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特開2024-52172情報出力装置および情報出力システム、情報出力方法並びに情報出力プログラム
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  • 特開-情報出力装置および情報出力システム、情報出力方法並びに情報出力プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052172
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報出力装置および情報出力システム、情報出力方法並びに情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158708
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】399127832
【氏名又は名称】株式会社LIFULL
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100173510
【弁理士】
【氏名又は名称】美川 公司
(72)【発明者】
【氏名】野澤 猛
(72)【発明者】
【氏名】関川 慧
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】内見希望者のみ等の一人又は少人数で内見を行う者に対して、内見対象の不動産物件の関連情報を的確に提供することが可能な情報出力装置等を提供する。
【解決手段】内見の対象たる不動産物件の内部にいる者が装着し且つ当該内部を当該者が視認可能なMRゴーグルMのシステム制御部において、当該内部にある視点を用いて当該内部を三次元的に表した三次元モデルが取得される。次に、当該内見に関連し且つ当該内部に実在する物がシステム制御部により特定される。次に、特定された物に関連する関連情報がシステム制御部により取得される。次に、取得された関連情報が三次元モデルを用いてシステム制御部により上記者へ出力される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内見の対象たる不動産物件の内部にいる者が装着し且つ当該内部を当該者が視認可能な情報出力装置であって、
前記内部にある視点を用いて当該内部を三次元的に表した三次元モデルの取得と、
前記内見に関連し且つ前記内部に実在する物の、前記取得された三次元モデルを用いた特定と、
前記特定された物に関連する関連情報の取得と、
前記取得された関連情報の前記取得された三次元モデルを用いた前記者への出力と、
を行うシステム制御部を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
前記情報出力装置を装着する前記者は前記内見を行う内見者であり、
前記システム制御部は、
前記特定された前記物に対する前記内見者の質問の外部への送信と、
前記送信された質問に対応する前記関連情報の取得と、
を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記情報出力装置を装着する前記者は、前記内部にいて前記内見に付き添う付添者であり、
前記システム制御部は、
前記内見を行う内見者により特定された前記物に関連する前記関連情報の外部からの取得と、
前記取得された関連情報の前記取得された三次元モデルを用いた前記付添者への出力と、
を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記関連情報の取得元が、前記外部にいる不動産業者であって前記内見の対象たる前記不動産物件を取り扱う不動産業者であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記不動産業者が、前記情報出力装置と同じ前記内部を当該同じ出力態様で出力する第2情報出力装置を有しており、
前記特定された前記物が当該第2情報出力装置において識別可能であることを特徴とする請求項4に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記システム制御部が、前記情報出力装置を装着した前記者の視線の検出を更に行い、
当該システム制御部が、前記検出された視線と、前記取得された三次元モデルと、を用いた前記物の特定を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項7】
前記システム制御部が、前記情報出力装置を装着した前記者の動作の検出を更に行い、
当該システム制御部が、前記検出された動作と、前記取得された三次元モデルと、を用いた前記物の特定を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報出力装置と、
請求項5に記載の第2情報出力装置と、
を備えることを特徴とする情報出力システム。
【請求項9】
