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特開2024-52173情報出力装置および情報出力方法ならびに情報出力プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052173
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】情報出力装置および情報出力方法ならびに情報出力プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/16 20240101AFI20240404BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158709
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】399127832
【氏名又は名称】株式会社LIFULL
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100173510
【弁理士】
【氏名又は名称】美川 公司
(72)【発明者】
【氏名】野澤 猛
(72)【発明者】
【氏名】関川 慧
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC27
5L050CC27
(57)【要約】
【課題】不動産物件の内見を行う者に対して、当該不動産物件に関連する他の施設や地域等についての情報を的確に提供することが可能な情報出力装置等を提供する。
【解決手段】物件に向かって移動中の内見者に携帯され且つその周囲を撮像可能なスマートフォンSPにおいて、物件に関連する関連情報の属性を示す属性情報が取得される。次に、スマートフォンSPの現在位置を示す現在位置情報が取得される。次に、取得された属性情報により示される属性を有する関連情報が対応する施設等が存在する範囲が、スマートフォンSPの現在位置に基づいて取得される。次に、取得した範囲にある施設等に対応した関連情報が取得される。次に、スマートフォンSPの周囲を撮像して得られた画像が表示され、取得された関連情報が当該画像に関連付けて出力される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内見対象たる不動産物件に向かって移動中の使用者に携帯され且つ当該使用者の周囲を撮像可能な情報出力装置であって、
前記不動産物件に関連する関連情報の属性を示す属性情報の取得と、
前記情報出力装置の現在位置を示す現在位置情報の取得と、
前記取得された属性情報により示される前記属性を有する前記関連情報であって前記情報出力装置において出力させる前記関連情報が対応する地物または地域が存在する範囲の、前記取得された現在位置情報により示される前記現在位置に基づいた取得と、
前記取得した範囲にある前記地物または前記地域に対応し且つ前記情報出力装置において出力させる前記関連情報の取得と、
前記周囲を撮像して得られた画像の表示と、
前記取得された関連情報の、前記表示されている画像に関連付けた出力と、
を行うシステム制御部を備えることを特徴とする情報出力装置。
【請求項2】
前記システム制御部は、前記現在位置から見た前記不動産物件の方向または当該現在位置から当該不動産物件までの距離の少なくともいずれか一方を、前記画像の表示および前記関連情報の出力と共に出力することを特徴とする請求項1に記載の情報出力装置。
【請求項3】
前記不動産物件が前記周囲の撮像範囲内にない場合に、前記システム制御部は、前記方向または前記距離の少なくともいずれか一方を出力することを特徴とする請求項2に記載の情報出力装置。
【請求項4】
前記取得される範囲が、前記現在位置に基づいた地理的範囲または移動時間的範囲のいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項5】
前記取得される範囲が、移動中の前記使用者により指定された範囲であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項6】
前記地物または前記地域が前記周囲の撮像範囲内にない場合に、前記システム制御部は、当該撮像範囲内にない前記地物または前記地域の前記現在位置から見た方向または当該現在位置からの距離の少なくともいずれか一方を、前記画像の表示および前記関連情報の出力と共に出力することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項7】
前記地物が、前記取得した範囲に存在する施設であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項8】
