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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052125
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 3/00 20060101AFI20240404BHJP
   B43K 7/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B43K3/00 H
B43K7/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158623
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】河野 壮人
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350KF01
(57)【要約】
【課題】組み立て作業における作業効率の向上を図ることのできる筆記具を提供する。
【解決手段】互いに連結される後軸筒部材50および中間軸筒部材60を備えた筆記具1であって、後軸筒部材50は、前端部から軸方向に突出する連結片51を有し、中間軸筒部材60は、内周面から径方向中央部に向かって張り出す内周壁61を有し、内周壁61には、連結片51を挿入可能な挿入孔61aが形成され、連結片51には、挿入孔61aに挿入された状態で挿入孔61aの縁部に係合し、挿入孔61aに挿入された状態を保持する保持爪51aが形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結される第1軸筒部材および第2軸筒部材を備えた筆記具であって、
前記第1軸筒部材は、軸方向に突出する連結片を有し、
前記第2軸筒部材は、内周面から径方向中央部に向かって張り出す内周壁を有し、
前記内周壁には、前記連結片を挿入可能な挿入孔が形成され、
前記連結片には、前記挿入孔に挿入された状態で前記挿入孔の縁部に係合し、前記挿入孔に挿入された状態を保持する保持爪が形成されている
筆記具。
【請求項2】
前記連結片は、前記第1軸筒部材の周方向に間隔をおいた複数個所に設けられ、
前記挿入孔は、前記内周壁における複数の前記連結片のそれぞれに対応する複数個所に配置されている
請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記第1軸筒部材の内周側に収容される内筒を備え、
前記内筒は、前記第1軸筒部材と前記第2軸筒部材とを連結することで、前記第1軸筒部材の内周側に固定される
請求項1または2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記第2軸筒部材に連結される第3軸筒部材を備え、
前記第2軸筒部材および前記第3軸筒部材の一方には、外周側に雄ネジ部が形成され、
前記第2軸筒部材および前記第3軸筒部材の他方には、内周側に前記雄ネジ部が螺合する雌ネジ部が形成されている
請求項1または2に記載の筆記具。
【請求項5】
前記第3軸筒部材は、前記第2軸筒部材に連結された状態で前記連結片の変形を規制し、前記保持爪の前記挿入孔の縁部に係合している状態を保持する保持部を有している
請求項4に記載の筆記具。
【請求項6】
前記雄ネジ部は、前記第3軸筒部材に形成され、
前記雌ネジ部は、前記第2軸筒部材に形成され、
前記保持爪は、前記連結片の径方向外側に形成され、
前記保持部は、前記連結片の先端側の径方向内側に位置する
請求項5に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の軸筒部材によって軸筒体が構成される筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具としては、複数の軸筒部材を連結することによって軸筒体を形成し、軸筒体に筆記体を収容したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の筆記具は、前軸筒部材、中間軸筒部材および後軸筒部材の3つの軸筒部材を連結することによって軸筒体が形成されている。後軸筒部材は、内周側に雌ネジ部を有し、中間軸筒部材に形成された雄ネジ部に螺合することによって中間軸筒部材に連結される。