(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052104
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】利用者特定装置及び利用者特定システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240404BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
H04Q9/00 301D
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158577
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 吏
【テーマコード(参考)】
5K048
5K201
【Fターム(参考)】
5K048BA01
5K048BA34
5K201BA02
5K201CC01
5K201CC10
5K201ED08
5K201ED09
(57)【要約】
【課題】2人以上が同居する世帯において、電力センサデータから各個人の家電の利用を特定すること。
【解決手段】利用者特定装置20は、電力センサから、住宅の電力データを取得する電力データ取得部22と、電力データ取得部22によって取得された電力データから、家電利用の検出データを取得する検出データ取得部23と、住宅の各空間における家電の操作・動作音、人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかを収音するマイクロフォン11から音声を取得する音声取得部21と、検出データと家電の操作・動作音とから、家電ごとの利用時間を算出する第一算出部24と、人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかから各空間における在室者の在室時間を算出する第二算出部32と、第一算出部24の算出結果と、第二算出部32の算出結果とに基づいて、各空間に在室する在室者が家電の利用者である確率を示す同時確率を算出して、在室者ごとの利用家電の履歴を示す個人家電利用履歴を算出する第三算出部43とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅に設置された電力センサから、住宅の電力データを取得する電力データ取得部と、
前記電力データ取得部によって取得された前記電力データから、家電利用の検出データを取得する検出データ取得部と、
前記住宅の各空間における家電の操作・動作音、人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかを収音するマイクロフォンから音声を取得する音声取得部と、
前記検出データ取得部によって取得された前記検出データと、前記音声取得部によって取得された前記家電の操作・動作音とから、前記家電ごとの利用時間を算出する第一算出部と、
前記音声取得部によって取得された人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかから前記各空間における在室者の在室時間を算出する第二算出部と、
前記第一算出部の算出結果と、前記第二算出部の算出結果とに基づいて、前記各空間に在室する前記在室者が前記家電の利用者である確率を示す同時確率を算出して、前記在室者ごとの利用家電の履歴を示す個人家電利用履歴を算出する第三算出部と、
を備える利用者特定装置。
【請求項2】
前記第一算出部は、前記家電が複数の空間に配置されている場合、又は、前記家電が移動して利用される場合、前記音声取得部によって取得された、前記家電の操作・動作音に基づいて、前記家電が利用された空間を特定する、
請求項1に記載の利用者特定装置。
【請求項3】
前記第一算出部は、前記検出データ取得部によって取得された前記検出データが示す家電利用開始時間と、前記音声取得部によって取得された前記家電の操作・動作音の検出時間とが一致する場合、前記操作・動作音が検出された空間を前記家電の利用空間とする、
請求項2に記載の利用者特定装置。
【請求項4】
前記第三算出部は、前記第一算出部の算出結果と、前記第二算出部の算出結果と、算出した同時確率とに基づいて、個人家電利用履歴を算出する、
請求項1に記載の利用者特定装置。
【請求項5】
前記第三算出部は、前記空間の前記在室者が1人のみである場合、前記在室者を利用者として前記個人家電利用履歴を算出する、
請求項4に記載の利用者特定装置。
【請求項6】
前記第三算出部は、前記空間の前記在室者が2人以上であり、前記家電が共同利用される利用形態である場合、前記在室者の全員を利用者として前記個人家電利用履歴を算出する、
請求項4に記載の利用者特定装置。
【請求項7】
前記第三算出部は、前記空間の前記在室者が2人以上であり、前記家電が単独利用される利用形態である場合、前記在室者の全員を利用者として前記個人家電利用履歴を算出する、
請求項4に記載の利用者特定装置。
【請求項8】
前記住宅に設置された電力センサと、
前記住宅の前記各空間に設置されたマイクロフォンと、
請求項1から7のいずれか一項に記載の利用者特定装置と、
を備える利用者特定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者特定装置及び利用者特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力センサによって測定された電力などから、居宅である家屋の中で生活する、被介護者である対象者の生活の状況を確認する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。ユーザの活動量の履歴、及び、ユーザの機器操作情報の少なくとも一方から、ユーザの認知症の程度を判断する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-059193号公報
【特許文献2】国際公開第2017/145566号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力センサデータから利用家電を把握して、家電利用パターンの変化から認知機能低下を検知する技術がある。ところが、2人以上が同居する世帯である場合、家電利用データだけでは各個人の生活行動の変化を把握できないという課題があった。そこで、2人以上が同居する世帯にも適用可能にするためには、家電と利用者の関係を特定することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、2人以上が同居する世帯において、電力センサデータから各個人の家電の利用を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る利用者特定装置は、住宅に設置された電力センサから、住宅の電力データを取得する電力データ取得部と、前記電力データ取得部によって取得された前記電力データから、家電利用の検出データを取得する検出データ取得部と、前記住宅の各空間における家電の操作・動作音、人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかを収音するマイクロフォンから音声を取得する音声取得部と、前記検出データ取得部によって取得された前記検出データと、前記音声取得部によって取得された前記家電の操作・動作音とから、前記家電ごとの利用時間を算出する第一算出部と、前記音声取得部によって取得された人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかから前記各空間における在室者の在室時間を算出する第二算出部と、前記第一算出部の算出結果と、前記第二算出部の算出結果とに基づいて、前記各空間に在室する前記在室者が前記家電の利用者である確率を示す同時確率を算出して、前記在室者ごとの利用家電の履歴を示す個人家電利用履歴を算出する第三算出部とを備える。