前記関連情報に対応する前記地域が、前記不動産物件に対応する防災地図に含まれる地域であり、前記関連情報が当該防災地図の情報であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項9】
前記システム制御部は、前記周囲の撮像範囲内にある地物または地域であって予め設定された時間以上撮像されている地物または地域がある場合、当該地物または当該地域に関連する関連情報の、前記表示されている画像に関連付けた出力を更に行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項10】
前記システム制御部は、表示されている前記画像および前記出力されている関連情報の記録を更に行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報出力装置。
【請求項11】
内見対象たる不動産物件に向かって移動中の使用者に携帯され且つ当該使用者の周囲を撮像可能な情報出力装置において実行される情報出力方法であって、
前記不動産物件に関連する関連情報の属性を示す属性情報を取得するステップと、
前記情報出力装置の現在位置を示す現在位置情報を取得するステップと、
前記取得された属性情報により示される前記属性を有する前記関連情報であって前記情報出力装置において出力させる前記関連情報が対応する地物または地域が存在する範囲を、前記取得された現在位置情報により示される前記現在位置に基づいて取得するステップと、
前記取得した範囲にある前記地物または前記地域に対応し且つ前記情報出力装置において出力させる前記関連情報を取得するステップと、
前記周囲を撮像して得られた画像を表示するステップと、
前記取得された関連情報を、前記表示されている画像に関連付けて出力するステップと、
を含むことを特徴とする情報出力方法。
【請求項12】
前記現在位置から見た前記不動産物件の方向または当該現在位置から当該不動産物件までの距離の少なくともいずれか一方を、前記画像の表示および前記関連情報の出力と共に出力するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の情報出力方法。
【請求項13】
前記関連情報を前記表示されている画像に関連付けて出力するステップにおいては、前記不動産物件が前記周囲の撮像範囲内にない場合に、前記方向または前記距離の少なくともいずれか一方を出力することを特徴とする請求項12に記載の情報出力方法。
【請求項14】
前記取得される範囲が、前記現在位置に基づいた地理的範囲または移動時間的範囲のいずれかであることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項15】
前記取得される範囲が、移動中の前記使用者により指定された範囲であることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項16】
前記地物または前記地域が前記周囲の撮像範囲内にない場合に、当該撮像範囲内にない前記地物または前記地域の前記現在位置から見た方向または当該現在位置からの距離の少なくともいずれか一方を、前記画像の表示および前記関連情報の出力と共に出力するステップを含むことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項17】
前記地物が、前記取得した範囲に存在する施設であることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項18】
前記関連情報に対応する前記地域が、前記不動産物件に対応する防災地図に含まれる地域であり、前記関連情報が当該防災地図の情報であることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項19】
前記周囲の撮像範囲内にある地物または地域であって予め設定された時間以上撮像されている地物または地域がある場合、当該地物または当該地域に関連する関連情報を、前記表示されている画像に関連付けて出力するステップを更に含むことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項20】
表示されている前記画像および前記出力されている関連情報を記録するステップを更に含むことを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の情報出力方法。
【請求項21】
内見対象たる不動産物件に向かって移動中の使用者に携帯され且つ当該使用者の周囲を撮像可能な情報出力装置に含まれるコンピュータに、
