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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052194
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】切羽評価装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20240404BHJP
   G01V 1/00 20240101ALI20240404BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
E21D9/00 Z
G01V1/00 B
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158747
(22)【出願日】2022-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 令和03年10月3日 ウェブサイトのアドレス https://www.jseg.or.jp/00-main/R3_annual_meeting/R3_annual_meeting_forparticipantsonly.html 〔刊行物等〕 開催日 令和03年10月14日 集会名、開催場所 一般社団法人 日本応用地質学会 令和3年度研究発表会 オンライン開催
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122781
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】栗原 啓丞
(72)【発明者】
【氏名】山下 慧
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 保幸
【テーマコード(参考)】
2G064
2G105
【Fターム(参考)】
2G064AB01
2G064AB02
2G064AB13
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC41
2G064CC42
2G064DD02
2G105AA02
2G105BB01
2G105BB02
2G105DD02
2G105EE01
2G105LL02
2G105LL03
2G105LL04
2G105LL05
2G105LL06
(57)【要約】
【課題】ブレーカを用いて容易に且つ高精度に切羽の状態を評価することができる切羽評価装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る切羽評価装置は、基体11及びブレーカ15を備えるバックホウ10を用いてトンネルの切羽Kを評価する切羽評価装置1であって、切羽Kへのブレーカ15の打撃時の評価指標を収集するセンサ2と、評価指標を用いて切羽の強度を算出する強度算出部と、を備え、評価指標は加速度であって、センサ2の振動加速度収集部は加速度計である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体及びブレーカを備える重機を用いてトンネルの切羽を評価する切羽評価装置であって、
前記切羽への前記ブレーカの打撃時の評価指標を収集する評価指標収集部と、
前記評価指標を用いて前記切羽の強度を算出する強度算出部と、
を備え、
前記評価指標は加速度であって、前記評価指標収集部は加速度計である、
切羽評価装置。
【請求項2】
前記ブレーカの打撃角度を検出するブレーカ打撃角度検出部を備え、
前記強度算出部は、前記加速度、及び前記ブレーカの打撃角度を用いて前記切羽の強度を算出する、
請求項1に記載の切羽評価装置。
【請求項3】
基体及びブレーカを備える重機を用いてトンネルの切羽を評価する切羽評価装置であって、
前記切羽への前記ブレーカの打撃時の評価指標を収集する評価指標収集部と、
前記ブレーカの打撃角度を検出するブレーカ打撃角度検出部と、
前記打撃時の評価指標、及び前記ブレーカの打撃角度を用いて前記切羽の強度を算出する強度算出部と、
を備え、
前記評価指標は音であって、前記評価指標収集部はマイクである、
切羽評価装置。
【請求項4】
前記ブレーカ打撃角度検出部は、前記基体に対する前記ブレーカの延在方向を前記打撃角度として検出する機構を含む、
請求項2又は3に記載の切羽評価装置。
【請求項5】
更に、前記切羽の切羽面の角度を検出する切羽面角度検出部を備え、
前記ブレーカ打撃角度検出部と前記切羽面角度検出部により、前記切羽面の直交方向に対する前記ブレーカの延在方向の角度を前記打撃角度として検出する、
請求項4に記載の切羽評価装置。
【請求項6】
前記切羽の切羽面の直交方向に対して、上向きを正の角度方向、下向きを負の角度方向とし、θ1を負の実数、θ2を正の実数とした場合において、
