(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052143
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240404BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240404BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B41J29/38
G03G21/00 370
B41J29/38 401
G06F3/12 312
G06F3/12 329
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158651
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭吾
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061HJ01
2C061HJ02
2C061HJ08
2C061HK10
2C061HK11
2C061HK19
2C061HK23
2C061HN08
2C061HN15
2H270KA59
2H270LB01
2H270MD17
2H270MH05
2H270ND22
2H270ND32
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】印刷処理に先立って、準備処理を実行可能な画像形成装置において、無駄な準備処理の実行を抑制することを目的とする。
【解決手段】制御部10は、通信インタフェースを介した通信の通信速度が所定速度以上の場合、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行し、印刷指示に応じて印刷処理を実行する。一方、制御部10は、通信インタフェースを介した通信の通信速度が所定速度未満の場合、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行せず、その後、印刷指示に応じて準備処理と印刷処理とを実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端末からのデータを受信する通信インタフェースと、
シートに画像を形成する画像形成部と、
加熱回転体と、前記加熱回転体を加熱するヒータと、前記加熱回転体との間でシートをニップするニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、前記画像をシートに定着させる定着器と、
前記定着器のいずれかの回転体を回転させるための駆動力を伝達するメインモータと、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
外部端末からの印刷データの受信に先行して、前記外部端末から前記通信インタフェースを介して、先行コマンドを取得する取得処理と、
前記ヒータを用いて前記加熱回転体を加熱することによって、前記加熱回転体の温度を定着温度まで昇温し、前記定着温度を維持する準備処理であって、前記メインモータの駆動を制御して前記回転体を回転させる準備処理と、
前記準備処理の実行後に、前記画像形成部を用いて、前記通信インタフェースを介して受信した印刷データに従って画像をシートに形成し、前記定着器を用いてシートに形成された画像を定着する印刷処理と、
を実行し、
前記制御部は、
前記通信インタフェースを介した通信の通信速度が所定速度以上であれば、前記先行コマンドの取得を契機に前記準備処理を実行し、その後、印刷指示に応じて前記印刷処理を実行し、
前記通信インタフェースを介した通信の前記通信速度が所定速度未満であれば、前記先行コマンドの取得を契機に、前記準備処理を実行せず、その後、前記印刷指示に応じて前記準備処理と前記印刷処理とを実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成部は、感光体ドラムと、前記感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、前記感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写する転写部材と、を有し、
前記メインモータは、前記感光体ドラム及び前記現像ローラに駆動力を伝達可能であり、
前記制御部は、
前記準備処理において、前記メインモータの駆動を制御して前記感光体ドラム及び前記現像ローラを回転させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成部は、光源から出射された光ビームを偏向して、前記感光体ドラムを露光するポリゴンミラーと、前記ポリゴンミラーを回転させる駆動力を供給するポリゴンモータと、を有し、
前記制御部は、
前記準備処理において、前記ポリゴンモータの駆動を制御して前記ポリゴンミラーを回転させる、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通信インタフェースは、USB接続で外部端末に接続するUSBインタフェースと、USB接続以外の接続方式で外部端末に接続するLANインタフェースとを有し、
前記制御部は、
前記外部端末から、前記USBインタフェースを介して前記先行コマンドを受信した場合に、前記通信速度が所定速度以上であるとして、前記先行コマンドの取得を契機に前記準備処理を実行し、その後、前記印刷指示に応じて前記印刷処理を実行し、
前記外部端末から、前記LANインタフェースを介して前記先行コマンドを受信した場合に、前記通信速度が所定速度未満であるとして、前記先行コマンドの取得を契機に前記準備処理を実行せず、その後、前記印刷指示に応じて前記準備処理と前記印刷処理とを実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
外部装置から、前記通信インタフェースを介して前記先行コマンドを取得後、前記印刷データを受信し、前記印刷データから画データを作成してメモリに保存し、
