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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052190
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】静電噴霧装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/025 20060101AFI20240404BHJP
   B05B 5/16 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B05B5/025 A
B05B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158743
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390028495
【氏名又は名称】アネスト岩田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 翔志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和昭
【テーマコード(参考)】
4F034
【Fターム(参考)】
4F034AA03
4F034BA01
4F034BB04
4F034BB12
4F034BB16
4F034BB25
4F034BB28
(57)【要約】
【課題】微少流量の流量制御を要する静電噴霧装置において、洗浄及び流量の変更が容易な静電噴霧装置を提供する。
【解決手段】流通する液体に圧力損失を発生させる減圧流路151を形成する減圧部100を備え、減圧部100は、対向配置される一対の挟込部と一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部150とを備えるサンドイッチ構造140を少なくとも一つ備え、一対の挟込部と被挟込部150とは分離可能であり、被挟込部150は、液体流通部151bと、流入部151aと、流出部151cと、を備え、液体流通部151bは被挟込部150を貫通し、一対の挟込部が、液体流通部151bを両側から覆うように配置されその周囲に密着して、一対の挟込部と液体流通部とで囲まれて減圧流路151の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される、エレクトロスプレー法による静電噴霧装置10を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴霧する液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部から離脱させて霧化し、前記異極部に霧化した前記液体を噴霧するエレクトロスプレー法による静電噴霧装置であって、
流通する前記液体に圧力損失を発生させる減圧流路を形成する減圧部を備え、
前記減圧部は、サンドイッチ構造を少なくとも一つ備え、
前記サンドイッチ構造は、対向配置される一対の挟込部と、前記一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部と、を備え、
前記一対の挟込部と前記被挟込部とは、分離可能であり、
前記被挟込部は、前記液体が流通する液体流通部と、前記液体流通部へ前記液体を流入させる流入部と、前記液体流通部から前記液体を流出させる流出部と、を備え、
前記液体流通部は、前記一対の挟込部が対向する対向方向において、前記被挟込部を貫通するように形成され、
前記対向方向において、前記一対の挟込部が前記液体流通部を両側から覆うように配置されるとともに、前記一対の挟込部が前記被挟込部における前記液体流通部の周囲に密着することで、前記一対の挟込部と前記液体流通部とで囲まれた流通空間であって前記減圧流路の少なくとも一部を構成する前記流通空間が形成される、静電噴霧装置。
【請求項2】
液体を噴霧する液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部から離脱させて霧化し、前記異極部に霧化した前記液体を噴霧するエレクトロスプレー法による静電噴霧装置であって、
流通する前記液体に圧力損失を発生させる減圧流路を形成する減圧部を備え、
前記減圧部は、サンドイッチ構造を少なくとも一つ備え、
前記サンドイッチ構造は、対向配置される一対の挟込部と、前記一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部と、を備え、
前記一対の挟込部と前記被挟込部とは、分離可能であり、
前記被挟込部は、前記液体が流通する液体流通部と、前記液体流通部へ前記液体を流入させる流入部と、前記液体流通部から前記液体を流出させる流出部と、を備え、
前記液体流通部は、前記一対の挟込部が対向する対向方向において、前記一対の挟込部のうち一方の挟込部側へ開放する溝部により形成され、
前記対向方向において、前記一対の挟込部のうち前記一方の挟込部が前記液体流通部を覆うように配置されるとともに、前記一方の挟込部が前記被挟込部における前記液体流通部の周囲に密着することで、前記一方の挟込部と前記液体流通部とで囲まれた流通空間であって前記減圧流路の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される、静電噴霧装置。
【請求項3】
前記被挟込部は、少なくとも一つの前記流入部と、複数の前記流出部と、を備え、
一つの前記流入部と複数の前記流出部とが前記液体流通部を介して連通する、
請求項1又は請求項2に記載の静電噴霧装置。
【請求項4】
前記減圧部は、前記対向方向に配置される複数の前記サンドイッチ構造を備え、
複数の前記サンドイッチ構造のうち、
一のサンドイッチ構造が備える被挟込部が、前記一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部の一方の挟込部を構成し、
前記一のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部の少なくとも一方の挟込部が、前記他のサンドイッチ構造が備える前記被挟込部を構成し、
複数の前記サンドイッチ構造のそれぞれが備える前記被挟込部が前記対向方向に隣接して配置され、
隣接する前記被挟込部において、前記液体の流通方向の上流側に配置される前記被挟込部が備える前記流出部と下流側に配置される前記被挟込部が備える前記流入部とが直接的に連通することで、それぞれの前記サンドイッチ構造で形成される前記流通空間同士が連通して前記減圧流路が形成される、
請求項1又は請求項2に記載の静電噴霧装置。
【請求項5】
隣接して配置される前記被挟込部が板状である、
請求項4に記載の静電噴霧装置。
【請求項6】
前記減圧部は、前記対向方向に配置される複数の前記サンドイッチ構造を備え、
複数の前記サンドイッチ構造のうち、
一のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部のうち少なくとも一方の挟込部は、前記一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成すると共に、前記一のサンドイッチ構造が備える前記被挟込部と前記他のサンドイッチ構造が備える前記被挟込部との間に配置され、
前記挟込部を介して隣り合う前記被挟込部において、前記液体の流通方向の上流側に配置される被挟込部が備える前記流出部と下流側に配置される被挟込部が備える前記流入部とが連通することで、それぞれの前記サンドイッチ構造で形成される前記流通空間同士が連通して前記減圧流路が形成される、
請求項1に記載の静電噴霧装置。
【請求項7】
前記被挟込部は、板状に形成され前記対向方向に積層して配置される複数の板状体を備え、
前記板状体は、該板状体を貫通する板状体貫通部を備え、
前記液体流通部は、複数の前記板状体の前記板状体貫通部が、前記対向方向で重なるように配置されて連通することで形成される、
請求項1に記載の静電噴霧装置。
【請求項8】
前記一方の挟込部は、前記被挟込部側へ向けて開放する溝部を備え、
前記流通空間は、前記一方の挟込部の溝部と前記被挟込部の溝部とが前記対向方向において重なるように配置されて連通することで形成される、
請求項2に記載の静電噴霧装置。
【請求項9】
前記減圧流路を流れる前記液体の流量は1ml/分以下である、
請求項1又は請求項2に記載の静電噴霧装置。
【請求項10】
前記減圧部において一端側に位置する挟込部と他端側に位置する挟込部との間に位置する前記挟込部又は前記被挟込部の少なくとも一方が板状である、
請求項1、請求項2、請求項6又は請求項8のいずれか1項に記載の静電噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電気力により液体噴霧部の先端から帯電状態の液体を離脱させて霧化し、霧化した液体を噴霧する静電噴霧装置が開示されている。斯かる静電噴霧装置では、液体噴霧部が備えるノズル内に、内径0.15mm程度の微細チューブをインサート成形して微細流路が形成されている。そして、この微細流路の流路抵抗を、液体の流量が所定量以下になるように定めている。斯かる微細流路を液体が流通することで、微少流量(例えば、1ml/分以下)の流量制御がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-296138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来技術で例示されるように、静電噴霧装置では、微少流量の液体の流量制御が、非常に微細なオリフィス、細管又は可変バルブ(ニードルバルブなど)などによって液体を減圧することで行われている。しかし、このような微細なオリフィスなどは、洗浄するのが難しいとの問題があった。また、このような微細なオリフィスなどは、液体の流量を変更するのが難しいとの問題があった。
【0005】
そこで、本開示は、微少流量の流量制御を要する静電噴霧装置において、洗浄及び流量の変更が容易な静電噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下によって把握される。