前記強度算出部は、前記直交方向に対する前記ブレーカの打撃角度であるθがθ1≦θ≦θ2を満たすときにおける前記評価指標から、前記切羽の強度を算出する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の切羽評価装置。
【請求項7】
前記切羽の切羽面の直交方向に対して、上向きを正の角度方向、下向きを負の角度方向とした場合において、
前記強度算出部は、前記評価指標から評価値を算出して、前記評価値に補正係数A(但しAは正の実数)を掛けて前記評価値を補正し、
前記補正係数Aは、前記直交方向に対する前記ブレーカの打撃角度θの絶対値が大きいほど小さい値である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の切羽評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切羽を評価する切羽評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トンネルの切羽に相当する掘削面の地質の評価方法が記載されている。この評価方法では、トンネル坑内の切羽から後方に所定の距離離れた所定の位置にジオフォン及びマイクロフォンを設置する。掘削面がブレーカ又はハンマを含む各種機器で打撃されることによって弾性波及び音波を発生させる。ジオフォンは、振動で発生させた際に地山を伝播する弾性波を計測する。マイクロフォンは、空中を伝播する音波を受振計測する。
【0003】
ジオフォンが計測した弾性波、及びマイクロフォンが計測した音波は、振動発生前に記録動作を開始したパソコンに記録される。パソコンでは、弾性波データ及び音波データから弾性波のパワースペクトル周波数、及び音波のパワースペクトル周波数が算出される。そして、これらの周波数特性に基づいて掘削面の地質状況が推定されて評価される。
【0004】
特許文献2には、掘削面地質評価方法が記載されている。この方法では、トンネル坑内の切羽から後方に所定距離離れた所定の位置にマイクロフォンを設置する。マイクロフォンには、通信ケーブルを介してパソコンが接続される。切羽には一定の破砕力を加えて破砕音を発生させ、空中を伝播する破砕音がマイクロフォンによって集音される。
【0005】
上記の破砕音は、破砕音の発生前から記録動作を開始したパソコンに記録される。パソコンには、複数種類の切羽の破砕音の音波データが記録される。パソコンでは、音波データから音波の周波数特性を算出し、切羽毎の音波の周波数特性に基づいて各切羽の地質状況を推定して評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-197389号公報
【特許文献2】特開2021-96140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えば、地盤の施工において、合理的に支保パターンを選定するためには、掘削地山の力学特性(変形特性又は地山強度等)を容易に且つ高精度に評価することが求められうる。硬岩地山を対象とした施工では、ドリルジャンボによる装薬削孔時のマシンデータから地山の力学特性値が評価されることがある。一方、ドリルジャンボによる削孔作業がなかったり、ドリルジャンボによるマシンデータから力学特性を評価する装置がなかったり、また、軟岩又は土砂を対象とした機械掘削を行う施工では、力学物性評価のための手法が不足しているという現状がある。そこで、簡便に地山掘削用のブレーカを用いて容易に且つ高精度に切羽の状態を評価できることが求められる。
【0008】
本開示は、ブレーカを用いて容易に且つ高精度に切羽の状態を評価することができる切羽評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一側面に係る切羽評価装置は、基体及びブレーカを備える重機を用いてトンネルの切羽を評価する切羽評価装置であって、切羽へのブレーカの打撃時の評価指標を収集する評価指標収集部と、評価指標を用いて切羽の強度を算出する強度算出部と、を備え、評価指標は加速度であって、評価指標収集部は加速度計である。
【0010】
この切羽評価装置では、基体及びブレーカを備える重機によってトンネルの切羽が評価される。切羽評価装置は評価指標収集部と強度算出部とを備え、加速度計である評価指標収集部が切羽へのブレーカの打撃時における加速度を収集する。強度算出部は、加速度計によって収集された加速度から切羽の強度を算出する。切羽に対するブレーカの打撃時に生じる加速度からは、切羽の硬さ等の強度を高精度に得られる。従って、強度算出部が加速度から強度を算出することによって、切羽の強度を高精度に評価することができる。また、この切羽評価装置では、切羽へのブレーカの打撃時における加速度を収集して切羽の強度を評価できる。従って、ブレーカを用いて容易に且つ高精度にトンネルの切羽の状態を評価することができる。
【0011】
