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特開2024-52151光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052151
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240404BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240404BHJP
   G02B 7/04 20210101ALI20240404BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20240404BHJP
   H04N 23/57 20230101ALI20240404BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G02B7/04 E
H04N5/225 100
H04N5/225 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158667
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠田 洋平
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2H044BE09
2H044BE17
2K005CA02
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA45
2K005CA53
5C122DA14
5C122EA41
5C122EA56
5C122FA18
5C122FD01
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA75
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】給電及び制御信号の供給を行うための配線構造を簡易化することができる光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供する。
【解決手段】光学素子駆動装置は、ベースと、光学素子を取り付け可能な第1ホルダーと、第1ホルダーの外側に離間して配置される第2ホルダーと、第1ホルダー又は第2ホルダーを移動させる駆動部と、ベースに対して第2ホルダーを支持するサスペンションワイヤーと、第2ホルダーに対する第1ホルダーの位置を検出可能な検出部と、検出部が実装される回路基板と、サスペンションワイヤーに接続される第1上バネ要素及び第2上バネ要素を有する上側弾性支持部と、下側弾性支持部と、第1上バネ要素と下側弾性支持部とを接続する電路部材と、を備える。回路基板は、下側弾性支持部及び電路部材を介して第1上バネ要素と電気的に接続されるとともに、第2上バネ要素と直接接続されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
光学素子を取り付け可能な第1ホルダーと、
前記第1ホルダーの外側に離間して配置される第2ホルダーと、
前記第1ホルダー又は前記第2ホルダーを移動させる駆動部と、
前記ベースに対して前記第2ホルダーを支持するサスペンションワイヤーと、
前記第2ホルダーに対する前記第1ホルダーの位置を検出可能な検出部と、
前記検出部が実装される回路基板と、
前記サスペンションワイヤーに接続される第1上バネ要素及び第2上バネ要素を有し、前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーを光軸方向の受光側で接続する上側弾性支持部と、
前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーを前記光軸方向の結像側で接続する下側弾性支持部と、
前記第2ホルダーに固定され、前記第1上バネ要素と、前記下側弾性支持部とを接続する電路部材と、を備え、
前記回路基板は、前記下側弾性支持部及び前記電路部材を介して前記第1上バネ要素と電気的に接続されるとともに、前記第2上バネ要素と直接接続されている、
光学素子駆動装置。
【請求項2】
前記上側弾性支持部は、前記回路基板と直接接続される第3上バネ要素をさらに有し、
前記駆動部は、前記第3上バネ要素を介して前記回路基板と電気的に接続される、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記第1ホルダーに配置されるコイルと、前記第2ホルダーに配置されるマグネットと、を有し、
前記コイルは、第3上バネ要素を介して前記回路基板と電気的に接続される、
請求項2に記載の光学素子駆動装置。
【請求項4】
前記電路部材は、金属板で構成されており、
前記第2ホルダーは、前記電路部材を固定するための溝部を有する、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項5】
前記光学素子駆動装置は、光軸方向から見た平面視で略矩形形状を有し、
前記回路基板及び前記電路部材は、それぞれ、対向する辺に配置されている、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項6】
前記第1上バネ要素、前記電路部材及び前記下側弾性支持部は、制御信号を供給するための信号ラインとして機能し、
前記第2上バネ要素は、給電のための電源ラインとして機能する、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項7】
請求項1に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項8】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項6に記載のカメラモジュールを備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォンやドローン等のカメラ搭載装置には、小型のカメラモジュールが搭載されている。ドローンとは、遠隔操作又は自動制御により飛行させることができる無人航空機であり、マルチコプターと呼ばれるものもある。
【0003】
