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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052167
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158703
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正樹
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707DS02
3C707ES03
3C707ET08
3C707HS27
3C707KS04
3C707KT01
3C707KT06
3C707KV11
3C707KX07
3C707NS09
(57)【要約】
【課題】ワークの姿勢関係なく取り出し可能に構成された搬送装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、略円板形状のワーク100を把持可能な把持部34を多関節ロボット30によって移動させ、前記把持部34は、ワーク100の外周面を把持する外周把持チャック35およびワーク100の平面を把持する平面把持チャック36を備え、前記外周把持チャック35および平面把持チャック36の中心軸が一致するように配置されていることを特徴とする搬送装置10による。また、前記多関節ロボット30は先端に把持部を回転させる把持部回転手段33を備えており、前記外周把持チャック35および平面把持チャック36は、前記中心軸が前記把持部回転手段33の回転軸と一致するように配置されていてもよい。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円板形状のワークを把持可能な把持部を多関節ロボットによって移動させる搬送装置において、
前記把持部は、ワークの外周面を把持する外周把持チャックおよびワークの平面を把持する平面把持チャックを備え、
前記外周把持チャックおよび平面把持チャックの中心軸が一致するように配置されていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記多関節ロボットは先端に把持部を回転させる把持部回転手段を備えており、
前記外周把持チャックおよび平面把持チャックは、前記中心軸が前記把持部回転手段の回転軸と一致するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
所定の位置に設置されたワークを撮像する撮像手段と、当該撮像手段の撮像結果を基にワークの方向を判別可能な制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記把持部が前記ワークと同じ方向を向くように前記把持部回転手段を回転駆動させること特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記ワークには、軸線方向に貫通する中心穴を備えており、
前記平面把持チャックは、ワークを把持する把持爪が前記外周把持チャックの把持爪より先端側に突出しているとともに、前記平面把持チャックの把持爪が前記ワークの中心穴に挿通可能な大きさに構成されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記把持部は、前記平面把持チャックまたは前記外周把持チャックにワークが把持されているか否かを検出可能な検出センサを備えていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円環形状のワークを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円環形状のワークを搬送する搬送装置として、特許文献1および2に開示するものが知られている。特許文献1に開示される搬送装置は、ワークを把持する把持手段と、把持手段を移動させるロボットハンド等の移動手段とを備えており、前記把持手段は、前記ワークの貫通穴内部に送通可能かつ貫通穴内部で開閉可能な爪部を有している。このように構成された搬送装置は、平置きされたワークの貫通穴に前記把持手段の爪部を送通後に当該爪部を開けることで、ワークを把持することが可能であり、その状態で移動手段を駆動することでワークの搬送が可能となっていた。
【0003】
一方、特許文献2に開示される搬送装置は、ワークを把持する把持手段として、ワークの外周と挟持可能に揺動する揺動爪を備えており、この揺動爪が閉じることでワークを揺動爪の間に挟み保持することが可能に構成されていた。また揺動爪には、ワークと当接する位置決めピンが設けられており、当該揺動爪に挟持されたワークが位置決めされていた。これらからワークを正確な位置に搬送可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平02-104990号公報
【特許文献2】実開平04-051388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の搬送装置は、水平面上に平置きされたワークを取り出すことしかできなかった。そのため、板状部材を搬送する搬送装置では、平置きされたワークの待機場所が広くなり、装置が大きくなるという問題は発生する。また、ワークを立設させて待機させると、別途立設されたワークを取り出し、所定の仮置き位置まで搬送する手段が必要となり、制御が複雑化するという問題が発生する。
