(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052126
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】検査装置および検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20240404BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240404BHJP
H02K 11/20 20160101ALI20240404BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G01N21/84 D
H02K15/02 A
H02K11/20
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158625
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓納持 充代
(72)【発明者】
【氏名】松崎 晃大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真興
(72)【発明者】
【氏名】片山 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文生
(72)【発明者】
【氏名】野崎 大
【テーマコード(参考)】
2G051
5H607
5H611
5H615
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AC17
2G051BA20
2G051CA04
5H607AA08
5H607BB01
5H607CC03
5H607EE31
5H607EE54
5H607FF00
5H611AA05
5H611BB01
5H611BB02
5H611BB06
5H611RR00
5H611UA04
5H611UB01
5H615AA05
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB07
5H615BB14
5H615SS57
(57)【要約】
【課題】検査を効率的に行うことを容易に実現可能な検査装置等を提供する。
【解決手段】実施形態の検査装置は、回転子と固定子との間に隙間において回転子撮像機器を用いて回転子を撮像するための回転子撮像ユニットを有する。回転子撮像機器は、キャリッジケーシングとカメラと撮像位置変更部と撮像方向変更部とを有する。カメラは、キャリッジケーシングに設置されており、隙間において回転子の通風孔を撮像する。撮像位置変更部は、キャリッジケーシングに設置されており、隙間においてキャリッジケーシングを回転子の周方向に移動させることによって、カメラの撮像位置を変えるように構成されている。撮像方向変更部は、キャリッジケーシングに設置されており、隙間においてカメラの撮像方向を回転子の径方向に対して傾斜した角度に変えるように構成されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と固定子との間に隙間が介在しており、前記回転子の径方向に沿った通風孔が前記回転子に形成されている回転電機について検査を実行する際に、前記隙間に挿入され、前記固定子に吸着する検査装置であって、
前記隙間において回転子撮像機器を用いて前記回転子を撮像するための回転子撮像ユニット
を有し、
前記回転子撮像機器は、
キャリッジケーシングと、
前記キャリッジケーシングに設置されており、前記回転子の前記通風孔を撮像するカメラと、
前記キャリッジケーシングに設置されており、前記キャリッジケーシングを前記回転子の周方向に移動させることによって、前記カメラの撮像位置を変えるように構成されている撮像位置変更部と、
前記キャリッジケーシングに設置されており、前記カメラの撮像方向を前記回転子の径方向に対して傾斜した角度に変えるように構成されている撮像方向変更部と
を有する、
検査装置。
【請求項2】
前記回転子撮像ユニットは、
前記回転子撮像機器を収容するフレーム
を含み、
前記フレームは、
ラックギヤ
を含み、
前記撮像位置変更部は、
撮像位置変更用モータと、
前記撮像位置変更用モータの回転軸に設置され、前記ラックギヤに噛み合う撮像位置変更用ピニオンギヤと
を含み、前記撮像位置変更用モータが前記撮像位置変更用ピニオンギヤを回転させることによって、前記フレームの内部において前記回転子撮像機器が移動するように構成されている、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記隙間の形状に沿った円弧形状である、
請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記回転子撮像機器は、
前記回転子の径方向に対して傾斜した角度に揺動するように前記キャリッジケーシングに設置され、前記カメラを収容するカメラホルダ
を有し、
前記カメラホルダは、
スパーギア
を含み、
前記撮像方向変更部は、