カメラモジュールには、レンズ等の光学素子を駆動する光学素子駆動装置が使用される。光学素子駆動装置は、例えば、光学素子(例えば、レンズ)を光軸方向に移動させ、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うオートフォーカス機能(以下、「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)及び撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減する振れ補正機能(以下、「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を有する。
【0004】
AF機能及びOIS機能を有する光学素子駆動装置は、レンズ部を光軸方向に移動させるためのオートフォーカス駆動部(以下、「AF駆動部」と称する)と、レンズ部を光軸方向に直交する光軸直交面内で揺動させるための振れ補正駆動部(以下、「OIS駆動部」と称する)を備える。特許文献1では、AF駆動部及びOIS駆動部に、コイル及びマグネットからなるボイスコイルモーター(VCM)が適用されている。
【0005】
また、特許文献1に記載の光学素子駆動装置では、AF可動部であるレンズホルダーが、AF固定部であるマグネットホルダーに対して、光軸方向受光側に配置される上側弾性支持部材及び光軸方向結像側に配置される下側弾性支持部材を介して接続され、脱落不能に支持されている。上側弾性支持部材は、6つの上バネ要素で構成されており、マグネットホルダーに配置されたAF制御部(制御IC)に、サスペンションワイヤーに接続されている4つの上バネ要素を介して給電及び制御信号の供給が行われている。また、AF制御部からAF用コイルに、残り2つの上バネ要素を介して、給電が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017/138041号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1では、上側弾性支持部材を構成する6つの上バネ要素を電源ライン又は信号ラインとして機能させており、すべての上バネ要素がAF制御部に直接接続される構造となっている。そのため、6つの上バネ要素がAF制御部の近傍で密集するなど、配線構造が複雑である。
【0008】
本発明の目的は、給電及び制御信号の供給を行うための配線構造を簡易化することができる光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学素子駆動装置は、
ベースと、
光学素子を取り付け可能な第1ホルダーと、
前記第1ホルダーの外側に離間して配置される第2ホルダーと、
前記第1ホルダー又は前記第2ホルダーを移動させる駆動部と、
前記ベースに対して前記第2ホルダーを支持するサスペンションワイヤーと、
前記第2ホルダーに対する前記第1ホルダーの位置を検出可能な検出部と、
前記検出部が実装される回路基板と、
前記サスペンションワイヤーに接続される第1上バネ要素及び第2上バネ要素を有し、前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーを光軸方向の受光側で接続する上側弾性支持部と、
前記第1ホルダー及び前記第2ホルダーを前記光軸方向の結像側で接続する下側弾性支持部と、
前記第2ホルダーに固定され、前記第1上バネ要素と、前記下側弾性支持部とを接続する電路部材と、を備え、
前記回路基板は、前記下側弾性支持部及び前記電路部材を介して前記第1上バネ要素と電気的に接続されるとともに、前記第2上バネ要素と直接接続されている。
【0010】
本発明に係るカメラモジュールは、
上記の光学素子駆動装置と、
前記光学素子を用いて被写体像を撮像する撮像部と、を備える。
【0011】
本発明に係るカメラ搭載装置は、
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
上記のカメラモジュールを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光学素子駆動装置における給電及び制御信号の供給を行うための配線構造を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールを搭載するスマートフォンを示す図である。
図2図2は、カメラモジュールの外観斜視図である。
図3図3は、光学素子駆動装置の外観斜視図である。
図4図4は、光学素子駆動装置の分解斜視図である。
図5図5は、OIS可動部(AFユニット)の分解斜視図である。
図6図6は、OIS可動部(AFユニット)の分解斜視図である。
図7図7A図7Bは、上側弾性支持部の構成を示す平面図である。
図8図8A図8Bは、下側弾性支持部の構成を示す底面図である。
図9図9は、OIS可動部(AFユニット)の電気系統を示す斜視図である。
図10図10A図10Bは、車載用カメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置としての自動車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
<スマートフォン>
図1A図1Bは、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。図1AはスマートフォンMの正面図であり、図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0016】
スマートフォンMは、2つの背面カメラOC1、OC2からなるデュアルカメラを有する。本実施の形態では、背面カメラOC1、OC2に、カメラモジュールAが適用されている。
【0017】
<カメラモジュール>
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。
【0018】
カメラモジュールAは、例えば、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X軸方向が上下方向(又は左右方向)、Y軸方向が左右方向(又は上下方向)、Z軸方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z軸方向が光軸方向であり、図中上側(+Z側)が光軸方向受光側、下側(-Z側)が光軸方向結像側である。また、Z軸に直交するX軸方向及びY軸方向を「光軸直交方向」と称し、XY面を「光軸直交面」と称する。なお、光軸方向は、光学素子の種類に応じて、光路方向又は焦点方向(焦点を調整する方向)と言い換えてもよい。
