(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052065
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】接触検知装置
(51)【国際特許分類】
G01L 1/14 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
G01L1/14 L
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158512
(22)【出願日】2022-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000219602
【氏名又は名称】住友理工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 孝美
(72)【発明者】
【氏名】綱木 一良
(72)【発明者】
【氏名】前田 拓磨
(57)【要約】
【課題】起動時に導体が接触した状態であっても、導体の接触を正確に検知可能な接触検知装置を提供する。
【解決手段】静電型センサ7と、複数の検知領域LF,RF,LB,RBに導体が接触したか否かを検知する判定処理器30と、を備える接触検知装置10であって、判定処理器30は、記憶部31と、判定用基準値設定部32と、判定処理部33と、を備え、判定用基準値設定部32は、静電容量相当値と設定用基準値41との差分が閾値43を超えている検知領域を、導体が接触する接触領域と判断し、静電容量相当値と設定用基準値41との差分が閾値43以下である検知領域を、導体が接触していない非接触領域と判断し、接触領域が存在すると判断し、且つ非接触領域が存在すると判断したとき、接触領域に対して、非接触領域に対応する設定用基準値41を、接触領域の判定用基準値42として設定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体に接触される複数の検知領域を有する静電型センサと、
前記静電型センサにより検知された前記複数の検知領域各々の静電容量相当値に基づいて、前記複数の検知領域に前記導体が接触したか否かを検知する判定処理器と、
を備える接触検知装置であって、
前記判定処理器は、
前記複数の検知領域各々に前記導体が接触していない状態に対応する静電容量相当値である設定用基準値、前記複数の検知領域各々の判定用基準値、および前記複数の検知領域各々に共通にまたは個別に対応付けられた閾値を格納する記憶部と、
前記接触検知装置が起動された後に実行されるイニシャル処理により、前記複数の検知領域各々の前記判定用基準値を設定する判定用基準値設定部と、
前記イニシャル処理後に、前記複数の検知領域各々において、前記静電容量相当値と前記判定用基準値とを比較することにより前記導体が接触したか否かを検知する判定処理部と、を備え、
前記判定用基準値設定部は、
前記複数の検知領域のうち、前記静電容量相当値と前記設定用基準値との差分が前記閾値を超えている検知領域を、前記導体が接触する接触領域と判断し、
前記複数の検知領域のうち、前記静電容量相当値と前記設定用基準値との差分が前記閾値以下である検知領域を、前記導体が接触していない非接触領域と判断し、
前記接触領域が存在すると判断し、且つ前記非接触領域が存在すると判断したとき、前記接触領域に対して、前記非接触領域に対応する前記設定用基準値を、前記接触領域の判定用基準値として設定する、接触検知装置。
【請求項2】
前記判定用基準値設定部は、
前記複数の検知領域のすべてが前記接触領域であると判断したとき、前記接触領域に対して、前記接触領域に対応する前記設定用基準値を前記判定用基準値として設定する、請求項1に記載の接触検知装置。
【請求項3】
前記判定用基準値設定部は、
前記非接触領域が存在すると判断したとき、前記非接触領域に対して、前記イニシャル処理により検知された前記非接触領域に対応する前記静電容量相当値または前記静電容量相当値に基づく値を、前記設定用基準値として設定する、請求項1に記載の接触検知装置。
【請求項4】
前記複数の検知領域のうち前記判定用基準値の設定対象は対象検知領域とされ、前記複数の検知領域のうち前記対象検知領域と異なるものは前記対象検知領域の前記判定用基準値の設定元となる複数の設定元検知領域とされており、
前記記憶部は、さらに、前記複数の設定元検知領域の設定元優先順位を格納しており、
前記判定用基準値設定部は、
前記非接触領域が複数個存在すると判断し、且つ、前記接触領域が存在すると判断したとき、前記設定元優先順位に基づいて、複数の前記非接触領域の中から、前記接触領域の前記判定用基準値の設定元となる前記非接触領域を選択する、請求項1に記載の接触検知装置。
【請求項5】
前記判定用基準値設定部は、
前記設定元優先順位にしたがって、前記複数の設定元検知領域が前記接触領域であるか、または前記非接触領域であるかを判定し、
前記複数の設定元検知領域の中から、前記接触領域の前記判定用基準値の設定元となる前記非接触領域を選定する、請求項4に記載の接触検知装置。
【請求項6】
前記設定元優先順位は、前記複数の検知領域各々において異なる順位に設定されている、請求項4または5に記載の接触検知装置。
【請求項7】
前記静電型センサは、長尺の第一方向について間隔を空けて並ぶとともに、前記第一方向に直交する短尺の第二方向について間隔を空けて並ぶ4つの前記検知領域を有し、
前記設定元優先順位は、前記第一方向に隣接する位置を第一優先順位に設定されている、請求項5に記載の接触検知装置。
【請求項8】
前記静電型センサは、長尺の第一方向について間隔を空けて並ぶとともに、前記第一方向に直交する短尺の第二方向について間隔を空けて並ぶ4つの前記検知領域を有し、
前記設定元優先順位は、対角位置を第二優先順位に設定されている、請求項7に記載の接触検知装置。
【請求項9】
4つの前記検知領域について、前記第一方向に隣接する前記検知領域の間隔は、前記第二方向に隣接する前記検知領域の間隔よりも大きい、請求項7または8に記載の接触検知装置。
【請求項10】
前記静電型センサは、第一方向について間隔を空けて並ぶとともに、前記第一方向に直交する第二方向について間隔を空けて並ぶ4つの前記検知領域を有し、
前記設定元優先順位は、対角位置を第一優先順位に設定されている、請求項5に記載の接触検知装置。
【請求項11】
前記静電型センサは、車両のステアリングホイール用センサであり、
前記静電型センサは、前記車両の運転者から見て、左正面、右正面、左裏面、右裏面に位置する4つの前記検知領域を有し、
前記設定元優先順位は、左右反対側の位置を第一優先順位に設定されている、請求項5に記載の接触検知装置。
【請求項12】
前記設定元優先順位は、左右反対側であって正裏同一側の位置を第一優先順位に設定されている、請求項11に記載の接触検知装置。
【請求項13】
前記設定元優先順位は、左右反対側であって正裏反対側の位置を第一優先順位に設定されている、請求項11に記載の接触検知装置。
【請求項14】
前記設定元優先順位は、前記対象検知領域に隣接していない前記設定元検知領域が、前記対象検知領域に隣接している前記設定元検知領域よりも上位の順位に設定されている、請求項4に記載の接触検知装置。
【請求項15】
前記静電型センサは、3以上の前記検知領域を有し、
前記設定元優先順位は、前記対象検知領域と異なる他の2以上の設定元検知領域のうち、前記対象検知領域から最も離れた設定元検知領域を第一優先順位に設定されている、請求項14に記載の接触検知装置。
【請求項16】
前記判定処理器は、さらに、
前記複数の検知領域各々において、前記静電容量相当値と前記設定用基準値とを比較することにより前記導体が接触していない非接触領域であると判断したとき、前記設定用基準値を前記静電容量相当値または前記静電容量相当値に基づく値に更新する更新部を備える、請求項1に記載の接触検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量の変化で人体の接触を検知するグリップセンサを用いた情報入力装置が、例えば特許文献1に提案されている。
【0003】
この特許文献1では、運転者からの情報が入力される情報入力インターフェースは、ステアリングホイールのグリップの曲面に、運転者から見て左右に配置される。その情報入力インターフェースは、例えば、排他領域の電極群と入力領域の電極群で構成される。これらの電極群は、互いに他の電極群と絶縁されて配置されている。運転者の手がいずれかの電極群に触れた場合、これらの電極群は静電容量の変化量をそれぞれ独立して測定できる。この情報入力装置によると、測定した静電容量の変化量により運転者の手の接触を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の情報入力装置では、人体がグリップに接触したことによる静電容量の変化量を測定するために、手を触れていない状態での測定値を基準値として記憶しておき、測定値から基準値を差し引いていた。しかし、たとえば左側の情報入力インターフェースに手が触れたままで情報入力装置を起動すると、手が触れた状態での測定値が初期の基準値として決定される。このように、初期の基準値が、人の手が触れた状態の測定値とされてしまうと、人の接触を正確に検知できないという課題があった。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、起動時に導体が接触した状態であっても、導体の接触を正確に検知可能な接触検知装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
導体に接触される複数の検知領域を有する静電型センサと、
前記静電型センサにより検知された前記複数の検知領域各々の静電容量相当値に基づいて、前記複数の検知領域に前記導体が接触したか否かを検知する判定処理器と、
を備える接触検知装置であって、
前記判定処理器は、
前記複数の検知領域各々に前記導体が接触していない状態に対応する静電容量相当値である設定用基準値、前記複数の検知領域各々の判定用基準値、および前記複数の検知領域各々に共通にまたは個別に対応付けられた閾値を格納する記憶部と、
前記接触検知装置が起動された後に実行されるイニシャル処理により、前記複数の検知領域各々の前記判定用基準値を設定する判定用基準値設定部と、
前記イニシャル処理後に、前記複数の検知領域各々において、前記静電容量相当値と前記判定用基準値とを比較することにより前記導体が接触したか否かを検知する判定処理部と、を備え、
前記判定用基準値設定部は、
前記複数の検知領域のうち、前記静電容量相当値と前記設定用基準値との差分が前記閾値を超えている検知領域を、前記導体が接触する接触領域と判断し、
前記複数の検知領域のうち、前記静電容量相当値と前記設定用基準値との差分が前記閾値以下である検知領域を、前記導体が接触していない非接触領域と判断し、
