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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052210
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240404BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240404BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
H01L23/12 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158771
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三門 幸信
(72)【発明者】
【氏名】戸川 良樹
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC13
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD17
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE31
5E316FF04
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH33
5E316JJ12
5E316JJ13
5E338AA03
5E338AA16
5E338BB03
5E338BB19
5E338BB75
5E338EE24
5E338EE33
(57)【要約】
【課題】配線基板の品質低下の抑制。
【解決手段】実施形態の配線基板10は、厚み方向の一方側に位置する第一面12Aと、厚み方向の他方側に位置する第二面12Bと、を有し、厚み方向に貫通するキャビティ14が形成されたコア基板12と、キャビティ14の内部に配置され、厚みがコア基板12の厚みより薄く、コア基板12の第一面12Aと揃えて配置された電極面16Aを有する電子部品16と、キャビティ14の内部におけるコア基板12と電子部品16との間の空隙に設けられた封止樹脂18と、を備え、キャビティ14は、頂点20Pと、頂点20Pと第一面12Aとを繋ぐ第一傾斜面20Aと、頂点20Pと第二面12Bとを繋ぐ第二傾斜面20ABと、をそれぞれ有する一対の内壁面20を有し、第一傾斜面20Aの第一面12Aに対する第一傾斜角度θ1は、第二傾斜面20ABの第二面12Bに対する第二傾斜角度θ2より大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚み方向の一方側に位置する第一面と、前記厚み方向の他方側に位置する第二面と、を有し、前記厚み方向に貫通するキャビティが形成されたコア基板と、
前記キャビティの内部に配置され、厚みが前記コア基板の厚みより薄く、前記コア基板の前記第一面と揃えて配置された電極面を有する電子部品と、
前記キャビティの内部における前記コア基板と前記電子部品との間の空隙に設けられた封止樹脂と、
を備える配線基板であって、
前記キャビティは、頂点と、前記頂点と前記第一面とを繋ぐ第一傾斜面と、前記頂点と前記第二面とを繋ぐ第二傾斜面と、をそれぞれ有する一対の内壁面を有し、
前記第一傾斜面の前記第一面に対する第一傾斜角度は、前記第二傾斜面の前記第二面に対する第二傾斜角度より大きい。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記キャビティの前記第二面の側の第二開口部の開口面積は、前記第一面の側の第一開口部の開口面積より大きい。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記コア基板の厚みは、1mm以上である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記電子部品の前記厚みを前記コア基板の前記厚みで除した厚み比は、0.2以上、0.8以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コア基板と、コア基板を厚み方向に貫通するキャビティと、キャビティの内部に配置された電子部品と、封止樹脂と、を備える配線基板が記載されている。特許文献1では、電子部品の厚みとコア基板の厚みとはほぼ同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報号9526177号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線基板の製造では、通常、電子部品をキャビティの内部に配置する際、電子部品の電極面は、コア基板の一方の面と揃えられる。一方の面の高さは、キャビティの開口部が形成される位置の高さと同じである。ここで、電子部品の厚みがコア基板の厚みより薄い場合、電子部品の電極面がコア基板の一方の面と揃えられることによって、電子部品の厚み方向の中心は、基板の厚み方向の中心より第一面の側に偏心する。
