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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052269
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】電子部品及び押圧素子
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/00 20060101AFI20240404BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20240404BHJP
   H01H 13/14 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
H01H13/00 B
H01H13/52 F
H01H13/52 B
H01H13/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158865
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真輔
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS31H
5G206AS31J
5G206AS31K
5G206AS38J
5G206AS38K
5G206AS55H
5G206AS55J
5G206BS55H
5G206BS55J
5G206BS55K
5G206CS01H
5G206CS01N
5G206CS04J
5G206DS02K
5G206FS32K
5G206KS07
5G206KS15
5G206KS57
5G206KU14
5G206KU23
5G206NS05
(57)【要約】
【課題】均一な操作感を実現可能な電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、第1押圧面、第1電極及び第2電極を有し、第1押圧面が押圧されることを示す電気信号を第1電極及び第2電極から出力する電子素子と、第1押圧面を押圧する押圧素子と、を有し、押圧素子は、基部、基部の端部に配置され且つ第1押圧面を押圧可能な第1押圧部、及び、基部の側面から外側に突出するように配置される第1フランジを有し、可とう性の材料で形成された第1プランジャーと、円筒部、円筒部の一方の端部に配置された第2押圧面、及び、円筒部の他方の端部に配置され、且つ、第1フランジを押圧可能な第2押圧部を有する第2プランジャーと、電子素子の上部に配置され、第2プランジャーの円筒部が貫通可能なプランジャー孔、及び、第1プランジャーを収容可能な収容部を有するケース部材とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1押圧面、第1電極及び第2電極を有し、前記第1押圧面が押圧されることを示す電気信号を前記第1電極及び前記第2電極から出力する電子素子と、
前記第1押圧面を押圧する押圧素子と、を有し、
前記押圧素子は、
基部、前記基部の端部に配置され且つ前記第1押圧面を押圧可能な第1押圧部、及び、前記基部の側面から外側に突出するように配置される第1フランジを有し、可とう性の材料で形成された第1プランジャーと、
円筒部、前記円筒部の一方の端部に配置された第2押圧面、及び、前記円筒部の他方の端部に配置され、且つ、前記第1フランジを押圧可能な第2押圧部を有する前記第2プランジャーと、
前記電子素子の上部に配置され、前記第2プランジャーの前記円筒部が貫通可能なプランジャー孔、及び、前記第1プランジャーを収容可能な収容部を有するケース部材と、を有し、
前記第1プランジャーの前記基部の前記側面が、前記第2プランジャーの前記円筒部の内壁面に沿って移動可能となるように、前記第2プランジャーの前記円筒部の内側に前記第1プランジャーの前記基部の一部が収容される、
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第2プランジャーの前記第2押圧面が押圧された場合、前記第2プランジャーの前記第2押圧部が前記第1プランジャーの前記第1フランジを押圧することによって、前記第1プランジャーは弾性変形しながら、前記第1プランジャーの前記第1押圧部が前記電子素子の前記第1押圧面を押圧する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記第2プランジャーの前記第2押圧部が前記第1プランジャーの前記第1フランジを押圧した場合に、前記第1フランジを係止するための係止部を更に有する、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記電子素子は、
凹部が形成された基板と、
前記凹部の周囲に配置される第1接続端子と、
前記凹部の底面に配置される第2接続端子と、
前記第2接続端子に接触するように前記凹部内に配置された誘電体と、
貫通孔が形成され、前記誘電体の上方に配置された第1スペーサと、
前記第1スペーサを介して前記誘電体から離間して配置され、下面が前記第1接続端子と接触する導電性シートと、
前記押圧部が貫通する押圧孔が形成され、前記導電性シートの上方に配置される第2スペーサと、を有し、
前記係止部は、前記第2スペーサにおいて、前記収容部の外縁から内側に突出する前記押圧孔の周辺部である、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記電子素子は、
基板と、
前記基板の表面に配置された第1固定接点と、
前記基板の表面において、前記第1固定接点の外側に配置された第2固定接点と、
前記第2固定接点に接触する接触部、及び前記押圧面の下方に配置され、前記基板の表面と反対の方向に膨らむ膨出部を有し、前記膨出部が反転動作したときに前記第1固定接点に接触するように配置された可動接点と、
前記可動接点が貫通可能な貫通孔が形成されたベースシートと、を有し、
前記係止部は、前記ベースシートにおいて、前記収容部の内壁から内側に突出する前記貫通孔の周辺部である、請求項3に記載の電子部品。
【請求項6】
基部、前記基部の端部に配置され且つ第1押圧面を押圧可能な第1押圧部、及び、前記基部の側面から外側に突出するように配置される第1フランジを有し、可とう性の材料で形成された第1プランジャーと、
円筒部、前記円筒部の一方の端部に配置された第2押圧面、及び、前記円筒部の他方の端部に配置され、且つ、前記第1フランジを押圧可能な第2押圧部を有する前記第2プランジャーと、
前記電子素子の上部に配置され、前記第2プランジャーの前記円筒部が貫通可能なプランジャー孔、及び、前記第1プランジャーを収容可能な収容部を有するケース部材と、を有し、
前記第1プランジャーの前記基部の前記側面が、前記第2プランジャーの前記円筒部の内壁面に沿って移動可能となるように、前記第2プランジャーの前記円筒部の内側に前記第1プランジャーの前記基部の一部が収容される、
ことを特徴とする押圧素子。
【請求項7】
前記第1押圧部が装入される貫通孔が形成され、上面が前記ケース部材の下面に接続された枠状の保持部材を更に有し、