前記接触領域が存在すると判断し、且つ前記非接触領域が存在すると判断したとき、前記接触領域に対して、前記非接触領域に対応する前記設定用基準値を、前記接触領域の判定用基準値として設定する、接触検知装置にある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、イニシャル処理時に、検知領域に導体が接触した場合でも、接触領域の判定用基準値として、非接触領域に対応する設定用基準値が設定される。これにより、検知領域に導体が接触した場合でも、導体の接触を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1のステアリングホイールを示す正面図。
【
図3】実施形態1の静電センサを示す一部切欠斜視図。
【
図4】実施形態1のステアリングホイールから表皮材を外した状態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図。
【
図5】実施形態1の接触検知装置の構成を示すブロック図。
【
図6】実施形態1の静電型センサにおいて、左正面検知領域が対象検知領域とされたときの設定元優先順位を示す平面図。
【
図7】実施形態1の静電型センサにおいて、左裏面検知領域が対象検知領域とされたときの設定元優先順位を示す平面図。
【
図8】実施形態1の静電型センサにおいて、右正面検知領域が対象検知領域とされたときの設定元優先順位を示す平面図。
【
図9】実施形態1の静電型センサにおいて、右裏面検知領域が対象検知領域とされたときの設定元優先順位を示す平面図。
【
図10】実施形態1の接触検知装置のメインフローを示すフローチャート。
【
図11】実施形態1の接触検知装置のイニシャル処理を示すフローチャート。
【
図12】実施形態1の接触検知装置の、左正面検知領域の判定用基準値設定処理を示すフローチャート。
【
図13】実施形態1の接触検知装置の、左裏面検知領域の判定用基準値設定処理を示すフローチャート。
【
図14】実施形態1の接触検知装置の、右正面検知領域の判定用基準値設定処理を示すフローチャート。
【
図15】実施形態1の接触検知装置の、右裏面検知領域の判定用基準値設定処理を示すフローチャート。
【
図16】実施形態1の接触検知装置の判定処理を示すフローチャート。
【
図17】実施形態1の接触検知装置の更新処理を示すフローチャート。
【
図18】実施形態1の接触検知装置の、左正面検知領域の設定用基準値更新処理のフローチャート。
【
図19】実施形態1の接触検知装置の、左裏面検知領域の設定用基準値更新処理のフローチャート。
【
図20】実施形態1の接触検知装置の、右正面検知領域の設定用基準値更新処理のフローチャート。
【
図21】実施形態1の接触検知装置の、右裏面検知領域の設定用基準値更新処理のフローチャート。
【
図22】実施形態2の静電型センサにおいて、左正面検知領域が対象検知領域とされたときの設定元優先順位を示す平面図。
【
図23】実施形態3の静電型センサにおいて、左前検知領域が対象検知領域とされたときの設定元優先順位第一位を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.ステアリングホイール1の構成
本発明に係る接触検知装置10を車両(図示せず)のステアリングホイール1に適用した実施形態1について説明する。まず、ステアリングホイール1の構造について
図1~
図2を参照して説明する。ステアリングホイール1は、
図1に示すように、円形リング状に形成されたリング部2と、リング部2よりも小さく形成されてリング部2の径方向の内側に配置されるコア部3と、コア部3とリング部2とを接続する複数(本実施形態では3つ)の接続部4とを備える。ただし、接続部4の個数は特に限定されず、1~2つ、又は4つ以上でもよい。
【0011】
以下の説明では、車両(図示せず)に搭乗した運転者(図示せず)から見て右方を矢線Xで示す方向とし、運転者から見て上方を矢線Zで示す方向とし、運転者の正面に接近する方向を矢線Yで示す方向とする。
【0012】
図2に示すように、リング部2は、芯体5、樹脂内層材6、静電型センサ7、及び、表皮材8を備える。芯体5は、リング部2の中心部を構成し、リング部2の形状に対応する形状に形成されている。つまり、芯体5は、円形リング状に形成され、円形状の軸直角断面を有している。ここで、芯体5の軸直角断面形状は、円形状に限られることなく、楕円形状、卵形状、U字状、C字状、多角形状等、任意の形状とすることができる。本形態の芯体5は、アルミニウム、マグネシウム等の金属により形成されており、導電性を有する。芯体5の材質は、金属以外の材料を適用することができる。
【0013】
樹脂内層材6は、芯体5の外面において、芯体5のリング形状の全周に亘って、且つ、芯体5の円断面形状の全周に亘って被覆する。本形態においては、樹脂内層材6の軸直角断面は円形状に形成されている。仮に、芯体5がU字状の軸直角断面を有する場合には、樹脂内層材6は、芯体5の軸直角断面における径方向外側に加えて、芯体5のU字状の凹所にも充填される。樹脂内層材6は、芯体5の外面側に射出成形により成形されており、芯体5の外面に直接的に接合されている。樹脂内層材6の軸直角断面形状は、円形状に限られることなく、卵形状、楕円形状、多角形状等、任意の形状とすることができる。樹脂内層材6は、例えば、発泡ウレタン樹脂を用いる。なお、樹脂内層材6は、非発泡樹脂を用いることもできる。
【0014】
樹脂内層材6の外面には、静電型センサ7が配置されている。静電型センサ7は、静電型センサ7に指または手等の導体(図示せず)が接触すると、静電型センサ7の静電容量相当値が変化するように構成されている。本形態に係る静電型センサ7は、車両のステアリングホイール1に適用されるステアリングホイール用センサである。静電型センサ7については、後に詳述する。
【0015】
表皮材8は、静電型センサ7の外面(静電型センサ7における樹脂内層材6とは反対側の面)において、静電型センサ7の全周に亘って被覆する。つまり、表皮材8は、後述するように、第一電極層22が絶縁シート21の第一面24側に露出している場合には、第一電極層22の被覆材としても機能する。表皮材8は、射出成形により成形されており、静電型センサ7の外面側に巻き付けられて静電型センサ7の外面に接合されている。表皮材8は、例えば、ウレタン樹脂により成形されている。表皮材8の外面は、意匠面を構成する。そこで、表皮材8は、非発泡ウレタン樹脂、又は、僅かに発泡させたウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0016】
2.静電型センサ7の全体構成
実施形態1の静電型センサ7の全体構成について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3に、ステアリングホイール1に巻付ける前の状態の静電型センサ7を示す。
図3に示すように、静電型センサ7は、絶縁シート21と、左正面検知領域LFと、左裏面検知領域LBと、右正面検知領域RFと、右裏面検知領域RBと、を備える。絶縁シート21は長尺方向に細長くのびた帯状に形成されているとともに、短尺方向について短尺に形成されている。
【0017】
左正面検知領域LF、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RF、および右裏面検知領域RBは、絶縁シート21の第一面24および第二面25に配列されている。左正面検知領域LF、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RF、および右裏面検知領域RBは、絶縁シート21の長尺方向に細長くのびた帯状に形成されているとともに、絶縁シート21の短尺方向について短尺に形成されている。絶縁シート21の長尺方向が第一方向の一例とされ、絶縁シート21の短尺方向が第二方向の一例とされる。
【0018】
図3に示すように、左正面検知領域LFと右正面検知領域RFとは、長尺方向に間隔を空けて並んで配置されている。また、左裏面検知領域LBと右裏面検知領域RBとは、長尺方向に間隔を空けて並んで配置されている。
【0019】
左正面検知領域LFと左裏面検知領域LBとは、短尺方向に間隔を空けて並んで配置されている。また、右正面検知領域RFと右裏面検知領域RBとは、短尺方向に間隔を空けて並んで配置されている。
【0020】
図4(a)~(c)に、表皮材8を外した状態のステアリングホイール1を示す。
図4(a)~(c)においては、静電型センサ7が、ステアリングホイール1の樹脂内層材6の表面に巻付けられた状態になっている(
図2参照)。
図4(a)~(c)に示すように、静電型センサ7は、複数(本形態では4つ)の検知領域LF,RF,LB,RBを備える。ただし、検知領域LF,RF,LB,RBの個数は、1~3つ、または5つ以上でもよい。各検知領域LF,RF,LB,RBは長尺なシート状に形成されている。静電型センサ7は、運転者から見て、樹脂内層材6の、左正面側に配置された左正面検知領域LF、右正面側に配置された右正面検知領域RF、左裏面側に配置された左裏面検知領域LB、および右裏面側に配置された右裏面検知領域RBを備える。各検知領域LF,RF,LB,RBは、ステアリングホイール1の樹脂内層材6の表面に、接着、熱融着等の公知の手法により固定されている。
【0021】
静電型センサ7がステアリングホイール1に巻付けられた状態では、各検知領域LF,RF,LB,RBの長尺方向(第一方向)は、ステアリングホイール1のリング部2の中心軸線に沿う方向となっており、各検知領域LF,RF,LB,RBの短尺方向(第二方向)は、リング部2の軸直角方向についての周方向となっている。
【0022】
図4(a)および(b)に示すように、左正面検知領域LFは、ステアリングホイール1の樹脂内層材6の正面側のうち、左側の略半分を覆うように配置されている。
【0023】
図4(a)~(c)に示すように、右正面検知領域RFは、ステアリングホイール1の樹脂内層材6の正面側のうち、右側の略半分を覆うように配置されている。
【0024】
図4(a)および(b)に示すように、左裏面検知領域LBは、ステアリングホイール1の樹脂内層材6の裏面側のうち、左側の略半分を覆うように配置されている。
【0025】
図4(a)~(c)に示すように、右裏面検知領域RBは、ステアリングホイール1の樹脂内層材6の裏面側のうち、右側の略半分を覆うように配置されている。
【0026】
本形態においては、左右方向に隣接する左正面検知領域LFと右正面検知領域RFの間隔、および左裏面検知領域LBと右裏面検知領域RBの間隔は、正裏方向に隣接する左正面検知領域LFと左裏面検知領域LBの間隔、および右正面検知領域RFと右裏面検知領域RBの間隔よりも大きい。
【0027】
図3に戻って、各検知領域LF,RF,LB,RBの構成について説明する。各検知領域LF,RF,LB,RBは、第一電極層22と、第二電極層23と、を備える。第一電極層22および第二電極層23は、導電性を有するとともに、層状に形成されている。