また、前軸筒部材は、内周部に中間軸筒部材の前端側を圧入することによって、中間軸筒部材に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-170809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の筆記具は、前軸筒部材の内周部に中間軸筒部材の前端側を圧入することによって前軸筒部材と中間軸筒部材とを連結している。このため、前軸筒部材と中間軸筒部材とを連結する作業時には、大きな力を加える必要があり、組み立て作業における作業効率が低くなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的とするところは、組み立て作業における作業効率の向上を図ることのできる筆記具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の筆記具は、互いに連結される第1軸筒部材および第2軸筒部材を備えた筆記具であって、前記第1軸筒部材は、軸方向に突出する連結片を有し、前記第2軸筒部材は、内周面から径方向中央部に向かって張り出す内周壁を有し、前記内周壁には、前記連結片を挿入可能な挿入孔が形成され、前記連結片には、前記挿入孔に挿入された状態で前記挿入孔の縁部に係合し、前記挿入孔に挿入された状態を保持する保持爪が形成されている。
【0008】
また、本発明の筆記具は、前記連結片が、前記第1軸筒部材の周方向に間隔をおいた複数個所に設けられ、前記挿入孔が、前記内周壁における複数の前記連結片のそれぞれに対応する複数個所に配置されている。
【0009】
また、本発明の筆記具は、前記第1軸筒部材の内周側に収容される内筒を備え、前記内筒は、前記第1軸筒部材と前記第2軸筒部材とを連結することで、前記第1軸筒部材の内周側に固定される。
【0010】
また、本発明の筆記具は、前記第2軸筒部材に連結される第3軸筒部材を備え、前記第2軸筒部材および前記第3軸筒部材の一方には、外周側に雄ネジ部が形成され、前記第2軸筒部材および前記第3軸筒部材の他方には、内周側に前記雄ネジ部が螺合する雌ネジ部が形成されている。
【0011】
また、本発明の筆記具は、前記第3軸筒部材が、前記第2軸筒部材に連結された状態で前記連結片の変形を規制し、前記保持爪の前記挿入孔の縁部に係合している状態を保持する保持部を有している。
【0012】
また、本発明の筆記具は、前記雄ネジ部が、前記第3軸筒部材に形成され、前記雌ネジ部が、前記第2軸筒部材に形成され、前記保持爪が、前記連結片の径方向外側に形成され、前記保持部が、前記連結片の先端側の径方向内側に位置する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2軸筒部材に対して第1軸筒部材を軸方向に移動させて挿入孔に連結片を挿入することによって第1軸筒部材と第2軸筒部材とが連結され、保持爪が挿入孔の縁部に係合することによって第1軸筒部材と第2軸筒部材との連結状態が保持されるので、第1軸筒部材と第2軸筒部材との組み立てが容易となり、組み立て作業における作業効率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る筆記具の斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る筆記具のキャップを外した状態の斜視図である。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る筆記具本体の分解斜視図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る筆記具本体の要部分解断面図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る筆記具本体の要部断面図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る図5のA-A断面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る図5のB-B断面図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係る軸筒体の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1乃至図7は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1は筆記具の斜視図であり、図2は筆記具のキャップを外した状態の斜視図であり、図3は筆記具本体の分解斜視図であり、図4は筆記具本体の要部分解断面図であり、図5は筆記具本体の要部断面図であり、図6図5のA-A断面図であり、図7図5のB-B断面図である。尚、本実施形態においては、筆記具の筆先側を「前」と定義し、筆記具の筆尻側を「後」と定義して説明する。
