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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052115
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】浮床構造及び浮床施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20240404BHJP
   E04F 15/20 20060101ALI20240404BHJP
   E04F 15/024 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E04F15/00 101F
E04F15/20
E04F15/024 603B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158600
(22)【出願日】2022-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】594192095
【氏名又は名称】株式会社昭和サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 貴士
(72)【発明者】
【氏名】松井 健
(72)【発明者】
【氏名】竹林 健一
(72)【発明者】
【氏名】内田 岳男
(72)【発明者】
【氏名】川俣 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岸 保之
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 権也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 清市
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA19
2E220AB07
2E220AB10
2E220AC03
2E220CA23
2E220GA07Y
2E220GB39Y
(57)【要約】
【課題】浮床上の積載物の荷重変動や、積載物の配置の変動があっても、これらに好適に対応して防振しつつ支持できる浮床構造を提供すること。
【解決手段】床基盤上に互いに間隔を空けて配置され、床スラブを床基盤から浮かせた状態で支持する支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を有し、複数の防振装置は、通常状態においては複数の防振装置のうちの一部の個数で床スラブを支持し、床スラブにかかる荷重の増大に応じて床スラブを支持する防振装置の個数が増加する態様で、配設されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床基盤上に互いに間隔を空けて配置され、床スラブを前記床基盤から浮かせた状態で支持する支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を有し、
前記複数の防振装置は、通常状態においては前記複数の防振装置のうちの一部の個数で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記床スラブを支持する前記防振装置の個数が増加する態様で、配設されている、
浮床構造。
【請求項2】
前記複数の防振装置は、第1防振装置及び第2防振装置を含み、
前記第2防振装置は、前記第1防振装置により支持された前記床スラブが下降した際に前記床スラブを前記第1防振装置とともに支持する、
請求項1に記載の浮床構造。
【請求項3】
前記支持部は、前記複数の防振装置それぞれの台座部上で高さ調整可能であり、
前記複数の防振装置は、通常状態で、前記台座部の底部に対する前記支持部の高さが互いに異なるように調整された、第1防振装置及び第2防振装置を含む、
請求項1に記載の浮床構造。
【請求項4】
前記第2防振装置は、前記床基盤上に配置され、前記第1防振装置のみで前記床スラブを支持する状態では、前記床スラブから離間している、
請求項2又は3に記載の浮床構造。
【請求項5】
前記第2防振装置は、前記床スラブに固定され、前記第1防振装置のみで前記床スラブを支持する状態では、前記床基盤から離間している、
請求項2又は3に記載の浮床構造。
【請求項6】
床スラブを床基盤から浮かせた状態で支持するための支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を、互いに間隔を空けて、且つ、通常状態においては前記複数の防振装置のうちの一部の個数で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記床スラブを支持する前記防振装置の個数が増加する態様で、前記床基盤上に配置する、
浮床施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮床構造及び浮床施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンサートホール・音楽スタジオ・フィットネススタジオ等の音楽関連施設や、屋内のTVスタジオ、体育館等の様々な施設では、それらの施設の床を介して伝わる振動・騒音(固体伝搬音等)を低減するために浮床構造が用いられている。