【0019】
カメラモジュールAは、AF機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うことができる。また、カメラモジュールAは、振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を備え、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して、像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0020】
図2に示すように、カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現する光学素子駆動装置1、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2及びレンズ部2により結像された被写体像を撮像する撮像部3等を備える。すなわち、光学素子駆動装置1は、光学素子としてレンズ部2を駆動する、いわゆるレンズ駆動装置である。
【0021】
本実施の形態の光学素子駆動装置1は、上述したカメラモジュールA等へ搭載することを考慮して設計されており、Z軸方向における長さが、X軸方向及びY軸方向における長さより短い構成、すなわち、Z軸方向に沿う高さを低背化した構成である。
【0022】
撮像部3は、光学素子駆動装置1のZ軸方向における結像側に配置される。撮像部3は、例えば、イメージセンサー基板301、イメージセンサー基板301に実装される撮像素子302及びモジュール制御部303を有する。
【0023】
イメージセンサー基板301は、例えば、フレキシブルプリント回路基板(FPC;Flexible printed circuits)であり、撮像素子302で得られた撮像信号をスマートフォンMの制御装置(図示略)に送信可能に構成される。スマートフォンMの制御装置は、受信した撮像信号を処理する画像処理部(図示略)を含む。
【0024】
撮像素子302は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像された被写体像を撮像する。
【0025】
モジュール制御部303は、例えば、制御ICで構成され、光学素子駆動装置1の駆動制御を行う。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板301に搭載され、機械的かつ電気的に接続される。モジュール制御部303は、イメージセンサー基板301に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(本実施の形態では、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0026】
<光学素子駆動装置>
図3は、光学素子駆動装置1の外観斜視図である。図4は、光学素子駆動装置1の分解斜視図である。図5は、光軸方向受光側から見たOIS可動部の分解斜視図である。図6は、光軸方向結像側から見たOIS可動部の分解斜視図である。図3では、カバー24を取り外した状態を示している。図4では、カバー24を省略して示している。
【0027】
図3図6に示すように、光学素子駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、OIS駆動部30、OIS支持部40、及びカバー24等を備える。
【0028】
カバー24は、光学素子駆動装置1の外装体であり、駆動装置本体(符号略)の外側を覆う。カバー24は、Z軸方向から見た平面視で略矩形状の有蓋四角筒体である。カバー24の平面視形状は、例えば、正方形状である。すなわち、光学素子駆動装置1は、Z軸方向から見た平面視において、X軸方向及びY軸方向に拡がる矩形形状を有している。以下の説明において、「平面視」とはZ軸方向から見た平面視のことを意味する。
【0029】
カバー24は、光軸方向受光側の面(上面)に略円形の開口241を有する。レンズ部2(図2参照)は、カバー24の開口241から外部に臨む。レンズ部2は、カバー24の開口面よりもZ軸方向における受光側に突出するように配置されてもよい。カバー24は、例えば、光学素子駆動装置1のベース21に接着により固定される。
【0030】
なお、カバー24は、例えば、磁性材料で形成され、外部からの電磁波の入射又は外部への電磁波の放射を遮断するシールド機能を有していてもよい。
【0031】
OIS可動部10は、振れ補正時に、OIS駆動部30の駆動力を受けて光軸直交面内で揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS可動部10を支持する部分である。OIS固定部20は、例えば、OIS可動部10に対して光軸方向結像側に離間して配置される。
【0032】
OIS駆動部30は、OIS固定部20に配置されるOIS用コイル32A~32Dと、OIS可動部10に配置される駆動用マグネット31A~31D(OIS用マグネット)とで構成される。すなわち、OIS駆動部30には、ムービングマグネット方式のボイスコイルモーターが適用されている。なお、OIS駆動部30は、ムービングコイル方式のボイスコイルモーターで構成されてもよい。
【0033】
OIS支持部40は、OIS可動部10とOIS固定部20を連結する部分である。OIS支持部40は、OIS固定部20に対して、OIS可動部10を光軸直交面内で揺動可能に支持する。
【0034】
光学素子駆動装置1では、適正に振れ補正を行うことができる程度を示す保証ストロークが規定されている。すなわち、OIS可動部10、OIS固定部20、OIS駆動部30及びOIS支持部40は、保証ストロークを実現するように、構成部材の形状、大きさ及び強度等が設定されている。
【0035】
OIS可動部10は、例えば、レンズホルダー11、マグネットホルダー12、AF用コイル13、駆動用マグネット31A~31D、上側弾性支持部15、下側弾性支持部16、及び回路基板部50を含むAFユニットで構成される。
【0036】
レンズホルダー11は、レンズ部2(図2参照)を保持し、ピント合わせ時にZ軸方向に移動する可動体である。レンズホルダー11は、マグネットホルダー12に対して径方向における内側に離間して配置され、上側弾性支持部15及び下側弾性支持部16によって、マグネットホルダー12と接続される。
【0037】
