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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024052286
(43)【公開日】2024-04-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022158889
(22)【出願日】2022-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】露木 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】高向 真
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EA23
2C056HA51
2C056HA52
(57)【要約】
【課題】液体吐出装置の小型化や、液体の吐出精度の向上が可能な液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】プリントヘッドに接続された基板ユニットと、圧縮空気を送出するコンプレッサーと、チューブと、を備え、基板ユニットは、第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、複数のリジッド部材とフレキシブル部材とを含む配線基板と、を有し、フレキシブル部材は、第1面、第2面、第1領域、第2領域、及び第1領域と第2領域との間に位置する第3領域を含み、第1駆動回路が設けられ第1表面を含み第1領域の第1面に積層された第1リジッド部材と、第2駆動回路が設けられ第2表面を含み第2領域の第1面に積層された第2リジッド部材とは、第1表面と第2表面とが向かい合うように位置し、コンプレッサーは、第1表面と第2表面とが向かい合う領域に、圧縮空気を供給する、液体吐出装置。
【選択図】図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドと電気的に接続された基板ユニットと、
圧縮空気を送出するコンプレッサーと、
前記基板ユニットと前記コンプレッサーとを接続するチューブと、
を備え、
前記プリントヘッドは、
第1駆動信号を受けて変位する第1圧電素子を含み、前記第1圧電素子の変位により液体を吐出する第1吐出部と、
第2駆動信号を受けて変位する第2圧電素子を含み、前記第2圧電素子の変位により液体を吐出する第2吐出部と、
前記基板ユニットと電気的に接続する第1コネクターと、
を有し、
前記基板ユニットは、
前記第1コネクターと嵌合することで、前記プリントヘッドと電気的に接続する第2コネクターと、
前記第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第2コネクター、前記第1駆動回路、及び前記第2駆動回路が設けられた配線基板と、
を有し、
前記配線基板は、前記第2コネクター、前記第1駆動回路、及び前記第2駆動回路が設けられた複数のリジッド部材と、前記複数のリジッド部材よりも柔軟なフレキシブル部材と、を含むリジッドフレキシブル基板であって、
前記フレキシブル部材は、第1面、及び前記第1面と反対の第2面と、第1領域、第2領域、及び第3領域と、を含み、
前記第3領域は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、
前記複数のリジッド部材は、第1リジッド部材、及び第2リジッド部材を含み、
前記第1リジッド部材は、第1表面を含み、前記第1表面が前記第1面に沿って延在するように前記第1領域の前記第1面に積層され、
前記第2リジッド部材は、第2表面を含み、前記第2表面が前記第1面に沿って延在するように前記第2領域の前記第1面に積層され、
前記第1駆動回路は、前記第1リジッド部材に設けられ、
前記第2駆動回路は、前記第2リジッド部材に設けられ、
前記第1リジッド部材と前記第2リジッド部材とは、前記フレキシブル部材が前記第3領域で屈曲することで前記第1表面と前記第2表面とが向かい合うように位置し、
前記コンプレッサーは、前記チューブを介して、前記第1表面と前記第2表面とが向かい合う領域に、前記圧縮空気を供給する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記複数のリジッド部材は、第3リジッド部材、及び第4リジッド部材を含み、
前記第3リジッド部材は、第3表面を含み、前記第3表面が前記第2面に沿って延在するように前記第1領域の前記第2面に積層され、
前記第4リジッド部材は、第4表面を含み、前記第4表面が前記第2面に沿って延在するように前記第2領域の前記第2面に積層され、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路を構成する電子部品は、前記第3リジッド部材及び前記第4リジッド部材に設けられていない、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
布巾に対して液体を吐出する捺染用インクジェットプリンターである、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電素子を用いた液体吐出技術が発明されてから半世紀以上が経過し、当該技術を用いた液体吐出装置は、インクジェットプリンターやカラーフィルタ製造装置等の幅広い分野で活用されている。このような液体吐出技術の基礎技術が確立された昨今において、液体吐出装置に対する市場要求の中心は、当該液体吐出装置を用いて生成される生成物の生産性の向上となっている。このような市場要求に対して、液体吐出技術の技術開発の中心は、液体吐出装置が液体を吐出するノズルの多ノズル化や、液体吐出装置が単位時間当たりに吐出するインクの吐出量の増加等となっている。
【0003】
特許文献1には、生成物の生産性を高めるために多くのノズルを備えた複数のヘッドを用いて、単位時間当たりの吐出量を増加させるための工夫がなされた印刷装置(液体吐出装置)であって、筐体内に備えられた複数のヘッドユニット(液体吐出ヘッド)と、当該ヘッドユニットに対して駆動信号を供給する複数の駆動回路と、当該駆動回路を冷却する冷却機構と、を有する液体吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-099835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置では、生産性を向上することができるものの、液体吐出装置の小型化や、液体の吐出精度の向上等の観点において十分ではなく、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
液体を吐出するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドと電気的に接続された基板ユニットと、
圧縮空気を送出するコンプレッサーと、
前記基板ユニットと前記コンプレッサーとを接続するチューブと、
を備え、
前記プリントヘッドは、
第1駆動信号を受けて変位する第1圧電素子を含み、前記第1圧電素子の変位により液体を吐出する第1吐出部と、
第2駆動信号を受けて変位する第2圧電素子を含み、前記第2圧電素子の変位により液体を吐出する第2吐出部と、
前記基板ユニットと電気的に接続する第1コネクターと、
を有し、
前記基板ユニットは、
前記第1コネクターと嵌合することで、前記プリントヘッドと電気的に接続する第2コネクターと、
前記第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第2コネクター、前記第1駆動回路、及び前記第2駆動回路が設けられた配線基板
と、
を有し、
前記配線基板は、前記第2コネクター、前記第1駆動回路、及び前記第2駆動回路が設けられた複数のリジッド部材と、前記複数のリジッド部材よりも柔軟なフレキシブル部材と、を含むリジッドフレキシブル基板であって、
前記フレキシブル部材は、第1面、及び前記第1面と反対の第2面と、第1領域、第2領域、及び第3領域と、を含み、
前記第3領域は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、
前記複数のリジッド部材は、第1リジッド部材、及び第2リジッド部材を含み、
前記第1リジッド部材は、第1表面を含み、前記第1表面が前記第1面に沿って延在するように前記第1領域の前記第1面に積層され、
前記第2リジッド部材は、第2表面を含み、前記第2表面が前記第1面に沿って延在するように前記第2領域の前記第1面に積層され、
前記第1駆動回路は、前記第1リジッド部材に設けられ、
前記第2駆動回路は、前記第2リジッド部材に設けられ、
前記第1リジッド部材と前記第2リジッド部材とは、前記フレキシブル部材が前記第3領域で屈曲することで前記第1表面と前記第2表面とが向かい合うように位置し、
前記コンプレッサーは、前記チューブを介して、前記第1表面と前記第2表面とが向かい合う領域に、前記圧縮空気を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】液体吐出装置の概略構成を示す図である。
図2】ヘッドユニットの機能構成の一例を示す図である。
図3】駆動信号出力回路の構成を示す図である。
図4】駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例を示す図である。
図5】駆動信号VOUTの信号波形の一例を示す図である。
図6】駆動信号選択回路の機能構成を示す図である。
図7】デコーダーにおけるデコード内容の一例を示す図である。
図8】選択回路の構成を示す図である。
図9】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
図10】ヘッドユニットを搭載したキャリッジの構造を示す側面図である。
図11】ヘッドユニットを搭載したキャリッジの周辺構造を示す斜視図である。
図12】液体吐出モジュールの構造の一例を示す分解斜視図である。
図13】プリントヘッドの内部構造の一例を示す斜視図である。
図14】プリントヘッドの分解斜視図である。
図15】吐出モジュールが有する吐出部の構成の一例を示す図である。
図16】駆動回路基板の平面構造を示す図である。
図17】駆動回路基板を図16に示すA-a線で切断した場合の断面図である。
図18】駆動回路基板を図16に示すB-b線で切断した場合の断面図である。
図19】略箱形状をなす駆動回路基板の構造の一例を示す図である。
図20】展開状態の駆動回路基板における部品配置の一例を示す図である。
図21】電圧信号VHV,VMV,VDDが伝搬する配線パターンの一例を示す図である。
図22】駆動信号COM、及び基準電圧信号VBSが伝搬する配線パターンの一例を示す図である。
図23】組立状態の駆動回路基板における部品配置の一例を示す図である。
図24】組立状態の駆動回路基板における部品配置の一例を示す図である。
図25】中継基板の構造の一例を示す平面図である。
図26】中継基板の構造の一例を示す側面図である。
図27】駆動回路モジュールをx2軸に沿って-x2側から見た図である。
図28】駆動回路モジュールをx2軸に沿って+x2側から見た図である。
図29】駆動回路モジュールをy2軸に沿って-y2側から見た図である。
図30】駆動回路モジュールをz2軸に沿って+z2側から見た図である。
図31】変形例の液体吐出装置の概略構成を示す図である。
図32】変形例の液体吐出モジュールの構造の一例を示す分解斜視図である。
図33】変形例の展開状態の駆動回路基板における部品配置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.液体吐出装置の機能構成
1.1 液体吐出装置の機能構成
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。本実施形態の液体吐出装置1は、搬送される媒体Pに対して、所望のタイミングで液体の一例であるインクを吐出することで、媒体Pの表面に所望の画像を形成する所謂インクジェットプリンターである。ここで、以下の説明において、媒体Pが搬送される方向を搬送方向と称する場合がある。
【0010】
図1に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット2、ヘッドユニット3、搬送モーター4、搬送ローラー5、キャリッジモーター6、キャリッジガイド軸7、キャリッジ8、及び液体容器9を備える。
【0011】
制御ユニット2は、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示のホストコンピューター等の外部機器から供給される画像データDATAに基づいて、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号を生成し、対応する構成に出力する。また、制御ユニット2は、液体吐出装置1に供給される交流電圧の商用電圧VACから液体吐出装置1の各部の電源電圧等に用いられる電圧信号VDCを生成し、液体吐出装置1の各部に供給する。
【0012】
具体的には、制御ユニット2は、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号として搬送制御信号Ctrl-Tを生成し、搬送モーター4に出力する。搬送モーター4は、入力される搬送制御信号Ctrl-Tに基づいて駆動する。搬送ローラー5は、搬送モーター4の駆動に伴い回転駆動する。そして、搬送ローラー5の回転駆動により生じた駆動力によって、媒体Pが搬送方向に沿って搬送される。すなわち、搬送モーター4と搬送ローラー5とは、制御ユニット2が出力する搬送制御信号Ctrl-Tに応じて媒体Pを搬送する。
【0013】
また、制御ユニット2は、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号としてキャリッジ制御信号Ctrl-Cを生成し、キャリッジモーター6に出力する。キャリッジモーター6は、入力されるキャリッジ制御信号Ctrl-Cに基づいて駆動する。キャリッジモーター6の駆動によって生じた駆動力は、不図示のタイミングベルトを介してキャリッジガイド軸7に支持されたキャリッジ8に伝えられる。キャリッジガイド軸7は、搬送方向と交差する方向に沿って延在し、キャリッジ8を支持している。そして、キャリッジモーター6の駆動によって生じた駆動力によってキャリッジガイド軸7に支持されたキャリッジ8が、キャリッジガイド軸7に沿って移動する。すなわち、キャリッジモーター6とキャリッジガイド軸7とは、制御ユニット2が出力するキャリッジ制御信号Ctrl-Cに応じて、キャリッジ8をキャリッジガイド軸7に沿って移動させる。
【0014】
また、制御ユニット2は、液体吐出装置1の各要素を制御する制御信号として印刷データ信号pDATAを生成し、ヘッドユニット3に出力する。ヘッドユニット3は、吐出制御モジュール10と複数の液体吐出モジュール20とを有する。また、複数の液体吐出モジュール20は、それぞれが駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有する。すなわち、ヘッドユニット3は、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30との組を複数組有する。このようなヘッドユニット3は、キャリッジ8に搭載され、キャリッジ8のキャリッジガイド軸7に沿った移動に伴い移動する。
【0015】
制御ユニット2が出力する印刷データ信号pDATAは、吐出制御モジュール10に入力される。吐出制御モジュール10は、入力される印刷データ信号pDATAに基づいて複数の液体吐出モジュール20のそれぞれの動作を制御する制御信号を生成し、対応する液体吐出モジュール20に出力する。吐出制御モジュール10が出力する当該制御信号は、対応する駆動回路モジュール50に入力される。駆動回路モジュール50は、対応するプリントヘッド30と電気的に接続し、入力される制御信号により規定されるタイミングで、当該制御信号により規定される量のインクが吐出されるようにプリントヘッド30を駆動する。これにより、プリントヘッド30は、所定のタイミングで所定量のインクを吐出する。すなわち、ヘッドユニット3は、制御ユニット2が出力する印刷データ信号pDATAに応じて、プリントヘッド30から所定量のインクを所定のタイミングで吐出させる。
【0016】
液体容器9には、プリントヘッド30から吐出されるインクが貯留されている。この液体容器9に貯留されるインクが、不図示のチューブなどを介してプリントヘッド30に供給される。このような液体容器9としては、例えば、インクカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及びインクの補充が可能なインクタンク等を用いることができる。
【0017】
以上のように液体吐出装置1は、制御ユニット2が、媒体Pの搬送と、キャリッジ8の移動と、キャリッジ8に搭載されたプリントヘッド30からのインクの吐出タイミングと、を制御する。これにより、媒体Pの所望の位置にインクを着弾させることができ、その結果、媒体Pに所望の画像が形成される。
【0018】
1.2 ヘッドユニットの機能構成
次に、液体吐出装置1が備えるヘッドユニット3の機能構成の詳細について説明する。図2は、ヘッドユニット3の機能構成の一例を示す図である。図2に示すようにヘッドユニット3は、吐出制御モジュール10と複数の液体吐出モジュール20とを有する。ここで、ヘッドユニット3が有する複数の液体吐出モジュール20はいずれも同様の構成であるが、複数の液体吐出モジュール20を区別して説明する場合、液体吐出モジュール20-1~20-nと称する場合がある。すなわち、図2に示すヘッドユニット3は、n個の液体吐出モジュール20としての液体吐出モジュール20-1~20-nを有するとして説明を行う場合がある。
【0019】
また、図2にはヘッドユニット3の構成に加えて制御ユニット2に含まれる構成の一部であって、メイン制御回路16と電源電圧出力回路18とを図示している。制御ユニット2に含まれるメイン制御回路16は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と、半導体メモリ等の記憶回路とを含む。そして、メイン制御回路16は、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示のホストコンピューター等の外部機器から供給される画像データDATAに所定の信号処理を施し、印刷データ信号pDATAを生成し吐出制御モジュール10に出力する。
【0020】
電源電圧出力回路18は、フライバック回路等のAC/DCコンバーターと、降圧回路
又は昇圧回路等のDC/DCコンバーターとを含む。電源電圧出力回路18は、液体吐出装置1の外部から入力される商用電圧VACから電圧信号VDCとして、電圧値が42Vの直流電圧信号である電圧信号VHVと、電圧値が24Vの直流電圧信号である電圧信号VMVとを生成し、吐出制御モジュール10に出力する。なお、電圧信号VHVの電圧値、及び電圧信号VMVの電圧値は、42V及び24Vに限るものではない。また、電源電圧出力回路18は、電圧信号VHV,VMVに替えて、又は加えて、電圧値が異なる直流電圧信号を電圧信号VDCとして出力してもよい。
【0021】
吐出制御モジュール10は、電源電圧出力回路18が出力する電圧信号VHV,VMV、若しくは電圧信号VHV,VMVから生成された直流電圧信号を電源電圧として動作する。そして、吐出制御モジュール10は、制御ユニット2が出力する印刷データ信号pDATAに基づいて、n個の液体吐出モジュール20の動作を制御する制御信号を生成し、対応する液体吐出モジュール20に出力する。
【0022】
吐出制御モジュール10は、ヘッド制御回路12と冷却ファン駆動回路14とを含む。印刷データ信号pDATAは、吐出制御モジュール10に含まれるヘッド制御回路12に入力される。ヘッド制御回路12は、入力される印刷データ信号pDATAに基づいて、n個の液体吐出モジュール20に共通に入力されるクロック信号SCKと、n個の液体吐出モジュール20のそれぞれに対応する差動印刷データ信号Dp1~Dpnと、n個の液体吐出モジュール20のそれぞれに対応する差動駆動データ信号Dd1~Ddnと、を生成し出力する。
【0023】
具体的には、印刷データ信号pDATAは、画像データDATAに基づいて生成された差動信号であって、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1~Dpn、及び差動駆動データ信号Dd1~Ddnをシリアルに含む。ヘッド制御回路12は、入力される印刷データ信号pDATAをデシリアライズするとともに復元することで、n個の液体吐出モジュール20に共通に入力されるクロック信号SCKを生成するとともに、ヘッド制御回路12は、入力される印刷データ信号pDATAをデシリアライズすることでn個の液体吐出モジュール20のそれぞれに対応する差動印刷データ信号Dp1~Dpnと、差動駆動データ信号Dd1~Ddn信号と、を生成する。そして、ヘッド制御回路12は、生成したクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1~Dpn、及び差動駆動データ信号Dd1~Ddnを、対応する液体吐出モジュール20に出力する。
【0024】
ここで、以下の説明では、差動印刷データ信号Dp1と差動駆動データ信号Dd1とが液体吐出モジュール20-1に対応する信号であり、差動印刷データ信号Dpnと差動駆動データ信号Ddnとが液体吐出モジュール20-nに対応する信号であるとして説明を行う。すなわち、液体吐出モジュール20-1には、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1が入力され、液体吐出モジュール20-nには、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dpn、及び差動駆動データ信号Ddnが入力されるとして説明を行う。また、液体吐出モジュール20には、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddが入力されるとして説明を行う。
【0025】
また、ヘッド制御回路12は、冷却ファン駆動回路14の動作を制御するファン制御信号Fcを生成し、冷却ファン駆動回路14に出力する。冷却ファン駆動回路14には、ファン制御信号Fcに加えて電圧信号VMVが入力される。冷却ファン駆動回路14は、入力されるファン制御信号Fcに基づいて電圧信号VMVをファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力するか否かを切り替える。すなわち、冷却ファン駆動回路14は、電圧信号VMVをファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力するか否かを切り替えるn個のスイッチ回路を有し、入力されるファン制御信号Fcによって、n個のスイッチ回路のそれぞれの
導通状態を切り替える。すなわち、冷却ファン駆動回路14は、電圧信号VMVをファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力するか否かを切り替える。
【0026】
冷却ファン駆動回路14が出力するファン駆動信号Fp1~Fpnは、対応する液体吐出モジュール20に出力される。以下の説明では、ファン駆動信号Fp1が液体吐出モジュール20-1に対応し、ファン駆動信号Fpnが液体吐出モジュール20-nに対応するとして説明を行う。すなわち、液体吐出モジュール20-1には、ファン駆動信号Fp1が入力され、液体吐出モジュール20-nには、ファン駆動信号Fpnが入力される。また、液体吐出モジュール20には、ファン駆動信号Fpが入力されるとして説明を行う。
【0027】
なお、冷却ファン駆動回路14は、入力されるファン制御信号Fcに基づいて、電圧信号VMVを所定の電圧値に変換し、変換した信号をファン駆動信号Fp1~Fpnとして出力してもよい。
【0028】
また、吐出制御モジュール10は、電源電圧出力回路18から供給される電圧信号VHV,VMVを伝搬し、液体吐出モジュール20-1~20-nのそれぞれに供給する。
【0029】
液体吐出モジュール20-1には、吐出制御モジュール10が出力するクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1、差動駆動データ信号Dd1、ファン駆動信号Fp1、及び電圧信号VHV,VMVが入力される。そして、液体吐出モジュール20-1は、電圧信号VHV,VMV、若しくは電圧信号VHV,VMVから生成された直流電圧を電源電圧として動作し、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1で規定されるタイミングで、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1で規定される量のインクを媒体Pに吐出する。
【0030】
液体吐出モジュール20-1は、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有する。また、駆動回路モジュール50は、吐出制御回路51、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-m、コンデンサー53、異常検出回路54、異常報知回路55、温度検出回路56、電圧変換回路58、及び冷却ファン59を含む。
【0031】
吐出制御回路51には、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1が入力される。そして、吐出制御回路51は、入力される差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1を解析することで、プリントヘッド30の動作を制御する差動印刷データ信号Dptと、後述する駆動信号COMA1~COMAmの基となる基駆動信号dA1~dAmと、後述する駆動信号COMB1~COMBmの基となる基駆動信号dB1~dBmと、を生成し、出力する。このような吐出制御回路51は、入力される差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1を解析するための回路が構成されたFPGAを含んで構成される。
【0032】
すなわち、駆動回路モジュール50は、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1が入力され、入力される差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1に基づいて、プリントヘッド30の動作を制御する差動印刷データ信号Dptと、駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmの基となる基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmと、を出力する吐出制御回路51が実装されたFPGAを有する。
【0033】
具体的には、吐出制御回路51は、入力されるクロック信号SCKに基づいて、入力される差動印刷データ信号Dp1を解析する。そして、吐出制御回路51は、差動印刷データ信号Dp1の解析結果に応じた差動信号の差動印刷データ信号Dptを生成し、プリン
トヘッド30に出力する。このとき、吐出制御回路51は、差動印刷データ信号Dp1の解析結果に応じて、差動印刷データ信号Dp1を差動印刷データ信号Dptとして出力してもよく、差動印刷データ信号Dp1に所定の信号処理を施した信号を差動印刷データ信号Dptとして出力してもよい。さらに、吐出制御回路51は、差動印刷データ信号Dp1の解析結果に応じて不図示の記憶回路から読み出された所定の情報を含む信号を差動印刷データ信号Dptとして出力してもよい。
【0034】
また、吐出制御回路51は、入力されるクロック信号SCKに基づいて、入力される差動駆動データ信号Dd1をシングルエンドの信号に復元するとともに解析する。そして、吐出制御回路51は、当該解析結果に応じた基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmを生成し、対応する駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mに出力する。ここで、吐出制御回路51は、差動駆動データ信号Dd1を復元したシングルエンドの信号の解析結果に基づいて、不図示の記憶回路に保持されている情報を読み出し、読み出した情報を含む基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmを生成し、対応する駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mに出力してもよい。また、吐出制御回路51は、差動駆動データ信号Dd1を復元することでシングルエンドの信号を生成し、当該シングルエンドの信号をデシリアライズすることで、基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmを生成するとともに、対応する駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mに出力してもよい。
【0035】
ここで、吐出制御回路51が出力する基駆動信号dA1は駆動信号出力回路52a-1に対応し、吐出制御回路51が出力する基駆動信号dAmが駆動信号出力回路52a-mに対応するとして説明を行う。同様に、吐出制御回路51が出力する基駆動信号dB1が駆動信号出力回路52b-1に対応し、吐出制御回路51が出力する基駆動信号dBmが駆動信号出力回路52b-mに対応するとして説明を行う。すなわち、駆動信号出力回路52a-1には基駆動信号dA1が入力され、駆動信号出力回路52a-mには基駆動信号dAmが入力され、駆動信号出力回路52b-1には基駆動信号dB1が入力され、駆動信号出力回路52b-mには基駆動信号dBmが入力される。
【0036】
駆動信号出力回路52a-1は、入力される基駆動信号dA1をデジタル-アナログ変換するとともに、D級増幅することで駆動信号COMA1を生成し、プリントヘッド30に出力する。駆動信号出力回路52b-1は、入力される基駆動信号dB1をデジタル-アナログ変換するとともに、D級増幅することで駆動信号COMB1を生成し、プリントヘッド30に出力する。同様に、駆動信号出力回路52a-mは、入力される基駆動信号dAmをデジタル-アナログ変換するとともに、D級増幅することで駆動信号COMAmを生成し、プリントヘッド30に出力し、駆動信号出力回路52b-mは、入力される基駆動信号dBmをデジタル-アナログ変換するとともに、D級増幅することで駆動信号COMBmを生成し、プリントヘッド30に出力する。
【0037】
すなわち、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mのそれぞれは、入力される基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmをデジタル-アナログ変換するとともに、D級増幅することで駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmを生成し、プリントヘッド30に出力する。換言すれば、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、それぞれがD級増幅回路を含み、駆動信号出力回路52a-1~52a-mは、駆動信号COMA1~COMAmを出力し、駆動信号出力回路52b-1~52b-mは、駆動信号COMB1~COMBmを出力する。このとき、吐出制御回路51が出力する基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmのそれぞれは、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mのそれぞれが出力する駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmの基となる信号であって、駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmの信号波形を規
定する信号である。
【0038】
ここで、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmで規定される信号波形をD級増幅することで駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmを生成するとして説明を行ったが、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmで規定される信号波形をA級増幅、B級増幅、又はAB級増幅することで駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmを生成してもよい。しかしながら、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、消費電力が大きく、それ故に、大きな熱を発生される。このような駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mには、消費電力を低減し発熱量を抑えるとの観点から高効率に駆動信号COMA1~COMAm,COMB1~COMBmを生成することが求められる。
【0039】
係る観点に鑑みると、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、基駆動信号dA1~dAm,dB1~dBmで規定される信号波形を高効率で増幅できるD級増幅を含んで構成されることが好ましい。なお、D級増幅を含む駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mの構成の詳細については後述する。
【0040】
また、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、それぞれが基準電圧信号VBSを生成して出力する。このとき、駆動回路モジュール50は、駆動信号出力回路52a-1が出力する基準電圧信号VBSの電圧値をコンデンサー53によって安定させる。すなわち、駆動回路モジュール50は、基準電圧信号VBSの電圧値の変動を低減するためのコンデンサー53を有する。そして、基準電圧信号VBSは、コンデンサー53によって電圧値が安定した後、分岐し、プリントヘッド30に出力し、駆動信号出力回路52a-2~52a-m,52b-1~52b-mのそれぞれが出力する基準電圧信号VBSが伝搬する配線を開放状態とする。すなわち、駆動回路モジュール50は、駆動信号出力回路52a-1が出力する基準電圧信号VBSをプリントヘッド30に出力し、駆動信号出力回路52a-2~52a-m,52b-1~52b-mのそれぞれが出力する基準電圧信号VBSをプリントヘッド30に出力しない。
【0041】
基準電圧信号VBSは、プリントヘッド30が有する後述する圧電素子60の駆動の基準電位として機能する。このような基準電位として機能する基準電圧信号VBSに電圧値の変動が生じた場合、圧電素子60の駆動特性が変化する。これに対して、圧電素子60に供給される基準電圧信号VBSを、駆動信号出力回路52a-1が出力する基準電圧信号VBSのみとすることで、回路ばらつきなどに起因して駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mのそれぞれが出力する基準電圧信号VBSの電圧値のばらつきが生じた場合であっても、圧電素子60に供給される基準電圧信号VBSの電圧値に変動が生じるおそれが低減する。これにより、圧電素子60の駆動精度が向上する。
【0042】
なお、駆動回路モジュール50から出力される基準電圧信号VBSであって、プリントヘッド30に入力される基準電圧信号VBSは、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mのいずれか1つが出力する基準電圧信号VBSであればよく、駆動信号出力回路52a-1が出力する基準電圧信号VBSに限られるものではない。
【0043】