【0003】
浮床構造は、建築物躯体(以下、床基盤を含む)から施設の床(以下、浮床という)を浮かして支持する。
【0004】
浮床構造の一例としては、施設に応じて浮床の防振性能・遮音性能(以下、両者をまとめて防振・遮音性能という)を調整可能な浮床構造として、特許文献1に示すように、浮床の高さの高低を調整できる点状支持の浮床構造が知られている。
【0005】
この浮床構造では、床基盤上において、下部に対して上部の高さレベルを変更可能な防振装置が、所要間隔で点状に複数設置され、これら防振装置により床スラブが、床基盤から浮上した状態で保持される。
【0006】
また、特許文献2では、特許文献1に開示の防振装置と、荷重支持装置とを組み合わせて配置して浮床を支持する浮床構造が開示されている。この浮床構造では、浮床上において、載荷物を搬入する重機の動線上に、防振装置及び荷重支持装置を配置することにより非通常状態(許容荷重範囲を超える荷重を受ける状態)で掛かる荷重、つまり荷重変動に対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-328538号公報
【特許文献2】特許第6764634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した浮床構造では、浮床に掛る載荷重に対応した数の防振装置を設置し、固有振動数を一定に保持して対応する。
【0009】
従来の浮床構造において、通常を超える荷重がかかる場合、つまり、許容荷重範囲内での浮床上の荷重変動が生じる場合では、荷重が大きくなれば、固有振動数が小さくなり、荷重が小さくなれば固有振動数が大きくなるため、耐荷重と防振性能を両立させることが困難であった。
【0010】
よって、特許文献1における浮床構造では、このような非通常荷重がかかる場合には、予め、非通常荷重に対応した数の防振装置を配置して、荷重変動があっても固有振動数の変動を、所定の性能を有する範囲で可能な限り小さくする必要があり、設計検討に多大な時間を要する。
【0011】
また、特許文献2は、載荷重の変動に対応できるものの、床スラブを支持するために、荷重支持装置を浮上させる作業が必要となる。このため、近年では、通常を超える荷重がかかる場合、つまり、許容荷重範囲内での浮き床上の荷重変動が生じる場合であっても、特に装置を浮上させる作業等を行うこと無く、荷重変動に対応して防振機能に優れた浮床構造が望まれている。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、浮床上の積載物の荷重変動や、積載物の配置の変動があっても、これらに好適に対応して防振しつつ支持できる浮床構造及び浮床施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の浮床構造は、
床基盤上に互いに間隔を空けて配置され、床スラブを前記床基盤から浮かせた状態で支持する支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を有し、
前記複数の防振装置は、通常状態においては前記複数の防振装置のうちの一部の個数で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記床スラブを支持する前記防振装置の個数が増加する態様で、配設されている構成を採る。
【0014】
本発明の浮床施工方法は、床スラブを床基盤から浮かせた状態で支持するための支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を、互いに間隔を空けて、且つ、前記床スラブを支持する防振装置の個数が前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて増加する態様で、前記床基盤上に配置するようにした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、浮床上の積載物の荷重変動や、積載物の配置の変動があっても、これらに好適に対応して防振しつつ支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図である。
図2】本実施の形態に係る浮床構造の全体を示す平面図である。
図3図3A図3Bは、防振装置の説明に供する説明図である。
図4】荷重増大時における本実施の形態に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図である。
図5】変形例1に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図である。
図6】荷重増大時における変形例1に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。図1は、本発明の一実施の形態に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図であり、図2は、本実施の形態に係る浮床構造の全体を示す平面図である。