切羽評価装置は、切羽へのブレーカの打撃角度を検出するブレーカ打撃角度検出部を備えてもよく、強度算出部は、加速度、及びブレーカの打撃角度を用いて切羽の強度を算出してもよい。切羽に対する打撃力は、切羽へのブレーカの打撃角度に依存する。例えば、切羽面の直交方向に対してブレーカが上向きとなる場合よりも、切羽面の直交方向に対してブレーカが下向きとなる場合の方が、切羽面に対して好適に打撃力を付与できる。従って、ブレーカ打撃角度検出部がブレーカの打撃角度を検出し、強度算出部がブレーカの打撃角度を用いて切羽の強度を算出することにより、切羽の強度等の状態をより高精度に評価することができる。
【0012】
本開示の別の側面に係る切羽評価装置は、基体及びブレーカを備える重機を用いてトンネルの切羽を評価する切羽評価装置であって、切羽へのブレーカの打撃時の評価指標を収集する評価指標収集部と、切羽へのブレーカの打撃角度を検出するブレーカ打撃角度検出部と、打撃時の評価指標、及びブレーカの打撃角度を用いて切羽の強度を算出する強度算出部と、を備え、評価指標は音であって、評価指標収集部はマイクである。
【0013】
この切羽評価装置では、マイクである評価指標収集部が切羽へのブレーカの打撃時における音を収集し、ブレーカ打撃角度検出部が切羽へのブレーカの打撃角度を検出する。強度算出部は、マイクによって収集された打撃時の音、及びブレーカの打撃角度から切羽の強度を算出する。強度算出部は上記のブレーカの打撃角度を加味して打撃時の音から切羽の強度を算出するので、切羽の強度を高精度に算出できる。更に、この切羽評価装置では、切羽へのブレーカの打撃時における音を収集して切羽の強度を評価できる。よって、ブレーカを用いて容易に且つ高精度にトンネルの切羽の状態を評価することができる。
【0014】
ブレーカ打撃角度検出部は、基体に対するブレーカの延在方向を打撃角度として検出する機構を含んでもよい。この場合、重機の基体に対するブレーカの延在方向が打撃角度として検出されるので、検出された打撃角度からより高精度に切羽の状態を評価することができる。
【0015】
この切羽評価装置は、更に、切羽の切羽面の角度を検出する切羽面角度検出部を備えてもよく、ブレーカ打撃角度検出部と切羽面角度検出部により、切羽面の直交方向に対するブレーカの延在方向の角度を打撃角度として検出してもよい。この場合、切羽の切羽面に対するブレーカの向きから打撃角度が検出される。従って、高精度に検出された打撃角度に基づいてより高精度に切羽の状態を評価することができる。
【0016】
切羽の切羽面の直交方向に対して、上向きを正の角度方向、下向きを負の角度方向とし、θ1を負の実数、θ2を正の実数とした場合において、強度算出部は、直交方向に対するブレーカの打撃角度であるθがθ1≦θ≦θ2を満たすときにおける評価指標から、切羽の強度を算出してもよい。この場合、切羽面の直交方向に対するブレーカの打撃角度が一定角度範囲内のときの評価指標から切羽の強度が算出される。従って、当該打撃角度が一定角度範囲外の評価値を排除できるので、切羽の強度をより高精度に算出することができる。
【0017】
切羽の切羽面の直交方向に対して、上向きを正の角度方向、下向きを負の角度方向とした場合において、強度算出部は、評価指標から評価値を算出して、評価値に補正係数A(但しAは正の実数)を掛けて評価値を補正してもよい。補正係数Aは、直交方向に対するブレーカの打撃角度θの絶対値が大きいほど小さい値であってもよい。この場合、切羽面の直交方向に対するブレーカの打撃角度θの絶対値が小さいほど大きな補正係数Aを評価値に掛ける。従って、当該直交方向に対する打撃角度θの絶対値が大きく精度が低い評価値に小さい補正係数Aを掛け、当該直交方向に対する打撃角度θの絶対値が小さく精度が高い評価値に大きい補正係数Aを掛けることにより、評価値の精度を一層高めることができる。その結果、切羽の強度等の状態を一層高精度に評価することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、ブレーカを用いて容易に且つ高精度に切羽の状態を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る切羽評価装置が適用される地山を模式的に示す断面図である。
図2】実施形態に係る切羽評価装置が適用される重機を示す側面図である。
図3】実施形態に係る切羽評価装置の機能を示すブロック図である。
図4】(a)、(b)及び(c)は、切羽面に対するブレーカの打撃角度を説明するための地山の模式的な断面図である。
図5】(a)、(b)及び(c)は、振動加速度レベルと周波数帯域の関係の例を示すグラフである。
図6】切羽の評価において切羽の位置を区分する方法の例を示す図である。
図7】加速度レベルと強度との関係の例を模式的に示すグラフである。
図8】実施例に係る切羽評価装置から得られた振動加速度レベルのデータを示すグラフである。
