(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052123
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】受付システムおよび受付方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240404BHJP
H04L 51/02 20220101ALI20240404BHJP
H04L 67/52 20220101ALI20240404BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240404BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
H04L51/02
H04L67/52
H04M11/00 302
G07F9/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158621
(22)【出願日】2022-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.掲載物 No-code Platform to Build AI-first Virtual Assistant _ Kore 掲載アドレス https://kore.ai/platform/virtual-assistant/ 掲載年月日 令和3年10月6日 2.掲載物 全社横断を実現するマルチモーダル型対話AIで自動化領域を拡大-日経クロストレンドSpecial 掲載アドレス https://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NXR/21/kore_ai1012/p2/index.html 掲載年月日 令和3年10月12日 3.掲載物 サントリーグループのサンベンドが、Kore.aiのエンタープライズ向け会話型AIプラットフォームを採用|Kore PRtimes 掲載アドレス https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000087346.html 掲載年月日 令和3年10月13日 4.掲載物 サントリーグループのサンベンド、コールセンターの自動化に向けAIチャットボットを導入-DIGITAL X(デジタルクロス) 掲載アドレス https://dcross.impress.co.jp/docs/usecase/002859.html 掲載年月日 令和3年10月15日
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木村 公子
(72)【発明者】
【氏名】片山 健三
【テーマコード(参考)】
3E044
5K201
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044CB06
3E044DE02
5K201BA17
5K201CA09
5K201CB06
5K201CB10
5K201EC06
5K201ED05
5K201ED08
5K201EF05
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】サービスが要求される自動販売機を特定する識別情報を、ひとまとまりのデータとして受信可能な受付システムを実現する。
【解決手段】自動販売機Vに対するサービスの要求を受付可能な受付システム1であって、個々の自動販売機Vに取り付けられ、かつ、それぞれの自動販売機Vを特定可能な識別情報が所定の読取装置4、6によって読取可能な形式で記載されている識別票2と、演算装置31および通信装置32を備えるサーバ装置3と、を備え、演算装置31が、識別情報を含むデータを受信する受信機能と、識別情報によって特定される対象自動販売機V1を特定する特定機能と、対象自動販売機V1に対して要求されるサービスの内容をデータの送信元4に照会して、当該サービスの内容を特定する照会機能と、を実行可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機に対するサービスの要求を受付可能な受付システムであって、
個々の自動販売機に取り付けられ、かつ、それぞれの自動販売機を特定可能な識別情報が所定の読取装置によって読取可能な形式で記載されている識別票と、
演算装置および通信装置を備えるサーバ装置と、を備え、
前記演算装置が、
前記識別情報を含むデータを受信する受信機能と、
前記識別情報によって特定される対象自動販売機を特定する特定機能と、
前記対象自動販売機に対して要求されるサービスの内容を前記データの送信元に照会して、当該サービスの内容を特定する照会機能と、を実行可能である受付システム。
【請求項2】