ここで、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-mは、入力される信号、及び出力する信号が異なるのみであり、いずれも同じ構成である。そのため、以下の説明において、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b
-mを区別する必要がない場合、単に駆動信号出力回路52と称する場合がある。この場合、駆動信号出力回路52には基駆動信号dOが入力され、駆動信号出力回路52は駆動信号COMを出力するとして説明を行う。
【0044】
温度検出回路56は、駆動回路モジュール50の環境温度を取得する。ここで、駆動回路モジュール50の環境温度とは、駆動回路モジュール50が有する部品そのものの温度ではなく、当該部品の温度上昇に伴い変化する駆動回路モジュール50の空間温度が含まれる。そして、温度検出回路56は、取得した環境温度に応じた温度情報を含む温度情報信号Ttを生成し、ヘッド制御回路12に出力する。
【0045】
ヘッド制御回路12は、入力される温度情報信号Ttに基づいて、駆動回路モジュール50の温度を推定する。そして、ヘッド制御回路12は、推定した駆動回路モジュール50の温度に応じて、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1~Dpn、及び差動駆動データ信号Dd1~Ddnを補正し、補正したクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1~Dpn、及び差動駆動データ信号Dd1~Ddnに出力する。すなわち、ヘッド制御回路12は、温度検出回路56が取得した環境温度に応じた温度情報信号Ttに基づいて、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-m、及びプリントヘッド30の動作を制御する。
【0046】
また、ヘッド制御回路12は、推定した駆動回路モジュール50の温度が所定の閾値以上である場合、駆動回路モジュール50に温度異常が生じた、若しくは温度異常が生じるおそれがあると判断する。この場合、ヘッド制御回路12は、駆動回路モジュール50の動作を停止させるためのクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1~Dpn、及び差動駆動データ信号Dd1~Ddnを生成し、駆動回路モジュール50に出力してもよい。すなわち、ヘッド制御回路12は、温度検出回路56が取得した環境温度に応じた温度情報信号Ttに基づいて、駆動信号出力回路52a-1~52a-m,52b-1~52b-m、及びプリントヘッド30の動作を停止させてもよい。
【0047】
さらに、ヘッド制御回路12は、推定した駆動回路モジュール50の温度に応じた情報であって、温度検出回路56が取得した温度の情報をディスプレイ等の不図示の報知部を介して使用者に報知してもよい。すなわち、ヘッド制御回路12は、温度検出回路56が取得した環境温度に応じた温度情報信号Ttに基づく情報を、使用者に報知してもよい。
【0048】
このような駆動回路モジュール50の内部の空間温度であって環境温度を検出する温度検出回路56としては、例えば、サーミスター素子やIC温度センサー素子を用いることができる。すなわち、温度検出回路56が出力する温度情報信号Ttには、駆動回路モジュール50の温度そのものを示す温度情報が含まれていてもよく、駆動回路モジュール50の温度に応じて変化する電圧値、又は電流値が温度情報として含まれていてもよい。
【0049】
また、駆動回路モジュール50には、吐出制御モジュール10を伝搬した電圧信号VHV,VMVが入力される。電圧信号VHVは、駆動回路モジュール50の内部を伝搬し、駆動回路モジュール50が有する各種構成に供給されるとともに、プリントヘッド30にも供給される。電圧信号VMVは、駆動回路モジュール50の内部を伝搬し、駆動回路モジュール50が有する各種構成に供給されるとともに、電圧変換回路58にも供給される。電圧変換回路58は、入力される電圧信号VMVを降圧することで、電圧信号VDDを生成し、出力する。電圧変換回路58が出力する電圧信号VDDは、駆動回路モジュール50が有する各種回路の電源電圧として用いられるとともに、プリントヘッド30にも供給される。このような電圧信号VDDは、例えば、5Vや3.3V等の直流電圧である。
【0050】
なお、電圧変換回路58が出力する電圧信号VDDは、1つに限るものではなく、電圧
変換回路58は、電圧値が異なる複数の電圧信号VDDを出力してもよい。また、電圧信号VMVは、電圧信号VHV,VDDと共にプリントヘッド30に供給されてもよい。
【0051】
異常検出回路54は、駆動回路モジュール50に生じた異常を検出し、検出結果に応じた異常情報信号Teと異常報知信号Deとを生成する。このような異常検出回路54は、検出対象が所定のしきい値以上であるか否かを比較する比較器であって、例えば、コンパレーターを含んで構成される。
【0052】
異常検出回路54が出力する異常情報信号Teは、ヘッド制御回路12に入力される。ヘッド制御回路12は、入力される異常情報信号Teが駆動回路モジュール50の異常を示す情報を含む場合、駆動回路モジュール50の動作を停止させるためのクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1~Dpn、及び差動駆動データ信号Dd1~Ddnを生成し、駆動回路モジュール50に出力する。これにより、駆動回路モジュール50の動作が停止する。
【0053】
また、異常検出回路54が出力する異常報知信号Deは、異常報知回路55に入力される。異常報知回路55は、例えば、発光ダイオードなどの発光素子を含む。そして、異常報知回路55は、入力される異常報知信号Deに基づいて当該発光素子が点灯、消灯、若しくは点滅することで、駆動回路モジュール50に異常が生じているか否かを使用者に報知する。
【0054】
ここで、異常検出回路54、及び異常報知回路55の動作の一例について説明する。
【0055】
例えば、異常検出回路54が、電圧信号VHVの電圧値が正常値よりも低下していることを検出した場合、異常検出回路54は、電圧信号VHVの電圧値が正常ではないと判断し、使用者に注意を促すための異常報知信号Deを生成し、異常報知回路55に出力する。異常報知回路55は、入力される異常報知信号Deに基づいて、電圧信号VHVの電圧値が低下している旨を報知するために発光素子を点滅させる。
【0056】
その後、電圧信号VHVの電圧値がさらに低下し、異常検出回路54が、電圧信号VHVの電圧値が所定のしきい値よりも低下したことを検出した場合、異常検出回路54は、電圧信号VHVの電圧値が異常であると判断し、使用者に異常を報知するための異常報知信号Deを生成し、異常報知回路55に出力する。異常報知回路55は、入力される異常報知信号Deに基づいて、電圧信号VHVの電圧値に異常が生じている旨を報知するために発光素子を点灯させる。このとき、異常検出回路54は、駆動回路モジュール50の異常であって、電圧信号VHVの電圧値が異常であることを示す異常情報を含んだ異常情報信号Teを生成し、ヘッド制御回路12に出力する。
【0057】
また、例えば、異常検出回路54が、吐出制御回路51を構成するFPGAの電源電圧等に用いられる電圧信号VDDの電圧値が正常値よりも低下していることを検出した場合、異常検出回路54は、電圧信号VDDの電圧値が正常ではないと判断し、使用者に注意を促すための異常報知信号Deを生成し、異常報知回路55に出力する。異常報知回路55は、入力される異常報知信号Deに基づいて、電圧信号VDDの電圧値が低下している旨を報知するために発光素子を点滅させる。
【0058】
その後、電圧信号VDDの電圧値がさらに低下し、異常検出回路54が、電圧信号VDDの電圧値が所定のしきい値よりも低下したことを検出した場合、異常検出回路54は、電圧信号VDDの電圧値が異常であると判断し、使用者に異常を報知するための異常報知信号Deを生成し、異常報知回路55に出力する。異常報知回路55は、入力される異常報知信号Deに基づいて、電圧信号VDDの電圧値に異常が生じている旨を報知するため
に発光素子を点灯させる。このとき、異常検出回路54は、駆動回路モジュール50の異常であって、電圧信号VDDの電圧値が異常であることを示す異常情報を含んだ異常情報信号Teを生成し、ヘッド制御回路12に出力する。
【0059】
ここで、異常報知回路55が有する発光素子の数は1個に限るものではなく、例えば、電圧信号VHVの異常の有無を報知するための発光素子と、電圧信号VDDの異常の有無を報知するための発光素子と、を個別に有してもよい。さらに、異常報知回路55が複数の発光素子を有する場合、当該複数の発光素子の点灯、消灯、及び点滅の組み合わせによって、駆動回路モジュール50の異常の有無を使用者に報知してもよい。また、上述した説明では、異常検出回路54は、駆動回路モジュール50の異常の有無の検出として、電圧信号VHVの電圧値の異常の有無、及び電圧信号VDDの電圧値の異常の有無の検出を例示して説明したが、異常検出回路54は、電圧信号VHV、及び電圧信号VDDの電圧値の異常の有無の検出に替えて、若しくは加えて、温度検出回路56が出力する温度情報信号Ttに基づく駆動回路モジュール50の発熱異常の有無を検出してもよく、電圧信号VMVの電圧異常の有無を検出してもよい。
【0060】
冷却ファン59には、冷却ファン駆動回路14が出力するファン駆動信号Fp1が入力される。そして、冷却ファン59は、入力されるファン駆動信号Fp1によって駆動し、駆動回路モジュール50に気流を生じさせる。この冷却ファン59が生じさせた気流によって、駆動回路モジュール50が冷却される。ここで、ヘッド制御回路12は、温度検出回路56が出力する温度情報信号Ttに基づいて、ファン制御信号Fcを出力してもよい。これにより、冷却ファン59の駆動状態は、温度検出回路56による温度の検出結果であって、冷却対象である駆動回路モジュール50の温度状況に応じて制御される。その結果、冷却ファン59の過剰な駆動により消費電力が増加するおそれが低減することで液体吐出装置1の消費電力が低減するとともに、駆動回路モジュール50に温度異常が生じるおそれも低減される。
【0061】
プリントヘッド30は、復元回路31と吐出モジュール32-1~32-mと、を有する。復元回路31は、電圧信号VHV,VDD、若しくは電圧信号VHV,VDDから生成された直流電圧を電源電圧として動作する。復元回路31は、吐出制御回路51が出力する差動信号の差動印刷データ信号Dptをシングルエンドの信号に復元する。具体的には、復元回路31には、クロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptが入力される。そして、復元回路31は、クロック信号SCKに基づいて入力される差動印刷データ信号Dptをシングルエンドの信号に復元するとともに、復元した信号をデシリアライズすることで、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI1~SImを生成する。そして、復元回路31は、クロック信号SCKと、生成したラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI1~SImと、を対応する吐出モジュール32-1~32-mに出力する。
【0062】
吐出モジュール32-1は、駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを含む。
【0063】
駆動信号選択回路200には、復元回路31が出力するラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、クロック信号SCK、及び駆動信号COMA1,COMB1が入力される。駆動信号選択回路200は、電圧信号VHV,VDD、若しくは電圧信号VHV,VDDから生成された直流電圧を電源電圧として動作することで、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定される期間のそれぞれにおいて、印刷データ信号SI1に基づいて、駆動信号COMA1に含まれる信号波形を選択、又は非選択とし、駆動信号COMB1に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し出力する。すなわち、吐出モジュール32-1がp個の吐出部600を有する場合、駆動信号選択回路200は、p個の吐出
部600のそれぞれに対応するp個の駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に出力する。
【0064】
複数の吐出部600は、それぞれが圧電素子60を含む。圧電素子60の一端には、駆動信号選択回路200が出力する対応する駆動信号VOUTが供給される。また、複数の吐出部600のそれぞれに含まれる複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に供給される。そして、複数の吐出部600のそれぞれに含まれる複数の圧電素子60は、駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差により変位する。この圧電素子60の変位に応じた量のインクが対応する吐出部600から吐出される。そして、吐出部600から吐出されたインクが媒体Pに着弾することで、媒体Pに画像が形成される。なお、駆動信号VOUTを出力する駆動信号選択回路200の動作の詳細については後述する。
【0065】
ここで、プリントヘッド30が有する吐出モジュール32-2~32-mは、入力される信号が異なるのみであって、吐出モジュール32-1と同様の構成を有し、且つ同様の動作を実行する。そのため、吐出モジュール32-2~32-mの詳細な説明は省略する。すなわち、吐出モジュール32-2~32-mは、それぞれが駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを含む。そして、吐出モジュール32-2~32-mのそれぞれが有する駆動信号選択回路200が、入力されるラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定される期間のそれぞれにおいて、対応する印刷データ信号SI2~SImに基づいて、対応する駆動信号COMA2~COMAmに含まれる信号波形を選択又は非選択とし、対応する駆動信号COMB2~COMBmに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを出力する。その結果、吐出モジュール32-2~32-mのそれぞれが有する複数の吐出部600のそれぞれから、入力される駆動信号VOUTと基準電圧信号VBSとの電位差に応じた量のインクが吐出される。
【0066】
換言すれば、プリントヘッド30は、吐出モジュール32-1~32-mを有する。そして、吐出モジュール32-1は、駆動信号COMA1,COMB1に基づく駆動信号VOUTを受けて変位する圧電素子60を含み、圧電素子60の変位によりインクを吐出する吐出部600と、圧電素子60に駆動信号COMA1,COMB1を供給するか否かを切り替える駆動信号選択回路200とを含み、吐出モジュール32-mは、駆動信号COMAm,COMBmに基づく駆動信号VOUTを受けて変位する圧電素子60を含み、圧電素子60の変位によりインクを吐出する吐出部600と、圧電素子60に駆動信号COMAm,COMBmを供給するか否かを切り替える駆動信号選択回路200と、を含む。
【0067】
ここで、以下の説明において、吐出モジュール32-1~32-mを区別する必要がない場合、単に吐出モジュール32と称する場合がある。また、吐出モジュール32には、印刷データ信号SI1~SImとしての印刷データ信号SIと、駆動信号COMA1~COMAmとしての駆動信号COMAと、駆動信号COMB1~COMBmとしての駆動信号COMBと、が入力されるとして説明を行う場合がある。すなわち、吐出モジュール32が有する駆動信号選択回路200は、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHで規定される期間のそれぞれにおいて、印刷データ信号SIに基づいて、駆動信号COMAに含まれる信号波形を選択又は非選択とし、駆動信号COMBに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、複数の吐出部600のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0068】
以上のように液体吐出モジュール20-1は、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有し、吐出制御モジュール10が出力するクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp1、差動駆動データ信号Dd1、ファン駆動信号Fp1、及び電圧信号VHV
,VMVに基づいて動作することで、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1で規定されるタイミングで、差動印刷データ信号Dp1、及び差動駆動データ信号Dd1で規定される量のインクを媒体Pに吐出する。
【0069】
ここで、液体吐出モジュール20-2~20-nは、入力される信号が異なるのみであって、液体吐出モジュール20-1と同様の構成を有し、且つ同様の動作を実行する。そのため、液体吐出モジュール20-2~20-nの詳細な説明は省略する。すなわち、液体吐出モジュール20-2~20-nのそれぞれは、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有し、吐出制御モジュール10が出力するクロック信号SCK、対応する差動印刷データ信号Dp2~Dpn、対応する差動駆動データ信号Dd2~Ddn、対応するファン駆動信号Fp2~Fpn、及び電圧信号VHV,VMVに基づいて動作することで、対応する差動印刷データ信号Dp2~Dpn、及び対応する差動駆動データ信号Dd2~Ddnで規定されるタイミングで、対応する差動印刷データ信号Dp2~Dpn、及び対応する差動駆動データ信号Dd2~Ddnで規定される量のインクを媒体Pに吐出する。
【0070】
以上のように液体吐出装置1は、インクを吐出するプリントヘッド30と、プリントヘッド30と電気的に接続された駆動回路モジュール50と、プリントヘッド30及び駆動回路モジュール50の動作を制御する制御ユニット2及びヘッド制御回路12と、を備える。そして、液体吐出装置1が備え、吐出制御モジュール10と、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50と、を有するヘッドユニット3が、制御ユニット2から入力される電圧信号VHV,VMVを電源電圧として駆動し、印刷データ信号pDATAに基づくタイミングでインクを吐出することで、印刷データ信号pDATAに対応する画像であって、画像データDATAに応じた画像を媒体Pに形成する。
【0071】
1.3 駆動信号出力回路の機能構成
次に、駆動信号COMを出力する駆動信号出力回路52の構成及び動作について説明する。図3は、駆動信号出力回路52の構成を示す図である。駆動信号出力回路52は、集積回路500、増幅回路550、復調回路560、帰還回路570,572、及びその他の電子部品を有する。
【0072】
集積回路500は、端子In、端子Bst、端子Hdr、端子Sw、端子Gvd、端子Ldr、端子Gnd、端子Vbs、端子Vfb、及び端子Ifbを含む複数の端子を有する。集積回路500は、当該複数の端子を介して外部に設けられた不図示の基板と電気的に接続される。また、集積回路500は、DAC(Digital to Analog Converter)511、変調回路510、ゲートドライブ回路520、及び、基準電源回路590を含む。
【0073】
基準電源回路590は、電圧信号DAC_HVと電圧信号DAC_LVとを生成し、DAC511に供給する。また、DAC511には、駆動信号COMの信号波形を規定するデジタルの基駆動信号dOが入力される。DAC511は、入力される基駆動信号dOを、電圧信号DAC_HVの電圧値と電圧信号DAC_LVの電圧値との間の電圧値のアナログ信号である基駆動信号aOに変換し、変調回路510に出力する。すなわち、基駆動信号aOの電圧振幅は、最大値が電圧信号DAC_HVで規定され、最小値が電圧信号DAC_LVで規定される。そして、DAC511が出力する基駆動信号aOが増幅された信号が駆動信号COMに相当する。すなわち、基駆動信号aOは、駆動信号COMの増幅前の目標となる信号に相当し、基駆動信号dO,aOは、駆動信号COMの信号波形を規定する信号である。
【0074】
変調回路510は、基駆動信号aOを変調した変調信号Msを生成し、ゲートドライブ回路520に出力する。変調回路510は、加算器512,513、コンパレーター51
4、インバーター515、積分減衰器516、及び、減衰器517を含む。
【0075】
積分減衰器516は、端子Vfbを介して入力される駆動信号COMを減衰するとともに積分し、加算器512の-側の入力端に出力する。加算器512の+側の入力端には、基駆動信号aOが入力される。そして、加算器512は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を差し引き積分した電圧を、加算器513の+側の入力端に出力する。
【0076】
減衰器517は、端子Ifbを介して入力された駆動信号COMの高周波成分を減衰した電圧を、加算器513の-側の入力端に出力する。加算器513の+側の入力端には、加算器512から出力された電圧が入力される。そして、加算器513は、+側の入力端に入力された電圧から-側の入力端に入力された電圧を減算した電圧信号Osを生成し、コンパレーター514に出力する。
【0077】
コンパレーター514は、加算器513から入力される電圧信号Osをパルス変調した変調信号Msを出力する。具体的には、コンパレーター514は、加算器513から入力される電圧信号Osの電圧値が、上昇している場合に所定の閾値Vth1以上となることでHレベルとなり、電圧信号Osの電圧値が、下降している場合に所定の閾値Vth2を下回ることでLレベルとなる変調信号Msを生成し出力する。ここで閾値Vth1,Vth2は、閾値Vth1=>閾値Vth2という関係に設定されている。
【0078】
コンパレーター514が出力する変調信号Msは、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー521に入力されるとともに、インバーター515を介して、ゲートドライブ回路520に含まれるゲートドライバー522にも入力される。すなわち、ゲートドライバー521とゲートドライバー522とには、論理レベルが排他的な関係の信号が入力される。ここで、論理レベルが排他的な関係には、ゲートドライバー521及びゲートドライバー522に入力される信号の論理レベルが、同時にHレベルにならないことが含まれる。したがって、変調回路510は、インバーター515に替えて若しくは加えて、ゲートドライバー521に入力される変調信号Msとゲートドライバー522に入力される変調信号Msの論理レベルを反転した信号とのタイミングを制御するためのタイミング制御回路を含んでもよい。
【0079】
ゲートドライブ回路520は、ゲートドライバー521とゲートドライバー522とを含む。ゲートドライバー521は、コンパレーター514から出力される変調信号Msをレベルシフトすることで増幅制御信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。
【0080】
具体的には、ゲートドライバー521の電源電圧の内、高位側には端子Bstを介して電圧が供給され、低位側には端子Swを介して電圧が供給される。端子Bstは、コンデンサーC5の一端、及び逆流防止用のダイオードD1のカソードに接続されている。端子Swは、コンデンサーC5の他端に接続されている。また、ダイオードD1のアノードは、端子Gvdと接続されている。そして、端子Gvdには、不図示の電源回路が出力する例えば7.5Vの直流電圧である電圧信号Vmが供給されている。すなわち、ダイオードD1のアノードには、電圧信号Vmが供給される。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、電圧信号Vmの電圧値におよそ等しくなる。その結果、ゲートドライバー521は、入力される変調信号Msに従って、端子Swに対して電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の増幅制御信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。
【0081】
ゲートドライバー522は、ゲートドライバー521よりも低電位側で動作する。ゲートドライバー522は、コンパレーター514から出力された変調信号Msの論理レベルがインバーター515によって反転された信号をレベルシフトすることで増幅制御信号L
gdを生成し、端子Ldrから出力する。
【0082】
具体的には、ゲートドライバー522の電源電圧の内、高位側には電圧信号Vmが供給され、低位側には端子Gndを介してグラウンド電位GNDが供給される。そして、ゲートドライバー522は、入力される変調信号Msの論理レベルを反転した信号に従って、端子Gndに対して電圧信号Vmの電圧値だけ大きな電圧値の増幅制御信号Lgdを端子Ldrから出力する。ここで、グラウンド電位GNDとは、駆動信号出力回路52の基準電位であって、例えば、0Vである。
【0083】
増幅回路550は、トランジスターM1とトランジスターM2とを含む。
【0084】
トランジスターM1は、表面実装型のFET(Field Effect Transistor)であって、トランジスターM1のドレインには、増幅回路550の増幅用電源電圧として、電圧信号VHVが供給される。また、トランジスターM1のゲートは、抵抗R1の一端と電気的に接続され、抵抗R1の他端は、集積回路500の端子Hdrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM1のゲートには、増幅制御信号Hgdが入力される。また、トランジスターM1のソースは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。
【0085】
トランジスターM2は、表面実装型のFETであって、トランジスターM2のドレインは、集積回路500の端子Swと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のドレインとトランジスターM1のソースとは、互いに電気的に接続されている。トランジスターM2のゲートは、抵抗R2の一端と電気的に接続され、抵抗R2の他端は、集積回路500の端子Ldrと電気的に接続されている。すなわち、トランジスターM2のゲートには、増幅制御信号Lgdが入力される。また、トランジスターM2のソースには、グラウンド電位GNDが供給される。
【0086】
そして、トランジスターM1のドレインとソースとの間が非導通に制御され、トランジスターM2のドレインとソースとの間が導通に制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電位は、グラウンド電位GNDとなる。したがって、端子Bstには電圧信号Vmが供給される。一方、トランジスターM1のドレインとソースとの間が導通に制御され、トランジスターM2のドレインとソースとの間が非導通に制御されている場合、端子Swが接続されるノードの電位は、電圧信号VHVの電圧値となる。したがって、端子Bstには電圧信号VHVの電圧値と電圧信号Vmの電圧値との和の電位の電圧が供給される。すなわち、トランジスターM1を駆動させるゲートドライバー521は、コンデンサーC5をフローティング電源として、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に応じて、端子Swの電位がグラウンド電位GND又は電圧信号VHVの電圧値に変化することで、Lレベルが電圧信号VHVの電圧値であって、且つ、Hレベルが電圧信号VHVの電圧値と電圧信号Vmの電圧値との和の電圧値の増幅制御信号Hgdを生成し、トランジスターM1のゲートに出力する。
【0087】
一方、トランジスターM2を駆動させるゲートドライバー522は、トランジスターM1及びトランジスターM2の動作に関係なく、Lレベルがグラウンド電位GNDであって、且つ、Hレベルが電圧信号Vmの電圧値の増幅制御信号Lgdを生成し、トランジスターM2のゲートに出力する。
【0088】
以上のように構成された増幅回路550は、トランジスターM1のソースとトランジスターM2のドレインとの接続点に、変調信号Msを電圧信号VHVに基づいて増幅した増幅変調信号AMsを生成する。そして、増幅回路550は、生成した増幅変調信号AMsを復調回路560に出力する。
【0089】
ここで、増幅回路550に入力される電圧信号VHVが伝搬する伝搬経路には、コンデンサーC7が設けられている。具体的には、コンデンサーC7の一端は、電圧信号VHVが伝搬する伝搬経路であって、トランジスターM1のドレインと電気的に接続し、コンデンサーC7の他端には、グラウンド電位GNDが供給されている。これにより、増幅回路550に入力される電圧信号VHVの電圧値が変動するおそれが低減するとともに、電圧信号VHVにノイズが重畳するおそれが低減し、その結果、増幅回路550が出力する増幅変調信号AMsの波形精度が向上する。そのため、高耐圧で大容量の電解コンデンサーが用いられる。なお、コンデンサーC7は、1個の駆動信号出力回路52に対応するように設けられていてもよく、複数の駆動信号出力回路52に対応するように設けられていてもよい。
【0090】
復調回路560は、増幅回路550が出力する増幅変調信号AMsを復調することで、駆動信号COMを生成し、駆動信号出力回路52から出力する。復調回路560は、インダクターL1とコンデンサーC1とを含む。インダクターL1の一端は、コンデンサーC1の一端と接続されている。インダクターL1の他端には、増幅変調信号AMsが入力される。また、コンデンサーC1の他端には、グラウンド電位GNDが供給されている。すなわち、復調回路560においてインダクターL1とコンデンサーC1とは、ローパスフィルター(Low Pass Filter)を構成する。そして、復調回路560は、当該ローパスフィルターによって増幅変調信号AMsを平滑することで復調し、復調した信号を駆動信号COMとして出力する。すなわち、駆動信号出力回路52は、復調回路560に含まれるインダクターL1の一端、及びコンデンサーC1の一端から駆動信号COMを出力する。
【0091】
帰還回路570は、抵抗R3と抵抗R4とを含む。抵抗R3の一端には、駆動信号COMが供給され、他端は、端子Vfb及び抵抗R4の一端と接続されている。抵抗R4の他端には、電圧信号VHVが供給される。これにより、端子Vfbには、帰還回路570を通過した駆動信号COMが、電圧信号VHVの電圧値でプルアップされた状態で帰還する。
【0092】
帰還回路572は、コンデンサーC2,C3,C4と抵抗R5,R6とを含む。コンデンサーC2の一端には駆動信号COMが入力され、他端は抵抗R5の一端及び抵抗R6の一端と接続されている。抵抗R5の他端にはグラウンド電位GNDが供給される。これにより、コンデンサーC2と抵抗R5とは、ハイパスフィルター(High Pass Filter)として機能する。また、抵抗R6の他端は、コンデンサーC4の一端及びコンデンサーC3の一端と接続されている。コンデンサーC3の他端には、グラウンド電位GNDが供給される。これにより、抵抗R6とコンデンサーC3とは、ローパスフィルターとして機能する。すなわち、帰還回路572は、ハイパスフィルターとローパスフィルターと含み、駆動信号COMに含まれる所定の周波数域の信号を通過させるバンドパスフィルター(Band Pass Filter)として機能する。
【0093】
そして、コンデンサーC4の他端は集積回路500の端子Ifbと接続されている。これにより、端子Ifbには、バンドパスフィルターとして機能する帰還回路572を通過した駆動信号COMの高周波成分のうち、直流成分がカットされた信号が帰還する。
【0094】
駆動信号COMは、基駆動信号dOに基づく増幅変調信号AMsを復調回路560によって平滑された信号である。また、駆動信号COMは、端子Vfbを介して積分・減算された上で、加算器512に帰還される。これにより、駆動信号出力回路52は、帰還の遅延と帰還の伝達関数とで定まる周波数で自励発振する。ただし、端子Vfbを介した帰還経路は遅延量が大きく、それ故に、当該端子Vfbを介した帰還のみでは、駆動信号COMの精度を十分に確保できるほどに、自励発振の周波数を高くすることができない場合がある。そこで、端子Vfbを介した経路とは別に、端子Ifbを介して駆動信号COMの
高周波成分を帰還する経路を設けることで、回路全体でみた場合における遅延を小さくしている。これにより、電圧信号Osの周波数は、端子Ifbを介した経路が存在しない場合と比較して、駆動信号COMの精度を十分に確保できるほどに高くすることができる。
【0095】
また、集積回路500は、基準電圧信号出力回路530を含む。基準電圧信号出力回路530は、基準電圧信号VBSを出力する。このような基準電圧信号出力回路530は、集積回路500に生じるバンドギャップ・リファレンス電圧を基準電位として、例えば、当該基準電位に基づいて、電圧信号Vmを降圧又は昇圧することで生成される。そして、基準電圧信号出力回路530は、生成した基準電圧信号VBSを、端子Vbsを介して駆動信号出力回路52から出力する。
【0096】
以上のように駆動信号出力回路52は、入力される基駆動信号dOをデジタル/アナログ変換した後、当該アナログ信号をD級増幅することで駆動信号COMを生成し、生成した駆動信号COMを出力するとともに、基準電圧信号VBSを生成し、出力する。なお、基準電圧信号VBSを生成する基準電圧信号出力回路530は、駆動信号出力回路52とは異なる構成であってもよいが、駆動信号出力回路52と同一の構成であって、1つの集積回路500に内蔵することで、駆動信号出力回路52及び駆動信号出力回路52を含む駆動回路モジュール50の回路規模を小さくすることができる。
【0097】
すなわち本実施形態の液体吐出装置1が有する駆動信号出力回路52であって、駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4のそれぞれは、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含む。そして、駆動信号出力回路52a-m,52b-mは、プリントヘッド30が有する吐出モジュール32-mからインクを吐出させるために圧電素子60を変位させる駆動信号COMAm,COMBmをプリントヘッド30に出力する。
【0098】
また、吐出モジュール32-1~32-mのそれぞれが有する圧電素子60の他端に供給される基準電圧信号VBSは、駆動信号出力回路52a-1が有する集積回路500から出力される。すなわち、駆動信号出力回路52a-1は、基準電圧信号VBSをプリントヘッド30に出力する基準電圧信号出力回路530を有し、基準電圧信号出力回路530の少なくとも一部は、駆動信号出力回路52a-1が有する集積回路500に含まれている。
【0099】
1.4 駆動信号選択回路の機能構成
次に、駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例、及び駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTの信号波形の一例について説明する。
【0100】