図9】実施例に係る切羽評価装置から得られた音圧レベルのデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る切羽評価装置の実施形態について説明する。図面の説明について同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張している場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る切羽評価装置1が適用される地山Gを模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る切羽評価装置1が設けられる重機の例であるバックホウ10を示す側面図である。地山Gは、例えば、層G1、層G2、層G3及び層G4を有し、層G1、層G2、層G3及び層G4はこの順で地山Gの表面からトンネルの深さ方向に並んでいる。
【0022】
層G1、層G2、層G3及び層G4の強度は、例えば、既往の文献データによって知られており、地山Gの表面から最も遠い層G4の強度が最も高く、地山Gの表面に最も近い層G1の強度が最も低い場合が多い。しかしながら、実際に地山Gを掘削するときには、層G1、層G2、層G3及び層G4の強度が不明である場合がある。従って、地山Gの掘削と共に地山Gの強度を評価することは重要である。本実施形態において、「地山の強度」は、地山、又は地山のサンプルを材料とした、その材料が持つ、変形や破壊に対する抵抗力を意味し、例えば、地山強度比であり、一軸圧縮強度試験、三軸圧縮強度試験又はポイントロードテスター等で評価される値である場合もある。本実施形態において、トンネルの切羽とは、トンネル工事における掘削の最先端部であり、地山が露出、又は、薄厚のコンクリートに被覆されている。切羽の面(切羽面)は、概ね垂直(鉛直)、又は所定の角度で整形されている。
【0023】
例えば、バックホウ10は、走行体(一例としてクローラ)及びキャビン11bを有する基体11と、基体11から延び出すブーム12と、ブーム12の水平方向に延びる軸を中心としてブーム12に回転可能に取り付けられたアーム13とを有する。バックホウ10は、更に、アーム13の先端(ブーム12とは反対側の端部)に取り付けられたブレーカ15を有する。ブレーカ15は、アーム13の先端に枢支されるブラケット17と、ブラケット17の内部において往復移動可能に装着され、地山Gのトンネルの切羽Kを削岩するノミ16(ロッド)を有する。
【0024】
図3は、切羽評価装置1の機能を示すブロック図である。図2及び図3に示されるように、切羽評価装置1は、ブレーカ15に取り付けられたセンサ2と、センサ2から延び出すケーブル3と、ケーブル3のセンサ2とは反対側の端部に設けられた情報端末4とを有する。
【0025】
センサ2は、例えば、ブレーカ15のブラケット17におけるノミ16寄りの位置に配置されている。この場合、センサ2によって一層高精度なデータを取得できる。センサ2は種々のセンサを含んでいる。センサ2は、例えば、切羽Kへのブレーカ15(ノミ16)の打撃時の加速度(加速度波形を含む)を収集する振動加速度収集部2bと、切羽Kへのブレーカ15の打撃時の音(音波形を含む)を収集する打撃音収集部2cと、切羽Kへのブレーカ15の打撃角度を検出する角度検出センサであるブレーカ打撃角度検出部2dとを有する。
【0026】
振動加速度収集部2b及び打撃音収集部2cのそれぞれは、切羽Kへのブレーカ15の打撃時の評価指標(切羽Kの強度の評価指標)を収集する評価指標収集部である。振動加速度収集部2bが収集する評価指標は加速度(加速度波形を含む)であり、加速度から評価値である振動加速度レベルが導かれる(算出される)。打撃音収集部2cが収集する評価指標は音(音波形を含む)であり、音から評価値である音圧レベルが導かれる(算出される)。例えば、振動加速度収集部2bは加速度計であり、打撃音収集部2cはマイクである。これらのセンサ2は、例えば、ブラケット17に取り付けられるが、基体11、ブーム12、又はアーム13に取り付けられてもよい。
【0027】
ケーブル3は、一例として、有線ケーブルである。ケーブル3は、例えば、ブレーカ15、アーム13、及びブーム12に支持されており、ブレーカ15からアーム13及びブーム12に沿ってキャビン11bの内部に配置された情報端末4まで延在している。情報端末4は、例えば、携帯端末であり、一例として、タブレット端末である。
【0028】
情報端末4には、例えば、データ収録ソフトウェアがインストールされており、バックホウ10の操作者が情報端末4を操作することによって地山Gの打撃データを収録できる。地山Gの打撃データは、振動加速度収集部2bに収集された加速度から導かれる(算出される)振動加速度レベル、及び打撃音収集部2cに収集された音から導かれる(算出される)音圧レベル、の少なくともいずれかである。例えば、情報端末4が操作されることによって地山Gの打撃データに対して波形分析が行われ、地山Gの強度が算出される。
【0029】
