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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052059
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】消耗品消費装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240404BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20240404BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240404BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B41J29/00 Z
G06Q10/00 300
B41J29/38 204
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158504
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】木元 太一朗
【テーマコード(参考)】
2C061
5L049
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる手段を提供する。
【解決手段】プリンタ10は、インクを収容するタンク30と、制御部50とを備えている。制御部50は、インクの配送に関する契約が締結されていない非契約状態と、契約が締結されている契約状態とに遷移する。制御部50は、非契約状態においてタンク30に収容されたインクの残量である市販残量を決定する第1決定処理(S53、S55など)と、契約状態においてインクを消費させる消費処理(S12)と、市販残量がなくなるまでは課金対応処理(S15)を実行せず、市販残量がなくなった後は課金対応処理を実行する課金制御処理(S14、S15、S52、S54、S56、およびS61からS64)と、を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品を収容する収容部と、
制御部とを備え、
上記制御部は、
上記消耗品の配送に関する契約が締結されていない第1状態と、上記契約が締結されている第2状態とに遷移し、
上記第1状態において上記収容部に収容された上記消耗品の残り寿命である第1残り寿命を決定する第1決定処理と、
上記第2状態において上記消耗品を消費させる消費処理と、
上記消費処理によって減少する上記第1残り寿命が所定量に到達するまでは、課金のための課金対応処理を実行せず、上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後は、上記課金対応処理を実行する課金制御処理と、を実行する消耗品消費装置。
【請求項2】
上記収容部は、複数の消耗品を収容可能であり、
上記制御部は、上記課金制御処理において、上記複数の消耗品のうち少なくとも1つの上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後である場合に、上記課金対応処理を実行する請求項1に記載の消耗品消費装置。
【請求項3】
上記消費処理は、課金対象の消費処理と課金対象外の消費処理とを含み、
上記制御部は、上記課金制御処理において、上記消費処理が上記課金対象の消費処理であり、かつ上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後である場合に、上記課金対応処理を実行する請求項1に記載の消耗品消費装置。
【請求項4】
上記制御部は、上記第2状態において上記収容部に収容された上記消耗品の残り寿命である第2残り寿命を決定する第2決定処理をさらに実行する請求項1に記載の消耗品消費装置。
【請求項5】
上記制御部は、上記第2状態で上記収容部に上記消耗品が収容された後に実行される上記第2決定処理において、上記消耗品の最大残り寿命と上記第1残り寿命との差を上記第2残り寿命とする請求項4に記載の消耗品消費装置。
【請求項6】
上記制御部は、上記消費処理を実行した後に実行される上記第1決定処理および上記第2決定処理において、上記第1残り寿命および上記第2残り寿命のうち、上記第1残り寿命を優先して減少させる請求項4に記載の消耗品消費装置。
【請求項7】
上記制御部は、記憶部を有し、
上記第1状態で上記収容部に上記消耗品が収容されたことに応じて、上記第2残り寿命を上記記憶部に記憶させる記憶処理と、
上記第2状態で上記収容部に上記消耗品が収容されたことに応じて、上記第2決定処理を実行する前に、上記記憶部に記憶された上記第2残り寿命に基づき上記第1残り寿命を補正する補正処理と、をさらに実行する請求項5に記載の消耗品消費装置。
【請求項8】
報知部をさらに備え、
上記制御部は、
上記課金制御処理において上記課金対応処理を実行することに応じて、上記報知部に課金の実行を報知させる報知処理をさらに実行する請求項1に記載の消耗品消費装置。
【請求項9】
印刷部をさらに備え、
上記消耗品は印刷剤であり、
上記収容部は、上記印刷剤の注入口を有し、当該注入口から注入された印刷剤を貯留するタンクであり、
上記制御部は、
上記第1決定処理において、上記第1状態において上記タンクに収容された上記印刷剤の残量を上記第1残り寿命として決定し、
上記消費処理において上記印刷部に、上記タンクに貯留された上記印刷剤を消費して印刷を実行させ、
上記課金制御処理において、上記消費処理によって減少する上記印刷剤の残量が上記所定量に到達するまでは、上記課金対応処理を実行せず、上記印刷剤の残量が上記所定量に到達した後は、上記課金対応処理を実行する請求項1~8のいずれかに記載の消耗品消費装置。
【請求項10】
消耗品を収容する収容部と、制御部とを備えた消耗品消費装置のプログラムであって、
上記制御部は、上記消耗品の配送に関する契約が締結されていない第1状態と、上記契約が締結されている第2状態とに遷移し、
上記制御部に、
上記第1状態において上記収容部に収容された上記消耗品の残り寿命である第1残り寿命を決定する第1決定処理と、
上記第2状態において上記消耗品を消費させる消費処理と、
上記消費処理によって減少する上記第1残り寿命が所定量に到達するまでは、課金のための課金対応処理を実行せず、上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後は、上記課金対応処理を実行する課金制御処理と、を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品を消費する消耗品消費装置、およびそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタは、インク、トナー、用紙、各種のローラ(例えば、現像ローラ、定着ローラ、搬送ローラ)、ヘッドなどの消耗品を消費する消耗品消費装置の一例である。プリンタのユーザが、プリンタの販売会社との間で消耗品の配送に関する契約を結び、結んだ契約に従いプリンタを使用する場合がある。
【0003】
プリンタのユーザは、例えば、対価を支払う代わりに、印刷枚数が所定の枚数(以下、契約枚数と称される)に達するまでインクを無償で使用できるという契約を結ぶ場合がある。この契約の下では、プリンタのインクが少なくなると、例えば、インクを貯留したボトルが販売会社からユーザに配送される。印刷枚数が契約枚数以下である間、インク自体およびボトルの配送には課金されない。
【0004】