図4は、駆動信号COMA,COMBの信号波形の一例を示す図である。図4に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間t1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間t2に配置された台形波形Adp2と、を連続させた信号波形である。また、台形波形Adp1は、吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合に吐出部600から所定量のインクを吐出させる信号波形であり、台形波形Adp2は、吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合に吐出部600から所定量よりも多い量のインクを吐出させる信号波形である。ここで、以下の説明において、台形波形Adp1が吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合に吐出部600から吐出されるインクの量を小程度の量と称し、台形波形Adp2が吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合に吐出部600から吐出されるイ
ンクの量を中程度の量と称する場合がある。
【0101】
また、図4に示すように、駆動信号COMBは、期間t1に配置された台形波形Bdp1と、期間t2に配置された台形波形Bdp2と、を連続させた信号波形である。また、台形波形Bdp1は、吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合に吐出部600からインクを吐出させない信号波形であり、台形波形Bdp2は、吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合に吐出部600から小程度の量のインクを吐出させる信号波形である。ここで、台形波形Bdp1は、吐出部600に含まれるノズル開孔部付近のインクをインクが吐出されない程度に振動させることで、インク粘度の増大を防止するための信号波形である。以下の説明において、台形波形Bdp1が吐出部600が有する圧電素子60に供給された場合に、ノズル開孔部付近のインクを振動させる動作を微振動と称する場合がある。
【0102】
ここで、図4に示すように台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する。そして、期間t1と期間t2とからなる周期tpが、媒体Pに新たなドットを形成する印刷周期に相当する。
【0103】
なお、図4では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ信号波形である場合を図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とは、異なる信号波形であってもよい。また、台形波形Adp1が吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合と、台形波形Bdp2が吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合とでは、共に吐出部600から小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、これに限るものではない。すなわち、駆動信号COMA,COMBの信号波形は、図4に示す信号波形に限られるものではなく、吐出部600から吐出されるインクの性質や、吐出されたインクが着弾する媒体Pの材質等に応じて様々な信号波形の組み合わせが用いられてもよい。
【0104】
また、図4では、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1と台形波形Adp2とが切り替えられるタイミング、及び駆動信号COMBに含まれる台形波形Bdp1と台形波形Bdp2とが切り替えられるタイミングは、1つのチェンジ信号CHにより規定される場合を例示しているが、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1と台形波形Adp2とが切り替えられるタイミングを規定するチェンジ信号CHと、駆動信号COMBに含まれる台形波形Bdp1と台形波形Bdp2とが切り替えられるタイミングを規定するチェンジ信号CHとが、異なる信号であってもよい。
【0105】
図5は、媒体Pに形成されるドットの大きさが大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのそれぞれの場合の駆動信号VOUTの信号波形の一例を示す図である。
【0106】
図5に示すように、媒体Pに大ドットLDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期tpの内の期間t1に配置された台形波形Adp1と、周期tpの内の期間t2に配置された台形波形Adp2と、が連続した信号波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から、小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。そして、それぞれのインクが媒体Pに着弾し合体することで、周期tpにおいて媒体Pには大ドットLDが形成される。
【0107】
媒体Pに中ドットMDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期tpの内の期間t1に配置された台形波形Adp1と、周期tpの内の期間t2に配置された台形波形Bd
p2と、が連続した信号波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から、小程度の量のインクが2回吐出される。そして、それぞれのインクが媒体Pに着弾し合体することで、周期tpにおいて媒体Pには中ドットMDが形成される。
【0108】
媒体Pに小ドットSDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期tpの内の期間t1に配置された台形波形Adp1と、周期tpの内の期間t2に配置された電圧Vcで一定の信号波形と、が連続した信号波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600から、小程度の量のインクが1回吐出される。そして、このインクが媒体Pに着弾することで、周期tpにおいて、媒体Pには小ドットSDが形成される。
【0109】
媒体Pにドットを形成しない非記録NDに対応する駆動信号VOUTは、周期tpの内の期間t1に配置された台形波形Bdp1と、周期tpの内の期間t2に配置された電圧Vcで一定の信号波形と、が連続した信号波形となっている。この駆動信号VOUTが吐出部600に含まれる圧電素子60に供給された場合、対応する吐出部600のノズル開孔部付近のインクが微振動するのみであって、吐出部600からインクは吐出されない。したがって、周期tpにおいて、媒体Pにドットは形成されない。
【0110】
ここで、駆動信号VOUTにおける電圧Vcで一定の信号波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合において、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2の直前の電圧Vcが、吐出部600に含まれる圧電素子60の容量成分によって保持された電圧値に相当する。すなわち、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合、吐出部600に含まれる圧電素子60には、直前に供給されていた電圧Vcが駆動信号VOUTとして供給される。
【0111】
ここで、駆動信号選択回路200は、駆動信号COMAに含まれる台形波形Adp1,Adp2と、駆動信号COMBに含まれる台形波形Bdp1,Bdp2とを選択又は非選択とすることで、図5に示すように、複数の吐出部600のそれぞれに個別に対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する吐出部600に含まれる圧電素子60に出力する。
【0112】
図6は、駆動信号選択回路200の機能構成を示す図である。図6に示すように駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と複数の選択回路230とを含む。また、図6には、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTが供給される複数の吐出部600を併せて図示している。なお、以下の説明では、駆動信号選択回路200と複数の吐出部600とを含む吐出モジュール32は、複数の吐出部600として、p個の吐出部600を有するとして説明を行う。
【0113】
選択制御回路210には、印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。選択制御回路210には、レジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、p個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、選択制御回路210は、少なくともp個の吐出部600と同数のレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組を含む。
【0114】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、p個の吐出部600の各々に対して、大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をシリアルに含む、合計2pビットの信号である。印刷データ信号SIは、p個の吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]毎に、レジスター212に保
持される。
【0115】
具体的には、選択制御回路210において、レジスター212は、互いに縦続接続されることによりp段のシフトレジスターを構成する。そして印刷データ信号SIとしてシリアルに入力される印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに従って順次後段のレジスター212に転送される。そして、クロック信号SCKの供給が停止することで、p個の吐出部600のそれぞれに対応した印刷データ[SIH,SIL]が、p個の吐出部600のそれぞれに対応したレジスター212に保持される。なお、以下の説明において、シフトレジスターを構成するp個のレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが伝搬される上流側から下流側に向かい1段、2段、…、p段と称する場合がある。
【0116】
p個のラッチ回路214の各々は、p個のレジスター212に対応して設けられている。ラッチ回路214の各々は、p個のレジスター212の各々で保持されている印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりで一斉にラッチし、対応するデコーダー216に出力する。
【0117】
図7は、デコーダー216におけるデコード内容の一例を示す図である。デコーダー216は、ラッチ回路214がラッチした印刷データ[SIH,SIL]を、図7に示す内容でデコードすることで選択信号S1,S2を生成し出力する。例えば、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間t1,t2においてH,Lレベルとして選択回路230に出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間t1,t2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
【0118】
選択回路230は、p個の吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、少なくともp個の吐出部600と同数のp個の選択回路230を有する。図8は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。図8に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを含む。
【0119】
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234aの出力端とトランスファーゲート234bの出力端とが共通に接続される。このトランスファーゲート234aの出力端とトランスファーゲート234bの出力端とが共通に接続された接続端の信号が駆動信号VOUTとして出力される。
【0120】
具体的には、選択信号S1がHレベルの場合、トランスファーゲート234aの入力端と出力端との間が導通となり、選択信号S1がLレベルの場合、トランスファーゲート234aの入力端と出力端との間が非導通となる。また、選択信号S2がHレベルの場合、トランスファーゲート234bの入力端と出力端との間が導通となり、選択信号S2がLレベルの場合、トランスファーゲート234bの入力端と出力端との間が非導通となる。すなわち、選択回路230は、選択信号S1,S2に基づいてトランスファーゲート234a,234bの入力端と出力端との間の導通状態を切り替えることで、トランスファー
ゲート234a,234bの入力端に供給される駆動信号COMA,COMBの信号波形を選択又は非選択とし、トランスファーゲート234aの出力端とトランスファーゲート234bの出力端とが共通に接続された接続端に、駆動信号VOUTを出力する。
【0121】
図9を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。図9は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力される。そして、印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに同期してp個の吐出部600に対応してシフトレジスターを構成するレジスター212で順次転送される。その後、クロック信号SCKの供給が停止することで、レジスター212のそれぞれには、p個の吐出部600のそれぞれに対応して印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、シフトレジスターを構成するレジスター212のp段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
【0122】
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、レジスター212に保持されている印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、図9において、LS1、LS2、…、LSpは、1段、2段、…、p段のレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
【0123】
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間t1,t2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを図7に示す内容で出力する。
【0124】
具体的には、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1の論理レベルを期間t1,t2においてH,Hレベルとし、選択信号S2の論理レベルを期間t1,t2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間t1において台形波形Adp1を選択し、期間t2において台形波形Adp2を選択する。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す大ドットLDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0125】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを期間t1,t2においてH,Lレベルとし、選択信号S2の論理レベルを期間t1,t2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間t1において台形波形Adp1を選択し、期間t2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す中ドットMDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0126】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1の論理レベルを期間t1,t2においてH,Lレベルとし、選択信号S2の論理レベルを期間t1,t2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間t1において台形波形Adp1を選択し、期間t2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す小ドットSDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0127】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを期間t1,t2においてL,Lレベルとし、選択信号S2の論理レベルを期間t1,t2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間t1において台形波形Bdp1を選択し、期間t2において台形波形Adp
2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、選択回路230の出力端には、図5に示す非記録NDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0128】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、駆動信号COMA、及び駆動信号COMBの信号波形を選択することで駆動信号VOUTを生成し出力する。
【0129】
2.ヘッドユニットの構造
2.1 ヘッドユニットの構造
次に、液体吐出装置1が有するヘッドユニット3の構造について説明する。図10は、ヘッドユニット3を搭載したキャリッジ8の構造を示す側面図である。図11は、ヘッドユニット3を搭載したキャリッジ8の周辺構造を示す斜視図である。ここで、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を図示して説明を行う。また、以下の説明において、X軸に沿った図示する矢印の起点側を-X側、先端側を+X側と称し、Y軸に沿った図示する矢印の起点側を-Y側、先端側を+Y側と称し、Z軸に沿った図示する矢印の起点側を-Z側、先端側を+Z側と称する場合がある。さらに、以下の説明では、X軸とY軸とからなる平面をXY平面と称し、X軸とZ軸とからなる平面をXZ平面と称し、Y軸とZ軸とからなる平面をYZ平面と称する場合がある。
【0130】
図10、及び図11に示すように、キャリッジ8は、キャリッジ本体81、キャリッジカバー82、及び収容ケース83を含む。キャリッジ本体81は、載置部85と固定部86とを含む。載置部85は、XY平面に沿って延在する板状の部材であり、固定部86は、載置部85の-Y側の端部から-Z側に向かい、YZ平面に沿って延在する板状の部材である。すなわち、キャリッジ本体81は、X軸に沿って見た場合に断面がL字状をなす。キャリッジカバー82は、キャリッジ本体81の-Z側に位置し、キャリッジ本体81に対して着脱自在に取着される。このとき、キャリッジ本体81とキャリッジカバー82とは、閉空間を形成する。収容ケース83は、内部に各種構成を収容可能な収容空間を含む略直方体形状であり、キャリッジ本体81の-Y側において、収容ケース83の+Y側の端部が固定部86の-Z側の端部に固定されている。
【0131】
また、キャリッジ本体81に含まれる固定部86の-Y側の面には、キャリッジ支持部87が形成されている。このキャリッジ支持部87にキャリッジガイド軸7の+Y側に形成されたガイドレール72が嵌合することで、キャリッジガイド軸7にキャリッジ支持部87が移動可能に支持される。これにより、キャリッジ8のキャリッジガイド軸7に沿った移動が可能となる。
【0132】
以上のように構成されたキャリッジ8の内部空間であって、キャリッジ本体81とキャリッジカバー82とが形成する閉空間、及び収容ケース83の内部に形成された収容空間には、吐出制御モジュール10と、複数の液体吐出モジュール20と、複数の液体吐出モジュール20に対応する複数のFFCケーブル21、及びFFCケーブル22と、が収容されている。ここで、本実施形態の液体吐出装置1は、5個の液体吐出モジュール20を備えるとして説明を行う。すなわち、本実施形態のキャリッジ8の内部空間には、5個の液体吐出モジュール20と、5個のFFCケーブル21と、5個のFFCケーブル22と、が収容されている。なお、液体吐出装置1が備える液体吐出モジュール20の数は5個に限るものではない。
【0133】
吐出制御モジュール10は、収容ケース83の内部に形成された収容空間に収容されている。吐出制御モジュール10は、制御回路基板100と、制御回路基板100に実装された集積回路110と、を含む。また、集積回路110は、前述したヘッド制御回路12の一部又は全部を構成する。
【0134】
5個のFFCケーブル21と5個のFFCケーブル22とは、5個の液体吐出モジュール20に対応して設けられている。具体的には、5個のFFCケーブル21のそれぞれの一端、及び5個のFFCケーブル22のそれぞれの一端は、制御回路基板100と電気的に接続されている。また、5個のFFCケーブル21のそれぞれの他端、及び5個のFFCケーブル22のそれぞれの他端は、対応する液体吐出モジュール20と電気的に接続されている。すなわち、5個の液体吐出モジュール20のそれぞれには、FFCケーブル21の他端とFFCケーブル22の他端とが電気的に接続されている。このようなFFCケーブル21,22としては、例えば、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible
Flat Cable)を用いることができる。
【0135】
5個の液体吐出モジュール20は、駆動回路モジュール50とプリントヘッド30とを有し、キャリッジ本体81とキャリッジカバー82とが形成する閉空間に収容されている。そして、5個の液体吐出モジュール20は、X軸に沿って等間隔で載置部85に搭載されている。
【0136】
FFCケーブル21の他端、及びFFCケーブル22の他端は、対応する液体吐出モジュール20が有する駆動回路モジュール50の-Z側において、駆動回路モジュール50と電気的と接続している。また、駆動回路モジュール50の+Z側には、プリントヘッド30が位置している。プリントヘッド30は、X軸に沿って等間隔で載置部85に搭載されている。このとき、プリントヘッド30が有する複数の吐出部600が、載置部85の-Z側面から露出する。これにより、プリントヘッド30が有する複数の吐出部600から吐出されるインクが、キャリッジ8に阻害されることが媒体Pに吐出される。
【0137】
また、液体吐出モジュール20において、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50とは、コネクターCN1によって電気的に接続される。このようなコネクターCN1としては、基板対基板(BtoB:Board to Board)コネクターが用いられることが好ましい。
【0138】
BtoBコネクターは、2つのコネクターが直接嵌合することで、2つのコネクターの内の一方が設けられた構成と、2つのコネクターの内の他方が設けられた構成とを、ケーブルを介さずに電気的に接続することができる。そのため、新たな構成を付加することなく、2つのコネクターの内の一方が設けられた構成と、2つのコネクターの内の他方が設けられた構成と、を電気的に接続するとともに、当該構成間の相対的な配置関係を定めることもできる。
【0139】
具体的には、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50とを電気的に接続するコネクターCN1としてBtoBコネクターを用いた場合、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50との相対的な配置関係が固定される。それ故に、キャリッジ8には、プリントヘッド30及び駆動回路モジュール50の少なくとも一方を固定する領域を確保すればよい。すなわち、キャリッジ8におけるプリントヘッド30及び駆動回路モジュール50の搭載面積を小さくすることができる。これにより、プリントヘッド30及び駆動回路モジュール50を高密度に配置することができるとともに、キャリッジ8の小型化を実現することもできる。さらに、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50とが、コネクターCN1としてのBtoBコネクターを用いて電気的に接続することで、ケーブルで生じ得るインピーダンスの影響がなくなり、その結果、プリントヘッド30と駆動回路モジュール50との間で伝搬される信号精度が向上する。したがって、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0140】
以上のように構成されたヘッドユニット3には、制御ユニット2が出力する印刷データ
信号pDATA、及び電圧信号VHV,VMVが、不図示のケーブルを伝搬し、吐出制御モジュール10に入力される。吐出制御モジュール10は、入力される印刷データ信号pDATA、及び電圧信号VHV,VMV等に基づいて、5個の液体吐出モジュール20のそれぞれに対応したクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddを生成するとともに、液体吐出モジュール20に対応するファン駆動信号Fpを生成する。そして、吐出制御モジュール10は、生成したクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、差動駆動データ信号Dd、及びファン駆動信号Fpと、電圧信号VHV,VMVと、をFFCケーブル21,22に出力する。
【0141】
吐出制御モジュール10が出力するクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、差動駆動データ信号Dd、及びファン駆動信号Fpと、電圧信号VHV,VMVとは、FFCケーブル21,22を伝搬し、液体吐出モジュール20が有する駆動回路モジュール50に入力される。駆動回路モジュール50は、入力されるクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddと、電圧信号VHV,VMVとに基づいて動作することで、プリントヘッド30の動作を制御するためのクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dpt、複数の駆動信号COMを生成し、コネクターCN1を介してプリントヘッド30に供給する。これにより、プリントヘッド30が有する吐出部600からインクが吐出される。
【0142】
2.2 液体吐出モジュールの構造
2.2.1 液体吐出モジュールの概略構造
次に、ヘッドユニット3が有する液体吐出モジュール20の構造の具体例について説明する。図12は、液体吐出モジュール20の構造の一例を示す分解斜視図である。図12に示すよう、液体吐出モジュール20は、液体を吐出するプリントヘッド30と、プリントヘッド30と電気的に接続された駆動回路モジュール50とを有する。ここで、本実施形態のプリントヘッド30は、4個の吐出モジュール32として、吐出モジュール32-1~32-4を有するとして説明を行うが、プリントヘッド30が有する吐出モジュール32の数は4個に限るものではない。なお、吐出モジュール32-1~32-4の位置関係は図12に示す位置関係に限られるものでは無い。
【0143】
図12に示すように、駆動回路モジュール50は、中継基板150と、駆動回路基板700と、開口板160と、ヒートシンク170,180と、熱伝導部材175,185と、を有する。
【0144】
中継基板150は、XY平面に沿って延在する板状部材である。中継基板150の-Z側の面には、FFCケーブル21,22の他端が電気的に接続されている。中継基板150の+Z側の面には、コネクターCN2aが設けられている。また、中継基板150には、中継基板150をZ軸に沿った方向で貫通する貫通孔158が形成されている。この貫通孔158には、冷却ファン59が取り付けられる。すなわち、冷却ファン59は、Z軸に沿った方向に気流を生じさせるように中継基板150に固定される。
【0145】
駆動回路基板700は、中継基板150の+Z側に位置し、リジッド配線部材710,730,750,770を含む。駆動回路基板700に含まれるリジッド配線部材710,730,750,770は、相互に電気的に接続されている。そして、駆動回路基板700に含まれるリジッド配線部材710,730,750,770に、前述した吐出制御回路51、駆動信号出力回路52、コンデンサー53、異常検出回路54、異常報知回路55、温度検出回路56、及び電圧変換回路58を含む各種回路と、コネクターCN1a,CN2bと、が実装されている。
【0146】
リジッド配線部材710は、YZ平面に沿って延在する板状部材であって、-Z側の端
部が中継基板150の+X側の端部に沿って位置している。リジッド配線部材730は、YZ平面に沿って延在する板状部材であって、-Z側の端部が中継基板150の-X側の端部に沿って位置している。すなわち、リジッド配線部材710は、リジッド配線部材730の+X側に位置し、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730とはX軸に沿って向かい合うように位置している。
【0147】
また、リジッド配線部材750は、XZ平面に沿って延在する板状部材であって、-Z側の端部が中継基板150の+Y側の端部に沿って位置し、+X側の端部がリジッド配線部材710の+Y側の端部に沿って位置し、-X側の端部がリジッド配線部材730の+Y側の端部に沿って位置している。すなわち、リジッド配線部材750は、リジッド配線部材710、及びリジッド配線部材730の双方と交差するように位置している。
【0148】
そして、リジッド配線部材770は、XY平面に沿って延在する板状部材であって、+X側の端部がリジッド配線部材710の+Z側の端部に沿って位置し、-X側の端部がリジッド配線部材730の+Z側の端部に沿って位置し、+Y側の端部がリジッド配線部材750の+Z側の端部に沿って位置している。すなわち、リジッド配線部材770は、リジッド配線部材710、リジッド配線部材730、及びリジッド配線部材750と交差するように位置している。
【0149】
以上のように、駆動回路基板700において、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730とは、X軸に沿った方向において向かい合って位置し、リジッド配線部材750,770は、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730との間に生じた空間の少なくとも一部を覆うように位置している。
【0150】
コネクターCN2bは、リジッド配線部材710の-X側の面であって、リジッド配線部材710の-Z側の端部に沿って設けられている。すなわち、コネクターCN2bは、中継基板150の近傍に設けられている。そして、コネクターCN2bは、中継基板150の+Z側の面に設けられたコネクターCN2aと嵌合することで、リジッド配線部材710を含む駆動回路基板700と、中継基板150とを電気的に接続する。すなわち、コネクターCN2aとコネクターCN2bとは、直接嵌合することで駆動回路基板700と中継基板150とを電気的に接続するBtoBコネクターを構成する。以下の説明において、コネクターCN2aとコネクターCN2bとで構成されるBtoBコネクターをコネクターCN2と称する場合がある。
【0151】
コネクターCN1aは、リジッド配線部材770の+Z側の面に設けられている。そして、駆動回路基板700は、コネクターCN1aを介してプリントヘッド30と電気的に接続する。すなわち、コネクターCN1aは、駆動回路基板700とプリントヘッド30とを電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN1の一方に相当する。
【0152】
ヒートシンク170は、リジッド配線部材730の-X側に位置し、熱伝導部材175を介してリジッド配線部材730に取り付けられる。そして、ヒートシンク170、及び熱伝導部材175は、リジッド配線部材730で生じた熱を吸収し、大気中に放出する。これにより、ヒートシンク170は、リジッド配線部材730に設けられた各種回路を冷却する。このようなヒートシンク170は、熱伝導性能、材料の加工性、及び材料の入手容易性等の観点から、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金等の金属が用いられる。また、熱伝導部材175は、ヒートシンク170とリジッド配線部材730との密着性を高めることでヒートシンク170による熱の吸収効率を高めるとともに、金属であるヒートシンク170とリジッド配線部材730との絶縁性性能を確保するとの観点から、難燃性及び電気絶縁性を有する物質であって、例えば、シリコーンやアクリル樹脂を含み、熱伝導性を有するゲルシートやゴムシートが用いられる。
【0153】
ヒートシンク180は、リジッド配線部材710の+X側に位置し、熱伝導部材185を介してリジッド配線部材710に取り付けられる。そして、ヒートシンク180、及び熱伝導部材185は、リジッド配線部材710で生じた熱を吸収し、大気中に放出する。これにより、ヒートシンク180は、リジッド配線部材710に設けられた各種回路を冷却する。このようなヒートシンク180は、熱伝導性能、材料の加工性、及び材料の入手容易性等の観点から、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金等の金属が用いられる。また、熱伝導部材185は、ヒートシンク180とリジッド配線部材710との密着性を高めることでヒートシンク180による熱の吸収効率を高めるとともに、金属であるヒートシンク180とリジッド配線部材710との絶縁性性能を確保するとの観点から、難燃性及び電気絶縁性を有する物質であって、例えば、シリコーンやアクリル樹脂を含み、熱伝導性を有するゲルシートやゴムシートが用いられる。
【0154】
開口板160は、XZ平面に沿って延在する板状部材であって、+X側の端部がリジッド配線部材710の-Y側の端部に沿って位置し、-X側の端部がリジッド配線部材730の-Y側の端部に沿って位置し、+Z側の端部がリジッド配線部材770の-Y側の端部に沿って位置し、-Z側の端部が中継基板150の-Y側の端部に沿って位置している。すなわち、開口板160は、X軸に沿って向かい合って位置するリジッド配線部材710とリジッド配線部材730との間に生じた空間の少なくとも一部を覆うように位置している。
【0155】
プリントヘッド30は、駆動回路モジュール50の+Z側に位置し、吐出モジュール32-1~32-4とコネクターCN1bと、を有する。吐出モジュール32-1~32-4は、プリントヘッド30の+Z側に位置し、少なくとも一部がプリントヘッド30の+Z側の面から露出するように設けられている。このとき、4個の吐出モジュール32の内、吐出モジュール32-1,32-2が、Y軸に沿って、吐出モジュール32-1が-Y側、吐出モジュール32-2が+Y側となるように並んで位置し、4個の吐出モジュール32の内、吐出モジュール32-3,32-4が、上述した吐出モジュール32-1,32-2の+X側においてY軸に沿って、吐出モジュール32-3が-Y側、吐出モジュール32-4が+Y側となるように並んで位置している。すなわち、4個の吐出モジュール32の内の吐出モジュール32-1,32-2が、プリントヘッド30の-X側の端部に沿って並んで位置し、4個の吐出モジュール32の内の吐出モジュール32-3,32-4が、プリントヘッド30の+X側の端部に沿って並んで位置している。
【0156】
