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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052131
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240404BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
G01M99/00 A
H02K15/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158633
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】弓納持 充代
(72)【発明者】
【氏名】松崎 晃大
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真興
(72)【発明者】
【氏名】片山 仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文生
(72)【発明者】
【氏名】野崎 大
【テーマコード(参考)】
2G024
5H615
【Fターム(参考)】
2G024AD22
2G024BA11
2G024FA06
2G024FA11
5H615AA05
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP02
5H615PP21
5H615SS57
(57)【要約】
【課題】検査を効率的に行うことを容易に実現可能な検査装置を提供する。
【解決手段】実施形態の検査装置は、回転子と固定子との間に隙間が介在している回転電機について検査を実行する際に、隙間に挿入される検査装置であり、複数の検査用ユニットと連結シャフトとを備える。複数の検査用ユニットは、隙間において検査を実行するために設けられている。連結シャフトは、複数の検査用ユニットの間を連結するために設けられている。複数の検査用ユニットのそれぞれの間は、着脱自在に構成されており、複数の検査用ユニットのそれぞれには、連結状態であるときに連結シャフトが挿入される連結穴が形成されている。
【選択図】図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転子と固定子との間に隙間が介在している回転電機について検査を実行する際に、前記隙間に挿入される検査装置であって、
前記隙間において前記検査を実行するための複数の検査用ユニットと、
前記複数の検査用ユニットの間を連結するための連結シャフトと
を備え、
前記複数の検査用ユニットのそれぞれの間が着脱自在に構成されており、
前記複数の検査用ユニットのそれぞれには、連結状態であるときに前記連結シャフトが挿入される連結穴が形成されている、
検査装置。
【請求項2】
前記複数の検査用ユニットのそれぞれは、
フレームと、
前記フレームに設けられた検査用機器と
を含み、
前記フレームは、少なくとも表面が樹脂を用いて形成されている、
請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記隙間の形状に沿った円弧形状である、
請求項2に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機や電動機などの回転電機は、固定子と回転子との間に円筒状の隙間が介在している。
【0003】
回転電機は、保守作業によって、電気的および機械的な健全性に関する検査が行われる。回転電機の検査は、例えば、回転子を固定子から抜き出して実行される。この他に、回転電機の検査は、例えば、固定子と回転子との間の隙間に検査装置を挿入し、移動させることで実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6425844号
【特許文献2】米国特許第7624827号明細書
【特許文献3】特開2019-117137号公報
【特許文献4】特開2019-117138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の検査装置では、検査を効率的に行うことが困難な場合がある。具体的には、固定子と回転子との間の隙間に検査装置を挿入することが容易でないこと等に起因して、検査を効率的に実行することが困難になる場合がある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、検査を効率的に行うことを容易に実現可能な検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の検査装置は、回転子と固定子との間に隙間が介在している回転電機について検査を実行する際に、前記隙間に挿入される検査装置であり、複数の検査用ユニットと連結シャフトとを備える。複数の検査用ユニットは、隙間において検査を実行するために設けられている。連結シャフトは、複数の検査用ユニットの間を連結するために設けられている。複数の検査用ユニットのそれぞれの間は、着脱自在に構成されており、複数の検査用ユニットのそれぞれには、連結状態であるときに連結シャフトが挿入される連結穴が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の検査装置において、検査対象物である回転電機10の一例を模式的に示す図である。