特許文献1には、インクを収容するタンクを装着可能で、サブタンクを有する画像記録装置において、装着されたタンクが所定の条件に適合しない場合にはタンクからサブタンクへインクを補充せず、装着されたタンクが所定の条件に適合した場合にはタンクからサブタンクへインクを補充することが記載されている。この画像記録装置では、所定の契約が締結されている状態で特定タンクまたは一般タンクが装着されている場合、または所定の契約が締結されていない状態で一般タンクが装着されている場合には、所定の条件に適合すると判断され、所定の契約が契約されていない状態で特定タンクが装着されている場合には、所定の条件に適合しないと判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-094705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下、消耗品消費装置の例として、インクの注入口を有するタンクを備えたプリンタについて考える。以下の説明では、インクの配送に関する契約が締結されている状態を「契約状態」、当該契約が締結されていない状態を「非契約状態」、契約状態でプリンタの販売会社から配送されるボトルを「契約ボトル」、市販されているボトルを「市販ボトル」、元々契約ボトルに貯留されていたインクを「契約インク」、元々市販ボトルに貯留されていたインクを「市販インク」と称する。
【0007】
非契約状態では、ユーザは、市販ボトルを購入し、購入した市販ボトルからタンクに市販インクを注入する。契約状態では、ユーザは、プリンタの販売会社から配送された契約ボトルを受け取り、受け取った契約ボトルからタンクに契約インクを注入する。プリンタは、通常、非契約状態では市販インクを消費して、契約状態では契約インクを消費して印刷などを行う。
【0008】
ユーザは、インクの配送に関する契約を新たに締結した後に、市販インクがまだ残っているタンクに、契約ボトルから契約インクを注ぎ足すことがある。ユーザがこのような注ぎ足しを行うと、タンク内の市販インクと契約インクとは混ざって区別できなくなる。この場合にプリンタが契約後直ちに課金のための処理を開始すると、ユーザは、タンクに残っている市販インクについては対価を既に支払い済みであるにもかかわらず、市販インクを用いた印刷などにも課金され、その分だけ不利益を受ける。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止する手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の消耗品消費装置は、消耗品を収容する収容部と、制御部とを備えている。上記制御部は、上記消耗品の配送に関する契約が締結されていない第1状態と、上記契約が締結されている第2状態とに遷移し、上記第1状態において上記収容部に収容された上記消耗品の残り寿命である第1残り寿命を決定する第1決定処理と、上記第2状態において上記消耗品を消費させる消費処理と、上記消費処理によって減少する上記第1残り寿命が所定量に到達するまでは、課金のための課金対応処理を実行せず、上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後は、上記課金対応処理を実行する課金制御処理と、を実行する。
【0011】
上記消耗品消費装置によれば、ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結する場合、消耗品消費装置は、契約前に収容された消耗品の残り寿命が契約後の消費処理によって所定量に到達するまで、課金のための処理を実行しない。したがって、ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【0012】
(2) 好ましくは、上記収容部は、複数の消耗品を収容可能であり、上記制御部は、上記課金制御処理において、上記複数の消耗品のうち少なくとも1つの上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後である場合に、上記課金対応処理を実行してもよい。
【0013】
(3) 好ましくは、上記消費処理は、課金対象の消費処理と課金対象外の消費処理とを含み、上記制御部は、上記課金制御処理において、上記消費処理が上記課金対象の消費処理であり、かつ上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後である場合に、上記課金対応処理を実行してもよい。
【0014】
(4) 好ましくは、上記制御部は、上記第2状態において上記収容部に収容された上記消耗品の残り寿命である第2残り寿命を決定する第2決定処理をさらに実行してもよい。
【0015】
(5) 好ましくは、上記制御部は、上記第2状態で上記収容部に上記消耗品が収容された後に実行される上記第2決定処理において、上記消耗品の最大残り寿命と上記第1残り寿命との差を上記第2残り寿命としてもよい。
【0016】
(6) 好ましくは、上記制御部は、上記消費処理を実行した後に実行される上記第1決定処理および上記第2決定処理において、上記第1残り寿命および上記第2残り寿命のうち、上記第1残り寿命を優先して減少させてもよい。
【0017】
(7) 好ましくは、上記制御部は、記憶部を有し、上記第1状態で上記収容部に上記消耗品が収容されたことに応じて、上記第2残り寿命を上記記憶部に記憶させる記憶処理と、上記第2状態で上記収容部に上記消耗品が収容されたことに応じて、上記第2決定処理を実行する前に、上記記憶部に記憶された上記第2残り寿命に基づき上記第1残り寿命を補正する補正処理と、をさらに実行してもよい。
【0018】
(8) 好ましくは、上記消耗品消費装置は、報知部をさらに備え、上記制御部は、上記課金制御処理において上記課金対応処理を実行することに応じて、上記報知部に課金の実行を報知させる報知処理をさらに実行してもよい。
【0019】
(9) 好ましくは、上記消耗品消費装置は、印刷部をさらに備え、上記消耗品は印刷剤であり、上記収容部は、上記印刷剤の注入口を有し、当該注入口から注入された印刷剤を貯留するタンクであり、上記制御部は、上記第1決定処理において、上記第1状態において上記タンクに収容された上記印刷剤の残量を上記第1残り寿命として決定し、上記消費処理において上記印刷部に、上記タンクに貯留された上記印刷剤を消費して印刷を実行させ、上記課金制御処理において、上記消費処理によって減少する上記印刷剤の残量が上記所定量に到達するまでは、上記課金対応処理を実行せず、上記印刷剤の残量が上記所定量に到達した後は、上記課金対応処理を実行してもよい。
【0020】
(10) 本発明のプログラムは、消耗品を収容する収容部と、制御部とを備えた消耗品消費装置のプログラムである。上記制御部は、上記消耗品の配送に関する契約が締結されていない第1状態と、上記契約が締結されている第2状態とに遷移する。上記プログラムは、上記制御部に、上記第1状態において上記収容部に収容された上記消耗品の残り寿命である第1残り寿命を決定する第1決定処理と、上記第2状態において上記消耗品を消費させる消費処理と、上記消費処理によって減少する上記第1残り寿命が所定量に到達するまでは、課金のための課金対応処理を実行せず、上記第1残り寿命が上記所定量に到達した後は、上記課金対応処理を実行する課金制御処理と、を実行させる。
【0021】
上記プログラムによれば、ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結する場合、プログラムは、契約前に収容された消耗品の残り寿命が契約後の消費処理によって所定量に到達するまで、消耗品消費装置に課金のための処理を実行させない。したがって、ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ユーザが消耗品の配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、プリンタ10の外観斜視図であり、図1(A)はカバー13が閉状態であるときを示し、図1(B)はカバー13が開状態であるときを示す。