前記メモリに少なくとも1ページ分の画データが保存されたことを前記印刷指示とする、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記通信インタフェースを介した通信の通信速度を測定可能であり、
前記先行コマンドを取得したときの測定結果に応じて、前記通信速度が所定速度以上であると判断すると、前記先行コマンドの取得を契機に前記準備処理を実行し、その後、前記印刷指示に応じて前記印刷処理を実行し、
前記先行コマンドを受信したときの測定結果に応じて、前記通信速度が所定速度未満であると判断すると、前記先行コマンドの取得を契機に前記準備処理を実行せず、その後、前記印刷指示に応じて前記準備処理と前記印刷処理とを実行する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記通信速度が前記所定速度以上であると判断したことによる前記準備処理の実行中に、前記通信速度が前記所定速度未満に変化したことを判断すると、前記準備処理を中断し、
その後、前記印刷指示に応じて前記準備処理と前記印刷処理とを実行する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記通信速度が前記所定速度未満であると判断し、前記先行コマンドの取得を契機に前記準備処理を実行しない場合において、前記印刷指示がなされるまでの間に、前記通信速度が前記所定速度以上になった段階で、前記準備処理を実行し、
その後、前記印刷指示に応じて前記印刷処理を実行する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、シートへの画像の形成が指示されてから1枚目のシートの後端が排出されるまでの時間、いわゆるファーストプリント時間を短縮する技術が知られている。特許文献1には、印刷データの受信に先行して、取得された先行コマンドをトリガーとして準備処理を開始することで、ファーストプリント時間を短縮する画像形成装置が記載されている。ここで、準備処理は、定着器の回転体をモータからの駆動力により回転させると共に加熱ローラを所定温度まで昇温する処理である。特許文献1に記載された画像形成装置は、先行コマンドから定着器の回転体の回転速度を決定するための情報を取得し、取得した情報に基づいて定着器の回転体の回転速度を決定し、定着器の回転体を回転させることで準備処理を実行している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置が、先行コマンドを取得したことを契機に一律に準備処理を実行すると、準備処理が完了した後、例えば、外部端末から送信される印刷データの受信に時間がかかることによって印刷指示が準備処理から所定時間以上遅れる場合、定着器の回転体の回転を停止させると共に、加熱ローラの昇温の維持を停止させる場合がある。その場合、画像形成装置は、印刷処理の実行条件を満たした段階で、再度、準備処理を実行することになるため、準備処理を無駄に実行する場合があるという問題があった。例えば、先行コマンドを取得してから、印刷処理を実行するまでの時間が長い場合、不必要に定着器の回転体を回転させたり、ヒータの昇温を継続させるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、画像の形成に先立って準備処理を実行可能な画像形成装置において、無駄な準備処理の実行を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本実施形態で開示された画像形成装置では、外部端末からのデータを受信する通信インタフェースと、シートに画像を形成する画像形成部と、加熱回転体と、加熱回転体を加熱するヒータと、加熱回転体との間でシートをニップするニップ部を形成する加圧回転体と、を有し、画像をシートに定着させる定着器と、定着器のいずれかの回転体を回転させるための駆動力を伝達するメインモータと、制御部と、を備えている。制御部は、外部端末からの印刷データの受信に先行して、外部端末から通信インタフェースを介して、先行コマンドを取得する取得処理と、ヒータを用いて加熱回転体を加熱することによって、加熱回転体の温度を定着温度まで昇温し、定着温度を維持する準備処理であって、メインモータの駆動を制御して回転体を回転させる準備処理と、準備処理の実行後に、画像形成部を用いて、通信インタフェースを介して受信した印刷データに従って画像をシートに形成し、定着器を用いてシートに形成された画像を定着する印刷処理と、を実行する。制御部は、通信インタフェースを介した通信の通信速度が所定速度以上であれば、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行し、その後、印刷指示に応じて印刷処理を実行し、通信インタフェースを介した通信の通信速度が所定速度未満であれば、先行コマンドの取得を契機に、準備処理を実行せず、その後、印刷指示に応じて準備処理と前記印刷処理とを実行する。
【0007】
通信インタフェースを介した通信の通信速度が所定速度未満の場合、画像形成装置が、先行コマンドの取得に応じて準備処理の実行を開始すると、印刷データを受信完了する時間が長くなることで、印刷データの受信完了前に準備処理が完了すると、再度、準備処理を実行する場合がある。そのため、制御部は、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行せず、その後、印刷指示に応じて準備処理と印刷処理とを実行することで、無駄な準備処理により、加圧回転体又は加熱回転体を回転させるのを抑制させることができる。
【0008】
画像形成部は、感光体ドラムと、感光体ドラムにトナーを供給する現像ローラと、感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写する転写部材と、を有し、メインモータは、感光体ドラム及び現像ローラに駆動力を伝達可能である。制御部は、準備処理において、メインモータの駆動を制御して感光体ドラム及び現像ローラを回転させる。上記構成では、無駄な準備処理を実行することによる感光体ドラムと現像ローラの回転による摩耗等による消耗を減らすことができる。
【0009】