撮像方向変更用モータと、
前記撮像方向変更用モータの回転軸に設置され、前記スパーギアに噛み合う撮像方向変更用ピニオンギヤと
を含み、前記撮像方向変更用モータが前記撮像方向変更用ピニオンギヤを回転させることによって、前記カメラの撮像方向が変わるように構成されている、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の検査装置と、
操作指令に基づいて前記検査装置の動作を制御するための制御装置と
を有する、
検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、検査装置および検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電機や電動機などの回転電機は、固定子と回転子との間に円筒状の隙間が介在している。
【0003】
回転電機は、保守作業によって、電気的および機械的な健全性に関する検査が行われる。回転電機の検査は、例えば、回転子を固定子から抜き出して実行される。この他に、回転電機の検査は、例えば、固定子と回転子との間の隙間に検査装置を挿入し、移動させることで実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6425844号
【特許文献2】米国特許第7624827号明細書
【特許文献3】特開2019-117137号公報
【特許文献4】特開2019-117138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の検査装置では、検査を効率的に行うことが困難な場合がある。特に、回転子に冷却用の通風孔が形成されている回転電機について検査を実行する際において、隙間に検査装置を挿入し、固定子に検査装置を吸着させる場合には、回転子が任意の位置に停止した状態であるため、通風孔の深部まで十分に観察することが容易でない。その結果、通風孔が閉塞しているか否かの判定が困難な場合がある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、検査を効率的に行うことを容易に実現可能な、検査装置および検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の検査装置は、回転子と固定子との間に隙間が介在しており、回転子の径方向に沿った通風孔が回転子に形成されている回転電機について検査を実行する際に、隙間に挿入され、固定子に吸着する。実施形態の検査装置は、隙間において回転子撮像機器を用いて回転子を撮像するための回転子撮像ユニットを有する。回転子撮像機器は、キャリッジケーシングとカメラと撮像位置変更部と撮像方向変更部とを有する。カメラは、キャリッジケーシングに設置されており、隙間において回転子の通風孔を撮像する。撮像位置変更部は、キャリッジケーシングに設置されており、隙間においてキャリッジケーシングを回転子の周方向に移動させることによって、カメラの撮像位置を変えるように構成されている。撮像方向変更部は、キャリッジケーシングに設置されており、隙間においてカメラの撮像方向を回転子の径方向に対して傾斜した角度に変えるように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の検査装置において、検査対象物である回転電機10の一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態において、回転電機10(
図1参照)を検査するための検査システム800を模式的に示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態において、検査装置500を示す斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、実施形態において、検査装置500を示す斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513を示す斜視図である(組み立て状態)。
【
図4B】
図4Bは、実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513を示す斜視図である(分解状態)。
【
図4C】
図4Cは、実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513を示す斜視図である(開放状態)。
【
図5A】
図5Aは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631を示す斜視図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631を示す上面図である。
【
図5C】
図5Cは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631を分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態の撮像機器631において、カメラ910の下面図である。