【0007】
本発明に係る利用者特定システムは、電力センサと、前記住宅の前記各空間に設置されたマイクロフォンと、上記の利用者特定装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、2人以上が同居する世帯において、電力センサデータから各個人の家電の利用を特定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る利用者特定システムの構成例の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、家電利用時間データの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、個人在室時間データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、同時確率データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、家電在室者データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、家電在室者データの他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、個人家電利用履歴データの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、個人家電利用履歴データの他の例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る利用者特定装置における家電利用時間の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態に係る利用者特定装置における個人在室時間の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係る利用者特定装置における同時確率の算出処理の流れを示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施形態に係る利用者特定装置における利用者特定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る利用者特定装置及び利用者特定システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
<利用者特定システム>
図1は、実施形態に係る利用者特定システムの構成例の一例を示すブロック図である。利用者特定システム1は、2人以上が同居する世帯において、取得した電力センサデータから各個人の家電の利用を特定する。利用者特定システム1は、マイクロフォン11と、電力センサ12と、家電記憶部14と、家電利用時間記憶部15と、個人在室時間記憶部16と、同時確率記憶部17と、家電在室者記憶部18と、個人家電利用履歴記憶部19と、利用者特定装置20とを備える。
【0012】
利用者特定システム1は、例えば、住宅に設置されている。
【0013】
マイクロフォン11は、例えば、住宅内の各空間に設置されている。本実施形態では、マイクロフォン11は、住宅内の空間ごとに音声を収音する。マイクロフォン11は、例えば、空間における家電の操作・動作音、人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかを収音する。マイクロフォン11は、利用者特定装置20の音声取得部21に出力される。
【0014】
空間とは、例えば、リビング、キッチン、洗面所(トイレ、浴室)、ダイニング、寝室、書斎、及び、玄関などの住宅内の各部屋である。
【0015】
電力センサ12は、住宅に設置されている。電力センサ12は、住宅の電力データを検出する。電力センサ12は、検出した電力データを電力データ取得部22へ出力する。
【0016】
家電記憶部14は、住宅に設置されている家電を示す家電データを記憶する。家電記憶部14は、家電ごとに利用空間を家電データとして記憶する。家電記憶部14は、利用者特定システム1による処理の開始前に、あらかじめ家電データを記憶する。家電記憶部14は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記録媒体である。家電記憶部14は、図示しない通信部を介して接続される、外部の記憶装置であってもよい。
【0017】
家電は、例えば、エアコン、電子レンジ、掃除機などの住宅で利用される家電の種類である。利用空間は、家電が利用される空間、言い換えると、家電が設置されている空間である。利用空間は、例えば、住宅内の部屋である。利用空間は、家電が移動して利用可能である場合には1つの空間に固定されない。
【0018】
図2は、家電データの一例を示す図である。
図2に示す例では、家電「エアコン」は、利用空間「空間A」に設置されていることが記憶されている。家電「電子レンジ」は、利用空間「空間A」に設置されていることが記憶されている。家電「掃除機」は、利用空間が「移動」することが記憶されている。
【0019】
家電利用時間記憶部15は、家電ごとに利用された時間である利用時間を示す家電利用時間データを記憶する。本実施形態では、家電利用時間記憶部15は、空間及び家電ごとの家電利用時間データを記憶する。家電利用時間記憶部15は、第一算出部24の算出結果に基づいて家電利用時間データが更新される。家電利用時間記憶部15は、例えば、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記録媒体である。家電利用時間記憶部15は、図示しない通信部を介して接続される、外部の記憶装置であってもよい。
【0020】
図3は、家電利用時間データの一例を示す図である。
図3は、空間Aの利用家電の1時間ごとの家電利用時間データである。
図3に示す例では、空間Aの利用家電は、エアコン、電子レンジ、掃除機である。各家電が利用された時間帯は、「1」が入力されている。各家電が利用されていない時間帯は、数値が入力されていない。例えば、「エアコン」は、「10時から14時まで」に「1」が入力されている。例えば、「電子レンジ」は、「12時」に「1」が入力されている。例えば、「掃除機」は、「10時」に「1」が入力されている。
図3に示す例では、時間帯は1時間単位としているが、これに限定されない。時間帯は、例えば、1分単位、10分単位など任意に設定可能である。他の図においても同様である。
【0021】
個人在室時間記憶部16は、個人ごとに空間に在室した時間である在室時間を示す個人在室時間データを記憶する。本実施形態では、個人在室時間記憶部16は、空間及び在室者ごとの個人在室時間データを記憶する。個人在室時間記憶部16は、第二算出部32の算出結果に基づいて個人在室時間データが更新される。個人在室時間記憶部16は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記録媒体である。個人在室時間記憶部16は、図示しない通信部を介して接続される、外部の記憶装置であってもよい。
【0022】
図4は、個人在室時間データの一例を示す図である。
図4は、空間Aの在室者の1時間ごとの在室時間データである。各個人が在室した時間帯は、「1」が入力されている。各個人が在室していない時間帯は、数値が入力されていない。
図4に示す例では、空間Aには、個人aと個人bとが在室している。言い換えると、個人aと個人bとが在室者である。例えば、個人aは、「10時」と「12時」に「1」が入力されている。例えば、個人bは、「10時から14時まで」に「1」が入力されている。