【0028】
第一電極層22は、絶縁シート21の第一面24に積層されている。第一電極層22は、絶縁シート21よりもやや小さな相似形に形成されている。これにより、絶縁シート21の第一面24の端縁部は、第一電極層22の端縁部から露出している。
【0029】
第二電極層23は、絶縁シート21の第二面25に積層されている。第二電極層23は、絶縁シート21よりもやや小さな相似形に形成されている。これにより、絶縁シート21の第二面25の端縁部は、第二電極層23の端縁部から露出している。
【0030】
第一電極層22と第二電極層23とは、同形同大であってもよいし、一方が他方よりもやや大きな相似形であってもよい。
【0031】
絶縁シート21は、例えばエラストマーを主成分として含んで形成されている。従って、絶縁シート21は、柔軟である。つまり、絶縁シート21は、可撓性を有し、かつ、面方向に伸長可能に構成されている。絶縁シート21は、例えば、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーを主成分として含んで形成されている。絶縁シート21は、熱可塑性エラストマー自身により形成されるようにしても良いし、熱可塑性エラストマーを素材として加熱することによって架橋されたエラストマーを主成分として形成されるようにしても良い。
【0032】
また、絶縁シート21は、熱可塑性エラストマー以外のゴム、樹脂や他の材料などを含んでいても良い。例えば、絶縁シート21がエチレン-プロピレンゴム(EPM、EPDM)などのゴムを含む場合には、絶縁シート21の柔軟性が向上する。絶縁シート21の柔軟性を向上させるという観点から、絶縁シート21に可塑剤などの柔軟性付与成分を含有させてもよい。さらに、絶縁シート21は、反応硬化性エラストマー、熱硬化性エラストマーを主成分として構成されるようにしても良い。
【0033】
さらに、絶縁シート21は、熱伝導性の良好な材料が好適である。そこで、絶縁シート21は、熱伝導率の高い熱可塑性エラストマーを用いるようにしても良いし、熱伝導率を高めることができるフィラーを含有させるようにしても良い。
【0034】
複数の第一電極層22は、絶縁シート21の第一面24側に、絶縁シート21の面方向に複数配列されており、第二電極層23は、絶縁シート21の第二面25側に、絶縁シート21の面方向に配列されている。第一電極層22および第二電極層23は、導電性を有する。さらに、第一電極層22および第二電極層23は、柔軟である。つまり、第一電極層22および第二電極層23は、可撓性を有し、かつ、面方向に伸長可能に構成されている。
【0035】
第一電極層22および第二電極層23は、導電性エラストマーにより形成されてもよい。第一電極層22および第二電極層23が導電性エラストマーにより形成される場合、第一電極層22および第二電極層23は、エラストマーを母材とし、導電性フィラーを含有させることにより形成されている。第一電極層22および第二電極層23の母材であるエラストマーは、絶縁シート21と主成分を同種としてもよいし、異なる材料を用いてもよい。第一電極層22および第二電極層23と、絶縁シート21とは、相互の融着(熱融着)によりと接合される。
【0036】
第一電極層22および第二電極層23は導電布により形成されてもよい。導電布は、導電性繊維により形成された織物または不織布である。ここで、導電性繊維は、柔軟性を有する繊維の表面を導電性材料により被覆することにより形成される。導電性繊維は、例えば、ポリエチレンなどの樹脂繊維の表面に、銅やニッケルなどをメッキすることにより形成される。この場合、第一電極層22および第二電極層23は、絶縁シート21自身の融着(熱融着)により絶縁シート21に接合される。
【0037】
第一電極層22および第二電極層23は金属箔により形成されてもよい。金属箔は、導通可能な金属材料であればよく、例えば、銅箔、アルミニウム箔などを適用できる。さらに、第一電極層22および第二電極層23は、導電性布である場合と同様に、絶縁シート21自身の融着(熱融着)によりセンサシートに接合される。
【0038】
3.接触検知装置10の全体構成
図5に示すように、接触検知装置10は、静電型センサ7と、判定処理器30と、を備える。判定処理器30は、記憶部31と、判定用基準値設定部32と、判定処理部33と、更新部34と、を備える。
【0039】
記憶部31は、検知領域LF,RF,LB,RBの各々に導体が接触していない状態に対応する静電容量相当値である設定用基準値41、検知領域LF,RF,LB,RBの各々の判定用基準値42、および検知領域LF,RF,LB,RBの各々に対応付けられた閾値43を格納する。閾値43は、検知領域LF,RF,LB,RBの各々に対して共通に対応付けられていてもよいし、個別に対応付けられていてもよい。
【0040】
記憶部31は、さらに設定元優先順位44を格納する。検知領域LF,RF,LB,RBのうち判定用基準値42の設定対象は対象検知領域51とされ、検知領域LF,RF,LB,RBのうち対象検知領域51と異なるものは対象検知領域51の判定用基準値42の設定元となる設定元検知領域52とされる。設定元優先順位44は、設定元検知領域52の優先順位と定義される。すなわち、設定元優先順位44は、複数の設定元検知領域52が存在する場合に、複数の設定元検知領域52のうちいずれを対象検知領域51の判定用基準値42の設定元とするかについての順位とされる。表1に、検知領域LF,RF,LB,RBの各々に対応する設定元優先順位44を示す。本形態においては、設定元優先順位44は検知領域LF,RF,LB,RBの各々において、異なる順位に設定されている。
【0041】
【0042】
表1の第1欄および
図6に示すように、左正面検知領域LFが対象検知領域51とされたとき、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RF、および右裏面検知領域RBが設定元検知領域52とされる。本形態においては、設定元優先順位44は、右正面検知領域RFが第一位、右裏面検知領域RBが第二位、左裏面検知領域LBが第三位とされる。設定元優先順位44の最下位(本形態では第四位)は、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41とされる。本形態では、対象検知領域51である左正面検知領域LFの左右反対側であって正裏同一側に位置する右正面検知領域RFが設定元優先順位44の第一優先順位に設定されている。また、対象検知領域51である左正面検知領域LFの左右反対側であって正裏反対側に位置する右裏面検知領域RBが設定元優先順位44の第二優先順位に設定されている。
【0043】
表1の第2欄および
図7に示すように、左裏面検知領域LBが対象検知領域51とされたとき、右裏面検知領域RB、右正面検知領域RF、および右正面検知領域RFが設定元検知領域52とされる。本形態においては、設定元優先順位44は、右裏面検知領域RBが第一位、右正面検知領域RFが第二位、左正面検知領域LFが第三位とされる。設定元優先順位44の最下位(本形態では第四位)は、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41とされる。本形態では、対象検知領域51である左裏面検知領域LBの左右反対側であって正裏同一側に位置する右裏面検知領域RBが設定元優先順位44の第一優先順位に設定されている。また、対象検知領域51である左裏面検知領域LBの左右反対側であって正裏反対側に位置する右正面検知領域RFが設定元優先順位44の第二優先順位に設定されている。
【0044】
表1の第3欄および
図8に示すように、右正面検知領域RFが対象検知領域51とされたとき、左正面検知領域LF、左裏面検知領域LB、および右裏面検知領域RBが設定元検知領域52とされる。本形態においては、設定元優先順位44は、左正面検知領域LFが第一位、左裏面検知領域LBが第二位、右裏面検知領域RBが第三位とされる。設定元優先順位44の最下位(本形態では第四位)は、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41とされる。本形態では、対象検知領域51である右正面検知領域RFの左右反対側であって正裏同一側に位置する左正面検知領域LFが設定元優先順位44の第一優先順位に設定されている。また、対象検知領域51である右正面検知領域RFの左右反対側であって正裏反対側に位置する左裏面検知領域LBが設定元優先順位44の第二優先順位に設定されている。
【0045】
表1の第4欄および
図9に示すように、右裏面検知領域RBが対象検知領域51とされたとき、左裏面検知領域LB、左正面検知領域LF、および右正面検知領域RFが設定元検知領域52とされる。本形態においては、設定元優先順位44は、左裏面検知領域LBが第一位、左正面検知領域LFが第二位、右裏面検知領域RBが第三位とされる。設定元優先順位44の最下位(本形態では第四位)は、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41とされる。本形態では、対象検知領域51である右裏面検知領域RBの左右反対側であって正裏同一側に位置する左裏面検知領域LBが設定元優先順位44の第一優先順位に設定されている。また、対象検知領域51である右裏面検知領域RBの左右反対側であって正裏反対側に位置する左正面検知領域LFが設定元優先順位44の第二優先順位に設定されている。
【0046】
ただし、設定用基準値41は、検知領域LF,RF,LB,RBの各々について個別の値が設定されていてもよいし、また、すべての検知領域LF,RF,LB,RBについて共通の値が設定されていてもよい。
【0047】
図5に戻って、判定用基準値設定部32は、接触検知装置10が起動された後に実行されるイニシャル処理により、検知領域LF,RF,LB,RBの各々の判定用基準値42を設定する構成とされる。
【0048】
判定処理部33は、イニシャル処理が実行された後に、検知領域LF,RF,LB,RBの各々において、静電容量相当値と判定用基準値42とを比較することにより、導体が検知領域LF,RF,LB,RBに接触したか否かを検知する構成とされる。
【0049】
更新部34は、検知領域LF,RF,LB,RBの各々において、静電容量相当値と設定用基準値41とを比較することにより導体が検知領域LF,RF,LB,RBに接触していない非接触領域であると判断したとき、設定用基準値41を静電容量相当値または静電容量相当値に基づく値に更新する。
【0050】
4.接触検知装置10の動作
(1) 次に、接触検知装置10の動作について説明する。
図10に、接触検知装置10の動作のメインルーチンに係るフローチャートを示す。
【0051】
