(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052129
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】姿勢調整装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/31 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B65G47/31 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158630
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】志岐 清
(72)【発明者】
【氏名】滝本 隆
【テーマコード(参考)】
3F081
【Fターム(参考)】
3F081AA20
3F081BC05
3F081BF15
3F081CC12
3F081EA09
3F081EA14
3F081EA15
3F081EA17
(57)【要約】
【課題】特性が異なる複数の搬送物の姿勢調整を行う必要がある場合において、それぞれの搬送物の特性に応じて適切に姿勢調整を行うことができる
【解決手段】姿勢調整コンベヤ20と、特性判定装置40と、上流側姿勢検出装置30uと、制御装置50とを備え、制御装置50は、並列配置された第1コンベヤ部21の搬送速度と第2コンベヤ部22の搬送速度との速度差を制御することにより搬送物11の姿勢を変化させる姿勢調整制御において、上流側姿勢検出装置30uにより検出された上流側実姿勢Suと目標姿勢との差である調整前姿勢差と、特性判定装置40により判定された搬送物11の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値Hと、に基づいて、調整前姿勢差の大きさに応じて前記速度差を変更すると共に、特性値Hが大きくなるに従って前記速度差を大きくする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の姿勢を調整する姿勢調整装置であって、
前記搬送物を規定の搬送方向に沿って搬送しつつ前記搬送物の姿勢を調整する姿勢調整コンベヤと、
前記姿勢調整コンベヤよりも上流側において前記搬送物の特性を判定する特性判定装置と、
前記姿勢調整コンベヤの上流側端部での前記搬送物の姿勢を検出する上流側姿勢検出装置と、
前記姿勢調整コンベヤを制御する制御装置と、
を備え、
前記搬送方向に直交する方向を搬送幅方向として、
前記姿勢調整コンベヤは、前記搬送幅方向に隣り合うように並列配置された第1コンベヤ部と第2コンベヤ部とを備えると共に、前記第1コンベヤ部の搬送速度と前記第2コンベヤ部の搬送速度とを異ならせることができるように構成され、
前記制御装置は、前記第1コンベヤ部の搬送速度と前記第2コンベヤ部の搬送速度との速度差を制御することにより、前記第1コンベヤ部と前記第2コンベヤ部との双方に跨って搬送される前記搬送物の姿勢を変化させる姿勢調整制御を実行し、
前記姿勢調整コンベヤの下流側端部での目標となる前記搬送物の姿勢を目標姿勢とし、前記上流側姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を上流側実姿勢として、
前記制御装置は、前記姿勢調整制御において、前記上流側実姿勢と前記目標姿勢との差である調整前姿勢差と、前記特性判定装置により判定された前記搬送物の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値と、に基づいて、前記調整前姿勢差の大きさに応じて前記速度差を変更すると共に、前記特性値が大きくなるに従って前記速度差を大きくする、姿勢調整装置。
【請求項2】
前記姿勢調整コンベヤの下流側端部での前記搬送物の姿勢を検出する下流側姿勢検出装置を更に備え、
前記下流側姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を下流側実姿勢として、
前記制御装置は、
前記調整前姿勢差と、前記特性値と、前記調整前姿勢差と前記特性値とに基づいて前記速度差を決定するための制御係数と、前記姿勢調整制御の結果である前記下流側実姿勢と前記目標姿勢との差である調整後姿勢差と、の関係を示す学習情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記学習情報に基づいて、前記制御係数を補正する補正処理部と、
を備える、請求項1に記載の姿勢調整装置。
【請求項3】
前記姿勢調整コンベヤの全域で前記搬送物の姿勢を検出する搬送中姿勢検出装置を更に備え、
前記調整前姿勢差と前記特性値とに基づいて決定した前記速度差を初期速度差とし、前記搬送中姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を搬送中実姿勢として、
前記制御装置は、前記初期速度差を決定した後、前記姿勢調整コンベヤによる前記搬送物の搬送中、前記搬送中実姿勢と前記目標姿勢との差である搬送中姿勢差と前記特性値とに基づいて、前記搬送中姿勢差の大きさに応じて前記速度差を変更すると共に、前記特性値が大きくなるに従って前記速度差を大きくするように、前記速度差を随時変更する、請求項1に記載の姿勢調整装置。
【請求項4】
前記第1コンベヤ部は、上流側の区間である第1上流側区間と、前記第1上流側区間に対して下流側の区間である第1下流側区間とで、搬送速度を異ならせることができるように構成され、
前記第2コンベヤ部は、上流側の区間である第2上流側区間と、前記第2上流側区間に対して下流側の区間である第2下流側区間とで、搬送速度を異ならせることができるように構成され、
前記特性判定装置により判定される前記搬送物の特性には、前記搬送物の長辺の寸法が含まれ、