【0018】
図1に示す浮床構造1は、建築物躯体等の床基盤2上に配置される絶縁部材3と、剥離シート4と、複数の防振装置5(5-1、5-2、5-3)と、コンクリート流入防止用の筒状部材6と、コンクリート72製の浮床(床スラブ)7と、を有する。
【0019】
図1に示す浮床構造1は、浮床7を、床基盤2上において、防振装置5-3とは高さの異なる防振装置5-1、5-2により、床基盤2から上方に離間して浮いた状態で支持している。図1に示す防振装置5(5-1~5-3)は、便宜上、側面図で図示され、下部の上に配置される上部が上下方向に移動自在に構成されており、装置自体の高さ調整が可能であり、詳細は後述する。
【0020】
床基盤2は、例えば、建築物躯体であり、鉄筋コンクリート等により構成された躯体であり、その上面に浮床7が配置されている。
【0021】
浮床7は、コンクリート72製の床スラブであり、補強芯材74が配筋され補強されている。なお、図1の浮床7は、コンクリート打設により形成された床スラブを床基盤2から浮かせることで形成される。
【0022】
図1に示すように、浮床7の外周面及び下面は、床スラブに貼り付いた剥離シート4により構成され、浮床7の外周面は、剥離シート4を介して絶縁部材3に当接して配置されている。便宜上、床スラブに貼り付いた剥離シート4を含めて、浮床7の外周面7a及び下面7dとする。
【0023】
図2に示すように浮床7は、平面視矩形状にされ、周壁部23に囲まれている浮床7と周壁部23との間には絶縁部材3が介在されている。なお、浮床7の平面視形状は、矩形状に限定されない。
【0024】
浮床構造1は、図2では、8個の防振装置5を有する構成としているが、この装置の数或いはこの装置とともに配設される部材の数、装置及び部材の配置間隔、配置位置、形状等は、図示例に限定されるものではない。なお、以下に示す本実施の形態及び変形例では、説明の便宜上、3個の防振装置5を用いて説明する。
【0025】
また、浮床7を支持する防振装置5において高さの異なる装置の数、配置も同様に限定されるものではなく、載荷及び載荷の変動に対応可能な数、配置で配設されてもよい。
【0026】
例えば、図1に示す浮床構造1では、防振装置5-1、5-2は、通常状態で浮床7を支持するように、床基盤2の上部で、床基盤2から隙間Gを空けて浮床7を支持し、防振装置5-3を浮床7側から離間させている。この状態の防振装置5-3は、浮床7を支持しない状態で床基盤2側に配置されている。通常状態とは、床基盤2から隙間Gを空けて許容荷重を受けるように配置した浮床の状態である。
【0027】
ここで、防振装置5の一例について説明する。図3A及び図3Bは、防振装置の説明に供する説明図であり、図3Aはスラブ支持部の高さ調整前の状態を示す図であり、図3Bはスラブ支持部の高さ調整後の状態を示す図である。
【0028】
防振装置5は、床基盤2上に、所定のピッチで配置され、浮床(床スラブ)7を支持する。防振装置5は、台座部52と、台座部52に対して上下方向で移動自在に設けられ、上部の浮床7を支持するスラブ支持部54と、高さ調整部56と、台座部52の側面を包囲するように設けられる弾力部材58とを有する。
【0029】
防振装置5は、床基盤2上に配置される台座部52に対して上下動可能に配置されるスラブ支持部54が、移動した高さ位置(台座部52或いは床基盤2から離間した位置)で保持可能に構成されていれば、どのように構成されてもよい。このように、複数の防振装置5(5-1~5-3)では、スラブ支持部54は、複数の防振装置5(5-1~5-3)のそれぞれの台座部52上で高さ調整可能である。複数の防振装置5(5-1~5-3)は、通常状態で、台座部52の底部に対するスラブ支持部54の高さが互いに異なるように調整されている、第1防振装置5-1、5-2及び第2防振装置5-3を含む。
【0030】
台座部52は、例えば、弾性を有し、天然ゴム等により構成されるゴム状弾性体であり、逆円錐台形状に形成され、上面中央部に凹みを有し、且つ、外周縁に突起部522を有する。
【0031】
一方、スラブ支持部54は、ゴム状弾性体の上面を覆うドーム形状に形成され、外周部分で下方に突出する外周突部542を有する。スラブ支持部54は床スラブを支持可能な材料、例えば、金属で形成され、その外周突部542で、ゴム状弾性体の突起部522に当接し、台座部52上で弾性的に支持されている。また、スラブ支持部54の中央部には貫通孔が設けられ、スラブ支持部54の下面中央部には、貫通孔と同軸心となるように例えば溶接などによりナット状のねじ機構部544が設けられる。スラブ支持部54は、上部で、打設されたコンクリート72に当接するよう(実際には打設されたコンクリート72に貼り付いたカバー部材62に当接するよう)構成され、上方に移動すると、上部のコンクリート72を上方に押圧して、コンクリート72を上方に移動させる。
【0032】
高さ調整部56は、ねじ機構部544に螺合するレベリングボルト564と、台座部52の上面中央部に配置され、レベリングボルト564の先端部(下端部)を受けて支承する受け部566とを有する。