(1)本発明の静電噴霧装置は、液体を噴霧する液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部から離脱させて霧化し、前記異極部に霧化した前記液体を噴霧するエレクトロスプレー法による静電噴霧装置であって、流通する前記液体に圧力損失を発生させる減圧流路を形成する減圧部を備え、前記減圧部は、サンドイッチ構造を少なくとも一つ備え、前記サンドイッチ構造は、対向配置される一対の挟込部と、前記一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部と、を備え、前記一対の挟込部と前記被挟込部とは、分離可能であり、前記被挟込部は、前記液体が流通する液体流通部と、前記液体流通部へ前記液体を流入させる流入部と、前記液体流通部から前記液体を流出させる流出部と、を備え、前記液体流通部は、前記一対の挟込部が対向する対向方向において、前記被挟込部を貫通するように形成され、前記対向方向において、前記一対の挟込部が前記液体流通部を両側から覆うように配置されるとともに、前記一対の挟込部が前記被挟込部における前記液体流通部の周囲に密着することで、前記一対の挟込部と前記液体流通部とで囲まれた流通空間であって前記減圧流路の少なくとも一部を構成する前記流通空間が形成される。
(2)本発明の静電噴霧装置は、液体を噴霧する液体噴霧部と前記液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって前記液体を帯電状態で前記液体噴霧部から離脱させて霧化し、前記異極部に霧化した前記液体を噴霧するエレクトロスプレー法による静電噴霧装置であって、流通する前記液体に圧力損失を発生させる減圧流路を形成する減圧部を備え、前記減圧部は、サンドイッチ構造を少なくとも一つ備え、前記サンドイッチ構造は、対向配置される一対の挟込部と、前記一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部と、を備え、前記一対の挟込部と前記被挟込部とは、分離可能であり、前記被挟込部は、前記液体が流通する液体流通部と、前記液体流通部へ前記液体を流入させる流入部と、前記液体流通部から前記液体を流出させる流出部と、を備え、前記液体流通部は、前記一対の挟込部が対向する対向方向において、前記一対の挟込部のうち一方の挟込部側へ開放する溝部により形成され、前記対向方向において、前記一対の挟込部のうち前記一方の挟込部が前記液体流通部を覆うように配置されるとともに、前記一方の挟込部が前記被挟込部における前記液体流通部の周囲に密着することで、前記一方の挟込部と前記液体流通部とで囲まれた流通空間であって前記減圧流路の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される。
(3)上記(1)又は(2)において、前記被挟込部は、少なくとも一つの前記流入部と、複数の前記流出部と、を備え、一つの前記流入部と複数の前記流出部とが前記液体流通部を介して連通する。
(4)上記(1)又は(2)において、前記減圧部は、前記対向方向に配置される複数の前記サンドイッチ構造を備え、複数の前記サンドイッチ構造のうち、一のサンドイッチ構造が備える被挟込部が、前記一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部の一方の挟込部を構成し、前記一のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部の少なくとも一方の挟込部が、前記他のサンドイッチ構造が備える前記被挟込部を構成し、複数の前記サンドイッチ構造のそれぞれが備える前記被挟込部が前記対向方向に隣接して配置され、隣接する前記被挟込部において、前記液体の流通方向の上流側に配置される前記被挟込部が備える前記流出部と下流側に配置される前記被挟込部が備える前記流入部とが直接的に連通することで、それぞれの前記サンドイッチ構造で形成される前記流通空間同士が連通して前記減圧流路が形成される。
(5)上記(4)において、隣接して配置される前記被挟込部が板状である。
(6)上記(1)において、前記減圧部は、前記対向方向に配置される複数の前記サンドイッチ構造を備え、複数の前記サンドイッチ構造のうち、一のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部のうち少なくとも一方の挟込部は、前記一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える前記一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成すると共に、前記一のサンドイッチ構造が備える前記被挟込部と前記他のサンドイッチ構造が備える前記被挟込部との間に配置され、前記挟込部を介して隣り合う前記被挟込部において、前記液体の流通方向の上流側に配置される被挟込部が備える前記流出部と下流側に配置される被挟込部が備える前記流入部とが連通することで、それぞれの前記サンドイッチ構造で形成される前記流通空間同士が連通して前記減圧流路が形成される。
(7)上記(1)において、前記被挟込部は、板状に形成され前記対向方向に積層して配置される複数の板状体を備え、前記板状体は、該板状体を貫通する板状体貫通部を備え、前記液体流通部は、複数の前記板状体の前記板状体貫通部が、前記対向方向で重なるように配置されて連通することで形成される。
(8)上記(2)において、前記一方の挟込部は、前記被挟込部側へ向けて開放する溝部を備え、前記流通空間は、前記一方の挟込部の溝部と前記被挟込部の溝部とが前記対向方向において重なるように配置されて連通することで形成される。
(9)上記(1)又は(2)において、前記減圧流路を流れる前記液体の流量は1ml/分以下である。
(10)上記(1)、(2)、(6)又は(8)のいずれかにおいて、前記減圧部において一端側に位置する挟込部と他端側に位置する挟込部との間に位置する前記挟込部又は前記被挟込部の少なくとも一方が板状である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、微少流量の流量制御を要する静電噴霧装置において、洗浄及び流量の変更が容易な静電噴霧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る静電噴霧装置の全体構成を示す断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る液体噴霧部から液体を噴霧する状態を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る液体噴霧部の先端側を拡大した一部拡大断面図であり、(a)はノズルの先端面より心棒の先端面が後方に位置する場合の図であり、(b)は(a)の状態よりも心棒の先端面が前方に位置する場合の図である。
図4】本発明の実施形態に係る液体噴霧部と減圧部の概要を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る減圧部を示す分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る減圧部の被挟込部を示す斜視図である。
図7図5に示す減圧部の断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る減圧部の変形例を示す分解斜視図である。
図9図8に示す減圧部の断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る液体噴霧部と減圧部の変形例の概要を示す斜視図である。
図11図10に示す減圧部の分解斜視図である。
図12】本発明の実施形態に係る減圧部の変形例を示す分解斜視図である。
図13図12に示す減圧部の概略断面図である。
図14図12に示す減圧部の別の変形例を示す概略断面図である。
図15】本発明の実施形態に係る減圧部の変形例を示す分解斜視図である。
図16図15に示す減圧部の概略断面図である。
図17】本発明の実施形態に係る減圧部の変形例を示す概略断面図である。
図18】本発明の実施形態に係る液体噴霧部と減圧部の変形例の概要を示す斜視図である。
図19】本発明の実施形態に係る液体噴霧部と減圧部の変形例の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
なお、特に断りがない場合、「先(端)」や「前(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向側を表し、「後(端)」や「後(方)」等の表現は、各部材等において液体の噴霧方向と反対側を表すものとする。
【0010】
本発明に係る静電噴霧装置は、液体を噴霧する液体噴霧部と液体噴霧部に対して異極となる異極部との間に電圧を印加して発生する静電気力によって液体を帯電状態で液体噴霧部から離脱させて霧化し、異極部に霧化した液体を噴霧するエレクトロスプレー法による静電噴霧装置である。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る静電噴霧装置10の全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、静電噴霧装置10は、液体を噴霧するノズル22を備える液体噴霧部20と液体噴霧部20に対して異極となる異極部40との間に電圧を印加することでノズル22から異極部40に向けて液体を噴霧するように構成される。具体的には、静電噴霧装置10は、液体噴霧部20と、電圧印加手段(電圧電源)50と、液体を供給する液体供給手段90と、液体供給手段90から供給される液体を液体噴霧部20に送り、流通する液体に圧力損失を発生させる減圧流路151を形成する減圧部100と、を有する。
【0012】
(液体噴霧部)
図2は、本発明の実施形態に係る液体噴霧部20から液体を噴霧する状態を示す断面図である。
図2に示すように、液体噴霧部20は、絶縁材料で形成される胴体部21と、胴体部21の先端に配置され、導電材料で形成されるノズル22と、導電材料で形成される心棒23と、を備える。胴体部21には、液体が流通する液体流路21bが形成される。液体流路21bは、該液体流路21bへ液体を供給可能とする液体供給口21aを有する。ノズル22は、胴体部21の液体流路21bに連通する内部空間を備え、該内部空間に液体を流通可能に構成される。心棒23は、胴体部21の液体流路21b内からノズル22の内部空間内に亘って配置される。
【0013】
胴体部21には、心棒23を後端側に取り出すために、液体流路21bと連通した孔部21cが設けられている。この孔部21c内には、心棒23との間の隙間をシールして液体が漏れないようにするシール部材24が設けられている。
なお、本実施形態では、シール部材24としてOリングを用いているが、Oリングに限らず、シールが可能なものであればよい。
【0014】
そして、孔部21cを通じて胴体部21の後端側に位置する心棒23の後端には、絶縁材料で形成される摘み部23aが設けられている。また、この心棒23の後端には、摘み部23aのほぼ中央を貫通するように配置され導電材料で形成される電気配線接続部23bが設けられている。