図2図2は、実施形態において、回転電機10(図1参照)を検査するための検査システム800を模式的に示すブロック図である。
図3A図3Aは、実施形態において、検査装置500を示す斜視図である。
図3B図3Bは、実施形態において、検査装置500を示す斜視図である。
図3C図3Cは、実施形態の検査装置500について一部を分解した状態を示す斜視図である。
図4A図4Aは、実施形態の検査装置500において、複数の検査用ユニット511~517が連結する部分を説明するための図である。
図4B図4Bは、実施形態の検査装置500において、複数の検査用ユニット511~517が連結する部分を説明するための図である。
図5図5は、実施形態の検査装置500において、複数の検査用ユニット511~517が連結する連結状態について他の例を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態において、回転電機10について検査を行うときの検査装置500の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[A]回転電機10
実施形態の検査装置について説明する前に、検査対象物である回転電機10の一例に関して説明する。
【0010】
図1は、実施形態の検査装置において、検査対象物である回転電機10の一例を模式的に示す図である。
【0011】
図1に示すように、回転電機10は、回転子20および固定子40が回転電機ケーシング60に収容されており、回転子20が固定子40の内部で回転するインナーロータ形である。回転電機10は、たとえば、発電機であって、回転子20の回転によって発電を行うように構成されている。回転電機10は、発電機の他に、電動機として用いることができる。
【0012】
また、本実施形態において、回転電機10は、回転電機ケーシング60の内部において冷却ガスCG(水素、空気などの冷却媒体)が流れることによって、回転子20および固定子40が冷却されるように構成されている。
【0013】
回転電機10を構成する各部について説明する。
【0014】
[A-1]回転子20
回転電機10において、回転子20は、回転軸AXに沿った軸方向が水平方向xに沿うように設置されている。ここでは、回転子20は、円筒形状の回転子鉄心200が回転シャフト201に対して同軸に設けられていると共に、冷却ガスCGが流れる冷却流路が形成されている。
【0015】
回転子20の回転子鉄心200には、回転子スロット(図示省略)が回転子20の周方向に複数形成されており、回転子スロットには、回転子コイル、回転子ウェッジ等の部材が設置されている。回転子スロットに設置された各部材には、冷却ガスCGが流れる通風孔が回転子20の径方向に沿うように形成されている。冷却ガスCGが流れる通風孔は、回転子20の周方向に複数が間を隔てて形成されていると共に、回転子20の軸方向に複数が間を隔てて形成されている。
【0016】
[A-2]固定子40
固定子40は、固定子鉄心41に固定子コイル42が設置されている。固定子鉄心41は、円筒形状であって、回転シャフト201に対して同軸に設けられている。固定子鉄心41は、円筒形状の隙間AG(エアギャップ)を介して、回転子鉄心200の周りを囲うように設置されている。
【0017】
固定子鉄心41の内周側には、回転軸AXの軸方向に貫通する固定子スロットが形成されており、固定子コイル42は、その固定子スロットに挿入され、例えば、固定子ウェッジ(図示省略)によって固定されている。図示を省略しているが、固定子40においても、冷却ガスCGが流れる冷却流路が形成されている。
【0018】
[A-3]回転電機ケーシング60
回転電機ケーシング60は、2重構造であって、内部ケーシング61の外側に外部ケーシング62が設けられている。内部ケーシング61は、回転シャフト201が貫通する貫通孔K61を有しており、回転子20と固定子40とを内部に収容している。外部ケーシング62は、回転シャフト201が貫通する貫通孔K62を有しており、内部ケーシング61を内部に収容している。
【0019】
回転電機ケーシング60において、内部ケーシング61の上方には開口部K611が設けられており、その開口部K611にはガス冷却器80が取り付けられている。また、内部ケーシング61の貫通孔K61の内部には、ファン90が収容されている。
【0020】
