(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052281
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】挿耳装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158882
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】722011010
【氏名又は名称】藤池 弘
(72)【発明者】
【氏名】藤池 弘
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA00
5D005BA14
(57)【要約】
【課題】挿耳装置において、着脱と同時に外耳道と外気の連通などの操作を行う際の、指の位置の制限、耳介各部による指と挿耳装置の接触阻害、目視確認できないため指を適切な位置に配置しいことを解消する。
【解決手段】装着時に頭部側面側に露出し、傾斜、押下、移動のうちの少なくとも1つの動きが可能である突起を設け、装着時の頭部側面側から見た挿耳装置本体の投影図において装置本体投影図の図心と殊間切痕側の挿耳装置本体投影図の外周上の点のうち前記図心から最も遠い点を通る直線に沿った座標において、前記突起の一部が前記図心から最も遠い点と前記図心との間となるよう配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿耳装置であって、装着時に頭部側面側に露出し、傾斜、押下、移動のうちの少なくとも1つの動きが可能である突起を有し、装着時の頭部側面側から見た挿耳装置本体の投影図において装置本体投影図の図心と殊間切痕側の挿耳装置本体投影図の外周上の点のうち前記図心から最も遠い点を通る直線に沿った座標において、前記突起の一部が前記図心から最も遠い点と前記図心との間にあることを特徴とする挿耳装置
【請求項2】
請求項1に記載の挿耳装置であって、装着時に外耳道と連通可能な挿耳装置内の空間と外気の連通及び遮断が前記突起の前記動きにより切り替わるすることを特徴とする挿耳装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤホン、補聴器、バイノーラル・マイロホン、聴覚検査装置のプローブなど人間の耳に装着して用いられる挿耳装置に関するものであり、さらに着脱時及びその前後に装着者による操作が可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
挿耳装置には着脱の最中や装着状態で特定の操作が必須または望ましいものがあり、更に、この操作が着脱時の挿耳装置の保持と同時に可能であることが必須または望ましいものがある。
例えば、カナル型イヤホンは使用時においてイヤーチップと外耳道の内壁が実質的に密着状態になるため、イヤホン自体が外気と連通する機能を有していないと、着脱時にイヤホンが押し込まれまたは引き出されることにより、外耳道内および外耳道と連通するイヤホン内部の圧力が上昇または降下し、装着者が違和感を覚えるのみならず鼓膜やイヤホンが内蔵するスピーカーユニットに不具合を生じる可能性がある。
【0003】
これに対し、耳介の奥に位置しているハウジングに対して耳介への装着方向及び抜去の方向に対応した方向に所定の範囲で移動可能に係合し、かつ指で摘まむことが可能な押引部を有する可動ハウジングを設け、外耳道と外気の連通・遮断を切り替える弁構造が形成されることを特徴とするイヤホンが知られている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、この技術では押引部を指で摘まむことを可能とする構成については特に言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
挿耳装置において装着者自身が着脱などを行う際には摘まむ動作が多く用いられる。この摘まむ動作では対向する2指以上が協調動作することが必要である。一方、親指以外の指はほぼ同方向に運動可能なため選択の自由があるが親指には唯一他の指と概ね対向しているという特徴がある。
これらのことから、挿耳装置においては親指との関連が重要となることが判る。
【0007】
一方、装着者自身が挿耳装置の着脱などを行う際の親指の自然な位置は、およそ殊間切痕から対殊を通り対耳輪に至る範囲の近傍に限定される。そして、対殊及び対耳輪は、前切痕や殊間切痕と異なり側頭部から高く迫り上がっており、親指が挿耳装置に触れることを阻害する。
