位置(車線位置)や、車幅、車高等を検出する。
【0043】
なお、第1検出部10は、2次元レーザースキャナーに限らず、光学センサであってもよい。光学センサとして構成される第1検出部10は、道路の幅方向における両端に投光器および受光器を配置する。そして、第1検出部10は、投光器が受光器に向けて光を照射し、光の照射位置を通過する車両を検出する。
【0044】
第2検出部20は、ミリ波等のレーダ装置であり、予め定められた検知範囲R20a,R20b(検知範囲R20と総称する場合がある)に電波を照射することで、検知範囲R20に存在する車両を検出する。具体的には、検知範囲R20は、第1検出部10の走査位置R10を含み、走査位置R10に対して少なくとも下流方向の領域を含む範囲が設定される。なお、
図1では、検知範囲R20は、走査位置R10に対して下流方向の領域のみの場合を例に示したが、走査位置R10に対して上流方向の領域をさらに含んでもよい。
【0045】
また、
図1に示す検知範囲R20は、2つの第2検出部20a,20bそれぞれの検知範囲R20a,R20bを合算した範囲である。具体的には、第2検出部20aは、検知範囲R20aの下流に設けられた路側物に配置され、下流から検知範囲R20aへ向けて電波を照射することで車両を検出する。また、第2検出部20bは、検知範囲R20bの下流に設けられた路側物に配置され、下流から検知範囲R20bへ向けて電波を照射することで車両を検出する。
【0046】
第2検出部20は、検知範囲R20に存在する車両の幅方向の位置、走行方向の位置、車速、車幅、車高等を検出する。
【0047】
車両検出装置1は、第1検出部10および第2検出部20の検出結果に基づいて、道路(本線)に存在する車両を特定する。具体的には、車両検出装置1は、第1検出部10の検出結果と、第2検出部20の検出結果とを統合した統合情報を生成し、車両関連情報として通信装置100へ通知する。車両関連情報の検出および通知は、一定間隔(例えば、100msec)で行われる。
【0048】
例えば、車両検出装置1は、第1検出部10の検出結果である幅方向の位置(車線位置)や、車幅、車高と、第2検出部20の検出結果である車両の幅方向の位置、走行方向の位置、車速、車幅、車高とを統合する。また、第1検出部10で検出できる情報(幅方向の位置や、車幅、車高)は、第2検出部20で検出できる同情報よりもセンサ特性上、精度が高いため、統合の際には、第1検出部10の情報を優先するようにする。なお、統合情報の生成方法の詳細については後述する。
【0049】
また、車両検出装置1は、
図1に示すように、複数の第2検出部20a,20bを備える場合、複数の第2検出部20a,20bの検出結果を統合する。具体的には、車両検出装置1は、複数の第2検出部20a,20bそれそれで検出した各検出結果(車両の幅方向の位置、車速、車幅、車高)を統合する。
【0050】
通信装置100は、車両検出装置1から車両関連情報を取得し、合流車線を走行する自動運転車両200へ車両関連情報を送信する。具体的には、通信装置100は、合流車線において通信装置100の通信範囲に位置する自動運転車両200と通信を確立し、通信が確立した自動運転車両200に対して車両関連情報を送信する。
【0051】
自動運転車両200は、通信装置100からの車両関連情報に基づいて加減速、およびステアリングを自動制御しながら、合流車線から本線へ適切に合流する。具体的には、自動運転車両200は、車両関連情報に基づいて、合流位置(どの車両の間に割り込むか)や、合流タイミング(例えば、何秒後)、合流時の車両状態(車速)を決定する。
【0052】
このように、実施形態に係る車両検出方法によれば、2次元レーザースキャナーと、レーダ装置とを組み合わせることで、レーダ装置単独では精度を高めにくい車両関連情報(幅方向の位置や、車幅、車高)を2次元レーザースキャナーが検出して補うことができる。すなわち、実施形態に係る車両検出方法によれば、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0053】
この結果、合流支援システムSにおいて、自動運転車両200が本線に合流する場合に、適切に精度よく合流を行うことができる。
【0054】
次に、
図2を用いて、実施形態に係る車両検出装置1の構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る車両検出装置1の構成例を示す機能ブロック図である。なお、
図2のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0055】
換言すれば、
図2のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0056】
図2に示すように、車両検出装置1は、制御部3と、記憶部4と、第1検出部10と、第2検出部20とを備える。制御部3は、取得部31と、特定部32と、生成部33と、出力部34とを有する。記憶部4は、車両関連情報41を記憶する。
【0057】