ファン90は、軸流ファンであって、回転子20を挟むように回転シャフト201の一方の側部および他方の側部のそれぞれに固定されている。
【0021】
[A-4]回転電機10における冷却ガスCGの流れ
回転電機10においては、回転シャフト201と共にファン90が回転することによって、冷却ガスCGが内部ケーシング61の外部から内部へ流入する。ここでは、回転シャフト201の一方の側部および他方の側部のそれぞれから中央部へ向かうように、冷却ガスCGが流れる。
【0022】
内部ケーシング61の内部において、冷却ガスCGは、回転子20の内部に形成された冷却流路に流入した後に、回転子20の外周面と固定子40の内周面との間に位置する隙間AGに流出する。回転子20では、冷却ガスCGは、軸方向に沿って流れた後に、径方向に沿うように形成された通風孔において内周側から外周側へ流れる。
【0023】
図示を省略しているが、冷却ガスCGは、その後、隙間AGを経由して、固定子40の内部に形成された冷却流路を流れる。固定子40の外部へ排出された冷却ガスCGは、ガス冷却器80を介して、内部ケーシング61の内部から外部へ流れる。このとき、冷却ガスCGは、ガス冷却器80において冷却される。ガス冷却器80で冷却された冷却ガスCGは、外部ケーシング62のうち内部ケーシング61の外部に位置する空間を流れた後に、上述したように、ファン90の回転によって内部ケーシング61の外部から内部へ流入する。
【0024】
このように、回転電機10では、回転電機ケーシング60の内部において冷却ガスCGが循環して流れることで各部が冷却されるように構成されている。
【0025】
[B]検査システム800
上記の回転電機10(図1参照)を検査する際に用いる検査システム800に関して説明する。
【0026】
図2は、実施形態において、回転電機10(図1参照)を検査するための検査システム800を模式的に示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、実施形態の検査システム800は、検査装置500と制御装置600とを備え、検査装置500と制御装置600との間がケーブル700を介して通信可能に構成されている。
【0028】
[B-1]検査装置500
検査装置500は、詳細については後述するが、自走式の検査ロボットであって、回転電機10(図1参照)の検査を実行する際に、回転子20と固定子40との間に介在している隙間AGに挿入され、固定子40に吸着した状態で走行可能に構成されている。
【0029】
[B-2]制御装置600
制御装置600は、検査装置500の動作を遠隔で制御するために設けられている。制御装置600は、演算器(コンピュータ)と記憶装置とを含み、記憶装置が記憶するプログラムを用いて、演算器が検査装置500の動作の制御を実行するように構成されている。
【0030】
ここでは、制御装置600は、例えば、操作者が操作装置(マウス、キーボード等)を用いて入力した操作指令に応じて、検査装置500が回転電機10の検査を実行するように、制御を行う。また、制御装置600は、検査装置500が実行する検査に関する情報や、検査装置500が検査を実行することで得た情報等を、例えば、ディスプレイに表示するように、制御を行う。
【0031】
[C]検査装置500の構成
上記の検査システム800(図2参照)を構成する検査装置500の構成に関して説明する。
【0032】
図3Aおよび図3Bは、実施形態において、検査装置500を示す斜視図である。
【0033】
図3Aは、回転子20と固定子40との間の隙間AGに検査装置500が挿入されたときに、固定子40の側に位置する面側を示している。図3Bは、回転子20と固定子40との間の隙間AGに検査装置500が挿入されたときに、回転子20の側に位置する面側を示している。
【0034】
図3Aおよび図3Bに示すように、検査装置500は、複数の検査用ユニット511~517と連結シャフト520とを備える。
【0035】
[C-1]複数の検査用ユニット511~517
複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、回転電機10(図1参照)を構成する回転子20と固定子40との間の隙間AGにおいて検査を実行するために設けられている。複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、回転子20と固定子40との間の隙間AGに挿入されたときに、回転子20の回転軸AXに沿った軸方向に連結した状態になるように構成されている。
【0036】
複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、回転電機10(図1参照)の検査を行うための機能を有している。
【0037】
具体的には、検査用ユニット511は、先端側撮像ユニットであって、撮像機器611と照明機器612とを検査用機器として備え、検査装置500の先端側を照明機器612が照明し、撮像機器611が撮像するように構成されている(図3A参照)。