【0006】
そのため、本発明は、ワークの姿勢関係なく取り出し可能に構成された搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明は、略円板形状のワークを把持可能な把持部を多関節ロボットによって移動させる搬送装置において、前記把持部は、ワークの外周面を把持する外周把持チャックおよびワークの平面を把持する平面把持チャックを備え、前記外周把持チャックおよび平面把持チャックの中心軸が一致するように配置されていることを特徴とする。前記多関節ロボットは先端に把持部を回転させる把持部回転手段を備えており、前記外周把持チャックおよび平面把持チャックは、前記中心軸が前記把持部回転手段の回転軸と一致するように配置されていることが好ましい。所定の位置に設置されたワークを撮像する撮像手段と、当該撮像手段の撮像結果を基にワークの方向を判別可能な制御手段とを備え、前記制御手段は、前記把持部が前記ワークと同じ方向を向くように前記把持部回転手段を回転駆動させることが好ましい。前記ワークには、軸線方向に貫通する中心穴を備えており、前記平面把持チャックは、ワークを把持する把持爪が前記外周把持チャックの把持爪より先端側に突出しているとともに、前記平面把持チャックの把持爪が前記ワークの中心穴に挿通可能な大きさに構成されていることが好ましい。前記把持部は、前記平面把持チャックまたは前記外周把持チャックにワークが把持されているか否かを検出可能な検出センサを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
上記発明によれば、ワークの外周面を把持する外周把持チャックおよびワークの平面を把持する平面把持チャックを備えているため、ワークが水平な状態であっても立設された状態であっても把持可能となる。このようにワークの姿勢に関係なく把持することが出来るため、所定の待機位置に比較的多くのワークを待機させることが可能となり、作業効率が向上する等の利点がある。また、前記チャックが同一軸線上に配置されているため、多関節ロボットの位置制御が複雑にならないという利点も有する。なお、前記多関節ロボットは先端に把持部を回転させる把持部回転手段を備えており、前記チャックが当該把持部回転手段の回転軸上に配置されていることで、回転半径が小さくなり装置を比較的小さることが可能等の利点もがある。また、前記把持部回転手段が撮像手段で撮影したワークと同じ方向に把持部を回転させることにより、待機位置でワークの向きを設定する必要がなくなり、作業者の負担が低減する等の利点もある。さらに、平面把持チャックの把持爪がワークの中心穴を挿通可能であることにより、把持部を比較的小さくすることが可能となる等の利点もある。しかも、前記把持部が検出センサを備えていることにより、ワークの有無を即座に検出でき、サイクルタイムが向上する等の利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る搬送装置の構造を示す概略正面図である。
図2】本発明に係る保持トレーの構造を示す斜視図である。
図3】本発明に係る把持部の構造を示す要部拡大正面図である。
図4】本発明に係る把持部の動作を示す動作説明図であり、(a)は平面把持チャックがワークを把持している状態を示す要部拡大底面図であり、(b)は外周把持チャックがワークを把持している状態を示す要部拡大底面図である。
図5】本発明に係る仮置き治具の構造を示す斜視図である。
図6】本発明に係る搬送装置が仮置き治具上にワークを設置する状態を示す要部拡大平面図である。
図7】本発明に係る搬送装置が仮置き治具上のワークを回収する状態を示す要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。図1において10は、ワーク100を搬送する搬送装置である。この搬送装置10は、ワーク100を多数貯留可能な保持トレー20と、この保持トレー20からワーク100を抜き出す多関節ロボット30と、前記ワーク100を所定の角度に修正する仮置き治具40と、各部の駆動を制御する制御手段50を備えており、供給位置(図示せず)に前記ワーク100を所定の向きで供給するように構成されている。
【0011】
前記ワーク100は、軸方向に中心穴101が貫通形成された円環形状の部品であり、その周方向断面が矩形に構成されている。また、ワーク100の上下面には複数個のねじ穴(図示せず)が形成されている。
【0012】
前記保持トレー20は、図2に示すように搬送装置10の基台11上に載置される部材であり、前記ワーク100の半径以上の厚さ寸法で構成されている。この保持トレー20は、その上面に立設状態のワーク100が嵌合可能な半円形状の保持穴21が多数形成されている。この保持穴21は、隣接する保持穴21との間が後述する平面把持チャック36のチャック爪の厚さ寸法以上離れるように構成されている。なお、保持トレー20に保持されているワーク100は、その位相が不揃い状態で保持されている。
【0013】
前記多関節ロボット30は、図1に示すように複数個の腕部31と、これら腕部31を接続する複数個の関節部32とを備えている。これら関節部32には、当該関節部32を中心に腕部31を揺動させる腕部揺動駆動源(図示せず)および当該関節部32を中心に腕部31を回転させる腕部回転駆動源(図示せず)が設けられており、これら駆動源は、前記制御手段50により制御されている。この多関節ロボット30の先端には、把持部回転手段として回転駆動源の一例であるACサーボモータ(以下、補正モータ33という)が設けられており、この補正モータ33の回転軸には、ワーク100を把持する把持部34が装着されている。これら構造により、多関節ロボット30は、把持部34を任意の位置および向きに移動可能となる。