前記第1フランジは、前記保持部材によって係止される、請求項6に記載の押圧素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び押圧素子に関する。
【背景技術】
【0002】
可固定接点及び可動接点を有するプッシュスイッチ等の電子素子、及び電子素子の押圧面を押圧する押圧素子を有する電子部品が知られている。例えば、特許文献1には、プッシュスイッチと、プッシュスイッチの上方に配置され、インナーステム、及びインナーステムの上側突出部を押圧する可とう性のラバーステムを有する押圧素子とを有する電子部品が記載される。特許文献1に記載される電子部品は、ラバーステムの周壁部が反転動作してインナーステムを押圧することでプッシュスイッチの可動接点を押圧するので、メタルコンタクトが反転動作する場合よりもソフトなクリック感を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/230100号
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される電子部品では、ラバーステムの周壁部がインナーステムから離隔して配置されるため、押圧方向のずれ及びラバーステムの周壁部の厚みのばらつき等に起因してラバーステムの反転動作が均一にならないおそれがある。特許文献1に記載される電子部品では、ラバーステムの反転動作が均一にならないことにより、反転動作したラバーステムがインナーステムに接触する位置がばらつくことで、クリック感等の操作感がばらつくおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような課題を解決するものであり、均一な操作感を実現可能な電子部品及び押圧素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子部品は、第1押圧面、第1電極及び第2電極を有し、第1押圧面が押圧されることを示す電気信号を第1電極及び第2電極から出力する電子素子と、第1押圧面を押圧する押圧素子と、を有し、押圧素子は、基部、基部の端部に配置され且つ第1押圧面を押圧可能な第1押圧部、及び、基部の側面から外側に突出するように配置される第1フランジを有し、可とう性の材料で形成された第1プランジャーと、円筒部、円筒部の一方の端部に配置された第2押圧面、及び、円筒部の他方の端部に配置され、且つ、第1フランジを押圧可能な第2押圧部を有する第2プランジャーと、電子素子の上部に配置され、第2プランジャーの円筒部が貫通可能なプランジャー孔、及び、第1プランジャーを収容可能な収容部を有するケース部材と、を有し、第1プランジャーの基部の側面が、第2プランジャーの円筒部の内壁面に沿って移動可能となるように、第2プランジャーの円筒部の内側に第1プランジャーの基部の一部が収容される。
【0007】
さらに、本発明に係る電子部品では、第2プランジャーの第2押圧面が押圧された場合、第2プランジャーの第2押圧部が第1プランジャーの第1フランジを押圧することによって、第1プランジャーは弾性変形しながら、第1プランジャーの第1押圧部が電子素子の第1押圧面を押圧することが好ましい。
【0008】
さらに、本発明に係る電子部品は、第2プランジャーの第2押圧部が第1プランジャーの第1フランジを押圧した場合に、第1フランジを係止するための係止部を更に有することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る電子部品では、電子素子は、凹部が形成された基板と、凹部の周囲に配置される第1接続端子と、凹部の底面に配置される第2接続端子と、第2接続端子に接触するように凹部内に配置された誘電体と、貫通孔が形成され、誘電体の上方に配置された第1スペーサと、第1スペーサを介して誘電体から離間して配置され、下面が第1接続端子と接触する導電性シートと、押圧部が貫通する押圧孔が形成され、導電性シートの上方に配置される第2スペーサとを有し、係止部は、第2スペーサにおいて、収容部の外縁から内側に突出する押圧孔の周辺部であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る電子部品では、電子素子は、基板と、基板の表面に配置された第1固定接点と、基板の表面において、第1固定接点の外側に配置された第2固定接点と、第2固定接点に接触する接触部、及び押圧面の下方に配置され、基板の表面と反対の方向に膨らむ膨出部を有し、膨出部が反転動作したときに第1固定接点に接触するように配置された可動接点と、可動接点が貫通可能な貫通孔が形成されたベースシートとを有し、係止部は、ベースシートにおいて、収容部の内壁から内側に突出する貫通孔の周辺部であることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る押圧素子は、基部、基部の端部に配置され且つ第1押圧面を押圧可能な第1押圧部、及び、基部の側面から外側に突出するように配置される第1フランジを有し、可とう性の材料で形成された第1プランジャーと、円筒部、円筒部の一方の端部に配置された第2押圧面、及び、円筒部の他方の端部に配置され、且つ、第1フランジを押圧可能な第2押圧部を有する第2プランジャーと、電子素子の上部に配置され、第2プランジャーの円筒部が貫通可能なプランジャー孔、及び、第1プランジャーを収容可能な収容部を有するケース部材と、を有し、第1プランジャーの基部の側面が、第2プランジャーの円筒部の内壁面に沿って移動可能となるように、第2プランジャーの円筒部の内側に第1プランジャーの基部の一部が収容される。
【0012】
さらに、本発明に係る押圧素子は、第1押圧部が装入される貫通孔が形成され、上面がケース部材の下面に接続された枠状の保持部材を更に有し、第1フランジは、保持部材によって係止されることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子部品及び押圧素子は、均一な操作感を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図2図1に示すA-A線に沿う断面図である。
図3図1に示す電子部品の分解斜視図である。
図4図1に示す電子素子の斜視図である。
図5】(a)は図1に示す回路基板の平面図であり、(b)は図1に示す回路基板の底面図である。
図6図1に示す電子素子から出力される電気信号に基づいて感圧を検知する検知システムのブロック図である。
図7図1に示す電子素子の製造方法を示す図であり、(a)は第1工程を示し、(b)は第2工程を示し、(c)は第3工程を示し、(d)は第4工程を示し、(e)は第5工程を示し、(f)は第6工程を示す。
図8】(a)は図2に示す第1プランジャーの斜視図であり、(b)は(a)に示す第1プランジャーの正面図であり、(c)は(a)に示す第1プランジャーの平面図であり、(d)は(a)に示す第1プランジャーの底面図である。
図9】(a)は図2に示す第2プランジャーの斜視図であり、(b)は(a)に示す第2プランジャーの正面図であり、(c)は(a)に示す第2プランジャーの平面図であり、(d)は(a)に示す第2プランジャーの底面図である。
図10】(a)は図2に示す第2ケース部材の平面図であり、図10(b)は(a)に示す第2ケース部材の底面図である。