内見の対象たる不動産物件の内部にいる者が装着し且つ当該内部を当該者が視認可能な情報出力装置において実行される情報出力方法であって、
前記内部にある視点を用いて当該内部を三次元的に表した三次元モデルを取得する三次元モデル取得ステップと、
前記内見に関連し且つ前記内部に実在する物を、前記取得された三次元モデルを用いて特定する特定ステップと、
前記特定された物に関連する関連情報を取得する関連情報取得ステップと、
前記取得された関連情報を前記取得された三次元モデルを用いて前記者へ出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とする情報出力方法。
【請求項10】
前記情報出力装置を装着する前記者は前記内見を行う内見者であり、
前記特定された前記物に対する前記内見者の質問を外部へ送信する送信ステップを更に含み、
前記関連情報取得ステップにおいては、前記送信された質問に対応する前記関連情報を取得することを特徴とする請求項9に記載の情報出力方法。
【請求項11】
前記情報出力装置を装着する前記者は、前記内部にいて前記内見に付き添う付添者であり、
前記関連情報取得ステップにおいては、前記内見を行う内見者により特定された前記物に関連する前記関連情報を外部から取得し、
前記出力ステップにおいては、前記取得された関連情報を前記取得された三次元モデルを用いて前記付添者へ出力することを特徴とする請求項9に記載の情報出力方法。
【請求項12】
前記関連情報の取得元が、前記外部にいる不動産業者であって前記内見の対象たる前記不動産物件を取り扱う不動産業者であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の情報出力方法。
【請求項13】
前記不動産業者が、前記情報出力装置と同じ前記内部を当該同じ出力態様で出力する第2情報出力装置を有しており、
前記特定された前記物が当該第2情報出力装置において識別可能であることを特徴とする請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項14】
前記情報出力装置を装着した前記者の視線を検出する検出ステップを更に含み、
前記特定ステップにおいては、前記検出された視線と、前記取得された三次元モデルと、を用いて前記物が特定されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項15】
前記情報出力装置を装着した前記者の動作を検出する検出ステップを更に含み、
前記特定ステップにおいては、前記検出された動作と、前記取得された三次元モデルと、を用いて前記物が特定されることを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項16】
内見の対象たる不動産物件の内部にいる者が装着し且つ当該内部を当該者が視認可能な情報出力装置に含まれるコンピュータに、
前記内部にある視点を用いて当該内部を三次元的に表した三次元モデルを取得するステップと、
前記内見に関連し且つ前記内部に実在する物を、前記取得された三次元モデルを用いて特定するステップと、
前記特定された物に関連する関連情報を取得するステップと、
前記取得された関連情報を前記取得された三次元モデルを用いて前記者へ出力するステップと、
を実行させることを特徴とする情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件に関連する情報の出力を行う情報出力装置等の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
既存の不動産物件を賃貸または購入する場合、一般には、その不動産物件の周辺の環境を下見すると共に、実際に居住または利用することとなる当該不動産物件の内部を実際に訪れて確認することが行われる。このとき、不動産物件の賃貸契約または購入契約の前にその内部を確認することは、一般に「内見」と称される。
【0003】
ここで、従来から、内見対象の不動産物件が存在する場所まで出向くことなく上記内見を擬似的に実現する技術として、例えば下記特許文献1に開示されている技術がある。特許文献1に開示されている技術では、内見対象の不動産物件の内部を全天球カメラで撮影した画像を用いて、いわゆるVR(Virtual Reality(仮想現実))技術により当該内部を映像化して表示する構成とされている。
【0004】
しかしながら、その賃貸契約または購入契約前の不動産物件の確認は、その内部だけでなくその周辺の環境を含めて行うことが重要である。よってその意味では、実際にその不動産物件が存在する場所に赴いた上で、当該周辺環境の確認と共にその内見が行われることが望ましい。一方近年では、例えばウイルスによる感染症の予防のために、内見をなるべく少ない人数で、望ましくは一人で行うことが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6514418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、不動産物件の内見をその希望者一人で行う場合、対象の不動産物件の内部に入ったとしても、内見として必要な情報がその場で得られない場合があるという問題点があった。