前記制御装置は、前記姿勢調整制御において、前記搬送物の長辺の寸法が設定値未満である場合には、前記第1上流側区間の搬送速度と前記第2上流側区間の搬送速度との速度差を生じさせると共に前記第1下流側区間の搬送速度と前記第2下流側区間の搬送速度との速度差をなくすように前記姿勢調整コンベヤを制御し、前記搬送物の長辺の寸法が設定値以上である場合には、前記第1上流側区間の搬送速度と前記第2上流側区間の搬送速度との速度差を生じさせると共に前記第1下流側区間の搬送速度と前記第2下流側区間の搬送速度との速度差も生じさせるように前記姿勢調整コンベヤを制御する、請求項1から3のいずれか一項に記載の姿勢調整装置。
【請求項5】
前記特性値は、前記搬送物の重量が大きくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の姿勢調整装置。
【請求項6】
前記特性値は、前記搬送物の平面視での面積が小さくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の姿勢調整装置。
【請求項7】
前記搬送幅方向における、前記第2コンベヤ部に対して前記第1コンベヤ部が配置された側を搬送幅方向第1側とし、その反対側を搬送幅方向第2側として、
前記第1コンベヤ部は、複数の第1ローラが前記搬送方向に並ぶように配置されたローラコンベヤであり、
前記第1ローラのそれぞれの回転軸心が、前記搬送幅方向第1側に向かうに従って前記搬送方向の下流側へ向かうように傾斜し、
前記第2コンベヤ部は、複数の第2ローラが前記搬送方向に並ぶように配置されたローラコンベヤであり、
前記第2ローラのそれぞれの回転軸心が、前記搬送幅方向第2側に向かうに従って前記搬送方向の下流側へ向かうように傾斜している、請求項1から3のいずれか一項に記載の姿勢調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の姿勢を調整する姿勢調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような姿勢調整装置の一例が、特開2010-100398号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1には、長方形又は正方形の搬送物に対し、姿勢調整コンベヤにおける搬送方向の左右で速度差を付与して、搬送物の向きを調整する姿勢調整装置が開示されている。この特許文献1の姿勢調整装置は、搬送物の向きをCCDカメラで刻々検出して、その向きを刻々調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置では、単一種類の搬送物の姿勢調整を行うことが想定されているが、姿勢調整装置の用途によっては、複数種類の搬送物の姿勢調整を行うことが必要な場合もある。例えば、形状、重量、材質などの特性が異なる複数の搬送物を姿勢調整の対象とする場合に、それらの搬送物の特性に応じて姿勢変化のし易さも異なることが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載された姿勢調整装置では、単一種類の搬送物の姿勢調整を行うことが想定されているため、そのような点について特段の考慮がされていなかった。そのため、搬送物の特性が姿勢変化し易いものである場合に姿勢変化させ過ぎてしまったり、逆に、搬送物の特性が姿勢変化しにくいものである場合に姿勢変化が不十分になったり、といった事態が生じる可能性があった。
【0005】
そこで、特性が異なる複数の搬送物の姿勢調整を行う必要がある場合において、それぞれの搬送物の特性に応じて適切に姿勢調整を行うことができる技術の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、搬送物の姿勢を調整する姿勢調整装置の特徴構成は、前記搬送物を規定の搬送方向に沿って搬送しつつ前記搬送物の姿勢を調整する姿勢調整コンベヤと、前記姿勢調整コンベヤよりも上流側において前記搬送物の特性を判定する特性判定装置と、前記姿勢調整コンベヤの上流側端部での前記搬送物の姿勢を検出する上流側姿勢検出装置と、前記姿勢調整コンベヤを制御する制御装置と、を備え、前記搬送方向に直交する方向を搬送幅方向として、前記姿勢調整コンベヤは、前記搬送幅方向に隣り合うように並列配置された第1コンベヤ部と第2コンベヤ部とを備えると共に、前記第1コンベヤ部の搬送速度と前記第2コンベヤ部の搬送速度とを異ならせることができるように構成され、前記制御装置は、前記第1コンベヤ部の搬送速度と前記第2コンベヤ部の搬送速度との速度差を制御することにより、前記第1コンベヤと前記第2コンベヤとの双方に跨って搬送される前記搬送物の姿勢を変化させる姿勢調整制御を実行し、前記姿勢調整コンベヤの下流側端部での目標となる前記搬送物の姿勢を目標姿勢とし、前記上流側姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を上流側実姿勢として、前記制御装置は、前記姿勢調整制御において、前記上流側実姿勢と前記目標姿勢との差である調整前姿勢差と、前記特性判定装置により判定された前記搬送物の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値と、に基づいて、前記調整前姿勢差の大きさに応じて前記速度差を変更すると共に、前記特性値が大きくなるに従って前記速度差を大きくすることにある。
【0007】
本構成によれば、上流側実姿勢と目標姿勢との差である調整前姿勢差だけでなく、搬送物の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値に基づいて、第1コンベヤ部と第2コンベヤ部との速度差を異ならせて姿勢調整制御を行うため、搬送物の特性に応じた適切な姿勢調整制御を行うことができる。従って、特性が異なる複数の搬送物の姿勢調整を行う必要がある場合において、それぞれの搬送物の特性に応じて適切に姿勢調整を行うことができる。
【0008】
姿勢調整装置の更なる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の姿勢調整装置の制御構成を示すブロック図。
【
図3】
図1の姿勢調整コンベヤによる長辺の寸法が大きい搬送物の搬送を示す図。
【
図4】
図1の姿勢調整コンベヤによる長辺の寸法が小さい搬送物の搬送を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1の実施形態〕