図10に示すように、接触検知装置10が起動されると、イニシャル処理が実行される(S1)。次に、判定処理が実行される(S2)。次に、更新処理を実行するか否かが判定される(S3)。更新処理を実行するか否かは、例えば、接触検知装置10を起動してから所定の時間が経過したか否かで判断してもよい。更新処理を実行すると判断したときは(S3:Y)、更新処理を実行する(S4)。
【0052】
更新処理を実行すると、接触検知装置10の動作を終了するか否を判断する(S5)。また、更新処理を実行しないと判断したときも(S3:N)、接触検知装置10の動作を終了するか否かを判断する(S5)。接触検知装置10の動作を終了しないと判断したときは(S5:N)、S2に戻って、接触検知装置10の動作を終了すると判断するまで、S2~S4の動作が繰り返される。接触検知装置10の動作を終了すると判断したときは(S5:Y)、接触検知装置10の動作が終了する。
【0053】
(2)イニシャル処理
次に、
図11を参照してイニシャル処理について説明する。
図11に、イニシャル処理のフローチャートを示す。イニシャル処理が実行されると(S1)、判定用基準値設定部32は、記憶部31から、検知領域LF,RF,LB,RBの各々に対応する、設定用基準値41、閾値43、および設定元優先順位44を取得する(S10)。次に、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LF、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RF、および右裏面検知領域RBの静電容量相当値を取得する(S20)。
【0054】
次に、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理を実行する(S30)。これにより、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFの判定用基準値42を設定し、設定された左正面検知領域LFの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0055】
次に、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理を実行する(S40)。これにより、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBの判定用基準値42を設定し、設定された左裏面検知領域LBの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0056】
次に、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理を実行する(S50)。これにより、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFの判定用基準値42を設定し、設定された右正面検知領域RFの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0057】
次に、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理を実行する(S60)。これにより、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBの判定用基準値42を設定し、設定された右裏面検知領域RBの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0058】
以上により、イニシャル処理が終了する。ただし、検知領域LF,RF,LB,RBにイニシャル処理を実行する順序について特に限定はなく、任意の順序で実行することができる。
【0059】
(A)左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理
次に
図12に、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理のフローチャートを示す。左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理が実行されると(S30)、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを対象検知領域51とし、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RFおよび右裏面検知領域RBを設定元検知領域52とする。
【0060】
判定用基準値設定部32は、対象検知領域51である左正面検知領域LFが非接触領域か否かについて判断する(S31)。判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFの静電容量相当値と、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S31:Y)。
【0061】
判定用基準値設定部32は、非接触領域と判断した左正面検知領域LFに対して、左正面検知領域LFの静電容量相当値を、左正面検知領域LFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理は終了する。ただし、設定用基準値41として静電容量相当値を採用する場合、静電容量相当値に代えて、静電容量相当値に所定の処理(例えばフィルター処理)を行うことにより得られた値(静電容量相当値に基づく値の一例)を、設定用基準値41として採用してもよい。以下、同様である。
【0062】
S31において、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、非接触領域ではないと判断する(S31:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0063】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に定められた順序で、設定元検知領域52が非接触領域であるか否かを判断する。
【0064】
図6に、左正面検知領域LFが対象検知領域51とされたときの、設定元優先順位44を示す。本形態の設定元優先順位44は、左正面検知領域LFの右方に隣接する位置を第一優先順位に設定されている。これにより、本形態では、右正面検知領域RFが第一優先順位に設定されている(表1の第1欄参照)。
【0065】
本形態の設定元優先順位44は、左正面検知領域LFの対角位置を第二優先順位に設定されている。これにより、本形態では右裏面検知領域RBが第二優先順位に設定されている(表1の第1欄参照)。
【0066】
本形態においては、左正面検知領域LFの裏面側に位置する左裏面検知領域LBが第三優先順位に設定されている(表1の第1欄参照)。本形態においては、検知元優先順位は、
図6における矢線Aで示す方向に沿って優先順位が低くなるように設定されている。
【0067】
図12に戻って、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に基づいて、右正面検知領域RFが非接触か否かについて判断する(S33)。判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFの静電容量相当値と、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S33:Y)。
【0068】
判定用基準値設定部32は、S31にて接触領域と判断した左正面検知領域LFの判定用基準値42として、S33にて非接触領域と判断した右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41を、左正面検知領域LFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0069】
S33において、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、非接触領域ではないと判断する(S33:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0070】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第二位である右裏面検知領域RBが非接触領域であるか否かについて判断する(S35)。判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBの静電容量相当値と、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S35:Y)。
【0071】
判定用基準値設定部32は、S31にて接触領域と判断した左正面検知領域LFの判定用基準値42として、S35にて非接触領域と判断した右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41を、左正面検知領域LFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0072】
S35において、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、非接触領域ではないと判断する(S35:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0073】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第三位である左裏面検知領域LBが非接触領域であるか否かについて判断する(S37)。判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBの静電容量相当値と、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S37:Y)。
【0074】
判定用基準値設定部32は、S31にて接触領域と判断した左正面検知領域LFの判定用基準値42として、S37にて非接触領域と判断した左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41を、左正面検知領域LFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0075】
S37において、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、非接触領域ではないと判断する(S37:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触する接触領域と判断する。判定用基準値設定部32は、すべての検知領域LF,RF,LB,RBが接触領域であると判断する。
【0076】