【0007】
本発明は、例えば内見を希望する者のみ等の一人又は少人数で内見を行う者に対して、内見対象の不動産物件の関連情報を的確に提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、内見の対象たる不動産物件の内部にいる者が装着し且つ当該内部を当該者が視認可能な情報出力装置のシステム制御部において、当該内部にある視点を用いて当該内部を三次元的に表した三次元モデルが取得される。次に、当該内見に関連し且つ当該内部に実在する物が、システム制御部により三次元モデルを用いて特定される。次に、特定された物に関連する関連情報がシステム制御部により取得される。次に、取得された関連情報が三次元モデルを用いてシステム制御部により上記者へ出力される。これにより、例えば内見を希望する者のみ等の一人又は少人数で不動産物件の内見を行う者に対して、内見対象の不動産物件の関連情報を的確に提供することができる。
【0009】
また、本発明において、情報出力装置を装着する者が内見を行う内見者である場合に、特定された物に対する内見者の質問がシステム制御部により外部へ送信され、次に、送信された質問に対応する関連情報がシステム制御部により取得される。これにより、内見者に質問に対する関連情報の提供を的確且つ適切なタイミングで行うことができる。
【0010】
また、本発明において、情報出力装置を装着する者が内見に付き添う付添者である場合に、内見を行う内見者により特定された物に関連する関連情報がシステム制御部により外部から取得され、次に、取得された関連情報が三次元モデルを用いてシステム制御部により付添者へ出力される。これにより、内見者が所望する関連情報の付添者への提供を的確且つ適切なタイミングで行うことができる。
【0011】
また、本発明において、関連情報の取得元は、外部にいる不動産業者であって内見の対象たる不動産物件を取り扱う不動産業者とされる。これにより、内見する者に必要な関連情報を的確に提供することができる。
【0012】
また、本発明において、不動産業者は、不動産物件の内部にいる者が装着している情報出力装置と同じ不動産物件の内部を当該同じ出力態様で出力する第2情報出力装置を有しており、特定された物が当該第2情報出力装置において識別可能とされている。これにより、内見をする者が所望する関連情報を正確且つ適時に情報出力装置から提供することができる。
【0013】
また、本発明において、情報出力装置を装着した者の視線がシステム制御部により更に検出され、検出された視線と三次元モデルとを用いてシステム制御部により物が特定される。これにより、視線が向いている物を興味が持たれている物であると見做して、当該物に関する関連情報を情報出力装置において迅速且つ的確に提供することができる。
【0014】
また、本発明において、情報出力装置を装着した者の動作がシステム制御部により更に検出され、検出された動作と三次元モデルとを用いてシステム制御部により物が特定される。これにより、当該動作が指向されている物を興味が持たれている物と見做して、当該物に関する関連情報を情報出力装置において迅速且つ的確に出力させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は、不動産物件の内見をする者等に装着されるMR(Mixed Reality)ゴーグルと、物件情報データベースに接続され且つ当該不動産物件を管理する不動産業者等により使用される情報提供装置と、それらを接続するネットワークと、からなる、本実施形態の情報提供システムの概要構成の一例を示す図である。(b)は、本実施形態のMRゴーグルの装着状態等を例示する図である。
図2】(a)は本実施形態のMRゴーグルを介して視認される不動産物件の内部の一例を示す図である。(b)は本実施形態のMRゴーグルにおける画像表示の一例を示す図である。(c)は本実施形態のMRゴーグルにおける画像表示の他の例を示す図である。
図3】本実施形態のMRゴーグルを用いた情報提供の一例を示す図である。
図4】本実施形態の情報提供処理を示すフローチャートの一例を示す図である。
図5】変形形態のMRゴーグルを用いた情報提供の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(I)実施形態
次に、図1ないし図4を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、内見対象である不動産物件の場所に赴いて当該内見を行う内見者に当該不動産物件に関連する種々の情報を提供する情報提供システムに対して本発明を適用した場合の実施形態である。なお以下の説明では、内見の対象となる上記不動産物件を単に「物件」と称する。
【0017】