【
図7A】
図7Aは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631の撮像方向変更部950を示す側面図である。
【
図7B】
図7Bは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631の撮像方向変更部950を示す側面図である。
【
図7C】
図7Cは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631の撮像方向変更部950を示す側面図である。
【
図8A】
図8Aは、実施形態において、回転電機10について検査を行うときの検査装置500の状態を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、実施形態において、回転電機10を構成する回転子20の通風孔について検査を行うときの検査装置500の状態を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例において、検査用ユニット513を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[A]回転電機10
実施形態の検査装置および検査システムについて説明する前に、検査対象物である回転電機10の一例に関して説明する。
【0010】
図1は、実施形態の検査装置および検査システムにおいて、検査対象物である回転電機10の一例を模式的に示す図である。
【0011】
図1に示すように、回転電機10は、回転子20および固定子40が回転電機ケーシング60に収容されており、回転子20が固定子40の内部で回転するインナーロータ形である。回転電機10は、たとえば、発電機であって、回転子20の回転によって発電を行うように構成されている。回転電機10は、発電機の他に、電動機として用いることができる。
【0012】
本実施形態において、回転電機10は、回転電機ケーシング60の内部において冷却ガスCG(水素、空気などの冷却媒体)が流れることによって、回転子20および固定子40が冷却されるように構成されている。
【0013】
回転電機10を構成する各部について説明する。
【0014】
[A-1]回転子20
回転電機10において、回転子20は、回転軸AXに沿った軸方向が水平方向xに沿うように設置されている。ここでは、回転子20は、円筒形状の回転子鉄心200が回転シャフト201に対して同軸に設けられていると共に、冷却ガスCGが流れる冷却流路が形成されている。
【0015】
回転子20の回転子鉄心200には、回転子スロット(図示省略)が回転子20の周方向に複数形成されており、回転子スロットには、回転子コイル、回転子ウェッジ等の部材が設置されている。回転子スロットに設置された各部材には、冷却ガスCGが流れる通風孔が回転子20の径方向に沿うように形成されている。冷却ガスCGが流れる通風孔は、回転子20の周方向に複数が間を隔てて形成されていると共に、回転子20の軸方向に複数が間を隔てて形成されている。
【0016】
[A-2]固定子40
固定子40は、固定子鉄心41に固定子コイル42が設置されている。固定子鉄心41は、円筒形状であって、回転シャフト201に対して同軸に設けられている。固定子鉄心41は、円筒形状の隙間AG(エアギャップ)を介して、回転子鉄心200の周りを囲うように設置されている。
【0017】
固定子鉄心41の内周側には、回転軸AXの軸方向に貫通する固定子スロットが形成されており、固定子コイル42は、その固定子スロットに挿入され、例えば、固定子ウェッジ(図示省略)によって固定されている。図示を省略しているが、固定子40においても、冷却ガスCGが流れる冷却流路が形成されている。
【0018】
[A-3]回転電機ケーシング60
回転電機ケーシング60は、2重構造であって、内部ケーシング61の外側に外部ケーシング62が設けられている。内部ケーシング61は、回転シャフト201が貫通する貫通孔K61を有しており、回転子20と固定子40とを内部に収容している。外部ケーシング62は、回転シャフト201が貫通する貫通孔K62を有しており、内部ケーシング61を内部に収容している。
【0019】
回転電機ケーシング60において、内部ケーシング61の上方には開口部K611が設けられており、その開口部K611にはガス冷却器80が取り付けられている。また、内部ケーシング61の貫通孔K61の内部には、ファン90が収容されている。
【0020】
ファン90は、軸流ファンであって、回転子20を挟むように回転シャフト201の一方の側部および他方の側部のそれぞれに固定されている。
【0021】
[A-4]回転電機10における冷却ガスCGの流れ
回転電機10においては、回転シャフト201と共にファン90が回転することによって、冷却ガスCGが内部ケーシング61の外部から内部へ流入する。ここでは、回転シャフト201の一方の側部および他方の側部のそれぞれから中央部へ向かうように、冷却ガスCGが流れる。
【0022】