【0016】
本発明の一実施形態である筆記具1は、ボールペンであり、図1および図2に示すように、筆記具本体10と、筆記具本体10の筆先側を覆うキャップ100と、を備えている。
【0017】
筆記具本体10は、図2および図3に示すように、インクを収容するとともに、筆記の際に前端部からインクを吐出させる筆記体20と、筆記体20を収容して保持する軸筒体30と、を備えている。
【0018】
筆記体20は、図3に示すように、インクが収容される円筒形状のインク収容部21と、インク収容部21の前端部に設けられ、インク収容部21に収容されたインクが吐出される筆記部22と、を有している。筆記部22は、ボールを回転自在に支持する所謂チップである。
【0019】
軸筒体30は、図2および図3に示すように、筆先側に位置する第3軸筒部材としての前軸筒部材40と、筆尻側に位置する第1軸筒部材としての後軸筒部材50と、前軸筒部材40と後軸筒部材50との間に位置する第2軸筒部材としての中間軸筒部材60と、を有している。
【0020】
前軸筒部材40は、例えば、樹脂製や金属製の部材からなり、筆記体20を収容可能な円筒状に形成され、前端側が前端部に向かって外径寸法が徐々に小さくなる円錐台状に形成されている。前軸筒部材40の前端部には、筆記体20の筆記部22が突出する開口が形成されている。前軸筒部材40の後端側には、図3および図4に示すように、中間軸筒部材60の後述する雌ネジ部に螺合する雄ネジ部41が形成されている。雄ネジ部41の前端側には、後軸筒部材50の後述する連結片の前端側の径方向内側に位置する保持部42が設けられている。また、前軸筒部材40の外周面には、弾性を有するゴム等からなるグリップ43が取り付けられている。
【0021】
後軸筒部材50は、図3に示すように、外径寸法が前端側に対して後端側がやや小さく形成されるとともに、後端部が閉鎖された円筒状に形成されている。後軸筒部材50は、それぞれ、周方向に間隔をおいて設けられ、周方向に延在する円弧状に形成され、前端部から軸方向の前方に突出する複数(本実施形態では4つ)の連結片51を有している。複数の連結片51のそれぞれの前端部には、後軸筒部材50の径方向外側に張り出すように設けられ、中間軸筒部材60の後述する挿入孔の縁部に係合する保持爪51aが形成されている。また、後軸筒部材50における周方向に隣り合う連結片51の間には、スリット51cが形成されており、複数の連結片51のそれぞれが弾性変形可能となっている。複数の連結片51は、それぞれ、弾性変形によって、先端部が後軸筒部材50の径方向内側に移動可能である。さらに、後軸筒部材50における複数の連結片51の基端側の外周部には、周方向にわたって延在する凸部51dが設けられ、後軸筒部材50の前端側の歪みが抑制される。
【0022】
また、後軸筒部材50は、例えば、透明な樹脂製の部材から形成される。図3および図5に示すように、後軸筒部材50の内周側には、筆記体20のインク収容部21の外径寸法よりも大きい内径寸法の内筒52が収容される。内筒52は、例えば、軸方向にわたって均一の外径寸法および内径寸法を有する樹脂製の円筒状部材からなり、外周面に印刷や金属蒸着等の加工が施されている。内筒52の外周面は、透明な後軸筒部材50の外周側から視認可能とすることで、デザイン性を向上させている。
【0023】
中間軸筒部材60は、円筒状に形成され、図4および図5に示すように、周方向にわたって内周面から径方向中央部に向かって張り出す内周壁61と、内周壁61の径方向中央部側の端部に設けられた内周筒62と、を有している。
【0024】
