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  • 特開-塗布容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052154
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240404BHJP
   A45D 34/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A45D34/04 515Z
A45D34/00 510A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158675
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 舞
(57)【要約】
【課題】手ぶれを防ぎ、安定した状態で内容液を塗布することができる塗布容器を提供する。
【解決手段】内容液を収容し、外周面に嵌合溝部21を有する容器本体2と、容器本体2から外部に突出し、容器本体2内に収容された内容液が浸透可能な塗布部3と、塗布部3を覆うようにして容器本体2に着脱可能に取り付けられるキャップ本体41、およびキャップ本体41の外周面に形成された容器本体2の嵌合溝部21に取り付け角度を調節可能かつ着脱可能に嵌合する嵌合腕部42を有するキャップ部4と、を備える塗布容器1。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容し、外周面に嵌合溝部を有する容器本体と、
前記容器本体から外部に突出し、前記容器本体内に収容された前記内容液が浸透可能な塗布部と、
前記塗布部を覆うようにして前記容器本体に着脱可能に取り付けられるキャップ本体、および前記キャップ本体の外周面に形成された前記容器本体の前記嵌合溝部に取り付け角度を調節可能かつ着脱可能に嵌合する嵌合腕部を有するキャップ部と、
を備える塗布容器。
【請求項2】
前記嵌合溝部の内周面は前記嵌合溝部の伸長方向に沿い縮径箇所と拡径箇所が繰り返し形成された凹凸面になっていて、
前記嵌合腕部には前記嵌合溝部に入り込み、前記凹凸面に沿い摺動可能な突起部が形成されていて、前記突起部が前記拡径箇所から前記縮径箇所を経て他の拡径箇所に移動する際に前記縮径箇所において移動抵抗が生じる請求項1に記載の塗布容器。
【請求項3】
前記キャップ部の先端部に転動可能なボール部が設けられている請求項1に記載の塗布容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に収容した内容液を塗布する塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、内容液(例えばアイライナー、アイブロウ、口紅、リップクリーム)を塗布するための塗布部が設けられた塗布容器が既知である。
【0003】
例えば特許文献1には、内容液を含浸させた含浸体が容器の内側に収容されていて、この含浸体からの内容液を先端に設けた筆状の塗布部で塗布することができるペンタイプの塗布容器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-019845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の塗布容器を使用する場合、塗布容器を持つ手をどこにも固定できず、手ぶれが生じやすい不安定な状態で目の際等の細部に内容液を塗布する必要があり、使い辛さがあった。
【0006】
本発明はこのような問題を解決することを課題とするものであって、手ぶれを防ぎ、安定した状態で内容液を塗布することができる塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容液を収容し、外周面に嵌合溝部を有する容器本体と、前記容器本体から外部に突出し、前記容器本体内に収容された前記内容液が浸透可能な塗布部と、前記塗布部を覆うようにして前記容器本体に着脱可能に取り付けられるキャップ本体、および前記キャップ本体の外周面に形成された前記容器本体の前記嵌合溝部に取り付け角度を調節可能かつ着脱可能に嵌合する嵌合腕部を有するキャップ部と、を備える塗布容器であることを特徴とする。
【0008】
上記塗布容器について、前記嵌合溝部の内周面は前記嵌合溝部の伸長方向に沿い縮径箇所と拡径箇所が繰り返し形成された凹凸面になっていて、前記嵌合腕部には前記嵌合溝部に入り込み、前記凹凸面に沿い摺動可能な突起部が形成されていて、前記突起部が前記拡径箇所から前記縮径箇所を経て他の拡径箇所に移動する際に前記縮径箇所において移動抵抗が生じることが好ましい。
【0009】
また、上記塗布容器について、前記キャップ部の先端部に転動可能なボール部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の塗布容器によれば、手ぶれを防ぎ、安定した状態で内容液を塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る塗布容器について容器本体にキャップ部を取り付けて塗布部をキャップ部内に収容した状態を示す部分断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る塗布容器についてキャップ部を容器本体の嵌合溝部に取り付け塗布部を露出させた状態を示す上面図である。