内部ケーシング61の内部において、冷却ガスCGは、回転子20の内部に形成された冷却流路に流入した後に、回転子20の外周面と固定子40の内周面との間に位置する隙間AGに流出する。回転子20では、冷却ガスCGは、軸方向に沿って流れた後に、径方向に沿うように形成された通風孔において内周側から外周側へ流れる。
【0023】
図示を省略しているが、冷却ガスCGは、その後、隙間AGを経由して、固定子40の内部に形成された冷却流路を流れる。固定子40の外部へ排出された冷却ガスCGは、ガス冷却器80を介して、内部ケーシング61の内部から外部へ流れる。このとき、冷却ガスCGは、ガス冷却器80において冷却される。ガス冷却器80で冷却された冷却ガスCGは、外部ケーシング62のうち内部ケーシング61の外部に位置する空間を流れた後に、上述したように、ファン90の回転によって内部ケーシング61の外部から内部へ流入する。
【0024】
このように、回転電機10では、回転電機ケーシング60の内部において冷却ガスCGが循環して流れることで各部が冷却されるように構成されている。
【0025】
[B]検査システム800
上記の回転電機10(
図1参照)を検査する際に用いる検査システム800に関して説明する。
【0026】
図2は、実施形態において、回転電機10(
図1参照)を検査するための検査システム800を模式的に示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、実施形態の検査システム800は、検査装置500と制御装置600とを備え、検査装置500と制御装置600との間がケーブル700を介して通信可能に構成されている。
【0028】
[B-1]検査装置500
検査装置500は、詳細については後述するが、自走式の検査ロボットであって、回転電機10(
図1参照)の検査を実行する際に、回転子20と固定子40との間に介在している隙間AGに挿入され、固定子40に吸着した状態で走行可能に構成されている。
【0029】
[B-2]制御装置600
制御装置600は、検査装置500の動作を遠隔で制御するために設けられている。制御装置600は、演算器(コンピュータ)と記憶装置とを含み、記憶装置が記憶するプログラムを用いて、演算器が検査装置500の動作の制御を実行するように構成されている。
【0030】
ここでは、制御装置600は、例えば、操作者が操作装置(マウス、キーボード等)を用いて入力した操作指令に応じて、検査装置500が回転電機10の検査を実行するように、制御を行う。また、制御装置600は、検査装置500が実行する検査に関する情報や、検査装置500が検査を実行することで得た情報等を、例えば、ディスプレイに表示するように、制御を行う。
【0031】
[C]検査装置500の構成
上記の検査システム800(
図2参照)を構成する検査装置500の構成に関して説明する。
【0032】
図3Aおよび
図3Bは、実施形態において、検査装置500を示す斜視図である。
【0033】
図3Aは、回転子20と固定子40との間の隙間AGに検査装置500が挿入されたときに、固定子40の側に位置する面側を示している。
図3Bは、回転子20と固定子40との間の隙間AGに検査装置500が挿入されたときに、回転子20の側に位置する面側を示している。
【0034】
図3Aおよび
図3Bに示すように、検査装置500は、複数の検査用ユニット511~517を備える。
【0035】
複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、回転電機10(
図1参照)を構成する回転子20と固定子40との間の隙間AGにおいて検査を実行するために設けられている。複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、回転子20と固定子40との間の隙間AGに挿入されたときに、回転子20の回転軸AXに沿った軸方向に連結した状態になるように構成されている。
【0036】
複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、回転電機10(
図1参照)の検査を行うための機能を有している。
【0037】
具体的には、検査用ユニット511は、先端側撮像ユニットであって、撮像機器611と照明機器612とを検査用機器として備え、検査装置500の先端側を照明機器612が照明し、撮像機器611が撮像するように構成されている(
図3A参照)。
【0038】
検査用ユニット512は、ガイドユニットであって、一対のガイド板621を検査用機器として備え、検査装置500の移動方向をガイドするように構成されている。ここでは、一対のガイド板621は、例えば、固定子40(
図1参照)において軸方向に沿うように形成された溝(図示省略)に挿入され、検査装置500が軸方向に沿って移動するように導く。また、固定子40に形成された溝の幅に合わせて、一対のガイド板621の間の距離が変動するように構成されている(
図3A参照)。
【0039】
検査用ユニット513は、回転子撮像ユニットであって、撮像機器631(回転子撮像機器)を検査用機器として備え、撮像機器631を用いて回転子20(
図1参照)の撮像を行うように構成されている(