【0023】
同時確率記憶部17は、家電ごとに同時確率データを記憶する。本実施形態では、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの同時確率データを記憶する。同時確率記憶部17は、第三算出部43の算出結果に基づいて同時確率データが更新される。同時確率記憶部17は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記録媒体である。同時確率記憶部17は、図示しない通信部を介して接続される、外部の記憶装置であってもよい。
【0024】
空間において家電が利用され、かつ、空間内に複数人が在室していた場合、家電の利用者を特定することができない。空間において家電が利用され、かつ、空間内に複数人が在室していた場合、複数人のそれぞれが家電の利用者である確率を同時確率という。同時確率は、例えば、過去において「電子レンジ」の利用者が「個人a」であることが多かった場合、「個人a」の同時確率が「個人b」に比べて高くなる。
【0025】
図5は、同時確率データの一例を示す図である。
図5は、電子レンジと掃除機のそれぞれについて、曜日及び時間帯ごとの同時確率データである。各時間帯において、各個人の同曜日及び同時間帯の同時確率の合計は「1」になる。例えば、「電子レンジ」の「日曜」の「12時から18時まで」の「個人a」の同時確率は「0.9」、「個人b」の同時確率は「0.1」である。例えば、「掃除機」の「日曜」の「6時から12時まで」の「個人a」の同時確率は「0.1」、「個人b」の同時確率は「0.9」である。
【0026】
家電在室者記憶部18は、家電ごとの在室者を示す家電在室者データを記憶する。本実施形態では、家電在室者データとして、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの在室者の頻度累計データを記憶する。頻度累計データは、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの在室者として判定された個人には、「1」が加算される。本実施形態では、家電在室者データとして、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの在室者の同時確率データを記憶する。家電在室者記憶部18は、第三算出部43の算出結果に基づいて家電在室者データが更新される。家電在室者記憶部18は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記録媒体である。家電在室者記憶部18は、図示しない通信部を介して接続される、外部の記憶装置であってもよい。
【0027】
図6は、家電在室者データの頻度累計データの一例を示す図である。
図6は、過去1ケ月間の空間Aにおける家電ごとの、曜日及び時間帯ごとの在室者の頻度累計データである。家電利用時間データと個人在室時間データとに基づく、第三算出部43の算出結果から、頻度累計データが更新される。
図6に示す例では、空間Aには、電子レンジと掃除機と炊飯器とが設置され、個人aと個人bとが在室している。例えば、「電子レンジ」「月曜」「12-18時」の個人aは頻度累計「9」、個人bは頻度累計「1」が入力されている。
【0028】
図7は、家電在室者データの同時確率データの一例を示す図である。
図7は、過去1ケ月間の空間Aにおける家電ごとの、曜日及び時間帯ごとの在室者の同時確率データである。家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて更新された頻度累計データから、同時確率データが更新される。
図7に示す例では、空間Aには、電子レンジと掃除機と炊飯器とが設置され、個人aと個人bとが在室している。例えば、「電子レンジ」「月曜」「12-18時」の個人aは同時確率「0.9」、個人bは同時確率「0.1」が入力されている。
【0029】
個人家電利用履歴記憶部19は、個人ごとの利用家電の履歴を示す個人家電利用履歴データを記憶する。個人家電利用履歴記憶部19は、第三算出部43の算出結果に基づいて、「1」又は確信度(0<X<1)が加算され、累積した数値が個人家電利用履歴データとして更新される。個人家電利用履歴データの更新処理である、家電利用履歴の算出処理については、後述する。個人家電利用履歴記憶部19は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などの記録媒体である。個人家電利用履歴記憶部19は、図示しない通信部を介して接続される、外部の記憶装置であってもよい。
【0030】
図8は、個人家電利用履歴データの一例を示す図である。
図8は、過去1ケ月間の個人aの家電及び時間帯ごとの個人家電利用履歴データである。家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて更新された頻度累計データから、個人家電利用履歴データが更新される。
図8に示す例では、個人aは、エアコンと電子レンジと掃除機とを利用している。例えば、「エアコン」は、「10時」と「12時」に「1」が入力されている。
【0031】
図9は、個人家電利用履歴データの他の例を示す図である。
図9は、過去1ケ月間の個人bの家電及び時間帯ごとの個人家電利用履歴データである。家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて更新された頻度累計データから、個人家電利用履歴データが更新される。
図9に示す例では、個人bは、エアコンと電子レンジと掃除機とを利用している。例えば、「エアコン」は、「10時」から「14時」に「1」が入力されている。
【0032】
<利用者特定装置>
利用者特定装置20は、2人以上が同居する世帯において、電力センサデータから各個人の家電の利用を特定する。利用者特定装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。利用者特定装置20は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。利用者特定装置20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは利用者特定装置20におけるデータの一時記憶などに用いられる。
【0033】
利用者特定装置20は、音声取得部21と、電力データ取得部22と、検出データ取得部23と、第一算出部24と、個人特定部31と、第二算出部32と、家電利用時間取得部41と、個人在室時間取得部42と、第三算出部43とを備える。
【0034】
音声取得部21は、マイクロフォン11から音声データを取得する。本実施形態では、音声取得部21は、各空間に設置されたマイクロフォン11から音声データを取得する。
【0035】
電力データ取得部22は、住宅に設置された電力センサ12から、住宅の電力データを取得する。
【0036】
検出データ取得部23は、電力データ取得部22によって取得された電力データから、家電利用の検出データを取得する。より詳しくは、検出データ取得部23は、電力データから、家電記憶部14に記憶した家電データに含まれる家電について、その家電を利用した際に得られる家電利用の検出データを取得する。電力データから家電利用の検出データを取得する方法は公知の方法を利用可能であり、限定されない。
【0037】
家電利用の検出データは、電力データのうち、家電の動作に利用された電力データである。家電利用の検出データは家電ごとに異なるので、家電利用の検出データから利用された家電を特定可能である。
【0038】