コネクターCN1bは、プリントヘッド30の-Z側に位置し、少なくとも一部がプリントヘッド30の-Z側の面から露出するように設けられている。このコネクターCN1bに駆動回路モジュール50が有するコネクターCN1aが嵌合する。これにより、駆動回路基板700とプリントヘッド30とが電気的に接続する。すなわち、コネクターCN1bは、駆動回路基板700とプリントヘッド30とを電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN1の他方に相当し、コネクターCN1aとコネクターCN1bとでBtoBコネクターであるコネクターCN1を構成している。
【0157】
2.2.2 プリントヘッドの構造
以上のように構成された液体吐出モジュール20のより具体的な構造について説明する。まず、液体吐出モジュール20が有するプリントヘッド30の具体的な構造について説明する。図13は、プリントヘッド30の内部構造の一例を示す斜視図である。なお、図13では、プリントヘッド30が有するヘッドカバー350を破線で図示し、ヘッドカバー350の内部構成を実線で図示している。すなわち、図13には、プリントヘッド30が有するヘッドカバー350を取り外した状態が図示されている。
【0158】
図13に示すように、プリントヘッド30は、ヘッドホルダー310とヘッドカバー350とを有する。ヘッドホルダー310の-Y側の端部には、フランジ315が設けられ、ヘッドホルダー310の+Y側の端部には、フランジ316が設けられている。ヘッドホルダー310は、キャリッジ本体81の載置部85の+Z側から露出する。このとき、プリントヘッド30は、フランジ315,316が載置部85に支持されることで、複数の吐出部600が、載置部85の-Z側面から露出した状態で、キャリッジ本体81に支持される。このようなフランジ315,316は、不図示のネジ等によって載置部85に固定されてもよい。
【0159】
ヘッドカバー350は、ヘッドホルダー310の-Z側に位置し、内部に収容空間を有する。ヘッドカバー350は、当該収容空間にプリントヘッド30の各種構成を収容することで、プリントヘッド30が有する各種構成をインクミストや衝撃から保護する保護部材として機能する。
【0160】
ヘッドカバー350の収容空間には、流路部材340、ヘッド基板360、ヘッド中継基板370,380、及びFPC372,374,376,382,384,386が収容されている。
【0161】
流路部材340には、液体容器9から供給されるインクを複数の吐出部600に供給するための不図示のインク流路が形成されている。ヘッド基板360は、流路部材340の-Z側に位置し、XY平面に沿って延在している。ヘッド基板360の-Z側の面には、コネクターCN1bが設けられている。このコネクターCN1bの少なくとも一部が、ヘッドカバー350に形成された不図示の貫通孔を挿通することで、プリントヘッド30の外部に露出する。
【0162】
ヘッド中継基板370は、流路部材340の-X側に位置し、YZ平面に沿って延在している。ヘッド中継基板370は、FPC372を介してヘッド基板360と電気的に接続している。また、ヘッド中継基板370には、FPC374の一端、及びFPC376の一端が接続されている。FPC374の他端は、吐出モジュール32-1と電気的に接続し、FPC376の他端は、吐出モジュール32-2と電気的に接続している。
【0163】
ヘッド中継基板380は、流路部材340の+X側に位置し、YZ平面に沿って延在している。ヘッド中継基板380は、FPC382を介してヘッド基板360と電気的に接続している。また、ヘッド中継基板380には、FPC384の一端、及びFPC386の一端が接続されている。FPC384の他端は、吐出モジュール32-3と電気的に接続し、FPC386の他端は、吐出モジュール32-4と電気的に接続している。
【0164】
以上のように構成されたプリントヘッド30には、駆動回路モジュール50が出力する各種信号が、コネクターCN1bを介して入力される。コネクターCN1bを介して入力された信号は、ヘッド基板360、及びヘッド中継基板370,380によって分岐された後、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに供給される。ここで、プリントヘッド30が有する復元回路31は、例えば、ヘッド基板360に設けられている。
【0165】
図14は、プリントヘッド30をZ軸に沿って+Z側から見た場合のプリントヘッド30の分解斜視図である。図14に示すように、プリントヘッド30のヘッドホルダー310には、補強板320と、固定板330と、吐出モジュール32-1~32-4と、が設けられている。
【0166】
ヘッドホルダー310は、補強板320よりも大きい強度を有する例えば金属等の導電性材料からなる。ヘッドホルダー310の+Z側の面には、吐出モジュール32-1~3
2-4のそれぞれを収容する4個の収容部318が設けられている。
【0167】
4個の収容部318は、+Z側に開口する凹形状を有し、固定板330によって固定された吐出モジュール32-1~32-4を個別に収容する。このとき、収容部318の開口は固定板330によって封止される。すなわち、収容部318と固定板330とによって形成された空間の内部に吐出モジュール32-1~32-4が個別に収容される。なお、収容部318は、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに対応して個別に設けられていてもよく、吐出モジュール32-1~32-4を一括して収容する形状であってもよい。
【0168】
ヘッドホルダー310の収容部318が設けられた面には、Z軸に沿って-Z側から+Z側に向かい補強板320と固定板330とが順に積層されている。
【0169】
固定板330は、金属等の導電性材料で形成された板状部材からなる。また、固定板330には、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが有する複数の吐出部600に含まれるノズル651が露出する開口335がZ軸に沿って貫通して設けられている。この開口335は、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0170】
補強板320は、固定板330よりも強度が大きい材料が用いるのが好ましい。補強板320には、固定板330と接合された吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれに対応し、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれの外周よりも大きな内径を有する開口325がZ軸に沿って貫通して設けられている。この補強板320の開口325を挿通した吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが固定板330と接合される。
【0171】
また、プリントヘッド30が有する吐出モジュール32-1~32-4は、ヘッドホルダー310の+Z側の面において千鳥状に配置されている。そして、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれには、インクを吐出する吐出部600に含まれるノズル651がY軸に沿って並設された状態で、X軸に沿って2列設けられている。
【0172】
ここで、ノズル651を含む吐出部600の構造について説明する。図15は、吐出モジュール32が有する吐出部600の構成の一例を示す図である。図15には、吐出部600に加えて、ノズルプレート632、リザーバー641、及び供給口661を図示している。
【0173】
図15に示すように、吐出部600は、圧電素子60、振動板621、キャビティー631、及びノズル651を含む。圧電素子60は、圧電体601と、電極611,612とを含む。そして、電極611,612が圧電体601を挟むように位置することで、圧電素子60は構成されている。このような圧電素子60は、電極611に供給される電圧と電極612に供給される電圧との電位差に応じて、中央部分が上下方向に変位するように駆動する。具体的には、電極611には駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給され、電極612には基準電圧信号VBSが供給される。そして、電極611に供給される駆動信号VOUTの電圧値が変化すると、電極611に供給される駆動信号VOUTと電極612に供給される基準電圧信号VBSとの電位差が変化し、圧電素子60は、中央部分が上下方向に変位するように駆動する。
【0174】
振動板621は、図15における圧電素子60の下方に位置している。換言すれば、圧電素子60は、振動板621の図15における上方の面に形成されている。このような振動板621は、圧電素子60の上下方向への駆動に伴い、上下方向に変位する。
【0175】
振動板621の図15における下方には、キャビティー631が位置している。キャビティー631には、リザーバー641からインクが供給される。また、リザーバー641には、液体容器9に貯留されたインクが供給口661を経由して導入される。すなわち、キャビティー631の内部には、液体容器9に貯留されたインクが充填している。このようなキャビティー631の内部容積は、振動板621の上下方向の変位に伴い拡大又は縮小する。すなわち、振動板621は、キャビティー631の内部容積を変化させるダイヤフラムとして機能し、キャビティー631は、振動板621の上下方向の変位に伴い内部圧力が変化する圧力室として機能する。
【0176】
ノズル651は、ノズルプレート632に設けられた開孔であって、キャビティー631と連通している。そして、キャビティー631の内部容積が変化すると、当該内部容積に変化に応じてキャビティー631の内部に充填されたインクがノズル651から吐出される。
【0177】
以上のように構成された吐出部600において、圧電素子60が上方向に撓むように駆動した場合、振動板621が上方向に変位する。これにより、キャビティー631の内部容積が拡大し、その結果、リザーバー641に貯留されているインクが、キャビティー631に引き込まれる。一方で、圧電素子60が下方向に撓むように駆動した場合、振動板621が下方向に変位する。これにより、キャビティー631の内部容積が縮小し、その結果、キャビティー631の内部容積の縮小の程度に応じた量のインクが、ノズル651から吐出される。すなわち、プリントヘッド30が有する吐出モジュール32に含まれる複数の吐出部600のそれぞれから、駆動信号VOUTの電圧値に応じた量のインクが吐出される。
【0178】
なお、圧電素子60は、駆動信号COMに応じた駆動信号VOUTが供給されることで駆動するとともに、駆動することによりノズル651からインクが吐出できる構造であればよく、図15に示す構造に限られるものではない。
【0179】
以上のように、プリントヘッド30は、吐出モジュール32-1~32-4と、駆動回路モジュール50と電気的に接続するコネクターCN1bと、を有する。そして、吐出モジュール32-1は、電極611に供給される駆動信号COMA1,COMB1に基づく電圧値が変化する駆動信号VOUTと、電極612に供給される電圧値が一定の基準電圧信号VBSと、を受けて変位する圧電素子60を含み、圧電素子60の変位により液体を吐出する吐出部600を有し、吐出モジュール32-2は、電極611に供給される駆動信号COMA2,COMB2に基づく電圧値が変化する駆動信号VOUTと、電極612に供給される電圧値が一定の基準電圧信号VBSと、を受けて変位する圧電素子60を含み、圧電素子60の変位により液体を吐出する吐出部600を有し、吐出モジュール32-3は、電極611に供給される駆動信号COMA3,COMB3に基づく電圧値が変化する駆動信号VOUTと、電極612に供給される電圧値が一定の基準電圧信号VBSと、を受けて変位する圧電素子60を含み、圧電素子60の変位により液体を吐出する吐出部600を有し、吐出モジュール32-4は、電極611に供給される駆動信号COMA4,COMB4に基づく電圧値が変化する駆動信号VOUTと、電極612に供給される電圧値が一定の基準電圧信号VBSと、を受けて変位する圧電素子60を含み、圧電素子60の変位により液体を吐出する吐出部600を有する。
【0180】
2.2.3 液体吐出モジュールが有する駆動回路モジュールの構造
次に、液体吐出モジュール20が有する駆動回路モジュール50の構造について説明する。図12に示したように駆動回路モジュール50は、中継基板150、駆動回路基板700、開口板160、ヒートシンク170,180、及び熱伝導部材175,185を有する。
【0181】
2.2.3.1 駆動回路基板の構造
まず、駆動回路基板700の構造について説明する。図16は、駆動回路基板700の平面構造を示す図である。ここで、以下の説明では、上述したX軸、Y軸、及びZ軸とは独立した軸であって、互いに直交するx1軸、y1軸、及びz1軸を図示して説明を行う。また、以下の説明において、x1軸に沿った図示する矢印の起点側を-x1側、先端側を+x1側と称し、y1軸に沿った図示する矢印の起点側を-y1側、先端側を+y1側と称し、z1軸に沿った図示する矢印の起点側を-z1側、先端側を+z1側と称し、さらに、x1軸とy1軸とからなる平面をx1y1平面と称し、x1軸とz1軸とからなる平面をx1z1平面と称し、y1軸とz1軸とからなる平面をy1z1平面と称する場合がある。
【0182】
前述のとおり駆動回路基板700は、リジッド配線部材710,730,750,770を有する。リジッド配線部材710,730,750は、y1軸に沿って-y1側から+y1側に向かいリジッド配線部材710、リジッド配線部材750、リジッド配線部材730の順に並んで位置している。また、リジッド配線部材770は、並んで位置しているリジッド配線部材710,750,730の-x1側であって、具体的には、リジッド配線部材730の-x1側に位置している。
【0183】
リジッド配線部材710は、+z1側の面723と、-z1側の面724と、辺711,712と、辺711,712よりも長い辺713,714と、を含む。辺711,712は、y1軸に沿って延在しx1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺711が+x1側、辺712が-x1側に位置している。また、辺713,714は、辺711,712の双方と交差するとともに、x1軸に沿って延在しy1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺713が-y1側、辺714が+y1側に位置している。すなわち、リジッド配線部材710は、互いに向かい合って位置する辺711及び辺712と、辺711及び辺712と交差し互いに向かい合って位置する辺713及び辺714と、面723と、を含む。換言すれば、リジッド配線部材710は、面723と、面723と反対の面724と、辺711と、を含み、x1y1平面に沿って延在する略矩形状の板状部材である。
【0184】
リジッド配線部材730は、+z1側の面743と、-z1側の面744と、辺731,732と、辺731,732よりも長い辺733,734と、を含み、リジッド配線部材710の+y1側に位置している。辺731,732は、y1軸に沿って延在しx1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺731が+x1側、辺732が-x1側に位置している。また、辺733,734は、辺731,732の双方と交差するとともに、x1軸に沿って延在しy1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺733が-y1側、辺734が+y1側に位置している。すなわち、リジッド配線部材730は、互いに向かい合って位置する辺731及び辺732と、辺731及び辺732と交差し互いに向かい合って位置する辺733及び辺734と、面743と、を含む。換言すれば、リジッド配線部材730は、面743と、面743と反対の面744と、辺731と、を含み、x1y1平面に沿って延在する略矩形状の板状部材である。
【0185】
リジッド配線部材750は、+z1側の面763と、-z1側の面764と、辺751,752と、辺751,752よりも長い辺753,754と、を含み、y1軸に沿った方向においてリジッド配線部材710とリジッド配線部材730との間に位置している。辺751,752は、y1軸に沿って延在しx1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺751が+x1側、辺752が-x1側に位置している。また、辺753,754は、辺751,752の双方と交差するとともに、x1軸に沿って延在しy1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺753が-y1側、辺754が+y
1側に位置している。すなわち、リジッド配線部材750は、互いに向かい合って位置する辺751及び辺752と、辺751及び辺752と交差し互いに向かい合って位置する辺753及び辺754と、面763と、を含む。換言すれば、リジッド配線部材750は、面763と、面763と反対の面764と、辺751と、を含み、x1y1平面に沿って延在する略矩形状の板状部材である。
【0186】
リジッド配線部材770は、+z1側の面783と、-z1側の面784と、辺771,772と、辺771,772よりも短い辺773,774と、を含み、x1軸に沿った方向においてリジッド配線部材730の-x1側に位置している。辺771,772は、y1軸に沿って延在しx1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺771が+x1側、辺772が-x1側に位置している。また、辺773,774は、辺771,772の双方と交差するとともに、x1軸に沿って延在しy1軸に沿った方向において互いに向かい合った状態で、辺773が-y1側、辺774が+y1側に位置している。すなわち、リジッド配線部材770は、互いに向かい合って位置する辺771及び辺772と、辺771及び辺772と交差し互いに向かい合って位置する辺773及び辺774と、面783と、を含む。換言すれば、リジッド配線部材770は、面783と、面783と反対の面784と、辺771と、を含み、x1y1平面に沿って延在する略矩形状の板状部材である。
【0187】
このようなリジッド配線部材710,730,750,770のそれぞれは、ガラス・エポキシ等の硬質複合材料がz1軸に沿った方向に複数積層されたベース材料と、当該ベース材料の層間に位置し各種信号が伝搬する配線パターンが形成された複数の配線層と、を含む所謂多層のリジッド基板を構成している。
【0188】
ここで、図16に示すように駆動回路基板700において、辺711、辺731、及び辺751はy1軸に沿って略直線状に位置し、辺712、辺732、及び辺752はy1軸に沿って略直線状に位置している。すなわち、リジッド配線部材710に含まれる辺713,714のx1軸に沿った長さと、リジッド配線部材730に含まれる辺733,734のx1軸に沿った長さと、リジッド配線部材750に含まれる辺753,754のx1軸に沿った長さと、は略等しい。また、辺711,712のy1軸に沿った方向の長さと、辺731,732のy1軸に沿った方向の長さと、は略等しく、辺751,752のy1軸に沿った方向の長さは、辺711,712のy1軸に沿った方向の長さ、及びリジッド配線部材730に含まれる辺731,732のy1軸に沿った方向の長さよりも短い。すなわち、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材710の大きさと駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材730の大きさとは略等しく、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材750の大きさは、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材710の大きさ及び駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材730の大きさよりも小さい。
【0189】
さらに、駆動回路基板700において、辺733、及び辺773はx1軸に沿って略直線状に位置し、辺734、及び辺774はx1軸に沿って略直線状に位置している。すなわち、リジッド配線部材730に含まれる辺731,732のy1軸に沿った長さと、リジッド配線部材770に含まれる辺771,772のy1軸に沿った長さと、は略等しい。また、辺773,774のx1軸に沿った方向の長さは、辺733,734のx1軸に沿った方向の長さよりも短く、辺751,752のy1軸に沿った方向の長さと略等しい。すなわち、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合の、リジッド配線部材770の大きさは、リジッド配線部材710,730,750の大きさよりも小さい。すなわち、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材770の大きさは、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材710の大きさよりも
小さく、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材730の大きさよりも小さい。
【0190】
以上のように構成されたリジッド配線部材710,730,750,770は、フレキシブル配線部材790によって相互に電気的に接続されている。すなわち、リジッド配線部材710,730,750,770は、相互に電気的に接続されている。そこで、リジッド配線部材710,730,750,770と、リジッド配線部材710,730,750,770を電気的に接続するフレキシブル配線部材790との配置について説明する。
【0191】
図17は、駆動回路基板700を図16に示すA-a線で切断した場合の断面図である。図18は、駆動回路基板700を図16に示すB-b線で切断した場合の断面図である。
【0192】
ここで、以下の説明では、フレキシブル配線部材790を図17及び図18に示すような領域701~707の7個の領域に分けて説明を行う。また、図17及び図18に示すように、フレキシブル配線部材790は、+z1側の面791と、-z1側の面792とを含む。すなわち、フレキシブル配線部材790は、面791、及び面791と反対の面792と、領域701~707とを含むとして説明を行う。
【0193】
図17に示すように、フレキシブル配線部材790の領域701~705は、y1軸に沿って-y1側から+y1側に向かい領域701、領域702、領域703、領域704、領域705の順に並んで位置している。すなわち、領域702は、領域701と領域703との間に位置し、領域704は、領域703と領域705との間に位置し、それ故に、領域702,703,704は、領域701と領域705との間に位置している。
【0194】
領域701の面791には、リジッド配線部材710の一部であるリジッド部材721が積層され、領域701の面792には、リジッド配線部材710の異なる一部であるリジッド部材722が積層されている。すなわち、リジッド配線部材710は、リジッド部材721とリジッド部材722とを含む。リジッド部材721は、リジッド配線部材710の+z1側の表面に相当する面723を含む。そして、リジッド部材721は、面723がフレキシブル配線部材790の面791に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域701の面791に積層されている。また、リジッド部材722は、リジッド配線部材710の-z1側の表面に相当する面724を含む。そして、リジッド部材722は、面724がフレキシブル配線部材790の面792に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域701の面792に積層されている。
【0195】
領域703の面791には、リジッド配線部材750の一部であるリジッド部材761が積層され、領域703の面792には、リジッド配線部材750の異なる一部であるリジッド部材762が積層されている。すなわち、リジッド配線部材750は、リジッド部材761とリジッド部材762とを含む。リジッド部材761は、リジッド配線部材750の+z1側の表面に相当する面763を含む。そして、リジッド部材761は、面763がフレキシブル配線部材790の面791に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域703の面791に積層されている。リジッド部材762は、リジッド配線部材750の-z1側の表面に相当する面764を含む。そして、リジッド部材762は、面764がフレキシブル配線部材790の面792に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域703の面792に積層されている。
【0196】
領域705の面791には、リジッド配線部材730の一部であるリジッド部材741が積層され、領域705の面792には、リジッド配線部材730の異なる一部であるリ
ジッド部材742が積層されている。すなわち、リジッド配線部材730は、リジッド部材741とリジッド部材742とを含む。リジッド部材741は、リジッド配線部材730の+z1側の表面に相当する面743を含む。そして、リジッド部材741は、面743がフレキシブル配線部材790の面791に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域705の面791に積層されている。リジッド部材742は、リジッド配線部材730の-z1側の表面に相当する面744を含む。そして、リジッド部材742は、面744がフレキシブル配線部材790の面792に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域705の面792に積層されている。
【0197】
領域702、及び領域704には、ガラス・エポキシ等の硬質複合材料が設けられていない。すなわち、領域702は、リジッド配線部材710とリジッド配線部材750との間に位置し、リジッド配線部材710とリジッド配線部材750とを離間するための領域であり、領域704は、リジッド配線部材750とリジッド配線部材730との間に位置し、リジッド配線部材750とリジッド配線部材730とを離間するための領域である。
【0198】
また、図18に示すように、フレキシブル配線部材790の領域705~707は、x1軸に沿って+x1側から-x1側に向かい領域705、領域706、領域707の順に並んで位置している。すなわち、領域706は、領域705と領域707との間であって、領域701,702,703,704,705と領域707との間に位置している。
【0199】
領域707の面791には、リジッド配線部材770の一部であるリジッド部材781が積層され、領域707の面792には、リジッド配線部材770の異なる一部であるリジッド部材782が積層されている。すなわち、リジッド配線部材770は、リジッド部材781とリジッド部材782とを含む。リジッド部材781は、リジッド配線部材770の+z1側の表面に相当する面783を含む。そして、リジッド部材781は、面783がフレキシブル配線部材790の面791に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域707の面791に積層されている。リジッド部材782は、リジッド配線部材770の-z1側の表面に相当する面784を含む。そして、リジッド部材782は、面784がフレキシブル配線部材790の面792に沿って延在するように、フレキシブル配線部材790の領域707の面792に積層されている。
【0200】
領域706には、領域702,704と同様にガラス・エポキシ等の硬質複合材料が設けられない。すなわち、領域706は、リジッド配線部材730とリジッド配線部材770との間に位置し、リジッド配線部材730とリジッド配線部材770とを離間するための領域である。
【0201】
以上のように構成された駆動回路基板700において、フレキシブル配線部材790は、リジッド配線部材710,730,750,770のそれぞれの配線層の内の少なくとも1層を構成する。これにより、フレキシブル配線部材790は、リジッド配線部材710,730,750,770のそれぞれを電気的に接続し、リジッド配線部材710,730,750,770のそれぞれで生成された信号を伝搬する。すなわち、フレキシブル配線部材790が、リジッド配線部材710に含まれる複数の配線層の内の少なくとも1層と、リジッド配線部材730に含まれる複数の配線層の内の少なくとも1層と、リジッド配線部材750に含まれる複数の配線層の内の少なくとも1層と、リジッド配線部材770に含まれる複数の配線層の内の少なくとも1層と、を構成することで、リジッド配線部材710,730,750,770のそれぞれが電気的に接続される。このようなフレキシブル配線部材790は、プラスチックフィルムやポリイミド等が1又は複数積層されたベース材料に、各種信号が伝搬する配線パターンが形成された1又は複数の配線層と、を含み、柔軟性を有する所謂フレキシブル基板である。
【0202】
すなわち、駆動回路基板700は、複数のリジッド基板として、リジッド配線部材710,730,750,770であって、リジッド部材721,722,741,742,761,762,781,782を含み、当該複数のリジッド基板と、リジッド配線部材710,730,750,770よりも柔軟なフレキシブル基板としてのフレキシブル配線部材790と、を含む所謂リジッドフレキシブル基板である。
【0203】
そして、本実施形態の液体吐出装置1では、上述した駆動回路基板700が略箱形状をなし、プリントヘッド30と電気的に接続されている。これにより、液体吐出装置1における駆動回路基板700の搭載面積を小さくし、駆動回路基板700の密集配置を可能とし、その結果、液体吐出装置1の小型化を実現している。
【0204】
図19は、略箱形状をなす駆動回路基板700の構造の一例を示す図である。図19に示すように、駆動回路基板700は、フレキシブル配線部材790が屈曲することで、リジッド配線部材710,730,750,770のそれぞれが略箱形状の駆動回路基板700の1面を構成する。
【0205】
具体的には、リジッド配線部材710の面723とリジッド配線部材750の面763とが略箱形状の駆動回路基板700の内面を構成し、リジッド配線部材710の面724とリジッド配線部材750の面764とが略箱形状の駆動回路基板700の外面を構成するようにフレキシブル配線部材790の領域702が略直角に屈曲している。また、リジッド配線部材750の面763とリジッド配線部材730の面743とが略箱形状の駆動回路基板700の内面を構成し、リジッド配線部材750の面764とリジッド配線部材730の面744とが略箱形状の駆動回路基板700の外面を構成するようにフレキシブル配線部材790の領域704が略直角に屈曲している。さらに、リジッド配線部材730の面743とリジッド配線部材770の面783とが略箱形状の駆動回路基板700の内面を構成し、リジッド配線部材730の面744とリジッド配線部材770の面784とが略箱形状の駆動回路基板700の外面を構成するようにフレキシブル配線部材790の領域706が略直角に屈曲している。
【0206】
すなわち、本実施形態の液体吐出装置1において略箱形状をなす駆動回路基板700は、リジッド配線部材710の面723、リジッド配線部材750の面763、リジッド配線部材730の面743、及びリジッド配線部材770の面783が当該略箱形状の内面を構成し、リジッド配線部材710の面724、リジッド配線部材750の面764、リジッド配線部材730の面744、及びリジッド配線部材770の面784が当該略箱形状の外面を構成している。このとき、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730とは、フレキシブル配線部材790が、領域702,704で屈曲することで、リジッド配線部材710の面723とリジッド配線部材730の面743とが向かい合うように位置し、リジッド配線部材750は、フレキシブル配線部材790が、領域702,704で屈曲することで、リジッド配線部材750の面763の法線方向がリジッド配線部材710の面723の法線方向、及びリジッド配線部材730の面743の法線方向の双方と交差するように位置し、リジッド配線部材770は、フレキシブル配線部材790が、領域706で屈曲することで、リジッド配線部材770の面783の法線方向が、リジッド配線部材710の面723の法線方向、及びリジッド配線部材730の面743の法線方向の双方と交差するように位置している。
【0207】
換言すれば、リジッド部材721とリジッド部材741とは、フレキシブル配線部材790が領域702,704で屈曲することで、リジッド部材721の面723とリジッド部材741の面743とが向かい合うように位置し、リジッド部材761は、フレキシブル配線部材790が領域702,704で屈曲することで、リジッド部材761の面763の法線方向がリジッド部材721の面723の法線方向、及びリジッド部材741の面
743の法線方向の双方と交差するように位置し、リジッド部材781は、フレキシブル配線部材790が領域706で屈曲することで、リジッド部材781の面783の法線方向がリジッド部材721の面723の法線方向、及びリジッド部材741の面743の法線方向の双方と交差するように位置している。
【0208】
なお、駆動回路基板700が略箱形状をなすとは、当該略箱形状の全ての面がリジッドフレキシブル基板のリジッド基板で構成されている場合に限るものではない。すなわち、駆動回路基板700が成す形状が箱形状と見做せればよく、図19に示すように1又は複数の面が開放されていてもよい。
【0209】
ここで、以下の説明において、略箱形状を成す場合の駆動回路基板700を用いて説明する場合、上述したx1軸、y1軸、及びz1軸とは独立した軸であって、互いに直交するx2軸、y2軸、及びz2軸を図示して説明を行う。そして、以下の説明において、x2軸に沿った図示する矢印の起点側を-x2側、先端側を+x2側と称し、y2軸に沿った図示する矢印の起点側を-y2側、先端側を+y2側と称し、z2軸に沿った図示する矢印の起点側を-z2側、先端側を+z2側と称する場合があり、x2軸とy2軸とからなる平面をx2y2平面と称し、x2軸とz2軸とからなる平面をx2z2平面と称し、y2軸とz2軸とからなる平面をy2z2平面と称する場合がある。ここで、略箱形状を成す場合の駆動回路基板700では、リジッド部材721の面723とリジッド部材741の面743とがx2軸に沿って向かい合うように位置し、リジッド部材721の面723の法線方向がx2軸に沿って-x2側から+x2側に向かう方向であり、リジッド部材741の面743の法線方向がx2軸に沿って+x2側から-x2側に向かう方向であり、リジッド部材761の面763の法線方向がy2軸に沿って+y2側から-y2側に向かう方向であり、リジッド部材781の面783の法線方向がz2軸に沿って-z2側から+z2側に向かう方向である。
【0210】
また、以下の説明において、図16図17図18に示すような展開された状態の駆動回路基板700を展開状態の駆動回路基板700と称し、図19に示すように略箱上に組み立てられた駆動回路基板700を組立状態の駆動回路基板700と称する場合がある。
【0211】
2.2.3.2 駆動回路基板における部品配置
次に、駆動回路基板700における各種回路を構成する電子部品の部品配置について説明する。図20は、展開状態の駆動回路基板700における部品配置の一例を示す図である。
【0212】
図20に示すように、リジッド配線部材710には、駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2と、FPGAによって構成された吐出制御回路51と、コンデンサーC7aと、コネクターCN2b,CN3aと、を含む複数の回路部品が設けられている。
【0213】