図11図1に示す電子部品の押圧動作を示す図であり、(a)は第1状態を示し、(b)は第2状態を示し、(c)は第3状態を示し、(d)は第4状態を示し、(e)は第5状態を示す。
図12図1に示す第2プランジャーの第2上面を押圧したときの第2プランジャーの第2上面に印加される押圧力と、電子素子の押圧面に印加される押圧力との関係を示す図である。
図13】第2実施形態に係る電子部品の斜視図である。
図14図13に示すA-A線に沿う断面図である。
図15図13に示す電子部品の分解斜視図である。
図16】(a)は図13に示す基板の平面図であり、(b)は(a)に示す基板の底面図である。
図17図13に示す電子部品の押圧動作を示す図であり、(a)は第1状態を示し、(b)は第2状態を示し、(c)は第3状態を示し、(d)は第4状態を示し、(e)は第5状態を示す。
図18】変形例に係る押圧素子の斜視図である。
図19図18に示すA-A線に沿う断面図である。
図20図18に示す押圧素子の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、各図において同一、又は相当する機能を有するものは、同一符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
【0016】
(実施形態に係る電子部品の概要)
実施形態に係る電子部品は、第1押圧面、第1電極及び第2電極を有し、第1押圧面が押圧されることを示す電気信号を第1電極及び第2電極から出力する電子素子と、電子素子の押圧面を押圧する押圧素子とを有する。電子素子は、一例ではプッシュスイッチであり、他の例では感圧センサとも称される感圧スイッチである。
【0017】
押圧素子は、第1プランジャーと、第2プランジャーと、ケース部材とを有する。第1プランジャーは、基部、基部の端部に配置され且つ第1押圧面を押圧可能な第1押圧部、及び、基部の側面から外側に突出するように配置される第1フランジを有し、可とう性の材料で形成される。第2プランジャーは、円筒部、円筒部の一方の端部に配置された第2押圧面、及び、円筒部の他方の端部に配置され、且つ、第1フランジを押圧可能な第2押圧部を有する。ケース部材は、電子素子の上部に配置され、第2プランジャーの円筒部が貫通可能なプランジャー孔、及び、第1プランジャーを収容可能な収容部を有する。押圧素子において、第1プランジャーの基部の側面が、第2プランジャーの円筒部の内壁面に沿って移動可能となるように、第2プランジャーの円筒部の内側に第1プランジャーの基部の一部が収容される。
【0018】
実施形態に係る電子部品では、第1プランジャーの基部の側面が、第2プランジャーの円筒部の内壁面に沿って移動可能となるように配置されるので、第2プランジャーが第1プランジャーを押圧する位置がばらつくことはなく、操作感がばらつくおそれは低い。
【0019】
(第1実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図1は第1実施形態に係る電子部品の斜視図であり、図2図1に示すA-A線に沿う断面図であり、図3図1に示す電子部品の分解斜視図であり、図4は電子素子3の斜視図である。図5(a)は回路基板10の平面図であり、図5(b)は回路基板10の底面図である。
【0020】
電子部品1は、電子素子3と、押圧素子4と有する。電子部品1は、押圧素子4が押圧されることに応じて、押圧力の大きさを示す信号を電子素子3から不図示の外部検出装置に出力する。
【0021】
電子素子3は、回路基板10と、誘電体11と、第1スペーサ12と、導電シート13、ガイド枠14と、防水シート15と、第1接着シート16と、第2スペーサ17とを有する感圧スイッチである。電子素子3は、押圧物によって押圧素子4を介して押圧面が押圧されたときに、押圧力の大きさを示す信号を不図示の外部検出装置に出力する。
【0022】
回路基板10は、単に基板とも称され、基台20、第1接続端子21、第2接続端子22、第1側面電極23a、第2側面電極23b、第3側面電極23c及び第4側面電極23dを有する。回路基板10は、第1底面電極24a、第2底面電極24b、第3底面電極24c及び第4底面電極24dを更に備える。第1底面電極24a及び第2底面電極24bは第1電極と総称され、第3底面電極24c及び第4底面電極24dは第2電極と総称される。基台20は、角が切りかけた略矩形状の平面形状を有し、誘電体11を収容可能な凹部25が形成される。第1接続端子21及び第2接続端子22は、銅等の導電性材料により形成された導電性薄膜である。第1接続端子21は、略枠状の平面形状を有し、凹部25の周囲を囲むように基台20の表面に配置される。第2接続端子22は、矩形状の平面形状を有する平板状の部材であり、凹部25の底面に配置される。第2接続端子22は、誘電体11及び導電シート13と共に、導電シート13が押圧されることに応じて容量が変化する可変コンデンサを形成する。誘電体11、導電シート13及び第2接続端子22により形成される可変コンデンサは、電子素子3に内蔵されるコンデンサである。
【0023】
第1側面電極23a、第2側面電極23b、第3側面電極23c及び第4側面電極23dは、第1接続端子21及び第2接続端子22と同様に、銅等の導電性材料により形成された導電性薄膜であり、基台20の四角に形成された切欠きに配置される。第1側面電極23a及び第2側面電極23bは、基台20の表面において第1接続端子21に電気的に接続され、第2接続端子22とは絶縁される。第3側面電極23c及び第4側面電極23dは、第1接続端子21とは絶縁され、第1内部電極26及び第2内部電極27を介して、第2接続端子22に電気的に接続される。第1内部電極26は、第1接続端子21及び第2接続端子22の延伸方向に直交する方向に延伸する貫通電極又は導電性ビアとも称される円柱状の導電性部材であり、上端が第2接続端子22に電気的に接続される。第2内部電極27は、第1接続端子21及び第2接続端子22と平行に延伸するように基台20の内部に配置される平板状の導電性部材であり、第3側面電極23c及び第4側面電極23d並びに第1内部電極26に電気的に接続される。
【0024】
第1底面電極24a、第2底面電極24b、第3底面電極24c及び第4底面電極24dのそれぞれは、銅等の導電性材料により形成された導電性薄膜であり、基台20の裏面の四角に配置される。第1底面電極24aは第1側面電極23aに電気的に接続され、第2底面電極24bは第2側面電極23bに電気的に接続され、第3底面電極24cは第3側面電極23cに電気的に接続され、第4底面電極24dは第4側面電極23dに電気的に接続される。第1底面電極24a及び第2底面電極24bは、第1側面電極23a及び第2側面電極23bを介して第1接続端子21に電気的に接続される。第3底面電極24c及び第4底面電極24dは、第3側面電極23c及び第4側面電極23d、第1内部電極26並びに第2内部電極27を介して第2接続端子22に電気的に接続される。
【0025】
誘電体11は、比誘電率1.0以上のチタン酸バリウム等の強誘電体材料により形成される矩形の平面形状を有する誘電体部材であり、底面が第2接続端子22に接するように凹部25の内部に配置される。誘電体11は、不図示の銀ペースト等の導電性接着層を介して第2接続端子22に接着されることで、第1接続端子21に接触せず且つ第2接続端子22に電気的に接続されると共に、凹部25の内部に固定される。
