(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052214
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H01L27/04 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158776
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 永吉
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038DF01
5F038DF08
(57)【要約】
【課題】複数の半導体チップが接続されてなる半導体装置において、省電力化を実現し、かつ、チップ間の接続端子の数を抑えた半導体装置を提供する。
【解決手段】複数のパワードメインが設定された第1のチップと、第2のチップと、が接合されてなる半導体装置において、第1のチップに、パワードメイン毎に設けられた複数の個別スイッチと、複数の個別スイッチと共通に接続された第1の接続端子と、を備え、第2のチップに、第1の接続端子に接続された第2の接続端子と、電源と第2の接続端子との間に設けられた共通スイッチと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパワードメインが設定された第1のチップと、前記第1のチップよりもリーク電流が小さい第2のチップと、が接合されてなる半導体装置であって、
前記第1のチップは、複数のパワードメインの各々に設けられ、パワードメインに対して電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える複数の個別スイッチと、前記複数の個別スイッチと共通に接続された第1の接続端子と、を備え、
前記第2のチップは、前記第1の接続端子に接続された第2の接続端子と、電源と前記第2の接続端子との間に設けられ、前記複数のパワードメインに対して共通に電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える共通スイッチと、を備える
半導体装置。
【請求項2】
前記第1のチップは、第1のプロセスサイズにより形成され、
前記第2のチップは、前記第1のプロセスサイズよりも大きい第2のプロセスサイズにより形成される
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1のチップは、前記第1の接続端子と前記複数の個別スイッチとの間に前記第1のチップの外部から接続するための外部接続端子を備える
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置においては、集積度を向上させるためにプロセスサイズをより小さくすることが要求されているが、これに伴って半導体装置に形成された素子において生じるリーク電流により、省電力性能が低下するという問題が顕著になってきている。
【0003】
このような問題に対応するため、特許文献1では、機能の異なる複数の半導体チップを接続して1つのパッケージに実装した半導体装置において、一の半導体チップから他の半導体チップへの電源電圧の供給を止める遮断手段を備えた半導体集積回路が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、省電力化のため、半導体装置内に複数のパワードメインを設定し、パワードメイン毎に電源供給のオンオフを切り替え可能な半導体装置が実用化されている。
【0006】
複数の半導体チップが接続されてなる半導体装置において、プロセスサイズが小さい方の半導体チップに複数のパワードメインが設定されている場合、パワードメイン毎に電源供給のオンオフを切り替えるためのスイッチを同じ半導体チップ内に設けると、スイッチを構成する素子のリーク電流により省電力性能が低下するという問題が生じる。
【0007】
そのため、プロセスサイズが大きい方の半導体チップにスイッチを配置して、スイッチを構成する素子のリーク電流の影響を抑えることが考えられる。
【0008】
しかしながら、このような態様とすると、半導体チップ間で電源供給ラインを接続するための接続端子をパワードメイン毎に設ける必要があるため、接続端子の数が増加してしまい、半導体チップの領域を消費してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記の事情を踏まえ、複数の半導体チップが接続されてなる半導体装置において、省電力化を実現し、かつ、チップ間の接続端子の数を抑えた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様の半導体装置は、複数のパワードメインが設定された第1のチップと、前記第1のチップよりもリーク電流が小さい第2のチップと、が接合されてなる半導体装置であって、前記第1のチップは、複数のパワードメインの各々に設けられ、パワードメインに対して電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える複数の個別スイッチと、前記複数の個別スイッチと共通に接続された第1の接続端子と、を備え、前記第2のチップは、前記第1の接続端子に接続された第2の接続端子と、電源と前記第2の接続端子との間に設けられ、前記複数のパワードメインに対して共通に電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える共通スイッチと、を備える。