ブレーカ打撃角度検出部2dは、基体11に対するブレーカ15(ノミ16)の延在方向を打撃角度として算出する。図3図4(a)、図4(b)及び図4(c)に示されるように、更に、水平面に対する切羽Kの切羽面K1の角度を検出する切羽面角度検出部2fを有し、ブレーカ打撃角度検出部2dと切羽面角度検出部2fにより、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15(ノミ16)の延在方向の角度として、より正確に打撃角度θを検出する。切羽面K1は、一般的に垂直・鉛直に形成される。よって、ブレーカ打撃角度検出部2dは、ブレーカ15(ノミ16)の切羽面K1に対する角度の検出に際し、切羽面K1が鉛直に延びるものとみなして、水平に対するブレーカ15(ノミ16)の角度の検出により、打撃角度θを検出してもよい。ブレーカ打撃角度検出部2dは、例えば、ブラケット17に取り付けられる傾斜計である。しかし、この場合、傾斜計の測定値の変動が大きくなりブレーカ15の角度の測定が不安定になる場合がある。ブレーカ打撃角度検出部2dは、基体11に設けられた傾斜計、基体11とブーム12の間の角度を測定可能な角度計、ブーム12とアーム13との間の角度を測定可能な角度計、又は、アーム13とブラケット17との間の角度を測定可能な角度計、すなわち、ブレーカ打撃角度検出部2dは、基体11に対するブレーカ15の延在方向を打撃角度θとして検出する機構を含むものであってもよい。この場合、傾斜計の測定値の変動が少ないので、より正確な角度の検出が可能となる。また、基体11は、水平面(又は切羽に対して直角の面)に配置されることが多いので、基体11に対するブレーカ15の延在方向を打撃角度θとして検出する機構のみ(すなわち、基体11とブーム12の間の角度を測定可能な角度計、ブーム12とアーム13との間の角度を測定可能な角度計、又は、アーム13とブラケット17との間の角度を測定可能な角度計)であってもよい。
【0030】
切羽面K1の角度を検出する切羽面角度検出部2fは、例えば、切羽面K1に沿わせて設置することで傾斜を測定できる傾斜計や、切羽面K1の形状を測定可能なレーザスキャナやトータルステーションであってもよい。なお、傾斜計は、重力方向に対する角度を検出可能である。また、傾斜計は、水平方向に対する角度を検出可能であってもよい。
【0031】
切羽評価装置1は、前述した評価指標を用いて切羽Kの強度を算出する強度算出部5を有する。強度算出部5は、例えば、情報端末4にインストールされたソフトウェアである。強度算出部5は、切羽Kへのブレーカ15の打撃時における評価指標、及びブレーカ15の打撃角度θを用いて切羽Kの強度を算出する。例えば、強度算出部5は、振動加速度収集部2bによって収集された加速度、及びブレーカ15の打撃角度θを用いて切羽Kの強度を算出する。また、強度算出部5は、打撃音収集部2cによって収集された音、及びブレーカ15の打撃角度θから切羽Kの強度を算出してもよい。
【0032】
切羽Kの強度の算出においては、切羽面K1に対するブレーカ15の角度も影響する。図4(a)に示されるように、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが0°である場合(切羽面K1の直交方向にノミ16が延在する場合)を基準とすると、図4(b)及び図4(c)に示されるように、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが下向きの場合、及び、特に切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが上向きの場合には、振動加速度収集部2bによって収集される加速度値(振動値)、打撃音収集部2cによって収集される音圧レベルが安定せず、音圧レベルが大きくなる傾向がある。
【0033】
図5(a)は切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが0°である場合における振動加速度データ、図5(b)は切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが上向き30°である場合における振動加速度データ、図5(c)は切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが下向き30°である場合における振動加速度データ、を示している。
【0034】
図5(a)、図5(b)及び図5(c)のそれぞれにおける「地山打撃」は切羽Kを打撃した場合、「鏡吹き付け打撃」はコンクリートが吹き付けられた切羽Kを打撃した場合、の振動加速度レベルを示している。一般的には、コンクリートが吹き付けられた切羽Kの強度は、コンクリートが吹き付けられていない切羽Kの強度よりも高いので、鏡吹き付け打撃の方が高い振動加速度レベルを得られるはずである。
【0035】
図5(a)及び図5(c)に示されるように、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが0°である場合、及び切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが下向き30°である場合には、1kHz~8kHzの周波数帯域において鏡吹き付け打撃の方が高い振動加速度レベルを得られた。