以下では、第1の実施形態に係る姿勢調整装置10について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の姿勢調整装置10の制御構成を示すブロック図である。姿勢調整装置10は、搬送物11を規定の搬送方向Xに沿って搬送しつつ搬送物11の姿勢Sを調整する姿勢調整コンベヤ20を備えている。
図2は、姿勢調整コンベヤ20の上面図である。搬送物11は、特に限定されないが、例えば、外形、大きさ、重さ等が異なる複数の荷物である。好適には、搬送物11は空港で検査される手荷物である。ここで、搬送方向Xに直交する方向を搬送幅方向Yとする。また、垂直方向に沿う方向を上下方向Zとする。また、上流側X1は搬送方向Xの上流側を指し、下流側X2は搬送方向Xの下流側を指す。
【0011】
搬送物11の姿勢Sは、少なくとも搬送物11の平面視での角度θ(°)である。本実施形態では、搬送物11の姿勢Sは、搬送物11の平面視での角度θ、及び、搬送物11の搬送幅方向Yの位置P(mm)である。搬送物11の平面視での角度θは、例えば、上下方向視での角度であり搬送物11の目標姿勢Srの状態の目標角度θ
Rを0(°)とした時の搬送物11の角度である。搬送物11の搬送幅方向Yの位置Pは、例えば、搬送物11の目標姿勢Srの状態の目標位置P
Rを0(mm)とした時の搬送物11の位置である。搬送物11の目標姿勢Srは、搬送物11の種類ごとに定められても良い。
図2の例では、搬送物11の長辺が搬送方向Xと平行の状態の角度θを、目標角度θ
Rすなわち0(°)とし、上下方向視における搬送物11の中心の位置Pが姿勢調整コンベヤ20の搬送幅方向Yの中央と重なる位置を、目標位置P
Rすなわち0(mm)としている。搬送物11の中心としては、例えば、搬送物11の重心や搬送物11の長辺及び短辺の中点(言い換えれば、対角線の交点)が挙げられる。
【0012】
姿勢調整コンベヤ20は、搬送幅方向Yに隣り合うように並列配置された第1コンベヤ部21と第2コンベヤ部22とを備える。ここで、搬送幅方向Yにおける、第2コンベヤ部22に対して第1コンベヤ部21が配置された側を搬送幅方向第1側Y1とし、その反対側を搬送幅方向第2側Y2とする。本実施形態では、第1コンベヤ部21は、複数の第1ローラ23が搬送方向Xに並ぶように配置されたローラコンベヤであり、第1ローラ23のそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向第1側Y1に向かうに従って搬送方向Xの下流側X2へ向かうように傾斜している。また、本実施形態では、第2コンベヤ部22は、複数の第2ローラ24が搬送方向Xに並ぶように配置されたローラコンベヤであり、第2ローラ24のそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向第2側Y2に向かうに従って搬送方向Xの下流側X2へ向かうように傾斜している。
【0013】
姿勢調整コンベヤ20は、第1コンベヤ部21の搬送速度V1(m/s)と第2コンベヤ部22の搬送速度V2(m/s)とを異ならせることができるように構成されている。本実施形態では、第1コンベヤ部21は、上流側X1の区間である第1上流側区間21uの搬送速度V1u(m/s)と、第1上流側区間21uに対して下流側X2の区間である第1下流側区間21dの搬送速度V1d(m/s)とを異ならせることができるように構成されている。また、第2コンベヤ部22は、上流側X1の区間である第2上流側区間22uの搬送速度V2u(m/s)と、第2上流側区間22uに対して下流側X2の区間である第2下流側区間22dの搬送速度V2d(m/s)とを異ならせることができるように構成されている。図示の例では、第1上流側区間21uと第1下流側区間21dとが隣り合うように配置され、第2上流側区間22uと第2下流側区間22dとが隣り合うように配置されている。
【0014】
また、姿勢調整コンベヤ20は、本実施形態では、第1コンベヤ部21を駆動する第1駆動装置25と、第2コンベヤ部22を駆動する第2駆動装置26とを備えている。このため、搬送速度V1(m/s)と搬送速度V2(m/s)とを異ならせることができる。第1駆動装置25は、第1上流駆動装置25uと第1下流駆動装置25dとを備え、第1上流駆動装置25uが第1上流側区間21uの第1ローラ23を駆動し、第1下流駆動装置25dが第1下流側区間21dの第1ローラ23を駆動することにより、搬送速度V1uと搬送速度V1dとを異ならせることができる。また、第2駆動装置26は、第2上流駆動装置26uと第2下流駆動装置26dとを備え、第2上流駆動装置26uが第2上流側区間22uの第2ローラ24を駆動し、第2下流駆動装置26dが第2下流側区間22dの第2ローラ24を駆動することにより、搬送速度V2uと搬送速度V2dとを異ならせることができる。
【0015】
本実施形態では、姿勢調整装置10は、姿勢調整コンベヤ20の上流側X1に上流側台部12を備えている。図示の例では、上流側台部12は複数の上流ローラ12aが搬送方向Xに並ぶように配置されたローラコンベヤであり、上流ローラ12aのそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向Yに沿う方向となっている。このため、上流側台部12上では搬送物11の姿勢Sが変化しない。
【0016】
姿勢調整装置10は、姿勢調整コンベヤ20の上流側端部71での搬送物11の姿勢Sを検出する上流側姿勢検出装置30uを備えている。ここで、上流側姿勢検出装置30uにより検出された搬送物11の実際の姿勢Sを上流側実姿勢Suとする。上流側実姿勢Suを検出する位置は、姿勢調整コンベヤ20の上流側端部71でも良い。また、姿勢調整コンベヤ20よりも上流側X1において搬送物11の姿勢Sが変化しないのであれば、上流側端部71より更に上流側X1でも良い。図示の例では、上流側姿勢検出装置30uは上流側台部12での搬送物11の姿勢Sを検出する。上述のように上流側台部12では搬送物11の姿勢Sが変化しないため、上流側姿勢検出装置30uにより上流側台部12で検出された搬送物11の姿勢Sは姿勢調整コンベヤ20の上流側端部71での姿勢Sである上流側実姿勢Suと同じとなる。上流側姿勢検出装置30uは、例えば上流側台部12の上空に備えられたカメラ31uを有することにより、上流側端部71での搬送物11の実際の角度である上流側実角度θU及び搬送物11の実際の位置である上流側実位置PU、すなわち上流側実姿勢Suを検出する。
