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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052057
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240404BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158500
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】横尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】神林 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 蓮馬
(72)【発明者】
【氏名】中間 英徳
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB02
5H127AB23
5H127AC14
5H127BA01
5H127BA05
5H127BA13
5H127BA33
5H127BA34
5H127BA37
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB18
5H127BB19
5H127EE25
5H127EE29
5H127GG04
(57)【要約】
【課題】簡易な方法で水抜き性能を向上する。
【解決手段】燃料電池装置10は、補機40(蓄熱タンク44、ラジエータ48、及び凝縮水タンク46)内の水をハウジング20の外部へ排水する排水機構70を有している。排水機構70は、ハウジング20に設けられたグロメット72と、一端部がハウジング20の外部に配置され且つ他端部が補機40に接続された第1ホース80A~第3ホース80Cを含んで構成され、第1ホース80A~第3ホース80Cは格納位置と引出位置との間で移動可能にグロメット72に支持されている。このため、水抜き作業時に、第1ホース80A~第3ホース80Cを引出位置に引出すことで、第1ホース80A~第3ホース80Cの一端部(水抜き栓84)をグロメット72よりも下側の位置に配置できる。したがって、第1ホース80A~第3ホース80C内の水を、効率よく流して、ハウジング20の外部へ排水できる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素含有ガスと燃料ガスとで発電を行なう燃料電池と、
前記燃料電池において生成された排ガスと液体とで熱交換を行う熱交換器と、熱交換された液体を循環させる循環ラインと、を含んで構成された補機と、
前記燃料電池及び前記補機を収容するハウジングと、
前記補機に接続され、前記補機内の液体を前記ハウジングの外部へ排水する排水機構と、
を備え、
前記排水機構は、
前記ハウジングに設けられた支持部材と、
長尺状に形成され、一端部が前記ハウジングの外部に配置され且つ他端部が前記補機に接続され、長手方向に移動可能に前記支持部材に支持されると共に、操作されることで前記ハウジングの内部に格納された格納位置と前記格納位置から前記ハウジングの外側へ引出された引出位置との間で移動するホースと、
を備えた燃料電池装置。
【請求項2】
前記支持部材が、前記ハウジングにおける外周部の下端部に設けられている請求項1に記載の燃料電池装置。
【請求項3】
上下方向に直交する方向を第1方向とし、上下方向及び前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
前記支持部材は、前記ハウジングの第1方向の一方側端部に設けられると共に、前記ホースが挿通される支持孔を有しており、
前記支持孔が、前記第2方向から見て、第1方向の一方側へ向かうに従い下側へ傾斜する方向に沿って貫通している請求項2に記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記第2方向から見て、水平方向に対する前記支持孔の軸線の角度が45度以下に設定されている請求項3に記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記ハウジングは、基礎部を介して設置部に設置されており、
前記引出位置において前記ホースの一端部が前記設置部に接しないように、前記引出位置における前記ホースの引出長さが設定されている請求項2~請求項4の何れか1項に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記ホースは、