【0026】
誘電体11の導電シート13に対向する表面の中央部には、第3接続端子11aが配置される。第3接続端子11aは、銅等の導電性部材により形成される円形の平面形状を有する薄膜であり、ガイド枠14を介して導電シート13が押圧されたときに導電シート13に接触する。導電シート13が第3接続端子11aに接触して導電シート13と第3接続端子11aとの間が導通すると、電子素子3に内蔵されるコンデンサは、第3接続端子11aの面積に応じた容量を有する。誘電体11の表面に第3接続端子11aが配置されることで、導電シート13が第3接続端子11aに1点で接触することに応じて所定の容量を有するコンデンサを形成することができる。
【0027】
第1スペーサ12は、ポリイミド樹脂等の合成樹脂により形成され矩形の平板状の絶縁性部材であり、誘電体11の上方に配置される。第1スペーサ12は、円形状の貫通孔12aが中央部に形成される。
【0028】
導電シート13は、シリコーン等の可とう性の合成樹脂に金属粉末又は導電性カーボンブラックを配合した導電性ゴムにより形成される。導電シート13は、下面の外縁が第1接続端子21に接触すると共に、下面の中央部が誘電体11及び第3接続端子11aに対向するように第1スペーサ12を介して、誘電体11の上方に配置される導電性のシート部材である。導電シート13の下面の中央部は、第1スペーサ12に形成される貫通孔12aを介して誘電体11の上面の中央部と対向するように配置される。誘電体11の上面と導電シート13の下面との間の離隔距離は、第1スペーサ12の厚さに相当する距離である。なお、導電シート13は、導電性ゴムであるが、導電シートは、ポリイミドフィルムにアルミを蒸着したフィルム、又は導電性の樹脂シートであってもよい。導電シート13の上面は、防水シート15を介して押下素子4によって押圧される押圧面であり、第1押圧面とも称される。
【0029】
ガイド枠14は、ポリイミド又はポリフタルアミド等の合成樹脂により形成される枠状の部材であり、導電シート13を囲むように回路基板10の基台20の上面に配置される。ガイド枠14は、導電シート13を囲むように配置され、導電シート13の配置位置を規定する位置決め部材として機能する。ガイド枠14の外縁は、基台20の外縁と一致する。ガイド枠14の下面はアクリル樹脂系接着材等の合成系接着剤により基台20の上面に接着され、ガイド枠14の上面は合成系接着剤により防水シート15の下面に接着される。なお、ガイド枠14が接着性を有する部材で形成されるとき、ガイド枠14と防水シート15との間は、接着剤によって接着されなくてもよい。
【0030】
防水シート15は、ポリイミド又はポリアミド等の防水性の高い合成樹脂により形成され、外縁がガイド枠14に接着される。防水シート15の外縁がガイド枠14に接着され、導電シート13を覆うように配置されることで、誘電体11、第1スペーサ12及び導電シート13を水滴、湿気及び塵芥等から防護する。防水シート15は、底部15a、傾斜部15b及び押圧面15cを備える。底部15aの外縁は、ガイド枠14及び基台20の外縁と一致する。傾斜部15bは、リング状の平面形状を有し、底部15aの中央部から内側に傾斜しながら上方延伸する円錐面である。押圧面15cは、円形状の平面形状を有し、傾斜部15bの内側に配置される。
【0031】
押圧面15cは、上方から押圧されることに応じて下方に移動して、導電シート13の上面に接触する。押圧面15cが更に押圧されることに応じて、導電シート13の下面は誘電体11の上面と接触する。導電シート13の下面が誘電体11の上面と接触した後、押圧面15cが更に押圧されると、導電シート13の下面及び誘電体11の上面が接触する接触面の面積が徐々に増加する。導電シート13の下面及び誘電体11の上面が接触する接触面の面積が増加することで、電子素子3に内蔵されるコンデンサの静電容量が増加する。電子素子3は、防水シート15の押圧面15cが押圧されることにより変化するコンデンサの静電容量を示す電気信号を第1底面電極24a、第2底面電極24b、第3底面電極24c及び第4底面電極24dから出力する。
【0032】
第1接着シート16は、ポリイミド及びPET等の合成樹脂で形成される基層と、アクリル樹脂で形成され、基層の両面に配置される接着層とを有し、防水シート15と第2スペーサ17とを接着する枠状の部材である。第1接着シート16の形状は、第2スペーサ17の形状と同一であってもよい。
【0033】
第2スペーサ17は、ポリアミド樹脂等の剛性が高い合成樹脂により形成され、下面が第1接着シート16により防水シート15の上面に接着される。第2スペーサ17は、円形状の平面形状を有し且つ上面から下面に貫通する押圧孔17aが形成される。押圧孔17aの径は、防水シート15の傾斜部15bの外形よりも長く、第2スペーサ17の下面は、防水シート15の底部15aの上面に接着される。第2スペーサ17の下面は、第2スペーサ17の下面と導電シート13の上面が防水シート15の底部15aを介して対向する対向面積、及び第2スペーサ17の重量に応じた固定圧力を導電シート13に印加する。
【0034】
図6は、電子素子3から出力される電気信号に基づいて感圧を検知する検知システムのブロック図である。
【0035】
検知システム100は、発振回路101、スイッチキャパシタ回路102、サンプルホールド回路103、モノステーブルマルチバイブレータ104、及び増幅器105を有する。スイッチキャパシタ回路102は、発振回路101の出力端子に接続される。サンプルホールド回路103は、スイッチキャパシタ回路102の出力端子に接続される。モノステーブルマルチバイブレータ104は、発振回路101とサンプルホールド回路103との間に接続される。増幅器105は、サンプルホールド回路103の出力端子に接続される。
【0036】
また、スイッチキャパシタ回路102は、電子素子3、オペアンプ106、基準コンデンサ107及びアナログスイッチ108を有する。基準コンデンサ107は、発振回路101とオペアンプ106の反転入力端子との間に接続される。電子素子3は、オペアンプ106の反転入力端子とオペアンプ106の出力端子の間に接続される。アナログスイッチ108は、電子素子3と並列に接続されると共に、発振回路101に接続される。
【0037】
電子素子3は、押圧面15cが押圧されるときに導電シート13の下面及び誘電体11の上面が接触する接触面の面積が変化することで、静電容量が変化する可変容量コンデンサとして機能する。アナログスイッチ108を発振回路101の発信周期と同期してスイッチングさせると、基準コンデンサ107の静電容量Crと電子素子3の静電容量Csの比Cr/Csに比例した半波の振幅変調の出力Voutが得られる。ここで、Vpは基準コンデンサ107と電子素子3への印加電圧である。
Vout=-Vp・(Cr/Cs)
【0038】
発振回路101の出力信号を受けるモノステーブルマルチバイブレータ104は、タイミングパルスを生成してサンプルホールド回路103に与える。サンプルホールド回路103は、タイミングパルスを受けた時点のオペアンプ106の出力を保持して増幅器105に与える。検知システム100により、ユーザが押圧素子4を押圧することにより変化する電子素子3の静電容量Crに比例した出力Voutを検出することが可能となる。
【0039】