ここで、車両検出装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0058】
コンピュータのCPUは、例えば、ROMに記憶された受信プログラムを読み出して実行することによって、制御部3の取得部31、特定部32、生成部33および出力部34として機能する。
【0059】
また、制御部3の取得部31、特定部32、生成部33および出力部34の少なくともいずれか一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0060】
また、記憶部4は、例えば、半導体素子メモリや、ハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。かかる記憶部4には、車両関連情報41や、各種プログラム等といった制御部3の処理に必要な各種情報が記憶される。
【0061】
次に、
図3を用いて、記憶部4に記憶される車両関連情報41について説明する。
図3は、車両関連情報41の一例を示す図である。車両関連情報41は、道路(本線)に存在する車両に関する情報であり、後述する生成部33によって生成される。
【0062】
図3に示すように、車両関連情報41は、「車両ID」と、「検出時刻」と、「位置情報」と、「車両関連情報」とを含む。「車両ID」は、車両を識別する識別情報である。「検出時刻」は、第1検出部10および第2検出部20が車両を検出した時刻を示す情報である。「位置情報」は、第1検出部10および第2検出部20が検出した車両の道路における位置を示す情報である。
図3に示す例では、位置情報は、道路を上方から平面としてみた場合のX座標(幅方向の位置)と、Y座標(走行方向の位置)で示している。なお、X座標に代えて、走行している車線(走行車線か追越車線か、第1車線か第2車線か等)で示してもよく、Y座標に代えて、所定地点(合流地点等)までの距離で示してもよい。「車両関連情報」は、第1検出部10および第2検出部20が検出した車両に関する情報であり、車両固有情報と、車両状態情報とを含む。車両固有情報は、車両固有の情報(時間経過により変化しない情報)であり、例えば、車幅、車高、車種等といった諸元情報を含む。車両状態情報は、車両の現在の状態を示す情報(時間経過により変化する情報)であり、例えば、車速等を含む。
【0063】
なお、車両関連情報41は、第1検出部10および第2検出部20によって検出されなくなった場合(合流地点を過ぎた場合)には、該当車両の情報が車両関連情報41から削除される。
【0064】
次に、
図2に戻って、制御部3の各機能(取得部31、特定部32、生成部33および出力部34)について詳細に説明する。
【0065】
取得部31は、各種情報を取得する。具体的には、取得部31は、第1検出部10および第2検出部20それぞれの検出結果を取得する。具体的には、取得部31は、第1検出部10および第2検出部20が検出した車両毎に、検出時間が紐づいた車両関連情報を取得する。検出時間とは、検出開始時刻と検出終了時刻とを含む情報である。第1検出部10では、検出開始時刻が、車両の先端が走査位置R10に到達した時刻であり、検出終了時刻が、車両の後端が走査位置R10に到達した時刻である。すなわち、検出時間とは、車両が走査位置R10の通過に要した通過時間である。第2検出部20では、車両の先端が検知範囲R20に到達した時刻であり、検出終了時刻が、車両の後端が検知範囲R20に到達した時刻である。
【0066】
また、取得部31は、検出結果として、検出した車両の外観形状の情報を第1検出部10から取得してもよい。具体的には、第1検出部10は、通過時間内における複数回の検出結果(車両を幅方向に切断した切断面)を時系列に並べて繋げることで、車両の外観形状を検出する。なお、第1検出部10は、外観形状を、第2検出部20が検出した車速に基づいて補正してもよい。具体的には、第1検出部10は、車速に応じた間隔で上記複数回の検出結果を並べて繋げることで外観形状を補正する。
【0067】
また、取得部31は、第1検出部10が検出した外観形状に基づいて、検知範囲における車両の位置を補正した情報を取得してもよい。具体的には、第2検出部20は、検出した車両の検知範囲における位置を検出するとともに、検出した位置を外観形状に基づいて補正する。より具体的には、第2検出部20は、1台の車両から得られる複数の物標点を統合した代表点の位置を車両の位置として検出するが、かかる代表点を算出する際に、外観形状を加味する。例えば、第2検出部20は、複数の物標点の外観形状における位置を特定し、外観形状における位置を特定した複数の物標点に基づいて、外観形状における所定位置(例えば、先端や、中央等)が代表点となるように補正する。
【0068】
また、第2検出部20は、第1検出部10が検出する車両の種別に基づいて、検知範囲における車両の位置を補正してもよい。例えば、第1検出部10は、上記した外観形状に基づいて、車両のカテゴリ(2輪車、軽自動車、普通自動車、トラック等)と、車種とを含む車両の種別を検出する。そして、第2検出部20は、第1検出部10が検出した車両の種別に基づいて外観形状を推定し、推定した外観形状に基づいて車両の位置を補正する。