【0038】
検査用ユニット512は、ガイドユニットであって、一対のガイド板621を検査用機器として備え、検査装置500の移動方向をガイドするように構成されている。ここでは、一対のガイド板621は、例えば、固定子40(図1参照)において軸方向に沿うように形成された溝(図示省略)に挿入され、検査装置500が軸方向に沿って移動するように導く。また、固定子40に形成された溝の幅に合わせて、一対のガイド板621の間の距離が変動するように構成されている(図3A参照)。
【0039】
検査用ユニット513は、回転子撮像ユニットであって、撮像機器631を検査用機器として備え、撮像機器631を用いて回転子20(図1参照)の撮像を行うように構成されている(図3B参照)。
【0040】
検査用ユニット514は、走行用ユニットであって、クローラ641(無限軌道)と永久磁石642とを含む移動機構を検査用機器として備える。検査用ユニット514は、永久磁石642の磁力によって検査装置500が固定子40(図1参照)に吸着した状態で、検査装置500がクローラ641によって移動するように構成されている。ここでは、検査用ユニット514は、一つの永久磁石642を一対のクローラ641が挟む移動機構を2つ備えており、2つの移動機構の動作によって、検査装置500を任意の位置に移動させることができる。また、検査用ユニット514は、ハンマー643とマイクロフォン644とを検査用機器として備え、ハンマー643で固定子40を叩いたときの音響をマイクロフォン644で検知するように構成されている。この他に、検査用ユニット514は、撮像機器645を検査用機器として備え、撮像機器645を用いて固定子40の撮像を行うように構成されている(図3A参照)。
【0041】
検査用ユニット515は、制御用ユニットであって、検査装置500を構成する各部の動作を制御するための制御盤(図示省略)を検査用機器として含むように構成されている。
【0042】
検査用ユニット516は、検査用ユニット512と同様に、ガイドユニットであって、一対のガイド板661を検査用機器として備え、検査装置500の移動方向をガイドするように構成されている(図3A参照)。
【0043】
検査用ユニット517は、検査装置500と制御装置600(図2参照)との間を接続するためのケーブル700が連結されるインターフェースである。また、検査用ユニット517は、撮像機器671を検査用機器として備え、検査装置500の後端側を撮像機器671が撮像するように構成されている(図3A参照)。
【0044】
図3Cは、実施形態の検査装置500について一部を分解した状態を示す斜視図である。
【0045】
図3Cに示すように、検査用ユニット511~514のそれぞれには、連結穴H510が形成されている。図示を省略しているが、他の検査用ユニット515~517のそれぞれにおいても、連結穴H510が形成されている。複数の検査用ユニット511~517において、連結穴H510は、複数の検査用ユニット511~517が連結状態であるときに連通するように構成されている。
【0046】
本実施形態では、連結穴H510は、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれにおいて、2つ形成されている。2つの連結穴H510は、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれにおいて、両端に設けられている。
【0047】
なお、図示を省略しているが、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれは、互いが電気的に接続可能なコネクタ(プラグ、ジャック等)を有し、制御装置600との間において通信可能に構成されている。
【0048】
[C-2]連結シャフト520
連結シャフト520は、図3Cに示すように、棒状体であって、複数の検査用ユニット511~517の間を連結するために設けられている。
【0049】
ここでは、連結シャフト520は、複数の検査用ユニット511~517に対して、着脱自在である。連結シャフト520は、複数の検査用ユニット511~517を連結状態にするときには、複数の検査用ユニット511~517において連通する連結穴H510に挿入される。これに対して、複数の検査用ユニット511~517の連結状態を解除する際には、連結シャフト520が連結穴H510から取り出される。
【0050】
[C-3]複数の検査用ユニット511~517の連結部分の詳細
複数の検査用ユニット511~517が連結する部分の詳細に関して説明する。
【0051】
図4Aおよび図4Bは、実施形態の検査装置500において、複数の検査用ユニット511~517が連結する部分を説明するための図である。
【0052】