【0014】
前記把持部34は、図3に示すように前記補正モータ33の回転軸に固定された第一の開閉チャック35(以下、外周把持チャック35という)およびこの外周把持チャック35の先端側に固定された第二の開閉チャック36(以下、平面把持チャック36という)を備えている。これら外周把持チャック35および平面把持チャック36は、その中心が前記補正モータ33の軸線上に位置するように配置されている。また、前記外周把持チャック35の駆動部には、それぞれ先端側に向かい伸びる支持部材を介して外周把持爪351が装着されている。この外周把持爪351は、互いに接近する方向に伸びているとともに前記ワーク100の直径とほぼ同じ幅で構成されており、その対向面には、くさび形状の凹部352が形成されている。一方、前記平面把持チャック36は、その駆動部が前記外周把持チャック35の駆動部と直交するよう構成されており、その駆動部には、それぞれ先端方向に伸びる平面把持爪361が固定されている。この平面把持爪361は、前記ワーク100の中心穴101の穴径より短い幅に構成されているとともに、前記ワーク100の太さ寸法と同程度の前記外周把持爪351より先端方向に突出するように構成されている。このため、図4の(b)に示すように外周把持チャック35がワーク100を把持する際、前記平面把持チャック36は、ワーク100の中心穴101を貫通した状態となる。さらに、前記平面把持爪361は、図4の(a)に示すようにその対向面にゴム板362が貼られており、ワーク100の滑りや擦り傷の発生等が防止されている。
【0015】
また、前記把持部34は、前記外周把持チャック35あるいは前記平面把持チャック36にワーク100が把持されていることを検出する検出センサ37を有している。この検出センサ37は、投光した検出光371がワーク100に反射して帰ってくるか否かでワーク100の有無を検出可能な光学センサであり、図3に示すように平面把持チャック36がワーク100を把持している際はワーク100の外周部に検出光371が当たり、図3の二点鎖線に示すように外周把持チャック35がワーク100を把持している際はワーク100の平面部に検出光371が当たるように設置されている。このため、単一の検出センサ37のみでワーク100が外周把持チャック35および前記平面把持チャック36のどちらに把持されていても有無検出可能となる。なお、本実施形態は、検出センサとして、反射式の距離センサを使用しており、前記検出光を元にワーク100の距離を測定可能に構成されている。このように検出せんさ37が所定の距離内にワーク100が有るかを検出できる距離センサであるため、それぞれ反射面の曲率や反射率等が異なる複数種類のワークを搬送する場合であっても有無確認が可能となる。また、搬送途中でワークが把持部34に対して位置ずれしたことを検知可能となり、ワークの脱落を防止できる。
【0016】
前記仮置き治具40は、図5に示すように前記基台11上に配置された略円柱形状部材であり、その上面には、ワーク100とほぼ同径に構成された嵌合穴41が形成されている。この嵌合穴41は、前記ワーク100の厚さの約半分の深さ寸法で構成されているとともに、その開口部には、奥方に向かうにつれ徐々に縮径する傾斜面42が形成されている。また、前記仮置き治具40には、前記嵌合穴41の奥方および径方向外側に向かう逃げ溝43が形成されている。この逃げ溝43は、図6および図7に示すように前記平面把持チャック36の平面把持爪361より幅広に構成されており、当該仮置き治具40にワーク100を設置する際および当該仮置き治具40からワーク100を回収する際に前記平面把持爪361が干渉しない深さに設定されている。
【0017】
前記制御手段50は、前記多関節ロボット30が接続されており、前記関節部32や把持部34等の駆動を制御可能に構成されている。また、制御手段50は、前記仮置き治具40の上方に配置される撮像手段51を備えており、この撮像手段51によって前記仮置き治具40上のワーク100の向きを判別可能に構成されている。
【0018】
次に上述のように構成された搬送装置10の作用を説明する。
起動信号が入力されると、前記多関節ロボット30が駆動し、把持部34が前記保持トレー20に保持されたワーク100の上方に位置するよう移動する。この時、前記補正モータ33が駆動し、前記平面把持チャック36がワーク100と平行になるよう把持部34を回転させる。この移動後、前記平面把持チャック36が駆動し、平面把持爪361を開けるとともに前記多関節ロボット30が駆動し、把持部34をワーク100に向けて下降させる。前記外周把持爪351の下面が保持トレー20に保持されたワーク100の上端と同じ高さになるまで下降すると、前記多関節ロボット30が駆動を停止する。多関節ロボット30による下降が停止すると、制御手段50は前記検出センサ37から入力させる信号から平面把持爪361の間にワーク100があるかを検出する。この結果、平面把持爪361の間にワーク100がある場合、前記平面把持チャック36を駆動させて平面把持爪361によってワーク100を把持する。この時、平面把持爪361の対向面にゴム板362が貼られているため、摩擦が強くなり、強固に把持することが可能になるとともに、平面把持爪361とワーク100が互いに擦れて傷つくことを防止できる。このように平面把持爪361がワーク100を把持すると、前記多関節ロボット30が再駆動して把持部34を上昇させる。なお、上述の検出センサ37から信号により、ワーク100がないと検出された場合、多関節ロボット30は、把持部34を次段のワーク100の位置に移動させて再度、ワーク100の取り出し作業を行う。