駆動信号出力回路52a-1は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52a-1に含まれるトランジスターM1,M2は、辺713から辺714に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺711側に位置し、駆動信号出力回路52a-1に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺712側に位置している。
【0214】
駆動信号出力回路52b-1は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723において、駆動信号出力回路52a-1の辺714側に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52b-1に含まれるトランジスターM1,M2は、辺713から辺714に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺711側に位置し、駆動信号出力回路52b-1に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺712側に位置している。
【0215】
駆動信号出力回路52a-2は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723において、駆動信号出力回路52b-1の辺714側に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52a-2に含まれるトランジスターM1,M2は、辺713から辺714に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺711側に位置し、駆動信号出力回路52a-2に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺712側に位置している。
【0216】
駆動信号出力回路52b-2は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723において、駆動信号出力回路52a-2の辺714側に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52b-2に含まれるトランジスターM1,M2は、辺713から辺714に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺711側に位置し、駆動信号出力回路52b-2に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺712側に位置している。
【0217】
すなわち、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺711から辺712に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面723に設けられ、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺711から辺712に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面723に設けられ、駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺711から辺712に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面723に設けられ、駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺711から辺712に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面723に設けられている。
【0218】
そして、駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-1,52b-2は、駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723において、辺713から辺714に向かい、駆動信号出力回路52a-1、駆動信号出力回路52b-1、駆動信号出力回路52a-2、駆動信号出力回路52b-2の順に隣り合って並んで位置している。
【0219】
この場合において、駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-1,52b-2を構成する全ての電子部品が、リジッド配線部材710の面723に設けられている。すなわち、駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-1,52b-2を構成する電子部品は、リジッド配線部材710の面724には設けられていない。
【0220】
また、駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2は、辺713から辺714に向かい千鳥状に配置されている。具体的には、辺711から辺712に向かう方向において、駆動信号出力回路52a-1と駆動信号出力回路52a-2とは略同じ位置に配置され、駆動信号出力回路52b-1と駆動信号出力回路52b-2とは略同じ位置に配置され、駆動信号出力回路52a-1と駆動信号出力回路52b-1,52b-2とは異なる位置に配置され、駆動信号出力回路52a-2と駆動信号出力回路52b-1,52b-2とは異なる位置に配置されている。
【0221】
詳細には、駆動信号出力回路52a-1は、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-1の少なくとも一部、駆動信号出力回路52a-2の少なくとも一部、及び駆動信号出力回路52b-2の少なくとも一部と重なるように配置され、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500は、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500、及び駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500と重ならず、駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500の少なくとも一部と重なるように配置されている。
【0222】
この場合において駆動信号出力回路52a-1に含まれるトランジスターM1,M2が、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-1に含まれるトランジスターM1,M2、及び駆動信号出力回路52b-2に含まれるトランジスターM1,M2と重ならず、駆動信号出力回路52a-2に含まれるトランジスターM1,M2の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。さらに、駆動信号出力回路52a-1に含まれるインダクターL1が、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-1に含まれるインダクターL1、及び駆動信号出力回路52b-2に含まれるインダクターL1と重ならず、駆動信号出力回路52a-2に含まれるインダクターL1の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。
【0223】
同様に、駆動信号出力回路52b-1は、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1の少なくとも一部、駆動信号出力回路52a-2の少なくとも一部、及び駆動信号出力回路52b-2の少なくとも一部と重なるように配置され、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500は、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500、及び駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500と重ならず、駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500の少なくとも一部と重なるように配置されている。
【0224】
この場合において駆動信号出力回路52b-1に含まれるトランジスターM1,M2が、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1に含まれるトランジスターM1,M2、及び駆動信号出力回路52a-2に含まれるトランジスターM1,M2と重ならず、駆動信号出力回路52b-2に含まれるトランジスターM1,M2の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。さらに、駆動信号出力回路52b-1に含まれるインダクターL1は、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1に含まれるインダクターL1、及び駆動信号出力回路52a-2に含まれるインダクターL1と重ならず、駆動信号出力回路52b-2に含まれるインダクターL1の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。
【0225】
ここで、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路5
2a-1と、駆動信号出力回路52b-1と、駆動信号出力回路52a-2と、駆動信号出力回路52b-2と、が少なくとも一部と重なるように配置されるとは、辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-1に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-2に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-2に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、が重なることを意味し、例えば、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、が辺713から辺714に向かう方向に沿って見た場合に重なることが含まれる。
【0226】
コンデンサーC7aは、リジッド配線部材710の面723において、辺713から辺714に向かい並んで設けられた駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2の辺711側に位置している。このコンデンサーC7aは、駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2に対応する前述したコンデンサーC7に相当し、駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2のそれぞれに供給される電圧信号VHVの電圧値が変動するおそれを低減するとともに、電圧信号VHVにノイズが重畳するおそれを低減する。
【0227】
FPGAによって構成された吐出制御回路51は、リジッド配線部材710の面723において、辺713から辺714に向かい並んで設けられた駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2の辺711側であって、コンデンサーC7aの辺714側に位置している。
【0228】
コネクターCN2bは、複数の端子TM2bを含み、リジッド配線部材710の面723に設けられたコンデンサーC7a、及び吐出制御回路51よりも辺711側に位置している。このとき、コネクターCN2bは、複数の端子TM2bがリジッド配線部材710の辺711に沿って並設されるように位置している。
【0229】
コネクターCN3aは、複数の端子TM3aを含み、リジッド配線部材710の面723に設けられたコンデンサーC7a、及び吐出制御回路51よりも辺712側に位置している。このとき、コネクターCN3aは、複数の端子TM3aがリジッド配線部材710の辺712に沿って並設されるように位置している。
【0230】
リジッド配線部材730には、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4と、コンデンサーC7bと、異常検出回路54としての異常検出回路54a,54bと、異常報知回路55としての異常報知回路55a,55bと、が設けられている。
【0231】
駆動信号出力回路52a-3は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面743に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52a-3に含まれるトランジスターM1,M2は、辺733から辺734に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺731側に位置し、駆動信号出力回路52a-3に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺73
2側に位置している。
【0232】
駆動信号出力回路52b-3は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面743において、駆動信号出力回路52a-3の辺734側に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52b-3に含まれるトランジスターM1,M2は、辺733から辺734に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺731側に位置し、駆動信号出力回路52b-3に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺732側に位置している。
【0233】
駆動信号出力回路52a-4は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面743において、駆動信号出力回路52b-1の辺734側に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52a-4に含まれるトランジスターM1,M2は、辺733から辺734に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺731側に位置し、駆動信号出力回路52a-4に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺732側に位置している。
【0234】
駆動信号出力回路52b-4は、集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1を含み、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面743において、駆動信号出力回路52a-4の辺734側に設けられている。このとき、駆動信号出力回路52b-4に含まれるトランジスターM1,M2は、辺733から辺734に向かう方向に沿ってトランジスターM1、トランジスターM2の順に並んで位置し、駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺731側に位置し、駆動信号出力回路52b-4に含まれるインダクターL1は、並んで位置するトランジスターM1,M2の辺732側に位置している。
【0235】
すなわち、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺731から辺732に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面743に設けられ、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺731から辺732に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面743に設けられ、駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺731から辺732に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面743に設けられ、駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、及びインダクターL1は、辺731から辺732に向かう方向に沿って、集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の順に並ぶように面743に設けられている。
【0236】
そして、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4は、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面743において、辺733から辺734に向かい、駆動信号出力回路52a-3、駆動信号出力回路52b-3、駆動信号出力回路52a-4、駆動信号出力回路52b-4の順に隣り合って並んで位置している。
【0237】
この場合において、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4を構成する全ての電子部品が、リジッド配線部材730の面743に設けられている。
換言すれば、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4を構成する電子部品は、リジッド配線部材730の面744には設けられていない。
【0238】
また、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4は、辺733から辺734に向かい千鳥状に配置されている。具体的には、辺731から辺732に向かう方向において、駆動信号出力回路52a-3と駆動信号出力回路52a-4とは略同じ位置に配置され、駆動信号出力回路52b-3と駆動信号出力回路52b-4とは略同じ位置に配置され、駆動信号出力回路52a-3と駆動信号出力回路52b-3,52b-4とは異なる位置に配置され、駆動信号出力回路52a-4と駆動信号出力回路52b-3,52b-4とは異なる位置に配置されている。
【0239】
詳細には、駆動信号出力回路52a-3は、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-3の少なくとも一部、駆動信号出力回路52a-4の少なくとも一部、及び駆動信号出力回路52b-4の少なくとも一部と重なるように配置され、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500は、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500、及び駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500と重ならず、駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500の少なくとも一部と重なるように配置されている。
【0240】
この場合において駆動信号出力回路52a-3に含まれるトランジスターM1,M2が、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-3に含まれるトランジスターM1,M2、及び駆動信号出力回路52b-4に含まれるトランジスターM1,M2と重ならず、駆動信号出力回路52a-4に含まれるトランジスターM1,M2の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。さらに、駆動信号出力回路52a-3に含まれるインダクターL1が、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-3に含まれるインダクターL1、及び駆動信号出力回路52b-4に含まれるインダクターL1と重ならず、駆動信号出力回路52a-4に含まれるインダクターL1の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。
【0241】
同様に、駆動信号出力回路52b-3は、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3の少なくとも一部、駆動信号出力回路52a-4の少なくとも一部、及び駆動信号出力回路52b-4の少なくとも一部と重なるように配置され、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500は、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500、及び駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500と重ならず、駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500の少なくとも一部と重なるように配置されている。
【0242】
この場合において駆動信号出力回路52b-3に含まれるトランジスターM1,M2が、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3に含まれるトランジスターM1,M2、及び駆動信号出力回路52a-4に含まれるトランジスターM1,M2と重ならず、駆動信号出力回路52b-4に含まれるトランジスターM1,M2の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。さらに、駆動信号出力回路52b-3に含まれるインダクターL1は、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3に含まれるインダクターL1、及び駆動信号出力回路52a-4に含まれるインダクターL1と重ならず、駆動信号出力回路52b-2に含まれるインダクターL1の少なくとも一部と重なるように配置されていてもよい。
【0243】
ここで、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3と、駆動信号出力回路52b-3と、駆動信号出力回路52a-4と、駆動信号出力回路52b-4と、が少なくとも一部と重なるように配置されるとは、辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-3に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-4に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-4に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、が重なることを意味し、例えば、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、が辺733から辺734に向かう方向に沿って見た場合に重なることが含まれる。
【0244】
コンデンサーC7bは、リジッド配線部材730の面743において、辺733から辺734に向かい並んで設けられた駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4の辺731側に位置している。このコンデンサーC7bは、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4に対応する前述したコンデンサーC7に相当し、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4のそれぞれに供給される電圧信号VHVの電圧値が変動するおそれを低減するとともに、電圧信号VHVにノイズが重畳するおそれを低減する。
【0245】
異常検出回路54a,54bは、リジッド配線部材730の面743において、辺733から辺734に向かい並んで設けられた駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4の辺731側であって、コンデンサーC7bの辺734側に位置している。そして、異常検出回路54aは、電圧信号VHVの電圧値が正常であるか否かを検出し、異常検出回路54bは、電圧信号VMVに基づいて生成された電圧信号VDDの電圧値が正常であるか否かを検出する。
【0246】
異常報知回路55a,55bは、リジッド配線部材730の面744において、辺733から辺734に向かい並んで設けられた駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4の辺731側であって、異常検出回路54a,54bの近傍に位置している。異常報知回路55aは、異常検出回路54aにおける異常検出の結果に基づいて点灯、消灯、若しくは点滅する。異常報知回路55bは、異常検出回路54bにおける異常検出の結果に基づいて点灯、消灯、若しくは点滅する。
【0247】
リジッド配線部材750には、温度検出回路56と、電圧変換回路58と、が設けられている。
【0248】
温度検出回路56は、リジッド配線部材750の面763において、リジッド配線部材750の略中央に位置している。具体的には、温度検出回路56は、少なくとも一部が辺751からの距離と辺752からの距離とが等しい仮想線と、辺753からの距離と辺754からの距離とが等しい仮想線との交点と重なるように設けられている。温度検出回路56は、駆動回路モジュール50の環境温度を検出し、当該環境温度に応じた温度情報を含む温度情報信号Ttを生成し、ヘッド制御回路12に出力する。このような温度検出回路56には、駆動回路基板700に設けられた複数の回路の温度情報を総合して検出することが求められる。
【0249】
本実施形態の液体吐出装置1では、温度検出回路56が、発熱量の大きな駆動信号出力回路52が設けられたリジッド配線部材710,730とは異なるリジッド配線部材750に設けられ、さらに、リジッド配線部材750の略中央に位置している。これにより、発熱量の大きな駆動信号出力回路52の寄与度が低減し、その結果、駆動回路モジュール50全体における環境温度の取得精度が向上する。
【0250】
電圧変換回路58は、リジッド配線部材750の面763において、温度検出回路56の辺751側に位置している。そして、電圧変換回路58は、電圧信号VMVの電圧値を変換することで電圧信号VDDを生成し、出力する。電圧信号VDDは、駆動回路基板700に設けられた各種構成で使用されるとともに、電圧値が電圧信号VHV,VMVよりも小さく、それ故に、ノイズの影響を受けやすい。このような電圧信号VDDを出力する電圧変換回路58を、駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2を含む複数の回路が設けられたリジッド配線部材710と、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4を含む複数の回路が設けられたリジッド配線部材730と、の間に位置するリジッド配線部材750に設けることで、電圧信号VDDが伝搬する配線長を短くすることができ、その結果、電圧信号VDDに電圧値の変動が生じるおそれが低減するとともに、電圧信号VDDにノイズが重畳するおそれも低減される。
【0251】
リジッド配線部材770には、コンデンサー53と、コネクターCN3bと、コネクターCN1aと、が設けられている。
【0252】
コネクターCN3bは、複数の端子TM3bを含む。そして、コネクターCN3bは、リジッド配線部材770の面783において、複数の端子TM3bが辺772に沿って並設されるように位置している。
【0253】
コンデンサー53は、リジッド配線部材770の面783に位置している。コンデンサー53は、駆動信号出力回路52a-1が出力する基準電圧信号VBSの電圧値を安定させる。
【0254】
コネクターCN1aは、リジッド配線部材770の面784に位置している。このコネクターCN1aが、プリントヘッド30が有するコネクターCN1bと嵌合することで、駆動回路基板700で生成された各種信号がプリントヘッド30に供給される。
【0255】
以上のように駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723であってリジッド部材721の面723には、駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2と、FPGAによって構成された吐出制御回路51と、コンデンサーC7aと、コネクターCN2b,CN3aとが設けられ、リジッド配線部材730の面743であってリジッド部材741の面743には、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4と、コンデンサーC7bと、異常検出回路54a,54bとが設けられ、リジッド配線部材730の面744であってリジッド部材742の面744には、異常報知回路55a,55bが設けられ、リジッド配線部材750の面763であってリジッド部材761の面763には、温度検出回路56と電圧変換回路58とが設けられ、リジッド配線部材770の面783であってリジッド部材781の面783には、コンデンサー53と、コネクターCN3bと、が設けられ、リジッド配線部材770の面784であってリジッド部材782の面784には、コネクターCN1aが設けられている。
【0256】
ここで、以上のように構成された駆動回路基板700に形成される配線パターンであって、駆動回路基板700に設けられた各種回路の電源電圧として機能する電圧信号VHV,VMV,VDDが伝搬する配線パターン、及び駆動回路基板700で生成された駆動信
号COMA1~COMA4,COMB1~COMB4と、基準電圧信号VBSと、が伝搬する配線パターンの一例について説明する。
【0257】
図21は、電圧信号VHV,VMV,VDDが伝搬する配線パターンの一例を示す図である。前述のとおり、駆動回路基板700を伝搬する電圧信号VHV,VMVは、制御ユニット2が有する電源電圧出力回路18が出力する。そして、電圧信号VHV,VMVは、コネクターCN2bを介して駆動回路基板700に入力される。
【0258】
コネクターCN2bを介して入力された電圧信号VHVは、駆動回路基板700のフレキシブル配線部材790に設けられた配線wh1~wh5と、リジッド配線部材710に設けられた配線wh6と、リジッド配線部材730に設けられた配線wh7と、を伝搬し、駆動回路基板700に設けられた各種構成、及びプリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200に入力される。
【0259】
配線wh1は、一端がコネクターCN2bの端子TM2bと電気的に接続され、x1軸に沿って-x1側に延在し、他端が、配線wh2と電気的に接続されている。
【0260】
配線wh2は、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けられている。すなわち、フレキシブル配線部材790は、駆動信号選択回路200、及び駆動信号出力回路52に供給される電圧信号VHVが伝搬する配線wh2を含み、配線wh2は、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けられている。このとき、配線wh2は、領域701,702,703,704,705にわたり、y1軸に沿って直線状に設けられていることが好ましい。そして、配線wh2を伝搬した電圧信号VHVは、領域701,703,705のそれぞれで分岐するとともに、不図示のスルーホールを介してリジッド配線部材710,730,750に設けられた各種回路に供給される。
【0261】
例えば、配線wh2は、領域701で配線wh3に分岐する。配線wh3は、不図示のスルーホールを介してリジッド配線部材710に設けられたコンデンサーC7aに供給される。そして、コンデンサーC7aに供給された電圧信号VHVは、リジッド配線部材710に設けられた配線wh6を伝搬し、駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-1,52b-2のそれぞれに供給される。
【0262】
また、例えば、配線wh2は、領域705で配線wh4に分岐する。配線wh4は、不図示のスルーホールを介してリジッド配線部材730に設けられたコンデンサーC7bに供給される。そして、コンデンサーC7bに供給された電圧信号VHVは、リジッド配線部材730に設けられた配線wh7を伝搬し、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4のそれぞれに供給される。
【0263】
また、例えば、配線wh2は、領域705で配線wh5に分岐する。配線wh5は、領域706,707を伝搬し、不図示のスルーホールを介してリジッド配線部材770に設けられたコネクターCN1aの端子TM1aに供給される。これにより、電圧信号VHVは、プリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200に供給される。
【0264】
以上のように、電圧信号VHVは、配線wh1を介して駆動回路基板700に入力され、配線wh2を伝搬することで、駆動回路基板700の各種の回路構成、及びプリントヘッド30に供給される。そのため、配線wh2には、駆動回路基板700の各種の回路構成、及びプリントヘッド30に供給される電圧信号VHVが伝搬するが故に、多くの電流が生じる。このような配線wh2をフレキシブル配線部材790において、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けることで、ビア配線等を設ける
必要がなく、それ故に、配線wh2におけるインピーダンス変動が生じるおそれが低減される。その結果、配線wh2で伝搬する電圧信号VHVの電圧値が変動するおそれが低減し、電圧信号VHVを電源電圧として動作する各種回路の動作の安定性も向上する。
【0265】
さらに、配線wh2を領域701,702,703,704,705にわたり、直線状に設けることで、配線wh2の屈曲部において電流密度の偏りが生じるおそれが低減する。その結果、配線wh2で伝搬する電圧信号VHVの電圧値が変動するおそれがさらに低減し、電圧信号VHVを電源電圧として動作する各種回路の動作の安定性がさらに向上する。なお、配線wh2には、配線wh3,wh4,wh5に加えて複数の分岐配線が電気的に接続されていてもよい。
【0266】
また、コネクターCN2bを介して入力された電圧信号VMVは、駆動回路基板700のフレキシブル配線部材790に設けられた配線wm1~wm3を伝搬し、駆動回路基板700に設けられた各種構成に入力される。
【0267】
配線wm1は、一端がコネクターCN2bの端子TM2bと電気的に接続され、x1軸に沿って-x1側に延在し、他端が、配線wm2と電気的に接続されている。
【0268】
配線wm2は、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けられている。このとき、配線wm2は、領域701,702,703,704,705にわたり、y1軸に沿って直線状に設けられていることが好ましい。そして、配線wm2を伝搬した電圧信号VMVは、領域701,703,705のそれぞれで分岐するとともに、不図示のスルーホールを介してリジッド配線部材710,730,750に設けられた各種回路に供給される。
【0269】
例えば、配線wm2は、領域703で配線wm3に分岐する。配線wm3は、不図示のスルーホールを介して電圧変換回路58に供給される。そして、電圧変換回路58は、供給される電圧信号VMVに基づいて、電圧信号VDDを生成し、出力する。
【0270】