【0005】
このため、電子部品の厚み方向の中心が第一面の側へ偏心する分、電子部品と第二面との間の空隙が、電子部品の厚みとコア基板の厚みとはほぼ同じである場合に比べ、大きくなる。すなわち、キャビティの内部空間において電子部品の厚み方向の中心から第二面の側の容積が、電子部品の厚みがコア基板の厚みと同じである場合に比べ、大きくなる。結果、充填に必要な樹脂の量が、電子部品の厚みがコア基板の厚みと同じである場合に比べ、大きくなる。
【0006】
充填に必要な樹脂の量が大きくなると、固化後、封止樹脂として必要な量が不足する懸念が生じる。封止樹脂の充填量が不足すると、キャビティの上の絶縁層に、凹部や隙間等が形成され易い。凹部や隙間等が形成されると、絶縁層の形状の均一性が損なわれ、結果、配線基板の品質が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配線基板は、厚み方向の一方側に位置する第一面と、前記厚み方向の他方側に位置する第二面と、を有し、前記厚み方向に貫通するキャビティが形成されたコア基板と、前記キャビティの内部に配置され、厚みが前記コア基板の厚みより薄く、前記コア基板の前記第一面と揃えて配置された電極面を有する電子部品と、前記キャビティの内部における前記コア基板と前記電子部品との間の空隙に設けられた封止樹脂と、を備え、前記キャビティは、頂点と、前記頂点と前記第一面とを繋ぐ第一傾斜面と、前記頂点と前記第二面とを繋ぐ第二傾斜面と、をそれぞれ有する一対の内壁面を有し、前記第一傾斜面の前記第一面に対する第一傾斜角度は、前記第二傾斜面の前記第二面に対する第二傾斜角度より大きい。
【0008】
本開示の実施形態によれば、電子部品の厚みがコア基板の厚みより薄くても、配線基板の品質低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係る配線基板を、図6中の5-5線と同じ位置で切断して説明する断面図である。
図2】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する断面図である(その1)。
図3】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する断面図である(その2)。
図4】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する断面図である(その3)。
図5】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する、図6中の5-5線断面図である(その4)。
図6】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する平面図である。
図7】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する断面図である(その5)。
図8】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する断面図である(その6)。
図9】本実施形態に係る配線基板の製造工程を説明する断面図である(その7)。
図10】比較例に係る配線基板を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一の部分及び類似の部分には、同一の符号又は類似の符号が付されている。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各装置や各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なる。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判定すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0011】
<配線基板の構造>
まず、本実施形態に係る配線基板10の構造を、図1を参照しつつ説明する。配線基板10は、コア基板12と、電子部品16と、封止樹脂18と、を備える。コア基板12には、キャビティ14が形成される。
【0012】
(コア基板)
コア基板12は、厚み方向の一方側に位置する第一面12Aと、厚み方向の他方側に位置する第二面12Bと、を有する。本実施形態では、厚み方向は、図1中の上下方向である。本実施形態では、第一面12Aは、図1中の下側に配置されると共に、第二面12Bは、図1中の上側に配置される。