【0069】
また、第2検出部20は、検知範囲における車両の位置と、第2検出部20の設置位置との位置関係に基づいて、検知範囲における車両の位置を補正してもよい。具体的には、第2検出部20は、上記位置関係に基づいて、複数の物標点の位置が車両の外観のどの位置(先端、側面、後端等)であるかを推定し、位置を推定した複数の物標点に基づいて、車両における所定位置(例えば、先端や、中央等)が代表点となるように補正する。
【0070】
特定部32は、取得部31が取得した第1検出部10および第2検出部20の検出結果に基づいて、道路に存在する車両を特定する。具体的には、特定部32は、第1検出部10で検出した車両毎の検出結果と、第2検出部20で検出した車両毎の検出結果とにより同一車両判定を行う。
【0071】
具体的には、特定部32は、第1検出部10の検出開始時刻と、第2検出部20の検出開始時刻とが最も近い車両を同一車両と判定する。また、特定部32は、幅方向の位置(車線位置)の情報を参照して同一車両判定を行ってもよい。つまり、特定部32は、第1検出部10の検出開始時刻と、第2検出部20の検出開始時刻とが最も近く、かつ、第1検出部10が検出した幅方向の位置と、第2検出部20が検出した幅方向の位置とが最も近い車両を同一車両と判定する。これにより、複数車線において複数の車両が並行して走行している場合であっても、同一車両判定を高精度に行うことができる。
【0072】
生成部33は、特定部32によって特定された車両について、第1検出部10の検出結果と、第2検出部20の検出結果とを統合した統合情報を生成する。具体的には、生成部33は、第1検出部10の検出結果である車両の幅方向の位置、車幅および車高と、第2検出部20の検出結果である車両の幅方向の位置、走行方向の位置、車速、車幅および車高とを統合する。生成部33は、生成した統合情報を車両関連情報41として記憶部4に記憶する。
【0073】
なお、生成部33は、第1検出部10の検出時間中(検出開始時刻と検出終了時刻との間)である場合には、第1検出部10で検出できる情報(幅方向の位置や、車幅、車高)を、第2検出部20で検出できる同情報よりも優先して統合するようにする。例えば、生成部33は、上記した第1検出部10で検出できる情報と第2検出部20で検出できる情報との加重平均により統合する場合には、第1検出部10で検出できる情報の重みを大きくする。
【0074】
また、生成部33は、第1検出部10の検出時間後である場合には、第1検出部10では車両が検出されないため、第2検出部20の検出結果に基づいて記憶部4に記憶された車両関連情報41を更新する。
【0075】
また、生成部33は、複数の第2検出部20a,20bの検出結果を統合する。具体的には、生成部33は、複数の第2検出部20a,20bそれそれで検出した各検出結果(車両の幅方向の位置、車速、車幅、車高)を統合する。
【0076】
例えば、生成部33は、車幅および車高については、時間経過により変化しないため、複数の第2検出部20a,20bそれぞれで検出した車幅および車高の一致度を判定し、一致する場合には、一致した車幅および車高を統合結果とする。また、生成部33は、複数の第2検出部20a,20bそれぞれで検出した車幅および車高が一致しない場合、例えば、複数の第2検出部20a,20bそれぞれで検出した車幅および車高の平均値を統合結果とする。
【0077】
また、生成部33は、車両の幅方向の位置(車線位置)および車速については、時間経過により変化するため、複数の第2検出部20a,20bのうち、下流に配置された第2検出部(
図1では、第2検出部20b)で検出された車両の幅方向の位置および車速を統合結果とする。
【0078】
また、生成部33は、第1検出部10が検出した検出時間(通過時間)と、第2検出部20が検出した走査位置R10の通過時の走行速度とに基づいて、車両の全長(車長)を推定する。例えば、生成部33は、第1検出部10の通過時間を含む検出結果と、第2検出部20が検出した走行速度とに基づいて車両の種類(メーカ、年式、型式等)を推定し、推定した車両の種類に基づいて車両の諸元情報を推定する。具体的には、生成部33は、推定した車両の種類に基づいて、予め生成された車両の種類毎に諸元情報(車幅や、車高、車長)が紐づいたデータベースを参照し、車両の諸元情報を推定する。
【0079】
出力部34は、生成部33によって生成され、記憶部4に記憶された車両関連情報41を通信装置100へ出力する。出力部34は、車両関連情報41が更新される都度、車両関連情報41を通信装置100へ出力してもよく、予め定められた間隔で車両関連情報41を出力してもよい。あるいは、出力部34は、通信装置100から要求があった場合に、車両関連情報41を出力してもよい。
【0080】
次に、
図4を用いて、実施形態に係る車両検出装置1が実行する処理の手順について説明する。
図4は、実施形態に係る車両検出装置1が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【0081】