レンズホルダー11は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ、液晶ポリマー等で形成される。
【0038】
レンズホルダー11は、筒状のレンズ収容部111を有する。レンズ収容部111の内周面には、レンズ部2(図2参照)が、例えば、接着により固定される。また、レンズホルダー11の外周面には、AF用コイル13が取り付けられる。
【0039】
レンズホルダー11は、上面(レンズ収容部111の上端面)に、上側弾性支持部15が固定される上バネ固定部112を有する。上バネ固定部112には、例えば、光軸方向受光側に突出する位置決めボス(符号略)が設けられ、この位置決めボスによって、上側弾性支持部15が位置決めされるようになっている。また、レンズホルダー11は、上面に、AF用コイル13の端部が接続される絡げ部114を有する。
【0040】
レンズホルダー11は、下面に、下側弾性支持部16が固定される下バネ固定部113を有する。下バネ固定部113には、例えば、光軸方向結像側に突出する位置決めボス(符号略)が設けられ、この位置決めボスによって、下側弾性支持部16が位置決めされるようになっている。
【0041】
マグネットホルダー12は、上側弾性支持部15及び下側弾性支持部16を介して、レンズホルダー11をZ軸方向に移動可能に支持する固定体である。マグネットホルダー12は、例えば、Z軸方向から見た平面視で略矩形状の四角筒形状を有する。マグネットホルダー12の開口121に、レンズホルダー11が配置される。
【0042】
マグネットホルダー12は、例えば、ポリアリレート(PAR)、PARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ(例えば、PAR/PC)、又は液晶ポリマーからなる成形材料で形成される。
【0043】
マグネットホルダー12は、4つの側部壁体122の連結部(マグネットホルダー12の四隅)の内側に、マグネット保持部123を有する。マグネット保持部123に、駆動用マグネット31A~31Dが固定される。マグネット保持部123には、例えば、外部に連通する開口(符号略)が設けられ、マグネット保持部123と駆動用マグネット31A~31Dとの接触面に接着剤を注入できるようになっている。
【0044】
マグネットホルダー12は、側部壁体122の外周面において、連結部の上部に、径方向内側に円弧状に凹むワイヤー挿通部124を有する。ワイヤー挿通部124に、サスペンションワイヤー41A~41Dが配置される。ワイヤー挿通部124を設けることにより、OIS可動部10が揺動する際に、サスペンションワイヤー41A~41Dとマグネットホルダー12が干渉するのを回避することができる。
【0045】
マグネットホルダー12は、側部壁体122の外周面に、回路基板部50を固定するための基板固定部125を有する。図示を省略するが、基板固定部125には、回路基板部50の駆動制御部52及びコンデンサー53を収容可能な凹部が形成されている。
【0046】
マグネットホルダー12は、側部壁体122の上面に、上側弾性支持部15を固定するための上バネ固定部126を有する。上バネ固定部126において、ワイヤー挿通部124の周縁は、上側弾性支持部15の取付面よりも下側に凹んで形成され、上側弾性支持部15を取り付けたときに、隙間が形成されるようになっている。
【0047】
また、マグネットホルダー12は、側部壁体122の下面に、下側弾性支持部16を固定するための下バネ固定部127を有する。
【0048】
さらに、マグネットホルダー12は、電路部材61A、61Bを固定するための電路固定部128を有する。電路固定部128は、例えば基板固定部125とY軸方向に対向するように、側部壁体122の外周面に形成される。電路固定部128は、例えば、側部壁体122の外周面から凹むように溝状に形成され、電路部材61A、61Bを嵌着可能となっている。
【0049】
AF用コイル13は、オートフォーカス時に通電される空芯コイルである。AF用コイル13は、レンズホルダー11のコイル巻線部(レンズ収容部111の外周面)に巻線される。AF用コイル13は、駆動用マグネット31A~31Dとともにボイスコイルモーターを構成し、AF駆動部として機能する。AF用コイル13の両端は、それぞれ、レンズホルダー11の絡げ部114に絡げられる。AF用コイル13には、例えば、上側弾性支持部15を介して通電が行われる。AF用コイル13の通電電流は、例えば、回路基板部50に実装された駆動制御部(図示略)によって制御される。
【0050】
駆動用マグネット31A~31Dは、マグネットホルダー12のマグネット保持部123に、例えば、接着により固定される。本実施の形態では、駆動用マグネット31A~31Dは、平面視で、略等脚台形状を有している。これにより、マグネットホルダー12の角部のスペース(マグネット保持部123)を有効利用することができる。
【0051】
駆動用マグネット31A~31Dは、AF用コイル13に対して径方向に離間し、OIS用コイル32A~32Dに対して光軸方向に離間して配置される。駆動用マグネット31A~31Dは、AF用コイル13を径方向に横切るとともに、OIS用コイル32A~32Dを光軸方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。
【0052】
駆動用マグネット31A~31Dは、AF用コイル13とともにボイスコイルモーターを構成し、AF駆動部として機能する。また、駆動用マグネット31A~31Dは、OIS用コイル32A~32Dとともにボイスコイルモーターを構成し、OIS駆動部30として機能する。すなわち、本実施の形態では、駆動用マグネット31A~31Dは、AF用マグネットとOIS用マグネットを兼用している。
【0053】
上側弾性支持部15は、マグネットホルダー12に対してレンズホルダー11を光軸方向受光側で弾性的に支持する。上側弾性支持部15は、例えば、チタン銅、ニッケル銅、ステンレス等で形成される。上側弾性支持部15は、全体として平面視で矩形状、すなわちマグネットホルダー12と同等の形状を有する。
【0054】
上側弾性支持部15は、6つの上バネ要素15A~15Eを有する。上バネ要素15A~15Eは、板バネで構成され、マグネットホルダー12上に互いに接触しないように配置される。上バネ要素15A~15Fは、例えば、一枚の板金をエッチング加工することにより形成される。上側弾性支持部15の詳細な構成については後述する。
【0055】