図3B参照)。
【0040】
検査用ユニット514は、走行用ユニットであって、クローラ641(無限軌道)と永久磁石642とを含む移動機構を検査用機器として備える。検査用ユニット514は、永久磁石642の磁力によって検査装置500が固定子40(
図1参照)に吸着した状態で、検査装置500がクローラ641によって移動するように構成されている。ここでは、検査用ユニット514は、一つの永久磁石642を一対のクローラ641が挟む移動機構を2つ備えており、2つの移動機構の動作によって、検査装置500を任意の位置に移動させることができる。また、検査用ユニット514は、ハンマー643とマイクロフォン644とを検査用機器として備え、ハンマー643で固定子40を叩いたときの音響をマイクロフォン644で検知するように構成されている。この他に、検査用ユニット514は、撮像機器645を検査用機器として備え、撮像機器645を用いて固定子40の撮像を行うように構成されている(
図3A参照)。
【0041】
検査用ユニット515は、制御用ユニットであって、検査装置500を構成する各部の動作を制御するための制御盤(図示省略)を検査用機器として含むように構成されている。
【0042】
検査用ユニット516は、検査用ユニット512と同様に、ガイドユニットであって、一対のガイド板661を検査用機器として備え、検査装置500の移動方向をガイドするように構成されている(
図3A参照)。
【0043】
検査用ユニット517は、検査装置500と制御装置600(
図2参照)との間を接続するためのケーブル700が連結されるインターフェースである。また、検査用ユニット517は、撮像機器671を検査用機器として備え、検査装置500の後端側を撮像機器671が撮像するように構成されている(
図3A参照)。
【0044】
なお、図示を省略しているが、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、互いが電気的に接続可能なコネクタ(プラグ、ジャック等)を有し、制御装置600との間において通信可能に構成されている。
【0045】
[D]検査用ユニット513(回転子撮像ユニット)の詳細構成
複数の検査用ユニット511~517のうち、回転子撮像ユニットである検査用ユニット513の構成に関して説明する。
【0046】
図4A、
図4B、および
図4Cは、実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513(回転子撮像ユニット)を示す斜視図である。
【0047】
図4Aでは、検査用ユニット513(回転子撮像ユニット)が組み立てられた状態を示している。
図4Bでは、検査用ユニット513(回転子撮像ユニット)の一部を分解した状態を示している。また、
図4Cでは、説明のために、検査用ユニット513(回転子撮像ユニット)の一部を開放させた状態(ここでは、第1のフレーム部材630aの一部を除いた状態)を示している。
【0048】
[D-1]フレーム630
図4Aから
図4Cに示すように、検査用ユニット513は、回転子撮像機器である撮像機器631(
図3B参照)の他に、撮像機器631を収容するフレーム630を含む。
【0049】
検査用ユニット513のうち、
図4Aに示すように、フレーム630は、円筒形状の隙間AG(
図1参照)に沿った円弧形状である。
【0050】
フレーム630は、
図4Bに示すように、第1のフレーム部材630aと第2のフレーム部材630bとを含み、第1のフレーム部材630aと第2のフレーム部材630bとが、例えば、嵌合されている。なお、検査用ユニット513以外の検査用ユニット511,512,514~517に関しても、同様に、円弧形状のフレームを含む。
【0051】
図4Cに示すように、フレーム630を構成する第1のフレーム部材630aには、ラックギヤ801が内部に形成されている。ラックギヤ801は、フレーム630の円弧形状に沿って、複数の歯が並ぶように構成されている。
【0052】
[D-2]撮像機器631
検査用ユニット513のうち、撮像機器631は、
図4Aに示すように、フレーム630の内部においてフレーム630の円弧形状に沿って移動することで撮像位置が変動可能(矢印AR1参照)であると共に、撮像方向が変動可能(矢印AR2参照)なように構成されている。
【0053】
図4Bに示すように、撮像機器631は、フレーム630の内部において、フレキシブルケーブル632に電気的に接続されている。撮像機器631は、フレキシブルケーブル632を介して、制御装置600(
図2参照)に電気的に接続され、動作が制御される。
【0054】
図5Aは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631を示す斜視図である。
図5Bは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631を示す上面図である。
図5Cは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631を分解した状態を示す分解斜視図である。