図4Aは、検査装置500のうち、検査用ユニット511~514の連結部分を拡大して示す斜視図である。図4Bは、検査装置500のうち、検査用ユニット511~514の連結部分を拡大して示す平面図である。ここでは、検査用ユニット511~514の連結部分を示しているが、他の検査用ユニット515~517の連結部分も同様である。
【0053】
図4Aおよび図4Bに示すように、検査用ユニット511~514は、それぞれが嵌合することで連結するように構成されている。具体的には、検査用ユニット511に形成されたオス嵌合部511Mと、検査用ユニット512に形成されたメス嵌合部512Fとが嵌合する。また、検査用ユニット512に形成されたオス嵌合部512Mと、検査用ユニット513に形成されたメス嵌合部513Fとが嵌合する。同様に、検査用ユニット513に形成されたオス嵌合部513Mと、検査用ユニット514に形成されたメス嵌合部514Fとが嵌合する。
【0054】
図示を省略しているが、オス嵌合部511M,512M,513Mのそれぞれと、メス嵌合部512F,513F,514Fのそれぞれとの間は、いずれもが嵌合するように構成されている。このため、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれの間は、着脱自在であって、上記の連結状態の他に、さまざまな連結状態になることができる。
【0055】
図5は、実施形態の検査装置500において、複数の検査用ユニット511~517が連結する連結状態について他の例を示す斜視図である。
【0056】
図5に示すように、実施形態の検査装置500では、図3Aの場合と異なり、例えば、検査用ユニット512と検査用ユニット514とが検査用ユニット513を介在せずに連結可能である。このように、本実施形態では、複数の検査用ユニット511~517は、嵌合部分の構成が共通であるので、検査装置500の長さを任意に変更可能である。
【0057】
なお、この場合には、検査装置500の長さに合った長さの連結シャフト520が用いられる。
【0058】
[C-4]検査用ユニット513の詳細構成
複数の検査用ユニット511~517のうち、検査用ユニット513の構成に関して説明する。
【0059】
図6は、実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513を示す斜視図である。
【0060】
図6に示すように、検査用ユニット513は、検査用機器である撮像機器631(図3B参照)の他に、撮像機器631を収容するフレーム630を含む。
【0061】
検査用ユニット513において、フレーム630は、円筒形状の隙間AG(図1参照)に沿った円弧形状である。
【0062】
また、本実施形態では、フレーム630は、少なくとも表面が樹脂を用いて形成されている。例えば、フレーム630は、全体がナイロン12を用いて形成されている。この他に、フレーム630は、例えば、金属材料で形成された基材の表面に、樹脂を被覆することで構成されていてもよい。
【0063】
検査用ユニット513以外の検査用ユニット511,512,514~517に関しても、同様に、円弧形状のフレームを含み、フレームが樹脂を用いて形成されている。
【0064】
[D]検査方法
上記の検査装置500(図3A参照)を用いて回転電機10(図1参照)の検査を行うときの状態について説明する。
【0065】
図7は、実施形態において、回転電機10について検査を行うときの検査装置500の状態を示す図である。図7では、回転電機10(図1参照)において軸方向(x方向)が直交する鉛直面(yz面)を示している。
【0066】
図7に示すように、回転電機10の検査を行うときには、回転子20と固定子40との間に介在している隙間AGに検査装置500を挿入する。ここでは、検査装置500を構成する複数の検査用ユニット511~517(図3A参照)の連結方向が回転電機10の軸方向(図7では、x方向)に沿うように、検査装置500が回転電機10の隙間AGに挿入される。
【0067】
隙間AGに挿入された検査装置500は、永久磁石642の磁力によって固定子40に吸着した状態でクローラ641を用いて走行する。ここでは、永久磁石642と固定子40との間が密着せずに離れた状態になるのに対して、クローラ641と固定子40との間は密着した状態で、検査装置500が走行する。
【0068】
図7では図示を省略しているが、検査装置500は、ガイド板621およびガイド板661(図3A参照)が、固定子40において軸方向に沿うように形成された溝に挿入される。このため、検査装置500は、ガイド板621およびガイド板661(図3A参照)によって軸方向に沿って走行する。検査装置500の移動は、検査装置500に設けられた撮像機器611、撮像機器631、撮像機器645、および、撮像機器671によって撮像された各画像を操作者が観察し、操作者が検査装置500を操作することで実行される(図3A図3B参照)。
【0069】
そして、検査装置500が備える各機能(図3A参照)を用いて、回転電機10の検査が実行される。
【0070】