【0008】
また、目と耳介の位置関係に着目すると、挿耳装置の装着者自らが挿耳装置を着脱する際には、操作者は目視することが出来ず指の位置を適切に定めにくいことが判る。
【0009】
以上、着脱を例に説明したが、同様に、何らかの操作部材を有する挿耳装置において装着者自身が装着状態及び装着動作中に操作手段を操作する場合や挿耳装置の耳介に対する位置調整において、挿耳装置の着脱と同様に、親指の位置の制限、対殊及び対耳輪による親指と挿耳装置の接触阻害、操作者が目視することが出来ず指の位置を適切に定めにくいという課題があることが判る。
【0010】
なお、親指以外の指については、目視不可能であることは親指と変わらないが、上記に記したように選択の自由があること、加えて、親指が位置する場所はノズルやイヤーチップを介して外耳道と密着もしくは密接している必要があるため耳介と挿耳装置の位置関係がほぼ固定されるが、他の部分では単に接触するのみであるため、ノズルやイヤーチップから離れた場所になるに従い指の先端などで挿耳装置を動かすことが可能となるため、 指の位置の制限、耳介各部による指と挿耳装置の接触阻害は課題ではあるが、親指に比較するとその重要度は低いものとなる。
【0011】
以上説明したように、本発明が解決しようとする課題は、指の位置の制限、耳介各部による指と挿耳装置の接触阻害、特に対殊及び対耳輪による親指と挿耳装置の接触阻害、目視確認できないため指を適切な位置に配置し難いことを解消するという点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、装着時に頭部側面側に露出し、傾斜、押下、移動のうちの少なくとも1つの動きが可能である突起を有し、装着時の頭部側面側から見た挿耳装置本体の投影図において装置本体投影図の図心と殊間切痕側の挿耳装置本体投影図の外周上の点のうち前記図心から最も遠い点を通る直線に沿った座標において、前記突起の一部が前記図心から最も遠い点と前記図心との間にあることを最も主要な特徴とする。
【0013】
ここでいう挿耳装置本体とは、挿耳装置の筐体内部の構成部品はもとより、筐体および操作用突起などの筐体と共に挿耳装置の外形を形成する突起や凸部を含み、信号ケーブル、圧力伝達用チューブ、アンテナなど外形が異なるものに交換可能な部材や装置、および装着感を向上させるためのカバーや無線通信機能を負荷するためのトランスミッターなどの挿耳装置に付加する部材や装置であって挿耳装置に装着しても本発明の効果を損なわないものを含まない。
【0014】
また、前記の様に突起を構成した状態であっても、突起をボリューム摘まみの様にねじる場合には対殊、対耳輪、耳輪などの側頭部から迫り出した耳介各部に邪魔され易く、一方、傾斜、押下、移動させることは対殊、対耳輪、耳輪などの側頭部から迫り出した耳介各部に邪魔されずに行うことが容易であることから、上記最も主要な特徴に加えて突起が傾斜、押下、移動のうちの少なくとも1つの動きが可能であることも 課題を解決するための手段 となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の挿耳装置は、親指が対殊や対耳輪に親指が邪魔されないため、挿耳装置および挿耳装置に設けられた突起を操作することが容易となるという利点があり、さらに挿耳装置の耳介に対するする位置や角度の調整および着脱が容易になるという利点があり、さらに着脱と同時または前後して行われる前記突起に対する操作が容易になるという利点があり、さらに挿耳装置の着脱と同時もしくは前後して前記突起に対する操作を行う際に持ち替えが不要となるという利点がある。
【0016】
また、目視できない状態で着脱及び操作する際に、突起のそばに対殊や対耳輪さらにはそれに挟まれた殊間切痕という特徴的な耳介の凹凸があることにより手探りでの位置確認が容易である。このため指と前記突起及び挿耳装置各部の位置と親指及び他の指の位置関係が把握しやすい。さらには、殊間切痕は対殊や対耳輪の間の窪みとなっているため親指をそれに沿わせることにより、容易に前記突起や挿耳装置の各部に対して着脱や操作がし易い位置に親指および他の指を添えることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は挿耳装置の実施方法を示した説明図であり、挿耳装置の斜視図である。(実施例1)
【
図2】
図2は挿耳装置の実施方法を示した説明図であり、頭部側面から見た挿耳装置および耳介の投影図であり、装着時における耳介各部と挿耳装置の関係を示した図である。(実施例1)
【
図3】