【0036】
これに対し、図5(b)に示されるように、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが上向き30°である場合には、鏡吹付打撃の場合と地山打撃の場合とで有意な差が見られなかった。従って、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが0°又は下向き30°である場合には切羽Kの強度を高精度に算出できているが、打撃角度θが上向き30°である場合には切羽Kの強度を高精度に算出できていないことが分かった。
【0037】
以上の傾向を踏まえて、強度算出部5は、切羽面K1の直交方向に対して、上向きを正の角度方向、下向きを負の角度方向とし、θ1を負の実数、θ2を正の実数とした場合において、打撃角度θがθ1≦θ≦θ2を満たすときにおける評価指標から切羽Kの強度を算出する。θ1の絶対値は、θ2の絶対値よりも大きい。例えば、θ1は-30°であり、θ2は15°である。この場合、強度算出部5は、打撃角度θがθ1未満又はθ2よりも大きい場合における評価指標を排除して強度を算出できるので、より高精度な強度の算出が可能である。
【0038】
また、強度算出部5は、評価指標から評価値を算出して、当該評価値に打撃角度θの値に応じた補正係数A(但しAは正の実数)を掛けて評価値を補正してもよい。補正係数Aは、打撃角度θの絶対値が大きいほど小さい値である。補正係数Aの大小の具体例について以下で説明する。θ1を負の実数、θ3をθ1より大きい負の実数、θ4を正の実数、θ2をθ4より大きい正の実数とした場合において、打撃角度θがθ3≦θ≦θ4を満たすときにおける補正係数Aの値は、打撃角度θがθ1<θ<θ3を満たすときにおける補正係数Aの値、及び、打撃角度θがθ4<θ<θ2を満たすときにおける補正係数Aの値、よりも大きい。
【0039】
また、打撃角度θがθ1<θ<θ3を見たすときにおける補正係数Aの値は、打撃角度θがθ4<θ<θ2を満たすときにおける補正係数Aの値、よりも大きい。このように、打撃角度θが0°に近いときの補正係数A、及び打撃角度θが下向きであるときの補正係数Aは、打撃角度θが上向きであるときの補正係数Aよりも大きい。
【0040】
次に、強度算出部5による切羽Kの強度の評価方法の例について説明する。以下では、情報端末4にインストールされているソフトウェアである強度算出部5による強度の計測ソフトウェアの動作の例について説明する。まず、情報端末4において計測ソフトウェアを起動する。
【0041】
計測ソフトウェアを起動すると、例えば図6に示されるように、切羽Kが分割表示された画面が情報端末4に表示される。一例として、当該画面は、切羽Kの天端部「1」、左側上部「2」、右側上部「3」、左側下部「4」及び右側下部「5」を示すように表示される。次に、当該画面からブレーカ15による打撃箇所を選択する。例えば、当該画面において、天端部「1」、左側上部「2」、右側上部「3」、左側下部「4」及び右側下部「5」のいずれかをタップする。
【0042】
そして、切羽Kに対するブレーカ15の向きを水平にした後に情報端末4に表示されている測定ボタンを押し、切羽Kの選択した部分をブレーカ15で打撃する。このとき、センサ2が評価指標を収集する。具体例として、振動加速度収集部2bが振動加速度レベルを収集し、打撃音収集部2cが音を収集し、ブレーカ打撃角度検出部2dが打撃角度θを検出する。
【0043】
センサ2によって収集された評価指標は、例えば、ケーブル3を介して情報端末4に出力されて情報端末4に記録される。強度算出部5は、情報端末4に記録された評価指標から切羽Kの強度を算出する。例えば、強度算出部5は、振動加速度収集部2bによって収集された振動加速度のデータに対して周波数分析(一例としてFFT解析、1/3オクターブバンド)を行い、所定の周波数帯域における最大又は平均の信号強度を算出する(図5(a)参照)。
【0044】
例えば、強度算出部5は、このときパーシャルオーバーオール値(POA)を算出する。POAは、所定の周波数帯域における振幅の二乗値の総和であり、FFT解析後の所定の周波数帯域の振幅の大きさを監視するときに使用される物理値である。POAが高いほど強度が高い(硬い)ことを示しており、POAが小さいほど強度が低い(柔らかい)ことを示している。
【0045】
例えば、図7に示されるように、POAと地山強度(切羽Kの強度)との関係を示す近似式が予め設定されている。上記のように強度算出部5がPOAを算出した後には、強度算出部5は算出したPOAと当該近似式から切羽Kの強度を算出する。例えば、算出される切羽Kの強度は予め複数の区分(一例として区分1、区分2、区分3及び区分4)に区分けされている。
【0046】
この場合、強度算出部5は、算出した切羽Kの強度と共に、区分を表示して切羽Kを評価する。例えば、区分4が最も強度が高い、区分3が2番目に強度が高い、区分2が3番目に強度が高い、区分1が最も強度が小さいことを示している。バックホウ10の操作者等は、強度算出部5によって算出された切羽Kの強度及び区分を見ることによって切羽Kを評価することができる。