画像形成部は、光源から出射された光ビームを偏向して、感光体ドラムを露光するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを回転させる駆動力を供給するポリゴンモータと、を有している。制御部は、準備処理において、ポリゴンモータの駆動を制御してポリゴンミラーを回転させる。上記構成では、無駄な準備処理を実行することによるメインモータ及びポリゴンモータの回転に伴う消費電力の増加を抑制することができる。
【0010】
通信インタフェースは、USB接続で外部端末に接続するUSBインタフェースと、USB接続以外の接続方式で外部端末に接続するLANインタフェースとを有している。制御部は、外部端末から、USBインタフェースを介して先行コマンドを受信した場合に、通信速度が所定速度以上であるとして、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行し、その後、印刷指示に応じて印刷処理を実行し、外部端末から、LANインタフェースを介して先行コマンドを受信した場合に、通信速度が所定速度未満であるとして、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行せず、その後、印刷指示に応じて準備処理と印刷処理とを実行する。
【0011】
制御部は、外部装置から、通信インタフェースを介して先行コマンドを取得後、印刷データを受信し、印刷データから画データを作成してメモリに保存し、メモリに少なくとも1ページ分の画データが保存されたことを印刷指示とする。上記構成では、通信インタフェースを介した通信速度が所定速度未満である場合でも、メモリに少なくとも1ページ分の画像データが保存されたことを契機に、準備処理が開始されるため、印刷に要する時間が長くなることを抑制することができる。
【0012】
制御部は、通信インタフェースを介した通信の通信速度を測定可能であり、先行コマンドを取得したときの測定結果に応じて、通信速度が所定速度以上であると判断すると、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行し、その後、印刷指示に応じて印刷処理を実行し、先行コマンドを受信したときの測定結果に応じて、通信速度が所定速度未満であると判断すると、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行せず、その後、印刷指示に応じて準備処理と印刷処理とを実行する。上記構成では、先行コマンドを取得したときの実際の通信速度から、準備動作の開始タイミングを定めることができる。
【0013】
制御部は、通信速度が前記所定速度以上であると判断したことによる準備処理の実行中に、通信速度が所定速度未満に変化したことを判断すると、準備処理を中断し、その後、印刷指示に応じて準備処理と印刷処理とを実行する。上記構成では、準備処理の実行中に通信速度が低下する場面でも、準備処理を中止させることで、無駄な準備処理の実行を抑制することができる。
【0014】
制御部は、通信速度が所定速度未満であると判断し、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行しない場合において、印刷指示がなされるまでの間に、通信速度が所定速度以上になった段階で、準備処理を実行し、その後、印刷指示に応じて印刷処理を実行する。上記構成では、印刷指示がなされるまでの間に通信速度が改善した場合に、印刷指示に先行して準備処理を実行することで、印刷に要する時間が長くなることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、準備処理を実行可能な画像形成装置において、無駄な準備処理の実行を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】PCとプリンタとが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図4】準備処理と、シートへの画像形成処理との関係を説明するタイミングチャートである。
【
図5】準備処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図6】RIP処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図7】準備処理と、シートへの画像の形成との関係を説明するタイミングチャートである。
【
図8】第2実施形態において、プリンタが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図9】第3実施形態において、プリンタが実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図10】第2準備処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態の構成)
以下、本実施形態に係る画像形成システムについて図面を参照して説明する。
図1に示す、画像形成システム100は、画像形成装置の一例であるプリンタ80と、外部端末の一例であるPC90と、を含んでいる。プリンタ80とPC90とは、通信可能に接続されている。なお、
図1では、1台のPC90を含む画像形成システム100を例示しているが、これに限定されない。画像形成システム100は、2台以上の外部端末を含んでいてもよく、この場合において、外部端末は、スマートフォンやタブレットなど、PC以外の装置であってもよい。
【0018】
PC90は、不図示のCPU、メモリ、ディスプレイ等を備える。PC90のメモリは、プリンタドライバプログラム91を格納している。PC90のCPUは、プリンタドライバプログラム91を利用して、印刷データを生成することができる。以下では、プリンタドライバプログラムを、プリンタドライバ91とも記載する。この例では、PC90のメモリに格納されているプリンタドライバ91は、プリンタ80のベンダと同じベンダから提供されたプログラムである。
【0019】
プリンタ80は、モノクロプリンタであり、
図1,
図2に示すように、制御部10と、操作パネル11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、NVRAM14と、USBIF15と、LAN(Local Area Network)IF16と、画像形成部17と、メインモータ20と、定着器21と、給紙部70とを備えている。