前記支持孔の軸方向に移動可能に挿入され、弾性及び可撓性を有するホース本体と、
前記ホース本体の一端部に設けられた水抜き栓と、
を含んで構成されており、
前記ホース本体の外径が、前記支持孔の内径よりも大きく設定されている請求項3に記載の燃料電池装置。
【請求項7】
前記水抜き栓は、前記格納位置において、前記支持孔に嵌入される被支持部を有しており、被支持部の外径が前記支持孔の内径よりも大きく設定されている請求項6に記載の燃料電池装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、
前記ハウジングの下端部を構成すると共に、上下方向を板厚方向とするプレート状に形成され、外周部において上側へ屈曲されたフランジを有するベースと、
下端部が前記フランジに固定された外周壁と、
を含んで構成されており、
前記第1方向の一方側の前記フランジには、前記支持部材を取付けるための取付部が設けられており、前記取付部には、前記支持部材を取付ける取付孔が形成されている請求項3に記載の燃料電池装置。
【請求項9】
前記フランジは、
前記フランジの下部を構成し且つ前記第2方向から見て前記第1方向の一方側へ向かうに従い上側へ傾斜する傾斜フランジ部と、
前記フランジの上部を構成し、前記傾斜フランジ部の上端部から上側へ延出された上側フランジ部と、
を含んで構成されており、
前記取付部が前記傾斜フランジ部に設けられ、前記外周壁が前記上側フランジ部に固定されている請求項8に記載の燃料電池装置。
【請求項10】
前記ベースの前記第1方向の一端部には、前記取付部の前記第2方向の両側において、上側へ隆起された一対の絞り部が形成されている請求項8又は請求項9に記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の燃料電池装置では、ラジエータ(補機)の下流側に排水配管が接続されており、ラジエータの上流側には、気体導入部が接続されている。燃料電池装置の水抜き作業時には、気体導入部から空気を送り込むことで、ラジエータ内の水を排水配管のよって効率よく排水することができる。すなわち、燃料電池装置における水抜き性能を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-68152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記燃料電池装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記燃料電池装置では、気体導入部が、配管に接続される気体導入管及び止水栓を有しており、気体導入管の先端にポンプを接続する。そして、ポンプを作動させて、空気を気体導入管内に供給して、水抜き作業を行う。このため、上記燃料電池装置では、水抜き性能を向上できるものの、水抜き作業が煩雑になる可能性がある。したがって、燃料電池装置では、簡易な方法で水抜き性能を向上できる構造にすることが望ましい。
【0005】
本発明は、簡易な方法で水抜き性能を向上できる燃料電池装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、酸素含有ガスと燃料ガスとで発電を行なう燃料電池と、前記燃料電池において生成された排ガスと液体とで熱交換を行う熱交換器と、熱交換された液体を循環させる循環ラインと、を含んで構成された補機と、前記燃料電池及び前記補機を収容するハウジングと、前記補機に接続され、前記補機内の液体を前記ハウジングの外部へ排水する排水機構と、を備え、前記排水機構は、前記ハウジングに設けられた支持部材と、長尺状に形成され、一端部が前記ハウジングの外部に配置され且つ他端部が前記補機に接続され、長手方向に移動可能に前記支持部材に支持されると共に、操作されることで前記ハウジングの内部に格納された格納位置と前記格納位置から前記ハウジングの外側へ引出された引出位置との間で移動するホースと、を備えた燃料電池装置である。
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記支持部材が、前記ハウジングにおける外周部の下端部に設けられている燃料電池装置である。
【0008】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、上下方向に直交する方向を第1方向とし、上下方向及び前記第1方向に直交する方向を第2方向として、前記支持部材は、前記ハウジングの第1方向の一方側端部に設けられると共に、前記ホースが挿通される支持孔を有しており、前記支持孔が、前記第2方向から見て、第1方向の一方側へ向かうに従い下側へ傾斜する方向に沿って貫通している燃料電池装置である。