下側弾性支持部16は、マグネットホルダー12に対してレンズホルダー11を光軸方向結像側で弾性的に支持する。下側弾性支持部16は、例えば、チタン銅、ニッケル銅、ステンレス等で形成される。下側弾性支持部16は、全体として平面視で矩形状、すなわちマグネットホルダー12と同等の形状を有する。
【0056】
下側弾性支持部16は、2つの下バネ要素16A、16Bを有する。下バネ要素16A、16Bは、板バネで構成される。下バネ要素16A、16Bは、例えば、一枚の板金をエッチング加工することにより形成される。下側弾性支持部16の詳細な構成については後述する。
【0057】
電路部材61A、61Bは、通電に適した導電性材料で形成され、上側弾性支持部15の上バネ要素15A、15Bと、下側弾性支持部16の下バネ要素16A、16Bとを、電気的かつ機械的に接続する。電路部材61A、61Bは、例えば、チタン銅、ニッケル銅、ステンレス等の金属板で構成される。電路部材61A、61Bは、マグネットホルダー12の電路固定部128に、例えば、接着により固定される。
【0058】
なお、電路部材61A、61Bは、例えば、インサート成形により、マグネットホルダー12と一体的に成型されてもよい。
【0059】
回路基板部50は、フレキシブルプリント回路基板51(以下、「FPC51」と称する、FPC:Flexible Printed Circuit)、ドライバーIC52及びコンデンサー53等を有する。回路基板部50は、マグネットホルダー12の基板固定部125に配置される。
【0060】
FPC51は、ドライバーIC52が実装される回路基板である。FPC51は、例えば、樹脂フィルム等の薄い絶縁層と銅箔等の金属層とが積層されて形成される。金属層により、信号線や電源線等の回路配線が形成される。
【0061】
FPC51の回路配線には、上バネ要素15C~15F、下バネ要素16A、16B及びドライバーIC52等が電気的に接続される。具体的には、FPC51は、電源入力端子511a、511b、信号入力端子512a、512b及び電源出力端子513a、513bを有する。
【0062】
電源入力端子511a、511bには、それぞれ、上バネ要素15C、15Dの基板接続部156c、156dが接続される。信号入力端子512a、512bには、それぞれ、下バネ要素16A、16Bの基板接続部166a、166bが接続される。電源出力端子513a、513bには、それぞれ、上バネ要素15E、15Fの基板接続部156e、156fが接続される。
【0063】
ドライバーIC52は、AF用コイル13の通電電流を制御するハードウェアプロセッサーである。ドライバーIC52には、位置検出センサー54が内蔵されている。
【0064】
位置検出センサー54は、例えば、ホール素子又はTMR(Tunnel Magneto Resistance)センサー等の磁気センサーである。位置検出センサー54は、レンズホルダー11に配置された位置検出用磁石115による磁力の強さを検出することにより、Z軸方向におけるレンズホルダー11とマグネットホルダー12との相対位置を取得することができる。位置検出センサー54及び位置検出用磁石115は、例えば、径方向に対向するように配置される。
【0065】
ドライバーIC52は、例えば、モジュール制御部303からの制御信号及び位置検出センサー54の検出結果に基づいて、AF用コイル13の通電電流を制御する。
【0066】
OIS固定部20は、例えば、ベース21、コイル基板22及びOIS用コイル32A~32Dを含んで構成される。
【0067】
ベース21は、平面視で矩形形状を有し、中央に円形の開口211が形成されている。カメラモジュールAにおいて、ベース21の光軸方向結像側に、撮像素子302を実装したイメージセンサー基板301が配置される。
【0068】
ベース21には、例えば、インサート成形により、配線金具212が埋め込まれている。配線金具212は、イメージセンサー基板301の配線パターンと電気的に接続され、OIS用コイル32A~32D及び磁気センサー(図示略)に給電するための電源ライン、並びに磁気センサーから出力される検出信号用の信号ラインを形成する。また、配線金具212は、ベース21の四隅から露出し、サスペンションワイヤー41A~41Dの他端と、はんだ付けにより接続される。
【0069】
コイル基板22は、ベース21と同様に平面視で矩形形状の基板である。コイル基板22は、OIS用コイル32A~32Dに給電するための電源ラインを含む配線パターン(図示略)を有する。配線パターンは、ベース21に配置された配線金具212と電気的に接続される。
【0070】
OIS用コイル32A~32Dは、光軸方向において、駆動用マグネット31A~31Dと対向する位置に配置される。OIS用コイル32A~32Dは、例えば、コイル基板22の製造工程において、コイル基板22の内部に作り込まれる。
【0071】
OIS用コイル32A~32Dは、振れ補正時に通電される空芯コイルである。駆動用マグネット31A~31Dの径方向のエッジがOIS用コイル32A~32Dのそれぞれのコイル断面幅に入るように、すなわち、駆動用マグネット31A~31Dの底面から放射される磁界がOIS用コイル32A~32Dの対向する2辺を横切って駆動用マグネット31A~31Dに戻るように、OIS用コイル32A~32D及び駆動用マグネット31A~31Dの大きさや配置が設定される。
【0072】
ここでは、OIS用コイル32A~32Dは、駆動用マグネット31A~31Dの平面形状(ここでは略等脚台形形状)と同様の形状を有している。これにより、OIS可動部10を光軸直交面内で揺動させるための駆動力(電磁力)を、効率よく発生させることができる。OIS用コイル32A~32Dの通電電流は、例えば、モジュール制御部303によって制御される。
【0073】
なお、図示を省略するが、コイル基板22には、磁気センサーが実装される。磁気センサーは、例えば、ホール素子又はTMR(Tunnel Magneto Resistance)センサー等で構成され、それぞれ、光軸方向において駆動用マグネット31B、31Cと対向する位置に配置される。磁気センサーは、例えば、OIS用コイル32B、32Cの空芯部分に配置される。
【0074】
OIS支持部40は、例えば、平面視矩形形状の四隅に配置されるサスペンションワイヤー41A~41Dで構成されている。サスペンションワイヤー41A~41Dは、光軸方向に延在する線状部材であり、OIS可動部10の揺動に伴い弾性変形する。サスペンションワイヤー41A~41Dの一端(光軸方向受光側の端部、上端)はOIS可動部10(本実施の形態では上側弾性支持部15)に固定され、他端(光軸方向結像側の端部)はOIS固定部20(本実施の形態ではベース21)に固定される。