前記不動産物件に関連する関連情報の属性を示す属性情報を取得するステップと、
前記情報出力装置の現在位置を示す現在位置情報を取得するステップと、
前記取得された属性情報により示される前記属性を有する前記関連情報であって前記情報出力装置において出力させる前記関連情報が対応する地物または地域が存在する範囲を、前記取得された現在位置情報により示される前記現在位置に基づいて取得するステップと、
前記取得した範囲にある前記地物または前記地域に対応し且つ前記情報出力装置において出力させる前記関連情報を取得するステップと、
前記周囲を撮像して得られた画像を表示するステップと、
前記取得された関連情報を、前記表示されている画像に関連付けて出力するステップと、
を実行させることを特徴とする情報出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産物件に関連する情報の出力を行う情報出力装置等の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
既存の不動産物件を賃貸または購入する場合、一般には、その不動産物件の周辺の環境を下見すると共に、実際に居住または利用することとなる当該不動産物件の内部を実際に訪れて確認することが行われる。このとき、不動産物件の賃貸契約または購入契約の前にその内部を確認することは、一般に「内見」と称される。
【0003】
ここで、従来から、内見対象の不動産物件が存在する場所まで出向くことなく上記内見を擬似的に実現する技術として、例えば下記特許文献1に開示されている技術がある。特許文献1に開示されている技術では、内見対象の不動産物件の内部を全天球カメラで撮影した画像を用いて、いわゆるVR(Virtual Reality(仮想現実))技術により当該内部を映像化して表示する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6514418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、その賃貸契約または購入契約前の不動産物件の確認は、その内部だけでなくその周辺の環境を含めて行うことが重要である。よってその意味では、実際にその不動産物件が存在する場所に赴いた上で、当該周辺環境の確認と共にその内見が行われることが望ましい。
【0006】
これに対し、特許文献1に開示されている技術では、上記周辺環境の確認については何ら言及されていない。よって、特許文献1に開示されている技術では、上述した要請に答えることはできない。
【0007】
本発明は、不動産物件の内見を行う者に対して、当該不動産物件に関連する他の施設や地域等についての情報を的確に提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、内見対象たる不動産物件に向かって移動中の使用者に携帯され且つ当該使用者の周囲を撮像可能な情報出力装置のシステム制御部により、不動産物件に関連する関連情報の属性を示す属性情報が取得される。次に、情報出力装置の現在位置を示す現在位置情報がシステム制御部により取得される。次に、取得された属性情報により示される属性を有する関連情報であって情報出力装置において出力させる関連情報が対応する地物または地域が存在する範囲が、現在位置情報により示される現在位置に基づいてシステム制御部により取得される。次に、取得した上記範囲にある地物または地域に対応し且つ情報出力装置において出力させる関連情報がシステム制御部により取得される。次に、情報出力装置の周囲を撮像して得られた画像がシステム制御部により表示される。次に、取得された関連情報が、表示されている画像に関連付けてシステム制御部により出力される。これにより、内見対象たる不動産物件に関連する属性を有する関連情報を、当該不動産物件に向かって使用者が移動中、または当該不動産物件から帰る途中にその周囲の画像と共に出力させることで、当該不動産物件に関連する周囲の地物等についての関連情報を的確に使用者に提供することができる。
【0009】
また、本発明において、現在位置から見た内見対象たる不動産物件の方向または当該現在位置から当該不動産物件までの距離の少なくともいずれか一方が、システム制御部により、画像の表示および関連情報の出力と共に出力される。これにより、関連情報に対応する地物等と内見対象たる不動産物件との関係を使用者に的確に認識させることができる。
【0010】
また、本発明において、内見対象たる不動産物件が情報出力装置の周囲の撮像範囲内にない場合に、現在位置からの方向または距離の少なくともいずれか一方がシステム制御部により出力される。これにより、内見対象たる不動産物件が例えば視認不能の遠距離にある場合でも、その方向または距離を使用者に認識させることができる。
