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  • 特開-開閉体装置及び開閉体制御方法 図1
  • 特開-開閉体装置及び開閉体制御方法 図2
  • 特開-開閉体装置及び開閉体制御方法 図3
  • 特開-開閉体装置及び開閉体制御方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052165
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/82 20060101AFI20240404BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E06B9/82 G
E06B9/84 B
E06B9/82 E
E06B9/82 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158699
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】若井 孝仁
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042AA06
2E042BA04
2E042CA01
2E042CB05
2E042CB06
2E042CC01
2E042CC03
2E042CC08
2E042DA01
2E042DB12
(57)【要約】
【課題】保護回路が働いた場合でも安全性が確保できる場合は継続動作可能とし利用者の利便性を向上する。
【解決手段】誤検知を防止するために2回連続で過電流エラーが検知された場合のみ保護回路30を有効にして動作を停止するようにした。これによって、保護回路が働いた場合でも安全性が確保できる場合は継続動作可能とし利用者の利便性を向上できる。なお、通常の動作速度よりも遅くして開閉動作を継続する場合、動作速度を通常速度の50%とし、動作中は異常ランプを点滅させて利用者に警告報知する。エラー解除後に動作回数が所定回数(例えば30~50回)以下の場合には、過電流エラーが検知された時点で保護手段が働いて動作を停止し、エラー解除後に開閉手段の動作回数が所定回数よりも大きい場合には、過電流エラーを誤検知とみなして通常の動作速度よりも遅くして開閉動作を継続する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記商用電源から前記電源供給装置に過電流エラーが検知されたときに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断する保護手段とを備えた開閉体装置において、
前記過電流エラーの1回目が検知された場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続し、前記開閉手段の動作速度が通常の動作速度よりも遅い動作速度で動作中に前記過電流エラーの2回目が検知された場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断することを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、前記保護手段のエラー解除後に前記過電流エラーが検知された時点における前記開閉手段のエラー解除後の動作回数が、所定回数以下の場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断し、前記動作回数が所定回数よりも大きい場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続することを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記商用電源から前記電源供給装置に過電流エラーが検知されたときに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断する保護手段とを備えた開閉体制御方法において、
前記過電流エラーの1回目が検知された場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続し、前記開閉手段の動作速度が通常の動作速度よりも遅い動作動作中に前記過電流エラーの2回目が検知された場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断することを特徴とする開閉体制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の開閉体制御方法において、前記保護手段のエラー解除後に前記過電流エラーが検知された時点における前記開閉手段のエラー解除後の動作回数が、所定回数以下の場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断し、前記動作回数が所定回数よりも大きい場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続することを特徴とする開閉体制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉体装置及び開閉体制御方法に係り、特に、開口部の周辺物の変位を検出して、開閉体の動作を自動的に行う際に、誤動作を防止するのに好適な開閉体装置及び開閉体制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に、電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。そして、このような電動の開閉体装置の中には、開口部の周辺物の変位を検出するセンサを設け、センサが開口部の周辺物の変位を検出すると、人や車両等が開口部に近づいて来たものとして、閉鎖中の開閉体を自動的に開放するものがある。例えば、開閉体としてシート材からなるシートカーテンを用いた電動の開閉体装置は、人や車両等が頻繁に出入りする出入り口(開口部)に設けられることが多いので、開閉体の開閉動作を自動的に行うものがほとんどである。特許文献1には、出入り口部上部の前後にそれぞれ設けられ、出入り口部の近傍を通過する人や車両等を検知する第一、第二起動センサを備えたシートシャッター装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-9450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、開閉体装置の制御装置へ商用電源を供給する電源供給装置には、安全上の理由から、商用電源の電源供給装置への通電を遮断する保護回路が取り付けられている。保護回路は、過負荷や短絡などの要因で電源供給装置に異常な過電流が流れたとき、商用電源の電源供給装置への通電を遮断するものである。一旦通電が遮断された場合、その保護回路に対して操作者が手動で通電の復帰作業(エラー解除)を行う必要がある。これによって、開閉体装置は、保護回路が働いた場合は即座に動作を停止することができる。しかし、故障ではなく誤検知等で一時的に保護回路が働いてしまった場合や、本来は動作し続けても問題ない場合であっても一度保護回路が働くとそのエラー解除操作を行わないと再度開閉体装置を使用することができないという問題があった。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、保護回路が働いた場合でも安全性が確保できる場合は継続動作可能とし利用者の利便性を向上することのできる開閉体装置及び開閉体制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、前記商用電源から前記電源供給装置に過電流エラーが検知されたときに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断する保護手段とを備えた開閉体装置において、前記過電流エラーが検知された場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続し、前記開閉手段の動作速度が通常の動作速度よりも遅い動作速度で動作中に前記過電流エラーが再度検知された場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断することにある。
