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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052099
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】室内熱交換器及び空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20240404BHJP
   F24F 1/0067 20190101ALI20240404BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
F24F1/0067
F25B39/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158570
(22)【出願日】2022-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山本 周太郎
(72)【発明者】
【氏名】中野 寛之
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥志
(72)【発明者】
【氏名】吾郷 祥太
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BE07
(57)【要約】
【課題】プレート積層体の面方向の大型化を抑制する。
【解決手段】プレート積層体30の冷媒流路30mは、プレート32に形成された細長孔321y,322y,323y,324aでそれぞれ構成される第1冷媒流路30m1と、プレート32に形成された円孔323x,324x、プレート31,33に形成された円孔及びプレート34に形成された細長孔342xで構成される第2冷媒流路30m2とを含む。第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2とは、左右方向(積層方向)から見て交差している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィンと、前記フィンを貫通した複数の伝熱管と、を含む熱交換部と、
前記複数の伝熱管に接続される複数の冷媒流路が形成されたプレート積層体と、を備え、
前記複数の冷媒流路は、第1冷媒流路と、第2冷媒流路と、を含み、
前記プレート積層体は、第1プレートと、積層方向において前記第1プレートよりも前記複数の伝熱管から遠い位置に積層された第2プレートと、を含み、
前記第1プレートには、第1切欠、第3切欠及び第4切欠が形成され、
前記第2プレートには、前記第3切欠及び前記第4切欠に接続される第2切欠が形成され、
前記第1切欠は前記第1冷媒流路を形成し、
前記第2切欠、前記第3切欠及び前記第4切欠は前記第2冷媒流路を形成し、
前記積層方向から見て前記第1冷媒流路と前記第2冷媒流路とは交差する、室内熱交換器。
【請求項2】
前記複数の伝熱管は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管と、を含み、
前記複数の冷媒流路は、前記第1伝熱管に接続される蒸発流路と、前記第2伝熱管に接続される過熱流路と、を含み、
前記蒸発流路と前記過熱流路とは、前記積層方向から見て交差しない、請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項3】
前記複数の伝熱管は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管と、を含み、
前記複数の冷媒流路は、前記第1伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の一方を構成する蒸発流路と、前記第2伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の他方を構成する過熱流路と、を含み、
前記プレート積層体は、前記積層方向において前記第1プレートと第2プレートとの間に配置され、前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方よりも厚みの大きい第3プレートをさらに含む、請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項4】
前記複数の伝熱管は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管と、を含み、
前記複数の冷媒流路は、前記第1伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の一方を構成する蒸発流路と、前記第2伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の他方を構成する過熱流路と、を含み、