【0011】
また、本発明において、取得される範囲が、情報出力装置の現在位置に基づいた地理的範囲または移動時間的範囲のいずれかとされる。これにより、当該現在位置から見た地理的または移動時間の観点で必要な地物または地域の関連情報を使用者に提供することができる。
【0012】
また、本発明において、取得される範囲が、移動中の使用者により指定された範囲とされる。これにより、内見対象たる不動産物件に行く途中の使用者にとって有用な関連情報を提供することができる。
【0013】
また、本発明において、上記地物または上記地域が情報出力装置の周囲の撮像範囲内にない場合に、当該撮像範囲内にない地物または地域の情報出力装置の現在位置から見た方向または当該現在位置からの距離の少なくともいずれか一方が、周囲を撮像した画像の表示および関連情報の出力と共にシステム制御部により出力される。これにより、現在位置から遠い地物等との位置関係等を使用者に有効に認識させることができる。
【0014】
また、本発明において、関連情報に対応する地物が、取得した範囲に存在する施設とされる。これにより、内見対象たる不動産物件に関連する施設についての関連情報を使用者に有効に提供することができる。
【0015】
また、本発明において、関連情報に対応する地域が、不動産物件に対応する防災地図に含まれる地域であり、関連情報が当該防災地図の情報とされる。これにより、内見対象たる不動産物件に関連する防災地図の情報を使用者に有効に提供することができる。
【0016】
また、本発明において、情報出力装置の周囲の撮像範囲内にある地物または地域であって予め設定された時間以上撮像されている地物または地域がある場合、当該地物または当該地域に関連する関連情報が、システム制御部により、表示されている画像に関連付けて更に出力される。これにより、内見対象たる不動産物件への途上、または当該不動産物件から帰る途上にある地物または地域についての関連情報を使用者に有効に提供することができる。
【0017】
また、本発明において、表示されている画像および出力されている関連情報の記録がシステム制御部により更に行われる。これにより、内見の際に表示された画像や出力された関連情報を内見後に再確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、不動産物件の内見をする者が携帯するスマートフォンと、物件情報データベースに接続され且つ当該不動産物件を管理する不動産業者等により使用される情報提供装置と、それらを接続するネットワークと、からなる、本実施形態の情報提供システムの概要構成の一例を示す図である。(b)は、本実施形態のスマートフォンにおける表示例を示す図である。
図2】(a)は、本実施形態の関連情報のカテゴリ指定等を行うための指定操作画面の一例を示す図である。(b)は、本実施形態のスマートフォンにおける関連情報の表示の一例を示す図である。
図3】本実施形態の情報提供処理を示すフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図1ないし図3を参照して、本発明の一実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、内見対象である不動産物件の場所に赴いて当該内見を行う内見者に当該不動産物件およびその周辺にある施設または地点に関連する種々の情報を提供する情報提供システムに対して、本発明を適用した場合の実施形態である。なお以下の説明では、内見の対象となる上記不動産物件を単に「物件」と称する。また、上記施設とは、例えば、商店、病院または医院、駅、バス停、レストラン、ガソリンスタンド、橋梁、球場、公演、広場または名勝旧跡等をいう。さらに、上記地点とは、例えば、交差点、山、河川または特定の地点等をいう。
【0020】
本実施形態の情報提供システムSSを構成するスマートフォンSPを携帯した内見者に対して当該スマートフォンSPを介して上記種々の情報を提供するため、図1(a)に示される物件情報データベースDBには、当該内見者による内見の対象となっている物件についての情報や、例えば当該物件の最寄りの駅から当該物件に至る道程にある施設または地点についての情報が、本実施形態の関連情報として、当該不動産物件を識別する物件識別情報等に関連付けて格納されている。本実施形態の関連情報には、以下に示す情報を含む種々の情報が含まれている。
(I)上記物件識別情報に関連付けられた、当該物件の位置を示す位置情報および当該物件の名称を示す名称情報
(II)当該物件が位置する地域の不動産に関連する家賃相場または地価等の不動産関連情報