従来は、過電流エラーが検知されると保護手段が働いて動作を停止する。この発明では、誤検知を防止するために2回連続で過電流エラーが検知された場合のみ保護手段を有効にして動作を停止するようにした。これによって、保護回路が働いた場合でも安全性が確保できる場合は継続動作可能とし利用者の利便性を向上することができる。なお、通常の動作速度よりも遅い動作速度を継続する場合、動作速度を通常速度の50%とし、開閉動作中は異常ランプを点滅させて利用者に警告報知する。
【0008】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、前記過電流エラーが検知された時点における前記開閉手段のエラー解除後の動作回数が、所定回数以下の場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断し、前記動作回数が所定回数よりも大きい場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続することにある。
これは、エラー解除後に開閉手段の動作回数が所定回数(例えば30~50回)以下の場合には、過電流エラーが検知された時点で保護手段が働いて動作を停止し、エラー解除後に開閉手段の動作回数が所定回数(例えば30~50回)よりも大きい場合には、過電流エラーを誤検知とみなして通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続するようにしたものである。動作回数には、開動作回数、閉動作回数、又は開閉動作回数が対応する。
【0009】
本発明の開閉体制御方法の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、前記商用電源から前記電源供給装置に過電流エラーが検知されたときに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断する保護手段とを備えた開閉体制御方法において、前記過電流エラーの1回目が検知された場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続し、前記開閉手段の動作速度が通常の動作速度よりも遅い動作動作中に前記過電流エラーの2回目が検知された場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断することにある。
これは、前記開閉体装置の第1の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【0010】
本発明の開閉体制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体制御方法において、前記保護手段のエラー解除後に前記過電流エラーが検知された時点における前記開閉手段のエラー解除後の動作回数が、所定回数以下の場合は直ちに前記商用電源の前記電源供給装置への通電を遮断し、前記動作回数が所定回数よりも大きい場合は前記開閉手段の動作速度を通常の動作速度よりも遅い動作速度で継続することにある。
これは、前記開閉体装置の第2の特徴に対応した開閉体制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、保護回路が働いた場合でも安全性が確保できる場合は継続動作可能とし利用者の利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。
図4】この実施の形態に係る開閉体装置が実行する動作処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に従って、本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として、上下に開閉動作されるシート材からなるシートカーテンを備えたシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0014】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シートカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、位置検出装置172、制御装置18、障害物感知装置185、操作スイッチ19、電源供給装置20及び保護回路30などを含んで構成される。この開閉体装置10は、通常時には、操作スイッチ19の操作の作動に応じて、開閉機であるモータ17を駆動して開閉制御するようになっている。
【0015】
ガイドレール13,14は、シートカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シートカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0016】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シートカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シートカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0017】
モータ17には、その回転位置、すなわちシートカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、モータ17の回転位置やシートカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0018】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、商用電源の電源ラインACから電源供給装置20を介して電力が供給されている。制御装置18は、操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号、障害物感知装置185からの感知信号、及びモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0019】
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置18に出力する。なお、図1では示していないが、制御装置18は、無線型リモコン装置によっても操作可能としてもよい。
【0020】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシートカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0021】