【0009】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第2方向から見て、水平方向に対する前記支持孔の軸線の角度が45度以下に設定されている燃料電池装置である。
【0010】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、基礎部を介して設置部に設置されており、前記引出位置において前記ホースの一端部が前記設置部に接しないように、前記引出位置における前記ホースの引出長さが設定されている燃料電池装置である。
【0011】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ホースは、前記支持孔の軸方向に移動可能に挿入され、弾性及び可撓性を有するホース本体と、前記ホース本体の一端部に設けられた水抜き栓と、を含んで構成されており、前記ホース本体の外径が、前記支持孔の内径よりも大きく設定されている燃料電池装置である。
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記水抜き栓は、前記格納位置において、前記支持孔に嵌入される被支持部を有しており、被支持部の外径が前記支持孔の内径よりも大きく設定されている燃料電池装置である。
【0013】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ハウジングは、前記ハウジングの下端部を構成すると共に、上下方向を板厚方向とするプレート状に形成され、外周部において上側へ屈曲されたフランジを有するベースと、下端部が前記フランジに固定された外周壁と、を含んで構成されており、前記第1方向の一方側の前記フランジには、前記支持部材を取付けるための取付部が設けられており、前記取付部には、前記支持部材を取付ける取付孔が形成されている燃料電池装置である。
【0014】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記フランジは、前記フランジの下部を構成し且つ前記第2方向から見て前記第1方向の一方側へ向かうに従い上側へ傾斜する傾斜フランジ部と、前記フランジの上部を構成し、前記傾斜フランジ部の上端部から上側へ延出された上側フランジ部と、を含んで構成されており、前記取付部が前記傾斜フランジ部に設けられ、前記外周壁が前記上側フランジ部に固定されている燃料電池装置である。
【0015】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記ベースの前記第1方向の一端部には、前記取付部の前記第2方向の両側において、上側へ隆起された一対の絞り部が形成されている燃料電池装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、簡易な方法で水抜き性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る燃料電池装置の構成を示す構成図である。
図2】本実施の形態に係る燃料電池装置の全体を示す前側から見た正面図である。
図3図2に示される燃料電池装置の下部を示す右側から見た側面である。
図4図3に示される排水機構の前側から見た断面図(図3の4-4線断面図)である。
図5】(A)は、図4に示されるベースの右端部を示す左斜め前方から見た斜視図であり、(B)は、(A)の取付部に排水機構が取付けられた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて本実施の形態に係る燃料電池装置10について説明する。以下、先に燃料電池装置10の全体構成について説明し、次いで燃料電池装置10の排水機構70について説明する。なお、図面において、適宜示される矢印UP、矢印FR、及び矢印LHは、それぞれ燃料電池装置10の上側、前側、左側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、燃料電池装置10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。また、左右方向が本発明の第1方向に対応し、前後方向が本発明の第2方向に対応し、右側が本発明の第1方向一方側に対応している。
【0019】
(燃料電池装置10の全体構成について)