【0017】
本実施形態では、姿勢調整装置10は、姿勢調整コンベヤ20の下流側X2に下流側台部13を備えている。図示の例では、下流側台部13は複数の下流ローラ13aが搬送方向Xに並ぶように配置されたローラコンベヤであり、下流ローラ13aのそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向Yに沿う方向となっている。このため、下流側台部13上では搬送物11の姿勢Sが変化しない。
【0018】
姿勢調整装置10は、本実施形態では、姿勢調整コンベヤ20の下流側端部72での搬送物11の姿勢Sを検出する下流側姿勢検出装置30dを更に備えている。ここで、下流側姿勢検出装置30dにより検出された搬送物11の実際の姿勢Sを下流側実姿勢Sdとする。下流側実姿勢Sdを検出する位置は、姿勢調整コンベヤ20の下流側端部72でも良い。また、姿勢調整コンベヤ20よりも下流側X2において搬送物11の姿勢Sが変化しないのであれば、下流側端部72より更に下流側X2でも良い。図示の例では、下流側姿勢検出装置30dは下流側台部13での搬送物11の姿勢Sを検出する。上述のように下流側台部13では搬送物11の姿勢Sが変化しないため、下流側姿勢検出装置30dにより下流側台部13で検出された搬送物11の姿勢Sは姿勢調整コンベヤ20の下流側端部72での姿勢Sである下流側実姿勢Sdと同じとなる。下流側姿勢検出装置30dは、例えば下流側台部13に備えられたカメラ31dを有することにより、下流側端部72での搬送物11の実際の角度である下流側実角度θD及び搬送物11の実際の位置である下流側実位置PD、すなわち下流側実姿勢Sdを検出する。なお、下流側姿勢検出装置30dと上流側姿勢検出装置30uとが共通の装置であっても良い。
【0019】
図1に示すように、姿勢調整装置10は、姿勢調整コンベヤ20よりも上流側X1において搬送物11の特性を判定する特性判定装置40を備えている。搬送物11の特性は、姿勢調整装置10に設けられた特性取得部により取得されても良く、特性を含む搬送物情報が外部の装置から送信されて姿勢調整装置10に設けられたデータ取得部41が受信することにより特性が取得されても良い。本実施形態では、特性判定装置40は、上流側台部12に備えられた特性取得部により取得された特性を判定する。図示の例では、上流側姿勢検出装置30uが搬送物11の形状等の特性を取得する特性取得部としても機能している。また、上流側台部12に備えられた重量や重心等の特性を取得する重量測定部42も特性取得部として機能している。
【0020】
特性判定装置40は、本実施形態では、搬送物11の特性に応じて姿勢変化のしにくさを表す特性値Hを設定する。搬送物11の特性は、例えば、搬送物11の大きさ、形状、重量、材質等である。搬送物11の大きさとしては、例えば、搬送物11の長辺L1の寸法、平面視の面積、搬送物11の底面の面積等が挙げられる。搬送物11の形状としては、例えば、上下方向視の長辺L1と短辺L2との比や底面の形状等が挙げられる。搬送物11の材質としては、例えば、搬送物11の底面の材質、硬さ、表面粗さ等が挙げられる。搬送物11の各部の寸法や形状等は、例えば、上流側台部12に備えられたカメラ31uで取得されても良く、ミリ波CTスキャナ等の走査装置で取得されても良い。
【0021】
特性値Hは、値が大きいほど搬送物11の姿勢変化がしにくいことを示す。この特性値Hは、好適には、複数の特性に応じて設定されるが、単一の特性に応じて設定されても良い。例えば、特性値Hは、搬送物11の重量が大きくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されている。また、特性値Hは、搬送物11の平面視での面積が小さくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されている。また、特性値Hは、搬送物11の長辺L1を短辺L2で割った値が大きくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されている。また、特性値Hは、搬送物11の底面の摩擦係数が小さくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されている。
【0022】
姿勢調整コンベヤ20の下流側端部72での目標となる搬送物11の姿勢Sを目標姿勢Srとする。姿勢調整装置10は、姿勢調整コンベヤ20を制御する制御装置50を備えている。この制御装置50は、第1コンベヤ部21の搬送速度V1と第2コンベヤ部22の搬送速度V2との速度差ΔVを制御することにより、第1コンベヤ部21と第2コンベヤ部22との双方に跨って搬送される搬送物11の姿勢Sを変化させる姿勢調整制御を実行する。
【0023】
制御装置50は、姿勢調整制御において、上流側実姿勢Suと目標姿勢Srとの差である調整前姿勢差ΔSuと、特性判定装置40により判定された搬送物11の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値Hと、に基づいて、調整前姿勢差ΔSuの大きさに応じて速度差ΔVを変更すると共に、特性値Hが大きくなるに従って速度差ΔVを大きくする。本実施形態では、制御装置50は、姿勢調整制御において、調整前姿勢差ΔSuと特性値Hとに基づいて調整前姿勢差ΔSuが大きくなるに従って速度差ΔVを大きくすると共に、特性値Hが大きくなるに従って速度差ΔVを大きくする。
【0024】
搬送物11は、好適には、姿勢調整コンベヤ20により1個ずつ搬送されて制御装置50により速度差ΔVが制御される。この場合において、速度差ΔVは、搬送物11が姿勢調整コンベヤ20上を通過中に変更されても良いが、本実施形態では、速度差ΔVは、上流側実姿勢Suと目標姿勢Srとの差である調整前姿勢差ΔSuと特性値Hとに基づいて決定された初期速度差ΔVaから変更されない。