【0033】
レベリングボルト564は、スラブ支持部54を昇降(上下動)させるものであり、スラブ支持部54の中央部に設けられたねじ機構部544の雌ねじ部と螺合する。
【0034】
レベリングボルト564は、その先端部がスラブ支持部54中央部の貫通孔を貫通してねじ機構部544よりも台座部52側に突出可能に配置され、台座部52側に突出する方向に回動されると、台座部52の受け部566に当接して台座部52を押圧し、スラブ支持部54を上昇させる。また、レベリングボルト564は、その先端部が台座部52側から後退する方向に回動されると、スラブ支持部54を下降させる。
【0035】
レベリングボルト564は、基端部にレベリングボルト564を回動させるための頭部を有し、この頭部を回動させることでレベリングボルト564は回転する。このように、レベリングボルト564を回動させることにより、スラブ支持部54が上下動して台座部52に対して接近または離間するように移動する。このスラブ支持部54の移動とともに浮床(床スラブ)7が移動し、浮床(床スラブ)7の高さ調整を含むレベリングを行うことができる。レベリングとは、防振装置5のレベリングボルト564を回動して、スラブ支持部54を移動して、浮床7の床面(上面)の高さを調整することである。
【0036】
なお、図1に示す浮床7は、スラブ支持部54を上昇させる方向にレベリングボルト564が回動された状態で固定され、これに伴い、床基盤2上から浮上して間隙を形成した状態で配設されている。図1図4、及び後述する図5図6に示す防振装置5には、台座部52、スラブ支持部54及び筒状部材6の下方を覆うカバー部材62が設けられている。カバー部材62は、例えば、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂により構成され、可撓性を有し、更に透光性を有する。これにより、筒状部材6及び防振装置5に対するカバー部材62のセットが容易となり、作業性の向上を図ることができる。カバー部材62は無くてもよいが、カバー部材62を設けることにより、筒状部材6とともに防振装置5へのコンクリート71の流入を防止することができる。
【0037】
弾力部材58は、台座部52の側面を包囲するように、例えば発泡材やゴム材料などを用いてリング状に形成される。弾力部材58は、例えば、横断面丸形のゴムあるいはプラスチック製の弾性紐を、台座部52の側面を囲むように巻き付けて形成されてもよい。
【0038】
弾力部材58は、コンクリート71の打設前に配置され、スラブ支持部54の底部と剥離シート4との間の隙間を塞ぐことによって、打設直後のコンクリート71が流動して台座部52に接触してしまうことなどを防止する。
【0039】
なお、スラブ支持部54が所定高さまで移動したとき、台座部52では、突起部522が上方に持ち上げられた状態に変形するが、弾力部材58の存在により、鉛直方向の防振・遮音性能を妨げることなく水平方向への異常変形が抑えられる。
【0040】
なお、筒状部材6は、例えば、塩化ビニールパイプなどによって構成されており、防振装置5のレベリングボルト564を包囲するようにしてスラブ支持部54上に配置される。筒状部材6は、設置することによりレベリングボルト564の周囲にコンクリートが流れ込まなければどのように構成されてもよく、金属管により形成してもよい。筒状部材6は、例えば、打設されるコンクリートと一体的となるように配置されてもよく、また、着脱可能となるように配置されてもよい。
【0041】
絶縁部材3は、浮床7と周壁部23との間を縁切りし、浮床7から周壁部23への振動の伝達を抑制する。絶縁部材3は、浮床7を形成するための型枠としても機能する。絶縁部材3は、本実施の形態では、浮床7が形成される領域を囲繞するように配置され、浮床7の外周部の型枠となる。絶縁部材3は、例えばグラスウールや高強度の発泡スチロールのような材料などで構成される。絶縁部材3は、周壁部23の内側部分(立上り部分)に取り付けられる。
【0042】
剥離シート4は、絶縁部材3で囲まれた領域に敷設される。剥離シート4は、床基盤2上に浮床7を施工する際に、絶縁部材3の内側面及び床基盤2上に敷設されるものである。ここで、絶縁部材3は、床基盤2上で図2のように、周壁部23の内側部分に取り付けた場合、絶縁部材23において床スラブに対向する側の面が、建築物に対して内側面を形成する。すなわち、浮床構造1において、絶縁部材3の内側面とは、絶縁部材3において浮床7に対向する側の面である。
【0043】
剥離シート4は、レベリングにより床スラブを床基盤2から浮上させた後の状態を示す図1では、浮床7の下面及び外周面を覆う状態となる。剥離シート4は、床基盤2及び絶縁部材3から、打設したコンクリート部分(床スラブ)を剥離させるものであり、絶縁部材3の内側面及び床基盤2上と打設したコンクリート部分とを仕切る。
【0044】
剥離シート4は、可撓性及び防水性を有するプラスチックといった合成樹脂等で形成される。剥離シート4は、例えば、所定の厚さ(例えば、0.15mm)のポリエチレンフィルム等によって構成されてもよい。剥離シート4は、伸縮性を有する構成としてもよい。
【0045】
この浮床構造1の施工方法について簡単に説明する。