【0075】
本実施の形態において、2本のサスペンションワイヤー41A、41Bは、回路基板部50に制御信号を供給する信号ラインとして機能する。また、残り2本のサスペンションワイヤー41C、41Dは、回路基板部50に給電するAF用電源ラインとして機能する。
【0076】
<上側弾性支持部>
図7A図7Bは、上側弾性支持部15の構成を示す上面図である。図7Bは、上側弾性支持部15をレンズホルダー11及びマグネットホルダー12に取り付けた状態を示している。図7A図7Bに示すように、上側弾性支持部15は、6つの上バネ要素15A~15Fを有する。
【0077】
上バネ要素15A、15B(第1上バネ要素)は、それぞれ、レンズホルダー固定部151a、151b、マグネットホルダー固定部152a、152b、アーム部153a、153b、ワイヤー接続部154a、154b及び電路接続部155a、155bを有する。
【0078】
レンズホルダー固定部151a、151bは、レンズホルダー11に固定される部分であり、レンズホルダー11の上バネ固定部112に対応する形状を有している。レンズホルダー固定部151a、151bは、レンズホルダー11が光軸方向に移動するときに、レンズホルダー11とともに変位する。
【0079】
マグネットホルダー固定部152a、152bは、マグネットホルダー12に固定される部分であり、マグネットホルダー12の上バネ固定部126に対応する形状を有する。
【0080】
アーム部153a、153bは、レンズホルダー固定部151a、151bとマグネットホルダー固定部152a、152bを連結する。アーム部153a、153bは、レンズホルダー11の移動に伴い弾性変形する部分であり、弾性変形しやすいように曲がりくねった形状を有する。
【0081】
ワイヤー接続部154a、154bは、サスペンションワイヤー41A、41Bに接続される。ワイヤー接続部154a、154bは、リンク部158a、158bを介してマグネットホルダー固定部152a、152bと連結される。
【0082】
電路接続部155a、155bは、電路部材61A、61Bに接続される部分であり、マグネットホルダー固定部152a、152bの一部で形成される。電路接続部155a、155bは、例えば、はんだ付けにより、電路部材61A、61Bと電気的かつ機械的に接続される。
【0083】
上バネ要素15C、15D(第2上バネ要素)は、それぞれ、マグネットホルダー固定部152c、152d、ワイヤー接続部154c、154d、及び、基板接続部156c、156dを有する。なお、上バネ要素15C、15Dは、AF支持部として機能するわけではない。
【0084】
マグネットホルダー固定部152c、152dは、マグネットホルダー12に固定される部分であり、マグネットホルダー12の上バネ固定部126に対応する形状を有する。
【0085】
ワイヤー接続部154c、154dは、サスペンションワイヤー41C、41Dに接続される。ワイヤー接続部154c、154dは、リンク部158c、158dを介してマグネットホルダー固定部152c、152dと連結される。
【0086】
基板接続部156c、156dは、FPC51の電源入力端子511a、511bに接続される部分であり、マグネットホルダー固定部152c、152dの一部で形成される。基板接続部156c、156dは、例えば、はんだ付けにより、電源入力端子511a、511bと電気的かつ機械的に接続される。
【0087】
上バネ要素15E、15F(第3上バネ要素)は、それぞれ、レンズホルダー固定部151e、151f、マグネットホルダー固定部152e、152f、アーム部153e、153f、基板接続部156e、156f、及びコイル接続部157e、157fを有する。
【0088】
レンズホルダー固定部151e、151fは、レンズホルダー11に固定される部分であり、レンズホルダー11の上バネ固定部112に対応する形状を有している。レンズホルダー固定部151e、151fは、レンズホルダー11が光軸方向に移動するときに、レンズホルダー11とともに変位する。
【0089】
マグネットホルダー固定部152e、152fは、マグネットホルダー12に固定される部分であり、マグネットホルダー12の上バネ固定部126に対応する形状を有する。
【0090】
アーム部153e、153fは、レンズホルダー固定部151e、151fとマグネットホルダー固定部152e、152fを連結する。アーム部153e、153fは、レンズホルダー11の移動に伴い弾性変形する部分であり、弾性変形しやすいように曲がりくねった形状を有する。
【0091】
基板接続部156e、156fは、FPC51の電源出力端子513a、513bに接続される部分であり、マグネットホルダー固定部152c、152dの一部で形成される。基板接続部156e、156fは、例えば、はんだ付けにより、電源出力端子513a、513bと電気的かつ機械的に接続される。
【0092】
コイル接続部157e、157fは、レンズホルダー11の絡げ部114においてAF用コイル13に接続される部分であり、レンズホルダー固定部151e、151fの一部で形成される。コイル接続部157e、157fは、例えば、はんだ付けにより、AF用コイル13と電気的かつ機械的に接続される。
【0093】
上バネ要素15A~15Fは、レンズホルダー11及びマグネットホルダー12に対して位置決めされ、例えば、接着により固定される。上バネ要素15A、15Bは、回路基板部50に制御信号を供給する信号ラインとして機能する。上バネ要素15C、15Dは、回路基板部50に給電するAF用電源ラインとして機能する。上バネ要素15E、15Fは、AF用コイル13に給電するコイル用電源ラインとして機能する。
【0094】
<下側弾性支持部>
図8A図8Bは、下側弾性支持部16の構成を示す上面図である。図8Bは、下側弾性支持部16をレンズホルダー11及びマグネットホルダー12に取り付けた状態を示している。図8A図8Bに示すように、下側弾性支持部16は、2つの下バネ要素16A、16Bを有する。
【0095】
下バネ要素16A、16Bは、それぞれ、レンズホルダー固定部161a、161b、マグネットホルダー固定部162a、162b、アーム部163a、163b、電路接続部165a、165b、及び基板接続部166a、166bを有する。
【0096】