前記照会機能が、前記送信元が有する表示装置に、前記演算装置から前記送信元への照会事項を含む照会画面を表示させるステップを含む請求項1に記載の受付システム。
【請求項3】
前記照会画面が、前記照会事項と、前記送信元から前記演算装置への回答事項と、が会話形式で表示されるチャット画面である請求項2に記載の受付システム。
【請求項4】
所定の読取装置によって読取可能な形式が、二次元コードの形式である請求項1に記載の受付システム。
【請求項5】
前記照会機能が、
前記送信元が有する表示装置に、前記対象自動販売機に対して要求されるサービスの候補を示す複数の選択肢を表示させるステップと、
複数の前記選択肢のうちの一つを指定する入力操作に基づいて前記対象自動販売機に対して要求されるサービスを特定するステップと、を含む請求項1に記載の受付システム。
【請求項6】
前記照会機能が、前記送信元から送信されたテキストデータを受信するステップを含む請求項1に記載の受付システム。
【請求項7】
前記演算装置が、
前記照会機能において特定したサービスの内容を、前記対象自動販売機を担当する担当者に対して送信する通知機能を、さらに実行可能であり、
前記特定機能において、前記担当者がさらに特定される請求項1に記載の受付システム。
【請求項8】
自動販売機に対するサービスの要求を受け付ける受付方法であって、
それぞれの自動販売機を特定可能な識別情報が所定の読取装置によって読取可能な形式で記載されている識別票が、個々の自動販売機に取り付けられており、
前記識別情報を含むデータを受信する受信工程と、
前記識別情報によって特定される対象自動販売機を特定する特定工程と、
前記対象自動販売機に対して要求されるサービスの内容を前記データの送信元に照会して、当該サービスの内容を特定する照会工程と、を含む受付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動販売機に対するサービスの要求を受付可能な受付システムおよび当該要求を受け付ける受付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料などの製品を販売する目的で、自動販売機が広く普及している。自動販売機の多くは無人で運用されており、機器の故障や商品の欠品などの不具合が発生した際に、顧客に対して適切な対応を行う人員が近くに待機していない。これを補うための手段の一例として、自動販売機に対するサービスの要求を受け付けるコールセンターを設置するとともに、当該コールセンターの電話番号を自動販売機に掲示するという運用が行われている。不具合への対処を求める使用者は、表示されている電話番号に電話をかけて、コールセンターにサービスの提供を要求する。
【0003】
かかるコールセンターを省力化するため、自動音声応答(IVR:Interactive Voice Response)システムが汎用されている(特許文献1~3)。典型的なIVRシステムでは、発信元の電話機からプッシュトーン音声信号などとして入力される信号に基づいて、あらかじめ決められた応答を自動的に行うことができる。IVRシステムを利用することで、コールセンターにおける電話対応の一部または全部を無人化できるため、コールセンターを省力化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-122996号公報
【特許文献2】特開2019-16337号公報
【特許文献3】特開2020-76869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、多くのIVRシステムでは、使用者からの入力手段が電話機のプッシュ操作(プッシュトーン音声信号の発信)に限られるため、使用者から収集できる情報が限定される場合があった。たとえば、サービスが要求される自動販売機を特定する識別番号の入力を求める際に使用者が入力に手間取ると、入力操作が完了する前にIVRシステムが入力完了と誤って判定してしまい、正しい識別番号を取得できない場合があった。
【0006】
そこで、サービスが要求される自動販売機を特定する識別情報を、ひとまとまりのデータとして受信可能な受付システムの実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る受付システムは、自動販売機に対するサービスの要求を受付可能な受付システムであって、個々の自動販売機に取り付けられ、かつ、それぞれの自動販売機を特定可能な識別情報が所定の読取装置によって読取可能な形式で記載されている識別票と、演算装置および通信装置を備えるサーバ装置と、を備え、前記演算装置が、前記識別情報を含むデータを受信する受信機能と、前記識別情報によって特定される対象自動販売機を特定する特定機能と、前記対象自動販売機に対して要求されるサービスの内容を前記データの送信元に照会して、当該サービスの内容を特定する照会機能と、を実行可能であることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る受付方法は、自動販売機に対するサービスの要求を受け付ける受付方法であって、それぞれの自動販売機を特定可能な識別情報が所定の読取装置によって読取可能な形式で記載されている識別票が、個々の自動販売機に取り付けられており、前記識別情報を含むデータを受信する受信工程と、前記識別情報によって特定される対象自動販売機を特定する特定工程と、前記対象自動販売機に対して要求されるサービスの内容を前記データの送信元に照会して、当該サービスの内容を特定する照会工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、識別情報の入力をひとまとまりのデータとして受信できるので、使用者から取得する情報の精度が向上しうる。そのため、サービスを要する自動販売機などの必要情報を特定しやすい。また、多くの使用者が手元に有するスマートフォンのカメラなどの読取装置を用いて、識別情報を簡単かつ確実に読み取ることができる。これによって、識別情報の取得および送信を簡単かつ確実に実行できる。
【0010】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0011】
本発明に係る受付システムは、一態様として、前記照会機能が、前記送信元が有する表示装置に、前記演算装置から前記送信元への照会事項を含む照会画面を表示させるステップを含むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、使用者に対して照会画面を通じた視覚的な情報提示が可能になるので、情報収集の精度が一層向上する。
【0013】
本発明に係る受付システムは、一態様として、前記照会画面が、前記照会事項と、前記送信元から前記演算装置への回答事項と、が会話形式で表示されるチャット画面であることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、使用者が感覚的に理解しやすい態様での情報提示が可能になるので、情報収集の精度が一層向上する。
【0015】
本発明に係る受付システムは、一態様として、所定の読取装置によって読取可能な形式が、二次元コードの形式であることが好ましい。
【0016】
二次元コードを用いることで、識別票において情報を高い密度で記載できる。これによって、識別情報の送信先などの付加的な情報を識別情報と同時に読み取れるように設定できるので、識別情報の取得および送信が一層簡単になる。
【0017】
本発明に係る受付システムは、一態様として、前記照会機能が、前記送信元が有する表示装置に、前記対象自動販売機に対して要求されるサービスの候補を示す複数の選択肢を表示させるステップと、複数の前記選択肢のうちの一つを指定する入力操作に基づいて前記対象自動販売機に対して要求されるサービスを特定するステップと、を含むことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、あらかじめ設定された定型の選択肢を使用者に選ばせることで、収集される情報の粒度を均一にできる。そのため、サービスの提供を行いやすい。
【0019】
本発明に係る受付システムは、一態様として、前記照会機能が、前記送信元から送信されたテキストデータを受信するステップを含むことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、従来のIVRでは難しかった使用者による自由入力を可能にできるので、詳細な情報を取得しやすい。
【0021】
本発明に係る受付システムは、一態様として、前記演算装置が、前記照会機能において特定したサービスの内容を、前記対象自動販売機を担当する担当者に対して送信する通知機能を、さらに実行可能であり、前記特定機能において、前記担当者がさらに特定されることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、サービスの要求に、当該サービスを提供する担当者を関連付けることができるので、サービスを円滑に提供できる。
【0023】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係る受付システムの構成を示す図である。
【
図3】サービスの要求から提供までの手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る受付システムおよび受付方法の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る受付システムを、自動販売機に対するサービスの要求を受付可能な受付システム1に適用した例について説明する。受付システム1は、自動販売機に対するサービスの要求を受け付けることができるシステムであり、各地に設置されている複数の自動販売機Vが受付システム1に関連付けられている。