内周壁61には、図6に示すように、周方向に間隔をおいて複数の連結片51のそれぞれに対応する位置に設けられ、後軸筒部材50の複数の連結片51のそれぞれが挿入される複数(本実施形態では4つ)の挿入孔61aが形成されている。挿入孔61aは、中間軸筒部材60の周方向の幅寸法が、連結片51の後軸筒部材50の周方向の幅寸法と略同一に形成され、内周壁61を軸方向に貫通する円弧状に延在する孔である。中間軸筒部材60における内周壁61よりも後側には、図7に示すように、周方向における、後軸筒部材50の複数のスリット51cのそれぞれに対応する位置に設けられ、スリット51cに挿入される複数(本実施形態では4つ)のリブ61bが設けられている。リブ61bの幅寸法は、スリット51cの隙間の大きさと略同一である。
【0025】
内周筒62は、筆記体20を挿通可能な円筒状に形成され、内周面側には、前軸筒部材40の雄ネジ部41が螺合する雌ネジ部62aが形成されている。また、内周筒62は、内周面側の後端側に、後軸筒部材50に収容されている内筒52の前端部を径方向外側から保持可能な間隔となるように形成された複数(本実施形態では4つ)の内筒保持部62bが設けられ、内筒52の径方向の移動を規制する。さらに、内周筒62は、内周面側の後端側に、内筒52の外径寸法よりも小さい内径寸法となるように径方向内側に張り出しており、内筒52の前端部が当接可能な当接部62cが設けられ、当接部62cによって内筒52の前方への移動を規制する。即ち、内筒52は、後軸筒部材50と中間軸筒部材60とを連結することで、後軸筒部材50の内周側に固定される。尚、内筒52の後方への移動は、図示しないが、内筒52の後端面が、後軸筒部材50の閉鎖された後端部の内面に当接することによって規制される。
【0026】
キャップ100は、図1および図2に示すように、一端部が閉鎖された円筒形状のキャップ本体110と、キャップ本体110の外周側に設けられたクリップ120と、を有している。キャップ100は、キャップ本体110の内周側に筆記具本体10の筆先側または筆尻側を嵌合することで、筆記具本体10に取り付けられた状態が保持される。
【0027】
以上のように構成された筆記具1において、図3に示すように、筆記具本体10を組み付ける際には、まず、内筒52を内筒保持部62bに保持した状態の中間軸筒部材60に対して後軸筒部材50を連結し、次に、後軸筒部材50を連結した中間軸筒部材60に対して、筆記体20を挿入するとともに、前軸筒部材40を連結する。
【0028】
後軸筒部材50のそれぞれの連結片51は、中間軸筒部材60のそれぞれの挿入孔61aに挿入されると、挿入孔61aの縁部に保持爪51aが接触して弾性域の範囲内で径方向内側に変形する。変形した連結片51は、保持爪51aが挿入孔61aを通過すると、復元力によって元の形状に戻るため、後軸筒部材50が中間軸筒部材60に連結された状態となる。このように、後軸筒部材50および中間軸筒部材60は、連結片51の弾性変形を利用することによって、小さな力で互いに連結することが可能である。また、後軸筒部材50は、連結片51が挿入孔61aに挿入されているため、中間軸筒部材60に対する周方向の回転が規制される。さらに、周方向に隣り合う連結片51の間に位置するスリット51cには、内周壁61に設けられたリブ61bが挿入されるため、後軸筒部材50の中間軸筒部材60の回転がより強固に規制される。これにより、互いに連結された状態の後軸筒部材50と中間軸筒部材60との間で、軸を回転中心とする回転力が作用する場合においても、回転が規制される。
【0029】
また、中間軸筒部材60の後端面には、後軸筒部材50の前端面が当接するため、後軸筒部材50に対する中間軸筒部材60の軸方向の後方への移動が規制される。
【0030】
また、後軸筒部材50は、連結片51の保持爪51aが、挿入孔61aの縁部との間でほぼ隙間なく係合しているため、中間軸筒部材60に対して軸方向の移動が規制される。これにより、後軸筒部材50は、中間軸筒部材60との間で隙間や軸方向のガタツキがなく、中間軸筒部材60に対して連結された状態が保持される。
【0031】
後軸筒部材50の内周側に収容された内筒52は、後軸筒部材50と中間軸筒部材60との連結によって、径方向および軸方向に移動が規制されて固定される。
【0032】
後軸筒部材50の前端側は、後軸筒部材50における連結片51の基端側の外周部に設けられた凸部51dによって、歪みが抑制されるため、後軸筒部材50と中間軸筒部材60との連結の強度が向上する。
【0033】