図2図2は、プリンタ10の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3図3は、プリンタ10および課金サーバ60のブロック図である。
図4図4は、メイン処理のフローチャートである。
図5図5は、残量計算処理のフローチャートである。
図6図6は、図5の続図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、プリンタ10が使用可能に水平面に設置された使用姿勢を基準として上下方向7が定義され、プリンタ10の開口12が位置する面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前面から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、および左右方向9は、互いに直交している。
【0025】
[プリンタ10の概要]
本実施形態に係るプリンタ10は、インク(消耗品および印刷剤の一例)を消費して印刷などを行う消耗品消費装置の一例である。プリンタ10は、インクジェット記録方式でシートに画像を記録する。プリンタ10は、概ね直方体形状の筐体11を備えている。プリンタ10は、ファクシミリ機能、スキャン機能、およびコピー機能などの機能を有する、いわゆる「複合機」であってもよい。
【0026】
図1および図2に示されるように、筐体11の内部には、キャリッジ21、複数のノズル23を有するヘッド22、ヘッド22に対面するプラテン24、給送トレイ25、給送ローラ26、搬送ローラ27、排出ローラ28、排出トレイ29、タンク30、およびチューブ42が位置する。なお、キャリッジ21、ヘッド22、プラテン24、給送ローラ26、搬送ローラ27、および排出ローラ28は、印刷部の一例である。
【0027】
プリンタ10は、給送ローラ26および搬送ローラ27を駆動させて、給送トレイ25に支持されたシートをプラテン24の位置まで搬送する。次に、プリンタ10は、タンク30からチューブ42を経由して供給されたインクを、ヘッド22のノズル23から吐出させる。これにより、プラテン24に支持されたシートにインクが着弾し、シート上に画像が記録される。プリンタ10は、排出ローラ28を駆動させて、画像が記録されたシートを排出トレイ29に排出する。
【0028】
キャリッジ21は、搬送ローラ27によるシートの搬送向きと交差する左右方向9に往復移動する。ヘッド22は、キャリッジ21に搭載されている。プリンタ10は、左右方向9の一方から他方へキャリッジ21を移動させる過程で、ヘッド22のノズル23からインクを吐出させる。これにより、ヘッド22に対面するシートの一部の領域に画像が記録される。次に、プリンタ10は、次に画像が記録されるべき領域がヘッド22に対面するように、搬送ローラ27にシートを搬送させる。これらの処理を交互に繰り返し実行させることによって、1枚のシートに画像が記録される。
【0029】
[タンク30]
図1に示されるように、タンク30は、筐体11内の右前方に位置する。タンク30は、プリンタ10から容易に取り外せないように、プリンタ10に固定されている。筐体11の前面の右端部分には、タンク30を覆うカバー13が位置する。カバー13は、筐体11に回動可能に支持されており、図1(A)に示される閉状態と、図1(B)に示される開状態との間で状態変化する。
【0030】
図2に示されるように、タンク30は、前壁31、下壁32、後壁33、上壁34、傾斜壁35、右壁(図示せず)、および左壁(図示せず)を有する。これら7枚の壁により、タンク30の内部空間が画定される。タンク30の内部空間の内部には、3枚の隔壁(図示せず)が位置する。3枚の隔壁により、タンク30の内部空間は、4つのインク室36に分割される。以下、4つのインク室をインク室36B、36M、36C、36Yと称する。インク室36B、36M、36C、36Yには、それぞれ、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローのインクが貯留される。なお、インク室36B、36M、36C、36Yの容積は同じでもよく、異なっていてもよい。
【0031】
傾斜壁35には、インク室36B、36M、36C、36Yにインクを注入するための注入口37B、37M、37C、37Yが位置する(図1(B)参照)。注入口37は、傾斜壁35を厚み方向に貫通して、インク室36とタンク30の外部とを連通させる。なお、注入口37は、傾斜壁35に代えて上壁34に位置してもよい。
【0032】
タンク30は、注入口37、37M、37C、37Yにそれぞれ着脱可能なキャップ41B、41M、41C、41Yを有する。注入口37に取り付けられたキャップ41は、注入口37の周縁に密着して注入口37を閉塞させる(図1(A)参照)。一方、注入口37からキャップ41が取り外されると、注入口37が開放される(図1(B)参照)。キャップ41は、カバー13が開状態である間に、注入口37に対して着脱される。プリンタ10のユーザは、カバー13を開状態にし、注入口37からキャップ41を取り外し、手元にあるボトル内のインクを注入口37を経由してインク室36に注入する。
【0033】
タンク30の下壁32には、インク室36ごとに流出口38が位置する。タンク30の上壁34には、インク室36ごとに大気連通口39が位置する。インク室36に貯留されたインクは、流出口38およびチューブ42を経由してヘッド22に供給される。
【0034】
カバー13は、透過窓14を有する(図1参照)。また、タンク30の少なくとも前壁31の材料は、透過性を有する。このため、ユーザは、カバー13が閉状態であるときも、前壁31を通じて各インク室36内のインクの残量を視認できる。
【0035】
なお、タンク30の形態は、前述の例に限定されない。具体的には、インク室36の個数やインクの色は、前述の例に限定されない。プリンタ10は、例えば、ブラックのインクを貯留するインク室のみを有するタンクを備えたモノクロプリンタであってもよい。あるいは、プリンタ10は、異なる色のインクをそれぞれ貯留する5つ以上のインク室を有するタンクを備えていてもよい。タンク30は、消耗品を収容する収容部の一例である。
【0036】
[制御部50]
図3に示されるように、制御部50は、CPU51、ROM52、RAM53、EEPROM54、およびASIC55を備えている。ROM52には、CPU51が各種の処理を実行するためのプログラムなどが格納されている。RAM53は、CPU51が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号などを一時的に記録する記憶領域、あるいはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM54には、電源オフ後も保持すべき情報が格納される。ROM52、RAM53、およびEEPROM54は、制御部50の記憶部として機能する。
【0037】
なお、記憶部は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0038】
ASIC55は、キャリッジ21、ヘッド22、給送ローラ26、搬送ローラ27、および排出ローラ28に接続されている。制御部50は、ASIC55を通じてモータ(図示せず)を駆動させることにより、キャリッジ21を左右方向9に移動し、給送ローラ26、搬送ローラ27、および排出ローラ28を回転させる。制御部50は、ASIC55を通じてヘッド22の駆動素子に駆動信号を出力することにより、ヘッド22のノズル23からインクを吐出させる。ASIC55は、ノズル23から吐出すべきインクの量に応じて、複数種類の駆動信号を出力する。