前記プレート積層体は、前記積層方向において前記第1プレートと第2プレートとの間に配置され、前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方よりも熱伝導率の低い第3プレートをさらに含む、請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項5】
前記プレート積層体は、前記蒸発流路と前記過熱流路との間に、冷媒が流れない空隙を有する、請求項2~4のいずれか1項に記載の室内熱交換器。
【請求項6】
前記第2冷媒流路の本数は、前記第1冷媒流路の本数以下である、請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項7】
前記第2冷媒流路の長さは、前記第1冷媒流路の長さ以上である、請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項8】
前記熱交換部は、第1熱交換部及び第2熱交換部を含み、
前記複数の伝熱管は、前記第1熱交換部が有する第1伝熱管、及び、前記第2熱交換部が有する第2伝熱管を含み、
前記第1プレートに、前記第1伝熱管と前記第2伝熱管とを接続する接続流路が設けられている、請求項1に記載の室内熱交換器。
【請求項9】
請求項1に記載の室内熱交換器を備えた、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内熱交換器及びこれを備えた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気調和機に使用される空調用室内機において、熱交換器本体の伝熱管に対し、複数のプレートを積層してなるプレート状分配部材を接続することで、省スペース化を実現することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-125652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、プレート状分配部材を構成する3枚のプレートのうち、センタープレートに冷媒流路が形成されており、アンダープレート及びオーバープレートは当該冷媒流路を画定している。この場合、冷媒流路の構成によっては、センタープレートの平面内で迂回路を設ける必要が生じるため、プレートの平面に沿った面方向においてプレート状分配部材(本開示の「プレート積層体」に相当する。)が大型化してしまう。
【0005】
本開示の目的は、プレート積層体の面方向の大型化を抑制できる室内熱交換器及びこれを備えた空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1観点に係る室内熱交換器は、フィンと、前記フィンを貫通した複数の伝熱管と、を含む熱交換部と、前記複数の伝熱管に接続される複数の冷媒流路が形成されたプレート積層体と、を備え、前記複数の冷媒流路は、第1冷媒流路と、第2冷媒流路と、を含み、前記プレート積層体は、第1プレートと、積層方向において前記第1プレートよりも前記複数の伝熱管から遠い位置に積層された第2プレートと、を含み、前記第1プレートには、第1切欠、第3切欠及び第4切欠が形成され、前記第2プレートには、前記第3切欠及び前記第4切欠に接続される第2切欠が形成され、前記第1切欠は第1冷媒流路を形成し、前記第2切欠、前記第3切欠及び前記第4切欠は第2冷媒流路を形成し、前記積層方向から見て前記第1冷媒流路と前記第2冷媒流路とは交差する。
【0007】
本開示の第1観点によると、プレートの平面内で迂回路を設けるのではなく、第1冷媒流路と第2冷媒流路とを交差させることで、プレート積層体の面方向の大型化を抑制できる。
【0008】
本開示の第2観点に係る室内熱交換器は、上記第1観点において、前記複数の伝熱管は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管と、を含み、前記複数の冷媒流路は、前記第1伝熱管に接続される蒸発流路と、前記第2伝熱管に接続される過熱流路と、を含み、前記蒸発流路と前記過熱流路とは、前記積層方向から見て交差しなくてよい。温度差が大きい流路(蒸発流路及び過熱流路)同士が交差すると、交差部での流路間の熱伝導により、熱効率が悪化し得る。この点、本構成では、温度差が大きい流路(蒸発流路及び過熱流路)同士が交差しないことで、当該問題を抑制できる。
【0009】