図3は挿耳装置の実施方法を示した説明図であり、挿耳装置本体と突起の位置関係の説明図である。(実施例1)
【
図4】
図4は挿耳装置の実施方法を示した説明図であり、イヤホンの外耳道と外気の連通及び遮断を切り替える弁ユニットおよびイヤホンに設けた突起の部分断面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【実施例0018】
本実施例は、挿耳装置であって、装着時に頭部側面側に露出し、傾斜、押下、移動のうちの少なくとも1つの動きが可能である突起を有し、装着時の頭部側面側から見た挿耳装置本体の投影図において装置本体投影図の図心と殊間切痕側の挿耳装置本体投影図の外周上の点のうち前記図心から最も遠い点を通る直線に沿った座標において、前記突起の一部が前記図心から最も遠い点と前記図心との間にあり、装着時に外耳道と連通可能な挿耳装置内の空間と外気の連通及び遮断が前記突起の前記動きにより切り替わるすることを特徴とする挿耳装置であって、弁本体が弁体を貫通する部分に弁本体が弁体に対し前進及び傾斜可能な隙間を有する少なくとも弁本体と弁体からなる弁ユニットと、前記突起に操作力が作用していない状態すなわち自然状態において弁本体が弁体に密着する様に弁体に対して弁本体を付勢するバネを有し、弁ユニットは外気とともにスピーカーユニット及び装着時に外耳道に連通し、この連通する経路において弁本体が弁体のノズル側に配置されており、弁本体または弁体が装着時に頭部側面側に露出した突起に連結されており、弁本体に弁本体よりも柔軟なシールが接しており、弁本体が弁体に対し傾斜した際にシール以外に弁体と接触する部分を備えたことを特徴とする。
【0019】
図1は、本発明装置の1実施例であるイヤホンの斜視図である。1はケース、2はフェースプレート、3は請求項記載の突起であり以下操作用突起と記す、4はノズル、5はイヤーチップ、6はレセプタクルである。レセプタクル6は適合するプラグを持つケーブルを用いて音声出力装置に接続される。また、7は装着者が取り外しの際に親指で外耳道と外気の連通操作を行うと同時にイヤホン全体を摘まんで取り外す際に親指が当たる標準的な位置、8はは装着者が取り外しの際に親指で外耳道と外気の連通操作を行うと同時にイヤホン全体を摘まんで取り外す際に親指以外の指であって多くの場合人差し指が当たる標準的な位置であり。なお、7,8について細線で描いた円は説明のためのものであって実態としてイヤホンが備えるものではない。
【0020】
操作用突起3は頂部が球の一部となっている円筒形状も持っており、球の一部と円筒の境界に稜線を有している。この稜線は操作用突起を操作する際の滑り止めの効果があり、操作用突起を親指で倒しながらイヤホンの他の部分に添えた別の指と共に摘まむ際に指がずれることを防止する。他の実施形として、操作用突起の表面の少なくとも一部を粗面とすることで同様の効果を得ることができる。一方、このイヤホンは自然状態において弁と弁体が密閉状態になるよう弁と弁体間が付勢された弁ユニットを備えており、操作用突起3はこの弁ユニットに連結されており外力が作用していないときすなわち自然状態では直立しているとともにノズル4の内部にある気道と外気が遮断されている。そして、操作用突起3をZ軸方向に押し込むすなわち押下することにより弁と弁体にすき間が生じ、ノズル4の内部にある気道と外気が連通する。この結果、イヤホンを装着した状態では外耳道と外気が連通することになる。
【0021】
同様に、操作用突起3がX軸まわりおよびY軸まわりさらにはX軸Y軸成分を有する軸まわりに倒されることでも、操作用突起をZ方向に押し込まれたすなわち押下された場合も同様に気道と外気が連通する。さらには、弁と弁体にすき間が生じた状態ではZ軸まわりに回転することが可能であり、これにより倒された状態で操作用突起3の先端すなわち球の一部となっている部分をXY平面に沿って自在に動かすことが可能となっている。さらに、弁ユニットの弁と弁体の構成は、弁が弁体に対しノズル内の気道側方向に可動に構成され、弁が弁体に対しノズル内部の気道側圧力が外気圧よりも低くなったときすなわち負圧状態になったときは弁と弁体間に隙間が生じる方向に付勢されたものとなっている。このため、外力により意図せずイヤホンが取り外されたなど負圧状態が付勢の強さにより設定されたものより著しい場合には、自動的に外耳道と外気が連通して耳およびイヤホンの内部機構を保護する効果を有している。なお、7の細線で描かれた円はフェースプレート2および操作用突起3の双方を囲んでいるが、親指が当たる標準的な位置は操作用突起3の稜線である。
【0022】