レンズホルダー固定部161a、161bは、レンズホルダー11に固定される部分であり、レンズホルダー11の下バネ固定部113に対応する形状を有している。レンズホルダー固定部161a、161bは、レンズホルダー11が光軸方向に移動するときに、レンズホルダー11とともに変位する。
【0097】
マグネットホルダー固定部162a、162bは、マグネットホルダー12に固定される部分であり、マグネットホルダー12の下バネ固定部127に対応する形状を有する。
【0098】
アーム部163a、163bは、レンズホルダー固定部161a、161bとマグネットホルダー固定部162a、162bを連結する。アーム部163a、163bは、レンズホルダー11の移動に伴い弾性変形する部分であり、弾性変形しやすいように曲がりくねった形状を有する。
【0099】
電路接続部165a、165bは、電路部材61A、61Bに接続される部分であり、マグネットホルダー固定部162a、162bの一部で形成される。電路接続部165a、165bは、例えば、はんだ付けにより、電路部材61A、61Bと電気的かつ機械的に接続される。
【0100】
基板接続部166a、166bは、FPC51の信号入力端子512a、512bに接続される部分であり、マグネットホルダー固定部162c、162dの一部で形成される。基板接続部166a、166bは、例えば、はんだ付けにより、信号入力端子512a、512bと電気的かつ機械的に接続される。
【0101】
下バネ要素16A、16Bは、レンズホルダー11及びマグネットホルダー12に対して位置決めされ、例えば、接着により固定される。下バネ要素16A、16Bは、上バネ要素15A、15B及び電路部材61A、61Bとともに、回路基板部50に制御信号を供給する信号ラインとして機能する。
【0102】
<AFユニットの電気系統>
図9は、OIS可動部10(AFユニット)における電気系統を示す斜視図である。
【0103】
図9に示すように、制御信号用のサスペンションワイヤー41A、41Bは、それぞれ、上バネ要素15A、15Bに接続され、電路部材61A、61Bを介して下バネ要素16A、16Bと接続される。また、下バネ要素16A、16Bは、FPC51の信号入力端子512a、512bと接続される。したがって、モジュール制御部303からの制御信号は、サスペンションワイヤー41A、41B、上バネ要素15A、15B、電路部材61A、61B及び下バネ要素16A、16Bを経由して、回路基板部50(ドライバーIC52)に供給される。
【0104】
電源用のサスペンションワイヤー41C、41Dは、それぞれ、上バネ要素15C、15Dと接続される。また、上バネ要素15C、15Dは、FPC51の電源入力端子511a、511bと接続される。したがって、サスペンションワイヤー41C、41D及び上バネ要素15C、15Dを経由して、回路基板部50(ドライバーIC52)への給電が行われる。
【0105】
また、上バネ要素15E、15Fは、それぞれ、FPC51の電源出力端子513a、513b及びAF用コイル13と接続される。したがって、回路基板部50から上バネ要素15E、15Fを経由して、AF用コイル13への給電が行われる。
【0106】
光学素子駆動装置1において振れ補正を行う場合には、OIS用コイル32A~32Dへの通電が行われる。具体的には、OIS用駆動部30では、カメラモジュールAの振れが相殺されるように、振れ検出部(図示略、例えばジャイロセンサー)からの検出信号に基づいて、OIS用コイル32A~32Dの通電電流が制御される。このとき、磁気センサー(図示略)の検出結果をフィードバックすることで、OIS可動部10の揺動を正確に制御することができる。
【0107】
OIS用コイル32A~32Dに通電すると、駆動用マグネット31A~31Dの磁界とOIS用コイル32A~32Dに流れる電流との相互作用により、OIS用コイル32A~32Dにローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、OIS用コイル32A~32Dの長辺部分における磁界の方向(Z軸方向)と電流の方向に直交する方向である。OIS用コイル32A~32Dは固定されているので、駆動用マグネット31A~31Dに反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、駆動用マグネット31A~31Dを有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。
【0108】
光学素子駆動装置1においてオートフォーカスを行う場合には、AF用コイル13に通電が行われる。AF用コイル13への給電は、回路基板部50から上バネ要素15E、15Fを介して行われる。AF用コイル13に通電すると、駆動用マグネット31A~31Dの磁界とAF用コイル13に流れる電流との相互作用により、AF用コイル13にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、駆動用マグネット31A~31Dによる磁界の方向とAF用コイル13に流れる電流の方向に直交する方向(Z軸方向)である。駆動用マグネット31A~31Dは固定されているので、AF用コイル13に反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル13が配置されているレンズホルダー11(AF可動部)が光軸方向に移動し、オートフォーカスが行われる。
【0109】
光学素子駆動装置1のドライバーIC52においては、内蔵される位置検出センサー54の検出信号に基づいて、クローズドループ制御が行われる。クローズドループ制御方式によれば、ボイスコイルモーターのヒステリシス特性を考慮する必要がなく、またレンズホルダー11の位置が安定したことを直接的に検出できる。さらには、像面検出方式のオートフォーカスにも対応できる。したがって、応答性能が高く、オートフォーカス動作の高速化を図ることができる。
【0110】
このように、本実施の形態に係る光学素子駆動装置1、カメラモジュールA、及びスマートフォンM(カメラ搭載装置)は、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0111】