以上のように、電圧信号VMVは、配線wm1を介して駆動回路基板700に入力され、配線wm2を伝搬することで、駆動回路基板700の各種の回路構成に供給される。そのため、配線wm2には、駆動回路基板700の各種の回路構成に供給される電圧信号VMVが伝搬するが故に、多くの電流が生じる。このような配線wm2をフレキシブル配線部材790において、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けることで、ビア配線等を設ける必要がなく、それ故に、配線wm2におけるインピーダンス変動が生じるおそれが低減される。その結果、配線wm2で伝搬する電圧信号VMVの電圧値が変動するおそれが低減し、電圧信号VMVを電源電圧として動作する各種回路の動作の安定性も向上する。
【0271】
さらに、配線wm2を領域701,702,703,704,705にわたり、直線状に設けることで、配線wm2の屈曲部において電流密度の偏りが生じるおそれが低減する。その結果、配線wm2で伝搬する電圧信号VMVの電圧値が変動するおそれがさらに低減し、電圧信号VMVを電源電圧として動作する各種回路の動作の安定性がさらに向上する。
【0272】
また、電圧変換回路58が出力する電圧信号VDDは、駆動回路基板700のフレキシブル配線部材790に設けられた配線wd1,wd2を伝搬し、駆動回路基板700に設けられた各種構成に入力される。
【0273】
配線wd1は、一端が電圧変換回路58と電気的に接続し、x1軸に沿って+x1側に
延在し、他端が、配線wd2と電気的に接続されている。
【0274】
配線wd2は、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けられている。このとき、配線wd2は、領域701,702,703,704,705にわたり、y1軸に沿って直線状に設けられていることが好ましい。そして、配線wd2を伝搬した電圧信号VDDは、領域701,703,705のそれぞれで分岐するとともに、不図示のスルーホールを介してリジッド配線部材710,730,750に設けられた各種回路に供給される。
【0275】
例えば、配線wd2は、領域701で配線wd3に分岐する。配線wd3は、不図示のスルーホールを介して吐出制御回路51を含むFPGAに供給される。そして、吐出制御回路51は、供給される電圧信号VDDに基づいて動作する。
【0276】
以上のように、電圧信号VDDは、配線wd1を介して駆動回路基板700に入力され、配線wd2を伝搬することで、駆動回路基板700の各種の回路構成に供給される。そのため、配線wd2には、駆動回路基板700の各種の回路構成に供給される電圧信号VDDが伝搬するが故に、多くの電流が生じる。このような配線wd2をフレキシブル配線部材790において、領域701,702,703,704,705にわたり、連続的に設けることで、ビア配線等を設ける必要がなく、それ故に、配線wd2におけるインピーダンス変動が生じるおそれが低減される。その結果、配線wd2で伝搬する電圧信号VDDの電圧値が変動するおそれが低減し、電圧信号VDDを電源電圧として動作する各種回路の動作の安定性も向上する。
【0277】
さらに、配線wd2を領域701,702,703,704,705にわたり、直線状に設けることで、配線wd2の屈曲部において電流密度の偏りが生じるおそれが低減する。その結果、配線wd2で伝搬する電圧信号VDDの電圧値が変動するおそれがさらに低減し、電圧信号VDDを電源電圧として動作する各種回路の動作の安定性がさらに向上する。
【0278】
次に、駆動回路基板700で生成された駆動信号COMA1~COMA4,COMB1~COMB4と、基準電圧信号VBSと、が伝搬する配線パターンの一例について説明する。図22は、駆動信号COM、及び基準電圧信号VBSが伝搬する配線パターンの一例を示す図である。
【0279】
駆動信号出力回路52a-1が出力する駆動信号COMA1は、配線wca1を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aに入力される。また、駆動信号出力回路52b-1が出力する駆動信号COMB1は、配線wcb1を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aに入力される。そして、駆動信号COMA1と駆動信号COMB1とは、コネクターCN1aの対応する端子TM1aを介して、吐出モジュール32-1が有する駆動信号選択回路200に入力される。
【0280】
同様に、駆動信号出力回路52a-2が出力する駆動信号COMA2は、配線wca2を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して、吐出モジュール32-2が有する駆動信号選択回路200に入力され、駆動信号出力回路52b-2が出力する駆動信号COMB2は、配線wcb2を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して、吐出モジュール32-2が有する駆動信号選択回路200に入力される。同様に、駆動信号出力回路52a-3が出力する駆動信号COMA3は、配線wca3を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して、吐出モジュール32-3が有する駆動信号選択回路200に入力され、駆動信号出力回路52b-3が出力する駆動信号COMB3は、配線wcb3を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して、吐出モジュール32-
3が有する駆動信号選択回路200に入力される。同様に、駆動信号出力回路52a-4が出力する駆動信号COMA4は、配線wca4を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して、吐出モジュール32-4が有する駆動信号選択回路200に入力され、駆動信号出力回路52b-4が出力する駆動信号COMB4は、配線wcb4を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して、吐出モジュール32-4が有する駆動信号選択回路200に入力される。
【0281】
駆動信号出力回路52a-1が有する集積回路500に含まれる基準電圧信号出力回路530が出力する基準電圧信号VBSは、配線wb1を伝搬し、コンデンサー53が電気的に接続される配線wb2に入力される。コンデンサー53に入力された基準電圧信号VBSは、配線wb4及び配線wb6を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して吐出モジュール32-1に含まれる圧電素子60の電極612に供給される。また、コンデンサー53に入力された基準電圧信号VBSは、配線wb4及び配線wb5を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して吐出モジュール32-2に含まれる圧電素子60の電極612に供給される。また、コンデンサー53に入力された基準電圧信号VBSは、配線wb3及び配線wb7を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して吐出モジュール32-3に含まれる圧電素子60の電極612に供給される。また、コンデンサー53に入力された基準電圧信号VBSは、配線wb3及び配線wb8を伝搬し、コネクターCN1aの端子TM1aを介して吐出モジュール32-4に含まれる圧電素子60の電極612に供給される。すなわち、基準電圧信号VBSは、コンデンサー53に入力された後、分岐し、吐出モジュール32-1~32-4のそれぞれが有する圧電素子60の電極612に供給される。
【0282】
このとき、吐出モジュール32-1に供給される駆動信号COMA1が伝搬する配線wca1の一部と、吐出モジュール32-1に供給される駆動信号COMB1が伝搬する配線wcb1の一部との間には、吐出モジュール32-1に供給される基準電圧信号VBSが伝搬する配線wb6が位置し、吐出モジュール32-1に供給される駆動信号COMA1が伝搬する配線wca1の異なる一部と、吐出モジュール32-1に供給される駆動信号COMB1が伝搬する配線wcb1の異なる一部との間には、グラウンド信号が伝搬する配線wgが位置している。
【0283】
同様に、吐出モジュール32-2に供給される駆動信号COMA2が伝搬する配線wca2の一部と、吐出モジュール32-2に供給される駆動信号COMB2が伝搬する配線wcb2の一部との間には、吐出モジュール32-2に供給される基準電圧信号VBSが伝搬する配線wb5が位置し、吐出モジュール32-2に供給される駆動信号COMA2が伝搬する配線wca2の異なる一部と、吐出モジュール32-2に供給される駆動信号COMB2が伝搬する配線wcb2の異なる一部との間には、グラウンド信号が伝搬する配線wgが位置している。
【0284】
同様に、吐出モジュール32-3に供給される駆動信号COMA3が伝搬する配線wca3の一部と、吐出モジュール32-3に供給される駆動信号COMB3が伝搬する配線wcb3の一部との間には、吐出モジュール32-3に供給される基準電圧信号VBSが伝搬する配線wb7が位置し、吐出モジュール32-3に供給される駆動信号COMA3が伝搬する配線wca3の異なる一部と、吐出モジュール32-3に供給される駆動信号COMB3が伝搬する配線wcb3の異なる一部との間には、グラウンド信号が伝搬する配線wgが位置している。
【0285】
同様に、吐出モジュール32-4に供給される駆動信号COMA4が伝搬する配線wca4の一部と、吐出モジュール32-4に供給される駆動信号COMB4が伝搬する配線wcb4の一部との間には、吐出モジュール32-4に供給される基準電圧信号VBSが
伝搬する配線wb8が位置し、吐出モジュール32-4に供給される駆動信号COMA4が伝搬する配線wca4の異なる一部と、吐出モジュール32-4に供給される駆動信号COMB4が伝搬する配線wcb4の異なる一部との間には、グラウンド信号が伝搬する配線wgが位置している。
【0286】
すなわち、駆動回路基板700は、駆動信号出力回路52a-1とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wca1と、駆動信号出力回路52b-1とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wcb1と、駆動信号出力回路52a-2とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wca2と、駆動信号出力回路52b-2とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wcb2と、駆動信号出力回路52a-3とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wca3と、駆動信号出力回路52b-3とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wcb3と、駆動信号出力回路52a-4とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wca4と、駆動信号出力回路52b-4とコネクターCN1aの端子TM1aとを電気的に接続する配線wcb4と、基準電圧信号出力回路530とコンデンサー53とを電気的に接続する配線wb1と、コンデンサー53とコネクターCN3aとを電気的に接続するとともに、配線wb1から分岐し、吐出モジュール32-1が有する圧電素子60の電極612に供給される基準電圧信号VBSを伝搬する配線wb6と、コンデンサー53とコネクターCN3aとを電気的に接続するとともに、配線wb1から分岐し、吐出モジュール32-2が有する圧電素子60の電極612に供給される基準電圧信号VBSを伝搬する配線wb5と、コンデンサー53とコネクターCN3aとを電気的に接続するとともに、配線wb1から分岐し、吐出モジュール32-3が有する圧電素子60の電極612に供給される基準電圧信号VBSを伝搬する配線wb7と、コンデンサー53とコネクターCN3aとを電気的に接続するとともに、配線wb1から分岐し、吐出モジュール32-4が有する圧電素子60の電極612に供給される基準電圧信号VBSを伝搬する配線wb8と、グラウンド信号が伝搬する配線wgと、を有する。
【0287】
そして、配線wca1は、一部が配線wb6と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wcb1は、一部が配線wb6と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wca2は、一部が配線wb5と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wcb2は、一部が配線wb5と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wca3は、一部が配線wb7と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wcb3は、一部が配線wb7と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wca4は、一部が配線wb8と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられ、配線wcb4は、一部が配線wb8と隣り合って設けられ、異なる一部が配線wgと隣り合って設けられている。
【0288】
以上のように構成されることで、吐出モジュール32-1に駆動信号COMA1,COMB1が供給されて生じる電流が、吐出モジュール32-1に基準電圧信号VBSを供給する配線wb6を介して帰還する。そのため、吐出モジュール32-1に駆動信号COMA1,COMB1が供給されて生じる電流によって生じた磁界は、吐出モジュール32-1に基準電圧信号VBSを供給する配線wb6を介して帰還する電流によって生じた磁界により打ち消される。その結果、吐出モジュール32-1に供給される駆動信号COMA1,COMB1の波形精度が向上する。さらに、吐出モジュール32-1に駆動信号COMA1,COMB1が伝搬される配線wca1,wcb1が、吐出モジュール32-1に基準電圧信号VBSを供給する配線wb6と隣り合わない区間において、吐出モジュール32-1に駆動信号COMA1,COMB1が伝搬される配線wca1,wcb1と隣り合ってグラウンド信号が伝搬する配線wgを設けることで、吐出モジュール32-1に供
給される駆動信号COMA1,COMB1にノイズが重畳するおそれが低減し、駆動信号COMA1,COMB1の波形精度がさらに向上する。
【0289】
同様に、吐出モジュール32-2に駆動信号COMA2,COMB2が供給されて生じる電流によって生じた磁界は、吐出モジュール32-2に基準電圧信号VBSを供給する配線wb5を介して帰還する電流によって生じた磁界により打ち消されるが故に、吐出モジュール32-2に供給される駆動信号COMA2,COMB2の波形精度が向上するとともに、駆動信号COMA2,COMB2が伝搬される配線wca2,wcb2が、配線wb5と隣り合わない区間において、配線wca2,wcb2と隣り合って配線wgを設けることで、駆動信号COMA2,COMB2にノイズが重畳するおそれが低減し、駆動信号COMA2,COMB2の波形精度がさらに向上する。
【0290】
同様に、吐出モジュール32-3に駆動信号COMA3,COMB3が供給されて生じる電流によって生じた磁界が、吐出モジュール32-3に基準電圧信号VBSを供給する配線wb7を介して帰還する電流によって生じた磁界により打ち消されるが故に、吐出モジュール32-3に供給される駆動信号COMA3,COMB3の波形精度が向上するとともに、駆動信号COMA3,COMB3が伝搬される配線wca3,wcb3が、配線wb7と隣り合わない区間において、配線wca3,wcb3と隣り合って配線wgを設けることで、駆動信号COMA3,COMB3にノイズが重畳するおそれが低減し、駆動信号COMA3,COMB3の波形精度がさらに向上する。
【0291】
同様に、吐出モジュール32-4に駆動信号COMA4,COMB4が供給されて生じる電流によって生じた磁界は、吐出モジュール32-4に基準電圧信号VBSを供給する配線wb8を介して帰還する電流によって生じた磁界により打ち消されるが故に、吐出モジュール32-4に供給される駆動信号COMA4,COMB4の波形精度が向上するとともに、駆動信号COMA4,COMB4が伝搬される配線wca4,wcb4が、配線wb8と隣り合わない区間において、配線wca4,wcb4と隣り合って配線wgを設けることで、駆動信号COMA4,COMB4にノイズが重畳するおそれが低減し、駆動信号COMA4,COMB4の波形精度がさらに向上する。
【0292】
次に、各種回路が設けられた駆動回路基板700の組立状態における部品配置について説明する。図23は、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って+x2側から見た場合における部品配置の一例を示す図であり、図24は、組立状態の駆動回路基板700をy2軸に沿って-y2側から見た場合における部品配置の一例を示す図である。
【0293】
前述のとおり、組立状態の駆動回路基板700において、駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-1,52b-2が設けられたリジッド配線部材710の面723と、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4が設けられたリジッド配線部材730の面743とは、x2軸に沿った方向において向かい合って位置している。このとき、図23に示すように、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、リジッド配線部材710の面723に設けられた駆動信号出力回路52a-1と、リジッド配線部材730の面743に設けられた駆動信号出力回路52b-4とは、少なくとも一部が重なるように配置され、且つ、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500と、駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500とは、重ならないように配置されている。
【0294】
また、この場合において駆動信号出力回路52a-1に含まれるトランジスターM1,M2が、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-4に含まれるトランジスターM1,M2と重ならないように配置されてもよい。さらに、駆動信号出力回路52a-1に含まれるインダクターL1は、x2軸に沿った方向に沿って見た場合
に、駆動信号出力回路52b-4に含まれるインダクターL1と重ならないように配置されていてもよい。
【0295】
ここで、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1と駆動信号出力回路52b-4とが、少なくとも一部と重なるように配置されるとは、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-1に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-4に含まれる電子部品の少なくともいずれかとが、重なることを意味し、例えば、駆動信号出力回路52a-1に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-4に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、が重なっていることが含まれる。
【0296】
同様に、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、リジッド配線部材710の面723に設けられた駆動信号出力回路52b-1と、リジッド配線部材730の面743に設けられた駆動信号出力回路52a-4とは、少なくとも一部が重なるように配置され、且つ、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500と、駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500とは、重ならないように配置されている。
【0297】
また、この場合において駆動信号出力回路52b-1に含まれるトランジスターM1,M2が、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-4に含まれるトランジスターM1,M2と重ならないように配置されてもよい。さらに、駆動信号出力回路52b-1に含まれるインダクターL1は、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-4に含まれるインダクターL1と重ならないように配置されていてもよい。
【0298】
ここで、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-1と駆動信号出力回路52a-4とが、少なくとも一部と重なるように配置されるとは、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-1に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-4に含まれる電子部品の少なくともいずれかとが、重なることを意味し、例えば、駆動信号出力回路52b-1に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-4に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、が重なっていることが含まれる。
【0299】
同様に、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、リジッド配線部材710の面723に設けられた駆動信号出力回路52a-2と、リジッド配線部材730の面743に設けられた駆動信号出力回路52b-3とは、少なくとも一部が重なるように配置され、且つ、駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500と、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500とは、重ならないように配置されている。
【0300】
また、この場合において駆動信号出力回路52a-2に含まれるトランジスターM1,M2が、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-3に含まれるトランジスターM1,M2と重ならないように配置されてもよい。さらに、駆動信号出力回路52a-2に含まれるインダクターL1は、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-3に含まれるインダクターL1と重ならないように配置されていてもよい。
【0301】
ここで、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-2と駆動信号出力回路52b-3とが、少なくとも一部と重なるように配置されるとは、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-2に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-3に含まれる電子部品の少なくともいずれかとが、重なることを意味し、例えば、駆動信号出力回路52a-2に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52b-3に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、が重なっていることが含まれる。
【0302】
同様に、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、リジッド配線部材710の面723に設けられた駆動信号出力回路52b-2と、リジッド配線部材730の面743に設けられた駆動信号出力回路52a-3とは、少なくとも一部が重なるように配置され、且つ、駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500と、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500とは、重ならないように配置されている。
【0303】
また、この場合において駆動信号出力回路52b-2に含まれるトランジスターM1,M2が、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3に含まれるトランジスターM1,M2と重ならないように配置されてもよい。さらに、駆動信号出力回路52b-2に含まれるインダクターL1は、x2軸に沿った方向に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52a-3に含まれるインダクターL1と重ならないように配置されていてもよい。
【0304】
ここで、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-2と駆動信号出力回路52a-3とが、少なくとも一部と重なるように配置されるとは、組立状態の駆動回路基板700をx2軸に沿って見た場合に、駆動信号出力回路52b-2に含まれる電子部品の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-3に含まれる電子部品の少なくともいずれかとが、重なることを意味し、例えば、駆動信号出力回路52b-2に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、駆動信号出力回路52a-3に含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、インダクターL1の少なくともいずれかと、が重なっていることが含まれる。
【0305】
また、図23に示すように組立状態の駆動回路基板700では、リジッド配線部材710に設けられたコネクターCN3aと、リジッド配線部材770に設けられたコネクターCN3bとが、嵌合することでリジッド配線部材710がリジッド配線部材770に固定される。これにより、略箱形状である駆動回路基板700の組立状態が、コネクターCN3aとコネクターCN3bとによって保持される。すなわち、駆動回路基板700は、リジッド配線部材710に設けられたコネクターCN3aと、リジッド配線部材770に設けられたコネクターCN3bと、を有し、コネクターCN3aとコネクターCN3bとが嵌合し、リジッド配線部材710がリジッド配線部材770に固定されることで、駆動回路基板700の組立状態が保持される。換言すれば、コネクターCN3aとコネクターCN3bとを含むコネクターCN3は、駆動回路基板700が組立状態を保持する保持部材として機能する。
【0306】
これにより、駆動回路基板700は、略箱形状の組立状態を保持するための枠組みを設ける必要がなく、それ故に、液体吐出装置1における駆動回路基板700の搭載面積をさらに小さくすることができ、駆動回路基板700のさらなる密集配置、及び、液体吐出装
置1のさらなる小型化を実現できる。
【0307】
さらに、コネクターCN3aとコネクターCN3bとは、嵌合されることでリジッド配線部材710とリジッド配線部材770とを電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN3を構成する。すなわち、リジッド配線部材710とリジッド配線部材770とは、コネクターCN3a及びコネクターCN3bを介して電気的に接続される。これにより、リジッド配線部材710に設けられた回路で生成された信号を、リジッド配線部材730,750を介さずに、コネクターCN3a及びコネクターCN3bを介してリジッド配線部材770に供給することができる。これにより、リジッド配線部材710に設けられた回路で生成された信号が、リジッド配線部材770に伝搬する伝搬経路を短くすることができ、当該信号にノイズが重畳するおそれが低減し、その結果、当該信号の精度が向上する。
【0308】
このとき、コネクターCN3a及びコネクターCN3bを介して伝搬する信号としては、リジッド配線部材710で生成された信号の一部であって、FPGAで構成された吐出制御回路51が出力するクロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptが好ましい。換言すれば、クロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptが、コネクターCN3a及びコネクターCN3bを介してプリントヘッド30に伝搬されることが好ましい。
【0309】
FPGAで構成された吐出制御回路51が出力するクロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptは、低電圧の信号でありノイズの影響を受けやすく、また、プリントヘッド30の動作を制御する信号であるが故に、仮にノイズが重畳した場合、プリントヘッド30からのインクの吐出精度に直結する。このような信号をコネクターCN3a及びコネクターCN3bを介して伝搬することで、プリントヘッド30に入力されるクロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptの精度が向上し、インクの吐出精度が向上する。
【0310】
2.2.3.3 中継基板の構造
次に、駆動回路モジュール50が有する中継基板150の構造について説明する。図25は、中継基板150の構造の一例を示す平面図であり、図26は、中継基板150の構造の一例を示す側面図である。図25及び図26に示すように、中継基板150は、面151と、面151とは反対の面152と、辺153,154,155,156と、を含む。また、中継基板150において、辺153と辺154とは互いに向かい合って位置し、辺155と辺156とは互いに向かい合って位置し、辺153は、辺155及び辺156の双方と交差するように位置し、辺154は、辺155及び辺156の双方と交差するように位置している。
【0311】
中継基板150の面151には、FFCケーブル21の他端とFFCケーブル22の他端とが電気的に接続されている。FFCケーブル21は、駆動回路基板700に供給される電圧信号VHV、及び電圧信号VMVを伝搬し、FFCケーブル22は、駆動回路基板700に供給されるクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddを伝搬する。すなわち、FFCケーブル21は、電圧信号VHVを伝搬する信号配線と、電圧信号VMVを伝搬する信号配線と、を含む複数の信号配線を含み、FFCケーブル22は、クロック信号SCKを伝搬する信号配線と、差動印刷データ信号Dpを伝搬する信号配線と、差動駆動データ信号Ddを伝搬する信号配線と、を含む複数の信号配線を含む。ここで、FFCケーブル21及びFFCケーブル22は、不図示のFFCコネクターを介して中継基板150と電気的に接続されてもよく、はんだ等によって中継基板150と電気的に接続されてもよい。
【0312】
中継基板150の面152には、コネクターCN2aが設けられている。コネクターC
N2aは、駆動回路基板700に設けられたコネクターCN2bと嵌合する。これにより、中継基板150と駆動回路基板700とが電気的に接続される。すなわち、コネクターCN2aとコネクターCN2bとは、中継基板150と駆動回路基板700とをケーブルを介さずに直接電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN2を構成する。
【0313】
以上のように構成された中継基板150には、FFCケーブル21を伝搬する電圧信号VHV、及び電圧信号VMVと、FFCケーブル22を伝搬するクロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddと、が入力される。中継基板150は、入力された電圧信号VHV、電圧信号VMV、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号DdをコネクターCN2aに伝搬する。そして、コネクターCN2aに伝搬された電圧信号VHV、電圧信号VMV、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddが、コネクターCN2bを介して駆動回路基板700に入力される。
【0314】
以上のように中継基板150には、FFCケーブル21及びFFCケーブル22を伝搬した複数の信号が入力される。中継基板150は、入力される信号を伝搬し、BtoBコネクターであるコネクターCN2を介して駆動回路基板700に出力する。すなわち、中継基板150は、複数のケーブルを介して入力される信号を伝搬する。そして、中継基板150は、信号が伝搬するケーブルの数よりも少ない数のコネクターであって好ましくは1個のコネクターを介して出力する。
【0315】
これにより、液体吐出モジュール20に接続されるケーブルの数が増加した場合であっても、中継基板150に設けられたコネクターCN1aと、駆動回路基板700に設けられたコネクターCN1bと、を着脱するのみで、液体吐出モジュール20が有する駆動回路基板700、及び駆動回路基板700と電気的に接続されたプリントヘッド30を液体吐出装置1から容易に着脱することができる。その結果、駆動回路基板700、及び駆動回路基板700と電気的に接続されたプリントヘッド30の交換やメンテナンス、組立の際の作業性が向上する。その結果、液体吐出装置1の利便性が向上する。
【0316】
さらに、液体吐出モジュール20が有する駆動回路基板700、及びプリントヘッド30の着脱が容易となることで、当該着脱を行う際に確保すべき空間を小さくすることができる。これにより、液体吐出装置1が備える液体吐出モジュール20のさらなる密集配置が可能となり、その結果、液体吐出装置1のさらなる小型化が実現できる。
【0317】
以上のように構成された液体吐出装置1において、中継基板150と駆動回路基板700とを電気的に接続するBtoBコネクターであるコネクターCN2の内、中継基板150に設けられるコネクターCN2aはストレート型コネクターであって、駆動回路基板700に設けられるコネクターCN2bはライトアングル型コネクターであることが好ましい。これにより、駆動回路基板700のコネクターCN2bに中継基板150のコネクターCN2aを着脱する場合に、中継基板150を面152の法線方向に沿って移動させればよく、着脱の際に確保すべき空間をさらに小さくすることができる。その結果、液体吐出装置1における液体吐出モジュール20のさらなる集密配置が可能となり、液体吐出装置1のさらなる小型化を実現できる。
【0318】
このような中継基板150において、コネクターCN2aとコネクターCN2bとの着脱可能回数は、中継基板150と電気的に接続されるFFCケーブル21の着脱可能回数よりも多く、中継基板150と電気的に接続されるFFCケーブル22の着脱可能回数よりも多いことが好ましい。
【0319】
ここで、着脱可能回数とは、電気的接続に対する所望の信頼性を満たすことができる着脱の回数を意味し、例えば、着脱により生じ得る接触部の端子メッキの摩耗状態や当該端子メッキの下地の露出状態等に基づいて規定される。具体的には、コネクターCN2aとコネクターCN2bとの着脱可能回数は、コネクターCN2a及びコネクターCN2bの仕様に基づいて規定される挿抜回数であってもよい。また、FFCケーブル21,22の着脱可能回数は、FFCケーブル21,22がFFCコネクターを介して中継基板150と電気的に接続される場合であっては、当該FFCコネクターの挿抜回数であってもよく、FFCケーブル21,22がはんだ等によって中継基板150と直接電気的に接続される場合であっては、FFCケーブル21,22のはんだ付け条件に基づくはんだ付け可能回数であってもよい。
【0320】