【0013】
本実施形態では、コア基板12の厚みT1は、1mm以上である。なお、本開示では、コア基板12の厚みは、1mm未満であってもよい。
【0014】
本実施形態では、コア基板12の第一面12Aの上には、第一絶縁層26と、導体パッドを含む第一導体層15Aとが配置される。また、コア基板12の第二面12Bの上には、第二絶縁層24と、導体パッドを含む第二導体層15Bとが配置される。
【0015】
また、コア基板12には、コア基板12を厚み方向に貫通するスルーホール12Hが形成されると共に、スルーホール12Hには接続導体17が配置される。本実施形態では、特に説明のために言及される場合を除き、図面中に配置された絶縁層、導体層、スルーホール及び接続導体の符号の付記を省略する。
【0016】
第一絶縁層26と第二絶縁層24とは、任意の絶縁性樹脂によって形成できる。絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、又はフェノール樹脂などを採用できる。また、第一絶縁層26と第二絶縁層24とは、更に、シリカ(SiO)、アルミナ、又はムライトなどの微粒子によって形成される無機フィラーを含んでもよい。
【0017】
第一導体層15A、第二導体層15B及び接続導体17は、例えば銅又はニッケル等の任意の金属を用いて、所定のパターンを有して形成できる。第一導体層15A、第二導体層15B及び接続導体17は、それぞれ、金属膜及びめっき膜を含んでよい。金属膜は、例えば無電解めっき膜又はスパッタリング膜である。めっき膜は、例えば電解めっき膜である。
【0018】
(キャビティ)
キャビティ14は、コア基板12を厚み方向に貫通する。キャビティ14は、一対の内壁面20を有する。図1の断面図に示すように、一対の内壁面20は、頂点20Pと、頂点20Pと第一面12Aとを繋ぐ第一傾斜面20Aと、頂点20Pと第二面12Bとを繋ぐ第二傾斜面20Bと、をそれぞれ有する。
【0019】
本実施形態では、頂点20Pは、コア基板12の厚み方向において、コア基板12の厚みをほぼ2等分する位置である。なお、本開示では、頂点の位置はこれに限定されず、適宜変更できる。
【0020】
図1の断面図中に例示された配線基板10では、一対の内壁面20は、電子部品16の左右に配置される。なお、後で説明する図6に示すように、本実施形態のキャビティ14は、平面視で、矩形状である。このため、本実施形態では、1つのキャビティ14に、2組の一対の内壁面20が含まれる。
【0021】
本実施形態では、一対の内壁面20において、第一傾斜面20Aの第一面12Aに対する第一傾斜角度θ1は、第二傾斜面20Bの第二面12Bに対する第二傾斜角度θ2より大きい。一例として、本実施形態の第一傾斜角度θ1は、80度程度であると共に、第二傾斜角度θ2は、75度程度に設定できる。なお、本開示では、第一傾斜角度と第二傾斜角度とは、これに限定されず、第一傾斜角度が第二傾斜角度より大きければ適宜変更できる。
【0022】
また、本開示では、一対の内壁面20の個数は、1組であってもよい。また、本開示では、一対の内壁面20は必須ではなく、第一傾斜角度θ1が第二傾斜角度θ2より大きい少なくとも1つの内壁面20が含まれればよい。また、内壁面20の個数が複数である場合、複数の内壁面20間で、それぞれの内壁面20に含まれる第一傾斜角度θ1が異なってもよいと共に、それぞれの内壁面20に含まれる第二傾斜角度θ2が異なってもよい。
【0023】
また、本開示では、キャビティの平面視における形状は、矩形状に限定されず、例えば、六角形や八角形等の他の多角形状であってもよいし、或いは、円形や楕円形状であってもよい。本開示のキャビティの形状としては、任意の幾何学形状を採用できる。また、第一傾斜角度が第二傾斜角度より大きい内壁面の個数は、1つ以上、任意に設定できる。
【0024】
キャビティ14の第一面12Aの側には、第一開口部14Aが形成されると共に、キャビティ14の第二面12Bの側には、第二開口部14Bが形成される。第二開口部14Bの第二開口幅W2は、第一開口部14Aの第一開口幅W1より大きい。また、図6に示すように、本実施形態では、キャビティ14の第二面12Bの側の第二開口部14Bの開口面積は、第一面12Aの側の第一開口部14Aの開口面積より大きい。本開示では、キャビティ14の第二面12Bの側の第二開口部14Bの開口面積は、第一面12Aの側の第一開口部14Aの開口面積と同じであってもよいし、或いは、小さくてもよい。
【0025】
本開示では、厚み方向におけるコア基板の第一面は、キャビティの第一開口部が形成される高さと同じ高さの面であると共に、第二面は、キャビティの第二開口部が形成される高さと同じ高さの面である。すなわち、本実施形態では、第一面12Aと第二面12Bとを有するコア基板12が1つの絶縁基板によって構成された場合が例示されているが、本開示では、これに限定されない。本開示では、コア基板には、1つの絶縁基板だけでなく、任意の個数の絶縁層及び任意の個数の導体層が含まれてよい。