【0039】
ASIC55には、表示部15および操作部16が接続されている。表示部15は、制御部50から指示されたメッセージなどを表示領域内に表示する。表示部15は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。表示部15は、報知部の一例である。操作部16は、ユーザによる操作に応じた信号を制御部50に出力する。操作部16は、例えば、押ボタンを有していてもよく、表示部15に重畳されたタッチセンサを有していてもよい。
【0040】
ASIC55には、カバーセンサ56が接続されている。カバーセンサ56は、カバー13が閉状態であるか開状態であるかを示す信号を制御部50に対して出力する。カバーセンサ56は、例えば、カバー13の接離を検知するスイッチなどの機械式センサでもよく、カバー13の位置に応じて光が遮断あるいは透過される光学式センサでもよい。
【0041】
ASIC55には、通信部57が接続されている。通信部57は、外部装置との間で通信を行うためのインタフェースである。プリンタ10は、通信部57を制御することにより、通信ネットワーク65を介して外部装置との間で各種のデータを送受信する。通信ネットワーク65は、例えば、インターネットを含む通信ネットワークでもよく、電話回線や専用線を含む通信ネットワークでもよい。プリンタ10が通信する外部装置には、課金処理を行う課金サーバ60が含まれる。
【0042】
[課金サーバ60]
図3に示されるように、課金サーバ60は、CPU61、RAM62、記憶部63、および通信部64を備えている。通信部64は、プリンタ10などとの間で通信を行うためのインタフェースである。課金サーバ60は、通信部64を制御することにより、通信ネットワーク65を介してプリンタ10などとの間で通信を行う。
【0043】
記憶部63は、通信ネットワーク65を介して課金サーバ60に接続された複数のプリンタに関する課金管理情報を記憶している。例えば、記憶部63は、ユーザとの間で契約が締結されているプリンタ10について、契約番号と印刷枚数とを対応づけて記憶している。課金サーバ60は、プリンタ10の販売会社によって管理されている。
【0044】
[プリンタ10に関する契約]
プリンタ10のユーザは、プリンタ10の販売会社との間で契約を締結し、締結した契約に従いプリンタ10を使用することがある。本実施形態では、例として、プリンタ10の販売会社が、ユーザは対価を支払う代わりに、印刷枚数が契約枚数に達するまでインクを無償で使用できるというサービスを提供する場合を考える。
【0045】
ユーザは、上記サービスに関する契約を締結する前の非契約状態では、市販インクを貯留した市販ボトルを購入し、購入した市販ボトル(図示せず)からタンク30に市販インクを注入する。プリンタ10は、非契約状態では、通常は市販インクを消費して、印刷などを行う。販売会社は、上記サービスに関する契約を締結したユーザに対して、契約インクを貯留した契約ボトル(図示せず)を配送する。販売会社は、例えば、プリンタ10のインクが少なくなると、契約ボトルを配送する。ユーザは、上記サービスに関する契約を締結した後の契約状態では、販売会社から配送された契約ボトルを受け取り、受け取った契約ボトルからタンク30に契約インクを注入する。プリンタ10は、契約状態では、通常は契約インクを消費して、印刷などを行う。
【0046】
プリンタ10の制御部50は、インクの配送に関する契約が締結されていない非契約状態(第1状態の一例)と、当該契約が締結されている契約状態(第2状態の一例)とに遷移し、非契約状態と契約状態とで異なる処理を実行する。EEPROM54は、非契約状態および契約状態のいずれであるかを示す契約情報を記憶している(図3参照)。契約情報は、非契約状態では第1の値(例えば0)を取り、契約状態では第2の値(例えば1)を取る。プリンタ10の電源投入時に、CPU51は、EEPROM54に記憶された契約情報をRAM53に複写する。制御部50は、RAM53に記憶された契約情報に従い、非契約状態と契約状態とに遷移する。
【0047】
上記以外に、ユーザが所有する端末と販売会社のサーバとの間で、プリンタ10のインクの配送に関する契約を締結する処理が実行されたことを契機に、販売会社のサーバからの指示に基づき、制御部50がEEPROM54に記憶された契約情報を非契約状態から契約状態に書き換えてもよい。この場合、ユーザが所有する端末と販売会社のサーバとの間で、上記契約を解除する処理が実行されたことを契機に、販売会社のサーバからの指示に基づき、制御部50がEEPROM54に記憶された契約情報を契約状態から非契約状態に書き換えてもよい。
【0048】
[制御部50が使用するデータ]
制御部50は、CPU51がRAM53に記憶されたプログラムを実行することにより、図4に示されるメイン処理、並びに図5および図6に示される残量計算処理を実行する。以下の説明では、4色のインクを区別するために、1以上4以下の値を取る変数iが使用される。値1から4は、それぞれ、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローに対応する。例えば、1番目のインクはブラックのインクであり、1番目のインク室はブラックのインクを貯留するインク室である。
【0049】
制御部50は、図4から図6に示される処理において、以下のデータを使用する。市販残量Aiは、タンク30に貯留されたi番目の市販インクの残量(i番目のインク室36に貯留されたインクのうち、元々市販ボトルに貯留されていたインクの残量)を示す。契約残量Biは、タンク30に貯留されたi番目の契約インクの残量(i番目のインク室36に貯留されたインクのうち、元々契約ボトルに貯留されていたインクの量)を示す。消費量Siは、プリンタ10がインクを消費する処理(以下、インク消費処理と称される)を実行したときのi番目のインクの消費量を示す。なお、市販残量Aiは、第1状態において収容部に収容された消耗品の残り寿命である第1残り寿命の一例である。契約残量Biは、第2状態において収容部に収容された消耗品の残り寿命である第2残り寿命の一例である。
【0050】
タンク最大量Tiは、タンク30に貯留可能なi番目のインクの最大量を示す。タンク最大量Tiは、固定値であり、i番目のインク室36の容積以下である。記憶残量Miは、契約を解消した時点でタンク30に貯留されているi番目の契約インクの残量を示す。タンク最大量Tiは、消耗品の最大残り寿命の一例である。プリンタ10の動作中、CPU51は、以上のデータをRAM53に記憶させ、RAM53に記憶されたデータを必要に応じて更新する。CPU51は、プリンタ10の電源切断時にデータをRAM53からEEPROM54に複写し、プリンタ10の電源投入時にデータをEEPROM54からRAM53に複写する。
【0051】
補充フラグEiは、カバー13が開閉されたときにi番目のインクが補充されたか否かを示す。補充フラグEiは、i番目のインクが補充されたときにはONに設定され、i番目のインクが補充されていないときにはOFFに設定される。ユーザは、タンク30にインクを補充するときには、タンク30に貯留されたi番目のインクの量がタンク最大量Tiになるまでインクを注入する。
【0052】
課金フラグは、プリンタ10が実行したインク消費処理について、課金サーバ60に課金処理を実行させる否かを示す。課金フラグは、課金サーバ60に課金処理を実行させるときにはONに設定され、課金サーバ60に課金処理を実行させないときにはOFFに設定される。市販フラグFiは、インク消費処理で消費されたi番目のインクがすべて市販インクであるか否かを示す。市販フラグFiは、消費されたi番目のインクがすべて市販インクであるときにはONに設定され、消費されたi番目のインクに契約インクが含まれるときにはOFFに設定される。