(III)物件に至る上記道程にある施設または地点それぞれの位置を示す位置情報およびそれらの名称を示す名称情報ならびにそれらの属性を示す属性情報(以下の説明においては、上記施設または地点を「地物」と称する)
(IV)物件の周辺の地域についての防災地図(いわゆるハザードマップ)を含む防災情報
なお、上記(I)の物件の位置情報および名称情報、上記(II)の不動産関連情報ならびに上記(IV)の防災情報は、それぞれ、当該物件を識別する上記物件識別情報に関連付けられている。また、上記(III)の地物の位置情報、名称情報および属性情報は、それぞれ、当該地物を識別する地物識別情報に関連付けられている。
【0021】
次に、本実施形態の関連情報を物件までの移動途中にある内見者に提供するため、図1(b)に示されるスマートフォンSPは、当該内見者が移動途中に携帯し且つディスプレイDPを備えるスマートフォンであって、いわゆるAR(Augmented Reality(拡張現実))による表示機能を備えたスマートフォンである。スマートフォンSPの図示しないシステム制御部は、図1(b)に示す場合においてスマートフォンSPの背面に備えられた図示しないカメラでスマートフォンSPの周囲を撮像して得られた画像GをディスプレイDPに表示する。当該撮像範囲に内見対象たる物件がある場合、ディスプレイGに表示される画像G内には、当該物件REが映っていることになる。これに加えて、スマートフォンSPのシステム制御部は、GPS(Global Positioning System)センサ等の図示しない位置センサを用いてスマートフォンSPの現在位置(すなわち、スマートフォンSPを携帯する内見者の現在位置。以下、同様。)を検出する。なお、上記ARを用いた表示機能は、ディスプレイDP上で実現される表示機能である。
【0022】
更にシステム制御部は、ディスプレイDPに表示させるべき関連情報であってこれから内見する物件REに関連する関連情報を検索するための本実施形態の指定操作画面を、ディスプレイDPに表示する。図2(a)は、本実施形態の指定操作画面の一例を示す図である。図2(a)に例示するように、本実施形態の指定操作画面SLには、物件REに関連してディスプレイDPに表示させる関連情報が属するカテゴリ(情報としてのカテゴリ)を内見者が指定するためのカテゴリ指定欄IN1と、当該表示させる関連情報が対応する地物または地域が存在する範囲を指定するための範囲指定欄IN2と、が含まれている。このとき、上記カテゴリとは、例えば、「最寄り駅」、「医療機関」、「不動産関連情報」および「防災」等のカテゴリをいう。また、上記範囲は、スマートフォンSPの現在位置に基づいた(現在位置を中心とした)範囲であってそれに対応する関連情報をディスプレイDPに表示させる地物の位置の範囲である。範囲指定欄IN2に入力される範囲は、例えば「徒歩○○分」といった移動時間(移動手段に対応した移動時間)により示される範囲、または「■■メートル」といった距離により示される範囲のいずれかである。上記カテゴリ指定欄IN1を用いたカテゴリの指定および上記範囲指定欄IN2を用いた範囲の指定が終了し、決定ボタンBが操作されると、カテゴリ指定欄IN1および範囲指定欄IN2を用いて指定されたカテゴリおよび範囲を示すデータが、関連情報を検索するための検索要求として、ネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信される。このとき、物件REを識別するための物件識別情報、スマートフォンSPを他のスマートフォンから識別するための端末識別情報およびスマートフォンSPの上記現在位置を示す位置情報も、上記検索要求と共にネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信される。
【0023】
スマートフォンSPからの上記検索要求等を受信した情報提供装置Sの図示しない処理部は、当該受信した物件識別情報および検索要求に基づいて物件情報データベースDB内を検索し、当該物件識別情報により識別される物件REに関連する上記関連情報であって指定操作画面SLにより指定されたカテゴリおよび範囲に対応してスマートフォンSPのディスプレイDPに表示させる関連情報を抽出する。より具体的に、情報提供装置Sの処理部は、上記検索要求に含まれている上記カテゴリに属する関連情報であって、上記検索要求に含まれている位置情報により示されるスマートフォンSPの現在位置から当該検索要求に含まれている上記範囲にある地物に対応する関連情報を、物件情報データベースDBから抽出する。そして情報提供装置Sの処理部は、当該抽出した関連情報を、上記検索要求と共に送信されてきた端末識別情報を手掛かりとして、当該関連情報が表示されるべきスマートフォンSPに、ネットワークNWを介して送信する。
【0024】