本開示の第3観点に係る室内熱交換器は、上記第1又は第2観点において、前記複数の伝熱管は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管と、を含み、前記複数の冷媒流路は、前記第1伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の一方を構成する蒸発流路と、前記第2伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の他方を構成する過熱流路と、を含み、前記プレート積層体は、前記積層方向において前記第1プレートと第2プレートとの間に配置され、前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方よりも厚みの大きい第3プレートをさらに含んでよい。この場合、厚みの大きい第3プレートによって蒸発流路と過熱流路との間の熱伝導が抑制され、熱効率の悪化を効果的に抑制できる。
【0010】
本開示の第4観点に係る室内熱交換器は、上記第1~第3観点のいずれかにおいて、前記複数の伝熱管は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管と、を含み、前記複数の冷媒流路は、前記第1伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の一方を構成する蒸発流路と、前記第2伝熱管に接続され、前記第1冷媒流路及び前記第2冷媒流路の他方を構成する過熱流路と、を含み、前記プレート積層体は、前記積層方向において前記第1プレートと第2プレートとの間に配置され、前記第1プレート及び前記第2プレートの少なくとも一方よりも熱伝導率の低い第3プレートをさらに含んでよい。この場合、熱伝導率の低い第3プレートによって蒸発流路と過熱流路との間の熱伝導が抑制され、熱効率の悪化を効果的に抑制できる。
【0011】
本開示の第5観点に係る室内熱交換器は、上記第1~第4観点のいずれかにおいて、前記プレート積層体は、前記蒸発流路と前記過熱流路との間に、冷媒が流れない空隙を有してよい。この場合、空隙によって蒸発流路と過熱流路との間の熱伝導が抑制され、熱効率の悪化を効果的に抑制できる。
【0012】
本開示の第6観点に係る室内熱交換器は、上記第1~第5観点のいずれかにおいて、前記第2冷媒流路の本数は、前記第1冷媒流路の本数以下であってよい。第1プレートと第2プレートとの間にプレートを設ける場合、第2冷媒流路の本数が多いと、第1プレートと第2プレートとの間のプレートに形成される貫通孔の数が多くなり、貫通孔の形成工程が煩雑になる。この点、本構成では、第2冷媒流路の本数が少ないため、上記問題を抑制できる。
【0013】
本開示の第7観点に係る室内熱交換器は、上記第1~第6観点のいずれかにおいて、前記第2冷媒流路の長さは、前記第1冷媒流路の長さ以上であってよい。第2冷媒流路の長さが短いと、第1プレートにおける第2冷媒流路と第1冷媒流路との間の肉厚が小さくなり、強度の低下や加工性の悪化が問題となる。この点、本構成では、第2冷媒流路の長さが長いため、上記問題を抑制できる。
【0014】
本開示の第8観点に係る室内熱交換器は、上記第1~第7観点のいずれかにおいて、前記熱交換部は、第1熱交換部及び第2熱交換部を含み、前記複数の伝熱管は、前記第1熱交換部が有する第1伝熱管、及び、前記第2熱交換部が有する第2伝熱管を含み、前記第1プレートに、前記第1伝熱管と前記第2伝熱管とを接続する接続流路が設けられてよい。第2プレートは、第1プレートよりも、複数の伝熱管から遠い位置に積層されている。第2プレートに接続流路を設けると、伝熱管の端面から第2プレートに形成された接続流路までの積層方向の距離が長くなり、圧力損失が大きくなり得る。この点、本構成では、第1プレートに接続流路を設けたことで、上記距離が長くなること、ひいては圧力損失が大きくなることを抑制できる。
【0015】
本開示の第9観点に係る空気調和機は、上記第1観点に係る室内熱交換器を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の第1実施形態に係る空気調和機の、外装パネルを取り外した状態での正面図である。
図2図1に示す空気調和機に含まれる室内熱交換器の右側面図である。
図3図1に示すプレート積層体の斜視図である。
図4図3に示すプレート積層体を構成する5枚のプレートのうち最も左方に位置するプレートの平面図である。
図5図3に示すプレート積層体を構成する5枚のプレートのうち左から2番目に位置するプレートの平面図である。
図6図3に示すプレート積層体を構成する5枚のプレートのうち左から3番目に位置するプレートの平面図である。
図7図3に示すプレート積層体を構成する5枚のプレートのうち左から4番目に位置するプレートの平面図である。
図8図3に示すプレート積層体を構成する5枚のプレートのうち最も右方に位置するプレートの平面図である。
図9図5に示すIX-IX線に沿ったプレート積層体の断面図である。
図10】本開示の第2実施形態に係る室内熱交換器の図5に対応する図である。