図3】本発明の実施形態に係る塗布容器についてキャップ部を容器本体の嵌合溝部に取り付け塗布部を露出させた状態を示す側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る塗布容器についてキャップ部を容器本体の嵌合溝部に取り付け塗布部を露出させるとともにキャップ部を所定の位置および角度に固定して使用する様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る塗布容器について説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る塗布容器1について容器本体2にキャップ部4を取り付けて塗布部3をキャップ部4内に収容した状態を示す部分断面図である。
【0014】
図1に示すように、塗布容器1は、ペン型の容器であり、容器本体2と、容器本体に設けられた塗布部3と、塗布部3を覆うようにして容器本体2に着脱可能に取り付けられるキャップ部4を備えている。なお、以下の塗布容器1の説明において、塗布容器1の塗布部3が設けられている側の端部を上側および先端側、塗布部3が設けられている側と反対側の端部を下側および基端側として、容器本体2の軸方向に直交する方向から見た図を側面図とする。
【0015】
容器本体2は、内部に内容液を収容可能な収容部(不図示)を有する長筒状の部材であり、先端側には収容部内から容器本体2の外側に向けて突出し、収容部内の内容液が浸透可能な塗布部3が設けられている。容器本体2の外周面には、軸方向に沿って突出した段部24が形成されていて、段部24の先端側から基端側に向けて嵌合溝部21が形成されている。嵌合溝部21の内周面は、嵌合溝部21の伸長方向に沿い、縮径箇所211と拡径箇所212が繰り返し形成された凹凸面になっている。容器本体2の先端部22は先端に向かうに従い漸次径が細くなる先細状になっていて、先端部22の開口部(不図示)から塗布部3が突出している。先端部22の下端部分の外周面には、周方向に沿い第1突条部221が形成されている。
【0016】
塗布部3は、内容液(例えばアイライナー、アイブロウ等)を含浸可能な素材(例えばフェルトや発泡合成樹脂等)で形成されていて、棒状で容器本体2内に収容されている本体部(不図示)と、本体部に一体的に形成され容器本体2から外部に突出する先細の筆状である先端部分31により構成されている。先端部分31は屈曲可能であり、内容液を塗布しやすくなっている。なお、本実施形態においては塗布部3の先端部分31は塗布部3の他の部分と同一の素材により一体的に形成されているが、本発明においてはこれに限らず、例えば先端部分31を他の部分とは異なる、合成樹脂又は天然素材の繊維束等により形成されていてもよい。
【0017】
キャップ部4は、一端部が開口部411になっていて塗布部3を覆う鞘状のキャップ本体41と、開口部411の周縁部分から突出する2つの嵌合腕部42を有している。嵌合腕部42の内周側には、容器本体2の嵌合溝部21に入り込み、嵌合溝部21の凹凸面に沿い摺動可能な円柱状の突起部421が形成されている。突起部421の外径は、拡径箇所212の内径よりも若干大きくなっている。また、キャップ本体41の開口部411近傍の内周面には、周方向に沿い第2突条部43が形成されている。
【0018】
キャップ部4の先端部分には、転動可能なボール部44が設けられている。ボール部44は、キャップ本体41の先端部に形成された内周面が球面状のボール受け部441と、ボール受け部441内に脱落せずに転動可能かつ一部がボール受け部441から外部に露出するように収容されたボール442により形成されている。ボール受け部441の底部近傍には周方向に沿い突起443が形成されているとともに、底部には退避凹部444が形成されている。
【0019】
図1のA部拡大図に示すように、通常時にはボール442が突起443に触れた状態になっているが、ボール442が突起443に向けて押し込まれることにより、ボール442の転動に対する抵抗が増加し、容易に転動できない状態になる。このとき、退避凹部444が形成されていることによりボール442の下方部分がボール受け部441の内周面に接触しないようになっていて、ボール442を突起443に確実に押し付けることが可能になっている。
【0020】
なお、本実施形態においては図1のように塗布容器1が正立した状態においてボール442が突起443に触れた状態になっているが、本発明においてはこれに限らず、塗布容器1の正立状態においてボール442が突起443から僅かに浮いた状態になる態様でもよい。この場合、ボール442が押し込まれることにより突起443に当接しこれに押し付けられることにより、ボール442の転動に対する抵抗が増加し容易に転動できない状態になる。
【0021】
上述したキャップ部4の容器本体2への取り付けは、図1に示すように、キャップ部4のキャップ本体41で容器本体2の先端部22および塗布部3を覆うようにして、キャップ部4を容器本体2に押し込むことで行われる。このとき、キャップ部4の第2突条部43が容器本体2の第1突条部221を乗り越えた後、第1突条部221に係止した状態になることで、キャップ部4が容器本体2から脱落しないようになる。
【0022】