第一算出部24は、電力データから家電ごとの利用時間を算出する。第一算出部24は、検出データ取得部23によって取得された家電利用の検出データに基づいて、家電の利用空間が固定であるか移動するかを示す家電利用空間タイプに応じて、家電ごとの利用時間を算出する。より詳しくは、第一算出部24は、家電利用空間タイプに応じて家電が利用された空間を特定して、その空間の家電利用時間データの家電利用時間帯に「1」を入力(加算)する。
【0039】
図10を用いて、家電利用空間タイプについて説明する。
図10は、家電の家電利用空間タイプを説明する図である。本実施形態では、家電を、家電利用空間タイプ1から家電利用空間タイプ5の5つに分類する。
【0040】
家電利用空間タイプ1の家電は、家電の操作・動作音が「あり」で、家電利用空間が「固定」であり、宅内の家電個数が「1つのみ」である。家電利用空間タイプ1の家電種類は、例えば、電子レンジ、洗濯機、IH(Induction Heating)系(調理器)、炊飯器である。家電利用空間タイプ1の家電は、家電利用空間の事前登録が可能である。
【0041】
家電利用空間タイプ2の家電は、家電の操作・動作音が「あり」で、家電利用空間が「固定」であり、宅内の家電個数が「2つ以上」である。家電利用空間タイプ2の家電種類は、例えば、エアコン、テレビである。家電利用空間タイプ2の家電は、家電利用空間の事前登録が不可である。
【0042】
家電利用空間タイプ3の家電は、家電の操作・動作音が「あり」で、家電利用空間が「移動」し、宅内の家電個数が「1つ以上」である。家電利用空間タイプ3の家電種類は、例えば、掃除機、ヒーター系(ドライヤー)である。家電利用空間タイプ3の家電は、家電利用空間の事前登録が不可である。
【0043】
家電利用空間タイプ4の家電は、家電の操作・動作音が「なし」である。家電利用空間タイプ4の家電種類は、例えば、ヒーター系(電気ストーブ)である。
【0044】
家電利用空間タイプ5の家電は、家電のタイマー予約機能の利用有無が「あり」である。家電利用空間タイプ5の家電種類は、例えば、洗濯機、炊飯器である。
【0045】
家電利用空間タイプ1の家電は、事前登録された空間で利用されているものとする。家電利用空間タイプ2及び家電利用空間タイプ3の家電は、マイクにより家電の操作・動作音が検出された空間を家電利用空間として特定するものとする。
【0046】
家電利用空間タイプ4及び家電利用空間タイプ5の家電は、利用者特定装置20による利用者の特定の対象外とする。
【0047】
家電利用空間タイプが1である場合、家電利用空間は「固定」であるので、検出データのみで家電が利用された空間が特定可能である。第一算出部24は、家電利用空間タイプが1である場合、家電記憶部14に記憶された家電データから、家電利用の検出データが得られた家電の利用空間を特定する。そして、第一算出部24は、利用空間の家電利用時間データの家電利用時間帯に「1」を入力する。
【0048】
家電利用空間タイプが2である場合、宅内の家電個数が「2つ以上」であるので、検出データのみでは家電が利用された空間が特定できない。家電利用空間タイプが3である場合、家電利用空間が「移動」するので、検出データのみでは家電が利用された空間が特定できない。第一算出部24は、家電利用空間タイプが2又は3である場合、検出データと、音声取得部1によって取得された家電の操作・動作音とから、家電ごとの利用時間を算出する。より詳しくは、第一算出部24は、家電利用空間タイプが2又は3である場合、各空間に設置されたマイクロフォン11によって収音された、家電の操作・動作音を用いて、家電が利用された空間を特定して、特定した空間の家電利用時間データの家電利用時間帯に「1」を入力する。このように、第一算出部24は、家電が複数の空間に配置されている場合、又は、家電が移動して利用される場合、音声取得部21によって取得された、家電の操作・動作音に基づいて、家電が利用された空間を特定する。
【0049】
操作・動作音を用いて、家電が利用された空間を特定する処理について説明する。第一算出部24は、家電の家電利用の検出データが示す家電利用開始時間と、マイクロフォン11によって収音された操作・動作音の検出データの検出時間とが一致する場合、操作・動作音が検出された空間を家電の利用空間とする。操作・動作音の検出データは、各空間に設置されたマイクロフォン11によって収音されているので、空間が特定できる。
【0050】
本実施形態では、第一算出部24は、家電利用空間タイプが4又は5である場合、利用者特定装置20による利用者の特定の対象外とする。
【0051】
個人特定部31は、音声データから個人を特定する。より詳しくは、個人特定部31は、マイクロフォン11によって収音された音声データから、あらかじめ記憶した各個人の声紋及び足音パターンに基づいて、音声を発した個人を特定する。各個人の声紋及び足音パターンから個人を特定する方法は、公知の方法を利用可能であり限定されない。
【0052】
第二算出部32は、個人の在室時間を算出する。第二算出部32は、音声取得部21によって取得された人の声、及び、人の足音の少なくともいずれかから各空間における在室者の在室時間を算出する。より詳しくは、第二算出部32は、個人特定部31の特定結果に基づいて、マイクロフォン11によって収音された、空間ごとの音声データから、空間ごとに在室している個人を特定する。第二算出部32は、例えば、空間ごとの音声データから個人の声紋または足音が検出されている間、個人はその空間に在室しているとする。第二算出部32は、例えば、直近で個人が検出された空間が玄関である場合、次に個人が検出されるまでを宅外(外出)とみなし、全空間で在室なしとする。第二算出部32は、空間ごとの個人の在室時間を算出する。第二算出部32は、個人が在室しているとされた空間の個人在室時間データの在室時間帯に「1」を入力(加算)する。
【0053】
家電利用時間取得部41は、家電利用時間記憶部15から家電利用時間データを取得する。
【0054】
個人在室時間取得部42は、個人在室時間記憶部16から個人在室時間データを取得する。
【0055】
第三算出部43は、空間に在室する個人が家電の利用者である確率を示す同時確率を算出する。第三算出部43は、第一算出部24の算出結果と、第二算出部32の算出結果とに基づいて、各空間に在室する在室者が家電の利用者である確率を示す同時確率を算出する。より詳しくは、第三算出部43は、家電利用時間取得部41によって取得された家電利用時間データと、個人在室時間取得部42によって取得された個人在室時間データとに基づいて、家電の利用形態を示す家電利用者タイプに応じて、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの在室者の頻度累計を算出する。第三算出部43は、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの在室者として判定された個人の頻度累計に「1」を加算する。そして、第三算出部43は、算出された頻度累計から、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの同時確率を算出する。
【0056】
同時確率を算出した後、第三算出部43は、算出した同時確率により、曜日及び時間帯ごとの在室者として判定された個人ごとに、個人家電利用履歴を算出する。より詳しくは、第三算出部43は、第一算出部24の算出結果と、第二算出部32の算出結果と、算出した同時確率とに基づいて、個人ごとに個人家電利用履歴を算出し、個人家電利用履歴データを更新する。第三算出部43は、在室者が1人のみであると判定する場合、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、在室者を利用者とし、在室者である個人の個人家電利用履歴データに「1」を加えて更新する。第三算出部43は、在室者が2人以上であり、家電利用者タイプがAであると判定する場合、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、在室者全員を利用者とし、在室者である全個人の個人家電利用履歴データに「1」を加えて更新する。第三算出部43は、在室者が2人以上であり、家電利用者タイプがAであると判定しない場合、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、各個人の個人家電利用履歴データにそれぞれの確信度(0<x<1)を加えて更新する。