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池装置10は、燃料電池モジュール30と、補機40と、排水機構70と、を含んで構成されており、燃料電池モジュール30及び補機40が、ハウジング20に収容されている。図2図5(A)に示されるように、ハウジング20は、燃料電池装置10の外郭を構成しており、中空の矩形箱形状に形成されている。ハウジング20の下端部は、ベース21によって構成されており、ベース21は、上下方向を板厚方向とする略矩形プレート状に形成されている。図5(A)に示されるように、ベース21の外周部には、上方側へ屈曲されたフランジとしてのベースフランジ21Aが形成されている。右側のベースフランジ21Aでは、ベースフランジ21Aが、ベースフランジ21Aの下部を構成する傾斜フランジ部21A1と、ベースフランジ21Aの上部を構成する上側フランジ部21A2と、を含んで構成されている。傾斜フランジ部21A1は、前後方向から見て、右側へ向かうに従い上側へ傾斜しており、上側フランジ部21A2が傾斜フランジ部21A1の上端部から上側へ延出している。以下、前後方向から見た、傾斜フランジ部21A1の延在方向を傾斜方向とし、傾斜方向に直交する方向を直交方向(図4の矢印V1方向及び矢印V2方向を参照)とする。また、図4の矢印V1方向側を直交方向一方側とし、矢印V2方向側を直交方向他方側としている。
【0020】
右側のベースフランジ21Aの傾斜フランジ部21A1における前後方向中間部は、後述するグロメット72を取付けるための取付部21Bとして構成されている。取付部21Bには、取付孔21Cが直交方向に貫通形成されており、取付孔21Cは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されている。ベース21の右端部には、取付部21Bの前後方向両側の位置において、上側へ隆起された絞り部21Dが形成されており、絞り部21Dによって、ベース21の右端部の前後方向両側部が下側及び右側へ開放された凹状に形成されている。
【0021】
図3及び図4に示されるように、ベースフランジ21Aの右側には、外周壁としての右壁22が設けられており、右壁22の下端部が、ベースフランジ21Aの上側フランジ部21A2に締結固定されている。右壁22の下端部には、取付孔21Cに対応する位置において、下側へ開放された切欠部22Aが形成されており、切欠部22Aによって、後述するグロメット72が露出されるようになっている。
【0022】
図2及び図3に示されるように、ハウジング20の下側には、左右一対の取付けアングル23が設けられている。取付けアングル23は、前後方向に延在された略長尺状に形成され、その長手方向から見て、上側へ開放された略U字型状に形成されている。そして、取付けアングル23が、地面等の設置部100に載置された基礎部102上に配置され、取付けアングル23の長手方向両端部が、ボルト等の締結部材によって基礎部102に締結固定されることで、ハウジング20(すなわち、燃料電池装置10)が、設置部100に設置される。
【0023】
(燃料電池モジュール30について)
図1に示されるように燃料電池モジュール30は、改質器31と、燃料電池32と、を含んで構成されている。改質器31は、天然ガス、LPガス等の原燃料ガスを水蒸気改質し燃料ガスを生成して、当該燃料ガスを燃料電池32に供給する。改質器31には、原燃料ガスを供給する燃料供給装置50と、改質水を供給する改質水供給装置52が接続されており、原燃料ガスと改質水とが加熱された改質器31で改質反応し、水素を含む燃料ガスが生成される。
【0024】
燃料電池32は、一例として、複数の燃料電池セルが配列されてなるセルスタック構造を有している。燃料電池32には、改質器31で生成された燃料ガスと、空気供給装置54によって導入された空気(酸素含有ガス)が供給される。燃料ガスが燃料電池32の燃料電池セル内を通過することで、燃料ガスと酸素含有ガスとが反応して発電が行われる。発電に使用されなかった燃料ガス及び酸素含有ガスは、燃料電池32の上部(改質器31との間)で合流して燃焼する。この燃料ガスの燃焼によって高温の排ガスが生成され、この熱によって、改質器31が加熱される。
【0025】
(補機40について)
補機40は、熱交換器42と、蓄熱タンク44と、凝縮水タンク46と、ラジエータ48と、前述した、燃料供給装置50、改質水供給装置52、及び空気供給装置54と、を含んで構成されている。配管56によって、熱交換器42、蓄熱タンク44、熱媒ポンプP1及びラジエータ48が接続されて、循環ラインとしての熱媒循環ライン60が形成されている。熱媒循環ライン60には、液体としての熱媒体(本実施形態では、水)が導入され、熱媒体が配管56内を循環する。
【0026】
