(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052161
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158691
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 将崇
(72)【発明者】
【氏名】峯後 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匠真
(72)【発明者】
【氏名】本村 拓斗
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA02
2D003AB01
2D003AB04
2D003AC01
2D003BA03
2D003BA04
2D003BA07
2D003BB07
2D003DA04
2D003DB08
2D003FA02
(57)【要約】
【課題】作業機械の走行を適正に停止させること。
【解決手段】車体と、車体を支持して走行する走行装置と、車体よりも前方に配置される掘削作業機の掘削ブレードと、を有する作業機械の制御システムは、作業機械の周辺を検出するセンサの検出データを取得する検出データ取得部と、センサの検出データに基づいて、作業機械の前方に下り崖が存在するか否かを判定する判定部と、下り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレードよりも後方に設定された前進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置を制御する走行制御部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体を支持して走行する走行装置と、前記車体よりも前方に配置される掘削作業機の掘削ブレードと、を有する作業機械の制御システムであって、
前記作業機械の周辺を検出するセンサの検出データを取得する検出データ取得部と、
前記センサの検出データに基づいて、前記作業機械の前方に下り崖が存在するか否かを判定する判定部と、
前記下り崖が存在すると判定された場合、前記掘削ブレードよりも後方に設定された前進停止位置と前記下り崖との相対位置に基づいて、前記走行装置を制御する走行制御部と、を備える、
作業機械の制御システム。
【請求項2】
前記前進停止位置は、前記車体の後端部よりも前方に設定される、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記走行制御部は、前記前進停止位置が前記下り崖の開始位置に一致するように、前記走行装置の前進を停止させる、
請求項2に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記センサの検出データに基づいて、前記作業機械の前方に上り崖が存在するか否かを判定し、
前記走行制御部は、前記上り崖が存在すると判定された場合、前記掘削ブレードよりも前方に設定された前進停止位置と前記上り崖との相対位置に基づいて、前記走行装置の前進を停止させる、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記走行制御部は、前記前進停止位置が前記上り崖の開始位置に一致するように、前記走行装置の前進を停止させる、
請求項4に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記作業機械は、前記車体よりも後方に配置されるリッパ作業機のシャンクを有し、
前記判定部は、前記センサの検出データに基づいて、前記作業機械の後方に下り崖が存在するか否かを判定し、
前記走行制御部は、前記下り崖が存在すると判定された場合、前記シャンクよりも前方に設定された後進停止位置と前記下り崖との相対位置に基づいて、前記走行装置の後進を停止させる、
請求項1に記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
前記後進停止位置は、前記車体の前端部よりも後方に設定される、
請求項6に記載の作業機械の制御システム。
【請求項8】
前記走行制御部は、前記後進停止位置が前記下り崖の開始位置に一致するように、前記走行装置の後進を停止させる、
請求項7に記載の作業機械の制御システム。
【請求項9】
前記判定部は、前記センサの検出データに基づいて、前記作業機械の後方に上り崖が存在するか否かを判定し、
前記走行制御部は、前記上り崖が存在すると判定された場合、前記シャンクよりも後方に設定された後進停止位置と前記上り崖との相対位置に基づいて、前記走行装置の後進を停止させる、
請求項6に記載の作業機械の制御システム。
【請求項10】
前記走行制御部は、前記後進停止位置が前記上り崖の開始位置に一致するように、前記走行装置の後進を停止させる、
請求項9に記載の作業機械の制御システム。
【請求項11】
車体と、前記車体を支持して走行する走行装置と、前記車体よりも前方に配置される掘削作業機の掘削ブレードと、を有する作業機械の制御方法であって、
前記作業機械の周辺を検出するセンサの検出データを取得することと、
前記センサの検出データに基づいて、前記作業機械の前方に下り崖が存在するか否かを判定することと、
前記下り崖が存在すると判定された場合、前記掘削ブレードよりも後方に設定された前進停止位置と前記下り崖との相対位置に基づいて、前記走行装置を制御することと、を含む、
作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システム及び作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような作業車両が知られている。また、特許文献2に開示されているような、障害物を検出する物体検出装置を備える作業機械が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-214868号公報
【特許文献2】特開2021-028266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉱山のような作業現場においては崖が存在する可能性がある。崖には上り崖と下り崖とが存在する。崖の種類を考慮せずに作業機械の走行停止制御が実施されると、作業機械の走行を適正に停止させることが困難となる可能性がある。