【0026】
〔受付システムの装置構成〕
本実施形態に係る受付システム1は、識別票2と、サーバ装置3と、を備える(
図1)。
【0027】
識別票2は、個々の自動販売機Vに取り付けられている。識別票2には、それぞれの自動販売機Vを特定可能な識別情報21が記載されている(
図2)。本実施形態では、識別情報21が、9桁の数値コード21a(
図2の例では「123456789」)および二次元コード21bの形式で併記されている。より詳細には、二次元コード21bには、数値コード21aとともに、サーバ装置3にアクセスするための情報(たとえばURLである。)が含まれている。また、識別票2には、識別情報21の他に、自動販売機Vに対するサービスの提供を管理する事業者の連絡先を示す連絡先情報22(本実施形態では電話番号および住所である。)が記載されている。
【0028】
識別票2は、自動販売機Vに取付可能な態様である限りにおいて、任意の態様でありうる。したがって識別票2は、ステッカー、銘版、看板、POP広告、印刷などの公知の態様で実装されうる。
【0029】
サーバ装置3は、公知のコンピュータとして実装され、演算装置31、通信装置32、および記憶装置33を備える。演算装置31、通信装置32、および記憶装置33のいずれについても、この種のコンピュータにおいて演算機能、通信機能、および記憶機能の各機能を実現するデバイスとして公知のものを使用できる。したがって、演算装置31は一例としてCPUであり、通信装置32は一例としてネットワークカードであり、記憶装置33は一例としてハードディスクドライブである。なお、サーバ装置3は、通信装置32を介してネットワークNに接続されている。
【0030】
〔演算装置の機能および受付方法の構成〕
次に、受付システム1が自動販売機に対するサービスの要求を受け付けて、実際にサービスが提供されるまでの手順を説明する(
図3)。なお、以下の手順の一部は、サーバ装置3の演算装置31によって実行されるプログラムの機能として実行される。当該プログラムは、記憶装置33に格納されている。
【0031】
(1)使用者からのサービス要求(S10)
受付システム1に関連付けられている複数の自動販売機Vのうちの、特定の自動販売機V1(以下、対象自動販売機V1という。)に対するサービスの提供を希望する使用者Pは、自身が所持する通信端末4(たとえばスマートフォンである。)に搭載されているカメラ(読取装置の例である。)を用いて、識別票2に記載されている二次元コード21bを撮影する(S11)。通信端末4は、撮影された二次元コード21bに係る画像データから、対象自動販売機V1を特定する数値コード21aと、サーバ装置3にアクセスするためのURLと、を取得する。
【0032】
通信端末4は、通信回線を介して、ネットワークNに接続可能である。ここで、ネットワークNは、典型的にはインターネットである。通信端末4は、二次元コード21bから取得したURL、すなわちサーバ装置3にアクセスする(S12)。このとき、対象自動販売機V1を特定する数値コード21aを含むデータが、サーバ装置3に送信される。なお、このとき利用される通信回線は、典型的には携帯電話回線網や無線LAN回線などの無線の通信回線であるが、有線の通信回線であってもよい。
【0033】
(2)受信機能(S20)
サーバ装置3(演算装置31)は、数値コード21a(識別情報21)を含むデータを通信端末4から受信する受信機能を実行する(
図3)。ここで、サーバ装置3が受信するデータにおける識別情報21の態様は、サーバ装置3がこれを受信可能である限りにおいて限定されない。たとえば、通信端末4がサーバ装置3にアクセスする際のURLに、数値コード21aがURLパラメータとして含まれる態様が例示される。なお、以降の手順におけるサーバ装置3と通信端末4との間のデータの授受についても、同様の態様で実施されうる。
【0034】
(3)特定機能(S30)
次にサーバ装置3(演算装置31)は、受信機能において受信したデータに含まれる数値コード21a(識別情報21)によって特定される対象自動販売機V1を特定する特定機能を実行する(
図3)。受付システム1に関連付けられている全ての自動販売機Vについてのデータベースがあらかじめ記憶装置33に格納されており、当該データベースにおいて数値コード21aを含むレコードを検索することで、対象自動販売機V1が特定される。一例として、当該データベースは数値コード21aを主キーとするリレーショナルデータベースとして実装されており、それぞれの自動販売機Vについて、設置場所、取扱商品、所有者、保守担当者の氏名および連絡先、などを特定できるように構成されている。
【0035】
(4)照会機能(S40)
続いてサーバ装置3(演算装置31)は、対象自動販売機V1に対して要求されるサービスの内容を特定する照会機能を実行する(
図3)。まず、通信端末4からのアクセスに対する応答として、通信端末4が有する表示装置にチャット画面5(照会画面の例である。)(