次に、判定用基準値設定部32は、S31にて接触領域と判断した左正面検知領域LFの判定用基準値42として、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41を採用し、設定する(S39)。これにより、左正面検知領域LFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0077】
(B)LBの判定用基準値設定処理
次に
図13に、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理のフローチャートを示す。左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理が実行されると(S40)、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを対象検知領域51とし、右裏面検知領域RB、右正面検知領域RFおよび左裏面検知領域LBを設定元検知領域52とする。
【0078】
判定用基準値設定部32は、対象検知領域51である左裏面検知領域LBが非接触領域か否かについて判断する(S41)。判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBの静電容量相当値と、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S41:Y)。
【0079】
判定用基準値設定部32は、非接触領域と判断した左裏面検知領域LBに対して、左裏面検知領域LBの静電容量相当値を、左裏面検知領域LBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0080】
S41において、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、非接触領域ではないと判断する(S41:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0081】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に定められた順序で、設定元検知領域52が非接触領域であるか否かを判断する。
【0082】
図7に、左裏面検知領域LBが対象検知領域51とされたときの、設定元優先順位44を示す。本形態の設定元優先順位44は、左正面検知領域LFの右方に隣接する位置を第一優先順位に設定されている。これにより、本形態では、右裏面検知領域RBが第一優先順位に設定されている(表1の第2欄参照)。
【0083】
本形態の設定元優先順位44は、左裏面検知領域LBの対角位置を第二優先順位に設定されている。これにより、本形態では右正面検知領域RFが第二優先順位に設定されている(表1の第2欄参照)。
【0084】
本形態においては、左正面検知領域LFの裏面側に位置する左正面検知領域LFが第三優先順位に設定されている(表1の第2欄参照)。本形態においては、検知元優先順位は、
図7における矢線Bで示す方向に沿って優先順位が低くなるように設定されている。
【0085】
図13に戻って、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に基づいて、右裏面検知領域RBが非接触か否かについて判断する(S43)。判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBの静電容量相当値と、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S43:Y)。
【0086】
判定用基準値設定部32は、S41にて接触領域と判断した左裏面検知領域LBの判定用基準値42として、S43にて非接触領域と判断した右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41を、左裏面検知領域LBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0087】
S43において、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、非接触領域ではないと判断する(S43:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0088】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第二位である右正面検知領域RFが非接触領域であるか否かについて判断する(S45)。判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFの静電容量相当値と、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S45:Y)。
【0089】
判定用基準値設定部32は、S41にて接触領域と判断した左裏面検知領域LBの判定用基準値42として、S45にて非接触領域と判断した右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41を、左裏面検知領域LBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0090】
S45において、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、非接触領域ではないと判断する(S45:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0091】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第三位である左正面検知領域LFが非接触領域であるか否かについて判断する(S47)。判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFの静電容量相当値と、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S47:Y)。
【0092】
判定用基準値設定部32は、S41にて接触領域と判断した左裏面検知領域LBの判定用基準値42として、S47にて非接触領域と判断した左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41を、左裏面検知領域LBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0093】
S47において、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、非接触領域ではないと判断する(S47:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触する接触領域と判断する。判定用基準値設定部32は、すべての検知領域が接触領域であると判断する。
【0094】
次に、判定用基準値設定部32は、S41にて接触領域と判断した左裏面検知領域LBの判定用基準値42として、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41を採用し、設定する(S49)。これにより、左裏面検知領域LBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0095】
(C)RFの判定用基準値設定処理
次に
図14に、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理のフローチャートを示す。右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理が実行されると(S50)、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを対象検知領域51とし、左正面検知領域LF、左裏面検知領域LBおよび右裏面検知領域RBを設定元検知領域52とする。
【0096】
判定用基準値設定部32は、対象検知領域51である右正面検知領域RFが非接触領域か否かについて判断する(S51)。判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFの静電容量相当値と、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S51:Y)。
【0097】
判定用基準値設定部32は、非接触領域と判断した右正面検知領域RFに対して、右正面検知領域RFの静電容量相当値を、右正面検知領域RFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0098】
S51において、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、非接触領域ではないと判断する(S51:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0099】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に定められた順序で、設定元検知領域52が非接触領域であるか否かを判断する。
【0100】
図8に、右正面検知領域RFが対象検知領域51とされたときの、設定元優先順位44を示す。本形態の設定元優先順位44は、右正面検知領域RFの左方に隣接する位置を第一優先順位に設定されている。これにより、本形態では、左正面検知領域LFが第一優先順位に設定されている(表1の第3欄参照)。
【0101】
本形態の設定元優先順位44は、右正面検知領域RFの対角位置を第二優先順位に設定されている。これにより、本形態では左裏面検知領域LBが第二優先順位に設定されている(表1の第3欄参照)。
【0102】
本形態においては、右正面検知領域RFの裏面側に位置する右裏面検知領域RBが第三優先順位に設定されている(表1の第3欄参照)。本形態においては、検知元優先順位は、
図8における矢線Cで示す方向に沿って優先順位が低くなるように設定されている。
【0103】
図14に戻って、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に基づいて、左正面検知領域LFが非接触か否かについて判断する(S53)。判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFの静電容量相当値と、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S53:Y)。
【0104】