すなわち、光学素子駆動装置1は、ベース21と、レンズ部2(光学素子)を取り付け可能なレンズホルダー11(第1ホルダー)と、レンズホルダー11の外側に離間して配置されるマグネットホルダー12(第2ホルダー)と、レンズホルダー11を移動させるAF駆動部と、ベース21に対してマグネットホルダー12を支持するサスペンションワイヤー41A~41Dと、マグネットホルダー12に対するレンズホルダー11の位置を検出可能な位置検出センサー54(検出部)と、位置検出センサー54が実装されるFPC51(回路基板)と、サスペンションワイヤー41A~41Cに接続される上バネ要素15A、15B(第1上バネ要素)及び上バネ要素15C、15D(第2上バネ要素)を有し、レンズホルダー11及びマグネットホルダー12を光軸方向の受光側で接続する上側弾性支持部15と、レンズホルダー11及びマグネットホルダー12を光軸方向の結像側で接続する下側弾性支持部16と、マグネットホルダー12に固定され、上バネ要素15A、15Bと下側弾性支持部16の下バネ要素16A、16Bとを接続する電路部材61A、61Bと、を備える。FPC51(回路基板)は、下側弾性支持部16及び電路部材61A、61Bを介して上バネ要素15A、15B(第1上バネ要素)と電気的に接続されるとともに、上バネ要素15C、15D(第2上バネ要素)と直接接続されている。
【0112】
光学素子駆動装置1によれば、FPC15(回路基板)に接続される電気系統が、上バネ要素15C、15Dと下バネ要素16A、16Bに分散されるので、給電及び制御信号の供給を行うための配線構造を簡易化することができる。
【0113】
また、上側弾性支持部15は、FPC51(回路基板)と直接接続される上バネ要素15E、15F(第3上バネ要素)をさらに有し、AF用コイル13(駆動部)は、上バネ要素15E、15Fを介してFPC51と電気的に接続される。具体的には、AF駆動部は、レンズホルダー11(第1ホルダー)に配置されるAF用コイル13と、マグネットホルダー12(第2ホルダー)に配置される駆動用マグネット31A~31Dと、を有し、AF用コイル13は、上バネ要素15E、15Fを介してFPC51と電気的に接続される。上バネ要素15E、15FをAF用コイル13への電源ラインとして利用することで、AF用コイル13の端部が接続される絡げ部114をレンズホルダー11の上面側に形成することができる。そのため、絡げ部114との接触を防止する機構はカバー24に切り欠き部242(図3参照)を形成する等、簡易的なものとすることができる。なお、絡げ部114をレンズホルダー11の下面側に形成する場合、OIS固定部20に絡げ部114との接触を防止する機構を設ける必要があり、複雑な機構となってしまう。
【0114】
また、光学素子駆動装置1において、電路部材61A、61Bは、金属板で構成されており、マグネットホルダー12(第2ホルダー)は、電路部材61A、61Bを固定するための電路固定部128(溝部)を有する。これにより、マグネットホルダー12に電路部材61A、61Bを容易に取り付けることができるとともに、マグネットホルダー12に取り付けられる上バネ要素15A、15B及び下バネ要素16A、16Bと電路部材61A、61Bとを容易に接続することができる。
【0115】
また、光学素子駆動装置1は、光軸方向から見た平面視で略矩形形状を有し、FPC51(回路基板)及び電路部材61A、61Bは、それぞれ、対向する辺に配置されている。これにより、電路部材61A、61Bの重量を調整して、対向方向における重量を容易にバランスさせることができ、AFユニットの姿勢を安定させることができる。
【0116】
また、光学素子駆動装置1において、上バネ要素15A、15B(第1上バネ要素)、電路部材61A、61B及び下側弾性支持部16の下バネ要素16A、16Bは、制御信号を供給するための信号ラインとして機能し、上バネ要素15C、15D(第2上バネ要素)は、給電のための電源ラインとして機能する。これにより、電圧の高い電源ラインの長尺化を防止でき、安全性を確保することができる。
【0117】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0118】
例えば、上記実施の形態では、スマートフォンMを例に挙げて説明したが、本発明は、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部とを有するカメラ搭載装置に適用できる。カメラ搭載装置は、情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)等を含む。また、輸送機器は、例えば、自動車やドローン(無人航空機)等を含む。
【0119】
図10A図10Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Vを示す図である。図10Aは自動車Vの正面図であり、図10Bは自動車Vの後方斜視図である。自動車Vは、車載用カメラモジュールVCとして、上記実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。図10A図10Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0120】
また、上記実施の形態では、光学素子としてレンズ部2を駆動する光学素子駆動装置1について説明したが、駆動対象となる光学素子は、ミラーやプリズム等のレンズ以外の光学素子であってもよい。また、本発明は、例えば、光学素子として撮像素子を駆動する光学素子駆動装置に適用することもできる。
【0121】
また、上記実施の形態では、光学素子駆動装置1はAF機能を有しているが、AF機能だけでなく、ズーム機能等、レンズ部2をZ軸方向に移動させる機能を有するものでもよい。
【0122】
また、実施の形態で示した電気系統の構造、例えば、上バネ要素15A、15Bの形状、下バネ要素16A、16Bの形状、電路部材61A、61Bの配置は特に限定されず、適宜変更可能である。
【0123】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部
11 レンズホルダー(第1ホルダー)
12 マグネットホルダー(第2ホルダー)
13 AF用コイル(駆動部)
31A~31D 駆動用マグネット(駆動部)
15 上側弾性支持部
15A~15F 上バネ要素
16 下側弾性支持部
16A、16B 下バネ要素
21 ベース
41A~41D サスペンションワイヤー
51 FPC(回路基板)
54 位置検出センサー(検出部)
61A、61B 電路部材
M スマートフォン
A カメラモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10