【0020】
制御部10は、ASIC(Application Specification Integrated Circuit)であり、不図示のCPUや、モータドライバを有し、プリンタ80の駆動を制御する。ROM12には、プリンタ80の各部を制御するための各種プログラム及び各種パラメータが保存されている。制御部10のCPUは、ROM12に保存されたプログラムや、パラメータを、RAM13に展開して実行することで、プリンタ80の各部を制御することが可能である。
【0021】
RAM13には、後述するRIP処理により生成される画データを一時的に記憶するための領域であるページメモリ51や、作業領域であるバッファ50を有している。また、制御部10は、ROM12に記憶されたプログラムを実行することで、画データ管理部52としても機能する。画データ管理部52は、ページメモリ51に1ページ分の画データが記録された場合に、1ページ分の画データに対応する印刷キューを登録する。
【0022】
操作パネル11は、プリンタ80を操作するユーザと、制御部10との間に介在するインタフェースであり、例えば、タッチパネル部や、操作ボタンを有している。
【0023】
USBIF15とLANIF16とは、PC90と、プリンタ80とを接続し、通信を行わせるためのインタフェースとして機能する。USBIF15は、USB形式の有線ケーブルにより、PC90とプリンタ80とを接続する。LANIF16は、USB以外の接続形式により、PC90とプリンタ80とを接続する。LANIF16は、プリンタ80との間で、Wifi(登録商標)等の無線LAN通信、又は近距離無線通信を行うことが可能なインタフェースである。これ以外にも、LANIF16は、プリンタ80との間で、イーサネット等の有線LAN通信を行うことが可能なインタフェースであってもよい。
【0024】
メインモータ20は、不図示の動力伝達機構を介して、画像形成部17、定着器21、及び給紙部70に動力を供給する。メインモータ20は、例えば、DCモータであり、制御部10のモータドライバにより、駆動が制御される。
【0025】
給紙部70は、供給トレイ71と、ピックアップローラ72と、シート押圧板73と、搬送ローラ74と、レジストレーションローラ75と、を備えており、供給トレイ71に載置されたシートMを、画像形成部17に向けて搬送させる。ピックアップローラ72は、電磁クラッチ22を介してメインモータ20に接続されている。電磁クラッチ22は、制御部10による切換えにより、メインモータ20からの動力をピックアップローラ72に供給する状態と、動力を供給しない状態とに変化する。
【0026】
シートMが送り出される給紙動作では、供給トレイ71に載置されたシートMは、シート押圧板73によってピックアップローラ72側に寄せられ、ピックアップローラ72の回転に伴い搬送ローラ74に給送される。搬送ローラ74は、シートMを、レジストレーションローラ75に向けて搬送する。レジストレーションローラ75は、シートMの先端の位置を揃える。シートMは、レジストレーションローラ75等のローラにより、画像形成部17に向けて搬送される。
【0027】
画像形成部17は、シートMに対して画像を形成する。画像形成部17は、レーザユニット18と、ドラムカートリッジ19と、を備えている。本実施形態では、プリンタ80は、モノクロプリンタであるため、画像形成部17は、ブラックに対応するドラムカートリッジ19のみを有している。
【0028】
レーザユニット18は、ポリゴンモータ30、ポリゴンミラー31、レーザ発光部32、反射ミラー42を有している。ポリゴンミラー31は正六角柱の側面を6つの反射面とする回転多面鏡である。ポリゴンミラー31は、ポリゴンモータ30によって回転し、レーザ発光部32から出射された光ビームを感光体ドラム35に向かう方向へ偏向する。ポリゴンモータ30は、例えば、DCモータであり、制御部10が備える不図示のモータドライバにより回転が制御される。ポリゴンミラー31によって偏向された光ビームは、反射ミラー42を介して、後述する感光体ドラム35の表面を走査する。
【0029】
ドラムカートリッジ19は、帯電器33、転写ローラ34、感光体ドラム35、現像ローラ36、トナー容器37を有している。帯電器33は、例えば、帯電ワイヤ及びグリッド部を有するスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム35の表面を一様に帯電する。転写ローラ34は、感光体ドラム35との間でシートMを挟むローラである。トナー容器37には、ブラックのトナーが載置されている。現像ローラ36は、回転によりトナー容器37に載置されたトナーを感光体ドラム35の表面に供給する。感光体ドラム35と現像ローラ36とは、メインモータ20に接続されており、メインモータ20からの動力の供給により、回転する。
【0030】
帯電器33によって帯電された感光体ドラム35には、レーザユニット18からの光ビームが出射され、画データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ36は、トナー容器37内のトナーを静電潜像が形成された感光体ドラム35に供給する。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム35上に現像剤像が形成される。その後、シートMが、感光体ドラム35と転写ローラ34との間である転写位置に搬送されることで、感光体ドラム35上に形成された現像剤像がシートMに転写される。
【0031】
現像剤像が転写されたシートMは、感光体ドラム35、転写ローラ34、更には不図示の転写ベルトによって、定着器21に搬送される。定着器21は、加圧ローラ38、加熱ローラ39、ヒータ40及び温度センサ41を有しており、シートMに形成された現像剤像を熱定着させる。加圧ローラ38は、メインモータ20からの動力により回転し、加熱ローラ39との間で、シートMを挟むニップ部を形成する。加熱ローラ39の内部には、加熱ローラ39の温度を上昇させるためのヒータ40が配置されており、加熱ローラ39の温度を定着温度まで上昇させることができる。ヒータ40は、例えばハロゲンランプである。