【0055】
検査用ユニット513において、回転子撮像機器である撮像機器631は、
図5Aから
図5Cに示すように、キャリッジケーシング900に、カメラ910、撮像位置変更部930、および、撮像方向変更部950が設置されている。
【0056】
撮像機器631を構成する各部について順次説明する。
【0057】
[D-2-1]キャリッジケーシング900
撮像機器631のうち、キャリッジケーシング900は、外形が直方体形状であって、カメラ910を収容する収容空間SP910、撮像位置変更部930を収容する収容空間SP930、および、撮像方向変更部950を収容する収容空間SP950を備える。キャリッジケーシング900では、収容空間SP910を収容空間SP930と収容空間SP950とが挟むように構成されている(
図5B,
図5C参照)。
【0058】
[D-2-2]カメラ910
撮像機器631のうち、カメラ910は、詳細については後述するが、回転子20と固定子40との間の隙間AG(
図X1参照)において通風孔を撮像するために設けられている。
【0059】
ここでは、カメラ910は、カメラホルダ911に収容された状態でキャリッジケーシング900の収容空間SP910に設置されている(
図5Aから
図5C参照)。
【0060】
カメラホルダ911は、円筒形状であって、内部にカメラ910を収容している。そして、カメラホルダ911の外周面には、スパーギア912が設けられている。スパーギア912は、円筒形状のカメラホルダ911の法線方向にスパーギア912の回転軸が沿うように設けられている。この他に、カメラホルダ911の外周面には、軸ピン911aが設けられている。軸ピン911aは、円柱形状であって、軸ピン911aの中心軸がスパーギア912の回転軸に対して同軸に並ぶように設けられている(
図5Aから
図5C参照)。
【0061】
そして、カメラホルダ911は、ブッシュ913およびブッシュ914を用いて、スパーギア912の回動方向に沿って揺動するように(
図5Aの矢印AR2参照)、キャリッジケーシング900に設置されている。
【0062】
ブッシュ913は、六角穴付き止めネジHSを介して、スパーギア912に連結されている。そして、ブッシュ913は、ネジSC1を用いて、キャリッジケーシング900に固定されている。ブッシュ914は、軸ピン911aに連結されている。そして、ブッシュ914は、ネジSC2を用いて、キャリッジケーシング900に固定されている(
図5C参照)。
【0063】
図6は、実施形態の撮像機器631において、カメラ910の下面図である。
【0064】
図6に示すように、カメラ910は、円板状の撮像レンズ910aの周面を囲うように、照明部910bが設けられている。照明部910bは、例えば、発光ダイオード(LED;Light-Emitting Diode)を用いて構成されている。
【0065】
[D-2-3]撮像位置変更部930
撮像位置変更部930は、回転子20と固定子40との間の隙間AG(
図X1参照)においてキャリッジケーシング900を回転子20の周方向(各図の矢印AR1を参照)に移動させることによって、カメラ910の撮像位置を変えるために設けられている。
【0066】
ここでは、撮像位置変更部930は、キャリッジケーシング900の収容空間SP930に設置されており、撮像位置変更用モータ931と撮像位置変更用ピニオンギヤ932とを含む(
図5Aから
図5C参照)。
【0067】
撮像位置変更部930において、撮像位置変更用モータ931は、押え板933およびネジSC3を用いて、キャリッジケーシング900に固定されている。撮像位置変更用ピニオンギヤ932は、撮像位置変更用モータ931の回転軸に設置されている(
図5Aから
図5C参照)。
【0068】
図4Cに示したように、検査用ユニット513において、撮像機器631は、フレーム630に形成されたラックギヤ801に、撮像位置変更用ピニオンギヤ932が噛み合うように設置される。このため、本実施形態では、撮像位置変更用ピニオンギヤ932が回転することによって、撮像機器631がラックギヤ801の延伸方向に沿って移動する。
【0069】
[D-2-4]撮像方向変更部950
撮像方向変更部950は、回転子20と固定子40との間の隙間AG(
図X1参照)においてカメラ910の撮像方向を回転子20の径方向(
図4A、
図4C、および、
図5Aの破線)に対して傾斜した角度に変えるために設けられている(
図4A、
図4C、および、
図5Aの矢印AR2を参照)。
【0070】
ここでは、撮像方向変更部950は、キャリッジケーシング900の収容空間SP950に設置されており、撮像方向変更用モータ951と撮像方向変更用ピニオンギヤ952とを含む(
図5Aから
図5C参照)。
【0071】
撮像方向変更部950において、撮像方向変更用モータ951は、押え板953およびネジSC4を用いて、キャリッジケーシング900に固定されている。撮像方向変更用モータ951は、回転軸が、撮像位置変更用モータ931の回転軸と平行になるように、キャリッジケーシング900に収容されている。そして、撮像方向変更用ピニオンギヤ952は、撮像方向変更用モータ951の回転軸に設置されている(