判定用基準値設定部32は、S51にて接触領域と判断した右正面検知領域RFの判定用基準値42として、S53にて非接触領域と判断した左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41を、右正面検知領域RFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0105】
S53において、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、非接触領域ではないと判断する(S53:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0106】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第二位である左裏面検知領域LBが非接触領域であるか否かについて判断する(S55)。判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBの静電容量相当値と、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S55:Y)。
【0107】
判定用基準値設定部32は、S51にて接触領域と判断した右正面検知領域RFの判定用基準値42として、S55にて非接触領域と判断した左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41を、右正面検知領域RFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0108】
S55において、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、非接触領域ではないと判断する(S55:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0109】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第三位である右裏面検知領域RBが非接触領域であるか否かについて判断する(S57)。判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBの静電容量相当値と、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S57:Y)。
【0110】
判定用基準値設定部32は、S51にて接触領域と判断した右正面検知領域RFの判定用基準値42として、S57にて非接触領域と判断した右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41を、右正面検知領域RFの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0111】
S57において、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、非接触領域ではないと判断する(S57:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触する接触領域と判断する。判定用基準値設定部32は、すべての検知領域LF,RF,LB,RBが接触領域であると判断する。
【0112】
次に、判定用基準値設定部32は、S51にて接触領域と判断した右正面検知領域RFの判定用基準値42として、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41を採用し、設定する(S59)。これにより、右正面検知領域RFの判定用基準値設定処理は終了する。
【0113】
(D)RBの判定用基準値設定処理
次に
図15に、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理のフローチャートを示す。右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理が実行されると(S60)、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを対象検知領域51とし、左裏面検知領域LB、左正面検知領域LFおよび右正面検知領域RFを設定元検知領域52とする。
【0114】
判定用基準値設定部32は、対象検知領域51である右裏面検知領域RBが非接触領域か否かについて判断する(S61)。判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBの静電容量相当値と、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S61:Y)。
【0115】
判定用基準値設定部32は、非接触領域と判断した右裏面検知領域RBに対して、右裏面検知領域RBの静電容量相当値を、右裏面検知領域RBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0116】
S61において、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、非接触領域ではないと判断する(S61:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右裏面検知領域RBを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0117】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に定められた順序で、設定元検知領域52が非接触領域であるか否かを判断する。
【0118】
図9に、右裏面検知領域RBが対象検知領域51とされたときの、設定元優先順位44を示す。本形態の設定元優先順位44は、右裏面検知領域RBの左方に隣接する位置を第一優先順位に設定されている。これにより、本形態では、左裏面検知領域LBが第一優先順位に設定されている(表1の第4欄参照)。
【0119】
本形態の設定元優先順位44は、右裏面検知領域RBの対角位置を第二優先順位に設定されている(表1の第4欄参照)。これにより、本形態では左正面検知領域LFが第二優先順位に設定されている。
【0120】
本形態においては、右裏面検知領域RBの裏面側に位置する右正面検知領域RFが第三優先順位に設定されている(表1の第4欄参照)。本形態においては、検知元優先順位は、
図9における矢線Dで示す方向に沿って優先順位が低くなるように設定されている。
【0121】
図15に戻って、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44に基づいて、左裏面検知領域LBが非接触か否かについて判断する(S63)。判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBの静電容量相当値と、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S63:Y)。
【0122】
判定用基準値設定部32は、S61にて接触領域と判断した右裏面検知領域RBの判定用基準値42として、S63にて非接触領域と判断した左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41を、右裏面検知領域RBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0123】
S63において、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、非接触領域ではないと判断する(S63:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左裏面検知領域LBを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0124】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第二位である左正面検知領域LFが非接触領域であるか否かについて判断する(S65)。判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFの静電容量相当値と、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S65:Y)。
【0125】
判定用基準値設定部32は、S61にて接触領域と判断した右裏面検知領域RBの判定用基準値42として、S65にて非接触領域と判断した左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41を、右裏面検知領域RBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0126】
S65において、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、非接触領域ではないと判断する(S65:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LFを、導体が接触する接触領域と判断する。
【0127】
次に、判定用基準値設定部32は、設定元優先順位44が第三位である右正面検知領域RFが非接触領域であるか否かについて判断する(S67)。判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFの静電容量相当値と、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43以下であるとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S67:Y)。
【0128】
判定用基準値設定部32は、S61にて接触領域と判断した右裏面検知領域RBの判定用基準値42として、S67にて非接触領域と判断した右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41を、右裏面検知領域RBの設定用基準値41として採用し、設定する。これにより、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0129】
S67において、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、非接触領域ではないと判断する(S67:N)。すなわち、判定用基準値設定部32は、右正面検知領域RFを、導体が接触する接触領域と判断する。判定用基準値設定部32は、すべての検知領域LF,RF,LB,RBが接触領域であると判断する。
【0130】