【0047】
次に、本実施形態に係る切羽評価装置1から得られる作用効果についてより詳細に説明する。図2図4に示されるように、切羽評価装置1では、基体11及びブレーカ15を備えるバックホウ10によってトンネルの切羽Kが評価される。切羽評価装置1は振動加速度収集部2bと強度算出部5とを備え、加速度計である振動加速度収集部2bが切羽Kへのブレーカ15の打撃時における加速度を収集する。そして、加速度から振動加速度レベルを導出する。強度算出部5は、振動加速度収集部2bによって収集された加速度から切羽Kの強度を算出する。切羽Kに対するブレーカ15の打撃時に生じる加速度からは、切羽Kの硬さ等の強度を高精度に得られる。従って、強度算出部5が加速度から強度を算出することによって、切羽Kの強度を高精度に評価することができる。また、切羽評価装置1では、切羽Kへのブレーカ15の打撃時における加速度を収集して切羽Kの強度を評価できる。従って、ブレーカ15を用いて容易に且つ高精度にトンネルの切羽Kの状態を評価することができる。
【0048】
本実施形態において、切羽評価装置1は、切羽Kへのブレーカ15の打撃角度θを検出するブレーカ打撃角度検出部2dを備え、強度算出部5は、加速度、及びブレーカの打撃角度θを用いて切羽Kの強度を算出する。切羽Kに対する打撃力は、切羽Kへのブレーカ15の打撃角度θに依存する。例えば、切羽面K1の直交方向に対してブレーカ15が上向きとなる場合よりも、切羽面K1の直交方向に対してブレーカ15が下向きとなる場合の方が、切羽面K1に対して好適に打撃力を付与できる。従って、ブレーカ打撃角度検出部2dがブレーカ15の打撃角度θを検出し、強度算出部5がブレーカ15の打撃角度θを用いて切羽Kの強度を算出することにより、切羽Kの強度等の状態をより高精度に評価することができる。
【0049】
また、切羽評価装置1では、マイクである打撃音収集部2cが切羽Kへのブレーカ15の打撃時における打撃音を収集し、ブレーカ打撃角度検出部2dが切羽Kへのブレーカ15の打撃角度θを検出してもよい。この場合、強度算出部5は、マイクによって収集された打撃時の音、及びブレーカ15の打撃角度θから切羽Kの強度を算出する。強度算出部5は上記のブレーカ15の打撃角度θを加味して打撃時の音から切羽Kの強度を算出するので、切羽Kの強度を高精度に算出できる。更に、切羽評価装置1では、切羽Kへのブレーカ15の打撃時における音を収集して切羽Kの強度を評価できる。よって、ブレーカ15を用いて容易に且つ高精度にトンネルの切羽Kの状態を評価することができる。
【0050】
本実施形態において、ブレーカ打撃角度検出部2dは、基体11に対するブレーカ15の延在方向を打撃角度θとして検出する機構を含んでもよい。この場合、バックホウ10の基体11に対するブレーカ15の延在方向が打撃角度θとして検出されるので、検出された打撃角度θからより高精度に切羽Kの状態を評価することができる。
【0051】
本実施形態において、切羽評価装置1は、更に、切羽Kの切羽面K1の角度を検出する切羽面角度検出部2fを備えてもよく、ブレーカ打撃角度検出部2dと切羽面角度検出部2fにより、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の延在方向の角度を打撃角度θとして検出してもよい。この場合、切羽Kの切羽面K1に対するブレーカ15の向きから打撃角度θが検出される。従って、高精度に検出された打撃角度θに基づいてより高精度に切羽Kの状態を評価することができる。
【0052】
前述したように、強度算出部5は、直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θがθ1≦θ≦θ2を満たすときにおける評価指標から、切羽Kの強度を算出してもよい。この場合、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θが一定角度範囲内のときの評価指標から切羽Kの強度が算出される。従って、打撃角度θが一定角度範囲外の評価指標を排除できるので、切羽Kの強度をより高精度に算出することができる。
【0053】
前述したように、強度算出部5は、評価指標から評価値を算出して、評価値に補正係数A(但しAは正の実数)を掛けて評価値を補正してもよく、補正係数Aは、直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θの絶対値が大きいほど小さい値であってもよい。この場合、切羽面K1の直交方向に対するブレーカ15の打撃角度θの絶対値が小さいほど大きな補正係数Aを評価値に掛ける。従って、当該直交方向に対する打撃角度θの絶対値が大きく精度が低い評価値に小さい補正係数Aを掛け、当該直交方向に対する打撃角度θの絶対値が小さく精度が高い評価値に大きい補正係数Aを掛けることにより、評価値の精度を一層高めることができる。その結果、切羽の強度等の状態を一層高精度に評価することができる。