先ず、床基盤2上に、浮床7となる床スラブを囲繞する形枠として絶縁部材3を配設する。尚、図1では床基盤2には、絶縁部材3を囲む周壁部23が立設されている。
【0046】
次いで、絶縁部材3の内側面及び床基盤2上に、これらを覆うように、剥離シート4を敷設する。
【0047】
剥離シート4は、床基盤2の上面から絶縁部材3が立ち上がる部分を覆うとともに、その上方に絶縁部材3と周壁部23との境界部分がある場合、その境界部分も覆うように敷設されてもよい。
【0048】
次に、絶縁部材3で囲まれた床基盤2上に複数の防振装置5を、適宜のピッチで適宜の位置に配置する。なお、防振装置5の位置は、防振装置5の支持荷重とばね定数と、支持荷重より大きな荷重がある場合を想定して決定される。
【0049】
次いで、複数の各防振装置5の上部に、筒状部材6を、各防振装置5のレベリングボルト564の外周を包囲するように立設する。また、弾力部材58は、台座部52を側方から囲むように配置される。筒状部材6を各防振装置5のスラブ支持部54に立設した後、カバー部材62は防振装置5の上方から被せて配置される。
【0050】
なお、防振装置5は、剥離シート4を敷設した後に設置したが、剥離シート4の敷設前に、防振装置5を設置し、防振装置5の上から、剥離シート4を、床基盤2及び絶縁部材3を覆うように配置してもよい。
【0051】
次に、絶縁部材3で囲まれ、剥離シート4が敷設された領域内において、複数の防振装置5の周囲に、鉄筋等の補強芯材74を縦横に配設(いわゆる配筋)し(配筋は図示省略)、コンクリート72を打設する。このとき、コンクリート72が筒状部材6の頂部開口から中に入り込まないようにする。補強芯材74はコンクリート72に埋設される。このコンクリート72を養生して固化することにより床スラブが形成される。
【0052】
床スラブの形成後、各防振装置5のレベリングボルト564を筒状部材6の上部開口から回動操作して床スラブを移動し、床基盤から浮上させるようにする。レベリングボルト564の回動による床スラブの浮上作業は、固化した床スラブに対して行われる。
【0053】
レベリングボルト564を回動して床スラブを床基盤2の上面から上方に離間するように移動させると、床スラブは、剥離シート4とともに、絶縁部材3から離間して上方に移動する。
【0054】
なお、上記工程のように浮床(床スラブ)をレベリングして浮床7を形成する場合、複数の防振装置5を端から平面視渦巻き状に順番にレベルアップ(高さ調整)していく。そのため、一時的に浮床7が床基盤2に対して傾斜する場合がある。
【0055】
ここで、防振装置5の台座部52とスラブ支持部54との接触面での接着面積が大きいほど、スラブ支持部54によるゴム状弾性体である台座部52への拘束力が大きくなり、床スラブの傾斜に伴いスラブ支持部54も傾斜して台座部52に局部的な荷重が加わる。この現象を避けるためには一回のレベリング量を少なくして対応できるが、その分、作業に手間が掛かることになる。
【0056】
なお、本実施の形態の防振装置5では、スラブ支持部54の外周突部542の最下端部のみが、ゴム状弾性体である台座部52の突起部522に接着され、スラブ支持部54による台座部52への拘束力を小さくしている。このため、接着部分以外ではスラブ支持部54が台座部52に対して自在に離間して容易に上下動する。これにより、レベリングの際、スラブ支持部54は、スムーズに傾斜して床スラブの斜動に追従でき、一回のレベリング量を大きくすることができ、作業効率を向上させることができる。
【0057】
また、設置状況次第ではスラブ支持部54と台座部52との接着面積を一層広くして、スラブ支持部54が台座部52を拘束する力を増加させてもよい。あるいは、スラブ支持部54を台座部52に全く接着せずに当接させるだけの構成として、同拘束力をゼロにする構成にしてもよい。
【0058】
レベリングで用いる防振装置5-1、5-2にて高さ調整を行い、レベリングで用いない防振装置5-3は防振装置5-1、5-2の高さ調整位置よりも低い位置で高さ調整を行う(または高さ調整を行わない)。これにより、浮床7は、少なくとも防振装置5-3の台座部58よりも高い位置で防振装置5-1、5-2により支持される。
【0059】
すなわち、防振装置5-1、5-2のレベリングボルト564を回動してスラブ支持部54を上昇させて、床スラブを、床基盤2から浮上させて床基盤2から隙間Gを空けて配置し、且つ、床スラブの上面で許容荷重を受けることができるように浮床7を支持する。
【0060】
防振装置5を用いてレベリングする浮床構造1では、コンクリート72を打設する前に配置した防振装置5の全てで床スラブを支持しているわけではなく、レベリングを行う防振装置5にて浮床7を支持している。防振装置5-1、5-2によりレベリングした後の状態を示す図1では、防振装置5-3のスラブ支持部54の高さは変更されておらず、防振装置5-3は、床基盤2及び浮床7のいずれか一方に接続されている。例えば、図1の実施の形態では、防振装置5-3は、床基礎2上に接続されている。防振装置5-3は、床基盤2上に固着されていることが好ましい。
【0061】