一方、キャップ部4を容器本体2からの取り外しは、キャップ部4から容器本体2を引き抜くことで行われる。このとき、容器本体2の第1突条部221がキャップ部4の第2突条部43を乗り越えることで、容器本体2とキャップ部4との係止が解除される。
【0023】
次に、内容液の塗布に際してキャップ部4をサポート部として使用する場合について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る塗布容器1についてキャップ部4を容器本体2の嵌合溝部21に取り付け塗布部3を露出させた状態を示す上面図である。図3は、本発明の実施形態に係る塗布容器1についてキャップ部4を容器本体2の嵌合溝部21に取り付け塗布部3を露出させた状態を示す側面図である。なお図3におけるB部拡大図は、嵌合腕部42を省略して突起部421が実線で現れるように示している。
【0024】
図2図3に示すように、本実施形態に係る塗布容器1では、容器本体2からキャップ部4を取り外した後、キャップ部4の嵌合腕部42に形成された突起部421を嵌合溝部21の解放端部21aから嵌合溝部21内に嵌合させることで、キャップ部4を内容液の塗布時に使用者の手ぶれを防ぐサポート部として機能させることが可能な状態になる。
【0025】
嵌合腕部42を嵌合溝部21に嵌合させる際には、突起部421は嵌合溝部21内に形成された拡径箇所212から縮径箇所211を経て他の拡径箇所212へと摺動していく。突起部421が拡径箇所212内に位置している状態において、突起部421は拡径箇所212の内周面に当接して回転抵抗を受ける。これによりキャップ部4は容器本体2に対する回転動作に際して抵抗を受けるため、容器本体2に対するキャップ部4の取り付け角度は調節可能であるとともに、所望の取り付け角度とした後にはこれを保持することが可能になる。
【0026】
また、突起部421が所定の拡径箇所212から隣接する他の拡径箇所212へと摺動して移動する際には、縮径箇所211により移動抵抗を受ける。これにより突起部421が所定の拡径箇所212に位置するときにその位置を保持することができるため、塗布部3に対するキャップ部4の距離を嵌合溝部21内において任意に調節することが可能になる。
【0027】
なお、キャップ部4の嵌合溝部21からの取り外しは、キャップ部4を容器本体2に対して引っ張ることで、突起部421を縮径箇所211の移動抵抗に抗して移動させて、嵌合溝部21から引き抜くことで行われる。
【0028】
次に、上述した構成を備える塗布容器1を実際に使用する様子を説明する。図4は、本発明の実施形態に係る塗布容器1についてキャップ部4を容器本体2の嵌合溝部21に取り付け塗布部3を露出させるとともにキャップ部4を所定の位置および角度に固定して使用する様子を示す側面図である。なお、図4では塗布容器1をアイライナー用の容器として使用する場合について説明している。
【0029】
図4に示すように、塗布容器1の使用時には、使用者Pはキャップ部4を容器本体2の先端側から取り外した後容器本体2の嵌合溝部21に嵌合し、塗布部3からのキャップ部4の距離が所望の距離に至るまでキャップ部4を移動させるとともに、所望の角度になるようにキャップ部4を回転させる。
【0030】
このとき、突起部421が縮径箇所211からの移動抵抗を受けることによりキャップ部4の嵌合溝部21上における位置が固定されるとともに、嵌合溝部21の拡径箇所212の内周面との回転抵抗によりキャップ部4の容器本体2に対する回転角度が固定される。
【0031】
そして、使用者Pはキャップ部4の位置と角度が調節された塗布容器1を手Hで持ち、キャップ部4のボール部44を頬Cに当接させつつ、塗布部3により内容液を瞼Eに塗布していく。このように、キャップ部4を頬Cに当接させつつ塗布容器1を使用することで、塗布容器1の位置と姿勢の保持をサポートすることが可能になり、瞼Eへの内容液の塗布時に手振れを防止することができ、安定した状態で使用することができる。このとき、ボール442は突起443に押し当てられることで抵抗が増し、容易に転動できない状態になるため、キャップ部4が頬C上でずれることなく、塗布容器1の位置と姿勢を安定してサポートすることが可能になる。
【0032】
そして、使用者Pの瞼Eに沿い塗布容器1を移動する際には、使用者Pがボール442を頬Cに押し付ける力を弱めることで、キャップ部4の先端部分に設けられたボール部44のボール442と突起443との抵抗を減らし、転動容易な状態にすることで、頬Cに沿うキャップ部4の移動をスムーズに行うことが可能になる。
【0033】
なお、ボール部44は塗布容器1による内容液の塗布時に使用されるだけではなく、例えばキャップ部4を容器本体2の先端部分に装着した状態において、使用者Pの頬C等をマッサージする際にも使用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1:塗布容器
2:容器本体
3:塗布部
4:キャップ部
21:嵌合溝部
22:先端部
24:段部
31:先端部分
41:キャップ本体
42:嵌合腕部
43:第2突条部
44:ボール部
211:縮径箇所
212:拡径箇所
221:第1突条部
411:開口部
421:突起部
441:ボール受け部
442:ボール
443:突起
444:退避凹部
C:頬
E:瞼
H:手
P:使用者


図1
図2
図3
図4