図11図10に示すXI-XI線に沿ったプレート積層体及び熱交換部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、本開示の第1実施形態に係る空気調和機1の全体構成について説明する。なお、以下の説明において、「上」「下」「右」「左」「前」「後」の方向は、空気調和機1が図1の状態で設置された状態での方向を表す。
【0018】
空気調和機1は、室内熱交換器10と、ファン及びフィルタ(図示略)と、フレーム1fと、外装パネル(図示略)とを有する。
【0019】
フレーム1fは、空気調和機1の底部及び後部を構成する。フレーム1fは、一方向に長く、図1において当該一方向が左右方向に沿うように、取付板(図示略)を介して室内の壁面に取り付けられている。ファン、外装パネル及び室内熱交換器10は、フレーム1fに取り付けられている。フィルタは、外装パネルに取り付けられている。
【0020】
室内熱交換器10は、フレーム1fと同様に一方向(図1の左右方向)に長い。
【0021】
次いで、図1図9を参照し、室内熱交換器10の構成について詳細に説明する。
【0022】
室内熱交換器10は、図1に示すように、熱交換部10uと、プレート積層体30と、複数のUベンド管22と、複数の連絡配管23とを含む。図1では、複数のUベンド管22のうちの1つにおいてプレート積層体30と側面視で重なる部分を破線で描いている。
【0023】
熱交換部10uは、複数のフィン11と、複数の伝熱管12と、管板14とを含む。
【0024】
複数のフィン11は、それぞれ、薄板状であり、板面が上下方向及び前後方向に沿うように配置されている。複数のフィン11は、左右方向に等間隔に並んでいる。
【0025】
複数の伝熱管12は、それぞれ、左右方向に延び、複数のフィン11を貫通している。
【0026】
なお、図1では、簡略化のため、複数の伝熱管12の一部のみを描いており、複数のフィン11の一部のみを部分的に描いている。
【0027】
各伝熱管12の左端は、U字状の曲げ部21を介して別の伝熱管12の左端と接続されている。各伝熱管12の右端は、Uベンド管22、連絡配管23又はプレート積層体30を介して別の伝熱管12の右端と接続されている。曲げ部21は、複数のフィン11に対して左側に位置している。Uベンド管22、連絡配管23及びプレート積層体30は、複数のフィン11に対して右側に位置している。
【0028】
曲げ部21は伝熱管12と一体的に形成されており、1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とがU字状管として形成される。一方、Uベンド管22及び連絡配管23は、上記のように折り曲げて形成されたU字状管の開口端(伝熱管12の右端)に溶接されたものである。
【0029】
プレート積層体30は、左右方向(積層方向)に積層された5枚のプレート31~35を含む(図3参照)。Uベンド管22、連絡配管23及びプレート積層体30のいずれにも、冷媒流路が形成されている。
【0030】
Uベンド管22、連絡配管23及びプレート積層体30の近傍には、図1に示すように、分流器18、膨張弁19等が配置されている。
【0031】
管板14は、板面が上下方向及び前後方向に沿うように配置されており、複数のフィン11に対して右側に位置する。管板14には、複数の伝熱管12が貫通している。管板14と各伝熱管12との間にはほとんど間隙がなく、管板14がフィン11及び複数の伝熱管12を支持している。管板14の右側、即ち管板14に対して複数のフィン11と反対側に、Uベンド管22、連絡配管23及びプレート積層体30が配置されている。
【0032】
なお、図示を省略するが、複数のフィン11に対して左側にも、管板が配置されている。
【0033】
複数の伝熱管12は、管板14の右側面から右側に若干突出している。即ち、管板14の右側面の若干右側に、複数の伝熱管12の端面12xが位置している。
【0034】
管板14は、図2に示すように、第1管板141と、第2管板142と、第3管板143と、第4管板144とを含む。室内熱交換器10は、第1~第4管板141~144がそれぞれ隣り合う管板141~144と角度をなして配置された折り曲げ型である。第1~第4管板141~144のそれぞれに、複数の伝熱管12が貫通している。各U字状管(1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とが形成するU字状管)における一対の伝熱管12は、第1~第4管板141~144のうちの互いに異なる2つの管板を貫通しない。
【0035】
熱交換部10uは、第1管板141を含む後熱交換部10u1と、第2~第4管板142~144を含む前熱交換部10u2とで構成される。
【0036】
後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうち、互いに隣接する2本の伝熱管121a,122aは、Uベンド管22の冷媒流路22mを介して接続されている。2本の伝熱管121a,122aは、それぞれ別のU字状管(1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とが形成するU字状管)を構成するものである。