こうして複数の防振装置5は、選択的に、スラブ支持部54の高さを高くして、スラブ支持部54上の床スラブを床基盤2から浮上させる。このとき、スラブ支持部54の高さを変更しない防振装置(例えば、図1に示す防振装置5-3)では、上面に剥離シート4を介して床スラブが形成されているので、床スラブが上昇すると、床スラブに貼り付いた剥離シート4も上昇する。こうして、床スラブは、防振装置5-3から上方に離間した位置に配置される。スラブ支持部54の高さを変更しない床基盤2上に配置された防振装置(第2防振装置)5―3は、スラブ支持部54の高さを高くする防振装置(第1防振装置)5-1、5-2で床スラブを支持する状態では、図1に示すように床基盤2上に配置されたまま床スラブから離間している。
【0062】
防振装置5-3は、浮床構造1形成後、床スラブから離間して配置される構成としたが、これに限らない。防振装置5-3は、通常状態では床スラブを支持せず、下降した床スラブを支持する構成であれば、床スラブに一部接触して設けられてもよい。
【0063】
防振装置5-3の上部から、床スラブが上方に移動し、床スラブには、下面(浮床7の下面)7d側において防振装置5-3と対向する部位に、スラブ支持部54の形状に対応して形成され、且つ、下方に開口する凹部が配置される。なお、本実施の形態では、防振装置5は、その上方からカバー部材62に覆われている。よって、床スラブの下面側において、防止装置5-3のスラブ支持部54に対向する凹部の表面は、防振装置5-3のカバー部材62により形成されており、凹部は、床スラブが上方から下方に移動することで防振装置5-3のスラブ支持部54に上方から当接可能に配置されている。
【0064】
浮床構造1は、複数の防振装置5の一部(5-1、5-2)で、浮床7を床基盤2から上方に隙間Gを空けて配置された浮床7を保持し、防振装置5の一部(5-3)が、浮床7の荷重を受けない状態で配置される。なお、浮床7は、下面7dが建築物躯体(床基盤2)から、隙間Gを空けた状態で配置されているので、隙間Gが無い構成と比較して、床基盤2との接触面積は防振装置5との接触面積だけとなり、浮床7自体は床基盤2に接触することがない。これにより、浮床構造1は、床基盤2を含む建物物躯体への振動伝達を抑え、防振・遮音性能を向上できる。
【0065】
<許容荷重を超える荷重が掛かる場合>
この浮床構造1において、浮床7の許容荷重を超える荷重(「非通常荷重」ともいう)がかかる場合、或いは、その荷重の掛かる場所が変動する場合、防振装置5-1、5-2では支持できず、浮床7は下降する。
【0066】
浮床(床スラブ)7が下降すると、図4に示すように、低い位置で高さ調整する防振装置5-3に当接し、防振装置5-1、5-2とともに当該防振装置5-3で、浮床を支持する。
【0067】
具体的には、浮床7の下面7dの凹部が、真下に配置された防振装置5-3に係合し、浮床7自体が防振装置5-3により支持された状態となる。すなわち、防振装置5において支持レベルを低く設定しておいた防振装置5-3が浮床7の支持に加わり、浮床7を支持する。このとき、浮床7の下面7dと床基盤2の上面との隙間Gは、通常状態における隙間G(図1参照)に比べて小さくなる。なお、非通常荷重により浮床(床スラブ)7が下降した場合、通常状態から支持していた防振装置5-1、5-2のゴム状弾性体で形成された台座部52は、上方から荷重がかかって押しつぶされ、図4に示すように台座部52の外周が膨らんだ状態となる。
【0068】
床スラブを床基盤2から浮かせた状態で支持するためのスラブ支持部54をそれぞれ上部に有する複数の防振装置5-1~5-3を、互いに間隔を空けて、且つ、床スラブを支持する防振装置5(5-1~5-3)の個数が床スラブにかかる荷重の増大に応じて増加する態様で、床基盤2上に配置するようにしている。浮床構造1によれば、固有振動数を任意に変更でき、耐荷重と防振性能を両立させることができる。また、許容荷重範囲内での浮床上の荷重変動がある場合でも、固有振動数の変動を、所定の性能を有する範囲で小さくすることができ、防振・遮音性能は安定する。
【0069】
<本実施の形態の作用・効果>
このように浮床構造1では、複数の防振装置5-1~5-3は、床スラブを支持する防振装置5(5-1~5-3)の個数が通常状態から床スラブにかかる荷重の増大に応じて増加する態様で、配設されている。
【0070】
これにより浮床構造1は、通常荷重を受けて支持する状態において、床上の積載物の荷重変動や、積載物の配置の変動が生じても、支持する防振装置5(5-1、5-2、5-3)の数量を変化させて、固有振動数の変動を抑制し、防振機能を有しつつ支持できる。
また、荷重変動に対して防振装置5等の床スラブを上昇させることなく対応できる。
【0071】
なお、本実施の形態では、浮床7上の荷重が変動しても固有振動数が変化しないように防振装置5(5-1~5-3)のレベルを設定しておくことが好ましい。
【0072】
<変形例>
図5は、変形例に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図であり、図6は、荷重増大時における変形例に係る浮床構造を模式的に示す縦断側面図である。