図5Aから
図5C参照)。
【0072】
図7Aから
図7Cは、実施形態の検査用ユニット513において、撮像機器631の撮像方向変更部950を示す側面図である。
【0073】
図7Aから
図7Cでは、回転電機10(
図1参照)において回転子20と固定子40との間の隙間AG(
図X1参照)に検査装置500が挿入されたときに、軸方向(x方向)が直交する鉛直面(yz面)における撮像機器631の状態を示している。
図7Aは、カメラ910の撮像方向が回転子20の径方向に沿った状態であるときの様子を示している。これに対して、
図7Bおよび
図7Cは、カメラ910の撮像方向が回転子20の径方向に沿った状態であるときの様子を示している。
図7Aから
図7Cでは、説明の都合により、撮像方向変更部950に関連する部分以外の部材の図示を適宜省略している。
【0074】
図7Aから
図7Cに示すように、撮像方向変更部950は、カメラホルダ911に設けられたスパーギア912に撮像方向変更用ピニオンギヤ952が噛み合うように、キャリッジケーシング900に設置されている。これにより、本実施形態の撮像機器631では、撮像方向変更用ピニオンギヤ952が回転することによって、カメラホルダ911に収容されたカメラ910の撮像方向が回転子20の径方向に沿った状態から傾斜した状態に変わる。
【0075】
[D-2-5]その他
上記の他に、撮像機器631は、
図5Aから
図5Cに示すように、ケーブルカバー960、ピン970、および、ケーブル押え板980を含む。
【0076】
ケーブルカバー960は、ネジSC5を用いて、キャリッジケーシング900に固定されている(
図5C参照)。
【0077】
ピン970は、
図5Aから
図5Cに示すように、キャリッジケーシング900に複数が設置されている。ここでは、キャリッジケーシング900には、撮像方向変更部950がキャリッジケーシング900を移動させる方向(矢印AR1)に沿った両側面のそれぞれに、一対の挿入孔H970が間を隔てて形成されており、その挿入孔H970のそれぞれに、ピン970が挿入されている。
【0078】
ケーブル押え板980は、ネジSC6を用いて、キャリッジケーシング900に固定されている(
図5C参照)
【0079】
[E]検査方法
上記の検査装置500(
図A1参照)を用いて回転電機10(
図X1参照)の検査を行うときの状態について説明する。
【0080】
図8Aは、実施形態において、回転電機10について検査を行うときの検査装置500の状態を示す図である。
図8Aでは、回転電機10(
図1参照)において軸方向(x方向)が直交する鉛直面(yz面)を示している。
【0081】
図8Aに示すように、回転電機10の検査を行うときには、回転子20と固定子40との間に介在している隙間AGに検査装置500を挿入する。ここでは、検査装置500を構成する複数の検査用ユニット511~517(
図3A参照)の連結方向が回転電機10の軸方向(
図8Aでは、x方向)に沿うように、検査装置500が回転電機10の隙間AGに挿入される。
【0082】
隙間AGに挿入された検査装置500は、永久磁石642の磁力によって固定子40に吸着した状態でクローラ641を用いて走行する。ここでは、永久磁石642と固定子40との間が密着せずに離れた状態になるのに対して、クローラ641と固定子40との間は密着した状態で、検査装置500が走行する。
【0083】
図8Aでは図示を省略しているが、検査装置500は、ガイド板621およびガイド板661(
図3A参照)が、固定子40において軸方向に沿うように形成された溝に挿入される。このため、検査装置500は、ガイド板621およびガイド板661(
図3A参照)によって軸方向に沿って走行する。検査装置500の移動は、検査装置500に設けられた撮像機器611、撮像機器631、撮像機器645、および、撮像機器671によって撮像された各画像を操作者が観察し、操作者が検査装置500を操作することで実行される(
図3A,
図3B参照)。
【0084】
そして、検査装置500が備える各機能(
図3A参照)を用いて、回転電機10の検査が実行される。
【0085】
本実施形態では、撮像機器645が固定子40の内周面を撮像することで得たデジタル動画像をリアルタイムに観察することで、固定子40の状態が検査される。この他に、固定子40において固定子鉄心41に固定子コイル42を固定するための固定子ウェッジ(図示省略)の緩みを点検するために、その固定子ウェッジをハンマー643で叩き、その叩いたときの音響をマイクロフォン644で検知する検査が行われる。
【0086】
また、本実施形態では、撮像機器631が回転子20の外周面を撮像することで得たデジタル動画像をリアルタイムに観察することで、回転子20の状態が検査される。ここでは、回転子20において径方向に延伸する通風孔を撮像し、通風孔が閉塞された状態であるのか否かの検査を実行する。
【0087】
図8Bは、実施形態において、回転電機10を構成する回転子20の通風孔について検査を行うときの検査装置500の状態を示す図である。