【0053】
[メイン処理]
図4が参照されて、制御部50が実行するメイン処理の詳細が説明される。図4に示されるように、制御部50は、メイン処理において、インク消費時の処理(S12からS16)、インク補充時の処理(S23からS28)、および他の処理(S29)を繰り返し実行する。
【0054】
制御部50は、繰り返し処理の先頭において、実行すべき処理がインク消費処理であるか否かを判断する(S11)。制御部50は、S11において、例えば、ユーザが操作部16を操作して印刷指示を入力したときなどに、実行すべき処理がインク消費処理であると判断する。
【0055】
制御部50は、実行すべき処理がインク消費処理であると判断したことに応じて(S11:Yes)、S12へ進む。この場合、制御部50は、インク消費処理を実行する(S12)。制御部50は、S12においてインク消費処理として、例えば、シートに画像を記録する画像記録処理(印刷処理)や、ヘッド22のメンテナンス処理などを実行する。次に、制御部50は、消費時の残量計算処理(図6)を実行する(S13)。消費時の残量計算処理では、課金フラグがONまたはOFFに設定される。
【0056】
次に、制御部50は、課金フラグがONであるか否かを判断する(S14)。制御部50は、課金フラグがONであると判断したことに応じて(S14:Yes)、S15へ進む。この場合、制御部50は、課金すべきこと、すなわち、課金すべきインク消費処理が実行されたことを課金サーバ60に通知する(S15)。制御部50は、S15において、通信部57を制御することにより、契約番号や印刷枚数やタンク30のインク残量などを含む課金情報を課金サーバ60に送信する。
【0057】
次に、制御部50は、課金されたこと示すメッセージを表示部15に表示させる(S16)。制御部50は、S16において、例えば「5枚の印刷に対して課金されました。」と表示部15に表示させる。次に、制御部50は、次の処理を実行するために、S11へ進む。
【0058】
制御部50は、S14において課金フラグがONではない(OFFである)と判断したことに応じて(S14:No)、S15およびS16を実行することなく、S11へ進む。
【0059】
制御部50は、S11において実行すべき処理がインク消費処理ではないと判断したことに応じて(S11:No)、S21へ進む。この場合、制御部50は、カバー13が開状態であるか否かを判断する(S21)。制御部50は、カバー13が開状態であると判断したことに応じて(S21:Yes)、S22へ進む。この場合、制御部50は、カバー13が閉状態であるか否かを判断する(S22)。制御部50は、カバー13が閉状態はでない(開状態である)と判断したことに応じて(S22:No)、S22へ進む。制御部50は、カバー13が閉状態であると判断したことに応じて(S22:Yes)、S23へ進む。このように制御部50は、カバー13が開状態になった後、カバー13が閉状態になるまでS22で待機する。
【0060】
次に、制御部50は、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローの各色について、S23からS26のうち実行すべきステップを実行する。具体的には、制御部50は、最初に変数iの値に1を設定してS23からS26を実行した後、変数iの値を1増加させてS23からS26を繰り返し実行する。そして、変数iの値が4の状態でS25またはS26を実行した後、S27へ進む。
【0061】
制御部50は、各色の処理の先頭において、補充したかを尋ねるメッセージを表示部15に表示させる(S23)。制御部50は、S23において、例えば「i番目のインクを補充しましたか?」と表示部15に表示させる。変数iの値が1のときには、制御部50は、「ブラックのインクを補充しましたか?」と表示部15に表示させる。ユーザは、表示部15に上記メッセージが表示されると、操作部16を操作してYesまたはNoをプリンタ10に入力する。
【0062】
次に、制御部50は、ユーザからの入力がYesであるか否かを判断する(S24)。制御部50は、ユーザからの入力がYesであると判断したことに応じて(S24:Yes)、S25へ進む。この場合、制御部50は、補充フラグEiをONに設定する(S25)。制御部50は、S24においてユーザからの入力がYesではない(Noである)と判断したことに応じて(S24:No)、S26へ進む。この場合、制御部50は、補充フラグEiをOFFに設定する(S26)。制御部50は、各色についてS23からS26のうち実行すべきステップを実行した後、S27へ進む。
【0063】
次に、制御部50は、いずれかの補充フラグEiがONであるか否かを判断する(S27)。制御部50は、いずれかの補充フラグEiがONであると判断したことに応じて(S27:Yes)、S28へ進む。この場合、制御部50は、補充時の残量計算処理(図5)を実行する(S28)。次に、制御部50は、S11へ進む。制御部50は、S27においていずれの補充フラグEiもONではない(OFFである)と判断したことに応じて(S27:No)、S28を実行することなく、S11へ進む。
【0064】
制御部50は、S21においてカバー13が開状態ではない(閉状態である)と判断したことに応じて(S21:No)、S29へ進む。この場合、制御部50は、他の処理(インク消費時の処理、およびインク補充時の処理以外の処理)を実行する(S29)。次に、制御部50は、S11へ進む。
【0065】
このように制御部50は、S12においてインク消費処理を実行した後、課金フラグがONである場合には、S15において課金のための処理(S15)を実行する。また、制御部50は、課金のための処理を実行することに応じて、S16において表示部15に課金の実行を表示させる処理を実行する。
【0066】
[残量計算処理]
図5および図6が参照されて、制御部50が実行する残量計算処理の詳細が説明される。残量計算処理は、図4に示されるS13およびS28から呼び出される。制御部50は、残量計算処理の先頭において、補充時の残量計算処理であるか否かを判断する(S31)。制御部50は、S31において、S28から呼び出された場合は補充時の残量計算処理であると判断し、S13から呼び出された場合は補充時の残量計算処理ではない(消費時の残量計算処理である)と判断する。
【0067】
制御部50は、補充時の残量計算処理であると判断したことに応じて(S31:Yes)、S32へ進む。この場合、制御部50は、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローの各色について、S32からS37およびS41からS46のうち実行すべきステップを実行する。具体的には、制御部50は、最初に変数iの値に1を設定してS32からS37およびS41からS46を実行した後、変数iの値を1増加させてS32からS37およびS41からS46を繰り返し実行する。そして、変数iの値が4の状態で、S32においてNoと判断するか、あるいは、S37、S42、またはS46を実行した後、S11(図4)へ進む。
【0068】
制御部50は、各色の処理の先頭において、補充フラグEiがONであるか否かを判断する(S32)。制御部50は、補充フラグEiがONではない(OFFである)と判断したことに応じて(S32:No)、S33からS37およびS41からS46のいずれも実行しない。このように制御部50は、i番目のインクが補充されていない場合、残量計算処理においてi番目のインクに関する処理を実行しない。
【0069】