【0015】
図1に示すように、電気配線接続部23bには、電圧印加手段50からの電気配線が接続される。
そして、図2に示すように、電気配線接続部23bが心棒23に接触することで心棒23と電気配線接続部23bとが電気的に接続されている。
【0016】
また、胴体部21の後端側の開口である後端開口部21dの内周面には、摘み部23aを螺合接続するための雌ネジ構造21eが設けられている。一方、摘み部23aの先端外周面には、雄ネジ構造23cが設けられている。
【0017】
したがって、胴体部21の後端開口部21dの雌ネジ構造21eに摘み部23aの先端外周面の雄ネジ構造23cを螺合させることで心棒23が取外し可能に胴体部21に取付けられている。
また、摘み部23aの螺合量を調節することで、心棒23が前後方向に移動するため、心棒23の先端面23dの位置を前後方向に調節することができる。
【0018】
上述のように、心棒23を前後方向に移動させることができるため、目詰まりが起きても心棒23を移動させることで目詰まりの解消を行うことができる。
また、ノズル22の内部空間の内径は、心棒23を配置できる程度に比較的大きくできるため、心棒23を取り外して洗浄液を大量に流して洗浄することもできる。
【0019】
図3は、液体噴霧部20の先端側を拡大した拡大図である。図3(a)は、心棒23の先端面23dがノズル22の先端より後方に位置する場合であり、図3(b)は、図3(a)の状態よりも心棒23の先端面23dが前方に位置する場合である。
【0020】
図3(a)に示すように、ノズル22は、開口部22b側に向かってテーパ状に内径が小さくなるテーパ角度がαであるテーパ状内径部(範囲A参照)を有している。また、心棒23は、先端面23dに向かって外径が小さくなるテーパ角度がβであるテーパ形状部(範囲B参照)を有している。
【0021】
そして、ノズル22のテーパ状内径部のテーパ角度αは、心棒23のテーパ形状部のテーパ角度βよりも大きい。
また、心棒23の先端面23dの直径は、ノズル22の開口部22bの開口直径よりも小さい。一方、心棒23のテーパ形状部は、後端側に向かって徐々に直径が大きくなる。そして、この心棒23のテーパ形状部は、ノズル22の開口部22bの開口直径よりも直径の大きい部分を有するように形成されている。
【0022】
ノズル22及び心棒23の先端側を上記のように形成することによって、図3(a)及び(b)を見比べるとわかるように、心棒23を前後方向に移動させることでノズル22と心棒23とで形成される隙間の幅を調節できる。これにより、ノズル22の開口部22bから出る液体の量を調節することができる。
【0023】
また、図3(b)で示す状態よりも、更に、心棒23を前方側に動かすことで、心棒23をノズル22の内周面に当接させることができる。これにより、心棒23によってノズル22の開口部22bを閉塞することが可能である。
したがって、液体を噴霧しない状態において、ノズル22の開口部22bを心棒23で閉塞し、ノズル22内の液体が乾燥することを防止できる。これにより、ノズル22の目詰まりを抑制できる。
【0024】
(異極部40)
本実施形態では、図1において、異極部40が被塗物となる。具体的には、心棒23に接続されるのと反対側の電気配線が被塗物に接続されることで、被塗物自体が液体噴霧部20に対する異極になっている。
また、異極部40となる被塗物は、アース手段80でアースされる。
このアース手段80は、必須の要件ではないが、作業者が被塗物に触れることがあり得るので安全面の観点で設けることが好ましい。
【0025】
なお、本実施形態では、被塗物を異極部40とするために、被塗物に電圧印加手段50からの電気配線を接続している。しかし、被塗物を異極部40とするために、直接、電気配線を被塗物に接続する必要はない。
【0026】
例えば、被塗物が搬送装置などによって、塗料などの液体を塗布する位置に搬送されるような場合には、搬送装置における被塗物が載置される載置部に、電圧印加手段50からの電気配線が接続されるようにすることで、載置部を介して被塗物が電圧印加手段50に電気的に接続されるようにしてもよい。
【0027】
図2を用いて、上記のような構成を有する本実施形態の静電噴霧装置10を用いて液体を噴霧する状態について説明を行いながら、更に本実施形態の静電噴霧装置10の構成などについて詳細な説明を行う。
【0028】
図2において、ノズル22から出る液体は、液体噴霧部20と異極部40(被塗物)との間に電圧印加手段50によって印加される電圧により発生する静電気力で引っ張られる。このときに、心棒23の先端面23d及びノズル22の先端外周縁22aへの表面張力や粘度による付着力に対して、液体を引っ張る静電気力が釣り合う。このようにして、ノズル22の先端側に供給された液体が、図2に示すように、その先端で円錐形の形状となるテーラコーン60の状態となる。
【0029】
このテーラコーン60は、電場の作用によって、液体中で正/負電荷の分離が起こり、過剰電荷で帯電したノズル22先端のメニスカスが変形して円錐状となって形成されるものである。
そして、液体が、テーラコーン60の先端から静電気力によって真直ぐ引っ張られ、その後静電爆発する。
【0030】
この静電爆発に至るまでの前方側への引っ張り力は、噴霧される液体の慣性力となる。さらに、静電爆発時の広がり力(反発力)や静電気力による引っ張り力などの相互作用の結果として、液体は前方側に噴霧される。
【0031】
そして、この噴霧される液体、つまり、ノズル22から帯電状態で離脱して液体粒子となった液体は、離脱前の状態に比べ、空気に触れる面積が飛躍的に大きくなるため、溶媒の気化が促進される。その溶媒の気化に伴って、帯電している電子間の距離が近づき、静電反発(静電爆発)が発生して小さい粒径の液体粒子に分裂する。この分裂が起こると、更に、分裂前に比べ空気に触れる表面積が増えるため、溶媒の気化が促進される。そして、再び、静電爆発して小さい粒径の液体粒子に分裂する。このような静電爆発が繰り返されることで、液体が霧化される。
【0032】
なお、一般的に、静電噴霧装置の液体供給量は、必要な霧化粒子径及び霧化粒子径のバラツキ度合などについて、霧化粒子に大きな影響を与える。このため、安定的な霧化粒子を得るためには、液体の流量を一定にすることが非常に重要である。
さらに、静電噴霧装置の液体供給量は極めて微少である。この液体供給量は、例えば、1ml/分以下であり、更には、0.1ml/分以下の場合もある。
このように、エレクトロスプレー法による静電噴霧装置における液体の供給は、極めて微少流量の液体を一定の流量で供給する必要がある。
このため、水頭差、圧縮空気の圧力、液体ポンプなどで供給液体に一定の圧力をかけて液体を供給する方式では、微小流量の液体に対して安定的に作用する抵抗手段である減圧機構が必要となる。
【0033】
図2において、液体供給手段90は、流路管91を介して減圧部100に接続される。そして、減圧部100は、流路管92を介して液体噴霧部20の液体供給口21aに接続される。液体供給手段90は、液体を貯蔵する液体貯蔵容器や液体貯蔵容器の中の液体を供給するポンプを備えるようにしてもよいが、これに限定されるものではない。例えば、ポンプがない構成でもよい。
【0034】
液体供給手段90から供給される液体は、流路管91を介して減圧部100に送られ、減圧部100から流路管92を介して液体噴霧部20に供給される。減圧部100の減圧流路151は、流路抵抗を有する。そして、この流路抵抗を有する減圧流路151の最上流(入口)から最下流(出口)へ液体が流れることで、流通する液体に所定の圧力損失を発生させる。この所定の圧力損失に応じて、流路管91側から所定の流量で、一定の流量の液体が減圧部100の減圧流路151に供給される。これにより、所定の流量で、一定の流量の液体が液体噴霧部20のノズル22に供給される。
【0035】
(減圧部)
図4は、本発明の実施形態に係る液体噴霧部20と減圧部100の概要を示す斜視図である。
図5は、本発明の実施形態に係る減圧部100を示す分解斜視図である。
図6は、本発明の実施形態に係る減圧部100の被挟込部150を後方側から見た斜視図である。
図7は、図5に示す減圧部100の断面図である。
図4図5図6及び図7を用いて、静電噴霧装置10の減圧部100について説明する。
【0036】
図4図5に示すように、減圧部100において、挟込部110と挟込部120とが、対向配置されている。この挟込部110と挟込部120とが、一対の挟込部を形成している。そして、挟込部110と挟込部120とにより形成される一対の挟込部に、被挟込部150が挟み込まれている。このように、減圧部100は、一対の挟込部と被挟込部150とを備えるサンドイッチ構造140を、少なくとも一つ備えている。
【0037】
挟込部110は、液体噴霧部20に流路管92を介して接続される送出流路111と、送出流路111の上流側の開口である送出孔114が設けられる流路形成部112と、を有している。
【0038】
また、挟込部120は、液体供給手段90(図2参照)に流路管91を介して接続される送入流路121と、送入流路121の下流側の開口である送入孔124が設けられる流路形成部122と、を有している。
【0039】
挟込部110と挟込部120との間に設けられている被挟込部150は、図5図6に示すように、板状に設けられている。しかし、これに限定されるものではない。この被挟込部150は、一対の挟込部が対向する対向方向において、被挟込部150を貫通するように形成された孔部である液体流通部151bが設けられている。そして、被挟込部150は、送入孔124から送入される液体を、この液体流通部151bへ流入させる流入部151aを備えている。また、被挟込部150は、液体流通部151bから液体を送出孔114に流出させる流出部151cを備えている。このように、被挟込部150は、流入部151aに送入される液体が液体流通部151bに流入し、液体流通部151bを流通した液体が流出部151cから流出するように構成されている。
【0040】
減圧部100において、この被挟込部150が、挟込部110の流路形成部112と挟込部120の流路形成部122とによって、挟まれて配置されている。そして、被挟込部150の流入部151aが、送入流路121の下流側の開口である送入孔124と位置が一致するように配置されている。同様に、被挟込部150の流出部151cが、送出流路111の上流側の開口である送出孔114と位置が一致するように配置されている。
【0041】