【0057】
図11を用いて、家電の家電利用者タイプについて説明する。
図11は、家電利用者タイプを説明する図である。本実施形態では、家電を、家電利用者タイプAと家電利用者タイプBの2つに分類する。
【0058】
家電利用者タイプAは、家電の利用形態が「共同利用」である。家電利用者タイプAの家電種類は、例えば、エアコン、テレビである。家電利用者タイプAは、複数人の在室時は、家電の操作・動作音を検出したときに、同一空間内の個人全員を家電の利用者とする。家電利用者タイプAは、空間にいる全ての個人に同時確率の確信度「1」を入力する。
【0059】
第三算出部43は、空間の在室者が2人以上であり、家電利用者タイプがAである場合、在室者の全員を利用者として同時確率の確信度を「1」と算出する。第三算出部43は、空間の在室者が2人以上であり、家電が共同利用される利用形態である場合、在室者の全員を利用者として同時確率の確信度を「1」と算出する。
【0060】
第三算出部43は、空間の在室者が2人以上であり、家電利用者タイプがBである場合、在室者の全員を利用者として同時確率の確信度「X」(0<X<1)を算出する。
【0061】
家電利用者タイプBは、家電の利用形態が「単独利用」である。「単独利用」とは、家電の利用者が1人のみの利用形態である。家電利用者タイプBの家電種類は、例えば、電子レンジ、洗濯機、IH系、炊飯器、掃除機。ヒーター系(ドライヤー)である。家電利用者タイプBは、複数人の在室時、空間にいる全ての個人に同時確率の確信度「X」(0<X<1)を入力する。例1として、人が移動した場合について説明する。家電利用中に別空間で検出された個人は、元の同時確率の確信度「X」を削除(クリア)して「0」を入力する。例2として、家電が移動した場合について説明する。家電利用中に家電が別空間で検出された場合、引き続き元の空間で検出される個人は、元の同時確率の確信度「X」を削除(クリア)して「0」を入力する。
【0062】
第三算出部43は、家電利用者タイプがBである場合、家電が利用された時間帯に在室していた個人について、頻度累計及び同時確率を算出する。第三算出部43は、家電利用者タイプがBであり、空間の在室者が1人のみである場合、在室者を利用者として同時確率を算出する。
【0063】
本実施形態では、第三算出部43は、家電利用者タイプがAである場合、または、家電利用空間タイプが4である場合、第三算出部43による頻度累計及び同時確率を算出する対象から除外する。
【0064】
<利用者特定装置における利用者特定処理>
次に、
図12ないし
図15を用いて、利用者特定システム1における利用者特定方法について説明する。利用者特定装置20は、定期的、又は、任意のタイミングで、
図12ないし
図15に示すフローチャートの処理を実行する。
【0065】
<家電利用時間の算出処理>
図12を用いて、利用者特定装置20における家電利用時間の算出処理について説明する。
図12は、実施形態に係る利用者特定装置における家電利用時間の算出処理の流れを示すフローチャートである。
図12は、
図15の処理を実行する前に実行される。
【0066】
利用者特定装置20は、電力データから家電利用の検出データを取得する(ステップS101)。より詳しくは、利用者特定装置20は、電力データ取得部22によって、電力データを取得する。そして、利用者特定装置20は、検出データ取得部23によって、電力データから家電利用の検出データを取得する。利用者特定装置20は、ステップS102へ進む。
【0067】
利用者特定装置20は、家電の利用を検出する(ステップS102)。より詳しくは、利用者特定装置20は、検出データ取得部23によって、ステップS101において取得した家電利用の検出データから、家電記憶部14に記憶された家電の利用を検出する。利用者特定装置20は、ステップS102へ進む。
【0068】
利用者特定装置20は、ステップS102において検出した家電の家電利用空間タイプが4又は5であるか否かを判定する(ステップS103)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第一算出部24によって、ステップS102において検出した家電が、家電利用空間タイプが4又は5の家電種類に該当するか否かを判定する。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用空間タイプが4又は5であると判定する場合(ステップS103でYes)、ステップS109へ進む。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用空間タイプが4又は5であると判定しない場合(ステップS103でNo)、ステップS104へ進む。
【0069】
家電利用空間タイプが4又は5であると判定しない場合(ステップS103でNo)、利用者特定装置20は、ステップS102において検出した家電の家電利用空間タイプが1であるか否かを判定する(ステップS104)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第一算出部24によって、ステップS102において検出した家電が、家電利用空間タイプが1の家電種類に該当するか否かを判定する。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用空間タイプが1であると判定する場合(ステップS104でYes)、ステップS107へ進む。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用空間タイプが1であると判定しない場合(ステップS104でNo)、ステップS105へ進む。
【0070】
家電利用空間タイプが1であると判定しない場合(ステップS104でNo)、利用者特定装置20は、音声データから空間の家電の操作・動作音の検出データを取得する(ステップS105)。より詳しくは、利用者特定装置20は、音声取得部21によって、マイクロフォン11によって収音された、空間ごとの音声データから、ステップS102において検出した家電の操作・動作音を取得する。利用者特定装置20は、ステップS106へ進む。
【0071】
利用者特定装置20は、家電利用開始時間と、空間での家電の操作・動作音の検出時間が一致するか否かを判定する(ステップS106)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第一算出部24によって、ステップS102において検出した家電の家電利用の検出データが示す家電利用開始時間と、操作・動作音の検出データの検出時間とが一致するか否かを判定する。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用開始時間と、空間での家電の操作・動作音の検出時間が一致すると判定する場合(ステップS106でYes)、ステップS107へ進む。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用開始時間と、空間での家電の操作・動作音の検出時間が一致すると判定しない場合(ステップS106でNo)、ステップS108へ進む。
【0072】