図4)を表示させるためのデータを送信するステップが実行される(S41)。チャット画面5では、演算装置31から通信端末4(送信元)への照会事項51が左側に、通信端末4(送信元)から演算装置31への回答事項52が右側に、それぞれ吹き出し形式で表示されていて、会話形式のインターフェースが実現されている。
【0036】
通信端末4にチャット画面5を表示させた後の最初の動作として、対象自動販売機V1に対して要求されるサービスの候補を示す複数の選択肢51aを表示させる(S42)。本実施形態では、サービスの候補として、「売切れ」、「空缶回収」、「商品切替依頼」、「釣銭切れ」、「商品出ない」、「商品違い」、「お札取込」、「コイン取込」、「コイン素通り」、「釣銭出ない」、および「その他(上記以外)」の選択肢が、最初の照会事項51として、チャット画面5に表示される。
【0037】
使用者Pが、いずれかのサービスを指定する入力操作を実施すると、選択されたサービスを示す情報を含むデータがサーバ装置3に送信される(S43)。サーバ装置3は当該データを受信して、対象自動販売機V1に対して要求されるサービスを特定する(S44)。サーバ装置3が受信したデータはいずれも記憶装置33に格納されることになるが、この点は以降のステップにおいても同様である。この時点で、サーバ装置3が、サービスの提供が要求される対象自動販売機V1と要求されるサービスの内容とを特定できることになる。
【0038】
照会機能の以降のステップでは、ステップS43で指定されたサービスの内容に応じた照会事項51が順次表示され、会話形式のインターフェースで、使用者Pが希望するサービスの詳細を照会する(S45)。より詳細には、指定されるサービスの内容ごとに、当該サービスを提供するために使用者Pに照会する必要がある事項およびその照会順序が、演算装置31によって実行されるプログラムにおいてあらかじめ定められており、各項目に係る照会が順次実行される。
【0039】
以下では、ステップS43で「商品出ない」が指定された場合を例として説明する。ここで「商品出ない」は、使用者Pが対象自動販売機V1の商品選択ボタンを押したにもかかわらず商品が排出されなかったことを意味しており、使用者Pへの返金が必要な状況にある。
【0040】
「商品出ない」が指定された後の第一の照会事項51として、「選択されました商品名を入力お願いします。」のメッセージがチャット画面5(
図5)に表示される。使用者Pは、当該照会事項51に対する回答事項52として、購入しようとした商品を特定するテキストデータを通信端末4に入力する。当該テキストデータは通信端末4から送信され、演算装置31がこれを受信する。
【0041】
以降の照会事項51として、商品名の照会と同様に、使用者Pの名前、電話番号、対象自動販売機V1における表示灯の点灯の有無、投入金額、および、連絡を希望する時間帯、をそれぞれ尋ねるメッセージが、順次チャット画面5に表示される(
図5~
図7)。使用者Pは、それぞれの照会事項51に対する回答事項52を、テキストデータの入力または選択肢の選択により回答する(S45)。
【0042】
最後に、回答事項52の一覧が照会事項51として表示されて、使用者Pがこれを承認すると、「お問合せ内容の登録が完了しました。」のメッセージが表示され(
図7)、サービスの要求の受付が完了したことが使用者Pに通知される(S46)。また、サーバ装置3側では、一連の照会によって特定された情報が、一つのレコードとして記憶装置33に格納される(S47)。
【0043】
なお、ステップS43で「商品出ない」以外の選択肢が指定された場合についても、同様の流れで照会機能が実施される。たとえば、「売切れ」が選択された場合は、要求されるサービスとして対象自動販売機V1への商品の補充が特定され、「空缶回収」が選択された場合は、要求されるサービスとして対象自動販売機V1に併設されている空缶回収箱からの空き缶の回収が特定される。その他の選択肢についても、上記の文言から理解できる通りのサービスが特定される。
【0044】
(5)通知機能S50
さらに、サーバ装置3(演算装置31)は、照会機能において特定したサービスの内容を、対象自動販売機V1を担当する保守担当者(担当者の例である。)に対して送信する通知機能を実行する(
図3)。それぞれの自動販売機Vには、商品の補充や売上金の回収などを含むメンテナンス業務を担当する少なくとも一人の保守担当者が割り当てられている。また、前述のデータベースは、それぞれの自動販売機Vについて保守担当者の氏名および連絡先を特定できるように構成されている。すなわち、上記の各機能が実行された時点で、サービスの提供が要求される対象自動販売機V1、対象自動販売機V1に対して要求されるサービスの内容の詳細、ならびに対象自動販売機V1を担当する保守担当者の氏名および連絡先、が特定されているので、サーバ装置3は、当該保守担当者Mに対して特定されているサービスの内容を送信できる。