制御部50は、S32において補充フラグEiがONであると判断したことに応じて(S32:Yes)、S33へ進む。この場合、制御部50は、契約状態であるか否かを判断する(S33)。制御部50は、S33において、RAM53に記憶された契約情報に基づき、契約状態であるか否かを判断する。制御部50は、契約状態ではない(非契約状態である)と判断したことに応じて(S33:No)、S34へ進む。この場合、制御部50は、契約残量Biが0より大きいか否かを判断する(S34)。
【0070】
制御部50は、契約残量Biが0より大きいと判断したことに応じて(S34:Yes)、S35へ進む。制御部50がS35に到達するのは、非契約状態において、タンク30にi番目の契約インクが残っている状況で、タンク30にi番目のインクが補充された場合である。この場合、制御部50は、タンク30に契約インクが残っていることを示すメッセージを表示部15に表示させる(S35)。制御部50は、S35において、例えば「タンクにi番目の契約インクが残っています。次回契約時にi番目のインクについて、市販インク残量から現時点での契約インク残量を差し引きます。」と表示部15に表示させる。次に、制御部50は、記憶残量Miに契約残量Biを設定する(S36)。次に、制御部50は、市販残量Aiにタンク最大量Tiを設定し、契約残量Biに0を設定する(S37)。
【0071】
制御部50は、S34において契約残量Biが0より大きくない(0である)と判断したことに応じて(S34:No)、S35およびS36を実行することなく、S37へ進む。この場合、制御部50は、S37において上記の処理を行う。
【0072】
このように制御部50は、非契約状態でi番目のインクが補充されたときには、タンク30にi番目の市販インクがタンク最大量Tiまで注入されたとみなして、市販残量Aiをタンク最大量Tiとし、契約残量Biを0とする。また、制御部50は、タンク30にi番目の契約インクが残っていたときには、残っている契約インクの量(契約残量Bi)を記憶残量Miとして記憶部に記憶させる。
【0073】
制御部50は、S33において契約状態であると判断したことに応じて(S33:Yes)、S41へ進む。この場合、制御部50は、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローの各色について、S41からS46のうち実行すべきステップを実行する。
【0074】
制御部50は、各色の処理の先頭において、市販残量Aiが0であるか否かを判断する(S41)。制御部50は、市販残量Aiが0であると判断したことに応じて(S41:Yes)、S42へ進む。この場合、制御部50は、契約残量Biにタンク最大量Tiを設定する(S42)。
【0075】
制御部50は、S41において市販残量Aiが0ではないと判断したことに応じて(S41:No)、S43へ進む。この場合、制御部50は、市販残量Aiが記憶残量Mi以上であるか否かを判断する(S43)。制御部50は、市販残量Aiが記憶残量Mi以上であると判断したことに応じて(S43:Yes)、S44へ進む。この場合、制御部50は、市販残量Aiから記憶残量Miを減算し、記憶残量Miに0を設定する(S44)。次に、制御部50は、契約残量Biに(タンク最大量Ti-市販残量Ai)を設定する(S46)。
【0076】
制御部50は、S43において市販残量Aiが記憶残量Mi以上ではない(記憶残量Mi未満である)と判断したことに応じて(S43:No)、S45へ進む。この場合、制御部50は、記憶残量Miから市販残量Aiを減算し、市販残量Aiに0を設定する(S45)。次に、制御部50は、S46へ進み、S46において上記の処理を行う。制御部50は、各色について、S32からS37およびS41からS46のうち実行すべきステップを実行した後、残量計算処理を終了する。
【0077】
このように制御部50は、契約状態でi番目のインクが補充されたときには、タンク30にi番目の契約インクがタンク最大量Tiまで注入されたとみなして、契約残量Biをタンク30に注入可能なi番目のインクの最大量とする。タンク30に注入可能なi番目のインクの最大量は、タンク30にi番目の市販インクが残っていないときにはタンク最大量Tiであり、タンク30にi番目の市販インクが残っているときには(タンク最大量Ti-市販残量Ai)である。
【0078】
また、制御部50は、S35においてユーザに通知した「市販インク残量から現時点の契約インク残量を差し引く処理」を行う。具体的には、制御部50は、S44において、市販残量Aiから記憶残量Miを減算して、記憶残量Miを0にする。ただし、市販残量Aiが記憶残量Mi未満のときには、市販残量Aiから記憶残量Miを減算できないので、制御部50は、S45において、市販残量Aiを0にし、記憶残量Miから市販残量Aiを減算する。
【0079】
制御部50は、S31において補充時の残量計算処理ではない(消費時の残量計算処理である)と判断したことに応じて(S31:No)、S51へ進む。この場合、制御部50は、契約状態であるか否かを判断する(S51)。制御部50は、契約状態であると判断したことに応じて(S51:Yes)、S52へ進む。この場合、制御部50は、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローの各色について、S52からS56のうち実行すべきステップを実行する。具体的には、制御部50は、最初に変数iの値に1を設定してS52からS56を実行した後、変数iの値を1増加させてS52からS56を繰り返し実行する。そして、変数iの値が4の状態でS54またはS56を実行した後、S61へ進む。
【0080】
制御部50は、各色の処理の先頭において、市販残量Aiが消費量Si以上であるか否かを判断する(S52)。制御部50は、市販残量Aiが消費量Si以上であると判断したことに応じて(S52:Yes)、S53へ進む。この場合、制御部50は、市販残量Aiから消費量Siを減算する(S53)。次に、制御部50は、市販フラグFiをONに設定する(S54)。
【0081】
制御部50は、S52において市販残量Aiが消費量Si以上ではない(消費量Si未満である)と判断したことに応じて(S52:No)、S55へ進む。この場合、制御部50は、契約残量Biから(消費量Si-市販残量Ai)を減算し、市販残量Aiに0を設定する(S55)。次に、制御部50は、市販フラグFiをOFFに設定する(S56)。制御部50は、各色について、S52からS56のうち実行すべきステップを実行した後に、S61へ進む。
【0082】
このように制御部50は、非契約状態でインクが消費されたときには、市販インクを優先して減少させる処理を行う。具体的には、市販残量Aiが消費量Si以上の場合には、制御部50は、市販インクが消費されたとみなして、S53において市販残量Aiから消費量Siを減算する。一方、市販残量Aiが消費量Si未満の場合には、制御部50は、市販インクが全部消費され、契約インクが不足分だけ消費されたとみなして、S55において、契約残量Biから(消費量Si-市販残量Ai)を減算し、市販残量Aiを0にする。
【0083】
次に、制御部50は、実行したインク消費処理が課金対象の印刷であるか否かを判断する(S61)。インク消費処理には、課金対象のインク消費処理と、課金対象外のインク消費処理とが含まれている。制御部50は、S61において、例えば、ユーザから指示された画像記録処理(印刷処理)などを課金対象のインク消費処理と判断し、ヘッド22のメンテナンス処理やメンテナンス用のテスト印刷処理などを課金対象外のインク消費処理と判断する。
【0084】
制御部50は、インク消費処理が課金対象の印刷であると判断したことに応じて(S61:Yes)、S62へ進む。この場合、制御部50は、すべての市販フラグFiがONであるか否かを判断する(S62)。制御部50は、いずれかの市販フラグFiがONではない(OFFである)と判断したことに応じて(S62:No)、S63へ進む。この場合、制御部50は、課金フラグをONに設定する(S63)。
【0085】