(第1実施形態に係る電子素子の製造方法)
図7は電子素子3の製造方法を示す図であり、図7(a)は第1工程を示し、図7(b)は第2工程を示し、図7(c)は第3工程を示し、図7(d)は第4工程を示し、図7(e)は第5工程を示し、図7(f)は第6工程を示す。図7において、単一の電子素子3の製造工程が示されるが、電子素子3の製造工程では、複数の回路基板10を連結した集合基板を使用して複数の電子素子3が一括して製造される。
【0040】
まず、第1工程において、複数の回路基板10を連結した集合基板が準備される。次いで、第2工程において、複数の回路基板10のそれぞれの凹部25の内部に誘電体11が収容された後に集合基板を加熱することで導電性接着層が硬化し、導電性接着層を介して第2接続端子22に接着されることで誘電体11が凹部25に配置される。
【0041】
次いで、第3工程において、第1スペーサ12の下面が誘電体11の上面に接着されることで、第1スペーサ12が誘電体11の上方に配置される。次いで、第4工程において、一体化された導電シート13及びガイド枠14を回路基板10の上面に配置した上で、ガイド枠14の下面を回路基板10の上面に接着することで、導電シート13が誘電体11の上方に第1スペーサ12を介して配置される。
【0042】
次いで、第5工程において、防水シート15の下面がガイド枠14の上面に接着されることで、誘電体11、第1スペーサ12及び導電シート13を覆うように防水シート15が配置される。次いで、第6工程において、第2スペーサ17の下面が防水シート15の上面に第1接着シート16によって接着されることで、第2スペーサ17が防水シート15の上方に配置される。そして、複数の回路基板10に形成された電子素子3の間が切断されることで、電子素子3の製造工程が終了する。
【0043】
電子素子3の製造工程の終了後、電子素子3の上方に押圧素子4が配置されることで、電子部品1が完成する(図1~5参照)。押圧素子4は、第2接着シート30と、第1プランジャー31と、第2プランジャー32と、ケース部材33とを有する。
【0044】
第2接着シート30は、第1接着シート16と同様に、ポリイミド及びPET等の合成樹脂で形成される基層と、アクリル樹脂で形成され、基層の両面に配置される接着層とを有する枠状の部材である。第2接着シート30は、第2スペーサ17とケース部材33とを接着する。第1接着シート16の形状は、第2スペーサ17の形状と同一であってもよい。
【0045】
図8(a)は第1プランジャー31の斜視図であり、図8(b)は第1プランジャー31の正面図であり、図8(c)は第1プランジャー31の平面図であり、図8(d)は第1プランジャー31の底面図である。
【0046】
第1プランジャー31は、シリコーン樹脂等の可とう性の合成樹脂で形成され、基部40と、押圧部41と、第1フランジ42とを有し、可とう性の材料で形成される。基部40は、第1側面43及び第1上面44を有する円柱状の形状を有する。第1側面43は、単に側面とも称され、押圧部41から離隔する方向に延伸し、第2プランジャー32の内壁面との間にすき間を設けながら対向するように配置される。第1上面44は、押圧部41が接続される基部40の下端と反対側の基部40の上端において第1側面43に接続される。押圧部41は、第1押圧部とも称され、基部40の下端に形成され、防水シート15の押圧面15cに対向して配置される。第1フランジ42は、リング状の平面形状を有し、基部40の第1側面43の下端から外側に突出するように配置される。第1フランジ42の表面は第2プランジャー32の底面に接し、第1フランジ42の裏面は防水シート15の押圧面15cに対向する。第1プランジャー31は、防水シート15の押圧面15c並びに第2プランジャー32の底面及び内壁面によって、上下方向に軽い押圧を加え、隙間がないように支持されるので、電子部品1が振動しても、揺れなど発生せず、姿勢を保持できる。
【0047】
図9(a)は第2プランジャー32の斜視図であり、図9(b)は第2プランジャー32の正面図であり、図9(c)は第2プランジャー32の平面図であり、図9(d)は第2プランジャー32の底面図である。
【0048】
第2プランジャー32は、ポリアミド樹脂等の第1プランジャー31を形成する材料よりも硬度が高い材料で形成され、第1プランジャー31を覆うように配置される。第2プランジャー32は、円筒部50と、第2フランジ51と、第2上面52とを有する。円筒部50は、第2上面52の外縁から第2上面52の法線方向に延伸する第2側面53と、第1プランジャー31の第1側面43と対向して配置される内壁面54とを有する。円筒部50は、第2上面52と共に第1プランジャー31の基部40を収容する基部収容部55を形成する。第2フランジ51は、第2押圧面とも称され、リング状の平面形状を有し、第2上面52が接続される第2側面53の端部と反対の端部に配置される。第2上面52は、第2押圧面とも称され、押圧力が印加される押圧面であり、第1プランジャー31の第1上面44に対向するように配置される。第2フランジ51の下面は、第1プランジャー31の第1フランジ42の上面に接するように配置される。第2プランジャー32は、第1プランジャー31の第1フランジ42の上面とケース部材33の内壁面によって、上下方向に軽い押圧を加え、隙間がないように支持されているから、例えば、電子部品1が振動しても、揺れなど発生せず、姿勢を保持できる。
【0049】
図10(a)はケース部材33の平面図であり、図10(b)はケース部材33の底面図である。
【0050】
ケース部材33は、ポリアミド樹脂等の硬度が高い樹脂で形成され、第1ケース部材側面61と、第2ケース部材側面62と、第3ケース部材側面63と、第4ケース部材側面64と、ケース部材上面65とを有し、第1プランジャー31及び第2プランジャー32を移動可能に収容する。ケース部材上面65の中央部には、第2プランジャー32の円筒部50が貫通する貫通孔であるプランジャー孔66が形成される。また、ケース部材33の内部には、第1フランジ42及び第2フランジ51を収容する収容部67が形成される。収容部67では、第1プランジャー31及び第2プランジャー32は、第1フランジ42及び第2フランジ51の先端が収容部67の内壁に近接するように配置される。ケース部材33では、第1プランジャー31の第1側面43が、第2プランジャー32の円筒部50の内壁面54に沿って移動可能となるように、第2プランジャー32の円筒部50の内側に第1プランジャー31の基部40の一部が収容される。
【0051】
ケース部材33は、外縁が回路基板10の外縁と一致するように配置される。ケース部材33の外縁が回路基板10の外縁と一致するように配置されることで、電子素子3と押圧素子4との間の位置関係が一義的に決定される。
【0052】
ケース部材33の収容部67の径Dは、電子素子3の第2スペーサ17の押圧孔17aよりも長い。ケース部材33の収容部67の径は、収容部67を平面視したときの対向する側面の内壁の離隔距離の最大値である。ケース部材33では、対向する第2ケース部材側面62の内壁と第4ケース部材側面64の内壁との間の離隔距離は、対向する第1ケース部材側面61の内壁と第3ケース部材側面63の内壁との間の離隔距離よりも短い。なお、対向する第2ケース部材側面62の内壁と第4ケース部材側面64の内壁との間の離隔距離は、対向する第1ケース部材側面61の内壁と第3ケース部材側面63の内壁との間の離隔距離と同一であってもよい。ケース部材33の収容部67の径は、第2ケース部材側面62の内壁と第4ケース部材側面64の内壁との間の離隔距離よりも長い第1ケース部材側面61の内壁と第3ケース部材側面63の内壁との間の離隔距離である。