【0025】
本実施形態では、例えば、姿勢調整コンベヤ20の搬送速度V(m/s)に対する第1コンベヤ部21の搬送速度V1の調整率を調整率u1(=100・V1/V)、姿勢調整コンベヤ20の搬送速度Vに対する第2コンベヤ部22の搬送速度V2の調整率を調整率u2(=100・V2/V)とする。すなわち、V1=V・u1/100、V2=V・u2/100であり、姿勢調整コンベヤ20の搬送速度V(m/s)と調整率u1(%)から搬送速度V1を決定でき、搬送速度V(m/s)と調整率u2(%)から搬送速度V2を決定できる。
【0026】
調整率u1(%)は下記の(1a)式、調整率u2(%)は下記の(2a)式で表すことができる。
u1=100+(Kθ+KH・H)・(θU-θR)+KP(PU-PR)・・・(1a)
u2=100-(Kθ+KH・H)・(θU-θR)-KP(PU-PR)・・・(2a)
但し、Kθは角度θに対する重み付け係数、KPは位置Pに対する重み付け係数、KHは特性値Hに対する重み付け係数、θRは目標姿勢Sr時の目標角度、PRは目標姿勢Sr時の目標位置である。目標角度θR及び目標位置PRが目標姿勢Srに対応し、上流側実角度θU及び上流側実位置PUが上流側実姿勢Suに対応する。
【0027】
特性値Hが複数の特性に応じて設定されている場合は、下記の(3a)式に示すように重み付け係数は複数の特性ごとに設定されることが望ましい。
KH・H=KHA・HA+KHB・HB+KHC・HC+KHD・HD・・・(3a)
(3a)式において、例えば、特性値HAは重量であり、特性値HBは平面視での面積の逆数であり、特性値HCは搬送物11の長辺L1を短辺L2で割った値であり、特性値HDは搬送物11の底面の摩擦係数の逆数である。
【0028】
制御装置50は、本実施形態では、記憶部52と補正処理部54とを備える。記憶部52は、調整前姿勢差ΔSuと、特性値Hと、調整前姿勢差ΔSuと特性値Hとに基づいて速度差ΔVを決定するための制御係数Kと、姿勢調整制御の結果である下流側実姿勢Sdと目標姿勢Srとの差である調整後姿勢差ΔSdと、の関係を示す学習情報を記憶する。補正処理部54は、記憶部52に記憶された学習情報に基づいて、制御係数Kを補正する。
【0029】
本実施形態では、例えば、i個目の搬送物11に対する第1コンベヤ部21における調整率をu1iとすると調整率u1iは下記の(1b)式で表すことができる。また、i個目の搬送物11に対する第2コンベヤ部22における調整率をu2iとすると調整率u2iは下記の(2b)式で表すことができる。
u1i=100+(Kθi+KHi・H)・(θU-θR)+KPi(PU-PR)・・・(1b)
u2i=100-(Kθi+KHi・H)・(θU-θR)-KPi(PU-PR)・・・(2b)
但し、Kθiは角度θに対する重み付け係数、KPiは位置Pに対する重み付け係数、KHiは特性値Hに対する重み付け係数である。
【0030】
制御装置50が調整率u1i及び調整率u2iに基づく姿勢調整制御を実行した結果の下流側端部72での搬送物11の角度を下流側実角度θD、位置を下流側実位置PDとする。角度θR及び位置PRが目標姿勢Srに対応し、下流側実角度θD及び下流側実位置PDが下流側実姿勢Sdに対応し、角度θD-θR及び位置PD-PRが調整後姿勢差ΔSdに対応する。
【0031】
記憶部52は、本実施形態では、調整前姿勢差ΔSu(角度θU-θR,位置PU-PR)と、特性値Hと、調整前姿勢差ΔSuと特性値Hとに基づいて速度差ΔVを決定するための制御係数K(重み付け係数Kθi,KPi,KHi)と、調整後姿勢差ΔSd(角度θD-θR,位置PD-PR)と、の関係を示す学習情報を記憶する。
【0032】
更に、i+1個目の搬送物11に対する、角度θに対する重み付け係数をKθi+1、位置Pに対する重み付け係数を重み付け係数KPi+1、特性値Hに対する重み付け係数を重み付け係数KHi+1とする。
【0033】
補正処理部54は、記憶部52に記憶された学習情報に基づいて、制御係数K(重み付け係数Kθi+1,KPi+1,KHi+1)を補正する。好適には、調整後姿勢差ΔSdが閾値J以上の場合に制御係数Kを変更し、調整後姿勢差ΔSdが閾値Jより低い場合は、制御係数Kを変更しない。例えば、角度θD-θRの絶対値が閾値θJより小さい場合は重み付け係数KHi+1は(4b)式で表され、角度θD-θRの絶対値が閾値θJ以上の場合には重み付け係数KHi+1は(5b)式で表される。
KHi+1=KHi ・・・(4b)
KHi+1=KHi+α・・・(5b)
但し、αは予め定められた補正値である。補正値αは、例えば、角度θD-θRが正の場合には正の値とされ、角度θD-θRが負の場合には負の値とされる。なお、閾値J、閾値θJ、補正値αは、実験や機械学習等により定められ得る。
【0034】
図3は、長辺L1の寸法が設定値以上である搬送物11の搬送を示す図である。制御装置50は、本実施形態では、上記姿勢調整制御において、搬送物11の長辺L1の寸法が設定値以上である場合には、第1上流側区間21uの搬送速度V1uと第2上流側区間22uの搬送速度V2uとの速度差を生じさせると共に第1下流側区間21dの搬送速度V1dと第2下流側区間22dの搬送速度V2dとの速度差も生じさせるように姿勢調整コンベヤ20を制御する。搬送物11の長辺L1の寸法がある値を超えると、姿勢調整コンベヤ20に搬送物11の後端が載るのが遅くなり、姿勢変化しにくくなる場合がある。よって、長辺L1の寸法が大きい搬送物11の場合には、姿勢調整コンベヤ20の上流側区間(21u,22u)と下流側区間(21d,22d)との両方を用いて姿勢調整制御を行うので、搬送物11の姿勢Sを目標姿勢Srに近づけ易くなる。設定値は、予め定められた値であっても良く、機械学習により変更される値であっても良い。
【0035】
図4は、長辺L1の寸法が設定値未満である搬送物11の搬送を示す図である。制御装置50は、本実施形態では、上記姿勢調整制御において、搬送物11の長辺L1の寸法が設定値未満である場合には、第1上流側区間21uの搬送速度V1uと第2上流側区間22uの搬送速度V2uとの速度差を生じさせると共に第1下流側区間21dの搬送速度V1dと第2下流側区間22dの搬送速度V2dとの速度差をなくすように姿勢調整コンベヤ20を制御する。このため、長辺L1の寸法が小さい搬送物11の場合に、姿勢調整コンベヤ20の上流側区間(21u,22u)のみを用いて姿勢調整制御を行うので、搬送物11の姿勢Sが変化し過ぎて目標姿勢Srから離れてしまうことを回避し易くなる。