この状態で、挟込部110と挟込部120による一対の挟込部が、それらが対向する対向方向において、被挟込部150の液体流通部151bを両側から覆うように配置される。そして、この一対の挟込部が、被挟込部150における液体流通部151bの周囲に密着する。このようにして、一対の挟込部と液体流通部151bとで囲まれた流通空間であって、減圧流路151の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される。
【0042】
すなわち、図5図6及び図7に示すように、被挟込部150の第1面150a側に配置される開口である液体流通部151bの第1開口部151baの周囲と挟込部110の流路形成部112とが密着している。同様に、液体流通部151bの第2面150b側に配置される開口である第2開口部151bbの周囲と挟込部120の流路形成部122とが密着している。これらの密着した部分において、液体が漏れないようになっている。そして、液体流通部151bとそれを両側から覆いつつ被挟込部150に密着する流路形成部112及び流路形成部122によって囲まれて形成される空間によって、液体が流れる減圧流路151の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される。
【0043】
図5図7に示すように、送入流路121の送入孔124から供給された液体は、流入部151aから液体流通部151bに流入する。液体流通部151bに流入した液体は、液体流通部151bを流れ、液体流通部151bから流出部151cに流出する。流出部151cに流出した液体は、流出部151cから送出孔114を通って送出流路111に供給される。すなわち、送入流路121から供給された液体は、流路抵抗を有する減圧流路151を流れて所定の圧力損失を発生させて、送出流路111に供給される。
【0044】
このように、流路抵抗を有する減圧流路151を液体が流れることで、液体に所定の圧力損失を発生させる。この所定の圧力損失に応じて、送入流路121から所定の流量に流量制御された液体が減圧部100の減圧流路151に供給される。そして、この所定の流量の液体が、送出流路111を介して、図4に示す液体噴霧部20のノズル22に供給される。すなわち、液体供給手段90から供給され、所定の流量に制御をされた液体が、減圧部100を流れて、液体噴霧部20に供給される。
【0045】
上記のとおり、この減圧流路151は、一対の挟込部と液体流通部151bとで囲まれた流通空間によって構成される。図5図6に示すように、液体流通部151bは、少なくも1か所で曲がるように形成されていてもよい。本実施形態では、液体流通部151bは、複数個所で曲がるように(具体的には、2か所で略直角に曲がる略コの字に)形成されている。また、液体流通部151bの一方の端部(具体的には、液体の流通方向の上流側に位置する端部)に、円形状の流入部151aが連通している。また、液体流通部151bの他方の端部(具体的には、液体の流通方向の下流側に位置する端部)に、円形状の流出部151cが連通している。そして、液体流通部151bにおいて、一方の端部から他方の端部に液体が流れる距離が、液体流通部151bの長さである。また、液体流通部151bの液体の流通方向に垂直の断面において、被挟込部150の第1面150aと第2面150bとを繋ぐ距離が液体流通部151bの高さである。そして、この高さに直角方向(第1面や第2面に沿う方向)の距離が、液体流通部151bの幅である。液体流通部151bの長さは、液体流通部151bにおいて、液体の流通方向の上流側に位置する端部と、液体の流通方向の下流側に位置する端部とを、液体の流通方向に沿って結ぶ距離である。この距離は、幅方向の位置により変わるが、両端部の幅方向の中央を結ぶ距離を液体流通部151bの長さとしてもよい。
【0046】
一般的に、エレクトロスプレー法による静電噴霧装置において、液体の霧化を安定的に行うためには、微少流量(例えば、1ml/分以下、あるいは、0.5ml/分以下、更には、0.1ml/分以下の場合もある)の流量制御を高い精度で行うことが必要である。
【0047】
そして、液体の流路における流路抵抗及びこの流路抵抗による圧力損失は、流路の長さや流路の断面積などの形態的な特性により決まり、流路の長さにほぼ比例することが知られている。したがって、流路の長さや流路の断面の形態を管理することで、流路の流路抵抗及び流路を流れる液体に発生する圧力損失を管理することができる。そして、この圧力損失を管理することで、供給される液体の流量を管理することができ、高い精度で流量制御を行うことができる。
【0048】
したがって、本実施形態において、液体流通部151bの長さや幅、あるいは、高さを調整することで、減圧流路151の流路抵抗を高い精度で調整することができる。そして、減圧流路151を流れる液体に発生する圧力損失を高い精度で調整することができる。これによって、減圧部100を流れて液体噴霧部20に供給される液体の流量を、高い精度で制御することができる。
【0049】
なお、本実施形態の液体流通部151bは、図5に示す略コの字の形状に限定されない。また、流入部151aと流出部151cの配置や形状も、図5に示す例に限定されない。例えば、液体流通部151bは、流入部151aと流出部151cを直線的に連接するようにしてもよい。また、流入部151aと流出部151cとが、被挟込部150の対角線上に配置されていてもよい。そして、流入部151aと流出部151cの形状は、円形状に限定されず、例えば、多角形状でもよい。
【0050】
このように、減圧流路151を流れる液体に発生する圧力損失を調整することで、減圧流路151を通過する微少流量の液体の流量制御を高い精度で行うことができる。したがって、液体噴霧部20に供給されノズル22から噴射する微少流量の液体の流量を高い精度で調整し、制御することができる。これにより、ノズル22から噴射する液体を安定的に霧化することができる。以上により、本実施形態の静電噴霧装置10によれば、被塗物である異極部40に所望する塗布パターンを安定して形成することができる。
【0051】
本実施形態の減圧部100は、挟込部110及び挟込部120による一対の挟込部と被挟込部150とが、分離可能に設けられている。すなわち、被挟込部150が、一対の挟込部に対して着脱可能に設けられている。また、一対の挟込部において、挟込部110と挟込部120とが分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部150の着脱、交換が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0052】
液体の流量を設定する場合は、液体噴霧部20に供給する液体の適切な流量に応じて、被挟込部150の液体流通部151bの長さ、幅、高さなどの形態を選択する。そして、選択された形態の液体流通部151bを備える被挟込部150を減圧部100の一対の挟込部に挟み込んで装着する。このようにすることで、適切な流量の液体を液体噴霧部20に安定して供給することができる。
【0053】
液体の流量を変更する場合は、減圧部100に装着されている被挟込部150を、液体流通部151bの形態が異なる被挟込部150に交換する。このようにして、減圧流路151を流れる液体の流量を極めて容易に変更することができる。すなわち、被挟込部150を交換することで、変更後の適切な流量の液体を液体噴霧部20に供給する減圧部100に容易に変更することができる。これにより、流量の変更が容易な静電噴霧装置10にすることができる。
【0054】
また、減圧部100において、詰まりを防止したり、塗布する液体の種類を変更したりするために、液体が流れる液体流通部151bを備える被挟込部150を洗浄することが必要である。本実施形態の減圧部100は、この被挟込部150を容易に取り外すことができる。このため、減圧部100の洗浄が容易である。これにより、洗浄が容易で、非常に利便性の高い静電噴霧装置10にすることができる。
【0055】
図8は、本発明の実施形態に係る減圧部100の変形例を示す分解斜視図である。
図9は、図8に示す減圧部100の断面図である。
図8図9を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
【0056】
図8に示すように、減圧部100は、図5で示す減圧部100の被挟込部150に代えて、被挟込部160が、対向配置される挟込部110と挟込部120による一対の挟込部の間に挟み込まれている。そして、減圧部100は、被挟込部160と、この一対の挟込部と、を有するサンドイッチ構造140を少なくとも一つ備えている。
【0057】
図8に示すように、被挟込部160は、板状に形成されている。しかし、これに限定されるものではない。この被挟込部160は、一対の挟込部が対向する対向方向において、一対の挟込部のうち一方の挟込部110側へ開放する溝状に形成された溝部により形成される液体流通部161bが設けられている。そして、被挟込部160は、送入孔124から送入される液体を、この液体流通部161bへ流入させる流入部161aを備えている。また、被挟込部160は、液体流通部161bから液体を送出孔114に流出させる流出部161cを備えている。このように、被挟込部160は、送入流路121から流入部161aに送入される液体が溝部である液体流通部161bに流入し、液体流通部161bを流通した液体が流出部161cから送出流路111に流出するように構成されている。
【0058】
減圧部100において、この被挟込部160が、挟込部110の流路形成部112と挟込部120の流路形成部122とによって挟まれて配置されている。そして、被挟込部160の流入部161aが、送入流路121の下流側の開口である送入孔124と位置が一致するように配置されている。同様に、被挟込部160の流出部161cが、送出流路111の上流側の開口である送出孔114と位置が一致するように配置されている。
【0059】
この状態で、一対の挟込部のうち一方の挟込部110の流路形成部112が、一対の挟込部が対向する対向方向において、被挟込部160の液体流通部161bを覆うように配置される。そして、一方の挟込部110の流路形成部112が、被挟込部160における液体流通部161bの周囲に密着する。このようにして、一方の挟込部110の流路形成部112と液体流通部161bとで囲まれた流通空間であって、減圧流路161の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される。
【0060】
すなわち、被挟込部160の第1面160a側に配置される開口である液体流通部161bの溝開口部161baの周囲と挟込部110の流路形成部112は密着している。被挟込部160の第2面160b側と挟込部120の流路形成部122は密着している。そして、液体流通部161bの周囲と挟込部110とが密着した部分において液体が漏れないようになっている。このように、液体流通部161bとそれを覆いつつ被挟込部160に密着する挟込部110の流路形成部112とによって囲まれて形成される空間によって、減圧流路161の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される。