また、前軸筒部材40は、雄ネジ部41を、中間軸筒部材60の内周筒62の内周面の雌ネジ部62aに螺合させることによって中間軸筒部材60に連結される。このとき、前軸筒部材40の保持部42は、後軸筒部材50の連結片51の先端側の径方向内側に位置している。このため、後軸筒部材50の連結片51は、径方向内側への弾性変形が規制され、保持爪51aが、中間軸筒部材60の挿入孔61aの縁部に係合している状態が保持され、中間軸筒部材60に対する後軸筒部材50の脱落が規制される。このとき、雄ネジ部41を雌ネジ部62aに螺合させると、前軸筒部材40の中心軸と中間軸筒部材60の内周筒62の中心軸とは同軸上となる。また、雄ネジ部41を雌ネジ部62aに螺合させると、前軸筒部材40の保持部42が後軸筒部材50の連結片51の保持爪51aの径方向内側に位置するとともに、保持部42の後端面が内周筒62の前端面に当接するため、中間軸筒部材60に対する前軸筒部材40の軸方向の移動が規制される。これにより、雄ネジ部41を雌ネジ部62aに螺合させる動作によって、中間軸筒部材60に対して前軸筒部材40を容易に組み付けることが可能となる。
【0034】
このように、本実施形態の筆記具によれば、互いに連結される後軸筒部材50および中間軸筒部材60を備えた筆記具1であって、後軸筒部材50は、前端部から軸方向に突出する連結片51を有し、中間軸筒部材60は、内周面から径方向中央部に向かって張り出す内周壁61を有し、内周壁61には、連結片51を挿入可能な挿入孔61aが形成され、連結片51には、挿入孔61aに挿入された状態で挿入孔61aの縁部に係合し、挿入孔61aに挿入された状態を保持する保持爪51aが形成されている。
【0035】
これにより、中間軸筒部材60に対して後軸筒部材50を軸方向に移動させて挿入孔61aに連結片51を挿入することによって後軸筒部材50と中間軸筒部材60とが連結され、保持爪51aが挿入孔61aの縁部に係合することによって後軸筒部材50と中間軸筒部材60との連結状態が保持されるので、後軸筒部材50と中間軸筒部材60との組み立てが容易となり、組み立て作業における作業効率の向上を図ることが可能となる。また、中間軸筒部材60に対する後軸筒部材50の脱落を抑制することが可能となる。
【0036】
また、連結片51は、後軸筒部材50の端部における周方向に間隔をおいた複数個所に設けられ、挿入孔61aは、内周壁61における複数の連結片51のそれぞれに対応する複数個所に配置されている、ことが好ましい。
【0037】
これにより、後軸筒部材50と中間軸筒部材60とが、複数の連結片51および複数の挿入孔61aによって連結されるため、後軸筒部材50と中間軸筒部材60とを確実に連結することが可能となる。
【0038】
また、後軸筒部材50の内周側に収容される内筒52を備え、内筒52は、後軸筒部材50と中間軸筒部材60とを連結することで、後軸筒部材50の内周側に固定される、ことが好ましい。
【0039】
これにより、後軸筒部材50に内筒52を固定する構造を構成することなく、後軸筒部材50に内筒52を固定することが可能となるので、複雑な構造にすることなく製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0040】
また、中間軸筒部材60に連結される前軸筒部材40を備え、前軸筒部材40には、外周側に雄ネジ部41が形成され、中間軸筒部材60には、内周側に雄ネジ部41が螺合する雌ネジ部62aが形成されている、ことが好ましい。
【0041】
これにより、中間軸筒部材60に対して前軸筒部材40を簡単に着脱することができるので、筆記体20の交換作業が容易となる。また、後軸筒部材50に雌ネジを設ける必要がないため、後軸筒部材50の製造が容易となるとともにデザイン性を向上させることが可能となる。
【0042】
また、前軸筒部材40は、中間軸筒部材60に連結された状態で連結片51の変形を規制し、保持爪51aの挿入孔61aの縁部に係合している状態を保持する保持部42を有している、ことが好ましい。
【0043】
これにより、筆記時や落下などによって大きな力が加わる場合においても、中間軸筒部材60に対する後軸筒部材50の脱落を防止することが可能となる。
【0044】
また、雄ネジ部41は、前軸筒部材40に形成され、雌ネジ部62aは、中間軸筒部材60に形成され、保持爪51aは、連結片51の径方向外側に形成され、保持部42は、連結片51の前端側の径方向内側に位置する、ことが好ましい。
【0045】
これにより、製造が容易となり、デザイン性を向上させることが可能となる。