【0036】
〔第2の実施形態〕
以下では、第2の実施形態に係る姿勢調整装置10について、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態の姿勢調整装置10の制御構成を示すブロック図である。
図6は、本実施形態の姿勢調整コンベヤ20の上面図である。本実施形態では、姿勢調整装置10が搬送中姿勢検出装置30mを備えている点で第1の実施形態と異なっている。以下では、第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、第1の実施形態と同様とする。
【0037】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、姿勢調整装置10は、姿勢調整コンベヤ20の全域で搬送物11の姿勢Sを検出する搬送中姿勢検出装置30mを更に備えている。搬送中姿勢検出装置30mにより検出された搬送物11の実際の姿勢Sを搬送中実姿勢Smとする。図示の例では、姿勢調整コンベヤ20に搬送中姿勢検出装置30mが備えられている。この搬送中姿勢検出装置30mは、例えば姿勢調整コンベヤ20の上空に備えられたカメラ31mを有することにより、姿勢調整コンベヤ20の全域での搬送物11の実際の角度である搬送中実角度θ
M及び搬送物11の実際の位置である搬送中実位置P
M、すなわち搬送中実姿勢Smを検出する。
【0038】
本実施形態では、制御装置50は、上流側実姿勢Suと目標姿勢Srとの差である調整前姿勢差ΔSuと特性値Hとに基づいて初期速度差ΔVaを決定した後、姿勢調整コンベヤ20による搬送物11の搬送中、搬送中実姿勢Smと目標姿勢Srとの差である搬送中姿勢差ΔSmと特性値Hとに基づいて、搬送中姿勢差ΔSmの大きさに応じて速度差ΔVを変更すると共に、特性値Hが大きくなるに従って速度差ΔVを大きくするように、速度差ΔVを随時変更する。
【0039】
本実施形態では、搬送物11の搬送中に、姿勢調整コンベヤ20の搬送速度V(m/s)に対する第1コンベヤ部21の搬送速度V1の調整率u1m(=100・V1/V)、及び、姿勢調整コンベヤ20の搬送速度Vに対する第2コンベヤ部22の搬送速度V2の調整率u2m(=100・V2/V)を随時決定することにより、速度差ΔVが随時変更される。搬送物11の搬送中の調整率u1m(%)は下記の(1c)式、調整率u2m(%)は下記の(2c)式で表すことができる。
u1m=100+(Kθ+KH・H)・(θM-θR)+KP(PM-PR)・・・(1c)
u2m=100-(Kθ+KH・H)・(θM-θR)-KP(PM-PR)・・・(2c)
搬送中実角度θM及び搬送中実位置PMが搬送中実姿勢Smに対応し、角度θM-θR及び位置PM-PRが搬送中姿勢差ΔSmに対応する。
【0040】
本実施形態では、制御装置50は、先ず、調整前姿勢差ΔSu(角度θU-θR,位置PU-PR)と特性値Hとに基づいて初期速度差ΔVaを決定する。次に、制御装置50は、姿勢調整コンベヤ20による搬送物11の搬送中、搬送中姿勢差ΔSm(角度θM-θR,位置PM-PR)と特性値Hとに基づいて、搬送中姿勢差ΔSm(角度θM-θR,位置PM-PR)が大きくなるに従って速度差ΔVを大きくすると共に、特性値Hが大きくなるに従って速度差ΔVを大きくするように、速度差ΔVを随時変更する。また、制御装置50は、搬送中姿勢差ΔSm(角度θM-θR,位置PM-PR)が小さくなるに従って速度差ΔVを小さくすると共に、特性値Hが小さくなるに従って速度差ΔVを小さくするようにも同様に速度差ΔVを随時変更する。また、制御装置50が搬送中姿勢差ΔSmの大きさに応じて速度差ΔVを随時変更する場合に、比例積分制御演算(PI制御演算)や、比例積分微分制御演算(PID制御演算)等が用いられても良い。本実施形態では、制御装置50が記憶部52と補正処理部54とを備えることが好ましいが、制御装置50が記憶部52と補正処理部54とを備えなくても良い。
【0041】
〔その他の実施形態〕
次に姿勢調整装置10のその他の実施形態について説明する。
【0042】
(1)上記の実施形態では、姿勢調整コンベヤ20の第1コンベヤ部21及び第2コンベヤ部22がローラコンベヤである構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1コンベヤ部21及び第2コンベヤ部22が、ベルトコンベアやチェーンコンベア、或いは、その他の公知のコンベアで構成されていても良い。
【0043】
(2)上記の実施形態では、姿勢調整コンベヤ20の第1コンベヤ部21が第1駆動装置25により駆動され、第2コンベヤ部22が第2駆動装置26により駆動される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1コンベヤ部21の第1上流側区間21u及び第1下流側区間21dと第2コンベヤ部22の第2上流側区間22u及び第2下流側区間22dとが共通の駆動装置により駆動され、その駆動装置からの回転の伝達比を変更する変速機を備える構成とされていても良い。また、第1コンベヤ部21の第1上流側区間21uと第1下流側区間21dとで搬送速度を異ならせることができなくても良い。また、第2コンベヤ部22の第2上流側区間22uと第2下流側区間22dとで搬送速度を異ならせることができなくても良い。
【0044】
(3)上記の実施形態では、姿勢調整装置10が上流側姿勢検出装置30uと下流側姿勢検出装置30dと特性判定装置40とを備え、制御装置50が記憶部52と補正処理部54とを備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、姿勢調整装置10が下流側姿勢検出装置30dを備えず、制御装置50が記憶部52と補正処理部54とを備えなくても良い。すなわち、記憶部52と補正処理部54による学習が行われなくても良く、例えば、予め定められた目標姿勢Srと、上流側姿勢検出装置30uにより検出された上流側実姿勢Suと、特性判定装置40により判定された特性値Hと、のみに基づいて決定された速度差ΔVにより搬送物11の姿勢Sが調整されても良い。