空間での家電の操作・動作音の検出時間が一致すると判定する場合(ステップS106でYes)、利用者特定装置20は、第一算出部24によって、空間における家電利用時間データにおいて家電利用時間帯に「1」を入力する(ステップS107)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第一算出部24によって、家電利用時間記憶部15の家電利用時間データにおいて家電利用時間帯に「1」に更新する。利用者特定装置20は、ステップS108へ進む。
【0073】
利用者特定装置20は、全ての空間を確認完了したか否かを判定する(ステップS108)。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、全ての空間を確認完了したと判定する場合(ステップS108でYes)、ステップS109へ進む。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、全ての空間を確認完了したと判定しない場合(ステップS108でNo)、ステップS105の処理を再度実行する。
【0074】
全ての空間を確認完了したと判定する場合(ステップS108でYes)、利用者特定装置20は、全ての利用家電を確認完了したか否かを判定する(ステップS109)。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、全ての利用家電を確認完了したと判定する場合(ステップS109でYes)、
図15に示すフローチャートのステップS131へ進む。利用者特定装置20は、第一算出部24によって、全ての利用家電を確認完了したと判定しない場合(ステップS109でNo)、ステップS102の処理を再度実行する。
【0075】
このようにして、利用者特定装置20は、電力データから検出した家電利用の検出データから、住宅内の全ての家電について、空間ごとに利用時間を算出する。
【0076】
<個人在室時間の算出処理>
図13を用いて、利用者特定装置20における個人在室時間の算出処理について説明する。
図13は、実施形態に係る利用者特定装置における個人在室時間の算出処理の流れを示すフローチャートである。
図13は、
図15の処理を実行する前に実行される。
【0077】
利用者特定装置20は、音声データを取得する(ステップS111)。より詳しくは、利用者特定装置20は、音声取得部21によって、マイクロフォン11によって収音された、全ての空間の音声データを取得する。利用者特定装置20は、ステップS112へ進む。
【0078】
利用者特定装置20は、各個人の声紋、足音パターンから個人を特定する(ステップS112)。より詳しくは、利用者特定装置20は、個人特定部31によって、マイクロフォン11によって収音された、空間ごとの音声データから、個人を特定する。利用者特定装置20は、個人特定部31によって、全ての空間ごと音声データから、個人を特定する。利用者特定装置20は、ステップS113へ進む。
【0079】
利用者特定装置20は、各空間の個人在室時間データの個人が検出された時間帯に「1」を入力する(ステップS113)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第二算出部32によって、各空間の個人在室時間データの個人が検出された時間帯に「1」を入力する。利用者特定装置20は、ステップ114へ進む。
【0080】
利用者特定装置20は、個人がどの空間にも検出されていない空間があるか否かを判定する(ステップS114)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第二算出部32によって、個人がどの空間にも検出されていない空間があると判定する場合(ステップS114でYes)、ステップS115へ進む。利用者特定装置20は、第二算出部32によって、個人がどの空間にも検出されていない空間があると判定しない場合(ステップS114でNo)、ステップS118へ進む。
【0081】
個人がどの空間にも検出されていない空間があると判定する場合(ステップS114でYes)、利用者特定装置20は、直近で検出された空間が玄関であるか否かを判定する(ステップS115)。利用者特定装置20は、第二算出部32によって、直近で検出された空間が玄関であると判定する場合(ステップS115でYes)、ステップS116へ進む。利用者特定装置20は、第二態様と2によって、直近で検出された空間が玄関であると判定しない場合(ステップS115でNo)、ステップS117へ進む。
【0082】
直近で検出された空間が玄関であると判定する場合(ステップS115でYes)、利用者特定装置20は、第二算出部32によって、次に個人が検出されるまでを宅外(外出)とみなし、全空間で在室なしと判定する(ステップS116)。利用者特定装置20は、ステップS118へ進む。
【0083】
直近で検出された空間が玄関であると判定しない場合(ステップS115でNo)、利用者特定装置20は、第二算出部32によって、別空間で個人が検出されるまでの同一空間に在室とし、次の検知時間まで個人の在室時間帯に「1」を入力する(ステップS117)。利用者特定装置20は、ステップS118へ進む。
【0084】
利用者特定装置20は、全ての個人の確認完了したか否かを判定する(ステップS118)。利用者特定装置20は、第二算出部32によって、全ての個人の確認完了したと判定する場合(ステップS118でYes)、
図15に示すフローチャートのステップS132へ進む。利用者特定装置20は、第二算出部32によって、全ての個人の確認完了したと判定しない場合(ステップS118でNo)、ステップ112の処理を再度実行する。
【0085】
このようにして、利用者特定装置20は、マイクロフォン11によって収音された、全ての空間において全ての個人の在室時間を算出する。
【0086】
<同時確率の算出処理>
図14を用いて、利用者特定装置20における行動推定不可処理について説明する。
図14は、実施形態に係る利用者特定装置における同時確率の算出処理の流れを示すフローチャートである。
図14は、
図15の処理を実行する前に実行される。
【0087】
利用者特定装置20は、空間における家電利用時間データを取得する(ステップS121)。より詳しくは、利用者特定装置20は、家電利用時間取得部41によって、家電利用時間記憶部15から空間における家電利用時間データを取得する。利用者特定装置20は、ステップS122へ進む。
【0088】
利用者特定装置20は、空間における個人在室時間データを取得する(ステップS122)。より詳しくは、利用者特定装置20は、個人在室時間取得部42によって、個人在室時間記憶部16から空間における個人在室時間データを取得する。利用者特定装置20は、ステップS123へ進む。
【0089】
利用者特定装置20は、ステップS121において取得した家電利用時間データに含まれる家電の家電利用空間タイプが4であるか否かを判定する(ステップS123)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、ステップS121において取得した家電利用時間データに含まれる家電が、家電利用空間タイプが4の家電種類に該当するか否かを判定する。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用空間タイプが4と判定する場合(ステップS123でYes)、ステップS124へ進む。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用空間タイプが4であると判定しない場合(ステップS123でNo)、ステップS125へ進む。
【0090】