【0054】
(実施例)
次に、本実施形態に係る切羽評価装置1の実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例の内容に限定されない。まず、力学物性値が互いに異なる3つのコンクリート試験体(以下では試験体1、試験体2、試験体3と称する)を鉛直下向きに一定圧力で打撃したときの振動加速度レベルを切羽評価装置1によって測定した。切羽評価装置1ではブレーカ15に振動加速度収集部2bを設置すると共にキャビン11bに騒音計を設置して音圧レベルも測定した。試験体1、試験体2及び試験体3のそれぞれは、幅2m×奥行2m×高さ1mの大きさとし、一軸圧縮試験、打球探査及び弾性波測定値の測定を行い、以下の表1の力学物性値が得られた。
【表1】
【0055】
また、試験体1、試験体2及び試験体3のそれぞれに対して、前述した強度の評価方法を実行して振動加速度レベル及び音圧レベルを測定した。図8は振動加速度レベルの測定結果を示すグラフであり、図9は音圧レベルの測定結果を示すグラフである。図8及び図9に示されるように、振動加速度レベル及び音圧レベル共に高周波数帯域において、高強度の試験体3ほど強い信号を得られることが分かった。この測定では、振動加速度レベルが800Hz~4kHzの周波数帯域、音圧レベルが3kHz~6kHzの周波数帯域であるときに、試験体の力学物性に応じて信号レベルが変化している。よって、振動加速度又は音圧を測定することによって試験体の力学特性を推定できることが分かった。
【0056】
更に、試験体2に対してブレーカ15の打撃角度θを変えながら試験体2の一軸圧縮強度を算出する測定を行った。その測定内容及び測定結果を以下の表2及び表3に示す。表2及び表3のそれぞれでは、試験体2の一軸圧縮強度の算出値等を試料1、試料2、試料3、試料4及び試料5として記載している。表2は、振動加速度収集部2bによって収集された加速度(評価指標から算出された評価値)を補正して一軸圧縮強度を算出した結果を示している。表3は、打撃音収集部2cによって収集された音量(評価指標から算出された評価値)を補正して一軸圧縮強度を算出した結果を示している。表2において、一軸圧縮強度Y1は、以下の式(1)から算出した。
Y1=(係数a1×(加速度X1-係数b1))×補正係数 ・・・(1)
また、表3において、一軸圧縮強度Y1は、以下の式(2)から算出した。
Y2=(係数a2×(音量X2-係数b2))×補正係数 ・・・(2)
【表2】

【表3】
【0057】
表2及び表3に示されるように、打撃角度θが下向きであるときの補正係数を打撃角度θが0°であるときの補正係数以下にし、打撃角度θが上向きであるときの補正係数を打撃角度θが下向きであるときの補正係数より小さくし、且つ、打撃角度θが0°に近いときに補正係数をより大きくする場合、試験体2の一軸圧縮強度として表1の値と近い値を算出できることが分かった。上記のように打撃角度θの値に応じて互いに異なる複数の補正係数を用いることにより、一軸圧縮強度を高精度に測定できることが分かった。
【0058】
以上、本開示に係る切羽評価装置の実施形態及び実施例について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態又は実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変更可能である。すなわち、切羽評価装置の各部の構成、機能、形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0059】
例えば、前述の実施形態では、センサ2が振動加速度収集部2b及び打撃音収集部2cを有する例について説明した。しかしながら、センサは、振動加速度収集部2b及び打撃音収集部2cのうちの一方のみを有するものであってもよい。すなわち、切羽評価装置は、加速度及び音のいずれかのみを用いて切羽を評価してもよい。
【0060】
また、前述の実施形態では、重機がバックホウ10である切羽評価装置1について説明した。しかしながら、バックホウの構成は、バックホウ10に限られず適宜変更可能である。更に、重機は、バックホウ以外のものであってもよい。このように、本開示に係る切羽評価装置は種々の重機に適用させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1…切羽評価装置、2…センサ、2b…振動加速度収集部、2c…打撃音収集部、2d…ブレーカ打撃角度検出部、2f…切羽面角度検出部、3…ケーブル、4…情報端末、5…強度算出部、10…バックホウ、11…基体、11b…キャビン、12…ブーム、13…アーム、15…ブレーカ、16…ノミ、17…ブラケット、G…地山、G1,G2,G3,G4…層、K…切羽、K1…切羽面、θ…打撃角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9