【0046】
図8は、本発明の他の実施形態を示す軸筒体の要部断面図である。尚、前記実施形態と同様の構成部分には、同一の符号を付して示す。
【0047】
本実施形態の筆記具1の筆記具本体10の軸筒体30は、前軸筒部材40(第3軸筒部材)の後端側の内周側に雌ネジ部44が形成され、中間軸筒部材60(第2軸筒部材)の前端側の外周側に雄ネジ部63が形成されている。また、後軸筒部材50(第1軸筒部材)の複数(本実施形態では4つ)の連結片51のそれぞれの前端部には、後軸筒部材50の径方向内側に張り出すように設けられ、中間軸筒部材60の挿入孔61aの縁部に係合する保持爪51bが形成されている。さらに、保持部42は、後軸筒部材50の連結片51の前端側の径方向外側に位置する。
【0048】
以上のように構成された筆記具1において、前記実施形態と同様に、筆記具本体10を組み付ける。
【0049】
後軸筒部材50は、連結片51が挿入孔61aに挿入されているため、中間軸筒部材60に対する周方向の回転が規制される。また、後軸筒部材50は、連結片51の保持爪51bが、挿入孔61aの縁部に係合しているため、中間軸筒部材60に対して連結された状態が保持され、中間軸筒部材60に対する後軸筒部材50の脱落が規制される。
【0050】
また、前軸筒部材40は、雌ネジ部44を、中間軸筒部材60の外周側の雄ネジ部63に螺合させることによって中間軸筒部材60に連結される。このとき、前軸筒部材40の保持部42は、後軸筒部材50の連結片51の前端側の径方向外側に位置している。このため、後軸筒部材50の連結片51は、径方向外側への弾性変形が規制され、保持爪51bが、中間軸筒部材60の挿入孔61aの縁部に係合している状態が保持される。これにより、筆記時や落下などによって大きな力が加わる場合においても、中間軸筒部材60に対する後軸筒部材50の脱落を防止することが可能となる。
【0051】
このように、本実施形態の筆記具によれば、前記実施形態と同様に、中間軸筒部材60に対して後軸筒部材50を軸方向に移動させて挿入孔61aに連結片51を挿入することによって後軸筒部材50と中間軸筒部材60とが連結され、保持爪51bが挿入孔61aの縁部に係合することによって後軸筒部材50と中間軸筒部材60との連結状態が保持されるので、後軸筒部材50と中間軸筒部材60との組み立てが容易となり、組み立て作業における作業効率の向上を図ることが可能となる。また、中間軸筒部材60に対する後軸筒部材50の脱落を抑制することが可能となる。
【0052】
また、中間軸筒部材60に連結される前軸筒部材40を備え、中間軸筒部材60には、外周側に雄ネジ部63が形成され、前軸筒部材40には、内周側に雄ネジ部63が螺合する雌ネジ部44が形成されている、ことが好ましい。
【0053】
これにより、中間軸筒部材60に対して前軸筒部材40を簡単に着脱することができるので、筆記体20の交換作業が容易となるとともに、筆記具としての設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0054】
尚、前記実施形態では、後軸筒部材50に連結片51を形成し、中間軸筒部材60の挿入孔61aに連結片51を挿入して、後軸筒部材50と中間軸筒部材60とを連結するものを示したが、これに限られるものではない。例えば、前軸筒部材40に連結片を形成し、中間軸筒部材60の挿入孔61aに連結片を挿入して、前軸筒部材40と中間軸筒部材60とを連結するようにしてもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、前軸筒部材40、後軸筒部材50および中間軸筒部材60によって軸筒体30を形成したものを示したが、これに限れるものではない。軸筒体は、2の軸筒部材から形成してもよいし、4以上の軸筒部材から形成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 筆記具
30 軸筒体
40 前軸筒部材(第3軸筒部材)
41 雄ネジ部
42 保持部
44 雌ネジ部
50 後軸筒部材(第1軸筒部材)
51 連結片
51a 保持爪
52 内筒
60 中間軸筒部材(第2軸筒部材)
61 内周壁
61a 挿入孔
62a 雌ネジ部
63 雄ネジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8