本実施形態の情報提供システムSSを構成するMRゴーグルMを装着した内見者に対して当該MRゴーグルMを介して上記種々の情報を提供するため、図1(a)に示される物件情報データベースDBには、当該内見者による内見の対象となっている物件を含む複数の不動産物件についての多様な情報が、関連情報として、当該不動産物件を識別する物件識別情報に関連付けて格納されている。この場合の関連情報とは、物件に内装されている種々の器具(例えばエアコン等の器具)について内見者に提示すべき情報や、物件の一部(例えばその物件の床や天井、あるいは隣室の状況等)について内見者に提示すべき情報であって、対応する物件識別情報に関連付けられた情報である。関連情報は、文字により構成される情報であっても、音声による構成される情報であっても、あるいは画像を含む情報であってもよい。これらの関連情報は、物件情報データベースDBに接続されている情報提供装置Sを使用する管理者が予め蓄積しておくものである。これらに加えて、物件情報データベースDBには、上記不動産物件ごとに、その内部を三次元的に表現した三次元モデル(当該三次元モデルに相当する電子データ)が、対応する物件識別情報に関連付けて格納されている。
【0018】
次に、本実施形態の関連情報を物件の内見者に提供するため、図1(b)に示されるMRゴーグルMは、内見者PPの頭部に装着される。頭部に装着されたMRゴーグルMには、透過型のディスプレイが備えられており、当該ディスプレイを介して内見者PPは物件の現実の内部を視認可能となる。これに加えて、MRゴーグルMのシステム制御部は、内見者PPの視線やその指を使った指示動作(図1(b)参照)等を三次元的に検出する。更にシステム制御部は、内見者PPの音声を検出可能とされている。なお、以下の説明において、上記視線や指示動作の検出結果を「視線等検出結果」と称する。一方、内見者PPに装着されているMRゴーグルMの現在位置を示す位置情報は、システム制御部により、ネットワークNWを介して、当該MRゴーグルMを他のMRゴーグルから識別するためのゴーグル識別情報と共に、情報提供装置Sに送信される。
【0019】
ネットワークNWを介して上記位置情報等を受信した情報提供装置Sは、受信した位置情報により示される位置を、上記ゴーグル識別情報により識別されるMRゴーグルMが現在使用されている物件(すなわち、内見者PPにより内見されている物件)の位置と見做して、当該内見中の物件を特定する。その後、情報提供装置Sは、物件情報データベースDBを参照して、当該特定された物件に対応付けられている三次元モデル内に、当該物件に対応付けられている関連情報を配置する。そして、情報提供装置Sは、当該関連情報が配置された三次元モデルのデータを、ネットワークNWを介して内見者PPに装着されているMRゴーグルMに送信する。
【0020】
関連情報が配置された三次元モデルのデータを受信したMRゴーグルMのシステム制御部は、その関連情報を、当該MRゴーグルMに備えられた透過型のディスプレイを用いて、当該三次元モデルに対応する物件(すなわち内見中の物件)内の器具又は当該物件の一部に関連付けて、内見中の内見者PPが視認可能に表示する。より具体的に、例えば図2(a)に例示するように物件REの一部を内見者PPが内見している場合において、上記視線等検出結果に基づいて奥の天井近くにあるエアコンが内見者PPにより指示されたとする。このとき、当該エアコンについての文字としての関連情報が上記受信した三次元モデル内に配置されている場合、システム制御部は、図2(b)に例示するように、当該エアコンを中心とした範囲が視認可能なMRゴーグルMの上記ディスプレイ上に、当該エアコンに関連する文字情報としての関連情報AN1を表示する。また、図2(b)の関連情報AN1が表示されている状態で、視線等検出結果に基づいて物件REの床も指示された場合、当該床についての文字としての関連情報が上記受信した三次元モデル内に配置されていれば、システム制御部は、図2(c)に例示するように、当該床が視認可能なMRゴーグルMの上記ディスプレイ上に、当該床に関連する文字情報としての関連情報AN2を表示する。これにより、内見者PPは、内見中の自分の視線や指示動作等により指示している器具または物件REの一部に関する関連情報AN1等を、当該視線や指示動作等のみにより、当該内見中に迅速且つ的確に認識することができる。なお、このとき、関連情報AN1等に相当する音声や、関連する画像(例えば間取り図等)がMRゴーグルMのディスプレイ上に表示されることにより、当該関連情報AN1等の提供が行われてもよい。また、MRゴーグルMを介した視界外の器具または物件REの一部についての関連情報は、当該視界外にある間はMRゴーグルMには表示されない。
【0021】