【0061】
そして、送入流路121の送入孔124から供給された液体は、流入部161aから液体流通部161bに流入する。液体流通部161bに流入した液体は、液体流通部161bを流れ、液体流通部161bから流出部161cに流出する。流出部161cに流出した液体は、流出部161cから送出孔114を通って送出流路111に供給される。すなわち、送入流路121から供給された液体は、所定の流路抵抗を有する減圧流路161を流れて所定の圧力損失を発生させ、送出流路111に供給される。
【0062】
このように、所定の流路抵抗を有する減圧流路161を液体が流れることで、液体に所定の圧力損失を発生させる。そして、この所定の圧力損失に応じて、送入流路121から所定の流量に流量制御された液体が減圧部100の減圧流路161に供給される。そして、この所定の流量の液体が、送出流路111を介して、液体噴霧部20のノズル22(図2参照)に供給される。
これによって、液体供給手段90から供給され、所定の流量に制御された液体が、減圧部100を介して、液体噴霧部20に供給される。
【0063】
上記のとおり、この減圧流路161は、一方の挟込部110と液体流通部161bとで囲まれた流通空間によって構成される。図8に示すように、液体流通部161bは、少なくも1か所で曲がるように形成される。本実施形態では、液体流通部161bは、複数個所で曲がるように(具体的には、2か所で略直角に曲がる略コの字に)形成されている。また、液体流通部161bの一方の端部(具体的には、液体の流通方向の上流側に位置する端部)に、円形状の流入部161aが連通している。また、液体流通部161bの他方の端部(具体的には、液体の流通方向の下流側に位置する端部)に、円形状の流出部161cが連通している。そして、液体流通部161bにおいて、一方の端部から他方の端部に液体が流れる距離が、液体流通部161bの長さである。また、液体流通部161bの液体の流通方向に垂直の断面において、被挟込部160の第1面160aから第2面160b方向への距離が液体流通部161bの深さである。そして、この深さに直角方向(第1面160aに沿う方向)の距離が液体流通部161bの幅である。液体流通部161bの長さは、液体流通部161bにおいて、液体の流通方向の上流側に位置する端部と、液体の流通方向の下流側に位置する端部とを、液体の流通方向に沿って結ぶ距離である。この距離は、幅方向の位置により変わるが、両端部の幅方向の中央を結ぶ距離を液体流通部161bの長さにしてもよい。
【0064】
本実施形態において、この液体流通部161bの長さや幅、あるいは、深さを調整することで、減圧流路161の流路抵抗を高い精度で調整することができる。そして、減圧流路161を流れる液体に発生する圧力損失を高い精度で調整することができる。なお、本実施形態の液体流通部161bは、図8に示す略コの字の形状に限定されない。また、流入部161aと流出部161cの配置や形状も、図8に示す例に限定されない。例えば、液体流通部161bは、流入部161aと流出部161cを直線的に連接するようにしてもよい。また、流入部161aと流出部161cとが、被挟込部160の対角線上に配置されていてもよい。
【0065】
このように、減圧流路161を流れる液体に発生する圧力損失を調整することで、減圧流路161を通過する微少流量の液体の流量制御を高い精度で行うことができる。したがって、液体噴霧部20に供給されノズル22から噴射する微少流量の液体の流量を高い精度で調整し、制御することができる。これにより、ノズル22から噴射する液体を安定的に霧化することができる。以上により、本実施形態の静電噴霧装置10によれば、被塗物である異極部40に所望する塗布パターンを安定して形成することができる。
【0066】
本実施形態の減圧部100は、挟込部110及び挟込部120による一対の挟込部と被挟込部160とが、分離可能に設けられている。すなわち、被挟込部160が、一対の挟込部に対して着脱可能に設けられている。また、一対の挟込部において、挟込部110と挟込部120とが分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部160の着脱、交換が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0067】
液体の流量を設定する場合は、液体噴霧部20に供給する液体の適切な流量に応じて、被挟込部160の液体流通部161bの長さ、幅、深さなどの形態を選択する。そして、選択された形態の液体流通部161bを備える被挟込部160を減圧部100の一対の挟込部に挟み込んで装着する。このようにすることで、適切な流量の液体を液体噴霧部20に供給することができる。このように、被挟込部160を交換することで、適切な流量の液体を液体噴霧部20に供給する減圧流路161にすることができる。これにより、非常に利便性の高い静電噴霧装置10にすることができる。
【0068】
液体の流量を変更する場合は、装着されている被挟込部160を、液体流通部161bの形態が異なる被挟込部160に交換する。このように、減圧流路161を流れる液体の流量を極めて容易に変更することができる。すなわち、被挟込部160を交換することで、適切な流量の液体を液体噴霧部20に供給する減圧部100に容易に変更することができる。これにより、流量の変更が容易な静電噴霧装置10にすることができる。
【0069】
そして、本実施形態の減圧部100は、被挟込部160を容易に取り外すことができる。このため、減圧部100の洗浄が容易である。これにより、洗浄が容易で、非常に利便性の高い静電噴霧装置10にすることができる。
【0070】
なお、被挟込部160の液体流通部161bは、図8に示す例では、第1面160aに溝状に設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、液体流通部161bが、第2面160bに設けられて、挟込部120の流路形成部122が液体流通部161bの周囲に密着して減圧流路161を形成してもよい。
【0071】
また、液体流通部161bが、第1面160aと第2面160bに設けられていてもよい。そして、一方の挟込部110の流路形成部112と他方の挟込部120の流路形成部122が、被挟込部160の両面に設けられた液体流通部161bの周囲に密着して減圧流路161を形成してもよい。この場合、両面の液体流通部161bが、一方の端部で、貫通孔によって連接されるようにしてもよい。この貫通孔に対する他方の端部において、第2面160bに設けられた液体流通部161bに流入部161aが連通する。また、この貫通孔に対する他方の端部において、第1面160aに設けられた液体流通部161bに流出部161cが連通する。そして、流入部161aが送入孔124と接続され、流出部161cが送出孔114と接続されるようにしてもよい。このようにすることで、一つの被挟込部160によって、被挟込部160の両面に亘るほぼ2倍の長さの減圧流路161を形成できる。
【0072】
図10は、本発明の実施形態に係る液体噴霧部20と減圧部100の変形例の概要を示す斜視図である。
図11は、図10に示す減圧部100の分解斜視図である。
図10図11を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
【0073】
図10に示す液体噴霧部20は、液体を噴霧するノズル22を二つ有する。液体は、流路管91を介して減圧部100に供給される。この供給された液体は、減圧部100の中で二つの流れに分岐する。この分岐した液体は、二つの流路管92を介して液体噴霧部20に供給され、二つのノズル22から噴霧される。
【0074】
図11に示すように、被挟込部150Wは、中央付近に設けられた一つの流入部151aと、その両側に設けられた二つの流出部151cと、を備える。そして、この一つの流入部151aと二つの流出部151cとが、流入部151aを挟んで二つに分かれている液体流通部151bを介して連通する。
【0075】
そして、送入流路121の送入孔124が、流入部151aに接続される。また、二つの送出流路111の二つの送出孔114が、二つの流出部151cに接続される。そして、被挟込部150Wにより形成される減圧流路151は、挟込部120に設けられた一つの送入流路121の送入孔124と挟込部110に設けられた二つの送出流路111の送出孔114を接続する。これにより、減圧流路151が、一つの送入流路121を二つの送出流路111に分岐するようにしてもよい。
【0076】
このように、被挟込部150Wは、少なくとも一つの流入部151aと、複数の流出部151cと、を備えるようにしてもよい。そして、一つの流入部151aと複数の流出部151cとが液体流通部151bを介して連通するようにしてもよい。これに対応して、挟込部110は、複数の送出流路111と、複数の送出孔114と、を有するようにしてもよい。そして、減圧流路151は、一つの流入部151aと複数の流出部151cとを介して、挟込部120の一つの送入孔124と挟込部110の複数の送出孔114とを接続するように形成してもよい。このように、減圧流路151は、上流の一つの送入流路121を、下流の複数の送出流路111に分岐するようにしてもよい。
【0077】
図11に示す減圧部100は、図5に示す減圧部100と同様に、挟込部110及び挟込部120による一対の挟込部と被挟込部150とが、分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部150の着脱、交換が容易である。これにより、減圧部100は、流量の変更が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0078】
なお、図11において、被挟込部150Wにより減圧流路151を形成しているが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示す被挟込部160において、液体流通部161bの形状を図11に示す液体流通部151bの形状のように形成してもよい。そして、一つの流入部161aと複数の流出部161cとが液体流通部161bを介して連通するようにしてもよい。
【0079】
図12は、本発明の実施形態に係る減圧部100の変形例を示す分解斜視図である。