【0037】
後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管121b)と、前熱交換部10u2が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管122b)とは、連絡配管23の冷媒流路23mを介して接続されている。後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管121c)と、前熱交換部10u2が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管122c)とは、連絡配管23の冷媒流路23mを介して接続されている。後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管121d)と、前熱交換部10u2が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管122d)とは、連絡配管23の冷媒流路23mを介して接続されている。後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管121e)と、前熱交換部10u2が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管122e)とは、連絡配管23の冷媒流路23mを介して接続されている。
【0038】
伝熱管121cは、さらに、膨張弁19に接続されている。膨張弁19は、伝熱管121cと伝熱管122cとを接続する連絡配管23に取り付けられている。
【0039】
複数のフィン11に対する右側において、後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうち、Uベンド管22又は連絡配管23に接続される6本の伝熱管121a,122a,121b,121c,121d,121eを除く伝熱管12は、プレート積層体30に接続されている。
【0040】
なお、図3に示すプレート積層体30は、後熱交換部10u1に取り付けられるものである。前熱交換部10u2に取り付けられるプレート積層体は、プレート積層体30と同様の構成であり、図示及び説明を省略する。
【0041】
プレート積層体30は、複数の接続部40を介して、後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうち、Uベンド管22又は連絡配管23に接続されない伝熱管12に、取り付けられている。複数の接続部40は、それぞれ、円筒状であり、内部に冷媒流路を有する。各接続部40は、左右方向に延び、上記伝熱管12とプレート積層体30とを左右方向に接続している。各接続部40は、上記伝熱管12の端面12xに接続する左端と、プレート積層体30におけるプレート31の左側面に接続する右端とを有する。
【0042】
プレート積層体30には、外周の一部(後部)に、凹み30x,30yが設けられている。凹み30x,30yは、左右方向にプレート積層体30を貫通している。凹み30x,30yは、プレート31~35を切り欠いたような形状にて形成された、空隙部である。凹み30yに対応する位置に、Uベンド管22が配置されている(図4図8参照)。
【0043】
接続部40の左右方向の長さは、Uベンド管22の左右方向の長さよりも短い。伝熱管12の端面12xから、プレート積層体30において伝熱管12の端面12xに最も近い面(プレート31の左側面)までの、左右方向(積層方向)の第1距離D1は、伝熱管12の端面12xから、Uベンド管22において伝熱管12の端面12xから最も遠い面(U字状の頂部)までの、左右方向(積層方向)の第2距離D2よりも短い(図1参照)。したがって、図1に示すように、前後方向から見て、Uベンド管22はプレート積層体30と重なっている。
【0044】
次いで、図4図9を参照し、プレート積層体30に形成された冷媒流路30mについて詳細に説明する。
【0045】
冷媒流路30mは、プレート積層体30を構成する各プレート31~35に形成された貫通孔によって構成されている。
【0046】
プレート31には、図4に示すように、複数の円孔(後述する円孔313a,314aを含む。)が形成されている。当該円孔のそれぞれに、接続部40(図3参照)の右端が挿入されている。
【0047】
プレート32には、図5に示すように、複数の円孔(後述する円孔323x,324x,323aを含む。)と、複数の細長孔(後述する細長孔321y,322y,323y,324aを含む。)とが形成されている。これら円孔及び細長孔は、プレート31に形成された複数の円孔の1又は2つと連通している。
【0048】