家電利用空間タイプが4と判定する場合(ステップS123でYes)、利用者特定装置20は、家電を把握対象の家電から除外する(ステップS124)。より詳しくは、利用者特定装置20は、家電利用空間タイプが4の家電を、第三算出部43による頻度累計及び同時確率を算出する対象から除外する。利用者特定装置20は、ステップS128へ進む。
【0091】
家電利用空間タイプが4であると判定しない場合(ステップS123でNo)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、空間における家電在室者データに頻度累計に「1」加算する(ステップS125)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとを比較して、家電利用時間データが「1」以上であり、個人在室時間データが「1」以上である、家電、曜日及び時間帯の組み合わせを取得する。そして、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電在室者データの、取得した家電、曜日及び時間帯の組み合わせに対応する頻度累計を「1」加算する。利用者特定装置20は、ステップS126へ進む。
【0092】
利用者特定装置20は、第三算出部43によって、直近1ヶ月の家電在室者データから同時確率を算出する(ステップS126)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、ステップS125によって更新された家電利用時間データの頻度累計データに基づいて、家電、曜日及び時間帯ごとに、全ての個人について各個人の同時確率を算出する。利用者特定装置20は、ステップS127へ進む。
【0093】
利用者特定装置20は、家電利用0人時の同時確率が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS127)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、ステップS126によって更新された家電利用時間データの同時確率データに基づいて、家電利用0人時の同時確率が閾値以上であるか否かを判定する。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用0人時の同時確率が閾値以上であると判定する場合(ステップS127でYes)、ステップS124へ進む。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用0人時の同時確率が閾値以上であると判定しない場合(ステップS127でNo)、ステップS128へ進む。
【0094】
利用者特定装置20は、全ての家電を確認完了したか否かを判定する(ステップS128)。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、全ての家電を確認完了したと判定する場合(ステップS128でYes)、ステップS129へ進む。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、全ての家電を確認完了したと判定しない場合(ステップS128でNo)、ステップS123の処理を再度実行する。
【0095】
利用者特定装置20は、全ての空間を確認完了したか否かを判定する(ステップS129)。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、全ての空間を確認完了したと判定する場合(ステップS129でYes)、
図15に示すフローチャートのステップS139へ進む。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、全ての空間を確認完了したと判定しない場合(ステップS129でNo)、ステップS121の処理を再度実行する。
【0096】
このようにして、利用者特定装置20は、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、家電ごとに曜日及び時間帯ごとの、空間の在室者である各個人の同時確率を算出する。
【0097】
<家電利用履歴の算出処理>
図15を用いて、利用者特定装置20における基本処理である、家電利用履歴の算出処理について説明する。利用者特定装置20は、利用者特定システム1の起動中、毎日所定の時間ごとなどの定期的に、
図15に示すフローチャートの処理を実行する。
図15に示すフローチャートの処理が実行される前に、
図12ないし
図14に示すフローチャートの処理が実行される。
【0098】
利用者特定装置20は、空間における家電利用時間データを取得する(ステップS131)。より詳しくは、利用者特定装置20は、家電利用時間取得部41によって、
図12に示すフローチャートの処理で得られた家電利用時間データを取得する。利用者特定装置20は、ステップS132へ進む。
【0099】
利用者特定装置20は、空間における個人在室時間データを取得する(ステップS132)。より詳しくは、利用者特定装置20は、個人在室時間取得部42によって、
図13に示すフローチャートの処理で得られた個人在室時間データを取得する。利用者特定装置20は、ステップS132へ進む。
【0100】
利用者特定装置20は、在室者が存在しないか否かを判定する(ステップS133)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、在室者が存在しないか否かを判定する。利用者特定装置20は、在室者が存在しないと判定する場合(ステップS133でYes)、ステップS134へ進む。利用者特定装置20は、在室者が存在すると判定する場合(ステップS133でNo)、ステップS135へ進む。
【0101】
在室者が存在しないと判定する場合(ステップS133でYes)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、在室者が存在しない時間帯の個人家電利用履歴データを更新しない(ステップS134)。利用者特定装置20は、ステップS143へ進む。
【0102】
在室者が存在すると判定する場合(ステップS133でNo)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、在室者が1人のみであるか否かを判定する(ステップS135)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、在室者が1人のみであるか否かを判定する。利用者特定装置20は、在室者が1人のみであると判定する場合(ステップS135でYes)、ステップS136へ進む。利用者特定装置20は、在室者が1人のみであると判定しない場合(ステップS135でNo)、ステップS137へ進む。
【0103】
在室者が1人のみであると判定する場合(ステップS135でYes)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、在室者を利用者とし、在室者である個人の個人家電利用履歴データに「1」を加えて更新する(ステップS136)。利用者特定装置20は、ステップS143へ進む。
【0104】
在室者が1人のみであると判定しない場合(ステップS135でNo)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用者タイプがAであるか否かを判定する(ステップS137)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、在室者が2人以上である家電が、家電利用者タイプがAの家電種類に該当するか否かを判定する。利用者特定装置20は、家電利用者タイプがAであると判定する場合(ステップS137でYes)、ステップS138へ進む。利用者特定装置20は、家電利用者タイプがAであると判定しない場合(ステップS137でNo)、ステップS139へ進む。
【0105】