【0026】
(電子部品)
図1に示すように、電子部品16は、キャビティ14の内部に配置される。電子部品16の厚みT2は、コア基板12の厚みT1より薄い。本実施形態では、電子部品16は、コア基板12の第一面12Aと揃えて配置された電極面16Aを有する。すなわち、電子部品16の電極面16Aとコア基板12の第一面12Aとは、面一である。
【0027】
本開示では、電子部品の電極面とコア基板の第一面とが面一であることは、必須ではない。電子部品の電極面がコア基板の第一面から第二面の側に向かって僅かに離れることも妨げられない。ただし、電子部品の電極面がコア基板の第一面の側に近い程、電極面に接続される接続導体を短くできる。
【0028】
本実施形態では、「電極面」は、配線基板の動作時に電子部品に耐力(すなわち電圧)が印加される側の面を意味する。すなわち、電極面は、厚み方向における電子部品の一方の面と他方の面とのうち、電極が形成される側の面を意味する。
【0029】
(厚み比)
本実施形態では、電子部品16の厚みT2をコア基板12の厚みT1で除した厚み比T2/T1は、0.2以上、0.8以下である。厚み比T2/T1が0.2未満である場合、キャビティ14の内部空間における第二面12Bの側の容積の増加の程度が大きくなるため、本開示によって得られる効果が比較的小さくなる。一方、厚み比T2/T1が0.8を超える場合、樹脂の充填性の低下の影響が小さくなるため、本開示によって得られる効果が比較的小さくなる。
【0030】
本開示では、厚み比T2/T1は、0.2以上、0.8以下に限定されず、電子部品16の厚みT2がコア基板12の厚みT1より薄い限り、適宜変更可能である。
【0031】
(封止樹脂)
封止樹脂18は、キャビティ14の内部におけるコア基板12と電子部品16との間の空隙に設けられる。封止樹脂18は、配線基板10の製造中、キャビティ14の内部空間に充填される樹脂によって構成される。また、図1中の封止樹脂18のコア基板12の第二面12Bより上側の領域は、第二絶縁層24として機能する。
【0032】
<配線基板の製造方法>
次に、本実施形態に係る配線基板10の製造方法を、図2図9を参照しつつ説明する。まず、図2に示すように、コア基板12を用意する。本実施形態では、用意されたコア基板12には、スルーホール12H及び接続導体17が、予め設けられている。なお、本開示では、スルーホール及び接続導体の有無は限定されない。
【0033】
次に、図3に示すように、コア基板12の第一面12Aの側から、第一レーザ光L1を照射する。第一レーザ光L1の照射によって、第一傾斜角度θ1を有する第一領域14PAを含む下穴が形成される。第一領域14PAの第一面12Aの側には、一定の第一開口幅W1を有する第一開口部14Aが形成される。
【0034】
次に、図4に示すように、コア基板12の第二面12Bの側から、第二レーザ光L2を照射する。第二レーザ光L2の照射によって、第二傾斜角度θ2を有する第二領域14PBが形成される。第二領域14PBの第二面12Bの側には、一定の第二開口幅W2を有する第二開口部14Bが形成される。第二レーザ光L2の照射の際、第二レーザ光L2の強度、照射時間及び照射範囲等を調整することによって、第一傾斜角度θ1より小さい第二傾斜角度θ2と、第一開口幅W1より広い第二開口幅W2とを有する第二領域14PBを形成できる。
【0035】
すなわち、第二レーザ光L2の照射によって、先に照射された第一レーザ光L1によって形成された下穴の、第二面12Bの側の傾斜面の形状が変化する。第一レーザ光L1によって形成された第一領域14PAと、第二レーザ光L2によって形成された第二領域14PBとによって、キャビティ14が形成される。
【0036】
次に、図5に示すように、例えば水平面を有する支持台の上に、粘着テープ等の支持部材22を配置する。そして、支持部材22の上に、キャビティ14が形成されたコア基板12を、第一開口部14Aが支持部材22の側に位置するように配置する。支持部材22によって、第一開口部14Aは閉鎖される。
【0037】
次に、電子部品16を、第二開口部14Bの側から、キャビティ14の内部に配置する。電子部品16は、電子部品16側に突出する一対の内壁面20によって、所定の配置位置まで案内される。具体的には、例えば、公知のマウンタ等によって、電子部品16をキャビティ14の内部に配置できる。
【0038】
電子部品16の電極面16Aと第一面12Aとは、支持部材22の同じ表面上に配置されることによって、ほぼ面一に揃えられる。電子部品16と第二開口部14Bとの間には、空隙が形成される。また、電子部品16と一対の内壁面20との間には、隙間が形成される。