【0032】
なお、本実施形態では、定着器21は、加圧ローラ38がメインモータ20により回転され、加熱ローラ39が加圧ローラ38に対して従動回転する構成である。これに限らず、定着器21は、加熱ローラ39がメインモータ20により回転され、加圧ローラ38が加熱ローラ39に対して従動回転する構成であってもよい。
【0033】
定着器21によって現像剤像が熱定着されたシートMは、搬送ローラ76及び排出ローラ77によって排出トレイに排出される。
【0034】
次に、PC90により、印刷データを生成する処理の手順を、
図3を用いて説明する。
図3(a)で示す処理は、PC90のプリンタドライバ91により実行される処理である。この例では、PC90のプリンタドライバ91は、プリンタ80のベンダにより提供されたプログラムである。
【0035】
ステップ(以下、ステップを「S」とも記載する。)10では、PC90のプリンタドライバ91は、印刷実行ボタンが操作されると(S10:YES)、S11に進み、先行コマンドを生成する。先行コマンドは、印刷データのプリンタ80への送信に先立って、プリンタ80に送信されるコマンドである。本実施形態では、先行コマンドには、オプション情報を含んでいる。オプション情報は、シートサイズを指定するシートサイズ指定情報、シートタイプを指定するシートタイプ指定情報、及び、印刷モード(モノクロ、カラー)を指定する印刷モード指定情報を含んだ情報である。
【0036】
例えば、プリンタ80とPC90とが、LANIF16により接続されている場合、オプション情報はプリンタジョブ言語(PJL:Printer Job Language)により記述されるとよい。一方、プリンタ80とPC90とが、USBIFに15により接続されている場合、オプション情報はUSBコントロール転送形式のコマンドで記述されるとよい。
【0037】
S12では、PC90は、S11で生成された先行コマンドを、プリンタ80に送信する。上述のように、プリンタ80は、USBIF15又はLAN1F16のいずれかにより、PC90に接続されており、プリンタ80の制御部10は、いずれかのIF15,16を介して先行コマンドを受信する。
【0038】
S13では、PC90は、プリンタドライバ91を用いて印刷データを生成する。印刷データは、印刷ジョブとも呼ばれ、ヘッダ情報と、ボディと、フッタ情報とを有する。ヘッダ情報には、印刷データを送信したPC90のIPアドレス、印刷データの作成者名、印刷データの名称、印刷設定情報などが含まれている。ボディは、画像形成処理の対象の文字やイメージデータなどをプリンタ80が解釈可能な言語に変換した部分である。フッタ情報には、ページ番号、作成日、作成者名などのページ情報が含まれている。
【0039】
S14では、PC90は、S13で生成された印刷データを、プリンタ80に向けて送信する。なお、プリンタドライバ91が、プリンタ80のベンダと異なるベンダから提供されているプログラムである場合や、ユニバーサルドライバである場合は、印刷実行ボタンが操作された場合に(S10:YES)、先行コマンドを生成することなく、S13に進み、PC90は、印刷データの生成を開始する。
【0040】
次に、プリンタ80の制御部10が、実行する印刷処理の手順を、
図3(b)を用いて説明する。S20では、制御部10は、先行コマンドを受信しているか否かを判断する。制御部10は、先行コマンドを受信していなければ(S20:NO)、待機する。
【0041】
制御部10は、PC90から先行コマンドを受信してれば(S20:YES)、S21に進み、USBIF15を介して先行コマンドを受信しているか否かを判断する。制御部10は、USBIF15を介して先行コマンドを受信してれば(S21:YES)、S22に進み、準備処理を開始する。準備処理は、シートMへの画像形成処理に先行して、加圧ローラ38の回転や、ヒータ40による加熱ローラ39を昇温する処理である。
【0042】
図4は、PC90により先行コマンドが生成されてから、プリンタ80により画像形成処理が実行されるまでの時間の推移を示している。USBIF15は、LANIF16よりも通信速度のばらつきが小さいため、PC90とプリンタ80との間の通信の通信速度が遅くなることはない。そのため、PC90により印刷データが送信されてから、プリンタ80が印刷データを受信完了するまでの時間T1が長くならず、プリンタ80が時刻t1で先行コマンドを受信完了したことを契機に準備処理を開始しても、その後、時刻t2で、シートMに画像形成処理を開始できるようになる。
【0043】
図5は、制御部10が、S22での準備処理の開始を契機に実行する準備処理の手順を説明するフローチャートである。まず、S30では、制御部10は、ヒータ40の設定温度を定着温度に設定する。定着温度は、加熱ローラ39が、シートMに形成された画像を熱定着させるのに必要となる温度であって、例えば、190℃である。
【0044】
S31では、制御部10は、ヒータ40をオンすることで、加熱ローラ39の昇温を開始する。S32では、制御部10は、メインモータ20の駆動を開始させることで、加圧ローラ38を回転させる。
図2に示したように、メインモータ20は、加圧ローラ38に加えて、感光体ドラム35及び現像ローラ36にも駆動力を供給するため、S32でのメインモータ20の駆動により、感光体ドラム35、及び現像ローラ36も回転する。
【0045】
なお、S32での感光体ドラム35、現像ローラ36、加圧ローラ38の回転速度は、所定回転速度に設定すればよい。この場合において、回転速度は、第1の速度と、この第1の速度よりも遅い第2の速度の何れかに設定するものであってもよい。例えば、第1の速度が全速である場合、第2の速度は、全速の75%の速度でもよいし、全速の25%の速度でもよい。
【0046】
S33では、制御部10は、ポリゴンモータ30を駆動させて、ポリゴンミラー31を回転させる。S34では、制御部10は、温度センサ41の検出結果により、加熱ローラ39の温度が定着温度に達したか否かを判断する。制御部10は、加熱ローラ39の温度が定着温度に達していなければ(S34:NO)、待機する。一方、制御部10は、加熱ローラ39の温度が定着温度に達していれば(S34:YES)、
図5に示す処理を終了する。