本実施形態では、撮像機器645が固定子40の内周面を撮像することで得たデジタル動画像をリアルタイムに観察することで、固定子40の状態が検査される。この他に、固定子40において固定子鉄心41に固定子コイル42を固定するための固定子ウェッジ(図示省略)の緩みを点検するために、その固定子ウェッジをハンマー643で叩き、その叩いたときの音響をマイクロフォン644で検知する検査が行われる。
【0071】
また、本実施形態では、撮像機器631が回転子20の外周面を撮像することで得たデジタル動画像をリアルタイムに観察することで、回転子20の状態(通風孔の状態等)が検査される。
【0072】
[E]まとめ
以上のように、本実施形態の検査装置500は、複数の検査用ユニット511~517と連結シャフト520とを備える。複数の検査用ユニット511~517は、回転子20と固定子40との間の隙間AGにおいて回転電機10の検査を実行するために設けられている。連結シャフト520は、複数の検査用ユニット511~517の間を連結するために設けられている。ここでは、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれの間が着脱自在に構成されている。そして、複数の検査用ユニット511~517のそれぞれには、連結状態であるときに連結シャフト520が挿入される連結穴H510が形成されている。
【0073】
このため、本実施形態では、図3Aおよび図5に示したように、検査内容に応じて検査装置500の長さを任意に変更可能であり、回転子20と固定子40との間の隙間AGに検査装置500を挿入する作業を効率的に実行可能である。また、本実施形態では、検査装置500を構成する複数の検査用ユニット511~517の一部に故障が生じた場合、その故障した検査用ユニットを交換することができる。
【0074】
本実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513は、検査用機器である撮像機器631の他に、撮像機器631を収容するフレーム630を含む。フレーム630は、少なくとも表面が樹脂を用いて形成されている。本実施形態では、他の検査用ユニット511,512,514~517のフレームも、検査用ユニット513のフレーム630と同様に、少なくとも表面が樹脂を用いて形成されている。このため、本実施形態では、検査装置500を軽量化することが可能であり、検査対象物に接触した場合であっても検査対象物に傷などの破損が発生することを防止可能である。また、ネジなどの組立部品の数を削減可能であり、ネジなどの組立部品の脱落によるリスクを低減可能である。
【0075】
本実施形態の検査装置500において、検査用ユニット513のフレーム630は、回転子20と固定子40との間の隙間AGの形状に沿った円弧形状である。本実施形態では、他の検査用ユニット511,512,514~517のフレームも、検査用ユニット513のフレーム630と同様に、隙間AGの形状に沿った円弧形状である。このため、本実施形態では、円筒形状の隙間AGに検査装置500を容易に挿入可能であると共に、その隙間AGにおいて検査装置500がスムーズに移動可能である。
【0076】
[F]変形例
当然ながら、上記実施形態の検査装置500は、上述した検査の他に、種々の検査を実行可能に構成されていてもよい。例えば、検査装置500は、固定子40について電磁気式鉄心欠陥検出(EL-CID;ELectromagnetic Core Imperfection Detection)試験を行うための検査用ユニットを更に備えるように構成されていてもよい。
【0077】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0078】
10:回転電機、20:回転子、40:固定子、41:固定子鉄心、42:固定子コイル、60:回転電機ケーシング、61:内部ケーシング、62:外部ケーシング、80:ガス冷却器、90:ファン、200:回転子鉄心、201:回転シャフト、500:検査装置、511:検査用ユニット、511M:オス嵌合部、512:検査用ユニット、512F:メス嵌合部、512M:オス嵌合部、513:検査用ユニット、513F:メス嵌合部、513M:オス嵌合部、514:検査用ユニット、514F:メス嵌合部、515:検査用ユニット、516:検査用ユニット、517:検査用ユニット、520:連結シャフト、600:制御装置、611:撮像機器、612:照明機器、621:ガイド板、630:フレーム、631:撮像機器、641:クローラ、642:永久磁石、643:ハンマー、644:マイクロフォン、645:撮像機器、661:ガイド板、671:撮像機器、700:ケーブル、800:検査システム、AG:隙間、AX:回転軸、CG:冷却ガス、H510:連結穴、K61:貫通孔、K611:開口部、K62:貫通孔
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7