【0005】
本開示は、作業機械の走行を適正に停止させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、車体と、車体を支持して走行する走行装置と、車体よりも前方に配置される掘削作業機の掘削ブレードと、を有する作業機械の制御システムであって、作業機械の周辺を検出するセンサの検出データを取得する検出データ取得部と、センサの検出データに基づいて、作業機械の前方に下り崖が存在するか否かを判定する判定部と、下り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレードよりも後方に設定された前進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置を制御する走行制御部と、を備える、作業機械の制御システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業機械の走行を適正に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る作業現場の管理システムを模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る作業機械を模式的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る3次元センサ及び障害物センサを模式的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る作業機械の動作の一例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る作業機械の検出システムを示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る現況地形データ記憶部に記憶される記憶データを説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す側面図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す側面図である。
【
図15】
図15は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係る作業機械に設定される警報範囲及び停止範囲を模式的に示す側面図である。
【
図17】
図17は、実施形態に係る作業機械の制御方法を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[管理システム]
図1は、実施形態に係る作業現場の管理システム1を模式的に示す図である。実施形態において、作業現場は、鉱山である。鉱山とは、鉱物を採掘する場所又は事業所をいう。鉱山として、金属を採掘する金属鉱山、石灰石を採掘する非金属鉱山、又は石炭を採掘する石炭鉱山が例示される。作業現場において、複数の作業機械2が稼働する。実施形態において、作業機械2は、ブルドーザである。作業機械2は、作業現場において所定の作業を実施する。作業機械2が実施する作業として、掘削作業、押土作業、及び整地作業が例示される。
【0011】
管理システム1は、管理装置3と、通信システム4とを備える。管理装置3は、コンピュータシステムを含む。管理装置3は、作業機械2の外部に配置される。管理装置3は、作業現場の管制施設5に設置される。管理装置3は、作業現場及び作業機械2を管理する。管制施設5に管理者が存在する。通信システム4として、インターネット(internet)、携帯電話通信網、衛星通信網、又はローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)が例示される。ローカルエリアネットワークとして、無線LANの1つの規格であるWi-Fi(登録商標)が例示される。
【0012】
作業機械2は、制御装置6と、無線通信機4Aとを有する。制御装置6は、コンピュータシステムを含む。無線通信機4Aは、制御装置6に接続される。通信システム4は、制御装置6に接続される無線通信機4Aと、管理装置3に接続される無線通信機4Bとを含む。管理装置3と作業機械2の制御装置6とは、通信システム4を介して無線通信する。
【0013】
[作業機械]
図2は、実施形態に係る作業機械2を模式的に示す側面図である。
図2に示すように、作業機械2は、車体7と、走行装置8と、掘削作業機9と、リッパ作業機10と、位置センサ11と、傾斜センサ12と、3次元センサ13と、障害物センサ14とを備える。車体7は、エンジン室15を有する。エンジン室15にエンジン16が収容される。エンジン16は、作業機械2の駆動源である。走行装置8は、車体7を支持して走行する。走行装置8は、一対の履帯17を有する。履帯17が回転することにより、作業機械2が走行する。
【0014】
掘削作業機9は、作業対象の掘削作業、押土作業、又は整地作業を実施する。掘削作業機9は、車体7に取り付けられる。掘削作業機9の少なくとも一部は、車体7の前方に配置される。掘削作業機9は、掘削ブレード18と、リフトフレーム19と、チルトシリンダ20と、リフトシリンダ21とを有する。
【0015】
掘削ブレード18は、車体7よりも前方に配置される。掘削ブレード18は、切刃18Aを有する。リフトフレーム19は、掘削ブレード18を支持する。リフトフレーム19の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して車体7に連結される。なお、リフトフレーム19の他端部は、回動機構を介して走行装置8に連結されてもよい。
【0016】
チルトシリンダ20及びリフトシリンダ21のそれぞれは、掘削ブレード18を動作させる。チルトシリンダ20は、掘削ブレード18をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ21は、掘削ブレード18を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ20の一端部は、回動機構を介して掘削ブレード18の背面に連結される。チルトシリンダ20の他端部は、リフトフレーム19の上面に接続される。チルトシリンダ20が伸縮することにより、掘削ブレード18のチルト角が変化する。リフトシリンダ21の一端部は、回動機構を介してリフトフレーム19に連結される。リフトシリンダ21の他端部は、回動機構を介して車体7に接続される。リフトシリンダ21が伸縮することにより、掘削ブレード18が上下方向に移動する。