【0047】
図3(b)に戻り、S23では、1ページ分の画データに対応する印刷キューが登録されているか否かを判断する。制御部10は、
図3で示す処理と平行して、PC90から印刷データを受信する場合に、
図6の処理を実行する。
図6のS40で、制御部10は、PC90から印刷データを受信しているか否かを判断する。制御部10は、印刷データを受信していれば(S40:YES)、S41に進み、RIP処理を開始する。RIP処理は、RAM13に記憶された印刷データを解釈することによって、シートMに画像を形成させるための画データを生成する処理である。制御部10は、RIP処理において、RAM13に記憶されている印刷データを解析して、1ページ分の画データを生成し、ページメモリ51に記憶していく。
【0048】
S42では、制御部10は、S41で実行されたRIP処理により、1ページ分の画データの生成が完了していれば(S42:YES)、S43に進み、1ページ分の画データに対応する印刷キューを登録する。S44では、制御部10は、S41で開始されたRIP処理が終了したか否かを判断する。印刷データが1ページに対応する場合は、制御部10は、制御部10は、1ページ分の画データに対応する印刷キューの登録により、RIP処理の終了を判断する。一方、印刷データが複数ページに対応する場合は、制御部10は、印刷データから解析された全てのページの画データに対して、印刷キューが登録されていなければ、S42に戻り、1ページ分の画像データの生成の判断(S42)と、生成された1ページ分の画データに対応する印刷キューの登録(S43)とを繰り返す。制御部10は、RIP処理が完了したと判断すると(S64:YES)、
図6に示す処理を終了する。
【0049】
図3(b)に戻り、制御部10は、
図6のS43の処理により、印刷キューが登録されていれば(S23:YES)、S26に進み、S22の処理により開始された準備処理が完了したか否かを判断する。本実施形態では、制御部10は、温度センサ41により検出された加熱ローラ39の温度が、定着温度まで達していれば、準備処理が完了している。
【0050】
S27では、制御部10は、印刷キューを参照して、ページメモリ51に記憶された画データを用いてシートMへの画像形成処理を開始する。シートMへの画像形成処理では、画データを用いて、感光体ドラム35に潜像が形成され、現像ローラ36により供給されるトナーにより、感光体ドラム35にトナー像が形成される。そして、感光体ドラム35と、転写ローラ34との間の転写位置を通過するシートMに対して、画像が形成されていく。その後、加圧ローラ38と加熱ローラ39との間のニップ部により、シートMが加熱把持され、シートMに形成された画像が熱定着される。なお、制御部10は、シートMへの画像形成処理を終了する場合、メインモータ20及びポリゴンモータ30の駆動を停止させる。
【0051】
一方、S21において、制御部10は、LANIF16を介して、先行コマンドを受信している場合(S21:NO)、S24に進み、印刷キューが登録されているか否かを判断する。この場合、PC90とプリンタ80との間の通信の通信速度にバラツキがあり、PC90から印刷データが送信された後、プリンタ80が印刷データを受信完了する時間が長い場合も想定されるため、先行コマンドの受信を契機に、準備処理を実行しない。
【0052】
図7(a)は、比較例として、PC90により先行コマンドが生成されてから、プリンタ80により画像形成処理が実行されるまでの時間の推移を示している。
図7(b)は、本実施形態における、PC90により先行コマンドが生成されてから、プリンタ80により画像形成処理が実行されるまでの時間の推移を示している。
図7(a)に示すように、PC90により印刷データが送信されてから、プリンタ80が印刷データを受信完了するまでの時間T1が長い場合、プリンタ80が時刻t4で先行コマンドを受信完了したことを契機に準備処理を開始すると、時刻t6でシートMへの画像形成処理を開始できるようになるまで準備処理を終了できなくなる。例えば、
図7(a)の例では、時刻t5で、タイムアウトエラーが生じ、準備処理が中断されている。そのため、制御部10は、シートMへの画像形成処理が可能になった時刻t6の後、再び、準備処理を実行した後、画像形成処理を実行することとなる。
【0053】
本実施形態では、
図7(b)に示すように、PC90により印刷データが送信されてから、プリンタ80が印刷データを受信完了するまでの時間T1が長いと想定される場合は、プリンタ80は、時刻t4での先行コマンドの受信完了を契機に準備処理を実行せず、時刻t6でシートMへの画像形成処理が可能になったことを契機に、準備処理を開始する。
【0054】
図3(b)に戻り、S24では、制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されているか否かを判断する。制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されていなければ(S24:NO)、待機する。制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されていれば(S24:YES)、S25に進み、準備処理を開始する。即ち、制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されることで、シートMへの画像形成処理が可能となったことを契機に準備処理を開始する。なお、S25での処理に応じて、実行される準備処理は、
図5を用いて説明される処理と同様の処理であるため、説明を省略する。S26では、制御部10は、準備処理が完了したと判断すると(S26:YES)、S27に進み、シートMへの画像形成処理を実行する。本実施形態では、制御部10がS27及びS28の処理により、画像形成部17及び定着器21により実行される処理が印刷処理の一例である。