熱交換器42では、燃料電池32において生成された排ガスと熱媒体とで熱交換が行われて、熱媒体が加熱される。蓄熱タンク44は、熱交換器42において加熱された熱媒体を蓄える。蓄熱タンク44に蓄えられた熱媒体は、ラジエータ48に送られて、ラジエータ48において冷却される。ラジエータ48において冷却された熱媒体は、再び熱交換器42に送られて、熱交換器42において加熱される。このように、熱媒体が熱媒循環ライン60において循環されて、蓄熱タンク44には、上部から温度の高い熱媒体が蓄えられ温度成層が形成される。
【0027】
また、熱交換器42には、凝縮水回収路62を介して凝縮水タンク46が接続されている。燃料電池モジュール30で発生した排ガスが熱交換によって冷却されると、排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離され、分離された水は、凝縮水回収流路66を通って凝縮水タンク46に回収される。凝縮水タンク46は、イオン交換樹脂46Aを備えており、回収した水から不純物を取り除いて純水化する。純水化した水は、凝縮水タンク46に接続された改質水供給装置52により改質器31に供給され、改質水として使用される。一方で、水分が取り除かれた気体は、図示しない排気流路を通ってからハウジング20の外に排出される。
【0028】
(排水機構70について)
図1図5に示されるように、排水機構70は、蓄熱タンク44、ラジエータ48、凝縮水タンク46内の水を抜いて、当該水をハウジング20の外部へ排水する機構部として構成されている。排水機構70は、支持部材としてのグロメット72と、ホースとしての第1ホース80A、第2ホース80B、及び第3ホース80Cと、を含んで構成されている。
【0029】
図3図4、及び図5(B)に示されるように、グロメット72は、第1ホース80A~第3ホース80Cを、直交方向に移動可能に支持し、且つハウジング20に連結する部材としての構成されている。グロメット72は、樹脂材等によって構成されている。グロメット72は、前後方向に延在され且つ直交方向他方側に開放された凹状に形成されている。グロメット72の外周部には、ハウジング20の取付孔21Cに対応する取付溝72Aが形成されており、取付溝72Aは、グロメット72の周方向に沿って延在されると共に、グロメット72の全周に亘って形成されている。そして、ハウジング20の取付孔21Cの縁部が、取付溝72A内に嵌め込まれて、グロメット72がベース21に取付けられている。グロメット72のベース21への取付状態では、右側から見て、グロメット72の上部がハウジング20の切欠部22A内に配置されており、グロメット72がハウジング20の右壁22より右側へ突出しないように、グロメット72の厚み寸法等が設定されている。グロメット72には、3箇所の支持孔72Bが直交方向に貫通形成されており、3箇所の支持孔72Bは、前後方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。すなわち、支持孔72Bの軸線ALが、前後方向から見て、右側へ向かうに従い下側へ傾斜している。そして、前後方向から見た、左右方向に対する支持孔72Bの軸線ALの角度AGが、45度以下(本実施形態では、30度)に設定されている(図4参照)。
【0030】
第1ホース80A~第3ホース80Cは、同様に構成されている。このため、以下、第1ホース80Aを用いて、第1ホース80A~第3ホース80Cの構成について説明する。第1ホース80Aは、長尺筒状に形成されたホース本体82と、ホース本体82の一端部に設けられた水抜き栓84と、を含んで構成されている。ホース本体82は、ゴム等の弾性及び可撓性を有する材料で構成されている。ホース本体82がグロメット72の支持孔72B内に直交方向(支持孔72Bの軸方向)に移動可能に挿入されている。具体的には、第1ホース80Aが、格納位置(図4において2点鎖線にて示される位置)と、格納位置から直交方向一方側へ引出された引出位置(図4において実線にて示される位置)と、の間を進退移動可能に構成されている。ホース本体82の外径は、グロメット72の支持孔72Bの内径よりも若干大きく設定されている。これにより、ホース本体82の外周部が支持孔72Bの内周部によって径方向内側へ押圧されており、当該押圧力により、格納位置から引出されたホース本体82が保持されるようになっている。
【0031】
水抜き栓84は、栓本体86と、バルブ88と、を含んで構成されている。水抜き栓84は、ホース本体82の長手方向を軸方向とする略段付き円筒状に形成されている。具体的には、栓本体86は、栓本体86の一端側(先端側)部分を構成する第1連結部86Aと、栓本体86の他端側(基端側)部分を構成する第2連結部86Bと、を有しており、第2連結部86Bの外径が、第1連結部86Aの外径よりも小さく設定されている。そして、第2連結部86Bがホース本体82の一端部内に嵌入されて、水抜き栓84がホース本体82に固定されている。