【0017】
リッパ作業機10は、作業対象の切削又は破砕を含むリッピング作業を実施する。リッパ作業機10は、車体7に取り付けられる。リッパ作業機10の少なくとも一部は、車体7よりも後方に配置される。リッパ作業機10は、シャンク22と、リッパアーム23と、チルトシリンダ24と、リフトシリンダ25と、ビーム26とを有する。シャンク22は、車体7の後方に配置される。シャンク22は、リッパポイント22Aを有する。リッパポイント22Aは、シャンク22の先端部に設けられる。リッパアーム23は、シャンク22を支持する。リッパアーム23は、車体7とシャンク22とを連結する。リッパアーム23の一端部は、回動機構を介して車体7の後部に連結される。リッパアーム23の他端部は、ビーム26に連結される。ビーム26は、リッパアーム23に回動可能に連結される。シャンク22は、ビーム26を介してリッパアーム23に連結される。
【0018】
チルトシリンダ24及びリフトシリンダ25のそれぞれは、シャンク22を動作させる。チルトシリンダ24及びリフトシリンダ25のそれぞれは、車体7に連結される。チルトシリンダ24は、シャンク22をチルト動作させるために駆動する。リフトシリンダ25は、シャンク22を上下動作させるために駆動する。チルトシリンダ24の一端部は、回動機構を介してビーム26に連結される。チルトシリンダ24の他端部は、車体7の後部に連結される。チルトシリンダ24が伸縮することにより、シャンク22のチルト角が変化する。チルトシリンダ24は、シャンク22を前後方向に移動させる。リフトシリンダ25の一端部は、回動機構を介してビーム26に連結される。リフトシリンダ25の他端部は、車体7の後部に連結される。リフトシリンダ25が伸縮することにより、シャンク22が上下方向に移動する。リフトシリンダ25は、シャンク22を上下方向に移動させる。
【0019】
リッパ作業機10は、リッパポイント22Aを作業対象に突き刺す。リッパポイント22Aが作業対象に突き刺された状態で走行装置8が走行することにより、作業対象が切削又は破砕される。走行装置8が走行中に、シャンク22が上下方向及び前後方向に移動されてもよい。
【0020】
位置センサ11は、作業機械2の位置を検出する。作業機械2の位置は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して検出される。全地球航法衛星システムは、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)を含む。全地球航法衛星システムは、緯度、経度、及び高度の座標データで規定されるグローバル座標系の位置を検出する。グローバル座標系とは、地球に固定された座標系をいう。位置センサ11は、GNSS受信機を含む。位置センサ11は、グローバル座標系における作業機械2の位置を検出する。位置センサ11は、車体7に配置される。
【0021】
傾斜センサ12は、車体7の傾きを検出する。傾斜センサ12は、水平面に対する車体7の傾斜角度を検出する。傾斜センサ12は、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を含む。傾斜センサ12は、車体7に配置される。
【0022】
3次元センサ13は、検出対象の3次元形状を検出する。3次元センサ13は、検出対象に非接触で検出対象の3次元形状を検出する。3次元センサ13の検出対象は、作業現場を含む。3次元センサ13は、作業現場の3次元形状を検出する。作業現場の3次元形状は、作業現場の地形を含む。3次元センサ13は、検出対象の表面までの距離を検出する。3次元センサ13は、検出対象の表面の複数の検出点のそれぞれとの相対距離を検出することにより、検出対象の表面の3次元形状を検出する。検出対象の3次元形状を示す3次元データは、複数の検出点からなる点群データを含む。3次元データは、3次元センサ13と検出対象に規定される複数の検出点のそれぞれとの相対距離及び相対位置を含む。3次元データは、複数の検出点のそれぞれの高さデータを含む。3次元センサ13として、レーザ光を射出することにより検出対象を検出するレーザセンサ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が例示される。なお、3次元センサ13は、ステレオカメラのような3次元カメラでもよい。3次元センサ13は、車体7に配置される。
【0023】
障害物センサ14は、作業機械2の周辺に存在する物体を検出する。障害物センサ14は、作業現場に存在する作業機械2の障害物を検出する。障害物センサ14は、障害物に非接触で障害物を検出する。障害物センサ14として、電波を射出することにより障害物を検出するレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)が例示される。なお、障害物センサ14は、赤外光を射出することにより障害物を検出する赤外線センサでもよい。障害物センサ14は、車体7に配置される。
【0024】
図3は、実施形態に係る3次元センサ13及び障害物センサ14を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、3次元センサ13は、検出範囲130を有する。3次元センサ13は、検出範囲130に配置された検出対象の3次元データを検出する。実施形態において、3次元センサ13は、車体7の前方の3次元データを検出する3次元センサ13Fと、車体7の後方の3次元データを検出する3次元センサ13Bとを含む。3次元センサ13の検出範囲130は、3次元センサ13Fの検出範囲130Fと、3次元センサ13Bの検出範囲130Bとを含む。検出範囲130Fの少なくとも一部は、掘削作業機9よりも前方に規定される。検出範囲130Bの少なくとも一部は、リッパ作業機10よりも後方に規定される。
【0025】