情報提供装置Sからの上記関連情報を受信したスマートフォンSPは、上記カメラで撮像した画像GをディスプレイDPに表示しつつ、上記ARを用いた表示機能により、当該画像G内に含まれている地物に関連した関連情報を当該画像G内に表示する。例えば、上記検索要求内に、上記カテゴリとして「病院」、「最寄り駅」、「不動産関連情報」および「防災」が含まれており、上記範囲として「徒歩15分」が含まれていた場合、スマートフォンSPのシステム制御部は、上記関連情報として、スマートフォンSPの現在位置から徒歩15分内にある病院および最寄り駅、ならびに当該徒歩15分内の地域に対応する不動産関連情報および防災情報を受信する。そして、システム制御部は、受信した関連情報を用いて、図2(b)に例示する関連情報C1等を含む画像GをディスプレイDPに表示する。図2(b)に示す例では、内見対象たる物件REを示す関連情報C3と、上記「不動産関連情報」のカテゴリに属する関連情報C1と、上記「医療機関」のカテゴリに属する関連情報C2と、上記「最寄り駅」のカテゴリに属する関連情報C4と、上記「防災」のカテゴリに属するハザードマップとしての関連情報C5と、が画像Gに含まれてディスプレイDPに表示されている。このとき、関連情報C1はその不動産関連情報が対応している地域を示す位置に表示されており、関連情報C2は画像Gに映っている病院に関連付けて表示されており、関連情報C3は画像Gに映っている物件REに関連付けて表示されている。このとき、システム制御部は、関連情報C3として、スマートフォンSPの現在位置から見た物件REの方向または物件REまでの距離の少なくともいずれか一方を示す情報を合わせて表示してもよい。また、関連情報C4は、画像G内に映っていない■■駅までの移動手段および移動時間が、スマートフォンSPの現在位置から見た■■駅の方向(図2(b)に例示する場合は左後方)を示す態様で表示されている。関連情報C4としては、上記移動手段または上記移動時間のいずれか一方のみが表示されてもよい。また、関連情報C5は、上記ハザードマップに相当する範囲(図2(b)に示す例では中央を奥に延びている道路全体)を示す画像とその防災レベルを示す文字が含まれている。図2(b)に例示する場合、関連情報C5としての上記画像は、上記道路全体と同じ形状で且つ元の道路とは異なる注意喚起色で当該元の道路を透過的に示す画像が好適である。
【0025】
一方、物件REに到着するまでの道程で、関連情報C1等をディスプレイDPに表示しているスマートフォンSPを介して内見者が一定時間(例えば数十秒ないし1分程度)以上注視している地物がある場合、システム制御部は、その地物を画像G内から抽出し、その抽出結果を、端末識別情報と共にネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信する。次に、当該抽出結果および端末識別情報を受信した情報提供装置Sの処理部は、当該抽出結果に対応する関連情報を物件情報データベースDB内で検索する。その後、情報提供装置Sの処理部は、当該検索された関連情報を、ネットワークNWを介して、上記抽出結果と共に送信されてきた端末識別情報により識別されるスマートフォンSPに送信する。これにより、スマートフォンSPのシステム制御部は、受信した関連情報を、それまで注視されていた画像G内の地物に関連付けて表示する。
【0026】
図3のフローチャートを参照して、本発明の動作を説明する。スマートフォンSPのシステム制御部は、例えばスマートフォンSPの電源が内見者によりオンとされると、関連情報のカテゴリのカテゴリ指定欄IN1を用いた当該カテゴリの指定(ステップS1)および関連情報に対応する地物の範囲の指定(ステップS2)を受け付ける。次に、システム制御部は、スマートフォンSPの現在位置を示す位置情報を取得し(ステップS3)、上記ステップS1乃至ステップS3で受付または取得された各情報を用いて、上記検索要求を情報提供装置SにネットワークNWを介して送信する(ステップS4)。次に、システム制御部は、ネットワークNWを介して、ステップS4で送信した検索要求に対応した関連情報を取得し(ステップS5)、当該取得した関連情報をディスプレイDPに画像Gと共に表示する(ステップS6、図2(b)参照)。次に、システム制御部は、内見者がスマートフォンSPを介して上記一定時間以上注視している地物があるか否かを判定する(ステップS7)。ステップS7の判定においては、当該注視している地物がない場合(ステップS7:NO)、システム制御部は後述するステップS10に移行する。ステップS7の判定において、当該注視している地物がある場合(ステップS7:YES)、システム制御部は、その地物を画像G内から抽出し、その抽出結果を、ネットワークNWを介して情報提供装置Sに送信する(ステップS8)。