【0011】
第2態様の半導体装置は、第1態様の半導体装置において、前記第1のチップは、第1のプロセスサイズにより形成され、前記第2のチップは、前記第1のプロセスサイズよりも大きい第2のプロセスサイズにより形成される。
【0012】
第3態様の半導体装置は、第1態様又は第2態様の半導体装置において、前記第1のチップは、前記第1の接続端子と前記複数の個別スイッチとの間に前記第1のチップの外部から接続するための外部接続端子を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の半導体装置によれば、複数の半導体チップが接続されてなる半導体装置において、省電力化を実現し、かつ、チップ間の接続端子の数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の半導体装置の概略構成を示す図である。
【
図2】比較例の半導体装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の半導体装置1の概略構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の半導体装置1は、第1のチップ10と第2のチップ20とがダイ・トゥ・ウエハ接合により接合されてなる。
【0017】
ここで、ダイ・トゥ・ウエハ接合とは、第1のチップ10と第2のチップ20とが積層されるとともに、第1のチップ10に形成された複数の接続端子120、121と第2のチップ20に形成された複数の接続端子220、221とが各々直接接触した状態で接合されたものを意味する。
【0018】
第1のチップ10は、第1のプロセスサイズの一例である22nmのプロセスサイズにより形成され、複数のパワードメインが設定された半導体チップである。
【0019】
ここで、「プロセスサイズ」とは、半導体チップを製造する際の最小加工サイズ、具体的には半導体チップの内部における配線幅、又は、トランジスタのゲート長等を意味する。プロセスサイズが小さくなる程、半導体チップに形成された素子におけるリーク電流が大きくなる。なお、プロセスサイズは、プロセスルールとも呼ばれる。
【0020】
また、「パワードメイン」とは、半導体チップにおいて1つの電源系統で動作する領域を意味する。本実施形態の第1のチップ10においては、機能ブロック毎に、異なるパワードメイン110、111、112、113が設定されている。
【0021】
また、第1のチップ10は、パワードメイン111、112、113毎に設けられ、パワードメインに対して電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える複数の個別スイッチ(
図1中で「SW」と表示)141、142、143と、複数の個別スイッチ141、142、143と共通に接続された接続端子(
図1中で「PAD」と表示)121と、を備える。接続端子121は、本開示の技術における第1の接続端子の一例である。
【0022】
個別スイッチ141、142、143は、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタからなるスイッチ素子により構成される。個別スイッチ141、142、143がオン状態の時、パワードメイン111、112、113に対して電源電圧の供給が行われ、個別スイッチ141、142、143がオフ状態の時、パワードメイン111、112、113に対して電源電圧の供給が行われなくなる。
【0023】
パワードメイン110は、常時電源電圧が供給される領域であるため、パワードメイン110に対する個別スイッチは設けられていない。
【0024】
第2のチップ20は、第2のプロセスサイズの一例である130nmのプロセスサイズにより形成された半導体チップである。
【0025】
また、第2のチップ20は、接続端子121に接続された接続端子221と、電源30と接続端子221との間に設けられ、パワードメイン111、112、113に対して共通に電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える共通スイッチ241と、を備える。接続端子221は、本開示の技術における第1の接続端子の一例である。
【0026】
共通スイッチ241は、例えばMOSトランジスタからなるスイッチ素子により構成される。共通スイッチ241がオン状態の時、パワードメイン111、112、113に対して電源電圧の供給が行われ、共通スイッチ241がオフ状態の時、パワードメイン111、112、113に対して電源電圧の供給が行われなくなる。
【0027】
電源30から供給された電源電圧VDDは、外部接続端子(
図1中で「IO-PAD」と表示)230を介して第2のチップ20に入力され、レギュレータ210により第1のチップ10及び第2のチップ20において必要とされる電源電圧に変換された後、第2のチップ20のパワードメイン110、111、112、113の各々に供給される。
【0028】
上記の通り、レギュレータ210から出力された電源電圧は、パワードメイン110に対してはスイッチを介さず、接続端子120、220のみを介して供給され、パワードメイン111、112、113に対しては共通スイッチ241、接続端子121、221、及び、個別スイッチ141、142、143を介して供給される。