図3に示すように、障害物センサ14は、検出範囲140を有する。障害物センサ14は、検出範囲140に配置された障害物を検出する。実施形態において、障害物センサ14は、車体7の後方の障害物を検出する。障害物センサ14は、左右方向において車体7の中心よりも左側に配置される障害物センサ14Lと、右側に配置される障害物センサ14Rとを含む。障害物センサ14の検出範囲140は、障害物センサ14Lの検出範囲140Lと、障害物センサ14Rの検出範囲140Rとを含む。検出範囲140Lの少なくとも一部及び検出範囲140Rの少なくとも一部は、車体7の後方に規定される。検出範囲140Lの少なくとも一部は、車体7よりも左方に規定される。検出範囲140Rの少なくとも一部は、車体7よりも右方に規定される。
【0026】
[作業機械の動作]
図4は、実施形態に係る作業機械2の動作の一例を模式的に示す図である。実施形態において、作業機械2は、スロットドージング(slot dozing)を実施することができる。スロットドージングとは、作業対象に形成されたスロット状の掘削レーンに沿って作業機械2が前進と後進とを繰り返しながら作業対象を掘削する施工法をいう。実施形態において、作業機械2は、自動制御によりスロットドージングを実施する。
図4に示すように、作業機械2は、現況地形が最終設計面27Zに沿った形状になるように、スロットドージングする。
図4に示す例において、作業機械2は、第1回目の掘削において、現況地形が第1中間設計面27Aに沿った形状になるように、掘削開始点27Sから前進しながら掘削作業機9で作業対象を掘削する。第1回目の掘削が終了した後、作業機械2は、掘削開始点27Sに戻るために後進する。作業機械2は、第2回目の掘削において、現況地形が第2中間設計面27Bに沿った形状になるように、掘削開始点27Sから前進しながら掘削作業機9で作業対象を掘削する。作業機械2は、現況地形が最終設計面27Zに沿って形状になるまで、前進と後進とを繰り返す。
【0027】
なお、作業機械2の自動制御は、操作者による手動操作と合わせて実施される半自動制御でもよいし、手動操作無しで実施される完全自動制御でもよい。半自動制御の場合、手動操作のための操作装置が作業機械2に搭載され、作業機械2に搭乗した操作者により搭乗操作されてもよい。手動操作のための操作装置が作業機械2の外部に配置され、作業機械2の外部に存在する操作者により遠隔操作されてもよい。
【0028】
[制御システム]
図5は、実施形態に係る作業機械2の制御システム100を示すブロック図である。管理システム1は、制御システム100を含む。制御システム100は、作業機械2の走行停止制御を実施する。制御システム100は、制御装置6と、位置センサ11と、傾斜センサ12と、3次元センサ13と、障害物センサ14と、警報装置30と、走行装置8とを有する。制御装置6は、位置データ取得部61と、3次元データ取得部62と、障害物データ取得部63と、判定部64と、位置設定部65と、警報制御部66と、走行制御部67と、現況地形データ作成部68と、現況地形データ記憶部69とを有する。
【0029】
位置データ取得部61は、作業機械2の現況位置を示す位置データを取得する。作業機械2の現況位置は、位置センサ11の検出データを含む。位置データ取得部61は、位置データとして、位置センサ11の検出データを取得する。位置データ取得部61は、作業機械2の姿勢を示す姿勢データを取得する。作業機械2の姿勢は、傾斜センサ12の検出データを含む。位置データ取得部61は、姿勢データとして、傾斜センサ12の検出データを取得する。
【0030】
3次元データ取得部62は、作業機械2が稼働する作業現場の3次元形状を示す3次元データを取得する。作業現場の3次元データは、3次元センサ13の検出データを含む。3次元データ取得部62は、3次元データとして、3次元センサ13の検出データを取得する。また、3次元センサ13は、作業機械2の進行方向に存在する物体を検出する。
3次元データ取得部62は、作業機械2の進行方向に存在する物体を検出する3次元センサ13の検出データを取得する。また、3次元センサ13は、作業機械2の周辺を検出する。3次元データ取得部62は、作業機械2の周辺を検出する3次元センサ13の検出データを取得する。
【0031】
障害物データ取得部63は、作業機械2の周辺に存在する障害物を示す障害物データを取得する。障害物データは、障害物センサ14の検出データを含む。障害物データ取得部63は、障害物データとして、障害物センサ14の検出データを取得する。障害物データは、3次元センサ13の検出対象の3次元形状を示す3次元データを含んでもよい。障害物データ取得部63は、3次元データに含まれる点群データから検出される立駐物の代表点と障害物センサ14の検出データとを統合して求められた位置を、障害物データとして取得してもよい。
【0032】
判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の進行方向に存在する崖の種類を判定する。3次元センサ13は、作業機械2の周辺の3次元形状を検出する。判定部64は、3次元センサ13により検出された作業機械2の周辺の3次元形状を示す3次元データに基づいて、崖の種類を判定する。崖の種類は、上り崖と下り崖とを含む。判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の進行方向に上り崖が存在するか否かを判定する。判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の進行方向に下り崖が存在するか否かを判定する。
【0033】
位置設定部65は、判定部64により判定された崖の種類に基づいて、作業機械2の警報範囲を変更する。また、位置設定部65は、判定部64により判定された崖の種類に基づいて、作業機械2の停止位置を変更する。
【0034】
警報制御部66は、位置設定部65により設定された警報範囲に基づいて、警報装置30を制御する。警報装置30は、例えば作業機械2の運転室に配置される。警報装置30は、警報音を出力する音声出力装置でもよいし、警報表示データを表示する表示装置でもよい。
【0035】
走行制御部67は、位置設定部65により設定された停止位置に基づいて、走行制御部67を制御する。走行制御部67は、位置設定部65により設定された停止位置に基づいて、作業機械2の走行を停止させる。