図8Bでは、
図8Aと同様に、軸方向(x方向)が直交する鉛直面(yz面)を示している。
【0088】
図8Bに示すように、回転電機10を構成する回転子20の通風孔Vについて検査を行うときには、検査装置500において回転子撮像ユニットを構成する検査用ユニット513を用いる。このとき、検査用ユニット513では、カメラ910の撮像位置が通風孔Vに対応するように、撮像位置変更部930が撮像機器631を回転子20の周方向(矢印AR1)に移動させる。そして、検査用ユニット513では、撮像方向変更部950がカメラ910の撮像方向を変える(矢印AR2)。これにより、本実施形態では、カメラ910の撮像方向が通風孔Vの深さ方向に沿うため、通風孔Vを真上から撮像することができる。
【0089】
[F]まとめ
以上のように、本実施形態の検査装置500において、回転子撮像ユニットである検査用ユニット513は、撮像位置変更部930および撮像方向変更部950を含む回転子撮像機器631を備える。撮像位置変更部930は、隙間AGにおいてキャリッジケーシング900を回転子20の周方向に移動させることによって、カメラ910の撮像位置を変えるように構成されている。撮像方向変更部950は、隙間AGにおいてカメラ910の撮像方向を回転子20の径方向に対して傾斜した角度に変えるように構成されている。このため、本実施形態では、上述したように、回転子20に設けられた通風孔Vに撮像位置変更部930がカメラ910を移動させることが可能であり、通風孔Vの深さ方向にカメラ910の撮像方向を沿った状態にすることが容易である。その結果、通風孔Vの深部まで的確に撮像することができるので、通風孔Vが閉塞しているか否かの判定を容易に実行可能である。したがって、本実施形態の検査装置500では、検査を効率的に行うことを容易に実現可能である。
【0090】
また、本実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513のフレーム630は、円弧形状である。このため、本実施形態では、回転子20と固定子40との間に介在する円筒形状の隙間AGに検査装置500を容易に挿入可能であると共に、その隙間AGにおいて検査装置500がスムーズに移動可能である。
【0091】
[G]変形例
上記の実施形態の変形例について説明する。
【0092】
図9は、実施形態の変形例において、検査用ユニット513を示す斜視図である。
【0093】
図9に示すように、検査用ユニット513において、フレーム630には、ガイド孔A61が形成されている。ガイド孔A61は、撮像機器631が移動する方向に沿って延在するように、フレーム630の第1のフレーム部材630aに形成されている。
【0094】
そして、撮像機器631に設けられた一対のピン970がガイド孔A61の内部に挿入されている。撮像機器631が回転子20の周方向(矢印AR1)に移動する際には、一対のピン970がガイド孔A61の内部において摺動する。これにより、本変形例では、撮像機器631がガイド孔A61に沿って移動するので、撮像機器631の移動をスムーズに実行可能である。
【0095】
また、当然ながら、上記実施形態の検査装置500は、上述した検査の他に、種々の検査を実行可能に構成されていてもよい。例えば、検査装置500は、固定子40について電磁気式鉄心欠陥検出(EL-CID;ELectromagnetic Core Imperfection Detection)試験を行うための検査用ユニットを更に備えるように構成されていてもよい。
【0096】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0097】
10:回転電機、20:回転子、40:固定子、41:固定子鉄心、42:固定子コイル、60:回転電機ケーシング、61:内部ケーシング、62:外部ケーシング、80:ガス冷却器、90:ファン、200:回転子鉄心、201:回転シャフト、500:検査装置、511:検査用ユニット、512:検査用ユニット、513:検査用ユニット(回転子撮像ユニット)、514:検査用ユニット、515:検査用ユニット、516:検査用ユニット、517:検査用ユニット、600:制御装置、611:撮像機器、612:照明機器、621:ガイド板、630:フレーム、630a:第1のフレーム部材、630b:第2のフレーム部材、631:撮像機器(回転子撮像機器)、632:フレキシブルケーブル、641:クローラ、642:永久磁石、643:ハンマー、644:マイクロフォン、645:撮像機器、661:ガイド板、671:撮像機器、700:ケーブル、800:検査システム、801:ラックギヤ、900:キャリッジケーシング、910:カメラ、910a:撮像レンズ、910b:照明部、911:カメラホルダ、911a:軸ピン、912:スパーギア、913:ブッシュ、914:ブッシュ、930:撮像位置変更部、950:撮像方向変更部、AG:隙間、AX:回転軸、CG:冷却ガス、HS:六角穴付き止めネジ、K61:貫通孔、K611:開口部、K62:貫通孔、SC1:ネジ、SC2:ネジ、SP910:収容空間、SP930:収容空間、SP950:収容空間