制御部50は、S61においてインク消費処理が課金対象の印刷ではないと判断したことに応じて(S61:No)、S64へ進む。また、制御部50は、S62においてすべての市販フラグFiがONであると判断したことに応じて(S62:Yes)、S64へ進む。これらの場合、制御部50は、課金フラグをOFFに設定する(S64)。
【0086】
制御部50は、S51において契約状態ではない(非契約状態である)と判断したことに応じて(S51:No)、S65へ進む。この場合、制御部50は、ブラック、マゼンタ、シアン、およびイエローの各色について、市販残量Aiから消費量Siを減算する(S65)。次に、制御部50は、課金フラグをOFFに設定する(S66)。制御部50は、S63、S64、およびS66のいずれかを実行した後、残量計算処理を終了する。
【0087】
このように制御部50は、今回のインク消費処理で市販インクがなくならないとき(市販残量Aiが消費量Si以上のとき)には、S54において市販フラグFiをONに設定し、市販インクがなくなるときには、S56において市販フラグFiをOFFに設定する。制御部50は、課金対象の印刷ではないとき、または、すべての市販フラグFiがONであるときには、S64において課金フラグをOFFに設定し、課金のための処理(S15)を実行しない。制御部50は、課金対象の印刷であり、かつ、いずれかの市販フラグFiがOFFであるときには、S63において課金フラグをONに設定し、S15において課金のための処理を実行する。
【0088】
なお、本実施形態では、制御部50は、市販残量Aiが消費量Si以上のときに市販フラグFiをONに設定し、市販残量Aiが消費量Si未満のときに市販フラグFiをOFFに設定することとした。これに代えて、制御部50は、市販残量Aiが(消費量Si+α)以上のときに市販フラグFiをONに設定し、市販残量Aiが(消費量Si+α)未満のときに市販フラグFiをOFFに設定してもよい。ただし、αは正の値である。
【0089】
[課金サーバ60の動作]
上述されたように、プリンタ10の制御部50は、S15(図4)において、課金サーバ60へ課金情報を送信する。課金情報には、契約番号や印刷枚数やタンク30のインク残量などが含まれている。課金情報には、印刷日時、シートのサイズや種類などの情報が含まれていてもよい。
【0090】
課金サーバ60のCPU61(図3参照)は、通信部64を介してプリンタ10から課金情報を受信すると、受信した課金情報から契約番号を取得する。CPU61は、記憶部63に記憶されている印刷枚数のうち、取得した契約番号に対応する印刷枚数に、受信した課金情報に含まれる印刷枚数分の値を加算する。これにより、CPU61は、ユーザとの間で契約が締結されているプリンタ10における印刷枚数を求める。課金サーバ60の管理者は、所定の期間(例えば、1ヵ月)における印刷枚数に応じて、プリンタ10のユーザに対価の支払いを要求する。例えば、課金サーバ60の管理者は、所定の期間における印刷枚数が契約枚数を超えた場合に、プリンタ10のユーザに対して、契約枚数に対する対価に加えて、契約枚数を超えた分の印刷枚数に応じた対価の支払いを要求する。
【0091】
なお、プリンタ10から課金サーバ60へ送信される課金情報は、課金サーバ60において課金処理を実行する契機となる指示である。課金サーバ60は、課金情報を受信したときにプリンタ10のユーザについて必ず課金する訳ではなく、課金情報を受信したときにプリンタ10のユーザについて課金に関する何らかの処理を実行すればよい。
【0092】
[制御部50が実行する処理]
以上の説明において、S37、S44、S45、S53、S55、およびS65は、第1残り寿命(第1状態において収容部に収容された消耗品の残り寿命)を決定する第1決定処理の一例である。S12は、第2状態において消耗品を消費させる消費処理の一例である。S15は、課金のための課金対応処理の一例である。S14、S15、S52、S54、S56、およびS61からS64は、消費処理によって減少する第1残り寿命が所定量に到達するまでは、課金対応処理を実行せず、第1残り寿命が所定量に到達した後は、課金対応処理を実行する課金制御処理の一例である。
【0093】
S37、S42、S44からS46、およびS55は、第2残り寿命(第2状態において収容部に収容された消耗品の残り寿命)を決定する第2決定処理の一例である。S36は、第2残り寿命を記憶部に記憶させる記憶処理の一例である。S36は、非契約状態でタンク30にインクが注入されたこと(第1状態で収容部に消耗品が収容されたことの一例)に応じて実行される。S43、S44およびS45は、記憶部に記憶された第2残り寿命に基づき第1残り寿命を補正する補正処理の一例である。補正処理は、契約状態でタンク30にインクが注入されたこと(第2状態で収容部に消耗品が収容されたことの一例)に応じて実行される。S16は、報知部に課金の実行を報知させる報知処理の一例である。報知処理は、S15を実行すること(課金制御処理において課金対応処理を実行することの一例)に応じて実行される。
【0094】
[実施形態の作用効果]
以上に示されるように、本実施形態に係るプリンタ10は、インクを収容するタンク30と、制御部50とを備えている。制御部50は、インクの配送に関する契約が締結されていない非契約状態と、契約が締結されている契約状態とに遷移する。制御部50は、非契約状態においてタンク30に収容されたインクの残量である市販残量を決定する第1決定処理(S37、S44、S45、S53、S55、およびS65)と、契約状態においてインクを消費させる消費処理(S12)と、消費処理によって減少する市販残量が所定量に到達する(なくなる)までは、課金のための課金対応処理(S15)を実行せず、市販残量が所定量に到達した(なくなった)後は、課金対応処理を実行する課金制御処理(S14、S15、S52、S54、S56、およびS61からS64)と、を実行する。
【0095】
ユーザがインクの配送に関する契約を締結する場合、プリンタ10は、契約前に収容されたインクの残量が契約後のインク消費処理によって所定量に到達するまで、課金のための処理を実行しない。したがって、ユーザがインクの配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【0096】
また、タンク30は、複数の色のインクを収容可能である。制御部50は、課金制御処理において、複数の色のインクのうち少なくとも1つの市販残量が所定量に到達した後である場合(S62:Noの場合)に、課金対応処理を実行する。したがって、プリンタ10が複数の色のインクを収容できる場合に、ユーザがインクの配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【0097】
また、インク消費処理は、課金対象のインク消費処理と課金対象外のインク消費処理とを含んでいる。制御部50は、課金制御処理において、インク消費処理が課金対象の消費処理であり、かつ市販残量が所定量に到達した後である場合(S61:YesかつS62:Noの場合)に、課金対応処理を実行する。したがって、課金対象のインク消費処理と課金対象外のインク消費処理とがある場合に、ユーザがインクの配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【0098】
また、制御部50は、契約状態においてタンク30に収容されたインクの残量である契約残量を決定する第2決定処理(S37、S42、S44からS46、およびS55)をさらに実行する。このように市販残量に加えて契約残量を決定することにより、契約残量を参照して、課金の開始タイミングを好適に決定できる。
【0099】