図5に示す浮床構造1Aは、浮床構造1と比較して、床スラブを支持する高さの低い防振装置(第2防振装置)50Aを、床スラブに一体に設けた点で異なる。浮床構造1Aでは防振装置(第2防振装置)50Aは、床スラブに固定され、防振装置(第1防振装置)5-1,5-2で床スラブを支持する状態では、床基盤から離間している。
【0073】
すなわち、浮床構造1Aは、床基盤2上に配置される絶縁部材3、剥離シート4、複数の防振装置5、筒状部材6及び浮床(床スラブ)7を有する。浮床構造1Aでは、複数の防振装置5のうち荷重変動用の防振装置50Aは浮床7に取り付けられているため、床スラブを床基盤2から浮上させた後は床基盤2上に配置されていない。
【0074】
浮床構造1Aでは、防振装置50Aは、スラブ支持部54の外面から突出する係合突部57を有する。係合突部57は、浮床構造1Aの施工において、コンクリートを打設する際に、防振装置50Aの上部でコンクリート打設領域内に突出して配設される。なお、係合突部57は、例えば、スタッドジベル(頭付きスタッド)等で形成される。
【0075】
係合突部57は、防振装置5の上部にコンクリートを打設し、これを養生固化して上方に移動させた際に、コンクリートから防振装置50Aが落下しないようにコンクリートに係合する機能を有する。この機能を有する係合突部57であればどのような形状であってもよく、また、どのような部材で構成されてもよい。
【0076】
この構成により、コンクリートを打設して床スラブが形成されると、コンクリート内に埋設される係合突部57により荷重変動用の防振装置50Aは床スラブに一体化される。よって、通常での荷重支持用の防振装置5-1、5-2において、レベリングボルト564を介して、それぞれのスラブ支持部54の高さを調整して、床スラブを浮上させると、床スラブの浮上とともに、床基盤2に固定していない防振装置50Aも浮上する。
【0077】
防振装置50Aは、係合突部57により浮床7Aに強固に接合されるため、レベリング前はもちろんレベリング後においてもいつでも調整可能であり、当該調整によって、荷重が載荷されたときの耐荷重と固有振動数を任意に変更することができる。
【0078】
この構成によれば、浮床構造1Aにおいて、荷重変動により、通常状態よりも大きな荷重(非通常荷重)がかかる場合に、防振装置5-1、5-2では支持できず、浮床7Aが下降する。浮床7Aが下降すると、浮床7A側の防振装置50Aも下降して、図6に示すように、その下端部である台座部52が床基盤2に当接する。このとき、浮床7Aの下面7Adと床基盤2の上面との隙間Gは、通常状態における隙間G(図5参照)に比べて小さくなる。なお、非通常荷重により浮床(床スラブ)7Aが下降した場合、通常状態から支持していた防振装置5-1、5-2のゴム状弾性体で形成された台座部52は、上方から荷重がかかって押しつぶされ、図6に示すように台座部52の外周が膨らんだ状態となる。
【0079】
浮床構造1Aによれば、固有振動数を任意に変更でき、耐荷重と防振性能を両立させることができる。許容荷重範囲内での浮床上の荷重変動がある場合でも、固有振動数の変動を、所定の性能を有する範囲で小さくすることができる。
【0080】
台座部52は、防振ゴム等の弾性体であるので床基盤2との間で接触音を発生することなく、確実に床基盤2上に配置される。このとき、防振装置50Aは、通常荷重用の防振装置5-1、5-2とともに浮床7Aを好適に支持する。つまり、荷重変動に対応して、防振機能を有した状態で、荷重変動を支持することができる。
【0081】
なお、本実施の形態及び変形例における浮床構造1、1Aは、同様の形状及び機能を有する複数の防振装置5(5-1~5-3、50A)を用いているので、形状或いは機能が異なる防振装置5を複数用いた構成と比較して、床スラブを支持する高さの異なる防振装置を好適に容易に配置できる。また、防振装置5として、台座部52として逆円錐台形状の防振ゴムを使用しているが、これに限らず、例えば、既知の複数の球状のゴム体を有する防振装置(例えば、特許第6830871号公報に記載の防振装置)を用いてもよい。
【0082】
また、本実施の形態及び変形例における防振装置5、50Aでは、床スラブを支持する高さを通常状態と、荷重変動状態との2つの高さとしたがこれに限らず、3つ以上の異なる高さで支持する構成としてもよい。その場合、複数の防振装置5―1~5-3、50Aは機能的に全て同じ防振装置を使用しなくてもよく、通常状態と、荷重変動支持状態毎で、浮床全体でバランス良く荷重を支持する構成であればどのように構成されてもよい。また、複数の防振装置5―1~5-3、50Aの形状は、掛かる荷重に応じて変更してもよい。また、本実施の形態及び変形例では、説明の便宜上、図1図4図5図6は3個の防振装置5を用いて説明したが、実際には、防振装置5の個数、配置や、複数の防振装置5のうち、通常状態においてどの防振装置5で床スラブを支持するかの設定等は、建築物全体の荷重やバランス等を考慮しながら設定される。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る浮床構造は、浮床上の積載物の荷重変動や、積載物の配置の変動があっても、これらに好適に対応して防振しつつ支持できる効果を有し、建築物において防振・遮音性能を有する床の構造に用いるものとして有用である。