【0055】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。制御部10は、USBIF15を介して先行コマンドを取得した場合に、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行する。一方、制御部10は、LANIF16を介して先行コマンドを取得した場合に、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行せず、その後、1ページ分の印刷キューが登録されたことに応じて準備処理と印刷処理とを実行する。これにより、無駄な準備処理により、加圧ローラ38を回転させるのを抑制させることができる。
【0056】
制御部10は、準備処理において、メインモータ20の駆動を制御して感光体ドラム35及び現像ローラ36を回転させる。これにより、無駄な準備処理を実行することによる感光体ドラム35と現像ローラ36の回転に伴う摩耗等による消耗を減らすことができる。
【0057】
制御部10は、準備処理において、ポリゴンモータ30の駆動を制御してポリゴンミラー31を回転させる。上記構成では、無駄な準備処を実行することによるメインモータ20及びポリゴンモータ30の回転に伴う消費電力の増加を抑制することができる。
【0058】
制御部10は、PC90から、先行コマンドを取得後、印刷データを受信し、印刷データから画データを作成してページメモリ51に保存し、ページメモリ51に少なくとも1ページ分の画データが保存されたことによる印刷キューの登録を印刷指示とする。これにより、1ページ分の画データが印刷キューに登録されたことを契機に準備処理を実行するため、印刷に要する時間が長くなることを抑制することができる。
【0059】
(第1実施形態の変形例)
本実施形態では、定着器21は、加熱ローラ39と、加圧ローラ38と、ヒータ40とを有する構成であって、加圧ローラ38がメインモータ20によって回転するが、これに限定されない。例えば、定着器21は、ヒータと、ヒータからの輻射熱を受けるニップ板と、ニップ板の周りを回転する加熱ベルトと、加圧ローラとを有する構成であって、メインモータによって加熱ベルトが回転してもよい。
【0060】
また、定着器21は、発熱パターンが形成された基板と、基板の周りを回転するベルトと、加圧ローラとを有し、基板及びベルトが接触する構成であって、ベルトをメインモータ20によって回転してもよい。
【0061】
また、定着器21は、加熱ローラと、ヒータと、加圧ベルトとを有する構成であって、加圧ベルトをメインモータ20によって回転してもよい。
【0062】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施形態では、プリンタ80の制御部10は、LANIF16により先行コマンドを受信した場合に通信速度を測定し、測定された通信速度に応じて、準備処理の開始タイミングを変更する。
【0063】
図8は、第2実施形態において、制御部10が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。制御部10は、PC90から先行コマンドを受信していれば(S20:YES)、S21に進み、USBIF15を介して先行コマンドを受信しているか否かを判断する。制御部10は、USBIF15を介して先行コマンドを受信していれば(S21:YES)、第1実施形態で説明したのと同様、準備処理を開始(S22)した後、1ページ分の印刷キューが登録されたことに応じて、画像形成処理を実行する(S27)。
【0064】
一方、制御部10は、LANIF16を介して先行コマンドを受信していれば(S21:NO)、S50に進み、LANIF16を介した通信の通信速度を測定する。例えば、制御部10は、先行コマンドの受信を完了するのに要した時間から、通信の通信速度を測定する。これ以外にも、制御部10かは、PC90に測定用コマンドを送信し、この測定用コマンドに対するPC90からのレスポンスが返信されるのに要した時間から、通信速度を測定するものであってもよい。
【0065】
S51では、制御部10は、S50で計測された通信速度が所定速度以上であるか否かを判断する。所定速度は、例えば、PC90からプリンタ80への印刷データの受信が完了するまでにタイムアウトエラーが生じると想定される通信速度の下限値である。制御部10は、通信速度が所定速度以上であると判断すると(S51:YES)、S22に進み、準備処理を開始する。この場合は、通信速度のばらつきが小さく、PC90からプリンタ80への印刷データの受信完了までの時間が長くはならいと判断できるため、準備処理を実行する。
【0066】
一方、制御部10は、通信速度が所定速度未満であると判断すると(S51:NO)、S24に進み、1ページ分の印刷キューが登録されているか否かを判断する。制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されていなければ(S24:NO)、S50に進み、通信速度を測定する。制御部10は、通信速度が所定速度以上に変化していれば(S51:YES)、S22に進み、準備処理を開始する。制御部10は、通信速度が所定速度未満であれば(S51:NO)、S24に進む。第1実施形態で説明したのと同様、制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されたのを契機に(S24:YES)、S25に進み、準備処理を開始する。
【0067】
以上説明した本実施形態では、制御部10は、先行コマンドを取得したときの通信速度の測定結果が、所定速度未満であると判断すると、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行せず、その後、1ページ分の印刷キューが登録されたことに応じて準備処理と、シートMへの画像形成処理を実行する。これにより、先行コマンドを取得したときの実際の通信速度から、準備処理の開始タイミングを定めることができる。
【0068】
制御部10は、通信速度が所定速度未満であると判断し、先行コマンドの取得を契機に準備処理を実行しない場合において、1ページ分の印刷キューが登録されるまでの間に、通信速度が所定速度以上になった段階で、準備処理を実行し、その後、1ページ分の印刷キューの登録に応じてシートMに画像を形成する。これにより、先行コマンドを取得後、印刷キューが登録されるまでの間に通信速度が改善した場合に、準備処理を実行することで、印刷に要する時間が長くなることを抑制することができる。