【0032】
第1連結部86Aの一端部は、ナット部86Cとして構成されている。ナット部86Cの外周部は、軸方向から見て正六角形に形成され、ナット部86Cの内周部には、雌ネジ86Dが形成されている。第1連結部86Aの他端部は、被支持部86Eとして構成されており、ナット部86Cと被支持部86Eとの間には、スロープ部86Fが形成されている。被支持部86Eの外径は、ホース本体82の外径よりも僅かに大きく設定されており、スロープ部86Fの外径が一端側へ向かうに従い大きくなるように設定されて、スロープ部86Fによって被支持部86Eとナット部86Cとが接続されている。そして、第1ホース80Aの格納位置では、被支持部86Eがグロメット72の支持孔72B内に嵌入されて、水抜き栓84が、グロメット72に支持されている。すなわち、格納位置では、水抜き栓84の先端部が、グロメット72から直交方向一方側に突出している。
【0033】
バルブ88は、第1ホース80Aの一端側へ開放された略有底円筒状に形成されている。バルブ88の他端側部分の外周部には、雄ネジ88Aが形成されている。そして、バルブ88の他端部を、栓本体86内に挿入し、雄ネジ88Aを栓本体86の雌ネジ86Dに螺合させることで、バルブ88が栓本体86に固定されている。バルブ88の他端部は、弁部88Bが設けられ、弁部88Bには、リング状のシール90が設けられている。そして、シール90によって、弁部88Bと栓本体86におけるスロープ部86Fの内部とがシールされている。また、バルブ88の一端側部分は、つまみ部88Cとして構成されており、つまみ部88Cの外形が軸方向から見て、略矩形状に形成されている。そして、使用者が、つまみ部88Cを把持して、バルブ88と栓本体86との締結状態を緩めることで、水抜き作業を行う。
【0034】
第1ホース80Aの他端部は、蓄熱タンク44に接続されており、第1ホース80Aを用いて蓄熱タンク44内の水を抜くようになっている。第2ホース80Bの他端部は、ラジエータ48に接続されており、第2ホース80Bを用いてラジエータ48内の水を抜くようになっている。第3ホース80Cの他端部は、凝縮水タンク46に接続されており、第3ホース80Cを用いて凝縮水タンク46内の水を抜くようになっている。第1ホース80A、第2ホース80B、及び第3ホース80Cの他端部は、それぞれグロメット72よりも上側に配置されている。また、第1ホース80A~第3ホース80Cの引出位置では、第1ホース80A~第3ホース80Cの水抜き栓84が設置部100に当たらないように、第1ホース80A~第3ホース80Cの格納位置から引出位置への引出長さが設定されている。
なお、ホースの接続位置およびホースの数は、一例であって、上記の記載に限定されるものではない。
【0035】
(作用効果)
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0036】
上記のように構成された燃料電池装置10の水抜き作業前では、第1ホース80A~第3ホース80Cが格納位置に配置され、水抜き栓84の先端部がグロメット72から直交方向一方側へ突出した位置に配置されている。燃料電池装置10において水抜き作業を行うときには、使用者の操作によって、第1ホース80A~第3ホース80Cを格納位置から直交方向一方側へ引出して、引出位置に配置させる。これにより、水抜き栓84がグロメット72よりも下側に配置される。この状態で、水抜き栓84において、バルブ88の栓本体86への締結を緩める。これにより、第1ホース80A~第3ホース80Cのホース本体82内を一端側へ流れる水が、水抜き栓84から排水される。よって、燃料電池装置10を長期間使用しないときなどに、蓄熱タンク44、ラジエータ48、凝縮水タンク46内の水を抜くことで、蓄熱タンク44、ラジエータ48、凝縮水タンク46内における水の凍結等を防ぐことができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の燃料電池装置10は、補機40(蓄熱タンク44、ラジエータ48、及び凝縮水タンク46)内の水をハウジング20の外部へ排水する排水機構70を有している。排水機構70は、ハウジング20に設けられたグロメット72と、一端部がハウジング20の外部に配置され且つ他端部が補機40に接続された第1ホース80A~第3ホース80Cを含んで構成されている。また、第1ホース80A~第3ホース80Cは、ハウジング20の内部に格納された格納位置と、格納位置からハウジング20の外側へ引出された引出位置と、の間で移動可能にグロメット72に支持されている。