【符号の説明】
【0085】
1、1A 浮床構造
2 床基盤
3 絶縁部材
4 剥離シート
5、5-1、5-2、5-3、50A 防振装置
6 筒状部材
7、7A 浮床
7d 下面
23 周壁部
52 台座部
54 スラブ支持部(支持部)
56 高さ調整部
57 係合突部
58 弾力部材
72 コンクリート
74 補強芯材
522 突起部
542 外周突部
544 ねじ機構部
564 レベリングボルト
566 受け部
G 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床基盤上に互いに間隔を空けて配置され、床スラブを前記床基盤から浮かせた状態で支持する支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を有し、
前記複数の防振装置は、通常状態においては前記複数の防振装置のうちの一部の個数で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記床スラブを支持する前記防振装置の個数が増加する態様で、配設されており、
前記支持部は、前記複数の防振装置それぞれの台座部上で高さ調整可能であり、
前記複数の防振装置は、通常状態で、前記台座部の底部に対する前記支持部の高さが互いに異なるように調整された、第1防振装置及び第2防振装置を含む、
浮床構造。
【請求項2】
前記複数の防振装置は、第1防振装置及び第2防振装置を含み、
前記第2防振装置は、前記第1防振装置により支持された前記床スラブが下降した際に前記床スラブを前記第1防振装置とともに支持する、
請求項1に記載の浮床構造。
【請求項3】
前記第2防振装置は、前記床基盤上に配置され、前記第1防振装置のみで前記床スラブを支持する状態では、前記床スラブから離間している、
請求項1又は2に記載の浮床構造。
【請求項4】
前記第2防振装置は、前記床スラブに固定され、前記第1防振装置のみで前記床スラブを支持する状態では、前記床基盤から離間している、
請求項1又は2に記載の浮床構造。
【請求項5】
床スラブを床基盤から浮かせた状態で支持するための支持部をそれぞれ台座部の上部に高さ調整可能に有する複数の防振装置を、互いに間隔を空けて、且つ、通常状態においては前記台座部の底部に対する前記支持部の高さが互いに異なるように調整された、第1防振装置及び第2防振装置のうち、前記複数の防振装置のうちの一部の個数の前記第1防振装置で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記第2防振装置を含めて前記床スラブを支持するような前記防振装置の個数が増加する態様で、前記床基盤上に配置する、
浮床施工方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の浮床構造は、
床基盤上に互いに間隔を空けて配置され、床スラブを前記床基盤から浮かせた状態で支持する支持部をそれぞれ上部に有する複数の防振装置を有し、
前記複数の防振装置は、通常状態においては前記複数の防振装置のうちの一部の個数で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記床スラブを支持する前記防振装置の個数が増加する態様で、配設されており、
前記支持部は、前記複数の防振装置それぞれの台座部上で高さ調整可能であり、
前記複数の防振装置は、通常状態で、前記台座部の底部に対する前記支持部の高さが互いに異なるように調整された、第1防振装置及び第2防振装置を含む構成を採る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明の浮床施工方法は、床スラブを床基盤から浮かせた状態で支持するための支持部をそれぞれ台座部の上部に高さ調整可能に有する複数の防振装置を、互いに間隔を空けて、且つ、通常状態においては前記台座部の底部に対する前記支持部の高さが互いに異なるように調整された、第1防振装置及び第2防振装置のうち、前記複数の防振装置のうちの一部の個数の前記第1防振装置で前記床スラブを支持し、前記床スラブにかかる荷重の増大に応じて前記第2防振装置を含めて前記床スラブを支持するような前記防振装置の個数が増加する態様で、前記床基盤上に配置するようにした。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
レベリングで用いる防振装置5-1、5-2にて高さ調整を行い、レベリングで用いない防振装置5-3は防振装置5-1、5-2の高さ調整位置よりも低い位置で高さ調整を行う(または高さ調整を行わない)。これにより、浮床7は、少なくとも防振装置5-3の台座部52よりも高い位置で防振装置5-1、5-2により支持される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
すなわち、浮床構造1Aは、床基盤2上に配置される絶縁部材3、剥離シート4、複数の防振装置5、筒状部材6及び浮床(床スラブ)7を有する。浮床構造1Aでは、複数の防振装置5のうち荷重変動用の防振装置50Aは浮床7に取り付けられているため、床スラブを床基盤2から浮上させた後は床基盤2上に配置されていない。