【0039】
次に、半硬化状態で膜状に形成された樹脂が、コア基板12の第二面12B上及び電子部品16の表面上に載置され、コア基板12に向けて加圧及び加熱される。加圧及び加熱の結果、第二面12B上に第二絶縁層24が形成される。
【0040】
また、この加圧及び加熱によって、膜状に形成された半硬化状態の樹脂が軟化すると共に、軟化した樹脂の一部が、キャビティ14の内部、具体的には、電子部品16とキャビティ14の内壁面20との間の隙間に流れ込む。このため、電子部品16とキャビティ14の内壁面20との間の隙間が、第二絶縁層24を構成する樹脂で充填される。
【0041】
電子部品16とキャビティ14の内壁面20との間の隙間に樹脂が充填された後、配線基板10が所定時間放置される、又は、配線基板10に所定の冷却処理が施されることによって、充填された樹脂は、収縮すると共に固化する。
【0042】
充填された樹脂の固化後、固化した樹脂によって、第二絶縁層24を構成する樹脂と同じ樹脂からなる封止樹脂18が形成される。図7に示すように、電子部品16は、封止樹脂18の中に固定される。本実施形態では、コア基板12の第二面12Bの上に、第二絶縁層24が、封止樹脂18と共に一体的に形成される。なお、本開示では、コア基板12の第二面12Bの上の第二絶縁層は、封止樹脂18とは別に形成されてもよい。封止樹脂18の形成後、支持部材22をコア基板12から除く。
【0043】
次に、図8に示すように、コア基板12の第一面12Aの上に、第一絶縁層26を形成する。なお、図8中では、封止樹脂18と第二絶縁層24とが形成されたコア基板12の天地が反対にされることによって、コア基板12の第一面12Aが上側に配置された状態が例示されている。
【0044】
次に、図9に示すように、第一絶縁層26と第二絶縁層24とに、それぞれを貫通するビアホールが形成されると共に、ビアホールには接続導体が配置される。また、第一絶縁層26の上に、第一絶縁層26と、所定の配線パターンを有する第一導体層15Aとが配置される。また、第二絶縁層24の上に、第二絶縁層24と、所定の配線パターンを有する第二導体層15Bとが配置される。
【0045】
ビアホールは、例えば、レーザ光の照射により、絶縁層の所定の位置に形成できる。フォトリソグラフィ技術と所定の成膜法とを用いて、配線パターン及び導体パターン等を形成できる。
【0046】
上記の図2図9を参照しつつ説明された一連の工程によって、図1中に例示された配線基板10を含む多層の配線基板を得ることができる。なお、図示を省略するが、本開示では、導体層の配線パターンの表面は、研磨によって平坦化されてよい。また、本開示では、導体層と絶縁層との間に、導体層と絶縁層との密着性を向上させる被覆膜が形成されてもよい。すなわち、本開示に係る配線基板の製造方法には、公知の配線基板製造技術が適宜組み込まれてよい。
【0047】
(比較例)
一方、図10に示すように、比較例に係る配線基板10Zでは、第一傾斜角度θ1と第二傾斜角度θ2とは、同じである。また、比較例に係る配線基板10Zでは、キャビティ14の第二面12Bの側の第二開口部14Bの開口面積と、第一面12Aの側の第一開口部14Aの開口面積とは、同じである。比較例に係る配線基板10Zの他の構造については、本実施形態に係る配線基板10と同様であるため、重複説明を省略する。
【0048】
比較例では、電子部品16の厚みT2がコア基板12の厚みT1より薄いため、製造中、樹脂の固化後、封止樹脂18として必要な充填量が不足する。図10中には、比較例に係る配線基板10Zのキャビティ14の上の第二絶縁層24に、凹部30が形成された場合が例示されている。比較例では、凹部30によって第二絶縁層24の面内方向における厚みの均一性が損なわれ、結果、配線基板10の品質が低下する。
【0049】
(作用効果)
本実施形態では、キャビティ14は、それぞれ電子部品16の側に突出し、電子部品16を挟む一対の内壁面20を有する。一対の内壁面20は、配線基板10の製造中、電子部品16をキャビティ14の開口部からキャビティ14の内部に配置する際、位置決め用の目印として機能する。このため、電子部品16をキャビティ14の内部に精度よく配置できる。
【0050】
また、本実施形態では、第一傾斜角度θ1は、第二傾斜角度θ2より大きい。換言すると、第二面12Bの側に位置する第二傾斜角度θ2は、第一面12Aの側に位置する第一傾斜角度θ1より小さい。このため、頂点20Pの高さが同じであり且つ第二傾斜角度θ2が第一傾斜角度θ1以上である場合に比べ、第二面12Bの側の第二開口部14Bの開口面積を大きくできる。結果、第二面12Bの側の第二開口部14Bから樹脂を流入させ易い。
【0051】