図2は、 本発明装置の1実施例であるイヤホンを耳に装着した状態での耳介およびイヤホンの頭部側面から見た図である。9~13は耳介の構成要素であり、9は耳珠、10は殊間切痕、11は対殊、12は対耳輪、13は前切痕である。14は
図1に示したイヤホンであり、15はイヤホン14の一部である操作用突起である。この図から、本発明により、対殊および対耳輪に邪魔されることを避けながら、窪みとなっている殊間切痕側から親指を操作用突起に添えることが容易となっていることが判る。
【0023】
図3は、 本発明装置の1実施例であるイヤホンにおける頭部側面から見た挿耳装置本体の投影図に、本発明の構成を示すための細線で描かれた補助線を加えたものである。16は頭部側面から投影した挿耳装置本体の外形、17は頭部側面から投影した挿耳装置本体外形の図心すなわち頭部側面から見た挿耳装置本体の投影図の図心であり、細線で描かれた円の中心がこの図心となっている。18は頭部側面から見た挿耳装置本体の投影図のうち操作用突起の投影図、19は殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点を示しており、細線で描かれた円の中心が殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点となっている。20は19が殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点であることを示す補助線であって図心17を中心として殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点19を通る円弧、21は殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点と図心を通る直線、22は操作用突起の殊間切痕側外周から殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点を細線で描かれた円の中心として示しており、23は点22から殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点と図心を通る直線21にに下した垂線 である。
【0024】
垂線23と直線21の交点が直線21において図心17と操作用突起の殊間切痕側外周から殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点19の中間にあることから、本実施例が、頭部側面から見た挿耳装置本体の投影図において、殊間切痕側の外周上の点のうち挿耳装置の図心から最も遠い点と図心を通る直線に沿った座標において上記図心から最も遠い点と図心との間に操作用突起の殊間切痕側外周が配置されているものであることが判る。
【0025】
図4は、 本発明装置の1実施例であるイヤホンの外耳道と外気遮断連通を切り替える弁ユニットまわりの部分断面図であり、操作用突起3に何も操作が加えられていない自然状態を示している。
図4において2はフェースプレート、3は操作用突起、22は弁本体、23は弁本体22およびシール24からなる弁と弁体25を付勢する押しばね、26は弁本体22とシール24と弁体25からなる弁ユニットをケース(不図示)に固定する支持部材である。操作用突起3と弁本体22は固定されている。また、弁体に弁が通されている穴は図示されているように隙間を有しており、弁は
図1のZ方向に動くのみならず、X軸Y軸まわりに回転可能となっている。弁ユニットの支持部材26は通気路27を介しノズルに設けられた気道およびドライバーに接続されており、装着時かつ操作用突起に何も操作が加えられていない自然状態では、イヤーチップを介して装着者の外耳道と連通することにより密閉された空気室を形成する。また、28は弁本体22が弁体25を貫通している部分の隙間を細線で描かれた楕円で囲むことにより図示しておいる。なお、スピーカーユニットは、着脱に際して大気連通操作を怠った場合でも損傷しにくい設計が容易という点でバランスドアーマチュアー型が適しているが、ダイナミック型、ピエゾ型、静電型、平面磁気型などのいずれも使用することができる。
【0026】