【0053】
ケース部材33の収容部67の径Dは、電子素子3の第2スペーサ17の押圧孔17aよりも長いので、押圧孔17aの周辺部は、収容部67の外縁から内側に突出する。収容部67の外縁から内側に突出する押圧孔17aの周辺部は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1プランジャー31の第1フランジ42を押圧した場合に、第1フランジ42を係止するための係止部17bである(図2参照)。係止部17bは、ケース部材33の収容部67の内壁から内側に突出するように配置されることで、第2プランジャー32に押圧されたときに、第1プランジャー31の第1フランジを係止するストッパー部である。
【0054】
図11は電子部品1の押圧動作を示す図であり、図11(a)は第1状態を示し、図11(b)は第2状態を示し、図11(c)は第3状態を示し、図11(d)は第4状態を示し、図11(e)は第5状態を示す。
【0055】
まず、第1状態において、第1プランジャー31は、第2プランジャー32の第2上面52が押圧されることに応じて、第2プランジャー32の第2フランジ51によって第1フランジ42が押圧されて、第2プランジャー32と共に回路基板10の方向に移動する。第1プランジャー31が回路基板10の方向に移動すると、押圧部41は、防水シート15を介して導電シート13を押圧方向に移動させる。
【0056】
次いで、第2状態において、第1プランジャー31が回路基板10の方向に更に移動すると、導電シート13が湾曲して、導電シート13の中央部は誘電体11に接触する。第1プランジャー31が回路基板10の方向に移動するに従って、誘電体11に接触する導電シート13の面積が増加する。誘電体11に接触する導電シート13の面積が増加することに伴って、第2接続端子22、誘電体11及び導電シート13によって形成される可変コンデンサの容量は、増加する。
【0057】
次いで、第3状態において、第2プランジャー32の第2フランジ51によって押圧される第1プランジャー31の第1フランジ42が、第2フランジ51が押圧する可動接点72の押圧に必要な押圧力よりも高い押圧力によって変形し始める。第1プランジャー31の第1フランジ42は、第2フランジ51が押圧する押圧力によって圧縮されると共に、基部40に接続される接続部と比較して、先端が回路基板10の方向に傾斜する。また、同時に、第1プランジャー31の基部40は、第2プランジャー32の基部収容部55に徐々に入り込むことで、第1プランジャー31の第1上面44は、第2プランジャー32の第2上面52に第2状態よりも近づく。
【0058】
また、第1プランジャー31を介して基板70の表面に接触している押圧部41は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1フランジ42を押圧することに応じて押圧方向に圧縮される。
【0059】
次いで、第4状態において、第1プランジャー31が回路基板10の方向に更に移動することによって、第1プランジャー31の第1フランジ42は、第2スペーサ17の係止部17bに接触する。また、防水シート15を介して誘電体11の表面に接触している押圧部41は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1フランジ42を押圧することに応じて押圧方向に更に圧縮される。すなわち、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1プランジャー31の第1フランジ42を押圧することによって、第1プランジャー31は弾性変形しながら、第1プランジャー31の第1フランジ42が電子素子3の押圧面17aを押圧する。また、第1プランジャー31の基部40は、第2プランジャー32の基部収容部55に更に入り込むことで、第1プランジャー31の基部40の上面と第2プランジャー32の第2上面52に対向する内壁面は、第3状態よりも近づく。
【0060】
そして、第5状態において、第2プランジャー32が回路基板10の方向に更に移動することによって、第2スペーサ17の係止部17bに接触している第1プランジャー31の第1フランジ42は、第2フランジ51によって押圧され、押圧方向に圧縮する。第1プランジャー31を介して基板70の表面に接触している押圧部41は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1フランジ42を押圧することに応じて押圧方向に第1フランジ42の圧縮幅に応じて入り込まれる。係止部17bによって係止された第1フランジ42が押圧力を吸収するので、押圧部41の押圧方向への入込量は抑制される。なお、第2プランジャー32の第2上面52に対向する内壁面は、いずれの状態でも第1プランジャー31に接触しない。
【0061】
(第1実施形態に係る電子部品の作用効果)
電子部品1では、第1プランジャー31の第1側面43が、第2プランジャー32の円筒部50の内壁面54に沿って移動可能となるように配置されるため、第1プランジャー31の押圧部41が防水シート15の押圧面15cに接触する位置がばらつくおそれは低い。電子部品1では、第1プランジャー31の押圧部41が防水シート15の押圧面15cに接触する位置がばらつくおそれは低いので、操作感がばらつくおそれは低い。
【0062】
また、電子部品1では、回路基板10の方向に移動する押圧力が第2プランジャー32の第2上面52に印加されたときに、第1フランジ42が収縮することで押圧力を吸収するため、過剰な押圧力が電子素子3に印加されるおそれを低くすることができる。
【0063】
図12は、第2プランジャー32の第2上面52を押圧したときの第2プランジャー32の第2上面52に印加される押圧力と、電子素子3の押圧面15cに印加される押圧力との関係を示す図である。図12において、横軸はストロークとも称される第2プランジャー32の押圧方向への移動距離を示し、縦軸は押圧力を示す。また、波形W101は第2プランジャー32の第2上面52に印加される押圧力を示し、波形W102は電子素子3の押圧面15cに印加される押圧力を示す。
【0064】
ストロークが範囲S1であるとき、第1フランジ42が第2フランジ51に押圧されて変形することで、電子素子3の押圧面15cに印加される押圧力は、第2プランジャー32の第2上面52に印加される押圧力よりも小さくなる。ストロークが範囲S2であるとき、第1フランジ42が第2スペーサ17の係止部に接触することで、第2プランジャー32の第2上面52に印加される押圧力が第2スペーサ17の係止部に分散され、電子素子3の押圧面15cに印加される押圧力が抑制される。
【0065】
また、電子部品1では、ケース部材33の外縁が回路基板10の外縁と一致するように配置されることで、電子素子3と押圧素子4との間の位置関係が一義的に決定されるので、電子素子3と押圧素子4との間の位置関係に誤差が生じる可能性は低い。電子部品1では、電子素子3と押圧素子4との間の位置関係に誤差が生じる可能性は低いので、操作感がばらつくおそれが低くなると共に、第1フランジ42が係止部17bによって係止され、押圧部41の押圧方向への入込量が抑制される。