【0036】
現況地形データ作成部68は、3次元データ取得部62により取得された3次元データ、位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データ、及び位置データ取得部61により取得された作業機械2の姿勢を示す姿勢データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成する。現況地形データ作成部68は、3次元センサ13の検出データ、位置センサ11の検出データ、及び傾斜センサ12の検出データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成する。
【0037】
現況地形データ記憶部69は、現況地形データ作成部68により作成された作業現場の現況地形データを記憶する。現況地形データ記憶部69は、現況地形データと時刻と現況地形データに付与される属性データとを対応付けて記憶する。また、現況地形データ記憶部69は、位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データに基づいて、現況地形データと現況地形データが取得された時刻と現況地形データが取得された作業機械2の現況位置とを対応付けて記憶する。
【0038】
管理装置3は、現況地形データ作成部3Aと、現況地形データ記憶部3Bとを有する。上述のように、作業現場に複数の作業機械2が存在する。複数の作業機械2のそれぞれは、現況地形データ記憶部69に記憶されている現況地形データを、通信システム4を介して管理装置3に送信する。現況地形データ作成部3Aは、複数の作業機械2のそれぞれから送信された現況地形データを統合して、作業現場の現況地形データを作成する。現況地形データ記憶部3Bは、現況地形データ作成部3Aにより作成された現況地形データを記憶する。複数の作業機械2のそれぞれは、現況地形データを所定の時間間隔で管理装置3に送信する。複数の作業機械2のそれぞれは、例えば1秒ごとに現況地形データを管理装置3に送信する。現況地形データ作成部3Aは、現況地形データを受信する度に現況地形データを作成する。現況地形データ作成部3Aが現況地形データを作成する度に、現況地形データ記憶部3Bに記憶される現況地形データが更新される。
【0039】
[記憶データ]
図6は、実施形態に係る現況地形データ記憶部69に記憶される記憶データを説明するための図である。
図6に示すように、作業現場の3次元データは、作業現場の地形の表面に規定される複数の検出点28のそれぞれの高さデータを含む。3次元データが取得されたときの作業機械2の現況位置、作業機械2の姿勢、及び3次元データに基づいて、グローバル座標系における複数の検出点28のそれぞれの位置が定められる。なお、検出点28の位置は、グローバル座標系において規定されてもよいし、作業機械2に設定されたローカル座標系のような所定の座標系において規定されてもよい。複数の検出点28のそれぞれに、時刻を示す時刻データが付与される。時刻データが示す時刻とは、3次元データ取得部62が検出点28を取得した時刻、又は位置データ取得部61が検出点28に対応する位置データを取得した時刻をいう。なお、時刻データの時刻は、3次元センサ13が検出点28を検出した時刻とみなされてもよい。時刻データは、複数の検出点28のそれぞれに対応付けて記憶される。また、複数の検出点28のそれぞれに、属性を示す属性データが付与される。属性データが示す属性とは、検出点28の属性をいう。検出点28の属性は、作業現場の地形に係る属性及び作業現場に存在する障害物に係る属性を含む。属性データは、複数の検出点28のそれぞれに対応付けて記憶される。
【0040】
[停止位置の設定方法]
図7は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す平面図である。
図8は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す側面図である。
図7及び
図8のそれぞれは、前進する作業機械2の前方に上り崖が存在するときの警報範囲31A及び停止範囲32Aを示す。上り崖に向かって前進する作業機械2の警報範囲31Aに上り崖が配置されると、警報制御部66は、警報装置30を作動させる。停止範囲32Aは、前進する作業機械2の目標停止位置を示す前進停止位置を含む。前進停止位置を含む停止範囲32Aは、掘削作業機9の掘削ブレード18よりも前方に設定される。前進停止位置は、停止範囲32Aの前端部に規定されてもよいし、停止範囲32Aの後端部に規定されてもよいし、停止範囲32Aの前端部と後端部との間に規定されてもよい。上り崖に向かって前進する作業機械2の停止範囲32Aに上り崖が配置されると、走行制御部67は、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2が上り崖に接触しないように、作業機械2の走行を停止させる。
【0041】
判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の前方に上り崖が存在するか否かを判定する。
図7及び
図8に示すように、作業機械2の進行方向である前方に存在する崖の種類が上り崖であると判定部64により判定された場合、位置設定部65は、作業機械2よりも前方側に停止範囲32Aを設定する。走行制御部67は、作業機械2の前方に上り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレード18よりも前方に設定された前進停止位置と上り崖との相対位置に基づいて、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2の前方に上り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレード18よりも前方に設定された前進停止位置と上り崖との相対位置に基づいて、走行装置8の走行(前進)を停止させる。走行制御部67は、前進停止位置が上り崖に進入する前に又は前進停止位置が上り崖の開始位置33に一致するように、走行装置8の走行(前進)を停止させる。
【0042】
図9は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す平面図である。