【0019】
上述のように保持トレー20からワーク100を取り出すと、前記多関節ロボット30は、前記平面把持爪361が水平を向くように把持部34を移動させる。その後、図_に示すように前記仮置き治具40の嵌合穴41の上方に水平のワーク100が位置し、なおかつ前記逃げ溝43の上方に平面把持爪361が位置するように移動すると、把持部34を下降させてワーク100を嵌合穴41に嵌合させる。この時、逃げ溝43が形成されていることにより、平面把持爪361が仮置き治具40に干渉することがなく、位置ずれや破損等が防止される。また、前記外周把持チャック35と平面把持チャック36の開平方向が直交するように構成されているため、当該ワーク100の設置時に外周把持チャック35の外周把持爪351が基台11と干渉することを防止でき、必要以上に仮置き治具40を高い構成にする必要がなくなる。結果、作業スペースを広くでき、装置を比較的小さくすることが可能となる。さらに、嵌合穴41の開口部に傾斜面42が形成されていることにより、ワーク100が嵌合穴41に入り易くなるとともに、若干の位置ずれが発生していても修正され、嵌合可能となる。嵌合穴41にワーク100を設置すると、前記平面把持チャック36が駆動して、ワーク100開放するとともに多関節ロボット30が駆動して、ワーク100から把持部34を離反させる。把持部34がワーク100から所定距離離れると、前記撮像手段51が作動して、ワーク100を撮像するとともに当該撮像結果を制御手段50に送信する。制御手段50は、送信させてきた撮像結果から嵌合穴41に設置されたワーク100が規定の角度から正方向に何度ずれているか判別する。
【0020】
上述のように把持部34がワーク100から離反すると、多関節ロボット30は、前記平面把持爪361が鉛直を向くように把持部34を移動させる。その後、上記撮像結果からワーク100の角度ずれが判別すると、前記補正モータ33が駆動して把持部34をワーク100の角度ずれと同じ角度回転させる。この時、前記外周把持チャック35と平面把持チャック36との中心が同軸上に配置されていることにより、把持部34の回転半径が比較的小さくてよく、装置を小さくすることが可能となる。特に前記外周把持チャック35と平面把持チャック36の中心軸が前記補正モータ33の回転軸と一致するように配置されているため、把持部34の回転を前記補正モータ33の駆動のみで制御可能となり、制御手段50の構成を単純化することが可能になる。その後、把持部34とワーク100の向きが一致すると、多関節ロボット30が駆動して把持部34をワーク100の上方に移動させる。把持部34がワーク100の上方に達すると、前記外周把持チャック35が駆動して外周把持爪351を開けるとともに多関節ロボット30が駆動して把持部34をワーク100に向かって下降させる。前記外周把持爪351の下面が仮置き治具40の上面と当接する高さになるまで下降すると、前記多関節ロボット30が駆動を停止する。多関節ロボット30による下降が停止すると、制御手段50は前記検出センサ37から入力させる信号から外周把持爪351の間にワーク100があるかを検出する。この結果、外周把持爪351の間にワーク100がある場合、前記平面把持チャック36を駆動させて外周把持爪351によってワーク100を把持する。この時、外周把持爪351の対向面にくさび形の凹部352が形成されていることにより、ワーク100と外周把持爪351との位置関係が固定される。このように外周把持爪351がワーク100を把持すると、前記多関節ロボット30が再駆動して把持部34を上昇させ、その後、所定の供給位置までワーク100を搬送する。結果、毎度同じ向きでワーク100を搬送することが可能となる。
【0021】
上述のように構成された搬送装置10は、単一の装置でワーク100を平面方向と外周方向どちら方向でも把持することが可能であるため、多関節ロボット30を複数台容易する必要がなく、装置を比較的小さくすることが可能となる。また、保持トレー20にワーク100を立設することが可能となるため、待機位置に多くのワーク100を待機させることができ、作業効率が向上する。
【0022】
なお、本発明に係る搬送装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、仮置き治具40や、把持部34の形状は、ワーク100や中心穴101の大きさによって適宜調節されることが好ましい。また、本実施形態では、ワーク100は、単一の環状部品であったが、ベアリングのように外側部品と内側部品が回転自在に構成された二重構造の円環形状部品であってもよい。さらに、二重構造の円環形状部品を搬送する際、前記撮像手段51は、外側部品と内側部品の何れか一方の向きを検出し、前記補正モータ33は、把持部34を外側部品と内側部品の何れか一方の向きとs一致させる構成であっても良い。
【符号の説明】
【0023】
10 … 搬送装置
11 … 基台
20 … 保持トレー
30 … 多関節ロボット
33 … 補正モータ
34 … 把持部
35 … 外周把持チャック
36 … 平面把持チャック
37 … 検出センサ
40 … 仮置き治具
50 … 制御手段
51 … 撮像手段
100… ワーク
101… 中心穴

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7