次に、判定用基準値設定部32は、S61にて接触領域と判断した右裏面検知領域RBの判定用基準値42として、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41を採用し、設定する(S69)。これにより、右裏面検知領域RBの判定用基準値設定処理は終了する。
【0131】
(3)判定処理
次に、
図16を参照して判定処理について説明する。
図16に判定処理のフローチャートを示す。判定処理が実行されると(S2)、判定処理部33は、記憶部31から、検知領域LF,RF,LB,RBの各々に対応する、判定用基準値42、および閾値43を取得する(S70)。次に、判定用基準値設定部32は、左正面検知領域LF、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RF、および右裏面検知領域RBの静電容量相当値を取得する(S80)。
【0132】
次に、判定処理部33は、左正面検知領域LFの判定処理を実行する(S90)。判定処理部33は、左正面検知領域LFの静電容量相当値と、左正面検知領域LFに対応する判定用基準値42との差分を計算する。この差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43を超えているとき、判定処理部33は、導体が左正面検知領域LFに接触していると判断する。一方、左正面検知領域LFに対応する判定用基準値42との差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43以下であるとき、判定処理部33は、導体が左正面検知領域LFに接触していないと判断する。判定処理部33は、導体が左正面検知領域LFに接触したか否かに関する情報を所定の送信先に送信する。
【0133】
次に、判定処理部33は、左裏面検知領域LBの判定処理を実行する(S100)。判定処理部33は、左裏面検知領域LBの静電容量相当値と、左裏面検知領域LBに対応する判定用基準値42との差分を計算する。この差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43を超えているとき、判定処理部33は、導体が左裏面検知領域LBに接触していると判断する。一方、左裏面検知領域LBに対応する判定用基準値42との差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43以下であるとき、判定処理部33は、導体が左裏面検知領域LBに接触していないと判断する。判定処理部33は、導体が左裏面検知領域LBに接触したか否かに関する情報を所定の送信先に送信する。
【0134】
次に、判定処理部33は、右正面検知領域RFの判定処理を実行する(S110)。判定処理部33は、右正面検知領域RFの静電容量相当値と、右正面検知領域RFに対応する判定用基準値42との差分を計算する。この差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、判定処理部33は、導体が右正面検知領域RFに接触していると判断する。一方、右正面検知領域RFに対応する判定用基準値42との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43以下であるとき、判定処理部33は、導体が右正面検知領域RFに接触していないと判断する。判定処理部33は、導体が右正面検知領域RFに接触したか否かに関する情報を所定の送信先に送信する。
【0135】
次に、判定処理部33は、右裏面検知領域RBの判定処理を実行する(S120)。判定処理部33は、右裏面検知領域RBの静電容量相当値と、右裏面検知領域RBに対応する判定用基準値42との差分を計算する。この差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43以下であるとき、判定処理部33は、導体が右裏面検知領域RBに接触していると判断する。一方、右裏面検知領域RBに対応する判定用基準値42との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、判定処理部33は、導体が右裏面検知領域RBに接触していないと判断する。判定処理部33は、導体が右裏面検知領域RBに接触したか否かに関する情報を所定の送信先に送信する。
【0136】
以上により、判定処理が終了する。ただし、検知領域LF,RF,LB,RBに判定処理を実行する順序について特に限定はなく、任意の順序で実行することができる。
【0137】
(4)更新処理
次に、
図17を参照して更新処理について説明する。
図17に、更新処理のフローチャートを示す。更新処理が実行されると(S4)、更新部34は、記憶部31から、検知領域LF,RF,LB,RBの各々に対応する、設定用基準値41、および閾値43を取得する(S130)。次に、更新部34は、左正面検知領域LF、左裏面検知領域LB、右正面検知領域RF、および右裏面検知領域RBの静電容量相当値を取得する(S140)。
【0138】
次に、更新部34は、左正面検知領域LFの更新処理を実行する(S150)。これにより、更新部34は、左正面検知領域LFが非接触領域であると判断したとき、左正面検知領域LFの静電容量相当値を、左正面検知領域LFの設定用基準値41に更新し、更新された左正面検知領域LFの判定用基準値42を記憶部31に格納する。ただし、左正面検知領域LFの静電容量相当値に代えて、静電容量相当値に所定の処理(例えばフィルター処理)を行うことにより得られた値(静電容量相当値に基づく値の一例)を、左正面検知領域LFの設定用基準値41に更新してもよい。以下、同様である。
【0139】
次に、更新部34は、左裏面検知領域LBの更新処理を実行する(S160)。これにより、更新部34は、左裏面検知領域LBが非接触領域であると判断したとき、左裏面検知領域LBの静電容量相当値を、左裏面検知領域LBの設定用基準値41に更新し、更新された左裏面検知領域LBの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0140】
次に、更新部34は、右正面検知領域RFの更新処理を実行する(S170)。これにより、更新部34は、右正面検知領域RFが非接触領域であると判断したとき、右正面検知領域RFの静電容量相当値を、右正面検知領域RFの設定用基準値41に更新し、更新された右正面検知領域RFの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0141】
次に、更新部34は、右裏面検知領域RBの更新処理を実行する(S180)。これにより、更新部34は、右裏面検知領域RBが非接触領域であると判断したとき、右裏面検知領域RBの静電容量相当値を、右裏面検知領域RBの設定用基準値41に更新し、更新された右裏面検知領域RBの判定用基準値42を記憶部31に格納する。
【0142】
以上により、更新処理が終了する。ただし、検知領域LF,RF,LB,RBに更新処理を実行する順序について特に限定はなく、任意の順序で実行することができる。
【0143】
(A)LFの更新処理
次に
図18に、左正面検知領域LFの更新処理のフローチャートを示す。左正面検知領域LFの更新処理が実行されると(S150)、更新部34は、左正面検知領域LFが非接触領域か否かについて判断する(S151)。更新部34は、左正面検知領域LFの静電容量相当値と、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43以下であるとき、更新部34は、左正面検知領域LFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S151:Y)。
【0144】
更新は、非接触領域と判断した左正面検知領域LFに対して、左正面検知領域LFの静電容量相当値を、左正面検知領域LFの設定用基準値41として採用し、更新する(S152)。これにより、左正面検知領域LFの更新処理は終了する。
【0145】
S151において、左正面検知領域LFに対応する設定用基準値41との差分が、左正面検知領域LFに対応する閾値43を超えているとき、更新部34は、左裏面検知領域LBを、非接触領域ではないと判断する(S151:N)。すなわち、更新部34は、左裏面検知領域LBを、導体が接触する接触領域と判断する。更新部34は、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41を更新しない(S153)。これにより、左裏面検知領域LBの更新処理は終了する。
【0146】
(B)LBの更新処理
次に
図19に、左裏面検知領域LBの更新処理のフローチャートを示す。左裏面検知領域LBの更新処理が実行されると(S160)、更新部34は、左裏面検知領域LBが非接触領域か否かについて判断する(S161)。更新部34は、左裏面検知領域LBの静電容量相当値と、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43以下であるとき、更新部34は、左裏面検知領域LBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S161:Y)。
【0147】
更新部34は、非接触領域と判断した左裏面検知領域LBに対して、左裏面検知領域LBの静電容量相当値を、左裏面検知領域LBの設定用基準値41として採用し、更新する(S162)。これにより、左裏面検知領域LBの更新処理は終了する。
【0148】
S161において、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41との差分が、左裏面検知領域LBに対応する閾値43を超えているとき、更新部34は、左裏面検知領域LBを、非接触領域ではないと判断する(S161:N)。すなわち、更新部34は、左裏面検知領域LBを、導体が接触する接触領域と判断する。更新部34は、左裏面検知領域LBに対応する設定用基準値41を更新しない(S163)。これにより、左裏面検知領域LBの更新処理は終了する。
【0149】
(C)RFの更新処理
次に
図20に、右正面検知領域RFの更新処理のフローチャートを示す。右正面検知領域RFの更新処理が実行されると(S170)、更新部34は、右正面検知領域RFが非接触領域か否かについて判断する(S171)。更新部34は、右正面検知領域RFの静電容量相当値と、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43以下であるとき、更新部34は、右正面検知領域RFを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S171:Y)。
【0150】
更新部34は、非接触領域と判断した右正面検知領域RFに対して、右正面検知領域RFの静電容量相当値を、右正面検知領域RFの設定用基準値41として採用し、更新する(S172)。これにより、右正面検知領域RFの更新処理は終了する。
【0151】