本実施形態の中継基板150は、FFCケーブル21,22を介して伝搬される信号を、コネクターCN2aから出力することで、コネクターCN2aのみの着脱で、液体吐出モジュール20の着脱を可能としている。このようなコネクターCN2aの着脱可能回数を、FFCケーブル21,22の着脱可能回数よりも多くすることで、中継基板150の着脱が繰り返し行われた場合であっても、中継基板150と駆動回路基板700、及びプリントヘッド30との電気的接続の信頼性が損なわれるおそれが低減する。その結果、液体吐出モジュール20の動作の安定性、及び液体吐出装置1の信頼性が向上する。
【0321】
また、中継基板150は、面151と面152とを貫通する貫通孔158を有する。貫通孔158には、冷却ファン59の一部が挿通される。これにより冷却ファン59は、少なくとも一部が貫通孔158を挿通した状態で中継基板150に固定される。すなわち、中継基板150と冷却ファン59とは一体構成となっている。そのため、中継基板150を駆動回路基板700から取り外した場合、冷却ファン59も中継基板150とともに駆動回路基板700から分離され、中継基板150を駆動回路基板700に取り付けた場合、冷却ファン59も中継基板150とともに駆動回路基板700に取り付けられる。
【0322】
これにより、駆動回路基板700の冷却に際して冷却ファン59を用いた場合であっても、冷却ファン59が、中継基板150の駆動回路基板700及びプリントヘッド30からの着脱を阻害するおそれが低減される。なお、本実施形態の冷却ファン59は、中継基板150に形成された貫通孔158を挿通することで中継基板150に固定されるとして説明を行ったが、中継基板150に冷却ファン59を固定する不図示の保持部材等によって中継基板150に固定されてもよい。
【0323】
さらに、中継基板150に冷却ファン59が固定されている場合、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpは、駆動回路基板700に供給されることなく冷却ファン59に供給されることが好ましい。具体的には、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpは、電圧信号VHV,VMVと共にFFCケーブル21で伝搬され、中継基板150に供給される。そして、ファン駆動信号Fpは、中継基板150を伝搬し冷却ファン59に供給される。換言すれば、FFCケーブル21は、駆動回路基板700を駆動する電圧信号VHVを伝搬する信号配線と、駆動回路基板700を駆動する電圧信号VMVを伝搬する信号配線と、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを伝搬する信号配線と、を含み、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを伝搬する信号配線は、中継基板150と電気的に接続され、ファン駆動信号Fpは中継基板150を伝搬し冷却ファン59に入力される。
【0324】
中継基板150と冷却ファン59とが一体に構成されている場合に、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを中継基板150で伝搬し、冷却ファン59に供給することで、駆動回路基板700にファン駆動信号Fpが伝搬する配線を設ける必要がなく、その結果、駆動回路基板700が大きくなるおそれが低減される。すなわち、駆動回路基板7
00が大きくなるおそれが低減し、且つ、液体吐出装置1の着脱性を維持することができる。
【0325】
また、図示を省略するが、中継基板150に冷却ファン59が固定されている状態において、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpは、中継基板150を伝搬することなく、冷却ファン59に供給されてもよい。具体的には、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpは、電圧信号VHV,VMVと共にFFCケーブル21で伝搬される。このとき、ファン駆動信号Fpを伝搬する信号配線をFFCケーブル21から分岐し、分岐した信号配線を冷却ファン59に直接電気的に接続する。これにより、ファン駆動信号Fpは、中継基板150を伝搬せず冷却ファン59に供給される。換言すれば、FFCケーブル21は、駆動回路基板700を駆動する電圧信号VHVを伝搬する信号配線と、駆動回路基板700を駆動する電圧信号VMVを伝搬する信号配線と、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを伝搬する信号配線と、を含み、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを伝搬する信号配線は、冷却ファン59と電気的に接続し、ファン駆動信号Fpは中継基板150を伝搬せず冷却ファン59に入力されてもよい。
【0326】
中継基板150と冷却ファン59とが一体に構成されている場合に、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを中継基板150で伝搬せず、直接冷却ファン59に供給した場合であっても、駆動回路基板700にファン駆動信号Fpが伝搬する配線を設ける必要がなく、その結果、駆動回路基板700が大きくなるおそれが低減される。すなわち、駆動回路基板700の冷却に際して冷却ファン59を用いた場合であっても、駆動回路基板700が大きくなるおそれが低減し、且つ、液体吐出装置1の着脱性を維持することができる。
【0327】
以上のように、中継基板150と冷却ファン59とが一体に構成された場合、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを中継基板150で伝搬し、冷却ファン59に供給した場合と、中継基板150と冷却ファン59とが一体に構成された場合に、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを中継基板150で伝搬せず、直接冷却ファン59に供給した場合と、では共に、駆動回路基板700が大きくなるおそれが低減し、且つ、液体吐出装置1の着脱性を維持することができるとの効果を奏する。
【0328】
さらに、中継基板150と冷却ファン59とが一体に構成された場合に、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを中継基板150で伝搬し、冷却ファン59に供給した場合には、中継基板150に所定の回路を設けることで、ファン駆動信号Fpの電圧値の調整や、ファン駆動信号Fpに含まれるノイズの除去が可能となる。これにより、冷却ファン59の駆動精度を高めることができ、駆動回路基板700が有する各種回路の動作の安定性が向上する。その結果、プリントヘッド30からのインクの吐出精度が向上する。
【0329】
一方で、中継基板150と冷却ファン59とが一体に構成された場合に、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpを中継基板150で伝搬せず、直接冷却ファン59に供給した場合には、中継基板150にファン駆動信号Fpが伝搬する配線を設ける必要がなく、これにより、中継基板150の小型化が可能となる。その結果、液体吐出モジュール20のさらなる密集配置が可能となり、液体吐出装置1のさらなる小型化が可能となる。
【0330】
2.2.3.4 駆動回路モジュールの構造
以上のように構成された駆動回路基板700、及び中継基板150を有する駆動回路モジュール50の構造について説明する。図27は、駆動回路モジュール50をx2軸に沿って-x2側から見た図である。図28は、駆動回路モジュール50をx2軸に沿って+x2側から見た図である。図29は、駆動回路モジュール50をy2軸に沿って-y2側から見た図である。図30は、駆動回路モジュール50をz2軸に沿って+z2側から見
た図である。ここで、図27図30には、駆動回路モジュール50に加えて、駆動回路モジュール50が接続されるプリントヘッド30の一部を破線で示している。
【0331】
図27及び図29に示すように、駆動回路基板700の-x2側の外面側であって、駆動回路基板700が有するリジッド配線部材710の面724側には、ヒートシンク180が位置している。このヒートシンク180は、リジッド配線部材710に取り付けられる。このとき、図29に示すように、ヒートシンク180とリジッド配線部材710の面724との間には、熱伝導部材185が位置している。これにより、ヒートシンク180と面724との密着性が向上し、面724を含むリジッド配線部材710で生じた熱を効率よく放出できるとともに、ヒートシンク180と面724との間の絶縁性能を高めることができる。すなわち、ヒートシンク180は、リジッド配線部材710の面723よりも面724の近くであって、x2軸に沿った方向においてリジッド部材721,741,742よりもリジッド部材722の近くに位置し、リジッド配線部材710に取り付けられ、熱伝導部材185は、ヒートシンク180とリジッド配線部材710の面724との間に位置し、ヒートシンク180及びリジッド配線部材710の面724の双方と接触している。そして、ヒートシンク180及び熱伝導部材185は、リジッド配線部材710に設けられた各種回路で生じた熱を大気中に放出する。
【0332】
ここで、ヒートシンク180及び熱伝導部材185は、駆動回路モジュール50をx2軸に沿って-x2側から+x2側に向かって見た場合に、少なくとも一部がリジッド配線部材710に設けられた駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2と重なるように位置している。駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2は、リジッド配線部材710に設けられる回路の内、発熱量が大きい回路であり、このような駆動信号出力回路52a-1,52b-1,52a-2,52b-2と重なる位置にヒートシンク180及び熱伝導部材185が位置することで、リジッド配線部材710で生じた熱を効率よく大気中に放出することができる。
【0333】
また、図28及び図29に示すように、駆動回路基板700の+x2側の外面側であって、駆動回路基板700が有するリジッド配線部材730の面744側には、ヒートシンク170が位置している。このヒートシンク170は、リジッド配線部材730に取り付けられる。このとき、図29に示すように、ヒートシンク170とリジッド配線部材730の面744との間には、熱伝導部材175が位置している。これにより、ヒートシンク170と面744との密着性が向上し、面744を含むリジッド配線部材730で生じた熱を効率よく放出できるとともに、ヒートシンク170と面744との間の絶縁性能を高めることができる。
【0334】
すなわち、ヒートシンク170は、リジッド配線部材730の面743よりも面744の近くであって、x2軸に沿った方向においてリジッド部材721,722,741よりもリジッド部材742の近くに位置し、リジッド配線部材730に取り付けられ、熱伝導部材175は、ヒートシンク170とリジッド配線部材730の面744との間に位置し、ヒートシンク170及びリジッド配線部材730の面744の双方と接触している。そして、ヒートシンク170及び熱伝導部材175は、リジッド配線部材730に設けられた各種回路で生じた熱を大気中に放出する。
【0335】
ここで、ヒートシンク170及び熱伝導部材175は、駆動回路モジュール50をx2軸に沿って+x2側から-x2側に向かって見た場合に、少なくとも一部がリジッド配線部材730に設けられた駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4と重なるように位置している。駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4は、リジッド配線部材730に設けられる回路の内、発熱量が大きい回路であり、このような駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4
と重なるようにヒートシンク170及び熱伝導部材175が位置することで、リジッド配線部材730で生じた熱を効率よく大気中に放出することができる。
【0336】
また、ヒートシンク170及び熱伝導部材175が位置するリジッド配線部材730の面744には、異常報知回路55a,55bが位置している。換言すれば、異常報知回路55a,55bは、リジッド配線部材730の面744であって、リジッド部材742に設けられている。
【0337】
ここで、前述のとおり、異常報知回路55aは、異常検出回路54aにおける異常検出の結果に基づいて点灯、消灯、若しくは点滅し、異常検出回路54aは、電圧信号VHVの電圧値が正常であるか否かを検出する。また、異常報知回路55bは、異常検出回路54bにおける異常検出の結果に基づいて点灯、消灯、若しくは点滅し、異常検出回路54bは、電圧信号VMVに基づいて生成された電圧信号VDDの電圧値が正常であるか否かを検出する。すなわち、異常報知回路55aは、駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4、及びプリントヘッド30の電源電圧として機能する電圧信号VHVの電圧値の異常の有無を検出し、異常報知回路55bは、吐出制御回路51を構成するFPGAに供給される電源電圧の異常の有無を検出する。そのため、ヒートシンク170及び熱伝導部材175は、異常報知回路55a,55bの点灯状態を使用者が視認可能なようにリジッド配線部材730に取り付けられる。なお、異常検出回路54a,54bは、上述した電圧信号VHV,VDDの異常に加えて、駆動回路モジュール50の各種の異常を検出してもよく、異常報知回路55a,55bは、上述した電圧信号VHV,VDDの異常に加えて、駆動回路モジュール50の各種の異常を報知してもよい。
【0338】
具体的には、図28及び図29に示すようにヒートシンク170は、開口172を有する。開口172は、ヒートシンク170がリジッド配線部材730に取り付けられた場合に、リジッド配線部材730の面744に設けられた異常報知回路55a,55bと重なる位置に設けられる。すなわち、駆動回路基板700を、リジッド部材742からリジッド部材741に向かう方向に沿って見た場合に、異常報知回路55a,55bは、開口172の少なくとも一部と重なるように位置している。これにより、ヒートシンク170及び熱伝導部材175によるリジッド配線部材730の熱の放出効率が低下するおそれを低減しつつ、駆動回路モジュール50に異常が生じているか否かを視覚的に使用者に報知することができる。なお、開口172は、駆動回路基板700をリジッド部材742からリジッド部材741に向かう方向に沿って見た場合に、異常報知回路55a,55bが配置される位置にヒートシンク170及び熱伝導部材175が配置されなければよく、例えば、切り欠きなどであってもよい。
【0339】
ここで、前述のとおり、ヒートシンク170及び熱伝導部材175は、少なくとも一部が駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4と重なるように位置していればよい。そのため、リジッド部材742からリジッド部材741に向かう方向に沿って見た場合に、異常報知回路55a,55bは、駆動信号出力回路52a-3,52b-3,52a-4,52b-4と重ならないように位置する。これにより、ヒートシンク170及び熱伝導部材175によるリジッド配線部材730の熱の放出効率が低下するおそれを低減しつつ、駆動回路モジュール50に異常が生じているか否かを視覚的に使用者に報知することができる。
【0340】
また、図27図28、及び図30に示すように中継基板150は、駆動回路基板700の+z2側に位置し、コネクターCN2を介して駆動回路基板700と電気的に接続されている。このとき、中継基板150は、辺153が、リジッド配線部材710の辺711に沿って位置し、辺154が、リジッド配線部材730の辺731に沿って位置し、中継基板150の面152の法線方向が、リジッド配線部材710の面723の法線方向、
及びリジッド配線部材730の面743の法線方向の双方と交差するように駆動回路基板700の+z2側に設けられている。すなわち、中継基板150は、駆動回路基板700が構成する略箱形状の一面を構成するように設けられている。このとき、中継基板150の面151が当該略箱形状の外面を構成し、中継基板150の面152が当該略箱形状の内面を構成する。このとき、中継基板150に固定された冷却ファン59は、中継基板150の面151側の空気を中継基板150の面152側に送風し、又は、中継基板150の面152側の空気を中継基板150の面151側に送風する。これにより、冷却ファン59は、略箱形状の駆動回路基板700の内側であって、駆動回路基板700のリジッド配線部材710に含まれる面723と、リジッド配線部材730に含まれる面743とが向かい合う間の空間において、リジッド配線部材770の面783に向かう気流を生じさせる。換言すれば、略箱形状の駆動回路基板700は、リジッド配線部材710に含まれる面723と、リジッド配線部材730に含まれる面743と、リジッド配線部材770に含まれる面783と、を含んで構成された気体流路を有し、中継基板150に設けられた冷却ファン59は、当該気体流路に気流を生じさせる。そして、冷却ファン59は、当該気流によって駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4を冷却する。換言すれば、冷却ファン59は、駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4を冷却する気流を生じさせる。これにより、駆動回路基板700が略箱形状に組み立てられている場合であっても、当該略箱形状の内部の気体が循環し、当該略箱形状の内部に配置されている駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4の冷却効率をさらに高めることができる。
【0341】
この場合において、リジッド配線部材710に設けられたコンデンサーC7a、及びリジッド配線部材730に設けられたコンデンサーC7bは、冷却ファン59の近傍に設けられていることが好ましい。電解コンデンサーとして構成されるコンデンサーC7a,C7bは、表面実装部品として構成される集積回路500やトランジスターM1,M2に比べて、部品高さが大きく、駆動回路基板700への接触面積が小さい。それ故に、コンデンサーC7a,C7bで生じた熱の駆動回路基板700への放出量は少ない。このようなコンデンサーC7a,C7bを冷却ファン59の近傍に配置することで、コンデンサーC7a,C7bを当該冷却ファン59により生じた気流によって効率よく冷却することができる。これにより、コンデンサーC7a,C7bの冷却効率が向上し、駆動回路モジュール50の上昇温度が低減される。
【0342】
換言すれば、コンデンサーC7aと冷却ファン59との最短距離が、トランジスターM1,M2と冷却ファン59との最短距離よりも小さく、コンデンサーC7bと冷却ファン59との最短距離が、トランジスターM1,M2と冷却ファン59との最短距離よりも小さいことで、コンデンサーC7a,C7bの冷却効率が向上し、その結果、駆動回路モジュール50の温度上昇が低減される。
【0343】
また、図27図28、及び図29に示すように、組立状態の駆動回路基板700の-y2側には、開口板160が位置している。開口板160は、x2z2平面に延在する板状部材であって、開口板160には、当該板状部材を貫通する開口161,162,163,164が形成されている。そして、図29に示すように、開口板160は、組立状態の駆動回路基板700の略箱形状の1面を構成する。また、開口板160は、板状部材である開口板160の法線方向に沿って見た場合に、開口161が、駆動信号出力回路52a-1のインダクターL1の少なくとも一部、及び駆動信号出力回路52a-2のインダクターL1の少なくとも一部と重なり、開口162が、駆動信号出力回路52b-4のインダクターL1の少なくとも一部、及び駆動信号出力回路52b-3のインダクターL1の少なくとも一部と重なり、開口163が、コンデンサーC7aの少なくとも一部と重なり、開口164が、コンデンサーC7bの少なくとも一部と重なるように位置している。
【0344】
冷却ファン59によって組立状態の駆動回路基板700の内部に生じた気流は、開口161,162,163,164を通過する。このとき、駆動回路基板700の内部に生じた気流の流速は、開口161,162,163,164付近において最速となる。このような流速が大きな開口161,162,163,164付近に部品高さが大きな駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-4,52b-3のそれぞれが有するインダクターL1と、コンデンサーC7a,C7bとが位置することで、冷却ファン59により生じた気流によって当該インダクターL1、及びコンデンサーC7a,C7bを効率よく冷却することができる。
【0345】
駆動信号出力回路52が有するインダクターL1や、コンデンサーC7a,C7bのような部品高さの大きな電子部品は、集積回路500やトランジスターM1,M2等の表面実装部品と比較して、駆動回路基板700への接触面積が小さく、それ故に、熱の駆動回路基板700への放出量は少ない。そのため、駆動回路基板700に取り付けられたヒートシンク170,180のみでは、部品高さの大きな駆動信号出力回路52が有するインダクターL1や、コンデンサーC7a,C7bを十分に冷却できない可能性があった。
【0346】
このような部品高さの大きなインダクターL1、及びコンデンサーC7a,C7bを、気流の流速が大きな開口161,162,163,164付近に配置することで、部品高さが大きなインダクターL1、及びコンデンサーC7a,C7bであっても、冷却ファン59により生じた気流によって効率よく冷却することができ、その結果、駆動回路モジュール50の上昇温度が低減される。
【0347】
この場合において、開口板160は、駆動信号出力回路52a-1のインダクターL1が開口161の全てを覆わず、駆動信号出力回路52b-4のインダクターL1が開口162の全てを覆わず、コンデンサーC7aが開口163の全てを覆わず、コンデンサーC7bが開口164の全てを覆わないように配置されていることが好ましい。
【0348】
すなわち、開口板160は、板状部材である開口板160の法線方向に沿って見た場合に、開口161の少なくとも一部が、駆動信号出力回路52a-1のインダクターL1と重ならず、開口162の少なくとも一部が、駆動信号出力回路52b-4のインダクターL1と重ならず、開口163の少なくとも一部が、コンデンサーC7aと重ならず、開口164の少なくとも一部が、コンデンサーC7bと重ならないように位置することが好ましい。
【0349】
これにより、開口161,162,163,164を通過する気流が駆動信号出力回路52a-1のインダクターL1、駆動信号出力回路52b-4のインダクターL1、コンデンサーC7a、及びコンデンサーC7bにより遮られるおそれが低減し、駆動回路モジュール50において局所的な温度上昇が生じるおそれが低減する。
【0350】
以上のように駆動回路モジュール50は、駆動回路基板700と、中継基板150と、開口板160と、駆動回路基板700に取り付けられたヒートシンク170,180と、を有する。そして、駆動回路モジュール50は、中継基板150を介して入力される各種信号に基づいて動作することで、プリントヘッド30の動作を制御するための各種の制御信号を生成し、コネクターCN1を介してプリントヘッド30に出力する。
【0351】
このような駆動回路モジュール50をz2軸に沿って見た場合の大きさは、プリントヘッド30をコネクターCN1bから吐出部600に向かい見た場合の大きさよりも小さく、図30に示すように、コネクターCN1aがプリントヘッド30に取り付けられている状態において、駆動回路モジュール50は、プリントヘッド30の内側に配置されている。すなわち、駆動回路モジュール50に含まれる駆動回路基板700において、リジッド
配線部材770をリジッド部材781からリジッド部材782に向かう方向に沿って見た場合のリジッド部材781及びリジッド部材782の大きさは、コネクターCN1bから吐出部600に向かう方向に沿って見た場合のプリントヘッド30の大きさよりも小さく、コネクターCN1a,CN1bによって、駆動回路基板700はプリントヘッド30に電気的に接続されている状態において、駆動回路モジュール50に含まれる駆動回路基板700は、プリントヘッド30の内側に位置している。
【0352】
これにより、駆動回路基板700、及び駆動回路基板700と電気的に接続されたプリントヘッド30を有する液体吐出モジュール20を液体吐出装置1に取り付ける場合に、多くの回路部品が設けられる駆動回路基板700の大きさによって、液体吐出モジュール20の配置に制約が生じるおそれが低減する。その結果、液体吐出装置1における液体吐出モジュール20のさらなる集密配置が可能となり、液体吐出装置1が大型化するおそれが低減する。
【0353】
さらに、前述のとおり、本実施形態の駆動回路基板700は、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材710の大きさと駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材730の大きさとは略等しく、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材750の大きさは、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材710の大きさ、及び駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材730の大きさよりも小さく、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材770の大きさは、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材710の大きさ、及び、駆動回路基板700をz1軸に沿って見た場合のリジッド配線部材730の大きさよりも小さい。換言すれば、駆動回路基板700をリジッド部材781からリジッド部材782に向かう方向に沿って見た場合のリジッド部材781の大きさは、リジッド部材721からリジッド部材722に向かう方向に沿って見た場合のリジッド部材721の大きさよりも小さく、且つ、リジッド部材741からリジッド部材742に向かう方向に沿って見た場合のリジッド部材741の大きさよりも小さい。
【0354】
これにより、液体吐出モジュール20が有する駆動回路基板700における電子部品の実装面積を大きくすることが可能となる。これにより、プリントヘッド30が有する吐出部600の数が増加したことで、駆動回路基板700に実装される部品点数が増加した場合であっても、液体吐出装置1における液体吐出モジュール20の集密配置が可能となり、液体吐出装置1が大型化するおそれが低減する。
【0355】
ここで、駆動回路モジュール50が基板ユニットの一例である。また、吐出モジュール32-1に含まれる圧電素子60が第1圧電素子の一例であり、吐出モジュール32-1に含まれる吐出部600が第1吐出部の一例であり、吐出モジュール32-3に含まれる圧電素子60が第2圧電素子の一例であり、吐出モジュール32-3に含まれる吐出部600が第2吐出部の一例である。また、駆動信号出力回路52a-1が第1駆動回路の一例であり、駆動信号出力回路52a-1が出力する駆動信号COMA1が第1駆動信号の一例であり、駆動信号出力回路52a-3が第1駆動回路の一例であり、駆動信号出力回路52a-3が出力する駆動信号COMA3が第2駆動信号の一例である。また、コネクターCN1bが第1コネクターの一例であり、コネクターCN1aが第2コネクターの一例である。また、駆動回路基板700が配線基板の一例であり、駆動回路基板700に含まれるリジッド部材721,722,741,742,761,762,781,782が複数のリジッド部材の一例であり、フレキシブル配線部材790がフレキシブル部材の一例である。また、リジッド部材721が第1リジッド部材の一例であり、リジッド部材741が第2リジッド部材の一例であり、リジッド部材722が第3リジッド部材の一例であり、リジッド部材742が第4リジッド部材の一例であり、リジッド部材721の面
723が第1表面の一例であり、リジッド部材741の面743が第2表面の一例であり、リジッド部材722の面724が第3表面の一例であり、リジッド部材742の面744が第4表面の一例であり、フレキシブル配線部材790の面791が第1面の一例であり、フレキシブル配線部材790の面792が第2面の一例であり、フレキシブル配線部材790の領域701が第1領域の一例であり、フレキシブル配線部材790の領域705が第2領域の一例であり、フレキシブル配線部材790の領域702,704の少なくとも一方が第3領域の一例である。
【0356】
3.作用効果
以上のように本実施形態の液体吐出装置1は、インクを吐出するプリントヘッド30と、プリントヘッド30と電気的に接続された駆動回路基板700とを備える。また、駆動回路基板700は、複数の回路部品が設けられたリジッド部材721,722を含むリジッド配線部材710、リジッド部材741,742を含むリジッド配線部材730、リジッド部材761,762を含むリジッド配線部材750、及びリジッド部材781,782を含むリジッド配線部材770と、リジッド配線部材710,730,750,770よりも柔軟なフレキシブル配線部材790と、を含む。そして、リジッド部材721,722,741,742,761,762,781,782がフレキシブル配線部材790に積層されることで、リジッド配線部材710,730,750,770は、フレキシブル配線部材790によって相互に電気的に接続される。
【0357】
このとき、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730とであって、リジッド配線部材710に含まれるリジッド部材721とリジッド配線部材730に含まれるリジッド部材741とは、フレキシブル配線部材790が領域702,704で屈曲することで、面723と面743とが向かい合うように配置されている。これにより、液体吐出モジュール20において、プリントヘッド30と電気的に接続される駆動回路基板700が占有する領域を小さくすることができ、液体吐出モジュール20の集密配置が可能となり、複数の液体吐出モジュール20を備える液体吐出装置1の小型化を実現できる。
【0358】
さらに、駆動回路基板700のリジッド配線部材770は、リジッド配線部材770に含まれるリジッド部材781の面783の法線方向が、リジッド配線部材710に含まれるリジッド部材721の面723の法線方向、及びリジッド配線部材730に含まれるリジッド部材741の面743の法線方向の双方と交差するように位置している。すなわち、リジッド配線部材770は、向かい合って位置するリジッド配線部材710とリジッド配線部材730との間の領域の少なくとも一部を覆うように位置している。これにより、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730との間の領域にインクミストが侵入するおそれが低減する。その結果、駆動回路基板700に設けられた各種回路にインクミストが付着するおそれが低減し、駆動回路基板700に設けられた各種回路の動作の安定性が向上し、駆動回路基板700に設けられた各種回路の出力信号に基づいて動作するプリントヘッド30の動作の安定性も向上する。したがって、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0359】
さらに、リジッド配線部材770にプリントヘッド30と電気的に接続されるコネクターCN1aが設けられている。コネクターCN1aはプリントヘッド30に設けられたコネクターCN1bと嵌合することで駆動回路基板700とプリントヘッド30とを電気的に接続する。すなわち、駆動回路基板700とプリントヘッド30とはBtoBコネクターであるコネクターCN1によって電気的に接続されている。これにより、駆動回路基板700が出力しプリントヘッド30に入力される信号が伝搬される伝搬経路のインピーダンスが低減する。その結果、プリントヘッド30に入力される信号の精度が向上し、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0360】
以上のように構成された駆動回路基板700において、リジッド部材721,722,741,742,761,762,781,782に設けられた各種の回路部品によって構成された回路、及びプリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200の電源電圧としての電圧信号VHVが伝搬する配線wh2は、フレキシブル配線部材790において、リジッド部材721,722が積層されている領域701、リジッド部材761,762が積層されている領域703、及びリジッド部材741,742が積層されている領域705と、領域701と領域703との間に位置する領域702、及び領域703と領域705との間に位置する領域704と、にわたり連続して設けられている。すなわち、電圧信号VHVは、ビア配線を介さずに、配線wh2を伝搬し、リジッド配線部材710、リジッド配線部材730、及びリジッド配線部材750に供給される。これにより、リジッド配線部材710、リジッド配線部材730、及びリジッド配線部材750に供給される電圧信号VHVに、異なる配線層の信号がノイズとして重畳するおそれが低減する。すなわち、リジッド配線部材710に設けられた各種回路、リジッド配線部材730に設けられた各種回路、及びリジッド配線部材750に設けられた各種回路に供給される電圧信号VHVの精度が向上し、リジッド配線部材710に設けられた各種回路、リジッド配線部材730に設けられた各種回路、及びリジッド配線部材750に設けられた各種回路の動作の安定性が向上する。その結果、リジッド配線部材710に設けられた各種回路、リジッド配線部材730に設けられた各種回路、及びリジッド配線部材750に設けられた各種回路が出力する出力信号の精度が向上するとともに、当該出力信号に基づいて動作するプリントヘッド30の動作が安定し、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0361】
さらに、本実施形態の液体吐出装置1では、電圧信号VHVが伝搬する配線wh2は、フレキシブル配線部材790の領域701から領域705に向かう方向であって、領域701、領域703、及び領域705にわたり連続に且つ直線状に設けられている。電圧信号VHVは、リジッド部材721,722,741,742,761,762,781,782に設けられた各種の回路部品によって構成された回路、及びプリントヘッド30が有する駆動信号選択回路200の電源電圧として機能する。そのため、電圧信号VHVが伝搬する配線wh2には多くの電流が流れる。このような配線wh2を直線状にすることで、配線wh2を伝搬する電圧信号VHVに基づく電流密度に偏りが生じるおそれが低減し、電圧信号VHVの電圧値が変動するおそれが低減する。これにより、リジッド配線部材710,730,750に設けられた各種回路に供給される電圧信号VHVの精度が向上し、リジッド配線部材710,730,750に設けられた各種回路の動作の安定性が向上する。その結果、リジッド配線部材710,730,750に設けられた各種回路が出力する出力信号の精度がさらに向上するとともに、当該出力信号に基づいて動作するプリントヘッド30の動作がさらに安定し、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度がさらに向上する。ここで、直線状とは、展開状態の駆動回路基板700において、配線wh2が領域701から領域705に向かう仮想直線に沿って、設けられていることが含まれる。
【0362】