【0066】
(第2実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図13は第2実施形態に係る電子部品の斜視図であり、図14図13に示すA-A線に沿う断面図であり、図15図13に示す電子部品の分解斜視図である。
【0067】
電子部品2は、電子素子5を電子素子3の代わりに有することが電子部品2と相違する。電子素子5以外の電子部品2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された電子部品1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0068】
電子素子5は、基板70と、ベースシート71と、可動接点72と、防水シート73とを有するプッシュスイッチである。電子素子5は、押圧素子4の第2プランジャー32が押圧されることに応じて、防水シート73及び第1プランジャー31を介して可動接点72の頂部が押圧されて可動接点72が反転動作することでオンする。また、電子素子5は、押圧素子4の第2プランジャー32が押圧されなくなると、可動接点72が復元動作してオフする。
【0069】
図16(a)は基板70の平面図であり、図16(b)は基板70の底面図である。
【0070】
基板70は、プリント基板であり、基板70の表面70aには、第1固定接点81及び第2固定接点82が配置され、基板70の裏面70bには、第1底面電極83、第2底面電極84、第3底面電極85及び第4底面電極86が配置される。第1底面電極83及び第2底面電極84は第1電極と総称され、第3底面電極85及び第4底面電極86は第2電極と総称される。第1固定接点81及び第2固定接点82並びに第1底面電極83、第2底面電極84、第3底面電極85及び第4底面電極86のそれぞれは、銅箔等の導電性薄膜により形成される。第1固定接点81は、表面70aの中央に配置され、円形状の平面形状を有する。第2固定接点82は、表面70aにおいて、第1固定接点81を囲むように配置され、リング状の平面形状を有する。第1底面電極83、第2底面電極84、第3底面電極85及び第4底面電極86のそれぞれは、切欠きが形成される裏面70bの四角に配置される。第1底面電極83及び第2底面電極84は表面70aに配置される第1固定接点81に電気的に接続され、第3底面電極85及び第4底面電極86は表面70aに配置される第2固定接点82に電気的に接続される。
【0071】
ベースシート71は、ポリイミド等の樹脂材料で形成され、更に、樹脂材料の両面に接着剤を配置し、円形状の平面形状を有し且つ可動接点72が貫通可能な貫通孔71aが形成されるシート状の部材である。ベースシート71は、可動接点72を所定の位置に案内すると共に、基板70と防水シート73に固定される。
【0072】
ベースシート71は、外縁がケース部材33及び基板70の外縁と一致するように配置される。ベースシート71の外縁がケース部材33及び基板70の外縁と一致するように配置されることで、押圧素子4と電子素子5との間の位置関係が一義的に決定される。
【0073】
ベースシート71は、貫通孔71aの周囲に配置され、第2プランジャー32に押圧されたときに、第1プランジャー31の第1フランジ42を係止する係止部71bを有する。係止部71bは、ケース部材33の収容部67の内壁から内側に突出するように配置されることで、第2プランジャー32に押圧されたときに、第1プランジャー31の第1フランジを係止するストッパー部である。
【0074】
可動接点72は、基板70の表面70aと反対の方向に膨らむ膨出部が形成されたステンレス鋼および黄銅等の弾性を有する導電性部材により形成されるバネ材である。可動接点72は、ベースシート71に案内されて、長手方向の両端が第2固定接点82に接触するように配置される。可動接点72の長手方向の両端は、第2固定接点82に接触する接触部である。可動接点72は、防水シート73を介して第1プランジャー31によって押圧されることに応じて反転動作して、頂部が第1固定接点81に接触する。また、可動接点72は、第1プランジャー31によって押圧されなくなると、復元動作して頂部が第1固定接点81から離隔する。
【0075】
防水シート73は、ポリイミド等の可とう性を有する合成樹脂で形成されたシート材であり、ベースシート71の表面に接着される。防水シート73の中央部は、第1プランジャー31の押圧部41によって押圧される押圧面73aである。防水シート73がベースシート71に接着されることで、基板70の表面70aに配置される第1固定接点81及び第2固定接点82、並びに基板70と防水シート73の間に配置される可動接点72は、防水シート73及びベースシート71によって封止される。可動接点72の上面は、防水シート73を介して押下素子4によって押圧される押圧面であり、第1押圧面とも称される。
【0076】
図17は電子部品2の押圧動作を示す図であり、図17(a)は第1状態を示し、図17(b)は第2状態を示し、図17(c)は第3状態を示し、図17(d)は第4状態を示し、図17(e)は第5状態を示す。
【0077】
まず、第1状態において、第1プランジャー31は、第2プランジャー32が押圧されることに応じて、第2プランジャー32の第2フランジ51によって第1フランジ42が押圧されて、第2プランジャー32と共に基板70の方向に移動する。第1プランジャー31が基板70の方向に移動すると、押圧部41は、防水シート73を介して可動接点72の頂部を押圧方向に移動する。
【0078】
次いで、第2状態において、第1プランジャー31が基板70の方向に更に移動する。第1プランジャー31の第1フランジ42は、可動接点72の押圧に必要な押圧力より高い剛性を有するので、押圧部41が可動接点72の頂部を押圧することに応じて、第1プランジャー31の第1フランジ42が撓むより早く、可動接点72は、反転動作する。可動接点72が反転動作することで、可動接点72の頂部は、第1固定接点81に接触する。可動接点72の頂部が第1固定接点81に接触することで、可動接点72、第1固定接点81、第2固定接点82を介して第1底面電極83及び第2底面電極84と第3底面電極85及び第4底面電極86との間が導通し、電子部品2はオンする。第1プランジャー31は、基板70の方向に更に移動して、第1プランジャー31の押圧部41によって可動接点72が全体に亘って基板70の表面に接触される。
【0079】
次いで、第3状態において、第2プランジャー32の第2フランジ51によって押圧される第1プランジャー31の第1フランジ42が、第2フランジ51が押圧する可動接点72の押圧に必要な押圧力よりも高い押圧力によって変形し始める。第1プランジャー31の第1フランジ42は、第2フランジ51が押圧する押圧力によって圧縮されると共に、基部40に接続される接続部と比較して、先端が基板70の方向に傾斜する。また、同時に、第1プランジャー31の基部40は、第2プランジャー32の基部収容部55に徐々に入り込むことで、第1プランジャー31の第1上面44は、第2プランジャー32の第2上面52に第2状態よりも近づく。