家電利用者タイプがAであると判定する場合(ステップS137でYes)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、在室者全員を利用者とし、在室者である全個人の個人家電利用履歴データに「1」を加えて更新する(ステップS138)。利用者特定装置20は、ステップS143へ進む。
【0106】
家電利用者タイプがAであると判定しない場合(ステップS137でNo)、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用時間データと個人在室時間データとに基づいて、時間帯ごとに、各個人の個人家電利用履歴データにそれぞれの確信度(0<x<1)を加えて更新する(ステップS139)。より詳しくは、利用者特定装置20は、
図14に示すフローチャートの処理で得られた家電在室者データを取得する。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電在室者データから、時間帯ごとに、各個人の個人家電利用履歴データにそれぞれの確信度を加えて更新する。利用者特定装置20は、ステップS140へ進む。
【0107】
利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用継続中に利用開始時点で検出された個人が別空間で新たに検出されたか否かを判定する(ステップS140)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、マイクロフォン11によって収音された空間ごとの音声データから、家電利用継続中に利用開始時点で検出された個人が別空間へ移動したか否かを判定する。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、空間ごとの音声データから、家電利用継続中に利用開始時点で検出された個人が別空間で新たに検出されたか否かを判定する。利用者特定装置20は、家電利用継続中に個人が新たに別空間で検出されたと判定する場合(ステップS140でYes)、ステップS142へ進む。利用者特定装置20は、家電利用継続中に個人が新たに別空間で検出されたと判定しない場合(ステップS140でNo)、ステップS141へ進む。
【0108】
利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電利用継続中に家電利用が別空間で検出され、利用開始した空間で引き続き検出される個人がいるか否かを判定する(ステップS141)。より詳しくは、利用者特定装置20は、第三算出部43によって、マイクロフォン11によって収音された空間ごとの音声データから、家電利用継続中に家電が別空間に移動したことが検出され、利用開始した空間で引き続き検出される個人がいるか否かを判定する。利用者特定装置20は、第三算出部43によって、空間ごとの音声データから、家電利用継続中に家電の利用が別空間で検出されたこと、および、家電を利用開始した空間で個人が引き続き検出されたか否かを判定する。利用者特定装置20は、家電利用が別空間で検出され、検出される個人がいると判定する場合(ステップS141でYes)、ステップS142へ進む。利用者特定装置20は、家電利用が別空間で検出され、検出される個人がいると判定しない場合(ステップS141でNo)、ステップS143へ進む。
【0109】
利用者特定装置20は、第三算出部43によって、家電を利用開始した空間で検出された個人を利用者でないと判定し、先ほど加えた、各個人の個人家電利用履歴データの確信度を「0」に戻す(ステップS142)。利用者特定装置20は、ステップS143へ進む。
【0110】
利用者特定装置20は、図示しない変化検出部によって、利用家電パターンの変化を検出する処理を実行させる(ステップS143)。利用者特定装置20は、
図12ないし
図15の処理によって得られた個人家電利用履歴データに基づいて、各個人の利用家電パターンの変化を検出する処理を実行させる。利用家電パターンの変化を検出する方法は、公知の方法を利用可能であり限定されない。
【0111】
このようにして、
図12ないし
図15の処理によって、各個人の個人家電利用履歴データが得られる。利用者特定装置20は、
図12ないし
図15の処理によって得られたデータから、各個人の利用家電パターンの変化をより正確に検出することができる。
【0112】
<効果>
上述したように、本実施形態では、住宅の電力データから、家電利用の検出データを取得する。本実施形態では、家電利用の検出データと、各空間に設置したマイクロフォン11が収音した音声データとに基づいて、家電利用空間の特定と在室者特定とを行う。このように、本実施形態によれば、2人以上が同居している世帯に対して、家電利用者を特定することができる。さらに、本実施形態によれば、2人以上が同居している世帯に対して、家電利用パターンの変化から各個人の認知機能低下の検知を行うことができる。
【0113】
本実施形態では、家電が複数の空間に配置されている場合、又は、家電が移動して利用される場合、家電の操作・動作音に基づいて、家電が利用された空間を特定することができる。
【0114】
本実施形態では、家電利用の検出データが示す家電利用開始時間と、家電の操作・動作音の検出時間とが一致する場合、操作・動作音が検出された空間を家電の利用空間とすることができる。本実施形態によれば、家電が利用された空間を特定することができる。
【0115】
本実施形態では、空間の在室者が1人のみである場合、在室者を利用者として家電利用履歴を算出することができる。
【0116】
本実施形態では、空間の在室者が2人以上であり、家電が共同利用される利用形態である場合、在室者の全員を利用者として家電利用履歴を算出することができる。本実施形態によれば、2人以上が同居する世帯において、電力センサデータから各個人の家電の利用を特定することができる。
【0117】
本実施形態では、空間の在室者が2人以上であり、家電が単独利用される利用形態である場合、在室者の全員を利用者として家電利用履歴を算出することができる。本実施形態によれば、2人以上が同居する世帯において、電力センサデータから各個人の家電の利用を特定することができる。
【0118】
さて、これまで本発明に係る利用者特定システム1について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0119】
図示した利用者特定システム1の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況等に応じて、その全部又は一部を任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合してもよい。
【0120】
利用者特定システム1の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラム等によって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェア又はソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0121】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 利用者特定システム
11 マイクロフォン
12 電力センサ
14 家電記憶部
15 家電利用時間記憶部
16 個人在室時間記憶部
17 同時確率記憶部
18 家電在室者記憶部
19 個人家電利用履歴記憶部
20 利用者特定装置
21 音声取得部
22 電力データ取得部
23 検出データ取得部
24 第一算出部
31 個人特定部
32 第二算出部
41 家電利用時間取得部
42 個人在室時間取得部
43 第三算出部