【0045】
(4)上記の実施形態1では、姿勢調整装置10が上流側姿勢検出装置30uと特性判定装置40と下流側姿勢検出装置30dとを備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、上流側姿勢検出装置30u又は下流側姿勢検出装置30dが、上流側姿勢検出装置30uと下流側姿勢検出装置30dと特性判定装置40とを兼ねていても良い。また、上記の実施形態2では、姿勢調整装置10が上流側姿勢検出装置30uと特性判定装置40と搬送中姿勢検出装置30mと下流側姿勢検出装置30dとを備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、搬送中姿勢検出装置30mが上流側姿勢検出装置30uと搬送中姿勢検出装置30mと下流側姿勢検出装置30dと特性判定装置40とを兼ねていても良い。
【0046】
(5)上記の実施形態では、第1ローラ23のそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向第1側Y1に向かうに従って搬送方向Xの下流側X2へ向かうように傾斜し、第2ローラ24のそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向第2側Y2に向かうに従って搬送方向Xの下流側X2へ向かうように傾斜している構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1ローラ23、及び、第2ローラ24のそれぞれの回転軸心が搬送幅方向Yに平行な回転軸心であっても良い。また、上記の実施形態では、第1ローラ23、及び、第2ローラ24のそれぞれの回転軸心が水平面に沿うように配置されている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、例えば、第1ローラ23、及び、第2ローラ24のそれぞれの回転軸心が水平面に対して傾斜して配置されていても良い。このような場合において、例えば、第1ローラ23のそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向第2側Y2に向かうに従って上下方向Zの下側へ向かうように傾斜し、第2ローラ24のそれぞれの回転軸心が、搬送幅方向第1側Y1に向かうに従って上下方向Zの下側へ向かうように傾斜することにより、姿勢調整コンベヤ20の搬送面における搬送幅方向Yの中央部が、搬送幅方向Yの両端部よりも低くなるように構成されていても良い。
【0047】
(6)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0048】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した姿勢調整装置について説明する。
【0049】
本開示に係る姿勢調整装置は、搬送物の姿勢を調整する姿勢調整装置であって、前記搬送物を規定の搬送方向に沿って搬送しつつ前記搬送物の姿勢を調整する姿勢調整コンベヤと、前記姿勢調整コンベヤよりも上流側において前記搬送物の特性を判定する特性判定装置と、前記姿勢調整コンベヤの上流側端部での前記搬送物の姿勢を検出する上流側姿勢検出装置と、前記姿勢調整コンベヤを制御する制御装置と、を備え、前記搬送方向に直交する方向を搬送幅方向として、前記姿勢調整コンベヤは、前記搬送幅方向に隣り合うように並列配置された第1コンベヤ部と第2コンベヤ部とを備えると共に、前記第1コンベヤ部の搬送速度と前記第2コンベヤ部の搬送速度とを異ならせることができるように構成され、前記制御装置は、前記第1コンベヤ部の搬送速度と前記第2コンベヤ部の搬送速度との速度差を制御することにより、前記第1コンベヤと前記第2コンベヤとの双方に跨って搬送される前記搬送物の姿勢を変化させる姿勢調整制御を実行し、前記姿勢調整コンベヤの下流側端部での目標となる前記搬送物の姿勢を目標姿勢とし、前記上流側姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を上流側実姿勢として、前記制御装置は、前記姿勢調整制御において、前記上流側実姿勢と前記目標姿勢との差である調整前姿勢差と、前記特性判定装置により判定された前記搬送物の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値と、に基づいて、前記調整前姿勢差の大きさに応じて前記速度差を変更すると共に、前記特性値が大きくなるに従って前記速度差を大きくする。
【0050】
本構成によれば、上流側実姿勢と目標姿勢との差である調整前姿勢差だけでなく、搬送物の特性に応じた姿勢変化のしにくさを表す特性値に基づいて、第1コンベヤ部と第2コンベヤ部との速度差を異ならせて姿勢調整制御を行うため、搬送物の特性に応じた適切な姿勢調整制御を行うことができる。従って、特性が異なる複数の搬送物の姿勢調整を行う必要がある場合において、それぞれの搬送物の特性に応じて適切に姿勢調整を行うことができる。
【0051】
一態様として、前記姿勢調整装置は、前記姿勢調整コンベヤの下流側端部での前記搬送物の姿勢を検出する下流側姿勢検出装置を更に備え、前記下流側姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を下流側実姿勢として、前記制御装置は、前記調整前姿勢差と、前記特性値と、前記調整前姿勢差と前記特性値とに基づいて前記速度差を決定するための制御係数と、前記姿勢調整制御の結果である前記下流側実姿勢と前記目標姿勢との差である調整後姿勢差と、の関係を示す学習情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記学習情報に基づいて、前記制御係数を補正する補正処理部と、を備えると好適である。
【0052】