プレート33には、図6に示すように、複数の円孔(後述する円孔334aを含む。)が形成されている。当該円孔は、それぞれ、プレート32に形成された円孔又は細長孔の1つと連通している。
【0049】
プレート34には、図7に示すように、複数の細長孔(後述する細長孔342x,343aを含む。)が形成されている。当該細長孔は、それぞれ、プレート33に形成された複数の円孔のうちの2つと連通している。
【0050】
プレート35には、図8に示すように、1つの円孔35xが形成されている。円孔35xは、プレート34に形成された複数の細長孔のうちの1つと連通している。
【0051】
各プレート31~35に形成された貫通孔(円孔又は細長孔)が互いに連通することにより、冷媒流路30mが形成されている。
【0052】
図2に示す2本の伝熱管123a,124a(後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうちの2本)は、プレート31に形成された円孔313a,314aと、プレート32に形成された円孔323a及び細長孔324aと、プレート33に形成された円孔333a,334aと、プレート34に形成された細長孔343aとで構成される冷媒流路30mを介して、互いに接続されている。2本の伝熱管123a,124aは、それぞれ別のU字状管(1本の管を折り曲げることで一対の伝熱管12と曲げ部21とが形成するU字状管)を構成するものである。
【0053】
図9に示すように、プレート34に形成された細長孔342x(図7参照)は、プレート32に形成された4本の細長孔321y,322y,323y,324a(図5参照)に跨っている。細長孔321y,322y,323y,324aは、それぞれ、冷媒流路30mの第1冷媒流路30m1を構成するものであり、本開示の「第1切欠」に該当する。プレート32に形成された円孔323x,324xと、プレート31,33に形成された円孔と、プレート34に形成された細長孔342xとは、冷媒流路30mの第2冷媒流路30m2を構成する。円孔323xは本開示の「第3切欠」に該当し、円孔324xは本開示の「第4切欠」に該当し、細長孔342xは本開示の「第2切欠」に該当する。細長孔342xの一端が円孔323xに接続し、細長孔342xの他端が円孔324xに接続している。第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2とは、左右方向(積層方向)から見て交差している(図5参照)。
【0054】
プレート32は、本開示の「第1プレート」に該当する。プレート34は、左右方向(積層方向)においてプレート32よりも伝熱管12から遠い位置に積層されたものであり、本開示の「第2プレート」に該当する。
【0055】
第2冷媒流路30m2の本数(1本)は、第1冷媒流路30m1の本数(4本)よりも少ない。また、左右方向から見て、第2冷媒流路30m2の長さ(図7に示す細長孔342xの長さ)は、4本の第1冷媒流路30m1の長さ(図5に示す細長孔321y,322y,323y,324aの長さ)のいずれよりも長い。
【0056】
冷媒流路30mに接続される複数の伝熱管12は、蒸発域となる第1伝熱管と、過熱域となる第2伝熱管とを含む。蒸発域及び過熱域は、室内熱交換器10の制御に応じて切り替えられ、1本の伝熱管は、室内熱交換器10の制御に応じて、蒸発域になる場合と、過熱域になる場合とがある。
【0057】
第1冷媒流路30m1を構成する4本の細長孔321y,322y,323y,324aは、それぞれ、伝熱管125a~125d(図4参照)に接続されている。第2冷媒流路30m2を構成する円孔323x,324xは、それぞれ、伝熱管126a,126b(図4参照)に接続されている。
【0058】
伝熱管125a~125d(第1伝熱管)が蒸発域となるとき、伝熱管126a,126b(第2伝熱管)は過熱域となる場合がある。この場合、第1冷媒流路30m1が本開示の「蒸発流路」に該当し、第2冷媒流路30m2が本開示の「過熱流路」に該当する。伝熱管125a~125d(第2伝熱管)が過熱域となるとき、伝熱管126a,126b(第1伝熱管)は蒸発域となる。この場合、第1冷媒流路30m1が本開示の「過熱流路」に該当し、第2冷媒流路30m2が本開示の「蒸発流路」に該当する。
【0059】
つまり、左右方向(積層方向)から見て交差する第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2とは、一方が蒸発流路となるとき、他方が過熱流路となる場合がある。このような場合において、第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2を構成する細長孔342xとの間に介在するプレート33は、プレート32,34のいずれよりも厚みが大きく(図9参照)、プレート32,34のいずれよりも熱伝導率が低い。
【0060】