図10は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す側面図である。
図9及び
図10のそれぞれは、前進する作業機械2の前方に下り崖が存在するときの警報範囲31B及び停止範囲32Bを示す。下り崖に向かって前進する作業機械2の警報範囲31Bに下り崖が配置されると、警報制御部66は、警報装置30を作動させる。停止範囲32Bは、前進する作業機械2の目標停止位置を示す前進停止位置を含む。前進停止位置を含む停止範囲32Bは、掘削作業機9の掘削ブレード18よりも後方に設定される。前進停止位置を含む停止範囲32Bは、車体7の後端部よりも前方に設定される。前進停止位置は、停止範囲32Bの前端部に規定されてもよいし、停止範囲32Bの後端部に規定されてもよいし、停止範囲32Bの前端部と後端部との間に規定されてもよい。下り崖に向かって前進する作業機械2の停止範囲32Bに下り崖が配置されると、走行制御部67は、作業機械2が下り崖に落ちないように、作業機械2の走行を停止させる。
【0043】
判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の前方に下り崖が存在するか否かを判定する。
図9及び
図10に示すように、作業機械2の進行方向である前方に存在する崖の種類が下り崖であると判定部64により判定された場合、位置設定部65は、作業機械2の前端部よりも後方側に停止範囲32Bを設定する。また、位置設定部65は、作業機械2の後端部よりも前方側に停止範囲32Bを設定する。作業機械2の前端部は、掘削作業機9の前端部を含む。作業機械2の後端部は、リッパ作業機10の後端部を含む。上述のように、実施形態においては、停止範囲32Bは、掘削ブレード18よりも後方且つ車体7の後端部よりも前方に設定される。走行制御部67は、作業機械2の前方に下り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレード18よりも後方に設定された前進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2の前方に下り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレード18よりも後方に設定された前進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置8の走行(前進)を停止させる。走行制御部67は、前進停止位置が下り崖に進入する前に又は前進停止位置が下り崖の開始位置34に一致するように、走行装置8の走行(前進)を停止させる。
【0044】
図11は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す平面図である。
図12は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す側面図である。
図11及び
図12のそれぞれは、後進する作業機械2の後方に上り崖が存在するときの警報範囲31C及び停止範囲32Cを示す。上り崖に向かって後進する作業機械2の警報範囲31Cに上り崖が配置されると、警報制御部66は、警報装置30を作動させる。停止範囲32Cは、後進する作業機械2の目標停止位置を示す後進停止位置を含む。後進停止位置を含む停止範囲32Cは、リッパ作業機10のシャンク22よりも後方に設定される。後進停止位置は、停止範囲32Cの前端部に規定されてもよいし、停止範囲32Cの後端部に規定されてもよいし、停止範囲32Cの前端部と後端部との間に規定されてもよい。上り崖に向かって後進する作業機械2の停止範囲32Cに上り崖が配置されると、走行制御部67は、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2が上り崖に接触しないように、作業機械2の走行を停止させる。
【0045】
判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の後方に上り崖が存在するか否かを判定する。
図11及び
図12に示すように、作業機械2の進行方向である後方に存在する崖の種類が上り崖であると判定部64により判定された場合、位置設定部65は、作業機械2よりも後方側に停止範囲32Cを設定する。走行制御部67は、作業機械2の後方に上り崖が存在すると判定された場合、シャンク22よりも後方に設定された後進停止位置と上り崖との相対位置に基づいて、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2の後方に上り崖が存在すると判定された場合、シャンク22よりも後方に設定された後進停止位置と上り崖との相対位置に基づいて、走行装置8の走行(後進)を停止させる。走行制御部67は、後進停止位置が上り崖に進入する前に又は後進停止位置が上り崖の開始位置33に一致するように、走行装置8の走行(後進)を停止させる。
【0046】
図13は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す平面図である。
図14は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す側面図である。
図13及び
図14のそれぞれは、後進する作業機械2の後方に下り崖が存在するときの警報範囲31D及び停止範囲32Dを示す。下り崖に向かって後進する作業機械2の警報範囲31Dに下り崖が配置されると、警報制御部66は、警報装置30を作動させる。停止範囲32Dは、後進する作業機械2の目標停止位置を示す後進停止位置を含む。後進停止位置を含む停止範囲32Dは、リッパ作業機10のシャンク22よりも前方に設定される。後進停止位置を含む停止範囲32Dは、車体7の前端部よりも後方に設定される。後進停止位置は、停止範囲32Dの前端部に規定されてもよいし、停止範囲32Dの後端部に規定されてもよいし、停止範囲32Dの前端部と後端部との間に規定されてもよい。下り崖に向かって後進する作業機械2の停止範囲32Dに下り崖が配置されると、走行制御部67は、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2が下り崖に落ちないように、作業機械2の走行を停止させる。