このため、電子部品16の厚みT2がコア基板12の厚みT1より薄いことに起因してキャビティ14の内部空間における第二面12Bの側の容積が大きくなっても、樹脂の充填性が高まる。樹脂の充填性は、一定時間内の樹脂の充填量を意味する。結果、充填後に固化した封止樹脂18の不足が抑制されるので、電子部品16の厚みT2がコア基板12の厚みT1より薄くても、配線基板10の品質低下を抑制できる。
【0052】
また、本実施形態では、第一傾斜角度θ1は、第二傾斜角度θ2より大きい。このため、頂点20Pの高さが同じであり且つ第一傾斜角度θ1が第二傾斜角度θ2以下である場合に比べ、キャビティ14の内部空間における第一面12Aの側の容積を小さくできる。このため、必要な樹脂の量が全体的に抑制されるので、充填後に固化した封止樹脂18の不足が抑制される。結果、電子部品16の厚みT2がコア基板12の厚みT1より薄くても、配線基板10の品質低下を抑制できる。
【0053】
また、本実施形態では、キャビティ14の第二面12Bの側の第二開口部14Bの開口面積が第一面12Aの側の第一開口部14Aの開口面積より大きい。このため、第二面12Bの側の第二開口部14Bから樹脂を供給する場合に、樹脂の充填性を向上できる。
【0054】
また、本実施形態では、コア基板12の厚みT1は、1mm以上である。本実施形態では、コア基板12の厚みT1が1mm以上の場合における配線基板10の品質低下を効率的に抑制できる。なお、コア基板12の厚みT1が1mm未満の場合であっても本開示の効果を得ることが可能である。ただし、コア基板12の厚みT1が1mm以上の場合、樹脂の充填性の低下の影響がより大きいため、本開示によって得られる効果が大きい。
【0055】
また、本実施形態では、電子部品16の厚みT2をコア基板12の厚みT1で除した厚み比T2/T1は、0.2以上、0.8以下である。このため、厚み比T2/T1は、0.2以上、0.8以下の場合において、電子部品16の厚みT2がコア基板12の厚みT1より薄いことに起因する配線基板10の品質低下を効率的に抑制できる。
【0056】
<その他の実施形態>
本開示は上記の開示された実施の形態によって説明されたが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本開示を限定するものであると理解すべきではない。本開示は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本開示の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の特定事項によってのみ定められるものである。
【0057】
≪付記≫
本明細書からは、以下の態様が概念化される。
【0058】
すなわち、態様1は、
厚み方向の一方側に位置する第一面と、前記厚み方向の他方側に位置する第二面と、を有し、前記厚み方向に貫通するキャビティが形成されたコア基板と、
前記キャビティの内部に配置され、厚みが前記コア基板の厚みより薄く、前記コア基板の前記第一面と揃えて配置された電極面を有する電子部品と、
前記キャビティの内部における前記コア基板と前記電子部品との間の空隙に設けられた封止樹脂と、
を備える配線基板であって、
前記キャビティは、頂点と、前記頂点と前記第一面とを繋ぐ第一傾斜面と、前記頂点と前記第二面とを繋ぐ第二傾斜面と、をそれぞれ有する一対の内壁面を有し、
前記第一傾斜面の前記第一面に対する第一傾斜角度は、前記第二傾斜面の前記第二面に対する第二傾斜角度より大きい。
【0059】
態様2は、
態様1に記載の配線基板であって、
前記キャビティの前記第二面の側の第二開口部の開口面積は、前記第一面の側の第一開口部の開口面積より大きい。
【0060】
態様3は、
態様1又は2に記載の配線基板であって、
前記コア基板の厚みは、1mm以上である。
【0061】
態様4は、
態様1~3のいずれかに記載の配線基板であって、
前記電子部品の前記厚みを前記コア基板の前記厚みで除した厚み比は、0.2以上、0.8以下である。
【符号の説明】
【0062】
10 配線基板
10Z 配線基板
12 コア基板
12A 第一面
12B 第二面
14 キャビティ
14A 第一開口部
14B 第二開口部
14PA 第一領域
14PB 第二領域
15A 第一導体層
15B 第二導体層
16 電子部品
16A 電極面
17 接続導体
18 封止樹脂
20 内壁面
20A 第一傾斜面
20B 第二傾斜面
20P 頂点
22 支持部材
24 第二絶縁層
26 第一絶縁層
28 電極
30 凹部
θ1 第一傾斜角度
θ2 第二傾斜角度
L1 第一レーザ光
L2 第二レーザ光
T1 コア基板の厚み
T2 電子部品の厚み
W1 第一開口幅
W2 第二開口幅
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10