プレート33は、プレート32とプレート34との間に配置されたプレートであり、本開示の「第3プレート」に該当する。
【0061】
プレート33には、冷媒が流れない空隙50が形成されている(図9参照)。空隙50は、左右方向(積層方向)において第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2との間に位置する。例えば、プレート33が2枚の板部材で構成され、2枚の板部材のそれぞれにハーフエッチング等で凹部を形成し、当該凹部を組み合わせることで空隙50を形成してよい。
【0062】
プレート34に形成された細長孔342x(図7参照)は、プレート32に形成された細長孔329に跨っていない。細長孔342xと細長孔329とは、左右方向(積層方向)から見て交差していない。
【0063】
細長孔329は、伝熱管125e(図4参照)に接続されている。伝熱管125e(第1伝熱管)が蒸発域となるとき、伝熱管126a,126b(第2伝熱管)は過熱域となる場合がある。この場合、細長孔329が本開示の「蒸発流路」に該当し、第2冷媒流路30m2が本開示の「過熱流路」に該当する。伝熱管125e(第2伝熱管)が過熱域となるとき、伝熱管126a,126b(第1伝熱管)は蒸発域となる。この場合、細長孔329が本開示の「過熱流路」に該当し、第2冷媒流路30m2が本開示の「蒸発流路」に該当する。
【0064】
以上に述べたように、本実施形態によると、プレート積層体30の冷媒流路30mは、プレート32に形成された細長孔321y,322y,323y,324aでそれぞれ構成される第1冷媒流路30m1(図5参照)と、プレート32に形成された円孔323x,324x、プレート31,33に形成された円孔及びプレート34に形成された細長孔342xで構成される第2冷媒流路30m2(図5図7参照)とを含む。第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2とは、左右方向(積層方向)から見て交差している(図5参照)。この場合、プレート31~35の平面内で迂回路を設けるのではなく、第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2とを交差させることで、プレート31~35の平面に沿った面方向におけるプレート積層体30の大型化を抑制できる。
【0065】
蒸発流路(例えば、プレート32に形成された細長孔329)と過熱流路(例えば、第2冷媒流路30m2を構成する、プレート34に形成された細長孔342x)とは、左右方向(積層方向)から見て交差していない(図5参照)。温度差が大きい流路(蒸発流路及び過熱流路)同士が交差すると、交差部での流路間の熱伝導により、熱効率が悪化し得る。この点、本構成では、温度差が大きい流路(蒸発流路及び過熱流路)同士が交差しないことで、当該問題を抑制できる。
【0066】
第1冷媒流路30m1が蒸発流路、第2冷媒流路30m2が過熱流路となる場合において、第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2を構成する細長孔342xとの間に介在するプレート33は、プレート32,34のいずれよりも厚みが大きい(図9参照)。この場合、厚みの大きいプレート33によって蒸発流路と過熱流路との間の熱伝導が抑制され、熱効率の悪化を効果的に抑制できる。
【0067】
第1冷媒流路30m1が蒸発流路、第2冷媒流路30m2が過熱流路となる場合において、第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2を構成する細長孔342xとの間に介在するプレート33は、プレート32,34のいずれよりも熱伝導率が低い。この場合、熱伝導率の低いプレート33によって蒸発流路と過熱流路との間の熱伝導が抑制され、熱効率の悪化を効果的に抑制できる。
【0068】
プレート積層体30は、蒸発流路(例えば、第1冷媒流路30m1)と過熱流路(例えば、第2冷媒流路30m2)との間に、冷媒が流れない空隙50を有している(図9参照)。この場合、空隙50によって蒸発流路と過熱流路との間の熱伝導が抑制され、熱効率の悪化を効果的に抑制できる。
【0069】
第2冷媒流路30m2の本数(1本)は、第1冷媒流路30m1の本数(4本)よりも少ない。第2冷媒流路30m2の本数が多いと、プレート33に形成される貫通孔の数が多くなり、貫通孔の形成工程が煩雑になる。この点、本構成では、第2冷媒流路30m2の本数が少ないため、上記問題を抑制できる。
【0070】
第2冷媒流路30m2の長さ(図7に示す細長孔342xの長さ)は、4本の第1冷媒流路30m1の長さ(図5に示す細長孔321y,322y,323y,324aの長さ)のいずれよりも長い。第2冷媒流路30m2の長さが短いと、プレート32における第2冷媒流路30m2と第1冷媒流路30m1との間の肉厚が小さくなり、強度の低下や加工性の悪化が問題となる。この点、本構成では、第2冷媒流路30m2の長さが長いため、上記問題を抑制できる。