【0047】
判定部64は、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の後方に下り崖が存在するか否かを判定する。
図13及び
図14に示すように、作業機械2の進行方向である後方に存在する崖の種類が下り崖であると判定部64により判定された場合、位置設定部65は、作業機械2の後端部よりも前方側に停止範囲32Dを設定する。また、位置設定部65は、作業機械2の前端部よりも後方側に停止範囲32Dを設定する。作業機械2の後端部は、リッパ作業機10の後端部を含む。作業機械2の前端部は、掘削作業機9の前端部を含む。上述のように、実施形態においては、停止範囲32Dは、シャンク22よりも前方且つ車体7の前端部よりも後方に設定される。走行制御部67は、作業機械2の後方に下り崖が存在すると判定された場合、シャンク22よりも後方に設定された後進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2の後方に下り崖が存在すると判定された場合、シャンク22よりも後方に設定された後進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置8の走行(後進)を停止させる。走行制御部67は、後進停止位置が下り崖に進入する前に又は後進停止位置が下り崖の開始位置34に一致するように、走行装置8の走行(後進)を停止させる。
【0048】
図15は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す平面図である。
図16は、実施形態に係る作業機械2に設定される警報範囲31及び停止範囲32を模式的に示す側面図である。
図15及び
図16のそれぞれは、後進する作業機械2の後方に物体(障害物)が存在するときの警報範囲31E及び停止範囲32Eを示す。
図16に示す例において、物体は、他の作業機械2Bである。他の作業機械2Bに向かって後進する作業機械2の警報範囲31Eに他の作業機械2Bが配置されると、警報制御部66は、警報装置30を作動させる。停止範囲32Eは、後進する作業機械2の目標停止位置を示す後進停止位置を含む。後進停止位置を含む停止範囲32Eは、リッパ作業機10のシャンク22よりも後方に設定される。後進停止位置は、停止範囲32Eの前端部に規定されてもよいし、停止範囲32Eの後端部に規定されてもよいし、停止範囲32Eの前端部と後端部との間に規定されてもよい。他の作業機械2Bに向かって後進する作業機械2の停止範囲32Eに他の作業機械2Bが配置されると、走行制御部67は、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2が他の作業機械2Bに接触しないように、作業機械2の走行を停止させる。
【0049】
障害物センサ14は、作業機械2の周辺に存在する物体(障害物)を検出する。判定部64は、障害物センサ14の検出データに基づいて、作業機械2の周辺に物体(障害物)が存在するか否かを判定する。判定部64は、障害物センサ14の検出データと3次元センサ13の検出対象の3次元形状を示す3次元データとに基づいて、作業機械2の周辺に物体(障害物)が存在するか否かを判定してもよい。判定部64は、3次元データに含まれる点群データから検出される立駐物の代表点と障害物センサ14の検出データを統合して求めた位置に物体(障害物)が存在すると判定してもよい。
図15及び
図16に示す例において、判定部64は、障害物センサ14の検出データに基づいて、作業機械2の後方に他の作業機械2Bが存在するか否かを判定する。
図15及び
図16に示すように、作業機械2の進行方向である後方に他の作業機械2Bが存在すると判定部64により判定された場合、位置設定部65は、作業機械2よりも後方側に停止範囲32Eを設定する。走行制御部67は、作業機械2の後方に他の作業機械2Bが存在すると判定された場合、シャンク22よりも後方に設定された後進停止位置と他の作業機械2Bとの相対位置に基づいて、走行装置8を制御する。走行制御部67は、作業機械2の後方に他の作業機械2Bが存在すると判定された場合、シャンク22よりも後方に設定された後進停止位置と他の作業機械2Bとの相対位置に基づいて、走行装置8の走行(後進)を停止させる。走行制御部67は、後進停止位置が他の作業機械2Bに進入する前に、走行装置8の走行(後進)を停止させる。
【0050】
[制御方法]
図17は、実施形態に係る作業機械2の制御方法を示すフローチャートである。判定部64は、作業機械2が前進しているか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1において、作業機械2が前進していると判定した場合(ステップS1:Yes)、判定部64は、3次元センサ13Fの検出データに基づいて、作業機械2の前方に上り崖が存在するか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2において、上り崖が存在すると判定された場合(ステップS2:Yes)、走行制御部67は、
図7及び
図8を参照して説明した停止範囲32Aに含まれる第1の前進停止位置に基づいて、作業機械2の前進を停止させる。ステップS2において、下り崖が存在すると判定された場合(ステップS2:No)、走行制御部67は、
図9及び
図10を参照して説明した停止範囲32Bに含まれる第2の前進停止位置に基づいて、作業機械2の前進を停止させる。
【0051】
ステップS1において、作業機械2が後進していると判定した場合(ステップS1:No)、判定部64は、3次元センサ13Bの検出データに基づいて、作業機械2の後方に上り崖が存在するか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5において、上り崖が存在すると判定された場合(ステップS5:Yes)、走行制御部67は、
図11及び
図12を参照して説明した停止範囲32Cに含まれる第1の後進停止位置に基づいて、作業機械2の後進を停止させる。ステップS5において、下り崖が存在すると判定された場合(ステップS5:No)、走行制御部67は、
図13及び
図14を参照して説明した停止範囲32Dに含まれる第2の後進停止位置に基づいて、作業機械2の後進を停止させる。