また、制御部50は、契約状態でタンク30にインクが収容された後に実行される第2決定処理(S46)において、インクの最大残り寿命であるタンク最大量と市販残量との差を契約残量とする。このように契約後にインクが収容されたことに応じて、市販残量に基づき契約残量を決定することにより、契約残量を正確に決定できる。
【0100】
また、制御部50は、消費処理を実行した後に実行される第1決定処理および第2決定処理(S52およびS55)において、市販残量および契約残量のうち、市販残量を優先して減少させる。このようにインクが消費されたときに市販残量を優先して減少させることにより、インク消費処理では契約前に収容された市販インクが優先して消費される扱いとし、課金を早期に開始できる。
【0101】
また、制御部50は、記憶部を有し、非契約状態でタンク30にインクが収容されたことに応じて(S33:Noの場合)、契約残量Biを記憶部に記憶させる記憶処理(S36)と、契約状態でタンク30にインクが収容されたことに応じて(S33:Yesの場合)、第2決定処理(S46)を実行する前に、記憶部に記憶された契約残量に基づき市販残量を補正する補正処理(S43からS45)と、をさらに実行する。このように非契約状態でインクが収容されたときに、契約残量を記憶し、契約状態でインクが収容されたときに、記憶された契約残量に基づき市販残量を補正することにより、契約を解消した時点の契約残量を参照して、課金の開始タイミングを好適に決定できる。
【0102】
また、プリンタ10は、表示部15をさらに備え、制御部50は、課金制御処理において課金対応処理を実行する(S15を実行する)ことに応じて、S16において表示部15に課金の実行を表示させる報知処理をさらに実行する。したがって、ユーザは、表示部15による表示によって課金されたことを認識できる。
【0103】
また、プリンタ10は、キャリッジ21やヘッド22などを含む印刷部をさらに備え、消耗品は印刷剤である。収容部は、印刷剤の注入口37を有し、注入口37から注入された印刷剤を貯留するタンク30である。制御部50は、第1決定処理において、非契約状態においてタンク30に収容された印刷剤の残量を市販残量(第1残り寿命)として決定し、消費処理において印刷部に、タンク30に貯留された印刷剤を消費して印刷を実行させ、課金制御処理において、消費処理によって減少する印刷剤の残量が所定量に到達するまでは、課金対応処理を実行せず、印刷剤の残量が所定量に到達した後は、課金対応処理を実行する。
【0104】
したがって、消耗品消費装置が、印刷部と、印刷剤の注入口を有するタンクとを備えたタンクモデルのプリンタである場合に、ユーザが印刷剤の配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【0105】
また、プリンタ10のCPU51によって実行されるプログラムは、制御部50に、上述された第1決定処理と、消費処理と、課金制御処理と、を実行させる。したがって、ユーザがインクの配送に関する契約を締結する場合、このプログラムは、契約前に収容されたインクの残量が契約後の消費処理によって所定量に到達するまで、消耗品消費装置に課金のための処理を実行させない。したがって、ユーザがインクの配送に関する契約を締結した後に、課金に関して不利益を受けることを防止できる。
【0106】
[変形例]
上記実施形態に係るプリンタ10については、各種の変形例を構成できる。例えば、プリンタ10では、制御部50が所定の順序で複数のステップを実行することとしたが、同様の結果が得られる限り、複数のステップの実行順序は上記以外の順序でもよい。例えば、制御部50は、図4に示されるS15およびS16を逆の順序で実行してもよく、図5に示されるS35およびS36を逆の順序で実行してもよく、あるいは、図6に示されるS53およびS54を逆の順序で実行してもよい。
【0107】
また、プリンタ10では、制御部50は、S23においてインクを補充したかどうかを表示部15に表示させ、S24において操作部16を用いたユーザからの入力に基づき、インクが補充されたか否かを判断することとした。これに代えて、制御部50は、カバー13の開閉によって、カバーセンサ56の出力信号がカバー13が開状態であることを示すレベルからカバー13が閉状態であることを示すレベルに変化したことに応じて、ユーザがインクを補充したと判断してもよい。あるいは、タンク30にインク検出センサが設けられており、制御部50は、インク検出センサの出力信号がインクを検出しない状態を示すレベルからインクを検出した状態を示すレベルに変化したことに応じて、ユーザがインクを補充したと判断してもよい。
【0108】
また、プリンタ10の印刷部は、キャリッジ21、給送ローラ26、搬送ローラ27、および排出ローラ28を含むこととした。変形例に係るプリンタの印刷部は、これらの要素以外の要素を含んでいてもよい。また、変形例に係るプリンタの印刷部は、キャリッジ21を含んでいなくてもよく、給送ローラ26、搬送ローラ27、および排出ローラ28のいずれかを含んでいなくてもよい。
【0109】
また、プリンタ10では、消耗品はインクであることとした。変形例に係るプリンタでは、消耗品は、例えば、トナー、用紙、各種のローラ(現像ローラ、定着ローラ、搬送ローラなど)、ヘッドなどであってもよい。印刷剤は、例えばトナーであってもよい。
【0110】
変形例に係るプリンタの制御部は、トナー、用紙、ローラ、ヘッドなどの消耗品を消費して印刷を実行させる。消耗品がトナーである場合、プリンタは、トナーを貯留するタンクを収容部として備えている。消耗品が用紙である場合、プリンタは、用紙を収容する給送トレイを収容部として備えている。消耗品がローラである場合、プリンタは、ローラを取り付け可能に構成されたローラ取付部を収容部として備えている。消耗品がヘッドである場合、プリンタは、ヘッドを取り付け可能なヘッド取付部を収容部として備えている。キャリッジ21は、ヘッド取付部の一例である。
【0111】
消耗品がインク以外である場合でも、プリンタのユーザは、プリンタの販売会社との間で契約を締結し、締結した契約に従いプリンタを使用することがある。プリンタの販売会社は、例えば、ユーザは対価を支払う代わりに、印刷枚数が契約枚数に達するまでトナー、用紙、ローラ、ヘッドなどの消耗品を無償で使用できるというサービスを提供する。
【0112】
例えば、消耗品がローラである場合、ユーザは、非契約状態では、市販ローラを購入し、購入した市販ローラをプリンタのローラ取付部に取り付ける。プリンタは、非契約状態では、通常は市販ローラを消費して、印刷などを行う。販売会社は、サービスに関する契約を契約したユーザに対して、契約ローラを配送する。ユーザは、契約状態では、販売会社から配送された契約ローラを受け取り、受け取った契約ローラをプリンタのローラ取付部に取り付ける。プリンタは、契約状態では、通常は契約ローラを消費して、印刷などを行う。ここで、ローラを消費するとは、例えば、ローラにおいて用紙と接触する部分を摩耗させることである。
【0113】
上記実施形態に係るプリンタ10と同様に、消耗品がローラである場合のプリンタを構成できる。同様に、消耗品がトナー、用紙、ヘッドなどである場合のプリンタも構成できる。同様に、消耗品を消費する、プリンタ以外の消耗品消費装置も構成できる。
【符号の説明】
【0114】
10・・・プリンタ(消耗品消費装置)
15・・・表示部(報知部)
21・・・キャリッジ(印刷部の一部)
22・・・ヘッド(印刷部の一部)
24・・・プラテン(印刷部の一部)
26・・・給送ローラ(印刷部の一部)
27・・・搬送ローラ(印刷部の一部)
28・・・排出ローラ(印刷部の一部)
30・・・タンク(収容部)
37・・・注入口
50・・・制御部
53・・・RAM(記憶部)
54・・・EEPROM(記憶部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6