【0071】
<第2実施形態>
次いで、図10及び図11を参照し、本開示の第2実施形態に係る室内熱交換器について説明する。
【0072】
第2実施形態では、後熱交換部10u1が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管121f)と、前熱交換部10u2が有する複数の伝熱管12のうちの1本(伝熱管122f)とが、プレート積層体30のプレート32に形成された接続流路60を介して接続されている。
【0073】
後熱交換部10u1は本開示の「第1熱交換部」に該当し、前熱交換部10u2は本開示の「第2熱交換部」に該当する。伝熱管121fは本開示の「第1伝熱管」に該当し、伝熱管122fは本開示の「第2伝熱管」に該当する。
【0074】
本実施形態において、プレート積層体30は、後熱交換部10u1と前熱交換部10u2とに跨って配置されている。接続流路60は、プレート32及びプレート31に形成されており、その他のプレート(プレート33~35)には形成されていない。
【0075】
プレート34は、プレート32よりも、複数の伝熱管12から遠い位置に積層されている。プレート34に接続流路60を設けると、伝熱管12の端面12xからプレート34に形成された接続流路60までの左右方向の距離が長くなり、圧力損失が大きくなり得る。この点、本構成では、プレート32に接続流路60を設けたことで、上記距離が長くなること、ひいては圧力損失が大きくなることを抑制できる。
【0076】
<変形例>
上述の実施形態では、プレート積層体30の冷媒流路30mが、各プレート31~35に形成された貫通孔によって形成されているが、これに限定されない。例えば、冷媒流路30mの一部又は全てが、各プレート31~35にハーフエッチング等で形成された有底の溝によって形成されてもよい。同様に、本開示の「第1切欠」「第2切欠」「第3切欠」「第4切欠」は、貫通孔に限定されず、各プレート31~35にハーフエッチング等で形成された有底の溝であってもよい。
【0077】
上述の実施形態では、Uベンド管22(冷媒管)が、プレート積層体30の外周に設けられた凹み30yに対応する位置に配置されているが、これに限定されない。例えば、プレート積層体の中央部に貫通孔又は凹部が形成されており、当該貫通孔又は凹部に対応する位置に冷媒管が配置されてもよい。
【0078】
上述の実施形態では、プレート33は、プレート32,34のいずれよりも厚みが大きいが、本開示の第3観点では、プレート32,34の少なくとも一方よりも厚みが大きければよい。
【0079】
上述の実施形態では、プレート33は、プレート32,34のいずれよりも熱伝導率が低いが、本開示の第4観点では、プレート32,34の少なくとも一方よりも熱伝導率の低ければよい。
【0080】
上述の実施形態では、蒸発流路と過熱流路との間に設けられる空隙として、左右方向(積層方向)において第1冷媒流路30m1と第2冷媒流路30m2との間に位置する空隙50(図9参照)を例示したが、これに限定されない。例えば、プレート31~35の面方向において、蒸発流路と過熱流路との間に、空隙を設けてよい。
【0081】
上述の実施形態では、第2冷媒流路30m2の本数は、第1冷媒流路30m1の本数よりも少ないが、第1冷媒流路30m1の本数以下であればよく、第1冷媒流路30m1の本数と同じであってもよい。
【0082】
上述の実施形態では、第2冷媒流路30m2の長さは、4本の第1冷媒流路30m1の長さのいずれよりも長いが、第1冷媒流路30m1の長さ以上であればよく、4本の第1冷媒流路30m1の長さのいずれかと同じであってもよい。
【0083】
上述の実施形態では、第1熱交換部及び第2熱交換部として、折り曲げ型の室内熱交換器10における折り曲げ個所を間に介在する後熱交換部10u1及び前熱交換部10u2を例示したが、これに限定されない。例えば、直線状に配置されて折り曲げ個所を介在しない2つの熱交換部を、第1熱交換部及び第2熱交換部としてもよい。
【0084】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0085】
1 空気調和機
10 室内熱交換器
10u 熱交換部
10u1 後熱交換部(第1熱交換部)
10u2 前熱交換部(第2熱交換部)
11 フィン
12 伝熱管
30 プレート積層体
30m 冷媒流路
30m1 第1冷媒流路
30m2 第2冷媒流路
32 プレート(第1プレート)
321y,322y,323y,324a 細長孔(第1切欠)
323x 円孔(第3切欠)
324x 円孔(第4切欠)
33 プレート(第3プレート)
34 プレート(第2プレート)
342x 細長孔(第2切欠)
50 空隙
60 接続流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11