【0045】
以下では、引き続き、ステップS43で「商品出ない」が指定された場合を例として説明する。照会機能の実行が完了した時点で、返金(サービスの提供)が要求されている対象自動販売機V1、返金対象の使用者Pの名前および電話番号、購入しようとした商品および返金すべき金額、などの情報が記憶装置33に格納されている。演算装置31は、これらの情報に基づいて、対象自動販売機V1を担当する保守担当者Mが所持する通信端末6(たとえばスマートフォンである。)に対して、当該返金に係る通知を送信する(S51)。ここで送信される情報の態様は特に限定されず、たとえば、電子メール、メッセージアプリ、専用アプリ、電話、などの公知の通信方法でありうる。
【0046】
通知を受けた保守担当者Mは、受信した通知に従って使用者Pに連絡し、使用者Pに対する返金を実施する(S52)。その後、保守担当者Mは、通信端末6を介して、返金対応が完了した旨を示すデータをサーバ装置3に送信する(S53)。データを受信したサーバ装置3は、記憶装置33に格納されている当該返金対応に係るレコードについて、ステータスを完了済みに変更する(S54)。
【0047】
なお、ステップS43で「商品出ない」以外の選択肢が指定された場合についても、同様の流れで通知機能が実施される。すなわち、照会機能において特定されたサービスに対応する通知が、保守担当者M(通信端末6)に対して送信される。
【0048】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る受付システムおよび受付方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0049】
上記の実施形態では、サーバ装置3の演算装置31が、通知機能を実行できるように構成されている例について説明した。しかし、本発明に係る受付システムは、通知機能を実行しない構成であってもよい。
【0050】
上記の実施形態では、識別票2において、識別情報21が数値コード21aおよび二次元コード21bの形式で併記されている構成を例として説明した。しかし、本発明に係る受付システムにおいて、識別票における識別情報の記載形式は限定されず、所定の読取装置での読み取りが可能な他の形式(一次元バーコード、OCRフォントなど)であってもよい。また、上記の実施形態では、サーバ装置3が受信するデータに含まれている識別情報21が9桁の数値コード21aである例について説明したが、本発明に係る識別情報の形式は、サーバ装置の演算装置で処理可能な限りにおいて限定されない。
【0051】
上記の実施形態では、照会機能において、通信端末4にチャット画面5が表示され、サービス内容の照会が会話形式のインターフェースで行われる構成を例として説明した。しかし、本発明に係る照会機能の実装形態は特に限定されない。たとえば、照会事項と回答事項の記入欄とを表示する入力フォーム(照会画面の他の例である。)が、送信元が有する表示装置に表示されるようにしてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、照会機能において、対象自動販売機V1に対して要求されるサービスの候補を示す複数の選択肢51aが通信端末4に表示され、選択肢51aの一つを選択する使用者Pの入力操作に基づいて要求されるサービスが特定される構成を例として説明した。しかし、本発明に係る照会機能において、要求されるサービスの内容を特定する方法は特に限定されない。たとえば、要求されるサービスの内容を示すテキストデータの入力や、候補となるサービスを表すあらかじめ用意された数値コードの入力を、使用者に求めてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、いくつかの回答事項52についてテキストデータによる回答が可能である構成を例として説明した。しかし、本発明に係る照会機能は、テキストデータの受信を含まない態様であってもよい。ただし、テキストデータを受信するステップを含む態様で照会機能が実装されていると、要求されるサービスの詳細な内容を紹介しやすい点で好ましい。
【0054】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、たとえば自動販売機に対するサービスの要求を受付可能な受付システムに利用できる。
【符号の説明】
【0056】
1 :受付システム
2 :識別票
21 :識別情報
21a :数値コード
21b :二次元コード
22 :連絡先情報
3 :サーバ装置
31 :演算装置
32 :通信装置
33 :記憶装置
4 :通信端末(使用者)
5 :チャット画面
51 :照会事項
51a :選択肢
52 :回答事項
6 :通信端末(保守担当者)
M :保守担当者
P :使用者
N :ネットワーク
V :自動販売機
V1 :対象自動販売機