障害物感知装置185は、送信機がシートカーテン12の下端部(座板)に設けられたもので、障害物感知時には、内蔵された座板スイッチの移動に対応した感知信号を制御装置18に送信し、また、その後の障害物の除去により座板スイッチの復帰移動時には、復帰信号を送信する構成となっている。障害物感知装置185の送信機から制御装置18への信号の送信は、図のような有線方式に限らず、電池を電源として作動する無線方式のものでもよい。また、シートカーテン12の下端部に障害物の接触で移動する座板スイッチを設け、障害物接触時の座板の移動力でガイドレール13,14の高さ方向に沿って設けられたテープスイッチを押圧する構成や、テープスイッチから制御装置18に対し感知信号を有線出力する構成としてもよい。この他、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0022】
電源供給装置20は、商用電源の電源ラインACから交流電力を入力し、モータ17が交流モータである場合は交流電力を、モータ17が直流モータである場合は交流電力を直流に変換した直流電力を、制御装置18へ供給する。なお、本実施の形態では、電源供給装置20がシャッターケース11内に設置されているが、電源供給装置20をシャッターケース11の外側に設置してもよい。
保護回路30は、過負荷や短絡などの要因で電源供給装置20に異常な過電流が流れたときに、商用電源の電源供給装置20への通電を遮断する。遮断状態の保護回路30は、操作者が手動で通電の復帰(エラー解除)を行う必要がある。
【0023】
図2は、図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源供給装置20から供給された電力により、操作スイッチ19、障害物感知装置185、及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、モータ17を制御する。なお、図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0024】
図3は、本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。本実施の形態の制御装置18は、モータ駆動回路18a及びCPU18bなどを含んで構成されている。モータ駆動回路18aは、IPM(Intelligent Power Module:高機能電力用半導体素子)ドライバ等からなり、CPU18bの制御により、電源供給装置20から制御装置18へ供給された交流電力又は直流電力を、モータ17へ出力して、モータ17を駆動する。
【0025】
図4は、この実施の形態に係る開閉体装置が実行する動作処理の一例を示すフローチャート図である。以下、これらのフローチャート図を用いて開閉体装置が実行する処理の一例を説明する。この動作処理では、誤検知を防止するために2回連続で過電流エラーが検知された場合のみ保護回路を有効にして動作を停止するようにした。
【0026】
図4に基づいて開閉体装置10が実行する動作処理の一例について説明する。この動作処理は、制御装置18が下降(閉)ボタン19C又は上昇(開)ボタン19Aの操作に対応した信号を入力することによって実行されるシートカーテン12の開閉動作処理である。開閉動作処理が実行されるたびに動作回数レジスタがインクリメント処理される
ステップS61では、電源供給装置に異常な過電流が流れるなどの過電流エラーが検知されたか否かの判定を行い、検知された(yes)場合はステップS62に進み、検知されていない(no)場合は、ステップS63に進む。
【0027】
ステップS62では、ステップS61の過電流エラーが検知された時点における動作回数が所定回数X以下であるか否かの判定を行い、所定回数X以下(yes)の場合は過電流エラーの検知に従って商用電源の電源供給装置への通電を遮断し異常停止とし、動作回数が所定回数Xよりも大きい(no)場合次のステップS64に進む。エラー解除後にシートカーテン12の動作回数が所定回数(例えば30~50回)以下の場合には、過電流エラーが検知された時点で保護回路30が働いて動作を停止し、エラー解除後にシートカーテン12の動作回数が所定回数(例えば30~50回)よりも大きい場合には、過電流エラーを誤検知とみなして通常の動作速度よりも遅くして開閉動作を継続する。
【0028】
ステップS63では、停止(停)ボタン19Bの操作に対応した停止信号の入力有りか無しの判定を行い、停止信号の入力有り(yes)の場合は開閉動作を終了し、シートカーテン12の開閉動作処理を正常に停止し、停止信号の入力無し(no)の場合はステップS61にリターンし、開閉動作を継続する。開閉動作の継続によってシートカーテン12は上限又は下限位置で正常停止することになる。
【0029】
ステップS64では、保護機能の動作要求に応じてシートカーテン12の動作速度を通常速度の50%に減速し、開閉動作を継続し、ステップS65に進む。通常速度の50%で開閉動作中は、異常ランプを点滅させて利用者に警告報知しながら開閉動作を継続する。
ステップS65では、2回目の保護機能の動作要求が検知されたか否かの判定を行い、検知された(yes)場合は保護機能の動作要求に従って商用電源の電源供給装置への通電を遮断し異常停止とし、検知されていない(no)場合は、ステップS66に進む。2回連続で過電流エラーが検知されたので、直ちに異常停止する。
【0030】
ステップS66では、停止(停)ボタン19Bの操作に対応した停止信号の入力有りか無しの判定を行い、停止信号の入力有り(yes)の場合は開閉動作を終了し、シートカーテン12の開閉動作処理を正常に停止し、停止信号の入力無し(no)の場合はステップS65にリターンし、通常速度の50%の動作速度を継続する。通常速度の50%の動作速度の継続によってシートカーテン12は上限又は下限位置で正常停止することになる。ステップS61の過電流エラーの検知が誤検知の可能性があり、開閉動作を継続することで、利用者の利便性が向上する。
【0031】
この開閉動作処理における動作回数には、開動作回数、閉動作回数、又は開閉動作回数のいずれでもよい。上限又は下限位置で正常停止した場合を閉動作回数としてカウントしてもよい。動作回数レジスタはエラー解除後にリセットされ、その動作回数に応じてインクリメント処理される。
【0032】
なお、図示していないが、開閉動作の途中で障害物感知装置185からの感知信号を感知した場合は直ちに障害物検知処理を実行する。障害物検知処理は、シートカーテン12の下降動作を停止し反転上昇を実行し、上昇動作を終了し、シートカーテン12は上限位置で正常停止する。
【0033】
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシートカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、オーバーヘッドドア、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シートカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
18a…モータ駆動回路
18b…CPU
18c…メモリ
185…障害物感知装置
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源供給装置
30…保護回路
図1
図2
図3
図4