本構成によれば、調整前姿勢差と特性値と制御係数とに基づいて速度差を決定した結果の調整後姿勢差を学習し、調整後姿勢差を小さくするように制御係数を補正することができる。従って、調整後姿勢差が目標姿勢に近づくように、制御係数を次第に適切な値に近づけていくことができる。
【0053】
一態様として、前記姿勢調整装置は、前記姿勢調整コンベヤの全域で前記搬送物の姿勢を検出する搬送中姿勢検出装置を更に備え、前記調整前姿勢差と前記特性値とに基づいて決定した前記速度差を初期速度差とし、前記搬送中姿勢検出装置により検出された前記搬送物の実際の姿勢を搬送中実姿勢として、前記制御装置は、前記初期速度差を決定した後、前記姿勢調整コンベヤによる前記搬送物の搬送中、前記搬送中実姿勢と前記目標姿勢との差である搬送中姿勢差と前記特性値とに基づいて、前記搬送中姿勢差の大きさに応じて前記速度差を変更すると共に、前記特性値が大きくなるに従って前記速度差を大きくするように、前記速度差を随時変更すると、好適である。
【0054】
本構成によれば、姿勢調整コンベヤによる搬送物の搬送中における搬送中姿勢差と特性値とに基づいて、搬送中実姿勢が目標姿勢に近づくように、第1コンベヤ部と第2コンベヤ部との速度差を随時制御することができる。従って、姿勢調整コンベヤにより、搬送物の姿勢を目標姿勢に近づけ易い。
【0055】
一態様として、前記第1コンベヤ部は、上流側の区間である第1上流側区間と、前記第1上流側区間に対して下流側の区間である第1下流側区間とで、搬送速度を異ならせることができるように構成され、前記第2コンベヤ部は、上流側の区間である第2上流側区間と、前記第2上流側区間に対して下流側の区間である第2下流側区間とで、搬送速度を異ならせることができるように構成され、前記特性判定装置により判定される前記搬送物の特性には、前記搬送物の長辺の寸法が含まれ、前記制御装置は、前記姿勢調整制御において、前記搬送物の長辺の寸法が設定値未満である場合には、前記第1上流側区間の搬送速度と前記第2上流側区間の搬送速度との速度差を生じさせると共に前記第1下流側区間の搬送速度と前記第2下流側区間の搬送速度との速度差をなくすように前記姿勢調整コンベヤを制御し、前記搬送物の長辺の寸法が設定値以上である場合には、前記第1上流側区間の搬送速度と前記第2上流側区間の搬送速度との速度差を生じさせると共に前記第1下流側区間の搬送速度と前記第2下流側区間の搬送速度との速度差も生じさせるように前記姿勢調整コンベヤを制御すると、好適である。
【0056】
搬送物は、長辺の寸法が大きい方が、長辺の寸法が小さい場合に比べて、姿勢変化しにくい傾向が高い。本構成によれば、長辺の寸法が大きい搬送物の場合には、姿勢調整コンベヤの上流側区間と下流側区間とを用いて姿勢調整制御を行うことで、搬送物の姿勢を目標姿勢に近づけ易い。一方、長辺の寸法が小さい搬送物の場合には、姿勢調整コンベヤの上流側区間のみを用いて姿勢調整制御を行うことで、搬送物の姿勢が変化し過ぎて目標姿勢から離れてしまうことを回避し易い。
【0057】
一態様として、前記特性値は、前記搬送物の重量が大きくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されていると、好適である。
【0058】
搬送物は、重量が大きくなるに従って慣性が大きくなるため姿勢変化しにくくなる傾向が高い。本構成によれば、搬送物の重量が大きくなるに従って特性値を大きい値とするため、搬送物の重量に応じてた適切な姿勢調整制御を行い、搬送物の姿勢を目標姿勢に近づけ易い。
【0059】
一態様として、前記特性値は、前記搬送物の平面視での面積が小さくなるに従って連続的又は段階的に大きい値となるように設定されていると、好適である。
【0060】
搬送物は、平面視での面積が小さくなるに従って第1コンベヤ部及び第2コンベヤ部との接触面積も小さくなり易いため姿勢変化しにくくなる傾向が高い。本構成によれば、平面視での面積が小さくなるに従って特性値を大きい値とするため、搬送物の大きさに応じてた適切な姿勢調整制御を行い、搬送物の姿勢を目標姿勢に近づけ易い。
【0061】
一態様として、前記搬送幅方向における、前記第2コンベヤ部に対して前記第1コンベヤ部が配置された側を搬送幅方向第1側とし、その反対側を搬送幅方向第2側として、前記第1コンベヤ部は、複数の第1ローラが前記搬送方向に並ぶように配置されたローラコンベヤであり、前記第1ローラのそれぞれの回転軸心が、前記搬送幅方向第1側に向かうに従って前記搬送方向の下流側へ向かうように傾斜し、前記第2コンベヤ部は、複数の第2ローラが前記搬送方向に並ぶように配置されたローラコンベヤであり、前記第2ローラのそれぞれの回転軸心が、前記搬送幅方向第2側に向かうに従って前記搬送方向の下流側へ向かうように傾斜していると、好適である。
【0062】
本構成によれば、姿勢調整コンベヤによる搬送物の搬送中に、当該搬送物を、第1コンベヤ部と第2コンベヤ部との境界付近、すなわち、姿勢調整コンベヤにおける搬送幅方向の中央側に次第に移動させることができる。従って、姿勢調整コンベヤによる搬送物の搬送中に、搬送物の搬送幅方向の位置も調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示に係る技術は、姿勢調整装置を備えたコンベア式の搬送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
10:姿勢調整装置
11:搬送物
20:姿勢調整コンベヤ
21:第1コンベヤ部
21u:第1上流側区間
21d:第1下流側区間
22:第2コンベヤ部
22u:第2上流側区間
22d:第2下流側区間
23:第1ローラ
24:第2ローラ
30u:上流側姿勢検出装置
30m:搬送中姿勢検出装置
30d:下流側姿勢検出装置
40:特性判定装置
42:測定部
50:制御装置
52:記憶部
54:補正処理部
71:上流側端部
72:下流側端部
H :特性値
K :制御係数
L1:長辺
L2:短辺
S :姿勢
Su:上流側実姿勢
Sm:搬送中実姿勢
Sd:下流側実姿勢
Sr:目標姿勢
ΔSu:調整前姿勢差
ΔSm:搬送中姿勢差
ΔSd:調整後姿勢差
V1 :第1コンベヤ部の搬送速度
V2 :第2コンベヤ部の搬送速度
ΔV :速度差
ΔVa:初期速度差