このため、水抜き作業を行うときに、第1ホース80A~第3ホース80Cを引出位置に引出すことで、第1ホース80A~第3ホース80Cの一端部(水抜き栓84)をグロメット72よりも下側に配置することができる。すなわち、仮に、第1ホース80A~第3ホース80Cがハウジング20に対して進退移動不能に連結される構成と比べて、第1ホース80A~第3ホース80Cの一端部(水抜き栓84)を下側に配置することができる。したがって、第1ホース80A~第3ホース80C内の水を、第1ホース80A~第3ホース80Cの一端側へ効率よく流して、第1ホース80A~第3ホース80Cの一端部からハウジング20の外部へ排水することができる。以上により、燃料電池装置10によれば、簡易な方法で水抜き性能を向上することができる。
【0038】
また、第1ホース80A~第3ホース80Cをハウジング20に対して進退移動可能に構成することで、第1ホース80A~第3ホース80Cの不使用時には、第1ホース80A~第3ホース80Cを格納位置に戻すことができる。これにより、第1ホース80A~第3ホース80Cをハウジング20から引出可能に構成しても、燃料電池装置10の大型化を抑制できる。これにより、例えば、燃料電池装置10の梱包性能の低下を抑制できる。また、燃料電池装置10の意匠性の低下を抑制できる。
【0039】
また、グロメット72が、ハウジング20におけるベース21のベースフランジ21Aに設けられている。すなわち、グロメット72が、ハウジング20の下端部に配置されている。これにより、第1ホース80A~第3ホース80C内の水を第1ホース80A~第3ホース80Cの一端側へ効果的に流すことができる。
【0040】
また、グロメット72の支持孔72Bが、前後方向から見て、右側へ向かうに従い下側へ傾斜する方向に沿って貫通している。これにより、支持孔72Bに挿通された第1ホース80A~第3ホース80Cを、格納位置から右斜め下方側へ引出すことができる。これにより、引出位置において、第1ホース80A~第3ホース80Cの水抜き栓84を、グロメット72に対して下側に確実に配置することができる。また、引出位置において、第1ホース80A~第3ホース80Cの長手方向中間部を、支持孔72Bによって、右斜め下方側へ傾けた状態に支持することができる。よって、燃料電池装置10の水抜き性能を一層向上することができる。
【0041】
また、前後方向から見て、左右方向(水平方向)に対する支持孔72Bの軸線ALの角度AGが45度以下に設定されている。これにより、燃料電池装置10の小型化に寄与しつつ、燃料電池装置10の水抜き性能を向上することができる。すなわち、仮に、左右方向に対する支持孔72Bの軸線ALの角度AGが45度よりも大きい場合には、グロメット72からハウジング20内に延出する第1ホース80A~第3ホース80Cが、本実施の形態と比べて、より上方側へ向けて延出される。このため、格納位置における、第1ホース80A~第3ホース80Cのハウジング20内の配置スペースが、本実施の形態と比べて上側へ大きくなる可能性がある。これにより、ハウジング20内に配置される補機40と第1ホース80A~第3ホース80Cとの干渉を回避するため、ハウジング20が本実施の形態と比べて上側へ大きくなる可能性がある。これに対して、本実施の形態では、左右方向に対する支持孔72Bの軸線ALの角度AGが45度以下に設定されているため、格納状態における第1ホース80A~第3ホース80Cの配置領域の省スペース化を図ることができる。したがって、燃料電池装置10の小型化に寄与しつつ、燃料電池装置10の水抜き性能を向上することができる。
【0042】
また、ハウジング20は、地面等の設置部100に基礎部102を介して設置されており、第1ホース80A~第3ホース80Cの引出位置において、水抜き栓84が設置部100に接しないように、引出位置における第1ホース80A~第3ホース80Cの引出長さが設定されている。これにより、例えば、水抜き作業時に、使用者が誤って水抜き栓84を踏んでしまうことを抑制できる。その結果、水抜き栓84の保護性能を向上することができると共に、水抜き作業時の作業性を向上することができる。
【0043】
また、第1ホース80A~第3ホース80Cは、弾性及び可撓性を有するホース本体82を有している。そして、ホース本体82は、グロメット72の支持孔72B内に移動可能に挿入されており、ホース本体82の外径が、支持孔72Bの内径よりも大きく設定されている。これにより、ホース本体82を格納位置から引出したときには、ホース本体82が支持孔72Bの内周面によって径方向内側へ押圧され、当該押圧力によってホース本体82が保持される。よって、例えば、水抜き作業時に第1ホース80A~第3ホース80Cが不用意に格納位置側へ戻ることを抑制できる。したがって、水抜き作業時における作業性を一層向上することができる。