【0029】
また、第1のチップ10は、接続端子120とパワードメイン110との間に第1のチップ10の外部から接続するための外部接続端子130を備え、接続端子121と個別スイッチ141、142、143との間に第1のチップ10の外部から接続するための外部接続端子131を備える。
【0030】
外部接続端子130、131は、第2のチップ20と接合されていない単体の状態で第1のチップ10の動作確認を行う際に、外部から電源電圧を供給するための端子である。
【0031】
ここで、本実施形態の半導体装置1の効果を分かりやすく説明するため、比較例の半導体装置100について説明する。
図2は、比較例の半導体装置100の構成を示す図である。
【0032】
図2に示すように、比較例の半導体装置100は、本実施形態の半導体装置1と比較して、パワードメイン111、112、113に対する電源電圧の供給状態を切り替えるスイッチの配置態様が異なる。
【0033】
比較例の半導体装置100においては、第2のチップ20に、パワードメイン111、112、113毎に設けられ、パワードメインに対して電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える個別スイッチ251、252、253が設けられている。半導体装置100においては、パワードメイン111、112、113に対して共通に電源電圧の供給を行う状態と行わない状態とを切り替える共通スイッチは設けられていない。
【0034】
上記以外の点については、本実施形態のD級増幅器1と同様の構成であるため説明は省略する。
【0035】
プロセスサイズは、第1のチップ10よりも第2のチップ20の方が大きい。また、一般にプロセスサイズが大きいチップの方が、プロセスサイズが小さいチップと比較して、リーク電流は小さくなるとされている。そのため、電源電圧の供給状態を切り替えるスイッチは、第2のチップ20に設けた方が、電源供給停止時におけるスイッチのリーク電流を抑えることができる。
【0036】
比較例の半導体装置100のように、第2のチップ20に個別スイッチ251、252、253を設けた場合、リーク電流の影響を抑えつつ、パワードメイン111、112、113に対する電源供給状態を個別に制御することができる。
【0037】
しかしながら、この場合には、第1のチップ10と第2のチップ20との間の接続端子の数が3対(接続端子121、221、接続端子122、222、接続端子123、223)必要となり、第1のチップ10及び第2のチップ20の領域を消費してしまうことになる。
【0038】
また、単体の状態で第1のチップ10のパワードメイン111、112、113に対する動作確認を行うための外部接続端子を設ける場合も、外部接続端子131、132、133の3つの端子が必要となり、第1のチップ10の領域を消費してしまうことになる。
【0039】
外部接続端子131、132、133は、第1のチップ10と第2のチップ20との間を接続するための接続端子121、221、接続端子122、222、接続端子123、223と比較して端子の面積が大きいため、より第1のチップ10の領域を消費してしまうことになる。
【0040】
これに対して、本実施形態の半導体装置1では、第1のチップ10に個別スイッチ141、142、143を設け、第2のチップ20に共通スイッチ241を設けている。
【0041】
このような態様とすることにより、リーク電流が小さい第2のチップ20の共通スイッチ241によりパワードメイン111、112、113の全体に対する電源供給状態を制御することができるとともに、第1のチップ10の個別スイッチ141、142、143によりパワードメイン111、112、113に対する電源供給状態を個別に制御することができる。
【0042】
さらに、このような態様とすることにより、第1のチップ10と第2のチップ20との間の接続端子の数が1対(接続端子121)ですむため、第1のチップ10及び第2のチップ20の領域の消費を抑えることができる。
【0043】
また、単体の状態で第1のチップ10のパワードメイン111、112、113に対する動作確認を行うための外部接続端子を設ける場合も、1つの外部接続端子131ですむため、第1のチップ10の領域の消費を抑えることができる。
【0044】
上記の通り、外部接続端子131は、第1のチップ10と第2のチップ20との間を接続するための接続端子121、221と比較して端子の面積が大きいため、第1のチップ10の領域の消費を抑える効果がより顕著となる。
【0045】
なお、本実施形態の半導体装置1においては、第1のチップ10のプロセスサイズよりも、第2のチップ20のプロセスサイズの方が大きいものとしたが、第1のチップ10のリーク電流よりも、第2のチップ20のリーク電流の方が小さくなるようなプロセスサイズ又は構造であれば、本実施形態の態様に限らず、どのような態様としてもよい。
【0046】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【符号の説明】
【0047】
1、100 半導体装置
10 第1のチップ
20 第2のチップ
30 電源
110、111、112、113 パワードメイン
120、121、122、123 接続端子
130、131、132、133 外部接続端子
141、142、143 個別スイッチ
210 レギュレータ
220、221、222、223 接続端子
241 共通スイッチ
251、252、253 共通スイッチ