さらに、リジッド配線部材710のリジッド部材721、及びリジッド配線部材730のリジッド部材741には、駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4が設けられている。駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4は、電圧信号VHVに基づいてD級増幅することで駆動信号COMA1~COMA4,COMB1~COMB4を生成する。このような駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4が設けられているリジッド部材721,741に入力される電圧信号VHVの精度が向上することで、駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4が出力する駆動信号COMA1~COMA4,COMB1~COMB4の精度も向上する。その結果、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度がさらに向上する。
【0363】
さらに、プリントヘッド30のコネクターCN1bと電気的に接続されるコネクターCN1aを有するリジッド配線部材770を、リジッド部材781からリジッド部材782に向かう方向に沿って見た場合の大きさが、プリントヘッド30を、コネクターCN1bから吐出部600に向かう方向に沿って見た大きさよりも小さくすることで、駆動回路基板700とプリントヘッド30とを含む液体吐出モジュール20の集密配置が可能となり、その結果、複数の液体吐出モジュール20を備えた液体吐出装置1にさらなる小型化が可能となる。
【0364】
このとき、駆動回路基板700は、コネクターCN3a,CN3bを有し、コネクターCN3aは、リジッド配線部材710に設けられ、コネクターCN3bは、リジッド配線部材770に設けられている。そして、組立状態の駆動回路基板700では、コネクターCN3aとコネクターCN3bとが嵌合することで、略箱形状が保持される。これにより、組立状態の駆動回路基板700の形状を保持するための保持部材を必要とせず、駆動回路基板700を含む駆動回路モジュール50のさらなる小型化が可能となる。その結果、駆動回路モジュール50を含む液体吐出モジュール20のさらなる集密配置が可能となり、その結果、複数の液体吐出モジュール20を備えた液体吐出装置1にさらなる小型化が可能となる。
【0365】
さらに、駆動回路基板700が有するコネクターCN3a,CN3bは、嵌合することで、リジッド配線部材710とリジッド配線部材770とを電気的に接続する。これにより、リジッド配線部材710で生成された信号を、リジッド配線部材730,750を介さずにリジッド配線部材770に伝搬することが可能となる。その結果、駆動回路基板700に設けられる配線パターンを少なくでき、駆動回路基板700のさらなる小型化が可能となる。その結果、駆動回路モジュール50を含む液体吐出モジュール20のさらなる集密配置が可能となり、その結果、複数の液体吐出モジュール20を備えた液体吐出装置1にさらなる小型化が可能となる。
【0366】
このとき、駆動回路基板700に設けられたFPGAに含まれる吐出制御回路51が出力するクロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptは、コネクターCN1a,CN1b、及びリジッド配線部材770を介してプリントヘッド30に入力される。クロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptは電圧値の小さな信号であり、このようなクロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptを、リジッド配線部材730,750を介さずに、コネクターCN3a,CN3bを介してリジッド配線部材770に伝搬することで、プリントヘッド30に入力されるクロック信号SCK、及び差動印刷データ信号Dptの信号精度が向上する。その結果、プリントヘッド30からのインク吐出精度がさらに向上する。
【0367】
また、駆動回路モジュール50において、駆動回路基板700に含まれるリジッド配線部材710とリジッド配線部材730とは面723と面743とが向かい合うように位置し、リジッド配線部材710の面724には、ヒートシンク180が位置し、リジッド配線部材730の面744には、ヒートシンク170が位置するとともに、リジッド配線部材710とリジッド配線部材730とが向かい合って位置する間の領域には、冷却ファン59が気流を生じさせる。これにより、駆動回路基板700は、冷却ファン59により生じた気流による放熱効果と、ヒートシンク170,180による熱の放出効果と、の双方により、駆動回路基板700の両面から冷却され、駆動回路基板700の熱の放出効率であって、冷却効率が向上し、駆動回路基板700に設けられた各種回路の動作の安定性がさらに向上する。その結果、駆動回路基板700が出力する出力信号の信号精度が向上し、駆動回路基板700に設けられた各種回路の出力信号に基づいてインクを吐出するプリントヘッド30からのインクの吐出精度も向上する。
【0368】
このとき、ヒートシンク180とリジッド配線部材710の面724との間には、絶縁性能を有する熱伝導部材185が位置し、ヒートシンク170とリジッド配線部材730の面744との間には、絶縁性能を有する熱伝導部材175が位置している。熱伝導部材185は、面724とヒートシンク180との双方と接触し、熱伝導部材175は、面744とヒートシンク170との双方と接触している。これにより、ヒートシンク170とリジッド配線部材730との密着性、及び絶縁性能が向上し、ヒートシンク180とリジッド配線部材710との密着性、及び絶縁性能が向上する。その結果、ヒートシンク170,180による熱の放出性能がさらに向上し、駆動回路基板700の熱の放出効率であって、冷却効率がさらに向上するととともに、ヒートシンク170,180と駆動回路基板700との間の絶縁性能が向上し、駆動回路基板700に設けられた各種回路の動作の安定性がさらに向上する。
【0369】
また、本実施形態における駆動回路基板700では、駆動回路基板700のリジッド配線部材770は、リジッド配線部材770に含まれるリジッド部材781の面783の法線方向が、リジッド配線部材710に含まれるリジッド部材721の面723の法線方向、及びリジッド配線部材730に含まれるリジッド部材741の面743の法線方向の双方と交差するように位置することで、冷却ファン59が生じさせる気体の気体流路の一部を構成する。このとき、冷却ファン59は、リジッド配線部材770に向かい気流を生じさせる。これにより、冷却ファン59は、リジッド配線部材770に設けられた回路を構成する電子部品を冷却することもできる。これにより、駆動回路基板700に設けられた各種回路の動作の安定性がさらに向上する。
【0370】
また、以上のように構成された駆動回路モジュール50では、リジッド配線部材710の面723に駆動信号COMA1,COMA2,COMB1,COMB2を出力する駆動信号出力回路52a-1,52a-2,52b-1,52b-2が設けられ、リジッド配線部材730の面743に駆動信号COMA3,COMA4,COMB3,COMB4を出力する駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4が設けられている。駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4は、電圧信号VHVに基づく駆動信号COMA1~COMA4,COMB1~COMB4を複数の吐出部600のそれぞれに供給するが故に、大きな熱が生じる。駆動回路基板700にこのような発熱量の大きな駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4が設けられている場合であっても、本実施形態の駆動回路基板700は、冷却ファン59により生じた気流による放熱効果と、ヒートシンク170,180による熱の放出効果と、の双方により、冷却されることで、駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4の動作の安定性がさらに向上する。
【0371】
さらに、駆動回路基板700には、電解コンデンサーであるコンデンサーC7a,C7bが設けられている。コンデンサーC7a,C7bは、コンデンサーC7a,C7bと冷却ファン59との最短距離が、駆動信号出力回路52に含まれるトランジスターM1,M2と冷却ファン59との最短距離よりも短くなるように駆動回路基板700に設けられている。電解コンデンサーであるコンデンサーC7a,C7bの部品高さは、表面実装型のトランジスターM1,M2よりも大きく、それ故に、駆動回路基板700を介した冷却であって、ヒートシンク170,180による熱の放出による冷却効果は小さい。このようなコンデンサーC7a,C7bを冷却ファン59の近くに配置することで、コンデンサーC7a,C7bを冷却することができる。その結果、駆動回路基板700に設けられた各種回路の動作の安定性がさらに向上する。
【0372】
また、駆動回路モジュール50は、冷却ファン59により生じた気流が通過する開口161及び開口162を有する板状の開口板160を有する。そして、開口板160は、開
口板160の法線方向に沿って見た場合に、開口161と駆動信号出力回路52a-1のインダクターL1の少なくとも一部とが重なり、開口162と駆動信号出力回路52a-1のインダクターL1の少なくとも一部とが重なるように位置している。冷却ファン59で生じた気流が開口161,162を通過する際、当該気流の流速が高まる。このような冷却ファン59で生じた気流の流速が高まる領域に、部品高さの大きな駆動信号出力回路52に含まれるインダクターL1を設けることで、インダクターL1の冷却効率を高めることができ、駆動回路基板700に設けられた各種回路の動作の安定性が向上する。その結果、駆動回路基板700が出力する出力信号の信号精度が向上し、駆動回路基板700に設けられた各種回路の出力信号に基づいてインクを吐出するプリントヘッド30からのインクの吐出精度も向上する。
【0373】
さらに、冷却ファン59で生じた気流が開口161,162を通過する際の当該気流の流速を高めることができるが故に、小型の冷却ファン59であっても十分な冷却能力を得ることができ、その結果、冷却ファン59の駆動に伴い生じ得る振動により、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が低下するおそれが低減する。
【0374】
また、駆動回路モジュール50は、面151に、電圧信号VHV,VMVが伝搬するFFCケーブル21と、クロック信号SCK、差動印刷データ信号Dp、及び差動駆動データ信号Ddが伝搬するFFCケーブル22とが電気的に接続され、面151とは反対の面152には、駆動回路基板700と電気的に接続されるコネクターCN2aが設けられた中継基板150を有する。すなわち、中継基板150には、FFCケーブル21,22を伝搬した信号が入力され、コネクターCN2aを介して駆動回路基板700に出力する。これにより、コネクターCN2a,CN2bの着脱のみで液体吐出装置1に対する駆動回路基板700の着脱を行うことができ、駆動回路基板700のメンテナンス作業や交換作業、組立作業の作業効率を高めることができる。
【0375】
さらに、コネクターCN2a,CN2bの着脱のみで液体吐出装置1に対する駆動回路基板700の着脱を行うことができることで、当該着脱の為に確保すべき空間を小さくすることができる。これにより、液体吐出モジュール20のさらなる集密配置が可能となり、その結果、液体吐出装置1のさらなる小型化が可能となる。
【0376】
さらに中継基板150には、冷却ファン59が固定されている。これにより、液体吐出装置1に対する駆動回路基板700の着脱とともに、冷却ファン59の着脱が可能となる。その結果、冷却ファン59を駆動するファン駆動信号Fpが伝搬する配線を駆動回路基板700に設ける必要がなく、駆動回路基板700の小型化が可能となる。
【0377】
また、駆動回路モジュール50は、駆動回路モジュール50の環境温度であって、駆動回路モジュール50の内部の空間温度を検出する温度検出回路56を有し、制御ユニット2、及びヘッド制御回路12は、温度検出回路56が検出した環境温度に基づいて、駆動回路モジュール50、及びプリントヘッド30の動作を制御する。すなわち、本実施形態の液体吐出装置1は、駆動回路モジュール50が有する各種回路の温度を個別に検出するのでなく、駆動回路モジュール50の動作状態に応じて変化する駆動回路モジュール50の内部の空間温度を、温度検出回路56が環境温度として検出する。そして、制御ユニット2、及びヘッド制御回路12は、温度検出回路56が検出した環境温度に基づいて、駆動回路モジュール50、及びプリントヘッド30の動作を制御する。これにより、駆動回路モジュール50が有する電子部品等に個別にセンサー素子等の温度検出器を設ける必要がなく、駆動回路モジュール50の小型化が可能となる。その結果、液体吐出モジュール20のさらなる集密配置が可能となり、液体吐出装置1のさらなる小型化が可能となる。
【0378】
このような温度検出回路56は、駆動回路基板700において、駆動信号出力回路52
a-1,52a-2,52b-1,52b-2が設けられたリジッド配線部材710と、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4が設けられたリジッド配線部材730と、の間に位置するリジッド配線部材750に設けられている。これにより、温度検出回路56が検出する環境温度に対して、発熱量の大きな駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4で生じ得る温度変化の寄与度が極端に高まるおそれが低減する。すなわち、温度検出回路56が検出する環境温度の検出精度が高まる。したがって、温度検出回路56が検出した環境温度に基づく制御ユニット2、及びヘッド制御回路12による駆動回路モジュール50、及びプリントヘッド30の動作制御の精度が向上し、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0379】
また、駆動回路基板700において、リジッド配線部材710に設けられた駆動信号出力回路52a-1と駆動信号出力回路52b-1とはそれぞれが集積回路500とトランジスターM1,M2と、インダクターL1とを有し、辺713から辺714に向かう方向に沿って、駆動信号出力回路52a-1と駆動信号出力回路52b-1とは少なくとも一部が重なるように位置している。このとき、辺713から辺714に向かう方向に沿って、駆動信号出力回路52a-1が有する集積回路500と、駆動信号出力回路52b-1が有する集積回路500とは、重ならないように配置されている。これにより、駆動信号出力回路52a-1で生じた熱と、駆動信号出力回路52b-1で生じた熱の集中により、駆動回路基板700に局所的な高温部分が生じるおそれが低減する。
【0380】
さらに、本実施形態における駆動回路基板700では、リジッド配線部材730に設けられた駆動信号出力回路52b-4は、集積回路500とトランジスターM1,M2と、インダクターL1とを有し、x2軸に沿って、駆動信号出力回路52a-1と駆動信号出力回路52b-4とは少なくとも一部が重なるように位置し、x2軸に沿って、駆動信号出力回路52a-1が有する集積回路500と、駆動信号出力回路52b-4が有する集積回路500とは、重ならないように配置されている。これにより、組立状態の駆動回路基板700であっても、駆動信号出力回路52a-1で生じた熱と、駆動信号出力回路52b-4で生じた熱の集中により、駆動回路基板700に局所的な高温部分が生じるおそれが低減する。
【0381】
すなわち、本実施形態の液体吐出装置1では、発熱量の大きな駆動信号出力回路52a-1~52a-4,52b-1~52b-4が千鳥状に配置されている。これにより、駆動回路基板700において、局所的な熱の集中が起こるおそれが低減し、その結果、駆動回路基板700がプリントヘッド30に出力する駆動信号COMA1~COMA4,COMB1~COMB4の波形精度が向上し、プリントヘッド30から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0382】
この場合において、辺713から辺714に向かう方向に沿って、駆動信号出力回路52a-1が有するトランジスターM1,M2と、駆動信号出力回路52b-1が有するトランジスターM1,M2とが、重ならないように配置され、x2軸に沿って、駆動信号出力回路52a-1が有するトランジスターM1,M2と、駆動信号出力回路52b-4が有するトランジスターM1,M2とが、重ならないように配置されることで、駆動回路基板700における熱の集中をさらに低減することができる。また、辺713から辺714に向かう方向に沿って、駆動信号出力回路52a-1が有するインダクターL1と、駆動信号出力回路52b-1が有するインダクターL1とが、重ならないように配置され、x2軸に沿って、駆動信号出力回路52a-1が有するインダクターL1と、駆動信号出力回路52b-4が有するインダクターL1とが、重ならないように配置されることで、駆動回路基板700における熱の集中をさらに低減することができる。
【0383】
また、駆動回路基板700のリジッド配線部材770の面783には、基準電圧信号V
BSの電圧値を安定化させるための電解コンデンサーであるコンデンサーC53が設けられ、駆動回路基板700のリジッド配線部材770の面784には、プリントヘッド30と電気的に接続されるコネクターCN1aが設けられている。すなわち、プリントヘッド30と電気的に接続されるコネクターCN1aが設けられたリジッド配線部材770において、基準電圧信号VBSの電圧値が安定化される。これにより、プリントヘッド30に供給される基準電圧信号VBSの電圧値の安定性が向上し、プリントヘッド30が有する圧電素子60の変位精度が向上するとともに、圧電素子60の変位により吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0384】
また、圧電素子60の電極612に供給される基準電圧信号VBSは、駆動信号COMA1,COMB1に基づく駆動信号VOUTが供給される圧電素子60、駆動信号COMA2,COMB2に基づく駆動信号VOUTが供給される圧電素子60、駆動信号COMA3,COMB3に基づく駆動信号VOUTが供給される圧電素子60、及び駆動信号COMA4,COMB4に基づく駆動信号VOUTが供給される圧電素子60に共通に供給される。このような基準電圧信号VBSは、1つの基準電圧信号出力回路530から供給される。これにより、異なる駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給される圧電素子60であっても、共通の基準電位に基づいて駆動することが可能となり、プリントヘッド30が有する圧電素子60の変位精度が向上するとともに、圧電素子60の変位により吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0385】
また、駆動回路モジュール50は、異常報知回路55a,55bを有し、異常報知回路55a,55bは、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面744であって、リジッド配線部材730に含まれるリジッド部材742の面744に設けられている。すなわち、異常報知回路55は、略箱形状に構成された組立状態の駆動回路基板700の外面に設けられている。これにより、使用者は、視覚的に液体吐出モジュール20の異常を確認することができ、液体吐出モジュール20及び液体吐出装置1の信頼性が向上する。
【0386】
このとき、駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面744であって、リジッド配線部材730に含まれるリジッド部材742の面744には、前述のとおり、ヒートシンク170が位置している。このような駆動回路基板700のリジッド配線部材730の面744であって、リジッド配線部材730に含まれるリジッド部材742の面744において、リジッド部材742からリジッド部材741に向かう方向に沿って、異常報知回路55a,55bが、駆動信号出力回路52と重ならないように位置し、ヒートシンク170が駆動信号出力回路52と重なるように位置することで、異常報知回路55a,55bの視認性を損なうことなく、駆動信号出力回路52で生じた熱の放出を行うことができる。これにより、駆動回路基板700が出力する信号の精度が高まるととともに、液体吐出モジュール20及び液体吐出装置1の信頼性を向上することができる。
【0387】
さらに、ヒートシンク170は、開口172を有し、リジッド部材742からリジッド部材741に向かう方向に沿って、異常報知回路55a,55bが開口172と重なるように位置することで、異常報知回路55a,55bの視認性を損なうことなく、駆動信号出力回路52で生じた熱の放出を効率よく行うことができる。これにより、駆動回路基板700が出力する信号の精度が高まるととともに、液体吐出モジュール20及び液体吐出装置1の信頼性を向上することができる。
【0388】
4.変形例
次に、変形例の液体吐出装置1について説明する。図31は、変形例の液体吐出装置1の概略構成を示す図である。上述した液体吐出装置1では、液体吐出モジュール20が有する駆動回路モジュール50が冷却ファン59を有し、冷却ファン59が、駆動回路基板700のリジッド配線部材710,730,750,770で構成された気体流路に気流
を生じさせることで、駆動回路基板700の冷却を行うとして説明を行ったが、変形例の液体吐出装置1では、冷却ファン59に替えて、若しくは加えて、コンプレッサーCPを有し、コンプレッサーCPが駆動することにより生じた気流を駆動回路基板700のリジッド配線部材710,730,750,770で構成された気体流路に供給することで、駆動回路基板700の冷却を行う。
【0389】
すなわち、変形例の液体吐出装置1は、液体の一例としてのインクを吐出するプリントヘッド30と、プリントヘッド30と電気的に接続された駆動回路モジュール50と、圧縮空気ARを送出するコンプレッサーCPと、駆動回路モジュール50とコンプレッサーCPとを接続するチューブTBと、を備え、コンプレッサーCPがチューブTBを介して、駆動回路基板700に含まれるリジッド配線部材710の面723であってリジッド部材721の面723と、リジッド配線部材730の面743であってリジッド部材741の面743と、が向かい合う領域に、圧縮空気ARを供給する。
【0390】
図31に示すように、コンプレッサーCPは、ヘッドユニット3とは別に設けられる。このとき、コンプレッサーCPは、ヘッドユニット3が媒体Pにインクを吐出し画像を形成する印刷領域の外であって、好ましくは、当該印刷領域と隔離された空間に設けられる。そして、コンプレッサーCPは、駆動することで、当該空間の空気を吸引し、圧縮した後、圧縮空気ARとして出力する。そして、コンプレッサーCPが出力する圧縮空気ARは、チューブTBを介して液体吐出モジュール20に供給される。
【0391】
図32は、変形例の液体吐出モジュール20の構造の一例を示す分解斜視図である。図32に示すように、チューブTBは、中継基板150に形成された面151と面152を貫通する貫通孔159に接続される。これにより、液体吐出モジュール20に圧縮空気ARが供給される。そして、圧縮空気ARは、中継基板150の貫通孔159を介して、駆動回路モジュール50が有する駆動回路基板700のリジッド配線部材710の面723であってリジッド部材721の面723と、リジッド配線部材730の面743であってリジッド部材741の面743と、が向かい合う領域に、供給される。以上のように構成された変形例の液体吐出装置1であっても、上述した実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0392】
さらに、変形例の液体吐出装置1では、前述のとおり、コンプレッサーCPが印刷領域と隔離された空間に設けられている。これにより、コンプレッサーCPが出力する圧縮空気ARには、プリントヘッド30が媒体Pに吐出したインクの一部であるインクミストや、媒体Pの搬送に伴い生じ得る紙粉や羽毛などの埃が混入しない。そのため、圧縮空気ARによって冷却される駆動回路基板700に設けられた各種の電子部品に当該インクミストや当該埃が付着するおそれが低減する。これにより、駆動回路基板700の動作の安定性がさらに向上し、駆動回路基板700が出力する出力信号に基づいて動作するプリントヘッド30からのインクの吐出精度がさらに向上する。
【0393】
すなわち、変形例の液体吐出装置1では、媒体Pとして布巾を用いるが故に、印刷領域に埃が浮遊するおそれが高い所謂捺染用インクジェットプリンターである場合に、駆動回路基板700の動作の安定性がさらに向上し、駆動回路基板700が出力する出力信号に基づいて動作するプリントヘッド30からのインクの吐出精度がさらに向上するとの観点において、特に大きな効果を奏する。
【0394】
また、上述した実施形態において、駆動回路モジュール50の環境温度を検出し、当該環境温度に応じた温度情報を含む温度情報信号Ttを生成し、ヘッド制御回路12に出力する温度検出回路56は、リジッド配線部材750に設けられているとして説明を行ったが、温度検出回路56は、リジッド配線部材730において、駆動信号出力回路52a-
3,52a-4,52b-3,52b-4から離れた領域に設けられていてもよい。
【0395】
図33は、変形例の展開状態の駆動回路基板700における部品配置の一例を示す図である。図33に示すように、変形例の駆動回路基板700において、温度検出回路56は、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4から離れた領域であって、具体的には、温度検出回路56は、リジッド配線部材730の辺731に沿って設けられ、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4は、リジッド配線部材730において、辺731と向かい合って位置する辺732に沿った領域に設けられている。すなわち、リジッド配線部材730において、温度検出回路56と辺731との最短距離は、温度検出回路56と辺732の最短距離よりも小さく、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4のそれぞれが有するトランジスターM1,M2と辺732との最短距離は、駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4のそれぞれが有するトランジスターM1,M2と辺731との最短距離よりも小さくなるように、温度検出回路56、及び駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4のそれぞれが配置される。
【0396】
係る配置に温度検出回路56を配置した場合であっても、温度検出回路56と駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4とが、離れて位置しているが故に、温度検出回路56に対する駆動信号出力回路52a-3,52a-4,52b-3,52b-4で生じた熱の寄与度が低減し、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0397】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0398】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0399】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0400】
液体吐出装置の一態様は、
液体を吐出するプリントヘッドと、
前記プリントヘッドと電気的に接続された基板ユニットと、
圧縮空気を送出するコンプレッサーと、
前記基板ユニットと前記コンプレッサーとを接続するチューブと、
を備え、
前記プリントヘッドは、
第1駆動信号を受けて変位する第1圧電素子を含み、前記第1圧電素子の変位により液体を吐出する第1吐出部と、
第2駆動信号を受けて変位する第2圧電素子を含み、前記第2圧電素子の変位により液体を吐出する第2吐出部と、
前記基板ユニットと電気的に接続する第1コネクターと、
を有し、
前記基板ユニットは、
前記第1コネクターと嵌合することで、前記プリントヘッドと電気的に接続する第2コ
ネクターと、
前記第1駆動信号を出力する第1駆動回路と、
前記第2駆動信号を出力する第2駆動回路と、
前記第2コネクター、前記第1駆動回路、及び前記第2駆動回路が設けられた配線基板と、
を有し、
前記配線基板は、前記第2コネクター、前記第1駆動回路、及び前記第2駆動回路が設けられた複数のリジッド部材と、前記複数のリジッド部材よりも柔軟なフレキシブル部材と、を含むリジッドフレキシブル基板であって、
前記フレキシブル部材は、第1面、及び前記第1面と反対の第2面と、第1領域、第2領域、及び第3領域と、を含み、
前記第3領域は、前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、
前記複数のリジッド部材は、第1リジッド部材、及び第2リジッド部材を含み、
前記第1リジッド部材は、第1表面を含み、前記第1表面が前記第1面に沿って延在するように前記第1領域の前記第1面に積層され、
前記第2リジッド部材は、第2表面を含み、前記第2表面が前記第1面に沿って延在するように前記第2領域の前記第1面に積層され、
前記第1駆動回路は、前記第1リジッド部材に設けられ、
前記第2駆動回路は、前記第2リジッド部材に設けられ、
前記第1リジッド部材と前記第2リジッド部材とは、前記フレキシブル部材が前記第3領域で屈曲することで前記第1表面と前記第2表面とが向かい合うように位置し、
前記コンプレッサーは、前記チューブを介して、前記第1表面と前記第2表面とが向かい合う領域に、前記圧縮空気を供給する。
【0401】
この液体吐出装置によれば、コンプレッサーが第1表面と第2表面とが向かい合う領域に供給する圧縮空気によって、第1表面を含む第1リジッド部材に設けられた第1駆動回路と、第2表面を含む第2リジッド部材に設けられた第2駆動回路と、が効率よく冷却される。これにより、第1駆動回路、及び第2駆動回路の動作の安定性が向上する。この際、圧縮空気がコンプレッサーからチューブを介して供給される、それ故に、コンプレッサーの配置の自由度が高まり、当該コンプレッサーをインクミストが浮遊し得る領域の外部に設けることで、第1表面と第2表面とが向かい合う領域に供給する圧縮空気にインクミストが混入するおそれが低減する。これにより、第1駆動回路、及び第2駆動回路にインクミストが付着するおそれが低減し、第1駆動回路、及び第2駆動回路の動作の安定性が向上する。その結果、第1駆動信号、及び第2駆動信号の波形精度が向上し、第1吐出部、及び第2吐出部からのインクの吐出精度も向上する。
【0402】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記複数のリジッド部材は、第3リジッド部材、及び第4リジッド部材を含み、
前記第3リジッド部材は、第3表面を含み、前記第3表面が前記第2面に沿って延在するように前記第1領域の前記第2面に積層され、
前記第4リジッド部材は、第4表面を含み、前記第4表面が前記第2面に沿って延在するように前記第2領域の前記第2面に積層され、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路を構成する電子部品は、前記第3リジッド部材及び前記第4リジッド部材に設けられていなくてもよい。
【0403】
この液体吐出装置によれば、圧縮空気が通過する領域を形成する配線基板の第1表面及び第2表面と反対の第3表面、及び第4表面に、第1駆動回路、及び第2駆動回路を構成する電子部品を配置しないことで、第1駆動回路、及び第2駆動回路の動作の安定性がさらに向上する。その結果、第1駆動信号、及び第2駆動信号の波形精度がさらに向上し、第1吐出部、及び第2吐出部か
らのインクの吐出精度がさらに向上する。
【0404】
上記液体吐出装置の一態様において、
布巾に対して液体を吐出する捺染用インクジェットプリンターであってもよい。
【0405】
この液体吐出装置によれば、媒体として布巾を用いる捺染用インクジェットプリンターであっても、コンプレッサーを布巾からの羽毛が浮遊し得る領域の外部に設けることで、第1表面と第2表面とが向かい合う領域に供給する圧縮空気に当該羽毛が混入するおそれが低減する。これにより、第1駆動回路、及び第2駆動回路に当該羽毛が付着するおそれが低減し、第1駆動回路、及び第2駆動回路の動作の安定性が向上する。その結果、第1駆動信号、及び第2駆動信号の波形精度が向上し、第1吐出部、及び第2吐出部からのインクの吐出精度も向上する。
【符号の説明】
【0406】
1…液体吐出装置、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、4…搬送モーター、5…搬送ローラー、6…キャリッジモーター、7…キャリッジガイド軸、8…キャリッジ、9…液体容器、10…吐出制御モジュール、12…ヘッド制御回路、14…冷却ファン駆動回路、16…メイン制御回路、18…電源電圧出力回路、20…液体吐出モジュール、21,22…FFCケーブル、30…プリントヘッド、31…復元回路、32…吐出モジュール、50…駆動回路モジュール、51…吐出制御回路、52…駆動信号出力回路、53…コンデンサー、54…異常検出回路、55…異常報知回路、56…温度検出回路、58…電圧変換回路、59…冷却ファン、60…圧電素子、72…ガイドレール、81…キャリッジ本体、82…キャリッジカバー、83…収容ケース、85…載置部、86…固定部、87…キャリッジ支持部、100…制御回路基板、110…集積回路、150…中継基板、151,152…面、153-156…辺、158,159…貫通孔、160…開口板、161-164…開口、170…ヒートシンク、172…開口、175…熱伝導部材、180…ヒートシンク、185…熱伝導部材、200…駆動信号選択回路、210…選択制御回路、212…レジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、310…ヘッドホルダー、315,316…フランジ、318…収容部、320…補強板、325…開口、330…固定板、335…開口、340…流路部材、350…ヘッドカバー、360…ヘッド基板、370…ヘッド中継基板、372,374,376…FPC、380…ヘッド中継基板、382,384,386…FPC、500…集積回路、510…変調回路、512,513…加算器、514…コンパレーター、515…インバーター、516…積分減衰器、517…減衰器、520…ゲートドライブ回路、521,522…ゲートドライバー、530…基準電圧信号出力回路、550…増幅回路、560…復調回路、570,572…帰還回路、590…基準電源回路、600…吐出部、601…圧電体、611,612…電極、621…振動板、631…キャビティー、632…ノズルプレート、641…リザーバー、651…ノズル、661…供給口、700…駆動回路基板、701-707…領域、710…リジッド配線部材、711-714…辺、721,722…リジッド部材、723,724…面、730…リジッド配線部材、731-734…辺、741,742…リジッド部材、743,744…面、750…リジッド配線部材、751-754…辺、761,762…リジッド部材、763,764…面、770…リジッド配線部材、771-774…辺、781,782…リジッド部材、783,784…面、790…フレキシブル配線部材、791,792…面、AR…圧縮空気、C1-C5,C7,C53…コンデンサー、CN1,CN1a,CN1b,CN2,CN2a,CN2b,CN3,CN3a,CN3b…コネクター、CP…コンプレッサー、D1…ダイオード、L1…インダクター、M1,M2…トランジスター、P…媒体、R1-R6…抵抗、TB…チューブ、wb1-wb8,wca1-wca4,wcb1-w
cb4,wd1-wd3,wg,wh1-wh7,wm1-wm3…配線
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