【0044】
また、第1ホース80A~第3ホース80Cの水抜き栓84は、第1ホース80A~第3ホース80Cの格納位置において、支持孔72Bに嵌入される被支持部86Eを有しており、被支持部86Eの外径が支持孔72Bの内径よりも大きく設定されている。これにより、第1ホース80A~第3ホース80Cの格納位置では、水抜き栓84がグロメット72に軽圧入され保持される。このため、例えば、燃料電池装置10の基礎部102への設置時や燃料電池装置10の通常使用時等に、第1ホース80A~第3ホース80Cが格納位置から引出位置側へ不用意に引き出されることを抑制できる。
【0045】
また、ハウジング20では、グロメット72を取付けるための取付部21Bが、ベース21の外周部において上側へ屈曲されたベースフランジ21Aに設けられている。このため、取付部21Bをベースフランジ21Aの曲げ部に近接して配置できる。その結果、ベース21の強度の低下を抑制しつつ、ベース21にグロメット72の取付部21Bを設けることができる。また、取付部21Bには、前後方向を長手方向とする長孔状の取付孔21Cが貫通形成されており、グロメット72が取付孔21Cの縁部に取付けられている。このため、例えば、取付孔21Cを上側へ開放された切り欠き形状にする場合と比べて、取付部21Bの強度を高くすることができる。
【0046】
また、ベース21における右側のベースフランジ21Aは、前後方向から見て、右側へ向かうに従い上側へ傾斜する傾斜フランジ部21A1と、傾斜フランジ部21A1の上端部から上側へ延出された上側フランジ部21A2と、を含んで構成されている。そして、取付部21Bが傾斜フランジ部21A1に設けられ、ハウジング20の右壁22が上側フランジ部21A2に固定されている。これにより、ベースフランジ21Aにおいて、取付部21Bの強度を確保しつつ、右壁22をベースフランジ21Aに固定することができる。また、取付部21Bを傾斜フランジ部21A1に設けることで、水抜き栓84の先端部を取付部21Bに対して直交方向一方側に隣接配置することができる。すなわち、ハウジング20の下端部において、面取りが施された部分に水抜き栓84の先端部を配置することができる。したがって、第1ホース80A~第3ホース80Cの格納位置における水抜き栓84の右側への突出量が大きくなることを抑制できる。すなわち、燃料電池装置10の大型化を抑制できる。
【0047】
また、ベース21の右端部には、取付部21Bの前後方向両側の位置において、上側へ隆起された一対の絞り部21Dが形成されている。このため、一対の絞り部21Dによって、ベース21及び取付部21Bの強度を高くすることができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、グロメット72の支持孔72Bが、前後方向から見て、直交方向に沿って貫通しているが、例えば、グロメット72の支持孔72Bを左右方向に貫通するように形成してもよい。この場合でも、ホース本体82は、可撓性を有しているため、第1ホース80A~第3ホース80Cの引出位置において、水抜き栓84をグロメット72よりも下側に配置させることができる。
【0049】
また、本実施の形態では、グロメット72が、ベース21のベースフランジ21Aの傾斜フランジ部21A1に設けられているが、グロメット72の設ける位置は適宜変更可能である。また、例えば、第1ホース80A~第3ホース80Cの格納位置において、水抜き栓84の先端部が、ハウジング20よりも右側へ突出しないように、取付部21Bの位置を本実施の形態よりも左側に位置するように、ベースフランジ21Aの形状を変更してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 燃料電池装置
20 ハウジング
21 ベース
21A ベースフランジ(フランジ)
21A1 傾斜フランジ部
21A2 アッパフランジ部
21B 取付部
21C 取付孔
21D 絞り部
22 右壁(外周壁)
32 燃料電池
40 補機
42 熱交換器
60 熱媒循環ライン(循環ライン)
70 排水機構
72 グロメット(支持部材)
72B 支持孔
80A 第1ホース(ホース)
80B 第2ホース(ホース)
80C 第3ホース(ホース)
82 ホース本体
84 水抜き栓
86E 被支持部
100 設置部
102 基礎部
AL 支持孔の軸線
AG 支持孔の角度
図1
図2
図3
図4
図5