図13は、図12に示す減圧部100の概略断面図である。具体的には、図13は、図12において、被挟込部150Cの流入部151aの左側から、流入部151aの中心を通り、液体流通部151bを流入部151a側の端部から流出部151c側の端部へと繋ぐように通り、流出部151cの中心を通り、流出部151cの左側までの、略コの字形の断面を一つの平面に伸ばした概略断面図である。
図12図13を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
【0080】
図12に示すように、減圧部100は、複数(図12では三つ)の被挟込部150A、150B、150Cを備えている。この三つの被挟込部150A、150B、150Cが積層した状態で、挟込部110の流路形成部112と挟込部120の流路形成部122に挟まれた状態で設けられるようにしてもよい。図12に示すように、被挟込部150A、150B、150Cの間に接続孔155cを有する中間挟込部155と接続孔156cを有する中間挟込部156が挟まれるように設けられている。しかし、これに限定されるものではない。中間挟込部155及び中間挟込部156は、被挟込部150Aなどの形態や配置などに応じて、含めてもよく、また、含めないようにしてもよい。
【0081】
図13に示すように、減圧部100は、対向方向に配置される複数(図13では三つ)のサンドイッチ構造140A、140B、140Cを備えている。一つ目は、挟込部110と中間挟込部155とによる一対の挟込部と被挟込部150Aとを備えるサンドイッチ構造140Aである。二つ目は、中間挟込部155と中間挟込部156とによる一対の挟込部と被挟込部150Bとを備えるサンドイッチ構造140Bである。三つ目は、中間挟込部156と挟込部120とによる一対の挟込部と被挟込部150Cとを備えるサンドイッチ構造140Cである。
【0082】
そして、サンドイッチ構造140Aが備える一対の挟込部のうち、一方の挟込部である中間挟込部155が、隣り合うサンドイッチ構造140Bが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成している。そして、この中間挟込部155は、隣り合うサンドイッチ構造140A、140Bが備える被挟込部150A、150Bの間に配置されている。
【0083】
同様に、サンドイッチ構造140Bが備える一対の挟込部のうち、一方の挟込部である中間挟込部155が、隣り合うサンドイッチ構造140Aが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成している。また、他方の挟込部である中間挟込部156が、隣り合うサンドイッチ構造140Cが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成している。そして、中間挟込部155は、隣り合うサンドイッチ構造140A、140Bが備える被挟込部150A、150Bの間に配置されている。中間挟込部156は、隣り合うサンドイッチ構造140B、140Cが備える被挟込部150B、150Cの間に配置されている。
【0084】
同様に、サンドイッチ構造140Cが備える一対の挟込部のうち、一方の挟込部である中間挟込部156が、隣り合うサンドイッチ構造140Bが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成している。そして、この中間挟込部156は、隣り合うサンドイッチ構造140B、140Cが備える被挟込部150B、150Cの間に配置されている。
【0085】
このように、本実施形態において、複数のサンドイッチ構造140A、140B、140Cのうち、一のサンドイッチ構造が備える一対の挟込部のうち少なくとも一方の挟込部が、この一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成する。そして、この挟込部が、一のサンドイッチ構造が備える被挟込部とこの一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える被挟込部の間に配置されている。
【0086】
そして、例えば、サンドイッチ構造140A、140Bが備える挟込部である中間挟込部155を介して隣り合う被挟込部150A、150Bのうち、液体の流通方向の上流側に配置される被挟込部150Bが備える流出部151cと液体の流通方向の下流側に配置される被挟込部150Aが備える流入部151aとが、サンドイッチ構造140A、140Bが対向する対向方向において連通する。これにより、それぞれのサンドイッチ構造140A、140Bで形成される流通空間同士が連通して減圧流路151が形成される。このことは、サンドイッチ構造140B、140Cの被挟込部150B、150Cにおいても同様である。
【0087】
一方、挟込部である中間挟込部155、156を介して隣り合う被挟込部150A、150B、150Cにおいて、液体流通部151bは直接的には連通しない。すなわち、図13に示すように、被挟込部150Aの液体流通部151bと被挟込部150Bの液体流通部151bとは、直接的には連通しない。同様に、被挟込部150Bの液体流通部151bと被挟込部150Cの液体流通部151bとは、直接的には連通しない。そして、隣り合う被挟込部150A、150B、150Cにおいて、それぞれの液体流通部151bは、流入部151aと流出部151cとを介して接続される。このようにすることで、それぞれのサンドイッチ構造140A、140B、140Cで形成される流通空間同士が液体の流通方向に直列的に連通した減圧流路151が形成される。
【0088】
図13に示すように、減圧部100において、液体の流通方向の上流側から順に、被挟込部150C、被挟込部150B、被挟込部150Aが配置される。そして、送入流路121から送入された液体は、被挟込部150Cの流入部151aから、液体流通部151bを経て、流出部151cへと流れる。被挟込部150Cの流出部151cと、被挟込部150Cと中間挟込部156を介して隣り合う被挟込部150Bの流入部151aとが、接続孔156cを介して対向方向において連通する。そして、被挟込部150Bにおいて、液体が、流入部151aから、液体流通部151bを経て、流出部151cへと流れる。被挟込部150Bの流出部151cと、被挟込部150Bと中間挟込部155を介して隣り合う被挟込部150Aの流入部151aとが、接続孔155cを介して対向方向において連通する。そして、被挟込部150Aにおいて、液体が、流入部151aから、液体流通部151bを経て、流出部151cへと流れる。そして、液体は、被挟込部150Aの流出部151cから送出流路111へと流れる。
【0089】
なお、流出部151cと流入部151aとが、接続孔155c、156cを介して連通する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、流出部151cと流入部151aの一方が中間挟込部155、156の厚さに相当する高さの凸部を有し、この凸部に流出部151cや流入部151aを構成する孔を設けてもよい。そして、接続孔155c、156cを介さず、流出部151cと流入部151aとが、直接連接するようにしてもよい。この場合、中間挟込部155、156は、この凸部と干渉しないようにするための孔や切り欠きなどを備えるようにしてもよい。
【0090】
サンドイッチ構造140A、140B、140Cにおいて、一対の挟込部と液体流通部151bとで囲まれた流通空間により構成された減圧流路151の一部が、液体の流通方向に連接されて、一つの減圧流路151を形成する。これにより、サンドイッチ構造140A、140B、140Cのそれぞれにおいて形成された減圧流路151の一部の長さを、全て加えた長さの減圧流路151が形成される。
【0091】
このようにして、三つの被挟込部150A、150B、150Cの液体流通部151bを直列に接続した減圧流路151が形成される。したがって、この減圧流路151は、一つの被挟込部150を有する減圧流路151の3倍程度の長さにすることができる。これによって、減圧流路151により発生する圧力損失を、ほぼ減圧流路151の長さが変化した割合に変化させることができる。そして、液体の流量をこの長さに応じた流量に調整することができる。このようにして、微少流量の液体の流量制御を高い精度で行うことができる。また、被挟込部150の個数を変更して減圧流路151の長さを変更することで、流量の変更が容易な減圧部100とすることができる。
【0092】
図12に示す減圧部100は、図5に示す減圧部100と同様に、挟込部110及び挟込部120による一対の挟込部と被挟込部150A、150B、150Cとが、分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部150Aなどの着脱、交換が容易である。これにより、減圧部100は、流量の変更が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0093】
なお、図12において、三つの同じ被挟込部150Aなどが積層されているが、これに限定されるものではない。例えば、積層する複数の被挟込部150は、二つでも四つ以上でもよい。また、積層する被挟込部150は、液体流通部151bの形状が異なるものを積層してもよく、厚さが異なるものを積層してもよい。
【0094】
図14は、図12に示す減圧部100の別の変形例を示す概略断面図である。そして、図14は、図13と同様に、減圧部100の流入部151a、液体流通部151b、流出部151cなどを通る断面を一つの平面に伸ばした概略断面図である。
図14を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
図14に示す減圧部100は、図12に示す減圧部100と異なり、中間挟込部155、156が設けられていない。
【0095】
図14に示すように、減圧部100は、対向方向に積層して配置される複数(図14では三つ)のサンドイッチ構造140D、140E、140Fを備える。サンドイッチ構造140Dは、被挟込部150Dを備える。サンドイッチ構造140Eは、被挟込部150Eを備える。サンドイッチ構造140Fは、被挟込部150Fを備える。
【0096】
それぞれのサンドイッチ構造において、サンドイッチ構造140Dは、その被挟込部150Dが、このサンドイッチ構造140Dに隣接するサンドイッチ構造140Eが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成する。また、サンドイッチ構造140Dが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部である被挟込部150Eが、サンドイッチ構造140Dに隣接するサンドイッチ構造140Eが備える被挟込部150Eを構成する。