【0052】
[コンピュータシステム]
図18は、実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述の管理装置3及び制御装置6のそれぞれは、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述の管理装置3及び制御装置6のそれぞれの機能は、コンピュータプログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、コンピュータプログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、コンピュータプログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0053】
コンピュータシステム1000又はコンピュータプログラムは、上述の実施形態に従って、作業機械2の周辺を検出する3次元センサ13の検出データを取得することと、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の前方に下り崖が存在するか否かを判定することと、下り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレード18よりも後方に設定された前進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置8の前進を停止させることと、を実行することができる。
【0054】
[効果]
以上説明したように、実施形態に係る作業機械2の制御システム100は、作業機械2の周辺を検出する3次元センサ13の検出データを取得する3次元データ取得部62と、3次元センサ13の検出データに基づいて、作業機械2の前方に下り崖が存在するか否かを判定する判定部64と、下り崖が存在すると判定された場合、掘削ブレード18よりも後方に設定された前進停止位置と下り崖との相対位置に基づいて、走行装置8の前進を停止させる走行制御部67と、を備える。これにより、下り崖が存在する作業現場において、作業機械2の走行が適正に停止される。下り崖の開始位置34から離れた位置で停止してしまうと、作業機械2の走行距離が短くなるため、作業機械2の作業性が低下する可能性がある。下り崖の開始位置34を大きく超えた位置で停止してしまうと、作業機械2が下り崖に落ちてしまう可能性がある。下り崖に応じた前進停止位置が適正に設定されることにより、作業機械2の作業性の低下を抑制しつつ、作業機械2を適正な位置で停止させることができる。
【0055】
[その他の実施形態]
上述の実施形態において、現況地形データ作成部68は、少なくとも3次元データ取得部62により取得された3次元データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成してもよい。また、現況地形データ作成部68は、少なくとも位置データ取得部61により取得された作業機械2の現況位置を示す位置データに基づいて、作業現場の現況地形データを作成してもよい。
【0056】
上述の実施形態において、判定部64は、現況地形データ作成部68により作成された作業現場の現況地形データに基づいて、作業機械2の進行方向に存在する崖の種類を判定してよい。判定部64は、現況地形データ作成部68により作成された作業現場の現況地形データに基づいて、作業機械2の進行方向に上り崖が存在するか否かを判定してよい。判定部64は、現況地形データ作成部68により作成された作業現場の現況地形データに基づいて、作業機械2の進行方向に下り崖が存在するか否かを判定してよい。
【0057】
上述の実施形態において、制御装置6の機能の少なくとも一部が、管理装置3に設けられてもよい。管理装置3の機能の少なくとも一部が、制御装置6に設けられてもよい。
【0058】
上述の実施形態において、例えば、位置データ取得部61、3次元データ取得部62、障害物データ取得部63、判定部64、位置設定部65、警報制御部66、走行制御部67、現況地形データ作成部68、及び現況地形データ記憶部69のそれぞれが、別々のハードウエアにより構成されてもよい。
【0059】
上述の実施形態において、作業機械2は、ブルドーザであることとした。作業機械2は油圧ショベル、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の作業機械でもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…管理システム、2…作業機械、3…管理装置、3A…現況地形データ作成部、3B…現況地形データ記憶部、4…通信システム、4A…無線通信機、4B…無線通信機、5…管制施設、6…制御装置、7…車体、8…走行装置、9…掘削作業機、10…リッパ作業機、11…位置センサ、12…傾斜センサ、13…3次元センサ、13F…3次元センサ、13B…3次元センサ、14…障害物センサ、14L…障害物センサ、14R…障害物センサ、15…エンジン室、16…エンジン、17…履帯、18…掘削ブレード、18A…切刃、19…リフトフレーム、20…チルトシリンダ、21…リフトシリンダ、22…シャンク、22A…リッパポイント、23…リッパアーム、24…チルトシリンダ、25…リフトシリンダ、26…ビーム、27A…第1中間設計面、27B…第2中間設計面、27S…掘削開始点、27Z…最終設計面、28…検出点、30…警報装置、31…警報範囲、31A…警報範囲、31B…警報範囲、31C…警報範囲、31D…警報範囲、31E…警報範囲、32…停止範囲、32A…停止範囲、32B…停止範囲、32C…停止範囲、32D…停止範囲、32E…停止範囲、33…開始位置、34…開始位置、61…位置データ取得部、62…3次元データ取得部、63…障害物データ取得部、64…判定部、65…位置設定部、66…警報制御部、67…走行制御部、68…現況地形データ作成部、69…現況地形データ記憶部、100…制御システム、130…検出範囲、130F…検出範囲、130B…検出範囲、140…検出範囲、140L…検出範囲、140R…検出範囲、1000…コンピュータシステム、1001…プロセッサ、1002…メインメモリ、1003…ストレージ、1004…インターフェース。