一方、内見者PPに装着されているMRゴーグルMのシステム制御部は、当該内見中において図3に例示するような内見者PPによる「近くにコンビニエンスストアがありますか?」等の質問音声Qを検出した場合、当該質問音声Qに相当する質問音声データを、ネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信する。これにより、情報提供装置Sは、受信した質問音声データに基づき、当該物件REの周辺施設等について物件情報データベースDB内を検索し、質問音声Qの回答となる施設があった場合、その回答に相当する回答音声データを、上記質問音声データを送信したMRゴーグルMに宛ててネットワークNWを介して送信(返信)する。これにより、MRゴーグルMのシステム制御部は、受信した回答音声データに相当する、例えば「前の道を50メートル歩いた右側に○○ストアがあります」なる回答音声ASを、MRゴーグルMの図示しないスピーカまたはイヤホン等を介して放音する。これにより、内見者PPは、内見している物件REの周辺施設等に関する情報を、当該内見中に認識することができる。なお、このとき、回答音声ASに相当する文字や画像がMRゴーグルMのディスプレイ上に表示されることにより質問音声Qに対応する回答が行われてもよい。
【0022】
図4のフローチャートを参照して、本発明の動作を説明する。MRゴーグルMのシステム制御部は、MRゴーグルMが内見者PPに装着されてその電源がオンとされると、MRゴーグルMの現在位置を検出し、当該現在位置を示す位置情報を生成してネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信する(ステップS1)。これにより、システム制御部は、送信した位置情報により示される位置にある物件REに対応し、且つ関連情報が配置された三次元モデルのデータを、ネットワークNWを介して情報提供装置Sから受信する(ステップS2)。次に、システム制御部は、MRゴーグルMを装着している内見者PPの視線および指示動作を検出し、視線等検出結果を取得する(ステップS3)。次に、システム制御部は、ステップS3の視線等検出結果により指示されている器具または物件REの一部があるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4の判定において、指示されている器具または物件REの一部がない場合(ステップS4:NO)、システム制御部は、上記ステップS3に戻って視線および指示動作の検出を継続する。ステップS4の判定において、指示されている器具または物件REの一部がある場合(ステップS4:YES)、システム制御部は、ステップS2でデータを受信した三次元モデル内に、ステップS4で指示されていた器具または物件REの一部についての関連情報が配置されているか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5の判定において、当該関連情報が三次元モデル内に配置されていない場合(ステップS5:NO)、システム制御部は、上記ステップS3に戻って視線および指示動作の検出を継続する。ステップS5の判定において、当該関連情報が三次元モデル内に配置されている場合(ステップS5:YES)、システム制御部は、その関連情報を、それが関連する器具または物件REの一部に関連付けて、MRゴーグルMのディスプレイ上に表示する(ステップS6、図2(b)および図2(c)参照)。次に、システム制御部は、内見者PPによる質問音声Q(図3参照)が検出されたか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の判定において、質問音声Qが検出されない場合(ステップS7:NO)、システム制御部は、例えばMRゴーグルMが内見者PPから外されてその電源がオフとされた等の理由により、本実施形態の情報提供処理を終了するか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8の判定において、当該情報提供処理を終了する場合(ステップS8:YES)、システム制御部は、そのまま当該情報提供処理を終了する。ステップS8の判定において、当該情報提供処理を継続する場合(ステップS8:NO)、システム制御部は、上記ステップS3に戻って視線および指示動作の検出を継続する。ステップS7の判定において、質問音声Qが検出された場合(ステップS7:YES)、システム制御部は、検出された質問音声Qに相当する音声データを、ネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信する(ステップS9)。次に、システム制御部は、ステップS9で送信した音声データに対応する回答データを、ネットワークNWを介して情報提供装置Sから受信する(ステップS10)、次に、システム制御部は、ステップS10で受信した回答データに対応する回答を、例えば回答音声AS(図3参照)として放音する(ステップS11)。その後、システム制御部は、上記ステップS8に移行する。
【0023】