操作用突起3はこの弁ユニットに連結されており操作用突起3は外力が作用していないときすなわち自然状態では直立しておりノズル4の内部にある気道と外気が遮断されている。そして、操作用突起3をZ方向に押し込むすなわち前進させることにより弁と弁体にすき間が生じ、ノズル4の内部にある気道と外気が連通する。この結果、イヤホンを装着した状態では外耳道と外気が連通することになる。また、弁本体22が弁体25を貫通している部分に、弁体25に対して弁22が弁の少なくとも一部が解放するのに十分な傾斜が可能な隙間28を有しているために、操作用突起3はX軸まわりおよびY軸まわりさらにはX軸Y軸が合成された軸まわりに傾斜させることが可能であり、操作用突起がX軸まわりおよびY軸まわりさらにはX軸Y軸が合成された軸まわりに倒されることでも、シール24と弁体25の間に隙間が生じるため気道と外気が連通する。また、この時操作用突起3は傾斜すると同時にXY平面に沿って移動している。さらには、弁と弁体にすき間が生じた状態ではZ軸まわりに回転することが可能であり、これにより倒された状態で操作用突起の円筒形状の軸が自然状態から倒れた方向の向きを
図1におけるXY平面に沿って旋回することが可能となっている。
【0027】
操作用突起3のフェースプレートから頂点までの距離は長いほど操作はし易くなるが、長すぎると不用意に触った場合の誤動作などが増えるため2ミリメートルから5ミリメートルの範囲とするのが好ましく本実施例では3ミリメートルとなっている。また、操作用突起3の太さ関しては細いほど耳介と操作用突起の間のスペースが広くとれ操作がしやすくなるという長所があるが、あまり細いものは強度の点から望ましくない、また太い場合はその逆となる。このため外接円の直径が3ミリメートルから12ミリメートルの範囲が適切であり、本実施例では頂部が半径8ミリメートルの球の一部となっており、基部が6ミリメートルの円筒形となっているが円筒形に限られるものでなく、断面が長円、多角形などで有っても良いまた、フェースプレートから距離に応じて断面の形状および寸法が変化しても良い。なお、望ましい範囲は試作による強度及び耐久性試験および官能試験から導出した。
【0028】
また、この実施例ではシール24の外周をシールよりも固い材料で出来た弁本体22の一部が包み込んでいることにより、弁本体22およびシール24からなる弁が傾斜した際に、シール24が弁本体22外周まで露出している場合に比べ、より少ない傾斜角で弁が解放されるという利点を持つ。さらに、弁ユニットの弁と弁体の構成は、弁が弁体に対しノズル内の気道側方向に位置しているため、弁が弁体に対しノズル内部の気道側圧力が外気圧よりも低くなったときすなわち負圧状態になったときは弁と弁体間に隙間が生じる方向に付勢されたものとなっている。このため、外力により意図せずイヤホンが取り外されたときなど外耳道内の圧力が付勢の強さにより予め設定されたものより著しく外気圧よりも小さくなった場合には、自動的に外耳道と外気が連通して耳およびイヤホンの内部機構を保護する効果を有している。
【0029】
また、このイヤホンの装着者は
図1における20の箇所を親指で押すことにより操作用突起3を傾斜させることにより外耳道と大気を連通させながら、他の指を21の箇所に添えることにより他人の解除なくまた外気連通と取り外しを別ステップとして実施することなく、イヤホンを摘まんで取り外すことが可能となる。また、装着時は、取り外しと同様の摘まみ方の他に操作用突起3を
図1のZ軸方向に押しながら装着することにより、外気と外耳道が連通した状態が装着することができる。実施形態ではノズル及び外耳道の向きと操作用突起の中心軸、操作用突起の動作軸の内の一つをおおむね一致させているため、操作がし易いことに加えて、事前説明が無くても適切な操作が期待できるという効果がある。また、着脱いずれにおいても操作用突起から指を外すもしくは指にかけた力を抜くという簡便な操作により外耳道と外気が遮断された状態となる。
【0030】
上記例に加えて、目的に応じたストッパーやガイド等の規制部材を設けるもしくは本実施例記載の部材の形状を変形することにより本発明の趣旨を逸脱しない範囲で操作用突起の動作範囲や動作の自由度を規制しても構わない。
【0031】
以上説明したように、本発明により、挿耳装置の着脱時に対殊や対耳輪に親指が邪魔されることなく容易に挿耳装置をつまむことを可能とするという目的を実現した。さらに、位置の調整および着脱を容易とすること、加えて着脱と同時または前後して行われる操作用突起に対する容易な操作を実現した。さらに、着脱の際に持ち替えずに操作用突起に対する操作可能にするという目的を実現した。
実施例1のイヤホン同様に本発明を補聴器に適用することも可能である。その場合、外界の音を収集するマイクロフォン、CPU、不揮発性メモリ、揮発性メモリまたはそれらと同等の機能を有する部材および装置を付加する。なお、実施例1のレセプタクル6は廃止するもしくは、不揮発性メモリの設定用等に用途を変更することが可能である。