次に、システム制御部は、ステップS8で送信した抽出結果に対応した関連情報がネットワークNWを介して取得できたか否かを判定する(ステップS9)。ステップS9の判定において、当該対応した関連情報が取得できた場合(ステップS9:YES)、システム制御部は、上記ステップS6に戻って、関連情報C1等と共にステップS9で取得した関連情報をディスプレイDPに表示する。ステップS9の判定において、当該対応した関連情報が取得できなかった場合(ステップS9:NO)、システム制御部は、例えばスマートフォンSPを携帯する内見者が物件REに到着した等の理由により、本実施形態の情報提供処理を終了するか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10の判定において、当該情報提供処理を終了する場合(ステップS10:YES)、システム制御部は、そのまま当該情報提供処理を終了する。ステップS10の判定において、当該情報提供処理を継続する場合(ステップS10:NO)、システム制御部は、上記ステップS3に戻って上述してきた一連の処理を継続する。
【0027】
以上の本実施形態の情報提供処理によれば、物件REに関連するカテゴリの関連情報C1等を、物件REに向かって内見者が移動中にその周囲の画像Gと共に表示させることで、物件REに関連する周囲の地物等についての関連情報C1等を的確に内見者に提供することができる。また、関連情報C1等に対応する地物等と物件REとの関係を内見者に的確に認識させることができる。また、スマートフォンSPの現在位置から見た地理的または移動時間の観点で必要な地物または地域の関連情報C1等を内見者に提供することができる。また、物件REに行く途中の内見者にとって有用な関連情報C1等を提供することができる。また、内見者の現在位置から遠い地物等との位置関係等を内見者に有効に認識させることができる(図2(b)に示す関連情報C4参照)。また、物件REに関連する施設等についての関連情報C2等を内見者に有効に提供することができる。また、物件REに関連するハザードマップの情報を内見者に有効に提供することができる(図2(b)に示す関連情報C5参照)。また、物件REへの途上の注視される地物等についての関連情報を内見者に有効に提供することができる。
【0028】
なお、本実施形態のディスプレイDPに表示されている関連情報C1等については、その内容を音声により内見者に放音してもよい。また、本実施形態のディスプレイDPに表示されている画像Gおよび関連情報C1等を、システム制御部が不揮発性に録画するように構成してもよい。この場合は、内見の際に表示された画像Gや出力された関連情報C1等を内見後に再確認することができる。
【0029】
また、画像G内に物件REが映らないような位置(つまり、物件REから見て遠方の位置)を内見者が移動中である場合に、システム制御部が、物件REの名称およびスマートフォンSPの現在位置から見た方向および距離をディスプレイDPに表示するように構成してもよい。この場合には、物件REが視認不能の遠距離にある場合でも、その方向または距離を内見者に認識させることができる。
【0030】
更に、物件REの内見から帰る途上において、その周囲の画像と共に内見者に関連情報C1等を提供するように構成してもよい。この場合には、例えば当該帰る途上にしか存在しない地物等についての関連情報C1等を的確に内見者に提供することができる。
【0031】
更に、スマートフォンSPの現在位置に基づく関連情報の抽出を情報提供装置Sにおいて行うのではなく、物件REへ向けた内見者の移動の開始時に当該物件REに関連する関連情報を纏めてスマートフォンSPにおいて取得しておき、当該現在位置の移動に応じて、所望される関連情報をシステム制御部が抽出してディスプレイDPに表示するように構成してもよい。
【0032】
また、以上の実施形態において、図3に示すフローチャートに相当するプログラムを、光ディスクまたはハードディスク等の記録媒体に記録しておき、あるいは、インターネット等のネットワークから取得して記録しておき、これらを汎用のマイクロコンピュータで読み出して実行することにより、その処理中にネットワークにアクセスすることなく、当該マイクロコンピュータを本実施形態のシステム制御部として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0033】
G 画像
S 情報提供装置
C1、C2、C3、C4、C5 関連情報
SS 情報提供システム
SP スマートフォン
DB 物件情報データベース
DP ディスプレイ
RE 物件
SL 指定操作画面
IN1 カテゴリ指定欄
IN2 範囲指定欄
NW ネットワーク
図1
図2
図3