以上の本実施形態の情報提供処理によれば、例えば内見者PPのみが一人で内見を行う場合に、内見対象の物件REの関連情報AN1等を適時且つ的確に提供することができる。この場合、内見をする者は、MRゴーグルMを装着する内見者PPとその家族等、少人数であってもよい。また、物件REを管理する不動産業者が内見に付き添う必要がないので、不動産業者としての経費や負担の軽減が可能となる。また、内見者PPに対する関連情報AN1等の提供を的確且つ適切なタイミングで行うことができる。また、情報提供装置Sを使用する不動産業者等による的確な関連情報AN1等を提供することができる。また、内見者PPの視線または指示動作により指示された器具または物件REの一部が当該内見者PPに興味を持たれている物であると見做して、当該物に関する関連情報AN1等を迅速且つ的確に提供することができる。
【0024】
(II)変形形態
次に、図5を用いて本発明の変形形態について説明する。なお、以下の変形形態の説明において、実施形態の情報提供システムSSを構成する部材と同様の部材については、同様の部材番号を付して細部の説明を省略する。
【0025】
上述した実施形態では、実際に内見をする内見者PP自身が実施形態の情報提供システムSSを構成するMRゴーグルMを装着し、情報提供装置Sから、当該MRゴーグルMを介して関連情報AN1等の提供を受けた。これに対し、以下に説明する変形形態では、図5に例示するように、物件REの場所に赴いて内見を行うのは、内見者PPと、当該物件REを管理する不動産業者の例えば社員たる付添者ESの最低二名となる。そして、その付添者ESが実施形態のMRゴーグルMと同様のMRゴーグルMを装着して内見者PPの内見に付き添う。
【0026】
変形形態の情報提供システムでは、変形形態のMRゴーグルMに表示される関連情報AN1等は、当該MRゴーグルMを装着している付添者ESにより例えば説明会話等として内見者PPに提供される。また、内見者PPから物件REについての質問があった場合、その音声を検出した変形形態のMRゴーグルMが実施形態の質問音声Qと同様の音声データを情報提供装置SにネットワークNWを介して送信し、その回答に相当する回答データを情報提供装置Sから取得し、その回答がMRゴーグルMに表示されることで、当該質問に対する回答が付添者ESを介して内見者PPに提供される。
【0027】
更に、内見者PPに対して提供すべき関連情報がある場合、情報提供装置Sを操作する操作者(例えば、付添者ESが属する不動産業者の別の社員)からの図5に例示するようなアドバイスAD1乃至アドバイスAD3等の文字がMRゴーグルMに表示される。これにより、付添者ESは、当該アドバイスAD1等に従って、必要な関連情報等を内見者PPに提供することができる。
【0028】
以上の変形形態の情報提供処理によれば、実施形態の情報提供処理による効果に加えて、内見者PPが所望する関連情報AN1等の付添者ESへの提供を的確且つ適切なタイミングで行うことで、当該関連情報AN1等を内見者PPに提供することができる。また、物件RE内で内見に付き添う付添者ESとしての練習の場を当該付添者ESに提供することもできる。
【0029】
なお、他の変形形態として、実施形態及び上記変形形態の情報提供装置Sを操作する者が、内見者PP(実施形態の場合)又は付添者ES(上記変形形態の場合)が装着するMRゴーグルMと同じMRゴーグルを装着して上記関連情報AN1等や質問音声Qに対する回答を音声データとしてMRゴーグルMに送信するように構成してもよい。この場合には、情報提供装置Sの操作者が装着するMRゴーグルでも関連情報AN1等の提供対象たる器具や物件REの一部を識別できることになるので、内見者PPまたは付添者ESが所望する関連情報AN1等を正確且つ適時に情報出力装置Sから提供することができる。
【0030】
また、更に他の変形形態として、MRゴーグルMが使用される物件REが予め判っている場合、関連情報AN1等が配置された三次元モデルのデータは、内見前に当該MRゴーグルMに記録されていてもよい。また、上記関連情報AN1等と回答音声ASの双方が情報提供装置Sを操作する者の音声であってもよい。また、内見者PPまたは付添者ESの視界外にある物件REの特徴点に関する関連情報を提供するように当該内見者PPまたは付添者ESを誘導するための誘導情報を、文字又は音声としてMRゴーグルMを介して提供してもよい。
【0031】
また、以上の実施形態において、図4に示すフローチャートに相当するプログラムを、光ディスクまたはハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いは、インターネット等のネットワークから取得して記録しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータで読み出して実行することにより、その処理中にネットワークにアクセスすることなく、当該マイクロコンピュータを本実施形態のシステム制御部として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
S 情報提供装置
M MRゴーグル
Q 質問音声
SS 情報提供システム
RE 物件
DB 物件情報データベース
PP 内見者
NW ネットワーク
AN1、AN2 関連情報
AS 回答音声
ES 付添者
AD1、AD2、AD3 アドバイス
図1
図2
図3
図4
図5