【0097】
サンドイッチ構造140Eは、その被挟込部150Eが、このサンドイッチ構造140Eに隣接するサンドイッチ構造140D、140Fが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成する。また、サンドイッチ構造140Eが備える一対の挟込部となる被挟込部150D、150Fが、それぞれ、サンドイッチ構造140Eに隣接するサンドイッチ構造140D、140Fが備える被挟込部150D、150Fを構成する。
【0098】
サンドイッチ構造140Fは、その被挟込部150Fが、このサンドイッチ構造140Fに隣接するサンドイッチ構造140Eが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部を構成する。また、サンドイッチ構造140Fが備える一対の挟込部のうち一方の挟込部である被挟込部150Eが、サンドイッチ構造140Fに隣接するサンドイッチ構造140Eが備える被挟込部150Eを構成する。
【0099】
このように、複数のサンドイッチ構造140D、140E、140Fのうち、一のサンドイッチ構造が備える被挟込部が、この一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える一対の挟込部の一方の挟込部を構成する。また、一のサンドイッチ構造が備える一対の挟込部の少なくとも一方の挟込部が、この一のサンドイッチ構造に隣り合う他のサンドイッチ構造が備える被挟込部を構成する。そして、隣り合うサンドイッチ構造140D、140E、140Fのそれぞれが備える被挟込部150D、150E、150Fが、対向方向に積層し隣接して配置される。そして、それぞれのサンドイッチ構造140Dなどの一対の挟込部が、液体流通部151bを両側から覆うように配置される。この一対の挟込部が、被挟込部150Dなどにおける液体流通部151bの周囲に密着することで、一対の挟込部と液体流通部151bとで囲まれた流通空間であって減圧流路151の少なくとも一部を構成する流通空間が形成される。
【0100】
隣接する被挟込部150D、150Eにおいて、液体の流通方向の上流側に配置される被挟込部150Eが備える流出部151cと液体の流通方向の下流側に配置される被挟込部150Dが備える流入部151aとが直接的に連通する。隣接する被挟込部150E、150Fについても同様である。そうすることで、それぞれのサンドイッチ構造140D、140E、140Fで形成される流通空間同士が連通して、減圧流路151が形成される。
【0101】
一方、隣接する被挟込部150D、150E、150Fにおいて、液体流通部151b同士は直接的には連通しない。すなわち、図14に示すように、被挟込部150Dの液体流通部151bと被挟込部150Eの液体流通部151bとは、直接的には連通しない。同様に、被挟込部150Eの液体流通部151bと被挟込部150Fの液体流通部151bとは、直接的には連通しない。そして、隣接する被挟込部150D、150E、150Fにおいて、それぞれの液体流通部151bは、流入部151aと流出部151cとを介して接続される。このようにすることで、それぞれのサンドイッチ構造140D、140E、140Fで形成される流通空間同士が液体の流通方向に直列的に連通した減圧流路151が形成される。
【0102】
図14に示すように、減圧部100において、液体の流通方向の上流側から順に、被挟込部150F、被挟込部150E、被挟込部150Dが配置される。そして、送入流路121から送入された液体は、被挟込部150Fの流入部151aから、液体流通部151bを経て、流出部151cへと流れる。この被挟込部150Fの流出部151cと、被挟込部150Fと隣り合う被挟込部150Eの流入部151aとが、直接的に連通する。そして、被挟込部150Eにおいて、液体が、流入部151aから、液体流通部151bを経て、流出部151cへと流れる。被挟込部150Eの流出部151cと、被挟込部150Eと隣り合う被挟込部150Dの流入部151aとが、直接的に連通する。そして、被挟込部150Dにおいて、液体が、流入部151aから、液体流通部151bを経て、流出部151cへと流れる。そして、液体は、被挟込部150Dの流出部151cから送出流路111へと流れる。
【0103】
このように、図12図13及び図14に示す減圧部100は、複数(図12図13及び図14では三つ)の被挟込部150の液体流通部151bにより形成される3つの流通空間を直列に接続した減圧流路151が形成される。したがって、この減圧流路151は、一つの被挟込部150を有する減圧流路151の3倍程度の長さにすることができる。これによって、減圧流路151により発生する圧力損失を、ほぼ減圧流路151の長さが変化した割合で変化させることができる。そして、液体の流量を、この長さに応じた流量に調整することができる。これにより、微少流量の液体の流量制御を高い精度で行うことができる。また、積層する被挟込部150Dなどの枚数を変更して減圧流路151の長さを変更することで、流量の変更が容易な減圧部100とすることができる。
【0104】
図14に示す減圧部100は、図5に示す減圧部100と同様に、挟込部110及び挟込部120による一対の挟込部と被挟込部150Dなどとが、分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部150Dなどの着脱、交換が容易である。これにより、減圧部100は、流量の変更が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0105】
図12図13及び図14に示すように、これらの被挟込部150A、150Dなどと中間挟込部155、156は板状に形成するようにしてもよい。そして、被挟込部150Aなどにおいて、流入部151a、流出部151c、液体流通部151bは、第1面150aから第2面150bに被挟込部150Aなどを貫通して設けてもよい。
【0106】
この板状に形成された被挟込部150Aなどの厚さにより、主に液体流通部151bより形成される減圧流路151の液体の流通方向に直角の断面の断面積が変わる。第1面150a側や第2面150b側から見て同じ形状の液体流通部151bにおいて、被挟込部150の厚さが2倍になると、減圧流路151の液体の流通方向に直角の断面の断面積もほぼ2倍になる。そして、被挟込部150の厚さの変動に対応して、減圧流路151を流れる液体に発生する圧力損失が変動する。
【0107】
そして、減圧流路151を流れる1ml/分以下の液体の流量を制御する観点から、被挟込部150の厚さは、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.3mm以下であることがより好ましい。また、液体流通部151bの液体の流通方向に直角の断面の幅は、液体流通部151bの加工のし易さや被挟込部150の清掃のし易さの観点から、0.5mm以上であることが望ましい。
【0108】
なお、図14では、減圧部100において、複数の被挟込部150Dなどを積層している。しかし、これに限定されるものではなく、図8に示す被挟込部160を同様に積層してもよい。この場合、複数の被挟込部160は、図8に示すように、板状に形成してもよい。また、液体流通部161bは、第1面160aに一方の挟込部110側へ開放する溝状に形成された溝部により形成されてもよい。そして、流入部161aは、第1面160aから第2面160bに貫通して設けてもよい。
【0109】
この場合の減圧流路は、図14に示す減圧流路151と同様に、隣接する被挟込部160において、液体の流通方向の上流側に配置される被挟込部160の流出部161cと下流側に配置される被挟込部160の流入部161aとが直接的に連接して形成してもよい。
【0110】
一方、隣接する被挟込部160などにおいて、液体流通部161bは直接的には連通しない。このようにすることで、それぞれのサンドイッチ構造で形成される流通空間同士が液体の流通方向に直列的に連通した減圧流路が形成される。
【0111】
図15は、本発明の実施形態に係る減圧部100の変形例を示す分解斜視図である。
図16は、図15に示す減圧部100の概略断面図である。そして、図16は、図13と同様に、減圧部100の流入部151a、液体流通部151b、流出部151cなどを通る断面を一つの平面に伸ばした概略断面図である。
図15、16を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
【0112】
減圧部100は、挟込部110と挟込部120による一対の挟込部と、この一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部150Gと、を有するサンドイッチ構造140Gを備える。そして、この被挟込部150Gは、対向方向に積層され板状に形成された複数の板状体180A、180Bを備える。この板状体180A、180Bは、該板状体180A、180Bを貫通する板状体貫通部181bを備える。この板状体貫通部181bには、液体が流通する。そして、板状体180A、180Bは、板状体貫通部181bへ液体を流入させる板状体流入部181aと、板状体貫通部181bから液体を流出させる板状体流出部181cとを備える。なお、図15図16では、被挟込部150Gは、二つの板状体180A、180Bを備えるように示している。しかし、これに限定されず、被挟込部150Gは、三つ以上の板状体180Aなどを備えるようにしてもよい。
【0113】
板状体180A、180Bの板状体貫通部181bが、対向方向で重なるように配置されて連通することで、被挟込部150Gの液体流通部151bが形成される。また、板状体180A、180Bの板状体流入部181aが、対向方向で重なるように配置されて連通することで、流入部151aが形成されるようにしてもよい。同様に、板状体180A、180Bの板状体流出部181cが対向方向で重なるように配置されて連通することで、流出部151cが形成されるようにしてもよい。
【0114】
図15に示すように、板状体貫通部181bは、少なくも1か所で曲がるように形成される。本実施形態では、板状体貫通部181bは、複数個所で曲がるように(具体的には、2か所で略直角に曲がる略コの字に)形成されている。また、板状体貫通部181bの一方の端部(具体的には、液体の流通方向の上流側に位置する端部)に、円形状の板状体流入部181aが連通している。また、板状体貫通部181bの他方の端部(具体的には、液体の流通方向の下流側に位置する端部)に、円形状の板状体流出部181cが連通している。そして、板状体貫通部181bにおいて、一方の端部から他方の端部に液体が流れる距離が、板状体貫通部181bの長さである。また、板状体貫通部181bにおいて、液体の流通方向に垂直の断面において、両側の板面を繋ぐ距離が板状体貫通部181bの高さである。そして、この高さに直角方向(板面に沿う方向)の距離が板状体貫通部181bの幅である。板状体貫通部181bの長さは、板状体貫通部181bにおいて、液体の流通方向の上流側に位置する端部と、液体の流通方向の下流側に位置する端部とを、液体の流通方向に沿って結ぶ距離である。この距離は、幅方向の位置により変わるが、両端部の幅方向の中央を結ぶ距離を板状体貫通部181bの長さにしてもよい。