【0080】
また、第1プランジャー31を介して基板70の表面に接触している押圧部41は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1フランジ42を押圧することに応じて押圧方向に圧縮される。
【0081】
次いで、第4状態において、第1プランジャー31が基板70の方向に更に移動することによって、第1プランジャー31の第1フランジ42は、ベースシート71の係止部71bに接触する。また、基板70の表面に接触する可動接点72を介して基板70の表面に接触している押圧部41は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1フランジ42を押圧することに応じて押圧方向に更に圧縮される。また、第1プランジャー31の基部40は、第2プランジャー32の基部収容部55に更に入り込むことで、第1プランジャー31の基部40の上面と第2プランジャー32の第2上面52に対向する内壁面は、第3状態よりも近づく。
【0082】
そして、第5状態において、第2プランジャー32が基板70の方向に更に移動することによって、ベースシート71の係止部71bに接触している第1プランジャー31の第1フランジ42は、第2フランジ51によって押圧され、押圧方向に圧縮する。第1プランジャー31を介して基板70の表面に接触している押圧部41は、第2プランジャー32の第2フランジ51が第1フランジ42を押圧することに応じて押圧方向に第1フランジ42の圧縮幅に応じて入り込まれる。係止部71bによって係止された第1フランジ42が押圧力を吸収するので、押圧部41の押圧方向への入込量は抑制される。
【0083】
(第2実施形態に係る電子部品の作用効果)
電子部品2は、基板70の方向に移動する押圧力が第2プランジャー32に印加されたときに、第1プランジャー31の第1フランジ42がベースシート71の係止部71bに接触することで係止される。ベースシート71の係止部71bは、基板70の表面よりも第1プランジャー31の第1フランジ42に近いので、早いタイミングで第1フランジ42を係止することができる。電子部品2は、早いタイミングで第1フランジ42を係止し、可動接点72に印加される押圧力を低減できるので、可動接点72が破損するおそれを低くすることができる。
【0084】
また、電子部品2では、第1フランジ42は、第1フランジ42に係止され、可動接点72に接触しないので、可動接点72が第1フランジ42によって押圧されて破損するおそれはない。
【0085】
また、電子部品2では、押圧素子4と電子素子5との間の位置関係が一義的に決定されるので、押圧素子4と電子素子5との間の位置関係に誤差が生じる可能性は低い。電子部品2では、押圧素子4と電子素子5との間の位置関係に誤差が生じる可能性は低いので、操作感がばらつくおそれが低くなると共に、第1フランジ42が係止部71bによって係止され、押圧部41の押圧方向への入込量が抑制される。
【0086】
(実施形態に係る電子部品の変形例)
電子部品1及び2では、電子素子3及び5は、感圧スイッチ及びプッシュスイッチであるが、実施形態に係電子部品では、電子素子は、押圧面、第1電極及び第2電極を有し、押圧面が押圧されることを示す電気信号を第1電極及び第2電極から出力すればよい。
【0087】
また、電子部品1及び2では、第1フランジ42は、基部40の第1側面43の下端に配置されるが、実施形態に係電子部品では、第1フランジは、基部40の第1側面43の側面に配置されていればよい。また、電子部品1及び2では、第2フランジ51は、第2上面52が接続される第2側面53の端部と反対の端部に配置されるが、実施形態に係電子部品では、第1フランジは、第2側面53に配置されていればよい。
【0088】
また、電子部品1及び2では、第1プランジャー31が第2プランジャー32に押圧されたときに、第1フランジ42を係止する係止部は、電子素子3及び5に配置されるが、実施形態に係電子部品では、係止部は、押圧素子に配置されてもよい。
【0089】
また、電子部品1及び2では、第1プランジャー31の基部40は、円柱状の形状を有するが、実施形態に係電子部品では、第1プランジャーの基部は、三角柱及び四角柱等の円柱状以外の形状を有してもよい。また、実施形態に係電子部品では、第1プランジャーの基部は、第1上面44を有さない円筒状の形状を有してもよい。
【0090】
また、電子部品1及び2では、第2プランジャー32は、第2フランジ51を有するが、実施形態に係電子部品では、第2プランジャーは、第2フランジ51を有さなくてもよい。
【0091】
また、電子部品1では、押圧孔17aは、円形状の平面形状を有するが、実施形態に係電子部品では、押圧孔は、楕円形及び矩形等の円形状以外の平面形状を有してもよい。押圧孔が楕円形の平面形状を有するとき、押圧孔の径は短径を示し、押圧孔が矩形の平面形状を有するとき、押圧孔の径は短辺の長さを示す。
【0092】
また、電子部品2では、ベースシート71の貫通孔71aは、円形状の平面形状を有するが、実施形態に係電子部品では、ベースシートの貫通孔は、楕円形及び矩形等の円形状以外の平面形状を有してもよい。ベースシートの貫通孔が楕円形の平面形状を有するとき、押圧孔の径は長径を示し、ベースシートの貫通孔が矩形の平面形状を有するとき、押圧孔の径は長辺の長さを示す。
【0093】
また、電子部品1及び2では、押圧素子4は、第2接着シート30~ケース部材33を有するが、実施形態に係電子部品では、押圧素子は、第1プランジャーの第1フランジ42を係止する保持部材を更に有してもよい。
【0094】
図18は変形例に係る押圧素子の斜視図であり、図19図18に示すA-A線に沿う断面図であり、図20図18に示す押圧素子の分解斜視図である。
【0095】
押圧素子6は、保持部材34を有することが、押圧素子4と相違する。保持部材34以外の押圧素子6の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された押圧素子4の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0096】
保持部材34は、第2スペーサ17と同様に、ポリアミド樹脂等の剛性が高い合成樹脂により形成される。保持部材34は、第1プランジャー31の第1押圧部41が装入される貫通孔34aが形成され、上面がケース部材33の下面に接続された枠状の部材である。貫通孔34aの周辺部は、第1プランジャー31の第1フランジ42を係止するための係止部34bである。
【0097】
押圧素子6は、第1プランジャー31の第1フランジ42を係止する保持部材34を有するので、押圧素子6を有する製品の製造工程、及び押圧素子6を使用した作業における移動時に、第1プランジャー31及び第2プランジャー32が落下するおそれはない。
【符号の説明】
【0098】
1、2 電子部品
3、5 電子素子
4、6 押圧素子
31 第1プランジャー
32 第2プランジャー
33 ケース部材
34 保持部材
40 基部
41 押圧部
42 第1フランジ
50 円筒部
51 第2フランジ
52 第2上面
図1
図2
図3
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