図4に示すように、まず、車両検出装置1は、第1検出部10で車両を検出し(ステップS101)、第2検出部20で車両を検出した(ステップS102)とする。
【0082】
つづいて、制御部3は、第1検出部10および第2検出部20の検出結果に基づいて車両を特定する(ステップS103)。
【0083】
つづいて、制御部3は、車両を特定した場合、特定した車両において第1検出部10および第2検出部20が検出した車両関連情報を統合した統合情報を生成する(ステップS104)。
【0084】
つづいて、制御部3は、生成した統合情報を通信装置100へ出力し(ステップS105)、処理を終了する。
【0085】
以上説明したように、本開示の一実施形態によれば、車両検出装置1は、第1検出部10と、第2検出部20と、特定部32とを備える。第1検出部10は、道路における幅方向に光を照射することで、光の照射位置(走査位置R10)を通過する車両を検出する。第2検出部20は、第1検出部10の走査位置R10を含む検知範囲であって、走査位置R10に対して少なくとも下流行方向の領域を含む検知範囲R20に電波を照射することで、検知範囲R20に存在する車両を検出する。特定部32は、第1検出部10および第2検出部20の検出結果に基づいて、道路に存在する車両を特定する。これにより、車両検出装置1は、車両状況の検出精度を高めることができる。
【0086】
なお、上述した実施形態は一例であり、例えば、
図5や
図6で示した構成であってもよい。
図5および
図6は、変形例に係る合流支援システムSの構成例を示す図である。
【0087】
まず、
図5の変形例について説明する。
図5に示す変形例では、上記した実施形態に加えて、3つ目の第2検出部20cを備える。第2検出部20cは、例えば、第1検出部10が設けられた路側物に設置され、第1検出部10の走査位置R10に対して下流方向の領域を検知範囲R20cとして電波を照射して車両を検出する。
【0088】
図5に示すように、検知範囲R20cは、第2検出部20aの検知範囲R20aと大部分が重なるように設定される。つまり、第2検出部20cは、他の第2検出部20aの検知範囲R20aに対して上流から下流に向けて電波を照射する。具体的には、
図5に示す変形例では、同一の検知範囲(R20a,R20cの重複領域)に対して、道路の上流から下流へ向かう方向へ電波を照射する第2検出部20cと、道路の下流から上流へ向かう方向へ電波を照射する第2検出部20aとを含む。これにより、下流から上流に向けて電波を照射する検知範囲R20aの第2検出部20aでは、例えば、大型車の直ぐ後ろを走行する小型車等が隠れて見えずに検出できないが、第2検出部20cによって検出が可能となる。
【0089】
次に、
図6の変形例について説明する。
図6に示す変形例では、
図5で示した変形例に加えて、2つの第1検出部10a,10bを有する。例えば、
図6に示すように、第1検出部10aは、第2検出部20cが設けられた路側物に設置され、走査位置R10aをレーザーで走査する。また、第1検出部10bは、第2検出部20aが設けられた路側物に設置され、走査位置R10bをレーザーで走査する。つまり、
図6に示す変形例では、第1検出部10a,10bは、走査位置R10a,R10bが道路の走行方向に沿って所定の間隔となるように複数配置される。
【0090】
これにより、道路(本線)を走行する車両が走査位置R10aを通過後に車線変更した場合に、走査位置R10bにおいて車両の車線位置を高精度に検出することができる。
【0091】
なお、本開示では、第1検出部10および第2検出部20が道路の一方側の路側物にのみ配置される例を示したが、他方側の路側物に配置されてもよく、道路の上方に配置されてもよい(例えば、L字状の路側物の先端に配置)。
【0092】
なお、本開示では、車両検出装置1の適用先として合流支援システムSを一例に挙げたが、車両検出装置1の適用先は、車両状況に関する情報を要求するシステムであれば、任意のシステムを対象としてもよい。
【0093】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0094】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0095】
また、本発明は上記実施形態に係る限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、処理内容を矛盾させない領域で上述の実施形態を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述の実施形態のフローチャート及びシーケンス図に示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 車両検出装置
3 制御部
4 記憶部
10 第1検出部
20 第2検出部
31 取得部
32 特定部
33 生成部
34 出力部
41 車両関連情報
100 通信装置
200 自動運転車両
R10 走査位置
R20 検知範囲
S 合流支援システム