S171において、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41との差分が、右正面検知領域RFに対応する閾値43を超えているとき、更新部34は、右正面検知領域RFを、非接触領域ではないと判断する(S171:N)。すなわち、更新部34は、右正面検知領域RFを、導体が接触する接触領域と判断する。更新部34は、右正面検知領域RFに対応する設定用基準値41を更新しない(S173)。これにより、右正面検知領域RFの更新処理は終了する。
【0152】
(D)RBの更新処理。
次に
図21に、右裏面検知領域RBの更新処理のフローチャートを示す。右裏面検知領域RBの更新処理が実行されると(S180)、更新部34は、右裏面検知領域RBが非接触領域か否かについて判断する(S181)。更新部34は、右裏面検知領域RBの静電容量相当値と、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分を計算する。この差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43以下であるとき、更新部34は、右裏面検知領域RBを、導体が接触していない非接触領域と判断する(S181:Y)。
【0153】
更新部34は、非接触領域と判断した右裏面検知領域RBに対して、右裏面検知領域RBの静電容量相当値を、右裏面検知領域RBの設定用基準値41として採用し、更新する(S182)。これにより、右裏面検知領域RBの更新処理は終了する。
【0154】
S181において、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41との差分が、右裏面検知領域RBに対応する閾値43を超えているとき、更新部34は、右裏面検知領域RBを、非接触領域ではないと判断する(S181:N)。すなわち、更新部34は、右裏面検知領域RBを、導体が接触する接触領域と判断する。更新部34は、右裏面検知領域RBに対応する設定用基準値41を更新しない(S183)。これにより、右裏面検知領域RBの更新処理は終了する。
【0155】
5.実施形態の作用効果
次に、本形態の作用効果について説明する。本形態によれば、イニシャル処理時に、検知領域LF,RF,LB,RBに導体が接触した場合でも、接触領域の判定用基準値42として、非接触領域に対応する設定用基準値41が設定される。これにより、検知領域LF,RF,LB,RBに導体が接触した場合でも、導体の接触を正確に検知することができる。
【0156】
また、本形態によれば、複数の検知領域LF,RF,LB,RBのすべてが接触領域である場合には、接触領域に対して、当該接触領域に対応する設定用基準値41が判定用基準値42として設定される。これにより、全ての検知領域LF,RF,LB,RBに導体が接触した場合でも、導体の接触を正確に検知することができる。
【0157】
また、本形態によれば、判定用基準値設定部32は、非接触領域が存在すると判断したとき、非接触領域に対して、イニシャル処理により検知された非接触領域に対応する静電容量相当値または静電容量相当値に基づく値を、設定用基準値41として設定する。これにより、環境変化や経年劣化により、導体が接触しない状態における検知領域LF,RF,LB,RBの静電容量相当値が変化した場合でも、導体の接触を正確に検知することができる。
【0158】
本形態によれば、非接触領域が複数個存在する場合に、設定元優先順位44に従って、非接触領域の初期基準値が設定されるので、非接触領域の個別の状態に応じて、適切な初期基準値を設定することができる。
【0159】
また、複数の検知領域LF,RF,LB,RBから一の対象検知領域51が選定され且つ当該対象検知領域51が接触領域と判断されたとき、当該対象検知領域51に対して第一方向に隣接する検知領域LF,RF,LB,RBに導体である手または指が接触している可能性は、当該検知領域に対して第二方向に隣接する検知領域LF,RF,LB,RBに比べて低いと考えられる。本形態によれば、対象検知領域51に対して第一方向に隣接する設定元検知領域52が第一優先順位に設定されているので、複数の設定元検知領域52のいずれかを選択する際の時間を短縮することができる。
【0160】
また、複数の検知領域LF,RF,LB,RBから一の対象検知領域51が選定され且つ当該対象検知領域51が接触領域と判断されたとき、当該対象検知領域51に対して対角位置の検知領域LF,RF,LB,RBに導体である手または指が接触している可能性は、当該検知領域LF,RF,LB,RBに対して第二方向に隣接する検知領域LF,RF,LB,RBに比べて低いと考えられる。本形態によれば、対象検知領域51に対して対角位置の設定元検知領域52が第二優先順位に設定されているので、複数の設定元検知領域52のいずれかを選択する際の時間を短縮することができる。
【0161】
また、本形態によれば、4つの検知領域LF,RF,LB,RBについて、第一方向に隣接する検知領域LF,RF,LB,RBの間隔は、第二方向に隣接する検知領域LF,RF,LB,RBの間隔よりも大きい。従って、本形態によれば、複数の設定元検知領域52のいずれかを選択する際の時間を短縮することができる。
【0162】
また、本形態によれば、判定処理器30は、さらに、複数の検知領域LF,RF,LB,RB各々において、静電容量相当値と設定用基準値41とを比較することにより導体が接触していない非接触領域であると判断したとき、設定用基準値41を静電容量相当値または静電容量相当値に基づく値に更新する更新部34を備える。
【0163】
本形態によれば、所定の周期で設定用基準値41が静電容量相当値または静電容量相当値に基づく値に更新されるため、複数の検知領域LF,RF,LB,RBごとに、検知領域LF,RF,LB,RB固有の経時変化による劣化等に対応できる。この結果、導体の接触検知の精度を高めることができる。
【0164】
(実施形態2)
次に、
図22を参照して実施形態2について説明する。
図22には、左正面検知領域LFを対象検知領域51としたときの、設定元検知領域52の設定元優先順位44を示す。本形態においては、左正面検知領域LFの対角位置の右裏面検知領域RBが、第一優先順位に設定されている。換言すると、左正面検知領域LFの左右反対側であって正裏反対側の位置の右裏面検知領域RBが、第一優先順位に設定されている。
【0165】
また、第二優先順位は、左正面検知領域LFの左右反対側の位置の右正面検知領域RFに設定されている。第三優先順位は左正面検知領域LFの正裏反対側の位置の左裏面検知領域LBに設定されている。
【0166】
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0167】
本形態によれば、複数の検知領域LF,RF,LB,RBから一の対象検知領域51が選定され且つ当該対象検知領域51が接触領域と判断されたとき(本形態では左正面検知領域LF)、当該対象検知領域51に対して左右方向に反対側であって正裏反対側の位置の検知領域(本形態では右裏面検知領域RB)に、導体である手または指が接触している可能性は、当該検知領域(左正面検知領域LF)に対して正裏反対側に位置する検知領域(右裏面検知領域RB)に比べて低いと考えられる。本形態によれば、設定元優先順位44に従って複数の設定元検知領域52のいずれかを選択する際の時間を短縮することができる。
【0168】
(実施形態3)
次に、
図23を参照して、実施形態3について説明する。本形態では、矢線Yで示す方向を前方とする。本形態に係る静電型センサ60は、上方から見て長方形状をなすシート状に形成されている。静電型センサ60の上面または下面には、複数(本形態では6つ)の長方形状をなす検知領域61~66が配置されている。ただし、1つの静電型センサ60に配置される検知領域61~66の個数は特に限定されず、2つ~5つ、または7つ以上でもよい。また、静電型センサ60および検知領域61~66の形状は長方形状に限られず、任意の形状に形成することができる。
【0169】
検知領域61~66は、静電型センサ7に対して、左前側に位置する左前検知領域61と、中央前側に位置する中央前検知領域62と、右前側に位置する右前検知領域63と、左後側に位置する左後検知領域64と、中央後側に位置する中央後検知領域65と、右後側に位置する右後検知領域66と、を備える。
【0170】
図23には、左前検知領域61が対象検知領域51とされたときの、設定元検知領域52の設定元優先順位44のうち、第一優先順位の位置が示されている。本形態では、右後検知領域66が第一優先順位とされる。対象検知領域51である左前検知領域61と、右後検知領域66とは、左右方向にも前後方向にも隣接していない。また、右後検知領域66は、左前検知領域61から最も離れた位置に配置されている。
【0171】
本形態においては、設定元優先順位44は、対象検知領域51に隣接していない設定元検知領域52が、対象検知領域51に隣接している設定元検知領域52よりも上位の順位に設定されている。
【0172】
複数の検知領域61~66から位置の対象検知領域51が選定され且つ当該対象検知領域51が接触領域と判断されたとき、当該対象検知領域51に対して隣接していない検知領域61~66に導体である手または指が接触している可能性は、当該検知領域61~66に対して隣接している検知領域61~66に比べて低いと考えられる。本形態によれば、対象検知領域51に対して隣接していない設定元検知領域52が、隣接している設定元検知領域52よりも上位の順位に設定されているので、複数の設定元検知領域52のいずれかを選択する際の時間を短縮することができる。
【0173】
また、本形態においては、静電型センサ60は、3以上の検知領域61~66を有し、設定元優先順位44は、対象検知領域51と異なる他の2以上の設定元検知領域52のうち、対象検知領域51から最も離れた設定元検知領域52を第一優先順位に設定されている。
【0174】
本形態によれば、接触領域の初期基準値の設定元として、対象検知領域51から最も離れた設定元検知領域52が選択される。これにより、複数の設定元検知領域52のいずれかを選択する際の時間を短縮することができる。
【0175】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0176】
1:ステアリングホイール、7:静電型センサ、10:接触検知装置、30:判定処理器、31:記憶部、32:判定用基準値設定部、33:判定処理部、34:更新部、41:設定用基準値、42:判定用基準値、43:閾値、44:設定元優先順位、51:対象検知領域、52:設定元検知領域、60:静電型センサ、61:左前検知領域、62:中央前検知領域、63:右前検知領域、64:左後検知領域、65:中央後検知領域、66:右後検知領域、LB:左裏面検知領域、LF:左正面検知領域、RB:右裏面検知領域、RF:右正面検知領域