【0115】
そして、複数の板状体貫通部181bが、同じコの字の形状でその長さが同じであり、高さが積層した板状体180A、180Bの高さを合計した高さになった一つの減圧流路151が形成される。
【0116】
このようにすることで、減圧部100の減圧流路151の液体の流通方向に垂直方向の断面の断面積を、積層した板状体180A、180Bの同様の断面積を合計した大きさにすることができる。そして、減圧流路151を流通する液体に、この断面積に応じた圧力損失を発生させることができる。すなわち、積層する板状体180Aなどの個数やそれぞれの厚さを変更することで、減圧流路151を流通する液体に発生する圧力損失を容易に調整することができる。そして、液体の流量をこの圧力損失に応じた流量に調整することができる。このようにして、微少流量の液体の流量制御を高い精度で行うことができる。また、板状体180Aなどの個数やそれぞれの厚さを変更して減圧流路151の高さを変更することで、流量の変更が容易な減圧部100とすることができる。
【0117】
図15に示す減圧部100は、図5に示す減圧部100と同様に、挟込部110及び挟込部120による一対の挟込部と被挟込部150Gなどとが、分離可能に設けられている。同様に、板状体180A、180Bも、この一対の挟込部と、分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部150G、板状体180Aなどの着脱、交換が容易である。これにより、減圧部100は、流量の変更が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0118】
図17は、本発明の実施形態に係る減圧部100の変形例を示す概略断面図である。そして、図17は、図13と同様に、減圧部100の流入部161a、液体流通部161b、流出部161cなどを通る断面を一つの平面に伸ばした概略断面図である。
図17を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
【0119】
図17に示すように、減圧部100は、挟込部110と挟込部130による一対の挟込部と、この一対の挟込部に挟み込まれる被挟込部160と、を有するサンドイッチ構造140を備える。
【0120】
一対の挟込部のうち、一方の挟込部130は、被挟込部160側へ向けて開放する溝部131bを備える。また、挟込部130は、送入孔124から送入される液体をこの溝部131bと被挟込部160側へ流入させる流入部131aを備える。また、挟込部130は、溝部131bから液体を被挟込部160側に流出させる流出部131cを備える。図17に示すように、流入部131aは、送入孔124側から被挟込部160側へ挟込部130を貫通する貫通孔である。
【0121】
被挟込部160は、一対の挟込部が対向する対向方向において、一対の挟込部のうち一方の挟込部130側へ開放する溝状に形成された溝部により形成される液体流通部161bを備える。また、被挟込部160は、流入部131aから送入される液体を、この液体流通部161bへ流入させる流入部161aを備える。また、被挟込部160は、液体流通部161bから液体を送出孔114に流出させる流出部161cを備える。図17に示すように、流出部161cは、挟込部130側から送出孔114側へ被挟込部160を貫通する貫通孔である。このように、被挟込部160は、流入部161aに送入される液体が溝部である液体流通部161bに流入し、液体流通部161bを流通した液体が流出部161cから流出するように構成される。
【0122】
そして、減圧流路161を構成する流通空間は、一方の挟込部130の溝部131bと、被挟込部160の溝部である液体流通部161bとが、一対の挟込部が対向する対向方向において重なるように配置されて連通することで形成される。
【0123】
このようにすることで、減圧部100の減圧流路161の液体の流通方向に垂直方向の断面の断面積が、液体流通部161bと挟込部130の溝部131bとの同様の断面の断面積を合わせた断面積にすることができる。そして、減圧流路161を流れる液体に、この断面積に応じた圧力損失を発生させることができる。すなわち、被挟込部160と一方の挟込部である挟込部130を変更することで、減圧流路161を流れる液体に発生する圧力損失を容易に調整することができる。そして、微少流量の液体の流量制御を高い精度で行うことができる。そして、流量の変更が容易な減圧部100とすることができる。
【0124】
また、減圧部100において、被挟込部160と挟込部130との間に被挟込部150を挟み、液体流通部161b、液体流通部151b及び溝部131bが連通した流通空間により減圧流路161を形成してもよい。この場合、被挟込部160と挟込部130との間に挟む被挟込部150は、一つでも複数でもよい。
【0125】
図17に示す減圧部100は、図5に示す減圧部100と同様に、挟込部110及び挟込部130による一対の挟込部と被挟込部160とが、分離可能に設けられている。したがって、減圧部100は、被挟込部160、挟込部130の着脱、交換が容易である。これにより、減圧部100は、流量の変更が容易である。また、減圧部100は、洗浄が容易である。
【0126】
なお、挟込部110、130又は被挟込部160の少なくとも一方が板状であってもよい。例えば、図17において、挟込部130と被挟込部160が板状に示されている。このようにすることで、減圧部100を省スペースにすることができる。そして、挟込部130や被挟込部160を、より容易で安価に製作することができる。なお、図17に示すように、板状の挟込部130と被挟込部160を挟込部110と挟込部120とで挟み込んでもよい。この場合も、挟込部120は、挟込部130、被挟込部160及び挟込部110と分離可能に設けられている。
【0127】
このように、減圧部100において、一端側に位置する挟込部110と他端側に位置する挟込部120との間に位置する挟込部130又は被挟込部160の少なくとも一方を板状にしてもよい。
【0128】
このような構成は、例えば、図12図13及び図14に示す減圧部100においても同様である。図12図13に示す減圧部100において、一端側に位置する挟込部110と他端側に位置する挟込部120との間に位置する挟込部である中間挟込部155、156又は被挟込部150Aなどの少なくとも一方を板状にしてもよい。また、図14に示す減圧部100において、一端側に位置する挟込部110と他端側に位置する挟込部120との間に位置する挟込部ともなる被挟込部150Dなどを、板状にしてもよい。このようにすることで、減圧部100を省スペースにすることができる。
【0129】
図18は、本発明の実施形態に係る液体噴霧部20と減圧部100の変形例の概要を示す斜視図である。
図19は、本発明の実施形態に係る液体噴霧部20と減圧部100の変形例の概要を示す斜視図である。
図18図19を用いて、減圧部100の変形例について説明する。
【0130】
図1から図17までを用いた説明において、一対の挟込部のうち、挟込部120が、流路管91を介して液体供給手段90に接続される。同様に、一対の挟込部のうち挟込部110が流路管92を介して液体噴霧部20に接続される。
【0131】
これに対して、図18に示す減圧部100は、被挟込部150が、流路管92を介して液体噴霧部20に接続される点で、図1から図17までにおいて説明した減圧部100と異なる。
【0132】
同様に、図19に示す減圧部100は、挟込部110に流路管91と流路管92の両方が接続される点で、図1から図17までにおいて説明した減圧部100と異なる。
【0133】
同様に、例えば、被挟込部150に流路管91と流路管92の両方が接続されていてもよい。このように、液体供給手段90、減圧部100及び液体噴霧部20を接続する形態は、様々な形態であってもよい。このようにすることで、様々な用途や使用状態に最も適した静電噴霧装置10にすることができる。
【0134】
以上説明したように、本開示によれば、微少流量の流量制御を要する静電噴霧装置10であって、洗浄及び流量の変更が容易な静電噴霧装置10を提供することができる。
【0135】
以上、具体的な実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を実施しても良い。
【0136】
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形や改良を施したものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0137】
10 静電噴霧装置
20 液体噴霧部
21 胴体部
21a 液体供給口
21b 液体流路
21c 孔部
21d 後端開口部
21e 雌ネジ構造
21g 先端外周部
22 ノズル
22a 先端外周縁
22b 開口部
22d 外周部
23 心棒
23a 摘み部
23b 電気配線接続部
23c 雄ネジ構造
23d 先端面
24 シール部材
40 異極部(被塗物)
50 電圧印加手段
60 テーラコーン
80 アース手段
90 液体供給手段
91 流路管
92 流路管
100 減圧部
110 挟込部
111 送出流路
112 流路形成部
114 送出孔
120 挟込部
121 送入流路
122 流路形成部
124 送入孔
130 挟込部
131 減圧流路
131a 流入部
131b 溝部
131c 流出部
140 サンドイッチ構造
150 被挟込部
150a 第1面
150b 第2面
151 減圧流路
151a 流入部
151b 液体流通部(孔部)
151c 流出部
151ba 第1開口部
151bb 第2開口部
155 中間挟込部
155c 接続孔
156 中間挟込部
156c 接続孔
160 被挟込部
160a 第1面
160b 第2面
161 減圧流路
161a 流入部
161b 液体流通部(溝部)
161c 流出部
161ba 溝開口部
180A 板状体
180B 板状体
181a 板状体流入部
181b 板状体貫通部
181c 板状体流出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19