【0069】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第3実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。本実施形態では、プリンタ80の制御部10は、準備処理の実行中に通信速度が所定速度未満となった場合に、準備処理を中断する構成が第1実施形態と異なる。
【0070】
図9は、第3実施形態において、制御部10が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。制御部10は、PC90から先行コマンドを受信していれば(S20:YES)、S21に進み、USBIF15を介して先行コマンドを受信しているか否かを判断する。制御部10は、USBIF15を介して先行コマンドを受信していれば(S21:YES)、S22に進み、第1準備処理を開始する。なお、第1準備処理は、
図5で説明した準備処理と同様であるため説明を省略する。
【0071】
一方、制御部10は、USBIF15を介して先行コマンドを受信していなければ(S21:NO)、S60に進み、LANIF16を介した通信の通信速度を測定する。S60での通信速度の測定は、S50での通信速度の測定と同様である。S61では、制御部10は、S60で計測された通信速度が所定速度以上であるか否かを判断する。制御部10は、通信速度が所定速度以上であると判断すると(S61:YES)、S62に進み、第2準備処理を開始する。
【0072】
図10は、S62の処理により実行される第2準備処理の手順を説明するフローチャートである。S30では、制御部10は、ヒータ40の設定温度を定着温度に設定する。S31では、制御部10は、ヒータ40をオンすることで、加熱ローラ39の昇温を開始する。S32では、制御部10は、メインモータ20の駆動を開始させる。S33では、制御部10は、ポリゴンモータ30を駆動させて、ポリゴンミラー31を回転させる。
【0073】
S34では、制御部10は、温度センサ41の検出結果により、加熱ローラ39の温度が定着温度に達したか否かを判断する。制御部10は、加熱ローラ39の温度が定着温度に達していなければ(S34:NO)、S70に進み、LANIF16を介した通信の通信速度を測定する。S70で実行される通信速度の測定は、S50で実行される通信速度の測定と同様である。
【0074】
S71で、制御部10は、通信速度が所定速度以上であれば(S71:NO)、S34に戻り、加熱ローラ39の温度が定着温度に達したか否かを判断する。ここでは、加熱ローラ39の温度が定着温度に達しているとして(S34:YES)、制御部10は、第2準備処理を終了する。
【0075】
図9のS23では、制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されているか否かを判断する。制御部10は、RIP処理により、1ページ分の印刷キューが登録されていなければ(S23:NO)、S63に進み、準備処理が中断されているか否かを判断する。準備処理は中断されていないため、S23に戻る。その後、1ページ分の印刷キューが登録されると(S23:YES)、制御部10は、S26に進み、準備処理が完了していれば(S26:YES)、S27で、シートMに対する画像形成処理を実行する。
【0076】
一方、
図10に示す第2準備処理において、S71で、通信速度が所定速度未満であれば、制御部10は、S72に進み、メインモータ20の駆動を停止する。S73では、制御部10は、ポリゴンモータ30の駆動を停止する。S74では、フラグの値を準備処理の中断を示す値に設定する。例えば、S74では、ヒータ40の駆動を停止させて、加熱ローラ39の昇温を停止してもよい。
【0077】
図9のS23では、制御部10は、画データが印刷キューに登録されていなければ(S23:NO)、S63に進み、準備処理を中断しているか否かを判断する。この例では、フラグの値が準備処理の中断を示しているため(S63:YES)、制御部10は、S24に進み、1ページ分の印刷キューが登録されているか否かを判断する。
【0078】
制御部10は、1ページ分の印刷キューが登録されていれば(S24:YES)、S62に進み、S22と同様の第1準備処理を開始する。即ち、制御部10は、第2準備処理を中断しているため、1ページ分の印刷キューが登録した後、改めて第1準備処理を実行する。制御部10は、第1準備処理が完了していることを判断すると(S26:YES)、S27に進み、シートMに対して画像形成処理を実行する。
【0079】
以上説明した本実施形態では、制御部10は、通信速度が所定速度以上であると判断したことによる準備処理の実行中に、通信速度が所定速度未満に変化したことを判断すると、準備処理を中断し、その後、1ページ分の印刷キューの登録に応じて準備処理と、シートMへの画像形成処理とを実行する。これにより、準備処理の実行中に通信速度が低下する場面で、準備処理を中止させることで、無駄な準備処理の実行を抑制することができる。
【0080】
(その他の実施形態)
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上述の実施形態では、印刷指示は、1ページ分の印刷キューが登録されたことであった。これに代えて、PC90から印刷データと共に印刷命令が送信される場合において、PC90から送信された印刷命令を印刷指示としてもよい。
【0081】
プリンタ80は、モノクロプリンタに限らず、カラープリンタであってもよい。この場合において、画像形成部17は、各色に対応する複数のドラムカートリッジ19を有している。
【0082】
画像形成装置は、プリンタに限らず、画像を読み取る読取部や、FAXIFを備える、複合機であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
10…制御部、15…USBIF、16…LANIF、17…画像形成部、18…レーザユニット、19…ドラムカートリッジ、20…メインモータ、21…定着器、30…ポリゴンモータ、34…転写ローラ、35…感光体ドラム、36…現像ローラ、38…加圧ローラ、39…加熱ローラ、40…ヒータ、80…プリンタ、90…PC、91…プリンタドライバ、100…画像形成システム